説明

放電ランプ点灯装置

【課題】 高輝度放電ランプを点灯するための放電ランプ点灯装置において、放電ランプを交流点灯する際ランプ印加電圧の極性反転時の光束の変動を小さくすることと同時に、始動時に放電ランプの確実な点灯性を確保することを達成した放電ランプ点灯装置を提供すること。
【解決手段】 トランス(Th)に接続されたコンデンサ(Ch)と、1次側巻線(Ph)に電圧印加駆動を行うための間欠的電圧印加手段(Uj)とを有し、トランス(Th)の2次側巻線(Sh)は、インバータ(Ui)の出力と放電ランプ(Ld)の主放電のための電極とを接続する経路の途中に介挿することにより、2次側巻線(Sh)に発生した電圧が、インバータ(Ui)の出力電圧に重畳して放電ランプ(Ld)の電極間に印加可能ように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ランプ、特に高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等の高輝度放電ランプを点灯するための放電ランプ点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶プロジェクタやDLP(TM)プロジェクタのような画像表示用などの光学装置のための光源装置においては、高輝度放電ランプ(HIDランプ)が使用される。前記したプロジェクタには、ダイクロイックプリズム等によりR,G,Bの3原色を分離し、各色毎に設けた空間変調素子によって各3原色別の画像を発生させ、ダイクロイックプリズム等により光路を再合成してカラー画像を表示する方式のものがある。また他方では、R,G,Bの3原色を有する色フィルタを回転させ、光源からの光をこのフィルタに通すことにより各3原色の光束を順次発生させ、これに同期させて空間変調素子を制御することにより、各3原色別の画像を時間分割によって順次発生させ、カラー画像を表示する方式のものもある。
【0003】
この種のランプを始動する場合、ランプに無負荷開放電圧と呼ばれる電圧を印加した状態で、高電圧を印加して放電空間内に絶縁破壊を発生させ、グロー放電を経てアーク放電に移行させる。グロー放電は、一般にアーク放電よりも電圧が高く、熱電子放出によるアーク放電を生ずるに足る電極温度に到達するまで継続する、過渡的な放電である。ランプに高電圧を印加する方法として、イグナイタを用いて主放電のための電極に高電圧を重畳する方法、すなわち直列トリガ方式の他に、主放電のための電極以外の補助電極を放電空間に接しないように設け、前記補助電極に高電圧を印加する方法、すなわち外部トリガ方式がある。外部トリガ方式には、直列トリガ方式にない種々の利点があり、特に高電圧トランスを含む高電圧発生部を給電回路部から分離し、放電ランプの近傍に設置する場合に、放電ランプ点灯装置の小型軽量化、低ノイズ化、安全性の向上、低コスト化等に有利な利点を最大限に享受できる。
【0004】
一方、定常点灯時における放電ランプの駆動の方式に関しては、直流駆動方式と交流駆動方式とがある。直流駆動方式の場合は、ランプからの光束もまた直流的、すなわち時間的に変化しないため、基本的に、前記したプロジェクタの両方の方式において、全く同様に適用することができるという大きな利点がある。これに対し、交流駆動方式の場合は、極性反転周波数という、直流駆動方式には無い自由度を利用して、放電ランプの電極の消耗や成長を制御できる可能性があるという利点がある反面、極性反転が存在すること自体に起因する不利な点がある。
【0005】
通常は、交流駆動のための極性反転の度毎に、ランプからの光束の瞬断やオーバーシュート、振動などの変動が含まれるため、前記したプロジェクタのうち、時間分割方式のものに適用しようとする場合は、画像を時間分割によって順次発生させるタイミングと、ランプの交流駆動の極性反転のタイミングとのズレ、すなわちビート周波数で表示画像に変動が現れ、ビート周波数によっては非常に目障りなものとなってしまうという問題があるため、色フィルタの回転に対するインバータの極性反転タイミングの同期をとるなどの工夫を行わなければならず、放電ランプ点灯装置が複雑化する欠点がある。
【0006】
さらに、DLP方式のプロジェクタにおいては、表示画像の各画素の色毎の輝度を空間変調素子の各画素の動作のデューティサイクル比で制御するため、交流駆動方式の場合は、前記したタイミングの同期をとる場合でも、前記した極性反転時の光束のオーバーシュートや振動などの変動期間が長い場合は、その期間の光を利用しないように工夫するか、変動を打ち消すように空間変調素子の各画素の動作を制御するように工夫することが必要となる。前者の工夫の場合は、光の有効利用効率が低下する欠点があり、後者の工夫の場合は、プロジェクタ装置における空間変調素子の制御が非常に複雑になってしまう欠点がある。
【0007】
放電ランプの交流駆動方式に関する前記した欠点を回避するには、極性反転時の光束の変動を小さくすればよいが、これは容易なことではなかった。それは、放電ランプ点灯装置に対しては、ランプ印加電圧の極性反転時の光束の変動を小さくすることと同時に、始動時に放電ランプの確実な点灯性を確保することが要求されるからである。
【0008】
始動時に放電ランプの確実な点灯性を確保することのためには、前記した直列トリガ方式または外部トリガ方式による高電圧の印加によって、放電空間内に絶縁破壊を発生させる際に、ランプに印加する無負荷開放電圧を高めることが効果的であることが知られている。交流駆動方式の場合にこれを達成する方法として、始動時に直列共振現象を発生させてランプに印加する電圧を高めながら、イグナイタを動作させて放電空間内に絶縁破壊を発生させること、所謂共振アシストが従来から行われている。
【0009】
図13は、従来の直列共振による共振アシストに関して原理を説明する図である。
この図の放電ランプ点灯装置は、放電ランプ(Ld)に給電する給電回路(Ux’)と、その出力電圧を極性反転するための、スイッチ素子(Q1’,Q2’,Q3’,Q4’)から成るフルブリッジ方式のインバータ(Ui’)と、共振コイル(Lr)と共振コンデンサ(Cr)とスタータ回路(Ut”)とを備え、始動時は、前記インバータ(Ui’)を、前記共振コイル(Lr)のインダクタンスと前記共振コンデンサ(Cr)の静電容量の積の値で決まる共振周波数もしくはそれに近い周波数で極性反転駆動し、これにより生ずるLC直列共振現象により前記共振コンデンサ(Cr)の両端子間に高い電圧を発生させ、この部分に対して並列に接続された、前記スタータ回路(Ut”)とともに前記放電ランプ(Ld)に高い電圧を印加するものである。
【0010】
しかしながら、LC直列共振を利用した従来技術では、前記した課題である始動時に放電ランプの確実な点灯性を確保することについては解決できるものの、前記したもう一方の課題であるランプ印加電圧の極性反転時の光束の変動を小さくすることについては、十分な解決ができていなかった。以下において、その理由を簡単に説明する。
【0011】
前記したように、LC共振周波数は、前記共振コイル(Lr)のインダクタンスと前記共振コンデンサ(Cr)の静電容量の積の値で決まるため、もし、前記共振コイル(Lr)のインダクタンスを小さく抑えたければ、前記共振コンデンサ(Cr)の静電容量を大きな値にしなければならなくなる。何となれば、前記共振コイル(Lr)のインダクタンスと前記共振コンデンサ(Cr)の静電容量の両方を小さくするならば、共振周波数が極めて高くなってしまい、前記インバータ(Ui’)を動作させることが困難になってしまうからである。しかし、前記共振コンデンサ(Cr)の静電容量を大きな値にすると、共振現象により十分な電圧の高まりを得ようとするならば、前記共振コイル(Lr)と前記共振コンデンサ(Cr)の直列接続回路に流れる電流、すなわち共振電流が非常に大きな値となってしまうという問題に直面することになる。
【0012】
例えばスイッチ素子(Q1’)とスイッチ素子(Q3’)がオン状態であるときは、図13において破線で示す経路(L01)のように、この共振電流は、前記給電回路(Ux’)や前記インバータ(Ui’)を含めて、回路全体を流れる。そのため、各部の回路素子は、大きな共振電流に耐えられるように、電流定格の大きなものを使用する必要があり、装置の大型化やコストの増大が避けられなくなる。
【0013】
共振周波数が極めて高くなってしまうとしても、高次共振で動作させるならば、前記インバータ(Ui’)の動作周波数を低く抑えた上で、前記共振コンデンサ(Cr)の静電容量を小さい値にする方策も考えられる。しかし、この場合でも、前記したように、共振電流は図13の破線で示す経路(L01)を流れ、このとき特にスイッチ素子のオン抵抗が比較的大きいため、共振回路としてのQ値が小さい。そのため、共振の減衰が激しく、高次共振は利用できないことがわかる。
【0014】
したがって、LC直列共振を利用する限り、前記共振コイル(Lr)のインダクタンスを小さくすることはできず、必然的に大きな値のものが必要になってしまう。しかしながら、ランプの始動を終えて定常点灯状態に入り、ランプの光を利用する段階では、前記共振コイル(Lr)の大きいインダクタンスは非常に邪魔な存在になってしまう。一般論で言えば、前記共振コイル(Lr)、あるいはイグナイタのような、大きいインダクタンスがインバータのより後段に挿入されている場合は、前記した極性反転時の光束のオーバーシュートや振動などの不都合な現象を助長し、結果として前記した課題であるランプ印加電圧の極性反転時の光束の変動を小さくすることについては、解決ができないことになる。
【0015】
一方、外部トリガ方式の場合には、直列トリガ方式の場合のような、インダクタンスの大きなイグナイタが必要で無いため、前記共振コイル(Lr)のようなものを挿入しないように注意して設計すれば、前記した極性反転時の光束のオーバーシュートや振動などの不都合な現象を避けるようにするのに好適である。外部トリガ方式の場合に、前記したような放電空間内に絶縁破壊を発生させる際に、ランプに印加する無負荷開放電圧を高めることを実現するための従来技術として、特開2003−092198号には、外部トリガ方式のスタータが高電圧を発生している期間の少なくとも一部と重複して、一対の主たる放電のための電極にも高い電圧を印加するものが記載されており、所期の機能を実現することができる。
【0016】
しかしながら、この技術の場合は、スタータによる高電圧発生に合わせて無負荷開放電圧を高めるものであるから、絶縁破壊に成功して、スタータの動作が停止した後は、放電空間内に絶縁破壊を発生させる際に、ランプに印加する無負荷開放電圧を高める動作も停止してしまうため、グロー放電を維持するためには、グロー放電電圧より高い電圧の無負荷開放電圧を、給電回路が直接に発生させる必要がある。そうすると、インバータは給電回路よりも後段に設けられているため、高い電圧の無負荷開放電圧に耐える素子を使って構成することが必要になる。
【0017】
ところが、インバータを構成するFETなどのスイッチング素子は、耐電圧が高いものほど高価である上に、損失が大きくなるため、放熱対策のためのコストが必要になるため、放電ランプ点灯装置全体としてコスト高になり、また小型軽量化ができないなどの問題があった。
【0018】
【特許文献1】特開平03−030291号
【特許文献2】特開2003−217888号
【特許文献3】特開2004−327117号
【特許文献4】特開2003−092198号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明が解決しようとする課題は、放電ランプを交流点灯する際に、ランプ印加電圧の極性反転時の光束の変動を小さくすることと同時に、始動時に放電ランプの確実な点灯性を確保することを達成した放電ランプ点灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の請求項1の放電ランプ点灯装置は、一対の主放電のための電極(E1,E2)が対向配置された放電ランプ(Ld)を点灯するための放電ランプ点灯装置であって、前記放電ランプ(Ld)に給電する給電回路(Ux)と、前記給電回路(Ux)の後段に設置され前記放電ランプ(Ld)に印加する電圧を極性反転させるインバータ(Ui)と、1次側巻線(Ph)および2次側巻線(Sh)を有するトランス(Th)と、前記トランス(Th)に接続されたコンデンサ(Ch)と、前記1次側巻線(Ph)に電圧印加駆動を行うための間欠的電圧印加手段(Uj)とを有し、前記トランス(Th)の前記2次側巻線(Sh)は、前記インバータ(Ui)の出力と前記放電ランプ(Ld)の主放電のための前記電極とを接続する経路の途中に介挿することにより、前記2次側巻線(Sh)に発生した電圧が、前記インバータ(Ui)の出力電圧に重畳して前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)間に印加可能であり、前記2次側巻線(Sh)に発生する電圧の自由振動周波数が3MHz以下になるよう前記コンデンサ(Ch)の静電容量が設定されており、前記放電ランプ(Ld)の始動期間においては、前記間欠的電圧印加手段(Uj)は、8000回/秒以上の平均頻度で電圧印加駆動を行い、前記放電ランプ(Ld)の放電が開始した後も電圧印加駆動を継続する期間を有することを特徴とするものである。
【0021】
本発明の請求項2の放電ランプ点灯装置は、請求項1の発明において、前記インバータ(Ui)より後段における、前記放電ランプ(Ld)の主放電電流の経路に沿うインダクタンス成分の合計が160μH以下となるように構成したことを特徴とするものである。
【0022】
本発明の請求項3の放電ランプ点灯装置は、請求項1から2の発明において、前記間欠的電圧印加手段(Uj)は、電圧印加駆動用電源(Mh)と、電圧印加駆動スイッチ素子(Kh)とで構成され、前記電圧印加駆動スイッチ素子(Kh)のオン状態のときに前記1次側巻線(Ph)に電圧を印加することを特徴とするものである。
【0023】
本発明の請求項4の放電ランプ点灯装置は、請求項1から3の発明において、前記給電回路(Ux)が無負荷開放電圧を印加するために出力する電圧が、前記放電ランプ(Ld)において発生するグロー放電電圧より低く設定されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明になる放電ランプ点灯装置は、放電ランプを交流点灯する際にも、ランプ印加電圧の極性反転時の光束の変動を小さくすることと同時に、始動時に放電ランプの確実な点灯性を確保することを達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
先ず、本発明の放電ランプ点灯装置の一つの形態を簡略化して示すブロック図である図1を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。降圧チョッパや昇圧チョッパなどの方式のスイッチング回路などから構成される給電回路(Ux)は、放電ランプ(Ld)の状態あるいは点灯シーケンスに応じて、適合する電圧・電流を出力する。フルブリッジ回路などから構成されるインバータ(Ui)は、前記給電回路(Ux)の出力電圧を、例えば周期的に反転した交流電圧に変換して出力し、前記放電ランプ(Ld)の一対の主放電のための電極(E1,E2)に対し、トランス(Th)の2次側巻線(Sh)を介して印加する。
【0026】
なお、ランプの始動に際して、無負荷開放電圧用として前記給電回路(Ux)が出力する電圧は典型的には200〜300V程度、グロー放電時のランプ電圧は典型的には100〜220V、アーク放電移行直後のランプ電圧は10V程度であり、前記給電回路(Ux)は、グロー放電時およびアーク放電時には、流れる電流が規定の制限電流値を超えないように制御される。
【0027】
間欠的電圧印加手段(Uj)は、トランス(Th)の1次側巻線(Ph)に対して間欠的に電圧印加駆動できるよう、前記1次側巻線(Ph)に接続される。ただし、前記した極性反転時の光束のオーバーシュートや振動などの不都合な現象が生じないよう、前記トランス(Th)の前記2次側巻線(Sh)については、そのインダクタンスが過大にならないように設定する。そして、前記2次側巻線(Sh)に発生する電圧の自由振動周波数が3MHz以下になるよう前記トランス(Th)の前記2次側巻線(Sh)には、適当な静電容量を有するコンデンサ(Ch)を並列に接続する。前記2次側巻線(Sh)の電圧振動に関する自由振動周波数の上限値が、このように比較的高い値であることは、前記2次側巻線(Sh)のインダクタンスを低い値に抑えるために非常に好適である。
【0028】
この自由振動周波数は、放電ランプ(Ld)に放電が発生していないとき、または放電ランプ(Ld)が放電ランプ点灯装置に接続されていないときに、前記間欠的電圧印加手段(Uj)の電圧印加駆動の合間の期間において、前記2次側巻線(Sh)に発生する電圧振動の周波数で、通常、主として前記コンデンサ(Ch)の静電容量と前記2次側巻線(Sh)のインダクタンスとから構成される、LC共振回路の共振周波数と考えてよく、これら静電容量とインダクタンスの積に依存して計算される。ただし、前記2次側巻線(Sh)に、浮遊静電容量などの何らかのコンデンサ成分が含まれる場合は、前記した共振周波数の計算結果に補正が加わる。
【0029】
始動時においては、前記給電回路(Ux)は、前記放電ランプ(Ld)に無負荷解放電圧を印加するための電圧を出力し、一方、前記間欠的電圧印加手段(Uj)は、前記1次側巻線(Ph)に対して、8000回/秒以上の平均頻度で電圧印加駆動を行う。なお、電圧印加駆動の頻度を、周波数ではなく、平均頻度によって規定するのは、電圧印加駆動は、必ずしも周期的に行う必要はなく、周期性の乱れた間欠的な駆動でも構わないからである。前記トランス(Th)では、前記1次側巻線(Ph)に印加されまたは発生する電圧に対し、前記2次側巻線(Sh)において、その巻数比に応じて変圧された電圧が誘起される。電圧印加駆動の期間中においては、前記トランス(Th)に励磁エネルギーが蓄えられ、電圧印加駆動が終了すると、前記トランス(Th)のフライバック作用により、蓄えられた励磁エネルギーが解放されるため、前記2次側巻線(Sh)に高い電圧が発生する。この電圧は、自由振動周波数で振動しながら徐々に減衰する。
【0030】
前記間欠的電圧印加手段(Uj)による、このような電圧印加駆動の繰り返しにより、前記放電ランプ(Ld)の主放電のための電極(E1,E2)には、前記給電回路(Ux)から出力された電圧に前記2次側巻線(Sh)から出力された振動する高い電圧が重畳された状態が準連続的に実現されるため、これに並行して、例えば、後述する図7に記載のような外部トリガ方式のスタータ(本図においては図示を省略)を適当な頻度で動作させることにより、前記放電ランプ(Ld)の放電空間において絶縁破壊が生じ、ランプの主放電を開始することができる。前記した前記2次側巻線(Sh)の電圧振動に関する自由振動周波数の上限値である3MHzは、電圧の正弦波的な自由振動波形の半波の時間幅が過小になって、ランプの主放電を有効に開始できなくなることを回避できるための制限値であり、実験的に求めたものである。
【0031】
主放電が開始すると、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)のうち、陰極である側の電極に、水銀などの凝結・凝固物が付着していない場合は、グロー放電が発生する。このような凝結・凝固物が付着している場合は、フィールドエミッションと呼ばれるアーク放電様の放電が発生し、放電によりこれらの凝結・凝固物が蒸発して枯渇するとグロー放電に移行する。そして、グロー放電によって熱電子放出によるアーク放電を生ずるに足る電極温度に到達すると、アーク放電に移行する。
【0032】
このようなアーク放電への移行が適切に行われるためには、グロー放電の期間内に、ランプに対して適切なエネルギー注入が行われる必要がある。もしエネルギー注入が不足する場合は、主放電の立消えが起こる可能性があり、このときは、スタータによる絶縁破壊から再試行することが必要で、このようなことを何度も繰り返すとランプにダメージを与える危険性があるし、逆にエネルギー注入が過大の場合も、当然ながらランプにダメージを与える危険性があるが、このときのダメージは、何れの場合もランプバルブの黒化として現れる。何となれば、そもそもグロー放電とは、比較的高い電圧による電界で加速された陽イオンが陰極に衝突する現象を伴うものであるが、陽イオンは電子と比較して重いため、これが電極に衝突したときにタングステンなどの電極材料を弾き飛ばす現象、すなわちスパッタを引き起こし、弾き飛ばされた電極材料がランプバルブの内面に付着するからである。
【0033】
ところで、エネルギーは、電力と時間の積で既定されるものであるが、前記したエネルギー注入が過大の場合のダメージは、電力が大きすぎる場合にのみ発生する。何となれば、投入電力が適当な大きさである限り、注入エネルギーは時間の経過とともに単調に増大し、これに伴って電極温度も上昇してグロー放電が終了し、電圧の低いアーク放電に移行することによって、ランプ自身が自動的にグロー放電でのエネルギー注入を打ち切り、注入エネルギーの過大を回避する自動制御機構が働くため、有害な程のランプバルブの黒化は生じない。しかし、これに対して投入電力が過大な場合は、アーク放電への移行を完了する前に、前記した自動制御機構が働く猶予無しに、瞬間的に大量の陽イオンによる電極攻撃が生じ、弾き飛ばされた大量の電極材料がランプバルブの内面に付着するために程度の重いランプバルブの黒化が生じてしまうものと推測される。
【0034】
前記間欠的電圧印加手段(Uj)による、周期的または間欠的な電圧印加駆動は、このようなグロー放電状態のランプへのエネルギー注入を効果的に行うことに真に好適である。何となれば、前記間欠的電圧印加手段(Uj)による、周期的または間欠的な電圧印加駆動は、謂わば、エネルギー注入をパルス的に行うものであるから、グロー放電の経過時間と言うよりも、エネルギーパルスの個数を1個づつ増加してゆき、アーク放電への移行可能な必要かつ十分なエネルギーを得るのを待って、必然的事象として、アーク放電に移行することができるからである。ただし、グロー放電状態のランプは、非点灯状態のランプとは異なってインピーダンスが低いため、エネルギーパルスの注入時の前記2次側巻線(Sh)の電圧波形は正弦波的な自由振動ではないが、これは何ら問題ではない。
【0035】
しかしながら、前記間欠的電圧印加手段(Uj)による電圧印加駆動の頻度が低すぎる場合は、前記したエネルギーパルスの注入から、次のエネルギーパルスの注入までの期間に生じる熱輻射によって電極の温度上昇が抑えられてしまい、熱電子放出によるアーク放電を生ずるに足る電極温度に到達することができなくなってしまう。そのため、電圧印加駆動の頻度の低さには下限が存在する。前記した前記間欠的電圧印加手段(Uj)による電圧印加駆動の平均頻度の下限値である8000回/秒は、この事情によって生ずる制限値であり、実験的に求めたものである。
【0036】
このように、本発明によれば、前記2次側巻線(Sh)のインダクタンスを低い値に抑えることができるため、前記した極性反転時の光束のオーバーシュートや振動などの不都合な現象を生じさせることなく、ランプの放電空間内に絶縁破壊を発生させる際に、ランプに印加する無負荷開放電圧を高めることが可能で、またグロー放電状態のランプへのエネルギー注入を効果的に行うことが可能となる。そのため、放電ランプを交流点灯する際にも、ランプ印加電圧の極性反転時の光束の変動を小さくすることと同時に、始動時に放電ランプの確実な点灯性を確保することを達成することができる。
【0037】
なお、前記したように、自由振動周波数は、前記2次側巻線(Sh)のインダクタンスと前記コンデンサ(Ch)の静電容量に依存して決まり、前記コンデンサ(Ch)の静電容量を小さくするほど前記2次側巻線(Sh)に発生する電圧は高くなるが、前記2次側巻線(Sh)や、それより後段の、例えば前記放電ランプ(Ld)を接続するケーブルなどがもつ浮遊静電容量によって、発生電圧のバラツキや変動が生じ、このバラツキや変動の大きさは、前記コンデンサ(Ch)の静電容量を小さくするほど大きくなるため、前記浮遊静電容量の影響が無視できるよう、前記コンデンサ(Ch)の静電容量は、過小にならない値を設定する必要がある。
【0038】
本発明においては、前記間欠的電圧印加手段(Uj)の電圧印加駆動の周波数が、前記自由振動周波数に対し、基本波または高次の共振関係となるようにしなくても問題は無いが、共振関係になるように構成してもよく、これにより効率的な昇圧が可能となる利点がある。
【0039】
放電ランプ点灯装置を前記したDLP方式のプロジェクタ用の光源として用いる場合の、前記2次側巻線(Sh)の実用上の問題が無いインダクタンスの上限値を調べるため、石英ガラスから成るバルブ内に放電空間の容積1立方ミリメートルあたり0.15〜0.3mgの水銀と、臭素およびアルゴンガスを封入し、放電ギャップが0.9〜1.2mmのタングステンの電極を有する、定格電力が120〜300W、定常点灯状態のランプ電圧が65〜85Vの、種々の高圧水銀ランプと、インバータの後段に種々のインダクタンスを有するコイルを挿入した放電ランプ点灯装置を、実際にプロジェクタに搭載し、色フィルタの回転に対するインバータの極性反転タイミングの同期をとらない動作条件にて、表示画質を観察・評価した実験によると、プレゼンテーション用のフロントプロジェクション型DLPプロジェクタの場合に、挿入インダクタンスが73μH以下であれば、実用上の問題が無いことが確認された。また、色フィルタの回転に対するインバータの極性反転タイミングの同期をとるならば、挿入インダクタンスをさらに増しても、160μH以下であれば、実用上の問題が無いことが確認された。
【0040】
ただし、リアプロジェクション型テレビジョン用のDLPプロジェクタ用途の場合(ただし、定格電力が200W以下の高圧水銀ランプについて実験)は、中間調画質要求が厳しいため、色フィルタの回転に対するインバータの極性反転タイミングの同期をとるか、または挿入インダクタンスを55μH以下とすることが望ましい。この用途のときは、色フィルタの回転に対するインバータの極性反転タイミングの同期をとる場合でも、挿入インダクタンスは120μH以下とすることが望ましいとの結果を得ている。
【0041】
本発明の放電ランプ点灯装置の他の形態を簡略化して示すブロック図である図2を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。本図は、図1に記載の間欠的電圧印加手段(Uj)の構成の一例を示すものである。間欠的電圧印加手段(Uj)は、電圧印加駆動用電源(Mh)と、MOSFET等を用いた電圧印加駆動スイッチ素子(Kh)とが直列に接続されて構成され、前記電圧印加駆動スイッチ素子(Kh)のオン状態のときに、1次側巻線(Ph)を電圧印加駆動することができる。前記電圧印加駆動スイッチ素子(Kh)の制御は、間欠駆動制御回路(Ug)からの間欠駆動制御信号(Sj)に基づき、ゲート駆動回路(Gkh)を介して行われる。
【0042】
前記電圧印加駆動スイッチ素子(Kh)がオン状態になった瞬間において、2次側巻線(Sh)に接続されたコンデンサ(Ch)を充電するための電流が、前記電圧印加駆動スイッチ素子(Kh)にサージ的に流れてこれを破損する可能性がある場合は、抵抗やコイルなどの電流制限素子を前記電圧印加駆動スイッチ素子(Kh)に直列に挿入してもよい。前記間欠駆動制御回路(Ug)は、前記した前記間欠的電圧印加手段(Uj)による電圧印加駆動の平均頻度として所望の周波数で発振する、簡単なマルチバイブレータで構成することができる。そして放電ランプの始動シーケンスのなかで、前記したランプのアーク放電への移行の完了を待って、後述する給電制御回路(Fx)から出力される始動制御信号(Sz)を受けて、前記間欠駆動制御回路(Ug)は、前記間欠駆動制御信号(Sj)の生成を止めるようにすればよい。
【0043】
前記したように、本発明によれば、間欠的電圧印加手段(Uj)によって、グロー放電状態のランプへのエネルギー注入を効果的に行うことができるが、そのためには、前記間欠的電圧印加手段(Uj)が発生する電圧がランプのグロー放電電圧を超える必要がある。前記したように、グロー放電の期間においては、ランプのインピーダンスが小さいため、前記した前記トランス(Th)のフライバック作用による前記2次側巻線(Sh)に高い電圧が発生は生じない。
【0044】
しかし、前記間欠的電圧印加手段(Uj)による前記1次側巻線(Ph)の電圧印加駆動時の所謂フォワード動作の期間に、前記2次側巻線(Sh)において誘起される電圧がグロー放電電圧よりも高くなるよう、電圧印加駆動用電源(Mh)の電圧と前記トランス(Th)の巻数比の関係を設定しておくことにより、仮に、無負荷開放電圧をランプに印加するために前記給電回路(Ux)が出力する電圧が、グロー放電の電圧よりも低くても、グロー放電状態のランプへのエネルギー注入を効果的に行うことができる。
【0045】
図3に示すように、インバータ(Ui)のスイッチ素子(Q1、Q3)はオン状態、スイッチ素子(Q2、Q4)はオフ状態であるとして、電圧印加駆動スイッチ素子(Kh)を駆動したときに、2次側巻線(Sh)に発生する電圧がインバータ(Ui)の出力電圧に加算的に重畳されるよう、トランス(Th)の1次2次の巻線方向が設定されているならば、図の破線矢印に示す経路に流れる電流によって、グロー放電状態の放電ランプ(Ld)に電力を供給することができる。本発明のこのような機能を利用すると、無負荷開放電圧をランプに印加するために給電回路(Ux)が出力する電圧を低くして、前記給電回路(Ux)の最高出力電圧は、高々定常点灯状態のアーク放電電圧の程度に抑えることができる。
【0046】
このようにすると、前記給電回路(Ux)の後段に設置された前記インバータ(Ui)に入力され、出力する電圧も低く抑えられるため、前記スイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)として、耐電圧の低いものが使用できる。耐電圧の低い前記スイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)は、耐電圧の高いものに比して、価格が安い上にオン抵抗が小さく、定常点灯時の損失が低下するため、放熱対策が簡素化でき、総合的に高効率化、小型軽量化、低コスト化が実現できる。
【0047】
本発明の放電ランプ点灯装置の一つの形態を簡略化して示す図である図4を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。本図は、図2に記載の間欠的電圧印加手段(Uj)の構成のさらなる一例を示すものである。前記した電圧印加駆動スイッチ素子は、印加電圧が所定のしきい電圧に達するまではオフ状態を保ち、しきい電圧を超えるとオン状態に遷移して電流を流し、実質的に電流が流れ続ける限りオン状態を維持する素子、すなわち電圧感応スイッチ素子(Qe)で構成されており、例えばサイダック等を用いることができる。
【0048】
電圧印加駆動用電源(Mh)により、抵抗(Re)と1次側巻線(Ph)を介してコンデンサ(Ce)が充電される。前記コンデンサ(Ce)の電圧が前記電圧感応スイッチ素子(Qe)の動作電圧に達したとき、前記電圧感応スイッチ素子(Qe)がオン状態に遷移して前記1次側巻線(Ph)を電圧印加駆動する。前記間欠的電圧印加手段(Uj)の駆動周期は、前記抵抗(Re)と前記コンデンサ(Ce)とによる時定数と、前記電圧感応スイッチ素子(Qe)のしきい電圧で規定される。
【0049】
なお、前記電圧印加駆動用電源(Mh)は、給電回路(Ux)によって兼ねてもよく、この場合は、放電ランプ(Ld)の状態に対応して前記電圧印加駆動用電源(Mh)の電圧が変化するため、前記したように、ランプの放電が開始する前の状態およびグロー放電の状態においては、前記電圧感応スイッチ素子(Qe)の動作が継続し、アーク放電に移行した後の状態においては、前記電圧感応スイッチ素子(Qe)の動作が停止するよう、前記電圧感応スイッチ素子(Qe)のしきい電圧を設定すればよい。
【0050】
あるいは、例えば本図において破線で接続されているように、トランジスタ等によるスイッチ素子(Qez)を設け、抵抗(Rez)を介して、前記給電制御回路(Fx)から出力される始動制御信号(Sz)によって前記スイッチ素子(Qez)をオン状態にすることにより、前記電圧感応スイッチ素子(Qe)の動作を強制停止させる機構によって、前記間欠的電圧印加手段(Uj)の動作を制御するようにしてもよい。
【0051】
次に、発明を実施するための形態について、より具体的に構成を示した実施例図面を用いて説明する。図5は、本発明の放電ランプ点灯装置で使用することのできる給電回路(Ux)の具体化された一例を示すものである。降圧チョッパ回路を基本とした給電回路(Ux)は、PFC等のDC電源(Mx)より電圧の供給を受けて動作し、放電ランプ(Ld)への給電量調整を行う。前記給電回路(Ux)においては、FET等のスイッチ素子(Qx)によって前記DC電源(Mx)よりの電流をオン・オフし、チョークコイル(Lx)を介して平滑コンデンサ(Cx)に充電が行われ、この電圧が放電ランプ(Ld)に印加され、放電ランプ(Ld)に電流を流すことができるように構成されている。
【0052】
なお、前記スイッチ素子(Qx)がオン状態の期間は、スイッチ素子(Qx)を通じた電流により、直接的に平滑コンデンサ(Cx)への充電と負荷である放電ランプ(Ld)への電流供給が行われるとともに、チョークコイル(Lx)に磁束の形でエネルギーを蓄え、前記スイッチ素子(Qx)がオフ状態の期間は、チョークコイル(Lx)に磁束の形で蓄えられたエネルギーによって、フライホイールダイオード(Dx)を介して平滑コンデンサ(Cx)への充電と放電ランプ(Ld)への電流供給が行われる。
【0053】
前記降圧チョッパ型の給電回路(Ux)においては、前記スイッチ素子(Qx)の動作周期に対する、前記スイッチ素子(Qx)がオン状態の期間の比、すなわちデューティサイクル比により、前記放電ランプへの給電量を調整することができる。ここでは、あるデューティサイクル比を有するゲート駆動信号(Sg)が給電制御回路(Fx)によって生成され、ゲート駆動回路(Gx)を介して、前記スイッチ素子(Qx)のゲート端子を制御することにより、前記したDC電源(Mx)よりの電流のオン・オフが制御される。
【0054】
前記放電ランプ(Ld)の電極(E1,E2)間を流れるランプ電流と、電極(E1,E2)間に発生するランプ電圧とは、ランプ電流検出手段(Ix)と、ランプ電圧検出手段(Vx)とによって、検出できるように構成される。なお、前記ランプ電流検出手段(Ix)については、シャント抵抗を用いて、また前記ランプ電圧検出手段(Vx)については、分圧抵抗を用いて簡単に実現することができる。
【0055】
前記ランプ電流検出手段(Ix)よりのランプ電流検出信号(Si)、および前記ランプ電圧検出手段(Vx)よりのランプ電圧検出信号(Sv)は、前記給電制御回路(Fx)に入力される。前記給電制御回路(Fx)は、ランプ始動時の、ランプ電流が流れていない期間においては、無負荷開放電圧をランプに印加するために所定の電圧を出力するよう、前記ゲート駆動信号(Sg)をフィードバック的に生成する。ランプが始動して放電電流が流れると、目標ランプ電流が出力されるよう前記ゲート駆動信号(Sg)をフィードバック的に生成する。ここで前記目標ランプ電流は、前記放電ランプ(Ld)の電圧に依存して、前記放電ランプ(Ld)に投入される電力が所定の電力となるような値を基本とする。ただし、始動直後は、前記放電ランプ(Ld)の電圧が低く、定格電力を供給できないため、前記目標ランプ電流は、初期制限電流と呼ばれる一定の制限値を超えないように制御される。そして温度上昇とともに前記放電ランプ(Ld)の電圧が上昇し、所定の電力投入に必要な電流が前記初期制限電流以下になると、前記した所定の電力投入が実現できる状態に滑らかに移行する。
【0056】
図6は、本発明の放電ランプ点灯装置で使用することのできるインバータ(Ui)の簡略化された一例を示すものである。インバータ(Ui)は、FET等のスイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)を用いたフルブリッジ回路により構成してある。それぞれのスイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)は、それぞれのゲート駆動回路(G1,G2,G3,G4)により駆動され、前記ゲート駆動回路(G1,G2,G3,G4)は、一方の対角要素の前記スイッチ素子(Q1)と前記スイッチ素子(Q3)がオン状態の位相においては、他方の対角要素の前記スイッチ素子(Q2)と前記スイッチ素子(Q4)はオフ状態に維持され、逆に他方の対角要素の前記スイッチ素子(Q2)と前記スイッチ素子(Q4)がオン状態の位相においては、一方の対角要素の前記スイッチ素子(Q1)と前記スイッチ素子(Q3)はオフ状態に維持されるよう、インバータ制御回路(Uc)により生成されるインバータ制御信号(Sf1,Sf2)により制御される。前記した2つの位相の切換えを行うときは、前記スイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)の全てがオフ状態になる、デッドタイムと呼ばれる期間が挿入される。
【0057】
なお、前記スイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)が例えばMOSFETである場合は、ソース端子からドレイン端子に向かって順方向となる寄生ダイオードが素子自体に内蔵されている(図示を省略)が、バイポーラトランジスタのような、前記寄生ダイオードが存在しない素子の場合は、前記した位相の切換え時、またはデッドタイムの期間において、インバータ(Ui)の後段に存在しているインダクタンス成分に起因する誘導電流が流れようとすることにより、逆電圧の発生により素子が破損される恐れがあるため、前記寄生ダイオードに相当するダイオードを、逆並列に接続することが望ましい。
【0058】
図7は、本発明の放電ランプ点灯装置の一つの形態を簡略化して示す図である。間欠的電圧印加手段(Uj)の電圧印加駆動用電源(Mh)は、前記給電回路(Ux)がそれを兼ねており、トランス(Th)の1次側巻線(Ph)に接続される。MOSFET等を用いた電圧印加駆動スイッチ素子(Kh)は、ゲート駆動回路(Gkh)を介した間欠駆動制御回路(Ug)の制御を受けて周期的または間欠的にオンとオフの状態を繰り返し、ダイオード(Dh)を介して前記1次側巻線(Ph)を電圧印加駆動する。
【0059】
このような前記間欠的電圧印加手段(Uj)の動作により、前記トランス(Th)の前記2次側巻線(Sh)には、準連続的に前記した所望の自由振動周波数で振動する高い交流電圧が発生する。この高い電圧は、インバータ(Ui)の出力のノード(T31,T32)に現れている、前記給電回路(Ux)からの無負荷開放電圧に重畳され、ノード(T41,T42)に接続された放電ランプ(Ld)の主放電のための電極(E1,E2)に印加される。なお、前記電圧印加駆動スイッチ素子(Kh)がオフ状態である期間においては、前記1次側巻線(Ph)には振動電圧が現れ、これがノード(T11)の電位に重畳されるため、ノード(T12)に対する前記ダイオード(Dh)のカソードの電位は、ノード(T11)の電位よりも高くなる。この現象を利用して、前記したような給電回路(Ux)の出力電圧を低く抑えた場合でも、スタータ回路(Ut)への給電を効果的に行うことができる。
【0060】
外部トリガ方式の前記放電ランプ(Ld)には、主放電のための前記電極(E1,E2)以外の補助電極(Et)が放電空間に接しないように設けられている。前記補助電極(Et)には、前記スタータ回路(Ut)のスタータトランス(Tt)の2次側巻線(St)で発生する高電圧パルスが印加されるように構成されている。前記スタータ回路(Ut)においては、前記ダイオード(Dh)のカソードの電位を受けて、ダイオード(Dt)を介して抵抗(Rt)および前記スタータトランス(Tt)の1次側巻線(Pt)を介して、比較的ゆっくりとコンデンサ(Ct)が充電される。前記コンデンサ(Ct)の充電電圧が所定電圧に達すると、サイダック等の電圧感応素子で構成されたスイッチ素子(Qt)がオン状態に移行し、前記コンデンサ(Ct)の電圧は、前記1次側巻線(Pt)にパルス的に印加され、前記スタータトランス(Tt)の前記2次側巻線(St)に高電圧パルスが発生するように動作する。なお、前記スイッチ素子(Qt)には、SCRなどのトリガ端子を有するものを利用することもできる。
【0061】
前記したように、前記放電ランプ(Ld)の主放電のための前記電極(E1,E2)に前記トランス(Th)からの高い交流電圧が印加された状態で、前記したように、前記放電ランプ(Ld)の前記補助電極(Et)に前記スタータトランス(Tt)からの高電圧パルスが印加されることにより、非常に高い確度で前記放電ランプ(Ld)の主放電を始動することが可能となる。なお、本図の放電ランプ点灯装置は、ノード(T41,T4a,T4b,T42)から右側の部分を前記放電ランプ(Ld)と一体的に構成するのに好適である。
【0062】
図8は、本発明の放電ランプ点灯装置の実施形態に関する波形の一例の概念図である。本図は、図7に記載の放電ランプ点灯装置を動作させる場合の例を示すもので、(a)は前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)への印加電圧波形、(b)は前記間欠駆動制御信号(Sj)の状態、を表し、前記間欠駆動制御信号(Sj)の周期(Ti)のなかの期間(Tj)においてのみ活性化させている。前記期間(Tj)では前記トランス(Th)の前記1次側巻線(Ph)を電圧印加駆動しているが、前記放電ランプ(Ld)は放電を行っておらず無負荷であるため、励磁エネルギーが蓄えられる。その際、前記放電ランプ(Ld)への印加電圧は、無負荷開放電圧をランプに印加するために前記給電回路(Ux)が出力する電圧(Vnl)に対して、前記トランス(Th)の巻数比に依存して発生する前記2次側巻線(Sh)の電圧が重畳された電圧(Vme)となる。前記間欠駆動制御信号(Sj)が非活性化されると、前記トランス(Th)に蓄えられた励磁エネルギーが解放され、前記2次側巻線(Sh)には、自由振動周波数で振動しながら徐々に減衰する高い電圧が発生する。
【0063】
図9は、本発明の放電ランプ点灯装置の動作を概念的に示すタイミング図の一例であり、(a)は前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)への印加電圧波形、(b)は前記間欠駆動制御信号(Sj)の状態、(c)は前記始動制御信号(Sz)の状態、を表す。ランプの始動シーケンスにおいて、前記給電回路(Ux)が無負荷開放電圧を印加するための電圧を出力した後、時点(t11)において、前記始動制御信号(Sz)を活性化させることにより、前記間欠駆動制御信号(Sj)の生成が開始し、前記放電ランプ(Ld)には、前記給電回路(Ux)から出力された電圧に前記2次側巻線(Sh)から出力された振動する高い電圧が重畳された状態が準連続的に実現される。
【0064】
時点(t12)において、前記放電ランプ(Ld)が放電を開始したことを検知し、所定の期間(Tw)の経過を待って、時点(t13)において前記始動制御信号(Sz)を非活性化させ高電圧発生のための前記間欠駆動制御信号(Sj)を停止する。放電が発生したことの検知は、前記給電回路(Ux)において、前記ランプ電流検出信号(Si)、あるいは前記ランプ電圧検出信号(Sv)に基づいて行うことができる。なお、この後、もし放電が停止したこと、すなわち立消えを検知したときは、前記始動制御信号(Sz)を活性化させ、前記間欠駆動制御信号(Sj)の生成を開始させればよい。
【0065】
ところで、本明細書においては、前記2次側巻線(Sh)には準連続的に高い交流電圧が発生する旨を記載しているが、このときの「準連続的」とは、図9の(a)に見られるように、前記2次側巻線(Sh)の電圧波形の巨視的なオシロスコープ観測では連続的に見えることに対応し、また、スタータの典型的な動作間隔である1〜100msの時間スケールで見て連続的に見えることに対応する。
【0066】
図10は、本発明の放電ランプ点灯装置の動作を概念的に示すさらなるタイミング図の一例であり、図9と同様に、(a)は前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)への印加電圧波形、(b)は前記間欠駆動制御信号(Sj)の状態、(c)は前記始動制御信号(Sz)の状態、を表すが、前記放電ランプ(Ld)が主放電を開始後に立消えが発生した場合の様子が描かれている。
【0067】
ランプの主放電の開始後は、もし、放電の立消えが発生する心配が無い場合は、前記間欠的電圧印加手段(Uj)の動作を停止させてもよい。しかし、放電の立消えが発生する可能性がある条件または期間(Tv)においては、ランプの主放電の開始後も、前記間欠的電圧印加手段(Uj)の動作を継続するようにすることが望ましい。
【0068】
この場合、前述したように前記放電ランプ(Ld)に主放電、すなわちグロー放電中またはアーク放電が発生している期間は、ランプのインピーダンスが低くなるため、前記トランス(Th)は高い電圧を発生しないが、放電の立消えが発生したときは、ランプのインピーダンスが高い状態に回復するため、直ちに前記トランス(Th)に高い交流電圧が立ち上がり、始動が再試行されるように動作する。図において、期間(Tu)においてグロー放電またはアーク放電が発生しているが、時点(t21)において立消えが発生し、その後、時点(t22)において再始動が自動的に行われ、期間(Tu’)およびそれ以降においてグロー放電またはアーク放電が継続している様子を描いてある。
【0069】
本発明の放電ランプ点灯装置の一つの形態を簡略化して示す図である図11を用いて、本発明を実施するための他の形態について説明する。これまで、主として前記コンデンサ(Ch)を前記2次側巻線(Sh)に並列に接続して構成した実施例について説明してきたが、本図の放電ランプ点灯装置は、コンデンサ(Ch)を2次側巻線(Sh)に直列に接続して構成した実施例を示すものである。
【0070】
この形態の放電ランプ点灯装置においても、これまで述べたものと同様に、前記給電回路(Ux)から出力された電圧に前記2次側巻線(Sh)から出力された振動する高い電圧が重畳された状態が準連続的に実現され、またグロー放電状態のランプへのエネルギー注入を効果的に行うことができ、本発明の優れた効果を良好に発揮する。なお、本図の放電ランプ点灯装置においても、前記したような給電回路(Ux)の出力電圧を低く抑えた場合でも、スタータ回路(Ut)への給電が可能である。
【0071】
本発明の放電ランプ点灯装置の一つの形態を簡略化して示す図である図12を用いて、本発明を実施するための他の形態について説明する。本図の放電ランプ点灯装置においてはトランス(Th)において、1次側巻線(Ph)および2次側巻線(Sh)の端子が共通であるため、前記トランス(Th)の1次2次間の絶縁性能を低くすることでき、例えば巻線のバリア構造を簡単にできるなどの利点があり、小型軽量化、低コスト化に有利である。また、スタータについては、直列トリガ方式のスタータ回路(Ut’)を用いる形態を示してあるが、図11に記載のような外部トリガ方式のものでも構わない。
【0072】
本発明の放電ランプ点灯装置の一つの形態を簡略化して示す図である図14を用いて、本発明を実施するための他の形態について説明する。本図の放電ランプ点灯装置においてはトランス(Th)において、1次側巻線(Ph)および2次側巻線(Sh)を共通とし、中間タップ構造としたものである。このような構造にすることにより、前記トランス(Th)の1次2次間の要求絶縁性能を下げて例えば巻線のバリア構造を簡単にしたり、また1次および2次を合わせた巻線の巻き数を少なくすることもできるため、前記トランス(Th)の小型軽量化、低コスト化に有利である。またこれまで、前記コンデンサ(Ch)については、主として前記2次側巻線(Sh)に並列に接続する実施例を説明してきたが、本図の放電ランプ点灯装置においては、コンデンサ(Ch)を前記トランス(Th)全体に並列接続してある。
【0073】
なお、本発明の放電ランプ点灯装置における、始動時のインバータ(Ui)の動作状態について補足しておく。交流駆動方式の光源装置において、始動時と定常点灯時では、インバータの動作周波数は同じである必要はなく、例えば、始動時はインバータを停止させて直流動作としたり、逆に、始動時はインバータの周波数を定常点灯時よりも高くすることも可能で、どのようにするかは、例えば、ランプの電極の放電加熱の促進や抑制の観点、バランスの観点などから、ランプの寿命を改善したり、発光強度の立ち上がり速さを改善したりなど、様々な目的に応じて決められる。したがって、本発明を実施するに際しても、インバータの動作状態は、前記した事情に基づいて任意に設定すればよい。ただし、例えば、図11や図12に記載のもののように、スタータ回路(Ut,Ut’)への給電がインバータ(Ui)より後段において行われる形態のものを、始動時にインバータを停止させて使う場合は、当然ながら、インバータのスイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)のオン・オフの状態をスタータ回路(Ut,Ut’)への給電条件に適合させる必要がある。
【0074】
本発明の放電ランプ点灯装置の一つの形態を簡略化して示す図である図15を用いて、本発明を実施するための他の形態について説明する。本図の放電ランプ点灯装置においては、インバータ(Ui)におけるスイッチ素子(Q3)が電圧印加駆動スイッチ素子(Kh)を兼ねるように構成してあり、さらに小型化に有利である。始動に際しては、先ずスイッチ素子(Q1,Q3)はオフ状態でスイッチ素子(Q2,Q4)はオン状態とした上で、選択スイッチ(SWg)を間欠駆動制御回路(Ug)の側に選択し、前記スイッチ素子(Q3)を前記間欠駆動制御回路(Ug)に従って周期的にオン・オフさせる。前記スイッチ素子(Q3)のオン時には、1次側巻線(Ph)に電圧が印加されるから、2次側巻線(Sh)に電圧が発生し、その結果、放電ランプ(Ld)両端には無負荷開放電圧よりも高い電圧を断続的に印加でき、アーク放電への移行に十分なエネルギーをランプに与えることができる。ランプの始動が完了すれば、前記選択スイッチ(SWg)をインバータ制御信号(Sf1)の側に切り替えることにより、前記インバータ(Ui)は、前記インバータ制御回路(Uc)によって制御される通常の交流駆動の動作を行うことができる。
【0075】
これまでに記載の実施例において、前記トランス(Th)の前記2次側巻線(Sh)に発生する高い電圧によって放電ランプ(Ld)を始動する作用に対し、図7、図11、図12のものでは、外部トリガ方式または直列トリガ方式のスタータ回路(Ut,Ut’)を併用して放電ランプ(Ld)を始動するように記載してあったが、それ以外のものでは、特にスタータ回路を設けていない。このように本発明においては、前記したような外部トリガ方式または直列トリガ方式などのスタータ回路(Ut,Ut’)を併用するかどうかは本質的ではなく、前記放電ランプ(Ld)の始動のし易さと、前記2次側巻線(Sh)に発生させる電圧の高さに応じて、これらを併用するかどうかを決めればよい。例えば、前記放電ランプ(Ld)に何らかの始動補助手段(近接導体や始動補助ランプなど)を設けてあるときは、前記スタータ回路(Ut,Ut’)の併用を省略できる可能性が高い。
【0076】
放電ランプ(Ld)に印加するための前記2次側巻線(Sh)に発生する電圧の大きさには、バラツキが発生し易く、その原因は、主として前記トランス(Th)の製造上のバラツキによる。前記2次側巻線(Sh)に発生する電圧のバラツキを抑えるために、この電圧に相関する信号を検出し、前記間欠的電圧印加手段(Uj)の動作にフィードバックさせることが望ましい。例えば、本発明の放電ランプ点灯装置が前記トランス(Th)と前記間欠的電圧印加手段(Uj)とが、フライバック動作により前記2次側巻線(Sh)に高い電圧を発生するものの場合は、前記した検出信号に基づいて前記電圧印加駆動スイッチ素子(Kh)のオン時間を増減することにより前記2次側巻線(Sh)に発生する電圧を増減することができる。また、本発明の放電ランプ点灯装置が前記トランス(Th)と前記間欠的電圧印加手段(Uj)とが、フォワード動作により前記2次側巻線(Sh)に高い電圧を発生するものの場合は、前記した検出信号に基づいて前記電圧印加駆動用電源(Mh)の電圧を増減することにより前記2次側巻線(Sh)に発生する電圧を増減することができる。なお、前記した2次側巻線(Sh)に発生する電圧に相関する信号については、前記電圧印加駆動スイッチ素子(Kh)がオフである期間の端子間電圧(例えばスイッチ素子がFETである場合はソース・ドレイン間電圧)のピーク値、あるいは、前記電圧印加駆動スイッチ素子(Kh)がオンである期間に流れる電流のピーク値などを検出してもよく、さらには、2次側巻線(Sh)に発生する電圧自体を検出するものでもよい。
【0077】
また、トランス(Th)について補足しておく。ここまで、2次側巻線(Sh)を1個だけ有し、放電ランプ(Ld)の主放電のための電極(E1,E2)の何れか一方に接続されるものについて説明してきたが、2次側巻線を2個有し、電極(E1,E2)のそれぞれに接続し、互いに反対の極性で電圧が印加されるようにしてもよい。その際、コンデンサ(Ch)を2次側巻線に接続する場合は、2個の2次側巻線のうちの何れか一方に接続してもよく、あるいは両方に接続するようにしたものでもよい。
【0078】
本明細書に記載の回路構成は、本発明の放電ランプ点灯装置の動作や機能、作用を説明するために、必要最小限のものを記載したものである。したがって、説明した回路構成や動作の詳細事項、例えば、信号の極性であるとか、具体的な回路素子の選択や追加、省略、或いは素子の入手の便や経済的理由に基づく変更などの創意工夫は、実際の装置の設計時に遂行されることを前提としている。
【0079】
とりわけ過電圧や過電流、過熱などの破損要因からFET等のスイッチ素子などの回路素子を保護するための機構、または、給電装置の回路素子の動作に伴って発生する放射ノイズや伝導ノイズの発生を低減したり、発生したノイズを外部に出さないための機構、例えば、スナバ回路やバリスタ、クランプダイオード、(パルスバイパルス方式を含む)電流制限回路、コモンモードまたはノーマルモードのノイズフィルタチョークコイル、ノイズフィルタコンデンサなどは、必要に応じて、実施例に記載の回路構成の各部に追加されることを前提としている。本発明になる放電ランプ点灯装置の構成は、本明細書に記載の回路方式のものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の放電ランプ点灯装置を簡略化して示すブロック図を表す。
【図2】本発明の放電ランプ点灯装置の一部の一形態を簡略化して示すブロック図を表す。
【図3】本発明の放電ランプ点灯装置の一部の一形態の簡略化された構成を表す。
【図4】本発明の放電ランプ点灯装置の一部の一形態を簡略化して示すブロック図を表す。
【図5】本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一部の一形態の簡略化された構成を表す。
【図6】本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一部の一形態の簡略化された構成を表す。
【図7】本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一形態の簡略化された構成を表す。
【図8】本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一形態の簡略化された波形を表す。
【図9】本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一形態の簡略化されたタイミング図を表す。
【図10】本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一形態の簡略化されたタイミング図を表す。
【図11】本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一形態の簡略化された構成を表す。
【図12】本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一形態の簡略化された構成を表す。
【図13】従来の放電ランプ点灯装置の一形態の簡略化された構成を表す。
【図14】本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一形態の簡略化された構成を表す。
【図15】本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一形態の簡略化された構成を表す。
【符号の説明】
【0081】
Ce コンデンサ
Ch コンデンサ
Cq コンデンサ
Cr 共振コンデンサ
Ct コンデンサ
Cx 平滑コンデンサ
Dh ダイオード
Dq ダイオード
Dt ダイオード
Dx フライホイールダイオード
E1 電極
E2 電極
Et 補助電極
Fx 給電制御回路
G1 ゲート駆動回路
G2 ゲート駆動回路
G3 ゲート駆動回路
G4 ゲート駆動回路
Gkh ゲート駆動回路
Gx ゲート駆動回路
Ix ランプ電流検出手段
Kh 電圧印加駆動スイッチ素子
L01 経路
Ld 放電ランプ
Lr 共振コイル
Lx チョークコイル
Mh 電圧印加駆動用電源
Mx DC電源
Ph 1次側巻線
Pq 1次側巻線
Pt 1次側巻線
Q1 スイッチ素子
Q1’ スイッチ素子
Q2 スイッチ素子
Q2’ スイッチ素子
Q3 スイッチ素子
Q3’ スイッチ素子
Q4 スイッチ素子
Q4’ スイッチ素子
Qe 電圧感応スイッチ素子
Qez スイッチ素子
Qq スイッチ素子
Qt スイッチ素子
Qx スイッチ素子
Re 抵抗
Rez 抵抗
Rq 抵抗
Rt 抵抗
Sf1 インバータ制御信号
Sf2 インバータ制御信号
Sg ゲート駆動信号
Sh 2次側巻線
Si ランプ電流検出信号
Sj 間欠駆動制御信号
Sq 2次側巻線
St 2次側巻線
Sv ランプ電圧検出信号
Sz 始動制御信号
T11 ノード
T12 ノード
T21 ノード
T22 ノード
T31 ノード
T32 ノード
T41 ノード
T42 ノード
T4a ノード
T4b ノード
Th トランス
Ti 周期
Tj 期間
Tq スタータトランス
Tt スタータトランス
Tu 期間
Tu’ 期間
Tv 期間
Tw 期間
Uc インバータ制御回路
Ug 間欠駆動制御回路
Ui インバータ
Ui’ インバータ
Uj 間欠的電圧印加手段
Ut スタータ回路
Ut’ スタータ回路
Ut” スタータ回路
Ux 給電回路
Ux’ 給電回路
Vme 電圧
Vnl 電圧
Vx ランプ電圧検出手段
t11 時点
t12 時点
t13 時点
t21 時点
t22 時点
SWg 選択スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の主放電のための電極(E1,E2)が対向配置された放電ランプ(Ld)を点灯するための放電ランプ点灯装置であって、
前記放電ランプ(Ld)に給電する給電回路(Ux)と、
前記給電回路(Ux)の後段に設置され前記放電ランプ(Ld)に印加する電圧を極性反転させるインバータ(Ui)と、
1次側巻線(Ph)および2次側巻線(Sh)を有するトランス(Th)と、
前記トランス(Th)に接続されたコンデンサ(Ch)と、
前記1次側巻線(Ph)に電圧印加駆動を行うための間欠的電圧印加手段(Uj)とを有し、
前記トランス(Th)の前記2次側巻線(Sh)は、前記インバータ(Ui)の出力と前記放電ランプ(Ld)の主放電のための前記電極とを接続する経路の途中に介挿することにより、前記2次側巻線(Sh)に発生した電圧が、前記インバータ(Ui)の出力電圧に重畳して前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)間に印加可能であり、
前記2次側巻線(Sh)に発生する電圧の自由振動周波数が3MHz以下になるよう前記コンデンサ(Ch)の静電容量が設定されており、
前記放電ランプ(Ld)の始動期間においては、前記間欠的電圧印加手段(Uj)は、8000回/秒以上の平均頻度で電圧印加駆動を行い、前記放電ランプ(Ld)の放電が開始した後も電圧印加駆動を継続する期間を有することを特徴とする放電ランプ点灯装置。
【請求項2】
前記インバータ(Ui)より後段における、前記放電ランプ(Ld)の主放電電流の経路に沿うインダクタンス成分の合計が160μH以下となるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項3】
前記間欠的電圧印加手段(Uj)は、電圧印加駆動用電源(Mh)と、電圧印加駆動スイッチ素子(Kh)とで構成され、前記電圧印加駆動スイッチ素子(Kh)のオン状態のときに前記1次側巻線(Ph)に電圧を印加することを特徴とする請求項1から2に記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項4】
前記給電回路(Ux)が無負荷開放電圧を印加するために出力する電圧が、前記放電ランプ(Ld)において発生するグロー放電電圧より低く設定されていることを特徴とする請求項1から3に記載の放電ランプ点灯装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−242586(P2007−242586A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−222868(P2006−222868)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】