説明

改良された傷耐性および酸耐性を有する粉末コーティング組成物

【課題】卓越した酸耐性および傷耐性を提供し、かつ低いVOCレベルを有する官能性コポリマーを含む熱硬化性「粉末コーティング」組成物を開発すること。
【解決手段】共反応可能な固体、官能基を有するフィルム形成材料および少なくとも2つの官能基を有する架橋剤を含む熱硬化性組成物であり、この官能基は、フィルム形成材料における官能基と反応性である。架橋剤は、ドナーモノマー由来の残基および1つ以上のアクリルアクセプターモノマー由来の残基の交互構造単位の少なくとも30mol%を有するコポリマーを含む。熱硬化性組成物は、組成物を合着して、連続フィルムを形成し、そして組成物を硬化させることによって、基材をコーティングし得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、ビニルモノマーのコポリマーを含む熱硬化性組成物に一般に関する。より具体的には、本発明は、イソブチレン型モノマーを含む官能性コポリマーを含む共反応性(co−reactable)固体粒子混合物熱硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の説明)
特に、使用中に揮発性有機物の空気中への放出に関連したコーティング組成物の環境への影響を少なくすることは、近年、研究開発中の領域であった。従って、粉末コーティングにおける関心が、一部には、それらに固有の低揮発性有機含量(VOC)塗布工程での空気への放出を著しく低下させることに起因して、高まっている。熱可塑性および熱硬化性の両方のコーティング組成物が市販されているが、熱硬化性コーティングは、典型的には、物理的特性(例えば、硬度および溶媒耐性)が優れているので、望ましい。
【0003】
低VOCコーティングは、使用するコーティングの容量が比較的に高いので、自動車の相手先商標使用製品製造(OEM)市場で特に望ましい。しかしながら、低VOCレベルの要件に加えて、自動車製造業者は、使用するコーティングについて、非常に厳しい性能要件を有する。例えば、自動車のOEMクリアトップコートは、典型的には、良好な外装耐久性、酸耐性および水スポット耐性、ならびに優れた光沢および外観の組合せを有することが要求される。液体トップコート(これは、例えば、キャップポリイソシアネート成分およびポリオール成分を含有する)は、このような特性を提供できるものの、VOCレベルが事実上ゼロである粉末コーティングと比べて、VOCレベルが高いという望ましくない欠点がある。
【0004】
ポリオール成分およびキャップポリイソシアネート成分を含有するコーティング組成物(「イソシアネート硬化コーティング」)は、公知であり、多数の用途(例えば、工業用および自動車用OEMトップコート)で使用するように開発されている。このようなイソシアネート硬化コーティング組成物は、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5で記述されている。しかしながら、それらの用途は、例えば、流動、外観および保存安定性に欠陥があるために、限定されている。イソシアネート硬化コーティング組成物は、典型的には、2個またはそれ以上のキャップイソシアネート基を有する架橋剤(例えば、ε−カプロラクタムでキャップした1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサンのトリマー)およびヒドロキシ官能性ポリマー(例えば、一部には、ヒドロキシアルキルアクリレートおよび/またはヒドロキシアルキルメタクリレートから調製したアクリルコポリマー)を含有する。
【0005】
工業において「粉末コーティング」として呼ばれる固体粒子コーティング処方物は、プライマーコーティングとして、かつベースコート組成物コーティングおよび透明コート組成物コーティングのトップコートまたは透明コートとしての両方で、金属基材を塗装する際の、ますます増加する使用を見出している。自動車産業は、自動車の表面の種々の型の多層塗装構成物により、モータービークルのために、腐食保護および装飾的外観を提供する。この構成物の最後の層は、一般的なベースコート透明コート組成物を通常含む。ベースコートは、着色された層であり、そして透明コートは、ベースコートに別個に塗布され、そしてある程度ベースコートで硬化される着色されていない層またはわずかにのみ着色された層である。自動車のための改良したコーティング組成物を提供するために、工業は、この自動車を攻撃し得る、酸性雨および道路の土、ならびに破片の作用に起因して起こる、欠陥、汚れ、およびコーティング不完全部の問題に対して解答を探し求めている。これらの攻撃は、透明コートの審美的でない傷を生じ得る。傷耐性は、フィルムが、光磨耗、衝撃、または圧力により損なわれていないままにすることが出来るコーティングフィルムの性質である。
【0006】
卓越した酸耐性および傷耐性を提供し、かつ低いVOCレベルを有する官能性コポリマーを含む熱硬化性「粉末コーティング」組成物を開発することが、所望される。
【特許文献1】米国特許第4,997,900号明細書
【特許文献2】米国特許第5,439,896号明細書
【特許文献3】米国特許第5,508,337号明細書
【特許文献4】米国特許第5,554,692号明細書
【特許文献5】米国特許第5,777,061号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、以下の共反応性固体の粒子状混合物を含む熱硬化性組成物に関する:
(a)官能基を含むフィルム形成材料;および
(b)以下の交互構造単位:
−[DM−AM]−
(ここでDMは、以下の構造(I)を有するドナーモノマーに由来の残基を表す:
【0008】
【化3】

(ここでRは、直鎖または分岐鎖のC〜Cのアルキルであり、Rは、メチル、直鎖、環状、または分岐鎖のC〜C20のアルキル、アルケニル、アリール、アルカリル、およびアラルキルからなる群より選択される);そしてAMは、1つ以上のアクリルアクセプターモノマー由来の残基を表す)を有する少なくとも30mol%の残基を含むコポリマー組成物を含む、フィルム形成材料(a)中の官能基と反応性の少なくとも2つの官能基を有する架橋剤。
【0009】
本発明はまた、基板をコーティングする方法に関し、該方法は、以下の工程を包含する:基板に上記熱硬化性組成物を塗布する工程、熱硬化性組成物を融合して、実質的に連続なフィルムを形成する工程、および該熱硬化性組成物を硬化する工程。本発明は、この方法を用いてコーティングされた基材にさらに関する。
【0010】
本発明はさらに、多成分複合コーティング構成物に関する。この構成物は、着色フィルム形成組成物から堆積されたベースコート、およびこのベースコート上に塗布された透明トップコートを含む。ここでベースコート、透明トップコート、またはこれらの両方のいずれかは、上記熱硬化性組成物から堆積される。本発明はさらに、多成分複合コーティング構成物によりコーティングされた基材に関する。
【0011】
本発明によると、さらに以下が提供される。
(項目1)
熱硬化性組成物であって、該熱硬化性組成物が、以下:
(a)官能基を含むフィルム形成材料;および
(b)少なくとも2つの官能基を有する架橋剤であって、該官能基は、該フィルム形成材料(a)における官能基と反応性であり、以下の交互構造単位:
−[DM−AM]−
を有する少なくとも30mol%の残基を含むコポリマー組成物を含む、架橋剤、
の共反応可能な固体の粒子状混合物を含み、
ここで、DMは、以下の構造(I):
【化1】


を有するドナーモノマー由来の残基を表し、
ここで、Rは、直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキルであり;Rは、メチル、直鎖、環状または分枝鎖のC〜C20アルキル、アルケニル、アリール、アルカアリールおよびアラルキルからなる群より選択され;そして、AMは、1つ以上のアクリルアクセプターモノマー由来の残基を表す、熱硬化性組成物。
(項目2)
前記官能基を含むフィルム形成材料(a)が、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、およびこれらの混合物の残基からなるポリマーを含む、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
(項目3)
請求項1に記載の熱硬化性組成物であって、前記フィルム形成材料(a)の官能基が、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、チオール、イソシアネート、キャップ化イソシアネート、アミド、アミン、アセトアセテート、メチロール、メチロールエーテル、オキサゾリンカルバメート、およびβ−ヒドロキシアルキルアミドからなる群より選択され;前記架橋剤(b)の官能基が、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、チオール、アミド、アミン、オキサゾリン、アセトアセテート、メチロール、メチロールエーテル、イソシアネート、キャップ化イソシアネート、β−ヒドロキシアルカミドおよびカルバメートからなる群より選択され;そして、ここで該フィルム形成材料(a)の官能基が、該架橋剤(b)における官能基と反応性である、熱硬化性組成物。
(項目4)
前記(a)におけるポリマーが、エポキシ官能基を含むモノマーの残基を含み、前記架橋剤(b)におけるアクリルアクセプターモノマーが、1つ以上のカルボン酸官能性アクリルモノマーを含む、請求項2に記載の熱硬化性組成物。
(項目5)
前記カルボン酸官能性アクリルモノマーが、アクリル酸を含む、請求項2に記載の熱硬化性組成物。
(項目6)
前記ドナーモノマーが、イソブチレン、ジイソブチレン、イソプレン、およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
(項目7)
前記(b)におけるコポリマーが、500〜30,000の数平均分子量および4未満の多分散性指数を有する、請求項6に記載の熱硬化性組成物。
(項目8)
前記(a)におけるポリマーが、500〜30,000の数平均分子量および4未満の多分散性指数を有する、請求項6に記載の熱硬化性組成物。
(項目9)
前記(b)におけるコポリマーが、100〜5,000グラム/当量の官能基当量を有する、請求項6に記載の熱硬化性組成物。
(項目10)
前記(a)におけるポリマーが、100〜5,000グラム/当量の官能基当量を有する、請求項6に記載の熱硬化性組成物。
(項目11)
前記(a)におけるポリマーの官能基当量に対する、前記架橋剤(b)のコポリマーにおける官能基当量の当量比が、1:3〜3:1の範囲内である、請求項6に記載の熱硬化性組成物。
(項目12)
前記架橋剤(b)が、樹脂固体の全重量に基づいて、1〜45重量%の量で存在し、前記フィルム形成材料(a)が、樹脂固体の全重量に基づいて、55〜99重量%の量で存在する、請求項6に記載の熱硬化性組成物。
(項目13)
前記架橋剤(b)が、C〜C20脂肪族カルボン酸、ポリマー性ポリ無水物、カルボン酸官能性ポリエステル、およびカルボン酸官能性ポリウレタンからなる群より選択される1つ以上のポリカルボン酸官能性材料をさらに含む、請求項6に記載の熱硬化性組成物。
(項目14)
前記C〜C20脂肪族カルボン酸が、ドデカン二酸、アゼライン酸、アジピン酸、1,6−ヘキサン二酸、コハク酸、ピメリン酸、セバシン酸、マレイン酸、クエン酸、イタコン酸、アコニット酸、およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項13に記載の熱硬化性組成物。
(項目15)
請求項6に記載の熱硬化性組成物であって、前記アクリルアクセプターモノマーが、構造式(III):
【化2】


によって記載される1つ以上であり、
ここで、Yは、−NR、−O−R−O−C(=O)−NR、および−ORからなる群より選択され、Rは、H、直鎖または分枝鎖のC〜C20アルキル、ならびにエポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、チオール、アミド、アミン、オキサゾリン、アセトアセテート、メチロール、メチロールエーテル、イソシアネート、キャップ化イソシアネート、β−ヒドロキシアルカアミドおよびカルバメートからなる群より選択される1つ以上の官能基を含む直鎖または分枝鎖のC〜C20アルキル、アリール、およびアラルキルからなる群より選択され;Rは、H、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、チオール、アミド、アミン、オキサゾリン、アセトアセテート、メチロール、メチロールエーテル、イソシアネート、キャップ化イソシアネート、β−ヒドロキシアルカミドおよびカルバメートからなる群より選択される1つ以上の官能基を含む直鎖または分枝鎖のC〜C20アルキル、アリール、およびアラルキルからなる群より選択され;そして、Rは、二価の直鎖または分枝鎖のC〜C20アルキル連結基である、熱硬化性組成物。
(項目16)
請求項15に記載の熱硬化性組成物であって、前記アクリルアクセプターモノマーが、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリル酸、ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリルアミド、グリシルアクリレート、グリシジルメタクリレート、n−ブトキシメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、メタクリル酸、メタクリルアミド、2−カルバモイルオキシエチルアクリレート、2−カルバモイルオキシエチルメタクリレート、2−カルバモイルオキシプロピルアリレート、2−カルバモイルオキシプロピルメタクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレート、2−シソシアナトエチルメタクリレート、2−イソシアナトプロピルアクリレート、2−イソシアナトプロピルメタクリレート、2−オキサゾリンエチルアクリレート、2−オキサゾリンエチルメタクリレート、2−オキサゾリンプロピルアクリレート、2−オキサゾリンプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートのアセト酢酸エステル、ヒドロキシエチルメタクリレートのアセト酢酸エステル、ヒドロキシプロピルメタクリレートのアセト酢酸エステル、およびヒドロキシプロピルアクリレートのアセト酢酸エステルからなる群より選択される1つ以上である、熱硬化性組成物。
(項目17)
熱硬化性組成物であって、該熱硬化性組成物が、以下:
(a)フィルム形成材料であって、該フィルム形成材料は、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、およびこれらの混合物からなる群より選択されるエポキシ官能性モノマーの残基;ならびにアクリル酸の直鎖および分枝鎖C〜C20アルキル、アリール、アルカアリール、およびアラルキルエステル、およびメタクリル酸のC〜C20のアルキルエステル、アリールエステル、アルカアリールエステル、およびアラルキルエステルおよびこれらの混合物からなる群より選択されるアクリレートモノマーおよびメタクリレートモノマーの残基から構成されるアクリルコポリマーを含む、フィルム形成材料;ならびに
(b)該フィルム形成材料(a)における官能基と反応性である少なくとも2つの官能基を有する、架橋剤であって、該架橋剤は、以下の交互構造単位:
−[DM−AM]−
を有する少なくとも30mol%の残基からなるコポリマーを含む、架橋剤、
の共反応可能な固体の粒子状混合物を含み、
ここで、DMは、イソブチレン、ジイソブチレン、ジペンテン、イソプレン、イソプレノール、1−オクテン、およびこれらの混合物からなる群より選択されるドナーモノマー由来の残基を表し;そして、AMは、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選択される1つ以上のアクリルアクセプターモノマー由来の残基を表す、熱硬化性組成物。
(項目18)
基材をコーティングする方法であって、以下:
(A)該基材に請求項1の熱硬化性組成物を塗布する工程;
(B)該熱硬化性組成物を合着して、実質的に連続なフィルムを形成する工程;および
(C)該熱硬化性組成物を硬化する工程、
を包含する、方法。
(項目19)
基材をコーティングする方法であって、以下:
(A)該基材に請求項17の熱硬化性組成物を塗布する工程;
(B)該熱硬化性組成物を合着して、実質的に連続なフィルムを形成する工程;および
(C)該熱硬化性組成物を硬化する工程、
を包含する、方法。
(項目20)
請求項18に記載の方法を使用してコーティングされた、基材。
(項目21)
請求項19に記載の方法を使用してコーティングされた、基材。
(項目22)
多成分複合コーティング構成物であって、以下:
(a)着色フィルム形成組成物から堆積されたベースコーティング;および
(b)該ベースコーティング上に塗布される透明トップコーティング、
を含み、ここで、該ベースコーティングもしくは該透明トップコーティングのいずれか、またはこれら両方は、請求項6に記載の熱硬化性組成物から堆積される、多成分複合コーティング構成物。
(項目23)
前記トップコーティング(b)が、請求項6に記載の熱硬化性組成物を含むフィルム形成熱硬化性組成物から堆積される、請求項22に記載の多成分コーティング構成物。
(項目24)
多成分複合コーティング構成物であって、以下:
(a)着色フィルム形成組成物から堆積されたベースコーティング;および
(b)該ベースコーティング上に塗布される透明トップコーティング、
を含み、ここで、該ベースコーティングもしくは該透明トップコーティングのいずれか、またはこれら両方は、請求項17に記載の熱硬化性組成物から堆積される、多成分複合コーティング構成物。
(項目25)
前記透明トップコーティング(b)が、請求項17に記載の熱硬化性組成物から堆積される、請求項24に記載の多成分コーティング構成物。
(項目26)
多成分複合コーティング構成物であって、以下:
(a)プライマーコーティングであって、カソードおよびアノードを備える電気回路においてカソードとして機能する導電性基材を電気コーティングすることによって堆積され、該カソードおよびアノードは、水性電気コーティング組成物中に浸漬され、該電気コーティングは、該カソードとアノードとの間に電流を通過させて、該基材上に、実質的に連続なフィルムとして該電気コーティング組成物の堆積を引き起こすことによる、プライマーコーティング;
(b)該プライマーコーティング上に塗布されるベースコーティングであって、ここで、該ベースコーティングは、着色フィルム形成組成物から堆積される、ベースコーティング;ならびに
(c)該ベースコーティング上に塗布される透明トップコーティングであって、該ベースコーティングもしくは該透明トップコーティング、またはこれら両方は、請求項6に記載の熱硬化性組成物を含むクリアフィルム形成熱硬化性組成物から堆積される、透明トップコーティング、
を含む、多成分複合コーティング構成物。
(項目27)
前記トップコーティング(c)が、請求項6に記載の熱硬化性組成物から堆積される、請求項26に記載の多成分コーティング構成物。
(項目28)
多成分複合コーティング構成物であって、以下:
(a)プライマーコーティングであって、カソードおよびアノードを備える電気回路においてカソードとして機能する導電性基材を電気コーティングすることによって堆積され、該カソードおよびアノードは、水性電気コーティング組成物中に浸漬され、該電気コーティングは、該カソードとアノードとの間に電流を通過させて、該基材上に、実質的に連続なフィルムとして該電気コーティング組成物の堆積を引き起こすことによる、プライマーコーティング;
(b)該プライマーコーティング上に塗布されるベースコーティングであって、ここで、該ベースコーティングは、着色フィルム形成組成物から堆積される、ベースコーティング;ならびに
(c)該ベースコーティング上に塗布される透明トップコーティングであって、該ベースコーティングもしくは該透明トップコーティング、またはこれら両方は、請求項17に記載の熱硬化性組成物を含むクリアフィルム形成熱硬化性組成物から堆積される、多成分複合コーティング構成物。
(項目29)
前記トップコーティング(c)が、請求項17に記載の熱硬化性組成物から堆積される、請求項28に記載の多成分コーティング構成物。
(項目30)
前記(a)におけるプライマーコーティングが、塗布された後で、かつ、前記(b)におけるベースコーティングが、塗布される前に、プライマー表面が、該プライマーコーティング上に塗布される、請求項28に記載の多成分コーティング構成物。
(項目31)
前記プライマー表面が、スプレー塗布される、請求項30に記載の多成分コーティング構成物。
(項目32)
請求項22に記載の多成分複合コーティング構成物によりコーティングされた、基材。
(項目33)
請求項24に記載の多成分複合コーティング構成物によりコーティングされた、基材。
(項目34)
請求項26に記載の多成分複合コーティング構成物によりコーティングされた、基材。
(項目35)
請求項28に記載の多成分複合コーティング構成物によりコーティングされた、基材。
(項目36)
請求項30に記載の多成分複合コーティング構成物によりコーティングされた、基材。
【0012】
(発明の詳細な説明)
操作実施例以外、または特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを示す全ての数値または表現は、いずれの場合にも、「約(およそ)」との用語により修飾されることが理解できるはずである。本特許出願では、種々の数値範囲が開示されている。これらの範囲は、連続しているので、これらは、その最低値と最高値との間のいずれの値をも含む。特に明記しない限り、本願で特定した種々の数値範囲は、概算値である。
【0013】
本明細書中および特許請求の範囲で使用する場合、「(メタクリレート)アクリレート」、「(メタクリル)アクリル」との用語および類似の用語は、類似のアクリルおよびメタクリルならびに/またはアクリレートおよびアクリレートベースの分子を含むことを示すことを意味する。
【0014】
本明細書中で使用する場合、「コポリマー組成物」との用語は、合成コポリマーだけでなく、そのコポリマーの合成に伴うがそのコポリマーに共有結合的には組み込まれていない開始剤、触媒および他の要素に由来の残渣を含むことを意味する。このコポリマー組成物の一部と見なされるこのような残渣および他の要素は、典型的には、容器間または溶媒間もしくは分散媒体間で移動したときにコポリマーと共に残る傾向があるように、そのコポリマーと混合(mixまたはco−mingle)される。
【0015】
本明細書中で使用する場合、「実質的に含まない」との用語は、ある物質が偶発的な不純物として存在することを示すことを意味する。言い換えれば、その物質は、示された組成物に意図的に加えられるのではないが、意図した組成物の成分の一部として、不純物として残留するので、少量レベルまたは僅かなレベルで存在し得る。
【0016】
「ドナーモノマー」および「アクセプターモノマー」との用語は、本願全体にわたって使用される。本発明に関して、「ドナーモノマー」との用語は、エチレン性二重結合における電子密度が比較的に高い重合可能エチレン性不飽和基を有するモノマーを意味いい、そして、「アクセプターモノマー」との用語は、エチレン性二重結合における電子密度が比較的に低い重合可能エチレン性不飽和基を有するモノマーをいう。この概念は、the
Alfrey−Price Q−eスキームにより、ある程度数量化されている(Robert Z.Greenley,Polymer Handbook,第4版,Brandrup,Immergut and Gulke,編者,Wiley & Sons,New York,NY,pp.309−319(1999))。本明細書中で列挙した全てのe値は、他に明記しない限り、the Polymer Handbookで見られるものである。
【0017】
このQ−eスキームでは、Qは、モノマーの反応性を反映し、そしてeは、モノマーの極性(これは、所定モノマーの重合可能エチレン性不飽和基の電子密度を示す)を示す。正のe値は、あるモノマーが、無水マレイン酸(これは、3.69のe値を有する)の場合のように、比較的に電子密度が低く、アクセプターモノマーであることを一般に示す。低いまたは負のe値は、あるモノマーが、ビニルエチルエーテル(これは、−1.80のe値を有する)の場合のように、比較的に電子密度が高く、ドナーモノマーであることを一般に示す。
【0018】
本明細書中で言及する場合、強力なアクセプターモノマーとは、2.0より高いe値を備えたモノマーを含むことを意味する。「温和なドナーモノマー」との用語は、0.5より高いe値を備えたモノマーから2.0のe値を備えたモノマーまで(それらのモノマーを含めて)を含むことを意味する。逆に、「強力なドナーモノマー」との用語は、−1.5より低いe値を備えたモノマーを含むことを意味し、また、「温和なドナーモノマー」との用語は、0.5未満のe値を備えたモノマーから−1.5のe値を備えたモノマーまでを含むことを意味する。
【0019】
本発明は、官能基を含むフイルム形成材料を含む熱硬化性組成物およびフイルム形成材料中の官能基と反応性の官能基を有する架橋剤に関する。
【0020】
本明細書中および特許請求の範囲で使用されるように、用語「フイルム形成材料」とは、それ自体または共反応性材料(例えば、架橋剤)との組み合わせが、基材の表面上に連続的なフイルムを形成可能な材料をいう。本発明の1実施形態において、フイルム形成材料は、適切なポリマーであり得る。適切なポリマーとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリシラン、およびポリシロキサンから選択される官能基を有するホモポリマーおよびコポリマー。特定の実施形態において、フイルム形成材料は、Jurgetzらによって米国特許6,277,917号(これは、参考として本明細書中に援用される)に記載されるように、エポキシ官能基を有するフイルム形成アクリルコポリマーであり得る。好ましくは、フイルム形成材料は、固体粒子材料である。
【0021】
架橋剤は、以下の構造:−[DM−AM]−
の交互モノマー残基単位を有するドナーモノマー−アクセプターモノマー対の交互配列由来のコポリマーの残基の、少なくとも30モル%、多くの場合に少なくとも40モル%、代表的に少なくとも50モル%、いくつかの場合に少なくとも60モル%、その他の場合に少なくとも75モル%を有する官能基含有コポリマーを含むコポリマー組成物であり得、ここで、DMは、ドナーモノマー由来の残基を表し、そしてAMは、アクセプターモノマー由来の残基を表す。コポリマーは、DMおよびAMの100%交互コポリマーであり得る。さらに特に、少なくとも15モル%のコポリマーが、ドナーモノマーを含み、これはイソブチレン型モノマーであり、以下の構造(I)を有する:
【0022】
【化4】

ここで、Rは、直鎖状または分岐のC〜Cアルキルであり;Rは、1つ以上のメチル、直鎖状、環状または分岐のC〜C20アルキル、アルケニル、アリール、アルカリル、およびアラルキルである。さらに、少なくとも15モル%のコポリマーが、アクセプターモノマーとしてアクリルモノマーを含む。R基は、以下から選択される1つ以上の官能基を含み得る:エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、チオール、アミド、アミン、オキサゾリン、アセトアセテート、メチロール、メチロールエーテル、イソシアネート、キャップイソシアネート、βヒドロキシアルカミド、およびカルバメート。好ましくは、架橋剤は、固体粒子材料である。
【0023】
本発明の1実施形態において、このコポリマー架橋剤が、構造Iで記載された温和なドナーモノマーおよび温和なアクセプターモノマー(これは、アクリルモノマーである)の交互残基の相当部分を取り込む。本発明の構造Iで記載されたモノマーとして含まれ得るモノマーおよび本発明のアクリルモノマーの公開e値の非限定的なリストは、表2で示す。
【0024】
(表2)
選択モノマーのAlfrey−Price e値
モノマー e値
構造1のモノマー
イソブチレン −1.20
ジイソブチレン 0.49
アクリルモノマー
アクリル酸 0.88
アクリルアミド 0.54
アクリロニトリル 1.23
アクリル酸メチル 0.64
アクリル酸エチル 0.55
アクリル酸ブチル 0.85
アクリル酸ベンジル 1.13
アクリル酸グリシジル 1.28

Polymer Handbook,第4版(1999)
Rzaevら、Eur.Polym.J.,Vol.24,No.7,pp.981−985(1998)。
【0025】
本発明では、任意の適切なドナーモノマーが使用され得る。使用され得る適切なドナーモノマーには、強力なドナーモノマーおよび温和なドナーモノマーが挙げられる。適切なドナーモノマーとしては、イソブチレン、ジイソブチレン、イソプレン、ジペンテン、イソプレノール、1−オクテン、およびその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明は、温和なドナーモノマーが使用される交互コポリマーを調製するのに特に有用である。本発明のコポリマーは、構造Iで記載された温和なドナーモノマー(例えば、イソブチレンおよびジイソブチレン、1−オクテンおよびイソプレノール)を含有し、さらに、他の適切な温和なドナーモノマーを含有し得る。構造Iの温和なドナーモノマーは、このコポリマー組成物中にて、少なくとも15mol%、ある場合には、少なくとも25mol%、典型的には、少なくとも30mol%、ある場合には、少なくとも35mol%のレベルで存在している。構造Iの温和なドナーモノマーは、このコポリマー組成物中にて、50mol%まで、ある場合には、47.5mol%まで、典型的には、45mol%まで、ある場合には、40mol%までのレベルで、存在している。使用される構造Iの温和なドナーモノマーのレベルは、このコポリマー組成物内に組み込まれる特性により、決定される。構造Iの温和なドナーモノマーに由来の残基は、このコポリマー組成物中にて、上で述べた値を含めた任意の範囲の値で、存在し得る。
【0026】
本発明で使用され得る他の適切なドナーモノマーには、エチレン、ブテン、スチレン、置換スチレン、メチルスチレン、置換スチレン、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルピリジン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレンおよびジビニルナフタレンが挙げられるが、これらに限定されない。ビニルエステルには、カルボン酸のビニルエステルが挙げられ、これらには、酢酸ビニル、酪酸ビニル、3,4−ジメトキシ安息香酸ビニルおよび安息香酸ビニルが挙げられるが、これらに限定されない。他のドナーモノマーの使用は任意であり、他のドナーモノマーが存在しているとき、それらは、このコポリマー組成物の少なくとも0.01mol%、しばしば、少なくとも0.1mol%、典型的には、少なくとも1mol%、ある場合には、少なくとも2mol%のレベルで存在している。これらの他のドナーモノマーは、25mol%まで、ある場合には、20mol%まで、典型的には、10mol%まで、ある場合には、5mol%までで存在し得る。使用される他のドナーモノマーのレベルは、このコポリマー組成物に組み込まれる特性により、決定される。他のドナーモノマーに由来の残基は、このコポリマー組成物中にて、上で述べた値を含めた任意の範囲の値で、存在し得る。
【0027】
このコポリマー組成物は、そのコポリマー鎖に沿って、交互ドナーモノマー−アクセプターモノマー単位の一部として、アクセプターモノマーを含有する。任意の適切なアクセプターモノマーが使用され得る。適切なアクセプターモノマーには、強力なアクセプターモノマーおよび温和なアクセプターモノマーが挙げられる。適切なアクセプターモノマーの非限定的な種類には、構造(II)で記載されたものがある:
【0028】
【化5】

ここで、Wは、−CN、−Xおよび−C(=O)−Yからなる群から選択され、ここで、Yは、−NR、−O−R−O−C(=O)−NRおよび−ORからなる群から選択され;Rは、H、直鎖または分枝C〜C20アルキル、および直鎖または分枝C〜C20アルキルオールからなる群から選択され;Rは、H、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、直鎖または分枝C〜C20アルキル、アルキルオール、アリールおよびアラルキル、直鎖または分枝C〜C20フルオロアルキル、フルオロアリールおよびフルオロアラルキル、シロキサンラジカル、ポリシロキサンラジカル、アルキルシロキサンラジカル、エトキシ化トリメチルシリルシロキサンラジカル、およびプロポキシル化トリメチルシリルシロキサンラジカルからなる群から選択され;Rは、二価直鎖または分枝C〜C20アルキル連結基であり;そしてXは、ハロゲン化物である。
【0029】
本発明のコポリマー組成物に含有される種類の温和なアクセプターモノマーは、アクリルアクセプターモノマーである。適切なアクリルアクセプターモノマーには、構造(III)で記載されたものが挙げられる:
【0030】
【化6】

ここで、Yは、−NR、−O−R−O−C(=O)−NRおよび−ORからなる群から選択され;Rは、H、直鎖または分枝のC〜C20アルキル、ならびにエポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、チオール、アミド、アミン、オキサゾリン、アセトアセテート、メチロール、メチロールエーテル、イソシアネート、キャップ化イソシアネート、βヒドロキシアルカミドおよびカルバメートの群より選択される1つ以上の官能基を含む、直鎖または分枝C〜C20のアルキル、アリールおよびアラルキルから選択され;Rは、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、チオール、アミド、アミン、オキサゾリン、アセトアセテート、メチロール、メチロールエーテル、イソシアネート、キャップ化イソシアネート、βヒドロキシアルカミドおよびカルバメートの群より選択される1つ以上の官能基を含む、H、直鎖または分枝C〜C20のアルキル、アリールおよびアラルキルから選択され;そしてRは、二価の直鎖または分枝のC〜C20アルキル連結基である。
【0031】
構造IIIのアクリルアクセプターモノマーは、このコポリマー組成物中にて、少なくとも15mol%、ある場合には、少なくとも25mol%、典型的には、少なくとも30mol%、そしてある場合には、少なくとも35mol%のレベルで存在している。構造IIIのアクリルアクセプターモノマーは、このコポリマー組成物中にて、50mol%まで、ある場合には、47.5mol%まで、典型的には、45mol%まで、そしてある場合には、40mol%までのレベルで、存在している。使用される構造IIIのアクリルアクセプターモノマーのレベルは、このコポリマー組成物内に組み込まれる特性により、決定される。構造IIIのアクリルアクセプターモノマーに由来の残基は、このコポリマー組成物中にて、上で述べた値を含めた任意の範囲の値で、存在し得る。
【0032】
本発明で使用され得る他の適切な温和なアクセプターモノマーには、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ハロゲン化ビニル、クロトン酸、スルホン酸ビニルアルキルおよびアクロレインが挙げられるが、これらに限定されない。ハロゲン化ビニルには、塩化ビニルおよびフッ化ビニリデンが挙げられるが、これらに限定されない。他の温和なアクセプターモノマーの使用は任意であり、他の温和なアクセプターモノマーが存在している場合、それらは、このコポリマー組成物の少なくとも0.01mol%、しばしば、少なくとも0.1mol%、典型的には、少なくとも1mol%、そしてある場合には、少なくとも2mol%のレベルで存在している。これらの他のアクセプターモノマーは、35mol%まで、ある場合には、25mol%まで、典型的には、15mol%まで、ある場合には、10mol%までで存在し得る。使用される他のアクセプターモノマーのレベルは、このコポリマー組成物に組み込まれる特性により、決定される。他のアクセプターモノマーに由来の残基は、このコポリマー組成物中にて、上で述べた値を含めた任意の範囲の値で、存在し得る。
【0033】
本発明の熱硬化性組成物の1実施形態において、アクリルアクセプターモノマーは、以下から選択される1つ以上を含む:ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリル酸、ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、n−ブトキシメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、メタクリル酸、メタクリルアミド、2−カルバモイルオキシエチルアクリレート、2−カルバモイルオキシエチルメタクリレート、2−カルバモイルオキシプロピルアクリレート、2−カルバモイルオキシプロピルメタクリレート、2−イソシアネートエチルアクリレート、2−イソシアネートエチルメタクリレート、2−イソシアネートプロピルアクリレート、2−イソシアネートプロピルメタクリレート、2−オキサゾリンエチルアクリレート、2−オキサゾリンエチルメタクリレート、2−オキサゾリンプロピルアクリレート、2−オキサゾリンプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートのアセトアセテートエステル、ヒドロキシエチルメタクリレートのアセトアセテートエステル、ヒドロキシプロピルメタクリレートのアセトアセテートエステルおよびヒドロキシプロピルアクリレートのアセトアセテートエステル。
【0034】
本発明のさらなる実施形態において、アクリルモノマーは、カルボン酸官能性アクリルモノマーを含む。特定の実施形態において、このカルボン酸官能性アクリルモノマーは、アクリル酸である。
【0035】
本発明のコポリマーは、少なくとも250、多くの場合、少なくとも500、典型的には、少なくとも1,000、ある場合には、少なくとも2,000の分子量を有する。このコポリマーは、1,000,000まで、多くの場合、500,000まで、典型的には、100,000まで、ある場合には、50,000までの分子量を有し得る。特定の用途には、本発明のコポリマーの分子量が50,000を超えない、ある場合には、30,000を超えない、他の場合には、20,000を超えない、特定の場合には、16,000を超えないことが必要である。このコポリマーの分子量は、そのコポリマー組成物に組み込まれる特性に基づいて、選択される。このコポリマーの分子量は、上で述べた値を含めた任意の範囲の値で、変わり得る。
【0036】
本発明のコポリマーの多分散指数(PDI)は、常に重要である訳ではない。このコポリマーの多分散指数は、通常、4未満、多くの場合、3.5未満、典型的には、3.0未満、ある場合には、2.5未満である。本明細書中および請求の範囲で使用する「多分散指数」は、以下の式から決定される:(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))。単分散ポリマーは、1.0のPDIを有する。さらに、本明細書中で使用するMnおよびMwは、ポリスチレン標準を使用するゲル透過クロマトグラフィーから決定される。
【0037】
本発明のコポリマー架橋剤は、組み込んだモノマー残基の全てを交互構造で有し得る。ジイソブチレン(DIIB)およびアクリル酸(AA)の100%交互構造を有するコポリマーセグメントの非限定的な例は、構造IVで示されている:
(IV)−AA−DIIB−AA−DIIB−AA−DIIB−AA−DIIB−AA−DIIB−AA−DIIB−AA−
しかしながら、大抵の場合、本発明のコポリマー架橋剤は、構造Vで示すように、交互セグメントおよびランダムセグメントを含み、DIIB、AAおよび他のモノマーMのコポリマーである:
【0038】
【化7】

構造Vは、コポリマーが、囲みで示した交互セグメントおよび下線を引いたセグメントで示したランダムセグメントを含み得る、本発明の1実施形態を示す。
【0039】
このコポリマーのランダムセグメントは、交互構造によってこのコポリマー組成物に組み込まれていないドナーモノマー残基またはアクセプターモノマー残基を含み得る。このコポリマー組成物のランダムセグメントは、さらに、他のエチレン性不飽和モノマーに由来の残基を含み得る。本明細書中で列挙したように、ドナーモノマー−アクセプターモノマー対の交互配列から誘導されたポリマーセグメントの全ての言及は、構造Vの囲みで示したもののようなモノマー残基のセグメントを含むことを意味している。
【0040】
他のエチレン性不飽和モノマーには、アクセプターモノマーとしてもドナーモノマーとしても伝統的に分類されない任意の適切なモノマーが挙げられる。
【0041】
他のエチレン性不飽和モノマー(構造VのモノマーMの残基)は、少なくとも1種のエチレン性不飽和ラジカル重合可能モノマーから誘導される。本明細書中および請求の範囲で使用する場合、「エチレン性不飽和ラジカル重合可能モノマー」および類似の用語は、ビニルモノマー、アリルモノマー、オレフィン、およびラジカル重合可能でドナーモノマーとしてもアクセプターモノマーとしても分類されない他のエチレン性不飽和モノマーを含むことを意味する。
【0042】
Mが誘導され得る種類のビニルモノマーには、一般式VIのモノマーから誘導されたモノマー残基が挙げられるが、これらに限定されない:
【0043】
【化8】

ここで、R11、R12およびR14は、別個に、H、CF、1個〜20個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル、アリール、2個〜10個の炭素原子を有する不飽和直鎖または分枝アルケニルまたはアルキニル、2個〜6個の炭素原子を有する不飽和直鎖または分枝アルケニル(これは、ハロゲン、C〜Cシクロアルキル、ヘテロシクリルおよびフェニルで置換されている)からなる群から選択される;R13は、H、C〜Cアルキル、COOR15(ここで、R15は、H、アルカリ金属、C〜Cアルキル基、グリシジルおよびアリールからなる群から選択される)からなる群から選択される。
【0044】
本発明で使用され得る他のモノマーMの特定の例には、メタクリルモノマーおよびアリルモノマーが挙げられる。モノマーMの残基は、アルキル基内に1個〜20個の炭素原子を有するメタクリル酸アルキルの少なくとも1種から誘導され得る。モノマーMの残基が誘導され得るアルキル基内に1個〜20個の炭素原子を有するメタクリル酸アルキルの特定の例には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、ならびに官能性メタクリレート(例えば、メタクリル酸ヒドロキシアルキル、オキシラン官能性メタクリレートおよびカルボン酸官能性メタクリレート、例えば、メタクリル酸)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
モノマーMの残基はまた、1個より多いメタクリレート基を有するモノマー(例えば、無水メタクリル酸およびジエチレングリコールビス(メタクリレート))から選択され得る。
【0046】
本明細書中および請求の範囲で使用される「アリルモノマー」とは、置換および/または非置換アリル官能性(すなわち、以下の一般式VIIにより表わされる1個またはそれ以上のラジカル)を含むモノマーを意味する:
(VII) HC=C(R10)−CH
ここで、R10は、水素、ハロゲン、またはC〜Cアルキル基である。最も一般的には、R10は、水素またはメチルであり、結果的に、一般式VIIは、非置換(メタ)アリルラジカルを表わし、これは、アリルラジカルおよびメタリルラジカルの両方を包含する。アリルモノマーの例には、(メタ)アリルアルコール;(メタ)アリルエーテル(例えば、メチル(メタ)アリルエーテル);カルボン酸のアリルエステル(例えば、酢酸(メタ)アリル、酪酸(メタ)アリル、3,4−ジメトキシ安息香酸(メタ)アリルおよび安息香酸(メタ)アリル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
本発明のコポリマー組成物は、以下の工程を包含する方法により、調製される:(a)構造Iの1種またはそれ以上のドナーモノマーを含有するドナーモノマー組成物を提供する工程;(b)1種またはそれ以上のアクセプターモノマーを含有するエチレン性不飽和モノマー組成物を(a)と混合して、全モノマー組成物を形成する工程;および(c)遊離ラジカル開始剤の存在下にて、その全モノマー組成物を重合させる工程。本発明の実施形態では、このエチレン性不飽和モノマー組成物には、構造IIIのモノマーが挙げられる。
【0048】
本発明の方法の実施形態では、構造Iのモノマーは、アクリルアクセプターモノマーの量に基づいて、モル過剰で存在している。所望の交互構造の形成を促すために、本発明では、構造Iの任意の過剰モノマーの量が使用され得る。構造Iのモノマーの過剰量は、アクリルアクセプターモノマーの量に基づいて、少なくとも10mol%、ある場合には、25mol%まで、典型的には、50mol%まで、ある場合には、100mol%までであり得る。構造Iのモノマーのモル過剰が高すぎる場合、そのプロセスは、商業規模では、経済的ではないかもしれない。
【0049】
本発明の方法のさらなる実施形態では、このアクリルアクセプターモノマーは、その全モノマー組成の少なくとも15mol%、ある場合には、17.5mol%まで、典型的には、少なくとも20mol%、ある場合には、25mol%の量で存在している。このアクリルアクセプターモノマーは、さらに、その全モノマー組成の50mol%まで、ある場合には、47.5mol%まで、典型的には、45mol%まで、ある場合には、40mol%までの量で、存在し得る。使用されるアクリルアクセプターモノマーのレベルは、このコポリマー組成物内に組み込まれる特性により、決定される。これらのアクリルアクセプターモノマーは、このモノマー組成物中にて、上で述べた値を含めた任意の範囲の値で、存在し得る。
【0050】
本発明の方法のエチレン性不飽和モノマー組成物は、上記のような他のドナーモノマーならびにMおよび上記で指定した他のモノマーを含有し得る。本発明の方法では、他の温和なアクセプターモノマーの使用は任意である。他の温和なアクセプターモノマーが存在しているとき、それらは、その全モノマー組成の少なくとも0.01mol%、しばしば、少なくとも0.1mol%、典型的には、少なくとも1mol%、ある場合には、少なくとも2mol%のコポリマー組成物のレベルで存在している。これらの他のアクセプターモノマーは、その全モノマー組成の35mol%まで、ある場合には、25mol%まで、典型的には、15mol%まで、ある場合には、10mol%までで存在し得る。使用される他のアクセプターモノマーのレベルは、このコポリマー組成物に組み込まれる特性ににより、決定される。他のアクセプターモノマーに由来の残基は、このコポリマー組成物中にて、上で述べた値を含めた任意の範囲の値で、存在し得る。
【0051】
他のモノマーMの使用は、本発明の方法では、任意である。他のモノマーが存在しているとき、それらは、このコポリマー組成物の少なくとも0.01mol%、しばしば、少なくとも0.1mol%、典型的には、少なくとも1mol%、ある場合には、少なくとも2mol%のレベルで存在している。これらの他のモノマーは、35mol%まで、ある場合には、25mol%まで、典型的には、15mol%まで、ある場合には、10mol%までで、存在し得る。本明細書中で使用される他のモノマーのレベルは、このコポリマー組成物内に組み込まれる特性により、決定される。他のモノマーMに由来の残基は、このコポリマー組成物中にて、上で述べた値を含めた任意の範囲の値で、存在し得る。
【0052】
本発明の方法の実施形態では、構造Iのモノマーの過剰量が使用され、構造Iの未反応モノマーは、エバポレーションにより、得られたコポリマー組成物から除去される。未反応モノマーの除去は、典型的には、反応容器に真空を適用することにより、促進される。
【0053】
本発明では、任意の適切な遊離ラジカル開始剤が使用され得る。適切な遊離ラジカル開始剤の例には、熱遊離ラジカル開始剤、光開始剤およびレドックス開始剤が挙げられるが、これらに限定されない。適切な熱遊離ラジカル開始剤の例には、過酸化物化合物、アゾ化合物および過硫酸塩化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
適切な過酸化物化合物開始剤の例には、過酸化水素、過酸化メチルエチルケトン、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化ジ−t−アミル、過酸化ジクミル、過酸化ジアシル、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシエステル、過酸化ジアルキル、ヒドロペルオキシド、ペルオキシケタールおよびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
適切なアゾ化合物の例には、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(バレロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩および2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
本発明の実施形態では、このエチレン性不飽和モノマー組成物および遊離ラジカル重合開始剤は、別々および同時に加えられ、そしてドナーモノマー組成物と混合される。このエチレン性不飽和モノマー組成物および遊離ラジカル重合開始剤は、少なくとも15分間、ある場合には、少なくとも20分間、典型的には、少なくとも30分間、ある場合には、少なくとも1時間の時間にわたって、このドナーモノマー組成物に加えられ得る。このエチレン性不飽和モノマー組成物および遊離ラジカル重合開始剤は、さらに、24時間まで、ある場合には、18時間まで、典型的には、12時間まで、ある場合には、8時間までの時間にわたって、このドナーモノマー組成物に加えられ得る。このエチレン性不飽和モノマーを加える時間は、未反応アクリルアクセプターモノマーよりも適当に過剰な構造Iのドナーモノマーを維持してドナーモノマー−アクセプターモノマー交互セグメントの形成を促すのに十分でなければならない。この添加時間は、そのプロセスを商業規模で経済的に実行できなくするほどには長くない。この添加時間は、上で述べたものを含めた任意の範囲の値で、変わり得る。
【0057】
混合後、または添加中および混合後にて、これらのモノマーの重合が起こる。本発明の重合方法は、任意の適切な温度で実行できる。本発明の方法に適切な温度は、室温、少なくとも50℃、多くの場合、少なくとも60℃、典型的には、少なくとも75℃、ある場合には、少なくとも100℃であり得る。本発明の方法に適切な温度は、300℃まで、多くの場合、275℃まで、典型的には、250℃まで、ある場合には、225℃までとして、記述され得る。この温度は、典型的には、使用するモノマーおよび開始剤から良好な反応性を引き出すのに十分に高い。しかしながら、これらのモノマーの揮発性および対応する分圧により、温度の実用的な上限が生じ、これは、その反応容器の圧力評点により、決定される。その重合温度は、上で述べたものを含めた任意の範囲の値で、変わり得る。
【0058】
本発明の重合方法は、任意の適切な圧力で、実行できる。本発明の方法に適切な圧力は、常圧、少なくとも1 psi、多くの場合、少なくとも5 psi、典型的には、少なくとも15 psi、ある場合には、少なくとも20 psiであり得る。本発明の方法に適切な圧力は、さらに、200 psiまで、多くの場合、175 psiまで、典型的には、150 psiまで、ある場合には、125 psiまでであると記載され得る。この圧力は、典型的には、これらのモノマーおよび開始剤を液相で維持するのに十分に高い。使用する圧力は、使用する反応容器の圧力評点に基づいた実用的な上限を有する。重合温度の間の圧力は、上で述べた値を含めた任意の範囲の値で、変わり得る。
【0059】
本発明の方法から生じるコポリマーは、当該技術分野で公知の方法による官能基変換を使用することにより、他のポリマーの調製用の出発物質として、利用され得る。これらの方法により導入できる官能基には、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、チオールアミド、アミンオキサゾリン、アセトアセテート、メチロール、メチロールエーテル、イソシアネート、キャップドイソシアネート、β-ヒドロキシアルカミドおよびカーバメートがあ
る。
【0060】
例えば、本発明の方法のコポリマー(これは、アクリル酸メチルを含む)は、カルボメトキシ基を含有する。これらのカルボメトキシ基は、カルボキシル基に水和できるか、アルコールとエステル交換してアルコールの対応するエステルを形成できる。アンモニアを使用して、上述のアクリル酸メチルコポリマーは、アミドに変換できるか、または第一級アミンまたは第二級アミンを使用して、対応するN−置換アミドに変換できる。同様に、エチレンジアミンのようなジアミンを使用して、本発明の方法の上述のコポリマーをN−アミノエチルアミドに変換できるか、またはエタノールアミンを使って、N−ヒドロキシエチルアミドに変換できる。このN−アミノエチルアミド官能性は、さらに、脱水により、オキサゾリンに変換できる。このN−アミノエチルアミドは、さらに、炭酸プロピレンのような炭酸エステルと反応されて、対応するウレタン官能性コポリマーを形成できる。これらの変換は、そのカルボメトキシ基の全てを変換するように実行できるか、または一部には、それらのカルボキシメチル基の一部をそのままにして、実行できる。
【0061】
熱硬化組成物は、共反応可能な(co−reactable)固体、粒子混合物、または粉末である。熱硬化組成物は、フィルム形成物質(官能基を含む)、およびこのフィルム形成物質中の官能基と反応性の官能基を有する架橋剤を含む。粉末熱硬化組成物において、フィルム形成物質は、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、チオール、イソシアネート、キャップされたイソシアネート、アミド、アミン、アセトアセテート、メチロール、メチロールエーテル、オキサゾリンカルバメート、およびβ−ヒドロキシアルキルアミドから選択される官能基を有し得る。コポリマーの官能基は、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、チオール、アミド、アミン、オキサゾリン、アセトアセテート、メチロール、メチロールエーテル、イソシアネート、キャップされたイソシアネート、β−ヒドロキシアルカミド、およびカルバメートのうちの1つ以上であり得る。本発明のコポリマー架橋剤の官能基は、フィルム形成物質中の官能基と反応する。
【0062】
官能性コポリマー架橋剤は、代表的には、100〜5,000グラム/当量、ある場合には250〜1,000グラム/当量の官能基当量を有し、そしてコポリマー架橋剤の官能基に対するフィルム形成物質の官能基の当量比は、1:3〜3:1の範囲内である。代表的には、コポリマー架橋剤は、樹脂固体の総重量に基づいて1〜45重量パーセントの量で存在し、そしてフィルム形成物質は、樹脂固体の総重量に基づいて55〜99重量パーセントの量で存在する。
【0063】
本発明の粉末熱硬化組成物の実施形態において、フィルム形成物質は、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、およびその混合物の残基を含み、そしてさらに官能基を含むポリマーを含む。このフィルム形成物質がポリマーを含む場合、そのポリマーは、500〜30,000の数平均分子量、いくつかの場合には、500〜16,000の数平均分子量、そして4未満の多分散指数を有し得る。さらに、フィルム形成物質がポリマーを含む場合、そのポリマーは、100〜5,000グラム/当量、いくつかの場合には250〜1,000グラム/当量の官能基当量を有し得る。
【0064】
本発明のさらなる実施形態において、フィルム形成物質の官能基は、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、チオール、イソシアネート、キャップされたイソシアネート、アミド、アミン、アセトアセテート、メチロール、メチロールエーテル、オキサゾリンカルバメート、およびβ−ヒドロキシアルキルアミドならびにその混合物から選択され;コポリマー架橋剤の官能基は、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、チオール、アミド、アミン、オキサゾリン、アセトアセテート、メチロール、メチロールエーテル、イソシアネート、キャップされたイソシアネート、βヒドロキシアルカミド、およびカルバメート、ならびにその混合物から選択され;そしてフィルム形成物質の官能基は、コポリマー架橋剤中の官能基と反応性である。
【0065】
本発明の粉末熱硬化組成物の実施形態において、フィルム形成中の官能基当量に対するコポリマー架橋剤中の官能基当量の当量比は、1:3〜3:1の範囲内である。
【0066】
本発明の粉末熱硬化組成物のさらなる実施形態において、フィルム形成物質は、樹脂固体の総重量に基づいて55〜99重量パーセントの量で存在し、そして官能性コポリマー架橋剤は、樹脂固体の総重量に基づいて、1〜45重量パーセントの量で存在する。
【0067】
本発明のさらなる実施形態において、フィルム形成物質は、エポキシ官能基を含むモノマーの残基を含み、そしてコポリマー架橋剤中のアクリルアクセプターモノマーは、1つ以上のカルボン酸官能性アクリルモノマーを含むポリマーである。この実施形態の特定の非限定的例において、フィルム形成物質は、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、およびその混合物から選択されるエポキシ官能性モノマーの残基;ならびにアクリル酸の、直鎖または分枝のC〜C20アルキルエステル、C〜C20アリールエステル、C〜C20アルカリールエステル、およびC〜C20アラルキルエステルから選択されるアクリレートモノマーの残基;メタクリル酸の、C〜C20アルキルエステル、C〜C20アリールエステル、C〜C20アルカリールエステル、およびC〜C20アラルキルエステルから選択されるメタクリレートモノマーの残基;ならびにその混合物を含む。この特定の実施形態に加えて、本発明のコポリマー架橋剤は、フィルム形成物質中のエポキシ官能基と反応性の少なくとも2つの官能基を有し、そして上で定義されたとおりの交互構造単位:
−[DM−AM]−
(ここでドナーモノマーは、イソブチレン、ジイソブチレン、ジペンテン、イソプレン、イソプレノール、1−オクテン、およびその混合物から選択され、そしてアクリルアクセプターモノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸から選択される)を有する残基を少なくとも30mol%含む。
【0068】
コポリマー架橋剤の官能基が、ヒドロキシ官能基であり、そしてフィルム形成物質の官能基が、キャップしたポリイソシアネートである場合、このキャップされたポリイソシアネート架橋剤のキャップ基は、ヒドロキシ官能性化合物、1H−アゾール類、ラクタム、およびケトオキシムのうちの1つ以上であり得る。このキャップ基は、フェノール、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、1H−1,2,4−トリアゾール、1H−2,5−ジメチルピラゾール、2−プロパノンオキシム、2−ブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、およびe−カプロラクタムのうちの1つ以上である。キャップされたポリイソシアネート架橋剤のポリイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、α,α’−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタン、上記ポリイソシアネートの二量体、およびこれらのポリイソシアネートの三量体のうちの1つ以上である。ヒドロキシ官能基を有するコポリマー架橋剤は、代表的に、100〜10,000グラム/当量のヒドロキシ当量を有する。
【0069】
本発明の粉末熱硬化組成物の別の実施形態において、フィルム形成物質の官能基は、エポキシ官能基であり、そしてコポリマー架橋剤は、カルボキシル官能基を有する。
【0070】
本発明の実施形態において、コポリマー架橋剤が、カルボキシル官能基を有する場合、熱硬化組成物は、他の適切なカルボキシル架橋剤を含み得る。この実施形態において、適切な他のカルボン酸架橋剤としては、C〜C20脂肪族カルボン酸、ポリマーのポリ無水物、カルボン酸官能性ポリエステル、カルボン酸官能性ポリウレタン、およびその混合物のうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。適切なC〜C20脂肪族カルボン酸としては、ドデカン二酸、アゼライン酸、アジピン酸、1,6−ヘキサン二酸、コハク酸、ピメリン酸、セバシン酸、マレイン酸、クエン酸、イタコン酸、アコニチン酸、およびその混合物のうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
粉末熱硬化性組成物のさらなる実施形態において、コポリマー架橋剤の官能基は、は、カルボキシル官能基であり、そしてフィルム形成材料は、β−ヒドロキシアルキルアミドを含む。このβ−ヒドロキシアルキルアミドは、代表的に、構造VIII:
【0072】
【化9】

によって示されるものであり、ここで、R24は、HまたはC〜Cアルキルであり;R25は、H、C〜Cアルキルまたは構造IX:
【0073】
【化10】

を有する基であり、そのR24については上記のとおりであり;Eは、化学結合または2〜20個の炭素原子を含む置換された炭化水素ラジカルを含む、飽和、不飽和もしくは芳香族の炭化水素に由来する。一価もしくは多価の有機ラジカルであり;mは1または2であり;nは0〜2であり;そしてm+nは少なくとも2である。
【0074】
本発明の粉末熱硬化性組成物はまた、その架橋剤と官能性コポリマーとの間の反応を触媒する1種またはそれ以上の硬化触媒を含有し得る。有用な触媒の種類には、金属化合物、特に、有機スズ化合物および第三級アミンが挙げられる。有機スズ化合物の例には、カルボン酸のスズ(II)塩(例えば、酢酸スズ(II)、オクタン酸スズ(II)、エチルヘキサン酸スズ(II)およびラウリン酸スズ(II));スズ(IV)化合物(例えば、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジクロライド、ブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエートおよびジオクチルスズジアセテート)が挙げられるが、これらに限定されない。適切な第三級アミン触媒の例には、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンおよび1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]オン−5−エンが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい触媒には、オクタン酸スズ(II)およびジブチルジラウリン酸スズ(IV)が挙げられる。
【0075】
本発明の粉末熱硬化性組成物はまた、顔料および充填剤を含有し得る。顔料の例には、無機顔料(例えば、二酸化チタンおよび酸化鉄)、有機顔料(例えば、フタロシアニン、アントラキノン、キナクリドンおよびチオインジゴ)、およびカーボンブラックが挙げられるが、これらに限定されない。充填剤の例には、シリカ(例えば、沈降シリカ)、クレーおよび硫酸バリウムが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物中で使用するとき、顔料および充填剤は、典型的には、その熱硬化性組成物の全重量に基づいて、0.1重量%〜70重量%の量で、存在している。さらに多くの場合、本発明の熱硬化性組成物は、顔料および充填剤を実質的に含まないクリア組成物として使用される。
【0076】
本発明の粉末熱硬化性組成物は、必要に応じて、添加剤、例えば、流動および湿潤用のワックス、流動制御剤(例えば、ポリ(2−エチルヘキシル)アクリレート)、脱気添加剤(例えば、ベンゾイン、塗装特性を変えて最適化する補助樹脂)、酸化防止剤および紫外光(UV)吸収剤を含有し得る。有用な酸化防止剤およびUV光吸収剤の例には、IRGANOXおよびTINUVINの商標でCiba−Geigyから市販されているものが挙げられる。これらの任意の添加剤は、使用されるとき、典型的には、この熱硬化性組成物の全重量に基づいて、20重量%までの量で存在している。
【0077】
本発明の粉末熱硬化性組成物は、典型的には、まず、ブレンダー(例えば、Henshelブレードブレンダー)中にて、そのフィルム形成ポリマー、架橋剤および添加剤(例えば、流動制御剤、脱気剤および触媒)を乾式混合することにより調製される。このブレンダーは、そこに充填した物質の均一な乾燥ブレンドを得るのに十分な時間にわたって操作される。この均一な乾燥ブレンドは、次いで、押出機(例えば、二軸スクリュー共回転押出機;これは、80℃〜140℃、例えば、100℃〜125℃の温度範囲内で操作される)にて、溶融ブレンドされる。本発明の熱硬化性組成物の押出物は、冷却され、そして粉末塗装組成物として使用するとき、典型的には、例えば、15〜80ミクロン以上、いくつかの場合には15〜30ミクロンの平均粒径に粉砕される。
【0078】
本発明はまた、基板を塗装する方法に関し、該方法は、以下の工程を包含する:
(A)該基板に熱硬化性組成物を塗布する工程;
(B)該熱硬化性組成物を融合して、実質的に連続なフィルムを形成する工程;および
(C)該熱硬化性組成物を硬化する工程。
【0079】
この熱硬化性組成物は、典型的には、上記粉末熱硬化性組成物である。この熱硬化性組成物は、本発明のコポリマー架橋剤を含み、これは、上記官能性コポリマーおよびフィルム形成物質(これは、この官能性コポリマー架橋剤の官能基と反応性である少なくとも2個の官能基を有する)を含有する。
【0080】
本発明の熱硬化性組成物は、当業者に公知である任意の適切な手段によって基材に塗布され得る。一般に、この熱硬化性組成物は、乾燥粉末の形態であり、そしてスプレー塗布により塗布される。あるいは、この粉末は、液体媒体(例えば、水)中にスラリー化され得、そしてスプレー塗布される。語「共反応性の固体粒子状混合物」が、本明細書中および特許請求の範囲において使用される場合、熱硬化性組成物は、乾燥粉末の形態またはスラリー形態であり得る。
【0081】
基材が導電性である場合、熱硬化性組成物は、代表的には、静電的に塗布される。静電スプレー塗布は、一般に、流動床から熱硬化性組成物を引き出すこと、およびこれをコロナ電場を通して推進することを包含する。熱硬化性組成物の粒子は、それらがコロナ電場を通過するにつれて荷電され、場に置かれた導電性基材に誘引され、そしてその上に堆積される。荷電粒子が積み重なり始めるにつれ、基材は絶縁されるようになり、これにより、さらなる粒子の堆積を制限する。この絶縁現象は、代表的には、堆積した組成物から生成されるフィルムを、最大10〜12ミル(250〜300ミクロン)、いくつかの場合には3〜6ミル(75〜150ミクロン)に制限する。
【0082】
あるいは、基材が導電性でない場合(例えば、多くのプラスチック基材の場合のように)、この基材は、代表的には、熱硬化性組成物の塗布前に予熱される。この基材の予熱温度は、熱硬化性組成物の融点に等しいか、またはそれより高いが、その硬化温度よりも低い。予熱基材上にスプレー塗布を用いると、6ミル(150ミクロン)以上の熱硬化性組成物のフィルム構築物が達成され得る(例えば、10〜20ミル(254〜508ミクロン))。
【0083】
基材への塗布後、熱硬化性組成物は、次いで、融合されて、実質的に連続したフィルムを形成する。塗布された組成物の融合は、一般に、組成物の融点に等しいか、またはそれより高いが硬化温度よりも低い温度の、熱の適用によって達成される。予熱された基材の場合、塗布および融合の工程は、本質的に1つの工程で達成され得る。
【0084】
次に、融合された熱硬化性組成物は、熱の適用によって硬化される。本明細書中および特許請求の範囲で使用される場合、「硬化された」とは、共有結合形成、例えば、共反応物の反応性官能基とポリマーのエポキシ基との間の共有結合形成、によって形成された三次元架橋網を意味する。本発明の熱硬化性組成物が硬化する温度は可変性であり、用いる触媒のタイプおよび量に部分的に依存する。代表的には、熱硬化性組成物は、120℃〜180℃の範囲の硬化温度(例えば、130℃〜160℃)を有する。
【0085】
上記の熱硬化性組成物は、それらが接着する種々の基材(例えば、木;第一鉄基材およびアルミニウム基材のような材料;ガラス;プラスチック、ならびにシート成形化合物ベースのプラスチック)に塗布され得る。
【0086】
本発明はさらに、以下:
(a)着色フィルム形成組成物から堆積されるベースコート;および
(b)このベースコート上に塗布される透明トップコート
を含有する多成分複合コーティング構成物に関する。ここで、このベースコートもしくは透明トップコートのいずれか、またはこれらの両方は、本発明の熱硬化性組成物を含有するクリアフィルム形成熱硬化性組成物から堆積される。本明細書中に記載されるような多成分複合コーティング構成物は、通常、着色透明(color−plus−clear)コーティング構成物と称される。
【0087】
このベースコートは、上記のような粉末コーティング組成物または液体熱可塑性組成物から、堆積され得る。ベースコートが液体熱硬化性組成物から堆積される場合、この組成物は、基材上に実質的に連続したフィルムを形成するように融合される。代表的には、フィルム厚さは、約0.01〜約5ミル(約0.254ミクロン〜約127ミクロン)であり、好ましくは、約0.1ミル〜約2ミル(約2.54〜約50.8ミクロン)の厚さである。フィルムは、加熱によって、または風乾期間によって、フィルムから溶媒(すなわち、有機溶媒および/または水)を排出させる(drive)ことによって基材の表面に形成される。好ましくは、加熱は、続いて塗布される任意のコーティングが組成物を溶解することなくフィルムに塗布され得るのを確実にするのに十分な短期間の間のみである。適切な乾燥条件は特定の組成に依存するが、一般に、約68〜250°F(20〜121℃)の温度で約1〜5分の乾燥時間が十分である。組成物の1つより多くの被膜が、最適な外観を生成するために塗布され得る。被膜の間に、以前に塗布された被膜がフラッシュ(flash)、すなわち、約1〜20分の間、周囲条件に曝露され得る。
【0088】
基材への塗布後、液体熱硬化性組成物は、ベースコートとして使用される場合、融合されて、実質的に連続したフィルムを形成する。塗布された組成物の融合は、一般に、組成物の融点に等しいか、またはそれより高いが、硬化温度よりも低い温度の熱の適用によって達成される。予熱された基材の場合、塗布および融合の工程は、本質的に1つの工程で達成され得る。
【0089】
次に、融合された熱硬化性組成物は、熱の適用によって硬化される。本明細書中および特許請求の範囲で使用される場合、「硬化された」とは、共有結合形成(例えば、フィルム形成材料の反応性官能基と架橋剤との間)によって形成された三次元架橋網を意味する。本発明の熱硬化性組成物が硬化する温度は可変性であり、用いる触媒のタイプおよび量に部分的に依存する。代表的には、熱硬化性組成物は、120℃〜180℃の範囲内の硬化温度(いくつかの場合において、130℃〜160℃)を有する。
【0090】
ベースコートが堆積される着色フィルム形成組成物は、コーティング適用(特に、着色透明コーティング組成物がもっぱら使用される自動車適用)において有用な任意の組成物であり得る。着色フィルム形成組成物は、従来、着色料として作用するように、樹脂性バインダーおよび色素を含む。特に有用な樹脂性バインダーは、アクリルポリマー、アルキドを含むポリエステル、ポリウレタン、および本発明のコポリマー組成物である。
【0091】
着色フィルム形成ベースコート組成物のための樹脂性バインダーは、有機溶媒ベースの材料(例えば、米国特許第4,220,679号(第2欄、24行から第4欄、40行を参照)に記載の材料)であり得る。また、水ベースのコーティング組成物(例えば、米国特許第4,403,003号、同第4,147,679号、および同第5,071,904号に記載のような組成物)も、着色フィルム形成組成物におけるバインダーとして使用され得る。
【0092】
着色フィルム形成ベースコート組成物は、着色され、そしてまた、メタリック色素を含み得る。適切な色素の例は、米国特許第4,220,679号、同第4,403,003号、同第4,147,679号、および同第5,071,904号において見出され得る。
【0093】
着色フィルム形成ベース皮膜組成物中に必要に応じて存在し得る成分は、表面コーティングの処方の分野で周知である成分であり、そして界面活性剤、流動制御剤、チキソトロープ剤、充填剤、ガス発生防止剤、有機共溶媒、触媒、および他の慣用の補助剤を含む。これらの任意材料および適切な量の例は、上述の米国特許第4,220,679号、同第4,403,003号、同第4,147,679号、および同第5,071,904号に記載される。
【0094】
着色フィルム形成ベースコート組成物は、任意の従来のコーティング技術(例えば、ブラッシング、スプレー、浸漬、またはフローイング)によって基材に塗布され得るが、最も頻繁には、スプレーによって塗布される。エアスプレー、エアレススプレー、および静電スプレー(手動法または自動法のいずれかを用いる)のための通常のスプレー技術および装置が、使用され得る。着色フィルム形成組成物は、代表的に0.1〜5ミル(2.5〜125ミクロン)、好ましくは0.1〜2ミル(2.5〜50ミクロン)のフィルム厚さを有するベースコートを提供するのに十分な量で提供される。
【0095】
基材上への着色フィルム形成ベースコート組成物の堆積後、かつ透明トップコートの塗布前に、ベースコートは、硬化され得るか、または代替的に乾燥され得る。堆積されたベースコートの乾燥の際に、有機溶媒および/または水は、加熱によって、またはその表面上での空気の通過によって、ベースコートフィルムから排出される。適切な乾燥条件は、使用される特定のベースコート組成物に依存し、そして特定の水ベース組成物の場合、周囲湿度に依存する。一般に、堆積されたベースコートの乾燥は、1〜15分の期間にわたって、21℃〜93℃の温度で、実施される。
【0096】
透明トップコートは、コーティングが塗布されることが知られる方法のいずれかによって、堆積されたベースコートの上に塗布される。本発明の実施形態において、透明トップコートは、本明細書中に以前に記載したように、静電スプレー塗布によって塗布される。透明トップコートが、乾燥された堆積されたベースコートの上に塗布される場合、2つのコーティングが共硬化されて、本発明の多成分複合コーティング構成物を形成し得る。ベースコートおよびトップコートの両方ともが一緒に加熱されて、2つの層を共同に硬化する。代表的には、20〜30分の期間の130℃〜160℃の硬化条件が使用される。透明トップコートは、代表的には、0.5〜6ミル(13〜150ミクロン)の範囲内の厚さを有する(例えば、1〜3ミル(25〜75ミクロン))。
【0097】
本発明の1つの実施形態において、多成分堆積コーティング構成物は、以下:
(a)カソードおよびアノードを含む電気回路においてカソードとして作用する導電性基材を電気コーティングすることによって堆積されるプライマーコートであって、このカソードおよびアノードは、このカソードとアノードとの間に電流を通して、実質的に連続したフィルムとしてこの基材上に電気コーティング組成物を堆積させることによって、水性電気コーティング組成物中に液浸される、プライマーコート;
(b)このプライマーコート上に塗布されるベースコートであって、着色フィルム形成組成物から堆積される、ベースコート;および
(c)このベースコート上に塗布される透明トップコート
を含有し、ここで、このベースコートもしくは透明トップコートまたはこれらの両方は、本発明の熱硬化性組成物を含有するクリアフィルム形成熱硬化性組成物から堆積される。
【0098】
本発明の特定の実施形態において、ベースコートおよび透明トップコートは、上記のようであり、そしてプライマーコートは、水性媒体中に分散された樹脂相を含有する熱硬化性組成物から堆積される。この樹脂相は、非ゲル化コポリマー組成物を含み、この組成物は、1つ以上の活性水素基および適切なイオン性基を含む官能基を有するコポリマー、お
よびこのコポリマーの活性水素基と反応する、少なくとも2つの官能基を有する硬化剤を含有する。適切なイオン性基は、アニオン性基およびカチオン性基を含む。適切なカチオン性基の非限定的な例は、アミン塩基である。電着組成物は、当該分野で周知であり、そして、例えば、米国特許第4,468,307号;同第4,493,056号;同第5,096,556号および同第5,820,987号に記載される。
【0099】
プライマーコートの電着後、着色フィルム形成ベースコート組成物は、代表的にプライマーコーティングされた基材に塗布される。ベースコートは、硬化され得るか、あるいは乾燥され得る。乾燥において、堆積ベースコート、有機溶媒および/または水は、加熱またはその表面上の空気の通過によって、ベースコートフィルムの外に出される。適切な乾燥条件は、使用される特定のベースコート組成物、および特定の水ベース組成物の場合は、周囲の湿度に基づく。一般的に、堆積ベースコートの乾燥は、1〜15分の期間、21℃〜93℃の温度で、実施される。
【0100】
透明トップコートは、コーティングが塗布されることが公知の任意の方法を用いて、堆積ベースコート上に塗布され得る。本発明の実施形態において、本明細書中上記のように、静電スプレー塗布により塗布され得る。トップコートが、乾燥された堆積ベースコートに塗布される場合、2つのコーティングが共硬化され、プライムされた本発明の多成分複合コーティング組成物を形成し得る。ベースコートおよびトップコートの両方を一緒に加熱し、2つの層を、結合的に硬化する。代表的に、130℃〜160℃、20分〜30分の期間の硬化条件が使用される。透明トップコートは、代表的に、0.5ミル〜6ミル(13ミクロン〜150ミクロン)(例えば、1ミル〜3ミル(25ミクロン〜75ミクロン))の範囲内の厚さを有する。
【0101】
本発明の実施形態において、さらなるコーティング層(例えば、プライマー−サーフェイサー)が、ベースコートの塗布の前に、電着プライマー層に塗布され得る。
【0102】
本明細書中および特許請求の範囲中で使用される場合、用語「プライマーサーフェイサー」とは、引き続いて塗布されるトップコーティング組成物の下での使用のためのプライマー組成物をいい、そして、有機コーティング組成物の分野で一般的に公知の、熱可塑性および/または架橋性(例えば、熱硬化性)フィルム形成樹脂のような材料を含む。適切なプライマーおよびプライマー−サーフェイサーは、当業者に公知のようなスプレー塗布されたプライマーを含む。適切なプライマーの例としては、DPX−1791、DPX−1804、DSPX−1537、GPXH−5379および1177−225Aとして、PPG Industries,Inc.,Pittsburgh,PAから入手可能な、いくつかのプライマーが挙げられる。
【0103】
Taljanらに対する米国特許第5,356,973号において記載されるように、スプレー塗布されたプライマーサーフェイサーが、ベースコートの塗布および/またはトップコーティングの前に、電気コートに塗布され得る。例えば、基材(例えば、パネル)は、ED−11電着可能コーティング(PPG Industries,Inc.が提供)で、電気コーティングされ得、そして、E 730G305のコードの市販のPPG Industriesプライマーサーフェイサーでプライムされ得る。このプライマーサーフェイサーは、25分間、329°F(165℃)で、硬化され得る。適切なプライマーサーフェイサーの別の例は、K200/K201として公知の2パッケージ、アクリルウレタンプライマーサーフェイサー(このようなプライマーサーフェイサーについては、McEntireらに対する米国特許第5,239,012号およびMartzらに対する米国特許第5,182,355号において、より完全に開示される)であり得る。このプライマーは、No.400グリット紙でやすりにかけられ得、そしてDP−40/401で密封され、これは、シンナー(DTU 800)で100容量%にされた2成分エポキシプライマーである。K200/K201、DP−40/401、およびDTU 800は、全てPPG Industries,Incから入手可能である。
【0104】
さらなるプライマーサーフェイサーは、PPG Industries,Inc.から、E−5584として入手可能なプライマーサーフェイサーである。これは、No.4 Ford cupで測定した場合、2−ブトキシエチルアセテートで、23秒の粘性に縮小可能である。このプライマーサーフェイサーは、自動的にスプレーされ得、15分間、周囲条件でフラッシングし、その後、約30分間、約325°F(165℃)で加熱することにより硬化させ、約30ミクロンの厚さの乾燥フィルムを有し得るコーティングを生成し得る。硬化フィルムは、500グリット紙やすりで、滑らかに磨かれ得る。プライマーサーフェイサーおよび透明コートの両方についての、有用な自動スプレーは、SPRAYMATION Incより入手可能なSPRAYMATION 310160自動試験パネルスプレーユニットである。利用可能なスプレー銃は、開放銃圧60psi(4.22kg/cm)および約80rpmのトラバース速度を有する、Binks Model 610である。
【0105】
別の適切なプライマーサーフェイサーは、Levineらに対する、米国特許第4,303,581号(参考として、本明細書中に援用される)に開示されるような、水分散性プライマーサーフェイサー組成物と、3つの必須な樹脂性フィルム形成成分またはバインダー成分の組み合わせであり得る。プライマーサーフェイサーは、a)50〜90%の、ラテックス形態のアクリルモノマーを有する、スチレンモノマーの高分子添加コポリマー、b)約5〜40%の水溶性エポキシエステル樹脂、およびc)約5〜20%の、少なくとも1つの水溶性樹脂または水分散性アミノプラスト樹脂を有する。全ての割合は、バインダー成分の総重量パーセントに基づく。
【0106】
本発明は、以下の実施例において、より詳しく記載され、これらの実施例は、その中の多くの改変および変化が当業者に明らかなので、例示のみを意図する。特に記載されない限り、全ての部およびパーセンテージは、重量に基づく。
【実施例】
【0107】
(実施例1)
表1の成分を、交互コポリマー(ジイソブチレン−alt−アクリル酸/ブチルアクリレート(実施例A))を合成するために使用した。
【0108】
【表1】

15DOWANOL(登録商標)PM溶媒、Dow Chemical Co.,Midland MI
16LUPEROX 575,ATOFINA,Paris,France
チャージ1を、攪拌器、熱電対、およびN注入口を備えた反応フラスコに添加し、Nブランケット下に配置し、そして103℃で加熱した。チャージ2を反応フラスコに、4時間にわたって、添加した。15分後、チャージ3を、4時間にわたって、反応フラスコに添加した。モノマーを添加する間、温度を103℃で維持した。チャージ2およびチャージ3を、反応フラスコに添加後、反応混合物を2時間保持した。次いで、反応フラスコを25℃に冷却した。反応混合物のガスクロマトグラフィー(GC)分析は、全てのアクリレートが反応したことを示した。次いで、反応フラスコに、単純減圧蒸留器を備え付け、そして反応混合物を80℃に過熱して、未反応のジイソブチレンおよび溶媒を除去した。生じたポリマー溶液の固体を、110℃、1時間乾燥後、98.3重量%として決定した。コポリマーは、数平均分子量、M=1430および多分散性M/M=1.8(ポリスチレン標準を用いるゲル浸透クロマトグラフィーにより決定される)を有した。粉末の酸価は、207.1であった。
【0109】
表2の成分を、交互コポリマー(ジイソブチレン−alt−アクリル酸/ブチルアクリレート(実施例B))を合成するために使用した。
【0110】
【表2】

15DOWANOL(登録商標)PM溶媒、Dow Chemical Co.,Midland MI
16LUPEROX 575,ATOFINA,Paris,France
チャージ1を、撹拌器、熱電対、およびN入口を備える反応フラスコに添加し、Nのブランケット下に配置し、そして103℃に加熱した。チャージ2を、この反応フラスコに、4時間かけて添加した。15分後、チャージ3を、この反応フラスコに、4時間かけて添加した。モノマーの添加の間、温度を103℃に維持した。チャージ2およびチャージ2を反応フラスコに入れた後に、この反応混合物を2時間維持した。次いで、この反応フラスコを25℃に冷却した。この反応混合物のGC分析は、全てのアクリレートが反応したことを示した。次いで、この反応フラスコを、単純な減圧蒸留のために取り付け、そしてこの反応混合物を80℃に加熱して、未反応のジイソブチレンおよび溶媒を除去した。得られたポリマーの固形物は、110℃で1時間にわたって、98.52重量%であることが決定された。このコポリマーは、1310のMnおよび1.9のMw/Mnを有した(ポリスチレン標準を使用するゲル濾過クロマトグラフィーによって決定した)。この粉末の酸価は、196.8であった。
【0111】
表3に示される成分を使用して、交互コポリマー(ジイソブチレン−alt−アクリル酸/アクリル酸ブチル/アクリル酸イソボルニル)を合成した(実施例C)。
【0112】
【表3】

15 DOWANOL(登録商標) PM溶媒、Dow Chemical Co.,Midland MI
16 LUPEROX 575、ATOFINA,Paris,France。
【0113】
チャージ1を、撹拌器、熱電対、およびN入口を備える反応フラスコに添加し、Nのブランケット下に配置し、そして103℃に加熱した。チャージ2を、この反応フラスコに、4時間かけて添加した。15分後、チャージ3を、この反応フラスコに、4時間かけて添加した。モノマーの添加の間、温度を103℃に維持した。チャージ2およびチャージ2を反応フラスコに入れた後に、この反応混合物を2時間維持した。次いで、この反応フラスコを25℃に冷却した。この反応混合物のGC分析は、全てのアクリレートが反応したことを示した。次いで、この反応フラスコを、単純な減圧蒸留のために取り付け、そしてこの反応混合物を80℃に加熱して、未反応のジイソブチレンおよび溶媒を除去した。得られたポリマーの固形物は、110℃で1時間にわたって、97.84重量%であることが決定された。このコポリマーは、1430のMnおよび1.9のMw/Mnを有した(ポリスチレン標準を使用するゲル濾過クロマトグラフィーによって決定した)。この粉末の酸価は、148.7であった。
【0114】
表4に示される成分を使用して、交互コポリマー(ジイソブチレン−alt−アクリル酸)を合成した(実施例D)。
【0115】
【表4】

チャージ1を、撹拌器、熱電対、およびN入口を備えるステンレス鋼の加圧反応容器に添加し、5psiのNパッド下に配置し、そして150℃に加熱した。チャージ2を、この反応フラスコに、2.5時間かけて添加した。15分後、チャージ3を、この反応フラスコに、2時間かけて添加した。モノマーの添加の間、150℃の温度および250psiの圧力に維持した。チャージ2およびチャージ2を反応フラスコに入れた後に、この反応混合物を2時間維持した。次いで、この反応フラスコを25℃に冷却した。この反応混合物のGC分析は、全てのアクリル酸が反応したことを示した。次いで、この反応フラスコを、単純な減圧蒸留のために取り付け、そしてこの反応混合物を115℃に加熱して、未反応のジイソブチレンおよび溶媒を除去した。得られたポリマーの固形物は、110℃で1時間にわたって、100重量%であることが決定された。このコポリマーは、1580のMnおよび2.2のMw/Mnを有した(ポリスチレン標準を使用するゲル濾過クロマトグラフィーによって決定した)。この粉末の酸価は、406であった。
【0116】
表5の実施例E〜Iとして同定されるエポキシ−酸粉末クリアコート組成物を、示される成分および量(重量部)を使用して調製し、そして以下の様式で処理した。これらの成分を、Henschel Blenderにおいて60〜90秒間ブレンドした。次いで、この混合物を、Werner & Pfleider共回転ツインスクリュー押出し器を通して、450RPMのスクリュー速度および100〜125℃の押し出し温度で押し出した。次いで、この押し出された材料を、ACM2(Hosakawa Micron
Powder Systems製のAir Classifying Mill)を使用して17〜27μmの平均粒子サイズまで粉砕した。仕上げた粉末を、試験パネル上に静電スプレーし、そして外観について評価した。
【0117】
【表5】

17 米国特許第6,277,917号、実施例B。
18 脂肪酸アミド(エチレンビス−ステアロイルアミド)、Hoechst−Celanese,Summerville,NJから入手可能。
19 2−tert−ブチル−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)[ビス(メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)]ジプロピオネート)、Ciba Specialty Chemicals,Basel,Switzerlandから入手可能な紫外光安定化剤。
20 (2−[4−((2−ヒドロキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル)−オキシ]−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン)、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能な紫外光安定化剤。
21 Sanko Chemical Corp.,Fukuoka,Japanから入手可能な抗黄変剤(抗酸化剤)。
22 Akzo−Nobel Corp.,Arnhem,Netherlandsから入手可能なメチルジココアミン。
23 米国特許第6,197,883号B1。
【0118】
実施例E〜Iの粉末コーティング組成物を、以下の様式で、試験のために調製した。試験パネル(PPG Industries,Inc.からED5000として市販されている電気コートプライマーで予めコーティングされている)を、プライマー/サーフェイサーおよびベースコートで、噴霧塗布によって、それぞれ、1.4ミル(36ミクロン)および0.4ミル(9.4ミクロン)のフィルム厚までコーティングし、Akzo−Nobel Corp.から市販されるブラック溶媒性プライマーでコーティングし、そしてBASF Corporation製の水系ブラックベースコートでコーティングした。ベースコートパネルを、176°F(80℃)で10分間フラッシュし、その後、実施例E〜Iの粉末クリアコート組成物を静電気的に塗布した。この粉末コーティングを、2.2〜2.6ミル(55〜65ミクロン)のフィルム厚で塗布し、そして293°F(145℃)で30分間硬化した。次いで、これらのパネルを、コーティング特性(酸耐性を含む)について試験した。使用した酸耐性試験は、65℃まで加熱したパネルに、50μLの液滴により塗布される36%の硫酸溶液であった。1滴を、30分間1分おきに、このパネルに塗布する。試験の終了時に、このパネルを、脱イオン水でリンスし、そして損傷について評価する。+は、コントロールと比較して温和な改善を示す。++は、コントロールと比較して際だった改善を示す。
【0119】
傷耐性を、Atlas Mar Testerを使用して評価した。2インチ×2インチの、2ミクロンの研磨紙片(3M,St.Paul,MNから入手可能)を、機器のアーム上のアクリル製フィンガーに固定されたフェルト布上に置いた。1セットの10回の二重擦りを、上記のように調製したパネルに対して実施した。これらのパネルを、冷却水道水で洗浄し、そして乾燥した。傷耐性を、20°光沢値の割合(これは表面を傷テスターにより傷つけた後に維持される)として評価した。傷耐性(傷:2μ)を、以下として測定した:傷耐性=(傷光沢/元の光沢)×100。+は、コントロールと比較して温和な改善を示す。結果を表6で報告する。
【0120】
【表6】

表6に示されるデータは、本発明の粉末クリアコート組成物(実施例F、G、HおよびI)が、比較実施例Eの酸耐性および傷耐性よりも改善された酸耐性および傷耐性を提供することを実証する。
【0121】
(実施例2)
表7の成分を使用して、交互コポリマーの、ジイソブチレン−alt−ヒドロキシエチルアクリレート/メチルアクリレート/イソボルニルアクリレート(実施例J)を合成した。
【0122】
【表7】

15 DOWANOL(登録商標)PM溶媒、Dow Chemical Co.,Midland MI
16 LUPEROX 575、ATOFINA、Paris、France
チャージ1を、攪拌子、熱電対およびN入口を備える反応フラスコに添加し、Nブランケット下に置き、そして103℃に加熱した。チャージ2を、4時間にわたってこの反応フラスコに添加した。15分後、チャージ3を、4時間にわたってこの反応フラスコに添加した。モノマー添加の間、温度を103℃に維持した。この反応フラスコ中にチャージ2およびチャージ3を入れた後、この反応混合物を2時間維持した。次いで、この反応フラスコを25℃に冷却した。反応混合物のGC分析により、全てのアクリレートが反応したことが示された。この反応フラスコに、次いで、簡単な減圧蒸留を取付け、この反応混合物を80℃まで加熱して、未反応のジイソブチレンおよび溶媒を除去した。得られたポリマーの固形分を、110℃で1時間にわたって決定して、97.8重量%であることを決定した。コポリマーは、M=1700およびM/M=5.1を有した(ポリスチレン基準を使用するゲル透過クロマトグラフィーによって決定)。粉末のヒドロキシル価は、142.6であった。
【0123】
粉末コーティングを、示される成分および量(重量部)を使用して、表8に記載されるようにして調製した。
【0124】
【表8】

25 VESTAGON BF 1540、Degussa,A.G.,Dusseldorf,Germanyから入手可能。
26 Ti Pure R−706、E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEから入手可能。
27 Butaflow BT−71、Estron Chemical,Inc.,Calvert City,KYから入手可能。
【0125】
粉末コーティングを、以下の様式で調製し、そして処理した。成分を、Prism Blender中で、15〜30秒間ブレンドした。次いで、この混合物を、Werner
& Pfleider同時回転ツインスクリュー押出し機を通して、450 RPMの送り速度、および100℃〜125℃の押出し物温度で、押し出した。この押し出された材料を、室温まで冷却し、次いで、ACM Grinder(Micron Powder Systems,Summit,New Jersey製のAir Classifying Mill)を使用して、30〜50ミクロンの中央粒径まで粉砕した。Bonderite 1000で前処理した冷間圧延鋼鉄試験パネルを、ACT Laboratoriesから得た。完成した粉末を、試験パネルに静電噴霧し、そして380°F(193℃)で20分間焼き付けた。
【0126】
光沢を、Haze−gloss Reflectometer Model 4601(BYK−Gardnerから入手可能)を用いて測定した。20°で測定された光沢は、73.6であり、60°で測定された光沢は、87.9であった。溶媒耐性を、メチルエチルケトン(MEK)を用いて決定した。布を、MEKに浸し、そして前後(二重)に50回擦った。コーティングの外観の変化は、観察されなかった。
【0127】
本発明は、その特定の実施形態の特定の詳細に関して記載されている。本発明の広範な概念から逸脱することなく、上記の実施形態に対して変更がなされ得ることが、当業者に理解される。このような詳細は、それらが添付の特許請求の範囲内に包含される範囲を除いて、それらが包含される程度まで、本発明の範囲に対する制限とみなされるようには意図されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の熱硬化性組成物。

【公開番号】特開2007−332381(P2007−332381A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177830(P2007−177830)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【分割の表示】特願2003−569730(P2003−569730)の分割
【原出願日】平成15年2月12日(2003.2.12)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】