説明

撮像装置及びそれにおける露出補正方法

【課題】対象を人間に限定することなく、また被写体等の検出は行わずに露出補正をすることを可能とする撮像装置などを提供する。
【解決手段】撮像装置から各撮影対象までの距離情報を取得する距離情報取得手段と、距離情報に基づいて露出補正しながら、各撮影対象を撮影する撮影手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像対象を撮像する撮像装置及びそれにおける露出補正方法に関し、特に、例えば、逆光等により被写体が黒飛び、または背景が白飛びする可能性がある場合に対応できる撮像装置及びそれにおける露出補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどの撮像装置において、逆光状態で撮影をする場合、一般的な露出制御を行うと、被写体が黒くつぶれる(黒飛び)現象が起きることが多々ある。そのため、露出時間を長くする逆光補正処理を行い、被写体が黒飛びしないようにしてきた。しかし、この逆行補正処理をした場合、逆光補正処理前には露出が最適であった景色が白く飛んでしまう(白飛び)現象が起こることが多々ある。それを克服するため、従来の撮影では被写体、景色が共につぶれないような露出の妥協点を見つけたり、被写体にストロボ光を当てたりして撮影を行ってきた。
【0003】
上記の課題に対して、幾つかの解決方法が提案されてきた中、人物などの主要被写体を抽出し、被写体領域に対して測光、測色を行い、適切な露出補正を行う提案が示されている。例えば、特許文献1には、人物の顔を抽出し、顔の肌領域、髪の毛領域、首領域等に分けて、それぞれに露出の重み付けを行う。そうして重み付け係数に従って人間の顔を適切に露出補正する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2006−211416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、カメラが撮影する対象は人間だけではなく、動物や景色もありうる。もし撮影対象に人間が居ない場合、従来のカメラの認識手段が機能せず、露出補正は行なわれない。現状の人物認識手段は顔モデルを予め内蔵させるため、同様に動物や景色を認識するには膨大な量のモデルを登録せねばならず、非現実的である。手動で対象を切り抜く方法もあるが、作業はとても面倒である。更に、被写体抽出とその領域に対しての輝度算出と2つのステップを行なうため、計算量は非常に多くなり時間もかかる。
【0005】
本発明は、そのような問題点を鑑みてなされたものであり、対象を人間に限定することなく、また被写体等の検出は行わずに露出補正をすることを可能とする撮像装置及び露出補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による露出補正方法は、撮像装置から各撮影対象までの距離情報を取得する距離情報取得ステップと、前記距離情報に基づいて露出補正しながら、前記各撮影対象を撮影する撮影ステップと、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明による露出補正方法は、上記の露出補正方法において、前記撮影ステップでは、前記撮像装置から所定の境界距離までの領域を近景領域とし、前記境界距離よりも遠くを遠景領域として露出補正することを特徴とする。
【0008】
更に、本発明による露出補正方法は、上記の露出補正方法において、前記撮影ステップは、撮影対象のうちに人物が含まれるか否かを判断するステップと、前記撮影対象のうちに人物が含まれる場合、撮像装置から前記人物までの距離を前記所定の境界距離とするステップと、を備えることを特徴とする。
【0009】
更に、本発明による露出補正方法は、上記の露出補正方法において、前記撮影ステップでは、前記近景領域の露出を前記遠景領域の露出よりも多くすることを特徴とする。
【0010】
更に、本発明による露出補正方法は、上記の露出補正方法において、前記撮影ステップでは、前記遠景領域の露出を前記近景領域の露出よりも多くすることを特徴とする。
【0011】
更に、本発明による撮像装置は、撮像装置から各撮影対象までの距離情報を取得する距離情報取得手段と、前記距離情報に基づいて露出補正しながら、前記各撮影対象を撮影する撮影手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、距離情報を利用して各撮影対象の露出補正を行うことによって、多様な対象に対して露出補正を行うことが出来る。また被写体検出を行なわないため、膨大な画像処理計算をせずに露出補正を行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では画像を撮影する撮影装置において測距および露出補正の全処理が行われる形態で説明を行う。
【0015】
図1は、本発明の実施形態による撮像装置の内部構成を表すブロック図である。
【0016】
撮像光学系100は、光学レンズ、絞り機構などで構成される。被写体や景色などの撮影対象は撮像光学系100を通して、撮影用撮像素子101と測距用撮像部102に結像される。
【0017】
撮影用撮像素子101は、CCDもしくはCMOSによって構成される。撮影用撮像素子101は、撮像光学系100によって結像された光像を、R(赤)、G(緑)、B(青)の色成分の画像信号に光電変換して出力するものである。
【0018】
測距用撮像部102は、複数のCCDもしくは複数のCMOSの他に受光レンズやバリア等によって構成される。画素単位で測距できれば使用する方法に制限はない。しかし、本実施形態では測距方法としてステレオ法を採用するため、撮影用撮像素子101と同等の画素数を持つ少なくとも2枚の撮像素子およびその素子に結像させる光学系が必須となる。ただし測距用の画像(以後、測距画像とする)は白黒でよいため、用いる撮像素子はR(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルターを必要としない。測距用撮像部102の構成は後に図2を参照して説明する。
【0019】
距離情報取得部103は、測距用撮像部102によって撮影された2枚の輝度画像(白黒画像)からステレオ法を用いて画素単位で距離情報を取得する。同時に2枚の輝度画像(白黒画像)から測距画像を構成する。測距画像は撮影後の露出補正に利用するため、後述する画像メモリ106や記録媒体111に記録される。
【0020】
領域指定部104は、測距画像を近景領域、中間領域、遠景領域の3つに分割するものである。分割のための領域指定の方法としては自動処理によるものと手動処理によるものの2通りがある。自動処理では、予め領域指定部104に用意されている境界距離Aと境界距離Bを用いて、撮像装置から境界距離Aまでを近景領域、境界距離Bから無限遠を遠景領域、それらの中間を中間領域として、測距画像を3つに区分する。ここで、距離Bは距離Aより長い。手動処理では、後述する距離露出設定IF(Interface)110を用いて、ユーザーが境界距離Aと境界距離Bを任意に設定する。こうして領域指定部104は測距画像を領域区分し、新たに領域画像を算出する。
【0021】
本実施形態では3つの領域に区分したが、近景領域と遠景領域の2つによる区分でも構わない。その場合、領域指定部104に用意されている距離は境界距離Aのみとなり、撮像装置から境界距離Aまでを近景領域、境界距離Aから無限遠を遠景領域として、領域を指定する。領域を2つのみにした方が計算量を抑えられるため、制御部107および領域指定部104の計算能力の低い撮像装置の場合に適している。
【0022】
画像処理部105は、撮影用撮像素子101から出力される画像信号をデータ化する役割とデータ化された撮影画像を領域別に露出補正する役割を持つものである。前者はホワイトバランス調整、γ補正、黒レベル補正等を行うもので、従来の撮像装置の画像処理部に備わっている。ホワイトバランス調整は、画像信号に対してR(赤)、G(緑)、B(青)の色成分のレベル変換を行うものである。γ補正は画素のγ特性を補正するものである。黒レベル補正は黒レベルを基準の黒レベルに補正するものである。後者は本実施形態のため新たに付加された役割で、領域指定部104で作成された領域画像に基づいて撮影画像の近景領域、中間領域、遠景領域に個別の露出補正を行う。補正の方法は自動と手動の2通りがある。自動の場合、予め画像処理部105に用意されたそれぞれの補正値を用いて近景領域、中間領域、遠景領域の補正を行う。この場合、近景領域での露出補正は明るめに、遠景領域での露出補正は暗めに、中間領域での露出補正は通常撮影と同じ露出とする。手動の場合、後述する距離露出補正IF110を使用して近景領域と遠景領域に対して任意の露出補正を設定する。
【0023】
画像メモリ106は、画像処理部105から出力される画像データを一時的に記憶する。例えば撮影待機状態において、撮影用撮像素子101により1/30秒毎に撮影された画像信号は画像処理部105により画像データ化され、画像メモリ106に一時的に記憶される。そして制御部107を介して表示部108に送信されることで、ライブビュー表示が行われる。また記録媒体111に記録された画像を再生する場合も、制御部107を介して一時的に画像メモリ106に記憶された後、順番に表示部108に送信され、再生表示を行うことになる。また上記に述べたように、測距画像を一時的に保管し、露出補正の制御にも用いる。
【0024】
制御部107は、主にCPUで構成され、撮像装置の心臓部にあたるものである。その役割は多岐にわたり、例えば撮影用撮像素子101および測距用撮像部102に撮影指示をする。また、撮影用撮像素子101および測距用撮像部102から出力された画像信号を予め記憶されたプログラムに従ってデータ化する。更に、ユーザーからの指示に従い画像再生・画像補正を行う。また距離情報の取得や露出補正の制御も制御部107を介して行われる。
【0025】
表示部108は、液晶ディスプレイや有機EL等の薄型表示装置で構成され、画像データをライブビュー表示したり、再生表示したり、またメニュー画面の表示を行ったりする。
【0026】
距離情報取得ボタン109は、ユーザーが距離情報を取得するために使用する外部に付属されるボタンである。距離情報取得ボタン109をオンすることで、測距用撮像部102および距離情報取得部103に起動が命令され、距離情報の取得が始まる。
【0027】
距離露出設定インターフェース110(以後、距離露出設定IF110とする)は、領域指定部104で領域を指定する際の詳細設定および撮影画像の露出補正の詳細設定をするためのインターフェースである。そのため距離露出設定IF110は表示部108でメニュー表示されて設定するインターフェースとなっている。詳細は後に図6を参照して説明する。
【0028】
記録媒体111は、メモリーカードやハードディスクで構成されており、制御部107を介して画像データを記録する。
【0029】
図2は測距用撮像部102の構成と、測距の概念および測距画像を示した図である。
【0030】
図2(a)は測距用撮像部102の構成を示している。測距用撮像部102は、バリア200、2枚の受光レンズ201、左輝度センサ202、右輝度センサ203で構成されている。撮影光学系100によって2つに分光された光像は、バリア200、受光レンズ201を通して左輝度センサ202および右輝度センサ203に結像される。バリア200は、2つの光像がセンサに結像する前に混在しないために受光レンズ201の前に設置されている。バリアの開口部の間隔は2つの受光レンズ201の性能や、左輝度センサ202と右輝度センサ203との位置関係に密接に関連し、具体的には2つの受光レンズ201の焦点距離、左輝度センサ202と右輝度センサ203の基線長等で決まる。2つの受光レンズ201と左輝度センサ202と右輝度センサ203はともに基線長Bを隔てて配置する。左輝度センサ202と右輝度センサ203のそれぞれの画素数は撮影用撮像素子101と同等のもので、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルターは備わっていない。そのため左輝度センサ202と右輝度センサ203は輝度画像(白黒画像)を出力する。
【0031】
図2(b)はステレオ法を用いての測距の概念を示している。左右画像204とは左輝度センサ202および右輝度センサ203から出力された輝度画像(白黒画像)を重ね合わせたものである。左輝度センサ202と右輝度センサ203は基線長Bを隔てて配置されているので、左右画像204には2つの光像の相対的な位置差Xが生じる。受光レンズ201から被写体までの距離をL、受光レンズ201の焦点距離をf、基線長をBとすると、三角測量の原理から、以下の式が成り立つ。
【0032】
L = (B×f)/X
こうして2つの光像の相対的な位置差Xを画素毎に検出して上記の式にて測距計算を行うことで、画素単位で距離情報を取得することが出来る。
【0033】
本実施形態では上記の構成による測距方法を示したが、輝度センサを2枚に分けずに1枚の輝度センサにして2つの光像を結像することで、左右画像を得る測距方法でも構わない。また他のステレオ法として、2つの光学系と2枚の撮像素子による一般的な2眼カメラによる測距方法でもよい。さらに、アクティブな測距方法として、被写体に対して赤外線や超音波を照射して、その往復時間を求めることで測距するTOF(Time of Flight)方式でも構わない。
【0034】
図2(c)は撮影画像および測距画像を示している。左図が撮影用撮像素子101で撮影された撮影画像205、右図が測距用撮影部103で取得された測距画像206である。撮影画像205では人物207と木208が撮影されている。測距画像206では距離毎に撮影対象が色づけされており、人物207は撮像装置に近い(近景)ため濃い色、木208は撮像装置に遠い(遠景)ため薄い色になる。すなわち測距画像206は、各画素の被写体までの距離を表す。
【0035】
図3は距離露出設定IF110を示した図である。
【0036】
図3(a)は表示部108に表示された最初のメニュー画面301である。ここでカーソル302をD(Depth)メニューに移動させ、選択すると、距離露出設定IF110に切り替わる。
【0037】
図3(b)に距離露出設定IF110を示す。距離露出設定IF110では距離指定および露出指定を行うことができる。
【0038】
距離指定は距離露出設定IF110の上から二番目にあるアイコン、露出指定は三番目にあるアイコンを選択する。図3(b)では距離指定アイコンにカーソル302を移動させ、選択して距離指定を行う。距離指定を選択すると、表示画面に近景距離バー303と遠景距離バー304が表れる。このバーによって近景領域、遠景領域を0mから12mの間で指定することが出来る。指定するには2つのポインター305を移動させる。本図では2mと8mにポインター305が配置されているので、近景は0mから2m、遠景は8mから無限遠、その間を中間領域と指定していることになる。
【0039】
図3(c)では、距離露出設定IF110で露出指定アイコンにカーソル302を移動させ、選択して露出指定を行う。露出指定を選択すると、表示画面に近景露出バー306と遠景露出バー307が表れる。どちらとも−2から+2まで指定する事が出来、指定するにはポインター305を移動させる。本図では近景露出バー306で+2、遠景露出バー307で−1にポインター305が配置されて露出を指定している。
【0040】
図4は撮影画像205と測距画像206を記録する制御部107のフローチャートである。
【0041】
ステップS400で、距離情報取得ボタン109がオンとなる信号を検出する。これはユーザーからみると距離情報取得ボタン109を押下する場合である。
【0042】
ステップS401で半押し状態であるか否かを検出し、半押しを検出した場合、ステップS402に移る。
【0043】
ステップS402で測距用撮像部102に撮影命令信号を送信する。そこで測距用撮像部102の左輝度センサ202と右輝度センサ203は2枚の輝度画像(白黒画像)を撮影する。撮影後、2枚の輝度画像(白黒画像)を距離情報取得部103に送信するよう測距用撮像部102へ指示する。
【0044】
ステップS403で距離情報取得部103に画素毎の距離情報を取得する命令信号を送信する。距離情報取得部103は所定のステレオ法による測距方法を用いて画素毎の距離情報を取得し、測距画像206を作成する。そして測距画像206は制御部107を介して画像メモリ106に一時的に保管される。この後、撮影用撮像素子101で撮影をして撮影画像205が記録媒体111に記録される場合、同時に測距画像206も記録される。半押ししたのみで、撮影用撮像素子101で撮影を行わなかった場合、画像メモリ106に一時的に保管された測距画像206は削除される。
【0045】
ステップS404で本押し状態であるか否かを検出し、本押しを検出した場合、ステップS405に移る。
【0046】
ステップS405で撮影用撮像素子101によって撮影を行い、撮影画像205を記録媒体111に記録する。
【0047】
以上のステップにより、撮影画像205と測距画像206を記録することができる。
【0048】
図5は撮影画像205の露出補正を行う制御部107の動作を示すフローチャートである。
【0049】
ステップS500で、再生モードがオンとなる信号を検出する。再生モードは従来の撮像装置に備わる記録媒体111に記録された撮影画像205を表示部108で画像再生するモードを指す。
【0050】
ステップS501で、距離情報取得ボタン109がオンとなる信号を検出する。検出後、測距画像206と撮影画像205を利用して、露出補正した画像を再生するようになる。
【0051】
ステップS502で、距離指定および露出指定で手動設定がされているか否かの検出を行う。本再生(本フロー)を行う前に予め距離露出設定IF110により手動設定が行われていなければ、領域指定部104および画像処理部105が有する値を用いるため、制御部107からは特に指示信号を出さずステップS504に移る。
【0052】
本再生(本フロー)を行う前に手動設定が既に行われていれば、ステップS503にて距離露出設定IF110で設定された距離指定と露出指定の値を取得し、領域指定部104および画像処理部105に送信する。領域指定部104は受信した距離指定にしたがい、近景領域、遠景領域、中間領域の距離範囲を設定する。画像処理部105は受信した露出指定に基づいて近景領域、遠景領域の露出を設定する。中間領域の露出は求めた近景領域、遠景領域の露出から最適な値を決めて設定する。
【0053】
ステップS504で、ユーザーが表示部108を視認して撮影画像205を選択する信号を検出する。検出後、選択された撮影画像205とそれに対応する測距画像206を記録媒体111から取り出し、画像メモリ106に一時的に保管する。
【0054】
ステップS505で、領域指定部104に領域画像を算出する命令信号を送信する。領域指定部104は画像メモリ106から測距画像206を取得し、測距画像206を近景領域、遠景領域、中間領域に区分して領域画像を作成する。
【0055】
ステップS506で、画像処理部105に撮影画像205を露出補正する命令信号を送信する。画像処理部105は画像メモリ106から撮影画像205を、領域指定部104から領域情報を取得して、3つの領域に対して既に有する所定の露出補正を行う。
【0056】
以上のステップにより、距離情報に基づいて近景領域を明るめに、遠景領域を暗めに露出補正した撮影画像205を作成することが可能となる。
【0057】
本実施形態によれば、被写体の抽出等計算量の多いアルゴリズムを行わなくとも、撮影画像を距離に応じて露出補正することが出来る。そのため、従来は画像全面に対して一律に露出補正を行ったため、最適な露出補正がなされていない箇所では黒飛びや白飛び等が発生してしまうが、本発明によれば適切な露出補正を行うことができる。また動物や景色に対しても簡易に露出補正を行うことが出来る。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、撮像装置の内部構成に人物認識部を有する(図省略)。人物認識部は撮影画像205と測距画像206に対して人物認識を行うことができる。ただし本実施形態で利用するのは測距画像206の人物認識のみである。人物認識の方法の一例として、画像を2値化処理し(測距画像206は白黒画像のため2値化処理は省かれる)、得られた画像と予め人物認識部に用意されている顔パターンとのマッチングにより人物認識を行う方法がある。人物認識方法はその他、AdaBoost法などさまざまにあり、本実施形態ではいずれの方法でも構わない。
【0058】
図6は人物認識を行い、人物までの距離情報に基づいて撮影画像205の露出補正を行う制御部107のフローチャートである。実施形態1と異なる点についてのみ説明する。
【0059】
ステップS600とステップS601は実施形態1と同様である。
【0060】
本実施形態では次のステップS602で、撮影画像205を選択する信号を検出する。検出後、選択された撮影画像205と、それに対応する測距画像206を記録媒体111から取り出し、画像メモリ106に一時的に保管する。
【0061】
ステップS603で人物認識部に測距画像206に対し人物認識する命令信号を送信する。人物認識部は画像メモリ106から測距画像206を取得し、人物認識を行う。
【0062】
ステップS604で人物がいるか否かの判断を行う。人物がいない場合、ステップS606で距離指定および露出指定において手動設定があるか否かの検出を行う。このステップは実施形態1と同様のため説明を省く。
【0063】
人物がいる場合、ステップS605で人物認識部が測距画像206のどの画素に人物がいるかを距離情報取得部103に送信する。そして距離情報取得部103はその画素における距離情報を人物までの距離として領域指定部104に送信する。
【0064】
ステップS608で領域指定部104が人物までの距離を受信した場合、撮像装置(0m)から人物までの距離を近景領域とする。遠景領域の設定は自動処理と同様とする。こうして求めた領域の定義にしたがって、領域指定部104は測距画像206を近景領域、遠景領域、中間領域に区分して領域画像を作成する。
【0065】
以後のステップは実施形態1と同様のため説明を省く。
【0066】
本実施形態によれば、ユーザーが距離を指定せずとも人物までを近景、人物以遠を遠景と判定するので、人物を明るめに露出補正することが可能となる。
(第3の実施形態)
夜景を背景にして人物を撮影する場合、通常、フラッシュを点灯させ、人物にフラッシュからの光が照射されるようにする。このような場合、近景領域での露出補正は暗めに、遠景領域での露出補正は明るめに露出調整することにより、フラッシュが照射されない背景を明るく撮影することができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、パソコンを活用したシステム図である。パソコン700には図5に示したアルゴリズムを有したアプリケーションソフトが導入されている。カメラ701は距離情報取得部103を備えるカメラで撮影と同時に距離情報も取得できる。その方法は図4に示したフローチャートによる。カメラ701とパソコン700を接続すると、自動的にカメラ701内部の画像と距離情報がパソコン700に送信される。画像と距離情報をアプリケーションソフトに取り込むことで、露出補正を行うことが出来る。
【0067】
以上本発明は撮影装置の形態に拘るものではなく、パソコンを活用したシステムとしても有効である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態1の内部構成図を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1による測距用撮像部の構成、測距の概念および測距画像を示した図である。
【図3】本発明の実施形態による距離露出設定IF110を示した図である。
【図4】本発明の実施形態1で撮影画像205と測距画像206を記録するフローチャートを示す。
【図5】本発明の実施形態1で撮影画像205を露出補正するフローチャートを示す。
【図6】本発明の実施形態2で撮影画像205を露出補正するフローチャートを示す。
【図7】本発明の実施形態4によるパソコンを活用したシステム図である。
【符号の説明】
【0069】
100 撮影光学系
101 撮影用撮像素子
102 測距用撮像部
103 距離情報取得部
104 領域指定部
105 画像処理部
106 画像メモリ
107 制御部
108 表示部
109 距離情報取得ボタン
110 距離露出設定IF
111 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置から各撮影対象までの距離情報を取得する距離情報取得ステップと、
前記距離情報に基づいて露出補正しながら、前記各撮影対象を撮影する撮影ステップと、
を備えることを特徴とする露出補正方法。
【請求項2】
前記撮影ステップでは、
前記撮像装置から所定の境界距離までの領域を近景領域とし、前記境界距離よりも遠くの少なくとも一部を遠景領域として露出補正することを特徴とする請求項1に記載の露出補正方法。
【請求項3】
前記撮影ステップは、
撮影対象のうちに人物が含まれるか否かを判断するステップと、
前記撮影対象のうちに人物が含まれる場合、撮像装置から前記人物までの距離を前記所定の境界距離とするステップと、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の露出補正方法。
【請求項4】
前記撮影ステップでは、
前記近景領域の露出を前記遠景領域の露出よりも多くすることを特徴とする請求項2又は3に記載の露出補正方法。
【請求項5】
前記撮影ステップでは、
前記遠景領域の露出を前記近景領域の露出よりも多くすることを特徴とする請求項2又は3に記載の露出補正方法。
【請求項6】
撮像装置から各撮影対象までの距離情報を取得する距離情報取得手段と、
前記距離情報に基づいて露出補正しながら、前記各撮影対象を撮影する撮影手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
前記撮影手段は、
前記撮像装置から所定の境界距離までの領域を近景領域とし、前記境界距離よりも遠くの少なくとも一部を遠景領域として露出補正することを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮影手段は、
撮影対象のうちに人物が含まれるか否かを判断する手段と、
前記撮影対象のうちに人物が含まれる場合、撮像装置から前記人物までの距離を前記所定の境界距離とする手段と、
を備えることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮影手段は、
前記近景領域の露出を前記遠景領域の露出よりも多くすることを特徴とする請求項7又は8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮影手段は、
前記遠景領域の露出を前記近景領域の露出よりも多くすることを特徴とする請求項7又は8に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−130313(P2010−130313A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302508(P2008−302508)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】