説明

撮像装置及びカメラ

【課題】画質の劣化が少なく、焦点検出性能のよい撮像装置を提供する。
【解決手段】複数の色フィルタのうち最も輝度信号に重み付けを行う色フィルタ、又は、最も透過率が高い色フィルタが配置される画素のうち少なくとも1部が、画素へ入射する光束の入射方向を制限するよう構成された焦点検出用画素であり、焦点検出用画素以外の画素は、画素へ入射する光束が焦点検出用画素よりも制限されないよう構成された撮像用画素であり、焦点検出用画素は、少なくとも測距のための信号を出力し、撮像用画素は、少なくとも画像のための信号を出力し、任意の焦点検出用画素の中心を基準とし、半径が画素ピッチの3.1倍の円と半径が画素ピッチの5.9倍の円により囲まれた画素エリアのうち、少なくとも3つ以上の画素が焦点検出用画素である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定方向の画素列上に撮像用画素と焦点検出用画素とを混在させた撮像素子を用いた撮像装置が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2)。これらの従来の撮像装置では、焦点検出用画素は、撮像素子上の青色と緑色に感度を有する撮像用画素が直線状に配列された行に密に配置されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−282109号公報
【特許文献2】特開2008−40087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の撮像装置では、焦点検出用画素が密に配置されているため、画素補間の精度が低下し、画質が劣化してしまうことから、画質と焦点検出性能を両立するのが難しかった。
【0005】
特許文献2の撮像装置においては、全画面における、中心付近の焦点検出エリアでは、瞳分割方向が左右のみであるため、被写体の横線方向の検出は不可能であり、被写体によっては、位相差が検出できない場合がある。例えば、1つの実施形態である図28の撮像素子の配列の場合、左側瞳検出用画素と右側瞳検出用画素のすべてが一つの行のみに配置されているため、所望の焦点検出性能が得られない。
【0006】
また、従来の撮像装置では、焦点検出用画としては、1対の瞳(例えば、左右又は上下)のみの情報を検出しているため、1方向の位相差情報しか検出できず、2方向の位相差を検出することは不可能である。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、画質の劣化が少なく、焦点検出性能のよい撮像装置を提供することを目的とする。本発明のさらなる目的は、2方向の位相差検出を行い、さらに焦点検出性能を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る撮像装置は、撮像光学系により結像された光学像を電気信号に変換する光電変換部を有する複数の画素と、複数の画素の各々に配置される複数の色フィルタと、を備え、複数の画素が2次元的に配列された撮像素子を有する撮像装置において、複数の色フィルタのうち最も輝度信号に重み付けを行う色フィルタ、又は、最も透過率が高い色フィルタが配置される画素のうち少なくとも一部が、画素へ入射する光束の入射方向を制限するよう構成された焦点検出用画素であり、焦点検出用画素以外の画素は、画素へ入射する光束が焦点検出用画素よりも制限されないよう構成された撮像用画素であり、焦点検出用画素は、少なくとも測距のための信号を出力し、撮像用画素は、少なくとも画像のための信号を出力し、任意の焦点検出用画素の中心を基準とし、半径が画素ピッチの3.1倍の円と半径が画素ピッチの5.9倍の円により囲まれた画素エリアのうち、少なくとも3つ以上の画素が焦点検出用画素であることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る撮像装置において、複数の色フィルタのうち最も輝度信号に重み付けを行う色フィルタが配置される画素のうち少なくとも一部が、画素へ入射する光束の入射方向を制限するよう構成された焦点検出用画素であり、焦点検出用画素以外の画素は、画素へ入射する光束が焦点検出用画素よりも制限されないよう構成された撮像用画素であり、焦点検出用画素は、測距と画像のための信号とを出力し、撮像用画素は、画像のための信号を出力することが好ましい。
【0010】
本発明に係る撮像装置において、焦点検出用画素の各光電変換部は、撮影レンズの瞳の異なる領域を透過した光束を受光するように構成されており、瞳の異なる領域を複数有し、瞳の異なる領域の1つを透過した光束を受光する光電変換部の出力から得られる第1像信号と、瞳の異なる領域のもう1つを透過した光束を受光する光電変換部の出力から得られる第2像信号と、に基づいて位相差を検出し、撮影レンズの焦点状態を検出することが好ましい。
【0011】
本発明に係る撮像装置において、瞳の異なる領域を4つ以上有し、位相差情報を2通り以上得られることが好ましい。
【0012】
本発明に係る撮像装置において、複数の色フィルタの透過特性は、少なくとも可視域の一部を含み、異なる透過特性を少なくとも3通り有することが好ましい。
【0013】
本発明に係る撮像装置において、異なる透過特性のうち、最も短波長側の透過特性をもつ色フィルタをBフィルタとし、最も長波長側の透過特性を持つ色フィルタをRフィルタとし、それ以外の透過特性を持つものをGフィルタとしたとき、最も輝度信号に重み付けを行う色フィルタは、Gフィルタであることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【0014】
本発明に係る撮像装置において、焦点検出用画素の少なくとも1通りは、左右に瞳を分割する画素として構成され、左右に瞳を分割する画素は、同一列に配置されることが好ましい。
【0015】
本発明に係る撮像装置において、画素エリア内において、任意の焦点検出用画素の中心を通る列方向及び行方向に、任意の焦点検出用画素以外の焦点検出用画素が配置されていないことが好ましい。
【0016】
本発明に係る撮像装置において、半径が画素ピッチの3.1倍の円内に、任意の焦点検出用画素以外の焦点検出用画素が配置されていないことが好ましい。
【0017】
本発明に係るカメラは、上述のいずれか1項に記載の撮像装置と、撮像装置において光学像を結像する撮像光学系と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、画質の劣化が少なく、焦点検出性能のよい撮像装置を提供することができる、という効果を奏する。さらに、本発明の撮像装置及びカメラは、2方向の位相差検出を行い、さらに焦点検出性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るカメラの内部構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るカメラ及び撮像装置の射出瞳の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る撮像素子の光電変換部の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る撮像素子の隣り合う二つの画素の構造を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る撮像素子の内部構成を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る撮像素子の内部構成を示す図である。
【図7】実施例1に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
【図8】画素エリアを規定する2重円を示す図である。
【図9】実施例2に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
【図10】左側焦点検出用画素及び右側焦点検出用画素の配置例を示す図である。
【図11】実施例3に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
【図12】実施例4に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
【図13】実施例5に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
【図14】実施例6に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
【図15】実施例7に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
【図16】実施例8に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
【図17】実施例9に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
【図18】実施例10に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る撮像装置、及び、この撮像装置を備えたカメラの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】
まず、本発明の実施形態に係る撮像装置を備えたカメラについて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るデジタルスチルカメラ11の内部構成を示す図である。
デジタルスチルカメラ11は、交換レンズ12と、カメラボディ13と、から構成され、交換レンズ12はマウント部14によりカメラボディ13に装着される。
【0022】
交換レンズ12は、レンズ駆動制御装置16、ズーミング用レンズ18、レンズ19、フォーカシング用レンズ20、及び、絞り21を備えている。レンズ駆動制御装置16は、マイクロコンピューターとメモリなどの周辺部品から成り、フォーカシング用レンズ20と絞り21の駆動制御、絞り21、ズーミング用レンズ18およびフォーカシング用レンズ20の状態検出、並びに、ボディ駆動制御装置24に対するレンズ情報の送信とカメラ情報の受信などを行う。
【0023】
カメラボディ13は撮像素子22、ボディ駆動制御装置24、液晶表示素子駆動回路25、液晶表示素子26、接眼レンズ27、メモリカード29などを備えている。撮像素子22には後述する画素が二次元状に配列されており、交換レンズ12の予定結像面に配置されて交換レンズ12により結像される被写体像を撮像する。撮像素子22の所定の焦点検出位置には焦点検出用画素(以下、AF用画素という)が配列される。
【0024】
ここで、交換レンズ12は撮像光学系に対応し、撮像素子22は撮像素子に対応する。
【0025】
ボディ駆動制御装置24はマイクロコンピューターとメモリなどの周辺部品から構成され、撮像素子22からの画像信号の読み出し、画像信号の補正、交換レンズ12の焦点調節状態の検出、レンズ駆動制御装置16からのレンズ情報の受信とカメラ情報(デフォーカス量)の送信、デジタルスチルカメラ全体の動作制御などを行う。ボディ駆動制御装置24とレンズ駆動制御装置16は、マウント部14の電気接点部23を介して通信を行い、各種情報の授受を行う。
【0026】
液晶表示素子駆動回路25は、液晶ビューファインダーの液晶表示素子26を駆動する。撮影者は接眼レンズ27を介して液晶表示素子26に表示された像を観察する。メモリカード29はカメラボディ13に脱着可能であり、画像信号を格納記憶する可搬記憶媒体である。
【0027】
交換レンズ12を通過して撮像素子22上に形成された被写体像は、撮像素子22により光電変換され、その出力はボディ駆動制御装置24へ送られる。ボディ駆動制御装置24は、撮像素子22上のAF用画素の出力データ(第1像信号、第2像信号)に基づいて所定の焦点検出位置におけるデフォーカス量を算出し、このデフォーカス量をレンズ駆動制御装置16へ送る。また、ボディ駆動制御装置24は、撮像素子22の出力に基づいて生成した画像信号をメモリカード29に格納するとともに、画像信号を液晶表示素子駆動回路25へ送り、液晶表示素子26に画像を表示させる。
【0028】
カメラボディ13には不図示の操作部材(シャッターボタン、焦点検出位置の設定部材など)が設けられており、これらの操作部材からの操作状態信号をボディ駆動制御装置24が検出し、検出結果に応じた動作(撮像動作、焦点検出位置の設定動作、画像処理動作)の制御を行う。
【0029】
レンズ駆動制御装置16はレンズ情報をフォーカシング状態、ズーミング状態、絞り設定状態、絞り開放F値などに応じて変更する。具体的には、レンズ駆動制御装置16は、レンズ18及びフォーカシング用レンズ20の位置と絞り21の絞り位置をモニターし、モニター情報に応じてレンズ情報を演算したり、あるいは予め用意されたルックアップテーブルからモニター情報に応じたレンズ情報を選択する。レンズ駆動制御装置16は、受信したデフォーカス量に基づいてレンズ駆動量を算出し、このレンズ駆動量に基づいてフォーカシング用レンズ20を不図示のモーター等の駆動源により合焦点へと駆動する。
【0030】
図2は、本発明の実施形態に係るカメラ及び撮像装置の射出瞳の構成を示す図である。デジタルスチルカメラ11における射出瞳Pは、図2に示すように、左右上下のうちの少なくとも2種類の瞳領域に対応する焦点検出用画素を有する。
具体例としては次の(1)〜(5)のとおりである。
(1)射出瞳Pを縦に2分割して、左側瞳検出用画素Lと右側瞳検出用画素Rを配置したもの(図2(a))
(2)射出瞳Pを横に2分割して、上側瞳検出用画素Uと下側瞳検出用画素Dを配置したもの(図2(a))
(3)左側瞳検出用画素Lと右側瞳検出用画素Rを左右に配置して、その一部を重ねたもの(図2(c))
(4)上側瞳検出用画素Uと下側瞳検出用画素Dを上下に配置して、その一部を重ねたもの(図2(d))
(5)左側瞳検出用画素Lと下側瞳検出用画素Dを任意の位置に配置して、その一部を重ねたもの(図2(e))
なお、測距用瞳の形状は、半円形状、楕円形状としたが、これに限定されず、他の形状、例えば矩形状、多角形状にすることもできる。
また、図2(a)と(b)を組み合わせて上下左右の焦点検出用画素を配置してもよい、図2(c)と(d)を組み合わせて上下左右の焦点検出用画素を配置してもよい、さらに、図2(c)と(e)を組み合わせて左右、斜め線検出の焦点検出用画素を配置してもよいが、これに限定されるものではない。
【0031】
本実施形態のカメラ及び撮像装置では、瞳が異なる領域を有し、その領域の1つを透過した光束を受光する光電変換部の出力から得られる第1像信号と、もう1つの領域を透過した光束を受光する光電変換部の出力から得られる第2像信号と、に基づいて位相差を検出し、撮影レンズの焦点状態を検出する。
以下、図3〜図6を参照して、具体的な射出瞳の分割例について説明する。
【0032】
まず、図3を参照して、撮像素子22の光電変換部を分割することによって射出瞳を分割する例を説明する。図3は、撮像素子22の光電変換部の構成を示す図である。
撮像素子22は、基板内に形成されたp型ウエル31、P型ウエル31と共に光電荷を発生させ蓄積するn型領域32α、32β、n型領域32α、32βに蓄積されている光電荷が転送される不図示のフローティングディフュージョン部(以下、「FD部」と称する。)、n型領域32α、32βに蓄積された光電荷をFD部へ効率よく転送するために光電荷を収集する表面p+層33α、33β、FD部へ光電荷を転送するための転送ゲート(不図示)、ゲート絶縁膜であるSiO膜34、ベイヤ配列のカラーフィルタ35、及び、被写体からの光を集めるマイクロレンズ36、を備える。
【0033】
マイクロレンズ36は、レンズ19(図1)の瞳と表面p+層33α、33βとが、共役になるような形状及び位置に形成されている。光電荷は、模式的には、領域37で発生する。
【0034】
図3に示す例では、光電変換部が、n形領域32α及び表面p+層33αと、n形領域32β及び表面p+層33βと、に分割されており、これにより射出瞳が分割される。光線L31、L32は、n形領域32α及び表面p+層33αと、n形領域32β及び表面p+層33βと、にそれぞれ入射する。
【0035】
次に、図4を参照して、撮像素子22の画素の開口部を光電変換素子の中心に対して偏心させることによって射出瞳を分割する例を説明する。図4は、撮像素子22の隣り合う二つの画素の構造を示す断面図である。
【0036】
画素41は、最上部から、順に、マイクロレンズ42、マイクロレンズ42を形成するための平面を構成するための平滑層43、色画素の混色防止のための遮光膜44、色フィルタ層をのせる表面を平らにするための平滑層45、及び、光電変換素子46が配置されている。画素51も画素41と同様に、最上部から、順に、マイクロレンズ52、平滑層53、遮光膜54、平滑層55、及び、光電変換素子56が配置されている。
【0037】
さらに、これらの画素41、51においては、遮光膜44、54が、光電変換素子46、56中心部47、57から外側に偏心した開口部48、58をそれぞれ有している。
【0038】
図4に示す例では、撮像素子22の画素の開口部を光電変換素子の中心に対して偏心させている。このため、光線L41、L51は、光電変換素子46、56にそれぞれ入射することから、射出瞳が分割される。
【0039】
つづいて、図5を参照して、レンズを偏心させることによって射出瞳を分割する例を説明する。図5は、撮像素子の内部構成を示す図である。
図5の撮像素子においては、それぞれの画素の上のオンチップレンズ61、62、63、64が独立して構成されている。
図5においては、画素集合Aの画素のオンチップレンズ61、63の光軸61a、63aは、画素の中心から左側にずれている。また、画素集合Bの画素のオンチップレンズ62、64の光軸62a、64aは画素の中心から右側にずれている。
2つの画素集合A、Bからの出力を比較することで、レンズ18のフォーカス量を算出することができる。
【0040】
オンチップレンズ61、62、63、64では、屈折力と光軸61a、62a、63a、64aの位置等の形状という2つのパラメーターを独立してコントロールすることができる。画素数が十分多ければ、画素集合Aと画素集合Bは、同様の光の強度分布を得ることができ、これを利用して位相差AFを行うことができる。この時、画面全体でのデフォーカス量を検出できるので、被写体の3次元情報を取得することができる。
【0041】
図5に示す例では、撮像素子22のオンチップレンズを画素の中心に対して偏心させている。このため、光線L61、L62は、オンチップレンズ61、62にそれぞれ入射し、これにより射出瞳が分割される。
【0042】
次に、図6を参照しつつ、DML(デジタルマイクロレンズ)を用いて射出瞳を分割する例を説明する。図6は、撮像素子の内部構造を示す断面図である。
図6に示す撮像素子では、オンチップレンズを屈折率分布型レンズで構成している。画素70と画素80はそれぞれ異なる領域からの光束を受光する隣り合った画素である。
【0043】
図6において、撮像素子は、DMLとしての屈折率分布レンズ71、81、カラーフィルタ72、アルミニウム配線73、信号伝送部74、平坦化層75、受光素子76、86(例えばSiフォトダイオード)、及び、Si基板77を備える。図6に示すように、アルミニウム配線73、信号伝送部74、平滑化層75、受光素子76、86、及び、Si基板77は、半導体集積回路78を構成する。ここで、画素70と画素80の構成は、屈折率分布レンズ71、81以外は同様である。
【0044】
図6は、入射光束全体のうち、受光素子76、86にそれぞれ入射する光束の様子を示している。屈折率分布レンズ71、81を用いることにより、光束L71、L81は、画素70の受光素子76と画素80の受光素子86にそれぞれ入射し、射出瞳が分割される。
【0045】
(実施例)
つづいて、本実施形態に係る撮像素子の実施例1〜実施例10について、図7〜図18を参照しつつ説明する。
【0046】
撮像素子(イメージャ)としては、例えば、CCD(charge coupled device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、裏面照射型CMOS、1画素中でR、G、B全色を3層で取り込むことのできるセンサー(Forveon X3)を用いることができる。
【0047】
以下の実施例では、焦点検出用画素は、光電変換部の撮影レンズ側に形成されたオンチップレンズを画素の中心から偏心させることによって、撮影レンズの瞳の異なる位置を透過した光束を受光するように構成されている。瞳分割の手段としては、上述のように、画素中心に対して遮光部材を用いて開口部を偏心させたものや、DMLを用いたもの、1画素中に光電変換部を2つ設けたものでもよい。
【0048】
焦点検出用画素は、撮影レンズの瞳の異なる位置を透過した光束を受光するように構成している。このため、焦点検出用画素からの信号レベルは、焦点検出用画素近傍の撮像用画素から出力される信号レベルと異なってしまうおそれがある。焦点検出用画素の位置における画像用の信号を得る為には、以下の(1)又は(2)の方法をとることが好ましい。
(1)焦点検出用画素の信号を周囲の撮像用画素の信号レベルと同等となるようにゲインを調整し、焦点検出用画素の位置における画像用信号とする。
(2)焦点検出用画素の信号および焦点検出用画素近傍の撮像用画素の信号に基づいて画素補間を行い、焦点検出用画素の位置における画像用信号とする。
【0049】
ゲイン調整の方法については、次のように行う。
まず、焦点検出用画素から出力されたままの信号レベルと、焦点検出用画素近傍の撮像用画素から出力されたままの信号レベルと、を比較する。つづいて、焦点検出用画素から出力される信号レベルを近傍の撮像用画素から出力される信号レベルに近づけるようにゲインを調整する。その後、焦点検出用画素の信号をゲイン調整し得られた信号を画像信号としてデモザイキングを行い、最終画像を得る。
【0050】
画素補間の方法については、以下の(a)〜(c)のいずれかが好ましいが、これらに限定されず、単純平均演算(重み付きも含む)だけでなく、線形補間、2次以上の多項式で補間、メディアン処理などで求めてもよい。
(a)焦点検出用画素の位置における信号を、焦点検出用画素近傍の撮像用画素の信号に基づいて補間し、補間することで得られた信号を焦点検出用画素の位置の画像信号としてデモザイキングを行い、最終画像を得る。
(b)焦点検出用画素の位置における信号を、焦点検出用画素の信号と焦点検出用画素近傍の撮像用画素の信号とに基づいて補間し、補間することで得られた信号を焦点検出用画素の位置の画像信号としてデモザイキングを行い、最終画像を得る。
(c)焦点検出用画素の位置における信号を、焦点検出用画素近傍の撮像用画素の信号に基づいて補間し、補間することで得られた信号と焦点検出用画素の位置の信号とに基づいて補間し、補間することで得られた信号を焦点検出用画素の位置の画像信号としてデモザイキングを行い、最終画像を得る。
【0051】
撮像素子の複数の画素には、複数の色フィルタがそれぞれ配置されている。実施例1〜10では、複数の色フィルタの透過特性は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3通りとしている。
Bフィルタは、R、G、Bの異なる透過特性のうち、最も短波長側の透過特性をもつ色フィルタであり、Rフィルタは、最も長波長側の透過特性を持つ色フィルタであり、Gフィルタは、それ以外の透過特性を持つものである。
なお、複数の色フィルタは、少なくとも可視域の一部を含み、異なる透過特性を少なくとも3通り有していれば、ほかの組合せでも良い。
【0052】
焦点検出用画素は、複数の色フィルタのうち最も輝度信号に重み付けを行う色フィルタとして、Gフィルタを用いて、入射する光束の入射方向を制限している。
なお、焦点検出用画素は、Gフィルタに限らず、複数の色フィルタのうち最も輝度信号に重み付けを行う色フィルタ、又は、最も透過率が高い色フィルタが配置される画素のうち少なくとも1部が、入射する光束の入射方向を制限するよう構成することができる。
【0053】
焦点検出用画素は、Gbチャンネルのみ、もしくはGrチャンネルのみに配置されることが望ましい。ここで、Gbチャンネルは、図7、図9、及び図11〜18において、「G」と「B」が並んだ行であり、Grチャンネルは、同図において、「G」と「R」が並んだ行である。
【0054】
GbチャンネルとGrチャンネルの信号レベルにはバラつきがある為、一対の瞳検出用画素をGbチャンネルとGrチャンネルにそれぞれ配置すると、焦点検出性能が低下する。よって、一対の瞳検出用画素は、GbチャンネルのみもしくはGrチャンネルのみに配置することが望ましい。
【0055】
図7は、実施例1に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
なお、各実施例の撮像素子の構成を示す図7、図9、及び図11〜18において、焦点検出用画素の表示は、実際の画素構成に関わらず、対応する画素全体を塗りつぶした簡略表示としている。
【0056】
実施例1の撮像素子110は、撮像用画素115と、焦点検出用画素としての、左側瞳検出用画素111L、右側瞳検出用画素112R、上側瞳検出用画素113U、及び下側瞳検出用画素114Dと、を備える。
【0057】
撮像素子110においては、左側瞳検出用画素111Lと上側瞳検出用画素113Uが同じ行のGbチャンネルに順に配置され、このGbチャンネルから2つ目のGbチャンネルに右側瞳検出用画素112Rと下側瞳検出用画素114Dが順に配置されている。左側瞳検出用画素111Lと下側瞳検出用画素114Dは同じ列に順に配置され、この列とは別の列に上側瞳検出用画素113Uと右側瞳検出用画素112Rが順に配置されている。したがって、各瞳検出用画素は、行方向及び列方向の両方向において、3つの撮像用画素115を介して配置されている。
なお、実施例1〜10において、GbチャンネルとGrチャンネルは交互の行として配置されている。
【0058】
図8は、画素エリアを規定する2重円を示す図である。内側の第1円C1は、中心Oからの半径が、撮像素子の各画素間のピッチの3.1倍となっている。第1円C1の外側の第2円C2は、中心Oからの半径が、撮像素子の各画素間のピッチの5.9倍となっている。
これにより、焦点検出用画素の配置密度を高く保ちつつ、焦点検出用画素の周囲に一定の撮像用画素を確保することができるため、画質と焦点検出性能の関係をバランスよく保つことができる。
【0059】
図8に示す2重円を、実施例1の撮像素子110に適用する。すなわち、任意の焦点検出用画素として左側瞳検出用画素111Lを選定し、その中心(基準)に円の中心Oを合わせて配置する。このとき、第1円C1内にある焦点検出用画素は、中心の左側瞳検出用画素111Lのみである。さらに、第1円C1と第2円C2に囲まれた画素エリアには、8個の焦点検出用画素が入る。ここで、画素エリアに焦点検出用画素が入るか否かの判断は、焦点検出用画素の中心が入っているか否かで行っている。
【0060】
図9は、実施例2に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
実施例2の撮像素子120は、撮像用画素125と、焦点検出用画素としての、左側瞳検出用画素121L、右側瞳検出用画素122R、上側瞳検出用画素123U、及び下側瞳検出用画素124Dと、を備える。
【0061】
撮像素子120においては、左側瞳検出用画素121Lと上側瞳検出用画素123Uが同じ行のGbチャンネルに順に配置され、このGbチャンネルから2つ目のGbチャンネルに右側瞳検出用画素122Rと下側瞳検出用画素124Dが順に配置されている。
各瞳検出用画素が、行方向及び列方向において、3つの撮像用画素115を介して配置されている点は実施例1と同様である。したがって、図示はしないが、第1円C1と第2円C2に囲まれた画素エリアには、8個の焦点検出用画素が入る。よって、画質と焦点検出性能の関係をバランスよく保つことができる。
【0062】
一方、左側瞳検出用画素121Lと右側瞳検出用画素122Rは同じ列に順に配置され、この列とは別の列に上側瞳検出用画素123Uと下側瞳検出用画素124Dが順に配置されている。したがって、左側瞳検出用画素121Lと右側瞳検出用画素122Rを同一列に配置していることにより、被写体の縦線方向の検出において、ずれを抑えることが可能となる。
【0063】
図10は、左側焦点検出用画素及び右側焦点検出用画素の配置例を示す図であり、実施例2に対応する図である。
図10では、像面側(同図の瞳面90よりも右側)において、3つの撮像用画素125を挟んで、左側瞳検出用画素121Lと右側瞳検出用画素122Rとが同一列に配置されている。また、比較例として、右側瞳検出用画素122Rと同一行に左側瞳検出用画素121L2を配置したものも表示している。一方、物体面側(図10の瞳面90よりも左側)においては、被写体に対して、撮像用画素125、左側瞳検出用画素121L、121L2、右側瞳検出用画素122Rを投影した図であり、それぞれ105、101L、101L2、102Rである。
【0064】
図10の101L、102Rについては、左側瞳検出用画素121Lと右側瞳検出用画素122Rとを同一列に配置することにより、比較例のように、左側瞳検出用画素121L2と右側瞳検出用画素122Rを同じ行に並べる場合に比べて、厳密に被写体の縦線方向の位相差を検出することが可能となり、位相差検出性能を向上させることができる。
【0065】
図11は、実施例3に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
実施例3の撮像素子130は、撮像用画素135と、焦点検出用画素としての、左側瞳検出用画素131L、右側瞳検出用画素132R、上側瞳検出用画素133U、及び下側瞳検出用画素134Dと、を備える。
【0066】
撮像素子130においては、左側瞳検出用画素131Lと右側瞳検出用画素132Rが同じ行のGbチャンネルに順に配置され、このGbチャンネルから2つ目のGbチャンネルに上側瞳検出用画素133Uと下側瞳検出用画素134Dが順に配置されている。したがって、上側瞳検出用画素133Uと下側瞳検出用画素134Dを同一行に配置していることにより、被写体の横線方向の検出において、ずれを抑えることが可能となる。
【0067】
一方、左側瞳検出用画素131Lと上側瞳検出用画素133Uは同じ列に順に配置され、この列とは別の列に右側瞳検出用画素132Rと下側瞳検出用画素134Dが順に配置されている。
各瞳検出用画素が、行方向及び列方向において、3つの撮像用画素115を介して配置されている点は実施例1と同様である。したがって、図示はしないが、第1円C1と第2円C2に囲まれた画素エリアには、8個の焦点検出用画素が入る。よって、画質と焦点検出性能の関係をバランスよく保つことができる。
【0068】
図12は、実施例4に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
実施例4の撮像素子140は、撮像用画素145と、焦点検出用画素としての、左側瞳検出用画素141L、右側瞳検出用画素142R、上側瞳検出用画素143U、及び下側瞳検出用画素144Dと、を備える。
【0069】
各瞳検出用画素は、それぞれ別個のGbチャンネルにおいて、7つの撮像用画素145を挟んで繰り返し配置されている。具体的には、順に並んだ複数のGbチャンネルに対して、左側瞳検出用画素141L、右側瞳検出用画素142R、下側瞳検出用画素144D、上側瞳検出用画素143Uの順に、それぞれ配置されている。
一方、左側瞳検出用画素141Lと下側瞳検出用画素144Dは同じ列に順に配置され、この列とは別の列に右側瞳検出用画素142Rと上側瞳検出用画素143Uが順に配置されている。
【0070】
図8に示す2重円を図12に適用すると、第1円C1と第2円C2に囲まれた画素エリアには、6個の焦点検出用画素が入る。したがって、画質と焦点検出性能の関係をバランスよく保つことができる。
【0071】
図13は、実施例5に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
実施例5の撮像素子150は、撮像用画素155と、焦点検出用画素としての、左側瞳検出用画素151L、右側瞳検出用画素152R、上側瞳検出用画素153U、及び下側瞳検出用画素154Dと、を備える。
【0072】
左側瞳検出用画素151Lは、Gbチャンネルにおいて、5つの撮像用画素155を挟んで繰り返し配置されている。下側瞳検出用画素154Dは、左側瞳検出用画素151Lが配置されたGbチャンネルから2つめのGbチャンネルにおいて、5つの撮像用画素155を挟んで繰り返し配置されている。
【0073】
右側瞳検出用画素152Rは、Grチャンネルにおいて、5つの撮像用画素155を挟んで繰り返し配置されている。上側瞳検出用画素153Uは、右側瞳検出用画素152Rが配置されたGrチャンネルから2つめのGrチャンネルにおいて、5つの撮像用画素155を挟んで繰り返し配置されている。また、下側瞳検出用画素154Dが並ぶGbチャンネルは、右側瞳検出用画素152Rが並ぶGrチャンネルの次の行に配置されている。
【0074】
左側瞳検出用画素151Lと下側瞳検出用画素154Dは、3つの撮像用画素155を挟んで同一列に順に配置され、別の同一列では右側瞳検出用画素152Rと上側瞳検出用画素153Uが3つの撮像用画素155を挟んで順に配置されている。
【0075】
この配置により、左側瞳検出用画素151L、右側瞳検出用画素152R、上側瞳検出用画素153U、及び下側瞳検出用画素154Dの配置は、実施例1(図7)の左側瞳検出用画素111L、右側瞳検出用画素112R、上側瞳検出用画素113U、及び下側瞳検出用画素114Dを行方向及び列方向の両方向でずらしたものとなっている。
図示はしないが、第1円C1と第2円C2に囲まれた画素エリアには、3つ以上の焦点検出用画素が入る。よって、画質と焦点検出性能の関係をバランスよく保つことができる。
【0076】
図14は、実施例6に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
実施例6の撮像素子160は、撮像用画素165と、焦点検出用画素としての、左側瞳検出用画素161L、右側瞳検出用画素162R、上側瞳検出用画素163U、及び下側瞳検出用画素164Dと、を備える。
【0077】
左側瞳検出用画素161Lは、Grチャンネルにおいて、5つの撮像用画素165を挟んで繰り返し配置されている。右側瞳検出用画素162Rは、左側瞳検出用画素161Lが配置されたGrチャンネルから2つめのGrチャンネルにおいて、5つの撮像用画素165を挟んで繰り返し配置されている。すなわち、左右の瞳検出用画素がともにGrチャンネルにあるため、信号レベルがそろうことから高い測定レベルを得ることができる。
【0078】
上側瞳検出用画素163Uは、Gbチャンネルにおいて、5つの撮像用画素165を挟んで繰り返し配置されている。下側瞳検出用画素164Dは、上側瞳検出用画素163Uが配置されたGbチャンネルから2つめのGbチャンネルにおいて、5つの撮像用画素165を挟んで繰り返し配置されている。すなわち、上下の瞳検出用画素がともにGbチャンネルにあるため、信号レベルがそろうことから高い測定レベルを得ることができる。
また、下側瞳検出用画素164Dが並ぶGbチャンネルは、右側瞳検出用画素162Rが並ぶGrチャンネルの次の行に配置されている。
【0079】
さらにまた、左側瞳検出用画素161Lと右側瞳検出用画素162Rは3つの撮像用画素165を挟んで同一列に順に配置されているため、被写体の縦線方向の検出において、ずれを抑えることが可能となる。
また、別の同一列では上側瞳検出用画素163Uと下側瞳検出用画素164Dが3つの撮像用画素165を挟んで順に配置されている。
【0080】
図8に示す2重円を図14に適用すると、第1円C1と第2円C2に囲まれた画素エリアには、8個の焦点検出用画素が入る。したがって、画質と焦点検出性能の関係をバランスよく保つことができる。
【0081】
図15は、実施例7に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
実施例7の撮像素子170は、撮像用画素175と、焦点検出用画素としての、左側瞳検出用画素171L、右側瞳検出用画素172R、上側瞳検出用画素173U、及び下側瞳検出用画素174Dと、を備える。
【0082】
左側瞳検出用画素171Lと右側瞳検出用画素172Rは、Grチャンネルにおいて、3つの撮像用画素175を挟んで順に配置されている。上側瞳検出用画素173Uと下側瞳検出用画素174Dは、Gbチャンネルにおいて、3つの撮像用画素175を挟んで順に配置されている。各瞳検出用画素が配置されたGrチャンネルとGbチャンネルは2行ずつあけて配置されている。
また、1つの列には、1種類の瞳検出用画素が5つの撮像用画素175を挟んで順に配置されている。
【0083】
この構成では、上下の瞳検出用画素173U、174Dが同一行に配置されているため、被写体の横線方向の検出において、ずれを抑えることが可能となるとともに、信号レベルがそろうことから高い測定レベルを得ることができる。
また、左右の瞳検出用画素171L、172Rも同一行に配置されているため、信号レベルがそろうことにより高い測定レベルを得ることができる。
【0084】
図示はしないが、第1円C1と第3円C3に囲まれた画素エリアには、3個以上の焦点検出用画素が入る。したがって、画質と焦点検出性能の関係をバランスよく保つことができる。
【0085】
図16は、実施例8に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
実施例8の撮像素子180は、撮像用画素185と、焦点検出用画素としての、左側瞳検出用画素181L、右側瞳検出用画素182R、上側瞳検出用画素183U、及び下側瞳検出用画素184Dと、を備える。
【0086】
左側瞳検出用画素181Lは、Grチャンネルにおいて、3つの撮像用画素185を挟んで繰り返し配置されている。右側瞳検出用画素182Rは、左側瞳検出用画素181Lが配置されたGrチャンネルから2つめのGrチャンネルにおいて、3つの撮像用画素185を挟んで繰り返し配置されている。
さらに、左右の瞳検出用画素181L、182Rは同一列に配置されている。このため、被写体の縦線方向の検出において、ずれを抑えることが可能となるとともに、信号レベルがそろうことから高い測定レベルを得ることができる。
【0087】
上側瞳検出用画素183Uと下側瞳検出用画素184Dは、Gbチャンネルにおいて、3つの撮像用画素185を挟んで順に配置されている。
上側瞳検出用画素183Uと下側瞳検出用画素184Dが配置されたGbチャンネルは、左側瞳検出用画素181L又は右側瞳検出用画素182Rが配置されたGチャンネルの次の行のGbチャンネルに配置されている。上下の瞳検出用画素183U、184Dが同一行に配置されているため、被写体の横線方向の検出において、ずれを抑えることが可能となるとともに、信号レベルがそろうことから高い測定レベルを得ることができる。
【0088】
また、左側瞳検出用画素181Lと右側瞳検出用画素182Rは3つの撮像用画素185を挟んで同一列に順に配置され、別の同一列では上側瞳検出用画素183Uと下側瞳検出用画素184Dが3つの撮像用画素185を挟んで順に配置されている。
【0089】
図8に示す2重円を図16に適用すると、第1円C1と第2円C2に囲まれた画素エリアには、15個の焦点検出用画素が入る。したがって、画質と焦点検出性能の関係をバランスよく保つことができる。
【0090】
図17は、実施例9に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
実施例9の撮像素子190は、撮像用画素195と、焦点検出用画素としての、左側瞳検出用画素191L、右側瞳検出用画素192R、上側瞳検出用画素193U、及び下側瞳検出用画素194Dと、を備える。
【0091】
左側瞳検出用画素191Lは、Grチャンネルにおいて、3つの撮像用画素195を挟んで繰り返し配置されている。右側瞳検出用画素192Rは、左側瞳検出用画素191Lが配置されたGrチャンネルから2つめのGrチャンネルにおいて、3つの撮像用画素195を挟んで繰り返し配置されている。
【0092】
上側瞳検出用画素193Uは、Gbチャンネルにおいて、3つの撮像用画素195を挟んで繰り返し配置されている。下側瞳検出用画素194Dは、上側瞳検出用画素193Uが配置されたGbチャンネルから2つめのGbチャンネルにおいて、3つの撮像用画素195を挟んで繰り返し配置されている。また、上側瞳検出用画素193Uが並ぶGbチャンネルは、左側瞳検出用画素191Lが並ぶGrチャンネルの次の行に配置されている。
この配置によれば、信号レベルがそろうことから高い測定レベルを得ることができる。
【0093】
また、左側瞳検出用画素191Lと右側瞳検出用画素192Rは3つの撮像用画素195を挟んで同一列に順に配置され、別の同一列では上側瞳検出用画素193Uと下側瞳検出用画素194Dが3つの撮像用画素195を挟んで順に配置されている。
この配置によれば、被写体の縦線方向の検出において、ずれを抑えることが可能となるとともに、信号レベルがそろうことから高い測定レベルを得ることができる。
【0094】
さらにまた、図示はしないが、第1円C1と第2円C2に囲まれた画素エリアには、3つ以上の焦点検出用画素が入る。よって、画質と焦点検出性能の関係をバランスよく保つことができる。
【0095】
図18は、実施例10に係る撮像素子の構成を示す平面図である。
実施例10の撮像素子200は、撮像用画素205と、焦点検出用画素としての、左側瞳検出用画素201L、右側瞳検出用画素202R、上側瞳検出用画素203U、及び下側瞳検出用画素204Dと、を備える。
【0096】
左側瞳検出用画素201Lは、Grチャンネルにおいて、7つの撮像用画素205を挟んで繰り返し配置されている。右側瞳検出用画素202Rは、左側瞳検出用画素201Lが配置されたGrチャンネルから2つめのGrチャンネルにおいて、7つの撮像用画素205を挟んで繰り返し配置されている。
【0097】
上側瞳検出用画素203Uは、Gbチャンネルにおいて、7つの撮像用画素205を挟んで繰り返し配置されている。下側瞳検出用画素204Dは、上側瞳検出用画素203Uが配置されたGbチャンネルの次のGbチャンネルにおいて、7つの撮像用画素205を挟んで繰り返し配置されている。
【0098】
上側瞳検出用画素203Uが並ぶGbチャンネルは、左側瞳検出用画素201Lが並ぶGrチャンネルの次の行に配置されており、右側瞳検出用画素202Rが並ぶGrチャンネルは、下側瞳検出用画素204Dが並ぶGbチャンネルの次の行に配置されている。
また、同一列には同じ種類の焦点検出用画素のみが7つの撮像用画素を挟んで繰り返し配置されている。
【0099】
この配置においては、図示はしないが、第1円C1と第2円C2に囲まれた画素エリアには、3つ以上の焦点検出用画素が入る。よって、画質と焦点検出性能の関係をバランスよく保つことができる。
【0100】
以上の実施例において、複数の画素は、撮像用画素と焦点検出用画素が稠密正方格子状に配列された例を示したが、稠密六方格子状に配列してもよい。
【0101】
色フィルタの配列としては、モザイク状に配列された例を示したが、ストライプ状に配列してもよい。
【0102】
ここで、本実施形態の撮像装置及びカメラの作用効果について説明する。
【0103】
本実施形態に係る撮像装置は、撮像光学系により結像された光学像を電気信号に変換する光電変換部を有する複数の画素と、複数の画素の各々に配置される複数の色フィルタと、を備え、複数の画素が2次元的に配列された撮像素子を有する撮像装置において、複数の色フィルタのうち最も輝度信号に重み付けを行う色フィルタ、又は、最も透過率が高い色フィルタが配置される画素のうち少なくとも一部が、画素へ入射する光束の入射方向を制限するよう構成された焦点検出用画素であり、焦点検出用画素以外の画素は、画素へ入射する光束が焦点検出用画素よりも制限されないよう構成された撮像用画素であり、焦点検出用画素は、少なくとも測距のための信号を出力し、撮像用画素は、少なくとも画像のための信号を出力し、任意の焦点検出用画素の中心を基準とし、半径が画素ピッチの3.1倍の円と半径が画素ピッチの5.9倍の円により囲まれた画素エリアのうち、少なくとも3つ以上の画素が焦点検出用画素であることを特徴とする。
【0104】
(1)焦点検出用画素の配置が密になると、焦点検出性能は向上するが画質は劣化する。一方、(2)焦点検出用画素の配置が疎になると、焦点検出性能は劣化するが画質は向上する。
さらに、(3)画質について考えた場合、焦点検出用画素の信号は、撮像用画素の信号に対して画質が劣化しているため、画質を向上させるためには例えば周辺の撮像用画素信号を用いて画素補間を行う必要がある。この画素補間を行うには、焦点検出用画素の周囲にある一定の撮像用画素が必要となる。
本実施形態の撮像装置では、焦点検出用画素が上述の境界条件を満たすことにより、上記(1)、(2)、(3)の関係をバランスよく保つことができる。
【0105】
従来の撮像装置では、測距情報検出の為に主に次の2つの構成がある。
(a)光路切り替え手段なし
(b)光路切り替え手段あり
(a)は、コンパクトカメラに代表され、光路切換え手段がない為、システム全体(特に厚さ方向)の小型化が可能である。(b)は、一眼レフカメラに代表され、光路切り替え手段(クイックリターンミラーなど)がある為、システム全体が大きくなってしまう。
本実施形態の撮像装置の構成では、測距情報検出の為に光路切り替え手段が必要ない為、システム全体の小型化が可能である。
【0106】
焦点検出用画素は、測距用の信号が出力可能である。また、焦点検出用画素は、最も輝度信号に重み付けを行う色フィルタが配置されている為、以下の効果がある。
(i)色フィルタを透過した光束を受光する為、画像用の信号出力も可能である。
(ii)その他の色フィルタに対して分光透過帯域が広い為、白色ベスト像面に対して像面のずれ量が少ない。
(iii)その他の色フィルタに対して分光透過帯域が広い為、光量が1番多く得られる。このため、測距及び画質に有利になる。
即ち、上述の効果により、画質の劣化が少なく焦点検出性能が良い撮像装置が実現できる。
【0107】
本実施形態に係る撮像装置は、複数の色フィルタのうち最も輝度信号に重み付けを行う色フィルタが配置される画素のうち少なくとも一部が、画素へ入射する光束の入射方向を制限するよう構成された焦点検出用画素であり、焦点検出用画素以外の画素は、画素へ入射する光束が焦点検出用画素よりも制限されないよう構成された撮像用画素であり、焦点検出用画素は、測距と画像のための信号とを出力し、撮像用画素は、画像のための信号を出力することが好ましい。
【0108】
また、本実施形態に係る撮像装置は、焦点検出用画素の各光電変換部が、撮影レンズの瞳の異なる領域を透過した光束を受光するように構成され、瞳の異なる領域を複数有し、瞳の異なる領域の1つを透過した光束を受光する光電変換部の出力から得られる第1像信号と、瞳の異なる領域のもう1つを透過した光束を受光する光電変換部の出力から得られる第2像信号と、に基づいて位相差を検出し、撮影レンズの焦点状態を検出することが好ましい。
但し、位相差とは2つの像信号の相対的な位置関係のことである。
【0109】
従来の撮像装置では、主に次の2つの測距方式がある。
(1)コントラスト方式
(2)位相差方式
(1)の方式では、フォーカシング状態を変えながらコントラスト値を評価するいわゆる山登り方式をとるため合焦させるのに時間がかかる。(2)の方式では、合焦時間は短いが、専用のAF光学系と光路切り替え手段が必要となりシステム全体が大きくなる。
これに対して、上述のように、焦点検出用画素の各光電変換部が、撮影レンズの瞳の異なる領域を透過した光束を受光するように構成され、瞳の異なる領域を複数有し、瞳の異なる領域の1つを透過した光束を受光する光電変換部の出力から得られる第1像信号と、瞳の異なる領域のもう1つを透過した光束を受光する光電変換部の出力から得られる第2像信号と、に基づいて位相差を検出し、撮影レンズの焦点状態を検出することにより、焦点検出性能のよい、合焦時間の短い撮像装置が実現できる。
【0110】
さらにまた、本実施形態に係る撮像装置は、瞳の異なる領域を4つ以上有し、位相差情報を2通り以上得られることが好ましい。
【0111】
被写体の検出方向が2通りある為、1通りに比べて被写体に依存せず焦点検出性能が向上する。例えば、瞳の分割方向を左右と上下の2通りとすると、分割方向が左右だけの場合に比べて、被写体の横線方向も検出できることから、焦点検出性能が向上する。
【0112】
また、本実施形態に係る撮像装置は、複数の色フィルタの透過特性は、少なくとも可視域の一部を含み、異なる透過特性を少なくとも3通り有することが好ましい。
【0113】
また、本実施形態に係る撮像装置は、異なる透過特性のうち、最も短波長側の透過特性をもつ色フィルタをB(青)フィルタとし、最も長波長側の透過特性を持つ色フィルタをR(赤)フィルタとし、それ以外の透過特性を持つものをG(緑)フィルタとしたとき、最も輝度信号に重み付けを行う色フィルタは、Gフィルタであることが好ましい。
【0114】
さらに、本実施形態に係る撮像装置は、焦点検出用画素の少なくとも1通りは、左右に瞳を分割する画素として構成され、左右に瞳を分割する画素は、同一列に配置されることが好ましい。
【0115】
従来の配置では、左側瞳検出用画素と右側瞳検出用画素とが同一列に配置されていないため、厳密には被写体の同一縦線を検出することはできない。しかし、本実施形態の撮像装置では、焦点検出用画素を離散的に配置することにより、左側瞳検出用画素と右側瞳検出用画素を同一列に配置することができる。このため、厳密に被写体の同一縦線を検出することが可能であり、焦点検出性能を向上させることができる(図10参照)。
【0116】
図10においては、左側瞳検出用画素121Lと右側瞳検出用画素122Rとが同一列に配置されているため、右側瞳検出用画素122Rと左側瞳検出用画素121L2とを同一行に配置した場合に比して、厳密に被写体の縦線方向の位相差を検出することが可能となり、位相差検出性能が向上する。一般的に、自然界の構造物としては横線方向よりも縦線方向の構造が多い。よって、横線方向の位相差より縦線方向の位相差を厳密に検出する構成が望ましい。
【0117】
また、本実施形態に係る撮像装置は、画素エリア内において、任意の焦点検出用画素の中心を通る列方向及び行方向に、任意の焦点検出用画素以外の焦点検出用画素が配置されていないことが好ましい。
【0118】
さらにまた、本実施形態に係る撮像装置は、任意の焦点検出用画素の中心を基準とし、半径が画素ピッチの3.1倍の円内に、任意の焦点検出用画素以外の焦点検出用画素が配置されていないことが好ましい。
【0119】
また、本実施形態に係るカメラは、上述のいずれかの撮像装置と、撮像装置において光学像を結像する撮像光学系と、撮像光学系を通じて結像した像を撮像装置で撮像することによって得られた画像データを加工して像の形状を変化させた画像データとして出力する画像処理手段と、を備えることを特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0120】
以上のように、本発明に係る撮像装置及びカメラは、画質の劣化が少なく、かつ、高い焦点検出性能が求められる撮像装置及びカメラに有用である。
【符号の説明】
【0121】
11 デジタルスチルカメラ
12 交換レンズ
13 カメラボディ
16 レンズ駆動制御装置
18 ズーミング用レンズ
19 レンズ
20 フォーカシング用レンズ
21 絞り
22 撮像素子
24 ボディ駆動制御装置
25 液晶表示素子駆動回路
26 液晶表示素子
27 接眼レンズ
31 p形ウエル
32α、32β n形領域
33α、33β 表面p+層
35 カラーフィルタ
36 マイクロレンズ
41 画素
42、52 マイクロレンズ
44、54 遮光膜
48、58 開口部
61、62、63、64 オンチップレンズ
61a、62a、63a、64a 光軸
70、80 画素
71、81 屈折率分布レンズ
72 カラーフィルタ
76、86 受光素子
90 瞳面
110、120、130、140、150 撮像素子
111L、121L、131L、141L、151L 左側瞳検出用画素
112R、122R、132R、142R、152R 右側瞳検出用画素
113U、123U、133U、143U、153U 上側瞳検出用画素
114D、124D、134D、144D、154D 下側瞳検出用画素
115、125、135、145、155 撮像用画素
160、170、180、190、200 撮像素子
161L、171L、181L、191L、201L 左側瞳検出用画素
162R、172R、182R、192R、202R 右側瞳検出用画素
163U、173U、183U、193U、203U 上側瞳検出用画素
164D、174D、184D、194D、204D 下側瞳検出用画素
165、175、185、195、205 撮像用画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学系により結像された光学像を電気信号に変換する光電変換部を有する複数の画素と、
前記複数の画素の各々に配置される複数の色フィルタと、を備え、
前記複数の画素が2次元的に配列された撮像素子を有する撮像装置において、
前記複数の色フィルタのうち最も輝度信号に重み付けを行う色フィルタ、又は、最も透過率が高い色フィルタが配置される画素のうち少なくとも一部が、前記画素へ入射する光束の入射方向を制限するよう構成された焦点検出用画素であり、
前記焦点検出用画素以外の画素は、前記画素へ入射する光束が前記焦点検出用画素よりも制限されないよう構成された撮像用画素であり、
前記焦点検出用画素は、少なくとも測距のための信号を出力し、
前記撮像用画素は、少なくとも画像のための信号を出力し、
任意の前記焦点検出用画素の中心を基準とし、半径が画素ピッチの3.1倍の円と半径が画素ピッチの5.9倍の円により囲まれた画素エリアのうち、少なくとも3つ以上の画素が前記焦点検出用画素であることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記複数の色フィルタのうち最も輝度信号に重み付けを行う色フィルタが配置される画素のうち少なくとも一部が、前記画素へ入射する光束の入射方向を制限するよう構成された焦点検出用画素であり、
前記焦点検出用画素以外の画素は、前記画素へ入射する光束が前記焦点検出用画素よりも制限されないよう構成された撮像用画素であり、
前記焦点検出用画素は、測距と画像のための信号とを出力し、
前記撮像用画素は、画像のための信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記焦点検出用画素の各光電変換部は、撮影レンズの瞳の異なる領域を透過した光束を受光するように構成されており、
前記瞳の異なる領域を複数有し、
前記瞳の異なる領域の1つを透過した光束を受光する光電変換部の出力から得られる第1像信号と、
前記瞳の異なる領域のもう1つを透過した光束を受光する光電変換部の出力から得られる第2像信号と、
に基づいて位相差を検出し、前記撮影レンズの焦点状態を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記瞳の異なる領域を4つ以上有し、位相差情報を2通り以上得られることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記複数の色フィルタの透過特性は、少なくとも可視域の一部を含み、異なる透過特性を少なくとも3通り有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記異なる透過特性のうち、最も短波長側の透過特性をもつ色フィルタをBフィルタとし、
最も長波長側の透過特性を持つ色フィルタをRフィルタとし、
それ以外の透過特性を持つものをGフィルタとしたとき、
前記最も輝度信号に重み付けを行う色フィルタは、Gフィルタであることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記焦点検出用画素の少なくとも1通りは、左右に瞳を分割する画素として構成され、前記左右に瞳を分割する画素は、同一列に配置されることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記画素エリア内において、前記任意の焦点検出用画素の中心を通る列方向及び行方向に、前記任意の焦点検出用画素以外の焦点検出用画素が配置されていないことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記半径が画素ピッチの3.1倍の円内に、前記任意の焦点検出用画素以外の焦点検出用画素が配置されていないことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の撮像装置と、
前記撮像装置において光学像を結像する撮像光学系と、
を備えることを特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−197080(P2011−197080A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60850(P2010−60850)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】