説明

撮像装置及びその制御方法

【課題】赤目緩和用の閃光の発光時に生じる1画面分の画像信号内の赤目緩和用のストロボ発光による輝度差を抑えること。
【解決手段】撮像装置は、複数の画素を有し、被写体像を前記複数の画素で光電変換して1画面分の画像信号として出力する撮像素子8と、被写体像の赤目を緩和するために発光するストロボ発光管19と、前記1画面分の画像信号に対応する前記複数の画素を読出しライン毎に異なるタイミングで順次リセットするための電子シャッターパルスを出力する電子シャッター制御装置15と、前記1画面分の画像信号に対応する前記複数の画素から前記1画面分の画像信号を読出しライン毎に異なるタイミングで順次読み出すための電荷読出しパルスを出力する読出しパルス制御装置16と、電子シャッターパルスの出力から電荷読出しパルスの出力までの蓄積時間に応じてストロボ発光管19による発光のタイミングを調整するマイクロコンピュータ12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体に光を照射する発光手段により赤目緩和を行う撮像装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2次元配列された画素を受光面とする撮像素子を用いた撮像装置が普及している。このような撮像装置では、撮像素子の各読出しラインにおける露光時間の開始タイミングが異なる。そのため、ストロボ撮影を行う場合には、撮像素子の受光面全体に同一のストロボ光(閃光)を照射させることが困難である。
【0003】
これに対し、特許文献1は、予備発光を各読出しラインの露光時間の開始タイミングと同期させ、読出しライン数と同数の予備発光を連続して行うストロボ発光制御方法を開示している。特許文献1の方法では、読出しライン毎に予備発光が行われるため、ストロボ撮影時に被写体の瞳孔が開くことによる被写体の目が赤く写る現象(赤目現象)も緩和されうる。
【特許文献1】特開2002−359774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、撮像素子の読出しライン毎に、予備発光を同期して発光する必要があり、予備発光のための消費電力が増大する。特に、撮像素子の画像を順次表示する機能を持つデジタルビデオカメラなどの撮像装置では、消費電力の増加が深刻となる。
【0005】
また、従来の撮像装置では、本発光の直前に赤目緩和用の発光が行われているが、その発光タイミングは調整されていない。そのため、電子シャッターの速度によっては、赤目緩和用の閃光が照射された読出しラインが高輝度となり、帯状の輝度差が生じてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、赤目緩和用の閃光の発光時に生じる1画面分の画像信号内の不自然な輝度差を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面は、撮像装置に係り、複数の画素を有し、被写体像を前記複数の画素で光電変換して1画面分の画像信号として出力する撮像手段と、被写体像の赤目を緩和するために発光する発光手段と、前記1画面分の画像信号に対応する前記複数の画素を読出しライン毎に異なるタイミングで順次リセットするための第1のパルスを出力する第1の制御手段と、前記1画面分の画像信号に対応する前記複数の画素から前記1画面分の画像信号を読出しライン毎に異なるタイミングで順次読み出すための第2のパルスを出力する第2の制御手段と、前記第1のパルスの出力から前記第2パルスの出力までの蓄積時間に応じて前記発光手段による発光のタイミングを調整する調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の側面は、複数の画素を有し、被写体像を前記複数の画素で光電変換して1画面分の画像信号として出力する撮像手段と、被写体像の赤目を緩和するために発光する発光手段とを備える撮像装置の制御方法に係り、前記1画面分の画像信号に対応する前記複数の画素を読出しライン毎に異なるタイミングで順次リセットするための第1のパルスを出力する工程と、前記1画面分の画像信号に対応する前記複数の画素から前記1画面分の画像信号を読出しライン毎に異なるタイミングで順次読み出すための第2のパルスを出力する工程と、前記第1のパルスの出力から前記第2パルスの出力までの蓄積時間に応じて前記発光手段による発光のタイミングを調整する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、赤目緩和用の閃光の発光時に生じる1画面分の画像信号内の不自然な輝度差を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の好適な第1の実施形態に係るデジタルビデオカメラなどの撮像装置の構成を例示的に示すブロック図である。
【0012】
図1において、1は被写体像を結像させるための交換可能な撮影レンズユニット、2は撮像素子に入射する光量を調節するための絞り、8は被写体像を光電変換するための撮像素子である。図1では、撮影レンズユニット内の1枚のレンズだけを示したが、レンズの枚数はこれに限定されない。撮像素子8は、2次元配列された複数の画素を受光面とし、各読出しラインにおける露光時間の開始タイミングが異なる方式(XYアドレス方式)のイメージセンサであればよい。このようなイメージセンサとしては、例えば、CMOSイメージセンサを用いることができるが、XYアドレス方式のセンサーであれば、他の撮像素子を用いてもよい。
【0013】
3は絞り2を駆動するモータ、4は絞り2の位置を検出する検出回路、5はNDフィルターなどの光学素子、6は光学素子5を駆動するモータ、7は光学素子5の位置を検出する検出回路である。
【0014】
9はCDS/AGC回路、10はA/D変換器、11はA/D変換器10から出力された画像信号をデジタル処理するデジタル信号処理回路である。12はデジタル信号処理回路11から輝度・色等の情報を受けて各種演算を行い制御信号を出力するマイクロコンピュータ(コントローラ)である。
【0015】
13は絞り2を駆動するための絞り機構駆動装置、14は光学素子5を制御するための光学素子駆動装置である。15は撮像素子8の電子シャッター(電荷のリセット)を制御する電子シャッター制御装置、16は撮像素子8の読出しを制御する読出しパルス制御装置である。
【0016】
17は画像信号の輝度情報を検出する輝度情報検出回路、18は輝度情報検出回路17の輝度情報に演算を施し露出制御用の情報を演算する輝度情報演算回路、19はストロボ発光管、20はストロボ発光管19の発光を制御する発光制御回路である。
【0017】
21はマイクロコンピュータ12により演算された結果を用いてストロボ発光管19の発光時間やタイミングを演算するストロボ発光演算部、23は撮像装置の画像信号を記録する記録媒体である。
【0018】
24はシャッタボタン、ディスプレイ、赤目緩和機能などの撮影モードを選択するためのダイヤルなどのI/Oである。ユーザの操作はI/O24を介して取得され、ユーザの操作によって電源ON/OFF、撮影動作などが行われる。
【0019】
22は、赤目緩和制御を行うか否かを判断する赤目緩和制御判断回路である。赤目緩和制御を行うか否かは、I/O24を介して取得した赤目緩和機能のON/OFFにより判断される。
【0020】
上記構成において、撮影レンズユニット1、絞り2、光学素子5を通過した被写体像は、撮像素子8で光電変換される。光源変換により生じた電荷は、CDS/AGC回路9でサンプリング及び増幅され、A/D変換器10でデジタルデータに変換され、デジタル信号処理回路11へ送られる。そして、輝度情報検出回路17により被写体の輝度成分が抽出されて測光が行われる。輝度情報検出回路17からマイクロコンピュータ12に輝度成分が渡されると、輝度情報演算回路18により被写体の適正輝度が求められる。マイクロコンピュータ12は、この適正輝度に基づいて、絞り機構駆動回路13、光学素子駆動装置14、電子シャッター制御装置15及び読出しパルス制御装置16を制御する。
【0021】
マイクロコンピュータ12は、電子シャッターの制御内容を電子シャッター制御装置15に送り、電子シャッター制御装置15で電子シャッターのタイミングを制御する。また、マイクロコンピュータ12は撮像素子8の制御内容を読出しパルス制御装置16に送り、読出しパルス制御装置16により撮像素子8の読出しタイミングを制御する。このように、電子シャッター制御装置15及び読出しパルス制御装置16を制御することにより、撮像素子8の蓄積時間を変化させて、適正な露出値の画像信号が得られるように自動露出制御を行う。
【0022】
なお、図1では、分かりやすく表現するため、各部の構成をマイクロコンピュータ12から独立して図示したが、これらの構成の一部又は全てをマイクロコンピュータ12内に構成してもよい。
【0023】
図2は、本発明の好適な第1の実施形態に係る撮像装置の動作を例示的に示すタイミング図である。図2において、横軸は時間を表し、電子シャッターパルスと赤目発光との間に記載された部分の縦軸は撮像素子8における読出し位置(読出しラインの開始位置)に対応する。図4及び図7においても同様である。
【0024】
図2に示すように、撮像装置は、画像信号の更新周期信号VDなどの信号に同期させて、電荷読出しパルス及び電子シャッターパルスを制御し、撮像素子8の蓄積時間を変化させて、自動露出制御を行う。電荷読出しパルスは、読出しパルス制御装置16からマイクロコンピュータ12に与えられる。また、電子シャッターパルスは、電子シャッター制御装置15からマイクロコンピュータ12に与えられる。ここで、電子シャッターパルスは、1画面分の画像信号(画像)に対応する複数の画素を読出しライン毎に異なるタイミングで順次リセットするためのパルスである。また、電荷読出しパルスは、1画面分の画像信号(画像)に対応する複数の画素から1画面分の画像信号を読出しライン毎に異なるタイミングで順次読み出すためのパルスである。電子シャッターパルスの出力から電荷読出しパルスの出力までの時間は、撮像素子8が信号電荷を蓄積する蓄積時間に対応する。
【0025】
マイクロコンピュータ12は、与えられた電子シャッターパルス及び電荷読出しパルスに基づいて、図2の期間T11内に赤目緩和用のストロボ発光(閃光)のタイミングを調整する。期間T11は、現在読み出している1画面分の画像信号の最後の読出しラインにおける電荷読出しパルスが出力された後であり、かつ、次に読み出す1画面分の画像信号の最初の読出しラインにおける電子シャッターパルスが出力される前に対応する。これによって、1画面分の画像信号内にストロボ光が照射されないように、赤目緩和用のストロボ発光を行うことができる。その結果、図10(b)に示すように、赤目緩和用のストロボ発光による輝度差が除去された1画面分の画像信号を得ることができる。
【0026】
図3は、本実施形態に係る撮像装置の赤目緩和用のストロボ発光制御を示すフローチャートを示す図である。
【0027】
ステップ101では、赤目緩和制御判断回路22は、撮像装置の内部又は外部の操作によりI/O24を介して取得した赤目緩和機能のON/OFFに基づいて、ストロボ撮影の赤目緩和機能が選択されたか否かを判断する。赤目緩和機能が選択されたと判断された場合にはステップS102へ進み(ステップS101で「YES」)、赤目緩和機能が選択されていないと判断された場合にはステップS101へ戻る(ステップS101で「NO」)。
【0028】
ステップ102では、マイクロコンピュータ12は、赤目緩和用のストロボ発光のタイミング制御を開始する。具体的には、マイクロコンピュータ12は、電子シャッター制御装置15から電子シャッターパルスを、読出しパルス制御装置16から撮像素子8の電荷読出しパルスをそれぞれ取得し、これらのパルスをストロボ発光演算装置21に送る。
【0029】
ステップS103では、ストロボ発光演算装置21は、電荷読出しパルスと電子シャッターパルスのタイミング情報に基づいて、ストロボ発光管19で発光させるタイミングと発光回数を演算する。
【0030】
ステップS104では、マイクロコンピュータ12は、ステップS103で演算したタイミングを発光制御回路20内のタイマ等に設定し、ストロボ発光管19の発光回数を発光制御回路20に設定する。なお、マイクロコンピュータ12は、ストロボ発光管19の発光回数を設定せずに、ステップS102又はステップS103へ進み、次の発光タイミングを同様に再度演算し、タイマ等に設定してもよい。
【0031】
ステップS105では、ストロボ発光管19は、発光制御回路20に設定されたタイミングと発光回数に基づいてストロボ発光を行い、赤目緩和用の全ての発光が終わると制御が終了する。
【0032】
なお、上記の説明ではタイマカウンタを用いる構成としたが、マイクロコンピュータ12内でタイミングを計ったり、外部回路でタイミングを計ったりしてもよい。
【0033】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の好適な第2の実施形態に係る撮像装置の動作を例示的に示すタイミング図である。なお、第2の実施形態に係る撮像装置の構成は、図1に示す第1の実施形態に係る撮像装置の構成と同様である。
【0034】
図4に示すように、撮像装置は、画像信号の更新周期信号VDなどの信号に同期させて、電荷読出しパルス及び電子シャッターパルスを制御し、撮像素子8の蓄積時間を変化させ、自動露出制御を行う。電荷読出しパルスは、読出しパルス制御装置16からマイクロコンピュータ12に与えられる。また、電子シャッターパルスは、電子シャッター制御装置15からマイクロコンピュータ12に与えられる。
【0035】
マイクロコンピュータ12は、与えられた電子シャッターパルス及び電荷読出しパルスに基づいて、図4の期間T21内に赤目緩和用のストロボ発光(閃光)のタイミングを調整する。期間T21は、現在読み出している1画面分の画像信号の最後の読出しラインにおける電荷シャッターパルスが出力された後であり、かつ、次に読み出す1画面分の画像信号の最初の読出しラインにおける電荷読出しパルスが出力される前に対応する。これによって、1画面分の画像信号における全ての読出しラインに均一に赤目緩和用ストロボ発光を行うことができる。その結果、図10(c)に示すように、1画面分の画像信号の全面に赤目緩和用のストロボ光が照射された画像信号を得ることができる。
【0036】
図5は、本実施形態に係る撮像装置の赤目緩和用のストロボ発光制御を示すフローチャートを示す図である。
【0037】
ステップS201では、赤目緩和制御判断回路22は、撮像装置の内部又は外部の操作によりI/O24を介して取得した赤目緩和機能のON/OFFに基づいて、ストロボ撮影の赤目緩和機能が選択されたか否かを判断する。赤目緩和機能が選択されたと判断された場合にはステップS202へ進み(ステップS201で「YES」)、赤目緩和機能が選択されていないと判断された場合にはステップS201へ戻る(ステップS201で「NO」)。
【0038】
ステップS202では、マイクロコンピュータ12は、電子シャッターの速度がある一定以上であるか否かを判断する。電子シャッターの速度がある一定以上であると判断された場合にはステップS203へ進み(ステップS202で「YES」)、電子シャッターの速度がある一定以上でないと判断された場合にはステップS201へ戻る(ステップS202で「NO」)。
【0039】
ステップS203では、マイクロコンピュータ12は、赤目緩和用のストロボ発光のタイミング制御を開始する。具体的には、マイクロコンピュータ12は、電子シャッター制御装置15から電子シャッターパルスを、読出しパルス制御装置16から撮像素子8の電荷読出しパルスをそれぞれ取得し、これらのパルスをストロボ発光演算装置21に送る。
【0040】
ステップS204では、ストロボ発光演算装置21は、電荷読出しパルスと電子シャッターパルスのタイミング情報に基づいて、ストロボ発光管19で発光させるタイミングと発光回数を演算する。
【0041】
ステップS205では、マイクロコンピュータ12は、ステップS204で演算したタイミングを発光制御回路20内のタイマ等に設定し、ストロボ発光管19の発光回数を発光制御回路20に設定する。なお、マイクロコンピュータ12は、ストロボ発光管19の発光回数を設定せずに、ステップS203又はステップS204へ進み、次の発光タイミングを同様に再度演算し、タイマ等に設定してもよい。
【0042】
ステップS206では、ストロボ発光管19は、発光制御回路20に設定されたタイミングと発光回数に基づいてストロボ発光を行い、赤目緩和用の全ての発光が終わると制御が終了する。
【0043】
なお、上記の説明ではタイマカウンタを用いる構成としたが、マイクロコンピュータ12内でタイミングを計ったり、外部回路でタイミングを計ったりしてもよい。
【0044】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の好適な第3の実施形態に係る撮像装置の動作を例示的に示すタイミング図である。第3の実施形態に係る撮像装置の構成は、図1に示す第1の実施形態に輝度補正回路25を追加した構成となっている。
【0045】
本実施形態では、電子シャッターの速度がある一定の範囲内にあり、赤目緩和用のストロボ発光のタイミングが自由に設定される。ここでは、一例として、図7に示すようにT31の期間内に設定するが、本実施形態はこれに限定されない。このような発光タイミングでは、図10(a)に示すように、帯状の輝度差が現れた画像信号となる。
【0046】
そこで、本実施形態に係る撮像装置は、1画面分の画像信号のうち撮像素子8の蓄積時間内にストロボ発光管19による閃光が照射される領域を演算し、その領域内のストロボ発光管19による閃光による輝度の変化を補正する輝度補正回路25を備える。輝度補正回路25を用いて、赤目緩和用のストロボ発光による輝度の変化を補正することによって、図10(d)に示すように、赤目緩和用のストロボ発光による輝度差がない画像信号を得ることができる。輝度補正回路25による輝度補正としては、例えば、ゲイン制御や補完による輝度補正などを用いることができる。
【0047】
次に、本実施形態における撮像装置の赤目緩和用のストロボ発光および輝度補正制御について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0048】
ステップS301では、赤目緩和制御判断回路22は、撮像装置の内部又は外部の操作によりI/O24を介して取得した赤目緩和機能のON/OFFに基づいて、ストロボ撮影の赤目緩和機能が選択されたか否かを判断する。赤目緩和機能が選択されたと判断された場合にはステップS302へ進み(ステップS301で「YES」)、赤目緩和機能が選択されていないと判断された場合にはステップS301へ戻る(ステップS301で「NO」)。
【0049】
ステップS302では、マイクロコンピュータ12は、電子シャッターの速度が一定範囲内にあるか否かを判断する。電子シャッターの速度が一定範囲内にあると判断された場合にはステップS303へ進み(ステップS302で「YES」)、電子シャッターの速度が一定範囲内でないと判断された場合にはステップS301へ戻る(ステップ302で「NO」)。
【0050】
ステップS303では、マイクロコンピュータ12は、通常時の赤目緩和用のストロボ発光と同様にして、ストロボ発光管19で発光させるタイミングと発光回数を演算する。なお、通常時の赤目緩和用のストロボ発光のタイミング設定は、上述のように自由に行われるため、そのままでは図7に示すように1画面分の画像信号内に赤目緩和用のストロボ発光による輝度差が生じうる。
【0051】
ステップS304では、マイクロコンピュータ12は、ステップS303で演算したタイミングを発光制御回路20内のタイマ等に設定し、ストロボ発光管19の発光回数を発光制御回路20に設定する。
【0052】
ステップS305では、輝度補正回路25は、ステップS304で設定されたタイミングと発光回数に基づいて、撮像素子8の蓄積時間内に1画面分の画像信号のどの領域がストロボ発光管19のストロボ光により照射されるかを演算する。図7に示すように、電荷蓄積が実行される時間(「読み出す電荷」と示された期間)は、読出しライン毎に一定の間隔でずれている。したがって、最初の読出しラインにおける電子シャッターパルス及び電荷読出しパルスの出力されるタイミングと、ステップS304で設定されたタイミングと発光回数を比較する。これによって、どの読出しラインに、どの程度時間だけストロボ光が照射されているかを演算することができる。そして、輝度補正回路25は、ストロボ発光管19によりその領域内に生じた輝度の変化を補正する。この補正が終わると制御が終了する。
【0053】
このような補正により、図10の(a)に示す帯状の輝度差を持つ1画面分の画像信号を、図10(d)に示すように1画面分の画像信号に赤目緩和用のストロボ発光による輝度差が生じないものにすることができる。
【0054】
(第4の実施形態)
図9は、本発明の好適な第4の実施形態に係る撮像装置の赤目緩和用のストロボ発光制御を示すフローチャートを示す図である。なお、第4の実施形態に係る撮像装置の構成は、図1に示す第1の実施形態に係る撮像装置の構成と同様である。
【0055】
ステップ901では、マイクロコンピュータ12は、撮像素子8における蓄積時間が一定時間以内であるか否かを判断する。この蓄積時間は、電子シャッター制御装置15からの出力に基づいて、電子シャッターがある一定の速度以上(蓄積時間が一定時間以内)であるか否かにより判断すればよい。撮像素子8における蓄積時間が一定時間以内にあると判断された場合にはステップS902へ進み(ステップS901で「YES」)、撮像素子8における蓄積時間が一定時間を超えると判断された場合にはステップS903へ進む(ステップS901で「NO」)。ここで、一定時間とは、図3の期間T11が、赤目緩和効果を得るために十分な長さとなるための時間である。
【0056】
ステップS902では、マイクロコンピュータ12は、第1のストロボ発光制御を実行する。第1のストロボ発光制御は、図3に示すフローチャートのステップS102〜ステップS105と同様である。
【0057】
ステップS903では、マイクロコンピュータ12は、第2のストロボ発光制御を実行する。第2のストロボ発光制御は、図8に示すフローチャートのステップS303〜ステップS306と同様である。
【0058】
このように、撮像素子8における蓄積時間(露光時間)に応じて、赤目緩和用のストロボ発光のタイミングを切り替える。これによって、露光時間が変わった場合でも1画面分の画像信号内に赤目緩和用のストロボ発光による輝度差が生じさせないように処理することができる。なお、赤目緩和効果を得るための発光手段としては、ストロボ発光管の代わりにビデオライトや高輝度LEDを用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の好適な第1の実施形態に係る撮像装置の構成を例示的に示すブロック図である。
【図2】本発明の好適な第1の実施形態に係る撮像装置の動作を例示的に示すタイミング図である。
【図3】本発明の好適な第1の実施形態に係る撮像装置のストロボ発光制御を示すフローチャートを示す図である。
【図4】本発明の好適な第2の実施形態に係る撮像装置の動作を例示的に示すタイミング図である。
【図5】本発明の好適な第2の実施形態に係る撮像装置のストロボ発光制御を示すフローチャートを示す図である。
【図6】本発明の好適な第3の実施形態に係る撮像装置の構成を例示的に示すブロック図である。
【図7】本発明の好適な第3の実施形態に係る撮像装置の動作を例示的に示すタイミング図である。
【図8】本発明の好適な第3の実施形態に係る撮像装置のストロボ発光制御を示すフローチャートを示す図である。
【図9】本発明の好適な第4の実施形態に係る撮像装置のストロボ発光制御を示すフローチャートを示す図である。
【図10】帯状の輝度差が生じた1画面分の画像信号(a)と、赤目緩和用のストロボ発光による輝度差が除去された1画面分の画像信号(b)〜(d)とを示す図である。
【符号の説明】
【0060】
8 撮像素子
12 マイクロコンピュータ
15 電子シャッター制御装置
16 読出しパルス制御装置
19 ストロボ発光管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有し、被写体像を前記複数の画素で光電変換して1画面分の画像信号として出力する撮像手段と、
被写体像の赤目を緩和するために発光する発光手段と、
前記1画面分の画像信号に対応する前記複数の画素を読出しライン毎に異なるタイミングで順次リセットするための第1のパルスを出力する第1の制御手段と、
前記1画面分の画像信号に対応する前記複数の画素から前記1画面分の画像信号を読出しライン毎に異なるタイミングで順次読み出すための第2のパルスを出力する第2の制御手段と、
前記第1のパルスの出力から前記第2パルスの出力までの蓄積時間に応じて前記発光手段による発光のタイミングを調整する調整手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記1画面分の第1の画像信号の最後の読出しラインにおける前記第2のパルスが出力された後であり、かつ、前記第1の画像信号の次に出力される1画面分の第2の画像信号の最初の読出しラインにおける前記第1のパルスが出力される前に発光するように、前記発光手段による発光のタイミングを調整することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記1画面分の第1の画像信号の最後の読出しラインにおける前記第1のパルスが出力された後であり、かつ、前記第1の画像信号の次に出力される1画面分の第2の画像信号の最初の読出しラインにおける前記第2のパルスが出力される前に発光するように、前記発光手段による発光のタイミングを調整することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記調整手段により調整された前記発光手段による発光のタイミングに基づいて、前記1画面分の画像信号のうち前記蓄積時間内に前記発光手段による光が照射される領域を演算し、その領域内の前記光による輝度の変化を補正する輝度補正手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記調整手段は、
前記蓄積時間が一定時間以内であれば、前記1画面分の第1の画像信号の最後の読出しラインにおける前記第2のパルスが出力された後であり、かつ、前記第1の画像信号の次に出力される1画面分の第2の画像信号の最初の読出しラインにおける前記第1のパルスが出力される前に発光するように、前記発光手段による発光のタイミングを調整し、
前記蓄積時間が一定時間を超えれば、前記1画面分の第1の画像信号の最後の読出しラインにおける前記第1のパルスが出力された後であり、かつ、前記第1の画像信号の次に出力される1画面分の第2の画像信号の最初の読出しラインにおける前記第2のパルスが出力される前に発光するように、前記発光手段による発光のタイミングを調整することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、XYアドレス方式の撮像素子であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
複数の画素を有し、被写体像を前記複数の画素で光電変換して1画面分の画像信号として出力する撮像手段と、被写体像の赤目を緩和するために発光する発光手段とを備える撮像装置の制御方法であって、
前記1画面分の画像信号に対応する前記複数の画素を読出しライン毎に異なるタイミングで順次リセットするための第1のパルスを出力する工程と、
前記1画面分の画像信号に対応する前記複数の画素から前記1画面分の画像信号を読出しライン毎に異なるタイミングで順次読み出すための第2のパルスを出力する工程と、
前記第1のパルスの出力から前記第2パルスの出力までの蓄積時間に応じて前記発光手段による発光のタイミングを調整する工程と、
を含むことを特徴とする撮像装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−177963(P2008−177963A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10828(P2007−10828)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】