説明

撮像装置及びその制御方法

【課題】 瞳分割された画素を含む焦点検出用画素に欠陥がある場合に、適切に焦点検出を行う。
【解決手段】 撮像装置は、2次元に配置された画素のうち少なくとも一部の画素が瞳分割された焦点検出用画素として構成された撮像素子(104)と、メモリに記憶された前記焦点検出用画素(401、402)の位置情報を前記メモリから読み出すメモリ制御回路(113)と、前記焦点検出用画素の位置情報に基づいて前記撮像素子における前記焦点検出用画素の位置を特定し、欠陥がある焦点検出用画素の画素信号を、欠陥が無い焦点検出用画素の画素信号で補正する焦点検出用画素補正回路(110)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びその制御方法に関し、特に、焦点評価用の画素を用いて焦点検出を行う撮像装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラなどの撮像装置が備える撮像素子は高画素化が進んでいるため、高速かつ高精度な画像処理を行うことが課題となっている。一方、従来より、撮像素子の一部の領域を焦点調節のために使用し、オートフォーカス(以下「焦点検出」という。)を高速かつ高精度に行う方法が提案されている。
【0003】
特許文献1は、撮像素子のR,G,Bの色フィルタのうち、一部のG色の色フィルタの位置に瞳分割された焦点検出用画素(以下「焦点検出用画素」という。)が配置された撮像装置を開示している。この焦点検出用画素から得られた情報に基づいて焦点検出が行われる。焦点検出用画素からは焦点検出用の画素信号が得られるが、撮像画像用の画素信号は得られない。そのため、撮像画像用の画素信号が得られる撮像用画素の画素信号に基づいて補正する必要がある。
【0004】
これに対し、特許文献2は、焦点検出用画素の位置で欠落した撮影画像用の画像信号を、焦点検出用画素の周辺画素から得られる画像信号で補間する方法を開示している。しかしながら、焦点検出用画素に白傷や黒傷などの撮像素子の製造工程で生じた欠陥がある場合には、焦点検出用画素から得られる焦点検出用の画素信号を焦点検出用画素の周辺画素の画像信号で補正することは困難である。
【0005】
特許文献3は、焦点検出用画素に欠陥がある場合に、焦点検出用画素の近傍の撮像用画素を焦点検出用画素として使用することによって、焦点検出用画素に欠陥のない場合と同様に焦点検出を行うことを開示している。
【0006】
【特許文献1】特開2000−156823号公報
【特許文献2】特開2000−305010号公報
【特許文献3】特開2001−177756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3では、焦点検出用画素が瞳分割された画素で構成されておらず、撮像用画素と同様に構成されていることが前提となっている。そのため、焦点検出用画素が瞳分割された画素で構成された場合、焦点検出用画素に欠陥があると、近傍の撮像用画素を用いて焦点検出用の画像信号を補正することは難しい。
【0008】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、瞳分割された画素を含む焦点検出用画素に欠陥がある場合に、適切に焦点検出を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、2次元に配置された画素のうち少なくとも一部の画素が瞳分割された焦点検出用画素として構成された撮像素子と、メモリに記憶された前記焦点検出用画素の位置情報を前記メモリから読み出す記憶制御手段と、前記焦点検出用画素の位置情報に基づいて前記撮像素子における前記焦点検出用画素の位置を特定し、欠陥がある焦点検出用画素の画素信号を、欠陥が無い焦点検出用画素の画素信号で補正する補正手段と、を備える。
【0010】
また、2次元に配置された画素のうち少なくとも一部の画素が瞳分割された焦点検出用画素として構成された撮像素子を備える撮像装置の本発明の制御方法は、メモリに予め記憶された前記焦点検出用画素の位置情報を、前記メモリから読み出す工程と、前記焦点検出用画素の位置情報に基づいて前記撮像素子における前記焦点検出用画素の位置を特定し、欠陥がある焦点検出用画素の画素信号を欠陥が無い焦点検出用画素の画素信号で補正する補正工程と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、瞳分割された画素を含む焦点検出用画素に欠陥がある場合にも、適切に焦点検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の好適な第1の実施形態に係る撮像装置の回路構成を示すブロック図である。101は複数の撮像レンズ(撮影光学系)、102は撮像レンズ101を駆動させるレンズ駆動回路である。103は露出の調整を行う絞りである。104は入射する光を光電変換する光電変換素子で構成された画素が2次元に配置され、その少なくとも一部の画素が焦点検出用の焦点検出用画素として構成された撮像素子である。105は設定された周期の水平同期信号HD及び垂直同期信号VDを生成する同期信号発生器(以下「SSG」という。)である。106は水平同期信号HDと垂直同期信号VDに同期した撮像素子104を駆動させる制御信号を生成するタイミングジェネレータ(以下「TG」という。)である。107はアナログの電気信号をデジタルに変換するA/D変換回路である。108は撮像素子104における焦点検出用画素や欠陥画素の位置を示すフラグ(位置情報)を出力する補正フラグ回路である。109は補間などの補正処理を行う現像画素補正回路である。現像画素補正回路109は、A/D変換回路107から出力される画像データに含まれる傷データ及び焦点検出用画素のデータを補正フラグ回路108から出力されるフラグに基づいて、撮像素子104における焦点検出用画素や欠陥画素の位置を特定する。110はA/D変換回路107から出力される画像データに含まれる焦点検出用画素のデータを抽出し、欠陥のある焦点検出用画素のデータを補正する焦点検出用画素補正回路である。111は色変換処理などを行う現像処理回路である。112は複数のペアの焦点検出用画素より得られた画素信号から位相差を検出し、焦点ずれ量を求める位相差焦点検出回路である。114はDRAM等のメモリである。113はメモリ114とのインターフェースを行うメモリ制御回路である(記憶制御手段)。メモリ制御回路113は、後述する補正情報301、1201をメモリ114に記憶させる機能を有する。115は画像データのサイズを変倍する変倍回路である。116は各回路のモードやパラメータを決定するシステムコントローラである。118は画像データを表示するモニタである。117は画像データをモニタ118に表示させるために変調を行うビデオ変調回路である。119は画像データをJPEG圧縮方式などの圧縮方式で圧縮するための圧縮回路である。121は圧縮回路で圧縮された画像データを記録する取外し可能なメディアカードである。120はメディアカード121とのインターフェースを行うカード制御回路である。
【0014】
次に、図1に示す回路の撮像動作について説明する。なお、図15は本第1の実施形態の補正処理の手順を示すフローチャートであり、適宜参照しながら説明する。
【0015】
撮像レンズ101は、システムコントローラ116によって制御されるレンズ駆動回路102によって焦点調節を行うよう駆動される。撮像レンズ101を通過した光は、絞り103において適正な露出調整が行われ、撮像素子104において光から電気信号への光電変換が行われる。TG106は、SSG105において生成される水平同期信号HD及び垂直同期信号VDに同期して撮像素子104が動作するようにタイミング信号を生成し、撮像素子104を制御する。撮像素子104から出力されるアナログの画像データは、A/D変換回路107においてデジタルの画像データに変換される。補正フラグ回路108において、図2におけるROM201に予め記憶された補正情報に従って、傷フラグ、焦点検出用画素フラグを動作させる。
【0016】
ここで、図2を用いて補正フラグ回路108について説明する。
【0017】
ROM201は、補正情報301を記録する。カウンタ203は、SSG105から出力されるHDおよびVDに依存したカウンタである。コンパレータ204は、補正情報301に含まれる画素アドレス302の値とカウンタ203から出力されるカウンタ値を比較し、等しければHighレベルを出力し、等しくなければLowレベルを出力する。AND回路205は、コンパレータ204でHighレベルが出力された場合には補正情報301に含まれる傷ビット304を出力し、Lowレベルが出力された場合には常にLowレベルを出力する。AND回路206は、コンパレータ204でHighレベルが出力された場合には補正情報301に含まれる焦点検出用画素ビット303を出力し、Lowレベルが出力された場合には常にLowレベルを出力する。
【0018】
カウンタ203は、SSG105から出力される水平同期信号HD及び垂直同期信号VDに従って画素数をカウントする。ROM201には、図3に示すように補正情報301が記録されている。なお、補正情報301は、1画素分の情報を保持している。ここでは、32bitの補正情報301が記録される場合を例に挙げるが、本発明はこれに限定されない。補正情報301には、補正を行う画素の位置を示す情報である画素アドレス302と、焦点検出用画素ビット303と、傷ビット304とが含まれる。ここでは、画素アドレス302を30bit、焦点検出用画素ビット303を1bit、傷ビット304を1bitとするが、本発明はこれに限定されない。
【0019】
傷ビット304は、“0”のときは画素に傷がないことを示し、“1”のときは画素に傷があることを示す。焦点検出用画素ビット303は“0”ときは撮像用画素を示し、“1”のときは焦点検出用画素を示す。
【0020】
ここで、焦点検出用画素の構成について図4を参照して説明する。図4(a)は、焦点検出用画素の上面図、図4(b)は焦点検出用画素の断面図を示す。図4に示すように、領域403及び404が受光部分であり、A像用の第1の焦点検出用画素401とB像用の第2の焦点検出用画素402とで瞳が左右に対称的に分割されている。これにより、第1の焦点検出用画素401と第2の焦点検出用画素402は、撮像レンズ101の異なる瞳領域を通過した光束をそれぞれ受光する。
【0021】
カウンタ203の値がROM201から読み出された画素アドレス302と等しくなると(ステップS11)、次のように動作する。即ち、傷ビット304及び焦点検出用画素ビット303の情報に従い、それぞれ欠陥の有無を示す傷フラグ(欠陥情報)及び焦点検出用画素フラグ(焦点検出用画素の位置情報)として出力する。
【0022】
図1において、A/D変換回路107から出力される画像データと、補正フラグ回路108から出力される傷フラグ及び焦点検出用画素フラグは、現像画素補正回路109及び焦点検出用画素補正回路110へ入力される。
【0023】
補正情報301をROM201に記憶させる必要がある画素の条件は、撮像用画素に傷がある場合、焦点検出用画素である場合及び焦点検出用画素に傷がある場合である。焦点検出用画素は、例えば、図8に示すように配置されている。焦点検出用画素A像AF_A0〜AF_A2の右下には、それとペア(対)になる焦点検出用画素B像AF_B0〜AF_B2が配置される。例えば、焦点検出用画素A像AF_A0に傷がある場合、そのペアである焦点検出用画素B像AF_B0に傷がなくても、傷があるものとして同様の補正を行う。従って、ペアの焦点検出用画素の一方が傷である場合、そのペアである他方の焦点検出用画素の傷ビットも“1”にして、ROM201に記憶させる。また、傷のある一方の焦点検出用画素だけを補正し、傷のない他方を補正せず、そのまま焦点検出のためのデータとして使用してもよい。また、焦点検出用画素に傷がある場合には、両方とも使用しなくてもよい。なお、ペアとなる画素は、最も近傍の画素には限られず、合焦状態に応じて変更されうる。
【0024】
次に、図5を用いて、現像画素補正回路109の動作について説明する。現像画素補正回路109は、傷フラグまたは焦点検出用画素フラグが出力されている場合(ステップS12でNO)に、該当する画素の補正処理を実行する。
【0025】
A/D変換回路107から出力された画像データは、ラインメモリ501〜505に順次記憶される。補正の対象となる画像データを出力した画素(以下、「補正対象画素」と呼ぶ。)は、ラインメモリ501〜505の中心位置に来た画素、すなわちラインメモリ503の中心に位置する画素である。傷フラグ及び焦点検出用画素フラグは、それぞれ補正対象画素の情報を示すように遅延されている。演算回路506において、補正対象画素の周辺にある撮像用画素から出力された画像データを用いて、補正対象画素の画像データを補正する(ステップS13)。
【0026】
撮像用画素の画像データを用いて補正された画素データと置き換えられるのは、焦点検出用画素又は欠陥がある撮像用画素の画像データである。従って、セレクタ508において、補正フラグ回路108から出力された傷フラグ又は焦点検出用画素フラグが立っている画素に対しては、演算回路506において補正された画素データを出力する。傷フラグも焦点検出用画素フラグも立っていない画素に対しては、ラインメモリ503の中心に位置する補正対象画素の画像データを、演算することなくそのまま出力する。セレクタ508の出力は、現像処理回路111へ入力される。
【0027】
ここで、演算回路506の演算方法について説明する。
【0028】
図6は、A/D変換回路107から出力された画像データがラインメモリ501〜505に記憶され、傷が付いた撮像用画素R0を補正する様子を説明する図である。なお、図6において、R、G、Bはそれぞれ画素に赤、緑、青のフィルターがかけられていることを示している。
【0029】
撮像用画素R0の近傍にある撮像用画素R1〜R8に傷がついていないものとし、焦点検出用画素も配置されていない場合を考える。このとき、R1−R2方向、R3−R4方向、R5−R6方向、R7−R8方向のうち最も画像の相関性の高い2画素から補正を行う。例えば、R1−R2方向の相関性が最も高ければ、R0=(R1+R2)/2とする。
【0030】
現像処理回路111において、現像画素補正回路109から出力される傷補正された画像データに対して、色変換処理、ガンマ処理、ホワイトバランス処理などの信号処理が行われ、メモリ制御回路113によってメモリ114へ書き込まれる。
【0031】
次に、図1における焦点検出用画素補正回路110の動作について、図7を用いて説明する。焦点検出用画素補正回路110は、傷フラグ及び焦点検出用画素フラグが共に出力されている場合(ステップS12でYES)に、該当する画素の補正処理を実行する。
【0032】
A/D変換回路107から出力された画像データは、AND回路712において焦点検出用画素フラグが“1”である画素データが通され、ラインメモリ701〜709に順次記憶される。補正対象画素は、ラインメモリ701〜709における中心位置に来た画素、すなわちラインメモリ705の中心に位置する画素である。傷フラグ及び焦点検出用画素フラグは、それぞれ補正対象画素の情報を示すように遅延されている。演算回路714において、補正対象画素の周辺にある焦点検出用画素から出力された画像データを用いて、補正対象画素の画像データを補正する。
【0033】
セレクタ715において、補正フラグ回路108から出力された傷フラグと焦点検出用画素フラグがどちらも立っているとき、すなわち傷のある焦点検出用画素に対しては、次のように動作する。演算回路714において補正された画素データを出力し、傷のない焦点検出用画素に対しては、ラインメモリ705の中心に位置する補正対象画素の画像データを、演算することなくそのまま出力する。セレクタ715の出力は、位相差焦点検出回路112へ入力される。
【0034】
ここで、演算回路714における演算方法について説明する。
【0035】
図8は、ラインメモリ701〜709に記憶された焦点検出用画素データのうち、傷がついた焦点検出用画素AF_A0を補正する様子を説明する図である。
【0036】
焦点検出用画素の瞳は、図4に示したとおり左右に対称的に分割されている。このような構成は、縦縞を検出し易い性質があるため、上下の画素の相関性が高い。従って、補正対象画素の相関性を判断し(ステップS14)、判断結果に基づいて、この場合には焦点検出用画素AF_A0の画像データは、上下の焦点検出用画素の画像データから補正を行うものとする(ステップS15)。
【0037】
焦点検出用画素A像AF_A0の近傍の上下にある焦点検出用画素AF_A1及びAF_A2に傷がついていない場合を考える。焦点検出用画素AF_A0の画像データの補正演算は、AF_A0=(AF_A1+AF_A2)/2となる。また、焦点検出用画素AF_A0のペアである傷の無い焦点検出用画素AF_B0についても傷フラグを“1”に設定しているため、AF_B0=(AF_B1+AF_B2)/2となる補正演算も行う。
【0038】
位相差焦点検出回路112において、焦点検出用画素補正回路110から出力される傷補正された焦点検出用画素データの焦点検出を行い、その位相差情報をシステムコントローラ116に送る。システムコントローラ116は、送られた位相差情報に基づいてレンズ駆動回路102を制御し、撮像レンズ101の調整を行う。
【0039】
現像処理回路111では信号処理を行い、メモリ114に記憶された画像データはメモリ制御回路113によって変倍回路115に読み出される。
【0040】
変倍回路115では、画像データのサイズを、モニタ118に表示するためのサイズに変倍するか、或いはメディアカード121に記録するためのサイズに変倍する。
【0041】
変倍された画像データは、メモリ制御回路113によってメモリ114に書き込まれる。また、変倍された画像データはメモリ114からビデオ変調回路117に読み出され、NTSCやPALなどに変調され、モニタ118に画像データが表示されうる。また、変倍された画像データはメモリ114から圧縮回路119に読み出され、JPEGなどの圧縮方式をに従い圧縮を行い、メモリ114に書き込まれうる。また、圧縮された画像データはメモリ114からカード制御回路120に読み出され、メディアカード121に書き込まれうる。
【0042】
以上のように、撮像用画素と焦点検出用画素を区別するため、欠陥のある撮像用画素の画像信号は撮像用画素の画像信号で補正を行い、欠陥のある焦点検出用画素の画像信号は焦点検出用画素の画像信号で補正を行うことが可能となる。その結果、撮像用画素と焦点検出用画素の画像信号とを並列して補正処理することができる。また、焦点検出用画素のペアのうち、片方だけに欠陥がある場合でも、両方の画素から出力される画像信号に対して補正を行うことによって、焦点検出のための情報が不均衡になることを防止することができる。
【0043】
なお、デフォーカス状態では、欠陥のある焦点検出用画素の画像信号を、焦点検出用画素の画像信号で補正しても、撮像用画素の画像信号で補正しても、それ程変わらない場合もある。その場合、撮像装置の合焦状態に応じて、焦点検出用画素以外の撮像用画素の画素信号に基づいて、欠陥がある焦点検出用画素の画素信号を補正するように構成されてもよい。
【0044】
(第2の実施形態)
図9は、本発明の好適な第2の実施形態に係る撮像装置の回路構成図を示す。以下、図9に示す回路の撮像動作について説明する。なお、図1と同様の構成には同じ参照番号を付し、適宜説明を省略する。また、図16は本第2の実施形態の補正処理の手順を示すフローチャートであり、適宜参照しながら説明する。なお、図15と同様の処理には同じステップ番号を付している。
【0045】
第1の実施形態と同様に、撮像レンズ101から入射した光は、撮像素子104において電気信号へ光電変換され、A/D変換回路107においてデジタルの画像データに変換される。
【0046】
補正フラグ回路1008において、図10におけるROM1101に予め記憶させた補正情報に従って、傷フラグ、焦点検出用画素フラグ、ABフラグ(画素情報)、瞳分割方向フラグ(瞳分割情報)を動作させる。
【0047】
ここで、図10を用いて補正フラグ回路1008について説明する。
【0048】
ROM1101は、補正情報1201を記録する。カウンタ1103は、SSG105から出力されるHDおよびVDに依存したカウンタである。コンパレータ1104は、補正情報1201に含まれる画素アドレス1202の値とカウンタ1103から出力されるカウンタ値を比較し、等しければHighレベルを出力し、等しくなければLowレベルを出力する。AND回路1105は、コンパレータ204でHighレベルが出力された場合には補正情報1201に含まれる傷ビット1206を出力し、Lowレベルが出力された場合には常にLowレベルを出力する。AND回路1106は、コンパレータ1104でHighレベルが出力された場合には補正情報1201に含まれる焦点検出用画素ビット1205を出力し、Lowレベルが出力された場合には常にLowレベルを出力する。AND回路1107は、コンパレータ1104でHighレベルが出力された場合には補正情報1201に含まれるABビット1204を出力し、Lowレベルが出力された場合には常にLowレベルを出力する。AND回路1108は、コンパレータ1104でHighレベルが出力された場合には補正情報1201に含まれる瞳分割方向ビット1203を出力し、Lowレベルが出力された場合には常にLowレベルを出力する。
【0049】
カウンタ1103は、SSG105から出力される水平同期信号HD及び垂直同期信号VDに従って画素数をカウントする。ROM1101には、図11に示すように補正情報1201が記録される。なお、補正情報1201は、1画素分の情報を保持している。ここでは、32bitの補正情報1201が記録される場合を例に挙げるが、本発明はこれに限定されない。補正情報1201には、補正を行う画素の位置を示す情報である画素アドレス1202と、瞳分割方向ビット1203と、ABビット1204と、焦点検出用画素ビット1205と、傷ビット1206とが含まれる。ここでは、画素アドレス1202を27bit、瞳分割方向ビット1203を2bit、ABビット1204を1bit、焦点検出用画素ビット1205を1bit、傷ビット1206を1bitとしたが、本発明はこれに限定されない。
【0050】
焦点検出用画素ビット1205は“0”のときは撮像用画素を示し、“1”のときは焦点検出用画素を示す。傷ビット1206は“0”のときは傷がないことを示し、“1”のときは傷があることを示す。第1の実施形態と同様に、第2の実施形態においても、ペアの焦点検出用画素の一方が傷である場合、ペアの他方の焦点検出用画素の傷ビットを“1”にして、ROM1101に記憶させる。
【0051】
瞳分割方向ビット1203は、図12に示すように瞳が分割される方向を示す。領域1311〜1318は受光部分である。
【0052】
瞳分割方向ビット1203が“00”のときは、A像用の焦点検出用画素1301及びB像用の焦点検出用画素1302として表されているように、瞳が左右方向に分割されていることを示している。
【0053】
瞳分割方向ビット1203が“01”のときは、A像用の焦点検出用画素1303及びB像用の焦点検出用画素1304として表されているように、瞳が上下方向に分割されていることを示している。
【0054】
瞳分割方向ビット1203が“10”のときは、A像用の焦点検出用画素1305及びB像用の焦点検出用画素1306として表されているように、瞳が第1の斜め方向に分割されていることを示している。
【0055】
瞳分割方向ビット1203が“11”のときは、A像用の焦点検出用画素1307及びB像用の焦点検出用画素1308として表されているように、瞳が第2の斜めに分割されていることを示している。
【0056】
また、図12に示すように、2個の焦点検出用画素のうち一方をA像用、他方をB像用とし、A像用の焦点検出用画素を補正する場合には、A像用の焦点検出用画素で補正を行い、B像用の焦点検出用画素を補正する場合にはB像用の焦点検出用画素で補正を行う。
【0057】
ABビット1204が“0”のときは焦点検出用画素がA像用であることを示し、ABビット1204が“1”のときはB像用であることを示す。
【0058】
カウンタ1103の値がROM1101から読み出された画素アドレス1202と等しくなると(ステップS11)、次のように動作する。即ち、傷ビット1206、焦点検出用画素ビット1205、ABビット1204及び瞳分割方向ビット1203の情報に従って、それぞれ傷フラグ、焦点検出用画素フラグ、ABフラグ、瞳分割方向フラグが出力される。
【0059】
図9において、A/D変換回路107から出力される画像データはセレクタ1009及び現像画素補正回路1010に入力される。補正フラグ回路1008から出力される瞳分割方向フラグは、セレクタ1009へ入力される。また、補正フラグ回路1008から出力される傷フラグ、焦点検出用画素フラグ、ABフラグ及び瞳分割方向フラグは、セレクタ1009の後段の各回路1010〜1014へ入力される。
【0060】
現像画素補正回路1010は、傷フラグまたは焦点検出用画素フラグが出力されている場合(ステップS12でNO)に、該当する画素の補正処理を実行する(ステップS13)。なお、現像画素補正回路1010及び現像処理回路1015の動作は、第1の実施形態における現像画素補正回路109及び現像処理回路111と同様であるため、説明を省略する。
【0061】
図9におけるセレクタ1009は、補正フラグ回路1008から出力される2bitの瞳分割方向フラグに従って、A/D変換回路107から出力される画像データの行き先を決定する(ステップS23)。
【0062】
瞳分割方向フラグが“00”のときは(ステップS23で「左右」)、A/D変換回路1007から出力される画像データを上下焦点検出用画素補正回路1011へ入力させる。
【0063】
瞳分割方向フラグが“01”のときは(ステップS23で「上下」)、A/D変換回路1007から出力される画像データを左右焦点検出用画素補正回路1012へ入力させる。
【0064】
瞳分割方向フラグが“10”のときは(ステップS23で「第1の斜め」)、A/D変換回路1007から出力される画像データを第2の斜め方向焦点検出用画素補正回路1014へ入力させる。
【0065】
瞳分割方向フラグが“11”のときは(ステップS23で「第2の斜め」、A/D変換回路1007から出力される画像データを第1の斜め方向焦点検出用画素補正回路1013へ入力させる。
【0066】
そして、上述した各回路1011〜1014において、入力された画像データから焦点検出用画素を抽出し、焦点検出用画素の傷補正を行う。
【0067】
図13は、上下焦点検出用画素補正回路1011の回路構成を示している。なお、セレクタ1009は省略している。従って、セレクタ1009によってA/D変換回路107から上下焦点検出用画素補正回路1011に画像データが送られている場合の回路構成を示している。
【0068】
A/D変換回路107から出力された画像データは、AND回路1411において焦点検出用画素フラグが“1”である画素データが通され、ラインメモリ1401〜1409に順次記憶される。補正対象画素は、ラインメモリ1401〜1409における中心位置に来た画素、すなわちラインメモリ1405の中心に位置する画素である。瞳方向分割フラグ、ABフラグ、傷フラグ及び焦点検出用画素フラグは、それぞれ補正対象画素の情報を示すように遅延されている。演算回路1413において、瞳方向分割フラグ及びABフラグに従って、補正対象画素の周辺にある焦点調節用画素の画像データから補正対象画素の画像データを補正する。
【0069】
セレクタ1414において、補正フラグ回路1008から出力された傷フラグと焦点検出用画素フラグがどちらも立っているとき、すなわち傷のある焦点検出用画素に対しては、次のように動作する。演算回路1413において補正された画素データを出力し、それ以外のとき、すなわち傷のない焦点検出用画素に対しては、ラインメモリ1405の中心に位置する補正対象画素の画像データを、演算することなくそのまま出力する。セレクタ1414の出力は、横位相差焦点検出回路1016へ入力される。
【0070】
また、図13の回路構成図は左右焦点検出用画素補正回路1012、第1の斜め方向焦点検出用画素補正回路1013及び第2の斜め方向焦点検出用画素補正回路1014についても同様である。
【0071】
図14は、各回路1011〜1014におけるラインメモリ1401〜1409に記憶された焦点検出用画素データのうち、傷がついた焦点検出用画素AF_A0の画像データを補正する様子を説明する図である。A像用の焦点検出用画素AF_A0の近傍にあるA像用の焦点検出用画素AF_A1〜AF_A8に傷がついていない場合を考える。
【0072】
上下焦点検出用画素補正回路1011においては、次のように動作する。すなわち、図12の焦点検出用画素1301及び焦点検出用画素1302に示したような瞳が左右に分割された焦点検出用画素の画像データの補正を行うために、瞳分割方向に垂直な上下の焦点検出用画素の画像データを用いて補正を行う(ステップS24)。従って、AF_A0=(AF_A1+AF_A2)/2となる演算を行う。また、焦点検出用画素AF_A0のペアである焦点検出用画素AF_B0についても傷フラグが“1”に設定されているので、AF_B0=(AF_B1+AF_B2)/2となる演算を行う。
【0073】
左右焦点検出用画素補正回路1012においては、次のように動作する。すなわち、図12の焦点検出用画素1303及び焦点検出用画素1304に示したような瞳が上下に分割されている焦点検出用画素の画像データの補正を行うために、瞳分割方向に垂直な左右の焦点検出用画素の画像データを用いて補正を行う(ステップS25)。従って、AF_A0=(AF_A3+AF_A4)/2となる演算を行う。また、AF_B0=(AF_B3+AF_B4)/2となる演算を行う。
【0074】
第1の斜め方向焦点検出用画素補正回路1013においては、図12の焦点検出用画素1307及び焦点検出用画素1308に示したような瞳分割方向が第2の斜め方向に分割された焦点検出用画素の画像データの補正を行う。そのために、第2の斜め方向に垂直な第1の斜め方向の焦点検出用画素の画像データを用いて補正を行う(ステップS26)。従って、AF_A0=(AF_A5+AF_A6)/2となる演算を行う。また、AF_B0=(AF_B5+AF_B6)/2となる演算を行う。
【0075】
第2の斜め方向焦点検出用画素補正回路1014においては、図12の焦点検出用画素1305及び焦点検出用画素1306に示したような瞳分割方向が第1の斜め方向に分割されている焦点検出用画素の画像データの補正を行う。そのために、第1の斜め方向に垂直な第2の斜め方向の焦点検出用画素の画像データを用いて補正を行う(ステップS27)。従って、AF_A0=(AF_A7+AF_A8)/2となる演算を行う。また、AF_B0=(AF_B7+AF_B8)/2となる演算を行う。
【0076】
ただし、デフォーカスした状態や遠近競合状態で、焦点検出用画素の補正を行うラインの近傍のラインに明るい被写体(輝点など)などが写っている場合などでは、瞳分割方向に垂直な方向の画素を用いて補正を行うことが有利にならない場合もありうる。
【0077】
各焦点検出用画素補正回路1016〜1019において傷補正された焦点検出用画素データを使用して焦点検出を行う。
【0078】
横位相差焦点検出回路1016、縦位相差焦点検出回路1017、第2の斜め方向位相差焦点検出回路1018及び第1の斜め方向位相差焦点検出回路1019において検出された位相差情報は、システムコントローラ116に送られる。システムコントローラ116は、送られた位相差情報に基づいてレンズ駆動回路102を制御し、撮像レンズ101の調整を行う。
【0079】
現像処理回路1015において信号処理された画像データは、変倍回路115によりモニタ118に表示するためのサイズに変倍され、モニタ118に表示される。または、現像処理回路1015において信号処理された画像データは、メディアカード114に記録するためのサイズに変倍され、圧縮回路119で圧縮した後、メディアカード114に書き込まれる。
【0080】
以上のように、焦点検出用画素の位相を区別するため、位相の精度を損うことなく、補正を行うことができる。また、焦点検出用画素ごとに瞳分割方向を区別するため、瞳分割の性質を損うことなく、補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の好適な第1の実施形態に係る撮像装置のブロック図である。
【図2】補正フラグ回路の回路図である。
【図3】ROMに記憶させる補正情報の構成図である。
【図4】焦点検出用画素のA像とB像を示す図である。
【図5】現像画素補正回路の回路図である。
【図6】演算回路における補正の対象画素と参照画素を示す図である。
【図7】焦点検出用画素補正回路の回路図である
【図8】演算回路における補正の対象画素と参照画素を示す図である。
【図9】本発明の好適な第2の実施形態に係る撮像装置のブロック図である。
【図10】補正フラグ回路の回路図である。
【図11】ROMに記憶させる補正情報の構成図である。
【図12】焦点検出用画素のA像とB像と、瞳分割方向ビットとの関係を示す図である。
【図13】上下焦点検出用画素補正回路の回路図である。
【図14】演算回路における補正の対象画素と参照画素を示す図である。
【図15】本発明の第1の実施形態における補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】本発明の第2の実施形態における補正処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
104 撮像素子
110 焦点検出用画素補正回路
113 メモリ制御回路
401、402 焦点検出用画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元に配置された画素のうち少なくとも一部の画素が瞳分割された焦点検出用画素として構成された撮像素子と、
メモリに記憶された前記焦点検出用画素の位置情報を前記メモリから読み出す記憶制御手段と、
前記焦点検出用画素の位置情報に基づいて前記撮像素子における前記焦点検出用画素の位置を特定し、欠陥がある焦点検出用画素の画素信号を、欠陥が無い焦点検出用画素の画素信号で補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記欠陥がある焦点検出用画素の画素信号を、当該画素信号と相関性が高い方向に位置する前記欠陥が無い焦点検出用画素の画素信号で補正することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記記憶制御手段は、前記画素の欠陥の有無を示す欠陥情報をメモリに記憶させ、
前記補正手段は、前記欠陥情報に基づいて、欠陥がある焦点検出用画素の画素信号を欠陥がない焦点検出用画素の画素信号で補正することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記焦点検出用画素は、瞳分割により、撮影光学系の異なる瞳領域を通過した光束をそれぞれ受光する第1の焦点検出用画素と第2の焦点検出用画素とからなる複数の対から成り、前記記憶制御手段は、前記第1の焦点検出用画素と前記第2の焦点検出用画素とを区別するための画素情報を前記メモリに更に記憶させ、
前記補正手段は、前記画素情報に基づいて、欠陥がある前記第1の焦点検出用画素の画素信号を欠陥がない前記第1の焦点検出用画素の画素信号で補正し、欠陥がある前記第2の焦点検出用画素の画素信号を欠陥がない前記第2の焦点検出用画素の画素信号で補正することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記補正手段は、前記第1の焦点検出用画素及び前記第2の焦点検出用画素のいずれか一方に欠陥がある場合、前記一方の欠陥がある画素の画素信号を補正することに加え、他方の欠陥がない画素の画素信号も補正することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記記憶制御手段は、前記瞳分割の方向を示す瞳分割情報を前記メモリに更に記憶させ、
前記補正手段は、前記瞳分割情報に基づいて、前記瞳分割の方向と垂直な方向に位置する欠陥がない焦点検出用画素の画像信号を用いて前記補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記補正手段は、前記撮像装置の合焦状態に応じて、前記2次元に配置された画素のうち前記特定した焦点検出用画素以外の画素の画素信号に基づいて、前記欠陥がある焦点検出用画素の画素信号を補正することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
2次元に配置された画素のうち少なくとも一部の画素が瞳分割された焦点検出用画素として構成された撮像素子を備える撮像装置の制御方法であって、
メモリに予め記憶された前記焦点検出用画素の位置情報を、前記メモリから読み出す工程と、
前記焦点検出用画素の位置情報に基づいて前記撮像素子における前記焦点検出用画素の位置を特定し、欠陥がある焦点検出用画素の画素信号を欠陥が無い焦点検出用画素の画素信号で補正する補正工程と、
を含むことを特徴とする撮像装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−163229(P2009−163229A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310697(P2008−310697)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】