説明

放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル

本発明は、放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル、その製法並びに水性放射性硬化性系中へのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル、その製法及びその使用に関する。
【0002】
放射線硬化性塗料材料は、特にこれらの系の揮発性有機化合物(VOC)の含量が僅かであるので、最近益々重要になってきている。
【0003】
塗膜形成成分は塗料材料中で比較的低分子であり、従って低粘性であるので、高含分の有機溶剤を割愛することができる。塗料材料の塗布後に例えば紫外線又は電子線によって開始される架橋反応により高分子ポリマーの網状構造が形成されて、堅牢な塗膜が得られる。
【0004】
低分子塗膜形成成分の他に、大抵は一、二又は高官能性アクリルモノマーであるいわゆる反応性希釈剤を添加し、準No−VOC系の粘度が十分に僅かとなるようにする。
【0005】
反応性希釈剤の多くは、毒物学的見地から問題がないとはいえない。例えば多くの木材のように吸収性又は開放細孔支持体では、低分子反応性希釈剤が支持体中にしみ込む可能性があり、架橋反応がもはや行われず、それによって離層及び/又はしみ出しが起こる恐れがある。網状構造形成の結果として、高い割合の低分子化合物のために容積収縮が起こり、これは文献で種々の支持体上の放射線硬化性塗料材料の接着の部分的劣悪さの原因の一つとして挙げられている[Surface Coatings International Part A、2003/06、221〜228頁]。
【0006】
従って多くの適用で高分子塗膜形成成分が所望される。高分子化合物の高粘度の問題は、水に分散させた放射線硬化性ポリマーの使用によって回避される。それは、その場合に粘度がポリマーの分子量に左右されないからである(K.Buysens、M.Tielemans、T.Randoux、Surface Coatings International Part A、5(2003)179〜186)。
【0007】
不飽和ポリエステル樹脂(UP樹脂)は公知である。これは飽和及び不飽和ジカルボン酸又はその無水物とジオールとの縮合により製造される。その特性は出発物質の種類及び量比に大々的に左右される。
【0008】
重合可能な二重結合のキャリアとして大抵はα,β−不飽和酸を使用するが、まず第一にマレイン酸又はその無水物又はフマル酸を使用し、不飽和ジオールは二義的に重要である。二重結合の含量が高ければそれだけ、即ち鎖分子中の二重結合の間隔が短ければそれだけ、ポリエステル樹脂の反応性は高くなる。これは発熱及び高度の容積収縮下に重合して、高架橋の、従って比較的脆い最終生成物になる。従って、ポリエステル分子中の反応性二重結合を飽和脂肪族又は芳香族ジカルボン酸の縮合により"希釈する"。アルコール成分として直鎖及び/又は枝分れジオールを使用する。個々のUP樹脂種類は、その製造に使用される成分によって異なるだけでなく、重合で架橋密度を決める飽和対不飽和酸の量比、縮合度、即ち分子量、酸−及びOH価、即ち鎖分子中の末端基の種類、モノマー含量並びに添加物の種類によっても異なる(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、A21巻、217頁以降、1992)。
【0009】
ジオール成分としてジシドールをベースとするUP樹脂は、例えばDE953117、DE2245110、DE2721989、EP0114208、EP0934988から公知である。
【0010】
接着性を改善するための不飽和ポリエステルの使用は例えばDE2409800、EP0114208及びEP0934988から公知である。
【0011】
DE953117には不飽和ポリエステルの製法が記載されているが、これは不飽和ジカルボン酸を有利に縮合される環系の異なる環にヒドロキシル基が分配されている多環式多価アルコールと反応させることを特徴とする。このポリエステルはビニル化合物、例えばスチレン、アルキルスチレン、クロロスチレン、ビニルナフタリン及びビニルアセテートと重合させることができ、その際この場合に接着性のない塗膜が得られる。本発明で使用される、異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物とは逆に、DE953117では、ジシドールと類似の推測構造を有する未特定ジオールを使用する。更にその場合には場合により、二重結合1個だけは含有するがアクリル二重結合は何も含有しないビニル化合物を使用する。アクリル二重結合を用いるポリエステルの変性は記載されていない。
【0012】
DE953117に記載されているような芳香族ビニル化合物は更に、例えば耐候性のような安定性特性に不利な影響を及ぼし、それによって高品質の接着−及び/又は塗料材料には殆ど使用されない。詳細な特有試験が示したように、更にDE953117に記載されているような樹脂−ビニルモノマー組成物を用いては接着性のなさだけが改善されるにすぎない。本発明で製造される化合物の優れた点は、改善された耐蝕性、高い硬度、改善された光沢及びポリマー含量が同じ粘度のラッカー又は接着剤で並びに架橋中の少ない容積収縮及び架橋したポリマーの良好な色安定性が得られると同時に、塗料材料の接着性が改善されることである。
【0013】
DE2245110には、IR線により硬化させることができ、研磨性、硬化特性及びステープル性(Stapelbarkeit)を改善する、不飽和ポリエステル、ビニルモノマー、活性剤及び塗膜製造用の添加物から成るポリエステル材料が記載されている。DE953117の注釈の他に、本発明はUV−又は電子線硬化性の接着剤系及び塗料材料系にも関する。
【0014】
DE2721989に記載の化合物は、アミノプラストを用いる架橋のみ可能である。そこに記載のポリエステル基礎骨格は飽和特性のみを有する。照射エネルギーによって調整することができる遊離ラジカル重合による架橋は可能でない。更に、DE2721989で使用される高いテレフタル酸分が安定特性、例えば耐候性に不利な影響を及ぼすことが公知である。
【0015】
DE−OS10212706、EP0114208並びにEP0934988で特許請求された樹脂も、放射線誘発架橋に対する反応性が僅かすぎるので、放射線硬化性塗料材料に使用するために適さない。
【0016】
WO89/07622には、例えば食料品、例えば果汁、ソフトドリンク、ワイン等の包装用の放射に対して安定性のアクリルスチレン含有ポリエステル及びポリカーボネート(これは場合によりジシドールを含有してよい)が記載されている。本発明の根底をなす不飽和ポリエステルは、アクリルスチレン単位不含であり、更に放射線硬化性である。
【0017】
同じく放射線誘発架橋用には適さない組成物がDE10205065に記載されている。そこで使用されるポリエステル樹脂は、本発明で使用されるビス(ヒドロキシメチル)トリシクロペンタジエン誘導体の代わりに、直接エステル化できないジシクロペンタジエンだけを含有する。これによって製造用に特別に耐圧性の、従って高価な反応器を使用する必要があり、これは経済的見地から望ましくない。
【0018】
DE−OS102004031759.3には、アルコール成分中にジシドールを有する反応希釈剤中の不飽和ポリエステルの溶液が記載されている。この不飽和ポリエスエルは、不飽和カルボン酸の二重結合を介してのみ放射により誘発されて架橋することができる。このような不飽和ポリエステルは放射誘発架橋反応に対する反応性が比較的僅かであるので、ポリマー骨格に不飽和ジカルボン酸だけを含有する不飽和ポリエステル分が放射線硬化性塗料材料用には、例えば処理量時間が僅かすぎるというのような経済的理由から、益々不利となる。更に僅かな反応性により、非常に高い安定性(例えば溶剤又は化学薬品に対する)を満たすポリマー網状物が放射誘発架橋によって得ることができない。本発明で特許請求されているような、放射誘発性架橋反応に対する反応性を高めるためのこのポリエステルの化学的変性は記載されていない。
【0019】
DE102004049544.0に不飽和ポリエステルが記載されているが、これは反応性は十分高いが、この系を水性塗料材料中に使用することができない。
【0020】
これらの特許明細書に記載の生成物は全て、親水性の欠如によって水性塗料用には適さない。処理量時間が僅かであるので、経済的理由から迅速な硬化が望ましい。前記特許に記載された生成物は、迅速な放射線誘発架橋反応用には反応性が十分とはいえない。
【0021】
DE10261006及びDE10261005には、水性不飽和ポリエステルが記載されているが、これは不飽和ジカルボン酸を介してのみ放射誘発されて架橋することができるにすぎない。既に記載のように、不飽和ポリエステルの放射線誘発架橋反応に対する反応性は僅かであり、それによって経済的理由から高い処理量が必要な適用の場合にはその使用が制限される。
【0022】
本発明の課題は、例えば水性放射線硬化性接着−及び塗料材料の特性、例えば接着性を改善しかつ同時に高い耐蝕性、高い硬度、コーティングの改善された光沢及び低い粘度を有する、接着性が改善された水性組成物を見出することであった。同時に放射線誘発架橋反応に対する反応性も高いものであるべきである。
【0023】
この課題が、主として(A)少なくとも1種のα,β−不飽和ジカルボン酸成分及びアルコール成分から成る少なくとも1種の不飽和非晶質ポリエステル{その際、アルコール成分は異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物から成るが、各異性体は20〜40%の割合まで混合物に含有されていてよくかつ3種類の異性体の合計は90〜100%であり、この混合物は少なくとも5%までポリエステルのアルコール成分中に含有されている}及び(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和基を同時に少なくとも1個の(A)に対して反応性の基と一緒に有する少なくとも1種の化合物及び(C)少なくとも1個の親水性及び/又は潜在的親水性基を有する少なくとも1種の化合物から成る、放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステルの使用によって解決することができることは意外であった。
【0024】
従って本発明の目的は、主として(A)少なくとも1種のα,β−不飽和ジカルボン酸成分及びアルコール成分から成る少なくとも1種の不飽和非晶質ポリエステル{その際、アルコール成分は異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物から成るが、各異性体は20〜40%の割合まで混合物に含有されていてよくかつ3種類の異性体の合計は90〜100%であり、この混合物は少なくとも5%までポリエステルのアルコール成分中に含有されている}及び(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和基を同時に少なくとも1個の(A)に対して反応性の基と一緒に有する少なくとも1種の化合物及び(C)少なくとも1個の親水性及び/又は潜在的親水性基を有する少なくとも1種の化合物から成る、放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステルである。
【0025】
本発明のもう一つの目的は、主として(A)少なくとも1種のα,β−不飽和ジカルボン酸成分及びアルコール成分から成る少なくとも1種の不飽和非晶質ポリエステル{その際、アルコール成分は異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物から成るが、各異性体は20〜40%の割合まで混合物に含有されていてよくかつ3種類の異性体の合計は90〜100%であり、この混合物は少なくとも5%までポリエステルのアルコール成分中に含有されている}及び(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和基を同時に少なくとも1個の(A)に対して反応性の基と一緒に有する少なくとも1種の化合物及び(C)少なくとも1個の親水性及び/又は潜在的親水性基を有する少なくとも1種の化合物から成る、放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステルの、特に同時に高い反応性で接着特性、光沢、耐溶剤性及び耐化学薬品性並びに硬度を改善するための、水性塗料材料、接着剤、印刷インキ及びインキ、艶出剤、ラズール、顔料ペースト、サーフェイサー、化粧品及び/又は充填剤及び/又はダム剤中の主成分、基礎成分又は添加成分としての使用である。
【0026】
放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステルは、(a)20〜60%の非揮発性成分含量、(b)0〜20%の溶剤含量、(c)20℃で20〜750mPa・sの粘度を特徴とする。
【0027】
この組成物が水性放射硬化性塗料材料及び/又は接着剤及び/又は充填剤のその他の成分と相溶性であることが判明した。例えば本発明による組成物は水性アクリル化ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエステルウレタン、エポキシアクリレート及び/又はポリエーテルアクリレート並びにアルキド樹脂、ケトンホルムアルデヒド樹脂、ケトン樹脂及び/又は不飽和ポリエステルと混合することができる。
【0028】
本発明による組成物は、例えば結合剤として水性放射硬化性塗料材料中に使用することができ、ラジカル重合により耐腐蝕性塗膜を形成することができる。良好な接着性及び架橋反応遂行力によって本発明による樹脂は耐腐蝕性用に予定される。更に種々のプラスチック上の接着が改善される。接着性の増強の他に更にその上又は下の境界層に対する中間層接着が改善される。本発明による添加物を含有する塗料材料は更に、高い光沢及び良好な流展性により優れている。本発明による生成物の高い反応性により、硬化中の高い処理速度が必要とされる分野での使用が有利である。
【0029】
放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステルは、特に水性放射線硬化性塗料材料、接着剤、貼合せ剤、印刷インキ及びインキ、艶出剤、ラズール、顔料ペースト、サーフェイサー、化粧品、包装材料及び/又は充填剤及びダム剤中に特に接着特性及び硬度を改善するために使用される。その際、種々の支持体、例えば金属、金属下地、プラスチック、例えばポリエチレン、ポリプロピレン又はポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ABSに対してもまたガラス、紙、厚紙、ボール紙、木、皮及び織物並びにセラミックに対しても非常に良好な接着性を生じる。
【0030】
次に、変性された不飽和非晶質ポリエステルから成る本発明による水性放射線硬化性の接着改善した生成物を詳説する。
【0031】
成分(A)の不飽和非晶質ポリエステル樹脂は、アルコール成分及び酸成分の反応によって得られる。
【0032】
アルコール成分としては本発明によれば、異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物を使用するが、その際各異性体は20〜40%の割合まで混合物に含有されていてよくかつ3種類の異性体の合計は90〜100%であり、混合物は少なくとも5%までポリエステルのアルコール成分中に存在している。ジシドール混合物の異性体含量は例えばGC分析により定性的及び定量的に又は調製GC又はHPLCにより分離し、次いでNMR分光法により定量的に測定することができる。9位のジシドールの相応する全ての異性体が全く同じに好適であるが、前記異性体の鏡対称の理由から例えばシス−及びトランス−異性体も普通の実施状況下で区別できない。
【0033】
更にジシドール混合物は10%までジシドールのその他の異性体及び/又はシクロペンタジエンからのディールス・アルダー反応生成物の三量体及び/又はそれより高度の異性体のジオールを含有することができる。有利にはアルコール成分は20%、有利には50%、特に有利には90%、極めて特に有利には100%のジシドール混合物から成り、その際これは特に有利には前記3種の異性体化合物95〜100%を含有する。
【0034】
ジシドール混合物の他にアルコール成分はその他の線状及び/又は枝分れ、脂肪族及び/又は脂環式及び/又は芳香族ジオール及び/又はポリオールを含有することができる。有利には付加的なアルコールとしては、エチレングリコール、1,2−及び/又は1,3−プロパンジオール、ジエチレン−、ジプロピレン−、トリエチレン−、テトラエチレングリコール、1,2−及び/又は1,4−ブタンジオール、1,3−ブチルエチルプロパンジオール、1,3−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロ−ルプロパン及び/又はペンタエリスリット並びにビスフェノールA、B、C、F、ノルボルニレングリコール、1,4−ベンジルジメタノール及び−エタノール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオールを使用する。
【0035】
不飽和非晶質ポリエステル樹脂は、出発酸成分として少なくとも1種のα,β−不飽和ジカルボン酸を含有する。有利には不飽和ポリエステル樹脂はシトラコン−、フマル−、イタコン−、マレイン−及び/又はメサコン酸を含有する。
【0036】
付加的に芳香族及び/又は脂肪族及び/又は脂環式モノカルボン酸及び/又はジカルボン酸及び/又はポリカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、琥珀酸、セバシン酸、メチルテトラ−、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ドデカンジ酸、アジピン酸、アゼライン酸、イソノナン酸、2−エチルヘキサン酸、ピロメリット酸及び/又はトリメリット酸(無水物)が含有されていてもよい。ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ドデカンジ酸、アジピン酸、アゼライン酸、トリメリット酸(無水物)及び/又はフタル酸(無水物)が有利である。酸成分は部分的にか又は完全に無水物及び/又はアルキルエステル、有利にはメチルエステルから成ることができる。
【0037】
通常アルコール成分は酸成分に対して0.5〜2.0対1、有利には0.8〜1.5対1のモル比で含有されている。酸性分に対して1.0〜1.1対1のモル比のアルコール成分の反応が特に有利に行われる。
【0038】
不飽和非晶質ポリエステルは1〜200mgKOH/g、有利には1〜150、特に有利には1〜100mgKOH/gの酸価並びに1〜200mgKOH/g、有利には1〜150、特に有利には1〜100mgKOH/gのOH価を有することができる。
【0039】
放射線硬化性に変性した不飽和非晶質ポリエステルのガラス転位温度Tgは、−30〜+100℃、有利には−20〜+80℃、特に有利には−10〜+60℃である。
【0040】
成分(A)の有利な態様Iでは、不飽和ポリエステル(UP−樹脂)は、異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物を少なくとも90%、有利には95%、特に有利には100%まで有するアルコール成分及びジオール/酸比0.9〜1.1対1でフマル酸及び/又はマレイン酸(無水物)から成る。成分(A)のもう一つの有利な態様IIでは、ポリエステルはIと同じに前記出発成分を含有するが、しかし付加的にアジピン酸、トリメリット酸(無水物)、ドデカンジ酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸及び/又はフタル酸(無水物)から選択した酸を含有し、その際α,β−不飽和対付加的な酸の比は2対1から1対4であってよい。約1対1から1対2の比が有利である。これらのポリエステルは通常、1〜200mgKOH/g、有利には1〜150mgKOH/g、特に有利には1〜100mgKOH/gの酸価、1〜200mgKOH/g、有利には1〜150mgKOH/g、特に有利には1〜100mgKOH/gのOH価及び−30〜+100℃、有利には−20〜+80℃、特に有利には−10〜+60℃のTgを有する。成分(B)としては(メタ)アクリル酸誘導体、例えば(メタ)アクリロイルクロリド、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及び/又はその低分子アルキルエステル及び/又は無水物が単独又は混合物として好適である。更にそのアルキルスペーサーが炭素原子12個まで、有利には2〜8個、特に有利には2〜6個を有する、アミノ−又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好適である。
【0041】
更にエチレン性不飽和基を有するイソシアネート、例えば(メタ)アクリロイルイソシアネート、α,α−ジメチル−3−イソプロペニルベンジルイソシアネート、炭素原子12個まで、有利には2〜8個、特に有利には2〜6個を有するアルキルスペーサーを有する(メタ)アクリルアルキルイソシアネート、例えばメタクリルエチルイソシアネート、メタクリルブチルイソシアネートが好適である。更に成分(B)として、そのアルキルスペーサーが炭素原子12個まで、有利には2〜8個、特に有利には2〜6個を有するアミノ−又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びジイソシアネートからの反応生成物、例えばシクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、ビス(イソナフトフェニル)メタン、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)又は1,5−ジイソシアネート−2−メチルペンタン(MPDI)、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、例えば1,6−ジイソシアネート−2,4,4−トリメチルヘキサン又は1,6−ジイソシアネート−2,2,4−トリメチルヘキサン(TMDI)、ノナントリイソシアネート、例えば4−イソシアネートメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(TIN)、デカンジ−及びトリイソシアネート、ウンデカンジ−及び−トリイソシアネート、デカンジ−及び−トリイソシアネート、イソホロン−ジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(H12MDI)、イソシアネートメチルメチルシクロヘキシルイソシアネート、2,5(2,6)−ビス(イソシアネート−メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDI)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(1,3−H−XDI)又は1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(1,4−H−XDI)が単独又は混合物として有利であると実証された。例えばヒドロキシエチルアクリレート及び/又はヒドロキシエチルメタクリレートとイソホロンジイソシアネート及び/又はH12MDI及び/又はHDIのモル比1:1の反応生成物が挙げられる。
【0042】
その他の有利な種類のポリイソシアネートは、簡単なジイソシアネートの二量体化、三量体化、アロファネート化、ビウレット化及び/又はウレタン化により製造される、分子当たり2個より多いイソシアネート基を有する化合物、例えばこれら簡単なジイソシアネート、例えばIPDI、HDI及び/又はH12MDIと多価アルコール(例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット)又は多価ポリアミンとの反応生成物又は簡単なジイソシアネート、例えばIPDI、HDI及び/又はH12MDIの三量体化により得られるトリイソシアヌレートである。
【0043】
成分(A)及び(B)相互の比及び成分(B)の種類に応じて、低い官能性から高い官能性までの化合物が得られる。出発物質の選択によって架橋した塗膜の後程の硬度の調整も可能である。例えば成分(A)をα,α−ジメチル−3−イソプロペニルベンジルイソシアネートとモル比1:1.5で反応させると、(メタ)アクリルエチルイソシアネート及び/又はヒドロキシエチルアクリレート−ヘキサメチレンジイソシアネート−付加生成物を使用した場合より高い硬度の生成物が得られるが、その場合にはもちろんフレキシビリティーはより僅かになる。立体障害の僅かなエチレン性不飽和化合物、例えばヒドロキシエチルアクリレートの反応性は、立体障害されているような化合物、例えばα,α−ジメチル−3−イソプロペニルベンジルイソシアネートより高い。
【0044】
ポリマーの水相中への移行は、遊離酸基が存在するの場合には特に、直接及びその他の添加物の助けなしに場合により好適な中和剤を用いる中和後に行うことができる。遊離酸基は例えば、成分(C)として例えばジ−、トリ−又はポリカルボン酸、例えばピロメリット酸及び/又はトリメリット酸の部分的反応により得られる。
【0045】
しかし親水性変性を例えば、(A)及び(B)から成り成分(C)、例えば(ポリ)イソシアネート及び/又は種々の(ポリ)イソシアネートを有するヒドロキシ官能性反応生成物を、親水性又は潜在的親水性の基−即ち中和後に始めて親水性になるような基−に付加的に、少なくとも1個のイソシアネート基に対して反応性の官能基、例えばヒドロキシ−又はアミノ基を有し、EP0839847に記載されている化合物と反応させることによって行うこともできる。(ポリ)イソシアネートの親水性変性用のこの様な化合物の例は、アミノ酸、ヒドロキシスルホン酸、アミノスルホン酸並びにヒドロキシカルボン酸である。有利にはジメチロールプロピオン酸及び/又は2−[(2−アミノエチル)アミノ]−エタンスルホン酸又はその誘導体を使用する(成分C)。
【0046】
親水性変性は更に非イオン基又は既に中和した化合物を用いて行うことができる。
【0047】
(C)の製造に好適なポリイソシアネートは、有利には二から四官能性ポリイソシアネートである。このための例は、単独又は混合物でのシクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートフェニル)メタン、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)又は1,5−ジイソシアネート−2−メチルペンタン(MPDI)、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、例えば1,6−ジイソシアネート−2,4,4−トリメチルヘキサン又は1,6−ジイソシアネート−2,2,4−トリメチルヘキサン(TMDI)、ノナントリイソシアネート、例えば4−イソ−シアネートメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(TIN)、デカンジ−及びトリイソシアネート、ウンデカンジ−及び−トリイソシアネート、ドデカンジ−及び−トリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(H12MDI)、イソシアネートメチルメチルシクロヘキシルイソシアネート、2,5(2,6)−ビス(イソシアネート−メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDI)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロ−ヘキサン(1,3−H−XDI)又は1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(1,4−H−XDI)である。
【0048】
その他の有利な種類のポリイソシアネートは、簡単なジイソシアネートの二量体化、三量体化、アロファネート化、ビウレット化及び/又はウレタン化により製造される、分子当たり2個より多いイソシアネート基を有する化合物、例えばこれら簡単なジイソシアネート、例えばIPDI、TMDI、HDI及び/又はH12MDIと多価アルコール(例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット)又は多価ポリアミンとの反応生成物又は簡単なジイソシアネート、例えばIPDI、HDI及び/又はH12MDIの三量体化により得られるトリイソシアヌレートである。
【0049】
特にジメチロールプロピオン酸及び/又は2−[(2−アミノエチル)アミノ]−エタンスルホン酸又はその誘導体及びIPDI及び/又はH12MDI及び/又はHDIからのモル比1:2の親水性に変性したポリイソシアネート(C)が有利である。
【0050】
更に非イオン親水性化は前記ポリイソシアネート及び成分(A)及び(B)と反応させることができる好適なポリエーテルポリオールを経て行うことができる。
【0051】
本発明による組成物は、助剤及び添加物、例えば抑制剤、有機溶剤、界面活性剤、酸素−及び/又はラジカルスカベンジャー、触媒、遮光剤、カラーブライトナー、光増感剤、チキソトロープ剤、皮張り防止剤、脱泡剤、耐電防止剤、増粘剤、熱可塑性添加物、着色剤、顔料、防炎仕上げ、内部離型剤、充填剤及び/又は駆出剤を含有することもできる。
【0052】
本発明による成分(A)のポリエステルは、一段又は多段法で出発酸及び−アルコールの(半)連続的又は不連続的エステル化及び縮合によって製造する。その後ポリエステル(A)と成分(C)及び(B)又は逆の順序で成分(B)及び(C)との反応を行う。その際、反応は溶融物又は好適な溶剤の溶液中で行うことができる。
【0053】
本発明の目的は、主として(A)少なくとも1種のα,β−不飽和ジカルボン酸成分及びアルコール成分から成る少なくとも1種の不飽和非晶質ポリエステル{その際、アルコール成分は異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物から成るが、各異性体は20〜40%の割合まで混合物に含有されていてよくかつ3種類の異性体の合計は90〜100%であり、この混合物は少なくとも5%までポリエステルのアルコール成分中に含有されている}及び(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和基を同時に少なくとも1個の(A)に対して反応性の基と一緒に有する少なくとも1種の化合物及び(C)少なくとも1個の親水性及び/又は潜在的親水性基を有する少なくとも1種の化合物から成る、放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステルを、成分(A)の製造用の出発成分を温度150〜270℃で有利には不活性ガス中で反応させるが、その際不活性ガスは50ppmより少ない酸素含量を有し、引き続き成分(C)及び(B)又は逆の順序で成分(B)及び(C)と溶融物又は所望の場合には製造後に蒸留により分離することができる好適な有機溶剤の溶液中で温度20〜230℃、有利には40〜200℃、特に有利には50〜180℃で反応させ、引き続き場合により中和した樹脂を水中に分散させることによって製造する方法でもある。
【0054】
好適な助剤としては、水と少なくとも広い範囲で混合間隙を生じない、大気圧で100℃より下の沸点を有し、従って所望により蒸留によって完成した分散液又は水性溶液に対して2質量%より少ない、特に0.5質量%より少ない残含量まで分離除去することができ、再使用することができる低沸点不活性溶剤を使用する。このような好適な溶剤は、例えばアセトン、メチルエチルケトン又はテトラヒドロフランである。原則的には、高沸点溶剤、従って分散液中に残る溶剤、例えばn−ブチルグリコール、ジ−n−ブチルグリコール及びN−メチルピロリドンも好適である。場合により反応希釈剤、即ち比較的僅かな粘度を有し同時に放射線により開始される架橋反応を行うことができる化合物を使用することができる。これらの化合物も同様に後の水性分散液中に残留する。
【0055】
本発明による生成物は潜在的親水性基の場合には好適な中和剤を添加することができ、それによって水に希釈性、水に分散性又は水溶性の生成物が得られる。
【0056】
潜在的親水性基としてカルボキシ基の場合には、本発明により製造した樹脂の中和を無機及び/又は有機塩基、例えばアンモニア又は有機アミンを用いて行うことができる。有利には第一、第二及び/又は第三アミン、例えばエチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、モルホリン、ピペリジン及びトリエタノールアミンを使用する。特に揮発性第三アミン、特にジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリエチルアミン、トリプロピルアミン及びトリブチルアミンを非イオン性潜在基の場合には使用する。いわゆる陽イオン潜在性イオン基は無機及び/又は有機酸、例えば酢酸、蟻酸、燐酸、塩酸等を用いて中和することができる。
【0057】
中和度は親水性に変性した樹脂中の中和可能な基の含量に従い、有利には化学量論的中和に必要である中和量の30〜130%(0.3〜1.3)、有利には40〜100%(0.4〜1)、特に有利には60〜100%(0.6〜1)である。
【0058】
分散前に(A)、(B)及び(C)から成る反応生成物を場合によりその他の親水性に調整した及び/又は非親水性に調整した樹脂及び/又はその他の成分と合わせ、次いで一緒に分散させることができる。
【0059】
有利な態様Iでは、成分(C)として部分的に反応させたジ−、トリ−又はポリカルボン酸を含有する成分(A)の溶液又は溶融物に、少なくとも1個のエチレン性不飽和基及び同時に少なくとも1個の(A)に対して反応性の基を有する化合物(成分(B))を場合により好適な触媒の存在で添加する。
【0060】
成分(A)のOH基の2〜100%、有利には5〜100%、特に有利には10〜100%を成分(B)と反応させるのが有利であると実証された。
【0061】
成分相互の反応性に応じて反応の温度を選択する。この反応工程で20〜230℃、有利には40〜200℃、特に有利には50〜180℃の温度が有利であると実証された。好適な中和剤を用いる中和後、中和した反応生成物を水に分散させることができる。代わりに直接水/中和剤−混合物中に分散させることができる。
【0062】
場合により含有される溶剤は、所望の場合には、反応終了後分離することができ、その際通常本発明による生成物の溶液から分散液が得られる。
【0063】
有利な態様IIでは、成分(A)の溶液又は溶融物に、少なくとも1個のエチレン性不飽和基及び同時に少なくとも1個の(A)に対して反応性の基を有する化合物(成分(B))を場合により好適な触媒の存在で添加する。
【0064】
成分(A)のOH基の2〜90%、有利には5〜80%、特に有利には10〜75%を成分(B)と反応させるのが有利であると実証された。
【0065】
これと並行して成分(C)例えばジイソシアネート2モル及びジヒドロキシカルボン酸1モルから成る付加生成物、例えばジメチロールプロピオン酸及び/又は2−[(2−アミノエチル)アミノ]−エタンスルホン酸又はその誘導体を場合により好適な溶剤及び好適な触媒の使用下で製造することができる。
【0066】
別々に製造した生成物を合わせ、反応させる。
【0067】
成分(A)及び(B)からの反応生成物1モルを(Mに関して)成分(C)0.5〜1.5モル、特に有利には1〜1.3モルと反応させるのが有利であると実証された。
【0068】
成分相互の反応性に応じて反応の温度を選択する。この反応工程で20〜230℃、有利には40〜200℃、特に有利には50〜180℃の温度が有利であると実証された。
【0069】
場合により反応をアミン又はアルコールの添加によって中止することができる。これらの成分の種類に応じてその他の特性、例えばその他の原料、例えば顔料との相溶性を変えることができる。
【0070】
必要な場合には好適な中和剤で中和し、次いで中和した反応生成物を水に分散させることができる。代わりに水/中和剤−混合物中に分散させることができる。
【0071】
場合により含有される溶剤は、所望の場合には反応終了後分離することができ、その際通常本発明による生成物の溶液から分散液が得られる。
【0072】
本発明による樹脂分散液は、迅速な硬化速度、高いブロック強度及び硬度、高い光沢、比較的僅かな粘度並びに非常に良好な接着性及び非常に良好な耐蝕性により優れているので、水性放射線硬化性塗料材料、接着剤、印刷インキ及びインキ、艶出剤、ラズール、顔料ペースト、サーフェイサー、化粧品及び/又は充填剤及び/又はダム剤中の主成分、基礎成分又は添加成分として好適である。目的物を放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステルを用いて加工することができる。
【0073】
好適な光重合開始剤の存在で、場合により好適な光増感剤の存在で、水の蒸発後この樹脂を放射線により、エチレン性不飽和基の含量に応じてエラストマーからデュロプラストを生じるポリマーの不溶性網状構造物に変えることができる。
【0074】
実施例
次に実施例につき本発明を詳説するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0075】
出発成分約1:1:1の異性体比のジシドール混合物。
【0076】
例I:
ドデカンジ酸及びフマル酸(比0.4:0.6)をジシドールと比1:1.15で180℃で窒素雰囲気中で、12mgKOH/gの酸価に達するまで反応させる。このために先ずフマル酸をジシドールで1時間にわたってエステル化し、次いでドデカンジ酸を添加する。樹脂をアセトン中50質量%に溶解させる。OH価は62mgKOH/gである。
【0077】
ポリエステルのOH基をヒドロキシエチルアクリレート及びイソホロンジイソシアネートから成る1:1−付加生成物並びにジメチロールプロピオン酸及びイソホロンジイソシアネートから成る1:2−付加生成物から成る1:1−混合物と55℃で0.1%ジラウリン酸ジブチル錫の存在で、NCO価が0.1%より下に達するまで反応させる。次いでポリマー含量をアセトンを用いて正確に50%に調整する。
【0078】
付加生成物250gに30℃でジメチルアミノエタノール4.7gを加え、引き続き強力な攪拌(周囲速度12m/s)下で脱塩水320gを用いて分散させる。約10分後に中程度の攪拌下でDarocur1173(Ciba社の光重合開始剤)4.6gを添加し、高めた温度及び軽い真空中で混合物からアセトンを除去する。
【0079】
pH値8.6、固体含分32.5%及び粘度約350mPasを有する貯蔵安定な僅かに混濁した分散液が得られる。
【0080】
分散液にポリウレタン分散液を1:1の比で加え、ガラス板又はボンド板(Bonderblech)上に塗布し、溶剤を高めた温度(30分間、80℃)で蒸発させる。引き続き塗膜をUV光(中圧水銀ランプ、70W/光学フィルター350nm)を用いて約12秒間硬化させる。
【0081】
塗膜はハイオクタンガソリン及びメチルエチルケトンに対して安定である。
【0082】
錫めっきした鋼板上の接着(DIN53151):0
ブーフホルツ押込硬度(DIN53153):79
エリクセン圧入(DIN53156):>9.5mm
ケーニッヒによる振子硬度(DIN EN ISO 1522):118s
【0083】
例II:
(II.1.)ポリエステル製造
アジピン酸1.1モルをジシドール3.4モルと210℃で窒素雰囲気中で、5mgKOH/gより下の酸価に達するまで反応させる。次いでフマル酸1.1モル及びヒドロキノン0.02%を添加する。2時間攪拌後、5mgKOH/gより下の酸価に達するまで20mbarの真空にする。製造したポリエステル1300gに無水トリメリット酸150gを加え、約26mgKOH/gより下の酸価に達するまで、200℃で1.5時間攪拌する。OH価は56mgKOH/gである。
【0084】
(II.2.)付加生成物製造及び水相中への移行
ポリエステルを50%アセトン中に溶解させる。OH基をイソホロンジイソシアネート及び2−ヒドロキシエチルアクリレートから成る1:1−付加生成物とジラウリン酸ジブチル錫0.1質量%の存在で0.1%より下のNCO価に達するまで50℃で反応させる。付加生成物をアセトンで希釈して固体含分50%にする。次いでDMEAを添加する(中和度1.0)。水を強力な攪拌下で添加後、アセトンを溜去する。固体含分約36%、粘度D=200280mPas及びpH価8.2を有する貯蔵安定な分散液が得られる。
【0085】
例III
比較例
例(II.1.)によるポリエステルを直接、その他の成分と反応させずに、水相に移した。更にポリエステルをアセトンで希釈して固体含分50%にした。それにDMEAを添加する(中和度.1.0)。水を強力な攪拌下で添加後、アセトンを溜去する。固体含分約36%を有する貯蔵安定な分散液が得られる。
特有値:
酸価:27mgKOH/g、粘度D=200:280mPas、pH:8.4、固体含分36.0%
【0086】
例II.及びIII.による分散液をポリウレタン分散液と比90/10、80/20及び70/30(ポリウレタン分散液/実施例分散液)で混合し、3%のDarocur1173を加え、アルミニウム板上に塗布し、溶剤を高めた温度(30分間、80℃)で蒸発させる。引き続き塗膜をUV光(中圧水銀ランプ、70W/光学フィルター350nm)を用いて約12秒間硬化させる。
【0087】
塗膜は全てハイオクタンガソリン及びメチルエチルケトンに対して安定である。
【0088】
【表1】

【0089】
格子切断接着:DIN53151
エリクセン圧入:DIN53156
ケーニッヒによる振子硬度:DIN EN ISO 1522

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主として(A)少なくとも1種のα,β−不飽和ジカルボン酸成分及びアルコール成分から成る少なくとも1種の不飽和非晶質ポリエステル{その際、アルコール成分は異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物から成るが、各異性体は20〜40%の割合まで混合物に含有されていてよくかつ3種類の異性体の合計は90〜100%であり、10%までジシドールのその他の異性体及び/又はシクロペンタジエンからのディールス・アルダー反応生成物の三量体及び/又はそれより高度の異性体のジオールが含有されており、この混合物は少なくとも5%までポリエステルのアルコール成分中に含有されている}及び(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和基を同時に少なくとも1個の(A)に対して反応性の基と一緒に有する少なくとも1種の化合物及び(C)少なくとも1個の親水性及び/又は潜在的親水性基を有する少なくとも1種の化合物を含有する、放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項2】
(a)20〜60%の非揮発性成分含量、(b)0〜20%の溶剤含量、(c)20℃で20〜750mPa・sの粘度を特徴とする、請求項1に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項3】
酸成分が付加的に芳香族及び/又は脂肪族及び/又は脂環式モノカルボン酸及び/又はジカルボン酸及び/又はポリカルボン酸を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項4】
酸成分が部分的又は完全に無水物及び/又はアルキルエステルから成ることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項5】
アルコール成分がその他の線状及び/又は枝分れ、脂肪族及び/又は脂環式及び/又は芳香族ジオール及び/又はポリオールを含有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項6】
α,β−不飽和ジカルボン酸としてシトラコン−、フマル−、イタコン−、マレイン−及び/又はメサコン酸が含有されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項7】
付加的な酸としてフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、琥珀酸、セバシン酸、メチルテトラ−、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ドデカンジ酸、アジピン酸、アゼライン酸、ピロメリット酸及び/又はトリメリット酸、その酸無水物及びメチルエステル並びにイソノナン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸が含有されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項8】
付加的なアルコールとして、エチレングリコール、1,2−及び/又は1,3−プロパンジオール、ジエチレン−、ジプロピレン−、トリエチレン−、テトラエチレングリコール、1,2−及び/又は1,4−ブタンジオール、1,3−ブチルエチルプロパンジオール、1,3−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロ−ルプロパン及び/又はペンタエリスリット、ビスフェノールA、B、C、F、ノルボルニレングリコール、1,4−ベンジルジメタノール及び−エタノール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオールが含有されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項9】
アルコール成分が少なくとも20%まで請求項1に記載の異性体から成ることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項10】
アルコール成分が少なくとも50%まで請求項1に記載の異性体から成ることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項11】
アルコール成分が少なくとも90%まで請求項1に記載の異性体から成ることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項12】
アルコール成分が100%まで請求項1に記載の異性体から成ることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項13】
α,β−不飽和酸成分としてフマル酸及び/又はマレイン酸(無水物)が含有されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項14】
アルコール成分が酸成分に対して0.5〜2.0対1のモル比で含有されていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項15】
アルコール成分が酸成分に対して0.8〜1.5対1のモル比で含有されていることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項16】
アルコール成分が酸成分に対して1.0〜1.1対1のモル比で含有されていることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項17】
1〜200mgKOH/g、有利には1〜150mgKOH/g、特に有利には1〜100mgKOH/gの酸価を有することを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項18】
1〜200mgKOH/g、有利には1〜150mgKOH/g、特に有利には1〜100mgKOH/gのOH価を有することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項19】
成分(B)として(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体を使用することを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項20】
成分(B)として、(メタ)アクリロイルクロリド、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及び/又はその低分子アルキルエステル及び/又は無水物並びにそのアルキルスペーサーが炭素原子1〜12個、有利には2〜8個、特に有利には2〜6個を有する、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを単独又は混合物で使用することを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項21】
成分(B)として、エチレン性不飽和基を有するイソシアネート、有利には(メタ)アクリロイルイソシアネート、α,α−ジメチル−3−イソプロペニルベンジルイソシアネート、炭素原子1〜12個、有利には2〜8個、特に有利には2〜6個を有するアルキルスペーサーを有する(メタ)アクリルアルキルイソシアネート、有利にはメタアクリルエチルイソシアネート、メタアクリルブチルイソシアネートを使用することを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項22】
成分(B)として、そのアルキルスペーサーが炭素原子1〜12個、有利には2〜8個、特に有利には2〜6個を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとジイソシアネートから成る反応生成物を使用することを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項23】
単独又は混合物でシクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートフェニル)メタン、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,5−ジイソシアネート−2−メチルペンタン(MPDI)、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、2,2,4−、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、4−イソシアネートメチル−1,8−オクタジイソシアネート(TIN)、デカンジ−及びトリイソシアネート、ウンデカンジ−及び−トリイソシアネート、ドデカンジ−及び−トリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(H12MDI)、イソシアネートメチルメチルシクロヘキシルイソシアネート、2,5(2,6)−ビス(イソシアネートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDI)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン(1,3−H−XDI)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(1,4−H−XDI)から選択したジイソシアネートを使用することを特徴とする、請求項1から22までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項24】
簡単なジイソシアネートの二量体化、三量体化、アロファネート化、ビウレット化及び/又はウレタン化により製造したポリイソシアネートを使用することを特徴とする、請求項1から23までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項25】
成分(B)として、モル比1:1のヒドロキシエチルアクリレート及び/又はヒドロキシエチルメタクリレートとイソホロンジイソシアネート(IPDI)及び/又はヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及び/又はジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(H12MDI)との反応生成物及び/又は2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートから成る混合物を使用することを特徴とする、請求項1から24までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項26】
成分(A)のOH基の2〜100%、有利には5〜100%、特に有利には10〜100%を成分(B)と反応させることを特徴とする、請求項1から25までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項27】
親水性化用に少なくとも1個の親水性及び/又は潜在的親水性基を有する少なくとも1種のその他の成分(C)を使用することを特徴とする、請求項1から26までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項28】
親水性化用に成分(C)として部分的にのみ反応するジ−、トリ−及び/又はポリカルボン酸を使用することを特徴とする、請求項1から27までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項29】
親水性化用に成分(C)として、部分的にのみ反応するトリメリット酸(無水物)を使用することを特徴とする、請求項1から28までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項30】
成分(C)としてジイソシアネート及びその他のポリオール成分からの反応生成物を使用することを特徴とする、請求項1から29までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項31】
成分(C)のジイソシアネートとして、芳香族、脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネートを使用することを特徴とする、請求項1から30までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項32】
成分(C)のジイソシアネートとして、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及び/又はヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及び/又はジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(H12MDI)及び/又は2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)から成る混合物を使用することを特徴とする、請求項1から31までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項33】
成分(C)のその他のポリオール成分として、アミノ酸、ヒドロキシスルホン酸、アミノスルホン酸及び/又はヒドロキシカルボン酸を使用することを特徴とする、請求項1から32までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項34】
成分(C)のその他のポリオール成分として、ジメチロールプロピオン酸及び/又は2−[(2−アミノエチル)アミノ]−エタンスルホン酸又はその誘導体を使用することを特徴とする、請求項1から33までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項35】
成分(C)として、ジメチロールプロピオン酸及び/又は2−[(2−アミノエチル)アミノ]−エタンスルホン酸又はその誘導体及びIPDI及び/又はH12MDI及び/又はHDI及び/又はTMDIからのモル比1:2の付加生成物を使用することを特徴とする、請求項1から34までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項36】
助剤及び添加物が含有されていることを特徴とする、請求項1から35までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項37】
抑制剤、有機溶剤、中和剤、界面活性剤、酸素−及び/又はラジカルスカベンジャー、触媒、遮光剤、カラーブライトナー、光増感剤、光重合開始剤、チキソトロープ剤、皮張り防止剤、脱泡剤、耐電防止剤、増粘剤、熱可塑性添加物、着色剤、顔料、防炎仕上げ、内部離型剤、充填剤及び/又は駆出剤から選択した助剤及び添加物が含有されていることを特徴とする、請求項1から36までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項38】
成分(A)を製造するためのアルコール成分が請求項1及び/又は請求項2によるジシドール混合物少なくとも90%から成り、フマル酸及び/又はマレイン酸(無水物)がジオール−/酸−比0.9〜1.1対1で含有されていることを特徴とする、請求項1から37までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項39】
付加的にドデカンジ酸、トリメリット酸(無水物)、アジピン酸及び/又はフタル酸(無水物)が酸成分としてα,β−不飽和対付加的な酸の比3対1から1対4、有利には1対1から1対2で含有されていることを特徴とする、請求項1から38までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項40】
放射線硬化性に変性した不飽和非晶質ポリエステルの酸基の少なくとも一部が中和されていることを特徴とする、請求項1から39までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項41】
中和するためにアミン及び/又は無機アルカリ溶液を使用することを特徴とする、請求項1から40までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項42】
中和度が0.3〜1.3、有利には0.4〜1.0、特に有利には0.6〜1.0であることを特徴とする、請求項1から41までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステル。
【請求項43】
成分(A)の製造用の出発成分を温度150〜270℃で反応させ、引き続き成分(C)及び(B)又は成分(B)及び(C)と溶融物又は好適な有機溶剤の溶液中で温度20〜230℃、有利には40〜200℃、特に有利には50〜180℃で反応させることによる、主として(A)少なくとも1種のα,β−不飽和ジカルボン酸成分及びアルコール成分から成る少なくとも1種の不飽和非晶質ポリエステル{その際、アルコール成分は異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物から成るが、各異性体は20〜40%の割合まで混合物に含有されていてよくかつ3種類の異性体の合計は90〜100%であり、この混合物は少なくとも5%までポリエステルのアルコール成分中に含有されている}及び(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和基を同時に少なくとも1個の(A)に対して反応性の基と一緒に有する少なくとも1種の化合物及び(C)少なくとも1個の親水性及び/又は潜在的親水性基を有する少なくとも1種の化合物から成る、放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステルの製法。
【請求項44】
反応を不活性ガス雰囲気中で行うことを特徴とする、請求項43に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステルの製法。
【請求項45】
不活性ガスが50ppmより少ない酸素含量を有することを特徴とする、請求項43又は44に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステルの製法。
【請求項46】
請求項1から42までのいずれか1項に記載の出発成分を使用することを特徴とする、請求項43から45までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステルの製法。
【請求項47】
成分(A)、(B)及び(C)から成る反応生成物を場合により有機助溶剤の使用下で水中に分散させることを特徴とする、請求項43から46までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステルの製法。
【請求項48】
有機助溶剤を場合により蒸発させることを特徴とする、請求項43から47までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステルの製法。
【請求項49】
請求項1から42までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステルの水性放射線硬化性系中への使用。
【請求項50】
請求項1から42までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステルの、水性塗料材料、接着剤、貼合せ剤、印刷インキ及びインキ、艶出剤、ラズール、顔料ペースト、サーフェイサー、化粧品、包装材料及び/又は充填剤及びダム剤中の主成分、基礎成分又は添加成分としての使用。
【請求項51】
請求項1から42までのいずれか1項に記載の放射線硬化性に変性した水性不飽和非晶質ポリエステルを用いて改良された物品。

【公表番号】特表2008−527153(P2008−527153A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551566(P2007−551566)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056266
【国際公開番号】WO2006/076974
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】