説明

撮像装置

【課題】様々な撮影環境に対応して、被写体の照明状態を適正化する。
【解決手段】撮像装置1は、照射光をスポット光及び拡散光間で切り替え可能なライト41A及び41Bを備える。撮影領域内に人物が存在していない場合には、撮影領域の明るさに応じて1つ又は2つのライトに拡散光を出射させる(或いは、ライト41A及び41Bの何れにも照射光を出射させない)。撮影領域内に人物が存在している場合、一方のライトに拡散光を出射させる一方で、他方のライトにスポット光を出射させて人物を照らす。但し、撮影モードが人物優先撮影モードである場合には、当該人物をライト41A及び41Bのスポット光にて照らす。撮影領域内に2人の人物が存在している場合、各々の人物をライト41A及び41Bのスポット光にて照らす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体を低照度又は逆光の環境下で撮影する場合、フラッシュ光(ストロボ光)にて被写体を照らす方法がとられる。
【0003】
被写体を照らす方法の内、第1従来方法では、通常撮影時には拡散光を出射する一方で接写撮影時にはスポット光を出射している(例えば、下記特許文献1参照)。また、第2従来方法では、プリ発光によって画角内に主被写体がいるか否かを判断し、主被写体がいると判断した場合、主被写体の位置にストロボ光が達するようにストロボ光の発光量を調整している(例えば、下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−115107号公報
【特許文献2】特開2009−60471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1及び第2従来方法は、照明状態を適切なものにしようとする方法であるが、何れも、特定の条件下でしか有益に機能しない。撮影環境は様々であるため、様々な撮影環境に対応して適切な照明状態を実現することのできる方法が切望される。
【0006】
そこで本発明は、適切な照明状態の実現に寄与する撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1の撮像装置は、撮影により撮影領域の画像信号を取得する撮像装置において、前記撮影領域を照らすための照射光を出射する発光素子であって、且つ、第1照射範囲を有する狭範囲光と第1照射範囲よりも広い第2照射範囲を有する広範囲光との間で前記照射光を切り替え可能な発光素子を、複数個有する発光部と、前記発光部を制御する発光制御部と、を備え、前記発光制御部は、前記撮影領域内の被写体に応じて、前記発光素子ごとに前記発光素子の照射光を前記狭範囲光及び前記広範囲光間で切り替えることを特徴とする。
【0008】
発光素子を複数個設けておき、撮影領域内の被写体に応じて、発光素子ごとに発光素子の照射光を狭範囲光及び広範囲光間で切り替えることにより、様々な撮影環境(被写体)に対応して適切な照明状態を実現することが可能となる。
【0009】
具体的には例えば、第1の撮像装置において、前記発光制御部は、前記撮影領域内に特定種類の被写体が存在しているか否かに応じて、又は、前記撮影領域内の前記特定種類の被写体の数に応じて、前記発光素子ごとに前記発光素子の照射光を前記狭範囲光及び前記広範囲光間で切り替えてもよい。
【0010】
更に例えば、第1の撮像装置において、前記発光部は、各発光素子の照射光の方向を変更させるための照射光方向変更部を更に有し、前記発光制御部は、前記撮影領域内に前記特定種類の被写体が存在している場合、前記複数の発光素子の内の1以上の発光素子の照射光が前記狭範囲光として前記特定種類の被写体に照射されるように前記照射光方向変更部を制御してもよい。
【0011】
これにより、特定種類の被写体に対する照明状態の適正化が期待される。
【0012】
また例えば、第1の撮像装置において、前記発光制御部は、前記撮影領域内の被写体に応じて、前記複数の発光素子の照射光の組み合わせを制御しても良い。
【0013】
また例えば、第1の撮像装置において、前記発光制御部は、前記画像信号に含まれる色信号に応じて、各発光素子の照射光の色を制御しても良い。
【0014】
これにより、色バランスのとれた照明状態の実現が期待される。
【0015】
また例えば、第1の撮像装置において、前記発光制御部は、前記画像信号に含まれる色信号に応じて、各発光素子の照射光の色及び強度を制御しても良い。
【0016】
本発明に係る第2の撮像装置は、撮影により撮影領域の画像信号を取得する撮像装置において、前記撮影領域を照らすための照射光を出射する発光素子であって、且つ、第1照射範囲を有する狭範囲光と第1照射範囲よりも広い第2照射範囲を有する広範囲光との間で前記照射光を切り替え可能な発光素子を有する発光部と、前記発光部を制御する発光制御部と、を備え、前記発光制御部は、前記撮影領域内に特定種類の被写体が存在しているか否かに応じて、又は、前記撮影領域内の前記特定種類の被写体の位置に応じて、前記発光素子の照射光を前記狭範囲光及び前記広範囲光間で切り替えることを特徴とする。
【0017】
これにより、特定種類の被写体に対する照明状態の適正化が期待される。
【0018】
本発明に係る第3の撮像装置は、撮影により撮影領域の画像信号を取得する撮像装置において、前記撮影領域を照らすための照射光を出射する発光素子、及び、前記発光素子の照射光の方向を変更させるための照射光方向変更部を有する発光部と、前記発光部を制御する発光制御部と、を備え、前記発光制御部は、前記発光素子の照射光が前記撮影領域内の特定種類の被写体に照射されるように前記照射光方向変更部を制御することを特徴とする。
【0019】
これにより、特定種類の被写体に対する照明状態の適正化が期待される。
【0020】
本発明に係る第4の撮像装置は、撮影により撮影領域の画像信号を取得する撮像装置において、前記撮影領域を照らすための照射光を出射する発光素子を有する発光部と、前記発光部を制御する発光制御部と、を備え、前記発光制御部は、前記画像信号に含まれる色信号に応じて、前記発光素子の照射光の色を制御することを特徴とする。
【0021】
これにより、色バランスのとれた照明状態の実現が期待される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、適切な照明状態の実現に寄与する撮像装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の概略全体ブロック図である。
【図2】図1の撮像部の内部構成図である。
【図3】図1の発光部に設けられる発光ユニットの内部ブロック図である。
【図4】ライトから出射されるスポット光と拡散光の照射範囲を示す図である。
【図5】ライトから出射される照射光の照射方向を説明するための図である。
【図6】本発明の第1実施例の発光制御に特に関与する部位のブロック図である。
【図7】本発明の第1実施例に係る撮像装置の上面図である。
【図8】本発明の第1実施例に係る発光制御の動作フローチャートである。
【図9】本発明の第1実施例に係る発光制御の概要を示す図である。
【図10】本発明の第2実施例の発光制御に特に関与する部位のブロック図である。
【図11】本発明の第2実施例に係る撮像装置の上面図である。
【図12】本発明の第2実施例に係る発光制御の動作フローチャートである。
【図13】本発明の第2実施例に係る発光制御の概要を示す図である。
【図14】本発明の第3実施例の発光制御に特に関与する部位のブロック図である。
【図15】本発明の第4及び第5実施例に係る撮像装置の上面図である。
【図16】本発明の第4実施例に係る発光制御の概要を示す図である。
【図17】人物の画像信号を含む撮影画像を示す図である。
【図18】撮影画像が複数の小ブロックに分割される様子を示す図である。
【図19】本発明の第6実施例に係る発光制御の概要を示す図である。
【図20】本発明の第7実施例に係り、表示画面に表示されうるアイコンの例を示す図である。
【図21】本発明の第7実施例に係る報知用表示を説明するための図である。
【図22】本発明の第7実施例に係る報知用表示を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、物理量、状態量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって該記号又は符号に対応する情報、物理量、状態量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置1の概略全体ブロック図である。撮像装置1は、静止画像及び動画像を撮影及び記録可能なデジタルビデオカメラである。但し、撮像装置1は、静止画像のみを撮影及び記録可能なデジタルスチルカメラであっても良い。撮像装置1は、携帯電話機などの携帯端末に搭載されるものであっても良い。
【0026】
撮像装置1は、撮像部11と、AFE(Analog Front End)12と、主制御部13と、内部メモリ14と、表示画面(表示部)15と、記録媒体16と、操作部17と、発光部18と、を備えている。本明細書において、表示とは表示画面15における表示を指す。
【0027】
撮像装置1は、撮像部11を用いた撮影によって撮影領域内の像を表す画像信号を取得する。撮影領域とは、撮像装置1の撮影領域(視野)を指す。図2は、撮像部11の内部構成図である。撮像部11は、ズームレンズ30及びフォーカスレンズ31を含む複数枚のレンズから成る光学系35と、絞り32と、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどから成る撮像素子(固体撮像素子)33と、光学系35や絞り32を駆動制御するためのドライバ34と、を有している。撮像素子33は、光学系35及び絞り32を介して入射した撮影領域内の被写体の光学像を光電変換し、該光電変換により得られた電気信号を出力する。AFE12は、撮像部11の出力信号である撮像素子33の出力信号のデジタル化及び増幅を行ってデジタル化及び増幅後の撮像素子33の出力信号を出力する。レンズ30及び31の位置、絞り32の開度並びにAFE12における信号増幅の増幅度は、主制御部13によって制御される。
【0028】
主制御部13は、AFE12の出力信号に対して必要な信号処理を施す。また、主制御部13は、撮像装置1内の各部位の動作を統括的に制御する。内部メモリ14は、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等にて形成され、撮像装置1内で生成された各種信号(データ)を一時的に記憶する。表示画面15は、液晶ディスプレイパネル等から成り、主制御部13による制御の下、撮影画像や記録媒体16に記録されている画像などを表示する。記録媒体16は、カード状半導体メモリや磁気ディスク等の不揮発性メモリであり、主制御部13による制御の下、撮影画像等を記録する。撮影画像とは、撮像素子33の出力信号に基づく、撮影領域の画像である。本明細書では、或る画像の画像信号(画像データ)のことを、単に画像とも言う。操作部17は、ユーザからの各種操作を受け付ける。操作部17に対するユーザの操作内容は、主制御部13に伝達され、主制御部13の制御の下、撮像装置1内の各部位は操作内容に応じた動作を行う。操作部17にタッチパネルが含まれていても良い。
【0029】
図3は、撮影領域(撮影領域内の被写体)を照らすためのライト41を備えた発光ユニット40の構成図である。発光部18に、1以上の発光ユニット40を設けておくことができる。発光可能な任意のライト(発光素子)をライト41として用いることができるが、ここでは、ライト41が、LED(Light Emitting Diode)から成るライトであるとする。図3に示す如く、発光ユニット40は、ライト41に加えて、ライト41を発光させるための電流をライト41に供給する発光回路42と、レンズ44を駆動するための駆動部43と、撮影領域内の被写体とライト41との間に配置されたレンズ44と、を備える。撮影領域(撮影領域内の被写体)を照らすためにライト41から出射される光を、照射光と呼ぶ。以下に示す被写体とは、特に記述なき限り、撮影領域内の被写体を指す。
【0030】
ライト41の照射光は、レンズ44を介して撮影領域に出射される。但し、レンズ44を割愛することも可能である。撮影領域に対する照射光の出射は、撮影領域内の各被写体に対する照射光の出射と同義である。主制御部13に内在する発光制御部20は、発光ユニット40に対して発光制御(照射制御)を成すことができる。発光部18に複数の発光ユニット40が設けられている場合、発光制御部20は、発光ユニット40ごとに発光制御を成すことができる。
【0031】
発光制御部20による発光制御には、ライト41の発光を行うか否かの制御の他、ライト41の照射光の照射範囲に対する制御(以下、照射範囲制御とも言う)が含まれる。ライト41は、撮影領域に対してスポット光又は拡散光を切り替えて出射することが可能であり、照射範囲制御に従って照射光をスポット光及び拡散光間で切り替える。図4(a)及び(b)に示す如く、スポット光の照射範囲は拡散光の照射範囲よりも狭い。発光回路42からライト41への電流供給量が一定であるとき、スポット光の光束の方が拡散光のそれよりも大きい。スポット光は、第1照射範囲を有する狭範囲光の一種であり、拡散光は、第1照射範囲よりも広い第2照射範囲を有する広範囲光の一種である。ライト41の照射光のスポット光及び拡散光間の切り替えは、公知の任意の方法(例えば、特開2006−115107号公報)を用いて実現可能である。駆動部43によるレンズ44の駆動制御によって、その切り替えを実現しても良い。
【0032】
更に、発光制御部20による発光制御には、ライト41の照射光の照射方向に対する制御(以下、照射方向制御とも言う)も含まれうる。照射光の照射方向は、撮像装置1(撮像装置1の中心又は重心)から見た、撮像装置1の光軸方向を基準とした照射光の照射方向(照射範囲の中心線の方向)を指す、と考えることができる(図5参照)。照射方向制御に従って駆動部43がレンズ44を駆動することで、ライト41の照射光の照射方向を変更することができる。或いは、照射方向制御に従って駆動部43がライト41の筐体自体を回転駆動することで、該照射方向の変更を実現しても良い。照射方向制御は、照射光がスポット光のときに実行される。
【0033】
更に、発光制御部20による発光制御には、ライト41の照射光の色に対する制御(以下、照射色制御とも言う)も含まれうる。ライト41を、互いに異なる色を発光する複数のLED(例えば、赤、緑及び青の三色LED、又は、赤、緑、青及び白の四色LED)にて形成しておき、発光回路42がライト41を形成する複数のLEDに対して照射色制御に従った電流を供給することでライト41の照射光の色を任意の色に設定することができる。
【0034】
更に、発光制御部20による発光制御には、ライト41の照射光の強度に対する制御(以下、照射強度制御とも言う)も含まれうる。照射光の強度が増加するにつれて、照射光の光束、輝度、照度又は光度が増加する。発光回路42が照射強度制御に従った電流をライト41に供給することでライト41の照射光の強度を任意に設定することができる。
【0035】
以下、発光制御部20の発光制御に関与する具体例として、第1〜第7実施例を説明する。矛盾なき限り、第1〜第7実施例の内、複数の実施例を組み合わせることができる。
【0036】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。第1実施例では、発光部18に発光ユニット40が2つ備えられていることを想定し、2つの発光ユニット40を発光ユニット40A及び40Bと呼ぶ。図6は、第1実施例の発光制御に特に関与する部位のブロック図である。図7は、第1実施例に係る撮像装置1の上面図である。ライト41A及び41Bは、夫々、発光ユニット40A及び40Bに設けられたライト41である。ライト41A及び41Bは、撮像装置1の筐体上の互いに異なる位置に配置されている。
【0037】
明るさ評価部51、人物検出部52及び距離情報生成部53を、主制御部13に設けておくことができる。明るさ評価部51及び人物検出部52には画像信号が入力される。この画像信号は、AFE12の出力信号そのもの又はAFE12の出力信号に対して所定の信号処理(ノイズ低減処理やデモザイキング処理等)を経て得られる信号であっても良い。
【0038】
明るさ評価部51は、画像信号に基づき、撮影領域内の被写体の明るさに応じた明るさ評価値(例えば、撮像部11による撮影画像の輝度平均値)を算出する。明るさ評価部51は、画像信号以外の情報(例えば測光センサの出力)に基づいて明るさ評価値を算出しても良い。
【0039】
人物検出部52は、画像信号に基づき人物検出処理を行う。人物検出処理は、撮影領域内に存在しうる人物を検出し、人物検出情報を出力する処理を指す。人物検出情報によって、撮影領域内における人物の有無、撮影領域内に存在する人物の人数、及び、撮影領域内における人物の存在方向が示される。人物は、被写体の一種であり、撮影領域内の被写体(被写体群)に含まれうる。照射光の照射方向と同様(図5参照)、人物の存在方向は、撮像装置1(撮像装置1の中心又は重心)から見た、撮像装置1の光軸方向を基準とした人物の存在方向を指す、と考えることができる。
【0040】
距離情報生成部53は、撮影領域内の各被写体の被写体距離を検出し、各被写体の被写体距離を表す距離情報を生成する。或る被写体の被写体距離とは、当該被写体と撮像装置1との間における実空間上の距離を指す。被写体距離の検出方法として、公知の方法を含む任意の方法を利用可能である。例えば、ステレオカメラ又は測距センサを用いて被写体距離を検出しても良いし、画像信号中のエッジ情報を利用した推定処理によって被写体距離を求めてもよい。
【0041】
明るさ評価値、人物検出情報及び距離情報の生成は周期的に実行され、最新の明るさ評価値、人物検出情報及び距離情報が発光制御部20に送られる。撮影領域内に人物が存在する場合、発光制御部20は、人物検出情報と距離情報を組み合わせて利用することにより、撮像装置1を基準とした当該人物の存在位置を特定することができ、特定した存在位置の人物が何れかのライトのスポット光にて照らされるように照射方向制御を成すことができる。
【0042】
発光制御部20は、明るさ評価値、人物検出情報及び距離情報に基づき、発光ユニット40A及び40Bに対する発光制御を行う。図8は、この発光制御の動作手順を示すフローチャートである。まず、ステップS11において人物検出部52により人物検出処理が行われ、続くステップS12において人物検出情報に基づき発光制御部20は撮影領域内に存在する人物の人数PNUMをチェックする。
【0043】
発光制御部20の発光制御の下、発光ユニット40A及び40Bは、PNUM=0である場合にはステップS14の発光を成し、PNUM=1である場合にはステップS15又はS16の発光を成し、PNUM=2である場合にはステップS17の発光を成す。PNUM=1である場合、ステップS13において撮像装置1の撮影モードが人物優先撮影モードになっているか否かがチェックされ、撮像装置1の撮影モードが人物優先撮影モードになっているときには、ステップS16の発光が成され、そうでないときには、ステップS15の発光が成される。ユーザは、操作部17に対する所定操作によって撮像装置1の撮影モードを人物優先撮影モード又はそれ以外のモードに選択設定することができる。
【0044】
ステップS14において、発光制御部20は、明るさ評価値に基づき発光させるライトの個数NUMを決定し、ライト41A及び41Bの内、個数NUMのライトだけ発光するように発光制御を成す。個数NUMは、0、1又は2の中から選択決定される。
【0045】
ステップS15において、図9(a)に示す如く、発光制御部20は、ライト41A及び41Bの内、一方のライトにスポット光を出射させ、他方のライトに拡散光を出射させる。図9(a)の例では、ライト41Aの照射光が拡散光とされ、ライト41Bの照射光がスポット光とされている。この際、撮影領域内の人物311がライト41Bのスポット光にて照らされるように、発光制御部20は発光ユニット40Bに対して照射方向制御を成す。尚、ライト41A及び41Bの内、人物311により近い位置に配置されているライトにスポット光を出射させ、他方のライトに拡散光を出射させると良い。
【0046】
ステップS16において、図9(b)に示す如く、発光制御部20は、ライト41A及び41Bの双方にスポット光を出射させる。この際、撮影領域内の人物312がライト41A及び41Bの双方のスポット光にて照らされるように(望ましくは、ライト41A及び41Bのスポット光が人物312の存在位置において交差するように)、発光制御部20は発光ユニット40A及び40Bに対して照射方向制御を成す。
【0047】
ステップS17においても、図9(c)に示す如く、発光制御部20は、ライト41A及び41Bの双方にスポット光を出射させる。但し、ステップS16と異なり、ステップS17では、撮影領域内に2人の人物313及び314が存在しているため、ライト41A及び41Bの内、一方のライトのスポット光にて人物313が照らされ且つ他方のライトのスポット光にて人物314が照らされるように、発光制御部20は発光ユニット40A及び40Bに対して照射方向制御を成す。この際、ライト41A及び41Bの内、人物313により近い位置に配置されているライト(図9(c)の例においてライト41A)に人物313へのスポット光を出射させ、人物314により近い位置に配置されているライト(図9(c)の例においてライト41B)に人物314へのスポット光を出射させると良い。
【0048】
上述のステップS11から始まってステップS14〜S17の何れかにて完了する処理を、例えば、操作部17に対するシャッタ操作に連動して実行することができる。即ち、操作部17にシャッタ操作が成されると、ステップS11の処理を実行し、その後、ステップS14〜S17の何れかによる、撮影領域への照射(ライト41A及び41Bによる照射)が成されている状態において、撮像部11にて静止画像の画像信号を取得させ、得られた静止画像の画像信号を記録媒体16に記録することができる。シャッタ操作とは、ユーザが操作部17に対して成す、静止画像の撮影及び記録を指示するための操作である。或いは、上述のステップS11から始まってステップS14〜S17の何れかにて完了する処理を、撮像部11を用いた動画像の撮影中に、繰り返し実行することができる(該動画像は、記録媒体16に記録されうる)。
【0049】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。第2実施例では、発光部18に発光ユニット40が3つ備えられていることを想定し、3つの発光ユニット40を発光ユニット40A、40B及び40Cと呼ぶ。図10は、第2実施例の発光制御に特に関与する部位のブロック図である。図11は、第2実施例に係る撮像装置1の上面図である。ライト41A、41B及び41Cは、夫々、発光ユニット40A、40B及び40Cに設けられたライト41である。ライト41A、41B及び41Cは、撮像装置1の筐体上の互いに異なる位置に配置される。
【0050】
発光制御部20は、明るさ評価値、人物検出情報及び距離情報に基づき、発光ユニット40A、40B及び40Cに対する発光制御を行う。この発光制御の方法に、第1実施例で述べた方法を適用することができる。図12は、この発光制御の動作手順を示すフローチャートである。まず、ステップS21において人物検出部52により人物検出処理が行われ、続くステップS22において人物検出情報に基づき発光制御部20は撮影領域内に存在する人物の人数PNUMをチェックし、人数PNUMに応じた発光制御を成す。以下、ステップS22の発光制御の具体例を説明する。
【0051】
NUM=0である場合、発光制御部20は、明るさ評価値に基づき発光させるライトの個数NUMを決定し、ライト41A〜41Cの内、個数NUMのライトだけ発光するように発光制御を成す。個数NUMは、0、1、2又は3の中から選択決定される。
【0052】
NUM=1である場合、図13(a)に示す如く、発光制御部20は、ライト41A〜41Cの内の1つを対象ライトに設定して対象ライトにスポット光を出射させ、他の2つのライトに拡散光を出射させる。図13(a)の例では、ライト41Bが対象ライトに設定されている。この際、撮影領域内の人物321がライト41Bのスポット光にて照らされるように、発光制御部20は発光ユニット40Bに対して照射方向制御が成す。人物321に対し、最も近くに位置しているライトが対象ライトに設定される。
【0053】
NUM=1である場合において、撮像装置1の撮影モードが人物優先撮影モードに設定されているとき、図13(b)に示す如く、発光制御部20は、ライト41A〜41Cの内の2つを対象ライトに設定して各対象ライトにスポット光を出射させ、残りの1つのライトに拡散光を出射させても良い。図13(b)の例では、ライト41A及び41Bが第1及び第2の対象ライトに設定されている。この際、撮影領域内の人物322がライト41A及び41Bの双方のスポット光にて照らされるように(望ましくは、ライト41A及び41Bのスポット光が人物322の存在位置において交差するように)、発光制御部20は発光ユニット40A及び40Bに対して照射方向制御を成すと良い。
【0054】
NUM=2である場合、図13(c)に示す如く、発光制御部20は、ライト41A〜41Cの内の2つを対象ライトに設定して各対象ライトにスポット光を出射させ、残りの1つのライトに拡散光を出射させる。図13(c)の例では、撮影領域内に人物323及び324が存在している。発光制御部20は、ライト41A〜41Cの内、人物323の最も近くに位置しているライトを第1の対象ライト(図13(c)の例においてライト41A)に設定すると共に人物324の最も近くに位置しているライトを第2の対象ライト(図13(c)の例においてライト41B)に設定し、人物323及び324が夫々第1及び第2の対象ライトのスポット光で照らされるように照射方向制御を成す。
【0055】
NUM=3である場合、図13(d)に示す如く、発光制御部20は、ライト41A〜41Cの夫々にスポット光を出射させ、1人の人物に1つのスポット光を割り当てる。図13(d)の例では、撮影領域内に人物325〜327が存在しており、発光制御部20は、人物325、326、327に、夫々、ライト41A、41B、41Cを割り当てて、ライト41A、41B、41Cのスポット光にて、夫々、人物325、326、327が照らされるように照射方向制御を成す。
【0056】
上述のステップS21及びS22の処理を、例えば、操作部17に対するシャッタ操作に連動して実行することができる。即ち、操作部17にシャッタ操作が成されると、ステップS21及びS22の処理を実行し、ステップS22による撮影領域への照射(ライト41A、41B及び41Cによる照射)が成されている状態において、撮像部11にて静止画像の画像信号を取得させ、得られた静止画像の画像信号を記録媒体16に記録することができる。或いは、上述のステップS21及びS22の処理を、撮像部11を用いた動画像の撮影中に、繰り返し実行することができる(該動画像は、記録媒体16に記録されうる)。
【0057】
第1及び第2実施例では、以下のような動作が行われる(同様の動作が後述の他の実施例でも行われうる)。
即ち、発光制御部20は、撮影領域内の被写体に応じて、ライトごとにライトの照射光をスポット光及び拡散光間で切り替える発光制御を成す。より具体的には、発光制御部20は、撮影領域内に人物が存在しているか否かに応じて(換言すれば、撮影領域内の被写体の中に人物が含まれているか否かに応じて)、又は、撮影領域内に存在している人物の人数に応じて(換言すれば、被写体に含まれる人物の数に応じて)、ライトごとにライトの照射光をスポット光及び拡散光間で切り替える。
この際、1つのライトの照射光を、他のライトの照射光を何ら考慮することなく独立に制御するのではなく、発光制御部20は、被写体に応じて、複数のライトの照射光の組み合わせ(複数のライトの内、何れのライトの照射光をスポット光にし、何れのライトの照射光を拡散光にするかという組み合わせ)を制御する。
また、上述の如く、発光部18に、各ライトの照射光の照射方向を変更させるための照射方向変更部を設けておくと良い(後述の他の実施例でも同様)。発光制御部20による照射方向制御の下、駆動部43がレンズ44を駆動することでライト41の照射光の照射方向が変更される場合、レンズ44及び駆動部43を含む部位が照射方向変更部として機能する。そして、発光制御部20は、撮影領域内に人物が存在している場合(換言すれば、被写体の中に人物が含まれている場合)、複数のライトの内の1以上のライトのスポット光が当該人物に照射されるように照射方向変更部を制御する。
【0058】
第1又は第2実施例によれば、様々な撮影状況に応じた最適な照明状態を実現することができ、常に最適な画像をユーザに提供することが可能となる。
【0059】
尚、第1又は第2実施例では、発光部18に設けられるライトの個数が2又は3であることを想定したが、その個数が4以上である場合にも、第1又は第2実施例にて述べた方法に準じた方法にて発光制御を成すことができる。
【0060】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。第3実施例の技術を、第1又は第2実施例と組み合わせて実施することができる。ここでは、説明の具体化のため、発光部18に設けられたライトの個数が2であることを想定した第1実施例との組み合わせにおいて、第3実施例を説明する。図14は、第3実施例の発光制御に特に関与する部位のブロック図である。図6の構成に対して色評価部54を追加することで図14の構成が得られる。色評価部54を、図1の主制御部13に設けておくことができる。
【0061】
色評価部54には、AFE12の出力信号に基づく画像信号が入力される。色評価部54は、入力された画像信号からR信号、G信号及びB信号を抽出する。R信号、G信号及びB信号は、夫々、撮影部11による撮影画像の各画素の、赤の信号強度、緑の信号強度及び青の信号強度を信号値として有する色信号である。色評価部54は、1枚の撮影画像全体におけるR信号の平均値、G信号の平均値及びB信号の平均値を、夫々、評価値EV、EV及びEVとして求め、評価値EV、EV及びEVから成る色評価値を発光制御部20に出力する。
【0062】
発光制御部20は、第1実施例と同様、明るさ評価値、人物検出情報及び距離情報に基づいて発光ユニット40A及び40Bに対する発光制御を行うが、この際、色評価値に応じた照射色制御及び照射強度制御により、ライト41A及び41Bの照射光の色及び強度を制御することができる。
【0063】
まず、PNUM=0である時に実行されるステップS14において(図8参照)、発光制御部20が成すことのできる発光制御を説明する。例えば、ステップS14において、発光制御部20は、評価値EV、EV及びEVに基づいて低レベル色の存否を判断し、1つの低レベル色が存在する場合には、ライト41A及び41Bの内の少なくとも一方を色強化ライトに設定して、上述の照射色制御を用い、色強化ライトの照射色が低レベル色になるように色強化ライトに拡散光を出射させる。照射色とは、照射光の色を指す。
【0064】
低レベル色とは、他の色と比べて極端に信号レベルが低い色を指す。例えば、“EV/(EV+EV+EV)≦TH”の成立時には、赤が低レベル色であると判断され、“EV/(EV+EV+EV)≦TH”の成立時には、緑が低レベル色であると判断され、“EV/(EV+EV+EV)≦TH”の成立時には、青が低レベル色であると判断される。THは、所定の正の閾値である。
【0065】
ステップS14において、互いに異なる第1及び第2の低レベル色が存在する場合、発光制御部20は、ライト41A及び41Bを第1及び第2の色強化ライトに設定し、上述の照射色制御を用いて、第1及び第2の色強化ライトの照射色が第1及び第2の低レベル色になるように第1及び第2の色強化ライトに拡散光を出射させる。或いは、ステップS14において、第1及び第2の低レベル色が存在する場合、発光制御部20は、ライト41A及び41Bの内の一方のみを色強化ライトに設定し、1つの色強化ライトの照射光の色が第1及び第2の低レベル色を混ぜた色になるように色強化ライトに拡散光を出射させても良い(これは、撮像装置1にライト41が1つしか設けられていない場合にも適用可能である)。尚、撮像装置1を水中にて用いる場合、R信号及びG信号のレベルが極端に小さくなることが多い。このため、発光制御部20において、画像信号又は専用センサ等を用いて撮像装置1が水中に存在しているのか否かを判定し、撮像装置1が水中に存在していると判定した場合に、赤及び緑を低レベル色に設定するようにしても良い。
【0066】
NUM=0であって且つ低レベル色が存在しない場合には、色強化ライトは設定されず、この場合にライト41Aが拡散光を出射する場合には、ライト41Aの拡散光の色は基準色に設定される。ライト41Bについても同様である。基準色は、赤、緑及び青の混合色であって低レベル色とは異なり、例えば白色(又は無色)に分類される。
【0067】
次に、PNUM=1である時に実行されるステップS15において(図8参照)、発光制御部20が成すことのできる発光制御を説明する。ステップS15において、例えば、図9(a)の例の如く、ライト41Aの照射光が拡散光であり、ライト41Bの照射光がスポット光である場合を考える。この場合、ステップS15において、発光制御部20は、評価値EV、EV及びEVに基づいて低レベル色の存否を判断し、低レベル色が存在する場合には、ライト41Aを色強化ライトに設定して上述の照射色制御を用い、色強化ライトの照射色が低レベル色になるように色強化ライトに拡散光を出射させる。尚、このような発光制御は、人物311(図9(a))が撮影領域の中央付近に位置する場合にのみ実行されても良い。
【0068】
発光制御部20は、人物に照射されるスポット光の色を基準色に設定することができる。これは、ステップS16及びS17にも適用することができる。即ち、ステップS15、S16又はS17において、ライト41A又は41Bが人物に向けてスポット光を出射する場合、発光制御部20は、そのスポット光の色が基準色となるように照射色制御を成すことができる。
【0069】
また、発光制御部20は、照射強度制御を用いて、色強化ライトの照射光の強度を、評価値EV、EV及びEVに基づき制御することもできる。例えば、色強化ライトがライト41Aであって且つライト41Aが出射すべき低レベル色が赤である場合、評価値EVに基づき、又は、値“EV/(EV+EV+EV)”に基づき、発光制御部20は、ライト41Aの照射光の強度を可変設定しても良い。更に、発光制御部20は、照射強度制御を用いて、スポット光を照射すべきライト41A又は41Bの照射光の強度も、評価値EV、EV及びEVに基づき制御しても良い。
【0070】
第3実施例によれば、信号レベルの低い色を照射光にて補うことができ、色バランスのとれた照明状態を実現することができる。
【0071】
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。第4実施例及び後述の第5実施例では、発光部18に発光ユニット40が1つだけ備えられていることを想定する。発光部18に1つだけ備えられた発光ユニット40を発光ユニット40Aと呼ぶ。そうすると、第4及び第5実施例の発光制御に特に関与する部位のブロック図は、図6又は図14のブロック図から発光ユニット40Bを削除したものに相当する。図15は、第4及び第5実施例に係る撮像装置1の上面図である。ライト41Aは、発光ユニット40Aに設けられたライト41である。
【0072】
第4実施例において、発光制御部20は、人物検出処理に基づく人物検出情報に基づき、撮影領域内に人物が存在するか否かをチェックし、人物が存在していない場合には、図16(a)に示す如く、発光制御によってライト41Aに拡散光を出射させる。
【0073】
一方、撮影領域内に人物が存在している場合、発光制御部20は、その人物が撮影領域の中央部分に位置しているのか或いは撮影領域の周辺部分に位置しているのかを、人物検出情報に基づいて判定する。そして、発光制御部20は、人物が撮影領域の中央部分に位置していると判断した場合には、図16(b)に示す如く、発光制御によってライト41Aにスポット光を出射させ、人物が撮影領域の周辺部分に位置していると判断した場合には、図16(c)に示す如く、発光制御によってライト41Aに拡散光を出射させる。撮影領域の中央部分及び撮影領域の周辺部分を、夫々、第1部分領域及び第2部分領域と呼ぶこともできる。第1及び第2部分領域の合成領域が、撮影領域の全体領域に相当する。
【0074】
人物検出情報は、撮影画像上における人物の位置をも特定する。図17の画像350は、人物検出処理に利用される画像信号に基づく撮影画像である。図17において、人物352は、撮影領域内の人物に相当する、撮影画像350上の人物である。撮影画像350の全体画像領域の内、中央部分に配置された所定の画像領域351内に、人物352の画像信号が存在する場合、人物352は撮影領域の中央部分に位置していると判断され、撮影画像350の全体画像領域の内ではあるが画像領域351外に人物352の画像信号が存在する場合、人物352は撮影領域の周辺部分に位置していると判断される。
【0075】
或いは、発光制御部20は、撮影領域内に人物が存在している場合、撮影領域内における人物の位置に関係なく、発光制御によってライト41Aにスポット光を出射させても良い。但し、この場合には、図16(d)に示す如く、撮影領域内の人物がライト41Aのスポット光にて照らされるように、発光制御部20は発光ユニット40Aに対して照射方向制御を成すと良い。
【0076】
第4実施例の発光制御を、例えば、操作部17に対するシャッタ操作に連動して実行することができ、ライト41Aに拡散光又はスポット光を出射させている状態において撮像部11にて静止画像の画像信号を取得させ、得られた静止画像の画像信号を記録媒体16に記録することができる。或いは、第4実施例の発光制御を、撮像部11を用いた動画像の撮影中に実行することもできる(該動画像は、記録媒体16に記録されうる)。
【0077】
上述の如く、第4実施例において、発光制御部20は、撮影領域内に人物が存在しているか否かに応じて(換言すれば、撮影領域内の被写体の中に人物が含まれているか否かに応じて)、又は、撮影領域内に存在している人物の位置に応じて(換言すれば、人物が撮影領域の第1部分領域に存在しているのか或いは第2部分領域に存在しているのかに応じて)、ライト41Aの照射光をスポット光及び拡散光間で切り替える。ライト41Aにスポット光を出射させる場合には、スポット光が人物に照射されるように照射方向制御を成すこともできる。
【0078】
これにより、注目被写体とも言うべき人物の存否又は位置に応じて最適な照明状態を実現することができる。
【0079】
<<第5実施例>>
第5実施例を説明する。上述したように、第5実施例においても、発光部18に発光ユニット40が1つだけ備えられていることを想定し、発光部18に1つだけ備えられた発光ユニット40を発光ユニット40Aと呼ぶ。また、第5実施例では、撮影領域が全体的に暗いことに起因して、ライト41Aによる照明無しでは人物検出処理を正しく実行しがたい撮影環境を想定する。
【0080】
発光制御部20は、例えば、明るさ評価値が所定の下限値以下であるとき、ライト41Aに拡散光を出射させ、撮影領域をライト41Aの拡散光で照らしている状態で成された人物検出処理の人物検出情報を取得する。ここでライト41Aから出射される拡散光の強度は、照度強度制御の下、通常の強度(例えば、明るさ評価値が所定の下限値よりも大きい場合にライト41Aから出射されうる拡散光の強度)よりも高められる。取得された人物検出情報が、撮影領域内に人物が存在していることを示している場合、発光制御部20は、人物検出情報及び距離情報を用いて撮像装置1を基準とした当該人物の存在位置を特定し、ライト41の照射光を拡散光からスポット光に切り替えた上で、特定した存在位置の人物がライト41Aのスポット光にて照らされるように照射方向制御を成す(即ち、上述の照射方向変更部を制御する)。上記人物がライト41Aのスポット光にて照らされる状態において、撮像部11にて静止画像の画像信号を取得させ、得られた静止画像の画像信号を記録媒体16に記録することができる。
【0081】
撮像部11にて動画像を撮影している場合には、撮影領域内の人物の動きに応じてライト41Aのスポット光の照射範囲を該人物に追尾させてもよい。即ち、発光制御部20は、動画像の画像信号に基づく人物検出情報(及び距離情報)を用いて撮影領域内の人物の位置を監視し、動画像の撮影中において、その人物が常にライト41Aのスポット光で照らされるように(その人物がライト41Aのスポット光の照射範囲内に常に収まるように)照射方向制御を成しても良い。得られた動画像の画像信号は記録媒体16に記録されうる。
【0082】
スポット光を用いた上述の照射方向制御により、注目被写体とも言うべき人物を明るく照らすことができる。また、事前に拡散光を用いて人物検出処理を行うことにより、暗所においても確実に人物の存在位置を検知することができる。
【0083】
<<第6実施例>>
第6実施例を説明する。第6実施例の発光制御に特に関与する部位のブロック図は、第3実施例のそれ(即ち図14)と同じである。
【0084】
第3実施例で述べた発光制御を、第1及び第2実施例の技術と組み合わせることなく、独立して実施することができる。即ち例えば、第3実施例で述べた、ステップS14(図8参照)において実行することのできる発光制御を、発光制御部20は、人物検出情報の如何に関わらず実行することができる(この場合、撮像装置1から人物検出部52を割愛することが可能である)。この際、発光制御部20は、第3実施例で述べた照射強度制御を更に成してもよい。
【0085】
また、図14の色評価部54は、図18に示す如く、撮影画像の全体画像領域を複数の小ブロックに分割し、小ブロックごとに色評価値を求めても良い。1つの小ブロックについての色評価値は、当該小ブロックにおけるR信号の平均値、G信号の平均値及びB信号の平均値を、小ブロック評価値BL、BL及びBLとして有する。小ブロック評価値と区別すべく、EV、EV及びEVにて参照される第3実施例で述べた評価値(図14参照)を、特に全体評価値とも呼ぶ。全体評価値EV、EV、EVは、夫々、撮影画像内の全小ブロックについての小ブロック評価値BLの平均値、撮影画像内の全小ブロックについての小ブロック評価値BLの平均値、撮影画像内の全小ブロックについての小ブロック評価値BLの平均値に相当する。
【0086】
発光制御部20は、全体評価値EV、EV及びEV、並びに、各小ブロックについての小ブロック評価値BL、BL及びBLに基づいて、発光制御を成すことができる。具体的には例えば、発光制御部20は、全体評価値EV、EV及びEVに基づき、第3実施例で述べた方法に従って撮影画像全体における低レベル色の存否を判断する。第3実施例で述べた方法に従って判断される低レベル色を、ここでは全体低レベル色と呼ぶ。
【0087】
一方で、発光制御部20は、各小ブロックについての小ブロック評価値BL、BL及びBLに基づき対象ブロックの存否を判断する。対象ブロックとは、極端に信号レベルが色を有する小ブロックである。例えば、或る注目した小ブロックの評価値BL、BL及びBLについて、第1不等式“BL/(BL+BL+BL)≦TH”、第2不等式“BL/(BL+BL+BL)≦TH”又は第3不等式“BL/(BL+BL+BL)≦TH”が成立する場合、当該注目した小ブロックは対象ブロックに設定され、対象ブロックについての低レベル色は、第1不等式の成立時には赤であり、第2不等式の成立時には緑であり、第3不等式の成立時には青である。THは、所定の正の閾値である。対象ブロックについての低レベル色を局所低レベル色と呼ぶ。
【0088】
そして例えば、特定色Cが全体低レベル色であって、且つ、或る小ブロックが対象ブロックに設定されて該対象ブロックの局所低レベル色が特定色Cである場合(特定色C及びCは互いに異なる)、図19(a)に示す如く、発光制御部20は、ライト41A及び41Bを第1及び第2の色強化ライトに設定し、発光制御を用いて、第1の色強化ライトの照射色が特定色C(全体低レベル色)になるように第1の色強化ライトに拡散光を出射させると共に第2の色強化ライトの照射色が特定色C(局所低レベル色)になるように第2の色強化ライトにスポット光を出射させる。この際、第2の色強化ライトからのスポット光が対象ブロックに対応する部分(撮影領域の一部分)に照射されるように、照射方向制御が成される。ライト41A及び41Bと第1及び第2の色強化ライトとの関係は逆にも成りうる。
【0089】
また例えば、互いに分離した2つの小ブロックが第1及び第2の対象ブロックに設定されて、第1及び第2の対象ブロックの局所低レベル色がそれぞれ特定色C’及びC’である場合(特定色C’及びC’は互いに異なりうる)、図19(b)に示す如く、発光制御部20は、ライト41A及び41Bを第1及び第2の色強化ライトに設定し、発光制御を用いて、第1の色強化ライトの照射色が特定色C’になるように第1の色強化ライトにスポット光を出射させると共に第2の色強化ライトの照射色が特定色C’になるように第2の色強化ライトにスポット光を出射させる。この際、第1及び第2の色強化ライトからのスポット光が、それぞれ、第1及び第2の対象ブロックに対応する部分(撮影領域の一部分)に照射されるように、照射方向制御が成される。ライト41A及び41Bと第1及び第2の色強化ライトとの関係は逆にも成りうる。
【0090】
また、発光制御部20は、拡散光を照射する色強化ライトの照射光の強度を、第3実施例で述べたように、評価値EV、EV及びEVに基づき制御することもできる。同様にして、発光制御部20は、スポット光を照射する色強化ライトの照射光の強度を、対象ブロックの評価値BL、BL及びBLに基づき制御することもできる。
【0091】
第6実施例によれば、信号レベルの低い色を照射光にて補うことができ、色バランスのとれた照明状態を実現することができる。
【0092】
<<第7実施例>>
第7実施例を説明する。主制御部13に内在する表示制御部(不図示)は、ライト41の照射光がスポット光及び拡散光のどちらであるのかを、ユーザに知らしめるための表示を表示画面15に表示させる。例えば、ライト41の照射光がスポット光であるとき、図20(a)のアイコンを表示画面15に表示させ、ライト41の照射光が拡散光であるとき、図20(b)のアイコンを表示画面15に表示させる。
【0093】
撮像装置1にライト41が複数個設けられている場合には、上述の表示をライト41ごとに成すことができる。或いは、撮像装置1にライト41が複数個設けられている場合、複数のライト41の照射光が全てスポット光の場合に、図20(a)のアイコンを表示させ、複数のライト41の照射光が全て拡散光の場合に、図20(b)のアイコンを表示させ、複数のライト41の照射光にスポット光と拡散光が混在している場合に、図20(c)のアイコンを表示させも良い。図20(a)〜(c)のアイコンは互いに異なるアイコンである。これらの表示により、照射光の状態をユーザに確実に知らしめることができる。
【0094】
また、表示制御部は、1以上のライト41の照射光がスポット光及び拡散光間で切り替わったとき、その切り替わりの発生をユーザに知らしめる報知を成すと良い。報知は、人間の感覚(視覚、聴覚、触覚等)に訴えるものであるならば何でもよい。典型的には、表示画面15における表示を用いて上記報知を実現すると良い。例えば、上記切り替わりが発生した場合、一定時間、その切り替わりの発生を指し示す表示を行う。切り替わりの発生を指し示す表示は、図21に示す如く、表示画面15の外枠部分の点滅表示であっても良いし、図22に示す如く、図20(a)、図20(b)又は図20(c)のアイコンの点滅表示でも良い。尚、図21及び図22において、斜線部分は表示画面15の筐体部分を表している。
【0095】
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1及び注釈2を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
【0096】
[注釈1]
発光制御部20は、撮影領域内における特定種類の被写体の存否、数、位置などに応じて、様々な発光制御を成すことができる。上述の各実施例では、特定種類の被写体が任意の人物であることを想定したが、特定種類の被写体は、人物以外の被写体(例えば、犬、猫、車、ロボット)であっても良いし、或いは、特定の人物(例えば、子供、予め定められた登録人物)であっても良い。
【0097】
[注釈2]
図1の撮像装置1を、ハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。ソフトウェアを用いて撮像装置1を構成する場合、ソフトウェアにて実現される部位についてのブロック図は、その部位の機能ブロック図を表すことになる。ソフトウェアを用いて実現される機能をプログラムとして記述し、該プログラムをプログラム実行装置(例えばコンピュータ)上で実行することによって、その機能を実現するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 撮像装置
11 撮像部
18 発光部
20 発光制御部
40、40A、40B、40C 発光ユニット
41、41A、41B、41C ライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影により撮影領域の画像信号を取得する撮像装置において、
前記撮影領域を照らすための照射光を出射する発光素子であって、且つ、第1照射範囲を有する狭範囲光と第1照射範囲よりも広い第2照射範囲を有する広範囲光との間で前記照射光を切り替え可能な発光素子を、複数個有する発光部と、
前記発光部を制御する発光制御部と、を備え、
前記発光制御部は、前記撮影領域内の被写体に応じて、前記発光素子ごとに前記発光素子の照射光を前記狭範囲光及び前記広範囲光間で切り替える
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記発光制御部は、前記撮影領域内に特定種類の被写体が存在しているか否かに応じて、又は、前記撮影領域内の前記特定種類の被写体の数に応じて、前記発光素子ごとに前記発光素子の照射光を前記狭範囲光及び前記広範囲光間で切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記発光部は、各発光素子の照射光の方向を変更させるための照射光方向変更部を更に有し、
前記発光制御部は、前記撮影領域内に前記特定種類の被写体が存在している場合、前記複数の発光素子の内の1以上の発光素子の照射光が前記狭範囲光として前記特定種類の被写体に照射されるように前記照射光方向変更部を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記発光制御部は、前記撮影領域内の被写体に応じて、前記複数の発光素子の照射光の組み合わせを制御する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記発光制御部は、前記画像信号に含まれる色信号に応じて、各発光素子の照射光の色を制御する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記発光制御部は、前記画像信号に含まれる色信号に応じて、各発光素子の照射光の色及び強度を制御する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の撮像装置。
【請求項7】
撮影により撮影領域の画像信号を取得する撮像装置において、
前記撮影領域を照らすための照射光を出射する発光素子であって、且つ、第1照射範囲を有する狭範囲光と第1照射範囲よりも広い第2照射範囲を有する広範囲光との間で前記照射光を切り替え可能な発光素子を有する発光部と、
前記発光部を制御する発光制御部と、を備え、
前記発光制御部は、前記撮影領域内に特定種類の被写体が存在しているか否かに応じて、又は、前記撮影領域内の前記特定種類の被写体の位置に応じて、前記発光素子の照射光を前記狭範囲光及び前記広範囲光間で切り替える
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
撮影により撮影領域の画像信号を取得する撮像装置において、
前記撮影領域を照らすための照射光を出射する発光素子、及び、前記発光素子の照射光の方向を変更させるための照射光方向変更部を有する発光部と、
前記発光部を制御する発光制御部と、を備え、
前記発光制御部は、前記発光素子の照射光が前記撮影領域内の特定種類の被写体に照射されるように前記照射光方向変更部を制御する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
撮影により撮影領域の画像信号を取得する撮像装置において、
前記撮影領域を照らすための照射光を出射する発光素子を有する発光部と、
前記発光部を制御する発光制御部と、を備え、
前記発光制御部は、前記画像信号に含まれる色信号に応じて、前記発光素子の照射光の色を制御する
ことを特徴とする撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2012−247527(P2012−247527A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117715(P2011−117715)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】