説明

新規のオキサジアゾール誘導体及びそれらの医学的使用

本発明は、ニコチンアセチルコリン受容体のモジュレータであることが確認されている式(I)の新規のオキサジアゾール誘導体に関する。それらの薬理学的性質により、本発明の化合物は、中枢神経系(CNS)、末梢神経系(PNS)のコリン系に関連する疾患又は障害、平滑筋収縮に関連する疾患又は障害、内分泌の疾患又は障害、神経変性に関連する疾患又は障害、炎症、疼痛に関連する疾患又は障害、及び化学物質の乱用の打ち切りによって引き起こされる禁断症状等多岐にわたる疾患又は障害の治療に有用でありうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニコチンアセチルコリン受容体のモジュレータであることが確認されている新規のオキサジアゾール誘導体に関する。それらの薬理学的性質により、本発明の化合物は、中枢神経系(CNS)、末梢神経系(PNS)のコリン系に関連する疾患又は障害、平滑筋収縮に関連する疾患又は障害、内分泌の疾患又は障害、神経変性に関連する疾患又は障害、炎症、疼痛に関連する疾患又は障害、及び化学物質の乱用の打ち切りによって引き起こされる禁断症状等多岐にわたる疾患又は障害の治療に有用でありうる。
【背景技術】
【0002】
内因性コリン神経伝達物質、アセチルコリンは、ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)及びニコチンアセチルコリン受容体(nAChR)の2種類のコリン受容体を介してその生物学的効果を発揮する。
【0003】
ニコチンアセチルコリン受容体(nAChR)は、五量体リガンド開閉型イオンチャネルであり、中枢神経系(CNS)及び末梢神経系(PNS)の全体に広く分布している。少なくとも12のサブユニットタンパク質、すなわちα2〜α10及びβ2〜β4が、神経組織において確認された。これらのサブユニットは、多様な受容体サブタイプの根拠となる非常に多種のホモマー及びヘテロマー組合せをもたらす。例えば、脳組織におけるニコチンの高親和性結合を担う支配的な受容体は、組成物α4β2を有するのに対して、他の主要な受容体集団は、ホモマーα7を含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いくつかのCNS障害においてnAChRsが果たす重要な役割の発見により、これらの膜タンパク質、及びそれらの機能を調節することが可能なリガンドが注目された。多数のレベルにおける異なるサブタイプの存在は、この受容体の生理的役割の理解を複雑にしたが、同時に、この種の受容体の薬理学的特性を向上させ、そのモジュレータの可能な治療的使用をより安全にするために、選択的な化合物を発見するための取り組みを強化することになった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ニコチンアセチルコリン受容体(nAChR)に関連する疾患又は障害の治療に有用であるニコチン受容体の新規のモジュレータを提供することを対象とする。
【0006】
それらの薬理学的性質により、本発明の化合物は、中枢神経系(CNS)、末梢神経系(PNS)のコリン系に関連する疾患又は障害、平滑筋収縮に関連する疾患又は障害、内分泌の疾患又は障害、神経変性に関連する疾患又は障害、炎症、疼痛に関連する疾患又は障害、及び化学物質、特にニコチンの乱用の打ち切りによって引き起こされる禁断症状等多岐にわたる疾患又は障害の治療に有用でありうる。
【0007】
本発明の化合物は、様々な診断法における診断ツール又はモニタリング剤として、そして特にインビボ受容体イメージング(ニューロイメージング)にも有用であり、標識又は非標識形態で使用されうる。
【0008】
その第1の態様において、本発明は、式Iのオキサジアゾール誘導体、その異性体のいずれか又は異性体の任意の混合物、そのN酸化物、プロドラッグ、又は医薬として許容し得る付加塩を提供する。
【化1】


(式中、
nは、0、1、2又は3であり;
Arは、シクロアルキル、フェニル、チエニル、フラニル、ピリジニル及びピラジニルから選択される単環式炭素環又は複素環基を表し、その単環式炭素環又は複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されており;
Arは、フェニル、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル及びピリジニルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ、シアノ及びアミノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されている。)
【0009】
第2の態様において、本発明は、本発明のオキサジアゾール誘導体、又はその医薬として許容し得る付加塩の治療有効量を、少なくとも1種の医薬として許容し得る担体又は希釈剤とともに含む医薬組成物を提供する。
【0010】
別の態様から見ると、本発明は、コリン受容体の調節に応答する、ヒトを含む哺乳類の疾患又は障害又は状態を治療、予防又は緩和するための医薬組成物/医薬品の製造のための本発明のオキサジアゾール誘導体、又はその医薬として許容し得る付加塩の使用に関する。
【0011】
なお別の態様において、本発明は、コリン受容体の調節に応答する、ヒトを含む生きた動物体の疾患、障害又は状態を治療、予防又は緩和するための方法であって、それを必要とする当該生きた動物体に対して、本発明のオキサジアゾール誘導体の治療有効量を投与する工程を含む方法を提供する。
【0012】
本発明の他の目的は、以下の詳細な説明及び実施例を読めば、当業者にとって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
オキサジアゾール誘導体
その第1の態様において、本発明は、式Iのオキサジアゾール誘導体、その異性体のいずれか又は異性体の任意の混合物、そのN酸化物、プロドラッグ、又は医薬として許容し得る付加塩を提供する。
【化2】


(式中、
nは、0、1、2又は3であり;
Arは、シクロアルキル、フェニル、チエニル、フラニル、ピリジニル及びピラジニルから選択される単環式炭素環又は複素環基を表し、その単環式炭素環又は複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されており;
Arは、フェニル、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル及びピリジニルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ、シアノ及びアミノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されている。)
【0014】
好ましい実施形態において、本発明のオキサジアゾール誘導体は、式Iの化合物である。ただし、該化合物は、
3−(5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン;又は
3−(5−(3−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジンでないことを前提とする。
【0015】
好ましい実施形態において、本発明のオキサジアゾール誘導体は、式I(式中、nは、0、1、2又は3である)の化合物である。
【0016】
より好ましい実施形態において、nは、0又は1である。
【0017】
ましてより好ましい実施形態において、nは、0である。
【0018】
いっそうより好ましい実施形態において、nは、1である。
【0019】
別の好ましい実施形態において、本発明のオキサジアゾール誘導体は、式I(式中、
Arは、シクロアルキル、フェニル、チエニル、フラニル、ピリジニル及びピラジニルから選択される単環式炭素環又は複素環基を表し、その単環式炭素環又は複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されている)の化合物である。
【0020】
より好ましい実施形態において、Arは、シクロアルキル、特にシクロプロピルを表す。
【0021】
ましてより他の好ましい実施形態において、Arは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルを表す。
【0022】
別の好ましい実施形態において、Arは、フェニル、チエニル、フラニル、ピリジニル及びピラジニルから選択される芳香族単環式炭素環又は複素環基を表し、その単環式炭素環又は複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されている。
【0023】
より好ましい実施形態において、Arは、フェニル及びナフチルから選択される芳香族単環式炭素環基を表し、その芳香族単環式炭素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されている。
【0024】
ましてより好ましい実施形態において、Arは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は2回場合によって置換されたフェニルを表す。
【0025】
いっそうより好ましい実施形態において、Arは、ハロ、特にフルオロ又はクロロで場合によって置換されたフェニル;ハロアルキル、特にトリフルオロメチル;ハロアルコキシ、特にトリフルオロメトキシ;ニトロ又はシアノを表す。
【0026】
なおより好ましい実施形態において、Arは、フルオロ、クロロ又はニトロで場合によって置換されたフェニルを表す。
【0027】
さらにより好ましい実施形態において、Arは、クロロで場合によって置換されたフェニルを表す。
【0028】
第3の好ましい実施形態において、Arは、チエニル、フラニル、ピリジニル及びピラジニルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その単環式炭素環又は複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されている。
【0029】
より好ましい実施形態において、Arは、チエニル、フラニル、ピリジニル及びピラジニルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その単環式炭素環又は複素環基は、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は2回場合によって置換されている。
【0030】
ましてより好ましい実施形態において、Arは、チエニル、特にチエン−2−イル又はチエン−3−イル;フラニル、特にフラン−2−イル又はフラン−3−イル;ピリジニル、特にピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル又はピリジン−4−イル;及びピラジニル、特にピラジン−2−イルから選択される芳香族単環式複素環基を表す。
【0031】
第3の好ましい実施形態において、本発明のオキサジアゾール誘導体は、式I(式中、Arは、フェニル、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル及びピリジニルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ、シアノ及びアミノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されている)の化合物である。
【0032】
より好ましい実施形態において、Arは、フェニル、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル及びピリジニルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ、シアノ及びアミノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されている。
【0033】
ましてより好ましい実施形態において、Arは、フェニル、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル及びピリジニルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、特にメチル、エチル又はプロピル;シクロアルキル、特にシクロプロピル;ハロ、特にフルオロ又はクロロ;ハロアルキル、特にトリフルオロメチル;ニトロ;シアノ及びアミノからなる群から選択される置換基で1回又は2回場合によって置換されている。
【0034】
いっそうより好ましい実施形態において、Arは、チエニル、フラニル、ピロリル及びピラゾリルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されている。
【0035】
なおより好ましい実施形態において、Arは、フラニル、ピロリル及びピラゾリルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は2回場合によって置換されている。
【0036】
さらにより好ましい実施形態において、Arは、フラニル、ピロリル及びピラゾリルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ又はシアノで場合によって置換されている。
【0037】
いっそうより好ましい実施形態において、Arは、フラニル、ピロリル及びピラゾリルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、特にメチル;又はニトロで場合によって置換されている。
【0038】
いっそうより好ましい実施形態において、Arは、フェニル、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル及びピリジニルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、特にメチル、エチル又はプロピル;ハロ、特にフルオロ又はクロロ;ハロアルキル、特にトリフルオロメチル;ニトロ;シアノ又はアミノで場合によって置換されている。
【0039】
いっそうより好ましい実施形態において、Arは、アルキル、特にメチル、エチル又はプロピル;ハロ、特にフルオロ又はクロロ;ハロアルキル、特にトリフルオロメチル;ニトロ;シアノ又はアミノで場合によって置換されたフェニルを表す。
【0040】
いっそうより好ましい実施形態において、Arは、アルキル、特にメチル、エチル又はプロピル;ハロ、特にフルオロ又はクロロ;ハロアルキル、特にトリフルオロメチル;ニトロ;シアノ又はアミノで場合によって置換されたチエニル又はフラニルを表す。
【0041】
いっそうより好ましい実施形態において、Arは、アルキル、特にメチル、エチル又はプロピル;ハロ、特にフルオロ又はクロロ;ハロアルキル、特にトリフルオロメチル;ニトロ;シアノ又はアミノで場合によって置換されたピロリル又はピラゾリルを表す。
【0042】
いっそうより好ましい実施形態において、Arは、アルキル、特にメチル、エチル又はプロピル;ハロ、特にフルオロ又はクロロ;ハロアルキル、特にトリフルオロメチル;ニトロ;シアノ又はアミノで場合によって置換されたチアゾリル又は1,3,4−チアジアゾリルを表す。
【0043】
いっそうより好ましい実施形態において、Arは、アルキル、特にメチル、エチル又はプロピル;ハロ、特にフルオロ又はクロロ;ハロアルキル、特にトリフルオロメチル;ニトロ;シアノ又はアミノで場合によって置換されたピリジニルを表す。
【0044】
第4の好ましい実施形態において、本発明のオキサジアゾール誘導体は、式I(式中、
nは、0又は1であり;
Arは、シクロアルキル、特にシクロプロピルを表し;
Arは、チエニル、フラニル、ピロリル又はピラゾリルを表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、特にメチル;ハロ、特にフルオロ又はクロロ;ハロアルキル、特にトリフルオロメチル;ヒドロキシル;アルコキシ、特にメトキシ又はエトキシ;ハロアルコキシ、特にトリフルオロメトキシ;ニトロ又はシアノで場合によって置換されている)の化合物である。
【0045】
第5の好ましい実施形態において、本発明のオキサジアゾール誘導体は、式I(式中、
nは、0又は1であり;
Arは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルーアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ又はシアノからなる群から選択される置換基で1回又は2回場合によって置換されたフェニルを表し;
Arは、チエニル、フラニル、ピリジニルを表す)の化合物である。
【0046】
第6の好ましい実施形態において、本発明のオキサジアゾール誘導体は、式I(式中、
nは、0又は1であり;
Arは、チエニル又はフラニルを表し;
Arは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ、シアノ又はアミノで場合によって置換されたチエニル又はフラニルを表す)の化合物である。
【0047】
第7の好ましい実施形態において、本発明のオキサジアゾール誘導体は、式I(式中、
nは、0又は1であり;
Arは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ又はシアノからなる群から選択される置換基で場合によって置換されたピリジニル又はピラジニルを表し;
Arは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ、シアノ及びアミノで場合によって置換されたフェニル、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル又はチアゾリルを表す)の化合物である。
【0048】
第8の好ましい実施形態において、本発明のオキサジアゾール誘導体は、式I(式中、
nは、0であり;
Arは、シクロアルキル、特にシクロプロピルを表し;又は
Arは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択され多置換基で1回又は2回場合によって置換されたフェニルを表し;又は
Arは、チエニル、フラニル、ピリジニル及びピラジニルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その単環式炭素環又は複素環基は、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は2回場合によって置換されており;
Arは、フラニル、ピロリル及びピラゾリルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、特にメチル又はエチル;ハロ、特にフルオロ又はクロロ;ハロアルキル、特にトリフルオロメチル;ヒドロキシル;アルコキシ、特にメトキシ又はエトキシ;ハロアルコキシ、特にトリフルオロメトキシ;ニトロ又はシアノで場合によって置換されている)の化合物である。
【0049】
第9の好ましい実施形態において、本発明のオキサジアゾール誘導体は、式I(式中、
nは、1であり;
Arは、フェニル、チエニル、フラニル、ピリジニル及びピラジニルから選択される芳香族単環式炭素環又は複素環基を表し、その単環式炭素環又は複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されており;
Arは、フラニル、ピロリル及びピラゾリルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、特にメチル又はエチル;ハロ、特にフルオロ又はクロロ;ハロアルキル、特にトリフルオロメチル;ヒドロキシル;アルコキシ、特にメトキシ又はエトキシ;ハロアルコキシ、特にトリフルオロメトキシ;ニトロ又はシアノで場合によって置換されている)の化合物である。
【0050】
第10の好ましい実施形態において、本発明のオキサジアゾール誘導体は、式I(式中、
nは、1であり;
Arは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は2回場合によって置換されたフェニルを表し;
Arは、フラニル、ピロリル及びピラゾリルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、特にメチル又はエチル;ハロ、特にフルオロ又はクロロ;ハロアルキル、特にトリフルオロメチル;ヒドロキシル;アルコキシ、特にメトキシ又はエトキシ;ハロアルコキシ、特にトリフルオロメトキシ;ニトロ又はシアノで場合によって置換されている)の化合物である。
【0051】
最も好ましい実施形態において、本発明のオキサジアゾール誘導体は、
3−シクロプロピル−5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール;
5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−3−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール;
5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−3−(4−フルオロ)−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール;
5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−3−ベンジル−[1,2,4]オキサジアゾール;
5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−3−チオフェン−2−イル−[1,2,4]オキサジアゾール;
2−(5−(5−ニトロ−フラン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン;
3−(5−(3−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン;
3−(5−フラン−2−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン;
3−(5−(5−ニトロ−フラン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン;
3−(5−フラン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン;
3−[5−(1H−ピロール−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
4−(5−フラン−2−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン;
2−[5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピラジン;
3−[5−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
3−[5−(1H−ピラゾール−4−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
3−[5−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
3−[5−(4−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
2−[5−(3−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
3−(5−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン;
3−(3−ピリジン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−6−イル)−ベンゾニトリル;
3−[5−(3−クロロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
3−フェニル−5−(チオフェン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール;
4−[5−(3−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
3−[5−(3−フルオロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
2−[5−(3−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピラジン;
3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール;
3−[5−(2−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
3−[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
3−[3−(3−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−ピリジン;
6−(ピリジン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−ピリジン−2−カルボニトリル;
5−(3−ピリジン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)フラン−2−カルボニトリル;
5−(3−ピリジン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;又は
3−(3−ピリジン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニルアミン;
その異性体のいずれか又は異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容し得る付加塩である。
【0052】
本明細書に記載されている2つ以上の実施形態の組合せも本発明の範囲に含まれるものと考えられる。
【0053】
置換基の定義
本発明の状況において、アルキル基は、一価の直鎖又は分枝の飽和炭化水素鎖を指す。炭化水素鎖は、好ましくは、1個から18個の炭素原子(C1〜18−アルキル)、より好ましくはペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、第三級ペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルを含む、1個から6個の炭素原子を含む(C1〜6−アルキル;低級アルキル)。好ましい実施形態において、アルキルは、ブチル、イソブチル、第二級ブチル及び第三級ブチルを含むC1〜4−アルキル基を表す。本発明の他の好ましい実施形態において、アルキルは、特に、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであってもよいC1〜3−アルキル基を表す。
【0054】
本発明の状況において、シクロアルキル基は、好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを含む3個から7個の炭素原子を含む環状アルキル基(C3〜7−シクロアルキル)を指す。
【0055】
本発明の状況において、シクロアルキル−アルキル基は、以上に定められているシクロアルキル基を指し、そのシクロアルキル基は、やはり以上に定められているアルキル基で置換されている。本発明の好ましいシクロアルキル−アルキル基の例としては、シクロプロピルメチル及びシクロプロピルエチルが挙げられる。
【0056】
本発明の状況において、アルコキシ基は、「アルキル−O−」基を指し、アルキルは、以上に定められている通りである。本発明の好ましいアルコキシ基の例としては、メトキシ及びエトキシが挙げられる。
【0057】
本発明の状況において、シクロアルコキシ基は、「シクロアルキル−O−」基を指し、シクロアルキルは、以上に定められている通りである。
【0058】
本発明の状況において、シアノ−アルキル基は、CNで置換されたアルキル基を指し、アルキルは、以上に定められている通りである。
【0059】
本発明の状況において、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表し、ハロアルキル基は、本明細書に定められているアルキル基を指し、そのアルキル基は、ハロで1回又は複数回置換されている。したがって、トリハロメチル基は、例えばトリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、及び同様のトリハロ置換メチル基を表す。本発明の好ましいハロアルキル基としては、トリハロゲンメチル、好ましくは−CF−が挙げられる。
【0060】
本発明の状況において、ハロアルコキシ基は、本明細書に定められているアルコキシ基を指し、そのアルコキシ基は、ハロで1回又は複数回置換されている、本発明の好ましいハロアルコキシ基としては、トリハロゲンメトキシ、好ましくは−OCF−が挙げられる。
【0061】
本発明の状況において、アリール基は、単環又は多環式芳香族炭化水素基を指す。本発明の好ましいアリール基の例としては、フェニル、インデニル、ナフチル、アズレニル、フルオレニル及びアントラセニルが挙げられる。本発明の最も好ましいアリール基は、フェニルである。
【0062】
本発明の状況において、ヘテロアリール基は、その環構造に1個又は複数個のヘテロ原子を保持する芳香族単又は多環式複素環基を指す。好ましいヘテロ原子としては、窒素(N)、酸素(O)及び硫黄(S)が挙げられる。
【0063】
医薬として許容し得る塩
本発明のオキサジアゾール誘導体を意図する投与に好適な任意の形態で提供することができる。好適な形態としては、本発明の化合物の医薬として(すなわち生理的に)許容し得る塩、及びプレ又はプロドラッグ形態が挙げられる。
【0064】
医薬として許容し得る付加塩の例としては、限定することなく、塩化水素酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコン酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸、桂皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、誘導ナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩及びトルエン−p−スルホン酸塩等の非毒性無機及び有機酸付加塩が挙げられる。当該塩を当該技術分野において知られ、記載されている手順によって形成することができる。
【0065】
本発明の化合物の金属塩としては、カルボキシ基を含む本発明の化合物のナトリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。
【0066】
本発明の状況において、N含有化合物の「オニウム塩」も医薬として許容し得る塩と考えることができる。好ましい「オニウム塩」としては、アルキルオニウム塩、シクロアルキル−オニウム塩、及びシクロアルキルアルキル−オニウム塩が挙げられる。本発明の特に好ましいオニウム塩としては、以下の式I’に従ってN’位に形成されたものが挙げられる。
【化3】

【0067】
異性体
本発明の化合物は、鏡像異性体、ジアステレオ異性体並びに幾何異性体(シス−トランス異性体)を含む異なる立体異性体形態で存在していてもよいことは当業者であれば理解されよう。本発明は、すべての当該異性体、及びラセミ混合物を含むそのあらゆる混合物を含む。
【0068】
ラセミ形態を知られている方法及び技術によって鏡像体に分解することができる。鏡像異性化合物(鏡像異性中間体を含む)を分離する1つの方法は、光学活性アミンを使用すること、及び酸で処理することによりジアステレオマー分解塩を解放することによる。ラセミ体を鏡像体に分解するための他の方法は、光学活性基質上でのクロマトグラフィーに基づくものである。したがって、例えばD−又はL−塩(酒石酸塩、マンデル酸塩又はショウノウスルホン酸塩)の例えば部分結晶化によって、本発明のラセミ化合物をそれらの鏡像体に分解することができる。
【0069】
光学異性体を分解するためのさらなる方法は、当該技術分野で知られている。当該方法としては、Jaques J、Collet A、& Wilen Sの「鏡像異性体、ラセミ体及び分解(Enantiomers,Racemates,and Resolutions)」、John Wiley and Sons、New York(1981)に記載されている方法が挙げられる。
【0070】
光学活性化合物を光学活性出発材料又は中間体から調製することもできる。
【0071】
オキサジアゾール誘導体を製造する方法
本発明のオキサジアゾール誘導体を従来の化学合成法、例えば作業例に記載されている方法によって調製することができる。本願に記載されている方法に対する出発材料は、知られているか、又は市販の化学物質から従来の方法により容易に調製することができる。
【0072】
また、従来の方法を用いて、本発明の1つの化合物を本発明の他の化合物に変換することができる。
【0073】
本明細書に記載されている反応の最終生成物を従来の技術、例えば抽出、結晶化、蒸留クロマトグラフィー等によって単離することができる。
【0074】
生物活性
本発明は、ニコチン受容体の新規のモジュレータを提供することに向けられ、そのモジュレータは、ニコチンアセチルコリン受容体(nAChR)に関連する疾患又は障害の治療に有用である。本発明の好ましい化合物は、ニコチンアセチルコリンα4β2受容体サブタイプの陽性アロステリック調節を示す。
【0075】
それらの薬理学的性質により、本発明の化合物は、中枢神経系(CNS)、末梢神経系(PNS)のコリン系に関連する疾患又は障害、平滑筋収縮に関連する疾患又は障害、内分泌の疾患又は障害、神経変性に関連する疾患又は障害、炎症、疼痛に関連する疾患又は障害、及び化学物質、特にニコチンの乱用の打ち切りによって引き起こされる禁断症状等多岐にわたる疾患又は障害の治療に有用でありうる。
【0076】
好ましい実施形態において、疾患、障害又は状態は、中枢神経系に関するものである。
【0077】
本発明の化合物は、様々な診断法における診断ツール又はモニタリング剤として、そして特にインビボ受容体イメージング(ニューロイメージング)にも有用であり、標識又は非標識形態で使用されうる。
【0078】
別の好ましい実施形態において、疾患、障害又は状態は、認知障害、学習障害、記憶障害及び機能障害、アルツハイマー病、注意欠陥、注意欠陥多動性障害(ADHD)、トゥレット症候群、精神病、鬱病、双極性障害、躁病、躁鬱病、統合失調症、統合失調症に関連する認知又は注意欠陥、強迫性障害(OCD)、パニック障害、神経性食欲不振、過食症及び肥満等の摂食障害、睡眠発作、痛覚、エイズ認知症、老人性認知症、自閉症、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、不安症、非OCD不安障害、痙攣性障害、痙攣、てんかん、神経変性障害、一過性無酸素症、誘発神経変性、神経障害、糖尿病性神経障害、周辺性失読症、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、疼痛、軽度の疼痛、中等度又は重度の疼痛、急性、慢性又は再発性疼痛、偏頭痛によって生じる疼痛、術後疼痛、幻想肢痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、慢性頭痛、中枢性疼痛、糖尿病性神経障害、治療後神経痛又は末梢神経傷害に関連する疼痛、大食症、外傷後症候群、社会的恐怖症、睡眠障害、偽性認知症、ガンザー症候群、月経前症候群、遅発性月経前症候群、慢性疲労症候群、無言症、抜毛癖、時差ぼけ、不整脈、平滑筋収縮、狭心症、早産、下痢、喘息、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、早漏、勃起不全、高血圧症、炎症性障害、炎症性皮膚障害、面皰、酒さ、クローン病、炎症性腸障害、潰瘍性大腸炎、下痢、又はタバコ等のニコチン含有製品、ヘロイン、コカイン及びモルヒネ等のオピオイド、ベンゾジアゼピン及びベンゾジアゼピン様薬物、及びアルコールを含む中毒性物質の使用の打ち切りによって引き起こされる禁断症状である。
【0079】
より好ましい実施形態において、本発明の化合物は、疼痛、軽度又は中等度の疼痛、又は重度の疼痛、急性、慢性又は再発性疼痛、偏頭痛によって生じる疼痛、術後疼痛、幻想肢痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、慢性頭痛、中枢性疼痛、糖尿病性神経障害、治療後神経痛又は末梢神経傷害に関連する疼痛を治療、予防又は緩和するために使用される。
【0080】
別のより好ましい実施形態において、本発明の化合物は、平滑筋収縮、痙攣性障害、狭心症、早産、痙攣、下痢、喘息、てんかん、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、早漏又は勃起不全を治療、予防又は緩和するために使用される。
【0081】
第3のより好ましい実施形態において、本発明の化合物は、神経変性障害、一過性無酸素症又は誘発神経変性を治療、予防又は緩和するために使用される。
【0082】
第4のより好ましい実施形態において、本発明の化合物は、炎症性障害、炎症性皮膚障害、面皰、酒さ、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎又は下痢を治療、予防又は緩和するために使用される。
【0083】
第5のより好ましい実施形態において、本発明の化合物は、糖尿病性神経障害、統合失調症、統合失調症に関連する認知又は注意欠陥、又は鬱病を治療、予防又は緩和するために使用される。
【0084】
第6のより好ましい実施形態において、本発明の化合物は、疼痛、特に神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害、統合失調症及び統合失調症に関連する認知又は注意欠陥、鬱病を治療、予防又は緩和する、並びに禁煙を支援するために使用される。
【0085】
第7のより好ましい実施形態において、本発明の化合物は、中毒性物質、特にタバコ等のニコチン含有製品、ヘロイン、コカイン及びモルヒネ等のオピオイド、ベンゾジアゼピン及びベンゾジアゼピン様薬物、及びアルコールの使用の打ち切りによって引き起こされる禁断症状を治療するために使用される。
【0086】
第8のより好ましい実施形態において、本発明の化合物は、不安症、認知障害、学習障害、記憶障害及び機能障害、アルツハイマー病、注意欠陥、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、ジルドラトゥレット症候群、精神病、鬱病、躁病、躁鬱病、統合失調症、強迫性障害(OCD)、パニック障害、神経性食欲不振、過食症及び肥満等の摂食障害、睡眠発作、痛覚、エイズ認知症、老人性認知症、周辺性神経障害、自閉症、失読症、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、てんかん、大食症、外傷後症候群、社会的恐怖症、睡眠障害、偽性認知症、ガンザー症候群、月経前症候群、遅発性月経前症候群、慢性疲労症候群、無言症、抜毛癖及び時差ぼけを治療するために使用される。
【0087】
第9のより好ましい実施形態において、本発明の化合物は、認知障害、精神病、統合失調症及び/又は鬱病を治療するために使用される。
【0088】
第10のより好ましい実施形態において、本発明の化合物は、痙攣性障害、狭心症、早産、痙攣、下痢、喘息、てんかん、遅発性ジスキネジア、運動亢進、早漏及び勃起不全を含む平滑筋収縮に関連する疾患、障害又は状態を治療するために使用される。
【0089】
第11のより好ましい実施形態において、本発明の化合物は、甲状腺中毒症、褐色細胞腫、高血圧症及び不整脈等の内分泌障害を治療するために使用される。
【0090】
第12のより好ましい実施形態において、本発明の化合物は、一過性無酸素症及び誘発神経変性を含む神経変性障害を治療するために使用される。
【0091】
第13のより好ましい実施形態において、本発明の化合物は、面皰及び酒さ等の炎症性皮膚障害、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎及び下痢を含む炎症性疾患、障害又は状態を治療するために使用される。
【0092】
第14のより好ましい実施形態において、本発明の化合物は、疼痛、軽度、中等度若しくは重度の疼痛、又は急性、慢性若しくは再発性の疼痛、並びに偏頭痛によって生じる疼痛、術後疼痛及び偽肢痛を治療するために使用される。疼痛は、特に、神経障害性疼痛、慢性偏頭痛、中枢性疼痛、糖尿性神経障害、治療後神経痛又は末梢神経傷害に関連する疼痛でありうる。
【0093】
最後に、最も好ましい実施形態において、本発明の化合物は、鬱病、認知、認知症、肥満の治療、又はニコチン中毒によって引き起こされる禁断症状に関連する治療に有用でありうる。
【0094】
この状況において、「治療」は、禁断症状及び禁断の治療、防止、予防及び緩和、並びに中毒性物質の摂取の自発的抑制をもたらす治療を包括する。
【0095】
別の態様において、本発明の化合物は、例えば様々な組織におけるニコチン受容体の識別及び特定のための診断薬として使用される。
【0096】
医薬組成物
別の態様において、本発明は、本発明のオキサジアゾール誘導体の治療有効量を含む新規の医薬組成物を提供する。
【0097】
治療に使用される本発明の化合物を原料化合物の形態で投与することができるが、活性成分を場合によって生理的に許容し得る塩の形態で、1種又は複数種の補助剤、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤及び/又は他の慣習的な医薬助剤とともに医薬組成物で導入するのが好ましい。
【0098】
好ましい実施形態において、本発明は、本発明のオキサジアゾール誘導体、又はその医薬として許容し得る塩又は誘導体を、その1種又は複数種の医薬として許容し得る担体、及び場合によって当該技術分野で知られており、使用されている他の治療及び/又は予防薬成分とともに含む医薬組成物を提供する。担体は、製剤の他の成分と適合し、そのレシピエントにとって有害でないという意味で「許容し得る」ものでなければならない。
【0099】
本発明の医薬組成物を所望の治療法に適応する任意の便利な経路で投与することができる。好ましい投与経路としては、特に錠剤、カプセル、糖衣錠、粉末又は液体形態での経口投与、及び非経口投与、特に皮膚、皮下、筋肉内又は静脈内注射が挙げられる。当業者は、所望の製剤に適した標準的な方法及び従来の技術を用いることによって、本発明の医薬組成物を製造することができる。望まれる場合は、活性成分の持続放出を与えるように構成された組成物を採用することができる。
【0100】
好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物が、ニコチン中毒によって引き起こされる禁断症状の患者を治療することを目的とする場合は、ガム、パッチ、噴霧剤、吸入剤、エアロゾル等の製剤が考えられる。
【0101】
製剤及び投与のための技術に関するさらなる詳細については、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.、ペンシルベニア州Easton)の最新版に見いだすことができる。
【0102】
実際の投与量は、治療されている疾患の性質及び重症度に依存し、医師の裁量に委ねられ、所望の治療効果を得るための本発明の特定の状況に対する投与物の滴定によって異なりうる。しかしながら、現在では、個々の用量当たり約0.1から約500mg、好ましくは約1から約100mg、最も好ましくは約1から約10mgの活性成分を含有する医薬組成物が、治療に好適であると考えられる。
【0103】
活性成分を1日当たり1回又は数回に分けて投与することができる。場合によっては、0.1μg/kg(i.v.)及び1μg/kg(p.o.)の少ない投与量で所望の結果を得ることができる。投与量範囲の上限は、現在では、約10mg/kg(i.v.)及び100mg/kg(p.o.)であると考えられる。好ましい範囲は、約0.1μg/kgから約10mg/kg/日(i.v.)、及び約1μg/kgから約100mg/kg/日(p.o.)である。
【0104】
治療方法
本発明のオキサジアゾール誘導体は、価値あるニコチン及びモノアミン受容体モジュレータであるため、コリン性機能不全を含む一連の病気、並びにnAChRモジュレータの作用に応答する一連の障害の治療に有用である。
【0105】
別の態様において、本発明は、コリン受容体及び/又はモノアミン受容体の調節に応答する、ヒトを含む生きた動物体の疾患又は障害又は状態を治療、予防又は緩和する方法であって、それを必要とするヒトを含む該生きた動物体に対して、本発明のオキサジアゾール誘導体の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0106】
本発明の状況において、「治療」という用語は、治療、防止、予防又は緩和を包括し、「疾患」という用語は、病気、疾患、障害、及び問題の疾患に関連する状態を包括する。
【0107】
本発明に従って考えられる好ましい指示は、以上に記載されたものである。
【0108】
現在のところ、好適な投与量範囲は、例の如く、厳密な投与方式、投与形態、投与に対する指示、関与する被検体、関与する被検体の体重、及びさらに担当の医師又は獣医師の好み及び経験に応じて、毎日0.1から1000ミリグラム、毎日10〜500ミリグラム、特に毎日30〜100ミリグラムである。
【0109】
場合によっては、0.005mg/kg(i.v.)及び0.01mg/kg(p.o.)の少ない投与量で所望の結果を得ることができる。投与量範囲の上限は、約10mg/kg(i.v.)及び100mg/kg(p.o.)である。好ましい範囲は、約0.001から約1mg/kg(i.v.)、及び約0.1から約10mg/kg(p.o.)である。
【実施例】
【0110】
主張されている本発明の範囲をいかなる場合も限定することを意図しない以下の実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0111】
実施例
準備実施例
3−(5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン(化合物1)をAmbinter Screening Library(フランス、パリ、Ambinter)から入手することができ、3−(5−(3−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン(化合物2)をComGenex Inc.(ハンガリー、ブダペスト)から入手することができるが、以下の実施例では、本発明を代表するいくつかの化合物の合成について説明する。
【0112】
空気に敏感な試薬又は中間体を含むすべての反応を窒素下及び無水溶媒中で実施することができる。
【0113】
(実施例1)
【化4】


N−ヒドロキシ−ニコチンアミジン(中間化合物)
ニコチンニトリル(1g;10mmol)及び1.3gの塩酸ヒドロキシルアミン(19mmol)を15mlの水に溶解した。炭酸ナトリウム(2g;24mmol)を10mlの水に含めたものを連続的に添加し、得られた溶液を攪拌し、約70℃で6時間加熱した。次いで、(TLCにより)出発材料が残っていないことを確認し、反応混合物を室温まで冷却し、飽和するまで塩化ナトリウムを添加し、50mlの酢酸エチルで4回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させて固体とした。収量1g(76%)の白色固体粉末。
【0114】
同様に、
N−ヒドロキシ−ベンズアミジン;
N−ヒドロキシ−イソニコチンアミジン;
4−フルオロ−N−ヒドロキシ−ベンズアミジン;
N−ヒドロキシ−チオフェン−2−カルボキサミジン;
N−ヒドロキシ−シクロプロパン−カルボキサミジン;
N−ヒドロキシ−ピラジン−2−カルボキサミジン;
N−ヒドロキシ−2−フェニル−アセトアミジン;
N−ヒドロキシ−ニコチンアミジン;
N−ヒドロキシ−ピリジン−2−カルボキサミジン;及び
N−ヒドロキシ−3−ニトロ−ベンズアミジン
(中間化合物)を製造した。
【0115】
(実施例2)
【化5】


塩化1H−ピロール−2−カルボニル(中間化合物)
窒素下の塩化オキサリル(6.7g;53mmol)を0〜5℃まで冷却し、0.5gのピロール−2−カルボン酸(4mmol)を添加した。反応混合物を室温まで昇温させ、50℃に加熱し、(TLCで制御して)反応が終了するまでこの温度で攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、蒸発させて油とし、残渣をトルエンで洗浄し、乾燥させた。生成物を次の反応等に使用した。
【0116】
同様に、
1H−ピラゾール−4−カルボニルクロリド;
5−ニトロ−フラン−2−カルボニルクロリド;
2−メチル−チアゾール−4−カルボニルクロリド;
ベンゾイルクロリド;
チオフェン−2−カルボニルクロリド;
3−フルオロ−ベンゾイルクロリド;
2−ニトロ−ベンゾイルクロリド;
3−シアノ−ベンゾイルクロリド;
4−ニトロ−ベンゾイルクロリド;
3−クロロ−ベンゾイルクロリド;
3−ニトロ−ベンゾイルクロリド;
チオフェン−2−カルボニルクロリド;
5−ブロモ−チオフェン−2−カルボニルクロリド;
5−ブロモ−フラン−2−カルボニルクロリド;及び
6−ブロモ−ピリジン−2−カルボニルクロリド
(中間化合物)を製造した。
【0117】
(実施例3)
【化6】


3−(5−フラン−2−イル−[1,2,4]−オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン(化合物3.1)
フラン−2−カルボン酸(0.8g;7mmol)を15mlのジクロロメタンに含めたものを0℃まで冷却し、0.76gの1,3−ジクロロヘキシルカルボジミド(4mmol)を徐々に添加した。反応混合物を0〜5℃で2時間攪拌し、濾過した。濾液を蒸発させ、残渣を15mlのピリジンに溶解し、0.43gのN−ヒドロキシ−ニコチンアミジン(3.2mmol)を添加した。(TLCで測定して)反応が終了するまで、反応混合物を加熱還流し、次いで室温まで冷却し、100mlの水に注いだ。沈殿を濾過によって単離し、真空下で乾燥させた。生成物をカラムクロマトグラフィーによって単離した。収量0.23g(15%)。融点110〜114℃。
【0118】
同様に、3−(5−フラン−3−イル−[1,2,4]−オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン(化合物3.2)(融点105〜108℃)を製造した。
【0119】
(実施例4)
【化7】


5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−3−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール(化合物4.1)
N−ヒドロキシ−ベンズアミジン(0.3g;2.1mmol)を10mlの乾燥ピリジンに溶解し、0.5gの塩化5−ニトロ−フラン−2−カルボニル(2.8mmol)を添加した。反応混合物を3時間加熱還流し、室温まで冷却し、50mlの氷/水に注ぎ、生成物を溶液から析出させ、濾過によって単離した。収量0.3g(41%)の黄色固体。融点164〜166℃。
【0120】
同様に、
3−[5−(1H−ピロール−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−ピリジン(化合物4.2);融点200〜203℃;
3−(4−フルオロ−フェニル)−5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール(化合物4.3);融点162〜164℃;
3−ベンジル−5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール(化合物4.4);融点77〜79℃;
5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−3−チオフェン−2−イル−[1,2,4]オキサジアゾール(化合物4.5);融点181〜185℃;
2−{5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル}−ピリジン(化合物4.6);融点190〜191℃;
2−{5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル}−ピラジン(化合物4.7);融点187〜189℃;
3−シクロプロピル−5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール(化合物4.8);融点67〜70℃;
4−{5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル}−ピリジン(化合物4.9);融点157〜160℃;
3−{5−(1H−ピラゾール−4−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル}−ピリジン(化合物4.10);融点219〜221℃;
3−[5−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン(化合物4.11);融点152〜154℃;
3−[5−(4−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン(化合物4.12);融点179〜181℃;
2−[5−(3−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン(化合物4.13);170〜171℃;
3−(5−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン(化合物4.14);融点142〜143℃;
3−(3−ピリジン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−ベンゾニトリル(化合物4.15);融点154〜156℃;
3−[5−(3−クロロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン(化合物4.16);融点122〜123℃;
3−フェニル−5−(チオフェン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール(化合物4.17);融点融点107〜109℃;
4−[5−(3−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン(化合物4.18);融点151〜153℃;
3−[5−(3−フルオロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン(化合物4.19);融点112〜113℃;
2−[5−(3−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピラジン(化合物4.20);融点180〜182℃;
3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール(化合物4.21);融点107〜109℃;
3−[5−(2−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン(化合物4.22);融点104〜105℃;
3−[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン(化合物4.23);融点78〜83℃;
3−[3−(3−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−ピリジン(化合物4.24);融点173〜175℃;
N−[3−(3−ピリジン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニル]−アセトアミド(中間体);
2−ブロモ−6−(3−ピリジン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−ピリジン(中間体);
3−[5−(5−ブロモ−フラン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン(中間体);及び
3−[5−(5−ブロモ チオフェン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン(中間体)
を製造した。
【0121】
(実施例5)
【化8】


3−{5−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル}−ピリジン(化合物5.1)
3−{5−(1H−ピロール−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル}−ピリジン(1g;0.5mmol)を15mlの乾燥THFに含めたものに−70℃で0.18gのナトリウムヘキサメチルジシラジド(1mmol)を添加し、反応混合物を−70℃で30分間攪拌し、0℃で1時間攪拌した。反応混合物を−70℃まで冷却し、0.076gのヨードメタン(0.52mmol)を添加した。反応混合物を−70℃で1/2時間攪拌し、次いで室温で一晩攪拌した。生成物をカラムクロマトグラフィーによって単離した。収量0.04gの黄色固体(37%)。融点108〜109℃。
【0122】
(実施例6)
6−(ピリジン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−ピリジン−2−カルボニトリル(化合物6.1)
2−ブロモ−6−(3−ピリジン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−ピリジン(250mg、0.83mmol)及び80mgのシアン化カリウム(1.24mmol)を15mlのアセトニトリルに含めたものを3回脱ガスし(真空/窒素)、24μlの塩化トリブチルチン(1μmol)をヘプタンに溶解させた溶液を添加し、2.3mgのビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(4.1μmol)及び4mgのビスパラジウムトリス(ジベンジリデンアセトン)(4.1μmol)を添加した。懸濁物を3回脱ガスし、室温で30分間攪拌した。混合物を再び脱ガスし、80℃で17時間加熱した。反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、石油エーテル中の20%酢酸エチルを使用して、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した。収量80mg。融点201〜203℃。
【0123】
同様に、5−(3−ピリジン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フラン−2−カルボニトリル(化合物6.2)(融点141〜144℃)及び5−(3−ピリジン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−チオフェン−2−カルボニトリル(化合物6.3)(融点159〜161℃)を製造した。
【0124】
(実施例7)
3−(3−ピリジン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニルアミン(化合物7.1)
0℃の塩化水素のエタノール(20ml)飽和溶液に対して、0.48gのN−[3−ピリジン−3−イル[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−フェニル]アセトアミド(1.7mmol)を少しずつ添加し、添加後に、反応混合物を室温まで昇温させ、50℃で15時間加熱した。反応混合物を蒸発させて油とし、水を添加した。混合物に飽和重炭酸ナトリウム(水溶液)を添加し、酢酸エチルで抽出し、有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させた油とした。生成物をカラムクロマトグラフィーによって単離した。収量0.2g(48%)。融点161〜163℃。
【0125】
(実施例8)
FLIPRを使用したhα4β2陽性アロステリックモジュレータの特徴付け
この実験は、ヒトニコチンアセチルコリン受容体サブタイプα4β2を発現するヒトHEK細胞における準最大濃度のニコチン(EC20〜30)によって誘発される応答を陽性に調節する本発明の代表的な化合物である(3−(5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン;化合物1)の能力を証明するものである。該能力は、最大ニコチン応答(通常は100μM)に対して相対的に求められる。活性は、以下により詳細に記載されている蛍光画像プレートリーダー(FLIPR)で、蛍光定量法を用いて標準的な検定として求められる。
【0126】
全濃度/応答曲線を作成し、ピーク値に基づいてEC50値を計算する。EC50値(有効濃度)は、応答の大きさが、最大ニコチン制御応答の50%に等しくなるように、ニコチン誘発EC20〜30応答が陽性に調節される試験物質の濃度を表す。最大陽性調節応答は、基準(ニコチン)応答に対して相対的に求められる。
【0127】
この実験の結果を以下の表1に示す。
【表1】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表されるオキサジアゾール誘導体、その異性体のいずれか又は異性体の任意の混合物、そのN酸化物、プロドラッグ、又は医薬として許容し得る付加塩。
【化1】


(式中、
nは、0、1、2又は3であり;
Arは、シクロアルキル、フェニル、チエニル、フラニル、ピリジニル及びピラジニルから選択される単環式炭素環又は複素環基を表し、その単環式炭素環又は複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されており;
Arは、フェニル、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル及びピリジニルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ、シアノ及びアミノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されている。)
【請求項2】
nは、0、1、2又は3である請求項1に記載のオキサジアゾール誘導体。
【請求項3】
nは、0又は1である請求項2に記載のオキサジアゾール誘導体。
【請求項4】
Arは、シクロアルキル、フェニル、チエニル、フラニル、ピリジニル及びピラジニルから選択される単環式炭素環又は複素環基を表し、その単環式炭素環又は複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されている請求項1から3までのいずれか一項に記載のオキサジアゾール誘導体。
【請求項5】
Arは、シクロアルキル、特にシクロプロピルを表す請求項4に記載のオキサジアゾール誘導体。
【請求項6】
Arは、フェニル、チエニル、フラニル、ピリジニル及びピラジニルから選択される芳香族単環式炭素環又は複素環基を表し、その単環式炭素環又は複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されている請求項4に記載のオキサジアゾール誘導体。
【請求項7】
Arは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は2回場合によって置換されたフェニルを表す請求項6に記載のオキサジアゾール誘導体。
【請求項8】
Arは、チエニル、フラニル、ピリジニル及びピラジニルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その単環式炭素環又は複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されている請求項6に記載のオキサジアゾール誘導体。
【請求項9】
Arは、チエニル、フラニル、ピリジニル及びピラジニルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その単環式炭素環又は複素環基は、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ニトロ及びシアノからなる群から選択される置換基で1回又は2回場合によって置換されている請求項8に記載のオキサジアゾール誘導体。
【請求項10】
Arは、フェニル、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル及びピリジニルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ニトロ、シアノ及びアミノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回場合によって置換されている請求項1から9までのいずれか一項に記載のオキサジアゾール誘導体。
【請求項11】
Arは、フェニル、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル及びピリジニルから選択される芳香族単環式複素環基を表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、特にメチル、エチル又はプロピル;ハロ、特にフルオロ又はクロロ;ハロアルキル、特にトリフルオロメチル;ニトロ;シアノ及びアミノで場合によって置換されている請求項10に記載のオキサジアゾール誘導体。
【請求項12】
nは、0又は1であり;
Arは、シクロアルキル、特にシクロプロピルを表し;
Arは、チエニル、フラニル、ピロリル又はピラゾリルを表し、その芳香族単環式複素環基は、アルキル、特にメチル;ハロ、特にフルオロ又はクロロ;ハロアルキル、特にトリフルオロメチル;ヒドロキシル;アルコキシ、特にメトキシ又はエトキシ;ハロアルコキシ、特にトリフルオロメトキシ;ニトロ又はシアノで場合によって置換されている請求項1に記載のオキサジアゾール誘導体。
【請求項13】
3−シクロプロピル−5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール;
5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−3−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール;
5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−3−(4−フルオロ)−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール;
5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−3−ベンジル−[1,2,4]オキサジアゾール;
5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−3−チオフェン−2−イル−[1,2,4]オキサジアゾール;
2−(5−(5−ニトロ−フラン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン;
3−(5−(3−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン;
3−(5−フラン−2−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン;
3−(5−(5−ニトロ−フラン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン;
3−(5−フラン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン;
3−[5−(1H−ピロール−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
4−(5−フラン−2−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン;
2−[5−(5−ニトロ−フラン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピラジン;
3−[5−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
3−[5−(1H−ピラゾール−4−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
3−[5−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
3−[5−(4−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
2−[5−(3−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
3−(5−フェニル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−ピリジン;
3−(3−ピリジン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−6−イル)−ベンゾニトリル;
3−[5−(3−クロロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
3−フェニル−5−(チオフェン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール;
4−[5−(3−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
3−[5−(3−フルオロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
2−[5−(3−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピラジン;
3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール;
3−[5−(2−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
3−[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−ピリジン;
3−[3−(3−ニトロ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−ピリジン;
6−(ピリジン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−ピリジン−2−カルボニトリル;
5−(3−ピリジン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)フラン−2−カルボニトリル;
5−(3−ピリジン−3−イル−[1.2.4]オキサジアゾール−5−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;又は
3−(3−ピリジン−3−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニルアミン;
その異性体のいずれか又は異性体の任意の混合物、又は医薬として許容し得る付加塩である請求項1に記載のオキサジアゾール誘導体。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか一項に記載のオキサジアゾール誘導体、又はその医薬として許容し得る付加塩の治療有効量を少なくとも1種の医薬として許容し得る担体又は希釈剤とともに含む医薬組成物。
【請求項15】
コリン受容体の調節に応答する、ヒトを含む哺乳類の疾患又は障害又は状態の治療、予防又は緩和のための医薬組成物/医薬品を製造するための請求項1から13までのいずれか一項に記載のオキサジアゾール誘導体、又はその医薬として許容し得る付加塩の使用。
【請求項16】
疾患、障害又は状態は、認知障害、学習障害、記憶障害及び機能障害、アルツハイマー病、注意欠陥、注意欠陥多動性障害(ADHD)、トゥレット症候群、精神病、鬱病、双極性障害、躁病、躁鬱病、統合失調症、統合失調症に関連する認知又は注意欠陥、強迫性障害(OCD)、パニック障害、神経性食欲不振、過食症及び肥満等の摂食障害、睡眠発作、痛覚、エイズ認知症、老人性認知症、自閉症、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、不安症、非OCD不安障害、痙攣性障害、痙攣、てんかん、神経変性障害、一過性無酸素症、誘発神経変性、神経障害、糖尿病性神経障害、周辺性失読症、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、疼痛、軽度の疼痛、中等度又は重度の疼痛、急性、慢性又は再発性疼痛、偏頭痛によって生じる疼痛、術後疼痛、幻想肢痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、慢性頭痛、中枢性疼痛、糖尿病性神経障害、治療後神経痛又は末梢神経傷害に関連する疼痛、大食症、外傷後症候群、社会的恐怖症、睡眠障害、偽性認知症、ガンザー症候群、月経前症候群、遅発性月経前症候群、慢性疲労症候群、無言症、抜毛癖、時差ぼけ、不整脈、平滑筋収縮、狭心症、早産、下痢、喘息、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、早漏、勃起不全、高血圧症、炎症性障害、炎症性皮膚障害、面皰、酒さ、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、下痢、又はタバコ等のニコチン含有製品、ヘロイン、コカイン及びモルヒネ等のオピオイド、ベンゾジアゼピン及びベンゾジアゼピン様薬物、及びアルコールを含む中毒性物質の使用の打ち切りによって引き起こされる禁断症状である請求項15に記載の使用。
【請求項17】
コリン受容体の調節に応答する、ヒトを含む生きた動物体の疾患、障害又は状態を治療、予防又は緩和する方法であって、それを必要とする該生きた動物体に対して、請求項1から13までのいずれか一項に記載のオキサジアゾール誘導体の治療有効量を投与する工程を含む方法。

【公表番号】特表2008−539195(P2008−539195A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508201(P2008−508201)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061773
【国際公開番号】WO2006/114400
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】