放射線遮蔽板、放射線撮像装置
【課題】開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生を抑える。
【解決手段】開口部Apの側壁は、遮蔽板75を平面視した場合において開口部Apが四角形状を有するように当該四角形の各辺に対応する4つの面を有している。しかも、開口部Apの側壁が有する面のうち少なくとも一つの面Sal、Sbl、Sbr、Scr等は、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いている。その結果、開口部Apの側壁で反射されて、遮蔽板75の他方主面75b側に設けられた放射線検出手段に向かう放射線の発生を抑えることが可能となる。
【解決手段】開口部Apの側壁は、遮蔽板75を平面視した場合において開口部Apが四角形状を有するように当該四角形の各辺に対応する4つの面を有している。しかも、開口部Apの側壁が有する面のうち少なくとも一つの面Sal、Sbl、Sbr、Scr等は、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いている。その結果、開口部Apの側壁で反射されて、遮蔽板75の他方主面75b側に設けられた放射線検出手段に向かう放射線の発生を抑えることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射線源から被検体を透過した放射線を放射線検出手段で検出する際に、放射線源と放射線検出手段の間に設けられて放射線源からの放射線を部分的に遮蔽する放射線遮蔽板および当該放射線遮蔽板を用いた放射線撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、X線源(X線管球)が発生したX線を被検体に照射するとともに、被検体を透過したX線を検出手段(2次元検出器システム)により検出するX線CT(Computed Tomography)装置が記載されている。また、特許文献2にも同様の構成を具備するX線撮影装置が記載されている。これらの放射線撮像装置は、被検体を透過した放射線(X線)を検出手段が検出することで得られる情報を、画像として再構成することで、被検体の画像を撮像するものである。
【0003】
また、特許文献1および2のいずれの放射線撮像装置においても、放射線源と検出手段の間にコリメータが配置されている。例えば特許文献1では、厚み方向に貫通する開口部が設けられたコリメータ板が放射線源と検出手段の間に配置されており、放射線源から照射されてコリメータ板の開口を通過した放射線のみが、被検体を透過した後に検出手段に到達し、画像撮像に供する。一方、コリメータ板の開口部以外の部分に入射した放射線は、遮蔽されて画像撮像に供しない。つまり、コリメータ板を設けることで、画像撮像に不要な放射線が被検体に照射されるのを抑制して、被検体の被爆量を抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−006133号公報
【特許文献2】特開2006−311929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなコリメータ等の放射線遮蔽板を用いた場合、被検体の不要な被爆を抑えることができる利点がある一方、次のような課題を有していた。つまり、放射線遮蔽版は厚みを有するため、放射線遮蔽版に貫通形成された開口部も同等の厚みを有することとなる。したがって、放射線源で発生した放射線の一部は、開口部の側壁で反射される場合がある。このとき、開口部の側壁での反射によって、放射線が検出手段の方へ進行方向を変えて検出手段に入射してしまうと、例えば、検出手段の検出結果を適切な画像として再構成できないといった問題が発生するおそれがあった。
【0006】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生を抑えることが可能となる放射線遮蔽板および当該放射線遮蔽板を備えた放射線撮像装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる放射線撮像装置は、上記目的を達成するために、一方主面から当該一方主面と反対の他方主面へ貫通する開口部が設けられるとともに、開口部以外の部分で放射線を遮蔽する遮蔽板と、遮蔽板の一方主面側に設けられて、放射線を発生する放射線源と、遮蔽板の他方主面側に設けられて、放射線源から射出された後に開口部を通過して被検体を透過した放射線を検出する放射線検出手段とを備え、開口部の側壁は、遮蔽板を平面視した場合において開口部が多角形の形状を有するように当該多角形の各辺に対応する複数の面を有し、開口部の側壁が有する複数の面のうち少なくとも一つは、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いていることを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明(放射線撮像装置)では、遮蔽板はその一方主面から他方主面へ貫通する開口部を有するとともに、放射線源は遮蔽板の一方主面側に設けられ、放射線検出手段は遮蔽板の他方主面側に設けられている。したがって、放射線源で発生した放射線は、遮蔽板の一方主面から他方主面に向けて開口部を通過した後に、被検体を透過して放射線検出手段により検出される。また、この開口部の側壁は、遮蔽板の法線方向からの平面視において多角形の形状を有するように当該多角形の各辺に対応する複数の面を有している。そして、開口部の側壁が有する複数の面のうち少なくとも一つは、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いている。
【0009】
この際、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いている面(傾斜面)の傾き方としては、遮蔽板の一方主面側を向いて傾く場合と遮蔽板の他方主面側を向いて傾く場合の2通りがあるが、いずれの場合においても、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生を抑制できる。つまり、傾斜面が一方主面側を向く場合には、この傾斜面に入射した放射線は、放射線検出手段の設けられた他方主面側よりはむしろ一方主面側に反射されることとなる。逆に、傾斜面が他方主面側を向く場合には、当該傾斜面は放射線が入射してくる一方主面側と反対を向くこととなるため、当該傾斜面へ入射する放射線の量そのものを減少させることができる。したがって、このような傾斜面を開口部の側壁に設けておくことで、側壁に入射した放射線を放射線検出手段の逆側(一方主面側)に反射し、あるいは側壁へ入射するの放射線の量そのものを減少させることができ、その結果、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生を抑えることが可能となる。
【0010】
ちなみに、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いている面が遮蔽板の一方主面側を向いている装置においては、以下のように構成しても良い。
【0011】
つまり、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いている面と遮蔽板の一方主面とが成す角度は135度以上で且つ180度未満であるように構成しても良い。このように構成することで、入射した放射線を一方主面側に効率的に反射する傾斜面の機能を効率的に発揮させて、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生を効果的に抑えることが可能となる。
【0012】
上述のとおり、開口部側壁に設けられた傾斜面を一方主面側を向ける理由は、傾斜面に入射した光を一方主面側に反射して、他方主面側に設けられた放射線検出手段へ開口部側壁での反射光が入射することを抑制するという効果にある。このとき、かかる効果をより効率的に発揮させるためには、一方主面に対して傾かない状態では入射してきた放射線を他方主面側に反射してしまいやすい面を、傾斜面として構成しておくことが好適となる。より具体的には、放射線源と開口部との位置関係によって、開口部の側壁が有する複数の面それぞれが放射線を放射線検出手段側に反射しやすい場合や、開口部の側壁のうち一部の面のみが放射線を放射線検出手段側に反射しやすい場合が考えられる。このような場合に、放射線を放射線検出手段側に反射しやすい面については、一方主面側に向けておくことが好適となる。そこで、以下のように構成しても良い。
【0013】
つまり、遮蔽板を平面視した場合において開口部がみせる多角形を、遮蔽板の一方主面を含む仮想平面に正射影した図形の幾何重心を開口部の中心と定義したとき、開口部の中心と放射線源が遮蔽板の一方主面の法線方向に対して平行に並ぶ放射線撮像装置においては、開口部の側壁が有する複数の面のそれぞれが、一方主面に対して傾かない状態では、放射線を放射線検出手段側に反射しやすいと想定される。そこで、開口部の側壁が有する複数の面のそれぞれが、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いて、遮蔽板の一方主面側を向いているように構成しても良い。このように構成することで、開口部の側壁に入射した放射線を一方主面側に効率的に反射して、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生をより確実に抑制することができる。
【0014】
あるいは、遮蔽板を平面視した場合において開口部がみせる多角形を、遮蔽板の一方主面を含む仮想平面に正射影した図形の幾何重心を開口部の中心と定義したとき、開口部の中心と放射線源が遮蔽板の一方主面の法線方向に対して傾いて並ぶ放射線撮像装置においては、開口部の側壁が有する面のうち次の条件を満たす面が、一方主面に対して傾かない状態では、放射線を放射線検出手段側に反射しやすいと想定される。すなわち、放射線源から開口部の中心に向かうベクトルを第1のベクトルと定義し、遮蔽板の一方主面を含む仮想平面に第1のベクトルを正射影したベクトルを第2のベクトルと定義したとき、開口部の側壁が有する複数の面のうち第2のベクトルに平行な面が特に、多くの放射線を放射線検出手段側に反射しやすいと想定される。そこで、この第2のベクトルに平行な面が、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いて、遮蔽板の一方主面側を向いているように構成しても良い。このように構成することで、開口部の側壁に入射した放射線を一方主面側に効率的に反射して、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生をより確実に抑制することができる。
【0015】
ちなみに、開口部の側壁が有する複数の面のうち、第2のベクトルに対して平行でなくて且つ第2のベクトルの方向の逆側を向く面は、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いて、遮蔽板の他方主面側を向いているように構成しても良い。このように、当該面を他方主面側に向けることで、当該面へ入射する放射線の量そのものを減少させて、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生を抑えることができる。
【0016】
また、遮蔽板に複数の開口部を設けることもできる。このような場合、各開口部と放射線源との位置関係に応じて、各開口部の側壁のうち、一方主面に対して傾かない状態では、放射線を放射線検出手段側に反射しやすい面を一方主面側に向けておくことが好適となる。すなわち、遮蔽板を平面視した場合において開口部がみせる多角形を、遮蔽板の一方主面を含む仮想平面に正射影した図形の幾何重心を開口部の中心と定義したとき、複数の開口部が遮蔽板に設けられるとともに、複数の開口部のうち一の開口部の中心と放射線源が遮蔽板の一方主面の法線方向に対して平行に並ぶ一方、複数の開口部のうち一の開口部とは別の他の開口部の中心と放射線源が遮蔽板の一方主面の法線方向に対して傾いて並ぶ放射線撮像装置においては、一の開口部の側壁が有する複数の面のそれぞれが、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いて、遮蔽板の一方主面側を向いている一方、放射線源から他の開口部の中心に向かうベクトルを第1のベクトルと定義し、遮蔽板の一方主面を含む仮想平面に第1のベクトルを正射影したベクトルを第2のベクトルと定義したとき、他の開口部の側壁が有する複数の面のうち第2のベクトルに平行な面が、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いて、遮蔽板の一方主面側を向いているように構成しても良い。
【0017】
ところで、上述したとおり、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いている面が遮蔽板の他方主面側を向いているように構成することによっても、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生を抑えることができる。これは、他方主面側に向けることで、傾斜面へ入射する放射線の量そのものを減少できることによる。ちなみに、放射線源と開口部との位置関係によっては、開口部の側壁が有する複数の面の間で、当該壁面に向かって進行してくる放射線の量に違いが生じることがある。したがって、比較的多くの放射線が進行してくる面を他方主面側に向けて、当該面へ入射する放射線の量を減少させるように構成しても良い。
【0018】
つまり、遮蔽板を平面視した場合において開口部がみせる多角形を、遮蔽板の一方主面を含む仮想平面に正射影した図形の幾何重心を開口部の中心と定義したとき、開口部の中心と放射線源が遮蔽板の一方主面の法線方向に対して傾いて並ぶ放射線撮像装置においては、放射線源から開口部の中心に向かうベクトルを第1のベクトルと定義し、遮蔽板の一方主面を含む仮想平面に第1のベクトルを正射影したベクトルを第2のベクトルと定義したとき、開口部の側壁が有する複数の面のうち、第2のベクトルに対して平行でなくて且つ第2のベクトルの方向の逆側を向く面に向かって、より多くの放射線が進行してくると想定される。したがって、当該面が遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いて、遮蔽板の他方主面側を向いているように構成しても良い。
【0019】
また、本発明にかかる放射線遮蔽板は、上記目的を達成するために、一方主面から当該一方主面と反対の他方主面へ貫通する開口部が設けられるとともに、開口部以外の部分で放射線を遮蔽する板状部材を備え、開口部の側壁は、板状部材を平面視した場合において開口部が多角形の形状を有するように当該多角形の各辺に対応する複数の面を有し、開口部の側壁が有する複数の面のうち少なくとも一つは、板状部材の一方主面に対して斜めに傾いていることを特徴としている。
【0020】
このように構成された発明(放射線遮蔽板)では、放射線を遮蔽する板状部材はその一方主面から他方主面へ貫通する開口部を有する。そして、この開口部の側壁は、板状部材の平面視において多角形の形状を有するように当該多角形の各辺に対応する複数の面を有している。そして、開口部の側壁が有する複数の面のうち少なくとも一つは、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いている。したがって、この放射線遮蔽板を放射線源と放射線検出手段の間に配置することで、開口部の側壁に入射した放射線を放射線検出手段の逆側に反射し、あるいは側壁へ入射するの放射線の量そのものを抑えることができ、その結果、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
開口部の側壁に入射した放射線を放射線検出手段の逆側に反射し、あるいは側壁へ入射するの放射線の量そのものを抑えて、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかる放射線撮像装置を搭載した部品検査装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図1の部品検査装置が備える電気的構成を示すブロック図である。
【図3】X線撮像装置で実行されるX線撮像動作の一例を示す模式図である。
【図4】X線遮蔽板の概略構成を示す平面図である。
【図5】一方向傾斜面あるいは他方向傾斜面として形成される面の条件を説明する斜視図である。
【図6】図4のA1−A1線断面を示す断面図である。
【図7】図4のB1−B1線断面を示す断面図である。
【図8】遮蔽板の一方主面側を向いて傾く一方向傾斜面の効果の説明図である。
【図9】遮蔽板の他方主面側を向いて傾く他方向傾斜面の効果の説明図である。
【図10】一方向傾斜面の角度と一方向傾斜面で反射されるX線との関係を示す図である。
【図11】遮蔽板の変形例を示す平面図である。
【図12】遮蔽板の別の変形例を示す平面図である。
【図13】遮蔽板のさらに別の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明にかかる放射線撮像装置を搭載した部品検査装置の概略構成を示す模式図である。図2は、図1の部品検査装置が備える電気的構成を示すブロック図である。なお、図1および後で説明する図面では、各図の方向関係を明確にするために、XYZ直角座標軸が適宜示されている。また、各座標軸の矢印方向を正方向とし、矢印と反対方向を負方向とする。
【0024】
部品検査装置1は、基板W(ワーク)に電子部品を接続する半田の状態を主に検査するものである。この部品検査装置1は、部品検査を実行する各機能部を収容するハウジング11を備えており、ハウジング11の搬入口111から搬入されてきた基板Wに対して各機能部が協働して検査を行なうとともに、検査を終了した基板Wを搬出口112から外部へ搬出する。
【0025】
図1に示すように、ハウジング11内の下方には、XY
駆動テーブル3が配置されている。このXY駆動テーブル3は、その表面に基板Wを支持しつつ、XY駆動機構31からの駆動力を受けてXY面内を移動可能に構成されている。したがって、XY駆動テーブル3は、ハウジング11のY軸方向正側(図1右側)の搬入口111まで移動して基板Wを受け取ったり、部品検査のためにハウジング11の略中央に基板Wを位置決めしたり(図1に示す状態)、ハウジング11のY軸方向負側(図1左側)の搬出口112まで検査済み基板Wを運んだりといった動作を行なうことができる。
【0026】
また、この部品検査装置1は、光学撮像による検査を行なう光学撮像装置5(図2)と、X線(放射線)撮像による検査を行なうX線撮像装置7(図2)とを具備する。図1に示すように、光学撮像装置5は、照明51、ミラー53および光学カメラ55より構成される。照明51は、上部が開口したドーム形状を有しており、ハウジング11の略中央にある基板WをZ軸方向正側(図1上側)から囲んで、当該基板Wに対して光を照射する。ミラー53は、照明51の開口511の上方に配置されており、照明51により照らされた基板Wの姿を写す。そして、光学カメラ55はミラー53に写った像を撮像して、この撮像結果をコントローラー100(図2)へと出力する。こうして、光学撮像装置5が撮像した映像に基づいて、コントローラー100は、電子部品の端子の前面側に存在する半田(いわゆるフロントフィレット)の状態を確認する。
【0027】
一方、X線撮像装置7は、X線放射部71およびX線検出部73(X線カメラ)を備える。X線放射部71はハウジング11の略中央にある基板WのZ軸方向正側(図1上側)に配置されており、X線源711が発生したX線をZ軸方向負側(図1下側)へ放射する。一方、X線検出部73は、基板WのZ方向負側に配置されており、X線CCD(Charge Coupled Device)等で構成されている。このように、X線放射部71とX線検出部73は、部品検査位置の基板Wを挟むように配置されており、X線放射部71から放射されたX線は、部品検査位置の基板Wを透過した後にX線検出部73に入射する。そして、X線検出部73は、X線を検出した結果をコントローラー100(図2)へと出力する。こうしてX線撮像装置7が撮像した映像に基づいて、コントローラー100は、電子部品の端子の背面側に存在する半田(いわゆる、ヒールフィレット)の状態を確認する。
【0028】
ちなみに、このX線撮像装置7は、基板Wに入射するX線の角度を変えながら、基板WのX線撮像を複数回実行することができる。具体的には、XY駆動テーブル3によってXY面内で基板Wを移動させることで、X線放射部のX線源711と基板Wの相対位置を変化させ、これに応じて、X線源711から基板Wへ向かう放射線と基板Wとの角度を変化させる。そして、所望の角度で放射線が入射する位置に基板Wを位置決めしてX線撮像を行う動作を、角度を変化させながら実行する。このとき、基板Wを透過した放射線をX線検出部73で確実に検出するためには、基板Wの移動に応じてX線検出部73も移動させる必要がある。そこで、このX線検査装置1では、X線検出部73をXY面内で駆動するXY駆動機構77が備えられている。
【0029】
続いて図2を用いて、コントローラー100の動作の詳細について説明する。コントローラー100は、コントローラー100で実行される制御動作を統括的に管理するために、CPU(Central Processing Unit)等で構成された装置制御演算処理部101を備える。また、コントローラー100は、XY駆動機構31、77(図1)の駆動源である各モーターを制御するモーター制御部102を備える。つまり、XY駆動機構31、77は、モーター制御部102からの指令に応じて、XY駆動テーブル3やX線検出部73を移動して位置決めする。さらに、コントローラー100は、光学撮像装置5およびX線撮像装置7の撮像結果を処理するために、画像処理部103および検査判定処理部104を備える。この画像処理部103は、光学撮像装置5およびX線撮像装置7の撮像結果を受信して、例えばX線撮像結果の再構成等に必要な演算処理を当該撮像結果に施す。そして、検査判定処理部104は、画像処理部103による処理を経た撮像結果に基づいて、半田の状態の良否を判定する。
【0030】
以上が、部品検査装置1の概略構成である。続いて、部品検査装置1が備えるX線撮像装置7の詳細について説明する。上述したとおり、X線撮像装置7は、X線源711と基板Wの相対位置を変化させることで、X線源711から基板Wへ向かう放射線と基板Wとの角度を変化させながらX線撮像を実行する(図3)。
【0031】
図3は、X線撮像装置で実行されるX線撮像動作の一例を示す模式図である。同図では、3つの基板Wと3つのX線検出部73が示されているが、これは基板WおよびX線検出部73が3つずつあることを示すものではなく、基板WおよびX線検出部73が図3で示された各位置に移動可能であることを示している。また、同図では、基板Wの位置PwおよびX線検出部73の位置Pcには座標(θx,θy)が併記されている。ここで、位置Pw(θx,θy)は、X軸方向に角度θxでかつY軸方向に角度θyの入射角でX線が基板W(の中心)に入射する基板Wの位置を示している。また、位置Pc(θx,θy)は、位置Pc(θx,θy)にある基板Wを透過したX線を検出するX線検出部73の位置を示しており、位置Pc(θx,θy)にあるX線検出部73は、位置Pw(θx,θy)にある基板WとX線源711と略一直線に並ぶ。図3では、X軸方向の角度を0°に固定して、Y軸方向の角度を45°毎に変化させた場合が示されている。なお、これから説明する例では、図3に示す3つの角度状態(0°,−45°)、(0°,0°)、(0°,45°)以外に、6つの角度状態(−45°,0°)、(45°,0°)、(−45°, −45°)、(−45°, 45°)、(45°, −45°)、(45°,45°)のそれぞれでX線撮像が可能であるように構成されている。
【0032】
また、図3に示すように、この実施形態にかかるX線撮像装置7では、被検体である基板Wや電子部品等の被爆量を最小限に抑えるために、遮蔽板75(放射線遮蔽板)が用いられる。この遮蔽板75は平板形状を有しており、その一方主面75aの法線がZ軸方向と平行となるように、X線源711と基板Wとの間に配置されている。このとき、遮蔽板75は、その一方主面75aをZ軸方向正側に向けるとともに、その他方主面75bをZ軸方向負側に向けた状態で、X線源711と基板Wとの間に配置される。さらに、遮蔽板75には、一方主面75aから他方主面75bまで貫通する開口部Ap(コリメータ)が形成されている。そして、X線源711から放射されたX線のうち、開口部Apを通過したX線が基板Wを透過してX線検出部73に到達する一方、遮蔽板75の開口部Ap以外の部分に入射したX線は遮蔽されることとなる。つまり、開口部Apは通過するX線を絞ってX線の照射野を規定することで、被検体への被爆量を最小限に抑えるものである。かかる開口部Apは、上述した9つの角度状態に対応して9個形成されている(図4)。
【0033】
図4は、X線遮蔽板の概略構成を示す平面図である。図4では、Z軸方向正側から平面視した遮蔽板75が示されるとともに、当該平面視においてZ軸方向に貫通して見える開口部Apが白抜きで表され、その他の部分にはドットあるいは斜線のハッチングが施されている。特に、ドットのハッチングが施された部分は、遮蔽板75の一方主面75aを示す。また、同図では、開口部Apに座標(θx,θy)が併記されている。ここで、開口部Ap(θx,θy)は、角度状態(θx,θy)に対応する開口部である。すなわち、開口部Ap(θx,θy)は、X線源711、基板の位置Pw(θx,θy)およびX線検出部73の位置Pc(θx,θy)が並ぶ直線上に位置して、位置Pw(θx,θy)にある基板Wに対して照射野を規定する機能を果たす。図3を併用しつつ具体例を挙げて説明すると、開口部Ap(0°、45°)(図3における右端の開口部Ap)は、X線源711、基板の位置Pw(0°、45°)およびX線検出部73の位置Pc(0°、45°)が並ぶ直線上に位置して、位置Pw(0°、45°)にある基板Wに対する照射野を規定する機能を果たす。
【0034】
図4に示すように、遮蔽板75には、中央部に位置する開口部Ap(0°、0°)とこれを取り囲む8個の開口部Apを併せた合計9個の開口部Apが形成されている。中央部の開口部Ap(0°、0°)のZ軸方向正側(図3の上側)にはX線源711が正対(直視)しており、中央部の開口部Ap(0°、0°)(の中心)とX線源711はZ軸方向に平行に並んでいる。したがって、X線源711からの放射線は、Z軸方向(一方主面75aの法線方向)から中央部の開口部Ap(0°、0°)へ入射する。一方、図4において、中央部の開口部Ap(0°、0°)の上下左右に並ぶ開口部Ap(−45°、0°)、Ap(45°、0°)、Ap(0°、−45°)、Ap(0°、45°)に対しては、X線源711は45°傾いた位置にあり、これらの開口部Ap(の中心)とX線源711はZ軸方向に対して45°傾いて並んでいる(斜視)。したがって、X線源711からの放射線は、Z軸方向(一方主面75aの法線方向)に対して45°傾いた方向からこれらの開口部Apへ入射する。さらに、遮蔽板75の四隅にある開口部Ap(−45°、―45°)、Ap(45°、−45°)、Ap(−45°、45°)、Ap(45°、45°)に対しては、X線源711はX軸およびY軸の両方向に45°傾いており(斜視)、放射線は、Z軸方向(一方主面75aの法線方向)に対して45°よりも大きく傾いて開口部Apへ入射する。
【0035】
各開口部Apは、Z軸方向からの平面視において図4にて白抜きで示される四角形の形状を有するように、四角形の各辺に対応する4つの面で構成されている。そして、図4において、中央と上下左右に位置する5つの開口部Apについては、各開口部Apの側壁が有するこれらの面のうちの一部あるいは全部が、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いている。このとき、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いている面(傾斜面)の傾き方としては、遮蔽板75の一方主面75a側(Z軸方向正側)を向いて傾く場合と遮蔽板75の他方主面75b側(Z軸方向負側)を向いて傾く場合の2通りがある。図4に示すZ軸方向正側からの平面視において、一方主面75a側を向く傾斜面(一方向傾斜面)は見えるため斜線のハッチングで示される一方、他方主面75b側を向く傾斜面(他方向傾斜面)は遮蔽板75の一方主面75aに隠れて見えないため示されていない。
【0036】
より詳しくは、開口部Apの側壁が有する面のうち、図5を用いて説明する条件を満たす面を一方向傾斜面あるいは他方向傾斜面として構成している。図5は、一方向傾斜面あるいは他方向傾斜面として形成される面の条件を説明する斜視図である。図5において、符号Papは、遮蔽板75を平面視した場合において開口部Apがみせる四角形(図4の白抜きで示された四角形)を、遮蔽板75の一方主面75aを含む仮想平面に正射影(Z軸方向から射影)した図形である。また、図5において、符号Capは開口部Apの射影図Papの幾何重心である。ここで、この幾何重心Capを開口部Apの中心と定義し、X線源711から開口部Apの中心Capに向かうベクトルを第1のベクトルV1と定義し、遮蔽板75の一方主面75aを含む仮想平面に第1のベクトルV1を正射影したベクトルを第2のベクトルV2と定義する。
【0037】
そして、開口部Apの側壁を構成する面のうち、第2のベクトルV2に平行な面(図5の辺L1、L2に対応する面)が一方向傾斜面として形成される。したがって、図4において斜線のハッチングで示すように、中央部の開口部Ap(0°、0°)の4面、左右に位置する開口部Ap(0°、−45°)、Ap(0°、45°)の上下の2面、および上下に位置する開口部部Ap(−45°、0°)、Ap(45°、0°)の左右の2面は一方向傾斜面として形成される。なお、中央の開口部Ap(0°、0°)の中心CapとX線源711とはZ軸方向に平行に並ぶ。したがって、中央の開口部Ap(0°、0°)については、第1のベクトルV1が遮蔽板75の一方主面75aを含む仮想平面に対して直交するため、第2のベクトルV2はゼロベクトルとなる。そこで、このゼロベクトルに対しては中央の開口部Ap(0°、0°)の側壁の各面は平行であると、ここでは取り扱う。
【0038】
一方、開口部Apの側壁を構成する面のうち、第2のベクトルV2に対して平行でなくて且つ第2のベクトルV2の方向の逆側を向く面(図5の辺L3に対応する面)が他方向傾斜面として形成される。したがって、図4において、左に位置する開口部Ap(0°、−45°)の左側の1面、右に位置する開口部Ap(0°、45°)の右側の1面、上に位置する開口部Ap(−45°、0°)の上側の1面、および下に位置する開口部Ap(45°、0°)の下側の1面は他方向傾斜面として形成される。続いて、これら一方向傾斜面・他方向傾斜面を有する開口部Apの断面について、図6および図7を併用しつつ説明する。
【0039】
図6は、図4のA1−A1線断面を示す断面図である。図7は、図4のB1−B1線断面を示す断面図である。これらの図では破線円で示すように部分的に拡大した図が併記されている。なお、この拡大図では、開口部Apの側壁の面と遮蔽板75の一方主面75aとの角度が示されている。
【0040】
先ずは、図6に示す断面から説明を行う。図6に示すように、開口部Ap(0°、−45°)の側壁のうちY軸方向負側(同図左側)の面Salは、遮蔽板75の一方主面75aに対して45°の角度で傾いた平面であり、遮蔽板75の他方主面75b側を向いた他方向傾斜面である。一方、開口部Ap(0°、−45°)の側壁のうちY軸方向正側(同図右側)の面Sarは、遮蔽板75の一方主面75aに対して垂直な平面である。また、開口部Ap(0°、0°)の側壁のうちY軸方向の両側の2つの面Sbl、Sbrそれぞれは、遮蔽板75の一方主面75aに対して135°の角度で傾いた平面であり、遮蔽板75の一方主面75a側を向いた一方向傾斜面である。また、開口部Ap(0°、45°)の側壁のうちY軸方向負側(同図左側)の面Sclは、遮蔽板75の一方主面75aに対して垂直な平面である。一方、開口部Ap(0°、45°)の側壁のうちY軸方向正側(同図右側)の面Scrは、遮蔽板75の一方主面75aに対して45°の角度で傾いた平面であり、遮蔽板75の他方主面75b側を向いている。なお、A2−A2線(図4)における断面図も図6に示した断面図と同様となる。
【0041】
続いて、図7に示す断面について説明を行なう。図7に示すように、開口部Ap(−45°、−45°)の側壁のうちY軸方向の両側の2つの面Sdl、Sdrそれぞれは、遮蔽板75の一方主面75aに対して垂直な平面である。また、開口部Ap(−45°、0°)の側壁のうちY軸方向の両側の2つの面Sel、Serそれぞれは、遮蔽板75の一方主面75aに対して135°の角度で傾いた平面であり、遮蔽板75の一方主面75a側を向いた一方向傾斜面である。また、開口部Ap(−45°、45°)の側壁のうちY軸方向の両側の2つの面Sfl、Sfrそれぞれは、遮蔽板75の一方主面75aに対して垂直な平面である。なお、B2−B2〜B4−B4線(図4)における断面図も図7に示した断面図と同様になる。
【0042】
以上のように、本実施形態におけるX線撮像装置7では、遮蔽板75はその一方主面75aから他方主面75bへ貫通する開口部Apを有するとともに、X線源711は遮蔽板75の一方主面75a側に設けられ、X線検出部73は遮蔽板75の他方主面75b側に設けられている。したがって、X線源711で発生したX線は、遮蔽板75の一方主面75aから他方主面75bに向けて開口部Apを通過した後に、被検体を透過してX線検出部73により検出される。また、この開口部Apの側壁は、遮蔽板75の法線方向(Z軸方向)からの平面視において四角形の形状を有するように当該四角形の各辺に対応する4つの面を有している。そして、開口部Apの側壁が有する4つの面のうち少なくとも一つは、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いている。
【0043】
この際、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いている面(傾斜面)の傾き方としては、遮蔽板75の一方主面75a側を向いて傾く場合と遮蔽板75の他方主面75b側を向いて傾く場合の2通りがあるが、いずれの場合においても、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かう放射線の発生を抑制できる。これについて、図8および図9を用いて説明する。図8は、遮蔽板の一方主面側を向いて傾く一方向傾斜面の効果の説明図である。図9は、遮蔽板の他方主面側を向いて傾く他方向傾斜面の効果の説明図である。なお、図8および図9の破線は、遮蔽板75の一方主面75aに対して垂直に形成された開口部Apの側壁の面Sであり、比較のために示されている。
【0044】
図8では、開口部Apの側壁の面Sが一方主面側を向く一方向傾斜面として構成されている。同図に示すように、開口部Apの側壁の面Sが遮蔽板75の一方主面75aに垂直である場合には、面Sに入射したX線LIは、X線検出部73の設けられた他方主面75b側に反射される傾向にある(図8の反射X線LRb(-))。一方、開口部Apの側壁の面Sが一方向傾斜面として構成されている場合には、この傾斜面Sに入射したX線LIは、X線検出部73の設けられた他方主面75b側よりはむしろ一方主面75a側に反射されることとなる(図8の反射X線LRb(+))。
【0045】
一方、図9では、図8と逆に、開口部Apの側壁の面Sが他方主面側を向く他方向傾斜面として構成されている。同図に示すように、開口部Apの側壁の面Sが遮蔽板75の一方主面75aに垂直である場合には、面Sに入射したX線LIは、X線検出部73の設けられた他方主面側に反射される傾向にある(図9の反射X線LRb(-))。一方、開口部Apの側壁の面Sが他方向傾斜面として構成されている場合には、当該傾斜面SはX線が入射してくる一方主面75a側と反対を向くこととなるため、X線LIは傾斜面Sに入射すること無く通過する傾向にあり、当該傾斜面Sへ入射するX線の量そのものを減少させることができる。
【0046】
つまり、図8および図9に示したような傾斜面Sを開口部Apの側壁に設けておくことで、開口部Apの側壁に入射した放射線をX線検出部73の逆側(一方主面側)に反射し、あるいは開口部Apの側壁へ入射するのX線の量そのものを減少させることができ、その結果、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かうX線の発生を抑えることが可能となる。
【0047】
また、上記実施形態では、つまり、一方向傾斜面と遮蔽板75の一方主面75aとが成す角度は135度以上で且つ180度未満であるように構成している。このように構成した場合、入射したX線を一方主面75a側に効率的に反射する一方向傾斜面の機能を効率的に発揮させて、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かうX線の発生を効果的に抑えることが可能となる。この理由について、図10を用いて説明すると次のとおりである。
【0048】
図10は、一方向傾斜面の角度と一方向傾斜面で反射されるX線との関係を示す図である。なお、X線が散乱される態様としては、弾性散乱、レーリー散乱、コンプトン散乱など複数のものがあるが、図10では弾性散乱のみを想定する。ここでは、開口部Apの壁面に設けられた一方向傾斜面Sで反射されたX線が他方主面75b側(Z軸方向負側)に向かわずに、一方主面75a側(Z軸方向正側)に向かう場合を考える。特に、被反射X線が他方主面75b側にぎりぎり向かわない条件、言い換えれば、被反射X線が図10に示すX線LR(0)ようにZ軸方向に直交する方向(真横)に向う条件を求める。そして、これから、被反射X線が他方主面75b側に確実に向かわないために、一方向傾斜面Sが満たす角度を求める。
【0049】
被反射X線が図10の真横に向かう場合、図10から、次式
Rx+90°+Rc+Rx=180°
が成立し、これを変形すると、
Rc=90°−2×Rx …式1
となる。ここで、角度Rcは、X線LIの入射角であり、角度Rxは、一方向傾斜面SとZ軸とが成す角度である。ここで、角度Rcは0°よりは大きい角度であるので、これを式1に適用すると、次式、
Rc=90°−2×Rx>0° …式2
が得られ、さらにこれを変形して、
45°>Rx …式3
となる。つまり、この式3が、被反射X線が他方主面75b側にぎりぎり向かわない条件での角度Rx(限界角)となる。逆に言うと、角度Rxを45°以上とすることで、一方向傾斜面Sに入射するX線を、一方主面75a側に確実に反射することが可能となる。すなわち、上記実施形態のように、一方向傾斜面Sと遮蔽板75の一方主面75aとが成す角度(=90°+Rx)を135度以上で且つ180度未満であるように構成することで、一方向傾斜面Sに入射するX線を、一方主面75a側に確実に反射することが可能となる。
【0050】
図8を用いて説明したとおり、開口部Apの側壁に設けられた傾斜面を一方主面75a側を向ける理由は、傾斜面に入射した光を一方主面75a側に反射して、他方主面75b側に設けられたX線検出部73へ開口部Apの側壁での反射光が入射することを抑制するという効果にある。このとき、かかる効果をより効率的に発揮させるためには、一方主面75aに対して傾かない状態では入射してきたX線を他方主面75b側に反射してしまいやすい面を、傾斜面として構成しておくことが好適となる。より具体的には、X線源711と開口部Apとの位置関係によって、開口部Apの側壁が有する複数の面それぞれがX線をX線検出部73側に反射しやすい場合や、開口部Apの側壁のうち一部の面のみがX線をX線検出部73側に反射しやすい場合が考えられる。このような場合に、X線をX線検出部73側に反射しやすい面については、一方主面75a側に向けておくことが好適となる。これに対して、上述の実施形態では以下のように構成している。
【0051】
つまり、その中心CapとX線源711とが遮蔽板75の一方主面75aの法線方向に対して平行に並ぶ、(中央の)開口部Apにおいては、当該開口部Apの側壁が有する複数の面のそれぞれが、一方主面75aに対して傾かない状態では、X線をX線検出部73側に反射しやすいと想定される。そこで、図5等を用いて説明した通り、(中央の)開口部Apの側壁が有する複数の面のそれぞれは、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いて、遮蔽板75の一方主面75a側を向いている。これにより、開口部Apの側壁に入射したX線を一方主面75a側に効率的に反射して、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かうX線の発生をより確実に抑制することができる。
【0052】
あるいは、その中心CapとX線源711とが遮蔽板75の一方主面75aの法線方向に対して傾いてに並ぶ、(左右上下の)開口部Apにおいては、開口部Apの側壁が有する複数の面のうち第2のベクトルV2に平行な面(図5の辺L1、L2に対応する面)が特に、多くのX線をX線検出部73側に反射しやすいと想定される。そこで、図5等を用いて説明したとおり、第2のベクトルV2に平行な面は、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いて、遮蔽板75の一方主面75a側を向いている。これにより、開口部Apの側壁に入射したX線を一方主面75a側に効率的に反射して、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かうX線の発生をより確実に抑制することができる。
【0053】
ところで、図9を用いて説明したとおり、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いている面が遮蔽板75の他方主面75b側を向いているように構成することによっても、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かうX線の発生を抑えることができる。これは、他方主面75b側に向けることで、傾斜面へ入射するX線の量そのものを減少できることによる。ちなみに、X線源711と開口部Apとの位置関係によっては、開口部Apの側壁が有する複数の面の間で、当該壁面に向かって進行してくるX線の量に違いが生じることがある。したがって、比較的多くのX線が進行してくる面を他方主面75b側に向けて、当該面へ入射するX線の量を減少させるように構成しても良い。つまり、開口部Apの側壁が有する複数の面のうち、第2のベクトルV2に対して平行でなくて且つ第2のベクトルV2の方向の逆側を向く面(図9の辺L3に対応する面)に向かって、より多くのX線が進行してくると想定される。そこで、上記実施形態では、当該面が遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いて、遮蔽板75の他方主面75b側を向いている。
【0054】
また、本実施形態におけるX線遮蔽板75では、X線を遮蔽する板状部材(遮蔽板75を構成する平板)はその一方主面75aから他方主面75bへ貫通する開口部Apを有する。そして、この開口部Apの側壁は、遮蔽板75の法線方向からの平面視において四角形の形状を有するように当該四角形の各辺に対応する4つの面を有している。そして、開口部Apの側壁が有する4つの面のうち少なくとも一つは、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いている。したがって、このX線遮蔽板75をX線源711とX線検出部73の間に配置することで、開口部Apの側壁に入射したX線をX線検出部73の逆側に反射し、あるいは側壁へ入射するの放射線の量そのものを抑えることができ、その結果、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かうX線の発生を抑えることが可能となる。
【0055】
以上のように、本実施形態では、X線撮像装置7が本発明の「放射線撮影装置」に相当し、遮蔽板75が本発明の「放射線遮蔽板」に相当している。また、遮蔽板75が本発明の「遮蔽板」に相当し、一方主面75aが本発明の「一方主面」に相当し、他方主面75bが本発明の「他方主面」に相当し、開口部Apが本発明の「開口部」に相当している。また、X線が本発明の放射線に相当し、X線源711が本発明の「放射線源」に相当し、X線検出部73が本発明の「放射線検出手段」に相当する。
【0056】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。例えば、遮蔽板75には、一方向傾斜面を有する開口部Apおよび他方傾斜面を有する開口部Apの両方が形成されている。しかしながら、一方向傾斜面および他方傾斜面のいずれか一方を有する開口部Apのみを遮蔽板75に形成するように構成しても良い。このように構成された遮蔽板75によっても、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かうX線の発生を抑えることができる。
【0057】
また、上記実施形態では、開口部Apは、平面視において四角形の形状を有するように構成されているが、平面視において四角形以外の多角形の形状を有するように開口部Apを変形することもできる。
【0058】
また、上記実施形態では、開口部Apの側壁に設けた傾斜面を平面で形成したが、例えばアールを付けて丸みを持たせたり、屈曲させたりといった変形も適宜可能である。
【0059】
また、遮蔽板75に形成する開口部Apの個数も適宜変更が可能であり、上述のものに限られない。
【0060】
また、遮蔽板75に形成する開口部Apの大きさも適宜変更可能である(図11)。ここで、図11は、遮蔽板の変形例を示す平面図である。図11の遮蔽板75では、開口部Apの大きさが上述した図4の遮蔽板75の開口部Apよりも大きい。なお、図11と図4とは開口部Apの設け方のみが異なり、開口部Apの側壁が有する面のうち傾斜面として形成される面や、X線源711との位置関係等は同様である。図11の遮蔽板75で開口部Apが大きく形成されているのは、ズームアップでX線撮像を行うような場合に対応するためである。つまり、ズームアップでX線撮像を行う場合では、X線源711を基板Wに近づけるため、開口部Apはより大きい必要がある。そこで、図11に示すようなズームアップ用の遮蔽板75を別途用いることがあるが、このズームアップ用の遮蔽板75に対しても本発明を適用することで、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かうX線の発生を抑えることができる。
【0061】
このとき、ズームアップ用の遮蔽板75および通常の遮蔽板75をそれぞれ用意しておき、必要に応じて何れか一方を、X線源711と基板Wの間に配置するように構成しても良い。
【0062】
あるいは、ズームアップ用の遮蔽板75をX線源711と基板Wの間に常時配置しておくこともできる。さらに、この場合には、通常の遮蔽板75をズームアップ用の遮蔽板75とX線源711との間に着脱可能に構成しておき、ズームアップでX線撮像を行う場合は通常の遮蔽板75を取り外しておく一方、通常のX線撮像を行う場合は通常の遮蔽板75を取り付けるように構成しても良い。
【0063】
なお、ズームアップ用の遮蔽板75に形成する開口部Apの個数も適宜変更が可能であり、上述のものに限られない。
【0064】
また、ズームアップ用の遮蔽板75と通常の遮蔽板75とをそれぞれ別体で構成する必要はなく、図12に示すようにこれらを一体に構成しても良い。図12は、遮蔽板の別の変形例を示す平面図である。図12の遮蔽板75は、図11に示した遮蔽板75と図4に示した遮蔽板75を左右に並べて、一体的に形成した構成を具備している。
【0065】
この際も、遮蔽板75に設ける開口部Apの個数を適宜変更可能であり、例えば、ズームアップ用の大きな開口部Apと通常のX線撮像ようの小さな開口部Apとを一つずつ設けるように構成しても良い。
【0066】
なお、ズームアップ用の9個の開口部Apと通常用の9個の開口部Apの合計18個の開口部Apを用いる構成において、18個の開口部Apの配列方法を適宜変更することもできる。具体的には、これら18個の開口部Apを一列あるいは二列で配列したり、円形の平板の円周に18個の開口部Apを並べて配置したりといった変形が可能である。
【0067】
また、各開口部Apの使用頻度に差がある場合は、最も良く使う開口部Apを一つだけ設けた遮蔽板75とその他の複数の開口部Apを設けた遮蔽板75とをそれぞれ用意しても良い(図13)。図13は、遮蔽板のさらに別の変形例を示す平面図である。同図の右側の遮蔽板75には、X線源711を開口部Apに正対させて行なう、通常用のX線撮像で用いられる開口部Ap(図4で開口部Ap(0°、0°))のみが形成されている。このとき、通常用の残りの8個の開口部Apとズームアップ用の9個の開口部Apとの合計17個の開口部Apを備えた遮蔽板75を、別に用意しても良いが、同図の左側の遮蔽板75のように、ズームアップ用の大きさを備える9個の開口部Apのみを有する遮蔽板75を用意しても良い。つまり、この場合には、X線源711を開口部Apに対して傾けて行なう斜視撮影では、ズームアップ時も通常時も同図左側の遮蔽板75が兼用されることとなる。
【符号の説明】
【0068】
1…部品検査装置
7…X線撮像装置
71…X線放射部
711…X線源
73…X線検出部
75…X線遮蔽板
75a…一方主面
75b…他方主面
77…XY駆動機構
V1…第1のベクトル
V2…第2のベクトル
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射線源から被検体を透過した放射線を放射線検出手段で検出する際に、放射線源と放射線検出手段の間に設けられて放射線源からの放射線を部分的に遮蔽する放射線遮蔽板および当該放射線遮蔽板を用いた放射線撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、X線源(X線管球)が発生したX線を被検体に照射するとともに、被検体を透過したX線を検出手段(2次元検出器システム)により検出するX線CT(Computed Tomography)装置が記載されている。また、特許文献2にも同様の構成を具備するX線撮影装置が記載されている。これらの放射線撮像装置は、被検体を透過した放射線(X線)を検出手段が検出することで得られる情報を、画像として再構成することで、被検体の画像を撮像するものである。
【0003】
また、特許文献1および2のいずれの放射線撮像装置においても、放射線源と検出手段の間にコリメータが配置されている。例えば特許文献1では、厚み方向に貫通する開口部が設けられたコリメータ板が放射線源と検出手段の間に配置されており、放射線源から照射されてコリメータ板の開口を通過した放射線のみが、被検体を透過した後に検出手段に到達し、画像撮像に供する。一方、コリメータ板の開口部以外の部分に入射した放射線は、遮蔽されて画像撮像に供しない。つまり、コリメータ板を設けることで、画像撮像に不要な放射線が被検体に照射されるのを抑制して、被検体の被爆量を抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−006133号公報
【特許文献2】特開2006−311929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなコリメータ等の放射線遮蔽板を用いた場合、被検体の不要な被爆を抑えることができる利点がある一方、次のような課題を有していた。つまり、放射線遮蔽版は厚みを有するため、放射線遮蔽版に貫通形成された開口部も同等の厚みを有することとなる。したがって、放射線源で発生した放射線の一部は、開口部の側壁で反射される場合がある。このとき、開口部の側壁での反射によって、放射線が検出手段の方へ進行方向を変えて検出手段に入射してしまうと、例えば、検出手段の検出結果を適切な画像として再構成できないといった問題が発生するおそれがあった。
【0006】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生を抑えることが可能となる放射線遮蔽板および当該放射線遮蔽板を備えた放射線撮像装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる放射線撮像装置は、上記目的を達成するために、一方主面から当該一方主面と反対の他方主面へ貫通する開口部が設けられるとともに、開口部以外の部分で放射線を遮蔽する遮蔽板と、遮蔽板の一方主面側に設けられて、放射線を発生する放射線源と、遮蔽板の他方主面側に設けられて、放射線源から射出された後に開口部を通過して被検体を透過した放射線を検出する放射線検出手段とを備え、開口部の側壁は、遮蔽板を平面視した場合において開口部が多角形の形状を有するように当該多角形の各辺に対応する複数の面を有し、開口部の側壁が有する複数の面のうち少なくとも一つは、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いていることを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明(放射線撮像装置)では、遮蔽板はその一方主面から他方主面へ貫通する開口部を有するとともに、放射線源は遮蔽板の一方主面側に設けられ、放射線検出手段は遮蔽板の他方主面側に設けられている。したがって、放射線源で発生した放射線は、遮蔽板の一方主面から他方主面に向けて開口部を通過した後に、被検体を透過して放射線検出手段により検出される。また、この開口部の側壁は、遮蔽板の法線方向からの平面視において多角形の形状を有するように当該多角形の各辺に対応する複数の面を有している。そして、開口部の側壁が有する複数の面のうち少なくとも一つは、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いている。
【0009】
この際、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いている面(傾斜面)の傾き方としては、遮蔽板の一方主面側を向いて傾く場合と遮蔽板の他方主面側を向いて傾く場合の2通りがあるが、いずれの場合においても、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生を抑制できる。つまり、傾斜面が一方主面側を向く場合には、この傾斜面に入射した放射線は、放射線検出手段の設けられた他方主面側よりはむしろ一方主面側に反射されることとなる。逆に、傾斜面が他方主面側を向く場合には、当該傾斜面は放射線が入射してくる一方主面側と反対を向くこととなるため、当該傾斜面へ入射する放射線の量そのものを減少させることができる。したがって、このような傾斜面を開口部の側壁に設けておくことで、側壁に入射した放射線を放射線検出手段の逆側(一方主面側)に反射し、あるいは側壁へ入射するの放射線の量そのものを減少させることができ、その結果、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生を抑えることが可能となる。
【0010】
ちなみに、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いている面が遮蔽板の一方主面側を向いている装置においては、以下のように構成しても良い。
【0011】
つまり、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いている面と遮蔽板の一方主面とが成す角度は135度以上で且つ180度未満であるように構成しても良い。このように構成することで、入射した放射線を一方主面側に効率的に反射する傾斜面の機能を効率的に発揮させて、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生を効果的に抑えることが可能となる。
【0012】
上述のとおり、開口部側壁に設けられた傾斜面を一方主面側を向ける理由は、傾斜面に入射した光を一方主面側に反射して、他方主面側に設けられた放射線検出手段へ開口部側壁での反射光が入射することを抑制するという効果にある。このとき、かかる効果をより効率的に発揮させるためには、一方主面に対して傾かない状態では入射してきた放射線を他方主面側に反射してしまいやすい面を、傾斜面として構成しておくことが好適となる。より具体的には、放射線源と開口部との位置関係によって、開口部の側壁が有する複数の面それぞれが放射線を放射線検出手段側に反射しやすい場合や、開口部の側壁のうち一部の面のみが放射線を放射線検出手段側に反射しやすい場合が考えられる。このような場合に、放射線を放射線検出手段側に反射しやすい面については、一方主面側に向けておくことが好適となる。そこで、以下のように構成しても良い。
【0013】
つまり、遮蔽板を平面視した場合において開口部がみせる多角形を、遮蔽板の一方主面を含む仮想平面に正射影した図形の幾何重心を開口部の中心と定義したとき、開口部の中心と放射線源が遮蔽板の一方主面の法線方向に対して平行に並ぶ放射線撮像装置においては、開口部の側壁が有する複数の面のそれぞれが、一方主面に対して傾かない状態では、放射線を放射線検出手段側に反射しやすいと想定される。そこで、開口部の側壁が有する複数の面のそれぞれが、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いて、遮蔽板の一方主面側を向いているように構成しても良い。このように構成することで、開口部の側壁に入射した放射線を一方主面側に効率的に反射して、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生をより確実に抑制することができる。
【0014】
あるいは、遮蔽板を平面視した場合において開口部がみせる多角形を、遮蔽板の一方主面を含む仮想平面に正射影した図形の幾何重心を開口部の中心と定義したとき、開口部の中心と放射線源が遮蔽板の一方主面の法線方向に対して傾いて並ぶ放射線撮像装置においては、開口部の側壁が有する面のうち次の条件を満たす面が、一方主面に対して傾かない状態では、放射線を放射線検出手段側に反射しやすいと想定される。すなわち、放射線源から開口部の中心に向かうベクトルを第1のベクトルと定義し、遮蔽板の一方主面を含む仮想平面に第1のベクトルを正射影したベクトルを第2のベクトルと定義したとき、開口部の側壁が有する複数の面のうち第2のベクトルに平行な面が特に、多くの放射線を放射線検出手段側に反射しやすいと想定される。そこで、この第2のベクトルに平行な面が、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いて、遮蔽板の一方主面側を向いているように構成しても良い。このように構成することで、開口部の側壁に入射した放射線を一方主面側に効率的に反射して、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生をより確実に抑制することができる。
【0015】
ちなみに、開口部の側壁が有する複数の面のうち、第2のベクトルに対して平行でなくて且つ第2のベクトルの方向の逆側を向く面は、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いて、遮蔽板の他方主面側を向いているように構成しても良い。このように、当該面を他方主面側に向けることで、当該面へ入射する放射線の量そのものを減少させて、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生を抑えることができる。
【0016】
また、遮蔽板に複数の開口部を設けることもできる。このような場合、各開口部と放射線源との位置関係に応じて、各開口部の側壁のうち、一方主面に対して傾かない状態では、放射線を放射線検出手段側に反射しやすい面を一方主面側に向けておくことが好適となる。すなわち、遮蔽板を平面視した場合において開口部がみせる多角形を、遮蔽板の一方主面を含む仮想平面に正射影した図形の幾何重心を開口部の中心と定義したとき、複数の開口部が遮蔽板に設けられるとともに、複数の開口部のうち一の開口部の中心と放射線源が遮蔽板の一方主面の法線方向に対して平行に並ぶ一方、複数の開口部のうち一の開口部とは別の他の開口部の中心と放射線源が遮蔽板の一方主面の法線方向に対して傾いて並ぶ放射線撮像装置においては、一の開口部の側壁が有する複数の面のそれぞれが、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いて、遮蔽板の一方主面側を向いている一方、放射線源から他の開口部の中心に向かうベクトルを第1のベクトルと定義し、遮蔽板の一方主面を含む仮想平面に第1のベクトルを正射影したベクトルを第2のベクトルと定義したとき、他の開口部の側壁が有する複数の面のうち第2のベクトルに平行な面が、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いて、遮蔽板の一方主面側を向いているように構成しても良い。
【0017】
ところで、上述したとおり、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いている面が遮蔽板の他方主面側を向いているように構成することによっても、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生を抑えることができる。これは、他方主面側に向けることで、傾斜面へ入射する放射線の量そのものを減少できることによる。ちなみに、放射線源と開口部との位置関係によっては、開口部の側壁が有する複数の面の間で、当該壁面に向かって進行してくる放射線の量に違いが生じることがある。したがって、比較的多くの放射線が進行してくる面を他方主面側に向けて、当該面へ入射する放射線の量を減少させるように構成しても良い。
【0018】
つまり、遮蔽板を平面視した場合において開口部がみせる多角形を、遮蔽板の一方主面を含む仮想平面に正射影した図形の幾何重心を開口部の中心と定義したとき、開口部の中心と放射線源が遮蔽板の一方主面の法線方向に対して傾いて並ぶ放射線撮像装置においては、放射線源から開口部の中心に向かうベクトルを第1のベクトルと定義し、遮蔽板の一方主面を含む仮想平面に第1のベクトルを正射影したベクトルを第2のベクトルと定義したとき、開口部の側壁が有する複数の面のうち、第2のベクトルに対して平行でなくて且つ第2のベクトルの方向の逆側を向く面に向かって、より多くの放射線が進行してくると想定される。したがって、当該面が遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いて、遮蔽板の他方主面側を向いているように構成しても良い。
【0019】
また、本発明にかかる放射線遮蔽板は、上記目的を達成するために、一方主面から当該一方主面と反対の他方主面へ貫通する開口部が設けられるとともに、開口部以外の部分で放射線を遮蔽する板状部材を備え、開口部の側壁は、板状部材を平面視した場合において開口部が多角形の形状を有するように当該多角形の各辺に対応する複数の面を有し、開口部の側壁が有する複数の面のうち少なくとも一つは、板状部材の一方主面に対して斜めに傾いていることを特徴としている。
【0020】
このように構成された発明(放射線遮蔽板)では、放射線を遮蔽する板状部材はその一方主面から他方主面へ貫通する開口部を有する。そして、この開口部の側壁は、板状部材の平面視において多角形の形状を有するように当該多角形の各辺に対応する複数の面を有している。そして、開口部の側壁が有する複数の面のうち少なくとも一つは、遮蔽板の一方主面に対して斜めに傾いている。したがって、この放射線遮蔽板を放射線源と放射線検出手段の間に配置することで、開口部の側壁に入射した放射線を放射線検出手段の逆側に反射し、あるいは側壁へ入射するの放射線の量そのものを抑えることができ、その結果、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
開口部の側壁に入射した放射線を放射線検出手段の逆側に反射し、あるいは側壁へ入射するの放射線の量そのものを抑えて、開口部の側壁で反射されて放射線検出手段に向かう放射線の発生を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかる放射線撮像装置を搭載した部品検査装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図1の部品検査装置が備える電気的構成を示すブロック図である。
【図3】X線撮像装置で実行されるX線撮像動作の一例を示す模式図である。
【図4】X線遮蔽板の概略構成を示す平面図である。
【図5】一方向傾斜面あるいは他方向傾斜面として形成される面の条件を説明する斜視図である。
【図6】図4のA1−A1線断面を示す断面図である。
【図7】図4のB1−B1線断面を示す断面図である。
【図8】遮蔽板の一方主面側を向いて傾く一方向傾斜面の効果の説明図である。
【図9】遮蔽板の他方主面側を向いて傾く他方向傾斜面の効果の説明図である。
【図10】一方向傾斜面の角度と一方向傾斜面で反射されるX線との関係を示す図である。
【図11】遮蔽板の変形例を示す平面図である。
【図12】遮蔽板の別の変形例を示す平面図である。
【図13】遮蔽板のさらに別の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明にかかる放射線撮像装置を搭載した部品検査装置の概略構成を示す模式図である。図2は、図1の部品検査装置が備える電気的構成を示すブロック図である。なお、図1および後で説明する図面では、各図の方向関係を明確にするために、XYZ直角座標軸が適宜示されている。また、各座標軸の矢印方向を正方向とし、矢印と反対方向を負方向とする。
【0024】
部品検査装置1は、基板W(ワーク)に電子部品を接続する半田の状態を主に検査するものである。この部品検査装置1は、部品検査を実行する各機能部を収容するハウジング11を備えており、ハウジング11の搬入口111から搬入されてきた基板Wに対して各機能部が協働して検査を行なうとともに、検査を終了した基板Wを搬出口112から外部へ搬出する。
【0025】
図1に示すように、ハウジング11内の下方には、XY
駆動テーブル3が配置されている。このXY駆動テーブル3は、その表面に基板Wを支持しつつ、XY駆動機構31からの駆動力を受けてXY面内を移動可能に構成されている。したがって、XY駆動テーブル3は、ハウジング11のY軸方向正側(図1右側)の搬入口111まで移動して基板Wを受け取ったり、部品検査のためにハウジング11の略中央に基板Wを位置決めしたり(図1に示す状態)、ハウジング11のY軸方向負側(図1左側)の搬出口112まで検査済み基板Wを運んだりといった動作を行なうことができる。
【0026】
また、この部品検査装置1は、光学撮像による検査を行なう光学撮像装置5(図2)と、X線(放射線)撮像による検査を行なうX線撮像装置7(図2)とを具備する。図1に示すように、光学撮像装置5は、照明51、ミラー53および光学カメラ55より構成される。照明51は、上部が開口したドーム形状を有しており、ハウジング11の略中央にある基板WをZ軸方向正側(図1上側)から囲んで、当該基板Wに対して光を照射する。ミラー53は、照明51の開口511の上方に配置されており、照明51により照らされた基板Wの姿を写す。そして、光学カメラ55はミラー53に写った像を撮像して、この撮像結果をコントローラー100(図2)へと出力する。こうして、光学撮像装置5が撮像した映像に基づいて、コントローラー100は、電子部品の端子の前面側に存在する半田(いわゆるフロントフィレット)の状態を確認する。
【0027】
一方、X線撮像装置7は、X線放射部71およびX線検出部73(X線カメラ)を備える。X線放射部71はハウジング11の略中央にある基板WのZ軸方向正側(図1上側)に配置されており、X線源711が発生したX線をZ軸方向負側(図1下側)へ放射する。一方、X線検出部73は、基板WのZ方向負側に配置されており、X線CCD(Charge Coupled Device)等で構成されている。このように、X線放射部71とX線検出部73は、部品検査位置の基板Wを挟むように配置されており、X線放射部71から放射されたX線は、部品検査位置の基板Wを透過した後にX線検出部73に入射する。そして、X線検出部73は、X線を検出した結果をコントローラー100(図2)へと出力する。こうしてX線撮像装置7が撮像した映像に基づいて、コントローラー100は、電子部品の端子の背面側に存在する半田(いわゆる、ヒールフィレット)の状態を確認する。
【0028】
ちなみに、このX線撮像装置7は、基板Wに入射するX線の角度を変えながら、基板WのX線撮像を複数回実行することができる。具体的には、XY駆動テーブル3によってXY面内で基板Wを移動させることで、X線放射部のX線源711と基板Wの相対位置を変化させ、これに応じて、X線源711から基板Wへ向かう放射線と基板Wとの角度を変化させる。そして、所望の角度で放射線が入射する位置に基板Wを位置決めしてX線撮像を行う動作を、角度を変化させながら実行する。このとき、基板Wを透過した放射線をX線検出部73で確実に検出するためには、基板Wの移動に応じてX線検出部73も移動させる必要がある。そこで、このX線検査装置1では、X線検出部73をXY面内で駆動するXY駆動機構77が備えられている。
【0029】
続いて図2を用いて、コントローラー100の動作の詳細について説明する。コントローラー100は、コントローラー100で実行される制御動作を統括的に管理するために、CPU(Central Processing Unit)等で構成された装置制御演算処理部101を備える。また、コントローラー100は、XY駆動機構31、77(図1)の駆動源である各モーターを制御するモーター制御部102を備える。つまり、XY駆動機構31、77は、モーター制御部102からの指令に応じて、XY駆動テーブル3やX線検出部73を移動して位置決めする。さらに、コントローラー100は、光学撮像装置5およびX線撮像装置7の撮像結果を処理するために、画像処理部103および検査判定処理部104を備える。この画像処理部103は、光学撮像装置5およびX線撮像装置7の撮像結果を受信して、例えばX線撮像結果の再構成等に必要な演算処理を当該撮像結果に施す。そして、検査判定処理部104は、画像処理部103による処理を経た撮像結果に基づいて、半田の状態の良否を判定する。
【0030】
以上が、部品検査装置1の概略構成である。続いて、部品検査装置1が備えるX線撮像装置7の詳細について説明する。上述したとおり、X線撮像装置7は、X線源711と基板Wの相対位置を変化させることで、X線源711から基板Wへ向かう放射線と基板Wとの角度を変化させながらX線撮像を実行する(図3)。
【0031】
図3は、X線撮像装置で実行されるX線撮像動作の一例を示す模式図である。同図では、3つの基板Wと3つのX線検出部73が示されているが、これは基板WおよびX線検出部73が3つずつあることを示すものではなく、基板WおよびX線検出部73が図3で示された各位置に移動可能であることを示している。また、同図では、基板Wの位置PwおよびX線検出部73の位置Pcには座標(θx,θy)が併記されている。ここで、位置Pw(θx,θy)は、X軸方向に角度θxでかつY軸方向に角度θyの入射角でX線が基板W(の中心)に入射する基板Wの位置を示している。また、位置Pc(θx,θy)は、位置Pc(θx,θy)にある基板Wを透過したX線を検出するX線検出部73の位置を示しており、位置Pc(θx,θy)にあるX線検出部73は、位置Pw(θx,θy)にある基板WとX線源711と略一直線に並ぶ。図3では、X軸方向の角度を0°に固定して、Y軸方向の角度を45°毎に変化させた場合が示されている。なお、これから説明する例では、図3に示す3つの角度状態(0°,−45°)、(0°,0°)、(0°,45°)以外に、6つの角度状態(−45°,0°)、(45°,0°)、(−45°, −45°)、(−45°, 45°)、(45°, −45°)、(45°,45°)のそれぞれでX線撮像が可能であるように構成されている。
【0032】
また、図3に示すように、この実施形態にかかるX線撮像装置7では、被検体である基板Wや電子部品等の被爆量を最小限に抑えるために、遮蔽板75(放射線遮蔽板)が用いられる。この遮蔽板75は平板形状を有しており、その一方主面75aの法線がZ軸方向と平行となるように、X線源711と基板Wとの間に配置されている。このとき、遮蔽板75は、その一方主面75aをZ軸方向正側に向けるとともに、その他方主面75bをZ軸方向負側に向けた状態で、X線源711と基板Wとの間に配置される。さらに、遮蔽板75には、一方主面75aから他方主面75bまで貫通する開口部Ap(コリメータ)が形成されている。そして、X線源711から放射されたX線のうち、開口部Apを通過したX線が基板Wを透過してX線検出部73に到達する一方、遮蔽板75の開口部Ap以外の部分に入射したX線は遮蔽されることとなる。つまり、開口部Apは通過するX線を絞ってX線の照射野を規定することで、被検体への被爆量を最小限に抑えるものである。かかる開口部Apは、上述した9つの角度状態に対応して9個形成されている(図4)。
【0033】
図4は、X線遮蔽板の概略構成を示す平面図である。図4では、Z軸方向正側から平面視した遮蔽板75が示されるとともに、当該平面視においてZ軸方向に貫通して見える開口部Apが白抜きで表され、その他の部分にはドットあるいは斜線のハッチングが施されている。特に、ドットのハッチングが施された部分は、遮蔽板75の一方主面75aを示す。また、同図では、開口部Apに座標(θx,θy)が併記されている。ここで、開口部Ap(θx,θy)は、角度状態(θx,θy)に対応する開口部である。すなわち、開口部Ap(θx,θy)は、X線源711、基板の位置Pw(θx,θy)およびX線検出部73の位置Pc(θx,θy)が並ぶ直線上に位置して、位置Pw(θx,θy)にある基板Wに対して照射野を規定する機能を果たす。図3を併用しつつ具体例を挙げて説明すると、開口部Ap(0°、45°)(図3における右端の開口部Ap)は、X線源711、基板の位置Pw(0°、45°)およびX線検出部73の位置Pc(0°、45°)が並ぶ直線上に位置して、位置Pw(0°、45°)にある基板Wに対する照射野を規定する機能を果たす。
【0034】
図4に示すように、遮蔽板75には、中央部に位置する開口部Ap(0°、0°)とこれを取り囲む8個の開口部Apを併せた合計9個の開口部Apが形成されている。中央部の開口部Ap(0°、0°)のZ軸方向正側(図3の上側)にはX線源711が正対(直視)しており、中央部の開口部Ap(0°、0°)(の中心)とX線源711はZ軸方向に平行に並んでいる。したがって、X線源711からの放射線は、Z軸方向(一方主面75aの法線方向)から中央部の開口部Ap(0°、0°)へ入射する。一方、図4において、中央部の開口部Ap(0°、0°)の上下左右に並ぶ開口部Ap(−45°、0°)、Ap(45°、0°)、Ap(0°、−45°)、Ap(0°、45°)に対しては、X線源711は45°傾いた位置にあり、これらの開口部Ap(の中心)とX線源711はZ軸方向に対して45°傾いて並んでいる(斜視)。したがって、X線源711からの放射線は、Z軸方向(一方主面75aの法線方向)に対して45°傾いた方向からこれらの開口部Apへ入射する。さらに、遮蔽板75の四隅にある開口部Ap(−45°、―45°)、Ap(45°、−45°)、Ap(−45°、45°)、Ap(45°、45°)に対しては、X線源711はX軸およびY軸の両方向に45°傾いており(斜視)、放射線は、Z軸方向(一方主面75aの法線方向)に対して45°よりも大きく傾いて開口部Apへ入射する。
【0035】
各開口部Apは、Z軸方向からの平面視において図4にて白抜きで示される四角形の形状を有するように、四角形の各辺に対応する4つの面で構成されている。そして、図4において、中央と上下左右に位置する5つの開口部Apについては、各開口部Apの側壁が有するこれらの面のうちの一部あるいは全部が、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いている。このとき、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いている面(傾斜面)の傾き方としては、遮蔽板75の一方主面75a側(Z軸方向正側)を向いて傾く場合と遮蔽板75の他方主面75b側(Z軸方向負側)を向いて傾く場合の2通りがある。図4に示すZ軸方向正側からの平面視において、一方主面75a側を向く傾斜面(一方向傾斜面)は見えるため斜線のハッチングで示される一方、他方主面75b側を向く傾斜面(他方向傾斜面)は遮蔽板75の一方主面75aに隠れて見えないため示されていない。
【0036】
より詳しくは、開口部Apの側壁が有する面のうち、図5を用いて説明する条件を満たす面を一方向傾斜面あるいは他方向傾斜面として構成している。図5は、一方向傾斜面あるいは他方向傾斜面として形成される面の条件を説明する斜視図である。図5において、符号Papは、遮蔽板75を平面視した場合において開口部Apがみせる四角形(図4の白抜きで示された四角形)を、遮蔽板75の一方主面75aを含む仮想平面に正射影(Z軸方向から射影)した図形である。また、図5において、符号Capは開口部Apの射影図Papの幾何重心である。ここで、この幾何重心Capを開口部Apの中心と定義し、X線源711から開口部Apの中心Capに向かうベクトルを第1のベクトルV1と定義し、遮蔽板75の一方主面75aを含む仮想平面に第1のベクトルV1を正射影したベクトルを第2のベクトルV2と定義する。
【0037】
そして、開口部Apの側壁を構成する面のうち、第2のベクトルV2に平行な面(図5の辺L1、L2に対応する面)が一方向傾斜面として形成される。したがって、図4において斜線のハッチングで示すように、中央部の開口部Ap(0°、0°)の4面、左右に位置する開口部Ap(0°、−45°)、Ap(0°、45°)の上下の2面、および上下に位置する開口部部Ap(−45°、0°)、Ap(45°、0°)の左右の2面は一方向傾斜面として形成される。なお、中央の開口部Ap(0°、0°)の中心CapとX線源711とはZ軸方向に平行に並ぶ。したがって、中央の開口部Ap(0°、0°)については、第1のベクトルV1が遮蔽板75の一方主面75aを含む仮想平面に対して直交するため、第2のベクトルV2はゼロベクトルとなる。そこで、このゼロベクトルに対しては中央の開口部Ap(0°、0°)の側壁の各面は平行であると、ここでは取り扱う。
【0038】
一方、開口部Apの側壁を構成する面のうち、第2のベクトルV2に対して平行でなくて且つ第2のベクトルV2の方向の逆側を向く面(図5の辺L3に対応する面)が他方向傾斜面として形成される。したがって、図4において、左に位置する開口部Ap(0°、−45°)の左側の1面、右に位置する開口部Ap(0°、45°)の右側の1面、上に位置する開口部Ap(−45°、0°)の上側の1面、および下に位置する開口部Ap(45°、0°)の下側の1面は他方向傾斜面として形成される。続いて、これら一方向傾斜面・他方向傾斜面を有する開口部Apの断面について、図6および図7を併用しつつ説明する。
【0039】
図6は、図4のA1−A1線断面を示す断面図である。図7は、図4のB1−B1線断面を示す断面図である。これらの図では破線円で示すように部分的に拡大した図が併記されている。なお、この拡大図では、開口部Apの側壁の面と遮蔽板75の一方主面75aとの角度が示されている。
【0040】
先ずは、図6に示す断面から説明を行う。図6に示すように、開口部Ap(0°、−45°)の側壁のうちY軸方向負側(同図左側)の面Salは、遮蔽板75の一方主面75aに対して45°の角度で傾いた平面であり、遮蔽板75の他方主面75b側を向いた他方向傾斜面である。一方、開口部Ap(0°、−45°)の側壁のうちY軸方向正側(同図右側)の面Sarは、遮蔽板75の一方主面75aに対して垂直な平面である。また、開口部Ap(0°、0°)の側壁のうちY軸方向の両側の2つの面Sbl、Sbrそれぞれは、遮蔽板75の一方主面75aに対して135°の角度で傾いた平面であり、遮蔽板75の一方主面75a側を向いた一方向傾斜面である。また、開口部Ap(0°、45°)の側壁のうちY軸方向負側(同図左側)の面Sclは、遮蔽板75の一方主面75aに対して垂直な平面である。一方、開口部Ap(0°、45°)の側壁のうちY軸方向正側(同図右側)の面Scrは、遮蔽板75の一方主面75aに対して45°の角度で傾いた平面であり、遮蔽板75の他方主面75b側を向いている。なお、A2−A2線(図4)における断面図も図6に示した断面図と同様となる。
【0041】
続いて、図7に示す断面について説明を行なう。図7に示すように、開口部Ap(−45°、−45°)の側壁のうちY軸方向の両側の2つの面Sdl、Sdrそれぞれは、遮蔽板75の一方主面75aに対して垂直な平面である。また、開口部Ap(−45°、0°)の側壁のうちY軸方向の両側の2つの面Sel、Serそれぞれは、遮蔽板75の一方主面75aに対して135°の角度で傾いた平面であり、遮蔽板75の一方主面75a側を向いた一方向傾斜面である。また、開口部Ap(−45°、45°)の側壁のうちY軸方向の両側の2つの面Sfl、Sfrそれぞれは、遮蔽板75の一方主面75aに対して垂直な平面である。なお、B2−B2〜B4−B4線(図4)における断面図も図7に示した断面図と同様になる。
【0042】
以上のように、本実施形態におけるX線撮像装置7では、遮蔽板75はその一方主面75aから他方主面75bへ貫通する開口部Apを有するとともに、X線源711は遮蔽板75の一方主面75a側に設けられ、X線検出部73は遮蔽板75の他方主面75b側に設けられている。したがって、X線源711で発生したX線は、遮蔽板75の一方主面75aから他方主面75bに向けて開口部Apを通過した後に、被検体を透過してX線検出部73により検出される。また、この開口部Apの側壁は、遮蔽板75の法線方向(Z軸方向)からの平面視において四角形の形状を有するように当該四角形の各辺に対応する4つの面を有している。そして、開口部Apの側壁が有する4つの面のうち少なくとも一つは、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いている。
【0043】
この際、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いている面(傾斜面)の傾き方としては、遮蔽板75の一方主面75a側を向いて傾く場合と遮蔽板75の他方主面75b側を向いて傾く場合の2通りがあるが、いずれの場合においても、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かう放射線の発生を抑制できる。これについて、図8および図9を用いて説明する。図8は、遮蔽板の一方主面側を向いて傾く一方向傾斜面の効果の説明図である。図9は、遮蔽板の他方主面側を向いて傾く他方向傾斜面の効果の説明図である。なお、図8および図9の破線は、遮蔽板75の一方主面75aに対して垂直に形成された開口部Apの側壁の面Sであり、比較のために示されている。
【0044】
図8では、開口部Apの側壁の面Sが一方主面側を向く一方向傾斜面として構成されている。同図に示すように、開口部Apの側壁の面Sが遮蔽板75の一方主面75aに垂直である場合には、面Sに入射したX線LIは、X線検出部73の設けられた他方主面75b側に反射される傾向にある(図8の反射X線LRb(-))。一方、開口部Apの側壁の面Sが一方向傾斜面として構成されている場合には、この傾斜面Sに入射したX線LIは、X線検出部73の設けられた他方主面75b側よりはむしろ一方主面75a側に反射されることとなる(図8の反射X線LRb(+))。
【0045】
一方、図9では、図8と逆に、開口部Apの側壁の面Sが他方主面側を向く他方向傾斜面として構成されている。同図に示すように、開口部Apの側壁の面Sが遮蔽板75の一方主面75aに垂直である場合には、面Sに入射したX線LIは、X線検出部73の設けられた他方主面側に反射される傾向にある(図9の反射X線LRb(-))。一方、開口部Apの側壁の面Sが他方向傾斜面として構成されている場合には、当該傾斜面SはX線が入射してくる一方主面75a側と反対を向くこととなるため、X線LIは傾斜面Sに入射すること無く通過する傾向にあり、当該傾斜面Sへ入射するX線の量そのものを減少させることができる。
【0046】
つまり、図8および図9に示したような傾斜面Sを開口部Apの側壁に設けておくことで、開口部Apの側壁に入射した放射線をX線検出部73の逆側(一方主面側)に反射し、あるいは開口部Apの側壁へ入射するのX線の量そのものを減少させることができ、その結果、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かうX線の発生を抑えることが可能となる。
【0047】
また、上記実施形態では、つまり、一方向傾斜面と遮蔽板75の一方主面75aとが成す角度は135度以上で且つ180度未満であるように構成している。このように構成した場合、入射したX線を一方主面75a側に効率的に反射する一方向傾斜面の機能を効率的に発揮させて、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かうX線の発生を効果的に抑えることが可能となる。この理由について、図10を用いて説明すると次のとおりである。
【0048】
図10は、一方向傾斜面の角度と一方向傾斜面で反射されるX線との関係を示す図である。なお、X線が散乱される態様としては、弾性散乱、レーリー散乱、コンプトン散乱など複数のものがあるが、図10では弾性散乱のみを想定する。ここでは、開口部Apの壁面に設けられた一方向傾斜面Sで反射されたX線が他方主面75b側(Z軸方向負側)に向かわずに、一方主面75a側(Z軸方向正側)に向かう場合を考える。特に、被反射X線が他方主面75b側にぎりぎり向かわない条件、言い換えれば、被反射X線が図10に示すX線LR(0)ようにZ軸方向に直交する方向(真横)に向う条件を求める。そして、これから、被反射X線が他方主面75b側に確実に向かわないために、一方向傾斜面Sが満たす角度を求める。
【0049】
被反射X線が図10の真横に向かう場合、図10から、次式
Rx+90°+Rc+Rx=180°
が成立し、これを変形すると、
Rc=90°−2×Rx …式1
となる。ここで、角度Rcは、X線LIの入射角であり、角度Rxは、一方向傾斜面SとZ軸とが成す角度である。ここで、角度Rcは0°よりは大きい角度であるので、これを式1に適用すると、次式、
Rc=90°−2×Rx>0° …式2
が得られ、さらにこれを変形して、
45°>Rx …式3
となる。つまり、この式3が、被反射X線が他方主面75b側にぎりぎり向かわない条件での角度Rx(限界角)となる。逆に言うと、角度Rxを45°以上とすることで、一方向傾斜面Sに入射するX線を、一方主面75a側に確実に反射することが可能となる。すなわち、上記実施形態のように、一方向傾斜面Sと遮蔽板75の一方主面75aとが成す角度(=90°+Rx)を135度以上で且つ180度未満であるように構成することで、一方向傾斜面Sに入射するX線を、一方主面75a側に確実に反射することが可能となる。
【0050】
図8を用いて説明したとおり、開口部Apの側壁に設けられた傾斜面を一方主面75a側を向ける理由は、傾斜面に入射した光を一方主面75a側に反射して、他方主面75b側に設けられたX線検出部73へ開口部Apの側壁での反射光が入射することを抑制するという効果にある。このとき、かかる効果をより効率的に発揮させるためには、一方主面75aに対して傾かない状態では入射してきたX線を他方主面75b側に反射してしまいやすい面を、傾斜面として構成しておくことが好適となる。より具体的には、X線源711と開口部Apとの位置関係によって、開口部Apの側壁が有する複数の面それぞれがX線をX線検出部73側に反射しやすい場合や、開口部Apの側壁のうち一部の面のみがX線をX線検出部73側に反射しやすい場合が考えられる。このような場合に、X線をX線検出部73側に反射しやすい面については、一方主面75a側に向けておくことが好適となる。これに対して、上述の実施形態では以下のように構成している。
【0051】
つまり、その中心CapとX線源711とが遮蔽板75の一方主面75aの法線方向に対して平行に並ぶ、(中央の)開口部Apにおいては、当該開口部Apの側壁が有する複数の面のそれぞれが、一方主面75aに対して傾かない状態では、X線をX線検出部73側に反射しやすいと想定される。そこで、図5等を用いて説明した通り、(中央の)開口部Apの側壁が有する複数の面のそれぞれは、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いて、遮蔽板75の一方主面75a側を向いている。これにより、開口部Apの側壁に入射したX線を一方主面75a側に効率的に反射して、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かうX線の発生をより確実に抑制することができる。
【0052】
あるいは、その中心CapとX線源711とが遮蔽板75の一方主面75aの法線方向に対して傾いてに並ぶ、(左右上下の)開口部Apにおいては、開口部Apの側壁が有する複数の面のうち第2のベクトルV2に平行な面(図5の辺L1、L2に対応する面)が特に、多くのX線をX線検出部73側に反射しやすいと想定される。そこで、図5等を用いて説明したとおり、第2のベクトルV2に平行な面は、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いて、遮蔽板75の一方主面75a側を向いている。これにより、開口部Apの側壁に入射したX線を一方主面75a側に効率的に反射して、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かうX線の発生をより確実に抑制することができる。
【0053】
ところで、図9を用いて説明したとおり、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いている面が遮蔽板75の他方主面75b側を向いているように構成することによっても、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かうX線の発生を抑えることができる。これは、他方主面75b側に向けることで、傾斜面へ入射するX線の量そのものを減少できることによる。ちなみに、X線源711と開口部Apとの位置関係によっては、開口部Apの側壁が有する複数の面の間で、当該壁面に向かって進行してくるX線の量に違いが生じることがある。したがって、比較的多くのX線が進行してくる面を他方主面75b側に向けて、当該面へ入射するX線の量を減少させるように構成しても良い。つまり、開口部Apの側壁が有する複数の面のうち、第2のベクトルV2に対して平行でなくて且つ第2のベクトルV2の方向の逆側を向く面(図9の辺L3に対応する面)に向かって、より多くのX線が進行してくると想定される。そこで、上記実施形態では、当該面が遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いて、遮蔽板75の他方主面75b側を向いている。
【0054】
また、本実施形態におけるX線遮蔽板75では、X線を遮蔽する板状部材(遮蔽板75を構成する平板)はその一方主面75aから他方主面75bへ貫通する開口部Apを有する。そして、この開口部Apの側壁は、遮蔽板75の法線方向からの平面視において四角形の形状を有するように当該四角形の各辺に対応する4つの面を有している。そして、開口部Apの側壁が有する4つの面のうち少なくとも一つは、遮蔽板75の一方主面75aに対して斜めに傾いている。したがって、このX線遮蔽板75をX線源711とX線検出部73の間に配置することで、開口部Apの側壁に入射したX線をX線検出部73の逆側に反射し、あるいは側壁へ入射するの放射線の量そのものを抑えることができ、その結果、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かうX線の発生を抑えることが可能となる。
【0055】
以上のように、本実施形態では、X線撮像装置7が本発明の「放射線撮影装置」に相当し、遮蔽板75が本発明の「放射線遮蔽板」に相当している。また、遮蔽板75が本発明の「遮蔽板」に相当し、一方主面75aが本発明の「一方主面」に相当し、他方主面75bが本発明の「他方主面」に相当し、開口部Apが本発明の「開口部」に相当している。また、X線が本発明の放射線に相当し、X線源711が本発明の「放射線源」に相当し、X線検出部73が本発明の「放射線検出手段」に相当する。
【0056】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。例えば、遮蔽板75には、一方向傾斜面を有する開口部Apおよび他方傾斜面を有する開口部Apの両方が形成されている。しかしながら、一方向傾斜面および他方傾斜面のいずれか一方を有する開口部Apのみを遮蔽板75に形成するように構成しても良い。このように構成された遮蔽板75によっても、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かうX線の発生を抑えることができる。
【0057】
また、上記実施形態では、開口部Apは、平面視において四角形の形状を有するように構成されているが、平面視において四角形以外の多角形の形状を有するように開口部Apを変形することもできる。
【0058】
また、上記実施形態では、開口部Apの側壁に設けた傾斜面を平面で形成したが、例えばアールを付けて丸みを持たせたり、屈曲させたりといった変形も適宜可能である。
【0059】
また、遮蔽板75に形成する開口部Apの個数も適宜変更が可能であり、上述のものに限られない。
【0060】
また、遮蔽板75に形成する開口部Apの大きさも適宜変更可能である(図11)。ここで、図11は、遮蔽板の変形例を示す平面図である。図11の遮蔽板75では、開口部Apの大きさが上述した図4の遮蔽板75の開口部Apよりも大きい。なお、図11と図4とは開口部Apの設け方のみが異なり、開口部Apの側壁が有する面のうち傾斜面として形成される面や、X線源711との位置関係等は同様である。図11の遮蔽板75で開口部Apが大きく形成されているのは、ズームアップでX線撮像を行うような場合に対応するためである。つまり、ズームアップでX線撮像を行う場合では、X線源711を基板Wに近づけるため、開口部Apはより大きい必要がある。そこで、図11に示すようなズームアップ用の遮蔽板75を別途用いることがあるが、このズームアップ用の遮蔽板75に対しても本発明を適用することで、開口部Apの側壁で反射されてX線検出部73に向かうX線の発生を抑えることができる。
【0061】
このとき、ズームアップ用の遮蔽板75および通常の遮蔽板75をそれぞれ用意しておき、必要に応じて何れか一方を、X線源711と基板Wの間に配置するように構成しても良い。
【0062】
あるいは、ズームアップ用の遮蔽板75をX線源711と基板Wの間に常時配置しておくこともできる。さらに、この場合には、通常の遮蔽板75をズームアップ用の遮蔽板75とX線源711との間に着脱可能に構成しておき、ズームアップでX線撮像を行う場合は通常の遮蔽板75を取り外しておく一方、通常のX線撮像を行う場合は通常の遮蔽板75を取り付けるように構成しても良い。
【0063】
なお、ズームアップ用の遮蔽板75に形成する開口部Apの個数も適宜変更が可能であり、上述のものに限られない。
【0064】
また、ズームアップ用の遮蔽板75と通常の遮蔽板75とをそれぞれ別体で構成する必要はなく、図12に示すようにこれらを一体に構成しても良い。図12は、遮蔽板の別の変形例を示す平面図である。図12の遮蔽板75は、図11に示した遮蔽板75と図4に示した遮蔽板75を左右に並べて、一体的に形成した構成を具備している。
【0065】
この際も、遮蔽板75に設ける開口部Apの個数を適宜変更可能であり、例えば、ズームアップ用の大きな開口部Apと通常のX線撮像ようの小さな開口部Apとを一つずつ設けるように構成しても良い。
【0066】
なお、ズームアップ用の9個の開口部Apと通常用の9個の開口部Apの合計18個の開口部Apを用いる構成において、18個の開口部Apの配列方法を適宜変更することもできる。具体的には、これら18個の開口部Apを一列あるいは二列で配列したり、円形の平板の円周に18個の開口部Apを並べて配置したりといった変形が可能である。
【0067】
また、各開口部Apの使用頻度に差がある場合は、最も良く使う開口部Apを一つだけ設けた遮蔽板75とその他の複数の開口部Apを設けた遮蔽板75とをそれぞれ用意しても良い(図13)。図13は、遮蔽板のさらに別の変形例を示す平面図である。同図の右側の遮蔽板75には、X線源711を開口部Apに正対させて行なう、通常用のX線撮像で用いられる開口部Ap(図4で開口部Ap(0°、0°))のみが形成されている。このとき、通常用の残りの8個の開口部Apとズームアップ用の9個の開口部Apとの合計17個の開口部Apを備えた遮蔽板75を、別に用意しても良いが、同図の左側の遮蔽板75のように、ズームアップ用の大きさを備える9個の開口部Apのみを有する遮蔽板75を用意しても良い。つまり、この場合には、X線源711を開口部Apに対して傾けて行なう斜視撮影では、ズームアップ時も通常時も同図左側の遮蔽板75が兼用されることとなる。
【符号の説明】
【0068】
1…部品検査装置
7…X線撮像装置
71…X線放射部
711…X線源
73…X線検出部
75…X線遮蔽板
75a…一方主面
75b…他方主面
77…XY駆動機構
V1…第1のベクトル
V2…第2のベクトル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方主面から当該一方主面と反対の他方主面へ貫通する開口部が設けられるとともに、前記開口部以外の部分で放射線を遮蔽する遮蔽板と、
前記遮蔽板の前記一方主面側に設けられて、放射線を発生する放射線源と、
前記遮蔽板の前記他方主面側に設けられて、前記放射線源から射出された後に前記開口部を通過して被検体を透過した放射線を検出する放射線検出手段と
を備え、
前記開口部の側壁は、前記遮蔽板を平面視した場合において前記開口部が多角形の形状を有するように当該多角形の各辺に対応する複数の面を有し、
前記開口部の側壁が有する前記複数の面のうち少なくとも一つは、前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いていることを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項2】
前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いている面は、前記遮蔽板の前記一方主面側を向いている請求項1に記載の放射線撮像装置。
【請求項3】
前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いている面と前記遮蔽板の前記一方主面とが成す角度は135度以上で且つ180度未満である請求項2に記載の放射線撮像装置。
【請求項4】
前記遮蔽板を平面視した場合において前記開口部がみせる前記多角形を、前記遮蔽板の前記一方主面を含む仮想平面に正射影した図形の幾何重心を前記開口部の中心と定義したとき、前記開口部の中心と前記放射線源が前記遮蔽板の前記一方主面の法線方向に対して平行に並ぶ請求項2または3に記載の放射線撮像装置であって、
前記開口部の側壁が有する前記複数の面のそれぞれが、前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いて、前記遮蔽板の前記一方主面側を向いている放射線撮像装置。
【請求項5】
前記遮蔽板を平面視した場合において前記開口部がみせる前記多角形を、前記遮蔽板の前記一方主面を含む仮想平面に正射影した図形の幾何重心を前記開口部の中心と定義したとき、前記開口部の中心と前記放射線源が前記遮蔽板の前記一方主面の法線方向に対して傾いて並ぶ請求項2または3に記載の放射線撮像装置であって、
前記放射線源から前記開口部の中心に向かうベクトルを第1のベクトルと定義し、前記遮蔽板の前記一方主面を含む仮想平面に前記第1のベクトルを正射影したベクトルを第2のベクトルと定義したとき、
前記開口部の側壁が有する前記複数の面のうち前記第2のベクトルに平行な面が、前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いて、前記遮蔽板の前記一方主面側を向いている放射線撮像装置。
【請求項6】
前記開口部の側壁が有する前記複数の面のうち、前記第2のベクトルに対して平行でなくて且つ前記第2のベクトルの方向の逆側を向く面が、前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いて、前記遮蔽板の前記他方主面側を向いている請求項5に記載の放射線撮像装置。
【請求項7】
前記遮蔽板を平面視した場合において前記開口部がみせる前記多角形を、前記遮蔽板の前記一方主面を含む仮想平面に正射影した図形の幾何重心を前記開口部の中心と定義したとき、複数の前記開口部が前記遮蔽板に設けられるとともに、前記複数の開口部のうち一の開口部の中心と前記放射線源が前記遮蔽板の前記一方主面の法線方向に対して平行に並ぶ一方、前記複数の開口部のうち前記一の開口部とは別の他の開口部の中心と前記放射線源が前記遮蔽板の前記一方主面の法線方向に対して傾いて並ぶ請求項2または3に記載の放射線撮像装置であって、
前記一の開口部の側壁が有する前記複数の面のそれぞれが、前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いて、前記遮蔽板の前記一方主面側を向いている一方、
前記放射線源から前記他の開口部の中心に向かうベクトルを第1のベクトルと定義し、前記遮蔽板の前記一方主面を含む仮想平面に前記第1のベクトルを正射影したベクトルを第2のベクトルと定義したとき、
前記他の開口部の側壁が有する前記複数の面のうち前記第2のベクトルに平行な面が、前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いて、前記遮蔽板の前記一方主面側を向いている放射線撮像装置。
【請求項8】
前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いている面は、前記遮蔽板の前記他方主面側を向いている請求項1に記載の放射線撮像装置。
【請求項9】
前記遮蔽板を平面視した場合において前記開口部がみせる前記多角形を、前記遮蔽板の前記一方主面を含む仮想平面に正射影した図形の幾何重心を前記開口部の中心と定義したとき、前記開口部の中心と前記放射線源が前記遮蔽板の前記一方主面の法線方向に対して傾いて並ぶ請求項8に記載の放射線撮像装置であって、
前記放射線源から前記開口部の中心に向かうベクトルを第1のベクトルと定義し、前記遮蔽板の前記一方主面を含む仮想平面に前記第1のベクトルを正射影したベクトルを第2のベクトルと定義したとき、
前記開口部の側壁が有する前記複数の面のうち、前記第2のベクトルに対して平行でなくて且つ前記第2のベクトルの方向の逆側を向く面が、前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いて、前記遮蔽板の前記他方主面側を向いている放射線撮像装置。
【請求項10】
一方主面から当該一方主面と反対の他方主面へ貫通する開口部が設けられるとともに、前記開口部以外の部分で放射線を遮蔽する板状部材を備え、
前記開口部の側壁は、前記板状部材を平面視した場合において前記開口部が多角形の形状を有するように当該多角形の各辺に対応する複数の面を有し、
前記開口部の側壁が有する前記複数の面のうち少なくとも一つは、前記板状部材の前記一方主面に対して斜めに傾いていることを特徴とする放射線遮蔽板。
【請求項1】
一方主面から当該一方主面と反対の他方主面へ貫通する開口部が設けられるとともに、前記開口部以外の部分で放射線を遮蔽する遮蔽板と、
前記遮蔽板の前記一方主面側に設けられて、放射線を発生する放射線源と、
前記遮蔽板の前記他方主面側に設けられて、前記放射線源から射出された後に前記開口部を通過して被検体を透過した放射線を検出する放射線検出手段と
を備え、
前記開口部の側壁は、前記遮蔽板を平面視した場合において前記開口部が多角形の形状を有するように当該多角形の各辺に対応する複数の面を有し、
前記開口部の側壁が有する前記複数の面のうち少なくとも一つは、前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いていることを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項2】
前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いている面は、前記遮蔽板の前記一方主面側を向いている請求項1に記載の放射線撮像装置。
【請求項3】
前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いている面と前記遮蔽板の前記一方主面とが成す角度は135度以上で且つ180度未満である請求項2に記載の放射線撮像装置。
【請求項4】
前記遮蔽板を平面視した場合において前記開口部がみせる前記多角形を、前記遮蔽板の前記一方主面を含む仮想平面に正射影した図形の幾何重心を前記開口部の中心と定義したとき、前記開口部の中心と前記放射線源が前記遮蔽板の前記一方主面の法線方向に対して平行に並ぶ請求項2または3に記載の放射線撮像装置であって、
前記開口部の側壁が有する前記複数の面のそれぞれが、前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いて、前記遮蔽板の前記一方主面側を向いている放射線撮像装置。
【請求項5】
前記遮蔽板を平面視した場合において前記開口部がみせる前記多角形を、前記遮蔽板の前記一方主面を含む仮想平面に正射影した図形の幾何重心を前記開口部の中心と定義したとき、前記開口部の中心と前記放射線源が前記遮蔽板の前記一方主面の法線方向に対して傾いて並ぶ請求項2または3に記載の放射線撮像装置であって、
前記放射線源から前記開口部の中心に向かうベクトルを第1のベクトルと定義し、前記遮蔽板の前記一方主面を含む仮想平面に前記第1のベクトルを正射影したベクトルを第2のベクトルと定義したとき、
前記開口部の側壁が有する前記複数の面のうち前記第2のベクトルに平行な面が、前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いて、前記遮蔽板の前記一方主面側を向いている放射線撮像装置。
【請求項6】
前記開口部の側壁が有する前記複数の面のうち、前記第2のベクトルに対して平行でなくて且つ前記第2のベクトルの方向の逆側を向く面が、前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いて、前記遮蔽板の前記他方主面側を向いている請求項5に記載の放射線撮像装置。
【請求項7】
前記遮蔽板を平面視した場合において前記開口部がみせる前記多角形を、前記遮蔽板の前記一方主面を含む仮想平面に正射影した図形の幾何重心を前記開口部の中心と定義したとき、複数の前記開口部が前記遮蔽板に設けられるとともに、前記複数の開口部のうち一の開口部の中心と前記放射線源が前記遮蔽板の前記一方主面の法線方向に対して平行に並ぶ一方、前記複数の開口部のうち前記一の開口部とは別の他の開口部の中心と前記放射線源が前記遮蔽板の前記一方主面の法線方向に対して傾いて並ぶ請求項2または3に記載の放射線撮像装置であって、
前記一の開口部の側壁が有する前記複数の面のそれぞれが、前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いて、前記遮蔽板の前記一方主面側を向いている一方、
前記放射線源から前記他の開口部の中心に向かうベクトルを第1のベクトルと定義し、前記遮蔽板の前記一方主面を含む仮想平面に前記第1のベクトルを正射影したベクトルを第2のベクトルと定義したとき、
前記他の開口部の側壁が有する前記複数の面のうち前記第2のベクトルに平行な面が、前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いて、前記遮蔽板の前記一方主面側を向いている放射線撮像装置。
【請求項8】
前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いている面は、前記遮蔽板の前記他方主面側を向いている請求項1に記載の放射線撮像装置。
【請求項9】
前記遮蔽板を平面視した場合において前記開口部がみせる前記多角形を、前記遮蔽板の前記一方主面を含む仮想平面に正射影した図形の幾何重心を前記開口部の中心と定義したとき、前記開口部の中心と前記放射線源が前記遮蔽板の前記一方主面の法線方向に対して傾いて並ぶ請求項8に記載の放射線撮像装置であって、
前記放射線源から前記開口部の中心に向かうベクトルを第1のベクトルと定義し、前記遮蔽板の前記一方主面を含む仮想平面に前記第1のベクトルを正射影したベクトルを第2のベクトルと定義したとき、
前記開口部の側壁が有する前記複数の面のうち、前記第2のベクトルに対して平行でなくて且つ前記第2のベクトルの方向の逆側を向く面が、前記遮蔽板の前記一方主面に対して斜めに傾いて、前記遮蔽板の前記他方主面側を向いている放射線撮像装置。
【請求項10】
一方主面から当該一方主面と反対の他方主面へ貫通する開口部が設けられるとともに、前記開口部以外の部分で放射線を遮蔽する板状部材を備え、
前記開口部の側壁は、前記板状部材を平面視した場合において前記開口部が多角形の形状を有するように当該多角形の各辺に対応する複数の面を有し、
前記開口部の側壁が有する前記複数の面のうち少なくとも一つは、前記板状部材の前記一方主面に対して斜めに傾いていることを特徴とする放射線遮蔽板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−132715(P2012−132715A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283308(P2010−283308)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
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