説明

操作ペダルのクッション装置

【課題】クッション取付板の板厚が異なる場合でも、軸部の径寸法が略一定の従来のクッション部材をそのまま使用できるとともに、板厚の相違に拘らず所定の組付作業性が維持されるようにする。
【解決手段】クッション取付板32の取付孔38付近に変形凸部52が設けられることにより、取付孔38の近傍で本体部40の座面46および頭部44の抜止め面48の双方に接するようにされているため、クッション取付板32の板厚tが抜止め面48と座面46との間の間隔dより小さくても、変形凸部52の突出寸法を間隔dに合わせて適当に設定することにより、クッション部材34をがたつくことなく適切に装着することができる。これにより、軸部42の径寸法が略一定の従来のクッション部材34をそのまま使用できるとともに、板厚tの相違に拘らず取付孔38そのものは変更する必要がないため、組付作業性が良好に維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブレーキペダル等の操作ペダルに係り、特に、回動端を規定する回動規制部材に当接する際の衝撃を緩和するクッション装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定の支持軸心まわりに回動させられる操作ペダルが回動規制部材に当接させられることによって回動端が規定される場合に、それ等の操作ペダルおよび回動規制部材の何れか一方の当接部位にクッション取付板が設けられるとともに、そのクッション取付板に設けられた取付孔に弾性体製のクッション部材が一体的に取り付けられ、その操作ペダルが回動規制部材に当接する際の衝撃(例えば当接打音や振動、跳ね返りなど)をそのクッション部材によって緩和するクッション装置が知られている。特許文献1に記載の装置はその一例で、クッション部材(ダンパゴム)は、(a) クッション取付板に着座させられる平坦な座面を有する本体部と、(b) その座面に立設されて前記取付孔内を挿通させられる軸部と、(c) その軸部の先端に設けられた前記取付孔よりも大径の頭部とを有し、(d) 弾性変形によって頭部が取付孔を通過させられることによりクッション取付板に装着されるようになっている。その場合に、クッション取付板の板厚が異なる場合でも適切に装着できるように、上記軸部は、頭部から本体部側へ向かうに従って縮径させられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−112617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、軸部の径寸法を変化させる必要があるため、軸部の径寸法が略一定の従来から多用されているクッション部材をそのまま使用することができず、新たな製造設備が必要で製造コストが高くなる。また、特許文献1の図1から明らかなように、板厚が薄くなるに従って取付孔の径寸法を小さくする必要があるため、その取付孔に頭部を押し込んで通過させる際の組付作業性が悪くなる。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、クッション取付板の板厚が異なる場合でも、軸部の径寸法が略一定の従来のクッション部材をそのまま使用できるとともに、板厚の相違に拘らず所定の組付作業性が維持されるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、第1発明は、所定の支持軸心まわりに回動させられる操作ペダルが回動規制部材に当接させられることによって回動端が規定される場合に、それ等の操作ペダルおよび回動規制部材の何れか一方の当接部位にクッション取付板が設けられるとともに、そのクッション取付板に設けられた取付孔に弾性体製のクッション部材が一体的に取り付けられ、その操作ペダルが回動規制部材に当接する際の衝撃をそのクッション部材によって緩和するクッション装置において、(a) 前記クッション部材は、(a-1) 前記クッション取付板に着座させられる平坦な座面を有する本体部と、(a-2) その座面に立設されて前記取付孔内を挿通させられる軸部と、(a-3) その軸部の先端に設けられた前記取付孔よりも大径の頭部とを有し、(a-4) 弾性変形によって頭部が取付孔を通過させられることにより、その頭部の前記本体部側に位置する抜止め面と本体部の前記座面との間で前記クッション取付板を挟むようにしてそのクッション取付板に装着される一方、(b) 前記クッション取付板の板厚tは、前記座面と前記抜止め面との間の間隔dよりも小さく、前記取付孔の近傍でそれ等の座面および抜止め面の双方に接するようにそのクッション取付板の取付孔付近が板厚方向へ変形させられていることを特徴とする。
【0007】
第2発明は、第1発明の操作ペダルのクッション装置において、前記クッション取付板は、前記本体部の前記座面に対して一部が非接触となるように変形させられていることを特徴とする。
【0008】
第3発明は、第2発明の操作ペダルのクッション装置において、前記クッション取付板は、前記取付孔を含むその取付孔の周縁部分が全周に亘って前記本体部から離間する方向へ変形させられた変形凸部を有し、その変形凸部の内側に形成される前記軸部よりも大径の凹所によってその軸部の周囲に環状空間が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このような操作ペダルのクッション装置においては、頭部の抜止め面と本体部の座面との間でクッション取付板を挟むようにしてクッション部材がクッション取付板に装着されるが、クッション取付板の取付孔付近が板厚方向へ変形させられることにより、その取付孔の近傍で本体部の座面および頭部の抜止め面の双方に接するようにされている。このため、クッション取付板の板厚tが抜止め面と座面との間の間隔dより小さくても、取付孔付近の変形量をその間隔dに応じて適当に設定することにより、クッション取付板に対してクッション部材をがたつくことなく適切に装着することができる。その場合に、板厚tに応じて取付孔付近の変形量を適当に設定するだけで良いため、一般に軸部の径寸法が略一定で且つ長さ寸法、すなわち頭部の抜止め面と本体部の座面との間の間隔が所定の寸法とされている従来のクッション部材をそのまま使用することが可能で、クッション部材そのものの形状を変更する場合に比較して、新たな製造設備等によるコストアップを抑制できる。また、板厚tの相違に拘らず取付孔そのものは変更する必要がないため、その取付孔内に頭部を押し込む際の組付作業性が良好に維持される。
【0010】
第2発明では、本体部の座面に対して一部が非接触となるようにクッション取付板が変形させられているため、本体部とクッション取付板との間に空間が形成され、回動端での回動規制部材との当接時に本体部がその空間内へ侵入するように弾性変形させられることにより、その本体部の衝撃吸収性能が向上し、当接時の衝撃が一層適切に緩和される。
【0011】
第3発明では、取付孔の周縁部分が全周に亘って本体部から離間する方向へ変形させられた変形凸部を有し、その変形凸部の内側に形成される凹所によって軸部の周囲に環状空間が形成される場合で、第2発明と同様に本体部の弾性変形により優れた衝撃吸収性能が得られるのに加えて、頭部を取付孔内に押し込んで組み付ける際に、本体部が空間内へ撓み変形するように押圧することにより、頭部をクッション取付板の反対側へ容易に突き出させて組み付けることが可能で、組付作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明が適用されたクッション装置を有する操作ペダルの一例を示す図で、(a) は正面図、(b) は(a) の左側面図、(c) は(a) におけるIC−IC断面の拡大図である。
【図2】図1の実施例のクッション取付板を示す図で、クッション部材を取り付ける前の状態である。
【図3】図1の実施例のクッション部材を単独で示す図で、(a) は正面図、(b) は(a) の右側面図である。
【図4】図2のクッション取付板をプレス加工によって製造する場合の一例を説明する図である。
【図5】本発明の他の実施例を説明する図で、図1の(c) に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、例えばパーキングブレーキ用や常用ブレーキ用のブレーキペダル、アクセルペダル、クラッチペダル等の車両用操作ペダルのクッション装置に好適に適用されるが、車両用以外の操作ペダルのクッション装置にも適用され得る。また、原位置(戻り側の回動端)を規定するクッション装置に好適に適用されるが、踏み込み側の回動端を規定するクッション装置にも適用され得る。
【0014】
クッション取付板は、操作ペダルに設けられても良いし、回動規制部材に設けられても良く、例えば溶接等により一体的に固設されるが、操作ペダルや回動規制部材に一体に設けることも可能である。回動規制部材は、位置固定に配設されたペダルストッパであっても良いが、例えば操作ペダルが原位置まで戻り回動させられた際に、その操作ペダルのそれ以上の回動を阻止するとともにON、OFFが切り換わり、操作ペダルが原位置に保持されているか否かを検出するON−OFFスイッチなどでも良い。
【0015】
クッション部材は、例えばゴム等の弾性体にて一体に構成されるが、一部に弾性体以外の部材を組み込んだり接着したりすることもできるなど、種々の態様が可能である。クッション部材の軸部は、一般に一定の径寸法の円柱形状とされるが、径寸法が徐々に変化しているテーパ形状とすることもできる。この軸部および頭部には、頭部を取付孔内に押し込む際の縮径を許容するように、必要に応じてスリットや貫通穴、切欠、凹部等が設けられる。頭部は、取付孔内に押し込む上で例えば先端程小径となるテーパ形状や半球形状等が望ましく、その先端部は取付孔よりも小径で基端部が取付孔より大径とされるが、一定断面の円柱形状などでも良い。
【0016】
上記クッション部材の本体部は、例えば円形で所定の肉厚の板形状とされるが、厚肉のブロック形状や半球形状などでも良く、弾性変形によって衝撃を緩和できる種々の態様が可能である。この本体部の大きさ(径寸法)は、例えば第3発明のように変形凸部によって凹所が形成される場合、凹所よりも外側に座面が着座させられるように凹所よりも大径とすることが望ましい。
【0017】
取付孔の近傍でクッション部材の座面および抜止め面の双方に接するように、クッション取付板の取付孔付近が板厚方向へ変形させられており、例えば第3発明のように変形凸部が形成されるが、バーリング穴のように取付孔の内周縁部を略直角に曲げたり、テーパ形状に変形させたりしても良い。取付孔の全周に亘って変形させる必要はなく、例えば取付孔の中心側へ突き出す複数の爪を設け、その爪を本体部が着座させられる面と反対側へ略直角に或いは斜めに曲げ変形させるだけでも良いなど、種々の態様が可能である。
【0018】
第3発明の変形凸部は、クッション取付板の垂直方向から見た平面視の形状が例えば円形で、プレス加工などで変形凸部を形成した後に、その変形凸部の先端平坦部に取付孔をプレス加工などで形成すれば良い。この変形凸部は断面が台形状、すなわち先端平坦部側程小径となるように形成することが望ましいが、略直角に折れ曲がった矩形状の変形凸部を採用することもできる。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である常用ブレーキ用のブレーキペダル装置10を示す図で、(a) は正面図、(b) は(a) の左側面、(c) は(a) におけるIC−IC断面の拡大図である。このブレーキペダル装置10は、上端部に設けられた支持孔12を介して図示しない支持軸に回動可能に配設される操作ペダル14を備えており、その操作ペダル14の下端部に設けられたペダルパッド16が運転者によって踏み込み操作されることにより、支持孔12の中心である支持軸心Oまわり(図1(b) の右まわり)に回動させられ、連結孔18にクレビス等を介して連結されるプッシュロッド等を押圧して常用ブレーキを作動させる。操作ペダル14は、図示しないリターンスプリング等により図に示す原位置まで戻り回動させられるようになっており、回動規制部材20に当接させられることによりその原位置が規定される。回動規制部材20は、位置固定に配設されたペダルストッパ、或いは操作ペダル14が原位置まで戻り回動させられた際に、その操作ペダル14のそれ以上の回動を阻止するとともにON、OFFが切り換わり、操作ペダル14が原位置に保持されているか否か、言い換えれば踏み込み操作されたか否かを検出するON−OFFスイッチ(ブレーキスイッチ)などで、先端の当接面は略円形である。なお、図1の(a) 、(b) では回動規制部材20が省略されている。
【0020】
操作ペダル14には、上記回動規制部材20に当接させられる当接部位にクッション装置30が設けられている。このクッション装置30は、操作ペダル14の左側面に溶接等により一体的に固設されたクッション取付板32と、そのクッション取付板32に一体的に取り付けられた弾性体製のクッション部材34とを備えており、操作ペダル14が原位置まで戻り回動させられて回動規制部材20に当接する際の衝撃(例えば当接打音や振動、跳ね返りなど)をクッション部材34の弾性変形によって緩和する。図2は、クッション部材34が取り付けられる前のクッション取付板32を示す図で、クッション部材34が取り付けられる上端部のクッション取付部36には貫通した略円形の取付孔38が設けられているとともに、回動規制部材20が操作ペダル14と干渉しないように、そのクッション取付部36が操作ペダル14から離間する方向へ曲げられた逆「L」字形状を成している。また、そのクッション取付部36が、図1(b) において支持軸心Oを中心とする円の接線方向に対して略垂直な姿勢となるように、すなわち操作ペダル14が支持軸心Oまわりに原位置まで戻り回動させられることにより、クッション部材34が回動規制部材20に対して略垂直(所定角度だけ傾斜した姿勢を含む)に当接させられるように、クッション取付板32は図1(b) において「L」字形状乃至は「へ」の字形状に曲げられており、その下側の直線部分において操作ペダル14に一体的に固設されている。
【0021】
クッション部材34は、全体がゴム等の弾性体にて一体に構成されているとともに、図3に単独で示すように、前記取付孔38よりも十分に大径の円板形状の本体部40と、取付孔38の径寸法と略同じか僅かに小径の円柱形状の軸部42と、取付孔38よりも大径の頭部44とを、同軸上に一体に備えている。本体部40は、所定の衝撃吸収性能が得られるように所定の肉厚寸法を有するとともに、前記クッション取付板32に密着するように着座させられる平坦な座面46を備えている。軸部42は、その座面46の中心に略垂直に立設されているとともに、一定の径寸法の円柱形状を成していて取付孔38内を挿通させられる。その軸部42の先端に一体に設けられた頭部44は、先端が取付孔38よりも小径で基端部が取付孔38よりも大径の截頭円錐形状を成しており、その先端側から取付孔38内に押し込まれることにより弾性変形しつつ取付孔38内を通過させられる。これにより、その頭部44の本体部40側に位置する抜止め面48と、本体部40の座面46との間で、クッション取付板32を挟むようにしてクッション取付板32に抜出し不能に装着される。抜止め面48は本体部40の座面46と略平行、すなわちクッション部材34の軸心に対して略垂直な平坦面である。
【0022】
上記軸部42および頭部44には、頭部44を取付孔38内に押し込む際の縮径を許容するように、軸心を通って径方向に貫通する貫通孔50が設けられている。この貫通孔50は、クッション部材34の軸方向(図3(a) における上下方向)に長い長穴で、その長穴の中央付近に頭部44の大径端部分が位置しており、貫通孔50が内側へ潰されることにより大径端部分が容易に縮径させられる。図3の(a) は貫通孔50の貫通方向から見た正面図で、(b) は(a) の右方向から見た右側面図である。
【0023】
ここで、図1(c) に示すように、前記クッション取付板32の板厚tは、クッション部材34の座面46と抜止め面48との間の間隔dよりも小さく、取付孔38の近傍でそれ等の座面46、抜止め面48の双方に接するように取付孔38付近が板厚方向へ変形させられている。具体的には、取付孔38を含む取付孔38の周縁部分が全周に亘って本体部40から離間する方向、すなわち本体部40の座面46が着座させられる取付面56と反対方向へ、台形状に変形させられた変形凸部52を有し、その変形凸部52の内側に形成される凹所により軸部42の周囲に環状空間54が形成され、本体部40の座面46に対してクッション取付板32が非接触とされるようになっている。本体部40の座面46に接する取付面56から変形凸部52の突出先端面までの寸法は、自然状態におけるクッション部材34の座面46と抜止め面48との間の間隔dよりも僅かに大きく、クッション部材34は、軸部42が僅かに伸長変形させられるか本体部40の中央部分が僅かに撓み変形させられた状態で、そのクッション取付板32のクッション取付部36に一体的に取り付けられる。本体部40は、変形凸部52の内側の凹所よりも大径、すなわち環状空間54の外径寸法よりも大径で、その環状空間54よりも外周側でクッション取付板32の取付面56に着座させられるようになっている。
【0024】
上記変形凸部52は、垂直方向から見た平面視において円形を成しており、例えば図4に示すように取付孔38を形成する前にクッション取付板32のクッション取付部36にプレスによる絞り加工乃至は圧印加工等によって設けられ、その変形凸部52の先端平坦部に略同心に円形の取付孔38をプレスによる打ち抜き加工等によって形成すれば良い。この変形凸部52は、断面が台形状すなわち先端平坦部側程小径となるように、側壁の内周面が例えば軸心に対して45°程度で傾斜するように形成されている。
【0025】
このようなクッション装置30においては、頭部44の抜止め面48と本体部40の座面46との間でクッション取付板32を挟むようにしてクッション部材34がクッション取付板32に装着されるが、クッション取付板32の取付孔38付近に板厚方向へ変形させられた変形凸部52が設けられることにより、その取付孔38の近傍で本体部40の座面46および頭部44の抜止め面48の双方に接するようにされている。具体的には、変形凸部52の突出先端面(先端平坦部の外側面)が頭部44の抜止め面48に接触させられ、環状空間54よりも外側の取付面56が本体部40の座面46に接触させられる。
【0026】
このため、クッション取付板32の板厚tが抜止め面48と座面46との間の間隔dより小さくても、取付孔38付近の変形量すなわち変形凸部52の突出寸法をその間隔dに合わせて適当に設定することにより、クッション取付板32に対してクッション部材34をがたつくことなく適切に装着することができる。その場合に、板厚tに応じて変形凸部52の突出寸法を適当に設定するだけで良いため、一般に軸部42の径寸法が略一定で且つ長さ寸法、すなわち頭部44の抜止め面48と本体部40の座面46との間の間隔dが所定の寸法とされている従来のクッション部材34をそのまま使用することが可能で、クッション部材34そのものの形状を変更する場合に比較して、新たな製造設備等によるコストアップを抑制できる。また、板厚tの相違に拘らず取付孔38の大きさ(径寸法)そのものは変更する必要がないため、その取付孔38内に頭部44を押し込む際の組付作業性が良好に維持される。
【0027】
また、本実施例では、取付孔38の周縁部分が全周に亘って本体部40から離間する方向、すなわち取付面56と反対方向へ変形させられた変形凸部52を有し、その変形凸部52の内側に形成される凹所によって軸部42の周囲に環状空間54が形成され、本体部40の座面46に対して部分的に非接触になる。このため、操作ペダル14が原位置へ戻り回動させられた当接時に、本体部40の中央部分がその環状空間54内へ侵入するように、図1(c) において左方向へ弾性変形させられることにより、その本体部40の衝撃吸収性能が向上し、当接時の衝撃が一層適切に緩和される。変形凸部52の内側に形成される環状空間54の径寸法(外径)は、回動規制部材20の先端当接面の径寸法と略同じか、それよりも大径で、回動規制部材20に当接させられた本体部40の中央部分が環状空間54内へ撓み変形することが許容されるようになっている。
【0028】
また、変形凸部52によって軸部42の周囲に環状空間54が形成され、本体部40の座面46に対して部分的に非接触とされることから、頭部44を取付孔38内に押し込んで組み付ける際に、本体部40が環状空間54内へ撓み変形するように押圧することにより、頭部44をクッション取付板32の反対側へ容易に突き出させることが可能で、変形凸部52に頭部44の抜止め面48が係止されるようにクッション部材34をクッション取付板32に組み付ける組付作業性が一層向上する。
【実施例2】
【0029】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0030】
図5のクッション装置60は、クッション取付板32のクッション取付部36の形状が前記実施例と異なる場合で、前記実施例では取付面56と反対側へ台形状に膨出する変形凸部52が設けられていたが、この実施例では、バーリング穴のように取付孔62の内周縁部が略直角に曲げられて極短い短円筒部64が設けられている。短円筒部64の突出寸法は前記間隔dに応じて設定されており、その短円筒部64の先端面に頭部44の抜止め面48が係合させられることにより、その抜止め面48と前記座面46との間でクッション取付板32を弾性的に挟み込むようにして、クッション部材34が抜出し不能に装着される。したがって、本実施例においても、軸部42の径寸法が略一定で且つ長さ寸法(間隔d)が所定の寸法とされている従来のクッション部材34をそのまま使用できるとともに、取付孔62の大きさ(径寸法)そのものは変更する必要がないため、その取付孔62内に頭部44を押し込む際の組付作業性が良好に維持される。
【0031】
一方、上記短円筒部64は、取付孔62の近傍で座面46および抜止め面48の双方に接するように板厚方向へ変形させられた変形部分であるが、この短円筒部64と取付面56とのコーナー部分は円弧形状を成しており、軸部42の外周側に環状の隙間66が形成される。このため、頭部44を取付孔62内に押し込んで組み付ける際に、本体部40の中央部分がその隙間66内へ撓み変形するように押圧することにより、頭部44をクッション取付板32の反対側へ容易に突き出させて組み付けることができる。また、操作ペダル14が原位置へ戻り回動させられてクッション部材34の本体部40が前記回動規制部材20に当接させられる際には、本体部40の中央部分が上記隙間66内へ侵入するように弾性変形させられることにより、その本体部40の衝撃吸収性能が向上し、当接時の衝撃が一層適切に緩和される。
【0032】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0033】
10:ブレーキペダル装置 14:操作ペダル 20:回動規制部材 30、60:クッション装置 32:クッション取付板 34:クッション部材 38、62:取付孔 40:本体部 42:軸部 44:頭部 46:座面 48:抜止め面 52:変形凸部 54:環状空間 O:支持軸心 t:板厚 d:間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の支持軸心まわりに回動させられる操作ペダルが回動規制部材に当接させられることによって回動端が規定される場合に、該操作ペダルおよび該回動規制部材の何れか一方の当接部位にクッション取付板が設けられるとともに、該クッション取付板に設けられた取付孔に弾性体製のクッション部材が一体的に取り付けられ、該操作ペダルが該回動規制部材に当接する際の衝撃を該クッション部材によって緩和するクッション装置において、
前記クッション部材は、前記クッション取付板に着座させられる平坦な座面を有する本体部と、該座面に立設されて前記取付孔内を挿通させられる軸部と、該軸部の先端に設けられた前記取付孔よりも大径の頭部とを有し、弾性変形によって該頭部が該取付孔を通過させられることにより、該頭部の前記本体部側に位置する抜止め面と該本体部の前記座面との間で前記クッション取付板を挟むようにして該クッション取付板に装着される一方、
前記クッション取付板の板厚tは、前記座面と前記抜止め面との間の間隔dよりも小さく、前記取付孔の近傍で該座面および該抜止め面の双方に接するように該クッション取付板の取付孔付近が板厚方向へ変形させられている
ことを特徴とする操作ペダルのクッション装置。
【請求項2】
前記クッション取付板は、前記本体部の前記座面に対して一部が非接触となるように変形させられている
ことを特徴とする請求項1に記載の操作ペダルのクッション装置。
【請求項3】
前記クッション取付板は、前記取付孔を含む該取付孔の周縁部分が全周に亘って前記本体部から離間する方向へ変形させられた変形凸部を有し、該変形凸部の内側に形成される前記軸部よりも大径の凹所によって該軸部の周囲に環状空間が形成される
ことを特徴とする請求項2に記載の操作ペダルのクッション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−48498(P2011−48498A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194746(P2009−194746)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000241496)豊田鉄工株式会社 (104)
【Fターム(参考)】