説明

操作機構及び生活支援用具

【課題】操作荷重が軽減される操作機構を適用する。
【解決手段】操作機構1Aは、第1の支軸21Aに軸支され、操作者の力を受けて第1の支軸21Aを支点に回動する操作レバー2Aと、第1の支軸21Aと異なる第2の支軸32Aに軸支され、操作レバー2Aの動作を、操作対象物を作動させる操作ワイヤ11に伝達するリンク部材3Aとを備え、第1の支軸21Aを支点とした操作レバー2Aの回動で変位する操作レバー2Aの作用ピン22Aからリンク部材3Aに掛かる操作荷重の力点を、第2の支軸32Aよりも操作レバー2A側に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者に操作される操作機構及び操作機構備えた生活支援用具に関する。
【背景技術】
【0002】
人が操作する機構で、特に手で操作対象物を操作する機構では、例えばブレーキを操作する機構として、自転車のハンドブレーキ構造が一般的に使用されている。自転車等のハンドブレーキ構造に用いられるブレーキレバーは、一端側が軸支された操作レバーの回動でワイヤを牽引する機構で、人が指で操作レバーを握ることで操作される。
【0003】
自転車のハンドブレーキ構造は、一般用途または競技志向者用途に、速度調整のための制動を目的とし、操作レバーの微妙な手の力感覚によるブレーキ本体への力の伝達度合いを操作性の兼ね合いを基に設定されている。より微妙な制動調整を可能にするため、操作レバーの引き始めは作動量を大きくし、ブレーキシューがリムに当たる段階で作動量を小さくして、微妙な制動調整をできるようにしたブレーキレバーが提案されている。
【0004】
例えば、ワイヤの係止部を長穴形状とし、操作レバーの引き始めと途中で、操作レバーの支点からワイヤ係止部までの距離を可変として、てこ比を可変とした構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、操作レバーの回動に伴い、ワイヤ係止部の位置を移動させる機構を備えた構造が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−292280号公報
【特許文献2】特許第2561412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の操作レバーは、使用対象用途によっては操作荷重が操作者にとって負担となってしまっている場合がある。例えば、介護用の車椅子では、停止ブレーキやリクライニング機構の作動操作に操作レバーが用いられているが、操作荷重が重く、操作性の改良が求められる。特に、今後介護者の高齢化に伴い、操作荷重の軽減は確実な操作のために必要である。また、車椅子のみならず、高齢者用の補助輪付きの自転車、幼児同乗の3人乗り自転車等、一般の自転車とは異なる用途での操作レバーでも、操作荷重の軽減が求められる。
【0007】
自転車用のブレーキレバーで、特許文献に記載されているように操作荷重を可変とした構造も知られているが、操作レバーの引き始めでは大きな作動量を得るため、荷重が重くなっており、高齢者等の握力が弱い人への操作荷重の軽減に十分な機構とはなっていない。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、操作荷重が軽減される操作機構及び生活支援用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明は、第1の支軸に軸支され、操作者の力を受けて第1の支軸を支点に回動する操作部材と、第1の支軸と異なる第2の支軸に軸支され、操作部材の動作を、操作対象物を作動させる駆動力伝達手段に伝達するリンク部材とを備え、第1の支軸を支点とした操作部材の回動で変位する操作部材の作用点からリンク部材に掛かる操作荷重の力点を、第2の支軸よりも操作部材側に設け、操作部材に対する操作荷重を低減させる操作力軽減手段を備えた操作機構である。
【0010】
また、本発明は、上述した操作機構と、操作機構に操作される操作対象物を備えた生活支援用具であり、更に、操作対象物の操作力を軽減する操作力軽減手段を有した操作機構を備えた生活支援用具である。
【0011】
本発明の操作機構では、操作部材の操作に必要な荷重が、操作部材及びリンク部材における力の作用点及び力点と支点間距離の比で軽減される。
【0012】
本発明の生活支援用具では、上述した操作機構を備えることで、操作者の負担が軽減される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作部材の操作に必要な荷重を軽減することができ、操作部材を操作する操作者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態の操作機構の一例を示す構成図である。
【図2】第1の実施の形態の操作機構の動作の一例を示す動作説明図である。
【図3】第2の実施の形態の操作機構の一例を示す構成図である。
【図4】第2の実施の形態の操作機構の動作の一例を示す動作説明図である。
【図5】第3の実施の形態の操作機構の構成例及び動作例を示す動作説明図である。
【図6】本実施の生活支援用具としての車椅子の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の操作機構、操作機構を備えた生活支援用具の実施の形態について説明する。
【0016】
<第1の実施の形態の操作機構の構成例>
図1は、第1の実施の形態の操作機構の一例を示す構成図である。第1の実施の形態の操作機構1Aは、人が操作する機構に適用され、操作荷重を低減する機構を備えることで、操作者の負担を軽減する。第1の実施の形態の操作機構1Aは、例えば、車椅子等の生活支援用具で人が手により操作する機構に適用され、本例では、車椅子のブレーキを操作するブレーキレバー10Aに適用した例を示す。
【0017】
第1の実施の形態の操作機構1Aは、操作者に操作される操作レバー2Aと、操作レバー2Aの動作を、操作対象物であるブレーキを作動させる駆動力伝達手段としての操作ワイヤ11に伝達するリンク部材3Aと、操作レバー2Aとリンク部材3Aが取り付けられるブラケット4Aを備え、操作レバー2A及びリンク部材3Aにおける力の作用点及び力点と支点間距離の比で、操作力軽減手段を実現する。
【0018】
操作レバー2Aは操作部材の一例で、操作者が例えば手の指で操作する操作部20Aの一方の端部側が、第1の支軸21Aによりブラケット4Aに軸支される。操作レバー2Aは、操作部20Aの他方の端部側が力点となり、操作部20Aで受ける力によって第1の支軸21Aを支点として回動する。
【0019】
操作レバー2Aは、操作部20Aと第1の支軸21Aの間に作用ピン22Aを備える。作用ピン22Aは、第1の支軸21Aを支点とした操作レバー2Aの回動で変位し、操作部20Aで受ける力をリンク部材3Aに作用させる作用点となる。
【0020】
操作レバー2Aは、力点となる操作部20Aの操作点から、支点となる第1の支軸21Aまでの長さL1より、作用点となる作用ピン22Aから第1の支軸21Aまでの長さL2が短くなるように構成される。
【0021】
リンク部材3Aは、操作レバー2Aの作用ピン22Aが接する押圧面30Aと、操作ワイヤ11のインナーワイヤ11Aが取り付けられるワイヤ係止部31Aを備え、第2の支軸32Aによりブラケット4Aに軸支される。
【0022】
押圧面30Aは、操作レバー2Aの作用ピン22Aに押圧されて力を受けると共に、接した作用ピン22Aが滑らかにしゅう動可能な平面または曲面で構成される。リンク部材3Aは、押圧面30Aと操作レバー2Aの作用ピン22Aの接触箇所が力点となり、第1の支軸21Aを支点とした操作レバー2Aの回動で変位する作用ピン22Aからの力を受けて、第2の支軸32Aを支点に回動する。なお、操作レバー2Aとリンク部材3Aの係合は、一方に設けた凸状の部材と他方に設けた穴部との係合、例えばピンを長穴に挿入するような構成でも良い。
【0023】
ワイヤ係止部31Aは、インナーワイヤ11Aの端部に形成されたタイコと称される円筒形状の係止部11Bが着脱及び回転可能に嵌る円筒形状に構成され、リンク部材3Aの第2の支軸32Aを支点とした回動で、インナーワイヤ11Aを引く。
【0024】
リンク部材3Aは、ワイヤ係止部31Aが作用点となり、力点となる押圧面30Aから支点となる第2の支軸32Aまでの長さL3と、ワイヤ係止部31Aから第2の支軸32Aまでの長さL4が同等程度、あるいはL3がL4より長くなるように構成される。
【0025】
ブラケット4Aは固定部材の一例で、操作者が手で把時するハンドル部5Aに取り付けられる。ハンドル部5Aには、手で把持されるグリップ50Aが取り付けられ、ブラケット4Aは、グリップ50Aの一方の端部側のハンドル部5Aに取り付けられる。
【0026】
ブラケット4Aは、グリップ50A側に操作レバー2Aが配置され、操作レバー2Aの一方の端部側である内側にリンク部材3Aが配置されるように、第1の支軸21Aと第2の支軸32Aが形成される。ブラケット4Aは、第1の支軸21Aと第2の支軸32Aが形成されることで、単一の部材で操作レバー2Aとリンク部材3Aを支持する構成とすることができる。
【0027】
これにより、操作レバー2A及びリンク部材3Aの支点と力の作用点及び力点が、リンク部材3Aの支点である第2の支軸32A、操作レバー2Aの支点である第1の支軸21A、操作レバー2Aの作用点でリンク部材3Aの力点であるリンク部材3Aの押圧面30Aと操作レバー2Aの作用ピン22Aの接触箇所の順で、第2の支軸32Aから操作レバー2Aの操作点である操作部20Aに向かって設けられる。
【0028】
ブラケット4Aは、インナーワイヤ11Aが通される操作ワイヤ11のアウターワイヤ11Cを支持するアジャスタ40を備える。アジャスタ40は、ブラケット4Aからの突出量が調整されることで、ブレーキの引きしろを調整可能としている。
【0029】
<第1の実施の形態の操作機構の動作例>
図2は、第1の実施の形態の操作機構の動作の一例を示す動作説明図である。第1の実施の形態の操作機構1Aは、ハンドル部5Aのグリップ50Aを把持する手で、図2(a)に示すように開いた状態の操作レバー2Aを握ることで、操作レバー2Aが矢印A方向に引かれると、操作レバー2Aは第1の支軸21Aを支点に回動する。
【0030】
リンク部材3Aは、第1の支軸21Aを支点とした操作レバー2Aの回動で変位する作用ピン22Aからの力を押圧面30Aで受けて、第2の支軸32Aを支点に回動する。
【0031】
リンク部材3Aが回動することで、ワイヤ係止部31Aに取り付けられたインナーワイヤ11Aが引かれ、図2(b)に示すように、操作レバー2Aを閉じるように操作することで、インナーワイヤ11Aを引いてブレーキ等を作動させることができる。
【0032】
操作レバー2Aに掛かる荷重Fは、操作レバー2A及びリンク部材3Aにおける力の作用点及び力点と支点間距離の比で作用する。操作レバー2Aにおいて、力点となる操作部20Aの操作点から、支点となる第1の支軸21Aまでの長さをL1とし、作用点となる作用ピン22Aから第1の支軸21Aまでの長さをL2とする。リンク部材3Aにおいて、力点となる押圧面30Aから支点となる第2の支軸32Aまでの長さをL3とし、作用点となるワイヤ係止部31Aから第2の支軸32Aまでの長さをL4とする。
【0033】
操作対象物であるブレーキを復元させるバネの力でインナーワイヤ11Aからリンク部材3Aのワイヤ係止部31Aに掛かる荷重をPとする。また、操作レバー2Aの作用点でリンク部材3Aの力点であるリンク部材3Aの押圧面30Aと操作レバー2Aの作用ピン22Aの接触箇所に掛かる荷重をfとする。
【0034】
操作レバー2Aの操作部20Aに掛かる荷重Fは以下の(1)で求められ、リンク部材3Aの押圧面30Aに掛かる荷重fは以下の(2)式で求められる。そして(1)式に(2)式を代入することで、操作レバー2Aの操作部20Aに掛かる荷重Fとインナーワイヤ11Aからリンク部材3Aのワイヤ係止部31Aに掛かる荷重Pの関係が(3)式により求められる。
【0035】
【数1】

【0036】
(3)式から、L1とL3を長く、L2とL4を短くして、L1がL2より長く、L3がL4より長い方が、操作レバー2Aの操作部20Aに掛かる荷重Fを低減することができる。また、L2がL3より短い方が、荷重Fを低減することができる。
【0037】
操作レバー2A及びリンク部材3Aの支点と力の作用点及び力点が、リンク部材3Aの第2の支軸32A、操作レバー2Aの第1の支軸21A、リンク部材3Aの押圧面30Aと操作レバー2Aの作用ピン22Aの接触箇所の順で、第2の支軸32Aから操作レバー2Aの操作点である操作部20Aに向かって設けられることで、機構を大型化することなく、(3)式で荷重を低減する条件を満たすことが可能となる。そして、図2(a)に示すように、操作レバー2Aが開いている握り始めの状態から荷重Fが低減し、図2(b)に示すように操作レバー2Aが閉じるまで、荷重Fを低減することができる。
【0038】
操作レバー2Aとリンク部材3Aは、回動の支点となる支軸の位置が異なり、第1の支軸21Aを支点とした操作レバー2Aの回動による係止ピン22Aの軌跡と、第2の支軸32Aを支点としたリンク部材3Aの回動による押圧面30Aの軌跡は異なる。
【0039】
このため、係止ピン22Aと押圧面30Aのどちらか一方が、他方の軌跡に追従するように変位する構成が必要で、操作レバー2Aとリンク部材3Aの回動で、係止ピン22Aが押圧面30Aに沿ってしゅう動する構成としてある。操作機構1Aでは、係止ピン22Aは操作レバー2Aに固定されているので、操作レバー2Aにおいて、リンク部材3Aへの作用点となる係止ピン22Aから支点となる第1の支軸21Aまでの長さL2は一定である。従って、係止ピン22が押圧面30Aに沿ってしゅう動すると、リンク部材3Aにおいて力点となる押圧面30Aから支点となる第2の支軸32Aまでの長さL3が変化する。
【0040】
長さL3が短くなる方向に変化すると、(3)式から荷重Fが増加することが判る。そこで、操作レバー2Aとリンク部材3Aの回動で、長さL3が長くなる方向に変化し、かつ、変化量を少なくするため、係止ピン22Aの軌跡に押圧面30Aの軌跡が沿うような範囲で、係止ピン22Aと押圧面30Aが接するようにする。このため、第1の支軸21Aと第2の支軸32Aを結ぶ直線上付近の所定の範囲で係止ピン22Aと押圧面30Aが接するように、各支軸の位置、係止ピン22Aの位置及び押圧面30Aの位置、形状が決められている。
【0041】
なお、第1の実施の形態の操作機構1Aでは、操作レバー2Aが取り付けられるブラケットとリンク部材3Aが取り付けられるブラケットを独立した部品で構成しても良い。操作レバー2Aとリンク部材3Aを独立したブラケットで支持する構成とすることで、ブラケットの取り付け位置を調整して、操作レバー2A及びリンク部材3Aにおける力の作用点及び力点と支点間距離の比を変えることができ、荷重を調整することができる。
【0042】
<第2の実施の形態の操作機構の構成例>
図3は、第2の実施の形態の操作機構の一例を示す構成図である。上述した第1の実施の形態の操作機構1Aでは、操作レバー2Aの力点が、人の手の小指側となる。これに対して、第2の実施の形態の操作機構1Bは、操作レバーの力点が人差し指側となるようにすることで、操作者の負担を軽減すると共に、操作レバーの操作を容易にする。
【0043】
第2の実施の形態の操作機構1Bは、操作者に操作される操作レバー2Bと、操作レバー2Bの動作を操作ワイヤ11に伝達するリンク部材3Bと、操作レバー2Bとリンク部材3Bが取り付けられるハンドル部5Bを備える。ハンドル部5Bには、手で把持されるグリップ50Bが取り付けられ、グリップ50Bを把持した手の人差し指側となるグリップ50Bの一方の端部側のハンドル部5Bにリンク部材3Bが取り付けられ、小指側となる他方の端部側のハンドル部5Bに操作レバー2Bが取り付けられる。
【0044】
操作レバー2Bは操作部材の一例で、操作者が手の指で操作する操作部20Bが一方の端部側に形成され、他方の端部側が第1の支軸21Bによりハンドル部5Bに軸支される。操作レバー2Bは、操作部20Bの一方の端部側が力点となり、操作部20Bで受ける力によって第1の支軸21Bを支点として回動する。
【0045】
操作レバー2Bは、操作部20Bの内側に押圧面22Bを備える。押圧面22Bは、第1の支軸21Bを支点とした操作レバー2Bの回動で変位し、操作部20Bで受ける力をリンク部材3Bに作用させる作用点となる。
【0046】
リンク部材3Bは、操作レバー2Bの押圧面22Bに接する押圧ローラ30Bと、操作ワイヤ11のインナーワイヤ11Aが取り付けられるワイヤ係止部31Bを備え、第2の支軸32Bによりハンドル部5Bに軸支される。
【0047】
押圧ローラ30Bは、操作レバー2Bの押圧面22Bに押圧されて力を受ける。操作レバー2Bは、押圧面22Bとリンク部材3Bの押圧ローラ30Bの接触箇所が作用点となり、接した押圧ローラ30Bがしゅう動可能な平面または曲面で構成される。リンク部材3Bは、押圧ローラ30Bと操作レバー2Bの押圧面22Bの接触箇所が力点となり、第1の支軸21Bを支点とした操作レバー2Bの回動で変位する押圧面22Bからの力を受けて、第2の支軸32Bを支点に回動する。
【0048】
ワイヤ係止部31Bは、インナーワイヤ11Aの端部に形成された円筒形状の係止部11Bが着脱及び回転可能に嵌る円筒形状に構成され、リンク部材3Bの第2の支軸32Bを支点とした回動で、インナーワイヤ11Aを引く。
【0049】
操作レバー2Bは、力点となる操作部20Bの操作点から、支点となる第1の支軸21Bまでの長さL1より、作用点となる押圧面22Bとリンク部材3Bの押圧ローラ30Bとの接触箇所までの長さL2が短くなるように構成される。
【0050】
リンク部材3Bは、ワイヤ係止部31Bが作用点となり、力点となる押圧ローラ30Bと操作レバー2Bの押圧面22Bとの接触箇所から、支点となる第2の支軸32Bまでの長さL3と、ワイヤ係止部31Bから第2の支軸32Bまでの長さL4が同等程度、あるいはL3がL4より長くなるように構成される。
【0051】
ハンドル部5Bは固定部材の一例で、グリップ50Bの一方の端部側に、リンク部材3Bの第2の支軸32Bが取り付けられるブラケット51が一体に形成される。また、ハンドル部5Bは、グリップ50Bの他方の端部側に、操作レバー2Bの第1の支軸21Bが取り付けられるブラケット52が一体に形成される。ハンドル部5Bは、操作レバー2Bの押圧面22B及びリンク部材3Bと対向するグリップ50Bの一部に、リンク部材3Bが収容される溝部53が形成される。なお、各ブラケットは、ハンドル部5Bと独立した部品で構成しても良い。
【0052】
これにより、操作レバー2B及びリンク部材3Bの支点と力の作用点及び力点が、リンク部材3Bの支点である第2の支軸32B、操作レバー2Bの作用点でリンク部材3Bの力点である操作レバー2Bの押圧面22Bとリンク部材3Bの押圧ローラ30Bの接触箇所、操作レバー2Bの支点である第1の支軸21Bの順で設けられる。
【0053】
ブラケット51は、インナーワイヤ11Aが通される操作ワイヤ11のアウターワイヤ11Cを支持するアジャスタ40を備える。アジャスタ40は、ブラケット51からの突出量が調整されることで、ブレーキの引きしろを調整可能としている。
【0054】
<第2の実施の形態の操作機構の動作例>
図4は、第2の実施の形態の操作機構の動作の一例を示す動作説明図である。第2の実施の形態の操作機構1Bは、ハンドル部5Bのグリップ50Bを把持する手で、図4(a)に示すように開いた状態の操作レバー2Bを握ることで、操作レバー2Bが矢印B方向に引かれると、操作レバー2Bは第1の支軸21Bを支点に回動する。
【0055】
リンク部材3Bは、第1の支軸21Bを支点とした操作レバー2Bの回動で変位する押圧面22Bからの力を押圧ローラ30Bで受けて、第2の支軸32Bを支点に回動する。また、操作レバー2Bが回動するに従って、操作レバー2Bの作用点である操作レバー2Bの押圧面22Bとリンク部材3Bの押圧ローラ30Bの接触箇所が、第1の支軸21Bに近づく方向に移動する。
【0056】
リンク部材3Bが回動することで、ワイヤ係止部31Bに取り付けられたインナーワイヤ11Aが引かれ、図4(b)に示すように、操作レバー2Bを閉じるように操作することで、インナーワイヤ11Aを引いてブレーキ等を作動させることができる。ここで、図4(b)に示すように、操作レバー2Bを閉じる方向に回動させる際に、グリップ50Bに設けた溝部53にリンク部材3Bを収容できるようにすることで、操作レバー2Bのストロークをより多く確保することができる。
【0057】
操作レバー2Bに掛かる荷重Fは、操作レバー2B及びリンク部材3Bにおける力の作用点及び力点と支点間距離の比で作用する。操作レバー2Bの操作部20Bに掛かる荷重Fとインナーワイヤ11Aからリンク部材3Bのワイヤ係止部31Bに掛かる荷重Pの関係は、第1の実施の形態の操作機構1Aと同様に、上述した(3)式により求められる。
【0058】
第2の実施の形態の操作機構1Bでも、(3)式から、L1とL3を長く、L2とL4を短くして、L1がL2より長く、L3がL4より長い方が、操作レバー2Bの操作部20Bに掛かる荷重Fを低減することができる。
【0059】
操作レバー2B及びリンク部材3Bの支点と力の作用点及び力点が、リンク部材3Bの第2の支軸32B、操作レバー2Bの押圧面22Bとリンク部材3Bの押圧ローラ30Bの接触箇所、操作レバー2Bの第1の支軸21Bの順で設けられることで、機構を大型化することなく、(3)式で荷重を低減する条件を満たすことが可能となる。
【0060】
また、操作レバー2Bが閉じる方向に回動するに従って、操作レバー2Bの押圧面22Bとリンク部材3Bの押圧ローラ30Bの接触箇所が、第1の支軸21Bに近づく方向に移動するので、操作レバー2Bの作用点から第1の支軸21Bまでの長さL2が短くなる。これにより、図4(a)に示すように、操作レバー2Bが開いている握り始めの状態から荷重Fが低減し、図4(b)に示すように操作レバー2Bが閉じるに従い、荷重Fを更に低減することができる。更に、操作レバー2Bの力点が人差し指や中指側となることで、操作レバーの操作を容易にし、より多くの力を掛けることができる。
【0061】
なお、第2の実施の形態の操作機構1Bでは、操作レバー2Bからリンク部材3Bへの力の作用点を回転支点とし、リンク部材3Bの第2の支軸32Bをハンドル部5Bに対して回転かつスライド移動可能な構成とすることでも、同様の作用効果を得ることができる。
【0062】
<第3の実施の形態の操作機構の構成及び動作例>
図5は、第3の実施の形態の操作機構の構成例及び動作例を示す動作説明図である。第3の実施の形態の操作機構1Cは、上述した第1の実施の形態の操作機構1Aに、操作レバーの開度に応じて荷重を変化させる機構を備えたものである。なお、図5において、図1及び図2で説明した構成と同様の部品については、同じ番号を付して説明する。
【0063】
第3の実施の形態の操作機構1Cは、操作者に操作される操作レバー2Aと、操作レバー2Aの動作を操作ワイヤ11に伝達するリンク部材3Cと、操作レバー2Aとリンク部材3Cが取り付けられるブラケット4Aを備える。
【0064】
操作レバー2Aは、第1の支軸21Aによりブラケット4Aに軸支され、操作部20Aで受ける力によって第1の支軸21Aを支点として回動する。操作レバー2Aに設けた作用ピン22Aは、第1の支軸21Aを支点とした操作レバー2Aの回動で変位し、操作部20Aで受ける力をリンク部材3Cに作用させる作用点となる。
【0065】
リンク部材3Cは、操作レバー2Aの作用ピン22Aが接する押圧面30Aと、操作ワイヤ11のインナーワイヤ11Aが取り付けられるワイヤ係止部33を備え、第2の支軸32Aによりブラケット4Aに軸支される。
【0066】
リンク部材3Cは、押圧面30Aと操作レバー2Aの作用ピン22Aの接触箇所が力点となり、第1の支軸21Aを支点とした操作レバー2Aの回動で変位する作用ピン22Aからの力を受けて、第2の支軸32Aを支点に回動する。
【0067】
ワイヤ係止部33は、インナーワイヤ11Aの端部に形成された円筒形状の係止部11Bが着脱及び回転可能で、かつ、インナーワイヤ11Aの係止部11Bと第2の支軸32Aとの距離が可変となる方向にスライド可能に嵌る長穴形状に構成され、リンク部材3Cの第2の支軸32Aを支点とした回動で、インナーワイヤ11Aを引く。
【0068】
ワイヤ係止部33は、操作レバー2Aが操作されることによるリンク部材3Cの回動に伴って、長穴形状の長手方向の向きが変化することで、操作者が操作する操作レバー2Aの開度に応じてインナーワイヤ11Aの係止部11Bの位置を移動させる。すなわち、ワイヤ係止部33は、図5(a)に示すように、操作レバー2Aが開いた状態では、第2の支軸32Aに対して長穴形状の長手方向の最遠部がインナーワイヤ11Aの引き出し側を向き、図5(b)に示すように、操作レバー2Aが握られ閉じた状態では、長穴形状の長手方向の最近部がインナーワイヤ11Aの引き出し側を向くように角度及び形状が設定されている。
【0069】
第3の実施の形態の操作機構1Cの動作について説明すると、図5(a)に示すように、操作レバー2Aが開いた状態では、ワイヤ係止部33は、第2の支軸32Aに対して長穴形状の長手方向の最遠部がインナーワイヤ11Aの引き出し側を向いている。これにより、操作対象物である図示しないブレーキを復元させるバネの力がインナーワイヤ11Aに掛かることで、インナーワイヤ11Aの係止部11Bは、ワイヤ係止部33の長手方向の向きにより、第2の支軸32Aに対して最遠部に位置し、リンク部材3Cの作用点から第2の支軸32Aまでの長さがL4となる。
【0070】
操作機構1Cは、ハンドル部5Aのグリップ50Aを把持する手で、図5(a)に示すように開いた状態の操作レバー2Aを握ることで、操作レバー2Aが矢印A方向に引かれると、操作レバー2Aは第1の支軸21Aを支点に回動する。
【0071】
リンク部材3Cは、第1の支軸21Aを支点とした操作レバー2Aの回動で変位する作用ピン22Aからの力を押圧面30Aで受けて、第2の支軸32Aを支点に回動する。
【0072】
リンク部材3Cが回動することで、ワイヤ係止部33に取り付けられたインナーワイヤ11Aが引かれる。また、リンク部材3Cが回動するに従って、ワイヤ係止部33は、長穴形状の長手方向の向きが変化することで、リンク部材3Cの作用点であるワイヤ係止部33において、インナーワイヤ11Aの係止部11Bが長穴形状に沿って第2の支軸32Aに近づく方向に移動する。これにより、図5(b)に示すように、操作レバー2Aを閉じるように操作することで、インナーワイヤ11Aを引いてブレーキ等を作動させることができる。
【0073】
操作レバー2Aに掛かる荷重Fは、操作レバー2A及びリンク部材3Cにおける力の作用点及び力点と支点間距離の比で作用する。操作レバー2Aの操作部20Aに掛かる荷重Fとインナーワイヤ11Aからリンク部材3Cのワイヤ係止部33に掛かる荷重Pの関係は、第1の実施の形態の操作機構1Aと同様に、上述した(3)式により求められる。
【0074】
第1の実施の形態の操作機構1Cでも、(3)式から、L1とL3を長く、L2とL4を短くして、L1がL2より長く、L3がL4より長い方が、操作レバー2Aの操作部20Aに掛かる荷重Fを低減することができる。
【0075】
また、操作レバー2Aが閉じる方向に回動するに伴いリンク部材3Cが回動するに従って、リンク部材3Cの作用点であるワイヤ係止部33において、インナーワイヤ11Aの係止部11Bが第2の支軸32Aに近づく方向に移動する。図5(b)に示すように、操作レバー2Aが閉じた状態では、ワイヤ係止部33は、第2の支軸32Aに対して長穴形状の長手方向の最近部がインナーワイヤ11Aの引き出し側を向いている。これにより、ブレーキを復元させるバネの力がインナーワイヤ11Aに掛かることで、インナーワイヤ11Aの係止部11Bは、ワイヤ係止部33の長手方向の向きにより、第2の支軸32Aに対して最近部に位置し、リンク部材3Cの作用点から第2の支軸32Aまでの長さがL4となり、リンク部材3Cの作用点から第2の支軸32Aまでの長さL4が短くなる。これにより、図5(a)に示すように、操作レバー2Aが開いている握り始めの状態から荷重Fが低減し、図5(b)に示すように操作レバー2Aが閉じるに従い、荷重Fを更に低減することができる。なお、ワイヤ係止部を長穴形状とする構成を、第2の実施の形態の操作機構に適用することで、操作レバーからリンク部材に掛かる操作荷重の力点の位置と、インナーワイヤに力を作用させるリンク部材の作用点の位置の両方が調整可能となる。
【0076】
なお、各実施の形態において、操作レバー及びリンク部材における力の作用点及び力点と支点間距離の比は、上記例に限られるものではなく、操作レバーに掛かる荷重Fが一定となるようにする構成や、操作レバーのストローク中で荷重を変化させる構成、更に、操作レバーのストローク中で徐々に荷重を変化させる構成、操作レバーのストローク中の一定位置で荷重を変化させる構成等でも良い。
【0077】
<本実施の形態の生活支援用具の構成例>
次に、本実施の形態の生活支援用具の一例として、介護等で用いられる福祉用具を例に説明する。図6は、本実施の生活支援用具としての福祉用具である車椅子の一例を示す構成図である。車椅子6は、フレーム6Aと、フレーム6Aに取り付けられた椅子部7と、フレーム6Aに取り付けられた前輪8と、フレーム6Aに取り付けられた後輪9を備える。
【0078】
フレーム6Aは、例えば、金属製のパイプを組み合わせて構成され、椅子部7を構成する座面70を支持する座面支持部60と、椅子部7を構成する背面71を支持する背面支持部61を備える。また、フレーム6Aは、背面支持部61に第1のハンドル部62Aを備える。
【0079】
第1のハンドル部62Aは、例えば、背面支持部61から後方に突出する形態で、図1及び図5等で説明したハンドル部5Aあるいは図3等で説明したハンドル部5Bを構成する。
【0080】
本例の車椅子6は、椅子部7の背面71を図6に二点鎖線で示すように可倒とするいわゆるリクライニング機構を備えるため、座面支持部60と背面支持部61が可倒支点60aで可倒可能に連結されている。また、背面支持部61を支持する油圧シリンダ63を備える。更に、背面支持部61を倒した状態での操作を容易にするため、背面支持部61の上端に第2のハンドル部62Bを備える。第2のハンドル部62Bは、例えば、背面支持部61の上部から前方に突出する形態である。
【0081】
前輪8は、車椅子6を任意の方向に進行できるようにするため、自在キャスターの機能を備えて回転可能に取り付けられる。後輪9は、ハブ90が回転可能にフレーム6Aに支持される。
【0082】
車椅子6は、主に停止を目的とした制動のため、後輪9に作動するブレーキ91を備える。ブレーキ91は、例えば、円筒形の回転体の外周を帯状の摩擦材で締め付ける形式のバンドブレーキがハブ90に取り付けられる。なお、ブレーキ91としては、ハブ90に取り付けられるディスクブレーキや、タイヤ92が取り付けられたリム93に作用するブレーキでも良い。なお、車椅子6は、ブレーキ91とは別に、静止状態を保持するためのハンドブレーキ94を備えても良い。
【0083】
車椅子6は、ブレーキ91を操作する機構として、図1等で説明した第1の実施の形態の操作機構1A、図3等で説明した第2の実施の形態の操作機構1B、または、図5で説明した第3の実施の形態の操作機構1Cを適用したブレーキレバー10Aを、第1のハンドル部62Aに備える。
【0084】
また、車椅子6は、リクライニング機構を作動させる油圧シリンダ63を操作する機構として、操作機構1A、操作機構1B、または操作機構1Cを適用したリクライニングレバー10Bを第1のハンドル部62Aに備える。
【0085】
ブレーキレバー10Aは、ブレーキ91と操作ワイヤ11で接続され、図1等で説明したインナーワイヤを引くことで、ブレーキ91が作動する。また、リクライニングレバー10Bは、油圧シリンダ63と操作ワイヤ11で接続され、インナーワイヤを引くことで油圧シリンダ63が作動する。
【0086】
操作機構1A、操作機構1B、または操作機構1Cを適用したブレーキレバー10Aは、図2等で説明したように、操作レバー2A等が開いている握り始めの状態から荷重Fが低減し、操作レバー2Aが閉じるまで、荷重Fを低減することができる。これにより、軽い力で操作レバーを握り、十分な制動力を得ることができるので、操作者の負担を軽減することができる。特に、握力が弱い人でも、十分な制動力を得ることができる。また、ブレーキ91は、既存のブレーキを用いることができ、負担の軽減を低コストで実現できる。
【0087】
車椅子6のブレーキは、速度調整の制動より、確実な停止のための制動を目的としている。操作機構1A、操作機構1B、または操作機構1Cを適用したブレーキレバー10Aは、操作レバー2A等のストロークが長くなるが、自転車に適用されるブレーキの操作感と比較して、軽い荷重で操作レバーを握りきるような操作感を与えるほうが、確実な制動を行うことができる。特に、車椅子6が介護に用いられ、操作者も高齢者であるような場合、操作者の握力が弱くなっている場合がある。このような場合、一般的な自転車のブレーキレバーの調整法のように、ブレーキレバーのストロークの半分程度の位置を制動位置とすると、制動位置では十分な力でブレーキレバーを握ることができ難い。これに対して、軽い荷重で操作レバーを握りきるような操作感を与えると、制動位置で十分な力でブレーキレバーを握ることができ、確実な制動を行うことができる。
【0088】
また、操作機構1Bを適用したブレーキレバー10Aは、操作レバー2Bの開く側が人差し指や中指側となることで、操作レバーの操作を容易にし、より多くの力を掛けることができる。更に、操作機構1Bまたは操作機構1Cを適用したブレーキレバー10Aは、操作レバーが開いている握り始めの状態から荷重Fが低減し、操作レバーが閉じるに従い、荷重Fを更に低減することができるので、より確実な制動力を得ることができる。
【0089】
操作機構1A、操作機構1B、または操作機構1Cを適用したリクライニングレバー10Bは、ブレーキレバー10Aと同様に、軽い荷重で油圧シリンダ63を作動させることができる。特に、椅子部7をリクライニングさせる操作は、第1のハンドル部62Aを把持する手でリクライニングレバー10Bを握りながら、第1のハンドル部62Aを引いて背面支持部61を倒すという動作が必要で、また、油圧シリンダ63は、図示しない弁を開閉させて作動させるため、操作レバーのストロークが長くなっても、軽い荷重で握れたほうが、確実かつ容易に操作を行うことができる。
【0090】
ここで、ブレーキレバー10Aとリクライニングレバー10Bは、同じ機構のものを備えても良い。また、同一のハンドル部に2つのレバーを備えることから、ブレーキレバー10Aに第1の実施の形態の操作機構1Aを適用し、リクライニングレバー10Bに第2の実施の形態の操作機構1Bを適用して、異なる操作感を与えることで、それぞれの機能にあった操作感を与えると共に、誤操作を防止できるようにすることもできる。更に、第2のハンドル部62Bにもブレーキレバーを備えるような構成では、第2の実施の形態の操作機構1Bを適用したブレーキレバーを備えることで、第2のハンドル部62Bの前方に操作ワイヤを露出させることなく、ブレーキレバーを取り付けることができる。
【0091】
なお、ブレーキレバー10Aとリクライニングレバー10Bは、操作レバーを握ると、操作レバーが閉じた位置でロックできるような機構を備えても良い。また、ブレーキ91は、操作レバーが開いていると停止状態を保ち、操作レバーを握ると開放する構成のものでも良い。
【0092】
本発明の操作機構を備えた生活支援用具は、手動の車椅子に限るものではなく、他の福祉用具、例えば、電動の車椅子、電動三輪,四輪車、ブレーキを備えた歩行車、介護用のベッド等で可倒機構を作動させる操作機構に適用しても良い。また、福祉用具以外の生活支援用具として、高齢者用の補助輪付きの自転車、幼児同乗の3人乗り自転車、ベビーカー等の車両であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、人が操作する機構を備えた福祉用具等の生活支援用具に適用される。
【符号の説明】
【0094】
1A〜1C・・・操作機構、2A〜2B・・・操作レバー、3A〜3C・・・リンク部材、4A・・・ブラケット、5A,5B・・・ハンドル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の支軸に軸支され、操作者の力を受けて前記第1の支軸を支点に回動する操作部材と、
前記第1の支軸と異なる第2の支軸に軸支され、前記操作部材の動作を、操作対象物を作動させる駆動力伝達手段に伝達するリンク部材とを備え、
前記第1の支軸を支点とした前記操作部材の回動で変位する前記操作部材の作用点から前記リンク部材に掛かる操作荷重の力点を、前記第2の支軸よりも前記操作部材側に設け、前記操作部材に対する操作荷重を低減させる操作力軽減手段を備えた
ことを特徴とする操作機構。
【請求項2】
操作者の力を受ける前記操作部材の操作点から前記第1の支軸までの距離が、前記リンク部材に力を作用させる前記操作部材の作用点から前記第1の支軸までの距離より長く設定される
ことを特徴とする請求項1記載の操作機構。
【請求項3】
前記操作部材の作用点から力を受ける前記リンク部材の力点から前記第2の支軸までの距離が、前記駆動力伝達手段に力を作用させる前記リンク部材の作用点から前記第2の支軸までの距離と同等あるいは長く設定される
ことを特徴とする請求項1または2記載の操作機構。
【請求項4】
前記リンク部材の前記第2の支軸から前記操作部材の操作点に向かい、前記リンク部材の前記第2の支軸、前記操作部材の前記第1の支軸、前記操作部材から前記リンク部材に掛かる操作荷重の力点の順で配置される
ことを特徴とする請求項2または3記載の操作機構。
【請求項5】
操作者が把持する把持部に取り付けられる固定部材に、前記第1の支軸と前記第2の支軸を備える
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の操作機構。
【請求項6】
操作者が把持する把持部に対して一方に前記リンク部材の前記第2の支軸が配置され、他方に前記操作部材の前記第1の支軸が配置され、前記第2の支軸と前記第1の支軸の間に、前記操作部材から前記リンク部材に掛かる操作荷重の力点が配置される
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の操作機構。
【請求項7】
前記操作部材から前記リンク部材に掛かる操作荷重の力点の位置と、前記駆動力伝達手段に力を作用させる前記リンク部材の作用点の位置のどちらか一方あるいは両方を調整可能とした
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の操作機構。
【請求項8】
前記駆動力伝達手段に力を作用させる前記リンク部材の作用点は、前記駆動力伝達手段が取り付けられる前記リンク部材の係止部が、前記リンク部材の作用点から前記第2の支軸までの距離を変化させる方向に延びた長穴形状に構成される
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の操作機構。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の操作機構と、
前記操作機構に操作される操作対象物を備えた
ことを特徴とする生活支援用具。
【請求項10】
操作対象物の操作力を軽減する操作力軽減手段を有した操作機構を備えた
ことを特徴とする生活支援用具。
【請求項11】
前記操作力軽減手段は、
第1の支軸に軸支され、操作者の力を受けて前記第1の支軸を支点に回動する操作部材と、
前記第1の支軸と異なる第2の支軸に軸支され、前記操作部材の動作を、操作対象物を作動させる駆動力伝達手段に伝達するリンク部材とを備え、
前記操作部材の操作に必要な荷重を、前記操作部材及び前記リンク部材における力の作用点及び力点と支点間距離の比で軽減する
ことを特徴とする請求項10記載の生活支援用具。
【請求項12】
前記リンク部材の前記第2の支軸から前記操作部材の操作点に向かい、前記リンク部材の前記第2の支軸、前記操作部材の前記第1の支軸、前記操作部材から前記リンク部材に掛かる操作荷重の力点の順で配置される第1の操作機構と、
操作者が把持する把持部に対して一方に前記リンク部材の前記第2の支軸が配置され、他方に前記操作部材の前記第1の支軸が配置され、前記第2の支軸と前記第1の支軸の間に、前記操作部材から前記リンク部材に掛かる操作荷重の力点が配置される第2の操作機構のいずれか一方、または両方を備え、
機能が異なる複数の前記操作対象物が、それぞれ同一の操作機構または異なる操作機構で操作される
ことを特徴とする請求項9または11記載の生活支援用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−138417(P2011−138417A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298999(P2009−298999)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】