説明

新規な重合性エステル化合物

【解決手段】 下記一般式(1)で表されるエステル化合物。
【化13】


(式中、R1はフッ素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のフッ素化アルキル基を示す。R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基又はフッ素化アルキレン基を示す。R3は酸不安定基を示す。)
【効果】 本発明の重合性エステル化合物から得られる高分子化合物を用いたレジスト材料は、ArF露光において優れた解像性と透明性、小さいラインエッジラフネス、優れたエッチング耐性、特にエッチング後の表面ラフネスが小さい特性を有している。また、投影レンズとウエハー間に液体を挿入して露光を行うArF液浸リソグラフィーでも同様の高い性能を発揮できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細加工技術に適したレジスト材料、特に化学増幅レジスト材料のベースポリマー用のモノマーとして有用な重合性エステル化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が急速に進んでいる。微細化が急速に進歩した背景には、光源の短波長化、投影レンズの高開口数(NA)化、レジストの性能向上などが挙げられる。
【0003】
露光の光源については、i線(365nm)からKrF(248nm)への短波長化により集積度が64MB(加工寸法が0.25μm以下)のDRAM量産が可能になった。そして、集積度256MB及び1GB以上のDRAM製造に必要な微細化(加工寸法が0.2μm以下)実現のため、ArFエキシマレーザー(193nm)を用いたリソグラフィーが本格的に検討されている。また、更に波長の短い露光光源としてF2レーザー(157nm)も候補に挙がったが、スキャナーのコストアップをはじめとした様々な問題により導入が先送りになっている。
【0004】
高NA化についてはレンズの性能向上にとどまらず、レンズとウエハーの間に高屈折率の液体を挿入することにより1.00以上のNAが実現可能な液浸露光技術が注目を集めている(例えば、非特許文献1:Proc.SPIE.Vol.5376、p44(2004)参照)。現在検討されているArF液浸リソグラフィーでは、レンズ−ウエハー間に屈折率1.44の純水を浸透させることにより45nmノードへの適用が提唱されている(例えば、非特許文献2:Proc.SPIE.Vol.5040、p724(2003)参照)。
【0005】
レジスト材料については、酸を触媒とした化学増幅ポジ型レジスト材料(例えば、特許文献1,2:特公平2−27660号公報、特開昭63−27829号公報参照)の開発により、高解像度化、高感度化の実現が可能になり、遠紫外線リソグラフィーで主流なレジスト材料となっている。このうち、KrFレジスト材料は加工寸法が0.3μmのプロセスから使われ始め、0.25μmプロセスを経て、現在では0.18μmプロセスの量産化にも適用されており、更に0.15μmプロセスの検討も始まっている。また、ArFレジスト材料では、デザインルールの微細化を0.13μm以下にすることが期待されている。
【0006】
化学増幅レジスト材料のベース樹脂としては種々のアルカリ可溶性樹脂が用いられているが、露光に用いる光源によってベース樹脂の材料(ポリマー骨格)が異なる。KrFレジスト材料では、アルカリ可溶性基としてフェノール性水酸基を有するポリヒドロキシスチレン樹脂が標準的に用いられている。
【0007】
ArFレジスト材料ではポリヒドロキシスチレン樹脂やノボラック樹脂が波長193nm付近に非常に強い吸収を持つため、カルボキシル基をアルカリ可溶性基として用いるポリ(メタ)アクリレート樹脂やノルボルネン等の脂肪族環状オレフィンを重合単位として用いた樹脂が検討されている(例えば、特許文献3〜6:特開平9−73173号公報、特開平10−10739号公報、特開平9−230595号公報、国際公開第97/33198号パンフレット参照)。このうち、ポリ(メタ)アクリレートは重合の容易さから実用化が有望視されており、例えば、酸不安定基としてメチルアダマンチル基、密着性基としてラクトン環を有するポリ(メタ)アクリレートが提案されている(例えば、特許文献7:特開平9−90637号公報参照)。更に、エッチング耐性を強化させた密着性基として、ノルボルニルラクトンなどが提案されている(例えば、特許文献8,9:特開2000−26446号公報、特開2000−159758号公報参照)。
【0008】
ArFレジスト材料ではラインエッジラフネスの低減とエッチング耐性の強化が大きな課題とされている。一般に高いコントラストの光の方がラインエッジラフネスを低くできるため、レンズの高NA化、変形照明や位相シフトマスクの適用、短波長化による光のコントラスト向上により、ラインエッジラフネスは小さくなる。それ故にKrFエキシマレーザーからArFエキシマレーザーへの短波長化により、ラインエッジラフネスの低減が期待できる。ところが、実際のArFレジストのラインエッジラフネスはKrFレジストよりも大きく、イメージコントラストとラインエッジラフネスが反比例することが報告されており、これはArFレジスト材料とKrFレジスト材料のレジスト材料の性能差に起因すると考えられている(例えば、非特許文献3:Proc.SPIE.Vol.3999、p264(2000)参照)。
【0009】
現像後のパターンのエッジラフネスを小さく抑える手段の一つとして、交互共重合系ポリマーをベースポリマーに用いる方法が提案されている(例えば、非特許文献4:Proc.SPIE.Vol.5039、p672(2003)参照)。交互共重合系ポリマーは繰り返し単位が高分子鎖中に規則正しく配列されているため、ランダム共重合体やブロック重合体に比べてエッジラフネスを小さくできる特徴がある。
【0010】
ArFレジスト材料として使用可能な交互共重合ポリマーの候補としては、ノルボルネンと無水マレイン酸の共重合系が考えられる(例えば、特許文献4参照)。しかし、このポリマーを用いたレジストは保存安定性等に問題があり、現在のところ実用化の目処は立っていない。それ以外の候補としては、F2レジスト材料のベースポリマー候補の一つであったノルボルネンとα−トリフルオロメチルアクリル酸エステルの共重合系が挙げられる(例えば、非特許文献5:Proc.SPIE.Vol.4345、p273(2001)参照)。
【0011】
【特許文献1】特公平2−27660号公報
【特許文献2】特開昭63−27829号公報
【特許文献3】特開平9−73173号公報
【特許文献4】特開平10−10739号公報
【特許文献5】特開平9−230595号公報
【特許文献6】国際公開第97/33198号パンフレット
【特許文献7】特開平9−90637号公報
【特許文献8】特開2000−26446号公報
【特許文献9】特開2000−159758号公報
【非特許文献1】Proc.SPIE.Vol.5376、p44(2004)
【非特許文献2】Proc.SPIE.Vol.5040、p724(2003)
【非特許文献3】Proc.SPIE.Vol.3999、p264(2000)
【非特許文献4】Proc.SPIE.Vol.5039、p672(2003)
【非特許文献5】Proc.SPIE.Vol.4345、p273(2001)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、300nm以下の波長、特に波長200nm以下の光の透過率に優れたレジスト材料、特に化学増幅レジスト材料のベースポリマーの原料となるモノマーとして有用な重合性エステル化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、重合性官能基から離れた位置に酸脱離性ユニットを導入した重合性エステル化合物が優れたアルカリ現像特性を示すポリマーの原料になりうることを知見し、本発明に至ったものである。
【0014】
即ち、本発明は下記一般式(1)又は(1a)で表される重合性エステル化合物を提供する。
請求項1:
下記一般式(1)で表されるエステル化合物。
【化1】

(式中、R1はフッ素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のフッ素化アルキル基を示す。R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基又はフッ素化アルキレン基を示す。R3は酸不安定基を示す。)
請求項2:
下記一般式(1a)で表される請求項1記載のエステル化合物。
【化2】

(式中、R1はフッ素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のフッ素化アルキル基を示す。R3は酸不安定基を示す。aは1〜6の整数を示す。)
請求項3:
上記一般式(1a)においてR1がトリフルオロメチル基、aが1であることを特徴とする請求項2記載のエステル化合物。
【発明の効果】
【0015】
本発明の重合性エステル化合物から得られる高分子化合物を用いたレジスト材料は、ArF露光において優れた解像性と透明性、小さいラインエッジラフネス、優れたエッチング耐性、特にエッチング後の表面ラフネスが小さい特性を有している。また、投影レンズとウエハー間に液体を挿入して露光を行うArF液浸リソグラフィーでも同様の高い性能を発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の重合性エステル化合物は、下記一般式(1)又は(1a)で表される重合性エステル化合物である。
【化3】

(式中、R1はフッ素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のフッ素化アルキル基を示す。R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基又はフッ素化アルキレン基を示す。R3は酸不安定基を示す。aは1〜6の整数を示す。)
【0017】
この場合、R1で表される炭素数1〜10のフッ素化アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものであり、例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられる。
【0018】
2で表される炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基の1個の水素原子が脱離した形式のものが用いられ、フッ素化アルキレン基はそのアルキレン基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものが用いられる。
【0019】
3で表される酸不安定基としては種々用いることができるが、具体的には下記一般式(AL−1)〜(AL−3)で示される基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等を挙げることができる。
【化4】

(式中、鎖線は結合手を表す。Ral1、Ral2、Ral3は同一又は異種の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素などのヘテロ原子を含んでもよく、有橋環式炭化水素基であってもよい。Ral1とRal2、Ral1とRal3、Ral2とRal3は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合はRal1、Ral2、Ral3はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。Ral4及びRal7は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、例えば水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができる。Ral5及びRal6は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよい。Ral5とRal6、Ral5とRal7、Ral6とRal7はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合はRal5、Ral6、Ral7はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。αは0〜6の整数である。)
【0020】
上記一般式(AL−1)において、Ral1、Ral2、Ral3の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、メンチル基等が挙げられる。上記一般式(AL−1)に示される酸不安定基の具体例として、下記に示す置換基を挙げることができる。
【0021】
【化5】

(式中、鎖線は結合手を表す。Ral8及びRal9は直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜10、特に1〜6のアルキル基を示す。Ral10及びRal11は水素原子、又は炭素数1〜6のヘテロ原子を含んでもよいアルキル基等の1価炭化水素基を示し、これらは直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。)
【0022】
al8及びRal9の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を例示できる。また、Ral10及びRal11の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等を例示できる。なお、Ral10及びRal11が酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含む場合、例えば、−OH、−ORal12、−O−、−S−、−S(=O)−、−NH2、−NHRal12、−N(Ral122、−NH−、−NRal12−等の形で含有することができ、これらヘテロ原子はアルキル鎖中に介在されていてもよい。この場合、Ral12は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
【0023】
上記一般式(AL−2)の酸不安定基の具体例としては、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0024】
上記一般式(AL−3)において、Ral5及びRal6の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等を例示できる。また、Ral7の具体例としては下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0025】
【化6】

(式中、鎖線は結合手を表す。)
【0026】
上記一般式(AL−3)で示される酸不安定基の具体例としては環状のものでは、テトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が例示できる。また、直鎖状又は分岐状のものとしては、具体的には下記の基が例示できるが、このうちエトキシエチル基、ブトキシエチル基、エトキシプロピル基が好ましい。
【0027】
【化7】

(式中、鎖線は結合手を表す。)
【0028】
本発明の重合性エステル化合物の製造は、例えば下記工程にて行うことができるが、この方法に限定されるものではない。
【化8】

(式中、R1はフッ素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のフッ素化アルキル基を示す。R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基又はフッ素化アルキレン基を示す。R3は酸不安定基を示す。Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。)
【0029】
上記の反応例では、含フッ素アクリル酸とX−R2−CO23を塩基存在下で反応させる。用いられるアクリル酸としては、例えばα−フルオロアクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸等が挙げられる。塩基の使用量は構造に依存するが、含フッ素アクリル酸1モルに対し1〜10モル、好ましくは1〜3モルの範囲である。用いられる塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等が用いられる。反応で用いられる溶媒として、へキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記)等が例示でき、これらを単独又は混合して使用することが好ましい。反応温度は反応条件により適切な反応温度を選択できるが、通常、室温もしくは水冷下で行われる。反応時間は、収率向上のため薄層クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーなどにより反応の進行を追跡して決定することが好ましいが、通常0.1〜240時間程度である。反応終了後は、水系後処理(aqueous work−up)や濃縮等の後処理により目的物の重合性エステル化合物(1)又は(1a)を得る。化合物(1)又は(1a)は必要に応じて再結晶、クロマトグラフィー、蒸留などの常法により精製することが可能である。
【0030】
上記一般式(1)及び(1a)で表されるモノマーの具体例としては下記のようなものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【化9】

【実施例】
【0031】
以下、合成例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0032】
[合成例1] 下記Monomer1の合成
1Lフラスコ中に窒素気流下でα−トリフルオロメチルアクリル酸を23.1g、クロロ酢酸(1−エチルシクロペンチル)を30.0g、炭酸カリウムを27.4g、DMFを100g投入し、室温で8時間反応させた。反応系に水400gを添加後、ヘキサン400gで有機物を抽出し、有機層を飽和炭酸カリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレーターにて減圧濃縮し、得られた油状物質を減圧蒸留により生成したところ(bp.76℃/0.2mmHg)、33.4gのMonomer1が得られた。収率は69.4%であった。
FT−IR(NaCl):ν=2971,2881,1743,1461,1427,1407,1382,1363,1346,1321,1278,1220,1176,1151,1106,995,950,811cm-1
1H−NMR(300.5MHz in DMSO−d6):δ=0.88(t、J=7.4Hz、3H)、1.53〜1.78(m、6H)、2.00(q、J=7.4Hz、2H)、2.09〜2.14(m、2H)、4.68(s、2H)、6.52(q、J=1.2Hz、1H)、6.82(q、J=1.8Hz、1H)ppm。
13C−NMR(75.6MHz in DMSO−d6):δ=8.7,23.9,29.8,37.1,61.8,96.2,130.9,133.7,160.7,165.9ppm。
19F−NMR(282.8MHz in DMSO−d6):δ=−66.6(Total:3F)ppm。
【化10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるエステル化合物。
【化1】

(式中、R1はフッ素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のフッ素化アルキル基を示す。R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基又はフッ素化アルキレン基を示す。R3は酸不安定基を示す。)
【請求項2】
下記一般式(1a)で表される請求項1記載のエステル化合物。
【化2】

(式中、R1はフッ素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のフッ素化アルキル基を示す。R3は酸不安定基を示す。aは1〜6の整数を示す。)
【請求項3】
上記一般式(1a)においてR1がトリフルオロメチル基、aが1であることを特徴とする請求項2記載のエステル化合物。

【公開番号】特開2006−328003(P2006−328003A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−155292(P2005−155292)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】