説明

斜面崩壊感知装置

【課題】単純な構成で、環境温度の変化の影響を抑制し、傾斜計の計測精度を向上させるとともに、通信条件の改善によって計測データをより良好に送信することができる斜面崩壊感知装置を提供する。
【解決手段】この斜面崩壊感知装置2では、半導体回路を有する傾斜計11が、斜面Sの地中に埋設されるとともに、斜面Sの地表から離れた位置に、傾斜計によって計測された斜面Sの変位を表す計測データをアンテナ14bを介して無線で送信する送信機14が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斜面に設置され、斜面の崩壊を感知するための斜面崩壊感知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国では、豪雨・地震による土砂崩れや土石流などの斜面の崩壊が頻発しており、その危険性のある斜面は数万箇所を超えるとも指摘されている。また、そのような斜面はアクセスが容易でない山間地などに多く存在し、斜面の崩壊のほとんどは、小規模斜面の表層滑りとして発生している。このため、できるだけ多くの斜面から崩壊に関する情報を得るために、斜面崩壊感知装置は、安価かつコンパクトであり、設置およびメンテナンスが容易であることが望ましい。また、検出した情報を遠隔の監視地点まで送信できるようにすることが望ましい。
【0003】
本出願人は、このような観点から開発した斜面崩壊感知装置を、特許文献1にすでに提案している。この斜面崩壊感知装置(以下、単に「装置」という)は、あらかじめ組み立てたセンサユニットと、センサユニットを斜面に設置するための支柱で構成されている。センサユニットは、傾斜計、土壌水分計、電源としての電池、無線通信ユニットや、装置全体の動作を制御するマイコンなどを備えている。これらの構成要素のうち、土壌水分計以外のものは防水ボックス内に一体に組み込まれ、土壌水分計は、支柱付近の地中に埋設されている。防水ボックスには、無線通信ユニットのアンテナが上方に延びるように設けられている。
【0004】
一方、支柱は、剛性の高い鉄製のアングル材などで構成され、計測を行うべき斜面の所定位置に打込みなどによって立設される。防水ボックスは、支柱の所定の位置、例えば地表から40cm程度離れた高さの位置に固定され、設置されている。
【0005】
傾斜計は、半導体回路などを一体に組み込んだMEMS型のものであり、互いに直交する2軸回りの傾斜角を高い精度で計測する。土壌水分計は、斜面の土壌中の水分を計測し、その計測データをケーブルを介して防水ボックス側に送る。これらの計測データは、A/D変換された後、マイコンに入力され、さらに無線通信ユニットからアンテナを介して、遠隔のリレー中継ユニットなどに無線で送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−197154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した装置に用いられる傾斜計は、半導体回路などを含むため、その出力が環境温度の変化に応じて大きく変化するという特性を有する。これに対し、従来の装置では、支柱に取り付けた防水ボックスに傾斜計が内蔵されているため、季節や昼夜の寒暖によって環境温度が大きく変化し、その影響によって傾斜計の出力がばらつく結果、計測精度が低下するという問題がある。この問題は、例えば温度センサを併用し、それにより検出された温度に応じて傾斜計の計測結果を補正することによって、解消することが可能である。しかし、その場合には、温度センサを新たに設けることが必要になり、装置のコストが増大してしまう。
【0008】
また、無線通信ユニットのアンテナの送信性能は、地磁気の影響を受け、地表に近いほど、アンテナから送信された計測データに関する電波の電界強度に大きな影響を及ぼすことで、より低下する。これに対し、従来の装置では、アンテナが防水ボックスに設けられ、地表に比較的近い位置に配置されていて、地磁気の影響をより大きく受けるため、アンテナの送信性能を十分に確保しにくいという問題がある。
【0009】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、単純な構成で、環境温度の変化の影響を抑制し、傾斜計の計測精度を向上させるとともに、通信条件の改善によって計測データをより良好に送信することができる斜面崩壊感知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、斜面に設置され、斜面の崩壊を感知するための斜面崩壊感知装置であって、半導体回路を有するとともに、斜面の地中に埋設され、斜面の変位を計測する傾斜計と、斜面の地表から離れた位置に配置されたアンテナを有し、傾斜計によって計測された斜面の変位を表す計測データをアンテナを介して無線で送信する送信機と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この斜面崩壊感知装置によれば、傾斜計によって計測された斜面の変位を表す計測データが、送信機からアンテナを介して無線で送信される。この傾斜計は、半導体回路を有するため、前述したように、その出力が、季節や昼夜の寒暖による環境温度の変化に応じて大きく変化するという特性を有する。また、地中は、地上に比べて環境温度の変化が小さい。本発明によれば、傾斜計を斜面の地中に埋設するので、環境温度の変化の影響を抑制し、傾斜計の計測精度を向上させることができる。
【0012】
これに対し、アンテナは傾斜計とは別個に斜面の地表から離れた位置に配置されるので、アンテナを地表から可能な限り遠い位置に配置することによって、地磁気の影響を抑制でき、したがって、計測データをより良好に送信することができる。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の斜面崩壊感知装置において、傾斜計は、底面が平らなケースに収容されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、傾斜計を収容したケースを水平な部材、例えばはりなどに載せた状態で取り付けることによって、傾斜計を、所定の角度に位置決めしながら容易に設置することができる。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の斜面崩壊感知装置において、計測された斜面の変位が所定量以上であるか否かを判別する判別手段と、判別手段によって斜面の変位が所定量以上であると判別されたときに、傾斜計が転倒していると判定する転倒判定手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
傾斜計が転倒すると、斜面の変位を適切に計測することができなくなる。本発明によれば、計測された斜面の変位が所定量以上であると判別されたときに、傾斜計が転倒していると判定するので、転倒した傾斜計で計測された不適切な計測データの採用を回避することができる。また、傾斜計の転倒をそれ自身の出力値を用いて判定するので、傾斜計の転倒を検出するための専用のセンサを別個に設ける必要がなく、その分、コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による斜面の監視システムを概略的に示す図である。
【図2】斜面への斜面崩壊感知装置の設置状況を模式的に示す図である。
【図3】斜面崩壊感知装置の構成を模式的に示す図である。
【図4】第1傾斜計を収容したケースの断面図である。
【図5】計測データ決定処理を示すメインフローである。
【図6】リレー中継ユニットの構成を模式的に示す図である。
【図7】斜面崩壊感知装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1に示すように、本発明の一実施形態による斜面の監視システム1は、監視を行うべき斜面S(図2参照)に設置された複数の斜面崩壊感知装置2と、これらの斜面崩壊感知装置2に、無線WLや、携帯電話ネットPN、インターネットINを介して順次、接続された、複数のリレー中継ユニット3、中継器4、携帯センター5、中央監視装置6およびユーザー端末7などで構成されている。
【0019】
図2および図3に示すように、各斜面崩壊感知装置2は、第1および第2傾斜計11,12、土壌水分計13、無線通信ユニット14、メモリ15、電源16およびマイコン17を備えている。第1傾斜計11および土壌水分計13以外の構成要素は、防水性および防塵性を有する防水ボックス18内に一体に組み込まれている(図3参照)。防水ボックス18は、斜面Sの所定位置に設けられた支柱20に、斜面Sの地表から所定の距離(例えば約100〜150cm)離れた高さの位置に固定され、設置されている。
【0020】
第1傾斜計11は、MEMS技術を利用した傾斜計であり、水平面内の互いに直交する2軸(X軸およびY軸)回りの傾斜角を計測するように構成されている。具体的には、第1傾斜計11は、X方向およびY方向にそれぞれ延びる2組のばねと、これらのばねに連結されたおもりと、半導体回路(いずれも図示せず)を有している。半導体回路は、おもりの変位量に応じて、第1X軸傾斜角ANG1Xおよび第1Y軸傾斜角ANG1Y(以下、総称するときは「第1傾斜角ANG1」とする)を表す検出信号を出力する。この検出信号は、A/D変換された後、ケーブル22を介してマイコン17に入力される。この第1傾斜計11の精度は0.0025度、消費電力は5V、4mAであり、電源投入後、50ms以内に計測を終了することが可能である。
【0021】
図4に示すように、第1傾斜計11は、ケース19に収容されている。このケース19は、円筒状のケース本体19aと、ケース本体19aの上下面を閉鎖する板状の上蓋19bおよび下蓋19cで構成されている。第1傾斜計11は、下蓋19cの上面に、ケース19に対して所定の角度に位置決めした状態で配置され、例えばエポキシ樹脂EPで接着されている。また、ケース19内には、少なくとも第1傾斜計11とケーブル22との接続部が埋まるように、シリコン樹脂SIが充填されている。このケース19は、地中に鉛直に打ち込まれた支柱21に、第1傾斜計11のX軸およびY軸を所定の方向に位置決めした状態で、2本のバンドB,Bで固定されるとともに、地中に埋設されている。これにより、第1傾斜計11は、斜面Sの地中に水平に埋設され、この状態での第1X軸傾斜角ANG1Xおよび第1Y軸傾斜角ANG1Yは、所定の角度(例えば0°)である。また、ケーブル22は、上蓋19bの孔19dを通って防水ボックス18側に延び、マイコン17側に接続されている。
【0022】
第2傾斜計12は、第1傾斜計11が転倒したときに、傾斜角を補完的に計測するためのものである。第2傾斜計12は、第1傾斜計11と同様、MEMS技術を利用した傾斜計で構成されており、互いに直交する3軸(X軸、Y軸およびZ軸)回りの傾斜角(ANG2X,ANG2Y,ANG2Z)を、第2傾斜角ANG2として計測する。この第2傾斜角ANG2は、A/D変換された後、マイコン17に入力される。この第2傾斜計12の精度は0.04度、消費電力は5V、4mAであり、電源投入後、50ms以内に計測を終了することが可能である。
【0023】
土壌水分計13は、防水ボックス18付近の斜面Sの地中に埋設され、例えば土の含水率を誘電率を介して計測するTDRタイプのものであり、その精度は±3%である。その計測データは、A/D変換された後、ケーブル23を介して、マイコン17に入力される。
【0024】
無線通信ユニット14は、省電力タイプのユニット本体14aとアンテナ14bを有している。アンテナ14bは、防水ボックス18の上面に設けられ、上方に延びており、ケーブル14cでユニット本体14aに接続されている。無線通信ユニット14は、マイコン17から出力され、A/D変換された計測データを、アンテナ14bを介してリレー中継ユニット3に無線WLで送信する。その送信可能距離は、公称で約300mであり、見通しの良い場所では最大約1200mに及ぶことが確認されている。
【0025】
メモリ15は、バックアップ用のものであり、SDメモリなどの着脱式のメモリで構成され、マイコン17から出力された計測データを記憶する。
【0026】
電源16は、4本の単三アルカリ乾電池で構成されており、第1および第2傾斜計11,12、土壌水分計13、無線通信ユニット14およびマイコン17の駆動源となるものである。
【0027】
マイコン17は、斜面崩壊感知装置2全体の動作を制御するものであり、調停消費電流タイプのマイコンチップで構成されている。また、マイコン17は、記憶されたプログラムに基づくスリープ(休止)機能を有しており、第1および第2傾斜計11,12および土壌水分計13による計測および無線通信ユニット14による計測データの送信を、所定時間(例えば1分)ごとに行うとともに、この計測・送信時間以外は、マイコン17自身、第1および第2傾斜計11,12、土壌水分計13および無線通信ユニット14をスリープ状態に維持することで、消費電力がほぼ0に制御される。また、マイコン17は、計測された第1傾斜角ANG1に応じて、第1傾斜角ANG1または第2傾斜角ANG2のいずれを計測データとしてリレー中継ユニット3に送信するか否かを決定する。
【0028】
図5は、この計測データ決定処理を示すフローチャートである。本処理は、計測データの送信間隔よりも短い所定時間ごとに実行される。本処理では、まずステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、第1傾斜計11で計測された第1X軸傾斜角ANG1Xまたは第1Y軸傾斜角ANG1Yが所定角度ANGREF(例えば30°)以上であるか否かを判別する。
【0029】
この判別結果がNOで、第1X軸傾斜角ANG1Xおよび第1Y軸傾斜角ANG1Yがいずれも所定角度ANGREFよりも小さいときには、第1傾斜計11が転倒していないとして、そのことを表すために、転倒フラグF_FALLを「0」にセットし(ステップ2)、本処理を終了する。このように転倒フラグF_FALLが「0」のときには、斜面Sの傾斜角を表す計測データとして、第1傾斜計11で計測された第1傾斜角ANG1が、無線通信ユニット14を介してリレー中継ユニット13に送信される。
【0030】
一方、前記ステップ1の判別結果がYESで、第1X軸傾斜角ANG1Xおよび/または第1Y軸傾斜角ANG1Yが所定角度ANGREF以上のときには、第1傾斜計11が転倒しているとして、そのことを表すために、転倒フラグF_FALLを「1」にセットし(ステップ3)、本処理を終了する。このように、転倒フラグF_FALLが「1」で、第1傾斜計11が転倒していると判定されたときには、斜面Sの傾斜角を表す計測データとして、第1傾斜角ANG1ではなく、第2傾斜計12で計測された第2傾斜角ANG2が、無線通信ユニット14を介してリレー中継ユニット3に送信される。
【0031】
各リレー中継ユニット3は、斜面崩壊感知装置2から離れた場所に設置されており、複数の斜面崩壊感知装置2から無線WLで送信された複数の計測データを受信するとともに、中継器4に無線WLで転送するものである。図6に示すように、各リレー中継ユニット3は、防水ボックス18内に、無線通信ユニット14、メモリ15、電源26およびマイコン17などを一体に組み込んだものであり、すなわち、第1および第2傾斜計11,12および土壌水分計13がないことを除き、基本的に斜面崩壊感知装置2と同じ構成になっている。
【0032】
また、リレー中継ユニット3では、斜面崩壊感知装置2よりも消費電力が大きくなることが想定されるため、電源26は単一アルカリ乾電池とソーラ電池で構成されている。無線通信ユニット14で受信した計測データは、中継器4に転送される他、マイコン17に入力され、メモリ15に記憶される。
【0033】
中継器4は、リレー中継ユニット3から離れた場所に設置されている。中継器4は、複数のリレー中継ユニット3から無線WLで送信された計測データを受信し、そのデータ形式やプロトコルを携帯電話ネットPNやインターネットINで送信可能なものに変換するとともに、携帯電話ネットPNを介して携帯センター5に一括して送信するものである。携帯センター5に送信された計測データはさらに、インターネットINを介して中央監視装置6に転送される。
【0034】
中央監視装置6は、監視サーバ8および監視データベース9を備えている。監視サーバ8は、送信された計測データに基づき、所定の解析プログラムに従って、斜面Sの安定解析を行うことによって、斜面Sの安定性をリアルタイムで評価する。この安定解析は、例えば、第1または第2傾斜計11,12で計測された斜面Sの第1傾斜角ANG1または第2傾斜角ANG2から、斜面Sの各計測点における変位を算出し、算出された変位と土壌水分計13で計測された斜面Sの含水率、およびそれらの推移などに基づいて、斜面Sの崩壊に対する安全率Fsを算出することによって、行われる。斜面が崩壊する際には、その兆候として、斜面の変位および水分の飽和度が上昇することが多いので、上記のような安定解析によって、斜面Sの安定性を適切に評価することができる。
【0035】
また、この安定解析の結果、安全率Fsが低下し、斜面Sが崩壊するおそれが生じたと認められる場合には、安全率Fsの推移などから、斜面Sが崩壊するまでの予測時間Tfを算出し、それに基づいて警報情報を設定する。また、監視データベース9は、中央監視装置6に送信された計測データや、算出された安全率Fsなどの情報を記憶する。
【0036】
ユーザ端末7は、パソコンや携帯電話で構成され、インターネットINを介して、中央監視装置6と通信可能であり、随時、中央監視装置6にアクセスし、監視データベース9内の情報を読み出すことができる。また、あらかじめメールアドレスを登録したユーザ端末7には、監視サーバ8から上述した警報情報が配信されるようになっている。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、半導体回路を有する第1傾斜計11が、温度が比較的安定した斜面Sの地中に埋設されるので、環境温度の変化の影響を抑制し、第1傾斜計11の計測精度を向上させることができる。
【0038】
これに対し、アンテナ14bは第1傾斜計11とは別個に斜面Sの地表から離れた位置に配置されるので、アンテナ14bを地表から可能な限り遠い位置に配置でき、それにより、地磁気の影響を抑制でき、その結果、計測データをより良好に送信することができる。
【0039】
また、第1X軸傾斜角ANG1Xまたは第1Y軸傾斜角ANG1Yが所定角度ANGREF以上のときに、第1傾斜計11が転倒していると判定し、その場合には、中央監視装置6に送信される計測データとして第2傾斜角ANG2を用いるので、第1傾斜角ANG1に基づく不適切な安全率Fsの算出を回避し、警報情報の信頼性を維持することができる。
【0040】
さらに、第1傾斜計11の転倒を、第1傾斜計11で計測された第1傾斜角ANG1を用いて判定するので、第1傾斜計11の転倒を検出するための専用のセンサを別個に設ける必要がなく、その分、コストを削減することができる。
【0041】
図7は、斜面崩壊感知装置2の変形例を示している。この変形例では、ケース19の取付方法が異なる。すなわち、ケース19は、地中に埋設した水平なはり30に載せられ、ねじ(図示せず)などで固定されている。この構成により、第1傾斜計11を、所定の角度に位置決めしながら容易に設置することができる。
【0042】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、第1傾斜計11を収容するケース19は、実施形態では円筒状であるが、これに限らず、例えば直方体状でもよい。この場合には、支柱をアングル材や角柱の部材で構成し、ケースの側面を支柱に当接した状態でケースを取り付けたり、変形例のようにケースをはりに載せた状態で取り付けたりすることによって、第1傾斜計11を容易に位置決めしながら設置することができる。
【0043】
また、実施形態では、第1傾斜計11はMEMS型のものであるが、これに限らず、半導体回路を有するものである限り、他のタイプの傾斜計を用いてもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
2 斜面崩壊感知装置
11 第1傾斜計(傾斜計)
14 無線通信ユニット(送信機)
14b アンテナ
17 マイコン(判別手段および転倒判定手段)
19 ケース
S 斜面
ANG1 第1傾斜角(斜面の変位)
ANGREF 所定角度(所定量)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜面に設置され、当該斜面の崩壊を感知するための斜面崩壊感知装置であって、
半導体回路を有するとともに、前記斜面の地中に埋設され、当該斜面の変位を計測する傾斜計と、
前記斜面の地表から離れた位置に配置されたアンテナを有し、前記傾斜計によって計測された斜面の変位を表す計測データを前記アンテナを介して無線で送信する送信機と、
を備えることを特徴とする斜面崩壊感知装置。
【請求項2】
前記傾斜計は、底面が平らなケースに収容されていることを特徴とする、請求項1に記載の斜面崩壊感知装置。
【請求項3】
前記計測された斜面の変位が所定量以上であるか否かを判別する判別手段と、
当該判別手段によって前記斜面の変位が所定量以上であると判別されたときに、前記傾斜計が転倒していると判定する転倒判定手段と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の斜面崩壊感知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−154708(P2012−154708A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12569(P2011−12569)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000210908)中央開発株式会社 (25)
【Fターム(参考)】