説明

撮影条件初期設定支援装置、方法及びプログラム、並びに放射線撮影装置及びシステム

【課題】画像検出パネルの性能を有効活用して患者の被曝量の低減が可能な撮影条件で撮影が行われるようにする。
【解決手段】電子カセッテ(画像検出パネル)のコンソールに、製品出荷前において機種毎に線量を変化させながら撮影された複数枚のサンプル画像からなるサンプルデータを格納する。線量を含む撮影条件の初期設定処理において、サンプルデータを読み出して、複数枚のサンプル画像が配列された線量選択画面81をディスプレイ48に表示する。線量選択画面81には、複数枚のサンプル画像が線量(濃度)の高い又は低い順に並列的に表示される。各サンプル画像を比較しながら、診断に適した濃度のサンプル画像を選択し、それに対応する線量を初期値に設定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影を行う際の撮影条件の初期設定を支援する撮影条件初期設定支援装置、撮影条件初期設定支援方法及び撮影条件初期設定支援プログラム、並びに撮影条件初期設定支援機能を有する放射線撮影装置及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、放射線、例えばX線を利用したX線撮影装置が知られている。X線撮影装置としては、IP(イメージングプレート)を使用したIPカセッテやFPD(フラットパネルディテクタ)を使用した電子カセッテなど、X線画像をデジタルデータとして取り出すことが可能な画像検出パネルを利用したものが普及している。IPカセッテや電子カセッテは、コンピュータを利用した画像処理やフイルムレスなデータ運用が可能となるといった利点を持つため、現在では、従来のX線フイルムを利用するものに代わって主流になっている。
【0003】
X線撮影において、X線の線量を決める管電流及び照射時間や、X線の線質(エネルギースペクトル)を決める管電圧といった撮影条件は、被写体の撮影部位毎におおよその値が決まっている。しかし、同じ撮影部位を撮影する場合でも、検査目的、被写体の体格、医師の読影技量などによって診断に適した画質を得るための撮影条件は異なる。そのため、撮影部位によっておおよそ決まる撮影条件を初期値として、個々の撮影の撮影条件は初期値に対して微調整が加えられて決定される。さらに、撮影条件の決定に際しては、画質もさることながら、被写体に与える被曝量は少ないほどよいため、診断に支障が無い範囲で、できるだけ被曝量が低減されるような撮影条件を決定することが求められている。
【0004】
特許文献1には、デジタルデータで取得したX線画像の利点を活かして、診断に適した画質を維持しつつ被曝量が少ない撮影条件の決定を支援する技術が開示されている。特許文献1の技術は、過去に撮影した過去画像を基本画像として取得し、基本画像に対して画像処理を施すことにより、撮影条件を変化させた複数枚のシミュレーション画像をディスプレイに表示するものである。
【0005】
複数枚のシミュレーション画像は、医師などの読影の専門家によって評価され、その中から診断に適した画質が得られかつ被曝量が少ない画像が選択される。そして、選択された画像の撮影条件が撮影に使用する撮影条件として決定される。こうした画像処理によるシミュレーションを利用して撮影条件の決定を支援する方法は、実際に異なる撮影条件で複数回撮影を行い、得られた複数枚の撮影画像を評価して適切な撮影条件を決定する方法と比べて、患者に対して無用な被曝を与えずに済むため、被曝量低減の観点からは非常に有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許7949098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の過去画像を基本画像とする画像シミュレーションによって撮影条件の決定を支援する方法は、医療施設において、既存の画像検出パネルの機種に代えて新しい機種の画像検出パネルを導入する場合に問題があった。典型的には、IPカセッテを使用している医療施設が、IPカセッテに代えて電子カセッテを導入するような場合である。
【0008】
特許文献1の方法では、シミュレーションの基礎として過去画像及びその撮影条件が必要になるが、新しい機種の画像検出パネルを導入する場合には、新しい機種で撮影された過去画像が存在しない。機種によって画像検出パネルの感度は変化するため、同じ線量を与えた場合でも検出されるX線画像の濃度は異なる。既存の画像検出パネルで撮影された過去画像を基礎として、新しい画像検出パネルの使用を前提とする撮影条件を画像処理によってシミュレーションすることは難しい。その結果、感度の高い新しい画像検出パネルであれば、より被曝量の低減が可能な撮影条件を使用できるにも関わらず、既存の画像検出パネルの使用を前提とした撮影条件が引き続き使い続けられてしまうというように、新しい画像検出パネルの性能が有効活用されないという問題が生じる。
【0009】
こうした問題の解決策として、新しい画像検出パネルで患者をプレ撮影して、プレ撮影で得た撮影画像を基本画像として特許文献1に記載の画像シミュレーションを行う方法が考えられる。しかしながら、撮影条件の決定のためにプレ撮影を行うことは患者に無用な被曝を与えることになるため、被曝量低減の観点からは採用し難い。特許文献1には、こうした課題及びその解決手段について明示も示唆もない。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、医療施設が新しい画像検出パネルを導入する場合において、患者の撮影時にプレ撮影を行うことなく、画像検出パネルの性能を有効活用して患者の被曝量の低減が可能な撮影条件で撮影が行われるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の撮影条件初期設定支援装置は、放射線を照射する放射線源と被写体を透過した放射線を受けて放射線画像を検出する画像検出パネルとを有する放射線撮影システムに用いられ、撮影時に被写体に照射する放射線の線量を含む撮影条件の初期設定を支援する撮影条件初期設定支援装置において、前記画像検出パネルの製品出荷前において前記画像検出パネルの機種毎に前記線量を変化させながら撮影された複数枚のサンプル画像を有するサンプルデータを、格納するデータ格納手段と、前記線量の初期値を設定するための判断材料として、前記データ格納手段から読み出された前記複数枚のサンプル画像をディスプレイに表示する表示制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0012】
前記サンプルデータは、撮影部位と、前記放射線源に与えられ放射線の線質を決める管電圧との組み合わせ毎に用意された複数の画像セットを有しており、各画像セットには、線量を変化させた前記複数枚のサンプル画像が含まれることが好ましい。
【0013】
さらに、前記サンプルデータは、前記画像検出パネルの仕向地毎に用意されていることが好ましい。また、前記サンプルデータは、被写体の体格別に用意されていることが好ましい。
【0014】
前記表示制御手段は、線量が異なる複数枚のサンプル画像が並列表示されるサンプル画像表示画面を前記ディスプレイに表示することが好ましい。また、前記サンプル画像表示画面には、各サンプル画像に加えてそれぞれの線量を表す情報が表示されることが好ましい。前記線量を表す情報は、各サンプル画像の濃度ヒストグラムから算出されるS値、及び前記放射線源に与えられる管電流と照射時間の積であるmAs値のうちの少なくとも1つであることが好ましい。
【0015】
前記サンプルデータは、各サンプル画像の濃度ヒストグラムから算出されるS値を含んでいることが好ましい。さらに、前記S値を、前記放射線源に与えられる管電流と照射時間の積であるmAs値に変換する変換手段を有していることが好ましい。
【0016】
前記画像検出パネル及び前記放射線源間の距離であるSIDの入力を受け付けるSID受付手段と、入力された前記SIDと前記サンプル画像の撮影時の基準SIDに基づいて、前記mAs値を補正する補正手段とを有していることが好ましい。
【0017】
前記複数枚のサンプル画像の中から1つのサンプル画像を選択する選択指示の入力を受け付ける選択指示受付手段を有することが好ましい。前記表示制御手段は、複数枚のサンプル画像のうち、少なくとも前記選択指示受付手段を通じて選択されたサンプル画像の線量を表す情報を前記ディスプレイに表示することが好ましい。
【0018】
前記選択指示受付手段は、医師毎の選択指示を受け付け可能としてもよい。この場合において、前記表示制御手段は、複数の医師の選択状況を表示する選択状況表示画面を前記ディスプレイに出力可能であることが好ましい。
【0019】
選択が確定した前記サンプル画像に対応する線量を、前記線量の初期値として設定する初期値設定手段を有していることが好ましい。前記線量の初期値は、前記撮影部位と前記管電圧との組み合わせ毎に設定可能であることが好ましい。
【0020】
前記放射線撮影システムは、依頼元から発行される撮影オーダを受信して、撮影オーダ毎に撮影条件を設定するためのコンソールを有しており、前記表示制御手段、前記選択指示受付手段及び前記初期値設定手段は、前記コンソールに設けられていることが好ましい。
【0021】
前記放射線撮影システムは、前記被写体を透過して前記画像検出パネルに入射する入射線量を測定し、前記入射線量が所定の閾値に到達したときに前記放射線源の照射を停止させる自動露出制御装置を有していてもよい。
【0022】
前記画像検出パネルは、例えば、入射した放射線を入射量に応じた電気信号に変換して出力するフラットパネルディテクタである。1例として、前記フラットパネルディテクタには、前記自動露出制御装置が設けられており、前記初期値設定手段によって設定された初期値を、前記自動露出制御装置に自動的に設定する機能を備えている。
【0023】
また、前記画像検出パネルとは別の画像検出パネルを用いて過去に撮影された放射線画像である過去画像を格納する画像サーバと通信する通信手段を有しており、前記表示制御手段は、前記通信手段を介して取得した前記過去画像の撮影時の線量と、前記初期値設定手段によって設定された線量の初期値との比較結果を前記ディスプレイに出力可能としてもよい。
【0024】
本発明の撮影条件初期設定支援方法は、放射線を照射する放射線源と被写体を透過した放射線を受けて放射線画像を検出する画像検出パネルとを有する放射線撮影システムに用いられ、撮影時に被写体に照射する放射線の線量を含む撮影条件の初期設定を支援する撮影条件初期設定支援方法において、前記画像検出パネルの製品出荷前において前記画像検出パネルの機種毎に前記線量を変化させながら撮影された複数枚のサンプル画像からなるサンプルデータを、格納するデータ格納手段から、前記複数枚のサンプル画像を読み出す読み出しステップと、前記線量の初期値を設定するための判断材料として、読み出された前記複数枚のサンプル画像をディスプレイに表示する表示制御ステップとを備えていることを特徴とする。
【0025】
本発明の撮影条件初期設定支援プログラムは、放射線を照射する放射線源と被写体を透過した放射線を受けて放射線画像を検出する画像検出パネルとを有する放射線撮影システムに用いられ、撮影時に被写体に照射する放射線の線量を含む撮影条件の初期設定を支援する撮影条件初期設定支援プログラムにおいて、前記画像検出パネルの製品出荷前において前記画像検出パネルの機種毎に前記線量を変化させながら撮影された複数枚のサンプル画像を有するサンプルデータを、格納するデータ格納手段から、前記複数枚のサンプル画像を読み出す読み出しステップと、前記線量の初期値を設定するための判断材料として、読み出された前記複数枚のサンプル画像をディスプレイに表示する表示制御ステップとを備えていることを特徴とする。
【0026】
本発明の放射線撮影装置は、放射線源から照射され被写体を透過した放射線を受けて放射線画像を検出する画像検出パネルと、前記画像検出パネルを用いて撮影を行う際に被写体に照射する放射線の線量を含む撮影条件を設定するコンソールとを有する放射線撮影装置において、前記コンソールは、前記画像検出パネルの製品出荷前において前記画像検出パネルの機種毎に前記線量を変化させながら撮影された複数枚のサンプル画像からなるサンプルデータを、格納するデータ格納手段と、前記線量の初期値を設定するための判断材料として、前記データ格納手段から読み出された前記複数枚のサンプル画像をディスプレイに表示する表示制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0027】
本発明の放射線撮影システムは、放射線を照射する放射線源と、被写体を透過した放射線を受けて放射線画像を検出する画像検出パネルと、前記画像検出パネルを用いて撮影を行う際に被写体に照射する放射線の線量を含む撮影条件を設定するコンソールとを有する放射線撮影システムにおいて、前記コンソールは、前記画像検出パネルの製品出荷前において前記画像検出パネルの機種毎に前記線量を変化させながら撮影された複数枚のサンプル画像からなるサンプルデータを、格納するデータ格納手段と、前記線量の初期値を設定するための判断材料として、前記データ格納手段から読み出された前記複数枚のサンプル画像をディスプレイに表示する表示制御手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、画像検出パネルの製品出荷前において機種毎に線量を変化させながら撮影された複数枚のサンプル画像を有するサンプルデータを、データ格納手段に格納しておき、線量の初期値を設定するための判断材料として、前記複数枚のサンプル画像をディスプレイに表示するから、医療施設が新しい画像検出パネルを導入する場合において、患者の撮影時にプレ撮影を行うことなく、画像検出パネルの性能を有効活用して患者の被曝量の低減が可能な撮影条件で撮影が行われるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】X線撮影システムの構成を示す概略図である。
【図2】照射制御シーケンスを示す説明図である。
【図3】FPDの構成を示す概略図である。
【図4】コンソールの構成を示す概略図である。
【図5】初期設定処理を実行する処理ブロックと必要なデータの説明図である。
【図6】検査オーダ表示画面の説明図である。
【図7】初期値テーブルの説明図である。
【図8】サンプルデータの体系図である。
【図9】カセッテの感度特性を説明するグラフである。
【図10】初期設定画面の説明図である。
【図11】線量選択画面の説明図である。
【図12】S値の説明図である。
【図13】S値/mAs値変換テーブルの説明図である。
【図14】初期設定処理の概要図である。
【図15】サンプルデータ作成から初期設定までのワークフローを示すフローチャートである。
【図16】初期設定手順を示すフローチャートである。
【図17】図8とは別のサンプルデータの体系図である。
【図18】第2実施形態の線量選択画面の説明図である。
【図19】選択状況表示画面の説明図である。
【図20】過去画像と初期設定後の線量の比較処理の内容を示す説明図である。
【図21】第4実施形態のX線撮影システムの説明図である。
【図22】図21とは別の第4実施形態のX線撮影システムの説明図である。
【図23】共用サーバを利用する場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[第1実施形態]
図1において、X線撮影システム10は、X線発生装置11と、X線撮影装置12とからなる。X線発生装置11は、X線源13と、X線源13を制御する線源制御装置14と、照射スイッチ15とで構成される。X線源13は、X線を照射するX線管13aと、X線管13aが照射するX線の照射野を限定する照射野限定器(コリメータ)13bとを有する。
【0031】
X線管13aは、熱電子を放出するフィラメントからなる陰極と、陰極から放出された熱電子が衝突してX線を放射する陽極(ターゲット)とを有している。照射野限定器13bは、例えば、X線を遮蔽する複数枚の鉛板を井桁状に配置し、X線を透過させる照射開口が中央に形成されたものであり、鉛板の位置を移動することで照射開口の大きさを変化させて、照射野を限定する。
【0032】
線源制御装置14は、X線源13に対して高電圧を供給する高電圧発生器と、X線源13が照射するX線の線質(エネルギースペクトル)を決める管電圧(kV)、単位時間当たりの線量を決める管電流(mA)、およびX線の照射時間(s)を制御する制御部とからなる。高電圧発生器は、トランスによって入力電圧を昇圧して高圧の管電圧を発生し、高電圧ケーブルを通じてX線源13に駆動電力を供給する。管電圧と、照射線量を規定する、管電流及び照射時間の積であるmAs値といった撮影条件は、線源制御装置14の操作パネル14aを通じて放射線技師や医師などのオペレータにより手動で設定される。設定された撮影条件は閾値テーブル14bに登録される。
【0033】
照射スイッチ15は、線源制御装置14に信号ケーブルで接続されており、オペレータによって操作される。照射スイッチ15は二段階押しのスイッチであり、一段階押しでX線源13のウォームアップを開始させるためのウォームアップ開始信号を発生し、二段階押しでX線源13に照射を開始させるための照射開始信号を発生する。これらの信号は信号ケーブルを通じて線源制御装置14に入力される。
【0034】
図2に示すように、線源制御装置14は、照射スイッチ15からの制御信号に基づいて、X線源13の動作を制御する。照射スイッチ15から照射開始信号(ON信号)を受けると、線源制御装置14は、X線源13に対して開始指令を発して電力供給を開始する。これによりX線源13は照射を開始する。
【0035】
図1において、閾値テーブル14bは、撮影条件を設定するためのテーブルメモリである。閾値テーブル14bには、よく使用される標準的な、管電圧とmAs値の組み合わせの初期値が複数組プリセットできるようになっている。プリセットされた初期値以外を使用する場合は、操作パネル14aに設けられているキーボードやカーソルキーにより数値を入力して撮影条件が設定される。
【0036】
図2において、線源制御装置14は、照射が開始されると、閾値テーブル14bを参照して、X線源13が実際に照射する照射線量が、撮影条件によって設定された閾値(mAs値)に到達したか否かを監視する。そして、照射線量が閾値に到達したと判定すると、X線源13に対して終了指令を送信して照射を停止させる。
【0037】
また、線源制御装置14は、X線撮影装置12と有線又は無線により通信可能に接続されており、X線撮影装置12に対して、X線源13の照射タイミングとX線撮影装置12の動作タイミングを同期させるための同期信号を送信する。線源制御装置14は、X線源13に対して開始指令を送信すると同時に、X線撮影装置12に対して開始同期信号を送信し、終了指令を送信すると同時に、X線撮影装置12に対して終了同期信号を送信する。X線撮影装置12は、開始同期信号を受信すると、待機状態からX線の入射量に応じた信号電荷を蓄積する蓄積動作へ移行し、終了同期信号を受信すると、蓄積した信号電荷を読み出す読み出し動作を開始する。
【0038】
図1において、X線撮影装置12は、電子カセッテ21、撮影台22、撮影制御装置23、およびコンソール24から構成される。電子カセッテ21は、FPD25と、FPD25を収容する可搬型の筐体とからなり、X線源13から照射されて被検者(被写体)Hを透過したX線を受けて被検者HのX線画像を検出する、可搬型の放射線画像検出装置である。電子カセッテ21は、平面形状が略矩形の偏平な筐体を有し、平面サイズはフイルムカセッテやIPカセッテと略同様の大きさである。
【0039】
図3において、FPD25は、TFTアクティブマトリクス基板31を有し、この基板上にX線の入射量に応じた信号電荷を蓄積する複数の画素32を配列してなる撮像領域を有する。FPD25は、基板31上にX線を可視光に変換するシンチレータ33が設けられており、シンチレータ33によって変換された可視光を画素32で光電変換する間接変換型である。画素32は、フォトダイオードとTFTからなる。フォトダイオードは光電変換素子であり、TFTは光電変換素子で変換された信号電荷を読み出すためのスイッチング素子である。複数の画素32は、所定のピッチで二次元のマトリクスに配列されている。基板31には、TFTを駆動して信号電荷の読み出しを制御するゲートドライバ、画素32から読み出された信号電荷をデジタルデータに変換して出力する信号処理回路を含む制御部(図示せず)が接続されている。
【0040】
シンチレータ33は、画素32が配列された撮像領域の全面と対向するように配置されている。シンチレータ33は、CsI(ヨウ化セシウム)やGOS(ガドリニウムオキシサルファイド)などの蛍光体である。なお、X線を直接電荷に変換する変換層(アモルファスセレン等)を用いた直接変換型のFPDを用いてもよい。
【0041】
撮影台22は、電子カセッテ21が着脱自在に取り付けられるスロットを有し、X線が入射する入射面がX線源13と対向する姿勢で電子カセッテ21を保持する。電子カセッテ21は、筐体のサイズがフイルムカセッテやIPカセッテと略同様の大きさであるため、フイルムカセッテやIPカセッテ用の撮影台にも取り付け可能である。なお、撮影台22として、被検者Hを立位姿勢で撮影する立位撮影台を例示しているが、被検者Hを臥位姿勢で撮影する臥位撮影台でもよい。
【0042】
撮影制御装置23は、有線方式や無線方式により電子カセッテ21と通信可能に接続されており、電子カセッテ21を制御する。具体的には、電子カセッテ21に対して撮影条件を送信して、FPD36の信号処理の条件を設定させるとともに、X線源13の照射タイミングとFPD36の動作を同期させるための同期信号(開始同期信号及び終了同期信号)をX線発生装置11から受信して、これを電子カセッテ21に送信することにより、X線源13とFPD36の同期制御を行う。また、撮影制御装置23は、電子カセッテ21が出力する画像データを受信してコンソール24に送信する。
【0043】
コンソール24は、検査オーダの入力を受け付けて、検査オーダをディスプレイに表示する。検査オーダは、HIS(病院情報システム)やRIS(放射線情報システム)といった患者情報や放射線検査に係る検査情報を管理するオーダ管理システム26からLANなどのネットワーク27を通じて入力されるか、または、オペレータにより手動入力される。
【0044】
検査オーダは、患者単位で作成される。1件の検査オーダには、依頼元情報(医師ID、診療科名など)、患者情報(患者名、患者IDなど)、撮影オーダが含まれる。1件の検査オーダに対して、撮影オーダが1件だけの場合もあれば、複数件の撮影オーダが含まれる場合もある。1件の撮影オーダには、頭部、胸部、腹部などの撮影部位と、正面、側面、斜位、PA(X線を被検体の背面から照射)、AP(X線を被検体の正面から照射)といった撮影方向と、立位、臥位などの撮影体位とからなる術式を指定する術式指定情報が含まれる。オペレータは、撮影オーダの内容をコンソール24のディスプレイで確認し、その内容に応じた撮影条件をコンソール24の操作画面を通じて入力する。
【0045】
コンソール24は、撮影制御装置23に対して撮影条件を送信するとともに、撮影制御装置23から送信されるX線画像のデータに対して、ガンマ補正、周波数処理等の各種画像処理を施す。画像処理済みのX線画像は、コンソール24のディスプレイに表示される他、撮影条件や患者情報などの情報が付帯情報として付加されて、DICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)などの医用画像フォーマットのファイルに変換されて、そのデータがコンソール24内のハードディスクやメモリ、あるいはコンソール24とネットワーク27を介して接続された画像サーバ28といったデータストレージデバイスに格納される。
【0046】
図4に示すように、コンソール24は、パーソナルコンピュータやワークステーションといったコンピュータをベースに、オペレーティングシステムなどの制御プログラムや、コンピュータをコンソール24として機能させるためのアプリケーションプログラム(AP)50をインストールして構成される。
【0047】
コンソール24は、CPU41、メモリ42、ストレージデバイス43、通信I/F44、ディスプレイ48、及び入力デバイス49を備えている。これらはデータバス47を介して接続されている。入力デバイス49は、キーボードやマウスなどである。また、ディスプレイ48と一体となったタッチパネル式の入力デバイスでもよい。
【0048】
ストレージデバイス43は、例えば、ハードディスクドライブであり、コンソール24の本体に内蔵された内部ストレージである。もちろん、コンソール24の本体とネットワークや通信ケーブルを介して接続された外部ストレージでもよい。ストレージデバイス43は、制御プログラムや、コンソール用ソフトウエアなどのアプリケーションプログラム(AP)50が格納される。
【0049】
メモリ42は、CPU41が処理を実行するためのワークメモリである。CPU41は、ストレージデバイス43に格納された制御プログラムをメモリ42へロードして、プログラムに従った処理を実行することにより、コンピュータの各部を統括的に制御する。通信I/F44は、LANなどのネットワーク27との間の伝送制御を行うネットワークインタフェースを有している。コンソール24は、ネットワーク27を通じて、画像サーバやRISやHISなどのオーダ管理システム26と通信する。また、通信I/F44は、撮影制御装置23を介して電子カセッテ21と通信するためのインタフェースを備えている。
【0050】
コンソール用ソフトウエアは、検査オーダや電子カセッテ21から送信されるX線画像をディスプレイ48に表示したり、X線画像に対して画像処理を施したり、撮影オーダに応じて撮影条件を設定するなどの機能をコンピュータに実行させるためのプログラムである。さらに、後述するように、撮影条件を設定する機能には、撮影条件の初期値の設定を支援する初期設定支援機能も含まれる。
【0051】
図5に示すように、コンソール用ソフトウエアが起動すると、CPU41は、メモリ42と協働して、ディスプレイ48への出力情報と入力デバイス49から入力される入力情報を制御する入出力制御部41a及び主制御部41bとして機能する。入出力制御部41aは、ディスプレイ48に、電子カセッテ21で撮影されたX線画像やGUI(Graphical User Interface)による操作画面を出力するとともに、操作画面との協働により入力デバイス49から入力される操作指示を受け付ける。
【0052】
主制御部41bは、通信I/F44及び撮影制御装置23を介して電子カセッテ21と通信することにより、電子カセッテ21を制御するカセッテ制御処理と、電子カセッテ21から入力されるX線画像に対する画像処理とを行う。さらに、オーダ管理システム26や操作画面から入力される検査オーダを受け付ける検査オーダ受け付け処理と、操作画面から入力される操作指示に基づいて、検査オーダに含まれる1件毎の撮影オーダに対して撮影条件を設定する撮影条件設定処理と、撮影条件の初期値を設定する初期設定処理とを行う。
【0053】
ストレージデバイス43には、撮影オーダを格納するオーダ格納領域51が設けられている。撮影条件設定処理において、1件毎の撮影オーダに対して撮影条件が設定されると、設定された撮影条件は、撮影オーダに関連付けられてオーダ格納領域51に格納される。そして、その撮影オーダの撮影が実行されてX線画像が入力されると、撮影オーダにX線画像が関連付けられてオーダ格納領域51に格納される。これにより、撮影オーダ、撮影条件、X線画像の3つのデータが関連付けられる。X線画像は、DICOM形式のフォーマットに変換された後、通信I/F44を介して画像サーバ28に送信される。
【0054】
撮影条件設定処理においては、操作画面として図6に示す検査オーダ表示画面61がディスプレイ48に表示される。検査オーダ表示画面61は、受信済みの検査オーダの中から選択された1件の検査オーダの内容を表示する画面である。
【0055】
検査オーダ表示画面61には、検査オーダのID、患者名、患者ID、性別、年齢といった患者情報を表示する患者情報表示領域62と、1件の検査オーダに含まれる撮影オーダを表示する撮影オーダ表示領域63と、撮影したX線画像を表示する画像表示領域65が設けられている。撮影オーダ表示領域63の下方には、選択された撮影オーダに対して撮影条件を入力する撮影条件入力領域64が設けられている。符号67は、撮影条件の初期設定を行う初期設定画面を呼び出すための操作ボタンである。符号68aは、入力された撮影条件を確定するOKボタンであり、符号68bは、入力された撮影条件をキャンセルするキャンセルボタンであり、符号68cは、検査オーダ表示画面61を終了する終了ボタンである。
【0056】
撮影オーダ表示領域63には、複数件の撮影オーダがある場合には、複数件の撮影オーダがリスト形式で一覧表示される。本例では、2件の撮影オーダが含まれている例を示している。撮影オーダ表示領域63内において、各撮影オーダの表示欄63aには、「胸部立位正面(P−A)」のように、各撮影オーダの術式指定情報が表示される。
【0057】
表示欄63aの1つが、入力デバイス49のマウスのポインタ49aでクリック操作されると、その表示欄63aに対応する1件の撮影オーダが指定される。指定された撮影オーダの表示欄63aはハイライト表示され、指定されていない他の撮影オーダと識別可能に表示される。本例では、撮影オーダ1が指定された状態を示している。
【0058】
画像表示領域65には、撮影済みのX線画像のうち最新の画像が表示される。本例では、撮影オーダ1に対応するX線画像が表示されている。もちろん、撮影済みの複数のX線画像の中から選択された画像を画像表示領域65に表示することも可能である。
【0059】
撮影条件入力領域64には、管電圧入力ボックス64a、mAs値入力ボックス64b、体格情報入力ボックス64cが設けられている。マウスのポインタ49aで各ボックス64a〜64cが選択されると、選択されたボックスは、情報の入力が可能なアクティブ状態となる。管電圧入力ボックス64aは、キーボード操作による数値の入力が可能である他、プルダウンメニューに予め複数の数値(例えば、120kV、110kV、100kV、90kVなど)が用意されており、そのうちの1つをポインタ49aで選択操作することにより数値を入力することが可能である。
【0060】
mAs値入力ボックス64bには、管電圧が入力されると、撮影部位と管電圧の組み合わせ毎に予め設定されたmAs値の初期値が自動的に入力される。本例においては、選択されている撮影オーダ1の撮影部位は「胸部」であり、管電圧として「120kV」が入力されているので、胸部と120kVの組み合わせに対応付けられたmAs値の初期値である「2.46」が自動的に入力される。また、各ボックス64a、64bの一端には、入力した数値を増減するための「+」、「−」の調整ボタンが設けられている。
【0061】
体格情報入力ボックス64cは、被検者Hの体格情報を入力するためのボックスであり、プルダウンメニューには、「標準」、「肥満」、「やせ型」、「小児」といった選択項目が用意されている。体格によってX線の減弱量が異なるので、X線源13から同じ照射線量を与えても、体格によって電子カセッテ21に入射する入射線量は変化する。そのため、入力された体格情報に応じて、照射線量を規定するmAs値に補正が加えられる。具体的には、「標準」のmAs値を基準として、「肥満」の場合は2〜3倍した値に、「やせ型」の場合は1/2の値に、「小児」の場合は1/3の値に補正される。
【0062】
図5において、ストレージデバイス43には、初期値テーブル52、サンプルデータ53、S値/mAs値変換テーブル54が格納されている。図7に示すように、初期値テーブル52は、撮影部位と管電圧の組み合わせ毎に、mAs値の初期値を対応させて記録するテーブルである。
【0063】
mAs値は、撮影時の照射線量を決める値であり、mAs値の変化は、X線画像においては主として濃度の変化として現れる。照射線量が小さいと被検者Hの被曝量は低減されるが、濃度が低いとざらつき感が強い画像となり、一般的には、読影スキルが未熟な医師にとっては病変を認識しにくい画像となる。一方、照射線量が高いと被検者Hの被曝量は多くなるが、濃度が高くなるのでざらつき感が弱まり、一般的には、病変を認識しやすい画像となる。そのため、診断画像としてどの程度の濃度が好ましいかは、医師の熟練度や好み、医療施設の方針などによって変化する。そのため、初期値テーブル52は、医師の熟練度や好み、医療施設の方針を反映できるように、初期値の設定を変更できるようになっている。
【0064】
また、撮影部位が異なれば適切な照射線量は変化し、また、同じ撮影部位であっても管電圧が異なる場合には適切な照射線量は変化する。そのため、初期値テーブル52においては、撮影部位と管電圧の組み合わせ毎にmAs値の初期値が対応付けて記録される。初期値テーブル52の初期値の設定変更は、初期設定処理において行われる。
【0065】
サンプルデータ53及びS値/mAs値変換テーブル54は、初期設定処理において使用されるデータである。サンプルデータ53は、電子カセッテ21の製品出荷前において電子カセッテ21を用いて照射線量を変化させながら撮影された複数枚のサンプル画像からなる。サンプルデータ53は、初期設定において照射線量の初期値を選択する際の判断材料として利用されるように、電子カセッテ21のメーカが提供するデータである。複数枚のサンプル画像は、電子カセッテ21を使用した場合において、どの程度のmAs値のときに、どの程度の濃度の画像が得られるかをユーザに提示する。後述するように、複数枚のサンプル画像の中から、診断画像として適切と考えられるサンプル画像をユーザに選択させることによって、mAs値の初期値が設定される。サンプル画像の被写体は、人体であってもよいし、人体のX線吸収特性を模したファントムでもよい。
【0066】
図8に示すように、サンプルデータ53は、A型、B型といった電子カセッテ21の機種毎に用意されている。そして、mAs値の初期値は、撮影部位と管電圧の組み合わせ毎に設定されるので、その組み合わせ毎に、異なる照射線量で撮影された複数枚のサンプル画像からなる画像セットが用意されている。画像セット内の各サンプル画像は、複数の画素の画素値の集合である画像データと、付帯情報とからなる。付帯情報にはそれぞれのサンプル画像のS値が含まれている。
【0067】
後に詳述するように、S値は、本来IPカセッテにおける読み取り感度の指標であるが、線量(濃度)との間に相関関係があるため、線量を表す指標として用いられる。mAs値がX線源13から照射される照射線量を表すのに対して、S値は電子カセッテ21で検出される検出線量を表す指標である。S値はそれぞれのサンプル画像の濃度ヒストグラムから求められる。S値の算出は、例えば、電子カセッテ21のメーカにおいて行われ、サンプル画像毎にそれぞれの付帯情報として記録される。
【0068】
図9に示すように、電子カセッテ21の機種(A、B、C)によってDQE(detective quantum efficency:検出量子効率)が変化する。DQEは、電子カセッテ21の感度の指標である。この値が高い程、同じ照射線量(D1)でも検出線量は大きくなるため(QA>QB>QC)、同じ濃度のX線画像を得る場合には、低い照射線量での撮影が可能である。DQEは、IPカセッテと電子カセッテでは異なり、一般に電子カセッテの方が高い。また、電子カセッテ同士でも、直接変換型と間接変換型ではDQEは異なる。さらに、間接変換型同士でも、機種によって、FPD25のフォトダイオードの感度特性やシンチレータ33の種類が異なるため、DQEは変わる。そのため、サンプルデータ53は、電子カセッテ21の感度特性に合わせてmAs値の初期値を設定できるように機種毎に用意されている。
【0069】
初期設定処理においては、操作画面として、図10に示す撮影条件の初期設定画面71がディスプレイ48に表示される。初期設定画面71は、検査オーダ表示画面61の初期設定ボタン67をクリックすると呼び出される。
【0070】
初期設定画面71には、機種選択ボックス72、撮影部位選択ボックス73、管電圧選択ボックス74、SID入力ボックス75が設けられている。撮影部位選択ボックス73に例示されるように、各選択ボックス72〜74はプルダウンメニューが表示されるようになっており、その中から所望の項目がポインタ49aによって選択されて入力される。機種選択ボックス72には、使用する電子カセッテ21の機種が入力される。撮影部位選択ボックス73、管電圧選択ボックス74には、それぞれ撮影部位と管電圧が入力されて、mAs値の初期値を設定する、撮影部位と管電圧の組み合わせが選択される。
【0071】
SID入力ボックス75は、医療施設において設置されるX線撮影システム10における、X線源13と電子カセッテ21(FPD25)の撮像面との距離(SID;Source Image Distance、cm)が、キーボードの操作により入力される。SIDは、医療施設毎の設置環境によって異なる他、同じ医療施設に複数台のX線撮影システム10がある場合にはそれぞれの設置環境によって異なる。SID入力ボックス75に入力されるSIDの値は、後述するmAs値の距離補正を行うためのパラメータとして使用される。
【0072】
符号78a、78b、78cは、各選択ボックス72〜74及び入力ボックス75に入力した内容の確定やキャンセルを行うための操作ボタンである。OKボタン78aと適用ボタン78cは、それぞれ入力内容を確定するための操作ボタンであり、OKボタン78aがポインタ49aによってクリック操作されると、入力内容が確定するとともに初期設定画面71が終了して、検査オーダ表示画面61に復帰する。適用ボタン78cがクリック操作されると、入力内容は確定するが、初期設定画面71の表示が継続する。確定された入力内容は、入出力制御部41aを通じて主制御部41bに送られる。キャンセルボタン78bがクリック操作されると、入力した内容を確定せずに初期設定画面71を終了する。
【0073】
線量選択ボタン77は、選択された撮影部位と管電圧の組み合わせに対応するmAs値(線量)を選択する線量選択画面81(図11参照)を表示するための操作ボタンである。符号79は、線量選択画面81において選択され、初期値テーブル52に設定されている線量を表示する表示領域である。図10においては、線量選択が行われた状態を示しており、表示領域79には、入力された条件(機種「A」、撮影部位「胸部」、管電圧「120kV」、SID「200cm」)に対応する初期値として、初期値テーブル52から読み出された線量(mAs値:「2.46」)が表示されている。電子カセッテ21を医療施設に導入した直後で初回の初期設定すら行われていない場合など、初期値テーブル52に初期値が設定されていない場合には、表示領域79には何も表示されない。
【0074】
図11に示すように、線量選択画面81には、照射線量を変化させて撮影された複数枚のサンプル画像82a〜82fを比較できるように、それらが並列表示される。線量選択画面81に表示されるサンプル画像82a〜82fは、初期設定画面71の各選択ボックス73、74で選択された組み合わせ(撮影部位及び管電圧)に対応する画像セット(図8参照)に含まれるものである。線量選択画面81の上部には、選択された組み合わせが(本例においては「胸部」、「120kV」)表示される。
【0075】
サンプル画像82a〜82fは、サンプル画像82aの線量が最も低く(濃度が最低)、サンプル画像82b、82c、82d、82e、82fの順番で線量が高くなっている。初期設定においては、実際に診断を行う医師が各サンプル画像82a〜82fを評価して、その中から、医師の熟練度や好み、医療施設の方針などを考慮して、医療施設において診
断画像に適した濃度のサンプル画像が1つ選択される。
【0076】
線量選択画面81において、ポインタ49aによって1つのサンプル画像が選択されると、選択されたサンプル画像(本例においてはサンプル画像82d)に対して、例えば、枠形状のカーソルが表示されて、選択されたサンプル画像82dが未選択のサンプル画像と識別可能に表示される。1つのサンプル画像が選択されると、主制御部41bは、選択されたサンプル画像に対応する線量(mAs値)を算出するmAs値算出処理を実行する。
【0077】
mAs値算出処理は、後述するように、サンプル画像の付帯情報に記録されたS値をmAs値に変換する変換処理と、初期設定画面71において入力されたSIDに基づいて、mAs値に対して距離補正を行う距離補正処理とからなる。選択されたサンプル画像82dの近傍には、吹き出し形状の表示領域84が表示され、表示領域84にmAs値算出処理によって算出されたmAs値が表示される。この表示によって、医療施設のユーザに対して、選択されたサンプル画像に対応するmAs値が提示される。ユーザは、電子カセッテ21を使用した場合において、選択されたサンプル画像と同じ濃度を得るのに必要な照射線量(mAs値)がどの程度かを確認することができる。
【0078】
OKボタン83aと適用ボタン83cは、それぞれ選択を確定するための操作ボタンであり、OKボタン83aがポインタ49aによってクリック操作されると、選択が確定するとともに線量選択画面81が終了して、初期設定画面71に復帰する。適用ボタン83cがクリック操作されると、選択は確定するが、線量選択画面81の表示が継続する。キャンセルボタン83bがクリック操作されると、選択した内容を確定せずに線量選択画面81を終了する。
【0079】
OKボタン83aや適用ボタン83cによって選択を確定する操作がなされると、選択が確定したサンプル画像に対応する線量(mAs値)が、選択された条件(撮影部位と管電圧の組み合わせ)に対応するmAs値の初期値として、初期値テーブル52に記録される。
【0080】
各サンプル画像82a〜82fの下方には、それぞれの線量を表す指標としてS値が表示される。上述したとおり、各サンプル画像82a〜82fの付帯情報にはS値が記録されており、そのS値が読み出されて線量選択画面81に表示される。ユーザは、サンプル画像そのものに加えて、S値も参考にしながら、適切な濃度がどれかを評価することができる。
【0081】
S値は、本来IPカセッテにおける読み取り感度の指標である。撮影にIPカセッテを用いる場合は、周知のように、放射線を照射して撮影を行った後、IPカセッテに対して可視光を照射して光走査を行うことにより画像データが読み取られる。そして、画像データの読み取りに際して、どの程度の光を照射するかを決定するためにプレ走査を行い、それによって得た画像データの濃度ヒストグラムから本走査のときの読み取り感度が決定される。次に示すように、S値と線量(濃度)の間には相関があるため、本例においては、線量を表す指標としてS値が用いられている。
【0082】
図12に示すように、S値は、画像データの濃度ヒストグラムから求められる。図12において、2つの濃度ヒストグラムH1、H2は、それぞれ、撮影部位及び管電圧は同じで、線量のみを変化させて撮影した画像データの濃度ヒストグラムである。そのため、形状は同じで平均的な濃度が異なる。濃度ヒストグラムにおいて最大の濃度を示す領域は被写体が存在しない素抜け領域と考えられるので、デジタルな階調値に変換すべき有効範囲としてQmin〜Qmaxが決められる。これにより階調値のビット数に応じたダイナミックレンジを有効利用することができ、コントラストの高い画像が得られる。
【0083】
濃度ヒストグラムH1、H2を持つ画像データを、10bitの階調値に変換する場合には、Qminを「0」、Qmaxを「1025」に対応させる。S値は、階調値の中央値である「511」に対応するQkを用いて、S値=4×104-Qk(式1)で定義される。2つの濃度ヒストグラムH1、H2を比較すると、Qk(Qk1及びQk2)は線量(濃度)に比例し、S値(S1及びS2)はその逆数となるので、Qk1<Qk2のとき、S1>S2となる。すなわち、S値は、線量(濃度)が高いほど小さく、低いほど大きい値となる。
【0084】
そのため、図11に示す線量選択画面81において、複数のサンプル画像82a〜82fのそれぞれのS値は、最低濃度のサンプル画像82aが最大(1600)に、最高濃度のサンプル画像82fが最小(100)になる。
【0085】
また、初期値テーブル52に設定されるmAs値は、X線源13の照射線量を規定するものであるのに対して、S値は、電子カセッテ21で検出される検出線量に対応するものであり、被検者HによるX線の吸収分が考慮された値である。そのため、S値をmAs値に変換するために、ストレージデバイス43に格納されるS値/mAs値変換テーブル54(図5参照)が用いられる。
【0086】
図13に示すように、S値/mAs値変換テーブル54は、400、600といったS値毎に、撮影部位と管電圧の複数の組み合わせを対応させ、それぞれの組み合わせに対応するmAs値を記録したテーブルである。S値/mAs値変換テーブル54は、電子カセッテ21のメーカによって、サンプルデータの作成時に同時に作成される。
【0087】
具体的には、メーカは、各サンプル画像を撮影すると、撮影部位と管電圧の組み合わせ毎に、それぞれのサンプル画像の撮影時のmAs値を記録する。サンプル画像の撮影においては、標準的な体格の被検者Hを想定した被写体が用いられる。そして、画像解析装置によってサンプル画像の濃度ヒストグラムが求められてS値が算出される。算出したS値は、それぞれのサンプル画像の付帯情報に記録される。さらに、算出したS値と記録されたmAs値によってS値/mAs値変換テーブル54が作成される。サンプル画像の撮影時のSIDは、例えば、全サンプル画像の撮影において共通のSIDが使用され、このSIDが基準SID(本例においては180cm)として、S値/mAs値変換テーブル54に記録される。もちろん、基準SIDを撮影部位と管電圧の組み合わせ毎に変更してもよく、変更した場合には、それぞれの組み合わせ毎に基準SIDが記録される。
【0088】
初期設定処理においては、S値/mAs値変換テーブル54を用いてmAs値算出処理が行われる。mAs値算出処理は、変換処理と距離補正処理とからなる。変換処理において、主制御部41bは、初期設定画面71において選択された撮影部位及び管電圧の組み合わせと、線量選択画面81において選択されたサンプル画像の付帯情報から読み出されたS値とに基づいて、S値/mAs値変換テーブル54を参照して、それに対応するmAs値を読み出す。
【0089】
X線源13が照射するX線の強度は距離の二乗に反比例して減衰する。mAs値はX線源13の照射線量を規定するものであるため、サンプルデータ作成時のSIDと、電子カセッテ21を使用する医療施設におけるSIDが異なっている場合には、各SIDの比に基づいてmAs値を補正する距離補正処理が必要になる。
【0090】
図14に示すように、主制御部41bは、S値/mAs値変換テーブル54から読み出したmAs値に対して、次式2によって距離補正処理を施す。
mAs値(I)=mAs値(I0)×1/(SID0/SID) ・・・式2
ここで、mAs値(I0)はS値/mAs値変換テーブル54から読み出された補正前のmAs値であり、SID0は基準SIDであり、SIDは、初期設定画面71において入力された値である。例えば、SID0が「180cm」、SIDが「200cm」、mAs値(I0)が「2」の場合には、mAs値(I)は「2.46」となる。
【0091】
こうしたmAs値算出処理によってS値からmAs値が求められる。上述のとおり、入出力制御部41aは、線量選択画面81において1つのサンプル画像が選択されると、算出されたmAs値を表示領域84に表示する。そして、選択が確定されると、主制御部41bは、距離補正を施したmAs値を、初期値テーブル52に記録する。こうした処理が、撮影部位と管電圧の組み合わせ毎に行われて、mAs値の初期値が設定される。
【0092】
以下、図15及び図16のフローチャートを参照しながら上記構成による作用を説明する。図15において、電子カセッテ21のメーカは、電子カセッテ21を製造し、出荷予定の電子カセッテ21の機種毎のサンプルデータ53を作成する(S10)。サンプルデータ53は、まず、電子カセッテ21を用いて、撮影部位及び管電圧の組み合わせ毎に照射線量を変化させながら複数回撮影が行われて、各撮影による複数枚のサンプル画像を得ることによって作成される。
【0093】
そして、各サンプル画像の濃度ヒストグラムからS値が求められて、S値がそれぞれのサンプル画像の付帯情報に記録される。そして、S値と撮影時の照射線量であるmAs値を対応させることにより、S値/mAs値変換テーブル54が作成される(S20)。S値/mAs値変換テーブル54には、サンプルデータ53作成時の基準SIDが記録される。こうして電子カセッテ21の機種毎の感度特性を反映した、サンプルデータ53及びS値/mAs値変換テーブル54が得られる。
【0094】
サンプルデータ53及びS値/mAs値変換テーブル54は、電子カセッテ21とともに出荷されるコンソール24のストレージデバイス43に格納される(S30)。データがコンソール24に格納されると、コンソール24と電子カセッテ21は出荷される(S40)。医療施設において、電子カセッテ21とコンソール24が設置されて、X線撮影システム10が構築される(S50)。設置後、コンソール24のコンソール用ソフトウエアが起動されて、撮影条件の初期設定が行われる(S60)。
【0095】
図16において、図6に示す検査オーダ表示画面61の初期設定ボタン67がポインタ49aによってクリックされると、主制御部41bは、初期設定処理の開始指示を受け付ける(S610)。そして、主制御部41bは、入出力制御部41aを通じて図10に示す初期設定画面71をディスプレイ48に表示する(S620)。初期設定画面71において、各選択ボックス72〜74を通じて、電子カセッテ21の機種、撮影部位、管電圧が入力される。さらに、選択ボックス75を通じて医療施設におけるSIDが入力される。主制御部41bは、OKボタン78aがクリック操作されると、入力された機種、撮影部位、管電圧を受け付ける(S630)。
【0096】
初期設定画面71において、線量選択ボタン77がクリックされると、主制御部41bは、入出力制御部41aを通じて図11に示す線量選択画面81をディスプレイ48に表示する(S640)。主制御部41bは、サンプルデータ53の中から、入力された機種、撮影部位及び管電圧に応じた画像セットを選択して(図8参照)、その画像セットに含まれる複数枚のサンプル画像82a〜82fを線量選択画面81に並列表示する。同時に、各サンプル画像82a〜82fの下方にはそれぞれに対応するS値が表示される。
【0097】
また、主制御部41bは、入出力制御部41aを通じて、ポインタ49aによってサンプル画像82a〜82fのうちの1つに対する選択指示が行われるのを監視して、選択指示が行われた場合にはその指示を受け付ける(S650)。主制御部41bは、1つのサンプル画像が選択された場合には、選択されたサンプル画像のS値及び入力されたSIDに基づいてmAs値算出処理を実行して、mAs値を算出する。算出されたmAs値は、線量選択画面81において、選択されたサンプル画像の近傍の表示領域84に表示される(S660)。
【0098】
医療施設では、在籍する医師の意見を聞きながら、各サンプル画像82a〜82fを評価して、その中から診断画像に適した濃度のサンプル画像を選択する。サンプル画像82a〜82fはメーカにおいて電子カセッテ21を使用して実際に撮影された画像であるため、従来の過去画像を基本画像とするシミュレーション画像と比較して、電子カセッテ21の感度特性を適切に反映したものであるので、より適切な初期値を決定することができる。また、サンプル画像82a〜82fは並列表示されるので比較もしやすい。
【0099】
また、線量選択画面81において、サンプル画像の線量を表す情報としてS値及びmAs値が表示される。上述のとおりS値はIPカセッテにおいても使用される指標であるたため、IPカセッテを使用している医療施設においては線量の指標としてなじみやすい。IPカセッテを使用している医療施設が新たに電子カセッテ21を導入する場合においては、撮影条件の初期設定は、電子カセッテ21の導入直後に行われるため、IPカセッテを使用していたときに慣れ親しんだ指標を使用することで、ユーザである医療施設にとっては見当を付けやすく、適切な判断の助けとなる。
【0100】
また、線量選択画面81において、表示領域84に表示されるmAs値は、電子カセッテ21の感度特性や電子カセッテ21を導入した医療施設におけるSIDを反映した数値であるので、各サンプル画像及びS値とともに、適切な初期値を決定するに当たって有力な判断材料となる。例えば、医療施設において、被曝量を低減するために独自の目標値を設定している場合など、mAs値を目標値と照合しながら、初期値の設定を行うことができる。
【0101】
そして、主制御部41bは、選択が確定されるのを監視する(S670)。具体的には、1つのサンプル画像が選択された状態でOKボタン83a又は適用ボタン83cがポインタ49aによってクリック操作されたか否かを監視する。選択が確定すると、主制御部41bは、選択されたサンプル画像に対応するmAs値を初期値テーブル52に記録して、初期値テーブル52を更新する(S680)。
【0102】
これにより、初期値テーブル52の初期値として医療施設に適した初期値が設定される。他の撮影条件(撮影部位及び管電圧の組み合わせ)の初期設定を行う場合には、初期設定画面71に戻って別の撮影条件を選択して、上記の処理が繰り返される。必要な撮影条件について初期設定が終了した場合には、検査オーダ表示画面61に復帰して初期設定処理を終了させる(S690)。
【0103】
このように初期設定が行われた後、実際の撮影を行う場合には、検査オーダ表示画面61において撮影オーダに応じた管電圧が入力される。主制御部41bは、撮影オーダに含まれる撮影部位と入力された管電圧との組み合わせに応じたmAs値を、初期値テーブル52から読み出して検査オーダ表示画面61に自動的に表示する。オペレータは、検査オーダ表示画面61に表示されたmAs値に対して、必要に応じて体格に応じた調整を加えて、調整後のmAs値を、線源制御装置14の操作パネル14aを通じて閾値テーブル14bに設定する。X線源13は、照射スイッチ15が押されると、X線の照射を開始して、閾値テーブル14bに設定された照射線量に達した時点で照射を停止する。
【0104】
このように、電子カセッテ21の出荷前において予め作成されたサンプルデータ53を表示して線量の初期設定を支援する機能を設けることで、医療施設が新しい電子カセッテ21を導入する場合において、電子カセッテ21の性能を有効活用して患者の被曝量の低減が可能な撮影条件で撮影が行われるようになる。こうした支援機能が無い場合には、医療施設において新しい画像検出パネルを導入した場合でも、IPカセッテなど従来の画像検出パネルの感度特性に合わせた撮影条件を引き継いでしまう傾向があったが、本発明のような支援機能を設けることで、そうした傾向を改善して被曝量を低減する方向に医療施設を誘導することができる。もちろん、サンプルデータ53はメーカにおいて電子カセッテ21の出荷前に作成されているので、患者の撮影時に撮影条件を決定することを目的としたプレ撮影を行う必要もないので、プレ撮影による被曝が生じることも無い。
【0105】
上記例では、S値とmAs値の変換をS値/mAs値変換テーブルを用いて行う例で説明したが、テーブルの代わりに、関数などの式を用いて演算によって変換してもよい。
【0106】
また、サンプルデータとは別のデータとしてS値/mAs値変換テーブルを設ける形態で説明したが、S値/mAs値変換テーブルをサンプルデータに統合してもよい。サンプルデータに統合する形態としては、例えば、各サンプル画像の付帯情報を利用する形態が考えられる。具体的には、各サンプル画像の付帯情報に、濃度ヒストグラムから求めたS値に加えて、サンプル画像の撮影時の基準SIDや、S値及び基準SIDに対応するmAs値などS値/mAs値変換テーブルに記録される情報を記録する方法がある。付帯情報にmAs値が記録されている場合には、mAs値算出処理において、主制御部41bは、S値/mAs値変換を行うことなく、付帯情報から読み出したmAs値に対して距離補正のみを実行する。
【0107】
また、線量選択画面81において、S値を常時表示(サンプル画像が表示されている間、ポインタ49aによるサンプル画像の選択が行われない場合においてもS値を表示)する例で説明したが、上記mAs値と同様に、ポインタ49aによって1つのサンプル画像が選択されたときに、選択されたサンプル画像についてのみS値を表示してもよい。その反対に、mAs値について、本例のS値と同様に常時表示してもよい。
【0108】
さらに、S値及びmAs値の両方を常時表示する代わりに、ポインタ49aによるサンプル画像の選択が行われた場合のみ表示させてもよい。この場合には、サンプル画像を選択しない状態ではS値及びmAs値の両方とも表示されない。サンプル画像の画質を評価する場合においてサンプル画像以外の情報が目障りになることもある。そのような場合には、サンプル画像の選択を解除することで、S値及びmAs値の両方とも非表示にすることができる。なお、常時表示する場合においても、S値及びmAs値といった線量を表す情報を非表示にする操作ボタンを設けてもよい。
【0109】
また、上記例では、線量選択画面81においてサンプル画像を通じた線量の選択が行われて、選択が確定したときに初期値テーブル52に対する設定が行われる例で説明したが、初期値テーブル52の設定は行わなくてもよい。例えば、画像検出パネルとしてIPカセッテを使用する場合においては、X線撮影装置12において撮影条件として線量の設定が不要な場合もあり得る。この場合には、X線発生装置11の閾値テーブル14bに対して初期値の設定が行われればよい。上記例では、撮影時における閾値テーブル14bへの線量(mAs値)の設定を、線源制御装置14の操作パネル14aを通じて手動で行われる例で示している。それと同様に閾値テーブル14bへの初期値の設定についても手動で行われる場合には、線量選択画面81において選択したサンプル画像に対応する線量(mAs値)が表示されれば、初期値テーブル52への設定が行われなくても、その表示を目視で確認することによって閾値テーブル14bへの手動設定が可能である。
【0110】
また、線量選択画面81においてサンプル画像を通じた線量の選択が確定したときに、初期値テーブル52の代わりに、線源制御装置14の閾値テーブル14bに選択された線量の初期値を自動設定してもよい。これは言い換えれば、閾値テーブル14bを初期値テーブルとして利用する形態と見ることもできる。この場合には、コンソール24及び線源制御装置14に、コンソール24と線源制御装置14との間で線量の情報を送信するための送信機能が設けられる。なお、初期値テーブル52と閾値テーブル14bの両方に自動設定する機能を設けてもよい。
【0111】
また、検出線量を表す指標としてS値を使用した例で説明したが、S値の代わりに、REX値(Reached EXposure index)やEI値(Exposure Index)値などの指標を用いてもよい。
【0112】
また、上記例では、サンプルデータに、複数の機種分のサンプルデータが含まれる例で説明したが、もちろん、サンプルデータには医療施設に導入される電子カセッテ21の少なくとも1機種分のサンプルデータが含まれていればよい。ただし、複数の機種分のサンプルデータを含めておくことで、メーカにとってもユーザにとっても次のようなメリットがある。メーカのメリットとしては、機種毎にサンプルデータを区別しなくて済むため管理がしやすい。出荷時にサンプルデータを取り違えるといったミスも無くなる。また、ユーザのメリットとしては、1台のコンソールで複数機種の電子カセッテを使用する場合には、各機種の初期設定を1台のコンソールで行うことができるというメリットが考えられる。
【0113】
また、サンプルデータを、図17に示すように、電子カセッテ21の仕向地毎に用意してもよい。仕向地としては、国単位でもよいし、アジア、ヨーロッパといった複数の国を含む地域単位でもよい。仕向地によって人種が異なるので、標準的な体格も異なる。体格はX線の減衰量に影響するので、仕向地によって線量の標準値を変更する必要が生じる。そのため、仕向地毎の標準的な体格の違いを考慮したサンプルデータが予め用意されていれば便利である。さらに、上記例では、肥満、標準、やせ型、小児といった体格の調整を、標準値を基準に調整率を乗じて行う例で説明したが、図17に示すように体格毎に予めサンプルデータを用意してもよい。このように仕向地や体格別にサンプルデータを用意した場合には、撮影条件の初期設定画面に、仕向地や体格を入力する入力ボックスを設けて、それぞれの条件に応じた初期設定(S値/mAs値変換や距離補正)が行われる。
【0114】
さらに、サンプルデータは、上記例に加えて又はそれに代えて、SID別、臥位や立位といった撮影姿勢別、A→P、P→Aなどの撮影方向別、X線源13の機種別に用意してもよい。
【0115】
[第2実施形態]
第2実施形態は、第1実施形態に加えて、線量選択において、医師毎に線量の選択指示の受け付けを可能とし、複数の医師の選択状況を表示する機能を付加したものである。他の点は第1実施形態と同様であるので、相違点を中心に説明する。
【0116】
図18に示すように、第2実施形態の線量選択画面91には、医師毎に付与される識別情報である医師IDを入力する医師ID入力ボックス92と、選択状況表示ボタン93が設けられている。主制御部41bは、医師ID入力ボックス92に入力された医師ID毎に、サンプル画像を通じた線量の選択指示を受ける。受け付けた選択指示はメモリ42やストレージデバイス43に格納される。
【0117】
主制御部41bは、選択状況表示ボタン93がクリックされると、図19に示すように選択状況表示画面96をディスプレイ48に表示する。選択状況表示画面96には、横軸に線量(S値)、縦軸に人数をとった、複数の医師の選択状況を表すグラフ97と、選択状況に応じて選択した人数が多い順にサンプル画像を並べ替えて表示するサンプル画像表示領域98が設けられている。
【0118】
グラフ97を表示することで、診断に適切と判断した医師が最も多いのはどの程度の線量(濃度)か、あるいは、適切と判断される線量(濃度)に医師によってどの程度のばらつきがあるのかといったことを確認することができる。医療施設としては、こうした選択状況を把握して、最終的にどの程度の線量を初期値として設定するかを決めることができる。具体的には、選択された線量の平均値を初期値として採用したり、あるいは、読影スキルが最も未熟な医師が選択した線量(濃度)を初期値として採用するといった判断がなされる。このように、複数の医師の選択状況から、医療施設における線量の初期値を決定するに当たって有益な情報を得ることができる。
【0119】
図18の線量選択画面91において、最終確定ボタン94は、線量の初期値を最終的に確定するための操作ボタンである。1つのサンプル画像が選択された状態で、最終確定ボタン94がクリック操作されると、初期値テーブル52に選択されたサンプル画像に対応するmAs値が記録される。最終確定ボタン94は、初期値の最終的な決定権限を持つ医師のIDが入力された場合にのみ表示されるようにしてもよい。
【0120】
[第3実施形態]
第3実施形態は、第1実施形態又は第2実施形態に加えて、医療施設において使用していた既存の画像検出パネル(例えばIPカセッテ)で撮影された過去画像の線量と、新たに導入した電子カセッテ21を使用した場合の線量の比較結果を表示する機能を付加したものである。他の点は第1実施形態又は第2実施形態と同様であるので、相違点を中心に説明する。
【0121】
図20において、電子カセッテ21を新たに導入する時点においては、画像サーバ28には、IPカセッテで撮影した撮影画像である過去画像100が蓄積されている。主制御部41bは、画像サーバ28から複数枚の過去画像100を取得して、複数枚の過去画像100の線量の統計処理(平均的な線量を求めるなど)を行う。具体的には、過去画像100の付帯情報に含まれる撮影条件から線量を読み出したり、過去画像100の濃度ヒストグラムから線量を求める。そして、電子カセッテ21を導入後に行われた上述の初期設定処理により初期値テーブル52に記録された線量の初期値を読み出して、過去画像100の線量と比較する。比較に当たっては、同じ撮影部位及び管電圧の線量同士を比較して、過去画像100の線量を基準とした減少率などを算出する。
【0122】
主制御部41bは、その比較結果をディスプレイ48に表示する。比較結果には、既存のIPカセッテと新しい電子カセッテ21の線量の値、算出した減少率が含まれる。このような比較結果を表示することで、新しい電子カセッテ21が既存のIPカセッテと比較して、どの程度被曝量の低減に寄与するかを具体的な数値で提示できる。こうした比較結果は、医療施設に対して撮影条件を見直させる有力な動機付けを与えることができる。
【0123】
[第4実施形態]
上記実施形態のX線撮影システム10は、予め設定された照射線量に達した時点でX線源13が照射を停止する制御を行う例で説明したが、図21及び図22に示す第4実施形態のX線撮影システム101、106は、X線源13から照射され、被検者Hを透過して、X線撮影装置12に入射する入射線量を測定して、入射線量が所定の閾値に達した時点で、X線源13の照射を停止させる自動露出制御(AEC:Auto Exposure Control)機能を付加したものである。他の点は上記実施形態と同様であるので、相違点を中心に説明する。
【0124】
図21に示すX線撮影システム101は、電子カセッテ21の前方にフォトタイマ102が設けられている。フォトタイマ102は、被検者Hを透過したX線を検出して電気信号に変換して入射線量を測定する。フォトタイマ102は、測定値を線源制御装置14に送信する。フォトタイマ102が出力する測定値は、例えば、単位時間当たりの線量に対応する瞬時値である。線源制御装置14は、フォトタイマ102から受信する測定値を積分して、積分値を監視する。そして、積分値が閾値テーブル14bに設定されたmAs値に達した時点で、X線源13に対して終了指令を送信して照射を停止させる。
【0125】
閾値テーブル14bには、上記第1実施形態と同様に、コンソール24の初期値テーブル52に設定されたmAs値をもとに決定された値が撮影条件の照射線量として設定される。上記第1実施形態においては、初期設定においてmAs値に対して距離補正を行ったが、X線撮影システム101のように自動露出制御を行う場合には、照射線量ではなく、被検者Hを透過した入射線量を測定するので距離補正(図14参照)は不要である。
【0126】
X線撮影システム101は、フォトタイマ102と線源制御装置14によって自動露出制御装置を構成しているのに対して、図23に示すX線撮影システム106は、電子カセッテ107がフォトタイマ102と同様の線量測定機能を有しており、電子カセッテ107自体が自動露出制御装置として機能する。電子カセッテ107は、画素32の一部が線量測定用の検出素子として機能し、入射線量を検出素子によって測定する。
【0127】
電子カセッテ107は、閾値テーブル14bと同様の閾値テーブル108を有しており、閾値テーブル108は、例えばFPD25の内蔵メモリに格納される。電子カセッテ107は、入射線量を監視して、閾値テーブル108に設定された線量に達した時点で、撮影制御装置23を介して、線源制御装置14に対してX線源13の照射を停止させる停止要求を出力する。線源制御装置14は、停止要求を受信するとX線源13に対して終了指令を送信してX線源13の照射を停止させる。
【0128】
X線撮影システム106は、X線撮影システム101と同様に入射線量を測定する自動露出制御を行うので、初期設定における距離補正は不要である。さらに、X線撮影システム106の場合には、電子カセッテ107自体で入射線量の測定と閾値に達したか否かの判断を行うため、mAs値の代わりに、S値そのものを閾値として設定することも可能である。この場合には、初期設定におけるS値/mAs値変換も不要となる。
【0129】
さらに、X線撮影システム106においては、コンソール24と通信可能な電子カセッテ107に閾値テーブル108が格納されているので、初期設定を行った初期値テーブル52の情報を電子カセッテ107に送信して、閾値テーブル108の初期値として自動的に設定する機能を設けてもよい。
【0130】
なお、X線撮影システム101においても、X線撮影システム106と同様に、コンソール24において初期値テーブル52に設定した線量の初期値を線源制御装置14に送信して、閾値テーブル14bの初期値として自動的に設定する機能を設けてもよい。この場合には、コンソール24と線源制御装置14の間に通信機能を設ける必要がある。
【0131】
[第5実施形態]
上記各実施形態では、1台のコンソール24に、初期設定支援プログラムと、サンプルデータ53及びS値/mAs値変換テーブル54をコンソール24にインストールする形態で説明したが、第5実施形態のように、共有サーバ111のデータストレージ112に、初期設定支援プログラム(AP50)と、サンプルデータ53及びS値/mAs値変換テーブル54をインストールしてもよい。共有サーバ111は、複数台のコンソール24とネットワーク27を介して通信可能に接続される。複数台のコンソール24は、WEBブラウザなどのネットワークアプリケーションを利用して共有サーバ111にアクセスして、初期設定画面71や線量選択画面81などをダウンロードする。そして撮影部位や管電圧の情報を共有サーバ111に送信して、初期設定処理の処理結果を受け取り、初期値テーブル52を更新する。
【0132】
また、初期設定支援プログラム自体はコンソール24にインストールして、サンプルデータ53及びS値/mAs値変換テーブル54のみを共有サーバ111に格納して、必要なデータを共有サーバ111からダウンロードする形態でもよい。
【0133】
上記各実施形態を適宜組み合わせてもよい。さらに、本発明は、上記実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0134】
例えば、メーカからユーザである医療施設へのサンプルデータ53及びS値/mAs値変換テーブル54の提供形態として、コンソール24のストレージデバイス43に格納して提供する形態で説明したが、コンソール24とは別に、DVDメディア、USBメモリなどのリムーバブルストレージに格納して提供してもよい。
【0135】
また、図24に示す共有サーバ111をメーカが保有して、インターネットなどの公衆ネットワークを通じて各医療施設のコンソール24からのアクセスを受け付けて、データをオンラインで提供する形態でもよい。さらに、メーカ保有の共有サーバ111が、ユーザのコンソール24からの処理要求に応じて上述したような初期設定処理の全部又は一部を担って処理結果をユーザに返すという、ネットワークを通じたアプリケーションサービスを提供してもよい。
【0136】
上記実施形態では、主として、画像検出パネルとしてIPカセッテを使用していた医療施設が、新しい画像検出パネルとして電子カセッテを導入するという例で説明したが、もちろん、本発明は、旧型の電子カセッテ(又はIPカセッテ)から新型の電子カセッテ(又はIPカセッテ)に変更する場合でも有効である。
【0137】
上記実施形態において、初期設定画面、線量選択画面などの各種操作画面の構成は1例であり、種々の変更が可能である。
【0138】
上記実施形態では、X線画像検出装置である電子カセッテと、撮影制御装置及びコンソールをそれぞれ別体で構成した例で説明したが、撮影制御装置の機能を電子カセッテに内蔵したり、撮影制御装置に加えてコンソールの機能を電子カセッテに内蔵する等、電子カセッテと、撮影制御装置やコンソールを一体化してもよい。
【0139】
また、コンソールが撮影条件初期設定支援装置として機能する例で説明したが、撮影条件初期設定支援装置をコンソールとは別の装置としてもよい。
【0140】
また、本発明の画像検出パネルは、IPカセッテや電子カセッテに限らず、FPDが撮影台に内蔵された据え置き型のX線撮影装置でもよい。
【0141】
本発明は、X線に限らず、γ線等の他の放射線を使用する撮影システムにも適用することができる。
【符号の説明】
【0142】
10、101、106 X線撮影システム
11 X線発生装置
12 X線撮影装置
13 X線源
14 線源制御装置
14b 閾値テーブル
21 電子カセッテ
24 コンソール
25 FPD
41 CPU
43 ストレージデバイス
48 ディスプレイ
49 入力デバイス
50 AP
52 初期値テーブル
53 サンプルデータ
54 S値/mAs値変換テーブル
71 初期設定画面
81、91 線量選択画面
82a〜82f サンプル画像
96 選択状況表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を照射する放射線源と被写体を透過した放射線を受けて放射線画像を検出する画像検出パネルとを有する放射線撮影システムに用いられ、撮影時に被写体に照射する放射線の線量を含む撮影条件の初期設定を支援する撮影条件初期設定支援装置において、
前記画像検出パネルの製品出荷前において前記画像検出パネルの機種毎に前記線量を変化させながら撮影された複数枚のサンプル画像を有するサンプルデータを、格納するデータ格納手段と、
前記線量の初期値を設定するための判断材料として、前記データ格納手段から読み出された前記複数枚のサンプル画像をディスプレイに表示する表示制御手段とを備えていることを特徴とする撮影条件初期設定支援装置。
【請求項2】
前記サンプルデータは、撮影部位と、前記放射線源に与えられ放射線の線質を決める管電圧との組み合わせ毎に用意された複数の画像セットを有しており、各画像セットには、線量を変化させた前記複数枚のサンプル画像が含まれることを特徴とする請求項1記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項3】
さらに、前記サンプルデータは、前記画像検出パネルの仕向地毎に用意されていることを特徴とする請求項2記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項4】
さらに、前記サンプルデータは、被写体の体格別に用意されていることを特徴とする請求項2又は3記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、線量が異なる複数枚のサンプル画像が並列表示されるサンプル画像表示画面を前記ディスプレイに表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれ1項に記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項6】
前記サンプル画像表示画面には、各サンプル画像に加えてそれぞれの線量を表す情報が表示されることを特徴とする請求項5記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項7】
前記線量を表す情報は、各サンプル画像の濃度ヒストグラムから算出されるS値、及び放射線源に与えられる管電流と照射時間の積であるmAs値の少なくとも1つであることを特徴とする請求項6記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項8】
前記サンプルデータは、各サンプル画像の濃度ヒストグラムから算出されるS値を含んでいることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項9】
前記S値を、前記放射線源に与えられる管電流と照射時間の積であるmAs値に変換する変換手段を有していることを特徴とする請求項8記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項10】
前記画像検出パネル及び前記放射線源間の距離であるSIDの入力を受け付けるSID受付手段と、
入力された前記SIDと前記サンプル画像の撮影時の基準SIDに基づいて、前記mAs値を補正する補正手段とを有していることを特徴とする請求項9記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項11】
前記複数枚のサンプル画像の中から1つのサンプル画像を選択する選択指示の入力を受け付ける選択指示受付手段を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項12】
前記表示制御手段は、複数枚のサンプル画像のうち、少なくとも前記選択指示受付手段を通じて選択されたサンプル画像の線量を表す情報を前記ディスプレイに表示することを特徴とする請求項11記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項13】
前記選択指示受付手段は、医師毎の選択指示を受け付け可能であることを特徴とする請求項11又は12記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項14】
前記表示制御手段は、複数の医師の選択状況を表示する選択状況表示画面を前記ディスプレイに出力可能であることを特徴とする請求項13記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項15】
選択が確定した前記サンプル画像に対応する線量を、前記線量の初期値として設定する初期値設定手段を有していることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項16】
前記線量の初期値は、前記撮影部位と前記管電圧との組み合わせ毎に設定可能であることを特徴とする請求項15記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項17】
前記放射線撮影システムは、依頼元から発行される撮影オーダを受信して、撮影オーダ毎に撮影条件を設定するためのコンソールを有しており、
前記表示制御手段、前記選択指示受付手段及び前記初期値設定手段は、前記コンソールに設けられていることを特徴とする請求項15又は16に記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項18】
前記放射線撮影システムは、前記被写体を透過して前記画像検出パネルに入射する入射線量を測定し、前記入射線量が所定の閾値に到達したときに前記放射線源の照射を停止させる自動露出制御装置を有していることを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項19】
前記画像検出パネルは、入射した放射線を入射量に応じた電気信号に変換して出力するフラットパネルディテクタであることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の撮影条件初期設定支援装置。
【請求項20】
請求項18を引用する請求項19に記載の撮影条件初期設定支援装置において、
前記フラットパネルディテクタには、前記自動露出制御装置が設けられており、
前記初期値設定手段によって設定された初期値を、前記自動露出制御装置に自動的に設定する機能を備えていることを特徴とする撮影条件初期設定支援装置。
【請求項21】
前記画像検出パネルとは別の画像検出パネルを用いて過去に撮影された放射線画像である過去画像を格納する画像サーバと通信する通信手段を有しており、
前記表示制御手段は、前記通信手段を介して取得した前記過去画像の撮影時の線量と、前記初期値設定手段によって設定された線量の初期値との比較結果を前記ディスプレイに出力可能なことを特徴とする請求項15〜20のいずれか1項に記載の撮影条件初期設置支援装置。
【請求項22】
放射線を照射する放射線源と被写体を透過した放射線を受けて放射線画像を検出する画像検出パネルとを有する放射線撮影システムに用いられ、撮影時に被写体に照射する放射線の線量を含む撮影条件の初期設定を支援する撮影条件初期設定支援方法において、
前記画像検出パネルの製品出荷前において前記画像検出パネルの機種毎に前記線量を変化させながら撮影された複数枚のサンプル画像からなるサンプルデータを、格納するデータ格納手段から、前記複数枚のサンプル画像を読み出す読み出しステップと、
前記線量の初期値を設定するための判断材料として、読み出された前記複数枚のサンプル画像をディスプレイに表示する表示制御ステップとを備えていることを特徴とする撮影条件初期設定支援方法。
【請求項23】
放射線を照射する放射線源と被写体を透過した放射線を受けて放射線画像を検出する画像検出パネルとを有する放射線撮影システムに用いられ、撮影時に被写体に照射する放射線の線量を含む撮影条件の初期設定を支援する撮影条件初期設定支援プログラムにおいて、
前記画像検出パネルの製品出荷前において前記画像検出パネルの機種毎に前記線量を変化させながら撮影された複数枚のサンプル画像を有するサンプルデータを、格納するデータ格納手段から、前記複数枚のサンプル画像を読み出す読み出しステップと、
前記線量の初期値を設定するための判断材料として、読み出された前記複数枚のサンプル画像をディスプレイに表示する表示制御ステップとを備えていることを特徴とする撮影条件初期設定支援プログラム。
【請求項24】
放射線源から照射され被写体を透過した放射線を受けて放射線画像を検出する画像検出パネルと、前記画像検出パネルを用いて撮影を行う際に被写体に照射する放射線の線量を含む撮影条件を設定するコンソールとを有する放射線撮影装置において、
前記コンソールは、
前記画像検出パネルの製品出荷前において前記画像検出パネルの機種毎に前記線量を変化させながら撮影された複数枚のサンプル画像からなるサンプルデータを、格納するデータ格納手段と、
前記線量の初期値を設定するための判断材料として、前記データ格納手段から読み出された前記複数枚のサンプル画像をディスプレイに表示する表示制御手段とを備えていることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項25】
放射線を照射する放射線源と、被写体を透過した放射線を受けて放射線画像を検出する画像検出パネルと、前記画像検出パネルを用いて撮影を行う際に被写体に照射する放射線の線量を含む撮影条件を設定するコンソールとを有する放射線撮影システムにおいて、
前記コンソールは、
前記画像検出パネルの製品出荷前において前記画像検出パネルの機種毎に前記線量を変化させながら撮影された複数枚のサンプル画像からなるサンプルデータを、格納するデータ格納手段と、
前記線量の初期値を設定するための判断材料として、前記データ格納手段から読み出された前記複数枚のサンプル画像をディスプレイに表示する表示制御手段を備えていることを特徴とする放射線撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−70866(P2013−70866A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212940(P2011−212940)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】