説明

改良されたバイオ複合材料

バイオ複合材料(1)及びそれを製造するための方法を記載する。バイオ複合材料(1)は、周知のガラス繊維複合材と同等の物理的剛性、強度及び靱性を有し、この組成物はバイオ複合材料を、水に対して本質的に不浸透性にする。バイオ複合材料の一般式は、式:Cel(1−x−y)HPIHPOによって表され、式中、「Cel」はセルロースフラグメント(2)を表し、「HPI」は親水性結合剤(4)を表し、「HPO」は疎水性結合剤(5)を表し、及び(x)及び(y)は、材料中の親水性結合剤(4)及び疎水性結合剤(5)の重量%をそれぞれ定量化する。記載されたバイオ材料(1)の性質は、(x)が0.05から0.55の範囲にあり、(y)が0.05から0.65の範囲にある場合に、達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオ複合材料の分野に関し、特に植物からセルロースを抽出することによって製造されるバイオ複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
麻、亜麻、ケナフ麻、綿、黄麻、サイザル麻及びココナツ繊維マットなどの長繊維をベースとする植物を、ポリプロピレン及びエポキシ樹脂などのポリマー材料の強化材として使用することは、当業者には知られている。これらの複合材料は、通常、数センチメートルの長さで、数百マイクロメートルの幅の繊維(通常、いくつかの靱皮繊維細胞の束の形態で)を、利用する。これらの植物をベースとする長繊維は、最初に、自動車産業で用途を見い出されたが、その用途は、1つにはこれらの材料を用いて達成される表面仕上げが劣るために、主として、ガラス繊維強化ポリマー(GFRP)と比較して、これらの靭性が低いために、ドア張り及び手荷物棚などの非構造的用途向けのみであった。また、これらの材料は、水分の吸収及び臭いの放出という固有の問題を示すことも知られている。
【0003】
主として、木材パルプに由来する短植物繊維もまた、プラスチックの強化材料として当業者によって使用されてきた。これらの繊維から製造される伝統的な材料には、Formica、中密度繊維ボード(MDF)及び高密度繊維ボード(HDF)が含まれる。しかし、これらの材料は、脆くて防水性(例えば、Formica)であるか、又はそれに代わるものは靱性に富むが吸水性(例えば、MDF)であるという長繊維複合材料と同様の問題に悩まされている。
【0004】
最近、高性能材料が、フィブリル化された木材パルプ繊維のマットに、フェノール樹脂を含浸させることにより、製造できることがわかった(Nakagaitoら、「高強度植物繊維複合材料の機械的性質に及ぼすパルプ繊維からナノスケールフィブリル化セルロースへの形態変化の影響(The Effect of Morphological Changes From Pulp Fiber Towards Nano−Scale Fibrillated Cellulose On The Mechanical Properties Of High−Strength Plant Fibre Composites)」、Applied Physics A:Materials Science&Processing Vol.78、547〜552頁(2004)及びYanoら、「ナノメートル単位の蜘蛛の巣状網状構造を有する植物マイクロファイババンドルから製造されたバイオ複合材料(Bio−Composites Produced From Plant Microfiber Bundles With A Nanometer Unit Web−Like Network)」、Journal Materials Science Vol.39、1635〜1638頁(2004)を参照されたい)。木材繊維のフィブリル化は、細胞壁内のセルロース微小繊維を部分的に分離する作用であり、木材繊維はより吸湿性に、表面はより粗くなり、その結果、他の繊維及び結合剤と相互作用する表面積はより大きくなる。一般に、これらの材料は、剛性で強度が大きいが、樹脂含有量が3%未満に保持される場合に、ガラス繊維に等しいか又はそれを超える靭性が達成されるのであり、それで、水を吸収するにつれて強度が失われる高度に吸湿性の材料となる。また、乾燥繊維のシートに希釈された樹脂を含浸させ、次いで、含浸させた多くの薄い(<0.5mm)シートを他のシートの上に積み重ねて、高圧力でホットプレスすることを含む、この材料の製造方法は、非常に時間を費やす方法であり、100時間を超える。この方法は、GFRPと比較して極度に製造時間を増大させ、これらの材料向けの用途の可能性のある範囲を非常に大きく制限する。
【0005】
Congoleum Corporationという名称の米国特許第4609431号は、少量(30%未満)の木材パルプ繊維をガラス繊維と混合し、次いで、これらを、ゴム材料と無機フィラーとの複合体内部に埋め込むことによって製造する、靭性と防水性のある材料を教示している。しかし、これらの材料はGFRPより剛性が低く、用途が表面仕上げに限定されてしまう。さらに、このような材料は、GFRPがかなりの割合で存在しているために、部分的なバイオ複合材料として分類されうるのみである。
【0006】
複合材料を形成するさらなる方法は、Matsumuraらの「Cellulosic Nanocomposites I Thermally Deformable Cellulose Hexanoates From Heterogeneous Reaction」、J.Applied Polymer Science Vol.78、2242〜2253頁(2000)によって記載されている。この方法は、木材繊維がエステル化されるように木材繊維表面を化学処理することを含む。次いで、エステル化された繊維を、一緒にホットプレスして固めたシートを形成する。これらの材料は耐水性を有するが、弾性率及び強度は限定されたものに過ぎない。
【0007】
また、従来技術は、前に考察した植物繊維より遥かに小さく、薄い(直径が5〜20nmである)セルロース微小繊維を、動物及びバクテリア源から完全に分離することができることを教示している(それぞれ、DSM N.VのPCT特許出願番号PCT/NL92/00206、及びBrownのPCT特許出願番号PCT/US89/02355を参照されたい)。これらの動物及びバクテリアのセルロース微小繊維から作製した複合材料は、高い剛性と良好な強度を示すが、本質的に低い破壊歪を有し、この複合材料を本質的に脆いものにする。
【0008】
より靭性の大きい複合材料を作製するために、セルロース微小繊維を低弾性率の樹脂/結合剤と混合することによって、これらの複合材料の改良が達成された。しかし、これらの複合材料の引張り係数は、非強化プラスチックの範囲で達成された水準と同程度の5GPa未満であり、あまりにも低すぎてこれらの複合材料を多くの構造的な用途で使用できるようにすることはできない。
【0009】
これらの複合材料では、仕上げられた複合材料内のセルロース微小繊維の体積分率を高めることも望ましい。しかし、遊離したセルロース微小繊維を重量で数%、液体に添加した場合でさえ、液体の粘土が劇的に上昇するので、このこと自体が問題を抱えているのである。実際、セルロース微小繊維が、(15%未満の微小繊維含有量で)互いに相互作用を開始する場合は、液体は急速にゲルとなる。
【0010】
今日まで、高い剛性、高い強度の複合材料を作り出すのに必要な、高い体積分率を達成するための唯一の方法は、Nakagaitoらの「バクテリアセルロース:高強度複合材料を製造するための究極のナノスケールセルロースの形態(Bacterial Cellulose:The Ultimate Nano−Scalar Cellulose Morphology For The Production of High−Strength Composites)」、Applied Physics A:Marerial Sciece&Processing DOI:10.1007/s00339〜004−2932−3(2004)に記載されている方法を用いなければならなかった。この方法は、水から沈降させ、水を乾燥により除去し(又は引き続き、水を有機溶媒で置換し)、次いで得られた材料に(しばしば高圧下で)樹脂を含浸させることによって、セルロース微小繊維のマットを形成することを含む。これは、多くの個々の製造ステップを含む、複雑で時間の掛かる方法であり、したがって、この経路により製造された複合材料は、製造する間に大量のエネルギーを消費し、したがって、商業規模の生産にとっては経済的でない。
【0011】
また、セルロース微小繊維がほとんどすべての植物細胞壁に存在しうることも、当業者には知られている。実際、Dufresneら、「甜菜セルロース微小繊維から調製されたシートの機械的挙動(Mechanical behaviour of sheets prepared from sugar beet cellulose microfibrils)」、J Appl Polym Sci Vol.64、1185〜1194頁は、これらのセルロース微小繊維は、植物材料の化学分解及び高圧均質化の組合せを用いて、これらの植物細胞から抽出できることを教示している。次いで、セルロース微小繊維を用いて、Dufresneら、「ジャガイモ塊茎細胞からのセルロース微小繊維:澱粉セルロース微小繊維複合材料の加工とキャラクタリゼーション(Cellulose Microfibrils From Potato Tuber Cells:Processing And Characterisation of Starch−Cellulose Microfibril Composites)」、J.Appled Polymer Science Vol.76、208〜2092頁(2000)に記載されているごとく、動物及びバクテリアセルロース微小繊維に関連して前述したものと類似の方法で、複合材料を製造することができる。今日まで、この方法により製造された複合材料は、低い剛性及び弱い強度を有する劣悪な機械的性質を示している。これは、上記で議論したように、部分的には、混合物が固体のゲルになる前に、液体樹脂と混合させることができるセルロース微小繊維の上限が、15%と低いことによる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、ガラス繊維複合材料と同等の物理的剛性、強度及び靱性を有し、また、本質的に水を浸透させないバイオ複合材料を提供することは、本発明の一態様の目的である。
【0013】
上記の性質を示し、商業規模で経済的に製造することができるバイオ複合材料を提供することは、本発明の一態様のさらなる目的である。
【0014】
目的をはっきりさせるために、材料の剛性は、材料が示すヤング率によって定量化され、一方、材料の靭性は、破壊点に至るまでに材料の単位体積当たりに吸収されるエネルギーの量によって定量化される。さらに、不浸透性材料は、水中に完全に浸漬された場合の水の摂取速度が、セルロース又は周知のセルロース複合材料と比較して、有意に遅い材料として定義される。
【0015】
以下の式においては、「Cel」はセルロースフラグメントを表し、「HPI」は親水性結合剤を表し、「HPO」は疎水性結合剤を表し、(x)及び(y)は、材料中の親水性結合剤及び疎水性結合剤の重量%をそれぞれ定量化する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、セルロース微小繊維の網状構造で構成される複数のセルロースフラグメントと、セルロース微小繊維の網状構造中に位置する複数の親水性結合剤と、親水性結合剤と相互作用するように配置されて複数のセルロースフラグメントを封入する、複数の疎水性結合剤とを含む、バイオ複合材料が提供される。
【0017】
上記の配置は、疎水性結合剤から親水性結合剤を介してセルロース微小繊維へ移動する良好な応力移動を確実にし、その結果、所望の剛性、強度及び靱性を有するバイオ複合材料を提供する。セルロースフラグメントを封入するために、疎水性結合材を配列することによって、バイオ複合材料もまた、水に対して不浸透性にする。
【0018】
最も好ましくは、本発明の第1の態様のバイオ複合材料は、一般式Cel(1−x−y)HPIHPO(式中、xは0.05から0.55の範囲内にあり、yは0.05から0.65の範囲内にある)を有する。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、セルロース微小繊維の網状構造で構成される複数のセルロースフラグメントと、複数の親水性結合剤と、複数の疎水性結合剤とを含み、一般式Cel(1−x−y)HPIHPO(式中、xは0.05から0.55の範囲内にあり、yは0.05から0.65の範囲内にある)を有する、水に対して不浸透性のバイオ複合材料が提供される。
【0020】
好ましくは、複数の親水性結合剤は、セルロース微小繊維の網状構造中に位置し、複数の疎水性結合剤は、親水性結合剤と相互作用するように配置されて複数のセルロースフラグメントを封入する。
【0021】
最も好ましくは、本発明の第1及び第2の態様のバイオ複合材料は、5GPaから90GPaの範囲にある剛性を示す。
【0022】
本発明の第3の態様によれば、水に対して不浸透性であり、5GPaから90GPaの範囲にある剛性を示す、バイオ複合材料が提供される。
【0023】
本発明の第3の態様のバイオ複合材料は、セルロース微小繊維の網状構造で構成される複数のセルロースフラグメントと、セルロース微小繊維の網状構造中に位置する複数の親水性結合剤と、親水性結合剤と相互作用するように配置されて複数のセルロースフラグメントを封入する複数の疎水性結合剤とを含む。
【0024】
好ましくは、本発明の第3の態様のバイオ複合材料は、一般式Cel(1−x−y)HPIHPOを有し、式中、xは0.05から0.55の範囲内にあり、yは0.05から0.65の範囲内にある。
【0025】
最も好ましくは、本発明のさまざまな態様のセルロースフラグメントを、無秩序に配向するような様式で配列する。
【0026】
最も好ましくは、本発明のさまざまな態様のバイオ複合材料は、60MPaから1GPaの範囲にある引張強さを示す。
【0027】
最も好ましくは、本発明のさまざまな態様のバイオ複合材料は、60MPaから600MPaの範囲にある曲げ強さを示す。
【0028】
最も好ましくは、本発明のさまざまな態様のバイオ複合材料は、14GPaから21GPaの範囲にある剛性を示す。
【0029】
最も好ましくは、本発明のさまざまな態様のバイオ複合材料は、200MPaから300Paの範囲にある強度を示す。
【0030】
最も好ましくは、本発明のさまざまな態様のバイオ複合材料は、3MJm−3から10MJm−3の範囲にある靭性を示す。
【0031】
好ましくは、親水性結合剤は親水性又は実質的に親水性のポリマーを含む。親水性ポリマーは、ヘミセルロース、アクリル樹脂又は代替案として部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルを含むことができる。場合により、親水性ポリマーは、生体親水性高分子、例えばゼラチン及びグアルガムを含む。
【0032】
場合により、疎水性結合剤は、疎水性ポリマーを含む。疎水性ポリマーは、ビスフェノール−A又は改質されたビスフェノールAエポキシなどのエポキシを含むことができる。
【0033】
別法として、疎水性結合剤は、ポリウレタン、フェノール樹脂、アクリル及びシロキサンを含む群から選択される結合剤を含む。
【0034】
本発明の第4の態様によれば、複数の層を含むモノリシック構造体であって、少なくとも1つの層が、本発明の第1態様から第3態様のいずれかの態様によるバイオ複合材料を含む、モノリシック構造体が提供される。
【0035】
モノリシック層状構造体の形成は、必要に応じて、その内部での機械的特性を次第に変化されることができる構造体を提供する。硬化によりこれらの層の間に明確な境界が存在しなくなるので、これらのモノリシック構造体は、機械的特性を損なうことはない。
【0036】
場合により、モノリシック構造体は、プラスチック材料の層を少なくとも1層備えている。好ましくは、プラスチック材料は炭素繊維強化材料を含む。
【0037】
本発明の第5の態様によれば、複数の層を含む積層構造体であって、少なくとも1つの層が、本発明の第1態様から第4態様のいずれかの態様によるバイオ複合材料を含む、積層構造体が提供される。
【0038】
場合により、積層構造体は、プラスチック材料の層を少なくとも1層備えている。好ましくは、プラスチック材料は炭素繊維強化材料を含む。
【0039】
好ましくは、積層構造体は、構造体の複数の層の間に置かれた、1つ又は複数の樹脂の層を備えている。
【0040】
好ましくは、1つ又は複数の樹脂の層は、エポキシ又はポリウレタンなどの疎水性樹脂を含む。
【0041】
本発明の第6の態様によれば、釣り竿の用途に適した管(tube)であって、本発明の第1態様から第5態様のいずれかの態様によるバイオ複合材料を含む、管が提供される。
【0042】
本発明の第7の態様によれば、
植物材料から、セルロース微小繊維の網状構造を含むセルロースフラグメントを製造する方法であって、
1)植物材料の第1のパルプを製造するステップと;
2)第1のパルプを漂白溶液と混合して、植物材料中に存在するある量のペクチンとヘミセルロースを、得られた溶液中に溶解するようにするステップと;
3)得られた溶液から漂白剤を除去することによって、第2のパルプを製造するステップと;
4)第2のパルプ中に存在する水分含有量を減少させるステップと
を含む、方法が提供される。
【0043】
場合により、第1のパルプは、漂白溶液と混合する前に濾過し、水中で洗浄する。
【0044】
好ましくは、第1のパルプを製造するステップは、
1)植物材料を加熱して植物材料を軟らかくするステップと;
2)軟らかくされた植物材料から得られた任意の液体を濾過するステップと;
3)得られた残留物を水とブレンドするステップと
を含む。
【0045】
場合により、第1のパルプを製造するステップは、加熱する前に植物材料を切り刻むステップをさらに含む。
【0046】
好ましくは、植物材料は大気圧下で、85℃から120℃の間の温度に加熱する。
【0047】
場合により、得られた残留物と水のブレンドは、少なくとも1日間放置する。場合により、得られた残留物ブレンドに微生物を添加して、植物材料の分解を助ける。微生物は、場合によりバクテリア又は酵母を含む。
【0048】
好ましくは、第1のパルプと漂白溶液との混合物(mixture)を、少なくとも30分間放置して、結果として得られる溶液を形成する。このことは、製造される粒子径が減少するのを助ける効果を有することがわかった。
【0049】
好ましくは、第2のパルプを製造するステップは、得られた溶液を洗浄、濾過して漂白剤を除去し、第2の残留物を製造する。
【0050】
場合により、第2のパルプを製造するステップは、第2の残留物を均一化(homogenising)するステップをさらに含む。
【0051】
好ましくは、第2の残留物は、高剪断力混合プロセスで第2の残留物を混合することによって均一化される。別法としては、第2の残留物は、500から1000バールの間の圧力で、第2の残留物を加圧することによって均一化される。
【0052】
別法として、第2のパルプを製造するステップは、得られた溶液を均一化し、次いで、得られた均一化された溶液を洗浄、濾過して漂白剤を除去することを含む。
【0053】
好ましくは、第2のパルプ内に存在する水分含有量を減少させるステップは、第2のパルプをプレスすることを含む。
【0054】
最も好ましくは、第2のパルプをプレスすることにより、少なくとも40重量%の水を含む第2のパルプをもたらす。
【0055】
本発明の第8の態様によれば、
1)セルロース微小繊維の網状構造を含む複数のセルロースフラグメントを製造するステップと;
2)複数の親水性結合剤を複数のセルロースフラグメント中に取り入れるステップと;
3)複数のセルロースフラグメント及び複数の親水性結合剤を、複数の疎水性結合剤で封入するステップと
を含む、水に対して不浸透性であるバイオ複合材料を製造する方法が提供される。
【0056】
最も好ましくは、複数のセルロースフラグメントを製造するステップは、本発明の第7の態様の方法を含む。
【0057】
好ましくは、複数の親水性結合剤をセルロースフラグメント中に取り入れるステップは、
1)セルロースフラグメントを、親水性結合剤を含む第1の乳濁液によって再水和させて、ペーストを製造するステップと;
2)ペーストから、過剰な水及び過剰な親水性結合剤を除去するステップと
を含む。
【0058】
好ましくは、複数のセルロースフラグメント及び複数の親水性結合剤を封入するステップは、
1)複数の疎水性結合剤を含む第2の乳濁液を製造するステップと;
2)第2の乳濁液を、親水性結合剤を含有する前記ペーストと混合して複合ペースト材料を製造するステップと;
3)複合ペースト材料に圧力を加えるステップと;
4)複合ペースト材料から水を除去するステップと;
5)乾燥した複合ペースト材料を硬化するステップと
を含む。
【0059】
好ましくは、第2の乳濁液の製造には、疎水性結合剤と、表面活性剤及び水とを混合させることが含まれる。
【0060】
最も好ましくは、表面活性剤は非イオン性である。
【0061】
別法として、第2の乳濁液の製造には、
1)前記第2のパルプの試料を得るステップと;
2)試料を均一化して、複数のセルロースフラグメントを、個々のセルロース小繊維及び微小繊維に変えるステップと;
3)疎水性結合剤と均一化された試料とを混合するステップと
が含まれる。
【0062】
好ましくは、疎水性結合剤の、第2の乳濁液中の水に対する比は、10:1と1:5との間である。最も好ましい比は、10:1と5:1との間である。
【0063】
好ましくは、水を除去するステップは、複合ペースト材料を120℃未満の温度で空気乾燥することをさらに含む。場合により、複合ペースト材料から水を除去するステップは、ペーストに真空を適用することを含む。
【0064】
好ましくは、乾燥した複合ペースト材料の硬化には、周囲温度から180℃の範囲内にある、但し、理想的には80〜160℃の範囲にある温度で、乾燥した複合ペースト材料を硬化させる第1の硬化が含まれる。
【0065】
場合により、乾燥した複合ペースト材料の硬化には、120〜180℃の範囲内にある温度で、乾燥した複合ペースト材料を硬化させる第2の硬化が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
本発明の態様及び利点は、以下の詳細な説明を読み、以下の図面を参照することによって明らかになるはずである。
【0067】
ここで、本発明の態様によるバイオ複合材料1の詳細な説明を、図1及び2を参照しながら行う。
【0068】
図1から、バイオ複合材料1が、セルロース微小繊維3の網状構造の形態で複数のセルロースフラグメント2を含んでいることが読み取れる。セルロースフラグメント2は、親水性(又は実質的に親水性)結合剤4により浸透され、疎水性結合剤5で封入されている。実際上、セルロースフラグメント2は、個々のセルロース微小繊維(通常、約20nm以下の直径)の混合物を含むものから、それ自体がいくつかのセルロース微小繊維3からなる、通常、長さと幅が約50μm以下で厚さが1μm未満のセルロース細胞の一部(sections)にまでその範囲が広がりうる。セルロースの化学構造の概略図は、図2に示す。
【0069】
本実施形態においては、親水性結合剤4は、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルを含む。部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルは、水中で容易にミセルを形成する十分に親水性のポリマーであることが、当業者に知られている。部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル粒子の直径及び性質は、これらの粒子が、図1bに示されているように、セルロースフラグメント2の内部に位置するようになっている。
【0070】
本実施形態においては、疎水性結合剤5はエポキシ樹脂を含む。硬化されたエポキシ樹脂は本質的に疎水性であることが、当業者には知られている。未硬化のエポキシ樹脂は、したがって、通常、直径が約0.5〜2μmのミセルになるように形成される。エポキシ粒子の直径と性質は、これらの粒子がセルロースフラグメント2の内部に位置することができないようになっている。硬化された材料、図1(c)、においては、ポリマー粒子が融合し、エポキシが、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルと相互作用した結果、応力は、硬化されたエポキシ樹脂のマトリックスから、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルを介してセルロースフラグメント2まで移動する。この相互作用により、下表1において詳細に記載されている物理的パラメータを有する、複合材料がもたらされる。この表は、特に25重量%の部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルと25重量%のエポキシとを含む材料に関係し、この材料では、セルロースフラグメントが、複合材料の至る所で無秩序に配向されている。比較のために、表1はまた、当業者に知られている代替材料、すなわち、GFRP及びいわゆる防水性の麻(30%のポリプロピレン繊維を含有する麻)についての典型的な結果を含む。
【0071】
エポキシのさらなる機能は、セルロースフラグメント2を効果的に封入し、そのために、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルがその内部に位置することになり、その結果、バイオ複合材料1を水に対して不浸透性にする。
【0072】
表1に概説したバイオ複合材料1の正確な物理的性質は、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル及びエポキシの重量比を変化させることによって、変化させることができる。水に対して不浸透性のバイオ複合材料では、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルが、材料の全重量の5%から55%含まれる場合に、製造することができ、その一方で、エポキシを材料の全重量の5%から65%の範囲内で変化させることができることがわかった。厚さが4mmを超える試料内でこれらのバイオ複合材料を製造することが可能となった。バイオ複合材料1を製造するための方法は、今から詳細に述べるが、この方法の流れ図は、図3に示す。
【0073】
この方法の第1段階は、バイオ複合材料1に枠組みを提供するセルロース微小繊維3の網状構造を含む、セルロースフラグメント2を製造することを含む。セルロースフラグメント2の製造は、以下の工程により達成され、工程の流れ図は図4に示されている:
1)植物材料を、複数の断片に粗く刻む。この特別な例では、植物材料は刻まれた人参を含む。
2)次いで、粗く刻まれた人参を、この人参が軟らかくなり始めるまで、大気圧下で、85〜120℃の間の温度で、水熱処理する。場合により、蒸気及び大気圧を超える圧力を用いて、人参を軟らかくすることができる。
3)結果として得られる茹で汁を、軟らかくなった、粗く刻まれた人参から抜き取る。
4)次いで、新しい水を残留材料に添加し、次いでこの材料を、高速ブレンダで約3〜5分間処理してこの材料の利用できる表面積を増大させる。
5)場合により、次には、この材料を以下に述べるように直ちに使用することができる。別法として、この材料を、微生物(例えば、バクテリア又は酵母)を添加した又は添加しない状態で、使用するまでの期間放置することができる。このような追加のステップは、人参材料の分解をさらに助ける。
6)次いで、ブレンド工程により製造された、得られたパルプを濾過し、きれいな水で洗浄することができる。
7)次に、これまでの段階で製造された残留物を、濃漂白液と混合し、その後30分間放置するが、より長時間放置することもできる。漂白剤を添加すると、望ましくない、いかなる微生物をも殺す作用があり、同時に、元の人参材料に存在している相当量のペクチン及びヘミセルロースを、得られた溶液中に確実に溶解させる。
8)次いで、漂白剤を、洗浄及び濾過によって除去する。その後、水を残留物に添加し、次いで、これを高剪断力インライン式混合機又は高剪断力バッチ式混合機を通過させることによって均一化させる。これには、高剪断力の条件下で残留物に細かい網の目を通過させて、残留物中のセルロース材料を分解させ、さまざまなセルロースフラグメント、すなわち、精密な工程条件に依存して、個々のセルロース微小繊維(直径が20nmの大きさ)から、通常は長さ及び幅が50μmで厚さが1μm未満のセルロース細胞の断面までの大きさの、さまざまなセルロースフラグメントを含有するパルプを製造することが含まれる。
9)次いで、得られたパルプ内の水分含有量を減らすことが必要になる。これは、パルプを細かい網の目の袋で包み、次いで、標準の機械式プレス内でプレスすることによって達成される。得られた、プレスされたパルプは、要求されるセルロースフラグメント2を提供し、特に、1〜30重量%のセルロースを含み、その結果、固体のように挙動し、乾いた感触を示す。セルロースフラグメント2があまりにも強力に相互作用して、柔軟性のない(rigid)固体を形成することを防ぐために、十分な水分含有量が、セルロースフラグメント2の内部に存在することが必要不可欠である。
【0074】
上記の段階では人参植物材料を使用するが、セルロース微小繊維3の網状構造を含むセルロースフラグメント2を得るために、さまざまな代替植物材料を使用することが同様に可能である。これらには、これに限らないが、カブ、カブカンラン、リンゴ、甜菜、ビートの根及びタマネギが含まれる。
【0075】
粗く刻まれた人参を水熱処理することに対する代替案として、上記のステップ2において概説したように、刻まれた人参を単純にマイクロ波又は赤外線加熱器内で、必要な軟化が生じるまで加熱することができる。
【0076】
上記のステップ8の均一化プロセスの代替案として、濾液を高圧均一化装置に(500〜1000バールの間で)1回通すことによって均一化された濾液を製造することができる。
【0077】
上記のステップ8のさらなる代替案においては、均一化されたパルプの試料を、パルプ内の水分含有量がプレスすることにより低減される前に取り出す。次に、パルプのこの試料は、以下に詳細に記述するような、この方法の後の段階において使用することができる。
【0078】
バイオ複合材料1を製造する方法の第2段階には、親水性(又は実質的に親水性)結合剤4をセルロースフラグメント2の内部に取り込むことが含まれる。これは、以下のプロセスにより達成することができる:
1)セルロース微小繊維3の網状構造を含むセルロースフラグメント2を、親水性のマトリックス材料(すなわち、固体に成形された場合、大きな破壊歪(6%を超える)と200〜1000MPaの低い弾性率を示すPVA)の乳濁液又は微粒子懸濁液によって、再水和させる。バイオ複合材料1の具体的な要求に応じて、この段階で製造される乳濁液は、5から60重量%の樹脂(及び/又は膠(glue))と40から95重量%の水を含むことができる。表1において詳細に述べたバイオ複合材料に関しては、全樹脂(及び/又は膠)の重量割合は、45〜55%の範囲内にある。
2)この段階の最終ステップは、セルロースマトリックス中に浸透していない、いかなる過剰な水及びPVA材料を除去することを含む。これは、濾過手段上の材料を(かなりの圧力で)プレスすることによって達成される。次いで、軟らかで滑らかなペーストが製造される。
【0079】
上記の段階ではPVAを親水性結合剤として使用したが、セルロースフラグメント2の内部に取り入れることのできる、この他のいかなる親水性結合材料でも、同様にうまく使用することができる。適切な、代替親水性結合材料には、アクリル樹脂並びにゼラチン及びグアルガムなどの親水性生体高分子が含まれる。
【0080】
バイオ複合材料1を製造するための、この方法の最終段階には、セルロースフラグメント2とPVA粒子を疎水性結合剤5によって封入することが含まれる。これは、以下のプロセスによって達成される:
1)非イオン性表面活性剤(例えば、Triton(登録商標)−X、エトキシル化オクチルフェノール)を使用して、エポキシ樹脂を水に添加することにより、乳濁液を形成する。通常、エポキシ粒子の水に対する比は、10:1から1:5の間である。表1に詳細に述べたバイオ複合材料に関しては、エポキシ粒子の水に対する比は、1:1であった。
2)次いで、乳濁液を、この方法の第2段階の中で製造した軟らかで滑らかなペーストに添加し、未硬化の湿った材料の厚くて滑らかなペーストを製造する。
3)次いで、圧力をこの厚くて滑らかなペーストに加え、セルロースフラグメントが強制的に一緒にされること、及びナノスケールの水準で材料の混合がいくらか起こることを確実にする。
4)次いで、110℃までの温度で空気乾燥することによって、残留水を厚くて滑らかなペーストから除去する。
5)次いで、オーブン中で80〜160℃において、乾燥した材料を乾燥後硬化(post drying curing)に供する。
【0081】
このバイオ複合材料1の剛性及び強度のさらなる改良は、オーブン中で120〜180℃において、第2の乾燥後硬化サイクルを用いることによって達成することができる。
【0082】
上述の段階では、エポキシ(例えば、ビスフェノール−A又は改質されたビスフェノールAエポキシ)を、疎水性結合材料として使用したが、セルロースフラグメント2及び親水性結合剤4を封入するように作用する、その他のいずれの疎水性結合材料でも、同様にうまく使用することができる。適切な代替疎水性結合材料には、これに限らないが、ポリウレタン、フェノール樹脂、アクリル及びシロキサンがある。
【0083】
厚くて滑らかなペーストから残留水を除去するステップは、空気乾燥工程と共同で、又は空気乾燥工程の代替として、真空を使用することによって達成される。
【0084】
人参からセルロースフラグメント2を製造するための代替方法を、ここで説明することにする。代替方法は、以下の諸ステップを含む:
1)全体の人参を、人参が軟らかくなるまで、大気圧下で85℃から120℃間の温度で水熱処理すること。場合により、蒸気と大気圧を超える圧力とを使用して人参を軟らかくすることができる。
2)次いで、得られた茹で汁を、人参から抜き取る。
3)次いで、新鮮な水を残留材料に添加し、次に、この材料を、高剪断力混合機中で5分から4時間の間(より長い工程時間も可能であるが)、処理する。
4)この結果得られた、剪断力混合工程によって製造される残留物を、次の段階へ直ちに渡すか、又は別法として、この材料を容器中に、理想的には12〜14日間(もっとも、これより長い又は短い時間も可能であるが)放置することができる。場合により、放置した際に、微生物(例えば、バクテリア又は酵母)を、前述のごとく、残留物に添加することができる。
5)場合により、次いで、得られた残留物を濾過し、きれいな水で洗浄する。
6)前の段階で製造された残留物を、次いで、理想的には0.5%の濃度の漂白溶液と混合し、最大15時間まで放置する。これにより、元の人参材料に存在しているペクチン及びヘミセルロースの有効量が、得られた溶液中に溶解される。
7)いくつかの選択肢を、この段階で利用することができる。第1の選択肢は、得られた溶液を濾過し、洗浄することによって、漂白剤を除去することである。場合により、材料の粒径のさらなる低減を所望する場合は、高剪断力混合機又は高圧均一化装置を使用して、さらなる加工処理を行うことができる。最後の代替案は、最初に残留物を均一化し、その後で、得られた溶液を濾過し、洗浄することによって漂白剤を除去することである。実際には、得られたバイオ複合材料は、この方法のこのステップの特定の順序とは比較的無関係のように見える。
8)次いで、得られたパルプ内部の水分含有量を、前述のごとく低減させ、好ましくは1重量%〜30重量%のセルロースを含む、所望のセルロースフラグメントを提供する。
【0085】
疎水性ポリマー乳濁液を生成するための代替案は、高圧均一化装置から製造されたパルプから採取した試料を使用することを含む。このプロセスは以下のステップを含む:
1)均一化装置に試料を数回通して、セルロースフラグメントを個々のセルロース小繊維及び微小繊維に変える。次いで、この材料を液体形態で保持する。
2)次いで、エポキシ粒子とこの液体とを直接混合して、エポキシ粒子並びにセルロース小繊維及び微小繊維を含む乳濁液を製造する。前述と同様の比率を再び使用する。
【0086】
親水性ポリマー溶液を製造するための代替案は、均一化装置からのパルプから採取した試料を使用することを含む。この工程は以下のステップを含む:
1.均一化装置に試料を数回通して、セルロース小繊維及び微小繊維を低減させる。この材料を液体形状で保持する。
2.次いで、親水性ポリマー(例えば、PVA)を、この液体と直接混合して、PVA粒子並びにセルロース小繊維及び微小繊維を含む溶液を形成する。次いで、これを前述のように使用する。
【0087】
説明したバイオ複合材料1の使用例のいくつかを、ここで述べることにする。
【0088】
まず第1に、バイオ複合材料1は、それによって機械的性質が段階的に変化するモノリシック構造体6を製造するために使用することができる。基本的には、その内部に全体の構造を損なう内部界面が存在しない多層構造体を形成することができる。これは、所望の機械的性質に適した正しい配合を有する未硬化材料の層(この層は、厚さ数mmであることができる)を置き、その後異なる機械的性質を有する未硬化材料の第2層をこの第1層の上に置くことによって達成される。このステップを数回繰り返すことにより、異なる機械的性質を有する層を持つ構造が生まれる。所望の数の層に到達した後、必要に応じて、次に、複合材料をプレスし、硬化してモノリシック構造体6を形成する。層のそれぞれが、実際には、同一の、又は類似の、機械的性質を示してよいことは、簡単に明らかなはずである。
【0089】
例として、この方法を用いて、極めて強靭な層7を最初に製作し、次いで、この上により剛性の大きい層8を置き、次いで、芯材部には中間的な性質の層9が続き、さらに剛性層8、次いで靭性材料7が構造体を完成させている、スキーを製造することができる。このような構造体を図5に概略図で示した。
【0090】
別法として、バイオ複合材料1を、より常套的な積層工程において使用して、積層構造体10を形成することができる(図6を参照されたい)。積層構造体10を用いて、厚い平板製品(スキー、スノーボード、サーフボード、スケートボードなど)、又は管状製品(釣り竿、自転車のフレーム、スキーのストック、セイル円材、マストなど)を製造することができる。これは、バイオ複合材料1の予備成形されたシートを疎水性樹脂11の中に浸漬し、そのシートを別のシートの上に積層し、その後、高圧下でプレスすることによって達成される。疎水性樹脂11が硬化した時、積層構造体10をプレスから取り出し、必要なら、仕上げ材料でさらに表面を被覆する。
【0091】
積層構造体10が、当技術分野で既に知られている材料(例えば、プラスチック及び/又は炭素繊維強化プラスチック材料)の1層又は複数層を含むことができることは、当業者には明らかであろう。炭素繊維強化プラスチック材料を含む、従来技術による積層構造体の周知の問題は、繊維とプラスチックとの剛性の差が大きいことである。炭素繊維が、150〜600GPaの範囲のヤング率を有するのに対して、エポキシ樹脂などのプラスチック材料は、通常、2〜8GPaの間の弾性率を有する。このことが、炭素繊維複合材料の異なる層を樹脂によって共に結合した場合、層剥離の問題を引き起こす。さらに、このことはまた、一方向性の炭素繊維材料は、繊維の方向と直角をなす方向では、非常に低い剛性及び強度を有することを意味する。
【0092】
バイオ複合材料1の1層又は複数層を取り入れることにより、この問題を軽減させるための手段が提供される。積層構造体を形成するためにバイオ複合材料を使用することの利点は、層のある一定の方向については、バイオ複合材料が、ある一定の方向の剛性、強度及び靭性を増大させることである。例えば、エポキシ樹脂内の一方向性炭素繊維の層とバイオ複合材料の層とから作製された積層体は、炭素繊維軸の方向に沿って引張り試験を行った場合、繊維方向が直角をなしている炭素−エポキシ樹脂の2つの層から作製された積層よりも、大きな剛性及び強度を有する。炭素繊維の軸に直角に積層体の引張り試験を行うと剛性はより小さくなるが、この方向における剛性は、ある一定の用途(例えば、棒材に機械的な負荷が掛かる間の破砕及び楕円化を防止するのに丁度十分な、輪の方向(hoop direction)の剛性及び強度を有すると共に最高の剛性が軸方向に沿って要求される、中空の管状釣り竿)にとっては依然として十分以上のものである。
【0093】
上記の積層構造体は、いくつかの方法で形成することができる。第1の方法は、バイオ複合材料ペーストの層を、高剛性繊維強化複合材料の未硬化層の上に塗布することを含む。次いで、このバイオ複合材料ペースト層を、乾燥し、加熱により硬化させる。硬化の間、積層に圧力を加える必要はないが、圧力は、硬化されたバイオ複合材料の欠陥を低減させるのには有利である可能性がある。乾燥及び硬化の前に、この方法によっていくつかの層を作り上げることができる(例えば、複合材料/ペースト/複合材料/ペースト)か、又はさらなる層を追加する前に、各ペースト層を硬化することができる。
【0094】
代替方法には、未硬化の高剛性繊維強化プラスチックを、硬化されたバイオ複合材料1の層に塗布することが含まれる。次いで、高剛性繊維強化プラスチックを硬化する。硬化中に積層に圧力を加えることが必要な場合もある。乾燥及び硬化の前に、この方法によっていくつかの層を再び作り上げることができる(例えば、ペースト/複合材料/ペースト/複合材料)か、又はさらなる層を追加する前に、ペーストの各ペースト層及び複合材料を硬化することができる。
【0095】
さらなる代替方法には、予め硬化されたバイオ複合材料1と高剛性繊維強化プラスチックの層を、接着剤と共にプレスすることが含まれる。圧力は、接着剤が硬化するまで維持する。
【0096】
バイオ複合材料1は、表面仕上げ材として使用された場合、炭素繊維構造体(すなわち、炭素繊維−バイオ複合材料の積層体)の靭性を増大させることも判明している。これは、ある一定の配合のバイオ複合材料1が、炭素繊維より大きな破壊歪を有し、同時に良好な強度を依然として保持しているためである。
【0097】
バイオ複合材料1のさらなる例示的用途は、釣り竿で使用するのに適した管状部材の製造においてである。バイオ複合材料1を、上記のごとく最初に作製する。しかし硬化する前に、バイオ複合材料1を、多孔質の鋳型又は多孔質のライナ(例えば、セラミック、粘土又は開気孔発泡体(open celled foam))を含有する鋳型に置き、所望の寸法の、ワックスを掛けられた先細りのマンドレルを取り囲むように成形する。次いで、バイオ複合材料1を空気で乾燥し、水を除去する。次に、バイオ複合材料1の先細りの管をマンドレルから取り出し、好ましくは約120℃の温度に加熱する。最後に、管を180℃までの温度で後硬化する。
【0098】
上記のバイオ複合材料は、従来技術において記述された材料に対して、いくつかの独特の特徴を示す。まず第1に、バイオ複合材料は、前述のいずれの材料に匹敵する好ましい剛性及び引張強さパラメータを示す。加えて、これらのパラメータは、材料の靭性をまったく損なうことなく得られ、したがって記述された複合材料は、前述のバイオ複合材料の多くのもののように脆くはない。通常、製造された複合材料は、60MPaから600MPaの範囲にある曲げ強さを示す。
【0099】
さらに、前述の材料は、また、水に対して不浸透性であり、したがって、用途の範囲を大きく拡張するという重要な利点を有する。特に、前述の材料は、スキー、スノーボード、サーフボード、スケートボードなど又は釣り竿、自転車のフレーム、スキーのストック、セイル円材、マストなどの管状製品を製造するために使用することができる。しかし、水に対して不浸透性である、強い平坦材料を求める要求がある場合はいつでも、前述のバイオ複合材料は、理想的な解答を提供するはずであることが予想される。
【0100】
セルロースフラグメントを植物材料から抽出する前述の方法は、比較的少ないエネルギーしか必要としないために、この製造方法は、商業規模でより利用しやすい。加えて、この製造方法は、木材繊維又はバクテリアセルロースから複合材料を製造するための、従来技術における前述の方法と比較して、複雑ではない。前述の方法に対する特別な利点は、有機溶媒を使用する必要がないことである。
【0101】
この結果、物理的性質の独特の組合せを有する新しい複合材料が、持続可能な資源から生み出され、比較的低エネルギーの、非汚染工程によって製造された。それどころか実際は、製造されたバイオ複合材料は、今までに製造された、防水性セルロースをベースとするいかなる複合材料よりも、何倍も靱性に富むように見える。
【0102】
本発明の上記の説明は、図解と説明のために提示されたものであり、網羅的であること又は本発明を、開示された正確な形態に限定することを意図されたものではない。前述の実施形態を選択し、説明したのは、本発明の原理とその実際の適用を最もよく説明し、それによって当技術分野の他の技術者が、さまざまな実施形態における、及び企図された特定の用途に適したさまざまな変更を有する本発明を、最もよく利用できるようにするためである。したがって、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を逸脱することなく、さらなる変更又は改良を取り入れることができる。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の諸態様によるバイオ複合材料の構造の、一連の概略図を示す図である。
【図2】図1のバイオ複合材料内で使用されるセルロースフラグメントの化学構造の、概略図を示す図である。
【図3】図1のバイオ複合材料を製造するための方法の流れ図を示す図である。
【図4】図3の方法で使用されているような、セルロースフラグメントを製造するための方法の流れ図を示す図である。
【図5】本発明の一態様によるモノリシック構造体の概略図を示す図である。
【図6】本発明の一態様による積層構造体の概略図を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース微小繊維(3)の網状構造(network)で構成されている、複数のセルロースフラグメント(2)と、該セルロース微小繊維(3)の網状構造中に位置する複数の親水性結合剤(4)と、該親水性結合剤(4)と相互作用するように配置されて、該複数のセルロースフラグメント(2)を封入している複数の疎水性結合剤(5)とを含む、バイオ複合材料(1)。
【請求項2】
一般式:
Cel(1−x−y)HPIHPO
[式中、xは0.05から0.55の範囲内にあり、yは0.05から0.65の範囲内にある]を有する、請求項1に記載のバイオ複合材料(1)。
【請求項3】
セルロース微小繊維(3)の網状構造で構成されている複数のセルロースフラグメント(2)と、複数の親水性結合剤(4)と、一般式Cel(1−x−y)HPIHPO(式中、xは0.05から0.55の範囲内にあり、yは0.05から0.65の範囲内にある)を有する複数の疎水性結合剤(5)とを含む、水に対して不浸透性の、バイオ複合材料(1)。
【請求項4】
前記親水性結合剤(4)が、前記セルロース微小繊維(3)の網状構造中に位置し、前記複数の疎水性結合剤(5)が、前記親水性結合剤(4)と相互作用するように配置されて、前記複数のセルロースフラグメント(2)を封入している、請求項3に記載のバイオ複合材料(1)。
【請求項5】
5GPaから90GPaの範囲にある剛性(stiffness)を示す、請求項1から4のいずれか一項に記載のバイオ複合材料(1)。
【請求項6】
水に対して不浸透性であり、5GPaから90GPaの範囲にある剛性を示す、バイオ複合材料(1)。
【請求項7】
セルロース微小繊維(3)の網状構造で構成されている、複数のセルロースフラグメント(2)と、該セルロース微小繊維(3)の網状構造中に位置する複数の親水性結合剤(4)と、該親水性結合剤(4)と相互作用するように配置されて、該複数のセルロースフラグメント(2)を封入している、複数の疎水性結合剤(5)とを含む、請求項6に記載のバイオ複合材料(1)。
【請求項8】
一般式Cel(1−x−y)HPIHPO(式中、xは0.05から0.55の範囲内にあり、yは0.05から0.65の範囲内にある)を有する、請求項6又は7に記載のバイオ複合材料(1)。
【請求項9】
前記セルロースフラグメントが、無秩序に配向するような様式で配置されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のバイオ複合材料(1)。
【請求項10】
60MPaから1GPaの範囲にある引張強さを示す、請求項1から9のいずれか一項に記載のバイオ複合材料(1)。
【請求項11】
60MPaから600MPaの範囲にある曲げ強さを示す、請求項1から10のいずれか一項に記載のバイオ複合材料(1)。
【請求項12】
14GPaから21GPaの範囲にある剛性を示す、請求項1から11のいずれか一項に記載のバイオ複合材料(1)。
【請求項13】
180MPaから300MPaの範囲にある強度(strength)を示す、請求項1から12のいずれか一項に記載のバイオ複合材料(1)。
【請求項14】
3MJm−3から10MJm−3の範囲にある靭性を示す、請求項1から13のいずれか一項に記載のバイオ複合材料(1)。
【請求項15】
前記親水性結合剤(4)が、親水性又は実質的に親水性のポリマーを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載のバイオ複合材料(1)。
【請求項16】
前記親水性ポリマーが、ヘミセルロース、アクリル樹脂、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル及び親水性生体高分子を含む群から選択されるポリマーを含む、請求項15に記載のバイオ複合材料(1)。
【請求項17】
前記親水性生体高分子が、ゼラチン又はグアルガムを含む、請求項16に記載のバイオ複合材料(1)。
【請求項18】
前記疎水性結合剤(5)が、疎水性ポリマーを含む、請求項1から17までのいずれか一項に記載のバイオ複合材料(1)。
【請求項19】
前記疎水性ポリマーが、エポキシを含む、請求項18に記載のバイオ複合材料(1)。
【請求項20】
前記疎水性結合剤(5)が、ポリウレタン、フェノール樹脂、アクリル及びシロキサンを含む群から選択される結合剤を含む、請求項18に記載のバイオ複合材料(1)。
【請求項21】
2層以上の層の中の少なくとも1層が、請求項1から20のいずれか一項に記載のバイオ複合材料(1)を含む、2層以上の層(7、8、9)を含むモノリシック構造体(6)。
【請求項22】
2層以上の層の中の少なくとも1層が、請求項1から21までのいずれか一項に記載のバイオ複合材料(1)を含む、2層以上の層を含む積層構造体(10)。
【請求項23】
前記2層以上の層の間に位置する、1層又はそれ以上の樹脂の層(11)をさらに含む、請求項22に記載の積層構造体(10)。
【請求項24】
前記1層又はそれ以上の樹脂の層(11)が、疎水性樹脂を含む、請求項23に記載の積層構造体(10)。
【請求項25】
前記疎水性樹脂が、エポキシ又はポリウレタンを含む、請求項24に記載の積層構造体(10)。
【請求項26】
請求項1から25までのいずれか一項に記載のバイオ複合材料を含む、釣り竿で使用するのに適した管(tube)。
【請求項27】
植物材料から、セルロース微小繊維(3)の網状構造を含むセルロースフラグメント(2)を製造する方法であって、
1)該植物材料の第1のパルプを製造するステップと;
2)第1のパルプを漂白溶液と混合して、該植物材料中に存在するある量のペクチンとヘミセルロースを、得られた溶液中に溶解するステップと;
3)該得られた溶液から該漂白剤を除去することによって、第2のパルプを製造するステップと;
4)該第2のパルプ中に存在する水分含有量を減少させるステップと
を含む、方法。
【請求項28】
前記第1のパルプを、前記漂白溶液と混合する前に、濾過し、水中で洗浄するステップをさらに含む、請求項27に記載のセルロースフラグメント(2)を製造する方法。
【請求項29】
前記第1のパルプを製造するステップが、
1)前記植物材料を加熱して該植物材料を軟らかくするステップと;
2)該軟らかくした植物材料から得られた任意の液体を濾過するステップと;
3)該得られた残留物を水とブレンドするステップと
を含む、請求項27又は請求項28に記載のセルロースフラグメント(2)を製造する方法。
【請求項30】
前記第1のパルプを製造するステップが、加熱する前に前記植物材料を切り刻むことをさらに含む、請求項27に記載のセルロースフラグメント(2)を製造する方法。
【請求項31】
前記植物材料を、大気圧下で85℃から120℃の間の温度に加熱する、請求項29又は請求項30に記載のセルロースフラグメント(2)を製造する方法。
【請求項32】
前記ブレンドされた、得られた残留物及び水を、少なくとも1日間放置する、請求項29から31までのいずれか一項に記載のセルロースフラグメント(2)を製造する方法。
【請求項33】
前記ブレンドされた、得られた残留物に微生物を添加して、植物材料の分解を助ける、請求項32に記載のセルロースフラグメント(2)を製造する方法。
【請求項34】
前記微生物がバクテリアを含む、請求項33に記載のセルロースフラグメント(2)を製造する方法。
【請求項35】
前記微生物が酵母を含む、請求項33に記載のセルロースフラグメント(2)を製造する方法。
【請求項36】
前記第1のパルプと前記漂白溶液との混合物を、少なくとも30分間放置して、前記得られる溶液を形成する、請求項27から35のいずれか一項に記載のセルロースフラグメント(2)を製造する方法。
【請求項37】
前記第2のパルプを製造するステップが、前記得られた溶液を洗浄し、濾過して漂白剤を除去し、第2の残留物を製造する、請求項27から36のいずれか一項に記載のセルロースフラグメント(2)を製造する方法。
【請求項38】
前記第2のパルプを製造するステップが、前記第2の残留物を均一化するステップをさらに含む、請求項37に記載のセルロースフラグメント(2)を製造する方法。
【請求項39】
前記第2の残留物を、高剪断力混合プロセスで混合することによって均一化する、請求項38に記載のセルロースフラグメント(2)を製造する方法。
【請求項40】
前記第2の残留物を、500から1000バールの間の圧力で加圧することによって均一化する、請求項38に記載のセルロースフラグメント(2)を製造する方法。
【請求項41】
前記第2のパルプを製造するステップが、前記得られた溶液を均一化し、次いで、該均一化された得られた溶液を洗浄し、濾過して前記漂白剤を除去することを含む、請求項27から36までのいずれか一項に記載のセルロースフラグメント(2)を製造する方法。
【請求項42】
前記第2のパルプ内に存在する水分含有量を減少させるステップが、前記第2のパルプをプレスすることを含む、請求項27から41のいずれか一項に記載のセルロースフラグメント(2)を製造する方法。
【請求項43】
前記第2のパルプのプレスが、少なくとも40重量%の水を含む前記第2のパルプをもたらす、請求項42に記載のセルロースフラグメント(2)を製造する方法。
【請求項44】
1)セルロース微小繊維(3)の網状構造を含む複数のセルロースフラグメント(2)を製造するステップと;
2)該セルロース微小繊維(3)の網状構造の中に複数の親水性結合剤(4)を取り込むステップと;
3)該複数のセルロースフラグメント(2)を、複数の疎水性結合剤(5)で封入するステップと
を含む、水に対して不浸透性であるバイオ複合材料(1)を製造する方法。
【請求項45】
複数のセルロースフラグメント(2)を製造するステップが、請求項25から41のいずれか一項に記載の方法を含む、請求項44に記載のバイオ複合材料(1)を製造する方法。
【請求項46】
前記複数の親水性結合剤(4)を前記セルロース微小繊維(3)の網状構造中に取り込む前記ステップが、
1)前記セルロースフラグメント(2)を、親水性結合剤(4)を含む第1の乳濁液によって再水和させ、第2の乳濁液を製造するステップと;
2)該第2の乳濁液から、過剰な水及び過剰な親水性結合剤(4)を除去するステップと
を含む、請求項44又は45に記載のバイオ複合材料(1)を製造する方法。
【請求項47】
前記複数のセルロースフラグメント(2)を封入するステップが、
1)前記複数の疎水性結合剤(5)を含む第2の乳濁液を製造するステップと;
2)該第2の乳濁液と、前記親水性結合剤を含有するペーストとを混合して複合ペースト材料を製造するステップと;
3)該ペースト材料に圧力を加えるステップと;
4)該ペースト材料から水を除去するステップと;
5)該乾燥したペースト材料を硬化するステップと
を含む、請求項44から46までのいずれか一項に記載のバイオ複合材料(1)を製造する方法。
【請求項48】
前記第2の乳濁液の製造が、前記疎水性結合剤(5)と、表面活性剤及び水とを混合させることを含む、請求項47に記載のバイオ複合材料(1)を製造する方法。
【請求項49】
表面活性剤が非イオン性である、請求項48に記載のバイオ複合材料(1)を製造する方法。
【請求項50】
前記第2の乳濁液の製造が、
1)第2のパルプの試料を得るステップと;
2)該試料を均一化し、前記複数のセルロースフラグメント(2)を、個々のセルロース小繊維及び微小繊維(3)に変えるステップと;
3)前記疎水性結合剤(5)と均一化された試料とを混合するステップと
を含む、請求項47に記載のバイオ複合材料(1)を製造する方法。
【請求項51】
前記第2の乳濁液中の、前記疎水性結合剤(5)の水に対する比が、10:1と1:5との間にある、請求項47から50のいずれか一項に記載のバイオ複合材料(1)を製造する方法。
【請求項52】
前記第2の乳濁液中の、前記疎水性結合剤(5)の水に対する比が、10:1と5:1との間にある、請求項51に記載のバイオ複合材料(1)を製造する方法。
【請求項53】
前記水をペースト材料から除去するステップが、該ペーストに真空を適用することを含む、請求項47から52のいずれか一項に記載のバイオ複合材料(1)を製造する方法。
【請求項54】
前記水を除去するステップが、前記ペーストを120℃未満の温度で空気乾燥することをさらに含む、請求項53に記載のバイオ複合材料(1)を製造する方法。
【請求項55】
前記乾燥したペースト材料の硬化が、周囲温度から180℃の範囲内にある温度での、該乾燥ペースト材料の第1の硬化を含む、請求項47から54のいずれか一項に記載のバイオ複合材料(1)を製造する方法。
【請求項56】
前記乾燥したペースト材料の第1の硬化を、80〜160℃の範囲内にある温度で実施する、請求項55に記載のバイオ複合材料(1)を製造する方法。
【請求項57】
前記乾燥したペースト材料を硬化するステップが、120〜180℃の範囲内にある温度での、該乾燥したペースト材料の第2の硬化をさらに含む、請求項55又は56に記載のバイオ複合材料(1)を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−520797(P2008−520797A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542083(P2007−542083)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004322
【国際公開番号】WO2006/056737
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(507166140)セルコンプ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】