説明

操舵輪用モータ駆動ユニット

【課題】操舵輪用モータ駆動ユニットの軸長を短縮して、これを収容するホイールハウスの側壁を車体外側へ移し得るようにし、車室内スペースの拡大を可能にする。
【解決手段】ブレーキディスク31およびブレーキキャリパを、モータ21と同じく車体側ナックル部材7に取り付ける。この場合、操舵輪1の転舵時にブレーキキャリパがモータ21と干渉せず、モータ21を車体内側方向へ移す必要がない。そのためホイールハウス6の側壁6aを、(a)の位置、つまり(b)に二点鎖線で示す位置から、(b)の矢γで示す車体外側方向へ移動させることができ、車室内スペースを大きくし得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪を個々の電動モータにより駆動して走行可能な電気自動車に用いられる車輪ごとのモータ駆動ユニット(例えばインホイールモータユニットと俗称されるもの)のうち、特に操舵輪用のモータ駆動ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この操舵輪用モータ駆動ユニットとしては従来、例えば特許文献1に記載のようなものが提案されている。
この操舵輪用モータ駆動ユニットは、車体に懸架された車体側ナックル部材と、操舵輪を回転自在に支持した車輪側ナックル部材とを具え、
車体側ナックル部材に設けた電動モータにより自在継手を介して操舵輪を駆動するよう構成したものである。
【0003】
そして、車輪側ナックル部材に回転自在に支持された操舵輪が転舵可能になるよう、車輪側ナックル部材を車体側ナックル部材に対し転舵軸線周りに揺動可能に取着すると共に操舵系に連結する。
かくて、操舵系により車輪側ナックル部材を車体側ナックル部材に対し相対的に転舵軸線周りに揺動させるとき、操舵輪を対応方向へ転舵させることができる。
【0004】
一方で操舵輪用モータ駆動ユニットは、操舵輪を制動するディスクブレーキユニット等のブレーキユニットが不可欠である。
特許文献1には、電動モータおよび操舵輪間を駆動結合する上記の自在継手よりも操舵輪寄りの車輪側ナックル部材上に配してブレーキユニットを設け、これにより操舵輪を制動し得るようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−122953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、かかる操舵輪用モータ駆動ユニットにあっては、ブレーキユニットを車輪側ナックル部材上に配して設けるため、
操舵輪の転舵時にブレーキユニットも操舵輪と共に転舵方向へ変位することとなり、例えば今日多用されるディスクブレーキユニットの場合、ブレーキディスクの外周側にあって軸線方向に大きく張り出しているブレーキキャリパが、車体側ナックル部材上の電動モータと干渉し易い。
【0007】
従って従来の操舵輪用モータ駆動ユニットでは、この干渉を回避するよう電動モータをブレーキユニットから遠ざかる車体内側方へ移して配置する必要が生ずる。
このことは、操舵輪用モータ駆動ユニットが収容されているホイールハウスの側壁を車体内側方へずらす必要があることを意味し、その分だけ車室内有効スペースが犠牲になって、車室内有効スペースの増大が可能であるという電気自動車のメリットが失せてしまう。
【0008】
しかも、上記のように電動モータを車体内側方へ移す場合、電動モータが取り付けられている車体側ナックル部材を車体に懸架するサスペンション装置も同方向へ移す必要が生じ、車室内有効スペースが更に犠牲になるというように、電気自動車にとって看過できない問題が発生する。
【0009】
本発明は、上記の問題がブレーキユニットの操舵輪転舵方向変位に起因するとの事実認識に基づき、ブレーキユニットを、操舵輪の転舵に伴われて変位することのないような配置とすることで、上記の問題を解消し得るようにした操舵輪用モータ駆動ユニットを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のため、本発明の操舵輪用モータ駆動ユニットは、以下のごとくにこれを構成する。
先ず、本発明の前提となる操舵輪用モータ駆動ユニットを説明するに、これは、
車体に懸架された車体側メンバと、操舵輪を回転自在に支持した車輪側メンバとを具え、上記操舵輪が転舵可能になるよう、上記車輪側メンバを上記車体側メンバに対し転舵軸線周りに揺動可能に取着し、上記車体側メンバに設けた回転電機により上記操舵輪を駆動するようにしたものである。
【0011】
本発明は、かかる操舵輪用モータ駆動ユニットにおいて、
上記操舵輪を制動するためのブレーキユニットを、上記車体側メンバ上に配して設けた構成に特徴づけられる。
【発明の効果】
【0012】
かかる本発明の操舵輪用モータ駆動ユニットによれば、ブレーキユニットを車体側メンバ上に配して設けたため、操舵輪の転舵時も、これに伴われてブレーキユニットが転舵方向へ変位することがない。
【0013】
従って、ブレーキユニットが回転電機と干渉することがなく、この干渉を回避するよう回転電機をブレーキユニットから遠ざかる方向へ移す必要もない。
従って、操舵輪用モータ駆動ユニットが収容されているホイールハウスの側壁を車体内側方へずらす必要がなく、車室内有効スペースが犠牲になるという前記の問題を解消可能である。
【0014】
しかも、上記のように回転電機を車体内側方へ移す必要がないことから、回転電機が取り付けられている車体側メンバを車体に懸架するサスペンション装置を同方向へ移す必要もなく、この点においても車室内有効スペースが犠牲になるという前記の問題を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電気自動車の操舵輪用インホイールモータユニットとして構成した本発明の第1実施例になる操舵輪用モータ駆動ユニットを車両前方から見て示す縦断正面図である。
【図2】図1の操舵輪用モータ駆動ユニットを同図のII−II線上で断面とし、矢の方向に見て示す縦断側面図である。
【図3】図2の操舵輪用モータ駆動ユニットを同図のIII−III線上で断面とし、矢の方向に見て示す横断平面図である。
【図4】図3において操舵輪を転舵下状態を示す、図3と同様な横断平面図である。
【図5】従来の操舵輪用モータ駆動ユニットと、図1〜3に示す操舵輪用モータ駆動ユニットとを比較するための、図1と同様な縦断正面図で、 (a)は、従来の操舵輪用モータ駆動ユニットを示す縦断正面図 (b)は、図1〜3に示す操舵輪用モータ駆動ユニットの縦断正面図である。
【図6】従来の操舵輪用モータ駆動ユニットを、操舵輪転舵状態で示す、図4と同様な横断平面図である。
【図7】電気自動車の操舵輪用インホイールモータユニットとして構成した本発明の第2実施例になる操舵輪用モータ駆動ユニットを車両前方から見て示す、図1と同様な縦断正面図である。
【図8】図7に示す第2実施例の操舵輪用モータ駆動ユニットと、図1〜3に示す第1実施例の操舵輪用モータ駆動ユニットとを比較説明するための、図1,7と同様な縦断正面図である。
【図9】電気自動車の操舵輪用インホイールモータユニットとして構成した本発明の第3実施例になる操舵輪用モータ駆動ユニットを車両前方から見て示す、図1,7と同様な縦断正面図である。
【図10】図9の操舵輪用モータ駆動ユニットを同図のX−X線上で断面とし、矢の方向に見て示す中心部縦断側面図である。
【図11】図9,10に示す第3実施例の操舵輪用モータ駆動ユニットと、図7に示す第2実施例の操舵輪用モータ駆動ユニットとを比較説明するための、図1,7,8と同様な縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
<第1実施例の構成>
図1〜3は、操舵輪用インホイールモータユニットとして構成した本発明の第1実施例になる操舵輪用モータ駆動ユニットを示し、
図1は、これを車両前方から見て示す縦断正面図、図2は、図1の操舵輪用モータ駆動ユニットをII−II線上で断面とし、矢の方向に見て示す縦断側面図、図3は、図2の操舵輪用モータ駆動ユニットをIII−III線上で断面とし、矢の方向に見て示す横断平面図である。
【0017】
これらの図において、1は操舵輪で、これを、ホイールディスク2およびその外周に結着したホイールリム3より成るホイールと、ホイールリム3の外周に嵌めたタイヤ4とにより構成する。
操舵輪1は、これを駆動するインホイールモータユニット型式の操舵輪用モータ駆動ユニット5と共に、電気自動車の車体に設定したホイールハウス6内に収納する。
【0018】
操舵輪用モータ駆動ユニット5は、車体側メンバとしての車体側ナックル部材7と、車輪側メンバとしての車輪側ナックル部材8とから成るナックル9を具える。
車体側ナックル部材7は、車両前後方向に見て図1のごとくC字状のメンバとし、この車体側ナックル部材7は、ショックアブソーバ11およびサスペンションスプリング12を1ユニットに組み立てて構成したストラット13と、A型ロアアーム14とから成るサスペンション装置を介して、電気自動車の車体に上下方向揺動可能に、しかしそれ以外の方向へは変位不能に懸架する。
【0019】
車輪側ナックル部材8も、車両前後方向に見て図1のごとくC字状のメンバとし、この車輪側ナックル部材8には操舵輪1を回転自在に支持する。
そのため操舵輪1の中心における車輪支持軸15を、車輪側ナックル部材8の両端間中央において車輪側ナックル部材8に貫通させ、この貫通部において車輪支持軸15を軸受16により車輪側ナックル部材8に支承する。
【0020】
上記のごとく車輪側ナックル部材8に回転自在に支持した操舵輪1が転舵可能となるよう、車輪側ナックル部材8を車体側ナックル部材7に対しキングピン軸線(転舵軸線)O1の周りに揺動可能に取着する。
【0021】
このため、車体側ナックル部材7および車輪側ナックル部材8は、それぞれのC字状が向かい合わせになるよう対向させて配置する。
そして、車体側ナックル部材7および車輪側ナックル部材8の上端同士を、キングピン軸線O1上のアッパージョイント17により同軸線O1の周りに揺動可能に連節すると共に、車体側ナックル部材7および車輪側ナックル部材8の下端同士を、キングピン軸線O1上のロアジョイント18により同軸線O1の周りに揺動可能に連節する。
【0022】
車輪側ナックル部材8には図2,3に示すごとく、ロアジョイント18の箇所から略車両後方に延在させてナックルアーム19を固着する。
かかるナックルアーム19の遊端には、同じく図2,3に示すごとくタイロッド20を連節する。
タイロッド20は、ナックルアーム19との連節端から遠い端部を操舵系(図示せず)に連節され、ステアリングホイール(図示せず)から操舵力を受けるとき長手方向にストロークするものである。
【0023】
かくして、ステアリングホイール(図示せず)の操舵時は、タイロッド20が対応する長手方向へストロークし、ナックルアーム19を介して車輪側ナックル部材8を車体側ナックル部材7に対し相対的にキングピン軸線O1の周りで対応方向へ揺動させ、操舵輪1を対応方向へ転舵することができる。
図4は、ステアリングホイールの操舵によりタイロッド20が矢印αで示す方向へストロークされ、ナックルアーム19を介して車輪側ナックル部材8(操舵輪1)がβで示す角度だけ転舵されたときの状態を示す。
【0024】
車体側ナックル部材7上には、操舵輪1の動力源である回転電機を構成する電動モータ21を、非転舵時における操舵輪1の車輪支持軸15と同軸になるよう配して設ける。
電動モータ21は、モータケース22の内周に固設した円筒状のステータ23と、このステータ23の内周に僅かなラジアルギャップを持たせてモータケース22内に回転自在に軸支したロータ24と、この軸支を司るようロータ24の中心に結着されたロータ軸25およびこれと同心のモータ出力軸(回転電機軸)26間を駆動結合する減速機27とから成るギヤードモータとする。
【0025】
減速機27は、モータ出力軸26と対向するロータ軸25の端部に一体成形して設けたサンギヤ27sと、モータケース22に固設した固定リングギヤ27rと、これらサンギヤ27sおよびリングギヤ27rに噛合して遊星運動を行うプラネタリピニオン27pと、プラネタリピニオン27pを回転自在に支持すると共にモータ出力軸26に結合されたキャリア27cとから成る単純遊星歯車組とする。
【0026】
減速機27は、電動モータ21(ロータ24)からの回転をサンギヤ27sに入力され、サンギヤ27sの回転がプラネタリピニオン27pを固定リングギヤ27rの内周に沿って転動させ、この転動がキャリア27cを経てモータ出力軸26に伝達するよう機能する。
よって減速機27は、電動モータ21(ロータ24)からの回転を、サンギヤ27sおよびリングギヤ27r間の歯数比で減速し、この減速回転をモータ出力軸26に伝達することができる。
【0027】
モータ出力軸26と、操舵輪支持軸15との間を等速自在継手28により駆動結合し、これにより操舵輪1を非転舵時も転舵時も、電動モータ21により個別に駆動し得るようにする。
なお等速自在継手28は、操舵輪1が転舵されていて、操舵輪支持軸15およびモータ出力軸26間に軸交角が発生している場合でも、操舵輪1を角速度変化なしに等速で駆動することができる。
【0028】
操舵輪用モータ駆動ユニット5は、操舵輪1を制動するブレーキユニットが不可欠である。
そのため本実施例においては、ブレーキディスク31と、図2,3に示すごとく該ブレーキディスク31の外周部分に跨ってこのブレーキディスク外周部分を軸線方向両側から挟圧するブレーキキャリパ32とから成るディスクブレーキユニット33を設ける。
【0029】
かかるディスクブレーキユニット33の設置に際しては、ブレーキディスク31を図1,3に示すごとく、電動モータ21(モータ出力軸26)および操舵輪1(操舵輪支持軸15)間を駆動結合する等速自在継手28よりも電動モータ21に近い側のモータ出力軸26と共に回転するよう、このモータ出力軸26に結着する。
【0030】
かくしてブレーキディスク31はモータ出力軸26を介して操舵輪1と共に回転され、これを制動するためのブレーキキャリパ32は、図3に示すごとく等速自在継手28およびこれに近い電動モータ21の端部(減速機27)の外周側に配して車体側ナックル部材7に取着する。
なおブレーキキャリパ32は、上記のごとく等速自在継手28および減速機27の双方に被さるよう両者の外周側に配置する代わりに、
これら等速自在継手28および減速機27のいずれか一方のみに被さるようその外周側に配置してもよいのは言うまでもない。
【0031】
操舵輪1の制動に際しては、これと共に回転するブレーキディスク31の外周部分を、車体側ナックル部材7上のブレーキキャリパ32により、軸線方向両側から挟圧することで操舵輪1を制動することができる。
【0032】
<第1実施例の作用>
電動モータ21は、ステータ23への通電によりロータ24を駆動するとき、ロータ24の回転を減速機27による減速下で、モータ出力軸26から操舵輪1へ伝達し、この操舵輪1を回転駆動して電気自動車を走行させることができる。
【0033】
電気自動車の操向に際し、運転者がステアリングホイール(図示せず)を操舵すると、操舵力がタイロッド20を対応する長手方向へストロークさせる。
かかるタイロッド20の長手方向ストロークは、ナックルアーム19を介して車輪側ナックル部材8を車体側ナックル部材7に対し相対的に、キングピン軸線O1の周りで対応方向へ揺動させ、
車輪側ナックル部材8に回転自在に支持されている操舵輪1を対応方向へ転舵することができる。
【0034】
操舵輪1の制動に際し、運転者がブレーキペダルを踏み込むと、車体側ナックル部材7上のブレーキキャリパ32が作動される。
この時ブレーキキャリパ32は、操舵輪1と共に回転するブレーキディスク31の外周部分を軸線方向両側から挟圧し、ブレーキディスク31を操舵輪1と共に制動することができる。
【0035】
<第1実施例の効果>
上記した第1実施例の操舵輪用モータ駆動ユニット5によれば、ブレーキディスク31およびブレーキキャリパ32より成るブレーキユニット33を車体側ナックル部材7に取り付けて設けたため、以下のような効果を得ることができる。
【0036】
第1実施例の効果を説明するに先立って、前記した従来の操舵輪用モータ駆動ユニットを説明するに、これは、図1〜4におけると同様に機能する部分に同一符号を付して示すと図5(a)および図6に示すごとく、ブレーキディスク31およびブレーキキャリパ32より成るブレーキユニット33が車輪側ナックル部材8に取り付けられていた。
【0037】
このため、操舵輪1を図4と同じくβだけ転舵した場合の状況を示す図6から明らかなように、ブレーキキャリパ32が電動モータ21の外端部と干渉する虞がある。
この干渉を避けるためには、電動モータ21を車体内側方向、つまり図5(a)の左方へ移す必要があり、その分だけホイールハウス6の側壁6aが車体内側方向へ張り出して、車室内スペースが犠牲になる。
【0038】
なお、上記の干渉を避けるためにブレーキキャリパ32を図6に示す車両前方位置ではなく、転舵による位置変化が少なくなる位置、つまり図5(a)にハッチングを付して示す上方位置B1または下方位置B2に配置換えすることが考えられる。
しかし、これら上方位置B1または下方位置B2には、ナックル部材7,8間を揺動可能に連節するためのジョイント17,18が存在し、ここにブレーキキャリパ32を配置し得るほどの大きなスペースを確保し得ないのが実情であって、ブレーキキャリパ32の配置換えによる対策では現実的な問題解決とならず、採用不可能である。
【0039】
また、ブレーキユニット33を車輪側ナックル部材8に取り付けるのでは、ブレーキディスク31を操舵輪支持軸15と共に回転するようこの軸に結着することになるため、ブレーキディスク31がキングピン軸線O1に近い位置となる。
一方でブレーキディスク31は、ブレーキユニット33の冷却性能の観点などから要求厚さを確保する必要があり、この要求厚さを確保するために、キングピン軸線O1を図5(a)に示すように大きく傾斜させて、ホイールセンタのキングピンオフセット量を増やす必要がある。
【0040】
かかるキングピン軸線O1の大きな傾斜(キングピンオフセット量の増大)は、等速自在継手28および電動モータ21を車体内側方向、つまり図5(a)の左方へ追いやることとなり、その分だけホイールハウス6の側壁6aが更に車体内側方向へ張り出して、車室内スペースを更に大きく犠牲にするという問題を生ずる。
【0041】
また、上記の故に電動モータ21の位置が車体内側方向へ移ると、操舵輪1のリバウンドストローク時(ロアアーム14の車体側取り付け点が上昇し、操舵輪側取り付け点が低下するサスペンションストローク時)におけるロアアーム14と電動モータ21との干渉を考慮した、図5(a)に示す許可領域と不許可領域との間における境界線(電動モータ21とロアアーム14との干渉限界線)Cが上昇してしまう。
【0042】
そのため、電動モータ21の外径を大きくすることができず、この外径は図5(a) および図6に示すごときものにするのが限界であった。
さりとて電動モータ21の出力は要求出力を賄い得るものであるを要し、そのため電動モータ21は図5(a)および図6に示すごとく軸長を長くせざるを得ず、その分だけホイールハウス6の側壁6aが更に車体内側方向へ張り出して、車室内スペースが更に大きく犠牲になるという問題を生ずる。
【0043】
これに対し第1実施例の操舵輪用モータ駆動ユニットによれば、ブレーキディスク31およびブレーキキャリパ32より成るブレーキユニット33を、電動モータ21と同じく車体側ナックル部材7に取り付けるため、
図6と同じβだけ操舵輪1を転舵した時の状態を示す図4から明らかなように、転舵によってもブレーキキャリパ32が電動モータ21と干渉することがない。
【0044】
このため、電動モータ21を車体内側方向、つまり図4の上方へ移す必要がなく、その分だけホイールハウス6の側壁6aを、図5(a)の位置、つまり図5(b)に二点鎖線で示す位置から、図5(b)の矢γで示す車体外側方向へ移動させることができ、車室内スペースを大きく確保することができる。
【0045】
また、ブレーキユニット33を車体側ナックル部材7に取り付ける第1実施例の構成によれば、キングピン軸線O1を図5(a)に示す従来のように大きく傾斜させる必要がなく、キングピン軸線O1を図1および図5(b)に示すごとく立てることができる。
このため、等速自在継手28および電動モータ21を車体内側方向、つまり図5(b)の左方へ追いやる必要がなく、これによってもホイールハウス6の側壁6aを図5(b)の矢γで示す車体外側方向へ移動させ得て、車室内スペースを大きく確保することができる。
【0046】
更に、上記のように電動モータ21の位置を車体内側方向へ移す必要がないことで、操舵輪1のリバウンドストローク時(ロアアーム14の車体側取り付け点が上昇し、操舵輪側取り付け点が低下するサスペンションストローク時)におけるロアアーム14と電動モータ21との干渉を考慮した、図5(b)に示す許可領域と不許可領域との間における境界線(電動モータ21とロアアーム14との干渉限界線)Cが上昇することもない。
【0047】
そのため、電動モータ21の外径を図1〜3および図5(b)に示すように大きくすることができ、電動モータ21の要求出力が同じである場合は、その軸長を図1〜3および図5(b)に示すように短縮し得る。
よって、電動モータ21の軸長短縮分だけホイールハウス6の側壁6aを図5(b)の矢γで示す車体外側方向へ移動させ得て、車室内スペースを大きく確保することができる。
【0048】
また、ブレーキディスク31を図1,3に示すごとく、電動モータ21(モータ出力軸26)および操舵輪1(操舵輪支持軸15)間を駆動結合する等速自在継手28よりも電動モータ21に近い側のモータ出力軸26と共に回転するよう、このモータ出力軸26に結着し、
ブレーキキャリパ32を図3に示すごとく、等速自在継手28およびこれに近い電動モータ21の端部(減速機27)の外周側に配して車体側ナックル部材7に取着したため、
ブレーキキャリパ32が、等速自在継手28および減速機27の外周側におけるスペースを有効利用して配置されることとなる。
従って、ブレーキキャリパ32が操舵輪用モータ駆動ユニット5の軸長を大きくする原因とならず、この点でも、ホイールハウス6の側壁6aを図5(b)の矢γで示す車体外側方向へ移動させ得て、車室内スペースを大きく確保することができる。
【0049】
<第2実施例の構成>
図7は、本発明の第2実施例になる操舵輪用モータ駆動ユニットを示し、本実施例においても操舵輪用モータ駆動ユニットを、第1実施例と同じく、操舵輪用インホイールモータユニットとして構成する。
本実施例でも、操舵輪用モータ駆動ユニットは基本的に、図1〜3に示す第1実施例と同じ構成とするため、対応する部分に同一符号を付して示すにとどめ、重複説明を避けた。
【0050】
以下、第1実施例と相違する構成のみを図7に基づき説明する。
図7は、図1に対応する操舵輪用モータ駆動ユニットの縦断正面図で、操舵輪1が転舵されていない状態を示す。
この非転舵状態で車両前後方向に見て、つまり操舵輪1の非転舵状態での転動方向に見て、等速自在継手28よりも電動モータ21側の回転軸線O2、つまりロータ軸25およびモータ出力軸26を、操舵輪1の回転軸線O3に対し、つまり操舵輪支持軸15に対しθだけ傾斜させる。
【0051】
その傾斜方向は、電動モータ21のロータ軸25およびモータ出力軸26により提供される電動モータ側回転軸線O2の、等速自在継手28から遠い内端(図7の左端)が反対側の外端(図7の右端)よりも高くなるような傾斜方向とする。
なお、本実施例のように傾斜角θを設定する場合も、等速自在継手28の可動角に問題さえなければ、第1実施例の場合と同じ構成部品を用い得ること勿論である。
【0052】
<第2実施例の作用効果>
本実施例の操舵輪用モータ駆動ユニットも、基本的な構成が第1実施例と同じであるため、第1実施例と同様に操舵輪1をモータ駆動したり、転舵したり、ブレーキディスク31を含むブレーキユニットにより制動したりして、所定の作用を行うことができ、また第1実施例の前記効果をそのまま奏することができる。
【0053】
加えて本実施例においては、以下のような効果をも奏することができる。
つまり、電動モータ側回転軸線O2を操舵輪回転軸線O3に対し、等速自在継手28から遠い内端が反対側の外端よりも高くなるようθだけ傾斜させたため、
図7と同じ状態を示す図8から明らかなように、電動モータ21とロアアーム14との干渉限界線である境界線Cと、電動モータ側回転軸線O2との間における距離Dが大きくなり、その分だけ電動モータ21の外径を大きくすることができる。
【0054】
電動モータ21の要求出力が同じである場合は、電動モータ21の上記外径増大分だけその軸長を短縮し得て、ホイールハウス6の側壁6aを第1実施例の場合よりも更に、図8の矢δで示すごとく車体外側方向へ移動させ得て、車室内スペースを更に大きく確保することができる。
【0055】
しかし、第2実施例のように電動モータ側回転軸線O2を操舵輪回転軸線O3に対し、等速自在継手28から遠い内端が反対側の外端よりも高くなるようθだけ傾斜させると、
図8の領域Eにおいて、ブレーキディスク31がアッパージョイント17に接近して、これとの干渉が懸念される。
【0056】
そのため電動モータ21が、車体外側方向(図8の右方向)取り付け位置に制限を受けこととなり、電動モータ21の車幅方向位置は、図8に破線21'で示す第1実施例の電動モータの車幅方向位置と比較して大きな差がない。
しかし、上記した電動モータ21の外径増大によるモータ軸長の短縮分が、ホイールハウス6の側壁6aを第1実施例の場合よりも確実に、図8の矢δで示すごとく車体外側方向へ移動させ得て、車室内スペースを確実に大きくすることができる。
【0057】
<第3実施例の構成>
図9,10は、本発明の第3実施例になる操舵輪用モータ駆動ユニットを示し、本実施例においても操舵輪用モータ駆動ユニットを、第1実施例および第2実施例と同じく、操舵輪用インホイールモータユニットとして構成する。
本実施例でも、操舵輪用モータ駆動ユニットは基本的に、図1〜3に示す第1実施例と同じ構成にするため、また図7に示す第2実施例と同様、操舵輪1の非転舵状態でその転動方向である車両前後方向に見て、等速自在継手28よりも電動モータ21側の回転軸線O2、つまりロータ軸25およびモータ出力軸26を、操舵輪1の回転軸線O3に対し、つまり操舵輪支持軸15に対しθだけ傾斜させるため、対応する部分に同一符号を付して示すにとどめ、重複説明を避けた。
【0058】
以下、第1実施例および第2実施例と異なる構成のみを図9,10に基づき説明する。
図9は、図1および図7に対応する操舵輪用モータ駆動ユニットの縦断正面図で、操舵輪1が転舵されていない状態を示し、図10は、図9の操舵輪用モータ駆動ユニットをX−X線上で断面とし、矢の方向に見て示す中心部縦断側面図である。
【0059】
第3実施例では、第2実施例と以下の2点で相違する。
第1の相違点は図9に示すように、車体側ナックル部材7と車輪側ナックル部材8とを相互に、キングピン軸線O1の周りで揺動し得るよう連結するアッパージョイント17およびロアジョイント18のうち、上側のアッパージョイント17を、車両前後方向に見てブレーキディスク31の軸直角二等分面31aよりも車体内側(図9の左側)、つまり電動モータ21に近い側に配置し、
下側のロアジョイント18を、ブレーキディスク31の軸直角二等分面31aよりも車体外側(図9の右側)、つまり操舵輪1に近い側に配置させたことである。
【0060】
ブレーキディスク31の軸直角二等分面31aに対しアッパージョイント17およびロアジョイント18をかかる配置にするに当たっては、図9に示すように、操舵輪1の回転軸線O3に対する電動モータ回転軸線O2の傾斜角θ、およびキングピン軸線O1の内傾角をそれぞれ、図7に示す第2実施例の場合よりも大きくすることで目的を達成することができる。
【0061】
第2実施例に対する二番目の相違点は、図10に示すように、電動モータ回転軸線O2の軸線方向に見てブレーキキャリパ32の中心32aが、ブレーキディスク31の回転軸線を通る水平面Hよりも下側に位置するよう、ブレーキキャリパ32を車体側ナックル部材7に取着したことである。
【0062】
なお、アッパージョイント17、ロアジョイント18およびブレーキキャリパ32を本実施例のように配置換えした場合も、等速自在継手28の可動角に問題さえなければ、第1実施例および第2実施例と同じ構成部品を用いることができるのは言うまでもない。
【0063】
<第3実施例の作用効果>
本実施例の操舵輪用モータ駆動ユニットも、基本的な構成が第1実施例および第2実施例と同じであるため、第1実施例および第2実施例と同様に操舵輪1をモータ駆動したり、転舵したり、ブレーキディスク31を含むブレーキユニットにより制動したりして、所定の作用を行うことができ、また第1実施例および第2実施例の前記効果をそのまま奏することができる。
【0064】
加えて本実施例においては、以下のような効果をも奏することができる。
つまり、アッパージョイント17を、車両前後方向に見てブレーキディスク31の軸直角二等分面31aよりも車体内側(図9の左側)、つまり電動モータ21に近い側に配置させ、ロアジョイント18を、ブレーキディスク31の軸直角二等分面31aよりも車体外側(図9の右側)、つまり操舵輪1に近い側に配置させたため、
操舵輪回転軸線O3に対する電動モータ側回転軸線O2の傾斜角θを大きくしても、ブレーキディスク31の上方における周縁部および下方における周縁部がそれぞれ、アッパージョイント17およびロアジョイント18から離れる方向へ移動するだけで、ブレーキディスク31の上方周縁部および下方周縁部がアッパージョイント17およびロアジョイント18に干渉することがない。
【0065】
従って、ブレーキディスク31の上方周縁部および下方周縁部とアッパージョイント17およびロアジョイント18との干渉を懸念することなく、操舵輪回転軸線O3に対する電動モータ側回転軸線O2の傾斜角θを、図9と図7,8との比較から明らかなように大きくすることができる。
この傾斜角θを大きくすると、電動モータ側回転軸線O2がその分だけ図11に示すように上昇され、電動モータ21とロアアーム14との干渉限界線である境界線Cと、電動モータ側回転軸線O2との間における距離Dが図8(第2実施例)の場合よりも更に大きくなり、その分だけ電動モータ21の外径を図8(第2実施例)の場合よりも更に大きくすることができる。
【0066】
電動モータ21の要求出力が同じである場合は、電動モータ21の上記外径増大分だけその軸長を図8(第2実施例)の場合よりも更に短縮し得て、電動モータ21を、図11に破線21"で示す図7,8(第2実施例)の電動モータ外寸との比較から明らかなように、更に大径で、軸長の短いものにすることができる。
かかる電動モータ21の軸長短縮は、ホイールハウス6の側壁6aを図8(第2実施例)の場合よりも更に、図11の矢εで示すごとく車体外側方向へ移動させ得て、車室内スペースを更に大きく確保することができる。
【0067】
なお、かかる効果を達成するためには前記した通りキングピン軸線O1の内方傾斜角を大きくする必要があり、結果としてホイールセンタでのキングピンオフセット量が第2実施例の場合よりも増加することになる。
しかし、ブレーキディスク31の軸直角二等分面31aとキングピン軸線O1とが交差し、ブレーキディスク31が一層、等速自在継手28に接近するため、結果として電動モータ21は車体内側方へ張り出させる必要がない。
【0068】
また第3実施例においては、キングピン軸線O1の内方傾斜角を大きくしたことに伴い、ブレーキキャリパ32が操舵輪1に接近して、両者間の干渉を生ずる虞がある。
しかし本実施例においては、ブレーキキャリパ32を図10に示すごとく、その中心32aがブレーキディスク31の回転軸線を通る水平面Hよりも下側位置となるよう配置して車体側ナックル部材7に取着したため、
ブレーキキャリパ32が、軸線方向スペースに余裕のある所に配置されることとなって、ブレーキキャリパ32と操舵輪1との間の軸線方向隙間を大きく確保することができ、ブレーキキャリパ32が操舵輪1と干渉するという上記の懸念を払拭することができる。
【0069】
<その他の実施例>
なお上記した各実施例においてはいずれも、操舵輪用モータ駆動ユニットを電気自動車の操舵輪用インホイールモータユニットとして構成したが、
本発明の操舵輪用モータ駆動ユニットは、電気自動車の操舵輪用インホイールモータユニットに限られるものではなく、操舵輪を個々の電動モータにより駆動する車両であれば、例えばハイブリッド車両などあらゆる車両の操舵輪用モータ駆動ユニットとして適用可能であるのは言うまでもない。
【0070】
また上記した各実施例においては、電動モータ21が減速機27を内蔵したギヤードモータである場合につき説明したが、
電動モータ21が、減速機などの変速機を内蔵しない型式のモータである場合も、本発明の着想を適用して同様な作用効果を奏し得るようになすことが可能なこと勿論である。
【符号の説明】
【0071】
1 操舵輪
5 操舵輪用モータ駆動ユニット
6 ホイールハウス
6a ホイールハウス側壁
7 車体側ナックル部材(車体側メンバ)
8 車輪側ナックル部材(車輪側メンバ)
9 ナックル
O1 キングピン軸線(転舵軸線)
O2 電動モータ側軸線
O3 操舵輪回転軸線(回転電機軸線)
11 ショックアブソーバ
12 サスペンションスプリング
13 ストラット
14 A型ロアアーム
15 車輪支持軸
17 アッパージョイント
18 ロアジョイント
19 ナックルアーム
20 タイロッド
21 電動モータ(回転電機)
22 モータケース
23 ステータ
24 ロータ
25 ロータ軸
26 モータ出力軸(回転電機軸)
27 減速機
28 等速自在継手
31 ブレーキディスク
H ブレーキディスク軸直角二等分面
32 ブレーキキャリパ
32a ブレーキキャリパ中心
33 ブレーキユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に懸架された車体側メンバと、操舵輪を回転自在に支持した車輪側メンバとを具え、前記操舵輪が転舵可能になるよう、前記車輪側メンバを前記車体側メンバに対し転舵軸線周りに揺動可能に取着し、前記車体側メンバに設けた回転電機により前記操舵輪を駆動するようにした操舵輪用モータ駆動ユニットにおいて、
前記操舵輪を制動するためのブレーキユニットを、前記車体側メンバ上に配して設けたことを特徴とする操舵輪用モータ駆動ユニット。
【請求項2】
前記ブレーキユニットが前記操舵輪と共に回転するブレーキディスク、および該ブレーキディスクの外周部分に跨って該ブレーキディスクの外周部分を挟圧するブレーキキャリパより成るものである、請求項1に記載の操舵輪用モータ駆動ユニットにおいて、
前記ブレーキディスクは、前記回転電機および操舵輪間を駆動結合する自在継手よりも回転電機側の回転電機軸と共に回転するようこの回転電機軸に結着し、
前記ブレーキキャリパは、前記自在継手および/または回転電機の外周側に配して前記車体側メンバに取着したものであることを特徴とする操舵輪用モータ駆動ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の操舵輪用モータ駆動ユニットにおいて、
前記回転電機および操舵輪間を駆動結合する自在継手よりも回転電機側の回転電機軸を、前記操舵輪の非転舵状態での転動方向に見て、前記操舵輪の回転軸線に対し傾斜させ、その傾斜方向を、前記回転電機軸の前記自在継手から遠い内端が反対側の外端よりも高くなるような傾斜方向としたことを特徴とする操舵輪用モータ駆動ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の操舵輪用モータ駆動ユニットにおいて、
前記回転電機軸の軸線方向に見て前記ブレーキキャリパの中心が、前記ブレーキディスクの回転軸線を通る水平面よりも下側に位置するよう、前記ブレーキキャリパを前記車体側メンバに取着したことを特徴とする操舵輪用モータ駆動ユニット。
【請求項5】
請求項3または4に記載の操舵輪用モータ駆動ユニットにおいて、
前記操舵輪の転舵軸線を提供する前記車輪側メンバおよび車体側メンバ間における揺動取着点のうち、一方の揺動取着点が、前記操舵輪の非転舵状態での転動方向に見て、前記ブレーキディスクの軸直角二等分面よりも前記回転電機に近い側に位置するよう、また他方の揺動取着点が、前記操舵輪の非転舵状態での転動方向に見て、前記ブレーキディスクの軸直角二等分面よりも前記操舵輪に近い側に位置するよう、前記車輪側メンバを前記車体側メンバに対し揺動可能に取着したことを特徴とする操舵輪用モータ駆動ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−218931(P2011−218931A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89107(P2010−89107)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】