説明

支点変動ボールジョイント

【課題】 従来のボールジョイントを設定している装置では、決定された支点での摺動機能だけがボールジョイントの役割であった。本案は従来のボールジョイントにアジャスターを設定しアジャスターを活用することでボールジョイントそのものに調整機能を発生させ、そのボールジョイントの調整機能と関連部位の調整機能と連動させ活用する。
【解決手段】 従来のボールジョイントのハウジング部とボールスタッド部の間にアジャスターを設定した構造体で、各々が保持摺動する内容でアジャスターの偏心位置にボールスタッドを設定しさらにアジャスターを任意に回転移動させる。
アジャスターの回転移動によりボールスタッドの位置が移動することで支点が変動する。この支点の変動はすなわち調整機能の発生であり、関連部位と接続し活用することでより高度な調整が可能になり、さらに関連部位の固定調整機能をリアルタイムに変動調整機能として活用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボールジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のボールジョイントは決定された支点での摺動機能のみを有する装置である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ボールジョイント本体で摺動機能と調整機能を同時に可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ハウジングとボールスタッドの間にアジャスターを設定し、各々が保持、摺動する構造体でアジャスターの偏心位置にボールスタッドを設定し、アジャスターを任意に回転運動させるとボールスタッドの支点を変化させることが出来る。ボールスタッドの支点の変化は関連部位との間に距離の変化生じ、その距離の変化を調整機能として活用する。
【0005】
図1を原点位置とし、アジャスターを右回転させるとボールスタッドがハウジングに対し右下部に移動する。その最大移動状態を図2に示す。
【0006】
図1を原点位置とし、アジャスターを左回転させるとボールスタッドがハウジングに対し右下部に移動する。その最大移動状態を図3に示す。
【0007】
上記0006、0007の動きがボールスタッドの支点の変動になり、この動きを調整機能として活用する。
【発明の効果】
【0008】
ボールジョイント本体に摺動及び調整機能が発生すると、関連部位の調整機能と連動させることで、ボールジョイントを使用する装置の活用の範囲の拡大と、より高度な調整が可能となり、さらに関連部位の固定調整機能を変動調整機能として活用できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
独立懸架方式を採用しかつボールジョイントが設定されている走行車両に、本案の支点変動ボールジョイントを設定し、操舵装置と連動させハンドルの切り角に応じて、アジャスターを回転移動させることで、ボールスタッドの位置を移動させる。
【0010】
ボールジョイントの基本的な接点は、アッパーアーム及びロワアームであり両者をピットマンアームが仲介している。アームに固定されたボールジョイントのハウジング部とピットマンアームに固定されたボールジョイントのボールスタッド部からなる構成で本案のアジャスターをタイロットエンドと連動させ回転移動させることでボールスタッドの位置が変化するのにともないホイールベースに変化が生じる。
【0011】
上記0010のホイールベース及びピットマンアームの変化は走行車両のフロントアライメントである、キャンバ、キャスタ、トーインの各々の角度も変化する。
【0012】
本案の支点変動ボールジョイントの原点位置は四輪走行車両で前輪操舵方式の場合、左側のボールスタッドの基本的な位置は図1であり、右側のボールスタッドの基本的な位置は図1のボールスタッド位置が反時計方向に90度移動した場所である。しかしタイロットエンドの入力の位置が逆の場合、前述の各々の位置も又逆になる。
【0013】
左右ボールスタッドの原点位置が走行車両の直進状態時の位置であり、車両が旋回走行に移行する際、ハンドルの切り角に応じアジャスターを回転移動させボールスタッドの位置をかえる。
【0014】
車両が右旋回走行の場合操舵装置のタイロットエンドとナックルスピンドルの連結により、ハンドルの切り角に連動し車輪の方向は右向きになる。さらにタイロットエンドで左右のアジャスターを右回転させると、左のボールスタッドは左上方に移動し、右のボールスタッドは左下方に移動する。
【0015】
車両が左旋回走行の場合、タイロットエンド及びボールスタッドの動きは、基本的に上記0014の逆になる。
【0016】
上記0014、0015の左右ボールスタッドの動きは、左右のナックルスピンドルに上下、左右の変化を発生させ、それはキャンバ、キャスタ、トーインの各々角度の変化につながる。さらに左右のホイールベースの長短にも影響する。
【0017】
四輪操舵方式を採用する走行車両においても本案の設定は可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の基本的な図面
【図2】図1を右に回転させた図面
【図3】図1を左に回転させた図面
【符号の説明】
【0019】
1 ハウジング
2 アジャスター
3 ボールスタッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
従来のボールジョイントのボールスタッドとハウジングの間にアジャスターを設定し、各々が保持摺動し、アジャスターの偏心位置にボールスタッドを設定する。さらにアジャスターを任意に回転移動させることでボールスタッドの位置を変動させることの出来る構造体。
【請求項2】
ボールスタッドの位置を変動させることで、ボールスタッドの支点が変動する。この変動値を調整機能として活用する構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−175335(P2008−175335A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10943(P2007−10943)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(596032258)
【Fターム(参考)】