説明

放送信号受信装置

【課題】衛星SNを受信可能なユーザーにとっても衛星SNを受信できないユーザーにとっても、視聴環境を快適なものに改善する
【解決手段】少なくとも地デジとBS放送とを受信可能なテレビジョン100において、地デジのワンタッチ選局ボタンを備えており、地デジ難視地区でなければ地デジとして受信されるはずのチャンネルの一部がワンタッチ選局ボタンに対応付けられているリモコン60と、衛星SNの鍵開けを検知すると、衛星SNのチャンネルスキャンを実行し、当該チャンネルスキャンによって取得した衛星SNのチャンネルを、地デジのチャンネルが対応付けられていないワンタッチ選局ボタンに対応付ける制御部70と、を備え、ワンタッチ選局ボタンの各ボタンへ対応付けた放送波の種別をディスプレイ40に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送信号受信装置に関し、特に、少なくとも地上デジタル放送と衛星放送とを受信可能な放送信号受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、何らかの事象をトリガーとして、放送方式を切換えることが行われている。例えば、B−CASカードの有無に応じて受信する放送方式(HD放送とワンセグ放送)を切換えたり(特許文献1)、受信障害発生時に予め設定されている代替チャンネルに切換えたり(特許文献2)、複数の放送方式で同一内容の番組が放送されているときに一方で受信感度が低下すると他方で受信するように切換えたり(特許文献3)、地上デジタル放送に地上アナログ放送のサイマル放送を代替チャンネルに設定したり(特許文献4)、選択したチャンネルが未登録のときに他のチューナーのチャンネルに登録されているチャンネルを選局したり(特許文献5)、することが知られている。
【0003】
ところで、2010年3月11日より、地デジ難視対策の一環としてBSデジタル放送にて関東広域局(NHK(Nippon Hoso Kyokai (Japan Broadcasting Corporation))の2局と民間放送局の5局をあわせた計7局)が放送されている。この放送を地デジ難視対策衛星放送もしくは衛星セーフティネット(以下、衛星SN放送と略す。)と呼び、総務省のホワイトリストに掲載される世帯のみ(視聴総世帯数である約5000万世帯の中の約数十万世帯)が視聴可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−033599号公報
【特許文献2】特開2006−211189号公報
【特許文献3】特開2008−236236号公報
【特許文献4】特開2004−241983号公報
【特許文献5】特開2008−141571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
衛星SNは、地上デジタル放送の代替放送として行われるものであり、地デジ難視地区において地上デジタル放送が受信できるようになると終了する。従って、地デジ難視地区のユーザーは、地上デジタル放送が開始されたときには設定を変更しないといけない。また、衛星SNは、地デジ難視地区以外のユーザーが受信できないようにすることも要請されているため、大多数の世帯は衛星SNの視聴対象ではない。従って、衛星SNの視聴対象世帯と非視聴対象世帯とで異なる設定をしなければならない。また、その他にも考慮しなければならない条件が多数ある。
【0006】
以上のように衛星SNを受信するかしないかの判定は、設定変更のタイミングや受信資格の判断などの条件判断が難しく、ユーザー自身で設定するのは大変である。そこで、これら様々な条件を考慮して、視聴可能世帯と視聴不可世帯との双方にとって最適な視聴環境とするための工夫が待ち望まれている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、衛星SNを受信可能なテレビジョンにおいて、衛星SNの受信条件の充足状況に応じてテレビジョンの設定を適宜に調整するための機能を備えることにより、衛星SNを受信可能なユーザーにとっても衛星SNを受信できないユーザーにとっても、視聴環境を快適なものに改善することが可能な放送信号受信装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる放送信号受信装置は、少なくとも地上デジタル放送と衛星放送とを受信可能な放送信号受信装置であって、上記地上デジタル放送のワンタッチ選局ボタンを備えており、複数のボタンを備えた当該ワンタッチ選局ボタンに上記地上デジタル放送のチャンネルの一部が対応付けられている操作部と、地デジ難視対策衛星放送の鍵開けを検知すると、上記地デジ難視対策衛星放送のチャンネルスキャンを実行し、当該チャンネルスキャンによって取得した上記地デジ難視対策衛星放送のチャンネルを、上記地上デジタル放送のチャンネルが対応付けられていない上記ワンタッチ選局ボタンに対応付ける制御部と、上記ワンタッチ選局ボタンに対応付けられた各チャンネルについて、上記地上デジタル放送と上記衛星放送の何れであるかを表示部に表示する表示制御手段と、を備える構成としてある。
【0009】
上記構成において、ワンタッチ選局ボタンとは、チャンネルを選局するために設けられた複数の選局ボタンであって、本発明では、地上デジタル放送のチャンネルを割当てるために設けられたものである。ただし、地上デジタル放送のチャンネルに限らず、他の放送波のチャンネルを登録しても、むろん構わない。ワンタッチ選局ボタンの各ボタンを操作すると、そのボタンに対応付けられている1のチャンネルが選局される。従って、上記構成のように、地デジ難視対策衛星放送のチャンネルを対応付けられたボタンをユーザーが操作すると、操作されたボタンに対応付けられていた上記地デジ難視対策衛星放送のチャンネルが選局される。
【0010】
上記構成においては、ワンタッチ選局ボタンに、すでに地上デジタル放送のチャンネルの一部が対応付けられている。この一部とは、当該放送信号受信装置の設置されている地域において地上デジタル放送の全てが受信された場合のチャンネルを全部としたときの、一部である。すなわち、上記放送信号受信装置は、上記地域において放送されていて受信できるはずの地上デジタル放送のチャンネルの一部だけを受信できる状況にある。また、上記構成においては、地上デジタル放送のチャンネルをワンタッチ選局ボタンに対応付けたときには、地デジ難視対策衛星放送の鍵開けがされておらず、受信できていない。
【0011】
そこで、上記構成においては、地デジ難視対策衛星放送の鍵開けを監視し、鍵開けを検知すると、地デジ難視対策衛星放送のチャンネルスキャンを実行する。ここで実行するチャンネルスキャンは自動であっても手動であっても半自動であってもよい。半自動とは、一定の条件を満たす場合には自動、満たさない場合は手動、などのように切り替わる場合である。そしてチャンネルスキャンによって取得した地デジ難視対策衛星放送のチャンネルを、地上デジタル放送のチャンネルが対応付けられていないワンタッチ選局ボタンに、対応付ける。
【0012】
そして、上記表示制御手段が、上記ワンタッチ選局ボタンに対応付けられた各チャンネルについて、上記地上デジタル放送と上記衛星放送の何れであるかを表示部に表示する。以上のように構成することにより、地上デジタル放送と地デジ難視対策衛星放送とが混在した受信環境であっても、ユーザーは何れの放送波を受信しているかを容易に把握することができるため、視聴環境を改善することができる。
【0013】
本発明の選択的な一態様として、上記放送信号受信装置の設置されている地域の入力を受付ける地域入力部と、地域と当該地域における地上デジタル放送のチャンネルと地デジ難視対策衛星放送のチャンネルとの対応関係を記憶した記憶部と、を更に備え、上記制御部は、上記地域入力部の受付けた地域において上記対応関係に基づいたときに上記地上デジタル放送の各チャンネルを対応付けるべき上記ワンタッチ選局ボタンに、上記チャンネルスキャンによって取得した上記地デジ難視対策衛星放送の各チャンネルを対応付ける構成としてある。
【0014】
上記構成において、地域入力部は、上記放送信号受信装置の設置されている地域を、ユーザーに入力させたり、予め入力されて放送信号受信装置内に記憶されている地域情報を利用したりして、特定する。上記記憶部には地域と各地域において放送される地上デジタル放送の放送局との対応関係が記憶されているので、地域入力部の特定した地域に基づいて上記放送信号受信装置の設置されている地域、すなわちユーザーの居住地域における地上デジタル放送の放送局の一覧を特定することができる。また、記憶部には、各地域における地上デジタル放送の放送局と地デジ難視対策衛星放送の放送局との対応関係も記憶されているので、地域に基づいて特定された地上デジタル放送の放送局の一覧の各放送局について、地デジ難視対策衛星放送のいずれの放送局に対応するかを特定することができる。この対応関係とは、いわゆる系列関係であって、共通する番組を放送している可能性の高い放送局同士が対応付けられている。
【0015】
上記制御部は、地デジ難視対策衛星放送のチャンネルスキャンによって取得した地デジ難視対策衛星放送の各チャンネルを上記ワンタッチ選局ボタンに割り付けるが、このとき、地上デジタル放送のチャンネルと同様の系列関係がワンタッチ選局ボタンに再現されるようにチャンネルの割り付けを行う。よって、ユーザーは、その地域における地上デジタル放送を選局するときと同じ操作を行って、ほぼ同様の番組が放送されている放送局を選曲することができる。
【0016】
本発明の選択的な一態様として、上記制御部は、上記ワンタッチ選局ボタンに割当てられている上記地上デジタル放送のチャンネルと上記地デジ難視対策衛星放送のチャンネルを、上記地域入力部の受付けた地域と上記対応関係とに基づいて、それぞれ対応付けし直す構成としてある。
当該構成によれば、放送信号受信装置の設置地域が変更され、ユーザーが地域入力部に変更後の地域を入力すると、この変更後の地域に最適なチャンネル割当てがワンタッチ選局ボタンに対して行われる。よって、本来、ユーザーが受信できるはずの地上デジタル放送と系列関係が一致するチャンネルが、ワンタッチ選局ボタンのそれぞれに割当てられる。
【0017】
本発明の選択的な一態様として、上記制御部は、上記地デジ難視対策衛星放送のチャンネルを上記ワンタッチ選局ボタンに対応付けた場合に、上記衛星放送のチャンネルスキャンの対象チャンネルから上記地デジ難視対策衛星放送のチャンネルを除外する構成としてある。
地デジ難視対策衛星放送は、BS放送の一部として放送されているため、衛星放送の全チャンネルに対してチャンネルスキャンを実行すると、衛星放送で重複して地デジ難視対策衛星放送のチャンネルが発見され、登録されてしまう。本態様によれば、このような重複検索や重複登録を防止することにより、処理の高速化やメモリーの効率化を実現しつつ、地デジ難視地区の視聴環境を地デジ難視地区外の視聴環境に可能な限り近づけることを可能とする。
【0018】
本発明の選択的な一態様として、上記制御部は、上記地デジ難視対策衛星放送の各チャンネルを上記ワンタッチ選局ボタンに対応付けた場合に、上記衛星放送の電子番組表から上記地デジ難視対策衛星放送の電子番組表を除外する構成としてある。
地デジ難視対策衛星放送は、BS放送の一部として放送されているため、BS放送のSI(Service Information)に含めて電子番組表(EPG)が送信される。地上デジタル放送の選局ボタンに地デジ難視対策衛星放送のチャンネルを対応付けたにもかかわらず、衛星放送の電子番組表の中に地デジ難視対策衛星放送の電子番組表が表示されるのは好ましくない。そこで、衛星放送の電子番組表から地デジ難視対策衛星放送の電子番組表を除外することにより、視聴環境を地デジ難視地区外に近づけ、視聴環境を良好にすることができる。
【0019】
本発明の選択的な一態様として、上記制御部は、上記地デジ難視対策衛星放送のチャンネルを上記ワンタッチ選局ボタンに対応付けた場合には、上記地デジ難視対策衛星放送の電子番組表を上記地上デジタル放送の電子番組表として表示する構成としてある。
地デジ難視対策衛星放送のチャンネルを地上デジタル放送の選局ボタンに対応付けると、地上デジタル放送を受信しているのと同じ感覚で地デジ難視対策衛星放送を視聴することになる。このとき、電子番組表を表示しようとすると、地上デジタル放送そのものは受信できないため、電子番組表が表示されない。そこで、本態様のように、衛星放送の放送波から取得した地デジ難視対策衛星放送の電子番組表を、地上デジタル放送の電子番組表として保存し、地上デジタル放送の電子番組表を呼び出されたときに、地デジ難視対策衛星放送の電子番組表を代わりに表示する。このようにすると、ユーザーの視聴環境を改善することができる。
【0020】
本発明の選択的な一態様として、上記制御部は、上記地デジ難視対策衛星放送の受信条件を満たす場合に、上記地域入力部の受付けた地域において本来であれば上記ワンタッチ選局ボタンに割当てられるべき上記地上デジタル放送のチャンネルの電子番組表に代えて、上記ワンタッチ選局ボタンに割当てられた上記地デジ難視対策衛星放送のチャンネルの電子番組表を表示する構成としてある。
当該構成によれば、地上デジタル放送の電子番組表の代わりに表示する地デジ難視対策意衛星放送の電子番組表の構成が、上述した系列関係を反映したものとなる。従って、地デジ難視地区の内外で電子番組表の表示が可能な限り類似したものとなり、また、地デジ難視地区で地上デジタル放送を視聴できるようになったときに、その前後で表示される電子番組表が可能な限り類似したものとなる。よって、ユーザーの視聴環境が改善される。
【0021】
上述した放送信号受信装置は、他の機器に組み込まれた状態で実施されたり他の方法とともに実施されたりする等の各種の態様を含む。また、本発明は上記放送信号受信装置を備える放送信号受信システム、上述した装置の構成に対応した工程を有する放送信号受信制御方法、上述した装置の構成に対応した機能をコンピュータに実現させる放送信号受信プログラム、該放送信号受信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、等としても実現可能である。これら放送信号受信システム、放送信号受信方法、放送信号受信プログラム、該放送信号受信プログラムを記録した媒体、の発明も、上述した作用、効果を奏する。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、地デジ難視対策衛星放送を受信可能なテレビジョンにおいて、視聴環境を快適なものに改善することが可能な放送信号受信装置を提供することができる。
また、請求項2〜請求項9にかかる発明によれば、視聴環境をさらに改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】テレビジョンの構成を示すブロック図である。
【図2】制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】リモコンのキー配置を示す外観図である。
【図4】実施例1にかかる視聴環境設定の流れを示すフローチャートである。
【図5】ICカードの装着を促すメッセージの一例である。
【図6】初期設定の開始をユーザーに通知するメッセージの一例である。
【図7】衛星SNの受信対象者か問合せるメッセージの一例である。
【図8】衛星SNを地デジのワンタッチ選局ボタンに割り当てるか問合せる画面の一例である。
【図9】BS放送のチャンネルリストから衛星SNを除外するか問合せる画面の一例である。
【図10】鍵開けを監視する監視処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】実施例2にかかる設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】衛星SNの鍵開け等を通知するメッセージの一例である。
【図13】衛星SNの鍵開け前のチャンネル設定メニューの一例であり。
【図14】衛星SNの鍵開け後のチャンネル設定メニューの一例である。
【図15】変更内容をユーザーに確認するメッセージの一例である。
【図16】実施例3にかかる設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】地域を特定するための画面の一例である。
【図18】実施例3にかかるチャンネル割当て結果の表示の一例である。
【図19】入力済みの地域情報を利用したチャンネル割当ての表示の一例である。
【図20】実施例4にかかるチャンネル割当て結果の表示画面の一例である。
【図21】実施例5にかかる監視処理の流れを示すフローチャートである。
【図22】実施例5にかかる通知処理の流れを示すフローチャートである。
【図23】鍵の閉じたことを通知するメッセージの一例である。
【図24】自動で地デジのチャンネルスキャンを行うかの設定メニュー画面の一例である。
【図25】チャンネル割当ての無いワンタッチ選局ボタンが操作されたときに表示するメッセージの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、下記の順序に従って本発明の実施例を説明する。
(1)放送信号受信装置の構成:
(2)視聴環境設定の実施例1:
(3)視聴環境設定の実施例2:
(4)視聴環境設定の実施例3:
(5)視聴環境設定の実施例4:
(6)視聴環境設定の実施例5:
【0025】
(1)放送信号受信装置の構成:
図1は、本実施例にかかる放送信号受信装置としてのテレビジョンの構成を示すブロック図である。同図に示すテレビジョン100は、地上デジタル放送と、地上アナログ放送と、BSデジタル放送と、広帯域(110°)CS放送とを受信可能である。なお、本実施例における「地デジ」は本発明の地上デジタル放送を構成し、本実施例における「BS放送」は本発明の衛星放送を構成する。また、日本では、地デジ難視対策の放送をBS放送で行っているが、むろん、他の放送波であってBSデジタル放送と同様に後述の鍵などにより視聴制限をかけることが可能な放送であれば、地デジ難視対策の放送を行うことができる。
【0026】
なお、以下では、地上デジタル放送を「地デジ」と略し、地上アナログ放送を「地アナ」と略し、BSデジタル放送を「BS放送」と略し、広帯域CS放送を「CS放送」と略し、地デジ難視対策衛星放送を「衛星SN」と略すことにする。また、以下ではBS放送とCS放送とをまとめて衛星放送と記載することがある。
【0027】
図1に示すように、テレビジョン100は、BS放送やCS放送の周波数信号が含まれた衛星放送信号Ssを入力するための衛星インターフェース10(衛星IF10)と、衛星放送信号Ssからトランスポートストリーム(以下、「TS」と略す。)を復号するための衛星フロントエンド11と、地デジや地アナの周波数信号が含まれた地上放送信号Sgを入力するための地上インターフェース20(地上IF20)と、地上放送信号Sgに含まれる地デジ放送の周波数信号である地デジ放送信号SgdからTSを復号するための地上フロントエンド21と、地上放送信号Sgに含まれる地アナ放送信号Sgaから映像信号と音声信号を取り出すためのアナログチューナー22と、を備えている。
【0028】
衛星IF10は、接続ケーブルによってコンバーターCと接続される。コンバーターCは、パラボラアンテナやフィードホーンを備える衛星受信アンテナAsに接続されており、衛星受信アンテナAsの受信信号から含む衛星放送信号Ssを抽出し、接続ケーブルを介して衛星IF10へ出力する。衛星フロントエンド11は、衛星IF10に入力される衛星放送信号Ssから1または複数のチャンネルを選局し、選局したチャンネルに含まれる放送信号を所定の伝送路符号化方式により復号してTSを得るとともに、このTSを後段に出力する。
【0029】
なお、本実施例では、衛星受信アンテナAsとコンバーターCと衛星フロントエンド11とを、BS放送とCS放送とで共用に構成してあるが、むろん、これらの一部または全部をBS放送とCS放送とで個別に構成してもかまわない。また、本実施例では、衛星受信アンテナAsとコンバーターCをテレビジョン100に外付けする構成としてあるが、むろん、テレビジョン100と一体化しても構わない。また、コンバーターCは、衛星受信アンテナAsと一体に構成されていても構わない。
【0030】
地上IF20は、地上受信アンテナAgと接続ケーブルによって接続される。地上受信アンテナAgは、地上放送信号Sgを受信して、接続ケーブルを介して地上IF20へ出力する。地上フロントエンド21は、地上IF20に入力される地上放送信号Sgから地デジの放送されている1または複数のチャンネルを選局し、選局したチャンネルに含まれる放送信号を所定の伝送路符号化方式により復号してTSを得るとともに、このTSを後段に出力する。
【0031】
アナログチューナー22は、地上IF20に入力される地上放送信号Sgから地アナの放送されている何れかのチャンネルを選局し、選局したチャンネルに含まれる放送信号から映像信号や音声信号を検波するとともに、検波した映像信号や音声信号を後段に出力する。
【0032】
また、図1に示すように、テレビジョン100は、TSから各種情報を復号化する情報源復号化部としての機能を備えたデコーダ30を備えている。デコーダ30は、B−CAS(Broadcasting Satellite Conditional Access Systems Co.,Ltd.)カード200を装着するスロットを備えたカードスロット31と、CAデスクランブルを行うコンディショナルアクセスデスクランブラ32(CAデスクランブラ32)と、CAデスクランブルされたTSを映像・音声・データの各コンポーネントに分離するMPEG2デマックス33と、映像復号部34と、音声復号部35と、EPG等の基本データを復号する基本データ復号部36と、を備えている。
【0033】
CAデスクランブラ32は、加入者毎の個別情報であるEMM(Entitlement Management Message)を受信すると、これをカードスロット31に装着されているB−CASカード200に転送する。B−CASカード200はICチップを備えており、その内部にフラッシュメモリ等の等の記憶媒体200aを備えている。B−CASカード200は、この記憶媒体200aに予め記憶されているマスター鍵Kmを利用してEMMを復号し、契約情報CIやワーク鍵Kw等の関連情報RIを取得する。そして、取得した関連情報RIを、記憶媒体200aに記憶する。
【0034】
ここでマスター鍵Kmの特性について説明する。B−CASカード200は、固有のID番号を付与されており、各受信機に同梱されるなどして各ユーザーの手元に届く。各B−CASカード200の記憶媒体200aには、予めそのID番号に対応する固有のマスター鍵Kmが記憶されている。そして、ユーザーが、所定の認証機関にそのB−CASカード200のID番号を登録すると、B−CASカード200に固有のマスター鍵Kmによって暗号化されたEMMが放送波に載せて放送されるようになる。B−CASカード200は、EMMの先頭に付けて送信されるIDを参照して自機宛てのEMMを特定し、マスター鍵Kmを用いてEMMを復号化することにより、テレビジョン100のユーザーの関連情報RIを取得する。
【0035】
次に、B−CASカード200の機能について説明する。B−CASカード200は、ICチップの内部にCPU,ROM,記憶媒体200aを備えたICカードの構成であり、テレビジョン100から供給される電源で動作する。B−CASカード200は、現在受信中の番組の視聴を許可するか否かを判断する条件判断機能と、この条件が成立したときにスクランブル解除用のスクランブル鍵Ksをテレビジョン100のCAデスクランブラ32に渡す機能とを有している。
【0036】
すなわち、B−CASカード200は、各番組のそれぞれに付属して送信されてくる番組情報(ECM)を取得し、この番組情報に記載されたこの番組の属性情報を取得する。また、B−CASカード200は、ワーク鍵Kwを用いてECMを復号してスクランブル鍵Ksを得る。そして、この属性情報を記憶媒体200aに記憶されている契約情報CIと比較することにより、番組の視聴を許可するか否かを判断する。
【0037】
B−CASカード200は、この属性情報が、契約情報CIにおいて視聴を許可されている属性に合致するときは、その番組の視聴を許可するものとしてスクランブル鍵KsをCAデスクランブラに供給し、合致しないときはその番組の視聴を許可しないものとしてスクランブル鍵Ksを供給しない。
【0038】
CAデスクランブラ32がCAデスクランブルを実行するか否かは、B−CASカード200が番組の視聴を許可するか否か、すなわち、B−CASカード200からスクランブル鍵Ksが供給されるか否かに基づいて切り替わる。まず、CAデスクランブラ32は、番組を受信するときには、番組情報であるECM(Entitlement Control Message)を受信して、これをカードスロット31に装着されているB−CASカード200に転送する。
【0039】
B−CASカード200がデスクランブルを許可してCAデスクランブラ32にスクランブル鍵Ksを供給すると、CAデスクランブラ32は、スクランブル鍵Ksを用いて対象番組のTSを復号する。この復号されたTSに対してMPEG2デマックス33がTSを各コンポーネントに分離し、映像復号部34が映像コンポーネントから映像信号を復号し、音声復号部35が音声コンポーネントから音声信号を復号し、基本データ復号部36がデータコンポーネントからEPG等の基本データを復号する。
【0040】
その結果、画面に映像が表示され、スピーカから音声が出力され、対象番組のEPGやその他の基本データに基づく表示が行われる。なお、後述の実施例の中では、衛星SNのEPGを地デジのEPGの代わりに表示する技術について開示しているが、ここで対象番組のEPGやその他の基本データと言っているのは、地デジの放送波から直接取得した情報のことである。本実施形態では、以上のようにTSの複合が可能な状態を指して「鍵開け」がされた状態もしくは「鍵が開いている」と呼ぶ。
【0041】
一方、B−CASカード200がデスクランブルを許可せず、CAデスクランブラ32にスクランブル鍵Ksを供給しないときは、CAデスクランブラ32は、対象番組のTSを復号することができない。従って、MPEG2デマックス33はTSのコンポーネント分離を行えず、映像復号部34は映像信号を復号できず、音声復号部35は音声信号を復号できずし、基本データ復号部36はEPG等の基本データを復号できない。その結果、画面に映像が表示されず、スピーカから音声が出力されず、対象番組のEPGやその他基本データに基づく表示も行われない。本実施形態では、以上のようにTSの複合を行えない状態を指して「鍵閉じ」状態もしくは「鍵が閉じている」と呼ぶ。
【0042】
その他、図1に示すテレビジョン100は、ディスプレイ40と、スピーカ50と、リモコン60と、制御部70とを備えている。本実施形態において、ディスプレイ40は表示部を構成し、リモコン60は操作部を構成する。ディスプレイ40は、デコーダ30やアナログチューナー22の出力する映像信号に基づいて不図示のディスプレイドライバーの生成する駆動信号に基づいて画面に映像を表示する。スピーカ50は、デコーダ30やアナログチューナー22の出力する音声信号に基づいて音声を再生する。
【0043】
図2は制御部の構成の一例を示すブロック図である。同図において、制御部70は、CPUと、RAMと、ROM、OSD(On Screen Display)部70aと、リモコン受信部70bと、内部メール発行部70cと、不揮発性メモリ70dと、を備えている。制御部70は、ROMに記憶された制御プログラムを、RAMをワークエリアとして利用しつつCPUが実行することにより、テレビジョン100全体を制御する。
【0044】
不揮発性メモリ70dには、地デジのチャンネルリストLgd、地アナのチャンネルリストLga、BS放送のチャンネルリストLbs、CS放送のチャンネルリストLcs、地デジのEPG(電子番組表)であるEPGgd、BS放送のEPGであるEPGbs、CS放送のEPGであるEPGcs、各系列局に属する放送局の一覧を記録した系列局情報I1、各地域の地デジで放送される放送局を記録した地域放送局情報I2、各地域において受信が許可される衛星SNのチャンネルを示す衛星SN放送局情報I3、各地域における地デジのワンタッチ選局ボタンに対する放送局割当てを記録した設定テーブルT1、地デジのワンタッチ選局ボタンに割り当てられたチャンネルの設定テーブルT2、が記録されている。制御部70は、適宜、不揮発性メモリ70dに記憶された情報を参照しつつ、後述の各処理を実行する。なお、この不揮発性メモリ70dが、本実施例において記憶部を構成する。
【0045】
図3は、リモコン60のキー配置を示す外観図である。同図に示すように、リモコン60は、受信する放送波の種類を切換え選択するための放送波切替キー61a〜61dと、設定画面をディスプレイ40に表示させるための設定キー62と、チャンネルをワンタッチで直接に選択したりチャンネル番号を数字入力したりするためのチャンネルキー63と、チャンネル番号を昇順に切替えて選択するためのチャンネルアップキー64aと、チャンネル番号を降順に切替えて選択するためのチャンネルダウンキー64bと、カーソルを移動させたりカーソル位置の設定項目を選択したりするためのカーソルキー65と、チャンネル番号の入力方法を3桁で数字入力するかワンタッチ選択で入力するかを切換えるためのチャンネル入力方法切換キー66と、テレビジョン100をスタンバイ状態とオン状態との間で切換えるための電源キー67と、EPG等の番組表の表示オン/オフを切替える番組表キー68と、を備えている。
【0046】
制御部70は、リモコン受信部70bを介してリモコン60の出力するリモコン信号を無線や有線で受信している。ユーザーがリモコン60の各キーを選択する操作を行うと、各キー操作に対応するリモコン信号が制御部70に入力され、制御部70は入力されたリモコン信号に対応する制御処理を実行する。
【0047】
例えば、ユーザーが放送波切替キー61a〜61dの何れかを選択する操作を行うと、制御部70の制御の下、テレビジョン100は以下のように動作する。地デジが選択されたときは、地デジのチャンネルリストLgdに登録されているチャンネルのいずれかの映像がディスプレイ40に表示され、対応する音声がスピーカ50から出力される。地アナが選択されたときは、地アナのチャンネルリストLgaに登録されているチャンネルのいずれかの映像がディスプレイ40に表示され、対応する音声がスピーカ50から出力される。Bs放送が選択されたときは、BS放送のチャンネルリストLbsに登録されているチャンネルのいずれかの映像がディスプレイ40に表示され、対応する音声がスピーカ50から出力される。CS放送が選択されたときは、CS放送のチャンネルリストに登録されているチャンネルのいずれかの映像がディスプレイ40に表示され、対応する音声がスピーカ50から出力される。
【0048】
制御部70のOSD部70aは、映像復号部34やアナログチューナー22の出力した映像信号に、任意の文字や映像のOSD信号を重畳することにより、任意の文字や映像をディスプレイ40に表示させることができる。内部メール発行部70cは、ユーザーに通知すべきメッセージを作成したり発行したり保存したりする。内部メール発行部70cは、内部メールを発行すると、内部メールをディスプレイ40に表示させたり、内部メールが発行されたことをユーザーに通知する表示をディスプレイ40に行ったりする。制御部70は、これらOSD部70aや内部メール発行部70cを制御して、ディスプレイ40の画面にメッセージや画像を表示させる表示制御部としての機能を実現する。
【0049】
なお、以上の説明においては、マンマシンインターフェースとしてのディスプレイやスピーカを内蔵していて単独でテレビ放送を視聴可能なテレビジョンを例にとって説明したが、むろん、受信機能だけを備えた、いわゆるセットトップボックスのような装置であっても本発明の一態様とすることができることは言うまでもない。また、家電製品などの電気機器や電子機器に、本発明にかかる放送信号受信装置の受信機能を組み込んだものであっても、本発明の一態様とすることができる。
【0050】
(2)視聴環境設定の実施例1:
本実施例1は、テレビジョン100の初期設定であり、この初期設定により衛星SNの受信対象者で鍵開け済みのユーザについては衛星SNの視聴環境を改善し、衛星SNの受信対象者で鍵開けがされていないユーザについては後述の各実施例により衛星SNの視聴環境を改善する余地を残し、衛星SNの受信対象外のユーザについては衛星SNに関する機能により視聴環境を悪化させないようにする。なお、他の実施例においては、それぞれ実施例1とは異なる状況を想定した処理を提案しており、この実施例1は、他の実施例と適宜組合せて実施することも可能である。
【0051】
図4は、実施例1にかかる初期チャンネル設定処理の流れを示すフローチャートである。同図に示す処理は、テレビジョン100の差込電源プラグを電源のコンセントに接続して電源が最初に投入されたとき、すなわち電源キー67によって最初にテレビジョン100がオンされたときに制御部70が実行する。処理が開始されると、まず、B−CASカード200がカードスロット31へ装着されているかを確認する(S100)。B−CASカード200の装着を確認できないときは(S100:NO)、B−CASカード200の装着を促すメッセージをOSD等によりディスプレイ40に表示する(S105)。
【0052】
図5は、B−CASカード200の装着を促すメッセージの一例である。同図に示すメッセージは、B−CASカード200の装着を確認するまで表示され続ける。すなわち、所定時間置きにB−CASカード200の装着の確認を行いつつ、B−CASカード200の装着を促すメッセージの表示を継続するか否かを判断する(S100,S105)。B−CASカード200の装着を確認できると(S100:YES)、初期設定を開始することをOSD等でディスプレイ40に表示することによりユーザーに通知する
【0053】
図6は、初期設定の開始をユーザーに通知するメッセージの一例である。このメッセージの中で、図6の「次へ」をユーザーがカーソルキー65で選択操作すると、初期設定の開始をユーザーが確認したものと判断してステップS110へ進む。なお、このステップで確認しているB−CASカード200のカードスロット31への装着は、本実施例において衛星SNの受信条件の1つを構成する。
【0054】
次に、BS放送の放送波を受信可能か否かを判断する(S110)。この判断によれば衛星受信アンテナAsの角度調整が正しく行われてるかの判断や、コンバーターCとテレビジョン100の衛星IF10とが接続ケーブルで正しく接続されているかの判断を行うことができる。BS放送の放送波を受信できないときは(S110:NO)、BS放送の放送波を受信できないことを通知するメッセージをOSD等によりディスプレイ40に表示する(S115)。BS放送の放送波を受信できたときは(S110:YES)、ステップS120に進む。なお、BS放送を受信できたときは、BS放送のチャンネルリストLbsも同時に作成して不揮発性メモリ70dに記憶する。
なお、本ステップで確認しているBS放送の放送波を受信可能性は、本実施例において衛星SNの受信条件の1つを構成する。
【0055】
次に、衛星SNが放送中であるか否かを判断する(S120)。例えば、ステップS110において衛星SNを放送予定のチャンネルに衛星SNの放送波を検出していれば、衛星SNが放送中であると判断できるし、そうでなければ衛星SNは放送されていないと判断できる。なお、ARIB(Association of Radio Industries and Businesses)規格では、衛星SNはBS放送の291ch〜298ch(293chは空き)が割当てられており、これらチャンネルに放送波を検出されれば衛星SNが放送されていると判断できる。このように、衛星SNの放送波の有無を実際に判断することにより、衛星SNの放送が無いときに衛星SNに特化した初期設定をスキップすることが可能であり、放送期間の延長・短縮に適切に対応できる。
【0056】
一方、ステップS120で衛星SNが検出されないということは、衛星SNの放送期間が終了した場合、一時的に衛星SNが受信できない場合、衛星SNが開始されていない場合が考えられるが、衛星SNの放送が開始されていない場合については他の実施例で対応することができる。そこで、実施例1では前の2つの場合を考慮した対応として、地デジのチャンネルスキャンを行う(S175)。
【0057】
衛星SNが放送中である場合は、次に、衛星SNの鍵開けが終了しているか否かを判断する(S125)。この判断は、例えば、B−CASカード200に問い合わせたり、実際に衛星SNのチャンネルを受信してTSが復号されるか判断したりすることにより確認できる。衛星SNの鍵開けが終了している場合は(S125:YES)、ステップS140に進み、衛星SNの鍵開けが終了していない場合は(S125:NO)ステップS130に進む。なお、このステップS125で確認している衛星SNの鍵開けの終了は、衛星SNの受信対象者であるかを判断する衛星SNの受信条件の1つを構成する。
【0058】
ステップS130では、衛星SNの受信対象者であるか否かを判断する。これは、ユーザーに対する問合せにより行われる。図7は、この問合せメッセージの一例を示す図である。すなわち、ユーザーが総務省のホワイトリストに名前が載っているか否かをユーザーの自己申告により判断する。ユーザーがカーソルキー65等を操作して「YES」を選択すると(S130:YES)ステップS135に進み、「NO」を選択するとステップS165に進む。なお、このステップS130で確認している衛星SNの受信対象者であるかの判断は、衛星SNの受信条件の1つを構成する。
【0059】
ステップS135では、BS放送の鍵開け並びに衛星SNの鍵開けを試みる。なお、ここでは、ユーザーのEMMが放送波で送信されていないこともあることから、所定のタイムアウト時間が経過すると、鍵開け出来たときも出来なかったときも、このステップの鍵開け処理は終了してステップS140に進む。
【0060】
一方、ステップS165に進むと、BS放送のチャンネルリストLbsやEPGbsに衛星SNが表示されないようにする。本実施例1では、BS放送のチャンネルリストLbsから衛星SNのチャンネルを除外することにより、これを実現する。
【0061】
また、地デジのチャンネルスキャンを行い(S170)、地デジのチャンネルリストLgdを作成して不揮発性メモリ70dに記憶し、地デジの各チャンネルを地デジのワンタッチ選局ボタンに割当てる。地デジのワンタッチ選局ボタンとは、放送波切替キー61a〜61dで地デジが選択されていて、チャンネル入力方法切換キー66でワンタッチ選択が選択されているときのチャンネルキー63であり、1ボタンに1チャンネルが1対1で対応付けられているため、何れかのボタンを操作すると、そのボタンに対応付けられた1チャンネルを選局することができる。
【0062】
以上のステップS165、S170の処理が行われることにより、受信対象外のユーザーのテレビジョンでBS放送のチャンネルリストLbsに衛星SNが登録されなくなるため、受信対象外のユーザーが衛星SNを誤受信するおそれがない。また、受信対象外のユーザーのテレビジョンでは、衛星SNのEPGが取得されないため、受信対象外のユーザーのテレビジョンに衛星SNのEPGが表示されるおそれがない。
【0063】
ステップS140では、再び、衛星SNの鍵開けが終了しているか否かを判断する。ステップS135でタイムアウトしている場合があるためである。ここで、衛星SNの鍵開けが終了している場合は(S140:YES)、ステップS145に進み、衛星SNの鍵開けが終了していない場合は(S140:NO)、初期設定を終了する。
【0064】
ステップS145では、衛星SNのチャンネルを地デジのワンタッチ選局ボタンに割り当てるか否かをユーザーに問合せる。図8は、この問合せ画面の一例である。ここでユーザーが「YES」を選択するとステップS150に進み(S145:YES)、ユーザーが「NO」を選択すると、その後のステップS150〜S160を実行することなく初期設定を終了する(S145:NO)。従って、ステップS145で「NO」が選択されたときは、衛星SNは3桁番号選局やチャンネルアップダウンキーでの選局を行うことになるし、BS放送のEPGbsの中に衛星SNのEPGも一緒に表示されることになる。また、地デジのワンタッチ選局ボタンには、衛星SNのチャンネルも地デジのチャンネルも割り当てられない。
【0065】
ステップS150では、地デジのチャンネルリストLgdに衛星SNのチャンネルを登録し、地デジのワンタッチ選局ボタンの設定テーブルT2に衛星SNのチャンネルを割り当てる。具体的な割り当て方としては、ランダムに割り当てたり、割り当てのないワンタッチ選局ボタンに割り当てたりしてもよいが、後述の実施例2のように、衛星SNの末尾番号と一致する番号のワンタッチ選局ボタンに割当てたり、後述の実施例3のように、不揮発性メモリ70dに記憶されている系列局情報I1と設定テーブルT1と地域放送局情報I2とを参照して、系列関係が地デジの割当て方と一致するように行ったりすることもできる。以上のようにワンタッチ選局ボタンへの割り当てを行うことにより、ユーザーは、地デジ難視地区以外における地デジの局と同一もしくは系列局を、地デジのワンタッチ選局ボタンで選局できるようになる。
【0066】
また、ステップS150では、衛星SNのEPGを取得して、地デジのEPGgdとして保存・表示するように変更する。従って、ユーザーが地デジのEPGgdを表示させるようにリモコン60を操作すると、ディスプレイ40には衛星SNのEPGが代替表示される。よって、地デジ難視地区以外のユーザーの地デジ視聴環境とほぼ同等の視聴環境を地デジ難視地区のユーザーに提供することができる。
【0067】
ステップS155では、BS放送のチャンネルリストから衛星SNのチャンネルから除外するか否かをユーザーに問合せる。図9は、この問合せ画面の一例である。図9に示す画面では、ユーザーが「YES」を選択するとステップS160に進み(S155:YES)、ユーザーが「NO」を選択すると、その後のステップS160を実行することなく初期設定を終了する(S155:NO)。
【0068】
一方、ステップS155で「YES」が選択されたときは、ステップS110で作成されたBS放送のチャンネルリストLbsから衛星SNのチャンネルを除外する(S160)。このように、BS放送のチャンネルリストLbsから衛星SNを除外することにより、衛星SNのEPGはBS放送のEPGとして取得されず、BS放送のEPGbsの中に衛星SNのEPGが表示されることも無い。すなわち、地デジ難視地区外での衛星放送の視聴環境とほぼ同等の視聴環境を、地デジ難視地区のユーザーに提供することができる。なお、ステップS155で「NO」が選択されたときは、BS放送のEPGbsに衛星SNのEPGも一緒に表示される。
【0069】
その後、必要に応じて、地アナのチャンネルスキャンやCS放送のチャンネルスキャン、その他の初期設定を実行する。むろん、ユーザーの入力した日時情報やTSから取得された日時情報を参照して、地アナの放送が完全終了していると判断される場合は、地アナのチャンネルスキャンをスキップするようにしてもよい。
【0070】
以上のように、本実施例1によれば、地デジとBS放送とを受信可能なテレビジョン100において、地デジのチャンネルスキャンを行うにあたり、衛星SNの受信条件を満たす場合は、地デジのチャンネルスキャンを行わずに衛星SNのチャンネルスキャンを実行し、取得した衛星SNのチャンネルを、リモコン60の地デジのワンタッチ選局ボタンに割当てる。従って、地デジのワンタッチ選局ボタンの操作により、衛星SNを選局できるようになる。
【0071】
このように、一時的な地デジの代替放送である衛星SNのチャンネルを、地デジのワンタッチ選局ボタンに対応付けることにより、衛星SNを受信可能なユーザーにとって使い勝手が向上する。一方、衛星SNの受信条件を満たさないときには、通常通りに地デジのチャンネルスキャンの結果を地デジのワンタッチ選局ボタンに割当てるため、衛星SNを受信できないユーザーにとって視聴環境が低下することがない。また、通常であればユーザーが視聴しない深夜などの時間帯に地デジのEPGgdの取得が実行されるが、衛星SNを地デジのチャンネルリストLgdに登録した場合は衛星放送のSI(Service Information)から一括してEPGを取得できるため地デジのEPGgdの取得処理を実行せず、省エネ効果がある。
【0072】
(3)視聴環境設定の実施例2:
本実施例2は、上記実施例1の初期設定中に衛星SNの鍵開けが完了せず、後日、衛星SNの鍵が開く場合に対応する。また、ユーザーが初期設定の中で何らかの原因(ワンタッチ選局ボタンへの割当てやBS放送のチャンネルリストLbsからの衛星SNの除外を選択しなかった場合(S145:NO,S155:NO)を除く)により衛星SNの視聴環境設定が完了しなかった場合にも対応する。なお、本実施例2では、図4のステップS100〜S115の判断処理は、予め完了しているものとして説明を行うが、むろん、これらの処理を組合せて実行してもよい。
【0073】
図10は、鍵開けを監視する監視処理の流れを示すフローチャートである。同図に示す処理は、上述した原因により初期設定が完了しなかった場合に、制御部70が実行する。
図10の処理が開始されると、まず、鍵開けの有無を判断する(S200)。制御部70は、CAデスクランブラ32で衛星SNのチャンネルが復号できるようになったかを監視しており、衛星SNが鍵開けされるとこれを検知する(S200:YES)。なお、鍵開けを検知するまでは、定期的に更新状況の監視を繰り返す(S200:NO)。
【0074】
次に、制御部70は、衛星SNが鍵開けされたこと及び衛星SNの視聴環境を改善するための設定が可能になったことをユーザーに通知する(S205)。例えば、地デジのテレビジョンに一般に搭載されている内部メール発行部70cに、図12に示すような内部メールを発行させる。むろん、他の手法でユーザーに通知しても構わない。
【0075】
図12は、衛星SNの鍵明けをユーザに通知するメッセージの一例である。なお、本実施例2は、衛星SNが鍵開けされたことを検知したときに通知を行うことから、テレビジョン100のユーザーは衛星SNの受信条件を満たしていると考えられるが、念のため、図12では、衛星SNが地デジ難視地区の在住者であって総務省のホワイトリストに名前が記載されたユーザー向けのサービスであることを併せて通知している。
【0076】
また、制御部70は、上記通知を行うとともに衛星SNの視聴環境を良好にする設定手段をユーザーに提供する(S210)。本実施例2では、チャンネル設定にかかる設定メニューの1設定項目として、この設定手段を提供している。図13は、衛星SNの鍵開け前のチャンネル設定メニューの一例であり、図14は、衛星SNの鍵開け後のチャンネル設定メニューの一例である。これらの図からわかるように、鍵開け前の図13には「衛星SN」の設定項目が無いが、鍵開け後の図14には「衛星SN」の設定項目が追加されている。
【0077】
ユーザーが「衛星SN」の設定項目をカーソルキー65等で選択操作すると、制御部70がこれを検知し、図11に示す設定処理を開始する。図11は、本実施例2にかかる視聴環境設定処理の流れを示すフローチャートである。図11に示す処理は、設定メニューから所定の設定項目をユーザーが選択したときに制御部70が実行する。
【0078】
まず、ユーザは、設定メニューの中の複数の設定項目の中から「衛星SN」を選択して的に実行する。従って、制御部70は、設定処理の中でステップS300に示す「衛星SN」の設定の実行が選択されたか否かを判断し、「衛星SN」が選択されたときにステップS302〜S320の処理へ進み、他の設定項目が選択されたときは各設定項目に対応する処理を実行する、という判断分岐を行う。
ステップS302〜S320の処理へ進むと、制御部70は、衛星SNのチャンネルスキャンを実行する(S302)。そして、衛星SNのチャンネルスキャンが終了すると、本設定によって行われる変更内容をユーザーに確認する(S305)。
【0079】
図15は、ステップS305で表示される確認メッセージの一例である。同図に示すように、BS放送のチャンネルリストから衛星SNが除かれることや衛星SNを地デジ扱いとして登録する旨のメッセージが表示され、「YES」と「NO」が選択可能に表示される。ユーザーが「YES」を選択すると設定変更を了承したものと判断して(S310:YES)ステップS310に進み、ユーザーが「NO」を選択すると設定変更を了承しなかったものと判断して(S310:NO)ステップS330に進む。
【0080】
なお、図15のメッセージでは、「関東の7局の放送局を地デジの視聴できない世帯に再送信する」となっているが、実際には、各ユーザーが衛星SNによって視聴することのできる局数は地域ごとに異なる。従って、図15で示すメッセージは、不揮発性メモリ70dに記憶されている衛星SN放送局情報I3を参照して適宜に変更されるようにしてもよい。すなわち、テレビジョン100の設置された地域で放送される衛星SNの放送局数に併せて、図15のメッセージで表示する局数を適宜変更する。むろん、放送される最大数が7局であることから、「最大7局」と表示しても構わない。
【0081】
ステップS310においてユーザーが衛星SNを地デジ扱いで登録しないことを選択すると、衛星SNのチャンネルを、BS放送のチャンネルリストLbsに登録する(S330)。すると、実施例1で行われた「BSのチャンネルリストから衛星SNのチャンネルを除外する」という設定は解除され、衛星SNはBS放送のチャンネルの一部として扱われるようになる。その結果、放送波切替キー61a〜61dによってBS放送が選択されたときは、チャンネルアップダウンや3桁番号選局によって衛星SNのチャンネルを選局できるようになる。また、BS放送のEPGbsの一部として衛星SNのEPGが表示されるようになる。
【0082】
一方、ステップS310においてユーザーが衛星SNを地デジ扱いで登録することを選択すると、衛星SNのチャンネルは地デジのチャンネルリストLgdに登録され、地デジのワンタッチ選局ボタンの設定テーブルT2に登録される(S315)。本実施例2では、衛星SNの各チャンネルは、末尾番号と同じ番号のワンタッチ選局ボタンに割り当てる。衛星SNのチャンネルの末尾番号は、関東の地デジのワンタッチ選局ボタンの番号に一致するからである。
【0083】
地デジのワンタッチ選局ボタンへのチャンネル割当てが終了すると、BS放送のチャンネルリストLbsから衛星SNのチャンネルを除外するとともに、衛星SNのEPGを地デジのEPGgdとして保存・表示するように変更する(S320)。この処理により、BS放送のEPGbsの中に衛星SNのEPGが表示されることが無くなり、ユーザーが地デジのEPGgdを表示させたときに、衛星SNのEPGが代替表示される。よって、地デジを受信したときと、ほぼ同等の視聴環境がユーザーに提供される。
【0084】
なお、本実施例2は、衛星SNでの各局間で鍵開けに時間差が生じた場合にも、ステップS200が実行されて、その都度内部メールによって通知される。従って、ユーザーは、チャンネル設定の「衛星SN」を、その都度選択して上記ステップS302〜S320を実行することにより、新たな局も含めて地デジのワンタッチ選局ボタンに対応付けることができる。
【0085】
以上説明したように、実施例2によれば、少なくとも地デジとBS放送とを受信可能なテレビジョン100において、制御部70は、衛星SNの鍵開けを検知するとユーザーにその旨を通知し、衛星SNの鍵開けが検知されると衛星SNのチャンネルスキャンを実行し、このチャンネルスキャンによって取得した衛星SNの各チャンネルをリモコン60の地デジのワンタッチ選局ボタンに割り当てる。よって、電源投入直後の初期設定では衛星SNに関する視聴環境改善処理が完了できなかった場合でも、衛星SNの鍵開けを検知したことをトリガーとして、ユーザーの選択により視聴環境を改善する設定処理を実行できるようになる。
【0086】
(4)視聴環境設定の実施例3:
本実施例3は、上述した実施例2と同様に、上述した実施例1に説明した初期チャンネルスキャン処理において衛星SNの鍵開けができなかった場合を想定したものであり、後日、衛星SNの鍵が開いた場合に対応するものである。本実施例3においては、上述した実施例2と同様に図10に示す監視処理を実行し、鍵開けの監視とその通知および鍵開け後の設定メニューの変更を行う。

その後、本実施例3においては、上述した実施例2の図11に示す設定処理とほぼ同様の設定処理を実行する。
ただし、本実施例3で実行する設定処理は、上述した実施例2とは異なり、地デジのワンタッチ選局ボタンに衛星SNのチャンネルを割り当てる処理とワンタッチ選局ボタンの割当て一覧を表示する処理とにおいて放送局の系列関係を考慮したものとなっている。
【0087】
図16は、本実施例3にかかる監視処理の流れを示すフローチャートである。同図において、図11と同一の処理(S300〜S310、S320、S330)については図11と同じステップ番号を付して説明を省略する。図16においてユーザーが変更を了承すると(S310:YES)、テレビジョン100が設置されている地域の特定と、その地域の地デジの放送局の系列関係を特定する(S415)。
【0088】
図17は、地域を特定するための画面の一例である。同図においては、居住地域をユーザーが選択出来るようになっており、ユーザーは、カーソルキー65を操作することにより居住地域を選択し、その後、「次へ」を選択操作することにより居住地を特定する。このようにしてユーザによって入力された居住地が、テレビジョン100の設置されている地域と特定される。この図17のように、地域を特定するための画面をディスプレイ40に表示して、ユーザーから地域の入力を受付ける処理を実行する制御部70が、本実施例において地域入力部を構成する。
【0089】
次に、特定された地域における、地デジの放送局の系列関係を特定する。具体的には、地域放送局情報I2を参照することにより上記特定された地域における地デジの放送局を特定し、設定テーブルT1を参照することにより地デジの各ワンタッチ選局ボタンにどの放送局が割当てられるかを特定し、系列局情報I1を参照することによりテレビジョン100の設置された地域における各ワンタッチボタンの放送局の系列関係を特定する。
【0090】
以上のようにして地域と系列関係とが特定されると、制御部70は、衛星SNの各チャンネルを、その地域の地デジの放送局と系列関係が一致するように、地デジのワンタッチ選局ボタンに割当てていく(S420)。そして、地デジのワンタッチ選局ボタンへのチャンネル割当てが終了すると、この割当て結果をディスプレイ40に表示する(s425)。
【0091】
図18は、チャンネル割当て結果の表示の一例である。同図では、リモコンのチャンネルキー63の番号と、衛星SNのチャンネル番号と、衛星SNの放送局名と、地域の系列局名と、を対応付けて表示している。同図においては、衛星SNの放送局と地域の系列局との、系列関係が一致している。すなわち、ユーザーは、地デジのワンタッチ選局ボタンを利用した選局において地デジのチャンネルを選択するときの操作と同じ操作で、衛星SNの系列局のチャンネルを選択できることを、この表示をみることで認識できる。
【0092】
なお、初期のチャンネル設定処理においてユーザが予め居住地域を入力している場合は、ステップS415の地域の入力を省略し、予め入力済みの地域情報を利用してワンタッチ選局ボタンへの割当てを行ってもよい。この場合は、図19に示すようにチャンネルの割当て結果を先に表示してユーザに確認してもよい。図19に示す画面では、「YES」が選択されると初期設定されていた地域に基づいてステップS420が実行される。この場合、ステップS425の確認画面の表示は省略することもできる。一方、ユーザが初期設定したときから居住地域を変更したいときは、図19で「NO」が選択する。すると、図17が表示され、ステップS415〜S425が実行されることになる。
【0093】
なお、衛星SNの各放送局の間で鍵開けに時間差が生じた場合には、実施例2と同様に、鍵開けが行われるたびにステップS200が実行される。従って、鍵開けがなされる都度、内部メールによって衛星SNの鍵開けが通知される。ユーザーは、鍵開けが通知されると、その都度、チャンネル設定の「衛星SN」を選択し、新たに鍵開けされた放送局も含めて地デジのワンタッチ選局ボタンへの割当て等の処理を行うことが出来る。
【0094】
以上説明した実施例3においては、少なくとも地デジとBS放送とを受信可能なテレビジョン100において、地域と各地域における地上デジタル放送の放送局と地デジ難視対策衛星放送の放送局との対応関係を記憶した不揮発性メモリ70dを備えることにより、制御部70は、衛星SNの受信条件を満たす場合に衛星SNのチャンネルスキャンを実行し、テレビジョン100の設置されている地域の入力を受付け、入力された地域において地デジの各チャンネルを対応付けるべきリモコン60のワンタッチ選局ボタンに、上記対応関係に基づいて、上記チャンネルスキャンによって取得された衛星SNの各チャンネルを、それぞれ対応付けることができる。よって、上述した実施例1,2と同様の効果に加えて、各地域の地デジとほぼ同様のチャンネル操作感をユーザーに提供し、視聴設定をさらに改善することができる。
【0095】
(5)視聴環境設定の実施例4:
上述した実施例2や実施例3では、地デジで受信可能なチャンネルと衛星SNで受信可能なチャンネルとが混在する状況を想定していなかった。すなわち、実施例2や実施例3の対応では、地デジのワンタッチ選局ボタンには、チャンネルが全く割当てられない状態と、地デジのチャンネルのみが割当てられている状態と、衛星SNのチャンネルのみが割当てられている状態とのいずれかしか実現できない。
【0096】
そこで、本実施例4は、初期チャンネルスキャンで地デジの放送局の一部を受信して地デジのワンタッチ選局ボタンの一部に地デジのチャンネルを割当てた場合や、初期チャンネルスキャンの後に行った地デジのチャンネルスキャンで地デジの放送局の一部を検出してワンタッチ選局ボタンへの割当てを行った場合等に対応できるようにする。すなわち、本実施例4では、いずれかのタイミングで地デジの放送局の一部を受信できており、その後に鍵の開いた衛星SNにより残りの地デジの放送局をカバーする手段を提供する。
【0097】
なお、このような地デジで受信可能なチャンネルと衛星SNで受信可能なチャンネルとが混在する状況は、初期スキャンで衛星SNを受信できていて、その後、地デジの一部を受信できるようになったことにより衛星SNの一部の鍵が閉じた場合にも起こりえるが、この状況については後述の実施例5で対応するため、ここでは考慮しない。
【0098】
本実施例4では、実施例3と同様の監視処理と設定処理を実行する。ただし、本実施例4では、上記実施例3と異なり、地デジのワンタッチ選局ボタンに、地デジの放送局と衛星SNの放送局とが混在した状態で割当てられる状況が発生する。そこで、ステップS420、S425の処理を次のように変更する。
【0099】
まず、ステップS420では、衛星SNのチャンネルスキャンによって発見されたチャンネルのみを地デジのワンタッチ選局ボタンに割り当てる。このとき、他のワンタッチ選局ボタンに割り当てられている地デジのチャンネルについてはそのままにしておく。その結果、地デジ難視地区において本来であれば受信されるべき地デジの放送局の中の一部の地デジのチャンネルが地デジのワンタッチ選局ボタンに割り当てられつつ、その他の、ワンタッチ選局ボタンには、衛星SNのチャンネルが割り当てられる。よって、地デジと衛星SNの混在した状態に最適なチャンネル割り当てを実現することができる。
【0100】
そして、地デジのワンタッチ選局ボタンへのチャンネル割当てが終了すると、この割当て結果をディスプレイ40に表示する(S425)。このステップS425においては、図20の画面が表示される。
【0101】
図20は、実施例4にかかるチャンネル割当て結果の表示画面の一例である。同図では、リモコンのチャンネルキー63の番号と、衛星SNのチャンネル番号と、衛星SNの放送局名と、地域の系列局名と、を対応付けて表示し、加えて、各放送局の放送波の種別をNWとして対応させて表示している。同図では、NHK総合とNHK教育の2局を地デジで受信し、その他の5局を衛星SNで受信している。従って、NHK総合とNHK教育は対応する地域系列局の表示が無く、他の5局のみ地域系列局の表示がある。さらに、NHK総合とNHK教育のNWの欄には地デジと表示され、他の5局のNWの欄には衛星SNと表示されている。
【0102】
このように、チャンネル割当て結果を表示する際に、放送波の種別を各チャンネルに対応させて表示することにより、地デジと衛星SNを組合せて地デジと同様の受信環境を提供しつつ、地デジの放送波に基づいて表示されるチャンネルと衛星SNの放送波に基づいて表示されるチャンネルとを、容易に区別することができる。なお、この図20のようなNWも含めた表示は、設定メニューなどから地デジのチャンネルリストを呼び出して表示する際に行うこともできる。チャンネルリストの表示時にNWも含めて表示することにより、ユーザは容易に割り当てられているチャンネルの放送波の種別を認識できる。
【0103】
以上説明した実施例4によれば、少なくとも地デジとBS放送とを受信可能なテレビジョン100において、地デジのワンタッチ選局ボタンを備えており、地デジ難視地区でなければ地デジとして受信されるはずのチャンネルの一部がワンタッチ選局ボタンに対応付けられているリモコン60と、衛星SNの鍵開けを検知すると、衛星SNのチャンネルスキャンを実行し、当該チャンネルスキャンによって取得した衛星SNのチャンネルを、地デジのチャンネルが対応付けられていないワンタッチ選局ボタンに対応付ける制御部70と、を備え、ワンタッチ選局ボタンの各ボタンへ対応付けた放送波の種別をディスプレイ40に表示する。よって、地デジと衛星SNの混在した状況であっても、適切な視聴環境を提供することができる。
【0104】
(6)視聴環境設定の実施例5:
本実施例5は、上述した実施例4と同様に、地デジの一部を受信しつつ残りの地デジを衛星SNでカバーする場合である。また、衛星SNを受信できる状態から、後日、衛星SNの鍵が閉じて受信できなくなる場合も想定している。なお、衛星SNの鍵が閉じる場合には、地デジが受信できるように受信環境が改善されているものとする。
【0105】
図21は、実施例5にかかる監視処理の流れを示すフローチャートである。同図に示す処理は、少なくとも1つの衛星SNの放送局を受信しているときに、制御部70が繰り返し実行する。処理が開始されると、まず、鍵閉じの有無を判断する(S500)。制御部70は、CAデスクランブラ32で衛星SNのチャンネルが復号できなくなったか監視しており、衛星SNの鍵が閉じるとこれを検知する(S500:YES)。なお、鍵開けを検知するまでは、定期的に更新状況の監視を繰り返す(S500:NO)。
【0106】
鍵閉じを検知すると(S500:YES)、衛星SNの一部もしくは全部の鍵が閉じたことをユーザーに通知する(S505)。
図23は、鍵閉じを通知するメッセージの一例である。同図に示すメッセージは、内部メールによって通知されている。同図では、地デジのワンタッチ選局ボタンの「4」と「6」に対応付けれていた衛星SNの鍵が閉じたことと、これら鍵の閉じた衛星SNの放送局を地デジで受信できる環境が整ったことを通知し、その上で、地デジのチャンネルスキャンを行うようにユーザに促している。図23のメッセージにおいて、ユーザーが「終了」をカーソルキー65等により操作すると、ユーザーがメッセージを確認したものと判断する。
【0107】
その後、地デジのチャンネルスキャンを実行することになるが(S510)、これは自動で行ってもよいし、ユーザーが手動で行ってもよいし、自動でチャンネルスキャンを行うか否かの設定を行う設定メニューを用意してもよい。
図24は、自動でチャンネルスキャンを行うか否かの設定画面の一例である。ユーザーは、予め同図に示す設定画面を表示させ、「CHスキャンを実行する」か「CHスキャンを実行しない」の何れかをチェックボックスにより選択して「戻る」を選択することにより、衛星SNの放送終了時にチャンネルスキャンを自動実行するか否かを予め設定しておくことが出来る。
【0108】
自動で地デジのチャンネルスキャンを行う場合は、上述の鍵閉じをユーザーが確認すると、地デジのチャンネルスキャンを自動的に開始する(S510)。このチャンネルスキャンが成功すると(S515:YES)、スキャン結果に基づいて地デジのワンタッチ選局ボタンへのチャンネル割り当てを行う(S520)。むろん、本ステップS520においてチャンネルを割り当てられる地デジのワンタッ選局チボタンは、それまでの割り当てられていた衛星SNのチャンネル割当てを、このときに解除されることになる。
【0109】
手動で地デジのチャンネルスキャンを行う場合は、ユーザーが地デジのチャンネルスキャンを指示したときに実行される(S510)。ユーザは、例えば、設定メニューの地デジのチャンネルスキャンの設定項目をカーソルキー65等により操作することによりチャンネルスキャンを指示することができる。チャンネルスキャンが成功すると(S515:YES)、自動の場合と同様にワンタッチ選局ボタンへのチャンネル割当てを行う(S520)。
【0110】
一方、自動、手動のいずれであってもチャンネルスキャンが失敗した場合は(S515:NO)、通知処理を行う。チャンネルスキャンは、地デジの接続ケーブルが接続されていなかった場合等に失敗する。
【0111】
図22は通知処理の一例を示すフローチャートである。図22の通知処理は、鍵閉じが検出されてから地デジのチャンネルスキャンが成功するまでの間に、制御部70によって実行される。従って、この通知処理は、上述のように手動でチャンネルスキャンを行う設定になっているときに、まだチャンネルスキャンを実行されていない場合にも実行される。
通知処理では、まず、割当てられたチャンネルを鍵閉じによって選局できなくなったワンタッチ選局ボタンが操作されたか否かを判断する(S600)。チャンネル割当ての無いワンタッチ選局ボタンが操作されると(S600:YES)、その旨を通知するメッセージを表示する(S610)。
【0112】
図25は、このメッセージの一例である。同図では、ユーザーの操作したボタンにより、チャンネルが選択されない原因が衛星SNの鍵閉じであることを通知するとともに、地デジのチャンネルスキャンの実行を促している。
【0113】
図25において、ユーザーが「YES」を選択操作すると地デジのチャンネルスキャンが実行され、「NO」を選択操作すると地デジのチャンネルスキャンが実行される。ここで地デジのチャンネルスキャンが成功すると通知処理は終了する(S615:YES)。一方、地デジのチャンネルスキャンを実行しなかったり失敗したりすると(S615:NO)、ステップS600〜S615の処理を繰り返し実行する。
【0114】
以上説明した実施例5では、少なくとも地デジとBS放送とを受信可能なテレビジョン100において、地デジのワンタッチ選局ボタンを備えたリモコン60と、衛星SNの鍵閉じを検知するとその旨をディスプレイ40に表示し、地デジのチャンネルスキャンを実行し、当該チャンネルスキャンによって取得した地デジのチャンネルをワンタッチ選局ボタンに対応付ける制御部70と、を備えている。このように構成することにより、受信されていた衛星SNを鍵閉じにより受信できなくなった場合に、スムーズに地デジの放送局を受信できるようになる。従って、衛星SNの鍵閉じと地デジの受信環境の改善によるユーザーへの影響を最小限に止めることができる。
【0115】
なお、本発明は上述した各実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上述した各実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上述した各実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上述した各実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0116】
10…衛星インターフェース、11…衛星フロントエンド、20…地上インターフェース、21…地上フロントエンド、22…アナログチューナー、30…デコーダ、31…カードスロット、32…CAデスクランブラ、33…MPEG2デマックス、34…映像復号部、35…音声復号部、36…基本データ復号部、40…ディスプレイ、50…スピーカ、60…リモコン、61a〜61d…放送波切替キー、62…設定キー、63…チャンネルキー、64a…チャンネルアップキー、64b…チャンネルダウンキー、65…カーソルキー、66…チャンネル入力方法切換キー、67…電源キー、68…番組表キー、70…制御部、70a…OSD部、70b…リモコン受信部、70c…不揮発性メモリ、70d…内部メール発行部、100…テレビジョン、200…B−CASカード、200a…記憶媒体、Ag…地上受信アンテナ、As…衛星受信アンテナ、C…コンバーター、CI…契約情報、I1…系列局情報、I2…地域放送局情報、I3…衛星SN放送局情報、Km…マスター鍵、Ks…スクランブル鍵、Kw…ワーク鍵、Lbs…チャンネルリスト、Lga…チャンネルリスト、Lgd…チャンネルリスト、RI…関連情報、T1…設定テーブル、T2…設定テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも地上デジタル放送と衛星放送とを受信可能な放送信号受信装置において、
上記地上デジタル放送のワンタッチ選局ボタンを備えており、複数のボタンを備えた当該ワンタッチ選局ボタンに上記地上デジタル放送のチャンネルの一部が対応付けられている操作部と、
地デジ難視対策衛星放送の鍵開けを検知すると、上記地デジ難視対策衛星放送のチャンネルスキャンを実行し、当該チャンネルスキャンによって取得した上記地デジ難視対策衛星放送のチャンネルを、上記地上デジタル放送のチャンネルが対応付けられていない上記ワンタッチ選局ボタンに対応付ける制御部と、
上記ワンタッチ選局ボタンに対応付けられた各チャンネルについて、上記地上デジタル放送と上記衛星放送の何れであるかを表示部に表示する表示制御部と、
を備えることを特徴とする放送信号受信装置。
【請求項2】
上記放送信号受信装置の設置されている地域の入力を受付ける地域入力部と、
地域と当該地域における地上デジタル放送のチャンネルと地デジ難視対策衛星放送のチャンネルとの対応関係を記憶した記憶部と、
を更に備え、
上記制御部は、上記地域入力部の受付けた地域において上記対応関係に基づいたときに上記地上デジタル放送の各チャンネルを対応付けるべき上記ワンタッチ選局ボタンに、上記チャンネルスキャンによって取得した上記地デジ難視対策衛星放送の各チャンネルを対応付ける請求項1に記載の放送信号受信装置。
【請求項3】
上記放送信号受信装置の設置されている地域の入力を受付ける地域入力部を更に備え、
上記制御部は、上記ワンタッチ選局ボタンに割当てられている上記地上デジタル放送のチャンネルと上記地デジ難視対策衛星放送のチャンネルを、上記地域入力部の受付けた地域と上記対応関係とに基づいて、それぞれ対応付けし直す請求項2に記載の放送信号受信装置。
【請求項4】
上記放送信号受信装置の設置されている地域の入力を受付ける地域入力部を更に備え、
上記地域入力部は、上記放送信号受信装置の最初の電源投入後に最初に実行される設定時に入力された地域情報を取得して、上記放送信号受信装置の設置されている地域として受付ける請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の放送信号受信装置。
【請求項5】
上記放送信号受信装置の設置されている地域の入力を受付ける地域入力部を更に備え、
上記地域入力部は、ユーザーから地域の入力を受付ける請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の放送信号受信装置。
【請求項6】
上記制御部は、上記地デジ難視対策衛星放送のチャンネルを上記ワンタッチ選局ボタンに対応付けた場合に、上記衛星放送のチャンネルスキャンの対象チャンネルから上記地デジ難視対策衛星放送のチャンネルを除外する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の放送信号受信装置。
【請求項7】
上記制御部は、上記地デジ難視対策衛星放送のチャンネルを上記ワンタッチ選局ボタンに対応付けた場合に、上記衛星放送の電子番組表から上記地デジ難視対策衛星放送の電子番組表を除外する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の放送信号受信装置。
【請求項8】
上記制御部は、上記地デジ難視対策衛星放送のチャンネルを上記ワンタッチ選局ボタンに対応付けた場合には、上記地デジ難視対策衛星放送の電子番組表を上記地上デジタル放送の電子番組表の一部として表示する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の放送信号受信装置。
【請求項9】
上記放送信号受信装置の設置されている地域の入力を受付ける地域入力部を更に備え、
上記制御部は、上記地域入力部の受付けた地域において本来であれば上記ワンタッチ選局ボタンに割当てられるべき上記地上デジタル放送のチャンネルの電子番組表に代えて、上記ワンタッチ選局ボタンに割当てられた上記地デジ難視対策衛星放送のチャンネルの電子番組表を表示する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の放送信号受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−44467(P2012−44467A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184298(P2010−184298)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】