説明

放電ランプ点灯装置およびプロジェクタ

【課題】
繰り返し極性反転を行う交流駆動方式の放電ランプ点灯装置において、極性反転から次の極性反転までの時間の長さの改変や変調によるランプ電流の改変を周期的に行う場合は、少なくとも1周期の動作における放電ランプ点灯装置の極性反転の回数が偶数回であるときは、放電ランプの2個の電極における熱負荷のアンバランスが発生してしまう問題を、改変の仕方に関する自由度に制限を加えることなく解決すること。
【解決手段】
極性反転タイミング信号に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作を間欠的に挿入するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタにおいて使用される、高圧放電ランプ、特に高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等の高輝度放電ランプを点灯するための放電ランプ点灯装置、および前記放電ランプ点灯装置を用いたプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶プロジェクタやDLP(TM)プロジェクタのような画像表示用などの光学装置のためのプロジェクタにおいては、高輝度放電ランプ(HIDランプ)が使用される。前記したプロジェクタには、ダイクロイックプリズム等により赤、緑、青すなわちR,G,Bの3原色を分離し、各色毎に設けた空間変調素子によって各3原色別の画像を発生させ、ダイクロイックプリズム等により光路を再合成してカラー画像を表示する方式のものがある。
【0003】
また他方では、模式的に構造を示す図である図22の(a)に示すような、R,G,Bの3原色の透過色を有するカラーホイール、すなわちR色領域(A3r),G色領域(A3g),B色領域(A3b)からなるフィルタを回転させ、このフィルタ、すなわち動的色フィルタに光源からの光を通すことにより各3原色の光束を順次発生させ、これに同期させて空間変調素子を制御することにより、各3原色別の画像を時間分割によって順次発生させ、カラー画像を表示する方式のものもある。明るさを重要視する用途では、図23の(a)に示すように、R,G,Bの3原色にWすなわち白を加え、R色領域(A4r),G色領域(A4g),B色領域(A4b),W色領域(A4w)からなる4色の動的色フィルタを搭載して、各4色別の画像を順次発生させてカラー画像を表示する場合もあるし、さらに多くの色領域を設けて、色表現能力の増強を図る場合もある。
【0004】
前記したような放電ランプを点灯させる放電ランプ点灯装置においては、先ず、始動に際しては、ランプに無負荷開放電圧と呼ばれる電圧を印加した状態で、高電圧を印加して放電空間内に絶縁破壊を発生させてグロー放電を経てアーク放電に移行させ、最終的に、安定な定常点灯を実現するように動作する。アーク放電に移行直後は、例えば10V程度の低い値であったランプの放電電圧は、温度上昇に伴って徐々に上昇し、定常点灯状態では一定電圧で安定する。通常、放電ランプ点灯装置は、所定のランプ投入電力を実現するために必要なランプ電流を出力できるよう、入力電源の出力をランプの放電電圧に適合させるコンバータを有しており、また、ランプ電圧、すなわちコンバータの出力電圧を検出し、この情報に基づいて、例えば目標電力を検出電圧で除算した商の値によって、目標ランプ電流を決定する仕組を有している。
【0005】
放電ランプの駆動の方式に関しては、前記コンバータによってランプを点灯させる直流駆動方式と、前記コンバータの後段にインバータをさらに具備することによって繰り返し極性反転を行う交流駆動方式とがある。直流駆動方式の場合は、ランプからの光束もまた直流的、すなわち時間的に変化しないため、基本的に、前記したプロジェクタの両方の方式において、全く同様に適用することができるという大きな利点がある。これに対し、交流駆動方式の場合は、極性反転周波数という、直流駆動方式には無い自由度を利用して、放電ランプの電極の消耗や成長を制御できる可能性があるという利点がある反面、極性反転時の発光の瞬断やオーバーシュートなどが生じて表示画像に悪影響を及ぼすなど、極性反転が存在すること自体に起因する不利な点もある。
【0006】
通常は、インバータの後段に存在する容量成分、あるいは始動回路などの誘導成分に起因して、交流駆動のための極性反転の度毎に、ランプ電流において緩慢な変化、あるいは逆にオーバーシュートや振動などの過渡現象が生じ、これがほぼそのままランプからの光束の瞬断やオーバーシュート、振動などの変動として現れるため、前記したプロジェクタのうち、時間分割方式のものに適用しようとする場合は、画像を時間分割によって順次発生させるタイミングと、ランプの交流駆動の極性反転のタイミングとのズレ、すなわちビート周波数で表示画像に変動が現れ、ビート周波数によっては非常に目障りなものとなってしまうという問題があるため、インバータの極性反転タイミングのカラーホイール回転に対する同期をとるように工夫が施される。前記した極性反転の度毎に生じる、ランプ電流において緩慢な変化、あるいは逆にオーバーシュートや振動などの過渡現象は不可避で、この現象が生じている期間のランプ発光は有効利用が難しいため、通常は、極性反転が、動的色フィルタの色の切り換わり目の期間において生じるよう、放電ランプ点灯装置の極性反転動作のタイミング調整が行われる。
【0007】
ところで、表示画像の色再現性能を高いものとするためには、光源ランプのスペクトル分布と前記した動的色フィルタを用いた色順次光束への変換形態の整合が重要である。前記したカラーホイールの場合、R,G,B(およびW)各色の領域の角度分布、すなわち1回転あたりの各色が透過している時間の割合を、ランプのスペクトルに合わせて設定することにより、色再現性能の向上、もしくは所望の色再現性能への改善を図ることができる。
【0008】
例えば、R成分が不足するランプを使用する場合は、図22の(b)または図23の(b)に示すように、R色領域(A3r’,A4r’),G色領域(A3g’,A4g’),B色領域(A3b’,A4b’)、さらにW色領域(A4w’)の、回転軸回りの各領域の占有角度の比率を不均斉にして、R成分の透過領域の角度を大きくすることにより、模式的にランプ電流(IL’)の波形を表す図である図24の(a)または図25の(a)に示すように、R成分が透過している時間の割合を他の色よりも長くすることが有効である。なお、図24や図25などにおけるランプ電流(IL’)の波形に付記された「R」「G」「B」「W」などの文字は、動的色フィルタの発生光束の主たる色が、それぞれR,G,B,Wである期間、すなわちR色期間(Tr),G色期間(Tg),B色期間(Tb),W色期間(Tw)であることを表すもので、後述する他の図においても同様である。
【0009】
しかしながら、このような方法によって色再現性能を所望のものに改善させる場合は、例えばDLP方式のプロジェクタでは、表示画像の各画素の色毎の輝度を空間変調素子の各画素の動作のデューティサイクル比で制御するため、透過している時間の割合を減じた色成分においては、画素の諧調の細かな制御ができ難くなるという問題が生じる。このような問題を解決するために、例えば、特表平08−505031号には、画像投射装置において、カラー変化手段の出力によって与えられる光ビームのカラーに同期して光源の出力パワーを変化させる光源駆動制御手段を設けることが提案されている。また、特表2004−526992号にも、同様に色に対応して2種類のレベルの電力をランプに供給するようにしたカラーディスプレイ装置が提案されている。これらの技術の共通点は、要するに、プロジェクタにおいて発現しているフィルタ色に対応してランプ電流にパルスを重畳するように変調を掛けることである。例えば前記したR成分が不足するランプを使用する場合は、図24の(b)または図25の(b)に示すように、R成分が透過している期間のランプ電流(IL’)を他の色よりも大きくすることにより、R成分の不足を補うことができる。
【0010】
しかしながら、前記したように、透過時間割合を長くして不足する色成分の補正を行うにしても、また、ランプ電流にパルスを重畳するように変調を掛けるにしても、解決されていない問題があった。放電ランプにおいては、少なくともアーク放電時では、熱電子放出によって陰極から飛び出した電子が陽極に到達し、そこで不要になった運動エネルギーが解放されるが、解放された運動エネルギーは熱エネルギーに変換されるため、放電ランプの両極の電極のうち、陽極側の電極の方が、陰極側の電極よりも発熱すなわち熱負荷が大きい。交流駆動方式の放電ランプにおいては、2個ある電極において、その陰極と陽極の関係が、極性反転の度毎に入れ替わっている。
【0011】
図24の(a)と(b)および図25の(a)と(b)に記載の全条件においては、R成分の不足を補うために、R成分に対応した極性反転位相において、極性反転から次の極性反転までの時間の長さ、または電流値が大きくなるようにしているが、図25の(a)と(b)に示す条件においては、R成分に対応した極性反転位相が、常にランプ電流(IL’)が正の場合に限定されて発現している。したがってこの条件では、交流駆動方式の放電ランプの2個の電極のうち、R成分に対応した極性反転位相において陽極となる片方側の電極において、常に他方よりも大きな発熱が発生することになり、電極の熱負荷がアンバランスになってしまう。このため、例えば、一方の電極が集中的に消耗して、全体としてのランプ寿命が短くなる問題が発生する。
【0012】
一方、図24の(a)と(b)に示す条件においては、R成分に対応した極性反転位相は、ランプ電流(IL’)が正の場合と負の場合とが交互に発現している。したがってこの条件では、電極の熱負荷のアンバランスは発生せず、前記した問題は発生しない。前者の条件と後者の条件において、このような問題発生の有無の差異が生じる原因は、前者の条件では、動的色フィルタの1周期の動作における放電ランプ点灯装置の極性反転の回数が偶数回であるのに対し、後者の条件では奇数回であることによる。
【0013】
なお、ここではR成分に対応した極性反転位相において極性反転から次の極性反転までの時間の長さを長くする例と、ランプ電流を大きくする例とを示したが、他の色や複数の色成分に対応した極性反転位相において、同様に極性反転から次の極性反転までの時間の長さの改変を行ったり、変調によるランプ電流の改変を行ったりする場合や、前記した極性反転から次の極性反転までの時間の長さの改変および変調によるランプ電流の改変を併用する場合でも事情は同様である。
【0014】
このため、例えば、特開2006−227440号には、偶数個の色を有するカラーホイールの1周期の動作に対する放電ランプ点灯装置の極性反転の回数を、奇数回に制限することが提案され、また、カラーホイールの1周期の動作に対する、両方の極性の電流値の時間積算が実質的に一致するよう、ランプ電流の変調の仕方を調整した条件に制限することが提案されている。しかしながら、この提案の方法では、電極の熱負荷のアンバランスは発生しないものの、真に稼動させたい条件から外れた、制限された条件でランプを点灯させなければならず、ランプ点灯の稼動条件に関する自由度に対して制限が加えられる問題があった。
【0015】
【特許文献1】特表平08−505031号
【特許文献2】特表2004−526992号
【特許文献3】特開2006−227440号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、繰り返し極性反転を行う交流駆動方式の放電ランプ点灯装置において、極性反転から次の極性反転までの時間の長さの改変や変調によるランプ電流の改変を周期的に行う場合は、少なくとも1周期の動作における放電ランプ点灯装置の極性反転の回数が偶数回であるときは、放電ランプの2個の電極における熱負荷のアンバランスが発生してしまう問題を、前記改変の仕方に関する自由度に制限を加えることなく解決した放電ランプ点灯装置およびプロジェクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の請求項1の放電ランプ点灯装置は、放電ランプ(Ld)を点灯するための放電ランプ点灯装置(Ex)であって、出力電圧を極性反転して前記放電ランプ(Ld)に交流電圧を印加するためのインバータ(Ui)と、周期的な極性反転タイミング信号(So)に基づいて前記インバータ(Ui)の極性反転動作を規定するインバータ制御信号(Sf1,Sf2)を生成するインバータ制御回路(Uf)とを有しており、少なくとも前記極性反転タイミング信号(So)の1周期における極性反転の回数が偶数回である場合においては、前記インバータ制御回路(Uf)は、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作を間欠的に挿入することを特徴とするものである。
【0018】
本発明の請求項2の放電ランプ点灯装置は、請求項1の発明において、前記極性反転タイミング信号(So)に同期して、前記放電ランプ(Ld)に流れるランプ電流に対する周期的な変調を掛けることを特徴とするものである。
【0019】
本発明の請求項3の放電ランプ点灯装置は、請求項2の発明において、前記極性反転タイミング信号(So)の1周期における位相を特定するために、前記極性反転タイミング信号(So)には変調が施されて入力され、前記極性反転タイミング信号(So)に変調が施されているか否かを識別する初期化情報復調回路(Uod)を有し、前記初期化情報復調回路(Uod)が、前記極性反転タイミング信号(So)に変調が施されていることを識別したときは、前記極性反転タイミング信号(So)の1周期における位相を保持するための極性反転位相追跡カウンタ(Ukc)のカウント値を初期化する動作を設定することを特徴とするものである。
【0020】
本発明の請求項4の放電ランプ点灯装置は、請求項1から3の発明において、前記インバータ制御回路(Uf)は、挿入される前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作と、その次に挿入される前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作との間に、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する偶数回分を無視する動作を挿入することを特徴とするものである。
【0021】
本発明の請求項5のプロジェクタは、放電ランプにより発生された光束(Ox1)を利用して画像を投影表示するプロジェクタであって、前記放電ランプ(Ld)を始動し点灯するための放電ランプ点灯装置が請求項1から4に記載の放電ランプ点灯装置(Ex)であることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の請求項6のプロジェクタは、請求項4の発明において、動的色フィルタ(Of)により色順次光束(Ox2)に変換し、前記色順次光束(Ox2)を利用して画像を投影表示するものであって、前記極性反転タイミング信号(So)は、前記色順次光束(Ox2)の色に依存して生成されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、極性反転から次の極性反転までの時間の長さの改変や変調によるランプ電流の改変を周期的に行うものであっても、放電ランプの2個の電極における熱負荷のアンバランスが発生してしまう問題を、前記改変の仕方に関する自由度に制限を加えることなく解決した放電ランプ点灯装置およびプロジェクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
先ず、本発明の放電ランプ点灯装置を簡略化して示すブロック図である図1を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。放電ランプ(Ld)に給電するための給電回路(Ux)からの出力は、インバータ(Ui)を介して、前記放電ランプ(Ld)の主放電のための電極(E1,E2)に接続される。前記給電回路(Ux)としては、後述する図14に記載の降圧チョッパ回路など、前記インバータ(Ui)としては、後述する図13に記載のフルブリッジ回路などによって構成したものとすることができる。
【0025】
前記放電ランプ(Ld)には、その放電始動のためのスタータ(Us)が接続してある。本図は、前記放電ランプ(Ld)の封体の外部に設けた補助電極(Et)に高電圧を印加する、いわゆる外部トリガ方式の場合を示すが、トリガ方式は、本発明の本質には無関係である。したがって、主放電のための前記電極(E1,E2)に直列に高電圧パルス発生回路を設けて高電圧パルス印加するトリガ方式や、共振によって発生する高い電圧を印加する方式などのものでも構わない。
【0026】
インバータ制御回路(Uf)には前記インバータ(Ui)の極性反転タイミングを規定する極性反転タイミング信号(So)が入力され、該極性反転タイミング信号(So)に基づいて前記インバータ(Ui)の極性反転動作を規定するインバータ制御信号(Sf1,Sf2)が生成される。例えば、動的色フィルタとして図23の(b)に記載のようなカラーホイールを用いる場合、前記極性反転タイミング信号(So)は、動的色フィルタの色の切り換わり目のタイミングにおいて活性化されるように生成される。通常は、前記極性反転タイミング信号(So)が活性化されると、前記インバータ制御回路(Uf)は、(後述するデッドタイム期間を挟んで)直ちに前記インバータ(Ui)が極性反転するように前記インバータ制御信号(Sf1,Sf2)を生成する。
【0027】
しかしながら本発明においては、前記インバータ制御回路(Uf)は、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作を間欠的に挿入する。例えば、本発明の実施形態の一例として示す、模式的に表したタイミング図である図2においては、前記極性反転タイミング信号(So)の1個の特定信号(a01)のものを無視して、これを受けても前記インバータ(Ui)が極性反転しないよう動作する様子を記載している。また、本発明の実施形態の一例として示す、模式的に表したタイミング図である図3においては、前記極性反転タイミング信号(So)の連続する3個の特定信号(a11,a12,a13)のものを無視して、これを受けても前記インバータ(Ui)が極性反転しないよう動作する様子を記載している。なお、これらの図において、(a)は前記極性反転タイミング信号(So)、(b)はランプ電流(IL’)をそれぞれ表す。
【0028】
従来技術における同様の模式的にランプ電流(IL’)の波形を表す図である図25の(a)と比較すると、図25の(a)のものにおいては、極性反転から次の極性反転までの時間の長さが長い極性反転位相(Rと記載の位相)が、常にランプ電流(IL’)が正の場合に限定されて発現しているのに対し、図2や図3の(b)のものにおいては、極性反転から次の極性反転までの時間の長さが長い極性反転位相(Rと記載の位相)は、ランプ電流(IL’)が正の場合に発現する期間と、負の場合に発現する期間とが存在している。そして、この発現期間は、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作を間欠的に挿入する度に、交互に入れ替わるため、この間欠的挿入の頻度を適当に設定することにより、前記した、放電ランプの2個の電極における熱負荷のアンバランスが発生してしまう問題を回避することができる。
【0029】
また、例えば、動的色フィルタとして図23の(a)または(b)に記載のようなカラーホイールを用いる場合、前記極性反転タイミング信号(So)は、動的色フィルタの色の切り換わり目のタイミングにおいて活性化されるように生成され、図1において破線で示されるように、前記給電回路(Ux)において、前記極性反転タイミング信号(So)に同期して、前記放電ランプ(Ld)に流れるランプ電流に対する周期的な変調を掛けるように構成した放電ランプ点灯装置においても本発明は有効に作用する。このような構成の場合も、前記と同様に、前記極性反転タイミング信号(So)が活性化されると、前記インバータ制御回路(Uf)は、(後述するデッドタイム期間を挟んで)直ちに前記インバータ(Ui)が極性反転するように前記インバータ制御信号(Sf1,Sf2)を生成する動作を基本として、前記インバータ制御回路(Uf)は、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作を間欠的に挿入する。
【0030】
これにより、例えは、本発明の実施形態の一例として示す、模式的に表したタイミング図である図4においては、前記極性反転タイミング信号(So)の1個の特定信号(a41)のものを無視して、これを受けても前記インバータ(Ui)が極性反転しないよう動作する様子を記載している。また、本発明の実施形態の一例として示す、模式的に表したタイミング図である図5においては、前記極性反転タイミング信号(So)の連続する3個の特定信号(a51,a52,a53)のものを無視して、これを受けても前記インバータ(Ui)が極性反転しないよう動作する様子を記載している。なお、これらの図において、(a)は前記極性反転タイミング信号(So)、(b)はランプ電流(IL’)をそれぞれ表す。
【0031】
従来技術における同様の模式的にランプ電流(IL’)の波形を表す図である図25の(b)と比較すると、図25の(b)のものにおいては、電流値の大きさを大きくする変調が掛けられた極性反転位相(Rと記載の位相)が、常にランプ電流(IL’)が正の場合に限定されて発現しているのに対し、図4や図5の(b)のものにおいては、電流値の大きさを大きくする変調が掛けられた極性反転位相(Rと記載の位相)は、ランプ電流(IL’)が正の場合に発現する期間と、負の場合に発現する期間とが存在している。そして、この発現期間は、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作を間欠的に挿入する度に、交互に入れ替わるため、この間欠的挿入の頻度を適当に設定することにより、前記した、放電ランプの2個の電極における熱負荷のアンバランスが発生してしまう問題を回避することができる。
【0032】
これまで、図2,図3のように極性反転から次の極性反転までの時間の長さが長い極性反転位相(Rと記載の位相)を有するものと、図4,図5のように電流値の大きさを大きくする変調が掛けられた極性反転位相(Rと記載の位相)を有するものそれぞれについて述べて来たが、本発明は、本発明の実施形態の一例として示す、模式的に表したタイミング図である図6に記載のもののように、極性反転から次の極性反転までの時間の長さが長い極性反転位相(Rと記載の位相)と電流値の大きさを大きくする変調が掛けられた極性反転位相(Wと記載の位相)とを両方有するものにも適用できる。また、図4,図5のように電流値の大きさを大きくする変調が掛けられた極性反転位相(Rと記載の位相)を有するものについては、極性反転から次の極性反転までが一つの電流水準になるよう変調を掛けるものを記載したが、本発明は、本発明の実施形態の一例として示す、模式的に表したタイミング図である図7に記載のもののように、極性反転から次の極性反転までに複数の電流水準を持った変調を掛けるものや、より複雑な波形を持った変調を掛けるものにも適用できる。
【0033】
なお、極性反転から次の極性反転までの時間の長さの改変の程度や変調によるランプ電流の改変の程度は、場合によって千差万別であるため、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作を間欠的に挿入するときの頻度については、実験的に定めることが好適である。一応の目安としては、例えば、放電ランプ(Ld)が、先端に突起が形成された一対の電極が2.0mm以下の間隔で対向配置され、1立方ミリメートルあたり0.2ミリグラム以上の水銀と、1立方ミリメートルあたり10のマイナス6乗マイクロモル〜10のマイナス2乗マイクロモルのハロゲンが封入された高圧水銀ランプの場合、出力の極性反転から次の極性反転までの時間間隔が0.5ミリ秒〜8.3ミリ秒の本発明の放電ランプ点灯装置では、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作を間欠的に挿入するときの時間間隔を10ミリ秒〜120秒の範囲から選択すればよい。
【0034】
また、挿入される前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作と、その次に挿入される前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作との間に、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する偶数回分を無視する動作を挿入するようにすることもできる。
【0035】
例えば、本発明の実施形態の一例として示す、模式的に表したタイミング図である図8においては、先に示した図2に対応して、前記極性反転タイミング信号(So)の連続する3個の特定信号(a21,a22,a23)のものを無視して、これを受けても前記インバータ(Ui)が極性反転しない動作に加えて、さらに1個の極性反転タイミング信号(So)を隔てて、連続する4個の特定信号(b21,b22,b23,b24)のものを無視して、これを受けても前記インバータ(Ui)が極性反転しないよう動作する様子を記載している。また、本発明の実施形態の一例として示す、模式的に表したタイミング図である図9においては、先に示した図3に対応して、前記極性反転タイミング信号(So)の連続する3個の特定信号(a31,a32,a33)のものを無視して、これを受けても前記インバータ(Ui)が極性反転しない動作に加えて、さらに複数個の極性反転タイミング信号(So)を隔てて、連続する4個の特定信号(b31,b32,b33,b34)のものを無視して、これを受けても前記インバータ(Ui)が極性反転しないよう動作する様子を記載している。
【0036】
さらに、本発明の実施形態の一例として示す、模式的に表したタイミング図である図10においては、先に示した図4に対応して、前記極性反転タイミング信号(So)の連続する3個の特定信号(a61,a62,a63)のものを無視して、これを受けても前記インバータ(Ui)が極性反転しない動作に加えて、さらに1個の極性反転タイミング信号(So)を隔てて、連続する4個の特定信号(b61,b62,b63,b64)のものを無視して、これを受けても前記インバータ(Ui)が極性反転しないよう動作する様子を記載している。また、本発明の実施形態の一例として示す、模式的に表したタイミング図である図11においては、先に示した図5に対応して、前記極性反転タイミング信号(So)の連続する3個の特定信号(a71,a72,a73)のものを無視して、これを受けても前記インバータ(Ui)が極性反転しない動作に加えて、さらに複数個の極性反転タイミング信号(So)を隔てて、連続する4個の特定信号(b71,b72,b73,b74)のものを無視して、これを受けても前記インバータ(Ui)が極性反転しないよう動作する様子を記載している。なお、これらの図において、(a)は前記極性反転タイミング信号(So)、(b)はランプ電流(IL’)をそれぞれ表す。
【0037】
図8,図9のものにおいては、極性反転から次の極性反転までの時間の長さが長い極性反転位相(Rと記載の位相)が、また図10,図11のものにおいては、電流値の大きさを大きくする変調が掛けられた極性反転位相(Rと記載の位相)が、ランプ電流(IL’)が正の場合に発現する期間と、負の場合に発現する期間とが存在している。そして、この発現期間は、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作を間欠的に挿入する度に、交互に入れ替わるため、この間欠的挿入の頻度を適当に設定することにより、前記した、放電ランプの2個の電極における熱負荷のアンバランスが発生してしまう問題を回避することができる。
【0038】
なお、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する偶数回分を無視する動作を追加して挿入することによっては、極性反転から次の極性反転までの時間の長さが長い極性反転位相(Rと記載の位相)または、電流値の大きさを大きくする変調が掛けられた極性反転位相(Rと記載の位相)が、ランプ電流(IL’)が正の場合に発現する状態と、負の場合に発現する状態との入れ替わりは生じないが、例えば、特開2006−59790号に記載の低周波数の1周期分の挿入(特開2006−59790号の図4)や半周期分の挿入(特開2006−59790号の図6の(a))を実現する際に有用性がある。
【0039】
すなわち、図8に記載のものでは、前記極性反転タイミング信号(So)の特定信号(a21,a22,a23)および特定信号(b21,b22,b23,b24)を無視することによって生成された極性反転の無い期間(Tf2)を、挿入する前記低周波数の前記1周期分として利用することができる。また、図9に記載のものでは、前記極性反転タイミング信号(So)の特定信号(a31,a32,a33)を無視することによって生成された極性反転の無い期間(Tf3)を、挿入する前記低周波数の一方の前記半周期分、また特定信号(b31,b32,b33,b34)を無視することによって生成された極性反転の無い期間(Tf3’)を、挿入する前記低周波数の他方の前記半周期分として利用することができる。
【0040】
さらに、図10に記載のものでは、前記極性反転タイミング信号(So)の特定信号(a61,a62,a63)および特定信号(b61,b62,b63,b64)を無視することによって生成された極性反転の無い期間(Tf6)を、挿入する前記低周波数の前記1周期分として利用することができる。また、図11に記載のものでは、前記極性反転タイミング信号(So)の特定信号(a71,a72,a73)を無視することによって生成された極性反転の無い期間(Tf7)を、挿入する前記低周波数の一方の前記半周期分、また特定信号(b71,b72,b73,b74)を無視することによって生成された極性反転の無い期間(Tf7’)を、挿入する前記低周波数の他方の前記半周期分として利用することができる。
【0041】
なお、図3に記載の、前記極性反転タイミング信号(So)の連続する奇数回分の特定信号(a11,a12,a13)を無視することによって生成された極性反転の無い期間(Tf1)を、挿入する前記低周波数の一方の前記半周期分とし、同様にして次に生成される極性反転の無い期間が、前記期間(Tf1)とは逆極性になるようにすることによって、これを挿入する前記低周波数の他方の前記半周期分として利用することができる。また、図5に記載の、前記極性反転タイミング信号(So)の連続する奇数回分の特定信号(a51,a52,a53)を無視することによって生成された極性反転の無い期間(Tf5)を、挿入する前記低周波数の一方の前記半周期分とし、同様にして次に生成される極性反転の無い期間が、前記期間(Tf5)とは逆極性になるようにすることによって、これを挿入する前記低周波数の他方の前記半周期分として利用することができる。このようにすることによって、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する偶数回分を無視する動作を追加して挿入する手法を使わなくても、前記した特開2006−59790号の技術のうち、前記低周波数の一方と他方の半周期を時間的に離間して配置するものに限定すれば、それを実現することが可能である。
【0042】
これまでに図8,図9などから容易に理解できるように、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数または偶数回分を無視する動作によって生じる、前記した極性反転の無い期間(Tf1,Tf2,Tf3,Tf3’,Tf5,Tf6,Tf7,Tf7’)の相互を隔てる極性反転の回数が奇数であれば、前記した極性反転の無い期間のランプ電流(IL’)の極性は、正である条件と負である条件とが交互に生ずる。逆に、前記した極性反転の無い期間の相互を隔てる極性反転の回数が偶数であるときは、前記した極性反転の無い期間のランプ電流(IL’)の極性は、同じ極性が繰り返されることになる。したがって、前記した電極の熱負荷のバランスの観点から、前記した極性反転の無い期間の相互を隔てる極性反転の回数については、毎回奇数にしたり、あるいは偶数と奇数を交互に繰り返すなど、適当な頻度で奇数である条件を挿入することが望ましい。
【0043】
なお、本発明において前記した特開2006−59790号に記載の技術を応用する場合は、特開2006−59790号の明細書の記載から容易に理解できるように、例えば、放電ランプ(Ld)が、先端に突起が形成された一対の電極が2.0mm以下の間隔で対向配置され、1立方ミリメートルあたり0.2ミリグラム以上の水銀と、1立方ミリメートルあたり10のマイナス6乗マイクロモル〜10のマイナス2乗マイクロモルのハロゲンが封入された高圧水銀ランプの場合、出力の極性反転から次の極性反転までの時間間隔が0.5ミリ秒〜8.3ミリ秒の本発明の放電ランプ点灯装置では、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数または偶数回分を無視する動作によって生じる、前記した極性反転の無い期間(Tf1,Tf2,Tf3,Tf3’,Tf5,Tf6,Tf7,Tf7’)を2.5ミリ秒〜100ミリ秒の範囲から選択し、この無視する動作を間欠的に挿入するときの時間間隔を10ミリ秒〜120秒の範囲から選択すればよい。
【0044】
図12は、インバータ制御回路(Uf)の構成を簡略化して示す図である。インバータ制御回路(Uf)は、前記インバータ(Ui)の極性状態に対応するビット信号であるインバータ極性信号(Sfs)を保持する、Dフリップフロップを用いて構成されたインバータ極性レジスタ(Ufs)を有している。図1に記載の前記インバータ制御信号(Sf1,Sf2)の生成は、前記インバータ極性信号(Sfs)およびその論理反転信号であるインバータ極性信号論理反転信号(Sfs*)を元にして行う。ただし、前記インバータ極性レジスタ(Ufs)のクロック信号である前記極性反転タイミング信号(So2)は、前記したデッドタイム期間を挿入するために、モノステーブルマルチバイブレータ(A32)に入力され、前記モノステーブルマルチバイブレータ(A32)は、入力信号の立ち上がりを受けて一定の時間幅のデッドタイム信号(Sdt)を生成する。NOR論理ゲート(A33,A34)には、前記インバータ極性信号(Sfs)、前記インバータ極性信号論理反転信号(Sfs*)が入力され、またそれぞれにデッドタイム信号(Sdt)が入力されるため、互いにデッドタイム期間で隔てられた前記インバータ制御信号(Sf1,Sf2)が生成される。
【0045】
前記インバータ極性レジスタ(Ufs)には、原インバータ極性信号生成回路(Ufr)において生成された原インバータ極性信号(Sfr)が入力される。前記原インバータ極性信号生成回路(Ufr)には、前記極性反転タイミング信号(So)が入力されているため、前記原インバータ極性信号生成回路(Ufr)は、前記極性反転タイミング信号(So)の、それまでの履歴に従って、前記原インバータ極性信号(Sfr)を生成することができる。
【0046】
前記インバータ極性レジスタ(Ufs)には、前記極性反転タイミング信号(So)と概ね等価な極性反転タイミング信号(So2)がデータ設定クロックパルスとして入力されている。このため、前記インバータ制御回路(Uf)は、前記極性反転タイミング信号(So)を受信する直前までに入力されていた前記原インバータ極性信号(Sfr)の値を、前記極性反転タイミング信号(So)を受信したときに保持して、直ちに前記インバータ極性信号(Sfs)として出力するように動作する。したがって、前記原インバータ極性信号生成回路(Ufr)が前記極性反転タイミング信号(So)を受信して決定した前記原インバータ極性信号(Sfr)は、その次に前記極性反転タイミング信号(So)を受信したときに前記インバータ極性信号(Sfs)として前記インバータ制御回路(Uf)において設定されることになる。結局、この回路は、前記極性反転タイミング信号(So)の履歴に基づいて、前記インバータ(Ui)の極性反転動作を制御することができることがわかる。
【0047】
ところで、前記極性反転タイミング信号(So2)は、前記極性反転タイミング信号(So)と、タイミング信号補完回路(Ufm)で生成された極性反転タイミング信補完信号(So1)とを論理和ゲート(A31)にて合成して生成している。これは、もし、プロジェクタの画像処理部から送信されて来るはずの前記極性反転タイミング信号(So)が途絶えた場合には、交流点灯用のランプを直流点灯することになって破損してしまうため、前記タイミング信号補完回路(Ufm)は、適正な時間間隔を有するパルス信号としての前記極性反転タイミング信号(So)が入力されているかどうかを常時監視し、もし入力されていない場合は、代用の信号としての極性反転タイミング信補完信号(So1)を出力することによって、ランプが直流点灯されることを回避するために設けたものである。なお、前記論理和ゲート(A31)は、前記極性反転タイミング信号(So)と前記極性反転タイミング信補完信号(So1)との何れかを選択するデータセレクタとしてもよい。
【0048】
当然ながら、前記極性反転タイミング信号(So)が正常に入力されている限り、インバータ極性信号(Sfs)の更新は、 前記インバータ極性レジスタ(Ufs)によって、前記極性反転タイミング信号(So)に同期して行われるため、前記極性反転タイミング信号(So)の受信からの有意な遅れやジッタは生じない。したがって、前記原インバータ極性信号生成回路(Ufr)や前記タイミング信号補完回路(Ufm)については高速な動作が必要ではないため、マイクロプロセッサを用いて構成することができる。このように、マイクロプロセッサを用いて前記原インバータ極性信号生成回路(Ufr)を構成した場合は、回路構成を複雑にすることなく、前記原インバータ極性信号生成回路(Ufr)には、いくらでも複雑な機能を持たせることができる利点がある。
【0049】
前記原インバータ極性信号生成回路(Ufr)は、その入力信号である前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値に従って、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作を間欠的に挿入する動作を、簡単に実現することができる。すなわち、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値が第1の所定カウント値になるまでは、前記極性反転タイミング信号(So)を受信する度に反転する前記原インバータ極性信号(Sfr)を生成し、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値が前記第1の所定カウント値になると、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値をクリアし、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値が第2の所定カウント値になるまでは、前記原インバータ極性信号(Sfr)の反転動作を停止し、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値が前記第2の所定カウント値になると、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値をクリアし、そして前記した、前記極性反転タイミング信号(So)を受信する度に反転する前記原インバータ極性信号(Sfr)を生成しながら、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値が前記第1の所定カウント値になるのを待つ状態に戻るシーケンスとすればよい。
【0050】
ここで、前記第1の所定カウント値は、挿入される前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作と、その次に挿入される前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作との間の前記極性反転タイミング信号(So)の個数に対応し、前記第2の所定カウント値は、無視する前記極性反転タイミング信号(So)の連続する奇数回分に対応する。
【0051】
前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作を間欠的に挿入する動作に加えて、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する偶数回分を無視する動作を実現する場合は、前記した、第1および第2の所定カウント値に基づく動作を、第1および第2、第3、第4の所定カウント値に基づき、同様の動作を行うようにすればよい。すなわち、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値が第1の所定カウント値になるまでは、前記極性反転タイミング信号(So)を受信する度に反転する前記原インバータ極性信号(Sfr)を生成し、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値が前記第1の所定カウント値になると、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値をクリアし、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値が第2の所定カウント値になるまでは、前記原インバータ極性信号(Sfr)の反転動作を停止し、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値が前記第2の所定カウント値になると、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値をクリアし、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値が第3の所定カウント値になるまでは、前記極性反転タイミング信号(So)を受信する度に反転する前記原インバータ極性信号(Sfr)を生成し、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値が前記第3の所定カウント値になると、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値をクリアし、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値が第4の所定カウント値になるまでは、前記原インバータ極性信号(Sfr)の反転動作を停止し、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値が前記第4の所定カウント値になると、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値をクリアし、そして前記した、前記極性反転タイミング信号(So)を受信する度に反転する前記原インバータ極性信号(Sfr)を生成しながら、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値が前記第1の所定カウント値になるのを待つ状態に戻るシーケンスとすればよい。
【0052】
このときの前記第1の所定カウント値は、挿入される前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する偶数回分を無視する動作と、その次に挿入される前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作との間の期間における前記極性反転タイミング信号(So)の個数に対応し、前記第2の所定カウント値は、無視する前記極性反転タイミング信号(So)の連続する奇数回分に対応し、前記第3の所定カウント値は、挿入される前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作と、その次に挿入される前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する偶数回分を無視する動作との間の期間における前記極性反転タイミング信号(So)の個数に対応し、前記第4の所定カウント値は、無視する前記極性反転タイミング信号(So)の連続する偶数回分に対応する。
【0053】
また必要に応じて前記原インバータ極性信号生成回路(Ufr)には、前記変調周期初期化信号(Sop)も入力され、例えば、後述するカウント値Nkcと同様の位相追跡保持構成を内部に有し、前記極性反転タイミング信号(So)のカウント値によって、前記動的色フィルタがその時点で発現している色情報を追跡することができる。そして必要に応じて、この色情報に基づいて、極性を維持すべきであるか、極性を反転すべきであるかを決定し、新しい前記原インバータ極性信号(Sfr)を決定し出力ように構成することもできる。
【0054】
図13は、本発明の放電ランプ点灯装置で使用することのできるインバータ(Ui)の簡略化された一例を示すものである。インバータ(Ui)は、FET等のスイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)を用いたフルブリッジ回路により構成してある。 それぞれのスイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)は、それぞれのゲート駆動回路(G1,G2,G3,G4)により駆動され、前記ゲート駆動回路(G1,G2,G3,G4)は、一方の対角要素の前記スイッチ素子(Q1)と前記スイッチ素子(Q3)がオン状態の位相においては、他方の対角要素の前記スイッチ素子(Q2)と前記スイッチ素子(Q4)はオフ状態に維持され、逆に他方の対角要素の前記スイッチ素子(Q2)と前記スイッチ素子(Q4)がオン状態の位相においては、一方の対角要素の前記スイッチ素子(Q1)と前記スイッチ素子(Q3)はオフ状態に維持されるよう、インバータ制御回路(Uf)により生成されるインバータ制御信号(Sf1,Sf2)により制御される。前記した2つの位相の切換えを行うときは、前記スイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)の全てがオフ状態になる、デッドタイムと呼ばれる期間が挿入される。
【0055】
なお、前記スイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)が例えばMOSFETである場合は、ソース端子からドレイン端子に向かって順方向となる寄生ダイオードが素子自体に内蔵されている(図示を省略)が、バイポーラトランジスタのような、前記寄生ダイオードが存在しない素子の場合は、前記した位相の切換え時、またはデッドタイムの期間において、インバータ(Ui)の後段に存在しているインダクタンス成分に起因する誘導電流が流れようとすることにより、逆電圧の発生により素子が破損される恐れがあるため、前記寄生ダイオードに相当するダイオードを、逆並列に接続することが望ましい。なお、コンデンサ(Cpt)は、サージ電圧などから前記スイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)を保護する場合に設置するとよい。
【0056】
図14は、本発明の放電ランプ点灯装置で使用することのできる給電回路(Ux)の一例を示すものである。降圧チョッパ回路を基本とした給電回路(Ux)は、PFC等のDC電源(Mx)より電圧の供給を受けて動作し、放電ランプ(Ld)への給電量調整を行う。前記給電回路(Ux)においては、FET等のスイッチ素子(Qx)によって前記DC電源(Mx)よりの電流をオン・オフし、チョークコイル(Lx)を介して平滑コンデンサ(Cx)に充電が行われ、この電圧が放電ランプ(Ld)に印加され、放電ランプ(Ld)に電流を流すことができるように構成されている。
【0057】
なお、前記スイッチ素子(Qx)がオン状態の期間は、スイッチ素子(Qx)を通じた電流により、直接的に平滑コンデンサ(Cx)への充電と負荷である放電ランプ(Ld)への電流供給が行われるとともに、チョークコイル(Lx)に磁束の形でエネルギーを蓄え、前記スイッチ素子(Qx)がオフ状態の期間は、チョークコイル(Lx)に磁束の形で蓄えられたエネルギーによって、フライホイールダイオード(Dx)を介して平滑コンデンサ(Cx)への充電と放電ランプ(Ld)への電流供給が行われる。
【0058】
前記降圧チョッパ型の給電回路(Ux)においては、前記スイッチ素子(Qx)の動作周期に対する、前記スイッチ素子(Qx)がオン状態の期間の比、すなわちデューティサイクル比により、前記放電ランプへの給電量を調整することができる。ここでは、あるデューティサイクル比を有するゲート駆動信号(Sg)が給電制御回路(Fx)によって生成され、ゲート駆動回路(Gx)を介して、前記スイッチ素子(Qx)のゲート端子を制御することにより、前記したDC電源(Mx)よりの電流のオン・オフが制御される。
【0059】
前記放電ランプ(Ld)の電極(E1,E2)間を流れるランプ電流(の絶対値)と、電極(E1,E2)間に発生するランプ電圧(の絶対値)とは、ランプ電流検出手段(Ix)と、ランプ電圧検出手段(Vx)とによって、検出できるように構成される。なお、前記ランプ電流検出手段(Ix)については、シャント抵抗を用いて、また前記ランプ電圧検出手段(Vx)については、分圧抵抗を用いて簡単に実現することができる。
【0060】
前記ランプ電流検出手段(Ix)よりのランプ電流検出信号(Si)、および前記ランプ電圧検出手段(Vx)よりのランプ電圧検出信号(Sv)は、前記給電制御回路(Fx)に入力される。前記給電制御回路(Fx)は、ランプ始動時の、ランプ電流が流れていない期間においては、無負荷開放電圧をランプに印加するために所定の電圧を出力するよう、前記ゲート駆動信号(Sg)をフィードバック的に生成する。ランプが始動して放電電流が流れると、目標ランプ電流が出力されるよう前記ゲート駆動信号(Sg)をフィードバック的に生成する。ここで前記目標ランプ電流は、前記放電ランプ(Ld)の電圧に依存して、前記放電ランプ(Ld)に投入される電力が所定の電力となるような値を基本とする。ただし、始動直後は、前記放電ランプ(Ld)の電圧が低く、定格電力を供給できないため、前記目標ランプ電流は、初期制限電流と呼ばれる一定の制限値を超えないように制御される。そして温度上昇とともに前記放電ランプ(Ld)の電圧が上昇し、所定の電力投入に必要な電流が前記初期制限電流以下になると、前記した所定の電力投入が実現できる状態に滑らかに移行する。
【0061】
なお、ここでは、給電回路(Ux)として、降圧チョッパ回路によるものを示したが、例えば昇圧チョッパ回路など、入力電力を放電ランプに給電するのに適した電圧・電流に変換するコンバータであればよく、給電回路の形式は、本発明の本質には無関係である。
【0062】
図15は、給電制御回路(Fx)を簡略化して示すブロック図である。前記ランプ電流検出信号(Si)に対し、例えばゲインが可変の増幅器やゲインが可変の減衰器で構成したランプ電流検出信号変換器(Ai)によって、前記ランプ電流検出信号(Si)は変換ランプ電流検出信号(Si’)に変換される。ランプ電流変調回路(Um)は、変調信号(Sm)を生成し、該変調信号(Sm)に従って前記ランプ電流検出信号変換器(Ai)のゲインに変調が掛けられる。給電能力制御回路(Ud)には、前記変換ランプ電流検出信号(Si’)と、この信号の制御目標値であるランプ電流目標信号(St)とが入力され、前記給電能力制御回路(Ud)は、これら2つの信号を比較する。
【0063】
そして、もし前記変換ランプ電流検出信号(Si’)が前記ランプ電流目標信号(St)より小さい場合は、前記ランプ電流(IL)が増加するように、逆に前記変換ランプ電流検出信号(Si’)が前記ランプ電流目標信号(St)より大きい場合は、前記ランプ電流(IL)が減少するように、前記給電回路(Ux)への前記ゲート駆動信号(Sg)の出力をフィードバック制御することにより、前記変換ランプ電流検出信号(Si’)と前記ランプ電流目標信号(St)とが一致するように制御する。また、ランプ電流の変調については、例えば、前記変換ランプ電流検出信号(Si’)と前記ランプ電流目標信号(St)とが一致して、フィードバック制御が達成されている状態において、前記変調信号(Sm)が変化させられて、前記ランプ電流検出信号変換器(Ai)のゲインが低下したとすると、前記給電能力制御回路(Ud)は前記変換ランプ電流検出信号(Si’)が小さ過ぎると判断して、前記ランプ電流(IL)が増加するように、前記ゲート駆動信号(Sg)の出力を制御する。このような動作により、前記変調信号(Sm)に従うランプ電流の変調機能が実現される。
【0064】
一方、ランプ電圧検出信号(Sv)は電力制御回路(Up)に入力され、該電力制御回路(Up)は、前記ランプ電圧検出信号(Sv)を用いて、前記放電ランプ(Ld)に投入されている負荷電力値PLが予め定めた目標電力値PTになるように前記ランプ電流目標信号(St)を更新する機能を有する。このように給電制御回路(Fx)を構成したことにより、放電ランプ点灯装置は、前記放電ランプ(Ld)を始動し、所定の電力での放電を維持しながら、前記変調信号(Sm)に従いランプ電流に変調を掛けることができる。
【0065】
なお、前記電力制御回路(Up)の構成については、例えば次のようにすることができる。前記ランプ電圧検出信号(Sv)は、電力制御回路(Up)のなかのAD変換器に入力されて、適当な桁数を有するディジタルのランプ電圧データに変換され、マイクロプロセッサユニットに入力される。ここで、前記マイクロプロセッサユニットは、CPUやプログラムメモリ、データメモリ、クロックパルス発生回路、タイムカウンタ、ディジタル信号の入出力のためのIO制御器などを含む。前記マイクロプロセッサユニットは、前記ランプ電圧データを参照した計算や、その時点の系の状態に応じた条件判断に基づき、原ランプ電流目標データを生成する。例えば、定格電力に対応する定数を前記ランプ電圧データで除算して、定格電力を達成するためのランプ電流(IL)の値を算出し、この値に対応するものとして前記原ランプ電流目標データを生成する。ただし、始動直後において発生するように、もし、除算して得た算出値がランプ電流(IL)の上限値ILmaxに相当する値を超えている条件では、算出値の代わりに上限値ILmaxに相当する値を前記原ランプ電流目標データとして設定する。前記原ランプ電流目標データは、DA変換器によって、アナログのランプ電流目標信号(St)に変換される。
【0066】
前記ランプ電流変調回路(Um)は、前記極性反転タイミング信号(So)に同期して前記変調信号(Sm)を生成するが、受信した前記極性反転タイミング信号(So)のそれぞれが、1周期におけるどの位相のものであるかを特定するための情報が必要であるため、変調周期初期化信号(Sop)が入力される。例えば、動的色フィルタとして図23に記載のようなカラーホイールを用いるとして、1周期における前記極性反転タイミング信号(So)の個数を4個とする場合は、カウント値Nkcとして、少なくとも0,1,2,3を有する、極性反転位相を追跡し保持するための極性反転位相追跡カウンタ(Ukc)を設け、前記極性反転タイミング信号(So)が活性化される度に、前記極性反転位相追跡カウンタ(Ukc)の前記カウント値Nkcが更新されるようにする。ただし、前記変調周期初期化信号(Sop)を受信したときは、前記カウント値Nkcを、例えば0に初期化されるように構成する。
【0067】
そして、前記極性反転位相追跡カウンタ(Ukc)の前記カウント値Nkcに応じて、前記変調信号(Sm)を生成するように前記ランプ電流変調回路(Um)を構成する。例えば、前記カウント値Nkcの0,1,2,3を、それぞれカラーホイールの色のB,R,G,Wに対応させ、前記カウント値Nkcが0のときはB、1のときはR、2のときはG、3のときはWにそれぞれ好適な値の前記変調信号(Sm)を生成する。
【0068】
このようなランプ電流変調回路(Um)は、市販の汎用IC等を用いて構成することができる。図16は、ランプ電流変調回路(Um)を簡略化して示すブロック図である。例えば、汎用の16進ディジタルカウンタを前記極性反転位相追跡カウンタ(Ukc)として用い、そのクロック信号入力端子およびクリア信号入力端子に、前記極性反転タイミング信号(So)および前記変調周期初期化信号(Sop)をそれぞれ入力する。前記極性反転位相追跡カウンタ(Ukc)のカウント値Nkcに対応するカウント出力信号(Skc)は、汎用ICによるデコーダ(Ukd)に入力する。該デコーダ(Ukd)には、前記カウント値Nkcのそれぞれに対応したデコード信号(SkdA,SkdB,…)が出力として設けられており、該デコード信号(SkdA,SkdB,…)のそれぞれに、例えばトライステート出力を有する汎用ICによるレジスタ(UmrA,UmrB,…)を接続しておく。そして前記レジスタ(UmrA,UmrB,…)のそれぞれには、対応する前記カウント値Nkcに応じた前記変調信号(Sm)の値を格納しておく。
【0069】
このような前記ランプ電流変調回路(Um)の構成により、前記変調周期初期化信号(Sop)が活性化されると前記極性反転位相追跡カウンタ(Ukc)が初期化され、その後は、前記極性反転タイミング信号(So)が活性化される度に前記極性反転位相追跡カウンタ(Ukc)のカウント値Nkcがインクリメントされ、前記カウント値Nkcに応じた1個の前記レジスタ(UmrA,UmrB,…)が前記デコーダ(Ukd)によって選択され、接続されたレジスタ(UmrA,UmrB,…)に保持されているデータが、前記変調信号(Sm)として出力されるように動作する。ここで述べた、ランプ電流変調回路(Um)の機能および動作は、前記したように、汎用IC等を用いて構成する代わりに、マイクロプロセッサによって、ソフトウェアによって構成することが好適である。
【0070】
なお、図15においては、前記ランプ電流変調回路(Um)が放電ランプ点灯装置内にあり、前記変調信号(Sm)が放電ランプ点灯装置によって生成されるように描いてあるが、前記変調信号(Sm)は、この放電ランプ点灯装置と協働するプロジェクタ本体の画像処理回部によって生成されるものでよく、前記変調信号(Sm)の生成元は、本発明の本質には無関係である。また、前記変調信号(Sm)が、ハイレベルとローレベルとを有する1ビットの2値信号であっても、あるいは多ビットのディジタル信号からなる諧調を持ったデータであっても、さらにアナログ信号であっても、前記ランプ電流変調回路(Um)がそれぞれの場合に適合して設けられればよく、前記変調信号(Sm)の形式は、本発明の本質には無関係である。なお、このような前記変調信号(Sm)としては、増加変調によってランプ電流を増加させる割合を定める多ビットディジタル信号またはアナログ信号部分と、変調を掛けるまたは掛けない、の別を定める1ビットの2値信号部分とからなる形式のものをも含む。
【0071】
図17は、図16に記載の前記ランプ電流検出信号変換器(Ai)の構成の具体例を簡略化して示すものである。この図においては、前記変調信号(Sm)は変調信号(M0,M1,M2)からなる多ビットのディジタル信号からなる諧調を持ったデータである。この図の回路では、演算増幅器(Aai)による非反転増幅回路を基本として、前記ランプ電流原検出信号(Sr)が、前記演算増幅器(Aai)により増幅され、その出力信号としてランプ電流検出信号(Si)が生成される。
【0072】
前記演算増幅器(Aai)の出力は、抵抗(Rfc)と、抵抗(Rac)やこれに並列接続されてグランドに接続されている抵抗との合成抵抗と、により分圧されて前記演算増幅器(Aai)の反転入力端子に接続されるため、この非反転増幅回路のゲインは、この分圧比により規定される。前記抵抗(Rac)に並列接続されている抵抗(Ra0,Ra1,Ra2)とグランドとの間には、トランジスタによるスイッチ素子(Z0,Z1,Z2)がそれぞれ挿入されているため、前記スイッチ素子(Z0,Z1,Z2)それぞれのオンまたはオフにより、それぞれの前記抵抗(Ra0,Ra1,Ra2)が接続状態または非接続状態を切換えられるため、この非反転増幅回路のゲインを可変することができる。
【0073】
前記スイッチ素子(Z0,Z1,Z2)は、それぞれのベース端子がそれぞれベース抵抗(Rm0,Rm1,Rm2)を介して前記変調信号(M0,M1,M2)に接続されているため、前記スイッチ素子(Z0,Z1,Z2)は、前記変調信号(M0,M1,M2)のそれぞれのビットの真と偽に対応してオン状態とオフ状態が制御され、結果として、前記変調信号(M0,M1,M2)のそれぞれのビットの真と偽の組み合せによってこの非反転増幅回路のゲインを可変することができる。
【0074】
ここで、前記抵抗(Ra0,Ra1,Ra2)の抵抗値の関係として、前記抵抗(Ra0)を前記抵抗(Ra1)の2倍、前記抵抗(Ra1)を前記抵抗(Ra2)の2倍に設定することにより、前記変調信号(M0)を最下位ビット、前記変調信号(M2)を最上位ビットとした3ビットの2進数データとしてこの非反転増幅回路のゲインを可変することができる。ただし、非反転増幅回路のゲインと2進数データとは直線関係には無い。なおここでは、一例として3ビットの場合を示したが、必要に応じてビット数を増減して同様に構成することができる。
【0075】
図18は、給電制御回路(Fx)を簡略化して示すブロック図である。先の図15においては、前記ランプ電流変調回路(Um)が前記ランプ電流検出信号変換器(Ai)に接続されてこれのゲインに変調を掛ける構成であったものが、図18においては、ランプ電流変調回路(Um)が、ランプ電流目標信号変換器(At)に接続され、変調信号(Sm)に従って前記ランプ電流目標信号変換器(At)のゲインに変調を掛けて、ランプ電流目標信号(St)から変換ランプ電流目標信号(St’)を生成する構成である点が相違する。該変換ランプ電流目標信号(St’)が生成されて以降の給電能力制御回路(Ud)が行うフィードバック制御動作は、先に図15について説明したものと同様である。
【0076】
そして、前記ランプ電流検出信号(Si)と前記変換ランプ電流目標信号(St’)とが一致して、フィードバック制御が達成されている状態において、前記変調信号(Sm)が変化させられて、前記ランプ電流目標信号変換器(At)のゲインが上昇したとすると、前記給電能力制御回路(Ud)は前記ランプ電流検出信号(Si)が小さ過ぎると判断して、前記ランプ電流(IL)が増加するように、前記ゲート駆動信号(Sg)の出力を制御する。このような動作により、前記変調信号(Sm)に従うランプ電流の変調機能が実現される。
【0077】
また、前記ランプ電流目標信号変換器(At)は、前記した図17と同様に構成した、変調信号(M0,M1,M2)のそれぞれのビットの真と偽の組み合せによってゲインが可変の非反転増幅回路によって実現することができる。 具体的には、図17に記載の記号AiをAtに、SiをStに、Si’をSt’に、それぞれ読み換えた回路とすればよい。
【0078】
なお、ここでは、ゲインに変調を掛けることのできるランプ電流検出信号変換器(Ai)やランプ電流目標信号変換器(At)の回路として、演算増幅器による非反転増幅回路の増幅率を可変にするものの例を示したが、ゲインに変調を掛けることのできる変換器であれば、その回路形式は、本発明の本質には無関係である。例えば、反転増幅器を基本としたものや、分圧抵抗の分圧比を可変にするなど、増幅器を使用しないものなどが使用できる。また、特に多ビットのディジタル信号からなる諧調を持ったデータによりゲインに変調を掛けるものの場合は、例えばラダー抵抗ネットワークを利用したり、DA変換用ICを使用して構成することも可能である。
【0079】
なお、前記したように、前記電力制御回路(Up)が、ディジタルの原ランプ電流目標データをDA変換器によって、アナログのランプ電流目標信号(St)に変換して出力するものの場合、ランプ電流目標信号(St)にランプ電流目標信号変換器(At)のゲインを乗じて変換ランプ電流目標信号(St’)を生成する代わりに、所望の変調が掛けられたものとして前記原ランプ電流目標データを生成し、これをDA変換器することによって変換ランプ電流目標信号(St’)を生成するようにしてもよい。ただし、このようにする場合は、DA変換器を、例えば12ビットや16ビットなどの分解能のものを使用するなどにより、そのダイナミックレンジを大きくしておくことが望ましい。
【0080】
例えば、ある極性反転位相においてランプ電流を増加させるように変調を掛ける場合、当然ながら、ランプ電流が一定でない(ランプ電圧も厳密には一定でない)ため、平均負荷電力値が目標電力値PTに等しくなるように制御するならば、測定などによって平均負荷電力値を取得する必要がある。その方法としては、電力制御回路(Up)において、ランプ電圧(VL)とランプ電流(IL)の瞬時値測定値から平均値を算出する方法、ランプ電圧の代表的測定値と、ランプ電流の瞬時値測定値から平均値を算出する方法、ランプ電圧の代表的測定値と、ランプ電流の代表的測定値から平均値を算出する方法などが可能である。ここで、ランプ電圧(VL)やランプ電流(IL)の代表的測定値を得る方法としては、ある極性反転位相におけるランプ電圧やランプ電流の瞬時値を測定する方法、例えばCR回路などのローパスフィルタによって、アナログ的平均値信号を生成して測定する方法などが可能である。ただし、瞬時値測定値から平均値を算出することを、電力制御回路(Up)のAD変換器とマイクロプロセッサで行う場合は、高速な処理能力が必要になるため、代表的測定値を得る方法が有利になる場合が多い。
【0081】
先述の前記変調周期初期化信号(Sop)に関する説明の部分においては、この信号の生成元から伝送されて来る経路については、具体的に述べなかった。当然、前記極性反転タイミング信号(So)とは独立の経路を設けて伝送されるようにしてもよいが、前記極性反転タイミング信号(So)と同じ経路を使って前記変調周期初期化信号(Sop)を伝送することにより、信号線の本数を節約することができる。そのために、前記変調周期初期化信号(Sop)を活性化する場合は、例えばプロジェクタの画像処理部において前記極性反転タイミング信号(So)に変調を施して送るようにする。ただし、ここで言う前記極性反転タイミング信号(So)に施す「変調」と、放電ランプの明るさに施す「変調」とは対象と形態が異なるため、混同無きよう注意されたい。
【0082】
前記極性反転タイミング信号(So)に施す変調方法として、変調が施されているか否かが簡単に識別できる、すなわち簡単に復調して前記変調周期初期化信号(Sop)を再現できる方法であれば、任意の変調方法を採用することができる。例えば、前記極性反転タイミング信号(So)のパルス幅に短いものと長いものが送信されるとし、規定の時間幅よりも長いものが受信された場合は、単に前記極性反転タイミング信号(So)が受信されたとして処理し、逆に短いものが受信された場合は、変調が施されているものとして識別し、前記極性反転タイミング信号(So)とともに前記変調周期初期化信号(Sop)をも受信されたとして処理するように復調することができる。
【0083】
図19の(a)は、このような初期化情報復調回路(Uod)の構成を簡略化して示す図である。前記極性反転タイミング信号(So)は、モノステーブルマルチバイブレータ(A11)に入力され、前記モノステーブルマルチバイブレータ(A11)は、入力信号の立ち上がりを受けて一定の時間幅(τ11)のパルス信号(Soa)を出力する。前記極性反転タイミング信号(So)および前記パルス信号(Soa)は、論理ゲート(A12)に入力され、この論理ゲート(A12)は、前記極性反転タイミング信号(So)がローレベルかつ前記パルス信号(Soa)がハイレベルのときにローレベルの前記変調周期初期化信号(Sop)を生成する。
【0084】
図19の(b),(c),(d)は、前記初期化情報復調回路(Uod)の動作を簡略化して示すタイミング図で、(b)は前記極性反転タイミング信号(So)、(c)は前記パルス信号(Soa)、(d)は前記変調周期初期化信号(Sop)を表す。時点(t11)では、パルス幅の長い前記極性反転タイミング信号(So)を受信しているが、このパルスの終了の時点では、同じく前記時点(t11)で発生した前記パルス信号(Soa)が既にローレベルに戻ってしまっているため、前記変調周期初期化信号(Sop)はハイレベルのままである。一方、時点(t12)では、パルス幅の短い前記極性反転タイミング信号(So)を受信しているが、このパルスの終了の時点(t13)では、同じく前記時点(t12)で発生した前記パルス信号(Soa)はまだハイレベルに留まっているため、前記パルス信号(Soa)の、前記時点(t13)からの前記時間幅(τ11)の残りの時間に等しいローレベルの時間幅を有する前記変調周期初期化信号(Sop)が生成される。
【0085】
あるいは、前記極性反転タイミング信号(So)に施す変調方法として、例えば、前記極性反転タイミング信号(So)のパルスが単発であるものと複数パルスのバーストであるものが送信されるとし、規定の時間幅内に1個のパルスが受信された場合は、単に前記極性反転タイミング信号(So)が受信されたとして処理し、逆に複数のパルスが受信された場合は、変調が施されているものとして識別し、前記極性反転タイミング信号(So)とともに前記変調周期初期化信号(Sop)をも受信されたとして処理するように復調することができる。
【0086】
図20の(a)は、このような初期化情報復調回路(Uod’)の構成を簡略化して示す図である。前記極性反転タイミング信号(So)は、モノステーブルマルチバイブレータ(A21)に入力され、前記モノステーブルマルチバイブレータ(A21)は、入力信号の立ち上がりを受けて一定の時間幅(τ21)のパルス信号(So’)を出力する。前記極性反転タイミング信号(So)および前記パルス信号(So’)は、論理積ゲート(A23)に入力され、この論理積ゲート(A23)は、前記パルス信号(So’)がハイレベルのときに前記極性反転タイミング信号(So)の立ち上がりを通過させてモノステーブルマルチバイブレータ(A22)に入力し、前記モノステーブルマルチバイブレータ(A22)は、入力信号の立ち上がりを受けて一定の時間幅(τ22)のローレベルの前記変調周期初期化信号(Sop)を生成する。
【0087】
図20の(b),(c),(d)は、前記初期化情報復調回路(Uod’)の動作を簡略化して示すタイミング図で、(b)は前記極性反転タイミング信号(So)、(c)は前記パルス信号(So’)、(d)は前記変調周期初期化信号(Sop)を表す。時点(t21)では、単発の前記極性反転タイミング信号(So)を受信しているが、同じく前記時点(t21)で発生した前記パルス信号(So’)がローレベルに戻る前に、後続の前記極性反転タイミング信号(So)を受信しなかったため、前記変調周期初期化信号(Sop)はハイレベルのままである。一方、時点(t22)では、複数パルスからなる前記極性反転タイミング信号(So)の先頭部を受信しているが、2番目のパルスを受信した時点(t23)では、同じく前記時点(t22)で発生した前記パルス信号(So’)はまだハイレベルに留まっているため、前記論理積ゲート(A23)によって前記モノステーブルマルチバイブレータ(A22)が活性化され、ローレベルの時間幅(τ22)を有する前記変調周期初期化信号(Sop)が生成される。放電ランプ点灯装置の他の回路部においては、前記極性反転タイミング信号(So)の代わりとして、前記パルス信号(So’)を使用すればよい。
【0088】
なお、前記したように前記ランプ電流変調回路(Um)をマイクロプロセッサを用いて構成する場合は、ここで述べた初期化情報復調回路(Uod)についても同じマイクロプロセッサに構成することが好適である。このような本発明の構成により、変調周期初期化信号を別に設けることなく、色順次光束の発現の周期と変調パターンの周期とを整合させることが可能になる。
【0089】
図21は、本発明のプロジェクタの一つの形態を簡略化して示すブロック図である。本発明の放電ランプ点灯装置(Ex)によって始動・点灯される放電ランプ(Ld)から発せられた光束(Ox1)は、必要に応じて設けられる、凹面鏡や集光レンズ等を含むコンデンサ光学系(Oc)を通過した光束(Ox1’)を経て、回転カラーホイールなどの動的色フィルタ(Of)により色順次光束(Ox2)に変換される。前記色順次光束(Ox2)は、DMD(TM)やLCD、LCOS(反射型の液晶表示パネル)などを用いた空間変調素子(Om)によって色順次の画像光束(Ox3)に変調され、投影レンズ(Op)によって、プロジェクタと一体の、あるいはプロジェクタの外部に設けられたスクリーン(Os)に投影画像が形成される。
【0090】
プロジェクタの画像処理部(Ox)は、動的色フィルタ(Of)が発現している色情報に対応する信号(Soc)を、ロータリエンコーダなどのセンサからのパルスカウント値や、回転角度の初期検出と経過時間カウント値などから生成し、これに基づいて、前記極性反転タイミング信号(So)を生成して、放電ランプ点灯装置(Ex)に送信するように構成される。このとき、必要に応じ、前記極性反転タイミング信号(So)の1周期における位相を特定するために、前記変調周期初期化信号(Sop)を生成して放電ランプ点灯装置(Ex)に送信するか、もしくは、放電ランプ点灯装置(Ex)に送信する前記極性反転タイミング信号(So)に変調を施す。先の例では、図16を用いて説明したように、前記変調信号(Sm)は、前記極性反転タイミング信号(So)に基づいて放電ランプ点灯装置(Ex)で生成されるものについて記載したが、前記変調信号(Sm)を、プロジェクタの画像処理部によって生成されるようにしてもよい。
【0091】
現在、プロジェクタに入力される可能性のある映像信号の信号源としては、パソコン、ビデオテープやDVDのプレイヤー、TVチューナなど種々のものがあり、さらに信号の規格もNTSCやPALなど複数のものが存在するため、プロジェクタの画像処理部は、入力される映像信号の種類に応じて、その動作態様を柔軟に変化させることが必要になる。特に、フレームレート(単位時間あたりの画像フレーム更新回数)の変化に対しては、よりよい映像表現能力を発揮させるために、条件によって、動的色フィルタの周波数をフレームレートの2倍や3倍に設定したりすることが行われる場合がある。また、プロジェクタをプレゼンテーション用として使用する場合は、色の表現能力の豊かさよりも、明るさが重要であるが、映画などの映像観賞用として使用する場合は、逆に、明るさよりも、色の表現能力の豊かさが重要であり、それぞれ、適する画像処理の動作態様は異なるため、1台のプロジェクタを、それぞれの用途に切換えて使用できるようにする場合は、前記した映像信号源の変化に加えて、更なる画像処理の動作態様の変化が必要になる。
【0092】
そのような画像処理の動作態様の変化には、前記極性反転タイミング信号(So)の1周期における極性反転の回数の、偶数・奇数の別を変更する場合もあり得る。例えば、動的色フィルタ(Of)における、隣接する、ある2色の切り換わり目において、プロジェクタの画像処理部が前記極性反転タイミング信号(So)を発生させていたものを、画像処理の動作態様の変化に伴って、前記極性反転タイミング信号(So)を発生させないようにすることもある。あるいは、例えば、動的色フィルタ(Of)における、ある1色の領域の途中において、プロジェクタの画像処理部が前記極性反転タイミング信号(So)を発生させていたものを、画像処理の動作態様の変化に伴って、前記極性反転タイミング信号(So)を発生させないようにすることもある。
【0093】
前記したように、前記極性反転タイミング信号(So)の1周期における極性反転の回数が奇数回である場合は、放電ランプの2個の電極における熱負荷のアンバランスが発生してしまう問題は発生しないが、この場合においても本発明に基づき、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作を間欠的に挿入する動作を行うようにしても、特段の問題は発生しないため、前記極性反転タイミング信号(So)の1周期における極性反転の回数の、偶数・奇数の別に無関係に、常に本発明を適用するようにしても構わない。
【0094】
また、プロジェクタの画像処理部から送られる前記変調周期初期化信号(Sop)、または変調が施された前記極性反転タイミング信号(So)から、前記初期化情報復調回路(Uod)によって生成された前記変調周期初期化信号(Sop)によって、前記極性反転タイミング信号(So)の1周期における位相を特定することが可能であるから、本発明の放電ランプ点灯装置は、前記変調周期初期化信号(Sop)を受信してから、次の前記変調周期初期化信号(Sop)を受信するまでの前記極性反転タイミング信号(So)の数をカウントすることにより、前記極性反転タイミング信号(So)の1周期における極性反転の回数が偶数であるか奇数であるかを判定することができるから、それが偶数であると判定された場合に、前記した前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作を間欠的に挿入する動作を実行し、逆に、それが奇数であると判定された場合には、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作を間欠的に挿入する動作を実行しないようにすることもできる。
【0095】
本明細書に記載の回路構成は、本発明の光源装置の動作や機能、作用を説明するために、必要最少限のものを記載したものである。したがって、説明した回路構成や動作の詳細事項、例えば、信号の極性であるとか、具体的な回路素子の選択や追加、省略、或いは素子の入手の便や経済的理由に基づく変更などの創意工夫は、実際の装置の設計時に遂行されることを前提としている。
【0096】
とりわけ過電圧や過電流、過熱などの破損要因から給電装置のFET等のスイッチ素子などの回路素子を保護するための機構、または、給電装置の回路素子の動作に伴って発生する放射ノイズや伝導ノイズの発生を低減したり、発生したノイズを外部に出さないための機構、例えば、スナバ回路やバリスタ、クランプダイオード、(パルスバイパルス方式を含む)電流制限回路、コモンモードまたはノーマルモードのノイズフィルタチョークコイル、ノイズフィルタコンデンサなどは、必要に応じて、実施例に記載の回路構成の各部に追加されることを前提としている。本発明になる放電ランプ点灯装置の構成は、本明細書に記載の回路方式のものに限定されるものではなく、また、記載の波形やタイミング図に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の放電ランプ点灯装置の一形態を簡略化して示すブロック図を表す。
【図2】本発明の放電ランプ点灯装置の動作の一形態を模式的に示すタイミング図を表す。
【図3】本発明の放電ランプ点灯装置の動作の一形態を模式的に示すタイミング図を表す。
【図4】本発明の放電ランプ点灯装置の動作の一形態を模式的に示すタイミング図を表す。
【図5】本発明の放電ランプ点灯装置の動作の一形態を模式的に示すタイミング図を表す。
【図6】本発明の放電ランプ点灯装置の動作の一形態を模式的に示すタイミング図を表す。
【図7】本発明の放電ランプ点灯装置の動作の一形態を模式的に示すタイミング図を表す。
【図8】本発明の放電ランプ点灯装置の動作の一形態を模式的に示すタイミング図を表す。
【図9】本発明の放電ランプ点灯装置の動作の一形態を模式的に示すタイミング図を表す。
【図10】本発明の放電ランプ点灯装置の動作の一形態を模式的に示すタイミング図を表す。
【図11】本発明の放電ランプ点灯装置の動作の一形態を模式的に示すタイミング図を表す。
【図12】本発明の放電ランプ点灯装置の一部の一形態を簡略化して示す図を表す。
【図13】本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一部の一形態の簡略化して示す図を表す。
【図14】本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一部の一形態を簡略化して示す図を表す。
【図15】本発明の放電ランプ点灯装置の一形態を簡略化して示すブロック図を表す。
【図16】本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一部の一形態を簡略化して示す図を表す。
【図17】本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一部の一形態を簡略化して示す図を表す。
【図18】本発明の放電ランプ点灯装置の一形態を簡略化して示すブロック図を表す。
【図19】本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一部の一形態を簡略化して示す図と模式的に示すタイミング図を表す。
【図20】本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一部の一形態を簡略化して示す図と模式的に示すタイミング図を表す。
【図21】本発明のプロジェクタの一形態の簡略化されたブロック図を表す。
【図22】一般のプロジェクタの一部の形状を模式的に示す図を表す。
【図23】一般のプロジェクタの一部の形状を模式的に示す図を表す。
【図24】従来の放電ランプ点灯装置の動作の一形態を模式的に示すタイミング図を表す。
【図25】従来の放電ランプ点灯装置の動作の一形態を模式的に示すタイミング図を表す。
【符号の説明】
【0098】
A11 モノステーブルマルチバイブレータ
A12 論理ゲート
A21 モノステーブルマルチバイブレータ
A22 モノステーブルマルチバイブレータ
A23 論理積ゲート
A31 論理和ゲート
A32 モノステーブルマルチバイブレータ
A33 NOR論理ゲート
A34 NOR論理ゲート
A3b B色領域
A3b’ B色領域
A3g G色領域
A3g’ G色領域
A3r R色領域
A3r’ R色領域
A4b B色領域
A4b’ B色領域
A4g G色領域
A4g’ G色領域
A4r R色領域
A4r’ R色領域
A4w W色領域
A4w’ W色領域
Aai 演算増幅器
Ai ランプ電流検出信号変換器
At ランプ電流目標信号変換器
Cpt コンデンサ
Cx 平滑コンデンサ
Dx フライホイールダイオード
E1 電極
E2 電極
Et 補助電極
Ex 放電ランプ点灯装置
Fx 給電制御回路
G1 ゲート駆動回路
G2 ゲート駆動回路
G3 ゲート駆動回路
G4 ゲート駆動回路
Gx ゲート駆動回路
IL ランプ電流
IL’ ランプ電流
Ix ランプ電流検出手段
Ld 放電ランプ
Lx チョークコイル
M0 変調信号
M1 変調信号
M2 変調信号
Mx DC電源
Oc コンデンサ光学系
Of 動的色フィルタ
Om 空間変調素子
Op 投影レンズ
Os スクリーン
Ox 画像処理部
Ox1 光束
Ox1’ 光束
Ox2 色順次光束
Ox3 画像光束
Q1 スイッチ素子
Q2 スイッチ素子
Q3 スイッチ素子
Q4 スイッチ素子
Qx スイッチ素子
Ra0 抵抗
Ra1 抵抗
Ra2 抵抗
Rac 抵抗
Rb0 抵抗
Rb1 抵抗
Rb2 抵抗
Rfc 抵抗
Rm0 ベース抵抗
Rm1 ベース抵抗
Rm2 ベース抵抗
Sdt デッドタイム信号
Sf1 インバータ制御信号
Sf2 インバータ制御信号
Sfr 原インバータ極性信号
Sfs インバータ極性信号
Sfs* インバータ極性信号論理反転信号
Sg ゲート駆動信号
Si ランプ電流検出信号
Si’ 変換ランプ電流検出信号
Skc カウント出力信号
SkdA デコード信号
SkdB デコード信号
Sm 変調信号
So 極性反転タイミング信号
So’ パルス信号
So1 極性反転タイミング信補完信号
So2 極性反転タイミング信号
Soa パルス信号
Soc 信号
Sop 変調周期初期化信号
Sr ランプ電流原検出信号
St ランプ電流目標信号
St’ 変換ランプ電流目標信号
Sv ランプ電圧検出信号
T11 ノード
T12 ノード
T21 ノード
T22 ノード
T31 ノード
T32 ノード
T41 ノード
T42 ノード
Tb B色期間
Tf1 期間
Tf2 期間
Tf3 期間
Tf3’ 期間
Tf5 期間
Tf6 期間
Tf7 期間
Tf7’ 期間
Tg G色期間
Tr R色期間
Tw W色期間
Ud 給電能力制御回路
Uf インバータ制御回路
Ufm タイミング信号補完回路
Ufr 原インバータ極性信号生成回路
Ufs インバータ極性レジスタ
Ui インバータ
Ukc 極性反転位相追跡カウンタ
Ukd デコーダ
Um ランプ電流変調回路
UmrA レジスタ
UmrB レジスタ
Uod 初期化情報復調回路
Uod’ 初期化情報復調回路
Up 電力制御回路
Us スタータ
Ux 給電回路
VL ランプ電圧
VL’ ランプ電圧
Vx ランプ電圧検出手段
Z0 スイッチ素子
Z1 スイッチ素子
Z2 スイッチ素子
a01 特定信号
a11 特定信号
a12 特定信号
a13 特定信号
a21 特定信号
a22 特定信号
a23 特定信号
a31 特定信号
a32 特定信号
a33 特定信号
a41 特定信号
a51 特定信号
a52 特定信号
a53 特定信号
a61 特定信号
a62 特定信号
a63 特定信号
a71 特定信号
a72 特定信号
a73 特定信号
b21 特定信号
b22 特定信号
b23 特定信号
b24 特定信号
b31 特定信号
b32 特定信号
b33 特定信号
b34 特定信号
b61 特定信号
b62 特定信号
b63 特定信号
b64 特定信号
b71 特定信号
b72 特定信号
b73 特定信号
b74 特定信号
t11 時点
t12 時点
t13 時点
t21 時点
t22 時点
t23 時点
τ11 時間幅
τ21 時間幅
τ22 時間幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電ランプ(Ld)を点灯するための放電ランプ点灯装置(Ex)であって、
出力電圧を極性反転して前記放電ランプ(Ld)に交流電圧を印加するためのインバータ(Ui)と、
周期的な極性反転タイミング信号(So)に基づいて前記インバータ(Ui)の極性反転動作を規定するインバータ制御信号(Sf1,Sf2)を生成するインバータ制御回路(Uf)とを有しており、
少なくとも前記極性反転タイミング信号(So)の1周期における極性反転の回数が偶数回である場合においては、
前記インバータ制御回路(Uf)は、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作を間欠的に挿入することを特徴とする放電ランプ点灯装置。
【請求項2】
前記極性反転タイミング信号(So)に同期して、前記放電ランプ(Ld)に流れるランプ電流に対する周期的な変調を掛けることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項3】
前記極性反転タイミング信号(So)の1周期における位相を特定するために、前記極性反転タイミング信号(So)には変調が施されて入力され、前記極性反転タイミング信号(So)に変調が施されているか否かを識別する初期化情報復調回路(Uod)を有し、前記初期化情報復調回路(Uod)が、前記極性反転タイミング信号(So)に変調が施されていることを識別したときは、前記極性反転タイミング信号(So)の1周期における位相を保持するための極性反転位相追跡カウンタ(Ukc)のカウント値を初期化する動作を設定することを特徴とする請求項2に記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項4】
前記インバータ制御回路(Uf)は、挿入される前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作と、その次に挿入される前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する奇数回分を無視する動作との間に、前記極性反転タイミング信号(So)に基づく極性反転動作の連続する偶数回分を無視する動作を挿入することを特徴とする請求項1から3に記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項5】
放電ランプにより発生された光束(Ox1)を利用して画像を投影表示するプロジェクタであって、前記放電ランプ(Ld)を始動し点灯するための放電ランプ点灯装置が請求項1から4に記載の放電ランプ点灯装置(Ex)であることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項6】
動的色フィルタ(Of)により色順次光束(Ox2)に変換し、前記色順次光束(Ox2)を利用して画像を投影表示するものであって、前記極性反転タイミング信号(So)は、前記色順次光束(Ox2)の色に依存して生成されることを特徴とする請求項4に記載のプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−146837(P2008−146837A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−328905(P2006−328905)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】