説明

新規化合物

本発明は式(I)の化合物を特徴とする:R1はアリールまたはヘテロアリールであり;R2およびR4はそれぞれ独立にH、ハロゲン、CN、アルキル、ORa、またはNRaRbであり;R3はH、ハロゲン、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリル、ORa、OC(O)Ra、OC(O)NRaRb、NRaRb、NRaC(O)Rb、NRaS(O)Rb、NRaS(O)2Rb、NRaC(O)NRbRc、NRaC(S)NRbRc、NRaC(NRb)NRcRd、NRaC(O)ORb、S(O)NTRaRt、S(O)2NRSRb、S(O)Ra、S(O)2Ra、C(O)Ra、C(O)ORa、またはC(O)NRaRlであり;R5はHまたはアルキルであり;nは0、1、2、3、4、5、または6であり;Aは0、S、S(O)、S(O)2、またはNWであり;BはNまたはCRCであり;XはO、S、S(O)、S(O)2、NR、またはC(O)であり;Yは共有結合、C(O)、C=NR a、O、S、S(O)、S(O)2、またはNWであり;ZはNまたはCHであり;UおよびVはそれぞれ独立にNまたはCRであり;かつWは0、S、またはNRであり;ただしRa、Rb、Re、およびRdはそれぞれ独立にH、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、またはヘテロシクリルであり;ReはH、アルキル、アリール、アシル、またはスルホニルであり;かつRfはH、アルキル、アリール、アシル、スルホニル、アルコキシル、アミノ、エステル、アミド、CN、またはハロゲンである。化合物はインターロイキン-12過剰産生関連障害を治療するために有用である。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
インターロイキン-12(IL-12)は二つのサブユニット(p35とp40)からなるヘテロ二量体サイトカイン(p70)で、先天性の抵抗性と抗原特異的適応免疫とを橋渡しすることにより、免疫応答において重要な役割を果たす。Trinchieri (1993) Immunol Today 14: 335. 例えば、これは1型Tヘルパー細胞(Th1)応答と、したがって細胞性免疫を促進する。Chan et al. (1991) J Exp Med 173: 869; Seder et al. (1993) Proc Natl Acad Sci USA 90: 10188; Manetti et al. (1993) J Exp Med 177: 1199; and Hsieh et al. (1993) Science 260: 547. IL-12の過剰産生は、過度のTh1応答を引き起こし、インスリン依存性糖尿病、多発性硬化症、慢性関節リウマチ、乾癬、クローン病、または敗血症などの炎症性障害を生じることもある。例えば、Gately et al. (1998) Annu Rev Immunol. 16: 495; and Abbas et al. (1996) Nature 383: 787を参照されたい。したがって、IL-12過剰産生の阻害は前述の疾患を治療する一つのアプローチである。Trembleau et al. (1995) Immunol. Today 16: 383; and Adorini et al. (1997) Chem. Immunol. 68: 175. 例えば、IL-12の過剰産生およびその結果としての過度のTh1型応答は、IL-12産生を調節することにより抑えることができる。炎症性疾患を治療するために、IL-12産生をダウンレギュレートする化合物を用いることができる。Ma et al. (1998) Eur Cytokine Netw 9: 54.
【発明の開示】
【0002】
発明の概要
本発明は、部分的には、IL-12産生を調節することができる新規化合物の発見に基づいている。
【0003】
一つの局面において、本発明は芳香族二環式構造を含む式(I)の化合物を特徴とする:

(UおよびVがそれぞれNであり、Yが共有結合であり、nが0である場合、R3はH、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ORa、OC(O)Ra、OC(O)NRaRb、NRaRb、NRaC(O)Rb、NRaS(O)Rb、NRaS(O)2Rb、NRaC(O)NRbRc、NRaC(S)NRbRc、NRaC(NRb)NRcRd、NRaC(O)ORb、S(O)NRaRb、S(0)2NRaRb、S(O)Ra、S(O)2Ra、C(O)Ra、C(O)ORa、またはC(O)NRaRbであるとの条件で、R1はアリールまたはヘテロアリールであり;R2およびR4はそれぞれ独立にH、ハロゲン、CN、アルキル、ORa、またはNRaRbであり;R3はH、ハロゲン、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリル、ORa、OC(O)Ra、OC(O)NRaRb、NRaRb、NRaC(O)Rb、NRaS(O)Rb、NRaS(O)2Rb、NRaC(O)NRbRc、NRaC(S)NRbRc、NRaC(NRb)NRcRd、NRaC(O)ORb、S(O)NRaRb、S(O)2NRaRb、S(O)Ra、S(O)2Ra、C(O)Ra、C(O)ORa、またはC(O)NRaRbであり;R5はHまたはアルキルであり;nは0、1、2、3、4、5、または6であり;AはO、S、S(O)、S(O)2、またはNReであり;BはNまたはCRfであり;XはO、S、S(O)、S(O)2、NRe、またはC(O)であり;Yは共有結合、C(O)、C=NRa、O、S、S(O)、S(O)2、またはNReであり;ZはNまたはCHであり;UおよびVはそれぞれ独立にNまたはCRであり;かつWはO、S、またはNReであり;ただしRa、Rb、Rc、およびRdはそれぞれ独立にH、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、またはヘテロシクリルであり;ReはH、アルキル、アリール、アシル、またはスルホニルであり;かつRfはH、アルキル、アリール、アシル、スルホニル、アルコキシル、アミノ、エステル、アミド、CN、またはハロゲンである)。前述のいかなる置換基においても、左に示す原子が芳香族二環式構造に最も近いことに留意されたい。また、式(I)の化合物に複数のRa含有置換基がある場合、Ra部分は同じでも異なっていてもよいことに留意されたい。他の同様の状況でも同じ規則が適用される。
【0004】
前述の化合物に関して、これらの化合物のサブセットは、AがNReであり、かつBがNであることを特徴とする。化合物のもう一つのサブセットは、ZがNであり、かつWがOであるか;またはXがNReであるものである。
【0005】
化合物のさらにもう一つのサブセットは、UおよびVがNであるものである。これらの化合物において、AはNReであってもよく、BはNであってもよく、YはNReまたはOであってもよく、ZはNであってもよく、WはOであってもよく、R1はアリールであってもよく、かつR3はハロゲン、CN、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ORa、OC(O)Ra、NRaNRb、NRaC(O)Rb、C(O)ORa、またはC(O)NRaRbであってもよい。いくつかの態様において、R3はアリール、ヘテレオアリール(例えば、ピリジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリミジニル、チアゾリル、インドリル、またはインドリジニル)、アリールオキシル、またはヘテレオアリールオキシルである。いくつかの他の態様において、R1は下記である:

(式中、RgはH、ハロゲン、CN、アルキル、またはアルコキシルであり;Rhはハロゲン(F、Cl、Br、またはI)、CN、ヒドロキシル、アミノ、アルキル(例えば、Me、Et、Pr、またはi-Pr)、アリール、ヘテロアリール、アルコキシル(例えば、OMeまたはOEt)、アリールオキシル、ヘテロアリールオキシル、アシル(例えば、C(O)CH3)、アルコキシカルボニル(例えば、C(O)OCH3)、アルキルカルボンオキシル(例えば、OC(O)CH3)、モノ-もしくはジアルキルアミノカルボニル(例えば、NC(O(CH3)2))、アミジニル(例えば、C(NH)NH2)、ウレアイル(例えば、NHC(O)NH2)、グアナジニル(例えば、NHC(NH)NH2)、スルホニル(例えば、SO2CH3)、またはスルホンアミジル(例えば、SO2NH2)であり;かつmは0、1、2、3、または4である)。
【0006】
前述のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、およびヘテロシクリルは置換および無置換部分の両方を含む。「置換」なる用語は、それぞれ水素原子に置き換わっている、一つまたは複数の置換基(同じでも異なっていてもよい)を意味する。置換基の例には、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、カルボニル、カルバミド、カルバミル、カルボキシル、チオウレイド、チオシアナト、スルホアミド、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルケニル、C1〜C6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリルが含まれるが、これらに限定されることはなく、ただしアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリールシクリル、およびヘテロシクリルはC1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、メルカプト、シアノ、またはニトロで置換されていてもよい。
【0007】
本明細書において用いられる「アルキル」なる用語は、1から6個の炭素原子を含む直鎖または分枝アルキル基を意味する。アルキル基の例には、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(Pr)、イソプロピル(i-Pr)、tert-ブチル、およびn-ペンチルが含まれる。
【0008】
「アルケニル」なる用語は、2から6個の炭素原子を含む直鎖または分枝アルケニル基を意味する。アルケニル基の例には、ビニル、アリル(2-プロペニル)、ジメチルアリル、およびブテニルが含まれる。
【0009】
「アルキニル」なる用語は、2から6個の炭素原子を含む直鎖または分枝アルキニル基を意味する。アルキニル基の例には、エチニルおよびプロパルギルが含まれる。
【0010】
「アリール」なる用語は、少なくとも一つの芳香環を有する炭化水素環構造(単環式または二環式)を意味する。アリール部分の例には、フェニル、ナフチル、およびピレニルが含まれるが、これらに限定されることはない。
【0011】
「ヘテロアリール」なる用語は、少なくとも一つのヘテロ原子(例えば、O、N、またはS)を環構造の一部として含む、少なくとも一つの芳香環を有する炭化水素環構造(単環式または二環式)を意味する。ヘテロアリール部分の例には、ピリジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリミジニル、チアゾリル、インドリル、およびインドリジニルが含まれるが、これらに限定されることはない。
【0012】
「シクリル」および「ヘテロシクリル」なる用語は、4から14個の環原子を有する、部分および完全飽和単環式または二環式構造を意味する。ヘテロシクリル環は一つまたは複数のヘテロ原子(例えば、O、N、またはS)を環の一部として含む。シクリルおよびヘテロシクリル環の例は、シクロヘキサン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、および1,4-オキサゼパンである。
【0013】
もう一つの局面において、本発明は、薬学的に許容される担体と、前述の化合物の少なくとも一つの有効量とを含む薬学的組成物を特徴とする。
【0014】
さらにもう一つの局面において、本発明はIL-12過剰産生関連障害(例えば、慢性関節リウマチ、敗血症、クローン病、多発性硬化症、乾癬、またはインスリン依存性糖尿病)の治療法を特徴とする。この方法は、それを必要とする被検者に、式(I)の化合物(式中、R1はアリールまたはヘテロアリールであり;R2およびR4はそれぞれ独立にH、ハロゲン、CN、アルキル、ORa、またはNRaRbであり;R3はH、ハロゲン、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリル、ORa、OC(O)Ra、OC(O)NRaRb、NRaRb、NRaC(O)Rb、NRaS(O)Rb、NRaS(O)2Rb、NRaC(O)NRbRc、NRaC(S)NRbRc、NRaC(NRb)NRcRd、NRaC(O)ORb、S(O)NRaRb、S(O)2NRaRb、S(O)Ra、S(O)2Ra、C(O)Ra、C(O)ORa、C(O)NRaRbであり;R5はHまたはアルキルであり;nは0、1、2、3、4、5、または6であり;AはO、S、S(O)、S(O)2、またはNReであり;BはNまたはCRfであり;XはO、S、S(O)、S(O)2、NRe、またはC(O)であり;Yは共有結合、C(O)、C=NRa、O、S、S(O)、S(O)2、またはNReであり;ZはNまたはCHであり;UおよびVはそれぞれ独立にNまたはCRであり;かつWはO、S、またはNReであり;ただしRa、Rb、Rc、およびRdはそれぞれ独立にH、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、またはヘテロシクリルであり;ReはH、アルキル、アリール、アシル、またはスルホニルであり;かつRfはH、アルキル、アリール、アシル、スルホニル、アルコキシル、アミノ、エステル、アミド、CN、またはハロゲンである)の有効量を投与する段階を含む。
【0015】
前述の55の化合物の構造を下記の実施例1〜55に示す。
【0016】
前述の化合物は化合物自体、ならびに適当な場合にはそれらの塩およびそれらのプロドラッグを含む。そのような塩は、例えば、化合物上の正に荷電した置換基(例えば、アミノ)とアニオンとの間で形成することができる。適当なアニオンには、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、クエン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、および酢酸イオンが含まれるが、これらに限定されることはない。同様に、化合物上の負に荷電した置換基(例えば、カルボキシル基)はカチオンと塩を形成することができる。適当なカチオンには、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、およびテトラメチルアンモニウムイオンなどのアンモニウムカチオンが含まれるが、これらに限定されることはない。プロドラッグの例には、エステルおよび他の薬学的に許容される誘導体が含まれ、これらは被検者に投与すると前述の化合物を提供することが可能である。
【0017】
加えて、化合物のいくつかは、一つもしくは複数の二重結合、または一つもしくは複数の不斉中心を有する。そのような化合物はラセミ体、互変異性体、ラセミ混合物、単一の鏡像異性体、個々のジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、およびシス-もしくはトランス-またはE-もしくはZ-二重異性体として得られることもある。
【0018】
さらに、前述の化合物はそれらのN-オキシドも含む。「N-オキシド」なる用語は、化合物に一つまたは複数の窒素原子が存在する場合、この窒素原子はN-オキシド型、すなわちN→Oであることを意味する。
【0019】
IL-12過剰産生関連障害の治療において使用するための前述の化合物の一つまたは複数を含む組成物、および前述のとおり使用するための医薬品製造におけるそのような組成物の使用も、本発明の範囲内である。
【0020】
本発明の他の特徴、目的、および利点は、下記の説明および添付の特許請求の範囲を読めば明らかになると思われる。
【0021】
詳細な説明
前述の化合物は、当技術分野において公知の方法、ならびに本明細書に開示する合成経路により調製することができる。例えば、プリン化合物(すなわち、UおよびVはそれぞれNであり、AはNReであり、かつBはNである。U、V、A、BおよびReは発明の概要で定義したとおりである)は、2,4,8-トリクロロプリンを出発原料に用いて調製する。三つのクロロ基は様々な置換基で置き換えることができる。より具体的には、最も反応性の高いクロロ基(すなわち、4位のクロロ)がモルホリノ基で置換されてモルホリノプリンを生成する。モルホリノプリンの一級または二級芳香族アミンとのさらなる反応により、所望の化合物を得る。もう一つの例では、プリン化合物を、4,8-ジクロロプリンをモルホリン、一級もしくは二級アミン、ハロゲン(例えば、臭素)、およびもう一つの一級もしくは二級アミン、またはアリールオキシ物質(例えば、ナトリウムフェノキシド)と逐次反応させることにより合成する。さらにもう一つの例では、発明の概要に記載の化合物を、3,4-ジアミノピリミジンをアリールイソシアネート(例えば、m-トリルイソシアネート)またはアリールジチオイミノカーボネート(例えば、ジメチルN-(m-トリル)-ジチオイミノカーボネート)と反応させることにより調製する。
【0022】
前述の合成系路で用いた化学物質には、例えば、溶媒、試薬、触媒、ならびに保護基および脱保護試薬が含まれる。前述の方法は、本明細書に具体的に記載する段階の前または後のいずれかに、最終的に化合物の合成を可能にするための、適当な保護基を付加または除去する段階もさらに含んでいてもよい。加えて、所望の化合物を得るために、様々な合成段階を別の配列または順序で実施してもよい。適当な化合物を合成する際に有用な合成的化学変換および保護法(保護および脱保護)は、当技術分野において公知であり、例えば、R. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989); T. W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley and Sons (1999); L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994); and L. Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995)およびその後の版に記載されているものが含まれる。
【0023】
このようにして得た化合物は、フラッシュカラムクロマトグラフィ、高性能液体クロマトグラフィ、または結晶化によってさらに精製することができる。
【0024】
発明の概要に記載の化合物の一つまたは複数の有効量と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物も、本発明の範囲内である。さらに、本発明は、そのような化合物の有効量を、IL-12過剰産生関連疾患(慢性関節リウマチ、敗血症、クローン病、多発性硬化症、乾癬、またはインスリン依存性糖尿病)の治療を必要とする被検者に投与する方法も目的とする。「治療」なる用語は、前述の化合物を含む組成物を、IL-12関連疾患、疾患の症状、または疾患の素因を有する被検者に、疾患、疾患の症状、または疾患の素因を治癒、回復、緩和、軽減、変更、治療、寛解、改善、または影響をおよぼす目的で適用または投与することと定義される。「有効量」とは、治療する被検者に治療効果を与えるのに必要な化合物の量を意味する。動物とヒトとの用量の相互関係(体表1平方メートルあたりのミリグラムで)が、Freireich et al., (1966) Cancer Chemother Rep 50: 219に記載されている。体表面積は患者の身長体重から概算することができる。例えば、Scientific Tables, Geigy Pharmaceuticals, Ardley, N.Y., 1970, 537を参照されたい。発明の概要に記載の有効量は、約0.001mg/Kgから約1000mg/Kgの範囲でありうる。また、有効量は、当業者には理解されるとおり、治療する疾患、投与経路、賦形剤の使用、および他の薬剤の使用などの他の治療法を併用する可能性に応じて変動することになる。
【0025】
本発明の方法を実施するために、前述の化合物を、薬学的組成物の一成分として、経口、非経口、吸入噴霧、局所、直腸内、鼻腔内、口腔内、腟内、または植え込み貯留器により投与することができる。本明細書において用いられる「非経口」なる用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液包内、胸腔内、くも膜下腔内、病変内、および頭蓋内注射または注入技術を含む。
【0026】
滅菌注射用組成物、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液は、当技術分野において公知の技術に従い、適当な分散剤または加湿剤(例えば、トゥイーン80など)および懸濁化剤を用いて製剤することができる。滅菌注射用製剤は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよい。用いることができる許容される媒体および溶媒には、マンニトール、水、リンガー溶液および等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌固定油を溶媒または懸濁媒質として慣習的に用いる(例えば、合成モノまたはジグリセリド)。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、オリーブ油またはヒマシ油などの天然の薬学的に許容される油、特にそのポリオキシエチル化体と同様、注射剤の調製において有用である。これらの油溶液または懸濁液は長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤、またはカルボキシメチルセルロースもしくは類似の分散剤も含むことができる。トゥイーンもしくはスパンなどの他の一般に用いられる界面活性剤または薬学的に許容される固体、液体、もしくは他の剤形の製造において一般に用いられる他の類似の乳化剤もしくはバイオアベイラビリティ増強剤も、製剤のために用いることができる。
【0027】
経口投与用組成物は、カプセル剤、錠剤、乳剤および水性懸濁剤、分散剤および液剤を含むが、これらに限定されることはない、いかなる経口的に許容される剤形であってもよい。経口で用いるための錠剤の場合、一般に用いられる担体には乳糖およびトウモロコシデンプンが含まれる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も典型的に加える。カプセル剤での経口投与のために、有用な希釈剤には乳糖および乾燥トウモロコシデンプンが含まれる。水性懸濁剤または乳剤を経口投与する場合、活性成分を油相に懸濁または溶解し、乳化剤または懸濁化剤と組み合わせてもよい。望まれる場合には、特定の甘味料、着香料、または着色料を加えることもできる。鼻腔内エアロゾルまたは吸入組成物は、薬学的製剤の技術分野で公知の技術に従い調製することができ、ベンジルアルコールまたは他の適当な保存剤、バイオアベイラビリティを増強するための吸収促進剤、炭化フッ素、および/または当技術分野において公知の他の可溶化もしくは分散剤を用いて、食塩水中の溶液として調製することができる。本明細書に示す化合物は、直腸内投与用の坐剤の形で投与することもできる。
【0028】
薬学的組成物中の担体は、製剤の活性成分と適合性であり(好ましくは、それを安定化することができ)、かつ治療する被検者に対して有害ではないという意味で「許容される」ものでなければならない。例えば、本明細書に示す化合物と特定の、より溶解性の高い複合体を形成する、シクロデキストリンなどの可溶化剤、または一つもしくは複数の可溶化剤を、化合物を送達するための薬学的賦形剤として用いることができる。他の担体の例には、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、およびD&C Yellow # 10が含まれる。
【0029】
本明細書に示す化合物の生物活性は、いくつかの細胞系(cell-based)アッセイによって評価することができる。そのようなアッセイの一つは、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)またはヒト単球細胞株(THP-1)からの細胞を用いて実施することができる。細胞を、試験化合物存在下、ヒトインターフェロン-γ(IFNγ)とリポ多糖との組み合わせまたはIFNγと黄色ブドウ球菌Cowan Iとの組み合わせで刺激する。IL-12産生の阻害のレベルを、抗ヒトIL-12抗体によるサンドイッチELISAアッセイを用いてp70を定量することにより測定することができる。次いで、試験化合物のIC50を求めることができる。特に、PBMCまたはTHP-1細胞を試験化合物と共にインキュベートする。細胞生存度を、MTS[3-(4,5-ジメチルチアゾル-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム](Promega、マディソン、WI)の生体還元を用いて評価した。
【0030】
前述の化合物は、動物試験により評価することもできる。例えば、そのような試験の一つは、ラットのアジュバント関節炎(すなわち、IL-12過剰産生関連障害)を治療する試験化合物の能力に関連する。
【0031】
これ以上の説明をしなくても、前述の説明は本発明を十分実施可能にすると思われる。したがって、下記の特定の実施例は単なる例示にすぎず、いかなる様式でも本開示の他の部分を限定しないと解釈されるべきである。本明細書において引用される出版物はすべて、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0032】
実施例1. {6-モルホリン-4-イル-2-[2-(ピリジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-9H-プリン-8-イル}-m-トリル-アミンの調製

表題化合物を下記の二つの方法の一つにより合成した:
方法A:
スキーム1

【0033】
上のスキーム1に示すとおり、HOAc(40mL)中の2-[2-(ピリジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-6-ヒドラジノ-4-モルホリノピリミジン(4.98g、15.00mmol、1.00当量)の溶液に、NaN02(1.553g、22.50mmol、1.50当量)を6回に分けて1時間かけて加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、通常の後処理にかけて、6-アジド-2-[2-(ピリジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-4-モルホリノピリミジンを緑色粘稠油状物質で得た(5.0g、14.57mmol、収率97%)。この油状物質をTHF(80mL)に溶解し、10%Pd/炭素(10%Pd/Cで0.775g、0.73mmol、0.05当量)存在下、水素添加にかけ、6-アミノ-2-[2-(ピリジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-4-モルホリノピリミジンを淡黄色固体で得た(4.25g、13.4mmol、全収率89%)。

【0034】
6-アミノ-2-[2-(ピリジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-4-モルホリノピリミジン(1.90g、6.00mmol、1.0当量)をHOAc(8mL)に溶解し、H2O(8mL)を加えた。溶液を0℃に冷却し、NaN02(0.414g、6.00mmol、1.0当量)を加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。水(20mL)を加えてスラリーを希釈し、固体をろ取し、水、EtOAc(2mL)で洗浄し、次いで乾燥して、6-アミノ-2-[2-(ピリジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-4-モルホリノ-5-ニトロソ-ピリミジン(1.47g、4.25mmol、収率85%)を青色固体で得た。ニトロソ化合物(1.385g、4.00mmol、1.0当量)を水(5mL)および十分な2N HClで処理して、澄明な暗青色溶液を生じた。Na2S204(2.79g、16.00mmol、4.0当量)を3回に分けて加え、溶液を室温で1時間撹拌した。得られた澄明黄色溶液を冷2M NaOH溶液で注意深く中和し、EtOAc抽出した。通常の後処理後に5,6-ジアミノ-2-[2-(ピリジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-4-モルホリノピリミジン(0.80g、2.41mmol、60%)を淡黄色固体で得た。

ESMS C15H21N6O3の計算値:332.1;実測値:333.1 (M+H)+
【0035】
5,6-ジアミノ-2-[2-(ピリジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-4-モルホリノピリミジン(0.332g、1.00mmol、1.00当量)およびm-トリルイソシアネート(0.133g、1.00mmol、1.00当量)をTHF(10mL)中で混合し、室温で15時間撹拌した。THFを除去し、残渣をCH3NO2(2mL)中のPOCl3により100℃で30分間処理した。反応混合物を2N NaOHを用いて0℃で中和し、EtOAc抽出した。有機溶液をMgSO4で乾燥し、シリカゲルのプラグを通してろ過し、約2mLまで濃縮し、0℃に冷却すると表題化合物がオフホワイトの結晶として生成し、これをろ取し、EtOAcで洗浄して乾燥した(0.095g、0.212mmol、収率21.2%)。

ESMS C23H26N7O3の計算値:447.2;実測値:448.2 (M+H)+
【0036】
方法B:
スキーム2

【0037】
上のスキーム2に示すとおり、5,6-ジアミノ-2-[2-(ピリジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-4-モルホリノピリミジン(0.166g、0.5mmol、1.00当量)、ジメチルN-(m-トリル)-ジチオイミノカーボネート(0.106g、0.5mmol、1.00当量、m-トルイジン、CS2、NaOHおよびMeIから調製)、ピリジン(0.2mL)、およびTHF(5mL)を密封チューブ内で混合した。NaH(油中60%、0.12g、3mmol、6.0当量)を窒素ガス存在下で加えた。混合物をチューブ内に密封し、100℃で1.5時間加熱した。後処理および精製後に表題化合物を白色固体で単離した(0.090g、0.20mmol、収率40%)。副生成物、6-モルホリン-4-イル-2-[2-(ピリジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-7,9-ジヒドロ-プリン-8-チオンも白色固体で単離した(0.018g、0.048mmol、収率10%)。
【0038】
実施例2. (3-メトキシフェニル)-{6-モルホリン-4-イル-2-[2-(ピリジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-9H-プリン-8-イル}-アミンの調製

表題化合物を、実施例1、方法Aに記載のものと同様の様式で合成し、淡褐色固体として得た。

ESMS C23H24N7O4の計算値:463.2;実測値:462.2 (M-H)-
【0039】
実施例3. {6-モルホリン-4-イル-2-[2-(ピリジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-9Hプリン-8-イル}-p-トリル-アミンの調製

表題化合物を、実施例1、方法Aに記載のものと同様の様式で合成し、淡褐色固体として得た。

ESMS C23H26N7O3の計算値:448.2;実測値:448.2 (M+H)+
【0040】
実施例4. N2-[2-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-エチル]-6-モルホリン-4-イル-N8-p-トリル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物をスキーム3に示す方法で合成した。
スキーム3

【0041】
上のスキーム3に示すとおり、水(25mL)中の2,6-ジクロロプリン(1.90g、10mmol)およびモルホリン(2.34g、30mmol)の混合物を15min加熱還流した。固化した反応混合物を室温まで冷却した。固体をろ過し、水、メタノールおよびエーテルで洗浄した。2-クロロ-6-モルホリン-4-イル-9H-プリンを収率96%で得た(2.30g)。密封チューブ内、窒素雰囲気下で、2-クロロ-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン(1.92g、8mmol)および2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチルアミン(4.35g、24mmol)の混合物を190〜195℃で1時間撹拌した。反応混合物はまず澄明溶液に変わり、次いでスラリーを形成した。反応混合物を室温まで冷却し、メタノール(8mL)で希釈し、固体をろ取し、メタノールおよびEt2Oで洗浄し、乾燥して、[2-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-エチル]-(6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-2-イル)アミンを得た(2.30g、収率74%)。

ESMS C19H24N6O3の計算値:384.19;実測値:385.2 (M+H)+
【0042】
ジオキサン(75mL)中の[2-(3、4-ジメトキシ-フェニル)-エチル]-(6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-2-イル)アミン(1.16g、3mmol)の溶液に、ジオキサン(5mL)中の臭素(0.180mL、3.3mmol)を1時間かけて滴加した。混合物を室温でさらに4時間撹拌し、水(25mL)で希釈し、EtOAcで抽出した。有機相を食塩水、水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させ、固体をメタノールで洗浄して、(8-ブロモ-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-2-イル)-[2-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-エチル]-アミンを白色固体で得た(1.05g、収率75%)。

ESMS C19H23BrN6O3の計算値:462.10;実測値:463.0 (M+H)+
【0043】
密封チューブ内、窒素雰囲気下で、(8-ブロモ-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-2-イル)-[2-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-エチル]-アミン(0.93g、2mmol)およびm-トルイジン(0.86mL、8mmol)の混合物を190〜195℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、メタノール(5mL)で希釈し、固体をろ取し、少量のメタノールおよびEt2Oで洗浄し、乾燥して、N2-[2-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-エチル]-6-モルホリン-4-イル-N8-p-トリル-9H-プリン-2,8-ジアミンを得た(0.76g、収率78%)。

ESMS C26H31N7O3の計算値:489.25;実測値:490.2 (M+H)+
【0044】
実施例5. 6-モルホリン-4-イル-N8-m-トリル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C16H19N7Oの計算値:325.17;実測値:326.1 (M+H)+
【0045】
実施例6. 2-(6-モルホリン-4-イル-8-m-トリルアミノ-9H-プリン-2-イルアミノ)-エタノールの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C18H23N7O2の計算値:369.19;実測値:370.1 (M+H)+
【0046】
実施例7. N2-[2-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-エチル]-6-モルホリン-4-イル-N8-m-トリル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C26H31N7O3の計算値:489.25;実測値:490.2 (M+H)+
【0047】
実施例8. N2-[2-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-エチル]-6-モルホリン-4-イル-N8-p-トリル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C26H31N7O3の計算値:489.25;実測値:490.2 (M+H)+
【0048】
実施例9. 9-メチル-6-モルホリン-4-イル-N8-m-トリル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C17H21N7Oの計算値:339.18;実測値:340.2 (M+H)+
【0049】
実施例10. [2-(3,4-ジメトキシ-ベンジルオキシ)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-8-イル]-p-トリル-アミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C25H28N6O4の計算値:476.22;実測値:477.2 (M+H)+
【0050】
実施例11. N2-(4-メトキシ-フェニル)-N2-メチル-6-モルホリン-4-イル-N8-m-トリル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C24H27N7O2の計算値:445.22;実測値:446.2 (M+H)+
【0051】
実施例12. N2-(4-メトキシ-フェニル)-N2-メチル-9-メチル-6-モルホリン-4-イル-N8-m-トリル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C25H29N7O2の計算値:459.24;実測値:460.2 (M+H)+
【0052】
実施例13. N2-[4-(2-メトキシ-エトキシ)-フェニル]-N2-メチル-6-モルホリン-4-イル-N8-m-トリル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調整

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C26H31N7O3の計算値:489.25;実測地:490.2 (M+H)+
【0053】
実施例14. 4-[2-(6-モルホリン-4-イル-8-m-トリルアミノ-9H-プリン-2-イルアミノ)-エチル]-ベンゼンスルホンアミドの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C24H28N8O3Sの計算値:508.20;実測値:509.2 (M+H)+
【0054】
実施例15. 2-[メチル-(6-モルホリン-4-イル-8-m-トリルアミノ-9H-プリン-2-イル)-アミノ]-エタノールの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C19H25N7O2の計算値:383.21;実測値:384.2 (M+H)+
【0055】
実施例16. 2-[(2-ヒドロキシ-エチル)-(6-モルホリン-4-イル-8-m-トリルアミノ-9H-プリン-2-イル)-アミノ]-エタノールの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C20H27N7O3の計算値:413.22;実測値:414.4 (M+H)+
【0056】
実施例17. 6-モルホリン-4-イル-N2,N8-ジ-m-トリル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物をスキーム4に示す方法により調製した。
【0057】
スキーム4

【0058】
スキーム4に示すとおり、2,8-ジクロロ-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン(412mg、1.5mmol)およびm-トリルアミン(0.97mL、9.0mmol、6当量)の混合物を、N2を充填した密封チューブに加えた。密封チューブを油浴(180℃)に入れた。1.5時間後、密封チューブ内の混合物は固化した。密封チューブを室温まで冷却した後、混合物に酢酸エチル(10mL)を加えた。得られた懸濁液を室温で1時間撹拌した。固体をろ取し、冷メタノール/水(5:1)および酢酸エチルで洗浄した。合計480mgの淡黄色粉末を得た。収率は78%であった。

ESMS C23H25N7Oの計算値:415.21;実測値:416.2 (M+H)+
【0059】
実施例18. 6-モルホリン-4-イル-N2,N8-ジ-o-トリル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C23H25N7Oの計算値:415.21;実測値:416.2 (M+H)+
【0060】
実施例19. 6-モルホリン-4-イル-N2,N8-ジ-p-トリル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C23H25N7Oの計算値:415.21;実測値:416.2 (M+H)+
【0061】
実施例20. N2,N8-ビス-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C25H29N7O5の計算値:507.22;実測値:508.2 (M+H)+
【0062】
実施例21. N2,N8-ビス-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C25H29N7O3の計算値:475.23;実測値:476.2 (M+H)+
【0063】
実施例22. N2,N8-ビス-(3-メトキシ-フェニル)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C23H25N7O3の計算値:447.20;実測値:448.2 (M+H)+
【0064】
実施例23. 6-モルホリン-4-イル-N2,N8-ジ-ピリジン-3-イル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C19H19N9Oの計算値:389.17;実測値:390.1 (M+H)+
【0065】
実施例24. N2,N8-ビス-(3-フルオロ-フェニル)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C21H19F2N7Oの計算値:423.16;実測値:424.1 (M+H)+
【0066】
実施例25. N2,N8-ビス-(4-メトキシ-フェニル)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C23H25N7O3の計算値:447.20;実測値:448.2 (M+H)+
【0067】
実施例26. N2,N8-ビス-(3-エトキシ-フェニル)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C25H29N7O3の計算値:475.23;実測値:476.2 (M+H)+
【0068】
実施例27. N2,N8-ビス-(3,5-ジメチル-フェニル)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C25H29N7Oの計算値:443.24;実測値:444.2 (M+H)+
【0069】
実施例28. 9-メチル-6-モルホリン-4-イル-N2,N8-ジ-m-トリル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C24H27N7Oの計算値:429.23;実測値:430.2 (M+H)+
【0070】
実施例29. 6-モルホリン-4-イル-N2,N8-ジフェニル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C21H21N7Oの計算値:387.18;実測値:388.2 (M+H)+
【0071】
実施例30. 6-モルホリン-4-イル-N2,N8-ビス-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C23H19F6N7Oの計算値:523.16;実測値:524.2 (M+H)+
【0072】
実施例31. N2,N8-ビス-(4-クロロ-フェニル)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C21H19Cl2N7Oの計算値:455.10;実測値:456.0 (M+H)+
【0073】
実施例32. N2,N8-ビス-(4-メトキシ-フェニル)-N2,N8-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-2,8-ジアミン

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C25H29N7O3の計算値:475.23;実測値:476.5 (M+H)+
【0074】
実施例33. 3-ブロモ-4-(6-モルホリン-4-イル-8-m-トリルアミノ-9H-プリン-2-イルアミノ)-ベンゼンスルホンアミドの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C22H23BrN8O3Sの計算値:558.08;実測値:559.0 (M+H)+
【0075】
実施例34. N2-(4-メタンスルホニル-フェニル)-6-モルホリン-4-イル-N8-m-トリル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C23H25N7O3Sの計算値:479.17;実測値:480.2 (M+H)+
【0076】
実施例35. 4-[メチル-(6-モルホリン-4-イル-8-m-トリルアミノ-9H-プリン-2-イル)-アミノ]-ベンゾニトリルの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C24H24N8Oの計算値:440.21;実測値:441.2 (M+H)+
【0077】
実施例36. N2-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-N2,N8-ジ-m-トリル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C25H29N7Oの計算値:443.24;実測値:444.2 (M+H)+
【0078】
実施例37. [2-(4-フルオロ-フェノキシ)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-8-イル]-m-トリル-アミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C22H21FN6O2の計算値:420.17;実測値:421.1 (M+H)+
【0079】
実施例38. (6-モルホリン-4-イル-2-p-トリルオキシ-9H-プリン-8-イル)-m-トリル-アミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C23H24N6O2の計算値:416.20;実測値:417.2 (M+H)+
【0080】
実施例39. (2-クロロ-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-8-イル)-m-トリル-アミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C16H17ClN6Oの計算値:344.12;実測値:345.2 (M+H)+
【0081】
実施例40. 3-(6-モルホリン-4-イル-8-m-トリルアミノ-9H-プリン-2-イルアミノ)-フェノールの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C22H23N7O2の計算値:417.19;実測値418.2 (M+H)+
【0082】
実施例41. 4-(6-モルホリン-4-イル-8-m-トリルアミノ-9H-プリン-2-イルオキシ)-ベンゾニトリルの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C23H21N7O2の計算値:427.18;実測値:428.2 (M+H)+
【0083】
実施例42. [2-(4-メトキシ-フェノキシ)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-8-イル]-m-トリル-アミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C23H24N6O3の計算値:432.19;実測値:433.2 (M+H)+
【0084】
実施例43. N-(6-モルホリン-4-イル-8-m-トリルアミノ-9H-プリン-2-イル)-2-(ピリジン-3-イルオキシ)-アセトアミドの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C23H24N8O3の計算値:460.20;実測値:461.2 (M+H)+
【0085】
実施例44. {6-モルホリン-4-イル-2-[2-(ピリジン-3-イルオキシ)-エトキシ]-9H-プリン-8-イル]-m-トリル-アミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C23H25N7O3の計算値:447.20;実測値:448.5 (M+H)+
【0086】
実施例45. 6-モルホリン-4-イル-N2-(3-フェニル-プロピル)-N8-m-トリル-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C25H29N7Oの計算値:443.24;実測値:444.2 (M+H)+
【0087】
実施例46. N-(6-モルホリン-4-イル-8-p-トリルアミノ-7H-プリン-2-イル)-アセトアミドの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C18H21N7O2の計算値:367.18;実測値:368.2 (M+H)+
【0088】
実施例47. N-2',N-8'-ビス-(3-エチル-フェニル)-6-モルホリン-4-イル-7H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C25H29N7Oの計算値:443.24;実測値:444.1 (M+H)+
【0089】
実施例48. (4-メトキシ-フェニル)-メチル-(6-モルホリン-4-イル-8-m-トリルオキシ-7H-プリン-2-イル)-アミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C24H26N6O3の計算値:446.21;実測値:447.1 (M+H)+
【0090】
実施例49. (2,6-ジ-モルホリン-4-イル-7H-プリン-8-イル)-m-トリル-メタノンの調製

表題化合物をスキーム5に示す方法により合成した。
スキーム5

【0091】
上のスキーム5に示すとおり、2,6-ジクロロピリミジン(1g、5.29mmol)を密封チューブ内のモルホリン(5mL)に溶解した。チューブを120℃で5時間加熱し、次いで室温まで冷却した。水(100mL)を加え、得られた沈殿をろ過し、水洗して、2,6-ジ-モルホリン-4-イル-7H-プリン(1.33g、87%)を得た。2,6-ジ-モルホリン-4-イル-7H-プリン(1.33g、4.58mmol)をDMF(50mL)に溶解した。NaH(0.22g、5.50mmol、油中60%分散液)を加え、反応混合物を室温で30min.撹拌した。塩化2-(トリメチルシリル)エトキシメチル(0.92g、5.50mmol)を滴加し、反応混合物を室温で18h撹拌した。水(200mL)と、次いで酢酸エチル(200mL)を加えた。酢酸エチル抽出物を水(3×100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過して蒸発乾固した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより1:1酢酸エチルから酢酸エチルの勾配で溶出して精製し、2,6-ジ-モルホリン-4-イル-7-(2-トリメチルシラニルエトキシメチル)-7H-プリン(1.51g、収率78%)を得た。

ESMS C19H32N6O3Siの計算値:420.23;実測値:421.2 (M+H)+
【0092】
2,6-ジ-モルホリン-4-イル-7-(2-トリメチルシラニルエトキシメチル)-7H-プリン(266mg、0.63mmol)を無水THF(10mL)に溶解し、-78℃まで冷却した。LDAの溶液(0.38mL、0.76mmol、ヘプタン中2M溶液)を滴加し、次いで反応混合物を-78℃で30min.撹拌した。得られた懸濁液に、THF(5mL)中のm-トリルアルデヒド(114 mg、0.95mmol)を加え、次いで反応混合物を1時間撹拌した。飽和NH4Cl(50mL)を加え、次いで反応混合物を室温まで戻した。THFを減圧下で除去し、次いで酢酸エチル(50mL)を加えた。酢酸エチル層を水(3×50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、次いで蒸発乾固した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。25%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、[2,6-ジ-モルホリン-4-イル-7-(2-トリメチルシラニル-エトキシメチル)-7H-プリン-8-イル]-m-トリル-メタノン(198mg、収率56%)を得た。

ESMS C27H38N6O4Siの計算値:538.27;実測値:539.2 (M+H)+
【0093】
[2,6-ジ-モルホリン-4-イル-7-(2-トリメチルシラニル-エトキシメチル)-7H-プリン-8-イル]-m-トリル-メタノン(185mg、0.34mmol)をエタノール(10mL)および2N HCl(4mL)に溶解した。得られた懸濁液を4時間加熱還流し、次いで室温まで冷却した。2N NaOHで中和した後、エタノールを減圧下で除去し、酢酸エチル(100mL)を加えた。酢酸エチル層を水(3×50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、次いで蒸発乾固した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。25%酢酸エチル/ヘキサン〜酢酸エチル〜10%メタノール/酢酸エチルの勾配で溶出して、(2,6-ジ-モルホリン-4-イル-7H-プリン-8-イル)-m-トリル-メタノン(80mg、収率57%)を得た。

ESMS C21H24N6O3の計算値:408.19;実測値:409.1 (M+H)+
【0094】
実施例50. {2-[(4-メトキシ-フェニル)-メチル-アミノ]-6-モルホリン-4-イル-7H-プリン-8-イル}-m-トリル-メタノンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C25H26N6O3の計算値:458.21;実測値:459.1 (M+H)+
【0095】
実施例51. (4-フルオロ-5,7-ジ-モルホリン-4-イル-1H-s-イル)-m-トリル-アミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C22H26FN5O2の計算値:411.2;実測値:412.1 (M+H)+
【0096】
実施例52. [2-(2-メトキシ-エチル)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-8-イル]-m-トリル-アミンの調製

表題化合物をスキーム6に示す方法により調製した。
スキーム6

【0097】
6-クロロ-2-(2-メトキシ-エチル)-9H-プリン(0.5g、2.4mmol、Crespo and al. (Journal of Medicinal Chemistry, 1998, Vol. 41, No. 21, p. 4024により報告された方法に従って合成した)をモルホリン(1mL、5当量)中、150℃で15分間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、ジクロロメタンと水との間で分配した。有機層を水で2回と、次いで食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、2-(2-メトキシ-エチル)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン(0.46g、75%)をカラムクロマトグラフィにより単離した。
ESMS C12H17N5O2の計算値:263.14;実測値:286.2 (M+23)+
【0098】
DMF(1mL)中の2-(2-メトキシ-エチル)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン(0.46g、1.7mmol)の溶液に、臭素(0.34g、1.2当量)を滴加し、得られた溶液を110℃で30分間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をジクロロメタンに溶解し、水、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥した。残渣をシリカゲル(溶離剤:ジクロロメタン:アセトン:メタノール=3:1:0.25)を通過させて精製し、8-ブロモ-2-(2-メトキシ-エチル)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン(0.42g、70%)を得た。
ESMS C12H16BrN5O2の計算値:341.05;実測値:342.0 (M+1)+
【0099】
きつく蓋をしたフラスコ内でm-トルイジン(0.5mL、3.8当量)中の8-ブロモ-2-(2-メトキシ-エチル)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン(0.42g、1.2mmol)の懸濁液を190℃で15分間加熱した。カラムクロマトグラフィにより[2-(2-メトキシ-エチル)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-8-イル]-m-トリル-アミン(0.36g、81%)をオフホワイトの固体で得た。

ESMS C19H24N6O2の計算値:368.20;実測値:369.1 (M+1)+
【0100】
実施例53. N2,N8-ビス-(3-メチルフェニル)-6-(4-メチルピペリジニル)-9H-プリン-2,8-ジアミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C24H28N8の計算値:428.24;実測値:429.2 (M+H)+
【0101】
実施例54. [2-(2-ベンジルオキシ-エチル)-6-モルホリン-4-イル-9H-プリン-8-イル]-m-トリル-アミンの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C25H28N6O2の計算値:444.23;実測値:445.3 (M+H)+
【0102】
実施例55. 2-(6-モルホリン-4-イル-8-m-トリルアミノ-9H-プリン-2-イル)-エタノールの調製

表題化合物を本明細書に記載の方法により調製した。

ESMS C18H22N6O2の計算値:354.18;実測値:355.2 (M+H)+
【0103】
実施例56. インビトロアッセイ
試薬
黄色ブドウ球菌Cowan I(SAC)はCalbiochem(ラホイヤ、CA)から入手し、リポ多糖(LPS、霊菌)はSigma(セントルイス、MO)から入手した。ヒトおよびマウス組換えIFNγはそれぞれBoehringer Mannheim(マンハイム、ドイツ)およびPharmingen(サンディエゴ、CA)から購入した。
【0104】
ヒトインビトロアッセイ
ヒトPBMCを、Ficoll-Paque(Pharmacia Biotech、ウプサラ、スウェーデン)を用いて遠心沈降により単離し、10%ウシ胎仔血清(FCS)、100U/mLペニシリン、および100μg/mLストレプトマイシンを補足したRPMI培地中で調製した。PBMCを96穴プレートのウェルに5×105細胞/ウェルの濃度で播種し、IFNγ(30U/mL)を加えて22h初回刺激し、LPS(1μg/mL)またはIFNγ(100U/mL)を加えて刺激し、次いでSAC(0.01%)を加えて刺激した。試験化合物をDMSOに溶解し、96穴プレートのウェルに加えた。化合物を加えていない対照を含む、すべての培養物で最終DMSO濃度は0.25%に調節した。ヒトTHP-1細胞をウェルに播種し、IFNγ(100U/mL)を加えて22h初回刺激し、異なる濃度の試験化合物存在下、SAC(0.025%)を加えて刺激した。18h後、サイトカインの測定のために、無細胞上清を採取した。細胞生存度を、MTSの生体還元を用いて評価した。細胞の生存を、化合物処理群と無化合物対照群の吸光度の比を求めることにより評価した。
【0105】
上清をIL-12p40、IL-12p70、またはIL-10の量について、抗ヒト抗体によるサンドイッチELISA、すなわちR & D Systems(バークリー、CA)のヒトIL-12 p40 ELISAキット、およびEndogen(ケンブリッジ、MA)のヒトIL-12 p70またはIL-10 ELISAキットを用いてアッセイした。アッセイは製造者の指示に従って行った。
【0106】
マウスインビトロアッセイ
Balb/cマウス(Taconic、ジャーマンタウン、NY)を結核菌H37Ra-(Difco、トロイト、MI)で免疫化した。脾細胞を5日に回収し、平底96穴プレート内の10%FCSおよび抗生物質を補足したRPMI培地中、1×106細胞/ウェルで調製した。次いで、脾細胞を、試験化合物存在下、IFNγ(60ng/mL)およびSAC(0.025%)[またはLPS(20μg/mL)]の組み合わせで刺激した。24h後、サイトカインの測定のために、無細胞上清を採取した。化合物の調製および脂肪生存度の評価は、前述の通りに行った。マウスIL-12 p70、IL-10、IL-1β、およびTNFαを、EndogenのELISAキットを製造者の指示に従って用いて測定した。
【0107】
本明細書に記載の化合物の生物活性を、ヒトPBMCまたはTHP-1細胞で試験した。試験化合物はすべて活性であった。予想外に、試験化合物のいくつかは<1nMという低いIC50値を有している。
【0108】
実施例57. インビボアッセイ
ラットのアジュバント関節炎の治療:不完全フロイントアジュバントに懸濁させた粉砕熱死滅結核菌H37Raから調製した10mg/mL細菌懸濁液0.1mLを雌ルイスラットに皮内注射(尾の基部)することにより、アジュバント関節炎(AA)を誘導した。ラットに試験化合物を、誘導の翌日から開始して、1日1回12日間経口投与した。多発関節炎の発生を、臨界期(免疫化後10から25日)の間、肉眼精査により毎日監視し、各動物に関節炎指標を割り付けた。
【0109】
多発関節炎の強度を下記のスキームに従って採点した:(a)関節の紅斑、腫脹、および変形に基づき、各足を0から3点で採点する:紅斑または腫脹なし=0;少なくとも一つの関節で腫脹が検出できる=0.5;軽度の腫脹および紅斑=1;足根および手根両方の腫脹および紅斑=2;強直および骨変形=3。4肢すべての最高点はしたがって12であった。(b)体の他の部分について採点する:各耳について、発赤=0.5、結節があればさらに0.5;結合組織の腫脹(鞍鼻)=1;尾の結節または屈曲=1。可能な関節炎指標の最高点は16であった。
【0110】
AAモデルによる実験を4回繰り返した。本明細書に記載の化合物を経口投与すると、良好な再現性で関節炎のスコアを低下させ、多発関節炎の発生を遅延させた。このモデルで用いた関節炎スコアは、監視した構造の炎症状態を反映するもので、したがって結果は試験化合物が病態のこの局面に対して軽減をもたらす能力を有することを示している。
【0111】
ジニトロベンゼンスルホン酸により誘導された炎症性腸症候群モデルラットにおけるクローン病の治療:体重200±20gで、24時間絶食させた、ウィスター由来雄または雌ラットを用いた。遠位結腸炎を2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸(DNBS、0.5mLエタノール中25mg、30%)の結腸内注入により誘導し、その後、空気(2mL)をカニューレからゆっくり注射して、溶液が確実に結腸内に残るようにした。試験化合物および/または媒体を、DNBS注入の24および2時間前と、次いで1日1回5日間経口投与した。一つの対照群は媒体単独で同様に治療したが、他の群は媒体プラスDNBSで治療した。試験化合物の最終投与から24時間後に動物を屠殺し、各結腸を摘出して秤量した。各ラットの結腸-体重の比を次の式に従って算出した:結腸(g)/BW×100。媒体-対照群に対する媒体-対照+DNBS群の比の「正味」の増加を、試験物質治療群との比較の基準として用い、「差し引き%」で表した。本発明の化合物は50%を越える低下を示した。媒体治療対照群に対して、結腸-体重比の30%以上の低下を有意と考えた。
【0112】
CD4+CD45RbhighT細胞-再構成SCID結腸炎モデルマウスにおけるクローン病の治療:脾細胞を正常な雌BALB/cマウスから調製した。細胞の精製のために、下記の抗マウス抗体を用いて非CD4+T細胞:B220 (RA3-6B2)、CD11b (M1/70)、およびCD8α (53-6.72)を標識した。すべての抗体はBioSource(カマリロ、CA)から入手した。M450抗ラットIgG-コーティング磁気ビーズ(Dynal、オスロー、ノルウェー)を用いて抗体を結合し、ネガティブ選択をMPC-1磁気濃縮器を用いて行った。次いで、濃縮されたCD4+細胞を、細胞選別のために、FITC結合CD45RB(16A、Pharmingen、サンディエゴ、CA)およびPE結合CD4(CT-CD4、Caltag、バーリンゲーム、CA)で標識した。CD4+CD45Rbhigh細胞をCD45Rb-染色CD4+細胞の上40%と定義し、無菌条件下、フローサイトメトリーで選別した。回収した細胞をPBS中に4×106/mLで再懸濁し、100μLを雌C.B-17 SCIDマウスに腹腔内注射した。本明細書に記載の化合物および/または媒体を、移動の翌日から開始して、1日1回、1週間に5日間経口投与した。移植したSCIDマウスを1週間に1回秤量し、それらの臨床状態を監視した。
【0113】
結腸組織を10%緩衝化ホルマリンに固定し、パラフィン包埋した。上行、横行、および下行結腸から採取した切片(4μm)を切断し、ヘマトキシリン・エオシンで染色した。結腸炎の重症度を遠位結腸切片の病理検査に基づいて評価し、それにより結腸の炎症の程度を4つの基準それぞれにおいて0〜3点で採点した:陰窩伸長、細胞浸潤、杯状細胞の欠乏、および陰窩膿瘍の数。
【0114】
LPリンパ球を新しく得た結腸標本から単離した。パイエル板の除去後、結腸をCa/Mgを含まないHBSS中で洗浄し、0.5cm片に切断し、EDTA(0.75mM)、DTT(1mM)および抗生物質(Sigmaのアンホテリシン2.5μg/mL、ゲンタマイシン50μg/mL)を含むHBSS中、37℃で15minのインキュベートを2回行った。次に、組織を0.5mg/mLコラゲナーゼD、0.01mg/mL DNアーゼI(Boehringer Manheim)、および抗生物質を含むRPMI中37℃でさらに消化した。次いで、LP細胞を40〜100%Percoll勾配(Pharmacia、ウプサラ、スウェーデン)にのせ、リンパ球を多く含む画分を細胞から40〜100%界面で単離した。
【0115】
サイトカイン産生を測定するために、48穴プレートを炭酸緩衝液(pH9.6)中10μg/mLマウス抗CD3ε抗体(145-2C11)により4℃で終夜コーティングした。次いで、5×105LP細胞を、予備コーティングしたウェル内の完全培地0.5ml中、1μg/mLの可溶性抗CD28抗体(37.51)存在下で培養した。精製抗体はPharmingenから入手した。48h後に培養上清を除去し、サイトカイン産生についてアッセイした。マウスIFNγをEndogen(ケンブリッジ、MA)のELISAキットを製造者の指示に従って用いて測定した。
【0116】
組織学的分析により、本明細書に記載の化合物を経口投与すると、媒体対照に比べて結腸の炎症が低減されることが明らかとなった。抑制効果は用量依存的で、10mg/kgの用量で実質的低下が見られた。結腸-体重比の計算値は組織学的スコアと一致し、試験化合物での治療により減弱を示した。さらに、抗CD3抗体および抗CD28抗体に反応してのLP細胞からのサイトカインの分析により、媒体対照群からのLP細胞は高いレベルのIFNγを産生し、試験物質での治療により産生は大幅に低減することが示された。これらの結果は、クローン病に代表される炎症性腸疾患の治療における試験物質の可能性を明らかに示すものであった。
【0117】
他の態様
本明細書に開示する特徴はすべていかなる組み合わせであってもよい。本明細書に開示する各特徴は、同じ、等価、または類似の目的にかなう別の特徴で置き換えることもできる。したがって、そうではないことが特に明記されていない限り、開示する各特徴は一般的な一連の等価または類似の特徴の例にすぎない。
【0118】
前述の記載から、当業者であれば本発明の基本的特徴を容易に把握することができ、本発明を様々な用途および条件に適合させるために、その精神および範囲から逸脱することなく、これに様々な変更および改変を加えることができる。例えば、本明細書に記載の化合物と構造的に類似の化合物を、調製し、それらのIL-12阻害活性についてスクリーニングし、本発明を実施するために用いることもできる。したがって、他の態様も特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:

(式中
UおよびVがそれぞれNであり、Yが共有結合であり、nが0である場合、R3はH、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ORa、OC(O)Ra、OC(O)NRaRb、NRaRb、NRaC(O)Rb、NRaS(O)Rb、NRaS(O)2Rb、NRaC(O)NRbRc、NRaC(S)NRbRc、NRaC(NRb)NRcRd、NRaC(O)ORb、S(O)NRaRb、S(0)2NRaRb、S(O)Ra、S(O)2Ra、C(O)Ra、C(O)ORa、またはC(O)NRaRbであるとの条件で、
R1はアリールまたはヘテロアリールであり;
R2およびR4はそれぞれ独立にH、ハロゲン、CN、アルキル、ORa、またはNRaRbであり;
R3はH、ハロゲン、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリル、ORa、OC(O)Ra、OC(O)NRaRb、NRaRb、NRaC(O)Rb、NRaS(O)Rb、NRaS(O)2Rb、NRaC(O)NRbRc、NRaC(S)NRbRc、NRaC(NRb)NRcRd、NRaC(O)ORb、S(O)NRaRb、S(O)2NRaRb、S(O)Ra、S(O)2Ra、C(O)Ra、C(O)ORa、またはC(O)NRaRbであり;
R5はHまたはアルキルであり;
nは0、1、2、3、4、5、または6であり;
AはO、S、S(O)、S(O)2、またはNReであり;
BはNまたはCRfであり;
XはO、S、S(O)、S(O)2、NRe、またはC(O)であり;
Yは共有結合、C(O)、C=NRa、O、S、S(O)、S(O)2、またはNReであり;
ZはNまたはCHであり;
UおよびVはそれぞれ独立にNまたはCRであり;かつ
WはO、S、またはNReであり;
ただしRa、Rb、Rc、およびRdはそれぞれ独立にH、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、またはヘテロシクリルであり;ReはH、アルキル、アリール、アシル、またはスルホニルであり;かつRfはH、アルキル、アリール、アシル、スルホニル、アルコキシル、アミノ、エステル、アミド、CN、またはハロゲンである)。
【請求項2】
AがNReであり、かつBがNである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
ZがNである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
WがOである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
XがNReである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
UおよびVがそれぞれNである、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
AがNReであり、かつBがNである、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
ZがNである、請求項6記載の化合物。
【請求項9】
WがOである、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
XがNReである、請求項6記載の化合物。
【請求項11】
AがNReであり、かつBがNである、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
ZがNである、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
WがOである、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
R3がハロゲン、CN、アルキル、アリール、ヘテレオアリール、ORa、OC(O)Ra、NRaNRb、NRaC(O)Rb、C(O)ORa、またはC(O)NRaRbである、請求項12記載の化合物。
【請求項15】
R3がアリール、ヘテレオアリール、アリールオキシル、またはヘテレオアリールオキシルである、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
R3がヘテレオアリールである、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
R3がピリジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリミジニル、チアゾリル、インドリル、またはインドリジニルである、請求項15記載の化合物。
【請求項18】
N-オキシドである、請求項15記載の化合物。
【請求項19】
R1がアリールである、請求項13記載の化合物。
【請求項20】
YがNReである、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
YがOである、請求項19記載の化合物。
【請求項22】
R1が下記である、請求項19記載の化合物:

(式中、RgはH、ハロゲン、CN、アルキル、またはアルコキシルであり;Rhはハロゲン、CN、ヒドロキシル、アミノ、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシル、アリールオキシル、ヘテロアリールオキシル、アシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボンオキシル、モノ-もしくはジアルキルアミノカルボニル、アミジニル、ウレアイル、グアナジニル、スルホニル、またはスルホンアミジルであり;かつmは0、1、2、3、または4である)。
【請求項23】
R1が下記である、請求項22記載の化合物:

【請求項24】
RgがH、F、Cl、Br、I、CN、Me、Et、Pr、i-Pr、OMe、またはOEtである、請求項22記載の化合物。
【請求項25】
下記である、請求項1記載の化合物:





【請求項26】
インターロイキン-12過剰産生関連障害の治療法であって、それを必要とする被検者に、式(I)の化合物:

(式中
R1はアリールまたはヘテロアリールであり;
R2およびR4はそれぞれ独立にH、ハロゲン、CN、アルキル、ORa、またはNRaRbであり;
R3はH、ハロゲン、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリル、ORa、OC(O)Ra、OC(O)NRaRb、NRaRb、NRaC(O)Rb、NRaS(O)Rb、NRaS(O)2Rb、NRaC(O)NRbRc、NRaC(S)NRbRc、NRaC(NRb)NRcRd、NRaC(O)ORb、S(O)NRaRb、S(O)2NRaRb、S(O)Ra、S(O)2Ra、C(O)Ra、C(O)ORa、またはC(O)NRaRbであり;
R5はHまたはアルキルであり;
nは0、1、2、3、4、5、または6であり;
AはO、S、S(O)、S(O)2、またはNReであり;
BはNまたはCRfであり;
XはO、S、S(O)、S(O)2、NRe、またはC(O)であり;
Yは共有結合、C(O)、C=NRa、O、S、S(O)、S(O)2、またはNReであり;
ZはNまたはCHであり;
UおよびVはそれぞれ独立にNまたはCRであり;かつ
WはO、S、またはNReであり;
ただしRa、Rb、Rc、およびRdはそれぞれ独立にH、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、またはヘテロシクリルであり;ReはH、アルキル、アリール、アシル、またはスルホニルであり;かつRfはH、アルキル、アリール、アシル、スルホニル、アルコキシル、アミノ、エステル、アミド、CN、またはハロゲンである)の有効量を投与する段階を含む方法。
【請求項27】
AがNReであり、かつBがNである、請求項26記載の方法。
【請求項28】
ZがNである、請求項26記載の方法。
【請求項29】
WがOである、請求項28記載の方法。
【請求項30】
XがNReである、請求項26記載の方法。
【請求項31】
UおよびVがそれぞれNである、請求項26記載の方法。
【請求項32】
障害が慢性関節リウマチ、敗血症、クローン病、多発性硬化症、乾癬、またはインスリン依存性糖尿病である、請求項26記載の方法。
【請求項33】
AがNReであり、かつBがNである、請求項32記載の方法。
【請求項34】
ZがNである、請求項32記載の方法。
【請求項35】
WがOである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
XがNReである、請求項32記載の方法。
【請求項37】
UおよびVがそれぞれNである、請求項32記載の方法。
【請求項38】
化合物が下記である、請求項26記載の方法:










【公表番号】特表2006−507273(P2006−507273A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545265(P2004−545265)
【出願日】平成15年10月14日(2003.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/032546
【国際公開番号】WO2004/035740
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(504151848)シンタ ファーマシューティカルズ コーポレーション (72)
【Fターム(参考)】