説明

撮像装置およびカメラモジュール

【課題】モジュールの大型化、工程の複雑化、コスト増大を防止しつつ、EMCやEMI効果を十分に発現させることが可能な撮像装置およびカメラモジュールを提供する。
【解決手段】基板111の第1面111a側に受光するための光学素子エリア112が形成され、基板の第1面111aと反対側の第2面111b側に外部接続端子170が形成された光学デバイス110と、基板111の第1面111aと対向するように形成された透明導電性膜130と、基板111の第1面111aに形成されて固定電位に接続するための電極パッド140と、電極パッド140に接続されて、基板の第1面111aと第2面111bを貫通するように形成された貫通電極160と、を有し、透明導電性膜130が電極パッド140に接続され、貫通電極160が基板の第2面111b側で外部接続端子170に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、CCDやCMOSイメージセンサ(CIS)等の光学センサがチップスケールのパッケージとして構成される撮像装置およびカメラモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学センサの簡易なパッケージ方法として、ウエハチップスケールパッケージ(Wafer Chip Scale Package;WCSP)構造が提案されている。
【0003】
図1は、WCSP構造の基本的な構成を示す図である。
WCSP構造1は、光学センサ(センサチップ)である光学デバイス2の前面の受光部である光学素子エリア21の上部を保護するためのシール材としてのシールガラス(カバーガラス)3が配置される。
WCSP構造1においては、光学デバイス2の光学素子エリア(受光部)21を除く周縁部において樹脂4を介してシールガラス3が配置されている。したがって、WCSP構造1では、光学デバイス2の受光部21とシールガラス3の光学素子エリア(受光部)21との対向面31との間に空隙5が形成される。
【0004】
このCSP構造は、センサチップの前面と裏面間を貫通する貫通ビア(TSV;Thru Silicon Via)により電極6を形成することでワイヤーボンドによる配線を失くしクリーンルーム内においてウエハ状態でガラスを貼り合わせることができる。
このため、従来のCOB(Chip On Board)タイプのパッケージと比較し、小型化、低コスト化、ダストレス化が期待できる。
【0005】
図2は、WCSP構造の他の構成を示す図である。
図2のWCSP構造1Aは、図1のWCSP構造1における上記空隙5を樹脂4で埋めて空隙を持たないWCSP構造として構成されている。
以下、この空隙を持たないWCSP構造を、キャビティレス(Cavity less)WCSP構造という場合もある。
【0006】
この空隙を持たないキャビティレスCSP構造を採用することにより、空隙を持つCSP構造の空隙内で発生していた熱応力を大幅に低減することで反りの発生を抑えることができる。
さらに、キャビティレスCSP構造は、光学的にも空隙(屈折率1)の界面で生じていた反射を屈折率が約1.5の樹脂で抑制することができるため光学デバイス2における受光量増大も期待することができる。
【0007】
ところで、CCDやCMOSイメージセンサのWCSPによるレンズ一体型カメラモジュールでは、電磁感受性(EMS:Electro Magnetic Susceptibility)、あるいは、電磁環境両立性(EMC: Electro Magnetic Compatibility)の機能を備える必要がある。
EMSは、カメラモジュールの近くにある他の機器の放射電磁場や、雷、太陽活動などといった自然現象が電気機器の動作を阻害し、システムの機能低下、誤作動等の影響を及ぼす外的要因から守る機能である。
EMCは、カメラモジュール自身が他の機器の動作を阻害したり、人体に影響を与える一定レベル以上の干渉源となる電磁妨害(EMI: Electro Magnetic Interference) を生じさせないための機能である。
【0008】
このEMSやEMCの機能を備えた撮像装置やカメラモジュールが提案されている(たとえば特許文献1,2,3参照)。
【0009】
特許文献1に記載の撮像装置は、画素領域を含み、周縁にウエルが形成された撮像素子チップと、撮像チップに配置され、撮像素子チップのウエルと電気的に接続されたメタルシールドとを有している。
【0010】
特許文献2に記載のカメラモジュールは、光学デバイスおよびシールドガラスの周囲に遮光兼電磁シールドが配置されている。
【0011】
特許文献3に記載のカメラモジュールは、カメラモジュールの側面全体を覆う金属蒸着膜を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010‐283597号公報
【特許文献2】特開2009‐158863号公報
【特許文献3】特開2010‐11230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、年々の電子機器の小型化要求に伴い、特許文献1や2に記載された、カメラモジュールの外側にメタルシールドを取り付けるような構造であると、モジュールが大きく、製造工程も複雑になり、材料コストも高くなってしまう。
また、特許文献3に記載されたような構造であると、レンズ一体型カメラモジュールを覆う金属蒸着膜が電気的にフローティングとなり、EMC効果が弱まってしまう。
【0014】
本技術は、モジュールの大型化、工程の複雑化、コスト増大を防止しつつ、EMCやEMI効果を十分に発現させることが可能な撮像装置およびカメラモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本技術の第1の観点の撮像装置は、基板の第1面側に受光するための光学素子エリアが形成され、上記基板の上記第1面と反対側の第2面側に外部接続端子が形成された光学デバイスと、上記基板の第1面と対向するように形成された透明導電性膜と、上記基板の第1面に形成されて固定電位に接続するための電極パッドと、上記電極パッドに接続されて、上記基板の第1面と第2面を貫通するように形成された貫通電極と、を有し、上記透明導電性膜が上記電極パッドに接続され、上記貫通電極が上記基板の上記第2面側で上記外部接続端子に接続されている。
【0016】
本技術の第2の観点のカメラモジュールは、受光するための光学素子エリアを含む撮像装置と、上記撮像装置の上記光学素子エリアに被写体像を結像するレンズと、を有し、上記撮像装置は、基板の第1面側に受光するための光学素子エリアが形成され、上記基板の上記第1面と反対側の第2面側に外部接続端子が形成された光学デバイスと、上記基板の第1面と対向するように形成された透明導電性膜と、上記基板の第1面に形成されて固定電位に接続するための電極パッドと、上記電極パッドに接続されて、上記基板の第1面と第2面を貫通するように形成された貫通電極と、を含み、上記透明導電性膜が上記電極パッドに接続され、上記貫通電極が上記基板の上記第2面側で上記外部接続端子に接続されている。
【発明の効果】
【0017】
本技術によれば、モジュールの大型化、工程の複雑化、コスト増大を防止しつつ、EMCやEMI効果を十分に発現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】WCSP構造の基本的な構成を示す図である。
【図2】空隙を持たないWCSP構造の構成を示す図である。
【図3】本実施形態に係る撮像装置の第1の構成例を示す図である。
【図4】本実施形態に係るカラーフィルタの構成例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る撮像装置の第2の構成例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る撮像装置の第3の構成例を示す図である。
【図7】本実施形態に係る撮像装置の第4の構成例を示す図である。
【図8】本実施形態に係る撮像装置の第5の構成例を示す図である。
【図9】本実施形態に係るカメラモジュールの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態を図面に関連付けて説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.撮像装置の第1の構成例
2.撮像装置の第2の構成例
3.撮像装置の第3の構成例
4.撮像装置の第4の構成例
5.撮像装置の第5の構成例
6.カメラモジュールの構成例
【0020】
<1.撮像装置の第1の構成例>
図3(A)および(B)は、本実施形態に係る撮像装置の第1の構成例を示す図である。
図3(A)は基板の第1面側に透明導電性膜が配置されている構成例を示す平面図であり、図3(B)は撮像装置の全体的な構成を示す簡略側面図である。
本実施形態においては、光学デバイス(光学センサ)としては一例としてCMOSイメージセンサ(CIS:CMOS Image Sensor)が適用される。
【0021】
本実施形態の撮像装置100は、基本的に、光学センサチップサイズでパッケージするWCSP構造を有する。
本撮像装置100は、光学デバイスの光学素子エリア(受光部)とシールガラスの受光部との対向面との間に空隙が形成されるキャビディ構造、空隙を持たないキャビティレスCSP構造のいずれの構造も採用することができる。
本実施形態において、第1面(前面)とは撮像装置の光学センサである光学デバイスの受光部が形成された被写体の像光の入射側をいい、第2面(裏面)とは光入射が行われず、バンプ等の接続電極やインターポーザー等が配置される第1面と反対の面側をいう。
【0022】
撮像装置100は、光学デバイス110、シール材120、中間層として透明導電性膜130、電極パッド140(−1〜−4)、外部接続端子としての他の接続パッド150、貫通電極160(−1,−2)、および外部接続端子170を有する。
【0023】
本実施形態において、電極パッド140は固定電位(本例ではグランド電位)に接続するためのグランド端子用パッドである。
本実施形態において、後で詳述するように、透明導電性膜130は電極パッド140に接続され、電極パッドに接続された貫通電極160を介して外部接続端子170に接続され、この外部接続端子170が外部の基準電位(グランド電位)に接続される。
これにより、透明導電性膜130は光学素子エリアの保護膜としての機能に加えて、シールド材として機能する。
【0024】
なお、透明導電性膜130およびシール材120は、光を透過する光に対して透明な材料により形成され、これらの屈折率は空気の屈折率より高く、たとえばシールド材120は屈折率1.5程度の材料により形成される。
また、図3の構成において、シール材120はガラスにより形成される例を示しており、シール材120をシールガラスあるいはカバーガラスという場合もある。
【0025】
光学デバイス110は、センサ基板111の第1面(前面)111a側に受光部として機能する光学素子エリア112が形成され、第2面(裏面)111b側にバンプ等の外部との接続用電極である外部接続端子170が形成されている。
光学デバイス110において、センサ基板111の第1面111a側の側部(図3では左右の両側部)に電極パッド140(−1〜−4)およびその他の接続パッド150が形成されている。
光学デバイス110において、センサ基板111の第1面111aにおける光学素子エリア112のフィルタ部分を除く領域には絶縁膜113が形成されている。
電極パッド140は、センサ基板111の第1面111a側において、透明導電性膜130に電気的に接続されるように絶縁膜113に埋め込まれるように開口し露出するように形成されている。
光学デバイス110のセンサ基板111の第1面111aに形成される外部接続端子としての接続パッド150は、ワイヤーボンディングパッドとして開口されていてもよいし、開口されていなくても良い。また、光学デバイス110内の積層配線の最上層のメタル層でなくても良い。
なお、開口とは、絶縁膜113が除去されてパッドが露出し、直接的に接続可能な状態をいう。
【0026】
光学デバイス110において、センサ基板111の第1面111aと第2面111bを貫通する貫通ビア(TSV;Thru Silicon Via)114により貫通電極160(−1〜−2)が形成されている。これにより、ワイヤーボンドによる配線を失くしクリーンルーム内においてウエハ状態でガラスを貼り合わせることができる。
貫通電極160(−1〜−4)は、センサ基板111の第2面111b側において、配線115により外部の基準電位(グランド電位)に接続される外部接続端子170に接続されている。
【0027】
受光部としての光学素子エリア112は、センサ基板111の第1面111aに形成されており、複数の画素(受光素子)がマトリクス状に配置された受光面(画素アレイ部)1121を有する。
光学素子エリア112には、画素アレイ部1121のさらに前面側にカラーフィルタ1122が形成されている。
カラーフィルタ1122は、色の3原色であるR(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタが、たとえば図4に示すように、ベイヤー(Bayer)配列をもってオンチップカラーフィルタ(OCCF)としてアレイ状に形成されている。ただし、カラーフィルタの配置パターンはベイヤーパターンに限る必要はない。
なお、図4の例では、カラーフィルタ1122に重なるように、赤外カットフィルタ(IRCF:InfraRed Cutoff Filter)180が形成されている。
【0028】
光学素子エリア112は、カラーフィルタ1122のさらに前面側に各画素に入射光を集光するためのマイクロレンズアレイ1123が配置されている。
光学素子エリア112は、このマイクロレンズアレイ1123のさらに前面側に、たとえば反射防止膜等が形成される。
【0029】
透明導電性膜130は、上記構成を有する光学素子エリア112が形成されたセンサ基板111の第1面111aと、シール材(シールガラス)120の第1面111aとの対向面121間に充填するように形成されている。
すなわち、本第1の実施形態の撮像装置100は、いわゆるキャビティレス構造として形成されている。
なお、透明導電性膜130の厚さはたとえば50μm程度に設定される。また、シールガラス120の厚さはたとえば450〜500μm程度に設定される。
【0030】
透明導電性膜130は、たとえばITO(Indium Tin Oxide)、ZnO(Zinc peroxid:過酸化亜鉛)等、導電性粒子を散布させた透明有機膜等により形成される。
透明導電性膜130は、光学デバイス1110のセンサ基板111の第1面111aに形成される外部接続端子としての接続パッド150が、ワイヤーボンディング用パッドとして開口されている場合、図3(A)に示すような形状にパターニングされる。
すなわち、透明導電性膜130は、ワイヤーボンディング用パッドが透明導電性膜に電気的に接続されないように(接触しないように)、透明導電性膜130の一部を除去した切り欠き部131−1,131−2を有するようにパターニングされる。
【0031】
また、本第1の実施形態において、透明導電性膜130は、光学素子エリア112を覆うように形成されているが、光学デバイス110と電気的に接続されて影響を及ぼす部分は、電気的に非接続となるように形成される。
光学デバイス110側で透明導電性膜130と非接続となるように、センサ基板111の第1面111aにおける光学素子エリア112を除く領域に絶縁膜113が形成される。あるいは、光学デバイス110において電気的に接続されて影響を及ぼす部分を避けるように透明導電性膜130がパターニングされる。
【0032】
以上の構成を有する撮像装置100は、基本的に次のようにして製造される。
光学デバイス110はウエハレベルで透明導電性膜130を光学的に透明な接着剤により光学デバイス110と同サイズのガラス120と貼り合わされる。
その後、光学デバイス110の光学素子エリア112が形成された第1面とは反対側の第2面側のシリコンを、貫通電極160を形成が可能な厚みまで薄く削る。
そして、外部接続端子170と接続される貫通電極160を形成のための貫通孔114を形成し、絶縁膜113を形成し、さらに再配線115を形成、保護膜116を形成した後に各光学デバイス110のサイズに個片化され、光学デバイスのWCSPが完成される。
【0033】
本実施形態の撮像装置100は、透明導電性膜130は電極パッド140に接続され、電極パッド140に接続された貫通電極160を介して外部接続端子170に接続され、この外部接続端子170が外部の基準電位(グランド電位)に接続される。
これにより、透明導電性膜130は光学素子エリアの保護膜としての機能に加えて、シールド材として機能し、光学デバイス110がEMC(Electro-Magnetic Compatibility)シールドに覆われている。
【0034】
<2.撮像装置の第2の構成例>
図5(A)および(B)は、本実施形態に係る撮像装置の第2の構成例を示す図である。
図5(A)は基板の第1面側に透明導電性膜が配置されている構成例を示す平面図であり、図5(B)は撮像装置の全体的な構成を示す簡略側面図である。
【0035】
本第2の実施形態に係る撮像装置100Aが第1の実施系形態に係る撮像装置100と異なる点は次の通りである。
第2の実施形態に係る撮像装置100Aは、透明導電性膜130Aがサブミクロンオーダー(たとえば100μm〜500μm)の周期的な凹凸を持つ微細構造パターンにより光学特性を示すモスアイ(蛾の目)構造MEYを有するにように形成されている。
【0036】
透明導電性膜130Aにモスアイ構造を採用する理由を以下に示す。
一般的な透明導電性膜として用いられるITOやZnOは屈折率が1.9〜2.0と高いので、平坦な構造で形成すると、反射が大きくなり、光学特性が低下するおそれがある。
そこで、本第2の実施形態においては、反射が大きくなり光学特性が低下することを避けるためにモスアイ構造を採用している。
また、このときの光学素子材料の屈折率は可能な限り高い方が望ましく、少なくとも1.6以上は必要である。
【0037】
モスアイ構造は、フォトレジスト工程により、ドライエッチングもしくはウエットエッチングにより形成される。
形成されたモスアイ構造を備えた光学デバイスは、光学特性劣化の少ない透明接着剤190によりシールガラス120と貼り合わせられる。これによりキャビティレス構造を備えたWCSPが形成される。
【0038】
本第2の実施形態の撮像装置100Aにおいても、光学デバイス110上のグランド端子である電極パッド140は開口されていて、透明導電性膜130Aと接触し、電気的に接続している。その他の外部接続端子である接続パッド150は開口されていないので、電気的に透明導電性膜130Aとは接続していない。
【0039】
以上のように、第2の実施形態では、透明導電性膜130Aは、モスアイ構造でセンサ表面に形成される。
そして、透明導電性膜130Aは電極パッド140に接続され、電極パッド140に接続された貫通電極160を介して外部接続端子170に接続され、この外部接続端子170が外部の基準電位(グランド電位)に接続される。
これにより、透明導電性膜130Aは光学素子エリアの保護膜としての機能に加えて、シールド材として機能し、光学デバイス110がEMCシールドに覆われている。
【0040】
その他の構成は、撮像装置100Aと撮像装置100とは同様の構成を有する。
【0041】
<3.撮像装置の第3の構成例>
図6(A)および(B)は、本実施形態に係る撮像装置の第3の構成例を示す図である。
図6(A)は基板の第1面側に透明導電性膜が配置されている構成例を示す平面図であり、図6(B)は撮像装置の全体的な構成を示す簡略側面図である。
【0042】
本第3の実施形態に係る撮像装置100Bが第1の実施系形態に係る撮像装置100と異なる点は次の通りである。
第3の実施形態に係る撮像装置100Bは、EMCシールドの効果が弱まるが、透明導電性膜による光学特性の劣化を避けるために、光学素子エリア112上には透明導電性膜130Bが形成されていない。
これにより、第3の実施形態に係る撮像装置100Bは、シールガラス120と光学デバイス110で挟まれた空気層(空隙)CVTを有するキャビティ構造として構成されている。
【0043】
この撮像装置100Bでは、光学素子エリア112以外に形成された透明導電性膜130B上に接着剤190B(光学特性の劣化は考慮しなくても良い材料)を塗布し、シールガラス120と貼り合わせる。
あるいは、シールガラス120上にそのエリア形状にパターン形成された接着剤により透明導電性膜をシールガラス120と貼り合わせる。
【0044】
その他の構成は、撮像装置100Bと撮像装置100とは同様の構成を有する。
【0045】
<4.撮像装置の第4の構成例>
図7(A)および(B)は、本実施形態に係る撮像装置の第4の構成例を示す図である。
図7(A)は基板の第1面側に透明導電性膜が配置されている構成例を示す平面図であり、図7(B)は撮像装置の全体的な構成を示す簡略側面図である。
【0046】
本第4の実施形態に係る撮像装置100Cが第3の実施系形態に係る撮像装置100Bと異なる点は次の通りである。
第4の実施形態に係る撮像装置100Cは、透明導電性膜130Cの表面積を増加させるために多数の孔132が形成されている。
【0047】
透明導電性膜のシールド効果が十分でない場合には、表面積(特に深さ方向)を増加させることにより、シールド効果を高めることができる(EMCのための設計テクニック−Part4:シールド、http://homepage3.nifty.com/tsato/dtemc/part4.html 参照)。
そこで、本第4の実施形態では、透明導電性膜130Cに任意の孔132を開けた構造を採用している。
【0048】
また、透明導電性膜で光学デバイス110が囲まれることがEMC対策としては効果的であるので、本第4の実施形態では、シールガラス120の対向面(光学デバイス側面)121に透明導電性膜130cが形成されている。
この透明導電性膜130cはガラスの屈折率約1.5に透過率100%に限りなく近いことが望ましい。
【0049】
以上のように、第4の実施形態では、透明導電性膜130Cの表面積を増加させるために多数の孔132が形成されている。透明導電性膜130Cと光学デバイス110のグランド端子である電極パッド140と貫通電極160により、外部のグランド端子と接続される。
これにより、透明導電性膜130Cは光学素子エリアの保護膜としての機能に加えて、シールド材として機能し、光学デバイス110がEMCシールドに覆われている。
【0050】
<5.撮像装置の第5の構成例>
図8(A)および(B)は、本実施形態に係る撮像装置の第5の構成例を示す図である。
図5(A)は基板の第1面側に透明導電性膜が配置されている構成例を示す平面図であり、図5(B)は撮像装置の全体的な構成を示す簡略側面図である。
【0051】
本第5の実施形態に係る撮像装置100Dが第2の実施系形態に係る撮像装置100Aと異なる点は次の通りである。
第2の実施形態では、透明導電性膜130Aがモスアイ構造を有する場合の例である。
これに対して、本第4の実施形態では、導電性を備えないモスアイ構造の透明膜200を用いた、キャビティレスWCSPを実現している。
【0052】
以上のように、第4の実施形態では、透明膜200が、モスアイ構造でセンサ表面に形成される。
そして、透明導電性膜130Dは電極パッド140に接続され、電極パッド140に接続された貫通電極160を介して外部接続端子170に接続され、この外部接続端子170が外部の基準電位(グランド電位)に接続される。
これにより、透明導電性膜130Dは光学素子エリアの保護膜としての機能に加えて、シールド材として機能し、光学デバイス110がEMCシールドに覆われている。
【0053】
その他の構成は、撮像装置100Dと撮像装置100Aとは同様の構成を有する。
【0054】
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
EMC対策を施したWCSPを提供できる。
EMC対策を施したWCSPの提供により、小型かつ低コストなレンズ一体型カメラモジュールを提供できる。
キャビティレスWCSPの提供により、シリコン薄化によるキャビティエリアの反り低減や、キャビティエリアの強度増加、リフロー時のキャビティエリアの内圧上昇による、スペーサーの剥離低減が実現できる。
レンズ一体型カメラモジュールの遮光膜材料に制限が無く、導電性でも、絶縁性な材料でも使用することができる。
EMC耐性は導電性膜の膜厚に依存するが、WCSPにおけるEMC耐性の調整を透明導電性膜の形状でコントロールできる。
貫通電極でシールド(透明導電性膜)と外部グランドとを接続できるので、下面の外部接続端子と側面に形成した導電性膜との接続方法を考慮しなくて良い。
【0055】
以上説明した撮像装置100,100A〜100Dは、撮像レンズを有するカメラモジュールに適用することが可能である。
【0056】
<5.カメラモジュールの構成例>
図9は、本実施形態に係るカメラモジュールの構成例を示す図である。
図9は、WCSP構造でEMC対策が十分な場合のレンズ一体型カメラモジュール構造例を示している。撮像装置としては、一例として第2の実施形態に係る撮像装置100Aが採用されているが、他の実施形態の撮像装置100,100B〜100Dを適用することも可能である。
WCSP上に接着剤301で撮像レンズ310を搭載し、側面には遮光膜332を塗布している。
【0057】
このカメラモジュール300は、撮像装置100Aの前面側(被写体側)に光学デバイス(センサ)110の光学素子エリア(受光部)112に被写体像を結像する撮像レンズ310が配置されている。
カメラモジュール300は、撮像レンズ310に加えて、図示しない信号処理部等を有する。
【0058】
このような構成のカメラモジュール300においては、撮像レンズ310で取り込んだ被写体からの光を、撮像装置で電気信号に変換しやすいように受光部において光学的な処理を施す。その後、光学デバイス(センサ)110の光電変換部に導き、光電変換して得られる電気信号に対して、後段の信号処理部で所定の信号処理を施す。
【0059】
本実施形態のカメラモジュールにおいても、モジュールの大型化、工程の複雑化、コスト増大を防止しつつ、EMCやEMI効果を十分に発現させることが可能となる。
【0060】
なお、本技術は以下のような構成をとることができる。
(1)基板の第1面側に受光するための光学素子エリアが形成され、上記基板の上記第1面と反対側の第2面側に外部接続端子が形成された光学デバイスと、
上記基板の第1面と対向するように形成された透明導電性膜と、
上記基板の第1面に形成されて固定電位に接続するための電極パッドと、
上記電極パッドに接続されて、上記基板の第1面と第2面を貫通するように形成された貫通電極と、を有し、
上記透明導電性膜が上記電極パッドに接続され、
上記貫通電極が上記基板の上記第2面側で上記外部接続端子に接続されている
撮像装置。
(2)上記透明導電性膜は、
少なくとも上記光学素子エリアと対向する領域が微細パターンにより光学特性を示すモスアイ構造として形成されている
上記(1)記載の撮像装置。
(3)少なくとも上記光学素子エリアと対向する領域に、微細パターンにより光学特性を示すモスアイ構造として形成された透明膜が配置されている
上記(1)記載の撮像装置。
(4)上記透明導電性膜は、
少なくとも一部において、深さ方向に孔が形成されている
上記(1)から(3)のいずれか一に記載の撮像装置。
(5)上記光学デバイスの上記光学素子エリア側を保護するためのシール材を有し、
上記透明導電性膜は、
上記光学素子エリアを含む上記基板の第1面と上記シール材の当該第1面との対向面間に充填するように形成されている
上記(1)から(4)のいずれか一に記載の撮像装置。
(6)上記透明導電性膜は上記光学素子エリアとは非接触状態で形成されている
上記(1)から(4)のいずれか一に記載の撮像装置。
(7)上記光学デバイスの上記光学素子エリア側を保護するためのシール材を有し、
上記透明導電性膜は、
上記シール材の上記光学素子エリアとの対向面に少なくとも当該光学素子エリアと空隙を隔てて形成されている
上記(6)記載の撮像装置。
(8)上記透明導電性膜は、
上記光学素子エリアと対向する領域を除いた領域に形成されている
上記(6)記載の撮像装置。
(9)上記基板の第1面側には上記電極パッドと異なる他のパッドが形成され、当該他のパッドは上記透明導電性膜と電気的に非接続状態にある
上記(1)から(8)のいずれか一に記載の撮像装置。
(10)受光するための光学素子エリアを含む撮像装置と、
上記撮像装置の上記光学素子エリアに被写体像を結像するレンズと、を有し、
上記撮像装置は、
基板の第1面側に受光するための光学素子エリアが形成され、上記基板の上記第1面と反対側の第2面側に外部接続端子が形成された光学デバイスと、
上記基板の第1面と対向するように形成された透明導電性膜と、
上記基板の第1面に形成されて固定電位に接続するための電極パッドと、
上記電極パッドに接続されて、上記基板の第1面と第2面を貫通するように形成された貫通電極と、を含み、
上記透明導電性膜が上記電極パッドに接続され、
上記貫通電極が上記基板の上記第2面側で上記外部接続端子に接続されている
カメラモジュール。
(11)上記透明導電性膜は、
少なくとも上記光学素子エリアと対向する領域が微細パターンにより光学特性を示すモスアイ構造として形成されている
上記(10)記載のカメラモジュール。
(12)少なくとも上記光学素子エリアと対向する領域に、微細パターンにより光学特性を示すモスアイ構造として形成された透明膜が配置されている
上記(10)記載のカメラモジュール。
(13)上記透明導電性膜は、
少なくとも一部において、深さ方向に孔が形成されている
上記(10)から(12)のいずれか一に記載のカメラモジュール。
(14)上記光学デバイスの上記光学素子エリア側を保護するためのシール材を有し、
上記透明導電性膜は、
上記光学素子エリアを含む上記基板の第1面と上記シール材の当該第1面との対向面間に充填するように形成されている
上記(10)から(13)のいずれか一に記載のカメラモジュール。
(15)上記透明導電性膜は上記光学素子エリアとは非接触状態で形成されている
上記(10)から(13)のいずれか一に記載のカメラモジュール。
(16)上記光学デバイスの上記光学素子エリア側を保護するためのシール材を有し、
上記透明導電性膜は、
上記シール材の上記光学素子エリアとの対向面に少なくとも当該光学素子エリアと空隙を隔てて形成されている
上記(15)記載のカメラモジュール。
(17)上記透明導電性膜は、
上記光学素子エリアと対向する領域を除いた領域に形成されている
上記(15)記載のカメラモジュール。
【符号の説明】
【0061】
100,100A〜100D・・・撮像装置、110・・・光学センサ、111・・・センサ基板、111a・・・第1面、111b・・・第2面、112・・・光学素子エリア(受光部)、120・・・シールガラス、130,130A〜130D・・・透明導電性膜、140・・・電極パッド、150・・・その他の接続パッド、160・・・貫通電極、170・・・外部接続端子、180・・・赤外カットフィルタ(IRCF)、300・・・カメラモジュール、310・・・撮像レンズ,320・・・遮光膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1面側に受光するための光学素子エリアが形成され、上記基板の上記第1面と反対側の第2面側に外部接続端子が形成された光学デバイスと、
上記基板の第1面と対向するように形成された透明導電性膜と、
上記基板の第1面に形成されて固定電位に接続するための電極パッドと、
上記電極パッドに接続されて、上記基板の第1面と第2面を貫通するように形成された貫通電極と、を有し、
上記透明導電性膜が上記電極パッドに接続され、
上記貫通電極が上記基板の上記第2面側で上記外部接続端子に接続されている
撮像装置。
【請求項2】
上記透明導電性膜は、
少なくとも上記光学素子エリアと対向する領域が微細パターンにより光学特性を示すモスアイ構造として形成されている
請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
少なくとも上記光学素子エリアと対向する領域に、微細パターンにより光学特性を示すモスアイ構造として形成された透明膜が配置されている
請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
上記透明導電性膜は、
少なくとも一部において、深さ方向に孔が形成されている
請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
上記光学デバイスの上記光学素子エリア側を保護するためのシール材を有し、
上記透明導電性膜は、
上記光学素子エリアを含む上記基板の第1面と上記シール材の当該第1面との対向面間に充填するように形成されている
請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
上記透明導電性膜は上記光学素子エリアとは非接触状態で形成されている
請求項1記載の撮像装置。
【請求項7】
上記光学デバイスの上記光学素子エリア側を保護するためのシール材を有し、
上記透明導電性膜は、
上記シール材の上記光学素子エリアとの対向面に少なくとも当該光学素子エリアと空隙を隔てて形成されている
請求項6記載の撮像装置。
【請求項8】
上記透明導電性膜は、
上記光学素子エリアと対向する領域を除いた領域に形成されている
請求項6記載の撮像装置。
【請求項9】
上記基板の第1面側には上記電極パッドと異なる他のパッドが形成され、当該他のパッドは上記透明導電性膜と電気的に非接続状態にある
請求項1記載の撮像装置。
【請求項10】
受光するための光学素子エリアを含む撮像装置と、
上記撮像装置の上記光学素子エリアに被写体像を結像するレンズと、を有し、
上記撮像装置は、
基板の第1面側に受光するための光学素子エリアが形成され、上記基板の上記第1面と反対側の第2面側に外部接続端子が形成された光学デバイスと、
上記基板の第1面と対向するように形成された透明導電性膜と、
上記基板の第1面に形成されて固定電位に接続するための電極パッドと、
上記電極パッドに接続されて、上記基板の第1面と第2面を貫通するように形成された貫通電極と、を含み、
上記透明導電性膜が上記電極パッドに接続され、
上記貫通電極が上記基板の上記第2面側で上記外部接続端子に接続されている
カメラモジュール。
【請求項11】
上記透明導電性膜は、
少なくとも上記光学素子エリアと対向する領域が微細パターンにより光学特性を示すモスアイ構造として形成されている
請求項10記載のカメラモジュール。
【請求項12】
少なくとも上記光学素子エリアと対向する領域に、微細パターンにより光学特性を示すモスアイ構造として形成された透明膜が配置されている
請求項10記載のカメラモジュール。
【請求項13】
上記透明導電性膜は、
少なくとも一部において、深さ方向に孔が形成されている
請求項10記載のカメラモジュール。
【請求項14】
上記光学デバイスの上記光学素子エリア側を保護するためのシール材を有し、
上記透明導電性膜は、
上記光学素子エリアを含む上記基板の第1面と上記シール材の当該第1面との対向面間に充填するように形成されている
請求項10記載のカメラモジュール。
【請求項15】
上記透明導電性膜は上記光学素子エリアとは非接触状態で形成されている
請求項10記載のカメラモジュール。
【請求項16】
上記光学デバイスの上記光学素子エリア側を保護するためのシール材を有し、
上記透明導電性膜は、
上記シール材の上記光学素子エリアとの対向面に少なくとも当該光学素子エリアと空隙を隔てて形成されている
請求項15記載のカメラモジュール。
【請求項17】
上記透明導電性膜は、
上記光学素子エリアと対向する領域を除いた領域に形成されている
請求項15記載のカメラモジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−41878(P2013−41878A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176125(P2011−176125)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】