説明

撮像装置およびその方法

【課題】可動部品を無くし高信頼性を維持しつつ、一般撮影領域および2次元の情報コード接写にも対応可能な撮像装置およびその方法を提供する。
【解決手段】デジタルフィルタF0〜Fnのデジタルフィルタを用い、各デジタルフィルタでのボケ復元処理を行い、その復元処理後の画像からQRコードの特徴点の抽出処理を行い、特徴点があると判定すると、特徴点マーク部分についてバンドパスフィルタ200を掛けて、制御部220に入力させて、高周波成分を抽出し、その積分をとって、積分値をピントの合い具合の評価値Pとして求めていき、たとえばいわゆる山のぼり法に従って、使用するデジタルフィルタを順次変更しながら連続して求めていく評価値が増加から減少に転じた場合(最大値を検出した場合)に、ボケ復元画像を読み出して、情報コードのデコード処理を行い、モニタ装置240に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子を用い、光学系を有したデジタルスチルカメラや携帯電話搭載カメラ、携帯情報端末搭載カメラ、画像検査装置、自動制御用産業カメラ等の撮像装置およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年急峻に発展を遂げている情報のデジタル化に相俟って映像分野においてもその対応が著しい。
特に、デジタルカメラに象徴されるように撮像面は従来のフィルムに変わって固体撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device),CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサが使用されているのが大半である。
【0003】
このように、撮像素子にCCDやCMOSセンサを使った撮像レンズ装置は、被写体の映像を光学系により光学的に取り込んで、撮像素子により電気信号として抽出するものであり、デジタルスチルカメラの他、ビデオカメラ、デジタルビデオユニット、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、携帯情報端末(PDA:Personal DigitalAssistant)、画像検査装置、自動制御用産業カメラ等に用いられている。
【0004】
図30は、一般的な撮像レンズ装置の構成および光束状態を模式的に示す図である。
この撮像レンズ装置1は、光学系2とCCDやCMOSセンサ等の撮像素子3とを有する。
光学系は、物体側レンズ21,22、絞り23、および結像レンズ24を物体側(OBJS)から撮像素子3側に向かって順に配置されている。
【0005】
撮像レンズ装置1においては、図30に示すように、ベストフォーカス面を撮像素子面上に合致させている。
図31(A)〜(C)は、撮像レンズ装置1の撮像素子3の受光面でのスポット像を示している。
【0006】
また、位相板(Wavefront Coding optical element)により光束を規則的に分散し、デジタル処理により復元させ被写界深度の深い画像撮影を可能にする等の撮像装置が提案されている(たとえば非特許文献1,2、特許文献1〜5参照)。
また、伝達関数を用いたフィルタ処理を行うデジタルカメラの自動露出制御システムが提案されている(たとえば特許文献6参照)。
【0007】
また、特許文献7には、通常撮像モードと、この通常撮像モードよりも近接した撮像を行うマクロ撮像モードとによる撮像が可能な撮像装置であって、撮像装置により撮像されたが画像データに基づいて、通常撮像モードと、マクロ撮像モードのいずれが適しているかを判断して、撮像装置の撮像モードを切り換える撮像装置が提案されている。
【非特許文献1】"Wavefront Coding;jointly optimized optical and digital imaging systems",Edward R.Dowski,Jr.,Robert H.Cormack,Scott D.Sarama.
【非特許文献2】"Wavefront Coding;A modern method of achieving high performance and/or low cost imaging systems",Edward R.Dowski,Jr.,Gregory E.Johnson.
【特許文献1】USP6,021,005
【特許文献2】USP6,642,504
【特許文献3】USP6,525,302
【特許文献4】USP6,069,738
【特許文献5】特開2003−235794号公報
【特許文献6】特開2004−153497号公報
【特許文献7】特開2004−241822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、カメラモジュールが小型化したことにより、携帯電話を始めとするモバイル機器にカメラが搭載されてきているが、その応用として通常の撮影以外に2次元バーコードを撮影し情報をモバイル機器に取り込む機能も実用化されている。
さて、一般撮影用カメラとして撮影を行う場合は、その撮影距離は一般に無限から1m程度である。
しかしながら、2次元バーコードを撮影するときは、5〜10cm程度の接写となる。この一般撮影距離と接写距離があまりにレンジとして広いため、従来の携帯電話に組み込まれるカメラモジュールは接写の場合に接写用のフォーカス位置にレンズを設定して撮影していた。
ところがレンズを移動可能にするとその機構が必要になりコストがかかり、また可動部品は落下衝撃等に対して耐力が弱くなる。
【0009】
一方、前述したように、画像処理を含めた新しい結像系システムとしてWFCO(Wave Front Control Optics)が提案されている。このシステムを用いればかなり広い撮影距離範囲をピントの合う状態にすることができるほか、可動部品を無くすことができるので機構部品を削減できる他、落下衝撃等に対して信頼性が高まる。
しかしながら、これにも限界があり、接写までをカバーすることは困難である。
【0010】
本発明の目的は、可動部品を無くし高信頼性を維持しつつ、一般撮影領域および2次元の情報コード接写にも対応可能な撮像装置およびその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点の撮像装置は、合焦位置およびその前後の距離において焦点のボケ量が略一定となるように形成された光学系と、前記光学系を通過した被写体像を撮像する撮像素子と、前記撮像素子からの画像の焦点のボケを補正して復元した画像信号を生成する変換手段と、前記変換手段で用いる被写体条件に応じたデジタルフィルタと、を有し、前記変換手段は、撮像した被写体像が情報コードの特徴点を有している場合には、当該特徴点に適応するような前記デジタルフィルタを選択してボケ復元処理を行う。
【0012】
好適には、前記被写体条件には、被写体距離を含む。
【0013】
好適には、前記変換手段は、前記情報コードの特徴点の周波数を分析し、当該分析結果に応じて前記デジタルフィルタ処理を変更する。
【0014】
好適には、前記デジタルフィルタ処理の変更においては、前記情報コードの特徴点の周波数が高くなるようにフィルタを選択する。
【0015】
本発明の第2の観点の撮像方法は、合焦位置およびその前後の距離において焦点のボケ量が略一定となるように形成された光学系を通過した被写体像を撮像素子により撮像し、撮像した被写体像が情報コードの特徴点を有している場合には、当該特徴点に適応するような前記デジタルフィルタを選択し、前記選択したデジタルフィルタを用いて前記撮像素子からの画像の焦点のボケを補正して復元し、復元した画像信号に対して所定の画像処理を行う。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、可動部品を無くし高信頼性を維持しつつ、一般撮影領域および2次元の情報コード接写にも対応可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を添付図面に関連付けて説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る撮像装置の一実施形態を示すブロック構成図である。
【0019】
本実施形態の撮像装置100は、基本的にWFCOシステムを採用しており、撮像モードとして、通常撮影モードと接写モードとを少なくとも有している。撮像装置100は、たとえば接写モードで撮像した被写体像が、情報コードで図2に示すような2次元コード(QRコード)10であって、特徴点11を有している場合には、この2次元コード10に適応するようなデジタルフィルタを選択してボケ復元処理を行う。
本実施形態においては、被写体条件、たとえば被写体距離に応じて複数種のデジタルフィルタを有しており、被写体条件の情報に応じてデジタルフィルタを切り替える。
また、本実施形態において、デジタルフィルタ処理の変更(切り替え)は、情報コードの特徴点の周波数が高くなるようにフィルタを選択する。
なお、情報コードとしては、QRコードに限定されず、バーコード、カラーコード等にも適用可能である。
【0020】
本実施形態においては、WFCOシステムでLn(たとえば20cm)〜無限まで被写界深度をカバーしているとする。
2次元バーコードの接写でLm(たとえば7cm)まで必要であったとすると、当然のことながらLmは深度範囲外であるのでWFCOシステムであってもぼけた状態となるが、ややぼけで済むので、たとえば図2に示すようなQRコードなどのように、3隅に特徴点11があるものは、この特徴点を抽出できればQRコードを被写体としていることが認識できる。
そして、撮影距離情報を検出できれば通常使用するWFCOのフィルタから接写用のデジタルフィルタに変更して、一般撮影における被写界深度外であっても良好な復元画像を得ることができQRコードの情報をロス無く読み取ることができる。
しかしながら、QRコード自体は印刷サイズが各種あり、たとえば携帯電話機で撮影する場合、略所定の大きさに収まるように使用者が撮影距離を変えることで倍率を調整して撮影するので、撮影画像の大きさから距離を推測することはできない。
そこで、本実施形態においては、複数のデジタルフィルタを用い、各デジタルフィルタでのボケ復元処理を行い、その復元処理後の画像からQRコードの特徴点11の抽出処理を行い、特徴点11があると判定すると、特徴点マーク部分についてバンドパスフィルタを掛けて、たとえば高周波成分を抽出し、その積分をとって、積分値をピントの合い具合の評価値Pとして求めていき、たとえばいわゆる山のぼり法に従って、使用するデジタルフィルタを順次変更しながら連続して求めていく評価値が増加から減少に転じた場合(最大値を検出した場合)に、ボケ復元画像を読み出して、情報コードのデコード処理を行い、モニタ装置に表示する。
また、特徴点11が無いと判定すると、そのままボケ復元画像を読み出し、モニタ装置に表示する。
また、全てのデジタルフィルタを使用しても、今求めた積分値が一つ前のデジタルフィルタを使って求めた積分値と等しい(同一)、または減少せず増加した場合(山を検出しない場合)には、デコード処理ができない(NG)ものとして処理する。
すなわち、本実施形態の撮像装置100は、より精確にピントの合ったQRコードを得ることができ、認識率が向上するという特徴を有する。
【0021】
このような特徴を有する本実施形態に係る撮像装置100は、光学系110、撮像素子120、アナログデジタルコンバータ(A/D)130、信号処理部140、第1メモリ150、ボケ復元処理部160、第2メモリ170、復元フィルタ部180、特徴点抽出回路190、バンドパスフィルタ(BPF)200、情報コードデコード処理部210、制御部220、デジタルアナログコンバータ(D/A)230、およびモニタ装置240を有している。
なお、ボケ復元処理部160、第2メモリ170、復元フィルタ部180、特徴点抽出回路190、バンドパスフィルタ(BPF)200、情報コードデコード処理部210、演算制御部220等により変換手段が形成される。
【0022】
光学系110は、被写体物体OBJを撮影した像を撮像素子120に供給する。
本実施形態の光学系110は、後述するように、光波面変調素子を含み、合焦位置およびその前後の距離において焦点のボケ量が略一定となるように形成されている。
この焦点のボケ量はモニタ装置240の分解能を上限として設定されている。
【0023】
撮像装置120は、光学系110で取り込んだ像が結像され、結像1次画像情報を電気信号の1次画像信号FIMとして、アナログデジタルコンバータ部130を介して信号処理部140に出力するCCDやCMOSセンサからなる。
【0024】
アナログデジタルコンバータ130は、撮像素子120で得られるアナログ画像信号FIMをデジタル信号に変換して信号処理部140に出力する。
信号処理部140は、デジタル画像信号の処理の画像処理を施して第1メモリ150に格納する。
【0025】
変換手段として機能するボケ復元処理部160は、第1メモリ150に可能された撮像画像のデジタル信号を入力し、二次元のコンボリューション処理を施し、第2メモリ170に格納する。
ボケ復元処理部160、制御部220の露出情報やQRコード10の特徴点11の抽出後の積分値に基づくボケ復元デジタルフィルタの選定結果に応じたデジタルフィルタを復元フィルタ180として用いて、光学的伝達関数(OTF)に対してフィルタ処理を行って、ボケ復元処理を行い、ボケ復元処理後の画像を第2メモリ170に格納する。
ボケ復元処理部160は、撮像素子120からの画像の焦点のボケを補正して復元した画像信号を生成する。より具体的には、ボケ復元処理部160は、撮像素子120からの被写体分散画像信号より分散のない画像信号を生成する機能を有する。
【0026】
復元フィルタ部180は、ボケ復元処理部160においてボケ復元処理に用いる複数のデジタルフィルタが用意され、制御部220の指示に従ったデジタルフィルタがボケ復元処理部160で用いられる。
【0027】
特徴点抽出回路190は、第2メモリ170に格納されたボケ復元処理画像を読み出してQRコード10の特徴点11の抽出処理を行い、特徴点があると判定すると、第2メモリ170から読み出したボケ復元画像をバンドパスフィルタ200をパスして制御部220に入力させ、特徴点がないと判定した場合には、第2メモリ170から読み出したボケ復元画像をバンドパスフィルタ200をパスして制御部220に入力させる。
【0028】
バンドパスフィルタ200は、特徴点抽出回路190から出力されたボケ処理画像の特徴点マーク部分をフィルタリングして、たとえば高周波成分を抽出して制御部220に供給する。
【0029】
情報コードデコード処理部210は、制御部220の制御の下、QRコード10のデコード処理を行う。情報コードデコード処理部210でデコードされたQRコード10の内容が制御部220によりデジタルアナログコンバータ230を通してモニタ装置240に表示される。
【0030】
制御部220は、露出制御を行うとともに、操作部などの操作入力を持ち、それらの入力に応じて、システム全体の動作を決定し、システム全体の調停制御を司るものである。
制御部220は、特徴点抽出回路190により直接的に供給されたボケ復元処理が施された画像に対して、カラー補間、ホワイトバランス、YCbCr変換処理、圧縮、ファイリング等の所定の画像処理を行い、図示しないメモリへの格納やモニタ装置240への画像表示制御等を行う。
制御部220は、複数のデジタルフィルタを用い、各デジタルフィルタでのボケ復元処理を行わせ、バンドパスフィルタ200を通過して高周波成分が抽出されたQRコード情報を受けて、その積分をとって、積分値をピントの合い具合の評価値Pとして求めていき、たとえばいわゆる山のぼり法に従って、使用するデジタルフィルタを順次変更しながら連続して求めていく評価値が増加から減少に転じた場合(最大値を検出した場合)に、ボケ復元画像を読み出して、情報コードデコード処理部210に情報コードのデコード処理を行わせ、デコードした情報をモニタ装置240に表示する。
すなわち、制御部220は、情報コードの特徴点の周波数を分析し、分析結果に応じてデジタルフィルタ処理を変更する。
【0031】
デジタルアナログコンバータ230は、制御部220で処理されたデジタルデータをアナログデータに変換してモニタ装置240に出力する。
【0032】
モニタ装置240は、たとえば液晶表示装置により形成され、制御部220で所定の画像処理を受けた画像やデコードされたQRコードの内容を表示する。
【0033】
ここで、図3、図4、および図5に関連付けて、本実施形態における情報コードを撮像するときのピントの合った最適な画像を得るためのボケ復元用のデジタルフィルタの選択処理について説明する。
【0034】
光波面変調素子を含む光学系110を通して撮像素子120で撮像された被写体の画像は、デジタル信号に変換され、所定の信号処理を受けた後、第1メモリ150に保存される(ST1)。
【0035】
ここで、ボケ復元フィルタ選択処理に入る(ST2)。
まず、デジタルフィルタF0をセットし(ST201)、デジタルフィルタF0を用いたボケ補正復元処理を行う(ST202)。
ボケ補正復元処理においては、図4に示すように、第1メモリ150から画像信号を読み出し(ST21)、ボケ復元処理部160においてデジタルフィルタF0を用いたボケ補正復元処理を行い(ST22)、ボケ復元画像を第2メモリ170に保存する(ST23)。
次に、特徴点抽出回路190において、第2メモリ170に格納されたボケ復元処理画像を読み出してQRコード10の特徴点11の抽出処理を行う(ST203)。
そして、特徴点201が抽出できたか否か、すなわち、特徴点を抽出でき、情報コードであるQRコード10であると判定すると(ST204)、第2メモリ170から読み出したボケ復元画像の特徴点抽出部分をバンドパスフィルタ200をパスして(ST205)、制御部220に入力させる。
制御部220は、nを0として(ST206)、バンドパスフィルタ200で抽出した高周波成分の積分をとって、積分値をピントの合い具合の評価値P0として求め(ST207)、次のステップST3において、nを1プラスしn+1として、ステップST4の処理に移行する。
【0036】
ステップST4において、デジタルフィルタFnをセットし(ST401)、図4に示すボケ補正復元処理を行う(ST402)。
すなわち、第1メモリ150から画像信号を読み出し(ST21)、ボケ復元処理部160においてデジタルフィルタFnを用いたボケ補正復元処理を行い(ST22)、ボケ復元画像を第2メモリ170に保存する(ST23)。
次に、特徴点抽出回路190において、第2メモリ170に格納されたボケ復元処理画像を読み出してQRコード10の特徴点11の抽出処理を行う(ST403)。
そして、第2メモリ170から読み出したボケ復元画像をバンドパスフィルタ200をパスして(ST404)、制御部220に入力させる。
制御部220は、バンドパスフィルタ200で抽出した高周波成分の積分をとって、積分値をピントの合い具合の評価値Pnとして求め(ST405)、次のステップST5の処理に移行する。
【0037】
ステップST5において、制御部220は、用意された全てのデジタルフィルタの最後のフィルタを用いてテップST1〜ST4の処理を行ったか否かを判別し、否定的な判別結果を得ると、今求めた積分値である評価値Pnが一つ前のデジタルフィルタを使って求めた積分値である評価値Pn-1に対して減少したか否かを判別する(ST6)。
ステップST6において、今求めた評価値が前回の評価値より増加し、あるいは等しい(同一)と判別した場合には、山登り法に従ってステップST3〜ST5の処理を繰り返す。
ステップST6において、今求めた評価値が前回の評価値より減少したと判別すると、デジタルフィルタFn-1をセットし(ST7)、図4に示すボケ補正復元処理を行う(ST8)。
すなわち、第1メモリ150から画像信号を読み出し(ST21)、ボケ復元処理部160においてデジタルフィルタFnを用いたボケ補正復元処理を行い(ST22)、ボケ復元画像を第2メモリ170に保存する(ST23)。
第2メモリ170から画像信号を読み出し(ST9)、情報コードのデコード処理を行い(ST10)、液晶ディスプレイ等のモニタ装置240に表示する(ST11)。
【0038】
また、ステップST5において、最後のデジタルフィルタであると判別すると、今求めた積分値である評価値Pnが一つ前のデジタルフィルタを使って求めた積分値である評価値Pn-1に対して減少したか否かを判別する(ST12)。
ステップST12において、今求めた評価値が前回の評価値より増加し、あるいは等しい(同一)と判別した場合には、ステップST7の処理に移行し、さらにステップST8〜ST1の処理を行う。
ステップST12において、今求めた評価値が前回の評価値より増加し、あるいは等しい(同一)と判別した場合には、デコード処理ができない(NG)ものとして処理し(ST13)、たとえばその旨をモニタ装置240に表示する。
【0039】
ステップST2のST204の判定処理で、特徴点がないと判定した場合には、第2メモリ170からボケ復元画像を読み出し、ボケ復元処理を行った通常の撮像画像の表示を行う。
【0040】
以上、本実施形態における情報コードを撮像するときのピントの合った最適な画像を得るためのボケ復元用のデジタルフィルタの選択処理では、図5に示すように、山登り法を採用している。
後で詳述するWFCOの性格上、至近側にあれば(WFCO領域からはずれれば)、必ず通常フィルタFでは性能が出ない(ぼけている)。
至近側のフィルタ(F,F,F,・・・)の方が必ずボケ改善方向に行くので高周波成分が高くなる。
したがって、AFレンズ制御のように、初期位置が途中に存在した場合や、超無限、超至近側の配慮で山登り法が下がった場合は不要となる。
画像処理の場合レンズ駆動と異なり、所望の場所から始められるので、応答性良く処理ができる利点がある。
また、前述したように、山が検出できずに用意しているデジタルフィルタの最後まで使用してしまった場合は、NGとしているが、とりあえずデコードにいって検出できれば所定の処理を行うようにすることも可能である。
このような構成を有する撮像装置100は、より精確にピントの合ったQRコードを得ることができ、認識率を向上することが可能となる。
【0041】
以下に、本実施形態の光学系の基本的な機能およびボケ画像復元の有無に応じた基本的な処理について説明した後、本実施形態の特徴である光学系110と変換手段として機能するボケ復元処理部(画像処理装置)160のさらに具体的な構成および機能について具体的に説明する。
【0042】
ここでは、ベストフォーカス(焦点)位置で光線が集中する一般的な結像光学系を比較例として挙げる。
図6は、一般的な結像光学系の光線高さとデフォーカスとの関係を示す図である。
また、図7は、本実施形態の光学系の結像付近の光学特性を示す図である。
【0043】
図6に示すように、一般的な結像光学系においては、ベストフォーカスの位置では光線が最も密に集中し、ベストフォーカス位置から離れていくとそのデフォーカス量にほぼ比例してボケ径が広がる。
これに対し、本実施形態の光学系110は、図7に示すように、一般的な結像系光学系と異なり、ベストフォーカスの位置で光線が集中しないため、ベストフォーカス位置であってもボケている。しかしながら、本実施形態の光学系110は、このベストフォーカス近傍では、デフォーカス量に対してボケの形(PSF)の変化が鈍感になるように設計されている。
したがって、ベストフォーカス位置のPSFに応じたボケ復元処理を行えば、ベストフォーカス点はもちろんその前後もボケを除去し鮮明な画像を得ることができる。
これが本実施形態で採用している深度拡大の原理である。
【0044】
次に、ボケ画像復元処理について説明する。
図8は、一般的な光学系のベストフォーカス(BestForcus)位置でのMTF(Modulation Transfer Function:振幅伝達関数)特性図である。
図9は、本実施形態の光学系のMTF特性を示す図である。
【0045】
本実施形態の光学系110を通過して撮像素子120で得られた撮像画像はボケているため中域〜高域にかけてMTFが低下している。このMTFを演算によって上昇させる。レンズ単体の振幅特性であるMTFに対し、画像処理を含めたトータルの振幅特性はSFR(Spatial Frequency Response)と呼ばれている。
ボケ画像を発生させるPSFの周波数特性がMTFであるので、これから所望のSFR特性まで引き上げるゲイン特性に設計してできたものがボケ復元フィルタである。どの程度のゲインにするかはノイズや偽像とのバランスで決めていく。
【0046】
このボケ復元フィルタを元画像にデジタルフィルタリングする方法は、画像をフーリエ変換し周波数領域でフィルタと周波数毎に積を取る方法と、空間領域でコンボリューション(Convolution)演算(畳み込み演算)を行なう方法がある。ここでは後者での実現方法を説明する。コンボリューション演算は下記の式で表される。
【0047】
【数1】

【0048】
ただし、fはフィルタ(filter)カーネルを示している(ここでは計算を容易にするために180度回転済みのものを使用している)。
また、Aは元画像、Bはフィルタリングされた画像(ボケ復元画像)を示している。
この式から分かる通り、fを画像に重ねて各タップ同士の積和した結果をその重ねた中心座標の値とすることである。
【0049】
次に、図10(A)〜(C)に関連付けて3*3のフィルタを例に挙げ具体的に説明する。
図10(A)の復元フィルタ(既に180度回転済み)を図10(B)に示すボケ画像のA(i,j)上にフィルタの中心f(0,0)を重ね、各タップ同士の積をとりこの9個の総和値を図10(C)に示すボケ復元画像のB(i,j)とする。
(i,j)を画像全体に渡ってスキャンすると新たなB画像が生成される。これがデジタルフィルタである。ここではフィルタがボケ復元目的であるので、この処理を行なうことでボケ復元処理を実施することができる。
【0050】
以下、本実施形態の光学系、画像処理装置の構成および機能についてさらに具体的には説明する。
【0051】
図11は、本実施形態に係るズーム光学系110の構成例を模式的に示す図である。この図は広角側を示している。
また、図12は、本実施形態に係る撮像レンズ装置の望遠側のズーム光学系の構成例を模式的に示す図である。
そして、図13は、本実施形態に係るズーム光学系の広角側の像高中心のスポット形状を示す図であり、図14は、本実施形態に係るズーム光学系の望遠側の像高中心のスポット形状を示す図である。
【0052】
図11および図12ズーム光学系110は、物体側OBJSに配置された物体側レンズ111と、撮像素子120に結像させるための結像レンズ112と、物体側レンズ111と結像レンズ112間に配置され、結像レンズ112による撮像素子120の受光面への結像の波面を変形させる、たとえば3次元的曲面を有する位相板(Cubic Phase Plate)からなる光波面変調素子(波面形成用光学素子:Wavefront Coding Optical Element)群113を有する。また、物体側レンズ111と結像レンズ112間には図示しない絞りが配置される。
たとえば、本実施形態においては、可変絞りが設けられ、露出制御(装置)において可変絞りの絞り度(開口度)を制御する。
【0053】
なお、本実施形態においては、位相板を用いた場合について説明したが、本発明の光波面変調素子としては、波面を変形させるものであればどのようなものでもよく、厚みが変化する光学素子(たとえば、上述の3次の位相板)、屈折率が変化する光学素子(たとえば屈折率分布型波面変調レンズ)、レンズ表面へのコーディングにより厚み、屈折率が変化する光学素子(たとえば、波面変調ハイブリッドレンズ)、光の位相分布を変調可能な液晶素子(たとえば、液晶空間位相変調素子)等の光波面変調素子であればよい。
【0054】
図11および図12のズーム光学系110は、デジタルカメラに用いられる3倍ズームに光学位相板113aを挿入した例である。
図で示された位相板113aは、光学系により収束される光束を規則正しく分散する光学レンズである。この位相板を挿入することにより、撮像素子120上ではピントのどこにも合わない画像を実現する。
換言すれば、位相板113aによって深度の深い光束(像形成の中心的役割を成す)とフレアー(ボケ部分)を形成している。
この規則的に分光した画像をデジタル処理により、ピントの合った画像に復元する手段を、前述した波面収差制御光学系システム(WFCO:Wavefront Coding Optical system)といい、この処理をボケ復元処理部(画像処理装置)160において行う。
【0055】
ここで、WFCOの基本原理について説明する。
図15に示すように、被写体の画像fがWFCO光学系Hに入ることにより、g画像が生成される。
これは、次のような式で表される。
【0056】
(数2)
g=H*f
ただし、*はコンボリューションを表す。
【0057】
生成された画像から被写体を求めるためには、次の処理を要する。
【0058】
(数3)
f=H−1*g
【0059】
ここで、Hに関するカーネルサイズと演算係数について説明する。
ズームポジションをZPn,ZPn−1・・・とする。また、それぞれのH関数をHn,Hn−1、・・・・とする。
各々のスポット像が異なるため、各々のH関数は、次のようになる。
【0060】
【数4】

【0061】
この行列の行数および/または列数の違いをカーネルサイズ、各々の数字を演算係数とする。
ここで、各々のH関数はメモリに格納しておいても構わないし、PSFを物体距離の関数としておき、物体距離によって計算し、H関数を算出することによって任意の物体距離に対して最適なフィルタを作るように設定できるようにしても構わない。また、H関数を物体距離の関数として、物体距離によってH関数を直接求めても構わない。
【0062】
本実施形態においては、図1に示すように、光学系110からの像を撮像素子120で受像して、ボケ復元処理部(画像処理装置)160に入力させ、光学系に応じた変換係数を取得して、取得した変換係数をもって撮像素子120からの分散画像信号より分散のない画像信号を生成するように構成している。
【0063】
なお、本実施形態において、分散とは、上述したように、位相板113aを挿入することにより、撮像素子120上ではピントのどこにも合わない画像を形成し、位相板113aによって深度の深い光束(像形成の中心的役割を成す)とフレアー(ボケ部分)を形成する現象をいい、像が分散してボケ部分を形成する振る舞いから収差と同様の意味合いが含まれる。したがって、本実施形態においては、収差として説明する場合もある。
【0064】
次に、ボケ復元処理部(画像処理装置)160の構成および処理について説明する。
【0065】
ボケ復元処理部160は、図16に示すように、生(RAW)バッファメモリ161、コンボリューション演算器162、記憶手段としてのカーネルデータ格納ROM163、およびコンボリューション制御部164を有する。
【0066】
コンボリューション制御部164は、コンボリューション処理のオンオフ、画面サイズ、カーネルデータの入れ替え等の制御を行い、たとえば制御部220により制御される。
【0067】
また、カーネルデータ格納ROM163には、図17または図18に示すように予め用意されたそれぞれの光学系のPSFにより算出されたコンボリューション用のカーネルデータが格納されており、制御部220によって露出設定時に決まる露出情報を取得し、コンボリューション制御部164を通じてカーネルデータを選択制御する。
なお、露出情報には、絞り情報が含まれる。
【0068】
図17の例では、カーネルデータAは光学倍率(×1.5)、カーネルデータBは光学倍率(×5)、カーネルデータCは光学倍率(×10)に対応したデータとなっている。
【0069】
また、図18の例では、カーネルデータAは絞り情報としてのFナンバ(2.8)、カーネルデータBはFナンバ(4)、カーネルデータCはFナンバ(5.6)に対応したデータとなっている。
【0070】
図18の例のように、絞り情報に応じたフィルタ処理を行うのは以下の理由による。
絞りを絞って撮影を行う場合、絞りによって光波面変調素子を形成する位相板113aが覆われてしまい、位相が変化してしまうため、適切な画像を復元することが困難となる。
そこで、本実施形態においては、本例のように、露出情報中の絞り情報に応じたフィルタ処理を行うことによって適切な画像復元を実現している。
【0071】
以上は露出情報のみに応じて2次元コンボリューション演算部162においてフィルタ処理を行う例を説明したが、たとえば被写体距離情報、ズーム情報、あるいは撮影モード情報と露出情報とを組み合わせることにより適した演算係数の抽出、あるいは演算を行うことが可能となる。
【0072】
図19は、被写体距離情報と露出情報とを組み合わせる画像処理装置の構成例を示す図である。
図19は、撮像素子120からの被写体分散画像信号より分散のない画像信号を生成する画像処理装置300の構成例を示している。
【0073】
画像処理装置300は、図19に示すように、コンボリューション装置301、カーネル・数値演算係数格納レジスタ302、および画像処理演算プロセッサ303を有する。
【0074】
この画像処理装置300においては、物体概略距離情報検出装置400から読み出した被写体の物体距離の概略距離に関する情報および露出情報を得た画像処理演算プロセッサ303では、その物体離位置に対して適正な演算で用いる、カーネルサイズやその演算係数をカーネル、数値算係数格納レジスタ302に格納し、その値を用いて演算するコンボリューション装置301にて適正な演算を行い、画像を復元する。
【0075】
上述のように、光波面変調素子としての位相板(Wavefront Coding optical element)を有した撮像装置の場合、所定の焦点距離範囲内であればその範囲内に関し画像処理によって適正な収差のない画像信号を生成できるが、所定の焦点距離範囲外の場合には、画像処理の補正に限度があるため、前記範囲外の被写体のみ収差のある画像信号となってしまう。
また一方、所定の狭い範囲内に収差が生じない画像処理を施すことにより、所定の狭い範囲外の画像にぼけ味を出すことも可能になる。
本例においては、主被写体までの距離を、距離検出センサを含む物体概略距離情報検出装置400により検出し、検出した距離に応じて異なる画像補正の処理を行うことにように構成されている。
【0076】
前記の画像処理はコンボリューション演算により行うが、これを実現するには、たとえばコンボリューション演算の演算係数を共通で1種類記憶しておき、焦点距離に応じて補正係数を予め記憶しておき、この補正係数を用いて演算係数を補正し、補正した演算係数で適性なコンボリューション演算を行う構成をとることができる。
この構成の他にも、以下の構成を採用することが可能である。
【0077】
焦点距離に応じて、カーネルサイズやコンボリューションの演算係数自体を予め記憶しておき、これら記憶したカーネルサイズや演算係数でコンボリューション演算を行う構成、焦点距離に応じた演算係数を関数として予め記憶しておき、焦点距離によりこの関数より演算係数を求め、計算した演算係数でコンボリューション演算を行う構成等、を採用することが可能である。
【0078】
図19の構成に対応付けると次のような構成をとることができる。
【0079】
変換係数記憶手段としてのレジスタ302に被写体距離に応じて少なくとも位相板113aに起因する収差に対応した変換係数を少なくとも2以上予め記憶する。画像処理演算プロセッサ303が、被写体距離情報生成手段としての物体概略距離情報検出装置400により生成された情報に基づき、レジスタ302から被写体までの距離に応じた変換係数を選択する係数選択手段として機能する。
そして、変換手段としてのコンボリューション装置301が、係数選択手段としての画像処理演算プロセッサ303で選択された変換係数によって、画像信号の変換を行う。
【0080】
または、前述したように、変換係数演算手段としての画像処理演算プロセッサ303が、被写体距離情報生成手段としての物体概略距離情報検出装置400により生成された情報に基づき変換係数を演算し、レジスタ302に格納する。
そして、変換手段としてのコンボリューション装置301が、変換係数演算手段としての画像処理演算プロセッサ303で得られレジスタ302に格納された変換係数によって、画像信号の変換を行う。
【0081】
または、補正値記憶手段としてのレジスタ302にズーム光学系110のズーム位置またはズーム量に応じた少なくとも1以上の補正値を予め記憶する。この補正値には、被写体収差像のカーネルサイズを含まれる。
第2変換係数記憶手段としても機能するレジスタ302に、位相板113aに起因する収差に対応した変換係数を予め記憶する。
そして、被写体距離情報生成手段としての物体概略距離情報検出装置400により生成された距離情報に基づき、補正値選択手段としての画像処理演算プロセッサ303が、補正値記憶手段としてのレジスタ302から被写体までの距離に応じた補正値を選択する。
変換手段としてのコンボリューション装置301が、第2変換係数記憶手段としてのレジスタ302から得られた変換係数と、補正値選択手段としての画像処理演算プロセッサ303により選択された補正値とに基づいて画像信号の変換を行う。
【0082】
図20は、ズーム情報と露出情報とを組み合わせる画像処理装置の構成例を示す図である。
図20は、撮像素子120からの被写体分散画像信号より分散のない画像信号を生成する画像処理装置300Aの構成例を示している。
【0083】
画像処理装置300Aは、図19と同様に、図20に示すように、コンボリューション装置301、カーネル・数値演算係数格納レジスタ302、および画像処理演算プロセッサ303を有する。
【0084】
この画像処理装置300Aにおいては、ズーム情報検出装置500から読み出したズーム位置またはズーム量に関する情報および露出情報を得た画像処理演算プロセッサ303では、露出情報およびそのズーム位置に対して適正な演算で用いる、カーネルサイズやその演算係数をカーネル、数値演算係数格納レジスタ302に格納し、その値を用いて演算するコンボリューション装置301にて適正な演算を行い、画像を復元する。
【0085】
上述したように、光波面変調素子としての位相板をズーム光学系に有した撮像装置に適用する場合、ズーム光学系のズーム位置によって生成されるスポット像が異なる。このため、位相板より得られる焦点ズレ画像(スポット画像)を後段のDSP等でコンボリューション演算する際、適性な焦点合わせ画像を得るためには、ズーム位置に応じて異なるコンボリューション演算が必要となる。
そこで、本実施形態においては、ズーム情報検出装置500を設け、ズーム位置に応じて適正なコンボリューション演算を行い、ズーム位置によらず適性な焦点合わせ画像を得るように構成されている。
【0086】
画像処理装置300Aにおける適正なコンボリーション演算には、コンボリューションの演算係数をレジスタ302に共通で1種類記憶しておく構成をとることができる。
この構成の他にも、以下の構成を採用することが可能である。
【0087】
各ズーム位置に応じて、レジスタ302に補正係数を予め記憶しておき、この補正係数を用いて演算係数を補正し、補正した演算係数で適性なコンボリューション演算を行う構成、各ズーム位置に応じて、レジスタ302にカーネルサイズやコンボリューションの演算係数自体を予め記憶しておき、これら記憶したカーネルサイズや演算係数でコンボリューション演算行う構成、ズーム位置に応じた演算係数を関数としてレジスタ302に予め記憶しておき、ズーム位置によりこの関数より演算係数を求め、計算した演算係数でコンボリューション演算を行う構成等を採用することが可能である。
【0088】
図20の構成に対応付けると次のような構成をとることができる。
【0089】
変換係数記憶手段としてのレジスタ302にズーム光学系110のズーム位置またはズーム量に応じた位相板113aに起因する収差に対応した変換係数を少なくとも2以上予め記憶する。画像処理演算プロセッサ303が、ズーム情報生成手段としてのズーム情報検出装置500により生成された情報に基づき、レジスタ302からズーム光学系110のズ−ム位置またはズーム量に応じた変換係数を選択する係数選択手段として機能する。
そして、変換手段としてのコンボリューション装置301が、係数選択手段としての画像処理演算プロセッサ303で選択された変換係数によって、画像信号の変換を行う。
【0090】
または、前述したように、変換係数演算手段としての画像処理演算プロセッサ303が、ズーム情報生成手段としてのズーム情報検出装置500により生成された情報に基づき変換係数を演算し、レジスタ302に格納する。
そして、変換手段としてのコンボリューション装置301が、変換係数演算手段としての画像処理演算プロセッサ303で得られレジスタ302に格納された変換係数によって、画像信号の変換を行う。
【0091】
または、補正値記憶手段としてのレジスタ302にズーム光学系110のズーム位置またはズーム量に応じた少なくとも1以上の補正値を予め記憶する。この補正値には、被写体収差像のカーネルサイズを含まれる。
第2変換係数記憶手段としても機能するレジスタ302に、位相板113aに起因する収差に対応した変換係数を予め記憶する。
そして、ズーム情報生成手段としてのズーム情報検出装置500により生成されたズーム情報に基づき、補正値選択手段としての画像処理演算プロセッサ303が、補正値記憶手段としてのレジスタ302からズーム光学系のズーム位置またはズーム量に応じた補正値を選択する。
変換手段としてのコンボリューション装置301が、第2変換係数記憶手段としてのレジスタ302から得られた変換係数と、補正値選択手段としての画像処理演算プロセッサ303により選択された補正値とに基づいて画像信号の変換を行う。
【0092】
図21に、露出情報と、物体距離情報と、ズーム情報とを用いた場合のフィルタの構成例を示す。
この例では、物体距離情報とズーム情報で2次元的な情報を形成し、露出情報が奥行きのような情報を形成している。
【0093】
図22は、撮影モード情報と露出情報とを組み合わせる画像処理装置の構成例を示す図である。
図22は、撮像素子120からの被写体分散画像信号より分散のない画像信号を生成する画像処理装置300Bの構成例を示している。
【0094】
画像処理装置300Bは、図19および図20と同様に、図22に示すように、コンボリューション装置301、記憶手段としてのカーネル・数値演算係数格納レジスタ302、および画像処理演算プロセッサ303を有する。
【0095】
この画像処理装置300Bにおいては、物体概略距離情報検出装置600から読み出した被写体の物体距離の概略距離に関する情報および露出情報を得た画像処理演算プロセッサ303では、その物体離位置に対して適正な演算で用いる、カーネルサイズやその演算係数をカーネル、数値算係数格納レジスタ302に格納し、その値を用いて演算するコンボリューション装置301にて適正な演算を行い、画像を復元する。
【0096】
この場合も上述のように、光波面変調素子としての位相板(Wavefront Coding optical element)を有した撮像装置の場合、所定の焦点距離範囲内であればその範囲内に関し画像処理によって適正な収差のない画像信号を生成できるが、所定の焦点距離範囲外の場合には、画像処理の補正に限度があるため、上記範囲外の被写体のみ収差のある画像信号となってしまう。
また一方、所定の狭い範囲内に収差が生じない画像処理を施すことにより、所定の狭い範囲外の画像にぼけ味を出すことも可能になる。
本例においては、主被写体までの距離を、距離検出センサを含む物体概略距離情報検出装置600により検出し、検出した距離に応じて異なる画像補正の処理を行うことにように構成されている。
【0097】
上記の画像処理はコンボリューション演算により行うが、これを実現するには、コンボリューション演算の演算係数を共通で1種類記憶しておき、物体距離に応じて補正係数を予め記憶しておき、この補正係数を用いて演算係数を補正し、補正した演算係数で適性なコンボリューション演算を行う構成、物体距離に応じた演算係数を関数として予め記憶しておき、焦点距離によりこの関数より演算係数を求め、計算した演算係数でコンボリューション演算を行う構成、物体距離に応じて、カーネルサイズやコンボリューションの演算係数自体を予め記憶しておき、これら記憶したカーネルサイズや演算係数でコンボリューション演算を行う構成等、を採用することが可能である。
【0098】
本実施形態においては、上述したように、DSCのモード設定(ポートレイト、無限遠(風景)、マクロ)に応じて画像処理を変更する。
【0099】
図22の構成に対応付けると次のような構成をとることができる。
【0100】
前述したように、変換係数演算手段としての画像処理演算プロセッサ303を通して操作部190の撮影モード設定部700により設定される各撮影モードに応じて異なる変換係数を変換係数記憶手段としてのレジスタ302に格納する。
画像処理演算プロセッサ303が、撮影モード設定部700の操作スイッチ701により設定された撮影モードに応じて、被写体距離情報生成手段としての物体概略距離情報検出装置600により生成された情報に基づき、変換係数記憶手段としてのレジスタ302から変換係数を抽出する。このとき、たとえば画像処理演算プロセッサ303が変換係数抽出手段とて機能する。
そして、変換手段としてのコンボリューション装置301が、レジスタ302に格納された変換係数によって、画像信号の撮影モードに応じた変換処理を行う。
【0101】
なお、図9や図10の光学系は一例であり、本発明は図9や図10の光学系に対して用いられるものとは限らない。また、スポット形状についても図11および図12は一例であり、本実施形態のスポット形状は、図11および図12に示すものとは限らない。
また、図14および図15のカーネルデータ格納ROMに関しても、光学倍率、Fナンバやそれぞれのカーネルのサイズ、値に対して用いられるものとは限らない。また用意するカーネルデータの数についても3個とは限らない。
図21のように3次元、さらには4次元以上とすることで格納量が多くなるが、種々の条件を考慮してより適したものを選択することができるようになる。情報としては、上述した露出情報、物体距離情報、ズーム情報、撮像モード情報等であればよい。
【0102】
なお、上述のように、光波面変調素子としての位相板(Wavefront Coding optical element)を有した撮像装置の場合、所定の焦点距離範囲内であればその範囲内に関し画像処理によって適正な収差のない画像信号を生成できるが、所定の焦点距離範囲外の場合には、画像処理の補正に限度があるため、前記範囲外の被写体のみ収差のある画像信号となってしまう。
また一方、所定の狭い範囲内に収差が生じない画像処理を施すことにより、所定の狭い範囲外の画像にぼけ味を出すことも可能になる。
【0103】
本実施形態においては、WFCOを採用し、高精細な画質を得ることが可能で、しかも、光学系を簡単化でき、コスト低減を図ることが可能となっている。
以下、この特徴について説明する。
【0104】
図23(A)〜(C)は、撮像素子120の受光面でのスポット像を示している。
図23(A)は焦点が0.2mmずれた場合(Defocus=0.2mm)、図23(B)が合焦点の場合(Best focus)、図23(C)が焦点が−0.2mmずれた場合(Defocus=−0.2mm)の各スポット像を示している。
図23(A)〜(C)からもわかるように、本実施形態に係る撮像装置100においては、位相板113aを含む波面形成用光学素子群113によって深度の深い光束(像形成の中心的役割を成す)とフレアー(ボケ部分)が形成される。
【0105】
このように、本実施形態の撮像装置100において形成された1次画像FIMは、深度が非常に深い光束条件にしている。
【0106】
図24(A),(B)は、本実施形態に係る撮像レンズ装置により形成される1次画像の変調伝達関数(MTF:Modulation Transfer Function)について説明するための図であって、図24(A)は撮像レンズ装置の撮像素子の受光面でのスポット像を示す図で、図24(B)が空間周波数に対するMTF特性を示している。
本実施形態においては、高精細な最終画像は後段の、たとえばデジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor)からなる画像処理装置150の補正処理に任せるため、図24(A),(B)に示すように、1次画像のMTFは本質的に低い値になっている。
【0107】
画像処理装置150は、上述したように、撮像素子120による1次画像FIMを受けて、1次画像の空間周波数におけるMTFをいわゆる持ち上げる所定の補正処理等を施して高精細な最終画像FNLIMを形成する。
【0108】
画像処理装置150のMTF補正処理は、たとえば図25の曲線Aで示すように、本質的に低い値になっている1次画像のMTFを、空間周波数をパラメータとしてエッジ強調、クロマ強調等の後処理にて、図25中曲線Bで示す特性に近づく(達する)ような補正を行う。
図25中曲線Bで示す特性は、たとえば本実施形態のように、波面形成用光学素子を用いずに波面を変形させない場合に得られる特性である。
なお、本実施形態における全ての補正は、空間周波数のパラメータによる。
【0109】
本実施形態においては、図25に示すように、光学的に得られる空間周波数に対するMTF特性曲線Aに対して、最終的に実現したいMTF特性曲線Bを達成するためには、それぞれの空間周波数に対し、エッジ強調等の強弱を付け、元の画像(1次画像)に対して補正をかける。
たとえば、図25のMTF特性の場合、空間周波数に対するエッジ強調の曲線は、図26に示すようになる。
【0110】
すなわち、空間周波数の所定帯域内における低周波数側および高周波数側でエッジ強調を弱くし、中間周波数領域においてエッジ強調を強くして補正を行うことにより、所望のMTF特性曲線Bを仮想的に実現する。
【0111】
このように、実施形態に係る撮像装置100は、基本的に、1次画像を形成する光学系110および撮像素子120と、1次画像を高精細な最終画像に形成する画像処理装置150からなり、光学系システムの中に、波面成形用の光学素子を新たに設けるか、またはガラス、プラスチックなどのような光学素子の面を波面成形用に成形したものを設けることにより、結像の波面を変形(変調)し、そのような波面をCCDやCMOSセンサからなる撮像素子120の撮像面(受光面)に結像させ、その結像1次画像を、画像処理装置150を通して高精細画像を得る画像形成システムである。
本実施形態では、撮像素子120による1次画像は深度が非常に深い光束条件にしている。そのために、1次画像のMTFは本質的に低い値になっており、そのMTFの補正を画像処理装置150で行う。
【0112】
ここで、本実施形態における撮像装置100における結像のプロセスを、波動光学的に考察する。
物点の1点から発散された球面波は結像光学系を通過後、収斂波となる。そのとき、結像光学系が理想光学系でなければ収差が発生する。波面は球面でなく複雑な形状となる。幾何光学と波動光学の間を取り持つのが波面光学であり、波面の現象を取り扱う場合に便利である。
結像面における波動光学的MTFを扱うとき、結像光学系の射出瞳位置における波面情報が重要となる。
MTFの計算は結像点における波動光学的強度分布のフーリエ変換で求まる。その波動光学的強度分布は波動光学的振幅分布を2乗して得られるが、その波動光学的振幅分布は射出瞳における瞳関数のフーリエ変換から求まる。
さらにその瞳関数はまさに射出瞳位置における波面情報(波面収差)そのものからであることから、その光学系110を通して波面収差が厳密に数値計算できればMTFが計算できることになる。
【0113】
したがって、所定の手法によって射出瞳位置での波面情報に手を加えれば、任意に結像面におけるMTF値は変更可能である。
本実施形態においても、波面の形状変化を波面形成用光学素子で行うのが主であるが、まさにphase(位相、光線に沿った光路長)に増減を設けて目的の波面形成を行っている。
そして、目的の波面形成を行えば、射出瞳からの射出光束は、図23(A)〜(C)に示す幾何光学的なスポット像からわかるように、光線の密な部分と疎の部分から形成される。
この光束状態のMTFは空間周波数の低いところでは低い値を示し、空間周波数の高いところまでは何とか解像力は維持している特徴を示している。
すなわち、この低いMTF値(または、幾何光学的にはこのようなスポット像の状態)であれば、エリアジングの現象を発生させないことになる。
つまり、ローパスフィルタが必要ないのである。
そして、後段のDSP等からなる画像処理装置150でMTF値を低くしている原因のフレアー的画像を除去すれば良いのである。それによってMTF値は著しく向上する。
【0114】
次に、本実施形態および従来光学系のMTFのレスポンスについて考察する。
【0115】
図27は、従来の光学系の場合において物体が焦点位置にあるときと焦点位置から外れたときのMTFのレスポンス(応答)を示す図である。
図28は、光波面変調素子を有する本実施形態の光学系の場合において物体が焦点位置にあるときと焦点位置から外れたときのMTFのレスポンスを示す図である。
また、図29は、本実施形態に係る撮像装置のデータ復元後のMTFのレスポンスを示す図である。
【0116】
図からもわかるように、光波面変調素子を有する光学系の場合、物体が焦点位置から外れた場合でもMTFのレスポンスの変化が光波面変調素子を挿入してない光学径よりも少なくなる。
この光学系によって結像された画像を、コンボリューションフィルタによる処理によって、MTFのレスポンスが向上する。
【0117】
以上説明したように、本実施形態によれば、合焦位置でもピントを結ばないがその前後でほぼPSF(Point Spread Function 点広がり関数)が一定になるように設計された光学系110と、光学系の像をとらえる撮像素子120と、ボケ復元処理を行うボケ処理部160と、第2メモリ170に格納されたボケ復元処理画像を読み出してQRコード10の特徴点11の抽出処理を行い、特徴点があると判定すると、第2メモリ170から読み出したボケ復元画像をバンドパスフィルタ200をパスして制御部220に入力させ、特徴点がないと判定した場合には、第2メモリ170から読み出したボケ復元画像をバンドパスフィルタ200をパスさせず制御部220に入力させる特徴点抽出回路190と、を有す、制御部220は、複数のデジタルフィルタを用い、各デジタルフィルタでのボケ復元処理を行わせ、バンドパスフィルタ200を通過して高周波成分が抽出されたQRコードの特徴点情報を受けて、その積分をとって、積分値をピントの合い具合の評価値P0〜Pnとして求めていき、たとえばいわゆる山のぼり法に従って、使用するデジタルフィルタを順次変更しながら連続して求めていく評価値が増加から減少に転じた場合(最大値を検出した場合)に、ボケ復元画像を読み出して、情報コードデコード処理部210に情報コードのデコード処理を行わせ、デコードした情報をモニタ装置240に表示することから、より精確にピントの合ったQRコードを得ることができ、認識率を向上することが可能となる。
そして、可動部品を無くし高信頼性を維持しつつ、一般撮影領域および2次元の情報コード接写にも対応可能な撮像装置を実現することができる。
【0118】
そして、本実施形態に係る撮像装置100は、デジタルカメラやカムコーダー等の民生機器の小型、軽量、コストを考慮されたズームレンズのWFCOに使用することが可能である。
【0119】
また、本実施形態においては、結像レンズ112による撮像素子120の受光面への結像の波面を変形させる波面形成用光学素子を有する撮像レンズ系と、撮像素子120による1次画像FIMを受けて、1次画像の空間周波数におけるMTFをいわゆる持ち上げる所定の補正処理等を施して高精細な最終画像FNLIMを形成するボケ復元処理部(画像処理装置)160とを有することから、高精細な画質を得ることが可能となるという利点がある。
また、光学系110の構成を簡単化でき、製造が容易となり、コスト低減を図ることができる。
【0120】
ところで、CCDやCMOSセンサを撮像素子として用いた場合、画素ピッチから決まる解像力限界が存在し、光学系の解像力がその限界解像力以上であるとエリアジングのような現象が発生し、最終画像に悪影響を及ぼすことは周知の事実である。
画質向上のため、可能な限りコントラストを上げることが望ましいが、そのことは高性能なレンズ系を必要とする。
【0121】
しかし、上述したように、CCDやCMOSセンサを撮像素子として用いた場合、エリアジングが発生する。
現在、エリアジングの発生を避けるため、撮像レンズ装置では、一軸結晶系からなるローパスフィルタを併用し、エリアジングの現象の発生を避けている。
このようにローパスフィルタを併用することは、原理的に正しいが、ローパスフィルタそのものが結晶でできているため、高価であり、管理が大変である。また、光学系に使用することは光学系をより複雑にしているという不利益がある。
【0122】
以上のように、時代の趨勢でますます高精細の画質が求められているにもかかわらず、高精細な画像を形成するためには、従来の撮像レンズ装置では光学系を複雑にしなければならない。複雑にすれば、製造が困難になったりし、また高価なローパスフィルタを利用したりするとコストアップにつながる。
しかし、本実施形態によれば、ローパスフィルタを用いなくとも、エリアジングの現象の発生を避けることができ、高精細な画質を得ることができる。
【0123】
なお、本実施形態において、光学系の波面形成用光学素子を絞りより物体側レンズよりに配置した例を示したが、絞りと同一あるいは絞りより結像レンズ側に配置しても前記と同様の作用効果を得ることができる。
【0124】
また、図11や図12の光学系は一例であり、本発明は図11や図12の光学系に対して用いられるものとは限らない。また、スポット形状についても図13および図14は一例であり、本実施形態のスポット形状は、図13および図14に示すものとは限らない。
また、図17および図18のカーネルデータ格納ROMに関しても、光学倍率、Fナンバやそれぞれのカーネルのサイズ、値に対して用いられるものとは限らない。また用意するカーネルデータの数についても3個とは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明に係る撮像装置の一実施形態を示すブロック構成図である。
【図2】情報コードとしてのQRコードの例を示す図である。
【図3】本実施形態における情報コードを撮像するときのピントの合った最適な画像を得るためのボケ復元用のデジタルフィルタの選択処理について説明するためのフローチャートである。
【図4】図3におけるボケ補正復元処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る山登り法を説明するための図である。
【図6】一般的な結像光学系の光線高さとデフォーカスとの関係を示す図である。
【図7】本実施形態の光学系の結像付近の光学特性を示す図である。
【図8】一般的な光学系のベストフォーカス(BestForcus)位置でのMTF(Modulation Transfer Function 振幅伝達関数)特性図である。
【図9】本実施形態の光学系のMTF特性を示す図である。
【図10】本実施形態におけるボケ復元処理の説明図である。
【図11】本実施形態に係る撮像レンズ装置の広角側のズーム光学系の構成例を模式的に示す図である。
【図12】本実施形態に係る撮像レンズ装置の望遠側のズーム光学系の構成例を模式的に示す図である。
【図13】広角側の像高中心のスポット形状を示す図である。
【図14】望遠側の像高中心のスポット形状を示す図である。
【図15】WFCOの原理を説明するための図である。
【図16】本実施形態に係るボケ復元処理部の構成例を示すブロック図である。
【図17】カーネルデータROMの格納データの一例(光学倍率)を示す図である。
【図18】カーネルデータROMの格納データの他例(Fナンバ)を示す図である。
【図19】被写体距離情報と露出情報とを組み合わせるボケ復元処理部(画像処理装置)の構成例を示す図である。
【図20】ズーム情報と露出情報とを組み合わせるボケ復元処理部(画像処理装置)の構成例を示す図である。
【図21】露出情報と、物体距離情報と、ズーム情報とを用いた場合のフィルタの構成例を示す図である。
【図22】撮影モード情報と露出情報とを組み合わせる画像処理装置の構成例を示図である。
【図23】本実施形態に係る撮像素子の受光面でのスポット像を示す図であって、(A)は焦点が0.2mmずれた場合(Defocus=0.2mm)、(B)が合焦点の場合(Best focus)、(C)が焦点が−0.2mmずれた場合(Defocus=−0.2mm)の各スポット像を示す図である。
【図24】本実施形態に係る撮像素子により形成される1次画像のMTFについて説明するための図であって、(A)は撮像レンズ装置の撮像素子の受光面でのスポット像を示す図で、(B)が空間周波数に対するMTF特性を示している。
【図25】本実施形態に係る画像処理装置におけるMTF補正処理を説明するための図である。
【図26】本実施形態に係る画像処理装置におけるMTF補正処理を具体的に説明するための図である。
【図27】従来の光学系の場合において物体が焦点位置にあるときと焦点位置から外れたときのMTFのレスポンス(応答)を示す図である。
【図28】光波面変調素子を有する本実施形態の光学系の場合において物体が焦点位置にあるときと焦点位置から外れたときのMTFのレスポンスを示す図である。
【図29】本実施形態に係る撮像装置のデータ復元後のMTFのレスポンスを示す図である。
【図30】一般的な撮像レンズ装置の構成および光束状態を模式的に示す図である。
【図31】図30の撮像レンズ装置の撮像素子の受光面でのスポット像を示す図であって、(A)は焦点が0.2mmずれた場合(Defocus=0.2mm)、(B)が合焦点の場合(Best focus)、(C)が焦点が−0.2mmずれた場合(Defocus=−0.2mm)の各スポット像を示す図である。
【符号の説明】
【0126】
100・・・撮像装置、110・・・光学系、120・・・撮像素子、130・・・アナログデジタルコンバータ(A/D)、140・・・信号処理部、150・・・第1メモリ、160・・・ボケ復元処理部、170・・・第2メモリ、180・・・復元フィルタ部、190・・・特徴点抽出回路、200・・・バンドパスフィルタ(BPF)、210・・・情報コードデコード処理部、220・・・制御部、230・・・デジタルアナログコンバータ(D/A)、240・・・モニタ装置、111・・・物体側レンズ、112・・・結像レンズ、113・・・波面形成用光学素子、113a・・・位相板(光波面変調素子)、162・・・コンボリューション演算器、163・・・カーネルデータROM、164・・・コンボリューション制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合焦位置およびその前後の距離において焦点のボケ量が略一定となるように形成された光学系と、
前記光学系を通過した被写体像を撮像する撮像素子と、
前記撮像素子からの画像の焦点のボケを補正して復元した画像信号を生成する変換手段と、
前記変換手段で用いる被写体条件に応じたデジタルフィルタと、を有し、
前記変換手段は、撮像した被写体像が情報コードの特徴点を有している場合には、当該特徴点に適応するような前記デジタルフィルタを選択してボケ復元処理を行う
撮像装置。
【請求項2】
前記被写体条件には、被写体距離を含む
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記変換手段は、前記情報コードの特徴点の周波数を分析し、当該分析結果に応じて前記デジタルフィルタ処理を変更する
請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記デジタルフィルタ処理の変更においては、前記情報コードの特徴点の周波数が高くなるようにフィルタを選択する
請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
合焦位置およびその前後の距離において焦点のボケ量が略一定となるように形成された光学系を通過した被写体像を撮像素子により撮像し、
撮像した被写体像が情報コードの特徴点を有している場合には、当該特徴点に適応するような前記デジタルフィルタを選択し、
前記選択したデジタルフィルタを用いて前記撮像素子からの画像の焦点のボケを補正して復元し、復元した画像信号に対して所定の画像処理を行う
撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2007−206738(P2007−206738A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21230(P2006−21230)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】