説明

放熱性に優れたプレコートアルミニウム合金板

【課題】高発熱の電子機器の筐体にも適用可能な優れた放熱性を備えたプレコートアルミニウム合金板を提供すること。
【解決手段】基板10の両面もしくは片面にプレコート層2を形成してなる。プレコート層2は、酸化チタン、カーボン、シリカ、酸化ジルコニウム、防錆顔料の1種または2種以上を含有し、赤外線(波長:2.5μm〜25μm)の積分放射率が70%以上である。プレコート層2は、合成樹脂系塗料を用い、ベース樹脂100重量部に対して、平均粒径0.1〜100μmの酸化チタンを50〜200重量部、微粉末のカーボンを1〜25重量部、シリカを50〜200重量部、アルミナを50〜200重量部、酸化ジルコニウムを50〜200重量部、防錆顔料を2〜25重量部の1種あるいは2種以上を含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、パソコン、CD−ROMドライブ、PDP(プラズマディスプレイパネル)バックパネルなどの電子機器用筐体及び、ハイブリット自動車や電気自動車等のインバーター及びECU(エレクトロニックコントロールユニット)等の筐体等に適用可能であって、特に放熱性に優れたプレコートアルミニウム合金板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アルミニウム合金板の表面を合成樹脂塗膜にてコーティングしてなるプレコートアルミニウム板は、耐食性に優れ、軽量であり、かつ、成形後に塗装を施す必要がない、という優れた特性を有している。そのため、プレコートアルミニウム合金板は、家電製品やOA機器の筐体等の材料として広く使われている。最近では、家電製品、OA機器の軽量化、小型化、高性能化がますます進み、それに伴って、発熱量の増大が進む一方、省電力、省スペースの観点から、強制冷却能力の向上が難しくなってきており、筐体表面からの放熱性向上が望まれている。
【0003】
また、電子機器から発せられる電磁波による、周辺電子機器の誤動作防止の観点から、電子機器筐体には電磁波シールド性が要求されており、塗膜には電気抵抗が数Ω程度以下になるような高い導電性が要求される。一方コストダウン並びに歩留向上の観点から、成形性、耐傷つき性が要求される。
【0004】
このように、これからの電子機器は、小型軽量化、薄肉化のための高強度化が進む。そのため、その筐体としては、軽量かつ樹脂に比べて高強度が得られるアルミニウム合金材料を用いることがよりいっそう望まれている。また、アルミニウム合金材料の中でも、プレス加工後に表面処理及び塗装を実施するポストコート材に比べて低コスト化が図られている機能性プレコートアルミニウム合金板は、今後さらに有望な材料と言える。これまでのプレコートアルミニウム合金板としては、例えば特許文献1等に示されているが、放熱性に関しては必ずしも十分とは言えなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−226783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、高発熱の電子機器の筐体にも適用可能な優れた放熱性を備えたプレコートアルミニウム合金板を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、アルミニウム合金板よりなる基板の両面もしくは片面にプレコート層を形成してなり、
該プレコート層は、1層構造又は複層構造の合成樹脂系塗膜よりなり、酸化チタン、カーボン、シリカ、酸化ジルコニウムの1種または2種以上を含有し、赤外線(波長:2.5μm〜25μm)の積分放射率が70%以上であることを特徴とする放熱性に優れたプレコートアルミニウム合金板にある(請求項1)。
【0008】
本発明のプレコートアルミニウム合金板においては、上記プレコート層が、上記特定の成分である、酸化チタン、カーボン、シリカ、酸化ジルコニウムの1種または2種以上を放熱顔料として含有し、そして、これにより、赤外線の積分放射率が70%以上となるように調整してある。そのため、従来よりも、放熱性を高めることができ、例えば電子機器の筐体用材料としてよりいっそう適したものとなる。
【0009】
また、本発明のプレコートアルミニウム合金板は、上記のごとく、予めプレコート層を設けており、これに放熱性という機能を持たせている。そのため、プレコート層を設けたまま成形加工することができ、成形後に塗布しにくい部分にも放熱性を持たせることができる。また、成形加工後に塗装を施すポストコートの場合と比べて大幅な低コスト化を図ることもできる。
【0010】
このように、本発明によれば、高発熱の電子機器の筐体にも適用可能な優れた放熱性を備えたプレコートアルミニウム合金板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明における上記プレコート層は、上記のごとく、一層もしくは複数層の合成樹脂系塗膜より構成する。すなわち、一層だけの合成樹脂系塗膜により構成してもよく、また、合成樹脂系塗膜を二層又はそれ以上積層して構成することもできる。そして、二層以上の塗膜によりプレコート層を構成した場合には、上記の特定の成分をすべての塗膜層に含有させてもよいし、いずれか1つの層にのみ含有させてもよい。
また、後述するプレコート層に含有させる成分の含有量等については、プレコート層全体におけるものであり、一層のみに含有させていてもプレコート層全体における割合を意味し、複数層に含有させていてもプレコート層全体における割合を意味する。
【0012】
また、上記プレコート層は、上記のごとく、赤外線の積分放射率が70%以上となるように調整してある。この赤外線の積分放射率は、FT−IRによって試料と理想黒体の赤外線放射量を比較することにより測定することができる。また、上記赤外線の積分放射率が70%未満の場合には、放熱性を確保することが困難である。
【0013】
また、上記プレコート層は、数平均分子量が5000〜40000の合成樹脂を主成分とするベース樹脂を含有する合成樹脂系塗料を用いており、上記ベース樹脂100重量部に対して、平均粒径0.1〜100μmの酸化チタンを50〜200重量部、微粉末のカーボンを1〜25重量部、シリカを50〜200重量部、アルミナを50〜200重量部、酸化ジルコニウムを50〜200重量部の1種あるいは2種以上を含有することが好ましい(請求項2)。
【0014】
すなわち、上記プレコート層としては、そのベース樹脂として、数平均分子量が5000〜40000の合成樹脂を主成分として含有するものを用いることが好ましい。この合成樹脂の数平均分子量が5000未満の場合には、塗膜が硬くなり、成形性が悪くなるという問題があり、一方、40000を超える場合には、塗膜が軟らかすぎて耐傷付き性が低下するという問題がある。
なお、上記数平均分子量が5000〜40000の合成樹脂としては、ポリエステルを適用することが好ましい。
【0015】
また、上記プレコート層に酸化チタンを含有させる場合には、その平均粒径を0.1〜100μmの範囲にすることが好ましい。酸化チタンの平均粒径が0.1μm未満の場合には、赤外線積分放射率が低下するという問題があり、一方、100μmを超える場合には、酸化チタンの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0016】
また、上記プレコート層に酸化チタンを含有させる場合の含有量は、上記ベース樹脂100重量部に対して、50〜200重量部とすることが好ましい。酸化チタンの含有量が50重量部未満の場合には、赤外線積分放射率が低下するという問題があり、一方、200重量部を超える場合には、酸化チタンの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0017】
また、上記微粉末のカーボンとしては、粒径が1nm〜500nmのカーボンを用いることが好ましい。また、上記プレコート層にカーボンを含有させる場合の含有量は、1〜25重量部であることが好ましい。カーボンの含有量が1重量部未満の場合には赤外線積分放射率が低下するという問題があり、一方、25重量部を超える場合には、カーボンの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0018】
また、上記プレコート層にシリカを含有させる場合の含有量は、50〜200重量部であることが好ましい。シリカの含有量が50重量部未満の場合には、赤外線積分放射率が低下するという問題があり、一方、200重量部を超える場合には、シリカの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0019】
また、上記プレコート層にアルミナを含有させる場合の含有量は、50〜200重量部であることが好ましい。アルミナの含有量が50重量部未満の場合には、赤外線積分放射率が低下するという問題があり、一方、200重量部を超える場合には、アルミナの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0020】
また、上記プレコート層に酸化ジルコニウムを含有させる場合の含有量は、50〜200重量部であることが好ましい。酸化ジルコニウムの含有量が50重量部未満の場合には、赤外線積分反射率が低下するという問題があり、一方、200重量部を超える場合には、酸化ジルコニウムの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0021】
また、上記プレコート層の膜厚は、0.5〜100μmであることが好ましい。膜厚が0.5μm未満の場合には、赤外線積分放射率が低下するという問題があり、一方、100μmを超える場合にはコストが増大するという問題がある。
【0022】
また、上記プレコート層は、平均粒径0.3〜100μmのNi球状フィラー、あるいは0.2〜5μmの厚さで2〜50μmの長径を有する鱗片状のNiフィラーの少なくとも一方を含有しており、これら両者の合計含有量は、上記ベース樹脂100重量部に対して1〜1000重量部であることが好ましい(請求項3)。これにより、上述した放熱性向上効果に加えて、導電性向上効果をも得ることができる。
【0023】
上記Ni球状フィラーの平均粒径が0.3μm未満では導電性が低下するという問題があり、一方、100μmを超える場合には、Ni球状フィラーの塗膜からの脱落量が増加するという問題がある。
また、上記燐片状Niフィラーの厚みが0.2μm未満の場合には導電性が低下するという問題があり、一方、5μmを超える場合にはコストが増大するという問題がある。また、燐片状Niフィラーの長径が2μm未満の場合には導電性が低下するという問題があり、一方、50μmを超える場合には鱗片状Niフィラーの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0024】
そして、これら両者のNiフィラー(Ni球状フィラーと鱗片状Niフィラー)の合計含有量(一方のみの含有の場合も含む)は、上記ベース樹脂100重量部に対して1〜1000重量部であることが好ましい。この含有量が1重量部未満の場合には導電性が不足し、一方、1000重量部を超える場合にはNiフィラーの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0025】
また、上記プレコート層は、上記ベース樹脂100重量部に対して、平均粒径Dが3〜100μmの樹脂ビーズを1〜90重量部含有し、該樹脂ビーズが存在しない部分の膜厚Tが1〜30μmであり、かつ平均粒径D/膜厚Tが1〜3の範囲になることが好ましい(請求項4)。この場合には、上記放熱性向上効果に加えて、耐傷付き性向上効果を得ることができる。
【0026】
上記樹脂ビーズの平均粒径Dが3μm未満の場合には耐傷つき性が低下するという問題があり、一方、100μmを超える場合には樹脂ビーズの塗膜からの脱落が増加するという問題がある。
また、樹脂ビーズの含有量がベース樹脂100重量部に対し1重量部未満の場合には耐傷つき性が低下するという問題があり、一方、100重量部を超える場合には樹脂ビーズの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0027】
また、上記樹脂ビーズが存在しない部分の膜厚Tが1μm未満の場合には樹脂ビーズの脱落数が増加または耐傷つき性が低下するという問題があり、一方、30μmを超える場合には耐傷つき性が低下するという問題がある。
また、樹脂ビーズの平均粒径D/膜厚T(以下、単にD/Tという)が1未満の場合には耐傷つき性が低下するという問題があり、一方、D/Tが3を超える場合には、樹脂ビーズの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
【0028】
また、上記プレコート層は、上記ベース樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部のラノリン、カルナバ、ポリエチレンの1種あるいは2種のインナーワックスを含有していることが好ましい(請求項5)。これにより、耐傷付き性向上効果を得ることができると共に、加工性をも向上させることができる。
上記インナーワックスの含有量が、ベース樹脂100重量部に対し0.05重量部未満の場合には耐傷つき性が低下するという問題があり、一方、3重量部を超える場合にはブロッキングが発生するという問題がある。
【0029】
また、上記プレコート層は、上記ベース樹脂100重量部に対して、2〜25重量部の防錆顔料を含有していることが好ましい(請求項6)。これにより、基板の耐食性をさらに向上させることができる。上記防錆顔料の含有量が2重量部未満の場合には耐食性が低下するという問題があり、一方、25重量部を超える場合には塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
なお、上記防錆顔料としては、例えば、Na2Cr4、ポリ珪酸塩、重合リン酸塩、NaClO3、Zn(NO32等がある。
【0030】
また、上記プレコート層は、上記基板の表面に形成された塗布型あるいは反応型のクロメートまたはノンクロメート層の上層に形成されていることが好ましい(請求項6)。この場合には、アルミニウム合金板と上記プレコート層との密着性を向上させることができ、加工性、耐久性等を高めることができる。
【実施例】
【0031】
本例では、本発明の実施例と比較例として複数種類の試料(プレコートアルミニウム合金板)を作製しその特性を評価した。
各試料を作製するに当たっては、まず、基板として、厚さ0.5mmの5052−H34アルミニウム合金板を準備し、その表面をアルカリ系脱脂剤で脱脂した後、リン酸クロメート浴中でリン酸クロメート処理を実施した。クロメート皮膜量は皮膜中のCr含有量として20±5mg/m2である。
【0032】
次に、上記の下地処理後のアルミニウム合金板の一方の面に対して所定量のポリエステル樹脂系塗料を、バーコーターを用いて塗布し、アルミニウム表面の温度が230℃になるよう240℃のオーブンの中で60秒保持して焼付、硬化させることにより、プレコート層を形成した。なお、各試料におけるプレコート層が含有する成分は表1、表2に示す。
【0033】
また、作製した試料(プレコートアルミニウム合金板1)の代表的な構成を図1に示す。同図に示すごとく、各試料は、アルミニウム合金板よりなる基板10と、該基板10の一方の面に形成したプレコート層2とよりなる。プレコート層2は、ベース樹脂20中に例えば酸化チタン等の放熱顔料3を1種または2種以上含有した合成樹脂系塗膜よりなる。また、プレコート層2は、基板10の表面に形成された化成皮膜層8を介して形成してある。なお、プレコート層2内には、Niフィラーや樹脂ビーズを含有させる場合もある(図示略)。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
本例では、各試料について、放熱性の他、用途に応じて導電性、耐傷つき性評価を実施し、それぞれレベル3以上を合格とした。
【0037】
<赤外線積分放射率>
赤外線積分放射率は、PERKIN ELMER FT-IR Spectrometer 1725Xを用い、波長が2.5〜25μmの範囲で、各波長の赤外線反射率を測定し、各波長の入射光から反射光を差し引いたものを各波長の吸収率≒反射率と定義した。各波長の反射率を波長が2.5〜25μmの範囲で積分し赤外線積分放射率とした。評価基準は以下の通りであり、レベル3以上を合格とした。
−評価基準−
レベル1:60%未満、レベル2:60%以上70%未満、レベル3:70%以上80%未満、レベル4:80%以上90%未満、レベル5:90%以上
【0038】
<導電性>:導電性塗装板の評価に使用
各試料のプレコート層の一部をスクレイパーで削り落とし、アルミニウム合金板の素地に直接にテスターの一方の端子を接続し、もう一方の端子には、先端が球状で、自重100gの銅製電極を接続し、プレコート層に垂直に接触するよう、補助具で電極を支持した。そのときの電気抵抗値を読み取り評価に用いた。評価基準は以下の通りであり、レベル3以上を合格とした。
−評価基準− レベル1:1000Ω以上、レベル2:300Ω以上1000Ω未満、レベル3:30Ω以上300Ω未満、レベル4:10Ω以上30Ω未満、レベル5:10Ω未満
【0039】
<耐傷つき性>:耐傷つき性塗装板の評価に使用
バウデン試験にて、荷重500g、1/4インチの鋼球を100回摺動させたときの摺動痕跡の幅を評価に用いた。評価基準は、以下の通りであり、レベル2以上を合格とした。
−評価基準− レベル1:1.0mm以上、レベル2:0.5mm以上1.0mm未満、レベル3:0.3mm以上0.5mm未満、レベル4:0.1mm以上0.3mm未満、レベル5:0.1mm未満
評価結果を表3に示す。
【0040】
【表3】

【0041】
表3の結果から、以下のことが確認された。
試料1、2は、酸化チタン含有量が少ない試料3に比して赤外線放射率が高く、レベル3以上を満たしていることが分かる。
試料4、5は、酸化チタン粒径が小さい試料6に比して赤外線放射率が高く、レベル3以上を満たしていることが分かる。
試料7、8は、カーボン含有量が少ない試料9に比して赤外線放射率が高く、レベル3以上を満たしていることが分かる。
【0042】
試料10、11は、シリカ含有量が少ない試料12に比して赤外線放射率が高く、レベル3以上を満たしていることが分ける。
試料13、14、15は、赤外線放射率がレベル3以上を満たしているが、防錆顔料が多い試料15は、塗膜からの脱落数が多くプレコート用塗膜としては望ましくない。
試料16、17は、球状Niフィラーの粒径が小さい試料18に比して導電性が高く、レベル3以上を満たしていることが分かる。
【0043】
試料19、20は、Niフィラーの含有量が少ない試料21に比して導電性が高く、レベル3以上を満たしていることが分かる。
試料22、23は、鱗片状Niフィラーの長径が小さい試料24に比して導電性が高く、レベル3以上を満たしていることが分かる。
【0044】
試料25、26は、鱗片状Niフィラーの含有量が少ない試料27に比して導電性が高く、レベル3以上を満たしていることが分かる。
試料28、29は、樹脂ビーズの直径が小さい試料30に比して耐傷付き性が高く、レベル3以上を満たしていることが分かる。
【0045】
試料31、32は、樹脂ビーズの含有量が少ない試料33に比して耐傷付き性が高く、レベル3以上を満たしていることが分かる。
試料34、35は、インナーワックス含有量が少ない試料36に比して耐傷つき性が高く、レベル3以上を満たしていることが分かる。
試料37、38は、塗膜厚みが薄い試料39に比して赤外線放射率が高く、レベル3以上を満たしていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例における、放熱性に優れたプレコートアルミニウム合金板の構成を示す説明図。
【符号の説明】
【0047】
1 放熱性に優れたプレコートアルミニウム合金板
10 基板
2 プレコート層
20 ベース樹脂
3 放熱顔料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム合金板よりなる基板の両面もしくは片面にプレコート層を形成してなり、
該プレコート層は、1層構造又は複層構造の合成樹脂系塗膜よりなり、酸化チタン、カーボン、シリカ、酸化ジルコニウムの1種または2種以上を含有し、赤外線(波長:2.5μm〜25μm)の積分放射率が70%以上であることを特徴とする放熱性に優れたプレコートアルミニウム合金板。
【請求項2】
請求項1において、上記プレコート層は、数平均分子量が5000〜40000の合成樹脂を主成分とするベース樹脂を含有する合成樹脂系塗料を用いており、上記ベース樹脂100重量部に対して、平均粒径0.1〜100μmの酸化チタンを50〜200重量部、微粉末のカーボンを1〜25重量部、シリカを50〜200重量部、アルミナを50〜200重量部、酸化ジルコニウムを50〜200重量部の1種あるいは2種以上を含有すること放熱性に優れたプレコートアルミニウム合金板。
【請求項3】
請求項2において、上記プレコート層は、平均粒径0.3〜100μmのNi球状フィラー、あるいは0.2〜5μmの厚さで2〜50μmの長径を有する鱗片状のNiフィラーの少なくとも一方を含有しており、これら両者の合計含有量は、上記ベース樹脂100重量部に対して1〜1000重量部であることを特徴とする放熱性に優れたプレコートアルミニウム合金板。
【請求項4】
請求項2又は3において、上記プレコート層は、上記ベース樹脂100重量部に対して、平均粒径Dが3〜100μmの樹脂ビーズを1〜90重量部含有し、該樹脂ビーズが存在しない部分の膜厚Tが1〜30μmであり、かつ平均粒径D/膜厚Tが1〜3の範囲になることを特徴とする放熱性に優れたプレコートアルミニウム合金板。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項において、上記プレコート層は、上記ベース樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部のラノリン、カルナバ、ポリエチレンの1種あるいは2種のインナーワックスを含有していることを特徴とする放熱性に優れたプレコートアルミニウム合金板。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項において、上記プレコート層は、上記ベース樹脂100重量部に対して、2〜25重量部の防錆顔料を含有していることを特徴とする放熱性に優れたプレコートアルミニウム合金板。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、上記プレコート層は、上記基板の表面に形成された塗布型あるいは反応型のクロメートまたはノンクロメート層の上層に形成されていることを特徴とする放熱性に優れたプレコートアルミニウム合金板。

【図1】
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【公開番号】特開2006−240243(P2006−240243A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62486(P2005−62486)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000002277)住友軽金属工業株式会社 (552)
【Fターム(参考)】