撮影装置
【課題】レンズカバーを備えた屈曲レンズを用いたカメラにアクセサリを取り付けることができるようにする。
【解決手段】複眼カメラ1の本体2の前面に、レンズ3A,3Bを覆うためのレンズカバー6を取り外し可能に設ける。レンズカバー6を取り外して、アクセサリをレンズカバー6に代えて本体2に取り付けることができる。
【解決手段】複眼カメラ1の本体2の前面に、レンズ3A,3Bを覆うためのレンズカバー6を取り外し可能に設ける。レンズカバー6を取り外して、アクセサリをレンズカバー6に代えて本体2に取り付けることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズを覆うためのカバー部材を備えた撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の画像を組み合わせて3次元表示することにより、視差を利用して立体視できることが知られている。このような立体視は、同一の被写体を異なる位置から複数のカメラを用いて撮影することにより複数の画像を取得し、複数の画像に含まれる被写体の視差を利用して複数の画像を3次元表示することにより生成することができる。
【0003】
また、このような3次元表示を行うための撮影を行う、複数の撮影部を有する複眼カメラが提案されている。このような複眼カメラは、所定の間隔にて配置された複数の撮影部を備え、複数の撮影部により被写体を撮影し、これにより取得した複数の画像から3次元表示用画像を生成し、生成した3次元表示用画像をモニタに3次元表示することができる。
【0004】
また、1つの撮影部のみを備えたカメラにおいて、複眼カメラと同様にステレオ撮影を行うことを可能にしたカメラが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載されたカメラは、光学像を2分割するためのステレオアダプタおよび焦点距離を短くするためのコンバージョンレンズ等のアクセサリを、カメラに対して取り外し可能に取り付けるようにしたものである。
【特許文献1】特開平7−104400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたカメラにおいては、沈胴式のレンズにアクセサリを取り付けるものであるため、本体前面から前方には突出しない屈曲レンズを用いたカメラには適用できない。また、屈曲レンズを用いたカメラはレンズカバーを備えていることが多いが、レンズカバーを備えたカメラには、レンズカバーの存在によりアクセサリを取り付けることが困難である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、レンズカバーを備えた屈曲レンズを用いたカメラにアクセサリを取り付けることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による撮影装置は、少なくとも1つの屈曲レンズが前面を向くように配設された本体と、
前記屈曲レンズを覆うためのカバー部材と、
前記カバー部材を前記本体の前面にスライド可能かつ取り外し可能に取り付けるとともに、前記カバー部材を取り外した際に、前記屈曲レンズに対するアクセサリ部材を該カバー部材に代えて前記本体の前面にスライド可能かつ取り外し可能に取り付ける取り付け部とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
「屈曲レンズ」とは、電源のオンおよびズーム動作に関わりなく、レンズが撮影装置本体の前面から前方に繰り出さないレンズである。
【0009】
「アクセサリ部材」は、屈曲レンズの性能を変化させるための部材であり、例えば、コンバージョンレンズおよび光学フィルタをアクセサリ部材として用いることができる。また、撮影装置が複数の撮影部を有する場合、撮影部間の輻輳角を変更するためのプリズムをアクセサリ部材として用いることができる。
【0010】
なお、本発明による撮影装置においては、前記取り付け部を、前記カバー部材の裏面に形成されたガイド溝および前記アクセサリ部材の裏面に形成された前記カバー部材のガイド溝と共通形状のガイド溝と係合して、前記カバー部材および前記アクセサリ部材をスライド可能に移動させるガイドレールと、
前記カバー部材を、前記屈曲レンズを覆う閉位置および該屈曲レンズを露出させる開位置において停止させるとともに、前記アクセサリ部材を前記レンズを覆う位置において停止させる停止機構とを備えてなるものとしてもよい。
【0011】
また、本発明による撮影装置においては、複数の撮影部を備えるものとし、前記アクセサリ部材を前記複数の撮影部の輻輳角を変更するプリズム部材からなるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カバー部材が取り外し可能に設けられているため、屈曲レンズを用いた撮影装置においても、カバー部材を取り外すことにより、取り付け部にアクセサリ部材を取り付けることが可能となる。
【0013】
とくに、カバー部材およびアクセサリ部材のガイド溝を共通形状とすることにより、取り付け部をアクセサリ部材のための専用の構造を有するものとする必要がなくなるため、様々なアクセサリ部材の汎用化が可能となる。
【0014】
また、撮影装置が複数の撮影部を備える場合、3次元表示のための撮影を行うことが可能であるが、近距離撮影を行う場合には輻輳角が不足する場合が多い。本発明においては、アクセサリ部材を複数の撮影部の輻輳角を変更するプリズム部材とすることにより、輻輳角を変更して近距離撮影を容易に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1および図2は本発明の撮影装置の実施形態である複眼カメラの外観斜視図であり、図1はレンズカバーが開位置にある状態を、図2はレンズカバーが閉位置にある状態を示す図である。図1,2に示すように本実施形態による複眼カメラ1は、2つの撮影部を有するものであり、本体2の前面2Aに各撮影部のレンズ3A,3Bが所定間隔を空けて配設され、レンズ3A,3Bの間にフラッシュ4が配設されている。本体2の上面には撮影動作を行うためのレリーズボタン5が設けられている。なお、レンズ3A,3B本体2の前面2Aから前方には繰り出さない屈曲レンズからなる。
【0016】
また、本体2の前面2Aには、レンズカバー6が本体2の上下方向にスライド可能に取り付けられている。そして図1に示すようにレンズカバー6が開位置にあるときは、レンズ3A,3Bおよびフラッシュ4が露出して撮影を行うことができる。また、図2に示すようにレンズカバー6が閉位置にあるときは、レンズ3A,3Bおよびフラッシュ4はレンズカバー6により覆われることとなる。
【0017】
ここで、レンズカバー6は本体2に対して取り外し可能に取り付けられている。以下、レンズカバー6を本体2に取り付けるための構成について説明する。図3はレンズカバー6を取り外した状態を示す図、図4はレンズカバー6を取り付けた状態における複眼カメラ1の前面図、図5は図4のI−I線断面図、図6は図4のII−II線断面図である。
【0018】
図3に示すように本体2の前面2Aには、互いに平行な断面L字形状の2本のガイドレール10A,10Bが、所定間隔を空けて本体2の上下方向に延在するように取り付けられている。一方、レンズカバー6の裏面6Aには、ガイドレール10A,10Bと嵌合する断面L字形状の2つのガイド溝7A,7Bが形成されている。また、レンズカバー6の裏面6Aには、後述するロックピン12と係止してレンズカバー6を開位置および閉位置において固定するための2つの係止穴8A,8Bが形成されている。
【0019】
本体2の前面2Aにおけるガイドレール10Aの近傍には、レンズカバー6を着脱したり、開位置および閉位置において固定するための着脱ボタン11が取り付けられている。着脱ボタン11は、レンズカバー6を開位置および開位置において固定するためのロックピン12と基板13とともに一体に形成されている。着脱ボタン11およびロックピン12は、本体2の内側から前面2Aに形成された貫通孔9A,9Bにそれぞれ出し入れ可能に挿入されている。
【0020】
基板13は本体2の内部に固定されたバネ14A,14Bにより、本体2の前面2Aから突出する方向に付勢されている。これにより、操作者が着脱ボタン11を押すとロックピン12が前面2Aの内方に移動し、着脱ボタン11を離すと前面2Aから前方に突出する。なお、着脱ボタン11とロックピン12とを同時に移動させるための構成はここでは省略している。
【0021】
ここで、レンズカバー6の係止穴8Aは、レンズカバー6が開位置にあるときにロックピン12と対峙する位置に、係止穴8Bは、レンズカバー6が閉位置にあるときにロックピン12と対峙する位置にそれぞれ形成されている。このため、操作者は、着脱ボタン11を押してロックピン12と係止穴8A,8Bとの係止状態を解除することにより、レンズカバー6をガイドレール10A,10Bに沿って、複眼カメラ1の上下方向にスライドさせることができる。そして、レンズカバー6が開位置となったときに着脱ボタン11を離すと、ロックピン12がレンズカバー6の係止穴8Aと係止するため、レンズカバー6は開位置において固定される。一方、レンズカバー6が閉位置となったときに着脱ボタン11を離すと、ロックピン12がレンズカバー6の係止穴8Bと係止するため、レンズカバー6は閉位置において固定される。
【0022】
なお、ロックピン12は本体2の前面2A側に付勢されているため、着脱ボタン11を押してレンズカバー6を少しスライドさせた後、着脱ボタン11を離してレンズカバー6をスライドさせるようにしても、レンズカバー6の開位置および閉位置において、ロックピン12が係止穴8A,8Bと係止するため、レンズカバー6を開位置および閉位置において固定することができる。
【0023】
また、レンズカバー6が開位置にあるときに着脱ボタン11を押して、レンズカバー6をさらに本体2の下方へスライドさせると、本体2のガイドレール10A,10Bとレンズカバー6のガイド溝7A,7Bとの嵌合が外れるため、レンズカバー6を本体2から取り外すことができる。一方、着脱ボタン11を押して、本体2のガイドレール10A,10Bとレンズカバー6のガイド溝7A,7Bとを嵌合させるように、レンズカバー6を本体2の下方から上方へスライドさせると、レンズカバー6を本体2に取り付けることができる。
【0024】
なお、ガイドレール10A,10B、着脱ボタン11、ロックピン12、基板13、バネ14A,14Bが取り付け部に対応する。
【0025】
ここで、本実施形態による複眼カメラ1は、レンズカバー6を取り外した後に、レンズカバー6に代えてアクセサリを本体2に取り付けることができる。例えば、レンズ3A,3Bに対応する位置に、本体2に設けられた2つの撮影部の輻輳角を変更するためのレンズアダプタを取り付けることができる。図7はレンズアダプタの構成を示す前面側斜視図、図8はその後面側斜視図である。図7および図8に示すようにレンズアダプタ20は、レンズカバー6と同様の平板形状をなしており、複眼カメラ1のレンズ3A,3Bに対応する間隔を持って矩形の開口21A,21Bが形成されている。また、開口21A,21Bの間には、フラッシュ4用の開口25が形成されている。
【0026】
開口21A,21Bにはプリズム22A,22Bが取り付けられている。プリズム22A,22Bは、図9に示すように開口21A,21Bに適合する矩形形状を有し、その頂部がそれぞれ開口25の側を向くように開口21A,21Bに取り付けられている。これにより、レンズ3A,3Bの光軸を内側に傾斜させることができるため、撮影部の輻輳角を変更することができる。
【0027】
また、レンズアダプタ20の裏面には、レンズカバー6に形成されたガイド溝7A,7Bと同一形状を有するガイド溝23A,23Bが形成されている。また、レンズアダプタ20を本体2に取り付け、プリズム22A,22Bをレンズ3A,3Bと対峙させた状態において、ロックピン12と対峙する位置に係止穴24が形成されている。
【0028】
そして、レンズカバー6を取り外した後、着脱ボタン11を押して、本体2のガイドレール10A,10Bとレンズアダプタ20のガイド溝23A,23Bとを嵌合させるように、レンズアダプタ20を本体2の下方から上方へ、レンズアダプタ20をロックピン12が係止穴24に係止するまでスライドさせると、図10に示すようにレンズアダプタ20を本体2に取り付けることができる。
【0029】
逆にレンズアダプタ20が取り付けられた状態において、着脱ボタン11を押して、レンズアダプタ20を本体2の下方へスライドさせると、本体2のガイドレール10A,10Bとレンズアダプタ20のガイド溝23A,23Bとの嵌合が外れるため、レンズカバー6を本体2から取り外すことができる。
【0030】
このように、本実施形態においては、レンズカバー6を本体2に対して取り外し可能に設けたため、屈曲レンズを用いた複眼カメラ1においても、レンズカバー6を取り外すことにより、レンズアダプタ20のようなアクセサリを取り付けることが可能となる。
【0031】
とくに、レンズカバー6のガイド溝7A,7Bおよびレンズアダプタ20のガイド溝23A,23Bを共通形状とすることにより、レンズアダプタ20を本体2に取り付けるための構成をレンズアダプタ20のための専用の構造を有するものとする必要がなくなるため、レンズアダプタ20を含む様々なアクセサリの汎用化が可能となる。
【0032】
また、複眼カメラ1においては、近距離撮影を行う場合に輻輳角が不足する場合が多い。本実施形態においては、レンズアダプタ20として、輻輳角を変更するためのプリズム22A,22Bを取り付けたものを用いることにより、複眼カメラ1に設けられた撮影部の輻輳角を変更して近距離撮影を容易に行うことが可能となる。
【0033】
なお、上記実施形態においては、レンズカバー6を取り外してプリズム22A,22Bを備えたレンズアダプタ20を取り付けるようにしているが、例えば、光学フィルタ等を備えた他のレンズアダプタおよびコンバージョンレンズ等の任意のアクセサリを取り付けるようにしてもよい。
【0034】
また、上記実施形態においては、撮影部を2つ備えた複眼カメラ1に本発明を適用しているが、撮影部を1つのみ備えたカメラにも本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の撮影装置の実施形態である複眼カメラのレンズカバーが開位置にある状態を示す外観斜視図
【図2】本発明の撮影装置の実施形態である複眼カメラのレンズカバーが閉位置にある状態を示す外観斜視図
【図3】レンズカバーを取り外した状態を示す前面図
【図4】レンズカバーを取り付けた状態における複眼カメラの前面図
【図5】図4のI−I線断面図
【図6】図4のII−II線断面図
【図7】レンズアダプタの構成を示す前面側斜視図
【図8】レンズアダプタの構成を示す後面側斜視図
【図9】プリズムの形状を示す図
【図10】レンズアダプタを本体に取り付けた状態を示す前面図
【符号の説明】
【0036】
1 複眼カメラ
2 本体
2A 前面
3A,3B レンズ
4 フラッシュ
5 レリーズボタン
6 レンズカバー
7A,7B ガイド溝
8A,8B 係止穴
10A,10B ガイドレール
11 着脱ボタン
12 ロックピン
13 基板
14A,14B バネ
20 レンズアダプタ
21A,21B 開口
22A,22B プリズム
23A,23B ガイド溝
24 係止穴
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズを覆うためのカバー部材を備えた撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の画像を組み合わせて3次元表示することにより、視差を利用して立体視できることが知られている。このような立体視は、同一の被写体を異なる位置から複数のカメラを用いて撮影することにより複数の画像を取得し、複数の画像に含まれる被写体の視差を利用して複数の画像を3次元表示することにより生成することができる。
【0003】
また、このような3次元表示を行うための撮影を行う、複数の撮影部を有する複眼カメラが提案されている。このような複眼カメラは、所定の間隔にて配置された複数の撮影部を備え、複数の撮影部により被写体を撮影し、これにより取得した複数の画像から3次元表示用画像を生成し、生成した3次元表示用画像をモニタに3次元表示することができる。
【0004】
また、1つの撮影部のみを備えたカメラにおいて、複眼カメラと同様にステレオ撮影を行うことを可能にしたカメラが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載されたカメラは、光学像を2分割するためのステレオアダプタおよび焦点距離を短くするためのコンバージョンレンズ等のアクセサリを、カメラに対して取り外し可能に取り付けるようにしたものである。
【特許文献1】特開平7−104400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたカメラにおいては、沈胴式のレンズにアクセサリを取り付けるものであるため、本体前面から前方には突出しない屈曲レンズを用いたカメラには適用できない。また、屈曲レンズを用いたカメラはレンズカバーを備えていることが多いが、レンズカバーを備えたカメラには、レンズカバーの存在によりアクセサリを取り付けることが困難である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、レンズカバーを備えた屈曲レンズを用いたカメラにアクセサリを取り付けることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による撮影装置は、少なくとも1つの屈曲レンズが前面を向くように配設された本体と、
前記屈曲レンズを覆うためのカバー部材と、
前記カバー部材を前記本体の前面にスライド可能かつ取り外し可能に取り付けるとともに、前記カバー部材を取り外した際に、前記屈曲レンズに対するアクセサリ部材を該カバー部材に代えて前記本体の前面にスライド可能かつ取り外し可能に取り付ける取り付け部とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
「屈曲レンズ」とは、電源のオンおよびズーム動作に関わりなく、レンズが撮影装置本体の前面から前方に繰り出さないレンズである。
【0009】
「アクセサリ部材」は、屈曲レンズの性能を変化させるための部材であり、例えば、コンバージョンレンズおよび光学フィルタをアクセサリ部材として用いることができる。また、撮影装置が複数の撮影部を有する場合、撮影部間の輻輳角を変更するためのプリズムをアクセサリ部材として用いることができる。
【0010】
なお、本発明による撮影装置においては、前記取り付け部を、前記カバー部材の裏面に形成されたガイド溝および前記アクセサリ部材の裏面に形成された前記カバー部材のガイド溝と共通形状のガイド溝と係合して、前記カバー部材および前記アクセサリ部材をスライド可能に移動させるガイドレールと、
前記カバー部材を、前記屈曲レンズを覆う閉位置および該屈曲レンズを露出させる開位置において停止させるとともに、前記アクセサリ部材を前記レンズを覆う位置において停止させる停止機構とを備えてなるものとしてもよい。
【0011】
また、本発明による撮影装置においては、複数の撮影部を備えるものとし、前記アクセサリ部材を前記複数の撮影部の輻輳角を変更するプリズム部材からなるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カバー部材が取り外し可能に設けられているため、屈曲レンズを用いた撮影装置においても、カバー部材を取り外すことにより、取り付け部にアクセサリ部材を取り付けることが可能となる。
【0013】
とくに、カバー部材およびアクセサリ部材のガイド溝を共通形状とすることにより、取り付け部をアクセサリ部材のための専用の構造を有するものとする必要がなくなるため、様々なアクセサリ部材の汎用化が可能となる。
【0014】
また、撮影装置が複数の撮影部を備える場合、3次元表示のための撮影を行うことが可能であるが、近距離撮影を行う場合には輻輳角が不足する場合が多い。本発明においては、アクセサリ部材を複数の撮影部の輻輳角を変更するプリズム部材とすることにより、輻輳角を変更して近距離撮影を容易に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1および図2は本発明の撮影装置の実施形態である複眼カメラの外観斜視図であり、図1はレンズカバーが開位置にある状態を、図2はレンズカバーが閉位置にある状態を示す図である。図1,2に示すように本実施形態による複眼カメラ1は、2つの撮影部を有するものであり、本体2の前面2Aに各撮影部のレンズ3A,3Bが所定間隔を空けて配設され、レンズ3A,3Bの間にフラッシュ4が配設されている。本体2の上面には撮影動作を行うためのレリーズボタン5が設けられている。なお、レンズ3A,3B本体2の前面2Aから前方には繰り出さない屈曲レンズからなる。
【0016】
また、本体2の前面2Aには、レンズカバー6が本体2の上下方向にスライド可能に取り付けられている。そして図1に示すようにレンズカバー6が開位置にあるときは、レンズ3A,3Bおよびフラッシュ4が露出して撮影を行うことができる。また、図2に示すようにレンズカバー6が閉位置にあるときは、レンズ3A,3Bおよびフラッシュ4はレンズカバー6により覆われることとなる。
【0017】
ここで、レンズカバー6は本体2に対して取り外し可能に取り付けられている。以下、レンズカバー6を本体2に取り付けるための構成について説明する。図3はレンズカバー6を取り外した状態を示す図、図4はレンズカバー6を取り付けた状態における複眼カメラ1の前面図、図5は図4のI−I線断面図、図6は図4のII−II線断面図である。
【0018】
図3に示すように本体2の前面2Aには、互いに平行な断面L字形状の2本のガイドレール10A,10Bが、所定間隔を空けて本体2の上下方向に延在するように取り付けられている。一方、レンズカバー6の裏面6Aには、ガイドレール10A,10Bと嵌合する断面L字形状の2つのガイド溝7A,7Bが形成されている。また、レンズカバー6の裏面6Aには、後述するロックピン12と係止してレンズカバー6を開位置および閉位置において固定するための2つの係止穴8A,8Bが形成されている。
【0019】
本体2の前面2Aにおけるガイドレール10Aの近傍には、レンズカバー6を着脱したり、開位置および閉位置において固定するための着脱ボタン11が取り付けられている。着脱ボタン11は、レンズカバー6を開位置および開位置において固定するためのロックピン12と基板13とともに一体に形成されている。着脱ボタン11およびロックピン12は、本体2の内側から前面2Aに形成された貫通孔9A,9Bにそれぞれ出し入れ可能に挿入されている。
【0020】
基板13は本体2の内部に固定されたバネ14A,14Bにより、本体2の前面2Aから突出する方向に付勢されている。これにより、操作者が着脱ボタン11を押すとロックピン12が前面2Aの内方に移動し、着脱ボタン11を離すと前面2Aから前方に突出する。なお、着脱ボタン11とロックピン12とを同時に移動させるための構成はここでは省略している。
【0021】
ここで、レンズカバー6の係止穴8Aは、レンズカバー6が開位置にあるときにロックピン12と対峙する位置に、係止穴8Bは、レンズカバー6が閉位置にあるときにロックピン12と対峙する位置にそれぞれ形成されている。このため、操作者は、着脱ボタン11を押してロックピン12と係止穴8A,8Bとの係止状態を解除することにより、レンズカバー6をガイドレール10A,10Bに沿って、複眼カメラ1の上下方向にスライドさせることができる。そして、レンズカバー6が開位置となったときに着脱ボタン11を離すと、ロックピン12がレンズカバー6の係止穴8Aと係止するため、レンズカバー6は開位置において固定される。一方、レンズカバー6が閉位置となったときに着脱ボタン11を離すと、ロックピン12がレンズカバー6の係止穴8Bと係止するため、レンズカバー6は閉位置において固定される。
【0022】
なお、ロックピン12は本体2の前面2A側に付勢されているため、着脱ボタン11を押してレンズカバー6を少しスライドさせた後、着脱ボタン11を離してレンズカバー6をスライドさせるようにしても、レンズカバー6の開位置および閉位置において、ロックピン12が係止穴8A,8Bと係止するため、レンズカバー6を開位置および閉位置において固定することができる。
【0023】
また、レンズカバー6が開位置にあるときに着脱ボタン11を押して、レンズカバー6をさらに本体2の下方へスライドさせると、本体2のガイドレール10A,10Bとレンズカバー6のガイド溝7A,7Bとの嵌合が外れるため、レンズカバー6を本体2から取り外すことができる。一方、着脱ボタン11を押して、本体2のガイドレール10A,10Bとレンズカバー6のガイド溝7A,7Bとを嵌合させるように、レンズカバー6を本体2の下方から上方へスライドさせると、レンズカバー6を本体2に取り付けることができる。
【0024】
なお、ガイドレール10A,10B、着脱ボタン11、ロックピン12、基板13、バネ14A,14Bが取り付け部に対応する。
【0025】
ここで、本実施形態による複眼カメラ1は、レンズカバー6を取り外した後に、レンズカバー6に代えてアクセサリを本体2に取り付けることができる。例えば、レンズ3A,3Bに対応する位置に、本体2に設けられた2つの撮影部の輻輳角を変更するためのレンズアダプタを取り付けることができる。図7はレンズアダプタの構成を示す前面側斜視図、図8はその後面側斜視図である。図7および図8に示すようにレンズアダプタ20は、レンズカバー6と同様の平板形状をなしており、複眼カメラ1のレンズ3A,3Bに対応する間隔を持って矩形の開口21A,21Bが形成されている。また、開口21A,21Bの間には、フラッシュ4用の開口25が形成されている。
【0026】
開口21A,21Bにはプリズム22A,22Bが取り付けられている。プリズム22A,22Bは、図9に示すように開口21A,21Bに適合する矩形形状を有し、その頂部がそれぞれ開口25の側を向くように開口21A,21Bに取り付けられている。これにより、レンズ3A,3Bの光軸を内側に傾斜させることができるため、撮影部の輻輳角を変更することができる。
【0027】
また、レンズアダプタ20の裏面には、レンズカバー6に形成されたガイド溝7A,7Bと同一形状を有するガイド溝23A,23Bが形成されている。また、レンズアダプタ20を本体2に取り付け、プリズム22A,22Bをレンズ3A,3Bと対峙させた状態において、ロックピン12と対峙する位置に係止穴24が形成されている。
【0028】
そして、レンズカバー6を取り外した後、着脱ボタン11を押して、本体2のガイドレール10A,10Bとレンズアダプタ20のガイド溝23A,23Bとを嵌合させるように、レンズアダプタ20を本体2の下方から上方へ、レンズアダプタ20をロックピン12が係止穴24に係止するまでスライドさせると、図10に示すようにレンズアダプタ20を本体2に取り付けることができる。
【0029】
逆にレンズアダプタ20が取り付けられた状態において、着脱ボタン11を押して、レンズアダプタ20を本体2の下方へスライドさせると、本体2のガイドレール10A,10Bとレンズアダプタ20のガイド溝23A,23Bとの嵌合が外れるため、レンズカバー6を本体2から取り外すことができる。
【0030】
このように、本実施形態においては、レンズカバー6を本体2に対して取り外し可能に設けたため、屈曲レンズを用いた複眼カメラ1においても、レンズカバー6を取り外すことにより、レンズアダプタ20のようなアクセサリを取り付けることが可能となる。
【0031】
とくに、レンズカバー6のガイド溝7A,7Bおよびレンズアダプタ20のガイド溝23A,23Bを共通形状とすることにより、レンズアダプタ20を本体2に取り付けるための構成をレンズアダプタ20のための専用の構造を有するものとする必要がなくなるため、レンズアダプタ20を含む様々なアクセサリの汎用化が可能となる。
【0032】
また、複眼カメラ1においては、近距離撮影を行う場合に輻輳角が不足する場合が多い。本実施形態においては、レンズアダプタ20として、輻輳角を変更するためのプリズム22A,22Bを取り付けたものを用いることにより、複眼カメラ1に設けられた撮影部の輻輳角を変更して近距離撮影を容易に行うことが可能となる。
【0033】
なお、上記実施形態においては、レンズカバー6を取り外してプリズム22A,22Bを備えたレンズアダプタ20を取り付けるようにしているが、例えば、光学フィルタ等を備えた他のレンズアダプタおよびコンバージョンレンズ等の任意のアクセサリを取り付けるようにしてもよい。
【0034】
また、上記実施形態においては、撮影部を2つ備えた複眼カメラ1に本発明を適用しているが、撮影部を1つのみ備えたカメラにも本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の撮影装置の実施形態である複眼カメラのレンズカバーが開位置にある状態を示す外観斜視図
【図2】本発明の撮影装置の実施形態である複眼カメラのレンズカバーが閉位置にある状態を示す外観斜視図
【図3】レンズカバーを取り外した状態を示す前面図
【図4】レンズカバーを取り付けた状態における複眼カメラの前面図
【図5】図4のI−I線断面図
【図6】図4のII−II線断面図
【図7】レンズアダプタの構成を示す前面側斜視図
【図8】レンズアダプタの構成を示す後面側斜視図
【図9】プリズムの形状を示す図
【図10】レンズアダプタを本体に取り付けた状態を示す前面図
【符号の説明】
【0036】
1 複眼カメラ
2 本体
2A 前面
3A,3B レンズ
4 フラッシュ
5 レリーズボタン
6 レンズカバー
7A,7B ガイド溝
8A,8B 係止穴
10A,10B ガイドレール
11 着脱ボタン
12 ロックピン
13 基板
14A,14B バネ
20 レンズアダプタ
21A,21B 開口
22A,22B プリズム
23A,23B ガイド溝
24 係止穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの屈曲レンズが前面を向くように配設された本体と、
前記屈曲レンズを覆うためのカバー部材と、
前記カバー部材を前記本体の前面にスライド可能かつ取り外し可能に取り付けるとともに、前記カバー部材を取り外した際に、前記屈曲レンズに対するアクセサリ部材を該カバー部材に代えて前記本体の前面にスライド可能かつ取り外し可能に取り付ける取り付け部とを備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記取り付け部は、前記カバー部材の裏面に形成されたガイド溝および前記アクセサリ部材の裏面に形成された前記カバー部材のガイド溝と共通形状のガイド溝と係合して、前記カバー部材および前記アクセサリ部材をスライド可能に移動させるガイドレールと、
前記カバー部材を、前記屈曲レンズを覆う閉位置および該屈曲レンズを露出させる開位置において停止させるとともに、前記アクセサリ部材を前記レンズを覆う位置において停止させる停止機構とを備えてなることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
複数の撮影部を備え、前記アクセサリ部材が前記複数の撮影部の輻輳角を変更するプリズム部材からなることを特徴とする請求項1または2記載の撮影装置。
【請求項1】
少なくとも1つの屈曲レンズが前面を向くように配設された本体と、
前記屈曲レンズを覆うためのカバー部材と、
前記カバー部材を前記本体の前面にスライド可能かつ取り外し可能に取り付けるとともに、前記カバー部材を取り外した際に、前記屈曲レンズに対するアクセサリ部材を該カバー部材に代えて前記本体の前面にスライド可能かつ取り外し可能に取り付ける取り付け部とを備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記取り付け部は、前記カバー部材の裏面に形成されたガイド溝および前記アクセサリ部材の裏面に形成された前記カバー部材のガイド溝と共通形状のガイド溝と係合して、前記カバー部材および前記アクセサリ部材をスライド可能に移動させるガイドレールと、
前記カバー部材を、前記屈曲レンズを覆う閉位置および該屈曲レンズを露出させる開位置において停止させるとともに、前記アクセサリ部材を前記レンズを覆う位置において停止させる停止機構とを備えてなることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
複数の撮影部を備え、前記アクセサリ部材が前記複数の撮影部の輻輳角を変更するプリズム部材からなることを特徴とする請求項1または2記載の撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−139672(P2010−139672A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315151(P2008−315151)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100104189
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 勲将
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100104189
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 勲将
【Fターム(参考)】
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