説明

整列装置

【課題】多数の農産物を1列に整列する際に、充填不足の解消を図ることができる整列装置を提供する。
【解決手段】供給コンベヤ2から供給される農産物A…を、第1の速度可変コンベヤ3と第1の整列コンベヤ4で前後に分散させながら1列に整列して搬送する。第1の整列コンベヤ4上を搬送される農産物A…間の間隔が所定間隔以下であることを第1の検出センサS1で検出している間は、第1の速度可変コンベヤ3を所定の搬送速度で駆動させておき、農産物A…間の間隔が所定間隔よりも長いことが検出された場合に、第1の速度可変コンベヤ3の搬送速度を第1の整列コンベヤ4よりも高速に増速して、農産物A…を、第1の速度可変コンベヤ3により第1の整列コンベヤ4上に押し込むようにして供給し、充填不足を解消する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば果実(柑橘類、林檎、梨、桃、トマト、柿等)、野菜等の農産物を1列に整列して供給するときに用いられる整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
収穫された蜜柑などの農産物は、洗浄やワックスがけなどの処理を経て選別装置で等階級別に選別されて箱詰めされる。自動化された処理ラインにおいて、供給された多数の農産物は、選別装置の前段階までは幅広のコンベヤで搬送されて各処理が施されるようになっているが、選別装置では農産物の検査を1個ずつ行うので、農産物を1列に整列してから選別装置に供給するようにしている。
【0003】
多数の農産物を1列に整列する整列装置としては、重なり合っていても徐々に1列に整列する機能を備えた特許文献1や特許文献2などの物品供給装置が提案されている。また、処理能力が高い自動化ラインにあっては、複数の選別装置を備え、農産物を効率よく処理するために、各選別装置に対してほぼ均等に農産物を振り分けて供給するようにしている。そのため、幅広のコンベヤから複数条の選別コンベヤに振り分けて整列させる特許文献3の果実整列供給装置が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−199034号公報
【特許文献2】特開平11−301840号公報
【特許文献3】実開昭61−88916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、1条の幅広コンベヤから複数条の選別コンベヤに振り分ける場合に特許文献3の果実整列供給装置では、幅方向中央側の選別コンベヤに対して外側の選別コンベヤへは農産物が流れにくく、外側の条に充填不足が発生しやすいものであった。また、充填不足が発生しても、特許文献1や特許文献2の物品供給装置では、充填不足を解消することができないものであった。
【0006】
この発明は上記問題に鑑み、多数の物品を1列に整列する際に、充填不足の解消を図ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明の整列装置は、供給コンベヤから供給される多数の物品を1列に整列する整列装置において、前記供給コンベヤの下流側に接続され、物品の搬送速度を変更できる第1の速度可変コンベヤと、第1の速度可変コンベヤの下流に接続され、搬送方向断面で中央部が低位となるように搬送面が形成され、所定の搬送速度で物品を搬送する第1の整列コンベヤと、第1の整列コンベヤ上を搬送される物品間の間隔を検出する第1の検出手段とを有し、第1の整列コンベヤ上を搬送される物品間の間隔が所定間隔以下の場合には第1の速度可変コンベヤの搬送速度を第1の整列コンベヤより低速とし、第1の整列コンベヤ上を搬送される物品間の間隔が所定間隔より長い場合には第1の速度可変コンベヤの搬送速度を第1の整列コンベヤより高速にして、物品を第1の速度可変コンベヤから第1の整列コンベヤに供給するように制御したことを特徴とする。
【0008】
この発明によると、供給コンベヤから供給される多数の物品を、第1の速度可変コンベヤと第1の整列コンベヤで前後に分散させながら1列に整列して搬送する。第1の整列コンベヤ上を搬送される物品間の間隔が所定間隔以下であることを第1の検出手段で検出している間は、第1の速度可変コンベヤの搬送速度を第1の整列コンベヤより低速で駆動させておき、物品間の間隔が所定間隔よりも長いことを検出した場合に、第1の速度可変コンベヤの搬送速度を第1の整列コンベヤよりも高速に増速して、物品を、第1の速度可変コンベヤにより第1の整列コンベヤ上に対して前方に押し込むようにして供給し、充填不足を解消する。
【0009】
上記物品は、例えば果実(柑橘類、林檎、梨、桃、トマト、柿等)、野菜等の農産物で構成することができるが、特に蜜柑や玉葱などを整列するのに好適な装置である。また、農産物以外の部品やボール等にも適用することができる。また、供給コンベヤと、第1の速度可変コンベヤと、第1の整列コンベヤは、例えばベルトコンベヤ、ローラコンベヤ、スラストコンベヤ等の単体又は複数を組み合わせた搬送手段で構成することができる。また、第1の検出手段は、例えば第1の整列コンベヤ上の物品搬送路を横切るように検出光の光路を設けた投受光部を有する光電センサ、近接スイッチ、リミットスイッチ、機械的にON・OFF動作されるスイッチ機構等で構成することができる。
【0010】
請求項2に記載した発明の整列装置は、上記請求項1に記載の構成と併せて、前記第1の整列コンベヤの下流側に、物品の搬送速度を変更できる第2の速度可変コンベヤと、該第2の速度可変コンベヤの下流に接続され、第1の整列コンベヤの搬送速度以上に搬送速度が設定された第2の整列コンベヤと、第2の整列コンベヤ上を搬送される物品間の間隔を検出する第2の検出手段とが設けられ、第2の整列コンベヤ上を搬送される物品間の間隔に応じて第2の速度可変コンベヤの搬送速度を制御したことを特徴とする。
【0011】
この発明によると、1段目に配置した第1の速度可変コンベヤと、第1の整列コンベヤと、第1の検出手段とで重なり合ったまま搬送される物品を前後に分散する大まかな処理を実行し、2段目に配置した第2の速度可変コンベヤと、第2の整列コンベヤと、第2の検出手段とで細やかな処理を実行するので、物品の整列むらがほとんど発生せず、精度よく1列に整列して次工程へ供給することができる。
【0012】
上記第2の速度可変コンベヤと第2の整列コンベヤは、第1の速度可変コンベヤ及び第1の整列コンベヤと同様に、例えばベルトコンベヤ、ローラコンベヤ、スラストコンベヤ等の単体又は複数を組み合わせた搬送手段で構成することができる。また、第2の検出手段も第1の検出手段と同様な光電センサ、近接スイッチ、リミットスイッチ、機械的にON・OFF動作されるスイッチ機構等で構成することができる。
【0013】
請求項3に記載した発明の整列装置は、上記請求項1又は2に記載の構成と併せて、前記供給コンベヤの下流に複数条並列に接続されたことを特徴とする。
【0014】
この発明によると、多数の物品を供給コンベヤで搬送した場合、供給コンベヤ上を搬送される多数の物品が幅方向中央側から外側へ向けて流れやすくなり、複数条の各整列装置に対して均等配分することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、物品の搬送量を検出しつつ、物品の搬送量を調整しているので、次工程への物品の供給量を一定に揃えることができ、従来装置のような充填ロスを低減することができるとともに、選別装置の充填率を高めて、能力の向上を図ることができる。また、多条の選別装置を設けた場合、効率よく各条に物品を振り分けることができるので、処理ラインの能力に最適な条数にすることが可能となり、余剰な選別装置を設けなくて済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明は、多数の物品を1列に整列する際に、充填不足の解消を図るという目的を、第1の検出手段による検出に基づいて、第1の速度可変コンベヤの搬送速度を第1の整列コンベヤより低速にするか、第1の整列コンベヤよりも高速にして、第1の速度可変コンベヤから第1の整列コンベヤへの物品の供給量を調整することで達成した。
【実施例】
【0017】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
【0018】
図面は、物品の一例である農産物を1列に整列して供給する整列装置を示し、図1及び図2に於いて、この整列装置1は、多数の農産物A…を搬送する供給コンベヤ2の下流側に、農産物A…の搬送速度を変更できる第1の速度可変コンベヤ3を接続し、第1の速度可変コンベヤ3の下流に、搬送方向断面で中央部が低位となるように搬送面が形成され、所定の搬送速度で農産物A…を搬送する第1の整列コンベヤ4を接続し、第1の整列コンベヤ4の搬送路中間部に、該整列コンベヤ4上を搬送される農産物A…間の間隔を検出する第1の検出センサS1を設けている。
【0019】
また、第1の整列コンベヤ4の下流側には、農産物A…の搬送速度を変更できる第2の速度可変コンベヤ5を接続し、第2の速度可変コンベヤ5の下流に、所定の搬送速度で農産物A…を搬送する第2の整列コンベヤ6を接続し、第2の整列コンベヤ6の搬送路始端部に、該整列コンベヤ6上を搬送される農産物A…間の間隔を検出する第2の検出センサS2を設けている。
【0020】
即ち、整列装置1は、供給コンベヤ2の下流に、第1の速度可変コンベヤ3と、第1の整列コンベヤ4と、第1の検出センサS1で構成される1段目と、第2の速度可変コンベヤ5と、第2の整列コンベヤ6と、第2の検出センサS2とで構成される2段目とからなり、選果機7の条ピッチに合わせて複数条並列(6本)に接続され、供給コンベヤ2から供給される農産物A…を、選果機7の各条に均等配分するものである。
【0021】
第1の整列コンベヤ4上を農産物Aが十分に充填されて搬送されているときには、供給コンベヤ2、第1の速度可変コンベヤ3、第1の整列コンベヤ4の各搬送速度は、上流側から下流側に向けて徐々に速くなるように設定されている。第1の整列コンベヤ4上に農産物A…間の間隔が所定間隔以上に離間するような充填不足が発生すると第1の速度可変コンベヤ3の搬送速度は、第1の整列コンベヤ4より高速に増速されるようになっている。
【0022】
そして、第2の整列コンベヤ6上に農産物Aが定量供給されているときには、第2の速度可変コンベヤ5と第2の整列コンベヤ6とは同じ搬送速度で第1の整列コンベヤ4より高速で選果機7の選果ライン7aより低速に設定されている。第2の整列コンベヤ6上に充填不足が発生すると第2の速度可変コンベヤ5は、第2の整列コンベヤ6より高速となり、逆に農産物A…が重なり合うような過供給が発生すると第2の整列コンベヤ6より低速となるようになっている。
【0023】
本実施例では、各コンベヤの搬送速度を次のように設定している。供給コンベヤ2の速度を約4m/分に設定し、第1の速度可変コンベヤ3の速度を約9m/分に設定し、第1の整列コンベヤ4の速度を約22m/分に設定し、第2の速度可変コンベヤ5及び第2の整列コンベヤ6の速度を約30m/分に設定し、選果機7の各選果ライン7a…の速度を約55〜60m/分に設定している。なお、第2の整列コンベヤ6の入口部分aは約40m/分に設定している。また、第1の検出センサS1で充填不足を検出した場合、第1の速度可変コンベヤ3の速度を約30m/分に増速し、第2の検出センサS2で充填不足を検出した場合、第2の速度可変コンベヤ5の速度を約45m/分に増速し、第2の検出センサS2で過供給を検出した場合、第2の速度可変コンベヤ5の速度を約15m/分に減速する。或いは、停止してもよい。なお、前記コンベヤ2〜7の各設定速度は、任意に変更することができる。
【0024】
前記供給コンベヤ2は、多数の農産物A…を搬送方向へ移送しながら幅方向に分散する幅広のコンベヤで構成されている。
【0025】
前記第1の速度可変コンベヤ3は、第1の整列コンベヤ4上を搬送される農産物A…の充填状況に応じて搬送速度が変更される速度可変式のコンベヤで構成され、第1の整列コンベヤ4に付帯した第1の検出センサS1から出力される検出信号と連動して、始端部と終端部の間に張架したベルト3aをモータにより搬送方向へ回転する。
【0026】
つまり、第1の整列コンベヤ4上に充填不足が発生した場合、第1の検出センサS1から出力される検出信号に基づいて、第1の速度可変コンベヤ3は第1の整列コンベヤ4の搬送速度よりも高速の設定速度まで増速され、第1の速度可変コンベヤ3上を搬送される農産物A…を、搬送方向に向けて前方に押し込むようにして第1の整列コンベヤ4上に供給する。
【0027】
前記第1の整列コンベヤ4は、当該第1の整列コンベヤ4上を重なり合うように搬送される農産物A…を徐々に1列に整列させる機能を有しており、搬送路両側部に軸支した左右一対の各支持ローラ4a…を、搬送方向に向けて逆へ字形となるように多数配列するとともに、外端側から内端側に向けて徐々に低くなるような角度に斜設して、モータにより各支持ローラ4a…を搬送方向へ一定速度で回転する。つまり、左右一対の各支持ローラ4a…により搬送方向断面で中央部が低位となる搬送面を形成することにより、搬送路を重なり合うように搬送される農産物A…が徐々に1列になるように搬送されるようになっている。
【0028】
前記第1の検出センサS1は、投受光式の光電センサであり、検出光を投光する投光部と、投光部から投光された検出光を受光する受光部とが第1の整列コンベヤ4の搬送路を挟んで、始端側左側部と終端側右側部との間に、該整列コンベヤ4の搬送路に対して斜め方向に向けて交差する角度に配置され、該整列コンベヤ4上を搬送される農産物A…間の間隔を検出するようになっている。これより1個の検出センサS1で農産物A…間に生じる大きな間隔を検出できるようになっている。
【0029】
また、第1の検出センサS1を搬送路に対して直交して設け、農産物Aを検出しない時間を測定するようにしてもよい。
【0030】
この第1の検出センサS1は、投光部から投光される検出光を、第1の整列コンベヤ4上を搬送される農産物A…に向けて連続的に照射し、検出光が農産物Aによって遮られて受光部に到達しないときには、検出信号OFFを出力し、農産物A…間が前後に離間するような充填不足が発生した場合、第1の検出センサS1の投光部から投光される検出光が農産物A,Aの間を通過し、その通過した検出光が受光部で受光されると、検出信号ONを出力するようになっている。
【0031】
第1の検出センサS1から出力される検出信号の変化を測定すれば、農産物A…間の間隔が所定間隔以下であるか、所定間隔以上であるかを判定することができる。つまり、農産物A…間の間隔が所定間隔以下に近接しているか、互いに密着している場合、検出信号はOFFとなっているので、第1の検出センサS1の検出範囲内に農産物Aが有り、所定の充填状態と認識する。また、農産物A…間の間隔が所定間隔以上に離間していた場合、検出信号がOFFからONに変化するので、第1の検出センサS1の検出範囲内に農産物Aが無く、充填不足が発生したものと認識する。検出信号がONに変化すると、第1の速度可変コンベヤ3が所定の設定速度まで増速され、再び検出信号がONからOFFに変化すると、その変化した時点から所定時間経過後、第1の速度可変コンベヤ3が元の速度に戻るようになっている。
【0032】
なお、第1の検出センサS1の検出角度を、第1の整列コンベヤ4の搬送路と平行する角度に近くすれば、農産物A…間の間隔が大きくなるまで充填不足であることが検出されない。また、該検出センサS1の検出角度を搬送路と直交する角度に近くすれば、農産物A…間の間隔が小さくても充填不足であることが検出されるので、該検出センサS1の検出角度を変えるだけで、充填不足時の検出間隔を任意に設定及び変更することができる。
【0033】
前記第2の速度可変コンベヤ5は、第2の整列コンベヤ6上を搬送される農産物A…の充填状況に応じて搬送速度が変更される速度可変式のコンベヤで構成され、第2の整列コンベヤ6に付帯した第2の検出センサS2から出力される検出信号と連動して、始端部と終端部の間に張架したベルト5aをモータにより搬送方向へ回転する。なお、第2の速度可変コンベヤ5は、第1の速度可変コンベヤ3よりも短くてもよい。
【0034】
第2の整列コンベヤ6上に充填不足や過供給が発生した場合、第2の検出センサS2から出力される検出信号に基づいて、第2の速度可変コンベヤ5は農産物A…が所定の間隔で1列に整列している定量供給時の速度から高速に増速または低速に減速または停止され、第2の速度可変コンベヤ5上を搬送される農産物A…を、搬送方向と一致する前方に向けて第2の整列コンベヤ6上に供給し、所定時間経過後、元の定量供給時の搬送速度に復帰する。
【0035】
前記第2の整列コンベヤ6は、図5、図6に示すように、第1の整列コンベヤ4とほぼ同様の構造をしており、第2の整列コンベヤ6上を重なり合うように搬送される農産物A…を徐々に1列に整列させる機能を有している。
【0036】
また、第2の整列コンベヤ6は、第2の検出センサS2で農産物A…間の間隔を検出しやすいように入口部分aに配列した各支持ローラ6a…の搬送速度を、該入口部分aの下流側に配列した残りの各支持ローラ6a…及び第2の速度可変コンベヤ5の搬送速度よりも速い速度に設定しており、第2の速度可変コンベヤ5から第2の整列コンベヤ6に移載された農産物A…を入口部分aの各支持ローラ6a…で加速搬送して、密接している前後の農産物A…をわずかに分離するようになっている。そして入口部分a通過後は、また密接して搬送されるようになっている。
【0037】
前記第2の検出センサS2は、第2の整列コンベヤ6の入口部分aに第1の検出センサS1と同様な投光部と受光部とが第2の整列コンベヤ6の搬送路を挟んで、該整列コンベヤ6の搬送路に対して幅方向に向けて略直交する角度に配置され、該整列コンベヤ6上を搬送される農産物A…間の間隔を検出するようになっている。
【0038】
この第2の検出センサS2は、投光部から投光される検出光を、第2の整列コンベヤ6上を搬送される農産物A…に向けて連続的に照射しているので、第2の速度可変コンベヤ5から第2の整列コンベヤ6に乗り移るときに前後分離された農産物A…間の間隔が所定間隔に離間している場合、第2の検出センサS2の投光部から投光される検出光が農産物A…間を通過し、その通過した検出光が受光部で受光されるため、農産物A…間の有無を示すON・OFF信号の変化がほぼ一定間隔で出力される。この検出信号の変化を測定することにより、農産物A…の搬送状況を判定することができる。つまり、第2の検出センサS2の検出範囲内を農産物A…がほぼ一定間隔で通過し、ON・OFF動作をほぼ一定間隔で繰り返すとき、その物通過状態を定量供給と認識する。
【0039】
また、農産物A…間の間隔が所定間隔以上に長いか離間している場合、第2の検出センサS2から出力されるON信号の検出時間が定量供給時よりも長くなるため、第2の検出センサS2の検出範囲内に農産物Aが無く、その物無し状態を充填不足と認識する。
【0040】
また、農産物A…間が互いに密着しているか、重なり合っている場合、第2の検出センサS2から出力されるOFF信号の検出時間が定量供給時よりも長くなるため、第2の検出センサS2の検出範囲内に農産物Aが常時存在しており、その常に物有り状態を過供給と認識する。
【0041】
定量供給時には、第2の速度可変コンベヤ5を、モータにより定速(約30m/分)で回転させ、第1の整列コンベヤ4から供給される農産物A…を所定間隔に離間したまま定速で搬送する。
【0042】
充填不足時には、第2の速度可変コンベヤ5を、上記定速よりも速い速度に増速して農産物A…の供給を促す。このとき、第1の整列コンベヤ4上を搬送される農産物A…に充填不足が発生すると、第1の速度可変コンベヤ3の搬送速度を増速させて農産物A…の供給を促し、次にOFF信号を検出してから所定時間経過後に定量供給時の速度に戻す。その後、後端まで搬送される間に第2の整列コンベヤ6の整列機能によって徐々に1列に整列される。
【0043】
過供給時には、第2の速度可変コンベヤ5を、上記定速よりも遅い搬送速度に減速するか、一時停止する等して、第1の整列コンベヤ4から第2の速度可変コンベヤ5へ供給される農産物A…を所定間隔に離間するストッパーの役割を果し、次にON信号を検出してから所定時間経過後に定量供給時の速度に戻す。このとき、第2の速度可変コンベヤ5の減速又は停止により、後続の農産物A…が第1の整列コンベヤ4上に停留されるが、第1の整列コンベヤ4はアキューム機構を備えているので、農産物A…を損傷させることなく一時貯留することができるようになっている。さらに、第2の速度可変コンベヤ5の制御と連動して、第1の速度可変コンベヤ3も減速又は停止するようにしてもよい。そして、後端まで搬送される間に密接したり重なり合っている部分が第2の整列コンベヤ6の整列機能によって徐々に1列に整列される。
【0044】
また、第1の速度可変コンベヤ3の搬送路両側部に配置した左右一対の各案内板3b,3bと、第1の整列コンベヤ4の搬送路両側部に配置した左右一対の各案内板4b,4bと、第2の速度可変コンベヤ5の搬送路両側部に配置した左右一対の各案内板5b,5bと、第2の整列コンベヤ6の搬送路両側部に配置した左右一対の各案内板6b,6bは、外側端部から内側端部に向けて徐々に低くなる角度に斜設している。
【0045】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、整列装置1により多数の農産物A…を1列に整列して供給する動作を説明する。
【0046】
先ず、図1、図2に示すように、供給コンベヤ2からランダムに供給される多数の農産物A…を、選果機7の各条と対応する第1の速度可変コンベヤ3…にそれぞれ振り分け供給するとともに、重なり合ったまま搬送される農産物A…を、第1の速度可変コンベヤ3…と第1の整列コンベヤ4…で前後に分散させるように搬送する。
【0047】
図3に示す第1の整列コンベヤ4上を搬送される農産物A…間の間隔が所定間隔以下であることを第1の検出センサS1で検出した場合、所定の充填状態であるため、第1の速度可変コンベヤ3を所定の搬送速度で駆動させ、農産物A…を一定速度で供給する。
【0048】
図4に示す上から1列目に配置した第1の整列コンベヤ4上を搬送される農産物A…間の間隔が所定間隔よりも長いことを第1の検出センサS1で検出した場合、充填不足であるため、第1の速度可変コンベヤ3を第1の整列コンベヤ4の搬送速度よりも高速に増速させ、農産物A…を、第1の速度可変コンベヤ3により搬送方向に向けて前方に押し込むようにして第1の整列コンベヤ4上に供給する。充填不足が解消されたことを第1の検出センサS1で検出した時点から所定時間経過後、第1の速度可変コンベヤ3を定速に戻す。
【0049】
第1の整列コンベヤ4上に供給された農産物Aは、第1の整列コンベヤ4の有する整列機能により徐々に1列になるように整列されながら搬送される。
【0050】
第1の整列コンベヤ4…から供給される農産物A…を、第2の速度可変コンベヤ5…にそれぞれ供給するとともに、第2の速度可変コンベヤ5…と第2の整列コンベヤ6…で1列に整列して搬送する。
【0051】
第2の速度可変コンベヤ5上を搬送される農産物A…を、搬送方向と対応する前方に向けて第2の整列コンベヤ6上に供給するとともに、第2の整列コンベヤ6の入口部分aに配列した各支持ローラー6a…により加速搬送して、密接している農産物A…を前後に分離する。
【0052】
図4に示す上から1列目と、3列目〜5列目に配置した第2の整列コンベヤ6上を搬送される農産物A…間の間隔が所定間隔に離間していることを第2の検出センサS2で検出した場合、図5に示すような定量供給状態であるため、第2の速度可変コンベヤ5を定速(約30m/分)で回転させ、第1の整列コンベヤ4から供給される農産物A…を所定間隔に離間したまま搬送する。
【0053】
図4に示す上から2列目に配置した第2の整列コンベヤ6上を搬送される農産物A…間の間隔が所定間隔以上に長いか離間していることを第2の検出センサS2で検出した場合、充填不足状態であるため、第2の速度可変コンベヤ5を定速よりも速い速度に増速して農産物A…の供給を促す。このとき、第1の整列コンベヤ4上を搬送される農産物A…に充填不足が発生すると、第1の速度可変コンベヤ3を増速させて農産物A…の供給を促す。
【0054】
図4に示す上から6列目に配置した第2の整列コンベヤ6上を搬送される農産物A…間が互いに密着しているか、重なり合っていることを第2の検出センサS2で検出した場合、図6に示すような過供給状態であるため、第2の速度可変コンベヤ5を定速よりも遅い搬送速度に減速するか、一時停止する等して、第1の整列コンベヤ4から第2の速度可変コンベヤ5へ供給される農産物A…を所定間隔に離間するストッパーの役割を果す。このとき、後続の農産物A…が第1の整列コンベヤ4上に停留されるが、第1の整列コンベヤ4はアキューム機構を備えているので、農産物A…を損傷させることなく一時貯留することができる。
【0055】
第2の整列コンベヤ6の入口部分a通過後は、第2の整列コンベヤ6上を搬送される農産物A…を前後に近接又は密着させるように1列に整列して選果機7の各選果ライン7a…にそれぞれ供給する。
【0056】
1段目に配置した第1の速度可変コンベヤ3と、第1の整列コンベヤ4と、第1の検出センサS1により重なり合ったまま搬送される農産物Aを前後に分散する大まかな供給制御と、2段目に配置した第2の速度可変コンベヤ5と、第2の整列コンベヤ6と、第2の検出センサS2とにより農産物Aをほぼ一定の供給量となるように整列する細やかな供給制御を、選果機7の条毎に行うので、農産物Aの整列むらがほとんど発生せず、1列に整列して供給することができ、充填率を高めることが可能となる。その結果、選果機7の充填率を高め、処理能力の向上を図ることができる。
【0057】
以上のように、条毎に農産物Aの搬送量を検出しつつ、単独(条毎)に供給すべき農産物Aの搬送量を調整しているので、次工程への農産物Aの供給量を一定に揃えることができ、従来装置のような充填ロスを低減することができるとともに、選果機7の充填率を高めて、能力の向上を図ることができる。また、多条の選果機7を設けた場合、効率よく各条に農産物Aを振り分けることができるので、処理ラインの能力に最適な条数にすることが可能となり、余剰な選果機7を設けなくて済む。
【0058】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の物品は、実施例の農産物Aに対応し、
以下同様に、
第1の検出手段は、第1の検出センサS1に対応し、
第2の検出手段は、第2の検出センサS2に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】整列装置を構成する各コンベヤの配置を示す側面図。
【図2】農産物の供給開始動作を示す平面図。
【図3】1段目のコンベヤによる農産物の整列動作を示す平面図。
【図4】2段目のコンベヤによる農産物の整列動作を示す平面図。
【図5】定量供給時の農産物搬送動作を示す側面図。
【図6】過供給時の農産物分離動作を示す側面図。
【符号の説明】
【0060】
A…農産物
1…整列装置
2…供給コンベヤ
3…第1の速度可変コンベヤ
4…第1の整列コンベヤ
S1…第1の検出センサ
5…第2の速度可変コンベヤ
6…第2の整列コンベヤ
S2…第2の検出センサ
7…選果機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給コンベヤから供給される多数の物品を1列に整列する整列装置において、
前記供給コンベヤの下流側に接続され、物品の搬送速度を変更できる第1の速度可変コンベヤと、
第1の速度可変コンベヤの下流に接続され、搬送方向断面で中央部が低位となるように搬送面が形成され、所定の搬送速度で物品を搬送する第1の整列コンベヤと、
第1の整列コンベヤ上を搬送される物品間の間隔を検出する第1の検出手段とを有し、
第1の整列コンベヤ上を搬送される物品間の間隔が所定間隔以下の場合には第1の速度可変コンベヤの搬送速度を第1の整列コンベヤより低速とし、
第1の整列コンベヤ上を搬送される物品間の間隔が所定間隔より長い場合には第1の速度可変コンベヤの搬送速度を第1の整列コンベヤより高速にして、物品を第1の速度可変コンベヤから第1の整列コンベヤに供給するように制御したことを特徴とする
整列装置。
【請求項2】
前記第1の整列コンベヤの下流側に、
物品の搬送速度を変更できる第2の速度可変コンベヤと、
該第2の速度可変コンベヤの下流に接続され、第1の整列コンベヤの搬送速度以上に搬送速度が設定された第2の整列コンベヤと、
第2の整列コンベヤ上を搬送される物品間の間隔を検出する第2の検出手段とが設けられ、第2の整列コンベヤ上を搬送される物品間の間隔に応じて第2の速度可変コンベヤの搬送速度を制御した
請求項1に記載の整列装置。
【請求項3】
前記供給コンベヤの下流に複数条並列に接続された
請求項1又は2に記載の整列装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−91395(P2007−91395A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282102(P2005−282102)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(390008305)エスアイ精工株式会社 (39)
【Fターム(参考)】