説明

放送波受信システムおよびソフトウェア無線機

【課題】放送波受信機14bにおけるダイバーシティ受信又はアダプティブ受信性能の向上を実現することができる放送波受信システム1等を提供する。
【解決手段】車両10b側に放送波受信機14bに接続された車車間通信可能なソフトウェア無線機16bとソフトウェア無線機16bに接続された車車間通信部18bとを設置し、車両10aの側にも同様に設置する。ソフトウェア無線機16bの無線処理部16b−2は、放送波受信機14bがダイバーシティ受信またはアダプティブ受信した放送波Rの無線信号RFと、並走する他の車載機10aの放送波受信機14aがダイバーシティ受信またはアダプティブ受信した同一放送波Rの無線信号RFであって他の車両10aから車車間通信com−abにより送信されたものとを合わせてダイバーシティ受信又はアダプティブ受信処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイバーシティ受信またはアダプティブ受信可能な放送波受信機を有する車両間における放送波受信システムおよび当該放送波受信システムに用いられるソフトウェア無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
移動受信環境下での放送受信、例えば車載テレビによるテレビジョン放送波の受信は、フェージングによる電波伝搬の急激な変動に従い受信する信号が著しく劣化してしまうことが多い。このため、従来、複数アンテナを用いたダイバーシティ受信またはアダプティブ受信技術がよく用いられていた。
【0003】
上述のアダプティブ受信技術では、複数素子のアンテナを配列し、受信波の到来方向が未知または時間的に変化する場合にも複数のアンテナのビームを自動的に追従させて、所望の通信相手または通信エリアの方向へアンテナ指向面を向けることができる。しかし、車両に設置する場合、アンテナ数は最大でも4本であり、複数のアンテナ間の物理的間隔を遠ざけることは困難である。このため、車載機(車載受信機)におけるダイバーシティ受信またはアダプティブ受信効果による受信性能の改善には自ずと限界があった。
【0004】
上述のような車載機での受信を改善するために、交通情報を対象とした車載情報装置がある(特許文献1参照)。この車載情報装置では受信した交通情報を参照用交通情報として車車間通信を用いて同報し、自車が受信した交通情報の適正さを他車から受信した参照用交通情報を用いて調査する方法を用いている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−139510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1記載の車載情報装置では、車車間通信を利用することにより自車が受信した交通情報の適正さを調査する方法を用いている。しかし、当該方法を用いても車載機(車載受信機)による受信性能自体が向上する訳ではないため、車載機(車載受信機)におけるダイバーシティ受信またはアダプティブ受信性能の向上を実現することはできないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになされたものであり、車載機(車載受信機)におけるダイバーシティ受信またはアダプティブ受信性能の向上を実現することができる放送波受信システムおよびソフトウェア無線機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の放送波受信システムは、ダイバーシティ受信又はアダプティブ受信可能な放送波受信機を有する車両間における放送波受信システムであって、該車両は該受信機に接続され車車間通信可能なソフトウェア無線機を備えており、前記ソフトウェア無線機は、前記放送波受信機がダイバーシティ受信又はアダプティブ受信した放送波の無線信号と、他の車載機の放送波受信機がダイバーシティ受信又はアダプティブ受信した同一放送波の無線信号であって該他の車両から車車間通信により送信されたものとを合わせてダイバーシティ受信又はアダプティブ受信処理する無線処理手段、前記放送波受信機が無線信号から変換した中間周波数信号と、他の車載機の放送波受信機が同一放送波について無線信号から変換した中間周波数信号であって該他の車両から車車間通信により送信されたものとを合わせて処理する中間周波数処理手段、前記放送波受信機が中間周波数信号から変換したベースバンド信号と、他の車載機の放送波受信機が同一放送波について中間周波数信号から変換したベースバンド信号であって該他の車両から車車間通信により送信されたものとを合わせて処理するベースバンド処理手段、前記放送波受信機がベースバンド信号から変換したデータ信号と、他の車載機の放送波受信機が同一放送波についてベースバンド信号から復調したデータ信号であって該他の車両から車車間通信により送信されたものとを合わせて処理するデータ処理手段のいずれか1以上の処理手段と、他の車両から車車間通信により送信された信号に応じて、前記無線処理手段、前記中間周波数処理手段、前記ベースバンド処理手段又は前記データ処理手段のいずれか1つ以上を実行させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
ここで、この発明の放送波受信システムにおいて、前記ソフトウェア無線機は、前記放送波受信機がダイバーシティ受信又はアダプティブ受信した放送波の無線信号、中間周波数信号、ベースバンド信号又はデータ信号のいずれか1つ以上を車車間通信で利用可能な帯域に応じて動的に選択し、選択された信号を他の車両へ車車間通信により送信する送信手段をさらに備えることができる。
【0010】
この発明のソフトウェア無線機は、ダイバーシティ受信又はアダプティブ受信可能な放送波受信機に接続された車車間通信可能なソフトウェア無線機であって、前記放送波受信機がダイバーシティ受信又はアダプティブ受信した放送波の無線信号と、他の車載機の放送波受信機がダイバーシティ受信又はアダプティブ受信した同一放送波の無線信号であって該他の車両から車車間通信により送信されたものとを合わせてダイバーシティ受信又はアダプティブ受信処理する無線処理手段、前記放送波受信機が無線信号から変換した中間周波数信号と、他の車載機の放送波受信機が同一放送波について無線信号から変換した中間周波数信号であって該他の車両から車車間通信により送信されたものとを合わせて処理する中間周波数処理手段、前記放送波受信機が中間周波数信号から変換したベースバンド信号と、他の車載機の放送波受信機が同一放送波について中間周波数信号から変換したベースバンド信号であって該他の車両から車車間通信により送信されたものとを合わせて処理するベースバンド処理手段、前記放送波受信機がベースバンド信号から変換したデータ信号と、他の車載機の放送波受信機が同一放送波についてベースバンド信号から復調したデータ信号であって該他の車両から車車間通信により送信されたものとを合わせて処理するデータ処理手段のいずれか1以上の処理手段と、他の車両から車車間通信により送信された信号に応じて、前記無線処理手段、前記中間周波数処理手段、前記ベースバンド処理手段又は前記データ処理手段のいずれか1つ以上を実行させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
ここで、この発明のソフトウェア無線機において、前記放送波受信機がダイバーシティ受信又はアダプティブ受信した放送波の無線信号、中間周波数信号、ベースバンド信号又はデータ信号のいずれか1つ以上を車車間通信で利用可能な帯域に応じて動的に選択し、選択された信号を他の車両へ車車間通信により送信する送信手段をさらに備えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の放送波受信システム等によれば、車両側に放送波受信機に接続された車車間通信可能なソフトウェア無線機とソフトウェア無線機に接続された車車間通信部とを設置する。他の車両側にも同様に放送波受信機に接続された車車間通信可能なソフトウェア無線機とソフトウェア無線機に接続された車車間通信部を設置する。各車両は車車間通信部を介して車車間通信を行う。ソフトウェア無線機のソフトウェア無線信号処理部には、無線処理部、中間周波数処理部、ベースバンド処理部、データ処理部、制御部および送信部の各種の処理部(ソフトウェア部分)が記録されている。無線処理部は、放送波受信機がダイバーシティ受信またはアダプティブ受信した放送波Rの無線信号RFと、並走する他の車載機の放送波受信機がダイバーシティ受信またはアダプティブ受信した同一放送波Rの無線信号RFであって他の車両から車車間通信により送信されたものとを合わせてダイバーシティ受信またはアダプティブ受信処理を行う。すなわち、自車のアンテナ(複数)で受信した無線信号RFに他車のアンテナ(複数)で受信した無線信号RFも加えてダイバーシティ受信またはアダプティブ受信処理を行う。同一放送波Rを受信する車両間で放送受信信号を車車間通信を用いてやりとりすることにより、車両単体では実現することができなかったアンテナブランチ数の増大とブランチ間の物理的間隔の拡大とを可能にすることができる。このため、ダイバーシティ受信またはアダプティブ受信効果を高めることができ、移動受信環境下に特有なフェージングの影響を低減することができる。この結果、放送波受信機(車載受信機)におけるダイバーシティ受信またはアダプティブ受信性能の向上を実現することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、各実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1における放送波受信システム1を示す。図1において、符号20はテレビジョン放送波等の放送波Rを放射する放送局側アンテナ、10a、10b、10cは車両、12a、12b、12cは各々放送局側アンテナ20からの同一の放送波Rをダイバーシティ受信またはアダプティブ受信するために車両10a、10b、10cに設置された高々4本程度の複数のアンテナ、14a、14b、14cは各々アンテナ12a、12b、12cに接続されダイバーシティ受信処理またはアダプティブ受信処理可能な放送波受信機、16a、16b、16cは各々放送波受信機14a、14b、14cと接続されたソフトウェア無線機である。図1において、符号com−abは車両10aと10bとの間の車車間通信、com−bcは車両10bと10cとの間の車車間通信、com−acは車両10aと10cとの間の車車間通信を示す。図1に示されるように、車両10a、10b、10cは相互に車車間通信を行うことが可能である。図1では車両は3台のみ示しているが、車両の台数に制限がある訳ではなく、車両がn台あれば車両10aは他のn−1台の車両と車車間通信を行うことが可能である。
【0015】
次に、車両10aと10bとの間を例に取り、放送波受信システム1について説明する。図2は、車両10aと10bとの間を例に取った放送波受信システム1の機能を説明するための図である。図2で図1と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図2の上部は放送波受信機14aの処理ブロック図を示しており、放送波Rはアンテナ12a(高々4本程度の複数アンテナ)で受信され、受信された無線信号(RF信号)はRF処理部14a−1でIF信号(中間周波数信号)へ変換され、当該IF信号はIF処理部14a−2でBB信号(ベースバンド信号)へ変換され、当該BB信号はベースバンド処理部14a−3でDATA信号(データ信号)へ復調される。
【0016】
図2の中央部は放送波受信機14bの処理ブロック図を示しており、放送波受信機14aと同様に、放送波Rはアンテナ12b(高々4本程度の複数アンテナ)で受信され、受信された無線信号はRF処理部14b−1でIF信号へ変換され、当該IF信号はIF処理部14b−2でBB信号へ変換され、当該BB信号はベースバンド処理部14b−3でDATA信号へ復調される。
【0017】
図2の下部は放送波受信機14bに接続されたソフトウェア無線機16bとソフトウェア無線機16bに接続された車車間通信部18bとを示す。ソフトウェア無線機16bは車車間通信部18bを介して車車間通信可能である。図2では図面の都合上示されていないが、車両10aの側にも同様に放送波受信機14aに接続されたソフトウェア無線機16a(不図示)とソフトウェア無線機16aに接続された車車間通信部18a(不図示)が設置されている。ソフトウェア無線機16aは車車間通信部18aを介して車車間通信可能であり、車両10bと10aとは車車間通信部18bと18aとを介して車車間通信com−abを行うことができる。以下では車両10b側のソフトウェア無線機16bおよび車車間通信部18bについて説明するが、車両10a側のソフトウェア無線機16aおよび車車間通信部18aについても機能は同様であるため、車両10a側についての説明は省略する。車車間通信com−abとしては、例えば専用狭域通信(Dedicated Short Range Communication : DSRC)が好適である。
【0018】
図2において、符号16b−1はソフトウェア無線機16bのCPUであり、バス16b−bを介してソフトウェア無線信号処理部16−bdspと接続されている。ソフトウェア無線信号処理部16−bdspは、例えば、ソフトウェアの書換えにより回路構成を変更可能な装置であるFPGA(Field Programmable Gate Array)で作成することが可能である。ソフトウェア無線信号処理部16−bdspには、以下で説明する各種の処理部(ソフトウェア部分)である、無線処理部(無線処理手段)16b−2、中間周波数処理部(中間周波数処理手段)16b−3、ベースバンド処理部(ベースバンド処理手段)16b−4、データ処理部(データ処理手段)16b−5のいずれか1以上の処理部と、制御部(制御手段)16b−6および送信部(送信手段)16b−7とが記録されている。CPU16b−1はソフトウェア無線信号処理部16−bdspに記録された上記各処理部等の実行制御、車車間通信部18bの制御等を行なう。以下、各処理部等について順に説明していく。
【0019】
無線処理部16b−2は、放送波受信機14bがダイバーシティ受信またはアダプティブ受信した放送波Rの無線信号RFと、並走する他の車載機10aの放送波受信機14aがダイバーシティ受信またはアダプティブ受信した同一放送波Rの無線信号RFであって他の車両10aから車車間通信com−abにより送信されたものとを合わせてダイバーシティ受信処理またはアダプティブ受信処理を行う。すなわち、アンテナ12b(複数)で受信した無線信号RFにアンテナ12a(複数)で受信した無線信号RFも加えてダイバーシティ受信またはアダプティブ受信処理を行う。同一放送波Rを受信する車両10aおよび10b間で無線信号RF(放送受信信号)を車車間通信com−abを用いて共有することにより、車両10b単体では実現することができなかったアンテナブランチ数の増大とブランチ間の物理的間隔の拡大とを可能にすることができる。このため、ダイバーシティ受信またはアダプティブ受信効果を高めることができ、移動受信環境下に特有なフェージングの影響を低減することができる。この結果、放送波受信機14b(車載受信機)におけるダイバーシティ受信またはアダプティブ受信性能の向上を実現することができる。
【0020】
上述の説明では、車両10aは車両10bと同一放送波Rを受信しているものと想定したが、必ずしも最初から同一放送波Rを受信している必要は無い。放送波受信機14aが稼動されていないかまたは他の放送波を受信しているような場合に、車両10b側から車車間通信com−abによる依頼を受けて、放送波Rを受信するようにしてもよい。あるいは、車両10a側に余剰RF信号処理リソースがある場合、車両10b側から車車間通信com−abによる依頼を受けて、当該余剰RF信号処理リソースにより放送波Rを受信するようにしてもよい。
【0021】
車車間通信com−abでやりとりするデータはRF信号だけではなく、IF信号、BB信号、DATA信号(復調情報)のいずれか1以上であってもよい。中間周波数処理部16b−3は、放送波受信機14bがRF信号から変換したIF信号と、他の車載機10aの放送波受信機14aが同一放送波RについてRF信号から変換したIF信号であって他の車両10aから車車間通信com−abにより送信されたものとを合わせて中間周波数処理を行う。
【0022】
ベースバンド処理部16b−4は、放送波受信機14bがIF信号から変換したBB信号と、他の車載機10aの放送波受信機14aが同一放送波RについてIF信号から変換したBB信号であって他の車両10aから車車間通信com−abにより送信されたものとを合わせてベースバンド処理を行う。
【0023】
データ処理部16b−5は、放送波受信機14bがBB信号から復調したDATA信号と、他の車載機10aの放送波受信機14aが同一放送波RについてBB信号から復調したDATA信号であって他の車両10aから車車間通信com−abにより送信されたものとを合わせてデータ処理を行う。
【0024】
制御部16b−6は、他の車両10aから車車間通信com−abにより送信された信号(RF信号、IF信号、BB信号、DATA信号)に応じて、無線処理部16b−2、中間周波数処理部16b−3、ベースバンド処理部16b−4またはデータ処理部16b−5のいずれか1つ以上を実行させる制御を行なう。すなわち、処理するデータ信号は必ずしも1つ(1系統)である必要はない。
【0025】
上述の説明ではソフトウェア無線機16b側がソフトウェア無線機16a側から受信する場合を想定してきたが、逆にソフトウェア無線機16b側が送信する側にもなる。送信部16b−7は、放送波受信機14bがダイバーシティ受信またはアダプティブ受信した放送波のRF信号、IF信号、BB信号またはDATA信号のいずれか1つ以上を車車間通信com−abで利用可能な帯域に応じて動的に選択し、選択された信号を他の車両10aへ車車間通信com−abにより送信する処理を行う。この結果、車車間通信com−abにより双方のソフトウェア無線機16bおよび16aが信号(RF信号、IF信号、BB信号、DATA信号)をやりとりすることになる。やりとりする信号は必ずしも1つ(1系統)である必要はない。上述のように信号をやりとりすることにより、同一放送波Rを協調して受信し、共に受信性能を向上させていくことができる。例えば、高速道路を並走する複数台の車両により同一放送波Rを協調して受信することも可能である。自車両がトンネル内に入っていて受信状態が悪化している時、トンネル外にいる他車両と協調して放送波Rを受信することも可能である。
【0026】
以上より、本発明の実施例1によれば、車両10b側に放送波受信機14bに接続されたソフトウェア無線機16bとソフトウェア無線機16bに接続された車車間通信部18bとを設置する。車両10aの側にも同様に放送波受信機14aに接続されたソフトウェア無線機16aとソフトウェア無線機16aに接続された車車間通信部18aを設置する。ソフトウェア無線機16bとソフトウェア無線機16aとは、各々車車間通信部18bと18aとを介して車車間通信com−abを行うことができる。ソフトウェア無線機16bのソフトウェア無線信号処理部16−bdspには、無線処理部16b−2、中間周波数処理部16b−3、ベースバンド処理部16b−4、データ処理部16b−5のいずれか1以上の処理部と、制御部16b−6および送信部16b−7の各種の処理部(ソフトウェア部分)とが記録されている。無線処理部16b−2は、放送波受信機14bがダイバーシティ受信またはアダプティブ受信した放送波Rの無線信号RFと、並走する他の車載機10aの放送波受信機14aがダイバーシティ受信またはアダプティブ受信した同一放送波Rの無線信号RFであって他の車両10aから車車間通信com−abにより送信されたものとを合わせてダイバーシティ受信処理またはアダプティブ受信処理を行う。すなわち、アンテナ12b(複数)で受信した無線信号RFにアンテナ12a(複数)で受信した無線信号RFも加えてダイバーシティ受信処理またはアダプティブ受信処理を行う。同一放送波Rを受信する車両10aおよび10b間で放送受信信号を車車間通信com−abを用いてやりとりすることにより、車両10b単体では実現することができなかったアンテナブランチ数の増大とブランチ間の物理的間隔の拡大とを可能にすることができる。このため、ダイバーシティ受信またはアダプティブ受信効果を高めることができ、移動受信環境下に特有なフェージングの影響を低減することができる。この結果、放送波受信機14b(車載受信機)におけるダイバーシティ受信またはアダプティブ受信性能の向上を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の活用例として、自動車向け放送受信システム、例えば、移動体端末向けの1セグメント部分だけ受信するサービスであるワンセグまたはFM放送を利用した道路交通情報配信システム等への適用が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例1における放送波受信システム1を示す図である。
【図2】車両10aと10bとの間を例に取った放送波受信システム1の機能を説明するための図である。
【符号の説明】
【0029】
1 放送波受信システム、 10a、10b、10c 車両、 12a、12b、12c アンテナ、 14a、14b、14c 放送波受信機、 14a−1、14b−1 RF処理部、 14a−2、14b−2 IF処理部、 14a−3、14b−3 ベースバンド処理部、 16a、16b、16c ソフトウェア無線機、 16b−1 CPU、 16b−2 無線処理部、 16b−3 中間周波数処理部、 16b−4 ベースバンド処理部、 16b−5 データ処理部、 16b−6 制御部、 16b−7 送信部、 16b-dsp ソフトウェア無線信号処理部、 18b 車車間通信部、 20 放送局側アンテナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイバーシティ受信又はアダプティブ受信可能な放送波受信機を有する車両間における放送波受信システムであって、該車両は該受信機に接続され車車間通信可能なソフトウェア無線機を備えており、
前記ソフトウェア無線機は、
前記放送波受信機がダイバーシティ受信又はアダプティブ受信した放送波の無線信号と、他の車載機の放送波受信機がダイバーシティ受信又はアダプティブ受信した同一放送波の無線信号であって該他の車両から車車間通信により送信されたものとを合わせてダイバーシティ受信又はアダプティブ受信処理する無線処理手段、
前記放送波受信機が無線信号から変換した中間周波数信号と、他の車載機の放送波受信機が同一放送波について無線信号から変換した中間周波数信号であって該他の車両から車車間通信により送信されたものとを合わせて処理する中間周波数処理手段、
前記放送波受信機が中間周波数信号から変換したベースバンド信号と、他の車載機の放送波受信機が同一放送波について中間周波数信号から変換したベースバンド信号であって該他の車両から車車間通信により送信されたものとを合わせて処理するベースバンド処理手段、
前記放送波受信機がベースバンド信号から変換したデータ信号と、他の車載機の放送波受信機が同一放送波についてベースバンド信号から復調したデータ信号であって該他の車両から車車間通信により送信されたものとを合わせて処理するデータ処理手段のいずれか1以上の処理手段と、
他の車両から車車間通信により送信された信号に応じて、前記無線処理手段、前記中間周波数処理手段、前記ベースバンド処理手段又は前記データ処理手段のいずれか1つ以上を実行させる制御手段とを備えたことを特徴とする放送波受信システム。
【請求項2】
請求項1記載の放送波受信システムにおいて、前記ソフトウェア無線機は、前記放送波受信機がダイバーシティ受信又はアダプティブ受信した放送波の無線信号、中間周波数信号、ベースバンド信号又はデータ信号のいずれか1つ以上を車車間通信で利用可能な帯域に応じて動的に選択し、選択された信号を他の車両へ車車間通信により送信する送信手段をさらに備えたことを特徴とする放送波受信システム。
【請求項3】
ダイバーシティ受信又はアダプティブ受信可能な放送波受信機に接続された車車間通信可能なソフトウェア無線機であって、
前記放送波受信機がダイバーシティ受信又はアダプティブ受信した放送波の無線信号と、他の車載機の放送波受信機がダイバーシティ受信又はアダプティブ受信した同一放送波の無線信号であって該他の車両から車車間通信により送信されたものとを合わせてダイバーシティ受信又はアダプティブ受信処理する無線処理手段、
前記放送波受信機が無線信号から変換した中間周波数信号と、他の車載機の放送波受信機が同一放送波について無線信号から変換した中間周波数信号であって該他の車両から車車間通信により送信されたものとを合わせて処理する中間周波数処理手段、
前記放送波受信機が中間周波数信号から変換したベースバンド信号と、他の車載機の放送波受信機が同一放送波について中間周波数信号から変換したベースバンド信号であって該他の車両から車車間通信により送信されたものとを合わせて処理するベースバンド処理手段、
前記放送波受信機がベースバンド信号から変換したデータ信号と、他の車載機の放送波受信機が同一放送波についてベースバンド信号から復調したデータ信号であって該他の車両から車車間通信により送信されたものとを合わせて処理するデータ処理手段のいずれか1以上の処理手段と、
他の車両から車車間通信により送信された信号に応じて、前記無線処理手段、前記中間周波数処理手段、前記ベースバンド処理手段又は前記データ処理手段のいずれか1つ以上を実行させる制御手段とを備えたことを特徴とするソフトウェア無線機。
【請求項4】
請求項3記載のソフトウェア無線機において、前記放送波受信機がダイバーシティ受信又はアダプティブ受信した放送波の無線信号、中間周波数信号、ベースバンド信号又はデータ信号のいずれか1つ以上を車車間通信で利用可能な帯域に応じて動的に選択し、選択された信号を他の車両へ車車間通信により送信する送信手段をさらに備えたことを特徴とするソフトウェア無線機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−252491(P2008−252491A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90748(P2007−90748)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【Fターム(参考)】