説明

撮像装置

【課題】高画質の画像を得ながら撮影画面内の任意の位置での焦点検出を可能にする。
【解決手段】撮影光学系1と、撮影光学系1を透過した光束を、所定の色成分の第1光束と所定の色成分以外の色成分の第2光束とに分割する光束分割手段2と、所定の色成分に感度を有し、第1光束を受光する第1撮像素子4と、所定の色成分以外の互いに異なる色成分にそれぞれ感度を有し、第2光束を受光する第2撮像素子5と、第1撮像素子4および第2撮像素子5から出力される信号から、画像信号と焦点検出信号とを分離する出力分離手段6と、画像信号に基づいて撮影光学系1により結像された被写体像の画像を生成する画像生成手段7と、焦点検出信号に基づいて撮影光学系1の焦点調節状態を検出する焦点検出手段11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像用画素の二次元配列中の一部に焦点検出用画素列を配置した2種類の撮像素子を用い、撮影光学系を透過した被写体からの光束を光分割プリズムにより上記2種類の撮像素子へそれぞれ導き、被写体像の撮像と撮影光学系の焦点検出を行う撮像装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この種の撮像装置では、焦点検出用画素位置の画像信号を、焦点検出用画素の周囲の撮像用画素から出力された画像信号に基づいて補間により求め、焦点検出用画素位置の画像信号の欠落をなくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−176114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の撮像装置では、焦点検出用画素列に高い空間周波数の被写体像が投影されると、上記補間処理における誤差に起因する画像の不連続性、すなわち画像ひずみが発生し、画質が劣化するという問題がある。撮影画面内の焦点検出位置を最小にすれば画質の劣化が問題になる位置も少なくなるが、そうすると撮影画面内の限られた位置でしか焦点検出できなくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、撮影光学系と、撮影光学系を透過した光束を、所定の色成分の第1光束と所定の色成分以外の色成分の第2光束とに分割する光束分割手段と、所定の色成分に感度を有し、かつ、撮影光学系により結像される被写体像を撮像するための第1撮像用画素と、撮影光学系の焦点調節状態を検出するための第1および第2焦点検出用画素とが二次元状に正方配列された撮像素子であって、第1撮像用画素と第1焦点検出用画素とが交互に配列された行と、第1撮像用画素と第2焦点検出用画素とが交互に配列された行とが交互に配置されるとともに、隣り合う行に配置される第1撮像用画素どうしが1画素分ずれた位置関係となるように配置され、第1光束を受光する第1撮像素子と、所定の色成分以外の互いに異なる色成分にそれぞれ感度を有し、かつ、撮影光学系により結像される被写体像を撮像するための第2および第3撮像用画素と、撮影光学系の焦点調節状態を検出するための第1および第2焦点検出用画素とが二次元状に正方配列された撮像素子であって、第2撮像用画素と第1焦点検出用画素とが交互に配列された行と、第3撮像用画素と第2焦点検出用画素とが交互に配列された行とが交互に配置されるとともに、隣り合う行に配置される第2撮像用画素と第3撮像用画素とが1画素分ずれた位置関係となるように配置され、第2光束を受光する第2撮像素子と、第1撮像素子および第2撮像素子から出力される信号から、第1〜第3撮像用画素の画像信号と第1および第2焦点検出用画素の焦点検出信号とを分離する出力分離手段と、画像信号に基づいて撮影光学系により結像された被写体像の画像を生成する画像生成手段と、焦点検出信号に基づいて撮影光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出手段とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高画質の画像を得ることができつつ、撮影画面内の任意の位置での焦点検出をも可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施の形態の撮像装置の構成を示す図
【図2】第1および第2撮像素子の撮影光学系から見た正面図
【図3】第1撮像素子の撮像面中央領域の画素配置図
【図4】第2撮像素子の撮像面中央領域の画素配置図
【図5】第1撮像素子の撮像面と第2撮像素子の撮像面とを重ね合わせたときの、撮像面中央領域における撮像用画素のみを描いた図
【図6】第1撮像素子の撮像面と第2撮像素子の撮像面とを重ね合わせたときの、撮像面中央領域における焦点検出用画素のみを描いた図
【図7】第1撮像素子の緑色の撮像用画素および第2撮像素子の赤色と青色の撮像用画素の水平方向(行方向)の断面図
【図8】(a)は第1および第2撮像素子の第1焦点検出用画素の水平方向(行方向)の断面図、(b)は第1および第2撮像素子の第2焦点検出用画素の水平方向(行方向)の断面図
【図9】撮像用画素の分光感度特性を示す図
【図10】焦点検出用画素の分光感度特性を示す図
【図11】焦点検出用画素による撮影光学系の焦点検出方法を説明するための図
【図12】変形例の第1撮像素子の撮像面中央領域における画素配列を示す図
【図13】変形例の第2撮像素子の撮像面中央領域における画素配列を示す図
【図14】変形例の第1撮像素子の撮像面と変形例の第2撮像素子の撮像面とを重ね合わせたときの、撮像面中央領域における焦点検出用画素のみを描いた図
【図15】一実施の形態の撮像装置の撮影動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の撮像素子および撮像装置をデジタルスチルカメラに適用した一実施の形態を説明する。なお、本発明はデジタルスチルカメラに限定されず、ビデオカメラなどにも適用することができる。
【0009】
図1は一実施の形態の撮像装置(デジタルスチルカメラ)の構成を示す。撮影光学系1は図示しないフォーカシングレンズ、ズーミングレンズ、絞り、レンズメモリなどを備え、被写体像を2種類の撮像素子、すなわち第1撮像素子4と第2撮像素子5の各撮像面に結像する。波長選択性分割光学系2は、撮影光学系1から到来する光束の内、緑G成分の光を透過して第1撮像素子4へ導くとともに、緑以外の成分の光を反射して全反射ミラー3を介して第2撮像素子5へ導く。この波長選択性分割光学系2には、例えば波長選択性ミラー(ダイクロイックミラー)、波長選択性光分割プリズムなどを用いることができる。第1および第2撮像素子4,5はCCDイメージセンサーやCMOSイメージセンサーなどから構成され、撮影光学系1によりそれぞれの撮像面に結像された被写体像を撮像して画像信号を出力するとともに、撮影光学系1の焦点調節状態を示す焦点検出信号を出力する。
【0010】
図2は第1および第2撮像素子4,5を撮影光学系1側から見た正面図、図3は第1撮像素子4の撮像面4aの中央領域4bにおける画素配列の部分拡大図、図4は第2撮像素子5の撮像面5aの中央領域5bにおける画素配列の部分拡大図である。第1撮像素子4の撮像面4aと第2撮像素子5の撮像面5aは同一の大きさで、かつ第1撮像素子4と第2撮像素子5はともに撮像面4a、5aに横N個、縦M個の画素(撮像用画素と焦点検出用画素)が千鳥状に稠密に正方配列されており、第1撮像素子4の撮像面4aと第2撮像素子5の撮像面5aが対応するのはもちろんのこと、第1撮像素子4と第2撮像素子5は画素どうしが完全に対応する位置関係となるように位置決めされて固定されている。したがって、図3に示す第1撮像素子4の中央領域4bは、図4に示す第2撮像素子5の中央領域5bに対応するとともに、同じ位置にある画素どうしが対応関係にある。例えば、図3の右上隅の画素401は図4の右上隅の画素501に対応し、図3の左下隅の画素402は図4の左下隅の画素502に対応する。なお、第1および第2撮像素子4,5の撮像面4a、5aは撮影光学系1の撮影画面に対応する。
なお撮像素子4,5は、カラーフィルターに関する構成以外については両者が同じ構成の撮像素子を用いるようにしても構わない。この場合、位置決め固定時に1行シフトしてやれば欲しい対応関係が得られる。
【0011】
図3において、第1撮像素子4には、撮影光学系1により結像された被写体像を撮像するための撮像用画素4gと、撮影光学系1の焦点調節状態を検出するための第1焦点検出用画素4s1および第2焦点検出用画素4s2とが稠密に正方配列されている。撮像用画素4gは、波長選択性分割光学系2を透過した緑G成分の被写体光を緑色のカラーフィルター(不図示)と遮光マスク開口30を介して受光する。なお本構成においては、波長選択性分割光学系2によって緑G成分の光のみが選択(透過)されているので、必ずしも撮像用画素4g上に緑色カラーフィルターを配置してなくても良い。
第1焦点検出用画素4s1は、撮影光学系1側から見て右側に半円形の遮光マスク開口31を有し、詳細を後述するが撮影光学系1の射出瞳上の一対の領域を通過した一対の光束の内の一方の光束を開口31を介して受光する。一方、第2焦点検出用画素4s2は、撮影光学系1側から見て左側に半円形の遮光マスク開口32を有し、上記一対の光束の内の他方の光束を開口32を介して受光する。第1焦点検出用画素4s1と第2焦点検出用画素4s2とによって、撮影光学系1の射出瞳上の一対の領域を通過した一対の光束を受光する。
【0012】
第1撮像素子4の撮像面4aには、図3に示すように、緑色のカラーフィルターにより緑G成分の光に感度を有する緑色Gの撮像用画素4gと、第1および第2焦点検出用画素4s1、4s2とが、撮像面4aの左右方向(被写界の水平方向)と上下方向(被写界の垂直方向)において互いに隣接するように交互に配置される。さらに、撮像面4aの左右方向において緑色Gの撮像用画素4gと第1焦点検出用画素4s1とが交互に配列された行と、緑色Gの撮像用画素4gと第2焦点検出用画素4s2とが交互に配列された行とが、撮像面4aの上下方向に交互に配列される。
【0013】
一方、図4において、第2撮像素子5には、撮影光学系1により結像された被写体像を撮像するための2種類の撮像用画素5r、5bと、撮影光学系1の焦点調節状態を検出するための第1焦点検出用画素5s1および第2焦点検出用画素5s2とが稠密に正方配列されている。撮像用画素5r、5bは、波長選択性分割光学系2を反射した緑G成分以外の被写体光を赤色Rと青色Bのカラーフィルターと遮光マスク開口30を介して受光する。なお、第2撮像素子5の撮像用画素5r、5bは、第1撮像素子4の撮像用画素4gとカラーフィルターの色以外は同じ寸法と構造を有している。
【0014】
第1焦点検出用画素5s1は、撮影光学系1側から見て右側に半円形の遮光マスク開口31を有し、詳細を後述するが撮影光学系1の射出瞳上の一対の領域を通過した一対の光束の内の一方の光束を開口31を介して受光する。一方、第2焦点検出用画素5s2は、撮影光学系1側から見て左側に半円形の遮光マスク開口32を有し、上記一対の光束の内の他方の光束を開口32を介して受光する。第1焦点検出用画素5s1と第2焦点検出用画素5s2とによって、撮影光学系1の射出瞳上の一対の領域を通過した一対の光束を受光する。なお、第1撮像素子4の第1焦点検出用画素4s1と、第2撮像素子5の第1焦点検出用画素5s1とは同一の寸法と構造を有する画素であり、同様に、第1撮像素子4の第2焦点検出用画素4s2と、第2撮像素子5の第2焦点検出用画素5s2とは同一の寸法と構造を有する画素である。
【0015】
第2撮像素子5の撮像面5aには、図4に示すように、赤色又は青色のカラーフィルターにより、赤R成分の光又は青B成分の光にそれぞれ感度を有する赤色Rおよび青色Bの撮像用画素5r、5bと、第1および第2焦点検出用画素5s1、5s2とが、撮像面5aの左右方向(被写界の水平方向)と上下方向(被写界の垂直方向)において互いに隣接するように交互に配置される。さらに、撮像面5aの左右方向において赤色Rの撮像用画素5rと第1焦点検出用画素5s1とが交互に配列された行と、青色Bの撮像用画素5bと第2焦点検出用画素5s2とが交互に配列された行とが、撮像面5aの上下方向に交互に配列される。
【0016】
図5は、第1撮像素子4の撮像面4aと第2撮像素子5の撮像面5aとを重ね合わせたときの、撮像面4a、5aの中央領域4b、5b(図2参照)における撮像用画素4g、5r、5bのみを描いた図である。上述したように、第1撮像素子4と第2撮像素子5は、画素どうしが完全に対応する位置関係にあるので、第1および第2撮像素子4、5を重ね合わせると、中央領域4b、5bにおける撮像用画素4g、5r、5bの配置は、ちょうど図3に示す撮像用画素4gの配列と、図4に示す撮像用画素5r、5bの配列とを重ね合わせた図5に示す配置になる。図5から明らかなように、第1撮像素子4の緑色Gの撮像用画素4g、第2撮像素子5の赤色Rの撮像用画素5rおよび第2撮像素子5の青色Bの撮像用画素5bは、ベイヤー配列にしたがった配置になっている。
【0017】
図6は、第1撮像素子4の撮像面4aと第2撮像素子5の撮像面5aとを重ね合わせたときの、撮像面4a、5aの中央領域4b、5b(図2参照)における焦点検出用画素4s1、4s2、5s1、5s2のみを描いた図である。上述したように、第1撮像素子4と第2撮像素子5は、画素どうしが完全に対応する位置関係にあるので、第1および第2撮像素子4、5を重ね合わせると、中央領域4b、5bにおける焦点検出用画素4s1、4s2、5s1、5s2の配置は、ちょうど図3に示す焦点検出用画素4s1、4s2の配列と、図4に示す焦点検出用画素5s1、5s2の配列とを重ね合わせた配置となる。
【0018】
図6において、第1撮像素子4の第1および第2焦点検出用画素4s1、4s2は、波長選択性分割光学系2を透過した緑G成分の被写体光を受光する。一方、第2撮像素子5の第1および第2焦点検出用画素5s1、5s2は、波長選択性分割光学系2を反射した緑以外の被写体光、すなわち略マゼンダM成分の被写体光を受光する。
【0019】
図6に示す焦点検出用画素配列の第1行目において、第1撮像素子4の第1焦点検出用画素4s1と第2撮像素子5の第2焦点検出用画素5s2は、撮影光学系1の射出瞳の異なる一対の領域を通過した一対の光束を受光するから、この一対の焦点検出用画素4s1、5s2の出力に基づいて撮影光学系1の焦点調節状態を検出できる。しかしながら、第1撮像素子4の第1焦点検出用画素4s1は波長選択性分割光学系2を透過した緑G成分の光を受光するのに対し、第2撮像素子5の第2焦点検出用画素5s2は波長選択性分割光学系2を反射した緑G成分以外の光、すなわちマゼンダM成分の光を受光する。このため、この一対の焦点検出用画素4s1、5s2の出力に基づいて焦点検出演算を行うと、誤差が生じる。このことは、図6に示す焦点検出用画素配列の第2行目の、第2撮像素子5の第1焦点検出用画素5s1と第1撮像素子4の第2焦点検出用画素4s2の対においても同様であり、第2撮像素子5の第1焦点検出用画素5s1はマゼンダM成分の光を受光し、第1撮像素子4の第2焦点検出用画素4s2は緑G成分の光を受光するため、これらの対の焦点検出用画素5s1、4s2の出力に基づいて焦点検出演算を行うと誤差を生じる。
【0020】
そこで、この一実施の形態では、図6に示す焦点検出用画素配列において、第1行目の第1撮像素子4の第1焦点検出用画素4s1の緑G成分光による出力と、第2行目の第2撮像素子5の第1焦点検出用画素5s1のマゼンダM成分光による出力とを加算した第1出力を得るとともに、第1行目の第2撮像素子5の第2焦点検出用画素5s2のマゼンダM成分光による出力と、第2行目の第1撮像素子4の第2焦点検出用画素4s2の緑G成分光による出力とを加算して第2出力を得る。これらの第1出力と第2出力は、ともに緑G成分の光とマゼンダM成分の光とを受光した場合の出力となり、自然光を受光した出力と等価になるから、これらの第1出力と第2出力とを一対の焦点検出用画素の出力として焦点検出演算を行うことによって、光成分に起因した焦点検出誤差のない撮影光学系1の焦点調節状態を検出することができる。すなわち、図6において点線で区切られた領域601が1つの焦点検出(AF)エリアとなる。なお、図6に示す撮像面4a、5aの中央領域4b、5b以外の領域における焦点検出用画素配列においても、同様な処理を施す。すなわち各領域602〜604もそれぞれAFエリアとなる。
【0021】
図7は、第1撮像素子4の撮像用画素4gおよび第2撮像素子5の撮像用画素5r、5bの水平方向(行方向)の断面図である。撮像用画素4g、5r、5bでは、撮像用の光電変換部33の前面に遮光マスク34の開口30が配置され、さらにその前方にカラーフィルター35とマイクロレンズ36が配置される。そして、マイクロレンズ36により遮光マスク開口30の形状が前方に投影される。遮光マスク開口30は図3に示すように正方形である。カラーフィルター35は、被写体光から赤色R、緑色Gおよび青色Bの成分の光をそれぞれ透過する。緑色G、赤色Rおよび青色Bの撮像用画素4g、5r、5bの分光特性を図9に示す。光電変換部33は半導体回路基板37上に形成され、その上に遮光マスク34、カラーフィルター35、マイクロレンズ36などが半導体イメージセンサーの製造工程により一体的かつ固定的に形成される。
【0022】
図8(a)は第1および第2撮像素子4,5の第1焦点検出用画素4s1、5s1の水平方向(行方向)の断面図、図8(b)は、第1および第2撮像素子4,5の第2焦点検出用画素4s2、5s2の水平方向(行方向)の断面図である。なお、第1焦点検出用画素4s1、5s1と第2焦点検出用画素4s2、5s2とは一対であり、遮光マスク34の開口31と開口32がそれぞれ対象の位置に配置されているだけである。
なお図8では光電変換部38,39を、図7の光電変換部33と略同じ大きさのものを用いている。しかしながら図8で使用する光電変換部の大きさ(形状)としては、遮光マスク34にそれぞれ形成された半円形の開口31,32を通過する光を全て受光できる程度の大きさ(形状)を持っていれば良いので、例えば光電変換部38,39のうち遮光マスク34で遮光されている部分を削ったような(光電変換部33を半分に小さくしたような)形状の光電変換部を使用するようにしても良い。
【0023】
図8(a)において、第1焦点検出用画素4s1、5s1では、焦点検出用の光電変換部38の前面に遮光マスク34の開口31が配置され、さらにその前方にマイクロレンズ40が配置される。そして、マイクロレンズ40により遮光マスク開口31の形状が前方に投影される。遮光マスク開口31は図3、図4に示すように半円形である。第1焦点検出用画素4s1、5s1には、光量をかせぐためにカラーフィルターが設けられておらず、その分光特性は光電変換を行うフォトダイオードの分光感度と、赤外カットフィルター(不図示)の分光特性とを総合した分光特性(図10参照)となる。つまり、図9に示す赤色R、緑色Gおよび青色Bの撮像用画素4g、5r、5bの分光特性を加算したような分光特性となり、その感度の光波長領域は緑色G、赤色Rおよび青色Bの撮像用画素4g、5r、5bの感度の光波長領域を包括している。光電変換部38は撮像用画素4g、5r、5bと共通の半導体回路基板37上に形成され、その上に遮光マスク34やマイクロレンズ40などが半導体イメージセンサーの製造工程により一体的かつ固定的に形成される。
【0024】
図8(b)において、第2焦点検出用画素4s2、5s2では、焦点検出用の光電変換部39の前面に遮光マスク34の開口32が配置され、さらにその前方にマイクロレンズ40が配置される。そして、マイクロレンズ40により遮光マスク開口32の形状が前方に投影される。遮光マスク開口32は図3、図4に示すように半円形である。第2焦点検出用画素4s2、5s2には、光量をかせぐためにカラーフィルターが設けられておらず、その分光特性は光電変換を行うフォトダイオードの分光感度と、赤外カットフィルター(不図示)の分光特性とを総合した分光特性(図10参照)となる。つまり、図9に示す赤色R、緑色Gおよび青色Bの撮像用画素4g、5r、5bの分光特性を加算したような分光特性となり、その感度の光波長領域は緑色G、赤色Rおよび青色Bの撮像用画素4g、5r、5bの感度の光波長領域を包括している。光電変換部39は撮像用画素4g、5r、5bと共通の半導体回路基板37上に形成され、その上に遮光マスク34やマイクロレンズ40などが半導体イメージセンサーの製造工程により一体的かつ固定的に形成される。
【0025】
図11は、マイクロレンズを用いた瞳分割型位相差検出方式の焦点検出光学系の構成を示す。図11では、図6に示す第1撮像素子4の第1焦点検出用画素4s1と、第2撮像素子5の第2焦点検出用画素5s2が交互に配列されている部分を例に挙げて、焦点検出用画素4s1、4s2、5s1、5s2による撮影光学系1の焦点検出方法を説明する。図において、50は、撮影光学系1(図1参照)の予定結像面に配置されたマイクロレンズ40から前方dの距離に設定された射出瞳である。この距離dは、マイクロレンズ40の曲率、屈折率、マイクロレンズ40と光電変換部38、39との間の距離などに応じて決まる距離であって、この明細書では測距瞳距離と呼ぶ。51は撮影光学系1の光軸、52,53は焦点検出用光束である。領域54はマイクロレンズ40により投影された光電変換部38の領域であり、領域55はマイクロレンズ40により投影された光電変換部39の領域である。この明細書ではこれらの領域54,55を測距瞳と呼ぶ。なお、図11では説明を解りやすくするために領域54,55を楕円形で示しているが、実際には光電変換部38,39の形状が拡大投影された形状になる。また、図11では焦点検出用画素4s1、5s2の一部を拡大して模式的に示しているが、他の焦点検出用画素においても、光電変換部38,39はそれぞれ対応した測距瞳54,55から各マイクロレンズ40に到来する光束を受光するように構成されている。
【0026】
マイクロレンズ40は撮影光学系1(図1参照)の予定結像面近傍に配置されており、マイクロレンズ40によりその背後に配置された光電変換部38,39の形状がマイクロレンズ40から測距瞳距離dだけ離間した射出瞳50上に投影され、その投影形状は測距瞳54,55を形成する。すなわち、焦点検出用画素4s1、5s2においては、投影距離dにある射出瞳50上で各焦点検出用画素4s1、5s2の光電変換部38,39の投影形状(測距瞳54,55)が一致するように、各焦点検出用画素4s1、5s2におけるマイクロレンズ40と光電変換部38,39の相対的位置関係が定められ、それにより各焦点検出用画素4s1、5s2における光電変換部38,39の投影方向が決定されている。光電変換部38は、測距瞳54を通過して焦点検出用画素4s1のマイクロレンズ40に向う光束52によってマイクロレンズ40上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。また、光電変換部39は、測距瞳55を通過して焦点検出用画素5s2のマイクロレンズ40に向う光束53によってマイクロレンズ40上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0027】
上述した一対の焦点検出用画素(4s1,5s1)、(4s2,5s2)を撮像素子4,5の撮像面4a、5aの各行に配列し、焦点検出用画素(4s1,5s1)、(4s2,5s2)の光電変換部38,39の出力を測距瞳54および測距瞳55に対応した出力グループにまとめることによって、測距瞳54と測距瞳55をそれぞれ通過する焦点検出用光束52,53が焦点検出用画素列上に形成する一対の像の強度分布に関する情報が得られる。この情報に対して周知の像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって、いわゆる瞳分割型位相差検出方式で一対の像の像ズレ量が検出される。さらに、像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を行うことによって、予定結像面に対する現在の結像面(予定結像面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出位置における結像面)の偏差(デフォーカス量)が算出される。
【0028】
ふたたび図1に戻って一実施の形態の撮像装置の構成を説明する。信号分離合成回路6は、第1および第2撮像素子4,5の撮像用画素4g、5r、5bから出力される画像信号と、第1および第2撮像素子4,5の焦点検出用画素4s1、4s2、5s1、5s2から出力される焦点検出信号とを分離する。また、上述したように、第1撮像素子4の第1焦点検出用画素4s1の出力と第2撮像素子5の第1焦点検出用画素5s1とを加算して第1出力を算出するとともに、第2撮像素子5の第2焦点検出用画素5s2の出力と第1撮像素子4の第2焦点検出用画素4s2とを加算して第2出力を算出し、一対の焦点検出信号を合成する。
【0029】
画像信号処理回路7は、第1および第2撮像素子4,5の撮像用画素4g、5r、5bから得られた画像信号を輝度信号(Y信号)および色差信号(Cr、Cb信号)に変換するとともに、ガンマ補正などの各種画像処理を施し、表示装置8と記録回路9へ送る。表示装置8は撮像画像を表示するとともに撮影に関する各種情報を表示し、記録回路9はメモリカード10へ画像を記録する。
【0030】
焦点検出回路11は、第1撮像素子4の第1焦点検出用画素4s1の出力と第2撮像素子5の第1焦点検出用画素5s1とを加算した第1出力と、第2撮像素子5の第2焦点検出用画素5s2の出力と第1撮像素子4の第2焦点検出用画素4s2とを加算した第2出力とに基づいて、上述したように撮影光学系1の焦点調節状態すなわちデフォーカス量を検出する。レンズ駆動回路12は、撮影光学系1のデフォーカス量にしたがってフォーカシングレンズを駆動し、合焦させる。操作部材13はシャッターレリーズスイッチ、方向キースイッチ、コマンドダイヤルスイッチなど、カメラを操作するためのスイッチである。コントローラー14は図示しないマイクロコンピューターとメモリやA/Dコンバーターなどの周辺部品から構成され、信号分離合成回路6、画像信号処理回路7、記録回路8、焦点検出回路11を制御してカメラのシーケンス制御や各種演算と制御を行う。
【0031】
《撮像素子の変形例》
図12、図13は変形例の第1および第2撮像素子4A、5Aの撮像面における画素配列の部分拡大図であり、図12は変形例の第1撮像素子4Aの撮像面4aの中央領域4bにおける画素配列を示し、図13は変形例の第2撮像素子5Aの撮像面5aの中央領域5bにおける画素配列を示す。なお、図3、図4に示す第1および第2撮像素子4,5と相違する点についてのみ説明する。
【0032】
変形例の第1撮像素子4Aでは、図3に示す第1焦点検出用画素4s1と撮像用画素4gの配列行において、第1焦点検出用画素4s1の遮光マスク開口31を90度反時計方向へ回転させた遮光マスク開口41を有する第3焦点検出用画素4s3を、第1焦点検出用画素4s1と交互に配置するとともに、図3に示す第2焦点検出用画素4s2と撮像用画素4gの配列行において、第2焦点検出用画素4s2の遮光マスク開口32を90度反時計方向へ回転させた遮光マスク開口42を有する第4焦点検出用画素4s4を、第2焦点検出用画素4s2と交互に配置する。なお、第3および第4焦点検出用画素4s3、4s4は、第1および第2焦点検出用画素4s1、4s2と遮光マスク開口と光電変換素子の位置以外は同じである。
【0033】
また、変形例の第2撮像素子5Aでは、図4に示す第2焦点検出用画素5s2と撮像用画素5bの配列行において、第2焦点検出用画素5s2の遮光マスク開口32を90度時計方向へ回転させた遮光マスク開口41を有する第3焦点検出用画素5s3を、第2焦点検出用画素5s2と交互に配置するとともに、図4に示す第1焦点検出用画素5s1と撮像用画素5rの配列行において、第1焦点検出用画素5s1の遮光マスク開口31を90度時計方向へ回転させた遮光マスク開口42を有する第4焦点検出用画素5s4を、第1焦点検出用画素5s1と交互に配置する。なお、第3および第4焦点検出用画素5s3、5s4は、第1および第2焦点検出用画素5s1、5s2と遮光マスク開口と光電変換素子の位置以外は同じである。
【0034】
図14は、変形例の第1撮像素子4Aの撮像面4aと変形例の第2撮像素子5Aの撮像面5aとを重ね合わせたときの、撮像面4a、5aの中央領域4b、5b(図2参照)における焦点検出用画素4s1、4s2、4s3、4s4、5s1、5s2、5s3、5s4のみを描いた図である。上述したように、第1撮像素子4Aと第2撮像素子5Aは、画素どうしが完全に対応する位置関係にあるので、第1および第2撮像素子4A、5Aを重ね合わせると、中央領域4b、5bにおける焦点検出用画素4s1、4s2、4s3、4s4、5s1、5s2、5s3、5s4の配置は、ちょうど図12に示す焦点検出用画素4s1、4s2、4s3、4s4の配列と、図13に示す焦点検出用画素5s1、5s2、5s3、5s4の配列とを重ね合わせた配置となる。
【0035】
上述した一実施の形態の第1および第2撮像素子4,5では、一対の焦点検出用画素(4s1、5s1)、(4s2、5s2)が撮像面4a、5aの左右方向すなわち被写界の水平方向に配置されているので、被写界の水平方向における撮影光学系1の焦点調節状態しか検出できない。これに対し図12、図13に示す変形例の第1および第2撮像素子4A、5Aでは、被写界の水平方向の一対の焦点検出用画素(4s1、5s1)、(4s2、5s2)により水平方向における撮影光学系1の焦点調節状態を検出するとともに、第1撮像素子4Aの第3焦点検出用画素4s3の出力と第2撮像素子5Aの第3焦点検出用画素5s3の出力とを加算した第3出力と、第1撮像素子4Aの第4焦点検出用画素4s4の出力と第2撮像素子5Aの第4焦点検出用画素5s4の出力とを加算した第4出力とに基づいて、撮像面4a、5aの上下方向、すなわち被写界の垂直方向における撮像光学系1の焦点調節状態を検出することができる。すなわち図14に点線で示した領域701,702がそれぞれ水平方向のAFエリアであり、領域703,704がそれぞれ垂直方向のAFエリアである。この変形例の第1および第2撮像素子4A、5Aによれば、被写界の水平方向と垂直方向において同時に焦点検出が可能になり、被写界の垂直方向にコントラストのエッジがある被写体に対しては垂直方向の一対の焦点検出用画素(4s3,5s3)、(4s4,5s4)により焦点検出を行い、被写界の水平方向にコントラストのエッジがある被写体に対しては水平方向の一対の焦点検出用画素(4s1,5s1)、(4s2,5s2)により焦点検出が可能になる。
【0036】
図15は、一実施の形態の撮像装置(デジタルスチルカメラ)の撮影動作を示すフローチャートである。このフローチャートにより、一実施の形態の撮影動作を説明する。カメラの電源が投入されると、コントローラー14は図15に示す撮影動作を開始する。ステップ1において第1および第2撮像素子4,5により撮像を行い、続くステップ2で第1および第2撮像素子4,5の画素出力から撮像用画素4g、5r、5bの画像信号を抽出して各種処理を施し、スルー画像を生成して表示装置8に表示する。
【0037】
ステップ3で、シャッターボタンが半押しされたか否かを判別し、シャッターボタンの半押しがなされたらステップ4へ進み、第1および第2撮像素子4,5により撮像を行う。ステップ5では第1および第2撮像素子4,5の画素出力から画像信号と焦点検出信号とを分離し、画像信号に基づいて測光演算を行うとともに、焦点検出信号に基づいて撮影画面上の予め設定された複数の焦点検出エリアにおいて焦点検出演算を行う。続くステップ6において、測光演算結果に基づいて露出制御を行うとともに、焦点検出演算結果に基づいて撮影光学系1のフォーカシングレンズ(不図示)を駆動し、焦点調節を行う。焦点調節に際しては、撮影画面上の複数の焦点検出エリアの中で最至近のデフォーカス量を示すエリアを検索し、そのエリアのデフォーカス量に基づいて撮影光学系1の焦点調節を行ってもよいし、撮影者が予め設定した焦点検出エリアのデフォーカス量に基づいて焦点調節を行ってもよい。あるいは、第1および第2撮像素子4,5の画像信号に基づいて顔認識処理を行い、人物の顔が検出された焦点検出エリアのデフォーカス量に基づいて焦点調節を行ってもよい。
【0038】
ステップ7において、シャッターボタンが全押しされたか否かを判別し、シャッターボタンが全押しされるとステップ8へ進み、全押しされていなければステップ3へ戻る。シャッターボタンが全押しされたときは、ステップ8で第1および第2撮像素子4,5により撮像を行い、画像信号を抽出する。そして、ステップ9で表示装置8に撮像画像を表示するとともに、メモリカード10に記録する。
【0039】
なお、上述した一実施の形態の撮像素子4,5と変形例の撮像素子4A、5Aでは、撮影光学系1側から見た撮像用画素4g、5r、5bおよび焦点検出用画素4s1〜4s4、5s1〜5s4の外縁を円形とした例を示したが、円形に限定されず、例えば正方形としてもよい。
【0040】
さらに、上述した一実施の形態の撮像素子4,5と変形例の撮像素子4A、5Aでは、焦点検出用画素4s1〜4s4、5s1〜5s4の遮光マスク開口31,32,41,42を半円形とした例を示したが、遮光マスク開口31,32,41,42の形状は半円形に限定されず、例えば長方形や台形としてもよい。
【0041】
さらにまた、上述した一実施の形態の撮像素子4,5と変形例の撮像素子4A、5Aでは、焦点検出用画素4s1〜4s4、5s1〜5s4に光電変換素子38,39と遮光マスク開口31,32,41,42とをそれぞれ1個ずつ設けた例を示したが、焦点検出用画素4s1〜4s4、5s1〜5s4ごとに、撮影光学系1の射出瞳50上の一対の領域54,55を通過する一対の焦点検出用光束52,53を受光するための一対の光電変換素子と一対の遮光マスク開口とを設けるようにしてもよい。
【0042】
上述した一実施の形態の撮像素子4,5と変形例の撮像素子4A、5Aでは、撮像用画素4g、5r、5bと焦点検出用画素4s1〜4s4、5s1〜5s4のそれぞれにマイクロレンズ36,40を設けた例を示したが、撮像用画素4g、5r、5bには必ずしもマイクロレンズ36を設ける必要はない。また、撮像用画素4g、5r、5bと焦点検出用画素4s1〜4s4、5s1〜5s4のマイクロレンズ36と40の仕様および特性は同一のものとしてもよいし、それぞれ最適な仕様および特性のものにしてもよい。
【0043】
上述した一実施の形態の撮像素子4,5と変形例の撮像素子4A、5Aにおいて、隣接画素からの迷光を防止するための遮光マスクを画素どうしの境界に設置するのが望ましい。
【0044】
なお、上述した実施の形態とそれらの変形例において、実施の形態と変形例とのあらゆる組み合わせが可能である。
【0045】
上述した実施の形態とその変形例によれば以下のような作用効果を奏することができる。まず、撮影光学系1を透過した光束を緑色成分の光束と緑色成分以外の色成分の光束とに分割し、撮像用画素4gと焦点検出用画素4s1、4s2とが図示の如く二次元状に正方配列された第1撮像素子4で緑色成分の光束を受光するするとともに、撮像用画素5r、5bと焦点検出用画素5s1、5s2とが図示の如く二次元状に正方配列された第2撮像素子5により緑色成分以外の成分の光束を受光し、第1撮像素子4および第2撮像素子5から出力される信号から撮像用画素4g、5r、5bの画像信号と焦点検出用画素4s1、4s2、5s1、5s2の焦点検出信号とを分離し、画像信号に基づいて撮影光学系1により結像された被写体像の画像を生成するとともに、焦点検出信号に基づいて撮影光学系1の焦点調節状態を検出するようにしたので、高画質の画像を得ながら撮影画面内の任意の位置での焦点検出を可能にすることができる。
【0046】
また、一実施の形態とその変形例によれば、撮像用画素4g、5r、5bを赤色、緑色および青色の光に感度を有する3種類の画素とし、これらの画素が撮影光学系1の撮影画面上においてベイヤー配列となるように第1および第2撮像素子4,5上に展開するとともに、焦点検出用画素4s1、4s2、5s1、5s2により、撮影光学系1の射出瞳50上の一対の領域54,55を通過した一対の光束52,53による一対の像を受光するようにしたので、高画質な画像と、瞳分割位相差検出方式による正確な焦点検出結果を得ることができる。
【0047】
さらに、一実施の形態とその変形例によれば、図14に示すように、焦点検出用画素4s1〜4s4、5s1〜5s4は、撮影光学系1の撮影画面の左右方向と上下方向とに配列するようにしたので、被写界の水平方向と垂直方向において同時に焦点検出を行うことができる。
【0048】
一実施の形態とその変形例によれば、図6および図14に示すように、第1撮像素子4上の焦点検出用画素4s1(4s3)の出力と、第2撮像素子5上の焦点検出用画素5s1(5s3)の出力とを加算して第1出力を算出するとともに、第1撮像素子4上の焦点検出用画素4s2(4s4)の出力と、第2撮像素子5上の焦点検出用画素5s2(5s4)の出力とを加算して第2出力を算出し、第1出力と第2出力とに基づいて撮影光学系1の焦点調節状態を検出するようにしたので、被写界からの自然光による焦点検出結果を得ることができる。
【符号の説明】
【0049】
1;撮影光学系、2;波長選択性分割光学系、4;第1撮像素子、4a;撮像面、4g;撮像用画素、4s1〜4s4;焦点検出用画素、5;第2撮像素子、5a;撮像面、5r、5b;撮像用画素、5s1〜5s4;焦点検出用画素、6;信号分離合成回路、7;画像信号処理回路、11;焦点検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系と、
前記撮影光学系を透過した光束を、所定の色成分の第1光束と前記所定の色成分以外の色成分の第2光束とに分割する光束分割手段と、
前記所定の色成分に感度を有し、かつ、前記撮影光学系により結像される被写体像を撮像するための第1撮像用画素と、前記撮影光学系の焦点調節状態を検出するための第1および第2焦点検出用画素とが二次元状に正方配列された撮像素子であって、前記第1撮像用画素と前記第1焦点検出用画素とが交互に配列された行と、前記第1撮像用画素と前記第2焦点検出用画素とが交互に配列された行とが交互に配置されるとともに、隣り合う行に配置される前記第1撮像用画素どうしが1画素分ずれた位置関係となるように配置され、前記第1光束を受光する第1撮像素子と、
前記所定の色成分以外の互いに異なる色成分にそれぞれ感度を有し、かつ、前記撮影光学系により結像される被写体像を撮像するための第2および第3撮像用画素と、前記撮影光学系の焦点調節状態を検出するための前記第1および第2焦点検出用画素とが二次元状に正方配列された撮像素子であって、前記第2撮像用画素と前記第1焦点検出用画素とが交互に配列された行と、前記第3撮像用画素と前記第2焦点検出用画素とが交互に配列された行とが交互に配置されるとともに、隣り合う行に配置される前記第2撮像用画素と前記第3撮像用画素とが1画素分ずれた位置関係となるように配置され、前記第2光束を受光する第2撮像素子と、
前記第1撮像素子および前記第2撮像素子から出力される信号から、前記第1〜第3撮像用画素の画像信号と前記第1および第2焦点検出用画素の焦点検出信号とを分離する出力分離手段と、
前記画像信号に基づいて前記撮影光学系により結像された被写体像の画像を生成する画像生成手段と、
前記焦点検出信号に基づいて前記撮影光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出手段とを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記第1〜第3撮像用画素は、緑色、赤色および青色の光に感度を有する3種類の画素であり、これらの画素は前記撮影光学系の分離した結像面上にそれぞれ配置された前記第1および第2撮像素子を仮想的に同一結像面上に重ねて配置した場合にベイヤー配列となるよう前記第1および第2撮像素子上に展開されており、
前記第1および第2焦点検出用画素は、前記撮影光学系の射出瞳上の一対の領域を通過した一対の光束による一対の像を受光することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記第1および第2焦点検出用画素は、前記撮影光学系の撮影画面の左右方向と上下方向とに配列されることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記光束分割手段は、前記撮影光学系を透過した光の内、緑色の光を透過して前記第1撮像素子へ導くとともに、緑色以外の色の光を反射して前記第2撮像素子へ導き、
前記第1撮像用画素は緑色の光に感度を有し、前記第2撮像用画素は赤色の光に感度を有し、前記第3撮像用画素は青色の光に感度を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置において、
前記焦点検出手段は、前記第1撮像素子上の前記第1焦点検出用画素の出力と、前記第2撮像素子上の前記第1焦点検出用画素の出力とを加算して第1出力を算出するとともに、前記第1撮像素子上の前記第2焦点検出用画素の出力と、前記第2撮像素子上の前記第2焦点検出用画素の出力とを加算して第2出力を算出し、前記第1出力と前記第2出力とに基づいて前記撮影光学系の焦点調節状態を検出することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−210903(P2010−210903A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56490(P2009−56490)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】