説明

断熱用ワッシャーおよびこれを用いた断熱構造体

【課題】 複雑な構成を採用することなく断熱し防水することができて結露の発生を効果的に抑制し、容易かつ安価に製造でき、取り付け作業が極めて簡単であり、取り付けたときの美感はシンプルかつ統一感があり、断熱板材に対する押さえ強度を増して耐風圧効果を奏して、繰り返しの振動や熱膨張収縮によるひずみにも対応し得る断熱用ワッシャーおよびこれを用いた断熱構造体を提供する。
【解決手段】 本願発明に係る断熱用ワッシャー1は、金属材料からなり、略中央部に形成したファスナー7の挿通孔2を底部に有するとともに、ファスナーの頭部71を収容し、かつ充填用断熱材5を充填するための中空収容部3と、その上縁部に、略垂直で、かつ直径を中空収容部3の直径の2倍以上となるように形成するとともに、複数の熱伝導低減孔を形成したフランジ部4とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱板材にファスナーを締結する際に用いられ、断熱効果を高めるとともにヒートブリッジ現象の発生を抑えることにより結露を防止し、かつ断熱板材に対する押さえ強度を増して耐風圧効果も高め、繰り返しの振動や熱膨張収縮によるひずみにも対応し得る断熱用ワッシャーおよび断熱構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、寒冷地における建築物の壁や屋根には断熱材が張られており、建築物内を温暖に維持するための様々な工夫がなされているところ、建築物内と外部との気温差の影響によりヒートブリッジ現象という問題が存在している。このヒートブリッジ現象とは、断熱された建物の屋根や外壁等に部分的に熱を伝えやすい物や状態がある場合において、その部分から橋を渡るように熱が出入りする現象をいい、結露や着霜の原因となっている。例えば屋根の断熱に関しては、従来、図18に示すとおり、平ワッシャー12にファスナー7を挿通することにより断熱板材6をプレート14に固定し、断熱板材6のファスナー7挿通面にシート15を被覆していたため、その施工や環境等の条件によってはファスナー頭部71で断熱できず、ねじ部72に外熱が伝わってヒートブリッジ現象が発生し、シート15の内側において結露等を生じていた。また、隣接する断熱板材6を連接する際、接合面13をそのままの状態で、いわゆる平矧ぎ(芋矧ぎ)するように連接したため、接合面13の隙間で断熱できず、隙間に外熱が伝わってヒートブリッジ現象が発生し、結露等を生じていた。これを防止するためには、従来、断熱板材6を被覆したシート15を、さらに別の断熱板材で被覆する必要があり、かかる施工には特別な技術や技倆を要していた。
【0003】
ところで、従来より、防水、または断熱板材や壁材等の建材に対する当接強度を増すことを目的としたワッシャーが提案されている。例えば防水を目的としたワッシャーについて、実開平7−32219号公報には、構造部材の結合等に用いられるファスナーの締結時におけるねじ孔部分からの雨水の侵入を防止するファスナー用防水ワッシャーが提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、ファスナーがヒートブリッジを形成することによる断熱性の低下や結露の発生の防止を目的としたワッシャーについて、実開昭54−177665号公報には、底壁にボルトを挿通するボルト穴とフランジとを形成し、断熱材の充填可能な上方に開口した円筒形の空間を有する樹脂製のワッシャーが提案されている(特許文献2)。
【0005】
また、断熱板材や壁材等の建材に対する当接強度を増すことを目的としたワッシャーについて、特開昭63−261044号公報には、ファスナーの垂直方向に延びるフランジを有し、かつ滑り止めのピンを前記フランジ部分に配設した、全体がディスク状なるワッシャーを含む屋根被覆材用のファスナー組立体が提案されている。ファスナーを締結することによりファスナー頭部下面に生じる力がディスク状のワッシャーに伝わって接触パッドの外側下部コーナーに集中することにより、さらには滑り止めのピンを前記フランジ部分に配設することにより押さえ強度を確保するものである(特許文献3)。
【0006】
さらに、断熱材を接合する構造において、実開昭58−73807号公報には、断熱材を合板パネルに仮止めするための、フランジに孔を設けた座板が提案されている(特許文献4)。
【0007】
【特許文献1】実開平7−32219号公報
【特許文献2】実開昭54−177665号公報
【特許文献3】特開昭63−261044号公報
【特許文献4】実開昭58−73807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載された考案に係るワッシャーは、ファスナー頭部とワッシャーと構造部材間とに生じる隙間空間を、弾性体で形成した舌片を密着させることにより密閉し、ねじ孔を通じての雨水の侵入を防止するものである。そのため、ファスナー頭部が構造部材の外面に現れてしまい、ワッシャーによる断熱効果がなく結露等を防止することはできないという問題がある。また、ファスナー頭部が構造部材の外面に現れることにより外観を損ねてしまうという問題もある。
【0009】
一方、上記特許文献2に記載された考案を構成するワッシャーは、フランジ部が極めて小さいために押さえ強度が確保できない。つまり、前記フランジ部は円筒形空間の開口端縁に形成されていることから、その直径は円筒形空間の内周直径と比較してわずかに大きい程度であり、表面材に対する押さえ強度を確保できるものではなく、ボルト緊締に際する位置決めができる程度であって、本発明の目的のような耐風圧効果を奏することはできないという問題がある。
【0010】
また、上記特許文献3に記載された発明を構成するワッシャーにおいて、ファスナーの取り付け穴の上部はファスナーの頭部が隠れるように大径部となっているが、生来、ファスナーの取り付け穴の上部に充填用断熱材を充填するということを想定しておらず、取り付け穴の上部において断熱効果を発揮することができる量の充填用断熱材を充填するだけの容量も深さも確保されていないため、断熱することができないという問題がある。
【0011】
そして、当該発明を構成するワッシャーは複雑な構造であるため、仮にこのワッシャーの頭部における容量または深さを確保すべくハブを下方に延出し、かつカウンタ凹所と、中心穴と、スロットとをディスクのより下方に形成した場合、ハブの付け根部分への負担が増し、かえってディスクが曲げに対して脆弱になり、当該発明の目的に反することとなるという問題もある。
【0012】
さらに、上記特許文献4に記載された考案に係る座板においては、断熱板を合板パネルに仮止めするためのものであって、その仮止め後には釘を抜き去ってしまうため、そもそも釘を介するヒートブリッジ現象等を防止する目的はない。従って、前記座板には、釘頭を収容して断熱充填材を充填するための収容空間は設けられていない。また、前記座板はプラスチック材により一体成型されているため断熱対策をする必要がなく、よってフランジ部に形成された複数の孔にも熱伝導低減の意図や作用効果が生じることもない。
【0013】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、複雑な構成を採用することなく断熱し防水することができて結露の発生を効果的に抑制し、容易かつ安価に製造でき、取り付け作業が極めて簡単であり、取り付けたときの美感はシンプルかつ統一感があり、断熱板材に対する押さえ強度を増して耐風圧効果を奏して、繰り返しの振動や熱膨張収縮によるひずみにも対応し得る断熱用ワッシャーおよびこれを用いた断熱構造体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る断熱用ワッシャーの第一の特徴は、金属材料からなる断熱用ワッシャーであって、略中央部に形成したファスナーを挿通させる挿通孔と、この挿通孔を底部に有するとともに、当該挿通孔に挿通されたファスナーの頭部を収容し、かつ充填用断熱材を充填するための容量を有する凹状の中空収容部と、前記中空収容部の上縁部に前記中空収容部と略垂直となり、かつ直径を前記中空収容部の内周直径の2倍以上となるように形成するとともに、複数のフランジ熱伝導低減孔を形成したフランジ部とを有している点にある。
【0015】
また、本発明において、前記中空収容部の側面に複数の側面熱伝導低減孔を形成することが好ましい。
【0016】
一方、本発明に係る断熱用ワッシャーの第二の特徴は、金属材料からなる断熱用ワッシャーであって、略中央部に形成したファスナーを挿通させる挿通孔と、この挿通孔を底部に有するとともに、当該挿通孔に挿通されたファスナーの頭部を収容し、かつ充填用断熱材を充填するための容量を有する凹状の中空収容部と、前記中空収容部の上縁部に前記中空収容部と略垂直となるように形成するとともに、直径を前記中空収容部の内周直径および高さの2倍から5倍となるように形成したフランジ部とを有している点にある。
【0017】
また、本発明において、固定強度が5,000N/m以上であることが好ましい。
【0018】
さらに、本発明において、前記中空収容部には、前記ファスナーの頭部を収容するように前記挿通孔の周縁部を下方に延出してなるファスナー頭部収容部が設けられており、前記ファスナー頭部収容部と前記ファスナー頭部との接する面に断熱部を備えてなることが好ましい。
【0019】
また、本発明に係る断熱構造体の特徴は、複数の断熱板材を連接して屋根や壁を構成する断熱構造体であって、断熱板材の表面にワッシャー嵌入穴を形成し、このワッシャー嵌入穴に本願発明の断熱用ワッシャーの中空収容部を埋設し、この中空収容部の底部に形成した挿通孔にファスナーを挿通して前記断熱板材を固定するとともに、前記ファスナー頭部を覆うようにして前記中空収容部に充填用断熱材を充填して構成される点にある。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る断熱用ワッシャーおよびこれを用いた断熱構造体によれば、複雑な構成を採用することなく断熱し防水することができて結露の発生を効果的に抑制し、容易かつ安価に製造でき、取り付け作業が極めて簡単であり、取り付けたときの美感はシンプルかつ統一感があり、断熱板材に対する押さえ強度を増し耐風圧効果を奏して、繰り返しの振動や熱膨張収縮によるひずみにも対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る断熱用ワッシャー1の実施形態について図面を用いて説明する。図1および図2は、本実施形態における断熱用ワッシャー1を示す斜視図および平面図であり、図3は、図2の3A−3A’線断面図、また図4および図5は、使用状態での中空収容部3を拡大した断面図である。
【0022】
本実施形態における断熱用ワッシャー1は、挿通したファスナー7において断熱し防水し、特に結露の発生を防止すること、およびファスナー7を強固に閉めた状態を保ちつつファスナー頭部71と断熱用ワッシャー1と断熱板材6との間に生じる隙間空間をなくすことで水や冷気等の外部からの浸入を阻止し、断熱板材6に対する押さえ強度を増し耐風圧効果を奏するものであり、図1から図3に示すように、主として、略中央部に形成したファスナー7を挿通させる挿通孔2と、この挿通孔2を底部に有するとともに挿通孔2に挿通されたファスナー頭部71を収容し、かつ充填用断熱材5を充填可能な容量を有する凹状の中空収容部3と、中空収容部3の上縁部に形成したフランジ部4とを有している。
【0023】
なお、本発明にいう「断熱」とは、熱を遮断するほか、熱を伝わりにくくすることをいい、例えば、本実施形態においては、結露の発生を抑制可能な程度に熱を伝わりにくくすることをいう。また、「防水」とは広い意味で使われ、雨や融雪水等の水またはその他液体の浸入、浸潤、あるいは浸透等、水または液体により濡れる状態となるのを防ぐほか、結露や着霜を防ぐことも含む。
【0024】
また、本実施形態において、断熱用ワッシャー1は、図4、図5、図7および図8に示すように、挿通孔周縁部21が所定の傾斜角度を有したテーパー状であるファスナー頭部71に用いられるものとして説明するが、これらに限られるものではない。例えば、ファスナー頭部71が柱状の場合には、図11に示すように当該挿通孔周縁部21がファスナー頭部71が抜け出ないような凹状であればよい。また、本実施形態におけるファスナー7として螺合可能なステンレス製のビスが用いられている。
【0025】
以下、本実施形態における断熱用ワッシャー1の各構成部についてより詳細に説明する。挿通孔2は、図1から図3に示すように、中空収容部3の底部にファスナー7を挿通可能な大きさの略円形状に形成されている。本実施形態において、挿通孔2の内周面は頭部を除くファスナー7の本体の最大直径よりも若干大きめの内径に形成されており、挿通孔2を回してもファスナー7を伴わず、空回りするようになっている。なお、挿通孔2は、略円形状に形成した方が製造や取り付け作業の容易性や各種のファスナー7の形状に対応できる汎用性の点から好ましいが、同様な効果を奏する場合には、例えば多角状等の他の形状に形成してもよい。
【0026】
また、中空収容部3には、図1および図3に示すように、ファスナー頭部71を収容するよう、挿通孔2の周縁部21を下方に延出して略円形凸状に形成したファスナー頭部収容部211が設けられている。このためファスナー頭部71が中空収容部3の底部に安定的に座し、ファスナー7と断熱用ワッシャー1とが一体となって安定し、取り付け作業が極めて簡単となり、かつファスナー7の締め付けに応じて断熱用ワッシャー1の押さえ強度を増すという作用効果を奏する。なお、本実施形態において、当該周縁部21の傾斜角度は、ファスナー頭部71の形状を考慮して、ファスナー頭部71の軸線に直交する方向に対して約45°に設定されている。
【0027】
中空収容部3は、ファスナー頭部71を収容し、かつ、充填用断熱材5が充填される役割を果たすものであり、図1、図3、図4、図5、図7、図8、図10、および図11に示すように、底部にファスナー7の頭部71を座するように略凹状に形成されている。
【0028】
本実施形態において、中空収容部3の内周面31は、ファスナー7の最大寸法よりも大きめの内径に形成されており、ファスナー7の側面と係合しないように構成されている。また、中空収容部3の容量は、ファスナー頭部71を収容した状態で断熱し防水することができる量の充填用断熱材5を充填することができる容量である。具体的な寸法はファスナー頭部71の大きさ等の兼ね合いで適宜定めることが可能であるが、断熱板材との兼ね合いを考慮する必要もあるため、中空収容部3の高さは中空収容部3を埋設する断熱材の厚みの1/2程度が好ましい。本実施形態では、内周の直径を20.4mm、高さを20mmに形成することにより好適な中空収容部3を形成している。なお、同様な効果を奏する場合にはこれに限られない。また、中空収容部3に充填する充填用断熱材5は特に限られるものではなく、本実施形態においては好適な充填用断熱材5として硬質ウレタン系フォームを用いているが、同様な効果を奏するものであればポリエチレン発泡体等の他の固体材でもよく、またゲル状や液体等のものでもよい。
【0029】
また、中空収容部3の形状はプレス加工による製造や取り付け作業の容易性や汎用面の点から、縦断面形状がU字状で全体を略円筒状と形成するのが好ましいが、これに限られるものではなく、ファスナー頭部71を収容し、かつ、断熱し防水することができる量の充填用断熱材5を充填可能な容量となるのであれば、形状を問わず、例えば、縦断面形状が升状で全体が略多角筒状に形成してもよい。
【0030】
また、図1に示すように、中空収容部3には、フランジ部4からの伝熱を低減するために側面熱伝導低減孔32が複数個形成されている。本実施形態では、直径が7mmの略円形からなる3つの側面熱伝導低減孔32を側面縦方向略中央にほぼ等間隔で形成している。これにより、例えば、金属製であるデッキプレート9における熱膨張と熱収縮との繰り返しや断熱構造体8における振動の繰り返しによって生じるひずみに対応し得る必要な強度と柔軟性とを保ちつつ、フランジ部4や中空収容部3からファスナー7への熱伝導を低減することが可能である。なお、前記側面熱伝導低減孔32は、少なくともフランジ部4や中空収容部3からファスナー7への熱伝導が低減するものであれば、孔の形状や大きさ、孔の数は特に限られるものではない。また、本実施形態では、中空収容部3に側面熱伝導低減孔32を形成するものとして説明するが、特に熱伝導の低減が必要のない場合には、図12や図13に示すように、側面熱伝導低減孔32を形成しなくてもよい。
【0031】
さらに、中空収容部3の内側におけるファスナー頭部71と接する面には、断熱の効果をより向上させるため、図4に示すような断熱被膜73aからなる断熱部73を形成するか、図5に示すような断熱パッキン73bからなる断熱部73を形成するのが好ましい。
【0032】
断熱被膜73aについては、本実施形態ではウレタン樹脂を用いることにより好適な断熱被膜73aを形成しているが、同様な効果を奏するものであれば他の樹脂を用いて形成してもよく、液体やゲル状、固体等の物質を用いて形成してもよい。
【0033】
一方、断熱パッキン73bについては、本実施形態では材質として塩化ビニル樹脂を用い、形状を略円形状とし、ファスナー7の挿通孔を設けて、ファスナー頭部71よりやや大きく、かつ厚さを1.5mm程度に形成することにより、好適な断熱パッキン73bを形成している。なお、同様な効果を奏するものであれば材質や形状、大きさ、厚さは特に限られるものではなく、例えば材質については他の樹脂を用いて形成してもよく、ゲル状等の物質を用いて形成してもよい。また、断熱パッキン73bは、断熱ワッシャー1の製造時に予め中空収容部3の内側に備えてもよいし、断熱ワッシャー1とは別個に形成してファスナーを挿通する際に中空収容部3の内側に備えてもよい。
【0034】
フランジ部4は、図1および図3に示すように、中空収容部3の上縁部に中空収容部3と略垂直になるように形成されており、断熱板材6を押さえる役割を果たすものである。前記フランジ部4は、略円盤状であって、その直径が中空収容部3の内周直径の2倍以上に形成され、より好ましくは前記フランジ部4の直径が中空収容部3の内周直径および高さの2倍から5倍の長さに形成されている。これは、施工時したときにシンプルかつ統一感を奏し、かつファスナー7の締め付けに応じて一体的に断熱板材6を押さえるためである。これにより断熱板材6に対する押さえ強度を増して耐風圧効果を得ることができる。また製造の容易性や汎用面の点からも好適である。本実施形態では、内周の直径20.4mmに対し、フランジ部4の直径を80.0mmに形成することにより好適なフランジ部4を形成している。
【0035】
また、図1に示すように、本実施形態のフランジ部4には、当該フランジ部4による熱伝導を低減するとともに、弾性力を高めるためのフランジ熱伝導低減孔41が形成されている。本実施形態では、直径が16mmの略円形からなる5つのフランジ熱伝導低減孔41をフランジ部4の円形状縁部に沿ってほぼ等間隔に形成している。これにより、例えば、屋根等に適用された際、金属製であるデッキプレート9が熱膨張と収縮とを繰り返すことによりひずみが生じたり、断熱構造体8が振動を繰り返すことによって歪みが生じても、必要な強度と柔軟性をもって対応でき、しかもフランジ部4から中空収容部3への熱伝導を効果的に低減できる。なお、少なくともフランジ部4から中空収容部3への熱伝導を低減させられるものであれば、孔の形状や大きさ、孔の数は特に限られるものではない。また、本実施形態では、フランジ部4にフランジ熱伝導低減孔41を形成するものとして説明するが、特に熱伝導の低減が必要のない場合には、図12に示すように、フランジ熱伝導低減孔41を形成しなくてもよい。
【0036】
以上のような断熱用ワッシャー1の材質は、例えば、断熱板材6を固定するために用いられる金属製のデッキプレート9において、熱膨張と収縮との繰り返し、あるいは断熱用ワッシャー1を用いた断熱構造体8における振動の繰り返しによって生じるひずみに対して確実に固定できるよう、金属材料を用いている。、好ましい金属材料としては、例えば鋼板やチタン等を挙げることができるが、製造の容易性や汎用性の点から鋼板がより好ましい。鋼板を材質とする場合は強度や耐食性の向上の観点からクロムめっきを施すのがより好ましいが、同様な効果を奏する場合には、他のめっきやコーティング等を施してもよい。
【0037】
また、本実施形態において、断熱用ワッシャー1は図3に示すように、フランジ部4と中空収容部3との接合部を面取りしたものとして説明するが、鋼板を絞り加工することにより中空収容部3が形成されているからであり、これに限られるものではない。例えば、溶接等によってフランジ部4と中空収容部3との接合部が略直角になるように形成してもよい。
【0038】
つぎに、本発明に係る断熱用ワッシャーを用いた断熱構造体8の実施形態について図面を用いて説明する。図10は本実施形態の断熱構造体8を示す要部の縦断正面図であり、図4、図5、図8および図9は、図10における断熱構造体8の要部を拡大して示す縦断正面図である。
【0039】
本実施形態の断熱構造体8は、挿通したファスナー7や隣接する断熱板材6の接合面62において断熱し結露等の防水を行うものである。図10に示すように、本実施形態の断熱構造体8は、主として複数の断熱板材6を連接してなり、断熱板材6の表面にワッシャー嵌入穴61を形成し、このワッシャー嵌入穴61に本発明に係る断熱用ワッシャー1の中空収容部3を埋設し、この中空収容部3の底部に形成した挿通孔2にファスナー7を挿通して断熱板材6を固定するとともに、中空収容部3に充填用断熱材5を充填して構成される。
【0040】
なお、本実施形態において、断熱構造体8は、図10に示すように複数の断熱板材6を連接して屋根を構成するものとして説明するが、これに限られるものではなく、例えば、壁や床等を構成するものに適用してもよい。
【0041】
以下、各構成部についてより詳細に説明する。ワッシャー嵌入穴61は中空収容部3を埋設する役割を果たすものであり、図6に示すように中空収容部3の形状に応じて中空収容部3が嵌入できるように形成されている。ワッシャー嵌入穴61は、断熱用ワッシャー1の形状に合わせて形成されており、縦断面形状がU字状であって全体として略円筒状に形成されている。但し、中空収容部3が嵌入できれば、そのような形状に限られない。また、断熱用ワッシャー1の断熱の効果を向上させ、かつ断熱用ワッシャー1による断熱板材6に対する押さえ強度を増し耐風圧効果を向上させる点から、ワッシャー嵌入穴61は中空収容部3に密着させるように形成されるのが好ましい。これにより、ワッシャー嵌入穴61から水等が入り込んでしまうおそれがなく、断熱構造体8の美観もよいし、破損しにくい。
【0042】
断熱板材6の固定は、ワッシャー嵌入穴61に中空収容部3を埋設し、挿通孔2および断熱板材6にファスナー7を挿通することにより行う。本実施形態では、ファスナー7としてステンレス製のビスを用い、ステンレス製ビスのねじ部72を断熱板材6およびデッキプレート(JFE建材株式会社製、商品名:QLデッキQL99−75)9にねじ込んで螺合させる。但し、これに限られるものではなく、例えば、断熱板材6を固定することができれば、他のプレートや板等の建材を当該デッキプレート9の代わりに用いてもよく、また、ファスナー7として他の材質からなるビス、ボルトおよびナット、または釘等をステンレス製ビスの代わりに用いてもよい。また、本実施形態においては、断熱板材6とデッキプレート9との間に図示しない接着剤を用いることで固定強度を増しているが、これに限られるものではない。なお、ファスナー7としてボルトおよびナットを用いる場合、中空収容部3の内側からボルトを挿通孔2に挿通し、断熱板材6とデッキプレート等に貫通させてナットと螺合してもよく、また、デッキプレート等にボルトを挿通し断熱板材6に貫通させて挿通孔2に挿通し、中空収容部3の内側においてナットと螺合してもよい。
【0043】
また、本実施形態における充填用断熱材5は、硬質ウレタン系フォームを用いて中空収容部3のほぼ全容量を充填するように形成している。但し、ファスナー頭部71を覆うようにし断熱することができれば、これに限られるものではない。例えば、同様な効果を奏するのであれば、中空収容部3の一定容量を充填するように固体やゲル状の充填用断熱材を形成してもよく、液体の充填用断熱材を用いる場合は、中空収容部3に注入する形態で一定容量または全容量を充填するようにしてもよい。
【0044】
なお、隣接する断熱板材6の接合面は、断熱し、かつ防水するため、接合面62を略凹凸状に形成して連接するのが好ましい。本発明にいう略凹凸状とは、接合面62が2面以上となることをいい、例えば、接合面の上下を掻き取って接合する、いわゆる相欠矧ぎ等が含まれる。本実施形態では、接合面62を相欠矧ぎするように形成して断熱板材6を連接することを好適として説明するが、これに限られるものではなく、接合面62が2面以上であって密着することで断熱し防水することができるものであればよい。例えば、接合面62を核矧ぎ、雇核矧ぎ、蟻核矧ぎ、矢筈矧ぎ、またはほぞ矧ぎ等するように形成して断熱板材6を連接してもよい。
【0045】
つぎに、以上のような構成を備えた本実施形態における断熱用ワッシャー1および断熱構造体8の作用につき、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、本実施形態の断熱用ワッシャー1にステンレス製ビス7を挿通し、断熱板材6をデッキプレート9に固定する場合について説明するが、他のファスナー7を挿通して断熱板材6を他の建材に固定する場合も同様である。
【0046】
図6に示すように、予めワッシャー嵌入穴61を穿孔した断熱板材6をデッキプレート9の上に配置し、前記ワッシャー嵌入穴61に中空収容部3を嵌合させて埋設する。
【0047】
つぎに、図7に示すように、ファスナー7を挿通孔2に挿通して断熱板材6にねじ込んで固定する。このとき、本実施形態では、ファスナー7のねじ部がデッキプレート9の凸部の略中央に形成されたU字状の溝91に螺合する。ファスナー7を強固に締め付けることにより、フランジ部4にデッキプレート9の方向の圧縮力が作用し、かつデッキプレート9の断熱板材6の方向の張力が作用する。この圧縮力と張力により、フランジ部4が断熱板材6を押さえ込んで密着し、耐風圧作用を奏する。また、フランジ部4に適度な大きさ、個数のフランジ熱伝導低減孔41を形成しているので、耐風圧作用を保持しつつ、金属製であるデッキプレート9における熱膨張と収縮との繰り返し、あるいは断熱構造体8における振動の繰り返しによって生じるひずみに対応することができる。しかもフランジ部4の熱が中空収容部3に伝わりにくくし、より高い断熱作用を奏する。さらに、中空収容部3がワッシャー嵌入穴61に入り込んで密着し、ワッシャー嵌入穴61へ外部からの水等が入り込むのを阻止する。
【0048】
一方、ファスナー7の頭部71は、挿通孔2の周縁部21を延出させて略円形凸状に形成されたファスナー頭部収容部211に収容され、安定的に座する。また、その頭部71はウレタン樹脂からなる断熱被膜73aまたは塩化ビニル樹脂からなる断熱パッキン73bを介して中空収容部3の内面に接するため、ファスナー7の熱がより伝わりにくく、さらに高い断熱作用を奏する。また、塩化ビニル樹脂からなる断熱パッキン73bは、端材を適用できるために大量生産ができ、製造コストも低減することができる。
【0049】
つぎに、図8に示すように、ファスナー頭部71を覆うようにして中空収容部3に充填用断熱材5を充填する。このとき、本実施形態では、充填用断熱材5である硬質ウレタン系フォームを中空収容部3の内周面31より若干大きく形成して収縮させながら中空収容部3に充填するため、硬質ウレタン系フォームは中空収容部3に嵌合し、ステンレス製ビスの頭部71を被覆する。中空収容部3は十分な深さに形成されているため、その上縁部からステンレス製ビス7の頭部71までは距離が離れており、外気温の影響を受けにくいところ、充填用断熱材5を充填することにより、中空収容部3における断熱効果をより高めることができる。
【0050】
さらに、中空収容部3に適度な大きさ、個数の側面熱伝導低減孔32を形成しているので、フランジ部4や中空収容部3の熱がファスナー7に伝わりにくく、さらに高い断熱作用を奏するとともに、金属製であるデッキプレート9における熱膨張と収縮との繰り返し、あるいは断熱構造体8における振動の繰り返しによって生じるひずみに対応することができる。
【0051】
また、複数の断熱板材6の連接は、図9に示すように、断熱板材6の接合面62を略凹凸状に形成して連接する。このとき、本実施形態では、一方の接合面の上部と他方の接合面の下部を掻き取って噛み合わせて接合する、いわゆる相欠矧ぎするように形成して断熱板材6を連接するため、接合面62の密着度が高く、接合面62において外部からの冷気が伝わりにくく高い断熱作用を奏する。
【0052】
なお、本実施形態では、図4、図5、図9、および図10に示すように、断熱構造体8を屋根に施工する例を示しているため、必要に応じて、断熱構造体8の表面に第一アスファルト防水層10aおよび第二アスファルト防水層10bを張り付けることにより、外部からの水等の浸入を防いでいる。
【0053】
以上のような本実施形態によれば、
1.断熱できることでヒートブリッジ現象の発生を抑制でき、かつ外部からの水等の浸入および結露の発生を防止することができるため、ほぼ確実に防水することができる。
2.断熱板材をデッキプレートにしっかりと固着でき、風圧に耐えることができる。
3.強度の高い材料で製造することができ、断熱用ワッシャーを必要な肉厚に形成することも可能であるため、破壊するおそれが少ない。
4.中空収容部3、側面熱伝導低減孔32、フランジ部4、フランジ熱伝導低減孔41等はプレス加工によって形成が可能である等、シンプルな構造なので製造しやすく、かつ、断熱パッキン73b等は端材を適用できるために大量生産ができ、製造コストも低減することができる。
5.熟練を必要とせず誰でも簡単に取り付けられ、取付作業にかかる手間や時間を低減することができる。
6.外観がシンプルで統一的な美観を呈することができ、周辺の景観とのマッチングもよい等の効果を奏する。
【0054】
[実施例]
次に、本発明に係る断熱用ワッシャーを実際にデッキプレートに固定用部材として使用した場合の固定強度について測定試験を行った。試験片としては、本実施形態の断熱用ワッシャー1の他に、比較例1として発明者が作製した平ワッシャー(HTワッシャー)と、比較例2としてフランジ部4の直径が中空収容部3の内径の2倍未満のワッシャーを準備した。なお、本発明の範囲は、これらの実施例および比較例によって示される特徴に限定されない。
【0055】
[本実施例]
本実施例の断熱用ワッシャー1は、中空収容部3の直径が20.4mm、高さが20.0mm、フランジ部4の直径が80.0mmのものを使用した。また、中空収容部3には直径7mmの側面熱伝導低減孔32が3つ形成され、フランジ部4には直径16mmのフランジ熱伝導低減31が5つ形成されている。そして、当該断熱用ワッシャー1の固定強度を測定するため、図14に示すように、面積が1.08m(900mm×1,200mm)の硬質ウレタン系フォーム断熱材を断熱用ワッシャー1とデッキプレートとビスとを用いて4カ所にて固定し、その引張り試験を行った。硬質ウレタン系フォーム断熱材は厚さ50mmのもの、デッキプレートはQLデッキL99−75(JFE建材株式会社製)、ビスは発明者が作製したHTビスを用いた。引張りは試験温度20℃の下、建研式接着力試験器LPT−100(オートブラフ、山本扛重機株式会社製)にて100mm/minの速度で行い、測定は同じ建研式接着力試験器LPT−100を用いて行った。
【0056】
上記試験の結果、固定1カ所当たりの強度は1,400Nであった。なお、1m(上付き)当たりの固定強度は、(1カ所当たりの強度)×(4カ所)/(面積1.08m)の式から求められ、本実施例の1m当たりの固定強度は5,185N/mであった。
【0057】
[比較例1]
従来の平ワッシャーの固定強度を測定するため、図15に示すように、硬質ウレタン系フォーム断熱材を、当該平ワッシャーとデッキプレートとビスとを用いて4カ所にて固定し、その引張り試験を行った。使用した平ワッシャーは外径が60mm、孔径が7mmのHTワッシャー)を用いた。また、硬質ウレタン系フォーム断熱材は厚さ25mmのものを用い、デッキプレートとビスとは前記本実施例と同じものを用いた。また、引張り試験およびその測定も本実施例と同じ条件下で行った。比較例2の試験の結果、固定1カ所当たりの強度は853Nであり、1m当たりの固定強度は3,159N/mであった。
【0058】
[比較例2]
比較例2のワッシャーの寸法は、中空収容部3の直径が22mm、フランジ部の直径が40mmに形成した。このワッシャーの固定強度を測定するため、図16に示すように、硬質ウレタン系フォーム断熱材を、比較例2のワッシャーとデッキプレートとビスとを用いて4カ所にて固定し、その引張り試験を行った。当該比較例2のワッシャーは本実施形態における断熱用ワッシャー1と同じ材質を用いて作製した。ビスはHTビスを用い、硬質ウレタン系フォーム断熱材とデッキプレートとは試験例1と同じものを用いた。引張り、測定ともに試験例1および2と同じ条件下で行った。試験例3の結果、固定1カ所当たりの強度は410Nであり、1m当たりの固定強度は1,513N/mであった。
【0059】
以上の各試験結果によれば、本実施例の断熱用ワッシャー1を用いることで断熱板材に対する押さえ強度を増すことができ、その結果、耐風圧効果を奏することが可能であることが明らかとなった。特に、図17に示すように、本実施例の断熱用ワッシャー1の1m当たりの固定強度は、屋根に使用した場合に要求される大型台風にも耐えうる固定強度であり、従来の平ワッシャーに比べて約1.6倍の強度を示した。また、比較例2のワッシャーと比較すれば約3倍もの強度差がある。従って、本実施例の断熱用ワッシャー1は、近年、大型化する台風にも耐えられるような極めて高い固定強度を奏し、大きな対風圧力が要求される屋根での使用が可能な実用性の高いワッシャーであることがわかる。
【0060】
なお、本発明に係る断熱用ワッシャー1および断熱構造体8は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0061】
例えば、上述した本実施形態では、屋根において施工する場合を示しているが、これに限られるものではない。例えば、壁や床において断熱用ワッシャー1および断熱構造体8を施工する場合には、デッキプレート9の代わりに他のプレート、板等の建材に断熱板材6を固定してもよいし、壁の場合は屋根と同様に、断熱用ワッシャー1を取り付けた断熱構造体8の表面に防水層を張り付けてもよいし、床の場合は、必要に応じて張り付けなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施形態に係る断熱用ワッシャーの実施形態を示す斜視図である。
【図2】本実施形態の断熱用ワッシャーを示す平面図である。
【図3】図2の3A−3A’線における断面図である。
【図4】本実施形態に係る断熱用ワッシャーに断熱被膜を形成したものの使用状態における縦断面図である。
【図5】本実施形態に係る断熱用ワッシャーに断熱パッキンを備えたものの使用状態における縦断面図である。
【図6】本実施形態に係る断熱用ワッシャーの嵌入穴を穿孔した状態における縦断面図である。
【図7】本実施形態に係る断熱用ワッシャーで断熱板材を固定した状態における縦断面図である。
【図8】本実施形態に係る断熱用ワッシャーに充填用断熱材を充填した状態における縦断面図である。
【図9】本実施形態に係る断熱構造体の断熱板材接合面における縦断面図である。
【図10】本実施形態に係る断熱構造体の使用状態における縦断面図である。
【図11】本発明に係る断熱用ワッシャーの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図12】本発明に係る断熱用ワッシャーの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図13】本発明に係る断熱用ワッシャーの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図14】本実施例の強度試験の実施状態を示す縦断面図である。
【図15】比較例1の強度試験の実施状態を示す縦断面図である。
【図16】比較例2の強度試験の実施状態を示す縦断面図である。
【図17】強度試験結果を示す表である。
【図18】従来の屋根における断熱防水施工の状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 断熱用ワッシャー
2 挿通孔
3 中空収容部
4 フランジ部
5 充填用断熱材
6 断熱板材
7 ファスナー
8 断熱構造体
9 デッキプレート
10a 第一アスファルト防水層
10b 第二アスファルト防水層
11 断熱防水施工の状態(従来技術)
12 平ワッシャー(従来技術)
13 断熱板材の接合面(従来技術)
14 プレート(従来技術)
15 シート(従来技術)
21 挿通孔周縁部
31 中空収容部の内周面
32 側面熱伝導低減孔
41 フランジ熱伝導低減孔
61 ワッシャー嵌入穴
62 断熱板材の接合面
71 ファスナー頭部
72 ファスナーねじ部
73 断熱部
73a 断熱被膜
73b 断熱パッキン
91 デッキプレート凸部の溝
211 ファスナー頭部収容部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料からなる断熱用ワッシャーであって、
略中央部に形成したファスナーを挿通させる挿通孔と、
この挿通孔を底部に有するとともに、当該挿通孔に挿通されたファスナーの頭部を収容し、かつ充填用断熱材を充填するための容量を有する凹状の中空収容部と、
前記中空収容部の上縁部に前記中空収容部と略垂直となり、かつ直径を前記中空収容部の内周直径の2倍以上となるように形成するとともに、複数のフランジ熱伝導低減孔を形成したフランジ部と
を有することを特徴とする断熱用ワッシャー。
【請求項2】
請求項1において、前記中空収容部の側面に複数の側面熱伝導低減孔を形成したことを特徴とする断熱用ワッシャー。
【請求項3】
金属材料からなる断熱用ワッシャーであって、
略中央部に形成したファスナーを挿通させる挿通孔と、
この挿通孔を底部に有するとともに、当該挿通孔に挿通されたファスナーの頭部を収容し、かつ充填用断熱材を充填するための容量を有する凹状の中空収容部と、
前記中空収容部の上縁部に前記中空収容部と略垂直となるように形成するとともに、直径を前記中空収容部の内周直径および高さの2倍から5倍となるように形成したフランジ部と
を有することを特徴とする断熱用ワッシャー。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかにおいて、1m当たりの固定強度が5,000N/m以上である断熱用ワッシャー。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかにおいて、前記中空収容部には、前記ファスナーの頭部を収容するように前記挿通孔の周縁部を下方に延出してなるファスナー頭部収容部が設けられており、前記ファスナー頭部収容部と前記ファスナー頭部との接する面に断熱部を備えてなる断熱用ワッシャー。
【請求項6】
複数の断熱板材を連接して屋根や壁を構成する断熱構造体であって、
断熱板材の表面にワッシャー嵌入穴を形成し、このワッシャー嵌入穴に請求項1から5のいずれかに記載の断熱用ワッシャーの中空収容部を埋設し、この中空収容部の底部に形成した挿通孔にファスナーを挿通して前記断熱板材を固定するとともに、前記ファスナー頭部を覆うようにして前記中空収容部に充填用断熱材を充填して構成されることを特徴とする断熱構造体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−298281(P2008−298281A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324091(P2007−324091)
【出願日】平成19年12月15日(2007.12.15)
【出願人】(507110268)北開技研工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】