説明

新属シャーペア(Sharpea)属に属する微生物および微生物製剤並びに経口組成物

【課題】消化管において良好な付着性と定着性を有し、下痢や疝痛(せんつう)の予防・治療効果を有し、またストレス軽減効果などプロバイオティクス効果を有するとともに、ダイハイドロダイゼインおよび/またはエクオール産生能を有する微生物を提供する。
【解決手段】ストレス軽減作用を有する下記菌学的性質を示すシャーペア(Sharpea)属微生物:(1)細菌の形態;桿菌、(2)運動性;無、(3)胞子形成;無、(4)グラム染色性;陽性、(5)カタラーゼ反応;陰性、(6)酸素に対する態度;絶対嫌気性、(7)G+C含量;36〜38mol%。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレス軽減効果を有する新属であるシャーペア(Sharpea)属に属する微生物および当該微生物を含有する微生物製剤並びに当該微生物の発酵物を含有する経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
牛や豚、馬などの哺乳動物の飼育においては、消化器疾患がしばしば問題となり、例えば、馬の飼育における、疝痛(せんつう)や下痢症などの消化器疾患は、消化吸収に影響を及ぼし栄養障害につながるため、馬の発育を阻害する要因となる。特に仔馬はこのような消化器疾患を発症しやすく、生後6ヶ月までに約70〜80%の仔馬が何らかの下痢を発症することが報告されている。このような下痢や腸炎の原因となる病原微生物の報告はあるが、仔馬の場合は不顕性保菌馬も多いため、効果的な治療法がとれず下痢状態が長期間に及ぶ場合もある。したがって、腸内フローラの状態を改善し下痢症などの消化器疾患を予防・治療することが望まれていた。
【0003】
一方、馬は家畜として人に飼育され、競走用、使役用、ホースセラピー用などの用途に使用されており、様々なストレスに曝される。例えば競走馬であれば、調教や輸送などにおいて多大なストレスを受け、輸送熱などの症状となって顕れることもある。したがって、日常飼育の中でのストレスを軽減することも望まれていた。
【0004】
近年、馬に対して下痢の予防や治療、増体重の促進を目的として、乳酸菌を添加した飼料が使用されている。しかしながら、従来の乳酸菌では、馬の有用な腸内フローラの形成には有効に働かず下痢症などを十分に予防、治療することができないものであった。さらに、馬に対してストレス軽減効果を有する乳酸菌に近縁の微生物はこれまで知られていなかった。
【0005】
また、女性、男性共に存在するエストロゲンのもつ選択的エストロゲン受容体モヂュレーターは近年、骨粗鬆症の治療薬として、また動脈硬化に対する効果が示唆されている。植物中に含まれる植物エストロゲンの存在は以前より知られ、例えば大豆に豊富に含まれるゲニステインやダイゼインは代表的なイソフラボンであり、植物エストロゲンとして作用することが知られている。このダイゼインは摂取された後に腸内細菌叢によって代謝を受けてダイハイドロダイゼインを経てエクオールに変換される(非特許文献1)。
【0006】
最近の研究において、これらダイゼインの代謝産物であるダイハイドロダイゼインやエクオールが、エストロゲン受容体α,βのいずれに対しても活性を有することが報告されている。しかしながら、ヒトにおいて、このダイゼインの代謝を司る腸内細菌叢を有する割合は約30%程度にすぎないとされており、かかる腸内細菌叢を有さないヒトでは、ダイゼインを摂取してもその代謝産物による効果が得られないと考えられる(非特許文献2)。
【0007】
したがって、ダイゼインからダイハイドロダイゼインやエクオールを産生する微生物を摂取するか、または産生されたダイハイドロダイゼインやエクオールを直接摂取することにより、これらの成分によるエストロゲン受容体活性作用を介し骨成分の増強効果などの種々の生理活性が期待できるが、このようなダイハイドロダイゼインやエクオールの産生能を有する微生物はこれまでほとんど知られていなかった。
【0008】
【非特許文献1】Chang H.H., Robinson A.R. and Common R.H., Excretion of radioactive daizein and equol as monosulfates and disulfates in the urine of the laying hen. Can. J. Biochem.,53,223−230(1975).
【非特許文献2】大豆に含まれるゲニステイン、ダイゼインおよびその代謝産物エクオールの分子生物学的薬理作用の検討およびその生体内濃度の臨床的意義、大豆たん白質研究、9,153−157(2006).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明は、哺乳動物の消化管中に良好な付着性と定着性を有し、下痢症や疝痛などの消化器疾患を予防・治療することができ、さらにはストレス軽減効果などプロバイオティクス効果を有するとともに、ダイゼインを資化してダイヒドロダイゼインやエクオールを産生する能力を有する微生物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、馬の腸内に常在する乳酸菌の分布や構成を調べ、それらの馬の消化管由来株の分離同定を行う過程で、乳酸菌と類似の性質をもつが、16S rRNA遺伝子配列に基づく系統樹では、Molicutes綱に属する4種の未同定菌株を分離した。そしてその菌株を馬に投与することにより、馬の下痢や疝痛の発生を予防・治療することができ、また馬およびラットに対してストレス軽減効果を奏することを見出した。さらにこの菌株は、ダイゼインを資化し、ダイヒドロダイゼインおよびエクオール産生能を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、ストレス軽減作用を有する下記菌学的性質を示すシャーペア(Sharpea)属微生物である。
(1)細菌の形態:桿菌
(2)運動性:無
(3)胞子形成:無
(4)グラム染色性:陽性
(5)カタラーゼ反応:陰性
(6)酸素に対する態度:絶対嫌気性
(7)G+C含量:36〜38mol%
【0012】
また本発明は、上記シャーペア(Sharpea)属微生物を含有する微生物製剤である。
【0013】
また本発明は、上記シャーペア(Sharpea)属微生物をダイゼイン含有物に作用させて得られる発酵物を含有することを特徴とする経口組成物である。
【0014】
また本発明は、上記シャーペア(Sharpea)属微生物をダイゼイン含有物に作用させることを特徴とするダイハイドロダイゼインおよび/またはエクオールの製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシャーペア(Sharpea)属微生物は、消化管内での定着能が高く、馬などの哺乳動物に投与することにより有効に下痢症や疝痛などの消化器疾患を予防・治療できるとともに、ストレスを低減できるものである。また、ダイゼインを資化して、ダイヒドロダイゼインやエクオールを産生する能力を有するため、産生されたダイヒドロダイゼインやエクオールを摂取することによって、あるいはこのシャーペア(Sharpea)属微生物を摂取することにより、骨粗鬆症や動脈硬化などのエストロゲン受容体関連疾患を予防・治療することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の新属に属する微生物は、競走馬の糞便より分離されたものである。すなわち、健常なサラブレッドの排泄後すぐの新鮮な糞便を、嫌気パック(アネロガスパック:三菱ガス化学製)に入れ、これを糞便が凍結しない7℃以下の冷蔵で運搬した。運搬された糞便を嫌気的な段階希釈法(光岡知足、「腸内菌の世界」、第2版、53−65、叢文社、1984)で段階希釈し、これの一部をBL寒天培地またはLBS寒天培地(ともに栄研化学製)に塗抹し、スチール・ウール法で、37℃で48時間嫌気培養して形成されたコロニーからST18、HM244、HM250、DI49の4種の未同定株を分離した。
【0017】
これらのうち、ST18株の(a)形態的性質、(b)培養的性質、(c)生理学的性質および(d)化学分類学的性質について以下に示す。
(a)形態的性質
(1)細菌の形:桿菌
(2)細菌の大きさ: 0.7〜1×2〜10μm
(3)運動性:無
(4)胞子:無
【0018】
このST18株の顕微鏡写真を図1に示す。
【0019】
(b)培養的性質(生育状態)
(1)ABCMブイヨン寒天培地での培養:
37℃、24時間培養により、直径1〜2.5mm程度のやや不規則な円形状
で扁平状に隆起し、周縁は波状、表面は円滑で、露滴状の構造であって、褐色で
透明、硬度は脂状のコロニーを生じる。
(2)ABCMブイヨン液体培地での培養:
37℃、15〜24時間培養によって懸濁する。
(C)生理学的性質
(1)グラム染色性:陽性
(2)カタラーゼ反応:陰性
(3)酸素に対する態度:絶対嫌気性
(4)乳酸発酵:ヘテロ型
(5)グルコースから産生される乳酸の旋光性:D型
(6)グルコースからのガス発生:あり
(7)生育の範囲
温度 15℃ なし
45℃ あり
(8)耐塩性 3%耐塩性
(9)糖類からの酸生成の有無
API 50 CH System (BioMereux社製)を用いた。
(+酸生成あり、+/−酸生成わずかにあり、−酸生成なし)
D−アラビノース −
リボース −
D−キシロース −
ガラクトース +
グルコース +
フラクトース +
マンノース +
ラムノース −
マンニトール −
ソルビトール −
サリシン −
セロビオース +
ラクトース +
メリビオース +
トレハロース −
メレジトース −
ラフィノース −
デンプン +
グルコン酸 −
【0020】
(d)化学分類学的性質
(1)G+C含量
Mesbahらの方法(Mesbah M., Premachandran U. and Whitman W.E., Precise measurment of the G+C content of deoxyribonucleic acid by high−performance liquid chromatography, Int. J. Syst. Bacteriol.,39,159−167(1989)によって測定した。
G+C含量:37.4mol%
(2)細胞壁のアミノ酸組成
アミノ酸組成:アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アラニン、メソジ
アミノピメリン酸
ペプチドグリカンタイプ:A1γ、(L−Ala)−D−Glu−m−Dpm
【0021】
(3)16S rRNA遺伝子塩基配列相同性
(16S rRNA遺伝子の塩基配列決定)
コロニーPCRにより、16S rRNA遺伝子領域を増幅し、ABI PRISM 3100DNA Sequencer(Applied Biosystem社製)により全16S rRNA遺伝子塩基配列を決定した。以下の27F、75R、520F、520R、930F、800R、1100F、1100Rのプライマーを用いた。
【0022】
<16S rDNA遺伝子増幅用および塩基配列決定用PCRプライマー>
27F:5’−AGAGTTTGATCCTGGCTCAG−3’
75R:5’−CCCGGGATCCAAGCTTACGGTTACCTTGTTAC
GACTT−3’
520F:5’−CAGGAGTGCCAGCAGCCGCGG−3’
520R:5’−ACCGCGGCTGCTGGC−3’
930F:5’−GCACAAGCGGTGGAGCATGTGG−3’
800R:5’−CAGGACTACCAGGGTATCTAAT−3’
1100F:5’−CAGGAGCAACGAGCGCAACCC−3’
1100R:5’−AGGGTTGCGCTCGTTG−3’
【0023】
決定したST18株の16S rRNA遺伝子の塩基配列を配列表の塩基配列1に示す。
【0024】
(相同性検索)
このST18株の16S rRNA遺伝子の塩基配列について、BLASTサーチ(日本DNAデータバンク)により既知の菌種との相同性検索を行った。この結果、一般的に相同性が97%未満であれば別種であるとされるが、最も近縁のL. catenaformis JCM 1143T(アクセッションナンバー:M23729)との相同性は89.9%であった。配列表の塩基配列1に対し相同性97%以上であれば、本発明の微生物に含まれる。
【0025】
(系統解析)
さらに解析ソフトCLUSTAL Wにより系統樹を作成した。図2は、クロストリジウムクラスターXV〜XIXに属する既知の種とST18株との関係を示した系統樹の図である。図中の分岐点に示された数値は、ブートストラップ信頼値であり、括弧内の記号はアクセッションナンバーである。
【0026】
(4)近縁種とのDNA−DNA相同性
DNA−DNAハイブリダイゼーションは、Ezakiらの蛍光検出によるマイクロプレート法(Int. J. Syst. Bacteriol.,39,224−229(1989))により行った。3株の近縁菌種の基準株(L. vitulinus JCM 1121L. catenaformis JCM 1143C. mitsuokai JCM 0609)を、ST18株と比較するのに使用した。
【0027】
(DNA−DNA相同性)
C. mitsuokai JCM 0609:15.6%
L. vitulinus JCM 1121:14.3%
L. catenaformis JCM 1143:0.7%
【0028】
このように、ST18株は、上記近縁菌種の基準株とのDNA−DNA相同性が20%未満の低い相同性しか示さなかった。本発明の微生物には、上記近縁菌種の基準株(C. mitsuokai JCM 0609L. vitulinus JCM 1121L. catenaformis JCM 1143)とのDNA−DNA相同性が60%未満のものが含まれる。
【0029】
以上の化学分類学的性質により、ST18株は、クロストリジウムクラスターXVIIに含まれるいずれの属にも属さない新属の微生物であると判断され、シャーペア属(Sharpea)に属するシャーペア・アザブエンシス(Sharpea azabuensis)と命名された。このシャーペア・アザブエンシスST18株を平成19年1月19日付で独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに、微生物寄託番号 NITE P−300として寄託した。
【0030】
HM244、HM250、DI49についても同様にして分類学的性質を調べた。C. mitsuokai JCM 0609L. vitulinus JCM 1121L. catenaformis JCM 1143の結果も併せて表1に示す。
【0031】
【表1】

L. vitulinus JCM 1121およびC. mitsuokai JCM 0609については、Sharpea M.E., Latham M.J., Garvie E.I. Zirngibl J. and Kandler O., Two new species of Lactobacillus isolated from the bovine rumen, Lactobacillus ruminis sp. nov. and Lactobacillus vitulinus sp. nov., J. Gen. Microbiol.,77,37−49(1973)とKageyama A. and Benno Y., Catenibacterium mitsuokai gen. nov., sp. nov., a gram−positive anaerobic bacterium isolated from human faeces, Int. J. Syst. Evol. Microbiol.,50,1595−1599(2000)のデータをそれぞれ用いた。
+:陽性、−:陰性、w:弱陽性、NT:試験せず
【0032】
ST18株とこれら3種の菌株は下記の共通する性質を有する。
(1)細菌の形態:桿菌
(2)運動性:無
(3)胞子形成:無
(4)グラム染色性:陽性
(5)カタラーゼ反応:陰性
(6)酸素に対する態度:絶対嫌気性
(7)G+C含量:36〜38mol%
【0033】
また、ST18のHM244、HM250、DI49に対するDNA−DNA相同性は、それぞれ、81.8、93.1、89.2%であった。一般にDNA−DNA相同性が70%以上であると同種であるとされる(Stackebrandt E.G. and Goebel B.M., Taxonomic note: a place for DNA−DNA reassociation and 16S rRNA sequence analysis in the present species definition in bacteriology,44:846−849(1994))。
【0034】
さらにこれら4種の16S rRNA相同性を調べたところ、99%以上の相同性を示した。
【0035】
以上より、ST18、HM244、HM250およびDI49は、同種に属する微生物であると判断された。ST18は、シャーペア・アザブエンシスの基準株である。
【0036】
上記本発明のシャーペア属(Sharpea)微生物を得るには、通常の培養方法に準じて培養を行えばよい。例えば、ABCMブイヨン培地に接種し、37℃で24時間培養して得ることができる。
【0037】
本発明の微生物製剤は、上記のように培養した本発明の微生物の培養液をそのまま用いることもできるが、遠心分離等の手段を用いて集菌した菌体をスキムミルク等に分散して懸濁液として用いてもよい。さらに、培養液や懸濁液を凍結乾燥等により乾燥させた乾燥菌体として用いることもできる。
【0038】
本発明の微生物製剤の剤型としては特に限定はなく、錠剤、粉剤、粒剤、カプセル、ペレット、液剤等の任意の剤型とすることができ、ブドウ糖、ショ糖、乳糖、シュクロース、スキムミルク等の賦形剤やその他フラクトオリゴ糖など各種のプロバイオティクス成分等の任意成分を配合することもできる。
【0039】
かくして得られた本発明の新規微生物を馬などの哺乳動物に投与することにより、微生物が消化管に付着・定着し、下痢や疝痛等の消化器疾患を予防・治療することができ、またストレスを軽減させることができる。さらに、摂取したダイゼインを代謝して、ダイハイドロダイゼインやエクオールを産生することができるため、これらのエストロゲン受容体活性化作用により骨増強効果等を得ることができる。投与量は1頭当たり1日に1×10〜1×1011cfu(コロニー形成単位)程度、特に1×10〜1×1010cfu程度が好ましい。なお、本発明においてストレスの軽減とは、本発明製剤の投与前後で血清アルブミンのフリーのSH基保有率が例えば、対照群3頭の平均から、試験群の平均が1.5倍以上増加することをいう。
【0040】
本発明の微生物製剤は、哺乳動物に直接経口投与してもよく、飼料や餌等に混ぜて投与してもよい。なお、本発明の微生物製剤の投与対象である哺乳動物としては、ヒト、馬、牛、豚、ヒツジ、山羊等が例示できる。
【0041】
本発明の経口組成物は、上記微生物をダイゼイン含有物に作用させて得られる発酵物を含有するものである。このダイゼイン含有物としては、精製されたダイゼインだけでなく、ダイゼインを含有する大豆、その大豆を原料とした食品である豆乳、豆腐、納豆、そして、クズ、葛根、グワーオクルア、ザクロなども含まれる。
【0042】
発酵にあたっては、上記ダイゼイン含有物を基質として通常の発酵方法に従って上記シャーペア属微生物を培養することにより行うことができる。すなわち、ABCMブイヨン培地、MRS液体培地(Oxoid)、GAM液体培地(日水製薬)等の栄養培地または牛乳、豆乳などの食品素材に、滅菌したダイゼイン含有物およびシャーペア属微生物を添加し、37℃程度で3〜5日間程度発酵させることにより行うことができる。基質となるダイゼイン含有物は、ダイゼインの含有量を200mM以上添加することが好ましい。また、微生物の接種量は、0.2〜1.0%程度が好ましい。
【0043】
本発明の経口組成物は上記発酵物をそのまま食品や医薬品の形態として用いることができるが、常法にしたがって、ダイハイドロダイゼインおよび/またはエクオールを分離・精製してもよい。分離・精製方法としては、例えば、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いる方法が例示できる。
【0044】
上記発酵物または分離精製したダイハイドロダイゼインおよび/またはエクオールを、適当な飲食品原料または医薬用担体を用いて本発明の経口組成物を調製することができる、飲食品形態としては、例えば、乳酸菌飲料、ヨーグルト等の発酵乳、野菜の発酵物(漬物)等が例示できる。
【0045】
医薬品形態とするための医薬用担体としては、例えばブドウ糖、ショ糖、乳糖、シュクロース、スキムミルク等が挙げられ、また剤型としては特に限定はなく、錠剤、粉剤、粒剤、カプセル、ペレット、液剤等の任意の剤型とすることができる。
【0046】
医薬用経口組成物の投与量は、疾患の程度、被投与者の年齢等によって異なるが、一般には、大人1日当たりダイハイドロダイゼインおよび/またはエクオールとして100nM〜1,000nM程度となる量を投与すれば良い。本発明の医薬用経口組成物は、有効成分であるダイハイドロダイゼインおよび/またはエクオールのエストロゲン受容体活性作用により、動脈硬化や骨粗鬆症の予防・治療効果を奏する。
【0047】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】
実 施 例 1
シャーペア・アザブエンシスST18株の培養:
ABCMブイヨン培地(栄研化学社製)5Lをフラスコに入れ、pHを7.2に調整しオートクレーブで、115℃、15分間の滅菌を行った。このABCMブイヨン培地に、予め、BL寒天培地(栄研化学社製)で48時間培養したコロニーを釣菌し、ABCMブイヨン培地で24時間のプレ培養したシャーペア・アザブエンシスST18株培養液を0.2容量%接種し、37℃、24時間静置培養した。この培養液を3000×gで遠心分離し集菌して湿重量約4g/5Lの菌体ペレットを得た。
【0049】
実 施 例 2
シャーペア・アザブエンシスST18株含有微生物製剤の調製:
実施例1により得られた菌体ペレットを生理食塩水で洗浄した。その菌体ペレット
4g(湿重量)を滅菌10%スキムミルク46mlに懸濁し、凍結乾燥処理をして凍結乾燥粉末を得た。この凍結乾燥粉末に5質量倍のスキムミルク粉末を加えて均一に混合して本発明の微生物製剤を得た。この微生物製剤は、シャーペア・アザブエンシスST18株を4.5×1010cfu/g含有するものであった。
【0050】
試 験 例 1
シャーペア・アザブエンシスST18株の消化管付着性試験1:
実施例1で得られた菌体ペレット4g(湿重量)を、あらかじめ滅菌しておいた10%スキムミルク溶液46mlに懸濁し−85℃で急冷した。融解試験を行ったところ、1×1010cfu/mlの生菌数が認められた。この懸濁液1mlを10mlの滅菌10%スキムミルク溶液に再懸濁して試料とした。2頭の1歳牝馬および1頭の1歳牡馬に対し、この試料11mlを5日間連日、シリンジで経口投与した(試験区)。対照区には、2頭の1歳牝馬および1頭の1歳牡馬に対し、11mlの滅菌10%スキムミルクを5日間連続で経口投与した。投与前と最終投与日から10日後にそれぞれの馬の糞便中におけるシャーペア・アザブエンシスST18株の菌数測定を行った。菌数は各試験区の平均値とした。その結果を表2に示す。
【0051】
【表2】

【0052】
対照区では、ほとんど菌数の変化は見られなかったが、試験区では菌数が1オーダー増加していることから、シャーペア・アザブエンシスST18株が定着後に増殖しているものと考えられた。
【0053】
試 験 例 2
シャーペア・アザブエンシスST18株の下痢症・疝痛予防効果:
試験例1において、それぞれの馬について試料投与開始から30日間糞便の状態を観察し、各試験区について軟便が確認された延べ日数を調べた。対照区では、延べ8日間の軟便が確認されたのに対し、試験区では、軟便は認められなかった。また、対照区では、延べ5日間の疝痛の徴候が確認されたのに対し、試験区では疝痛の徴候はみられなかった。したがって、シャーペア・アザブエンシスST18株が有する馬への下痢症・疝痛予防効果が認められた。
【0054】
試 験 例 3
シャーペア・アザブエンシスST18株の消化管付着性試験2:
実施例2により得られた微生物製剤を試料として用いた。2頭の1歳牝馬および1頭の1歳牡馬に対し、この試料1.5gを飼葉0.5kgの上に置いて投与する方法により5日間連続投与した(試験区)。完食を確認後、飼葉を自由摂取させた。試験例6とは別の個体を用いた。対照区には、2頭の1歳牝馬および1頭の1歳牡馬に対し、5日間、飼葉を自由摂取させた。投与前と最終投与日から10日後にそれぞれの馬の糞便中におけるシャーペア・アザブエンシスST18株の菌数測定を行った。菌数は各試験区の平均値とした。その結果を表3に示す。
【0055】
【表3】

【0056】
この結果から、シャーペア・アザブエンシスST18株は、乾燥粉末投与によっても、定着後増殖しているものと考えられた。
【0057】
試 験 例 4
シャーペア・アザブエンシスST18株の馬のストレス軽減効果:
哺乳動物のストレス度合いは、血清中のアルブミンにおけるフリーSH基保有率を指標とした。馬のストレスが高くなるとアルブミン中のフリーSH基が酸化されこの割合が低下すると考えられる。測定方法は、Fabsiakらの方法に準じた(Fabsiak J.P., Sedelov A. and Kagon V.E., Quantification of oxdative/nitrosative modification of CYS34 in human serum albmin using a fluorescence−based SDS−PAGE assay, Antioxidants and Redox Signal,5,855−865(2002))。
【0058】
すなわち、試験例1および3のシャーペア・アザブエンシスST18株を含有する試料を投与したうちの3馬について、馬用微生物製剤投与5日間の5日目、その5日間の投与終了の1日目、投与終了9日後、投与終了15日後、投与終了22日後及び投与終了30日後の血液を採取しその血清を得た(ST18株投与群)。それから得られた馬血清を10mMのPBS(pH7.4)により100倍に希釈したものをサンプルとした。次に、このサンプルの250μlに240μMのThio−Glo1(Carbiochem製)を25μl(終濃度20μM)と、360mMのSDS(終濃度30mM)またはPBSの25μlを加え、分注器で混合した。これとは別にスタンダードとしてDTTで還元したBSAの500μg/ml、1000μg/ml、2000μg/mlを同様に用意した後、60℃で45分間反応させる。続いて室温にて15分間インキュベートし、これを355nmの励起波長および460nmの蛍光波長で蛍光強度を測定した。また、サンプルの60μlに(−)BPBの4×サンプルバッファー20μlを添加しSDS−PAGE用サンプルを調製した。
このサンプルについてSDS−PAGE電気泳動を行った。電気泳動後のゲルのバンドをトランスイルミネーター(フナコシ社製)で写真を撮り、強度を数値化した。続いてCBBRにて染色し写真撮影後、アルブミンとしてのタンパク量もNIH−Imageで求めた。この蛍光強度を、standard BSAの蛍光強度に換算した血清量/通常(Bradford)の蛋白定量から、血清アルブミン中のフリーSH基保有率を求めた。通常(Bradford)の蛋白量は、Protein Assay Kit(Bio−Rad製)で求めた。対照として、試験例1および3において、ST18株を投与しなかった馬のうち3頭について同様に試験した(ST18株無投与群)。結果を図3に示す。
【0059】
シャーペア・アザブエンシスST18株投与群は、無投与群に比べて血清アルブミン中のフリーSH基保有率が有意に高く、ストレスが軽減されている結果が得られた。また、そのストレス軽減効果は、シャーペア・アザブエンシスST18株投与を止めた4週間後でも持続していることが認められた。
【0060】
試 験 例 5
シャーペア・アザブエンシスST18株のラットに対する拘束ストレス軽減効果:
ラットに拘束ストレスを負荷し、血中コルチコステロンの濃度を測定することによりストレス軽減効果を評価した。金属製の拘束装置を用い、ラットを8時間(午前0時〜午前8時)拘束した。拘束の前後で尾静脈からの採血を行いコルチコステロンの血中濃度を測定した。コルチコステロン量の測定は、ACTIVE Rat Corticosterone EIA kit(DSL社、10−81100)を用いてイムノアッセイ法で測定した。試験群には、10の8乗レベルとなる量の実施例1および3で得られたシャーペア・アザブエンシスST18株を5日間連続で経口投与した(n=6)。微生物を与えない群をコントロールとした。5日目に拘束ストレスをかけ、前日の血中コルチコステロン濃度と拘束ストレス負荷後の血中コルチコステロン濃度を求めた。結果を図4に示す。
【0061】
コントロール群および微生物投与群ともにストレス負荷をかける前は、100ng/ml未満の範囲であった。コントロール群は、血中コルチコステロン量がストレス負荷後に有意に上昇しており、有効なストレス刺激が負荷されたことが確認された。シャーペア・アザブエンシスST18株投与群はコントロール群に比べて、ストレス付加後の血中コルチコステロン濃度は低くなり、ストレス軽減効果が認められた。
【0062】
試 験 例 6
シャーペア・アザブエンシスST18株のラットに対する強制水泳ストレス軽
減効果:
直径20cm、高さ50cmのプラスチック製の円筒に27℃の水を40cmまで入れ、ラットを15分間の強制的に水泳をさせ、強制水泳前後で尾静脈から採血し血中コルチコステロン量を測定した。試験群には、10の8乗レベルとなる量の実施例1および3で得られたシャーペア・アザブエンシスST18株を5日間連続で経口投与した(n=6)。微生物を与えない群をコントロールとした。5日目に強制水泳させ、前日の血中コルチコステロン濃度と強制水泳ストレス負荷後の血中コルチコステロン濃度を求めた。結果を図5に示す。
【0063】
コントロール群は、血中コルチコステロン量がストレス負荷後に有意に上昇しており、有効なストレス刺激が負荷されたことが確認された。ST18株投与群は、コントロール群に比べ、ストレス負荷後の血中コルチコステロン量が抑制され、ラットに対するストレス軽減効果があることがわかった。
【0064】
試 験 例 7
馬腸内フローラにおけるシャーペア・アザブエンシスST18株の分布(1)
国内各地の生産牧場および厩舎における0(当歳)〜33歳までの様々な年齢の牡7頭、牝9頭の糞便を採取し、PCR−DGGE法によりシャーペア・アザブエンシスST18株を保有しているか調べた。その結果、ST18株は16頭中14頭から検出されたことから、生産牧場や厩舎には関係なく、健常な馬の腸内フローラに普遍的に存在している微生物であると考えられる。したがって、本発明のシャーペア属微生物は馬に投与しても安全性の高いものである。
【0065】
試 験 例 8
馬腸内フローラにおけるシャーペア・アザブエンシスST18株の分布(2)
下記表5に示した健常なサラブレッド12頭(A〜L)の新鮮な糞便について、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(PCR−DGGE)法により、シャーペア・アザブエンシスの分布を調べた。これらのサラブレッドは、糞便の採取1ヶ月以内に、生菌剤は使用していない。Walterら(Walter J., Hertel C., Tannock G.W., Lis C.M., Munro K. and Hammes W.P., Detection of LactobacillusPediococcusLeuconostoc, and Weissella species in human feces by using group−specific PCR primers and denaturing gradient gel electrophoresis, Appl. Environ. Microbiol.,67,2578−2585(2001))の文献に基づくPCR条件と、大腸菌の16S rRNA配列のNo.341−534領域で340bpを増幅させる下記のプライマーLac1とLac2GCを用いた。
【0066】
<forward primer Lac1>
5′−AGCAGTAGGGAATCTTCCA−3′
<reverse primer Lac2GC>
5′−CGCCCGGGGCGCGCCCCGGGCGGCCCGGGGGCAC
CGGGGGATTYCACCGCTACACATG−3′
【0067】
【表4】

【0068】
DGGE泳動には、DCodeシステム装置(Bio−Rad Laboratories)を用いて、各種糞便からシャーペア・アザブエンシスST18株の検出を試みた。シャーペア・アザブエンシスST18株の検出は次のようにして行った。変性剤(尿素とホルムアミド)で37.5%から52.5%の濃度勾配をつけた8%(wt/vol)のポリアクリルアミドゲルを用いた。Tris−acetate−EDTA(TAE)緩衝液に浸して、60Vで14時間、泳動した。泳動後のゲルは、10 mg/ml 臭化エチジウム溶液25 μlを添加した250 ml TAE緩衝液で染色した。シャーペア・アザブエンシスST18株のバンドの特定は、純粋培養したシャーペア・アザブエンシスST18株の移動度、およびそのバンドを切り出しての16SrDNA遺伝子配列決定によって、98%以上の相同性のあるものをシャーペア・アザブエンシスST18株とした。16S rDNA遺伝子配列決定も上記と同様の方法により行った。結果を図6に示す。
【0069】
図6に示すとおり、12頭中10頭(A〜H、K、L)のサラブレットからシャーペア・アザブエンシスST18株が検出された。この結果から、この菌種は、健常なサラブレッドの消化管内に広く分布し、またバンドの濃さの強弱は菌数を反映していることから、腸内フローラの中で優勢に生育していることが認められた。
【0070】
試 験 例 9
ダイハイドロダイゼインおよびエクオール産生:
990mlの蒸留水にABCMブイヨン培地(栄研)46gを溶解し、オートクレーヴで121℃、15分間の滅菌を行なった。室温にもどしたABCMブイヨン培地に、フィルター滅菌した10ml水溶液のダイゼインを200μlになるように添加した。ST18を予めABCMブイヨン培地で培養し、その培養液0.2%を接種して、スチールウール法にて嫌気し、37℃で36時間培養した。
その培養液について、Wangらの方法(Wang X.L., Hur H.G., Lee J.H. and Kim S.I., Enantioselective synthesis of S−equol from dihydrodaidzein by a newly isolated anaerobic human intestinal bacterium, Appl. Environ. Microbiol., 71, 214−219(2005))に基づくHPLC法により、ダイゼイン、ダイハイドロダイゼインおよびエクオールを定量した。標品として用いたダイゼインはLC Laboratoriesから、ダイハイドロダイゼインはTronto Research Chemicalsから、エクオールはLC Laboratoriesからそれぞれ購入した。HPLCのクロマトグラムを図7に示す。
【0071】
ST18培養前のクロマトグラムでは、培地に予め添加したダイゼインのピークのみが検出された。培養36時間後のクロマトグラムでは、ダイゼインのピークは予め添加した量のほぼ半分になり、図7のとおり、ダイハイドロダイゼインおよびエクオールのピークが検出されたことから、そのダイゼインのピーク減少分が、ダイハイドロダイゼインおよびエクオールに転換されていた。さらに3日間以上培養すると、ダイゼインとダイハイドロダイゼインを示すピークは完全に消失し、エクオールを示すピークが、培養36時間時の2倍を示していた。シャーペア・アザブエンシスST18株は、ダイゼインを資化し、ダイハイドロダイゼインおよびエクオールを産生する能力を有することが示された。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の新属であるシャーペア属微生物は、消化管に対して良好な付着性および定着性を示し、下痢や疝痛など消化器疾患の予防・治療効果を有し、またにストレス軽減効果などプロバイオティクス効果をも有するとともに、エストロゲン受容体活性を示すダイハイドロダイゼインおよびエクオール産生能を有するものである。
【0073】
ダイハイドロダイゼインおよびエクオールは、弱い女性ホルモン(エストロゲン)作用を示す。ダイハイドロダイゼインおよびエクオールは、腸内細菌によりダイゼインから産生されるが、その産生能力は個人差が大きい。ダイハイドロダイゼインおよびエクオールは、女性の乳がんなど性ホルモンが関連する病気に影響を与えているのではないかと考えられている。また男性においても、前立腺がんは、性ホルモンと関連するがんで、女性ホルモンの働きをする薬や男性ホルモンの働きを押さえる薬が治療に使われてきた。本菌の作るダイハイドロダイゼインおよびエクオールは、上記のような効果にも貢献する。
【0074】
哺乳動物の糞便を用いることにより、安価、簡便かつ迅速なエクオール検出法(特願2005−55058号:特開2006−242602号公報)が開発された。それにより、エクオール産生菌の有無を試験できるので、消化管内でエクオールを産生していない個体ごとに本菌の投与を行なうことも可能となる。
【0075】
したがって、本発明の微生物は、哺乳動物に投与する微生物製剤やその発酵物を含有する飲食品または医薬品として有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】シャーペア・アザブエンシスST18株の光学顕微鏡写真である。
【図2】クロストリジウムクラスターXV〜XIXに属する既知の種とシャーペア・アザブエンシスST18、HM244、HM250およびDI49との関係を示した系統樹である。
【図3】試験例4において、シャーペア・アザブエンシスST18株投与群と無投与群との血清アルブミン中のフリーSH基保有率を示す図である。
【図4】試験例5における、拘束ストレス負荷前後の血中コルチコステロン濃度を示す図である。
【図5】試験例6における、強制水泳ストレス負荷前後の血中コルチコステロン濃度を示す図である。
【図6】試験例8における、シャーペア・アザブエンシスST18株のPCR−DGGE電気泳動図である。
【図7】試験例9における、培養36時間後のHPLCクロマトグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレス軽減作用を有する下記菌学的性質を示すシャーペア(Sharpea)属微生物。
(1)細菌の形態:桿菌
(2)運動性:無
(3)胞子形成:無
(4)グラム染色性:陽性
(5)カタラーゼ反応:陰性
(6)酸素に対する態度:絶対嫌気性
(7)G+C含量:36〜38mol%
【請求項2】
下記の化学分類学的性質を有するものである請求項1記載のシャーペア(Sharpea)属微生物。
近縁菌種の基準株であるカテニバクテリウム・ミツオカイ(Catenibacterium mitsuokai)JCM 0609株、ラクトバチルス・ヴィトゥリニス(Lactobacillus vitulinus)JCM 1121株およびラクトバチルス・カテナフォルミス(Lactobacillus catenaformis)JCM 1143株とのDNA−DNA相同性が60%未満
【請求項3】
配列表の配列番号1に示す16S rRNA遺伝子の塩基配列を相同性97%以上で含むものである請求項1または2に記載のシャーペア(Sharpea)属微生物。
【請求項4】
シャーペア・アザブエンシス(Sharpea azabuensis)である請求項1ないし3のいずれかの項に記載のシャーペア(Sharpea)属微生物。
【請求項5】
シャーペア・アザブエンシス(Sharpea azabuensis)ST18株(寄託番号 NITE P−300)である請求項1ないし4の何れかの項に記載のシャーペア(Sharpea)属微生物。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れかの項に記載のシャーペア(Sharpea)属微生物を含有することを特徴とする微生物製剤。
【請求項7】
哺乳動物用である請求項6に記載の微生物製剤。
【請求項8】
哺乳動物が馬である請求項7記載の微生物製剤。
【請求項9】
哺乳動物の下痢および/または疝痛の予防・治療用である請求項6ないし8の何れかの項に記載の微生物製剤。
【請求項10】
哺乳動物が馬である請求項9記載の微生物製剤。
【請求項11】
哺乳動物の抗ストレス用である請求項6ないし8の何れかの項に記載の微生物製剤。
【請求項12】
哺乳動物が馬である請求項11記載の微生物製剤。
【請求項13】
非ヒト哺乳動物に請求項1ないし5の何れかの項記載のシャーペア(Sharpea)属微生物を含有する微生物製剤を投与することを特徴とする非ヒト哺乳動物のストレス低減方法。
【請求項14】
非ヒト哺乳動物が馬である請求項13記載のストレス低減方法。
【請求項15】
請求項1ないし5の何れかの項に記載のシャーペア(Sharpea)属微生物をダイゼイン含有物に作用させて得られる発酵物を含有することを特徴とする経口組成物。
【請求項16】
ダイゼイン含有物が、大豆、豆乳、クズ、葛根、グワーオクルアおよびザクロよりなる群から選ばれたものである請求項15記載の経口組成物。
【請求項17】
飲食物である請求項15または16記載の経口組成物。
【請求項18】
医薬品である請求項15または16記載の経口組成物。
【請求項19】
骨粗鬆症または動脈硬化の予防・治療用である請求項18記載の経口組成物。
【請求項20】
請求項1ないし5の何れかの項に記載のシャーペア(Sharpea)属微生物をダイゼイン含有物に作用させることを特徴とするハイドロダイゼインおよび/またはエクオールの製造方法。
【請求項21】
請求項1ないし4の何れかの項に記載のシャーペア(Sharpea)属微生物をダイゼインおよび/またはハイドロダイゼイン含有物に作用させることを特徴とするエクオールの製造方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図1】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−41940(P2010−41940A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206897(P2008−206897)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年3月27日 社団法人日本畜産学会発行の「日本畜産学会 第109回大会 講演要旨集」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年4月3日 インターネットアドレス「http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/viewer.fcgi?db=nuccore&id=172052523」に発表
【出願人】(507045889)クロスフィールドバイオ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】