説明

断熱積層体

【課題】 高い断熱性と可視光透過率を兼ね備え、防汚性が付与され、耐傷性に優れた断熱積層体を提供する。
【解決手段】 断熱積層体は、光触媒層4と、二枚の透明基板1・1の間に繊維集合体2および無機粒子3からなる複合材を挟んだ透明断熱層10と、粘着材層5とを有し、光触媒層4が一方の面の最外層であり、粘着材層5がもう一方の面の最外層である。光触媒層4と透明断熱層10との間、および透明断熱層10と粘着材層5との間の、少なくとも一方の間にハードコート層を有してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物や自動車の窓ガラスに貼り合わせ、可視光に対する透明性を確保しつつ断熱効果をもたらす断熱積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
寒冷時に窓から熱損失を防ぐとともに、温暖時には窓から熱の侵入を防ぎ、かつ視界を確保するため、合わせガラス、熱線反射フィルム、透明断熱フィルムが、建物、車両等のガラス窓に使用されている。昨今の課題である省エネルギーを実現するため、窓ガラスに貼り合わせる透明断熱フィルムも製品化され市販されている。しかしながら、市販の透明断熱フィルムは、現状では広く住宅、ビル、自動車等に採用される状況には至っていない。
【0003】
もともと透明性と断熱性能は相反する特性であり、現状では必要な透明性、すなわち可視光透過率を確保しつつ十分な断熱性能を有する窓用の透明断熱フィルムは無いのが実情である。例えば自動車の窓に使用できる市販の透明断熱フィルムは、可視光透過率70%以上を確保すると、断熱性能は最高でも日射遮蔽係数が0.7以上ある。断熱性能を重視し、日射遮蔽係数を0.6近くに抑えた製品では可視光透過率が70%に達していない。
【0004】
尚、日射遮蔽係数とは、日差しを遮る効果をみる指標である。3mm厚の透明ガラスを日射遮蔽係数1とし、6mm厚透明ガラスにフィルムを貼付した場合の室内に入り込む日射量の割合がフィルムの日射遮蔽係数である。
【0005】
透明断熱フィルム以外にも断熱積層体があり、既に多くの提案がある。特許文献1には、その基本となる酸化チタン層/銀層/酸化チタン層の3層構成の透明断熱積層体が示されている。特許文献2には、銀層の前後にニッケル層を設けて銀層を薄くして透明層を高めた構成が開示されている。さらに、特許文献3には、2層の銀層を誘電体の酸化インジウム層で挟んだ酸化インジウム層/銀層/酸化インジウム層/銀層/酸化インジウム層の5層構成の透明断熱積層体が開示されている。特許文献4には、光補償層として従来の透明誘電体層に替えて、酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化物からなる透明導電層を用いる透明断熱積層体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4337990号明細書
【特許文献2】米国特許第3682528号明細書
【特許文献3】特許第2901676号公報
【特許文献4】特開2006−334787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の透明断熱フィルム、或いは断熱積層体は、必要な透明性が確保されつつ、所望の断熱効果により十分な省エネルギーを実現できるものが存在しない。そこで、本発明は、高い断熱性と可視光透過率を兼ね備え、防汚性が付与され、耐傷性に優れた断熱積層体の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に係る発明の断熱積層体は、光触媒層と、2枚の透明基板の間に繊維集合体および無機粒子からなる複合材を挟んだ透明断熱層と、粘着材層とを有し、該光触媒層が一方の面の最外層であり、該粘着材層がもう一方の面の最外層であることを特徴とする。
【0009】
同じく請求項2に関る発明の断熱積層体は、請求項1に記載の断熱積層体であって、前記光触媒層と前記透明断熱層との間、および前記透明断熱層と前記粘着材層との間の、少なくとも一方の間にハードコート層を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明の断熱積層体は、請求項1または2に記載の断熱積層体であって、前記透明基板がポリビニルブチラールであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明の断熱積層体は、請求項1または2に記載の断熱積層体であって、前記繊維集合体の繊維径が最大でも700nmであることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明の断熱積層体は、請求項1または2に記載の断熱積層体であって、前記繊維集合体が、エレクトロスピニング法により紡糸されてなる連続または非連続のシリカ繊維からなることを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明の断熱積層体は、請求項1または2に記載の断熱積層体であって、前記無機粒子が、シリカ中空粒子であることを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明の断熱積層体は、請求項1または2に記載の断熱積層体であって、前記光触媒層が、光触媒粒子と水溶性バインダーを含む塗工液を塗布して形成されたことを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明の断熱積層体は請求項7に記載の断熱積層体であって、前記光触媒粒子が、n型半導体性を有する金属酸化物の結晶微粒子の上に、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、銀、スズ、タングステン、白金、金からなる群から選ばれる金属、金属の酸化物、または/および金属の化合物を担持した光触媒粒子であることを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明の断熱積層体は請求項7に記載の断熱積層体であって、前記水溶性バインダーが、加水分解性ケイ素化合物を、水、塩基性化合物および極性溶媒の混合溶剤中で加水分解した化合物を含有することを特徴とする。
【0017】
請求項10に係る発明の断熱積層体は、請求項1または2に記載の断熱積層体であって、前記粘着材層が、シリコーン系粘着材よりなることを特徴とする。
【0018】
請求項11に係る発明の断熱積層体は、請求項2に記載の断熱積層体であって、前記ハードコート層が、シリコーン系ハードコート材よりなることを特徴とする。
【0019】
請求項12に係る発明の断熱積層体は、請求項11に記載の断熱積層体であって、前記シリコーン系ハードコート材が、光硬化性シリコーン系ハードコート材であることを特徴とする。
【0020】
請求項13に係る発明の断熱積層体は、請求項1から12のいずれかに記載の断熱積層体の全光透過率が60%以上であることを特徴とする。
【0021】
さらに、前記の目的を達成するためになされた請求項14に係る発明の透明断熱フィルムは、請求項1から13のいずれかに記載の断熱積層体を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の断熱積層体は、全光透過率が高いとともに断熱性に優れている。また最外層に光触媒層を具備していることから、防汚性にも優れている。もう一方の最外層には粘着材層が設けられているので、窓などに容易に貼り付けすることができる。さらにハードコート層を備えた構成では表面に傷が付きにくい断熱積層体、断熱フィルムを得ることができる。
【0023】
尚、全光線とは、可視光の波長域をカバーするものであり、本発明の断熱積層体の全光透過率が高いということは、可視光線の透明性が優れていることになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を適用する断熱積層体の一例の模式断面図である。
【図2】本発明を適用する断熱積層体の別な一例の模式断面図である。
【図3】本発明を適用する断熱積層体のさらに別な一例の模式断面図である。
【図4】本発明を適用する断熱積層体のさらに別な一例の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る断熱積層体、断熱フィルムについて、実施形態を挙げながら詳細に説明する。ただし、これら実施形態は、本発明に係る好適な適用例であって本発明を限定するものではない。なお、この明細書において「樹脂」とは、専ら高分子化合物を意味しているものである。
【0026】
本発明の第1の実施態様である図1には、透明断熱層10の片面に光触媒層4を積層し、もう一方の面に粘着材層5を積層した断熱積層体が示されている。透明断熱層10は2枚の透明基板1・1の間に繊維集合体2および無機粒子3からなる複合材を挟んだものである。
【0027】
本発明の第2の実施態様である図2には、透明断熱層10の両面にハードコート層6・6を積層し、さらにその最表面に光触媒層4を積層し、もう一方の最表面に粘着材層5を積層した積層した断熱積層体が示されている。
【0028】
本発明の第3の実施態様である図3には、透明断熱層1の片面にハードコート層6を積層し、さらにその最表面に光触媒層4を積層し、透明断熱層1のもう一方の面に粘着材層5を積層した断熱積層体が示されている。
【0029】
本発明の第4の実施態様である図4には、透明断熱層1の片面にハードコート層6を積層し、さらにその最表面に粘着材層5を積層し、透明断熱層1のもう一方の面に光触媒層4を積層した断熱積層体が示されている。
【0030】
(1:透明基板)
透明基板は、可視光(波長400〜700nm)に対して透明であり、積層される層の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐え得るもので、寸法安定性にも優れていることが好ましい。好ましい透明基板は、ポリオレフィン、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートを含む)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートを含む)、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、エチレンービニルアセテート共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、アイオノマー樹脂などを用いることができるが、透明性、耐久性などから特にポリビニルブチラール(PVB)を用いることが特に好ましい。光学用途のポリビニルブチラール(PVB)として公知のものを使用することができる。
【0031】
透明基板であるポリビニルブチラール(PVB)の基板は、製膜方法は限定されないが、溶液流延法が好ましい。溶液流延法によってポリビニルブチラール樹脂を含有する低粘度流体をPETフィルムなどの基板上に被着させ、例えば100℃オーブンにて加熱することによりフィルム状に成形できる。低粘度流体はポリビニルブチラール樹脂と有機溶剤からなる。有機溶剤は、例えば塩素化溶媒(塩化メチレンおよび1,2−ジクロロエタン)、アルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、イソアミルアルコール)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノン、ジアセトンアルコール)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチルおよび酢酸n−ブチル)、芳香族化合物(トルエンおよびキシレン)およびエーテル(1,3−ジオキソランおよびテトラヒドロフラン)が挙げられる。ポリビニルブチラール溶液は上述した溶媒のブレンドで調製してよい。ポリビニルブチラールのための好ましい一次溶媒には、メチルエチルケトン、塩化メチレン、酢酸エチルおよびトルエンが挙げられる。
【0032】
ポリビニルブチラールの基板の厚みは、目的に応じて任意で選べるが、断熱積層体、あるいは透明断熱フィルム用途としては150μm以上であることが好ましい。より好ましくは、200μm以上である。さらには断熱積層体の剛性が要求される使用形態においては250μm以上とすることが好ましい。なお、断熱積層体、あるいは透明断熱フィルムは、他の層(ハードコート層、光触媒層、粘着材層)のいずれの層よりも厚い。
【0033】
(2:繊維集合体)
透明断熱層における繊維集合体の繊維径は700nm以下が好ましい。より好ましくは500nm以下、さらに好ましくは400nm以下である。700nmよりも直径が大きいと得られた透明断熱層は不透明になってしまい、全光透過率が低下してしまうきらいがある。繊維集合体の繊維長は、過度に小さいと補強効果が乏しいことから、好ましくは5μm以上である。上限は特に無い。
【0034】
繊維集合体は、各種の不織布、或いは織布の形態が採用できる。材質は、シリカ繊維、ガラス繊維、あるいは透明性の確保できるポリアクリレート繊維、ポリスチレン繊維などが使用できる。なかでもシリカ繊維が好ましい。
【0035】
シリカ繊維の紡糸方法としては、特に制限はなく、エレクトロスピニング法、スチームジェット法、APEX(登録商標)技術(Polymer Group. Inc.)法等を採用することができるが、これらのうちエレクトロスピニング法が均一な繊維を調製できることから好ましい。
【0036】
エレクトロスピニング法は、電気の力を利用した繊維化方法として公知である。ターゲット基板と、ノズルとの間に、直流電源で原料側にプラス、ターゲット側にマイナスの直流電圧を印加することにより、ターゲットに向けて原料材を放出し、ターゲット上にナノファイバーの堆積層を形成する。原料材を黒鉛などの導電性材料からなるノズルに一定速度で送り、バーナー火炎の中で先端を溶融、軟化させる。このノズルとステンレス材などの金属ターゲット基板との間に1kV〜50kVの高圧直流電圧を印加する。溶融したノズル先端から直径1μm以下のナノファイバーが静電力により金属ターゲット基板上に堆積する。ナノファイバーの外径はガラス素材の送り速度、火炎温度、印加電圧などを調整することで制御することができる。金属ターゲット基板は円筒状にして回転しつつ、回転軸方向に往復移動させる方法や、XYステージ上で二次元に移動させることによって、ナノファイバーを平面状に堆積させることができ、繊維集合体の堆積層(シリカ繊維層)となる。繊維集合体は堆積中あるいはその後にサイジング材を塗布して強度を維持するようにすることも可能である。また、バインダーを加えて強化することも可能である。この過程により、繊維径が数十〜数百ナノメートルオーダーの均一なナノファイバーからなる堆積層(シリカ繊維層)がターゲット基板上に形成される。
【0037】
エレクトロスピニングでガラス繊維を得るためには、直径が0.1〜2mmのガラスロッドまたはガラス繊維からなるガラス素材の先端を電極となるノズルから送り出して加熱手段によって溶融、軟化させて、このノズルとターゲット基板との間に高電圧を印加して、静電力によりガラスフィラメントを基板上に堆積させる。このようにしてシリカ繊維の不織布が形成される。
【0038】
このガラス繊維の素材としては例えば、電気用の低アルカリガラスであるEガラス、低誘電性率ガラスであるDガラスなどのプリント配線基板に用いられるようなガラスや、石英ガラスが挙げられる。光学的特性等の観点から、石英ガラスを用いることが好ましい。
【0039】
(3:無機粒子)
繊維集合体、特にシリカ繊維、ガラス繊維と混在する無機粒子は、シリカ中空粒子が好適である。シリカ中空粒子の製造方法は限定されないが、以下の方法が好ましい。
【0040】
75容量%以上の水中に、コロイド状炭酸カルシウム、シリコンアルコキシド、及び塩基触媒を投入して混合し、コロイド状炭酸カルシウム表面に、シリコンアルコキシドの加水分解反応によって生成するシリカを析出させる。その後、酸処理することによって、シリカ層内部の炭酸カルシウムを溶解させる。この結果、約10nmから約300nmの範囲の外径を有するシリカ中空粒子が製造される。
【0041】
無機粒子の外径は、約10nmから約300nmまでの範囲がこのましい。余り外径の小さいものは製造するのが困難であり、また製造できても凝集し易い。
【0042】
無機粒子がシリカ中空粒子である場合は、実験の結果によれば30nm〜130nm好ましく、より好ましくは50nm〜100nmの外径を有するシリカ中空粒子が最も製造し易く、凝集も起こり難く、シリカ中空粒子を用いたメリットが充分に発揮される。
【0043】
シリカ繊維に対するシリカ中空粒子の添加量は、100質量部のシリカ繊維に対して、1質量部以上100質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは5質量部以上80質量部以下とする。シリカ中空粒子の添加量をこの範囲とすることによって、透明断熱層の断熱性と光透過率との両立が可能となる。添加量を1質量部以下では、透明断熱層の断熱性が十分に得られず、100質量部以下とすると、透明断熱層の光透過率を十分に得ることができないとともに層が非常に脆くなってしまう。
【0044】
(4:光触媒層)
本発明の断熱積層体、断熱フィルムにおける光触媒層としては、光触媒粒子と水溶性バインダーからなる光触媒塗工液を塗布して乾燥硬化した光触媒膜が好適である。断熱積層体、断熱フィルムに防汚効果をもたらす。
【0045】
光触媒粒子としては、現在上市されている酸化チタン系、酸化タングステン系、酸化亜鉛系、酸化ニオブ系等、n型半導体である金属酸化物の結晶微粒子が使用できる。例えば、アナターゼ型の二酸化チタン(TiO2)、ルチル型の二酸化チタン(TiO2)、三酸化タングステン(WO3)、酸化亜鉛(ZnO)、Gaドープ酸化亜鉛(GZO)、酸化ニオブ(Nb25)等が使用し得る。中でも、可視光活性の高いものとしてこれら金属酸化物の結晶内に窒素、硫黄、リン、炭素等をドーピングしたもの、又は表面に銅、鉄、ニッケル、金、銀、白金、炭素等を担持したものが好適に使用し得る。更に詳しくは、白金を担持したルチル型酸化チタン、鉄を担持したルチル型酸化チタン、銅を担持したルチル型酸化チタン、水酸化銅を担持したルチル型酸化チタン、金を担持したアナターゼ型酸化チタン、白金を担持した三酸化タングステン等である。更に、該微粒子の一次粒子径が微細なもの、即ち一次粒径が1〜100nmの範囲、好ましくは1〜50nmの範囲にあるものが好適に使用される。一次粒径が100nmより大きいと塗膜の透明度が低下し外観を損ねることがある。
【0046】
このような、可視光活性が高い光触媒微粒子としては、MPT−623(可視光応答光触媒、粉体状、白金を担持したルチル型二酸化チタン;石原産業(株)製)、MPT−625(可視光応答光触媒、粉体状、鉄を担持したルチル型二酸化チタン;石原産業(株)製)等が挙げられる。
【0047】
光触媒塗工液の水溶性バインダーは、水、塩基性化合物、および極性溶媒中で、下記式(1)で示される珪素アルコキシド、またはその縮合物を加水分解する手法で好適に得られる。
Si(OR)(OH)4−X・・・(1)
【0048】
式(1)中Rは、独立に水素原子または官能基である。Rは互いに同一であっても異なっていても良い。官能基Rとして具体的には、例えば、水素原子(H)、メチル基(CH)、エチル基(CHCH)、プロピル基(CHCHCH)、イソプロピル基(CH(CH)CH)、ブチル基(CHCHCHCH)、アルコキシシリル基(Si(OCHCH))などが挙げられる。
【0049】
これらのうち、テトラメトキシシラン(上記Rが全てメチル)、テトラエトキシシラン(上記Rが全てエチル)が特に好ましい。
【0050】
光触媒塗工液の水溶性バインダーに含まれ、珪素アルコキシドの加水分解に使用される塩基性化合物としては、下記式(2)で示される
−NH4−X・・・(2)
【0051】
式(2)中Rは独立に水素原子または官能基である。Rは互いに同一であっても異なっていても良い。官能基Rとして具体的には、例えば、水素原子(H)、メチル基(CH)、エチル基(CHCH)、プロピル基(CHCHCH)、イソプロピル基(CH(CH)CH)、ブチル基(CHCHCHCH)、メチロール基(CHOH)、エチロール基(CHCHOH)が挙げられる。なお、水素原子以外の官能基で置換され、下記式(3)で示す4級アミンの形態を取る。
・・・(3)
【0052】
式(3)のXで表される対アニオンとの塩類になっていても良い。具体的に、Xとしてヒドロキシ基(OH)、ハロゲン(F、Cl、Br、I)等が挙げられる。これらのうち、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが好適に使用できる。
【0053】
水溶性バインダーの一部で、ケイ素アルコキシド、塩基性化合物と共に反応に供される極性溶媒として、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、グリコール類(例えば、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、またはこれらの酢酸エステル類)、ケトン類(例えば、アセトン、ダイアセトンアルコール、アセチルアセトン、メチルエチルケトン)が挙げられる。上記極性溶媒は、1種単独又は2種以上を併用してもよい。これらのうち、アセトンが好適に使用できる。
【0054】
ケイ素アルコキシド、塩基性化合物、極性溶媒、水を混合・攪拌し、得られた生成物を水にまたはアルコールに溶解し、酸添加またはイオン交換によってpH=5〜8に調整したものを、バインダー液として使用し、ケイ素アルコキシドの加水分解がなされる。
【0055】
光触媒塗工液は、光触媒粒子が分散され、かつ上記条件にて調製した加水分解シリケートが溶解または分散している。あらかじめ溶媒に光触媒粒子を分散させた光触媒分散液を調製し、混合撹拌することで調製される。このような光触媒塗工液は、具体的には信越化学工業社製 TA−801−G、TA−802−G、TA−803−Gなどがある。
【0056】
光触媒塗工液中の光触媒固形分濃度は、0.01〜10質量%であり、好ましくは0.1〜5質量%である。光触媒固形分濃度が0.01質量%より少ないと光触媒による防汚活性が低下することがあり、10質量%より多いと透明性が低下し外観を損ねることがある。また、塗工液中の光触媒と加水分解シリケートの固形分濃度は、光触媒固形分質量:シリケート固形分質量比として、0.05:99.5〜99.5:0.05であり、好ましくは5:95〜95:5である。光触媒質量比が5より少ないと十分な親水性・酸化分解による防汚活性が得られず、また95より多いと膜の強度が低く剥離、割れが生じることがある。
【0057】
光触媒塗工液が塗布される基材は、薄膜を形成することができる限り、特に制限されない。光触媒塗工液を基材に塗布するには、従来公知のいずれの方法も用いることができる。具体的には、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、印毛塗り法、含浸法、ロール法、ワイヤーバー法、ダイコーティング法、グラビア印刷法、インクジェット法等を利用して塗膜を基材上に形成させることができる。
【0058】
形成される塗膜の膜厚は、1〜500nm、特には、50〜300nmの範囲にあることが好ましい。膜厚が薄すぎると強度が低い場合があり、また厚すぎると割れが生じる場合がある。
【0059】
光触媒塗工液を塗布して塗膜を乾燥硬化させるためには、50〜200℃の温度範囲で1〜120分間処理することが好ましく、特には、60〜110℃の温度範囲で5〜60分間処理することが好ましい。
【0060】
(5:粘着材層)
断熱積層体、断熱フィルムにおける粘着材層としては、シリコーン粘着材層が好適である。
シリコーン粘着材としては、一般的に使用されている加熱硬化型の鎖状のオルガノポリシロキサンと、固体状のシリコーンレジンからなる粘着材を用いることができる。加熱硬化型のシリコーン粘着材としては、有機過酸化物硬化型と白金付加硬化型があるが、基材として延伸性のポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルムを用いる場合、熱により変形する場合があるため、比較的低温で硬化することのできる白金付加硬化型のシリコーン粘着材を用いることが特に好ましい。
【0061】
有機過酸化物硬化型のシリコーン粘着材は、鎖状のオルガノポリシロキサンと(R3SiO1/2)単位と(SiO2)単位(Rは置換もしくは非置換の一価炭化水素基)からなるオルガノポリシロキサン共重合体レジン((SiO2)単位に対する(R3SiO1/2)単位のモル比が0.5〜1.5)とのオルガノポリシロキサン混合物、及び架橋硬化剤としてのベンゾイルパーオキサイド、ビス(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等の有機過酸化物を含有するものである。白金付加硬化型のシリコーン粘着材は、鎖状のビニル基含有オルガノポリシロキサン、前記オルガノポリシロキサン共重合体レジン、及び架橋硬化剤としてケイ素結合水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、触媒として塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、白金のビニルシロキサンとの錯体等の白金族金属系触媒を含有するものである。
【0062】
このようなシリコーン系粘着材としては、例えば信越化学工業製 X−40−3270/CAT−PL−50T=100/0.5、X−40−3229/CAT−PL−50T=100/0.5、X−40−3323/CAT−PL−50T=100/0.25などがある。
【0063】
シリコーン粘着材層の厚さは、5〜100μmであることが好ましく、より好ましくは10〜50μmである。硬化条件としては、通常80〜150℃である。
【0064】
(6:ハードコート層)
ハードコート層としては、シリコーン系ハードコート材が好ましい。シリコーン系ハードコートは、特に制限されないが、光硬化性ハードコート材が作業性の点から好適である。光反応性基含有シロキサン化合物、(メタ)アクリル基含有化合物、ラジカル系光重合開始剤から形成される。具体的には、信越化学工業社 KP-1001、X−12−2437などがある。この塗布液からなる塗布膜をポリビニルブチラール樹脂よりなる断熱積層体、断熱フィルム上にコーティングし、UVランプ照射により硬化させ、ハードコート層を得る。
【0065】
ハードコート層の形成方法は特に制限されるものではなく、公知の塗布機を目的に応じて適宜選択して塗布すればよい。例えば、リバースロールコータ、ワイヤーバー、カーテンコータによる塗布が挙げられる。形成された被膜の膜厚は、0.1〜50μm、特に0.5〜30μmの範囲にあることが好ましい。膜厚が薄すぎると耐摩耗性が低下する場合があり、また厚すぎると耐クラック性が低下する場合がある。
【0066】
ハードコート層を硬化させるための光源としては、通常、200〜450nmの範囲の波長の光を含む光源、例えば高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、カーボンアーク灯等を使用することができる。照射量は特に制限されないが、10〜5,000mJ/cm2、特に20〜2,000mJ/cm2であることが好ましい。硬化時間は、通常0.5秒〜2分、好ましくは1秒〜1分である。
【0067】
本発明の断熱積層体、断熱フィルムは、耐傷性を求めない場合には、ハードコート層を備えずともよい。本発明の第2の実施態様である図2の断熱積層体、断熱フィルムは、ハードコート層が備えられていない。
【0068】
断熱積層体、断熱フィルムは、さらに添加剤を含んでもよい。添加剤は、断熱積層体、断熱フィルムを成すいずれの層に含まれていてもよいし、さらに別の層を設けて、設けた層に添加剤を含ませてもよい。また、複数の層に含ませてもよい。中でも、透明基板であるポリビニルブチラール樹脂に含ませることが好ましい。他の層よりも厚いポリビニルブチラール樹脂に含有させることにより、添加剤濃度が低くても十分な含有効果が得られるからである。例えば添加剤として後述のように紫外線吸収剤を用いた場合には、ポリビニルブチラール樹脂に含ませることにより、紫外線吸収剤の濃度が低くても十分な紫外線吸収効果が得られるからである。
【0069】
第1の添加剤としては、紫外線吸収剤、例えば、共同薬品製 Visorb 110、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製 Tinuvin 328、BASF製 Uvinul A plusなどがある。第2の添加剤としては、光や熱によって生じる酸化を防止するための酸化防止剤やHALS(ヒンダードアミン光安定剤,Hinderd Amine Light Stabilizer)がある。第1の添加剤と第2の添加剤とは互いに異なる層に含ませてもよいし、同一の層中に含ませてもよい。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限を受けるものではない。本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0071】
なお、実施例で採用した測定・評価方法は次の通りである。また、実施例中で「部」とあるのは断りのない限り「質量部」を意味し、「%」とあるのは断りのない限り「質量%」を意味する。
【0072】
1.熱伝導率の測定
JIS R 2618に記載の非定常熱線法(プローブ法)に準拠し、熱伝導測定計(QTM−500:京都電子工業株式会社)にて熱伝導率を測定した。測定に当たっては、断熱積層体のサイズが100×50×1mmの試料に一定電力を与え続けると共に、ヒーター線の温度上昇を記録し、その温度勾配から試料の熱伝導率を測定した。
【0073】
2.透過光の拡散度の測定
自動変角光度計(GP−200:株式会社村上色彩研究所製)を用いて測定を行う。
透過測定モード、光線入射角:60°、受光角度:−90°〜90°、SENSITIVITY:150、HIGH VOLTON:500、フィルター:ND10使用、光束絞り:10.5mm(VS−1 3.0)、受光絞り:9.1mm(VS−3 4.0)及び変角間隔0.1度の条件で測定し得られる透過ピークの立ち上がりの開始角度より立下りの終了角度までの角度幅(度)及びピーク高さを求める。角度幅が拡散度であり、ピーク高さが透過度である。
【0074】
3.全光線透過率
日本電色工業株式会社製ヘーズ測定器「NDH−2000」を用いて、JIS K 7105−1981に準拠して測定した。この全光線透過率は、可視光透過率に略一致する。
【0075】
4.フィルム外観
フィルムの表面を目視で観察して、うねり状模様の有無などの外観不良の有無で判定した。該外観不良のないものを良、あるものを不良とした。
【0076】
5.平均繊維径、平均粒子径
走査型電子顕微鏡(日立製作所製、商品名:S−4700II)により、得られたシリカ繊維、シリカ中空粒子の表面を撮影し、写真図を得た。写真図から無作為に20箇所を選択し、それらの径を測定した。すべての測定結果(n=20)の平均値を求めて、シリカ繊維、シリカ中空粒子の平均繊維径(直径)、平均粒子径とした。
【0077】
6.防汚性の確認
防汚性の確認は、10μmol/Lに調整したメチレンブルー水溶液を、5cm×5cmに切り出した拡散フィルム上に1mL塗り広げ、試料表面での光量が10,000Luxとなるように白色LEDの光を3時間照射したのち、青色が消色したものを○、変化の見られなかったものを×とした。
【0078】
(実施例1)
透明基板の作製
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学社製、エスレックSV-05)100重量部に塩化メチレン500重量部を加え溶解した。得られた樹脂溶液を隙間寸法1mmのコーター(横山製作所社製、パイプドクターコート)を用いて、厚さ100μmのポリエステルフィルム上に溶液流延法にて成膜し、100℃×20分間乾燥させ、厚さ200μmの透明断熱層用の透明基板を得た。
【0079】
シリカ繊維集合体の作製
直径0.3mmの石英ガラス繊維を送りローラーにより黒鉛製のノズルに供給し、この送り方向と直交する方向から酸水素バーナー火炎で先端を溶融、軟化させる。これに対向する150mmの位置にXY2方向に移動可能な装置を置き、ステンレス基板を保持させる。このノズルとステンレス基板との間に20kVの高圧直流電圧を印加すると、溶融したガラス先端から直径約300nmのシリカ繊維が静電力によりステンレス基板上に堆積した。
【0080】
シリカ中空粒子の作製
炭酸カルシウムの外径が8nm〜85nmとなるように結晶成長させ、熟成して脱水した。乾燥状態の固体微粉末状の炭酸カルシウム微粒子とした後、エタノールに分散させる。そして、シリコンアルコキサイド及びアンモニアを添加することによって、ゾル−ゲル法により炭酸カルシウム(CaCO3 )微粒子にシリカ(SiO2 )をコーティングする。シリコンアルコキサイドとしては、テトラエトキシシラン(TEOS)(信越化学工業社製、KBE−04)を使用し、アンモニアとしては、28重量%のアンモニア水を使用した。
【0081】
このようにして作製したシリカコーティング粒子を洗浄した後に、水に分散させて塩酸を添加して内部の炭酸カルシウムを溶解させて流出させることによって、流出孔を有する立方体状形態のシリカ中空粒子が形成される。最後に、乾燥した後に、加熱工程において400℃で加熱し溶解した炭酸カルシウムが流出した孔を塞ぐことによって、シリカ中空粒子が製造される。このシリカ中空粒子の粒子径は80nmであった。
【0082】
透明断熱層の作成
上記シリカ繊維集合体100重量部に上記シリカ中空粒子10重量部を混合した。これを厚さ200μmの前記ポリビニルブチラール基板2枚で挟み、100℃で10分間加熱して透明断熱層を得た。
【0083】
断熱積層体の作成
この透明断熱層の片面にワイヤーバー法により溶媒に光触媒粒子が分散され、かつ水溶性シリケートバインダーを含有している光触媒塗工液(信越化学工業社製、TA−801−G)を塗布し、100℃のオーブン中で30分間熱処理し、厚さ200nmの光触媒層を得た。透明断熱層のもう一方の面には、ワイヤーバー法によりシリコーン系粘着材(信越化学工業社製、X−40−3270/CAT−PL−50T=100/0.5)を塗布し、130℃のオーブン中で2分間熱処理し、厚さ30μmの粘着材層を着けた。
このようにして得られた実施例1の断熱積層体の測定値、特性を表1に示す。
【0084】
(実施例2)
実施例1のシリカ繊維集合体の作製における石英ガラス繊維に替えてホウケイ酸ガラスから得られた直径約300nmのガラス繊維を使う以外は、実施例1と同様に操作を行い、断熱積層体を得た。
この実施例2の断熱積層体の測定値、特性を表1に示す。
【0085】
(実施例3)
実施例1で作製した透明断熱層の両面に、ワイヤーバー法により光硬化型シリコーン系ハードコート材(信越化学工業社、KP-1001)を塗布し、高圧水銀灯にて375nmの波長の光を1200mJ/cm2、1分照射し、厚さ3μmのハードコート層を得た。片方のハードコート層の面上にワイヤーバー法で溶媒に光触媒粒子が分散され、かつ水溶性シリケートバインダーを含有している光触媒塗工液(信越化学工業社製、TA−801−G)を塗布した。それを100℃のオーブン中で30分間熱処理し、厚さ200nmの光触媒層を得た。もう一方のハードコート層の面上には、ワイヤーバー法によりシリコーン系粘着材(信越化学工業社製、X−40−3270/CAT−PL−50T=100/0.5)を塗布し、130℃のオーブン中で2分間熱処理し、厚さ30μmの粘着材層を着けた。
このようにして得られた実施例3の断熱積層体の測定値、特性を表1に示す。
【0086】
(比較例1)
シリカ中空粒子を、ヒュームドシリカ(日本アエロジル社製、アエロジルRY50:一次粒子径40nm)に変更する以外は、実施例1と同様の方法で透明断熱層を得た。この透明断熱層に実施例1と同様にして光触媒層および粘着材層を形成して比較例1の断熱積層体を得た。この比較例1の断熱積層体の特性を表1に示す。
【0087】
(比較例2)
シリカ繊維集合体につき、繊維の直径を800nmに変更する以外は、実施例1と同様にして透明断熱層を得た。この透明断熱層から実施例1と同様にして光触媒層および粘着材層を形成して比較例2の断熱積層体を得た。この比較例2の断熱積層体の特性を表1に示す。
【0088】
(比較例3)
透明基板に相当する厚み200μmのポリビニルブチラールフィルムの片面にポリスチレン系ポリマービーズよりなる微粒子層を塗工法で積層することにより比較例3の断熱積層体を得た。この比較例3の断熱積層体の特性を表1に示す。
【0089】
(比較例4)
透明基板に相当する厚み200μmのポリビニルブチラールフィルムの片面にアクリル系樹脂よりなる微粒子層を塗工法で積層することにより比較例4の断熱積層体を得た。この比較例4の断熱積層体の特性を表1に示す。
【0090】
【表1】

【符号の説明】
【0091】
1:透明基板
2:繊維集合体
3:無機粒子
4:光触媒層
5:粘着材層
6:ハードコート層
10:透明断熱層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒層と、2枚の透明基板の間に繊維集合体および無機粒子からなる複合材を挟んだ透明断熱層と、粘着材層とを有し、該光触媒層が一方の面の最外層であり、該粘着材層がもう一方の面の最外層であることを特徴とする断熱積層体。
【請求項2】
前記光触媒層と前記透明断熱層との間、および前記透明断熱層と前記粘着材層との間の、少なくとも一方の間にハードコート層を有することを特徴とする請求項1に記載の断熱積層体。
【請求項3】
前記透明基板がポリビニルブチラールであることを特徴とする請求項1または2に記載の断熱積層体。
【請求項4】
前記繊維集合体の繊維径が最大でも700nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の断熱積層体。
【請求項5】
前記繊維集合体が、エレクトロスピニング法により紡糸されてなる連続または非連続のシリカ繊維からなることを特徴とする請求項1または2に記載の断熱積層体。
【請求項6】
前記無機粒子が、シリカ中空粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の断熱積層体。
【請求項7】
前記光触媒層が、光触媒粒子と水溶性バインダーを含む塗工液を塗布して形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の断熱積層体。
【請求項8】
前記光触媒粒子が、n型半導体性を有する金属酸化物の結晶微粒子の上に、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、銀、スズ、タングステン、白金、金からなる群から選ばれる金属、金属の酸化物、または/および金属の化合物を担持した光触媒粒子であることを特徴とする請求項7に記載の断熱積層体。
【請求項9】
前記水溶性バインダーが、加水分解性ケイ素化合物を、水、塩基性化合物および極性溶媒の混合溶剤中で加水分解した化合物を含有することを特徴とする請求項7に記載の断熱積層体。
【請求項10】
前記粘着材層が、シリコーン系粘着材よりなることを特徴とする請求項1または2に記載の断熱積層体。
【請求項11】
前記ハードコート層が、シリコーン系ハードコート材よりなることを特徴とする請求項2に記載の断熱積層体。
【請求項12】
前記シリコーン系ハードコート材が、光硬化性シリコーン系ハードコート材であることを特徴とする請求項11に記載の断熱積層体。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の断熱積層体の全光透過率が60%以上であることを特徴とする断熱積層体。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の断熱積層体を有することを特徴とする透明断熱フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−14108(P2013−14108A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149885(P2011−149885)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】