説明

放送受信装置及び放送受信方法

【課題】受信した放送波に含まれ暗号化された映像音声情報を効率よくデスクランブルして、放送番組の出力又は録画を同時に行うこと。
【解決手段】選局処理部211が選局したチャンネルの番組の信号に基づいてTS信号処理部212はスクランブルされた映像音声情報を復号部214へ出力する。選局処理部201が選局処理部211と同じチャンネルを選局している場合、暗号解除情報処理部203はTS信号処理部202からの情報によりICカードCDa,CDbから取得したスクランブルキーを、通信部205,215を介して暗号解除情報処理部213へ出力する。復号器204がこのキーで復号した映像音声は映像音声処理部206を介して表示器51とスピーカ52から出力される。暗号解除情報処理部213がこのキーを出力した復号部214で復号された映像音声は映像音声処理部216を介してHDD60へ記録される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デスクランブルされた映像音声情報が含まれる放送波を受信する放送受信装置及び放送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、チューナなどを複数備え、同時に放送される複数の異なる番組について、利用者による視聴のための映像音声の出力又は映像音声の録画を同時に行うことができる放送受信機器が広く普及している。この放送受信機器は、番組の出力又は録画のために受信した複数の異なる番組それぞれについて、個別に復調/復号処理を施す必要がある。このため放送受信機器が、放送波の受信及び復調/復号処理を実行するチューナや信号処理ICを複数備える場合がある。
【0003】
ところで、地上波や衛星によるデジタル放送では、番組の映像音声情報は暗号化(スクランブル)されて放送されている。前述した放送受信機器は、受信した放送波に含まれる暗号化された映像音声情報を所定の暗号解除情報を利用して復号(デスクランブル)することで、番組の映像音声の出力又は録画を行うことが可能となる。このように暗号化された映像音声情報のデスクランブルには、暗号解除情報を有する暗号解除部品が必要になる。例えば、日本でのデジタル放送のシステムにおいては、暗号解除部品としてB−CASカードが適用されている。
【0004】
従って前述した例のように信号処理ICが複数備えられた場合、番組の出力又は録画を行うためのデスクランブルで利用される暗号解除情報は、それぞれの信号処理ICで必要とされる。そこで番組の出力又は録画を同時に行うために、このような複数の信号処理ICそれぞれが、受信した複数の異なる番組それぞれについて効率よくデスクランブルするための技術が望まれている。
【0005】
例えば、特許文献1によれば、受信したサービス(番組)が、装着されたB−CASカードで視聴可能かを確認し、視聴できないと判定した場合は、通信インターフェースで接続する接続機器に対して、当該接続機器に装着されたB−CASカードで当該サービスが視聴可能かを、この通信インターフェースを通じて確認し、視聴が可能である場合は、接続機器での視聴または予約の設定を行うデジタル放送受信機の構成が開示されている。
【0006】
また、特許文献1による手法以外にも、複数の信号処理IC同士を通信可能に接続し、これら複数の信号処理ICそれぞれに接続されたB−CASカードにアクセスして取得した情報を、お互いに通信して共有するようにした構成による手法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−228350号公報 (図1 段落0025)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし特許文献1では、一方の機器が、この機器のB−CASカードでデスクランブルできない番組の視聴又は予約を他方の機器に委任する手法であった。従って、例えば双方の機器が、双方がデスクランブル可能な番組を同時に視聴又は予約をする場合には、同様な内容のデスクランブルのための複数の処理を双方の機器で平行して実行することになり、通信インターフェースで接続されているにも関わらず無駄な処理が多い構成であったといえる。
【0009】
また、複数の信号処理ICがそれぞれに接続されたB−CASカードにアクセスして取得した情報を共有するようにした手法でも、実装によっては、それぞれの信号処理ICが、同じ番組についてデスクランブルするための複数の処理を個別に実行する可能性があった。またそれぞれの信号処理ICが通信によって情報の要求や応答をお互いに行い合うことで、通信トラフィックが混雑し帯域を占有してしまうことが懸念される。
【0010】
すなわち、従来は、放送番組の出力又は録画を同時に行う場合に、受信した放送波に含まれ、暗号化された映像音声情報が効率よくデスクランブルされていなかった。
【0011】
そこで、本発明は上述した課題を解決するために、受信した放送波に含まれ、暗号化された映像音声情報を効率よくデスクランブルして、放送番組の出力又は録画を同時に行うことができる放送受信装置及び放送受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上述した課題を解決するため、暗号化された情報を含む第1の放送番組を受信する第1の受信手段と、暗号化された情報を含む第2の放送番組を受信する第2の受信手段と、前記第1の受信手段が受信した前記第1の放送番組に含まれる前記情報を復号するために利用される暗号解除情報を生成する情報生成部品から、前記暗号解除情報を取得する情報取得手段と、前記第1の受信手段が受信した前記第1の放送番組に含まれる前記情報を、前記暗号解除情報を利用して復号する第1の復号手段と、前記第2の受信手段が受信した前記第2の放送番組に含まれる前記情報を、前記情報取得手段が取得した前記暗号解除情報を利用して復号する第2の復号手段とを具備することを特徴とする放送受信装置を提供する。
【0013】
また本発明は上述した課題を解決するため、暗号化された情報を含む第1の放送番組を受信し、暗号化された情報を含む第2の放送番組を受信し、受信した前記第1の放送番組に含まれる前記情報を復号するために利用される暗号解除情報を生成する情報生成部品から、前記暗号解除情報を取得し、受信した前記第1の放送番組に含まれる前記情報を、前記暗号解除情報を利用して復号し、受信した前記第2の放送番組に含まれる前記情報を、取得した前記暗号解除情報を利用して復号することを特徴とする放送受信方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、受信した放送波に含まれ、暗号化された映像音声情報を効率よくデスクランブルして、放送番組の出力又は録画を同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る放送受信装置であるテレビジョン受像機の構成を示すブロック図。
【図2】2つの信号処理制御部に備えられ、放送番組の映像音声情報のデスクランブル処理を実行する複数のブロックからなるシステム構成図。
【図3】一方の信号処理制御部が選局したチャンネルの番組であって、他方の信号処理制御部が選局したチャンネルの番組とは異なる番組のデスクランブル処理の動作を説明するためのフローチャート。
【図4】一方の信号処理制御部が選局したチャンネルの番組であって、他方の信号処理制御部が選局したチャンネルの番組と同じ番組のデスクランブル処理の動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明における実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る放送受信装置であるテレビジョン受像機10の構成を示すブロック図である。
このテレビジョン受像機10は、地上放送処理部20a、衛星放送処理部20b、外部機器IF部21、操作部31、受光部32、信号処理制御部40a、信号処理制御部40b、表示器51、スピーカ52、HDD60、カードIF部71a、カードIF部71bなどで構成されている。
【0017】
地上放送処理部20aにはアンテナANT1が、衛星放送処理部20bにはアンテナANT2がそれぞれ接続されている。受光部32はリモートコントローラ(以下、リモコンと称する)RCと情報のやりとりを行う。カードIF部71aはICカードCDaを、カードIF部71bはICカードCDbを装着される。
【0018】
テレビジョン受像機10は、地上放送処理部20a、衛星放送処理部20bを介して取得した番組について、テレビジョン受像機10の利用者による視聴のための映像音声の出力又は映像音声の録画を行う。地上デジタル放送波(以下、地上放送と称する)及び衛星デジタル放送波(以下、衛星放送と称する)で放送される番組の映像音声情報は、所定の暗号化情報であるスクランブルキー(Ks)で暗号化されている。従ってテレビジョン受像機10は、暗号化するための情報であると共に、暗号を解除するための暗号解除情報であるスクランブルキー(Ks)を利用して番組の映像音声情報を復号することで、漸く番組の出力又は録画を行うことができる。このような番組の映像音声情報を復号する処理又は復号そのものは、デスクランブルと呼ばれる。
【0019】
このスクランブルキー(Ks)は、映像音声情報に付随して放送されるSI情報の一部である、ECM(Entitled Control Message)及びEMM(Entitled Management Message)と、ICカードCDa(又は同CDb)に格納されているマスターキー(Km)とによって生成される。従って、ECM、EMM及びマスターキー(Km)は、暗号解除情報であるスクランブルキー(Ks)の基となる基情報であるといえる。
【0020】
すなわち、本実施形態に係るテレビジョン受像機10は、地上放送処理部20a又は衛星放送処理部20bからの放送番組を、信号処理制御部40a及び同40bと、カードIF部71aに装着されるICカードCDa又はカードIF部71bに装着されるICカードCDbとを利用してデスクランブルし、この番組の出力又は録画を行う。
【0021】
地上放送処理部20aは、アンテナANT1によって受信された地上デジタル放送波に対応するチューナ及び復調器を有する。この地上放送処理部20aは、アンテナANT1が受信した信号を取得し、この取得した信号に対して、信号処理制御部40a又は同40bから要求された番組に対して選局処理及び復調処理などを施す。そして地上放送処理部20aは、これらの処理を施した、番組の映像音声情報や番組名等の番組関連情報が含まれるトランスポートストリーム信号(以下、TS信号と称する)を信号処理制御部40a,40bへ出力する。この地上放送処理部20aは、ECM及びEMMが含まれるSI情報が含まれる信号を取得し、これらの情報が含まれるTS信号を出力する。また本実施形態では、地上放送処理部20aは複数設けられる構成である。
【0022】
衛星放送処理部20bは、アンテナANT2によって受信された衛星デジタル放送波に対応するチューナ及び復調器を有する。この衛星放送処理部20bは、アンテナANT1が受信した信号を取得し、この取得した信号に対して、信号処理制御部40a又は同40bから要求された番組に対して選局処理や復調処理などを施す。そして衛星放送処理部20bは、これらの処理を施した、番組の映像音声情報や番組名等の番組関連情報が含まれるTS信号を信号処理制御部40a,40bへ出力する。この衛星放送処理部20bは、ECM及びEMMが含まれるSI情報が含まれる信号を取得し、これらの情報が含まれるTS信号を出力する。また本実施形態では、衛星放送処理部20bは複数設けられる構成である。
【0023】
外部機器IF部21は、HDMI(登録商標)規格、USB規格又はIEEE1394規格などの様々な規格に基づいて特定の情報を抽出する情報抽出部を有する。また外部機器IF部21は、これらの様々な規格に準じた接続端子を介して接続された外部機器や、外部HDD、メモリカードなどの記録媒体といった情報提供源から、コンテンツの映像音声情報やコンテンツ関連情報が含まれる信号を取得して、この信号に基づくTS信号を信号処理制御部40a,40bへ出力する。
【0024】
操作部31は、テレビジョン受像機10を操作するための操作入力を受ける操作キーを有し、この操作キーへの入力に応じた操作入力情報を信号処理制御部40a,40bへ出力する。同様に受光部32は、リモコンRCからの操作入力を示す信号を受光(受信)して、受光した信号に応じた操作入力情報を信号処理制御部40a,40bへ出力する。この操作部31またはリモコンRCは、受信するチャンネルを切り替えるためのチャンネルキー、特定の番組を録画するための録画開始キーなどを備えている。
【0025】
信号処理制御部40aは、信号処理制御部40a自身に備えられた各ブロックや信号処理制御部40aに接続された各モジュールを利用して、複数の処理を実行する。例えば信号処理制御部40aは、操作部31や受光部32を介したリモコンRCからの操作入力情報に応じて、地上放送処理部20a、衛星放送処理部20b又は外部機器IF部21といった入力ソースの何れかからのTS信号の入力を選択する入力選択処理や、選択された入力ソースから入力されたTS信号に基づいた映像音声を出力するための処理を施す。具体的には信号処理制御部40aは、選択した入力ソースから入力されたTS信号に対して、映像情報と音声情報とを分離する分離処理やMPEG復号化演算処理などの処理を施して、表示器51へ映像信号を出力すると共にスピーカ52へ音声信号を出力する。
【0026】
本実施形態では、信号処理制御部40aは、地上放送処理部20a又は衛星放送処理部20bから入力されたTS信号からECM及びEMMを抽出する抽出処理や、信号処理制御部40bと通信する通信処理を実行する。また信号処理制御部40aは、カードIF部71aに装着されるICカードCDa又はカードIF部71bに装着されるICカードCDbを利用して、暗号化された映像音声情報のデスクランブルに利用される暗号解除情報(スクランブルキー(Ks))を取得する。さらに信号処理制御部40aは、この暗号処理情報で映像音声情報をデスクランブルする。
【0027】
信号処理制御部40bは、信号処理制御部40b自身に備えられた各ブロックや信号処理制御部40bに接続された各モジュールを利用して、複数の処理を実行する。例えば信号処理制御部40bは、信号処理制御部40aと同様の入力選択処理や、選択した入力ソースから入力されたTS信号に基づいた映像音声を録画するための処理を施す。具体的には信号処理制御部40aは、入力された信号に対して、映像情報と音声情報とを分離する分離処理や録画するためのフォーマットに変換するフォーマット変換処理などを施し、フォーマット変換された映像音声情報をHDD60へ記録する。
【0028】
本実施形態では、信号処理制御部40bは、地上放送処理部20a又は衛星放送処理部20bから入力されたTS信号からECM及びEMMを抽出する抽出処理や、信号処理制御部40aと通信する通信処理を実行する。また信号処理制御部40bは、信号処理制御部40aと通信することで取得した暗号解除情報を利用して、暗号化された映像音声情報をデスクランブルする。
【0029】
これら信号処理制御部40a,40bは、同じブロックからなる同じシステム構成を備えるものであるが、接続されるブロックの違いにより、異なる動作を実行することになる。
【0030】
表示器51は、信号処理制御部40aから入力された映像信号を表示する表示パネルを含む表示モジュールである。表示器51には例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)などの薄型平面ディスプレイを適用することができる
【0031】
スピーカ52は、信号処理制御部40aから入力された音声信号を出力する。スピーカ52は、一つだけではなく、左右チャンネル用に2つ、又は入力された音声信号の低音域を出力するためのサブウーファなどが設けられてもよい。
【0032】
HDD60は、様々な情報を記憶するための記憶媒体であるハードディスクに対して、信号処理制御部40bから要求された情報を読み出す処理又は書き込む処理を実行するドライブ装置である。このHDD60は、信号処理制御部40bから出力される、録画するためのフォーマットに変換された映像音声情報を記憶する。このHDD60は、様々な情報を記憶するための記憶媒体である半導体素子に対して、情報を読み出す処理又は書き込む処理を実行するSSD(Solid State Drive)であってもよい。
【0033】
カードIF部71a,71bは、ICカードCDa,CDbを装着するため機構部、及びICカードCDa,CDbと通信するための通信処理部を有する。カードIF部71a,71bは、ICカードCDa,CDbと通信して、信号処理制御部40a,40bで実行されるデスクランブル処理のために必要な情報を送受信する。
【0034】
またこれらのブロックだけでなく、テレビジョン受像機10は、LAN又はWANなどのネットワークを介して通信を行う通信処理部を有するネットワークIF機能を実現するブロック(不図示)を備えてもよい。このブロックは、接続したネットワーク先の特定サーバや記録媒体などの情報提供源から、コンテンツの映像音声情報やコンテンツ関連情報が含まれる信号を取得して、この信号に基づくTS信号を信号処理制御部40a,40bへ出力する。また信号処理制御部40a,40bは、入力ソースの一つとして、このブロックから入力されるTS信号を選択する。
【0035】
なお本実施形態は、本発明に係る構成を適用した放送受信装置として、テレビジョン受像機10を例とした実施形態である。しかし、本実施形態に係る放送受信装置と同様の構造の、パーソナルコンピュータ、携帯型移動端末装置、HDD/光ディスクレコーダなどを例とした形態であっても構わない。また、地上放送や衛星放送だけでなく、ラジオ放送やインターネット又はケーブルネットワーク等を用いた有線放送などを受信するセットトップボックスなどを例とした実施形態であってもよい。
【0036】
このような構成により、本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機10に備えられた複数のブロックが、地上放送処理部20a又は衛星放送処理部20bから入力される放送番組のTS信号に基づいて、ECM及びEMMの抽出処理や、映像音声情報のデスクランブル処理を並列的に実行する。このデスクランブル処理で利用される暗号解除情報は、2つの信号処理制御部40a,40bのうちの一方の信号処理制御部40aに接続されるICカードCDa,CDbを利用して取得される。従ってこのテレビジョン受像機10は、暗号化された放送番組の映像音声情報を効率よくデスクランブルすることができる。これらの処理は、主に信号処理制御部40a,40bが複数の処理を連携して実行することで実現されるものである。
【0037】
次に、図2を用いて、図1で説明した信号処理制御部40a,40bに備えられ、放送番組の映像音声情報のデスクランブル処理を実行する複数のブロックを説明する。
【0038】
図2は、信号処理制御部40a,40bに備えられ、放送番組の映像音声情報のデスクランブル処理を実行する複数のブロックからなるシステム構成図である。
信号処理制御部40a,40bは同じブロックからなる同じシステム構成を備え、それぞれがパッケージ封印された異なる半導体部品として構成される。また本実施形態においては、信号処理制御部40a,40bが備えるいくつかのブロックに接続されるモジュールが異なり、このことでいくつかのブロックが異なる動作を実行するものである。従ってこれ以降では、まず、信号処理制御部40aに備えられる各ブロックについて説明する。そして引き続き、信号処理制御部40bに備えられる各ブロックについて、信号処理制御部40aと共通の動作を行うブロックの説明は省略又は簡略化し、異なる動作を行うブロックについては補足的に説明する。すなわち、図2に示すシステム構成図を用いて、信号処理制御部40a,40bの両方のシステム構成を説明する。ここで、信号処理制御部40a,40bが備えるそれぞれのブロックは同じものであるがそれぞれの符号は変えて説明する。
【0039】
(信号処理制御部40aのシステム構成)
信号処理制御部40aは、選局処理部201、TS信号処理部202、暗号解除情報処理部203、復号部204、通信部205、映像音声処理部206などを備えている。
【0040】
選局処理部201は、操作部31や受光部32を介したリモコンRCからの操作入力情報に応じて、特定のチャンネルの番組を選局するように、地上放送処理部20a又は衛星放送処理部20bに要求する。また選局処理部201は、選局を要求した地上放送処理部20a又は衛星放送処理部20bの何れかからのTS信号の入力を選択するための入力選択情報をTS信号処理部202へ出力する。さらに選局処理部201は、信号処理制御部40aで選局されたチャンネルに関する情報である40aチャンネル情報を暗号解除情報処理部203へ通知する。
【0041】
TS信号処理部202は、選局処理部201から入力された入力選択情報に応じて、地上放送処理部20a又は衛星放送処理部20bの何れかから入力されるTS信号を選択して切り替える入力選択処理を実行する。またTS信号処理部202は、選択して切り替えた入力ソースから入力されたTS信号に対して分離処理を施し、分離した映像情報と音声情報とを復号部204へ出力する。さらにTS信号処理部202は、入力されたTS信号のSI情報に含まれるECM及びEMMを抽出し、この抽出したECM及びEMMを暗号解除情報処理部203へ出力する。
【0042】
暗号解除情報処理部203は、TS信号処理部202から入力されたECM及びEMMを、カードIF部71a,71bを介してICカードCDa,CDbへ送信して、ICカードCDa,CDbから暗号解除情報であるスクランブルキー(Ks)をカードIF部71a,71bを介して受信して取得する。すなわちICカードCDa,CDbは、暗号解除情報を生成する報生成部品として構成されている。そして暗号解除情報処理部203は、取得したスクランブルキー(Ks)を復号部204へ出力する。また暗号解除情報処理部203は、選局処理部201から入力された40aチャンネル情報と、通信部205から入力された、信号処理制御部40bで選局されたチャンネルに関する情報である40bチャンネル情報とに基づいて、双方が同じチャンネルを選局しているか否かを判断して、この判断結果を通信部205へ出力する。さらに暗号解除情報処理部203は、通信部205からのキー出力要求に応じて、ICカードCDa,CDbから取得したスクランブルキー(Ks)を通信部205へ出力する。また暗号解除情報処理部203は、通信部205からECM及びEMMを入力された場合、入力されたECM及びEMMをICカードCDa,CDbへ送信して、ICカードCDa,CDbから受信して取得したスクランブルキー(Ks)を通信部205へ出力する。
【0043】
復号部204は、TS信号処理部202から入力された映像情報と音声情報とを、暗号解除情報処理部203から入力されたスクランブルキー(Ks)を利用して復号し、復号された映像情報と音声情報とを映像音声処理部206へ出力する。
【0044】
通信部205は、信号処理制御部40bと通信するための通信モジュールである。この通信部205は、信号処理制御部40bから受信した40bチャンネル情報を暗号解除情報処理部203へ出力すると共に、暗号解除情報処理部203から入力された判断結果を信号処理制御部40bへ送信する。また通信部205は、信号処理制御部40bから受信したECM及びEMMを暗号解除情報処理部203へ出力すると共に、暗号解除情報処理部203から入力されたスクランブルキー(Ks)を信号処理制御部40bへ送信する。さらに通信部205は、信号処理制御部40bからキーの提供を要求された場合、この要求に応じて暗号解除情報処理部203へスクランブルキー(Ks)の出力を要求すると共に、暗号解除情報処理部203から入力されたスクランブルキー(Ks)を信号処理制御部40bへ送信する。
【0045】
映像音声処理部206は、復号部204から入力された、復号された映像情報と音声情報とに基づいて、MPEG復号化演算処理などを施して映像音声信号を生成し、生成した映像信号を表示器51へ、音声信号をスピーカ52へ出力する。
【0046】
(信号処理制御部40bのシステム構成)
信号処理制御部40bは、信号処理制御部40aと同様に、選局処理部211、TS信号処理部212、暗号解除情報処理部213、復号部214、通信部215、映像音声処理部216などを備えている。
【0047】
これらのブロックのうち、選局処理部211、TS信号処理部212及び復号部214それぞれは、信号処理制御部40aに備えられた選局処理部201、TS信号処理部202及び復号部204と同じ動作を行う。以降では、信号処理制御部40aに備えられたものとは異なる動作を行うブロックを説明する。
【0048】
暗号解除情報処理部213は、選局処理部211から入力された40bチャンネル情報を通信部215へ出力し、この情報出力に応じた、信号処理制御部40aで選局されているチャンネルと一致しているか否かを示すチャンネル一致情報を、通信部215から受け取る。そして暗号解除情報処理部213は、通信部215から受け取ったチャンネル一致情報に基づいて、TS信号処理部212から入力されたECM及びEMMを通信部215へ出力する。さらに暗号解除情報処理部213は、選局処理部211から入力された40bチャンネル情報に対応する番組の映像音声情報をデスクランブルするためのスクランブルキー(Ks)の出力を要求するキー要求情報を通信部215へ通知する。そして暗号解除情報処理部213は、通信部215から入力されたスクランブルキー(Ks)を復号部214へ出力する。
【0049】
通信部215は、信号処理制御部40aと通信するための通信モジュールである。この通信部215は、暗号解除情報処理部213から入力された40bチャンネル情報を信号処理制御部40aへ送信すると共に、信号処理制御部40aから受信したチャンネル一致情報を暗号解除情報処理部213へ出力する。また通信部215は、暗号解除情報処理部213から入力されたキー要求情報を信号処理制御部40aへ送信すると共に、信号処理制御部40aから受信したスクランブルキー(Ks)を暗号解除情報処理部213へ出力する。さらに通信部215は、暗号解除情報処理部213から入力されたECM及びEMMを信号処理制御部40aへ送信する。
【0050】
映像音声処理部216は、復号部214から入力された、復号された映像情報と音声情報とに対してフォーマット変換処理を施して、このフォーマット変換した映像情報と音声情報とをHDD60へ出力する。
【0051】
すなわち、これら複数のブロックによるシステム構成により、信号処理制御部40a,40bは、通信を行うことでお互いに連携して、地上放送処理部20a又は衛星放送処理部20bから入力される放送番組のデスクランブル処理を並列的に実行する。この信号処理制御部40a,40bで実行されるデスクランブル処理で利用される暗号解除情報は、信号処理制御部40a,40bそれぞれで選局しているチャンネルに応じて、信号処理制御部40aに接続されるICカードCDa,CDbを利用して取得される。従ってこのテレビジョン受像機10は、暗号化された映像音声情報を効率よくデスクランブルして、放送番組の出力又は録画を同時に行うことができる。
【0052】
次に、図3を用いて、図2で説明した信号処理制御部40a.40bに備えられる各ブロックによって実行される、信号処理制御部40bが選局したチャンネルの番組であって、信号処理制御部40aが選局したチャンネルの番組とは異なる番組のデスクランブル処理の動作を説明する。
【0053】
図3は、信号処理制御部40bが選局したチャンネルの番組であって、信号処理制御部40aが選局したチャンネルの番組とは異なる番組のデスクランブル処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【0054】
すなわち、図3に示すフローチャートは、信号処理制御部40a,40bそれぞれが、異なるチャンネルを選局している場合の動作を説明するための図である。
まず信号処理制御部40bにおいて、特定のチャンネルが選局される(S311)。通信部215は、暗号解除情報処理部213を介して選局処理部211から出力された40bチャンネル情報を信号処理制御部40aへ送信する(S312)。
【0055】
信号処理制御部40aにおいて、通信部205が、この40bチャンネル情報を受信する(S301)。通信部205は受信した40bチャンネル情報を暗号解除情報処理部203へ出力し、暗号解除情報処理部203が40aチャンネル情報と40bチャンネル情報との一致を判定する(S302)。すなわち信号処理制御部40aにおいても特定のチャンネルが選局されている。暗号解除情報処理部203は、このチャンネル一致の判定で、お互いの選局チャンネルが不一致であると判定すると共に、チャンネル不一致を示すチャンネル一致情報を通信部205へ出力し、通信部205がこのチャンネル一致情報を信号処理制御部40bへ送信する(S303)。
【0056】
信号処理制御部40bにおいて、通信部215は、チャンネル不一致を示すチャンネル一致情報を受信する(S313)と、この情報を暗号解除情報処理部213へ出力する。そして暗号解除情報処理部213は、TS信号処理部212が、地上放送処理部20a又は衛星放送処理部20b入力されたTS信号から抽出したECM及びEMMを取得する(S314)。また暗号解除情報処理部213は、取得したECM及びEMMと、このECM及びEMMに基づく暗号解除情報(スクランブルキー(Ks))の出力を信号処理制御部40aへ要求するキー要求情報とを通信部215へ出力する。そして通信部215は、このECM及びEMMとキー要求情報とを信号処理制御部40aへ送信する(S315)。
【0057】
信号処理制御部40aでは、通信部205が、このECM及びEMMとキー要求情報とを受信する(S304)。通信部205は、これらの情報を暗号解除情報処理部203へ出力し、暗号解除情報処理部203は、入力されたECM及びEMMをカードIF部71a,71bを介してICカードCDa,CDbへ送信する(S305)。そして暗号解除情報処理部203は、カードIF部71a,71bを介してICカードCDa,CDbから暗号解除情報(スクランブルキー(Ks))を受信する(S306)。暗号解除情報処理部203は、受信した暗号解除情報を通信部205へ出力し、受信部205がこの暗号解除情報を信号処理制御部40bへ送信する(S307)。
【0058】
信号処理制御部40bでは、通信部215は、暗号解除情報を受信する(S316)と、この情報を暗号解除情報処理部213へ出力する。そして暗号解除情報処理部213は、この暗号解除情報を復号部214へ出力し、復号部214は、TS信号処理部212から入力された映像情報と音声情報とを、この暗号解除情報を利用して復号する(S317)。
【0059】
なお、信号処理制御部40bに備えられた通信部215が、ECM及びEMMを同時に送信する実施形態を説明したが、EMMは、デスクランブル処理の実行よりも前に送信しておく実施形態であってもよい。
【0060】
このような動作に基づいて、信号処理制御部40bが選局したチャンネルの番組であって、信号処理制御部40aが選局したチャンネルの番組とは異なる番組のデスクランブル処理が実行されるので、本実施形態に係るテレビジョン受像機10は、暗号化された映像音声情報を効率よくデスクランブルして、放送番組の出力又は録画を同時に行うことができる。
【0061】
次に、図4を用いて、図2で説明した信号処理制御部40a.40bに備えられる各ブロックによって実行される、信号処理制御部40bが選局したチャンネルの番組であって、信号処理制御部40aが選局したチャンネルの番組と同じ番組のデスクランブル処理の動作を説明する。
【0062】
図4は、信号処理制御部40bが選局したチャンネルの番組であって、信号処理制御部40aが選局したチャンネルの番組と同じ番組のデスクランブル処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【0063】
すなわち、図4に示すフローチャートは、信号処理制御部40a,40bそれぞれが、同じチャンネルを選局している場合の動作を説明するための図である。
まず信号処理制御部40bにおいて、特定のチャンネルが選局される(S411)。通信部215は、暗号解除情報処理部213を介して選局処理部211から出力された40bチャンネル情報を信号処理制御部40aへ送信する(S412)。
【0064】
信号処理制御部40aにおいて、通信部205が、この40bチャンネル情報を受信する(S401)。通信部205は受信した40bチャンネル情報を暗号解除情報処理部203へ出力し、暗号解除情報処理部203が40aチャンネル情報と40bチャンネル情報との一致を判定する(S402)。暗号解除情報処理部203は、このチャンネル一致の判定で、お互いの選局チャンネルが一致していると判定すると共に、チャンネル一致を示すチャンネル一致情報を通信部205へ出力し、通信部205がこのチャンネル一致情報を信号処理制御部40bへ送信する(S403)。また暗号解除情報処理部203は、40aチャンネル情報であって40bチャンネル情報でもある現在の選局チャンネルの暗号解除情報を準備する(S404)。この準備は例えば、RAM(不図示)の特定領域から暗号解除情報を読み出して通信部205へ通知するための領域へ書き込む動作などである。
【0065】
信号処理制御部40bにおいて、通信部215は、チャンネル一致を示すチャンネル一致情報を受信する(S413)と、この情報を暗号解除情報処理部213へ出力する。そして暗号解除情報処理部213は、暗号解除情報(スクランブルキー(Ks))の出力を信号処理制御部40aへ要求するキー要求情報を通信部215へ出力する。そして通信部215は、このキー要求情報を信号処理制御部40aへ送信する(S414)。
【0066】
信号処理制御部40aでは、通信部205が、このキー要求情報を受信する(S405)。通信部205は、この情報を暗号解除情報処理部203へ出力し、暗号解除情報処理部203は、準備しておいた暗号解除情報を通信部205へ出力し、受信部205がこの暗号解除情報を信号処理制御部40bへ送信する(S406)。
【0067】
信号処理制御部40bでは、通信部215は、暗号解除情報を受信する(S415)と、この情報を暗号解除情報処理部213へ出力する。そして暗号解除情報処理部213は、この暗号解除情報を復号部214へ出力し、復号部214は、TS信号処理部212から入力された映像情報と音声情報とを、この暗号解除情報を利用して復号する(S416)。
【0068】
このような動作に基づいて、信号処理制御部40bが選局したチャンネルの番組であって、信号処理制御部40aが選局したチャンネルの番組と同じ番組のデスクランブル処理が実行されるので、本実施形態に係るテレビジョン受像機10は、暗号化された映像音声情報を効率よくデスクランブルして、放送番組の出力又は録画を同時に行うことができる。
【0069】
以上説明したように本実施形態によれば、ICカードを接続されない信号処理制御部40bでの選局チャンネルの放送番組に対するデスクランブル処理に必要な暗号解除情報が、信号処理制御部40aに接続されるICカードCDa,CDbを利用して取得される。そして信号処理制御部40bで利用される暗号解除情報を生成するために必要な情報であるECM及びEMMは、信号処理制御部40a,40bでの選局チャンネルに応じて、効率よく抽出される。従って、本発明に係る実施形態によれば、暗号化された放送番組の映像音声情報を効率よくデスクランブルすることができる。
【0070】
なお本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよく、さらに、異なる実施形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0071】
10…テレビジョン受像機、20a…地上放送処理部、20b…衛星放送処理部、21…外部機器IF部、31…操作部、32…受光部、40a,40b…信号処理制御部、51…表示器、52…スピーカ、60…HDD、71a,71b…カードIF部、RC…リモコン、CDa,CDb…ICカード、201,211…選局処理部、202,212…TS信号処理部、203,213…暗号解除情報処理部、204,214…復号部、205,215…通信部、206,216…映像音声処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号化された情報を含む第1の放送番組を受信する第1の受信手段と、
暗号化された情報を含む第2の放送番組を受信する第2の受信手段と、
前記第1の受信手段が受信した前記第1の放送番組に含まれる前記情報を復号するために利用される暗号解除情報を生成する情報生成部品から、前記暗号解除情報を取得する情報取得手段と、
前記第1の受信手段が受信した前記第1の放送番組に含まれる前記情報を、前記暗号解除情報を利用して復号する第1の復号手段と、
前記第2の受信手段が受信した前記第2の放送番組に含まれる前記情報を、前記情報取得手段が取得した前記暗号解除情報を利用して復号する第2の復号手段と、
を具備することを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記第1の受信手段が受信した前記第1の放送番組に含まれ、前記第1の放送番組に含まれる前記情報を復号するために利用される前記暗号解除情報の基となる基情報を抽出する情報抽出手段を更に具備し、
前記第1及び第2の放送番組が同じ場合、前記情報取得手段は、前記情報抽出手段が抽出した前記基情報に基づいて、前記暗号解除情報を取得することを特徴とする請求項1記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記第2の受信手段が受信した前記第2の放送番組に含まれ、前記第2の放送番組に含まれる前記情報を復号するために利用される暗号解除情報の基となる基情報を抽出する、前記情報抽出手段とは異なる第2の情報抽出手段を更に具備し、
前記第1及び第2の放送番組が異なる場合、前記情報取得手段は、前記第2の情報抽出手段が抽出した前記基情報に基づいて、前記暗号解除情報を取得することを特徴とする請求項2記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記第1の復号手段が復号した前記第1の放送番組に含まれる前記情報に基づいて、第1の映像音声を出力する出力制御手段と、
前記第2の復号手段が復号した前記第2の放送番組に含まれる前記情報に基づいて、第2の映像音声を記録する記録制御手段と、
を具備することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の放送受信装置。
【請求項5】
前記第1の復号手段と前記第2の復号手段とは、それぞれ異なるパッケージに封印された異なる半導体部品として構成され、
第2の復号手段は、前記異なる半導体部品の間で行われる通信によって、前記暗号解除情報を得ることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の放送受信装置。
【請求項6】
暗号化された情報を含む第1の放送番組を受信し、
暗号化された情報を含む第2の放送番組を受信し、
受信した前記第1の放送番組に含まれる前記情報を復号するために利用される暗号解除情報を生成する情報生成部品から、前記暗号解除情報を取得し、
受信した前記第1の放送番組に含まれる前記情報を、前記暗号解除情報を利用して復号し、
受信した前記第2の放送番組に含まれる前記情報を、取得した前記暗号解除情報を利用して復号する、
ことを特徴とする放送受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−139335(P2011−139335A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298514(P2009−298514)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】