説明

新規方法

本発明は、遊離形または塩形の式(I):


の新規化学化合物、NETおよび/またはSERT介在状態、例えば鬱病、血管運動性症状、例えばのぼせ、ならびにNETおよび/またはSERTが介在する他の疾患または状態の処置におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第60/933,037号(2007年6月4日出願)、および米国仮特許出願第61/033,720号(2008年3月4日出願)の優先権を主張している。両出願の内容は、言及することによって、その全体が組み込まれる。
【0002】
本発明の分野
本発明は、新規のN−メチルピリジンオキシフェニルプロパンアミン類、その医薬組成物およびその使用方法に関する。特に、本発明は、(R)−(−)−N−メチル−3−置換ピリジンオキシ−3−フェニルプロパンアミン類およびその使用に関する。さらに、本発明は、血液脳関門を通過し、ノルエピネフリンおよびセロトニン・トランスポーター(“NET/SERT”)を制御する治療方法に関する。従って、本発明の化合物および組成物は、鬱病、血管運動性症状、例えばのぼせ、および、ノルエピネフリン・トランスポーター(“NET”)および/またはセロトニン・トランスポーター(“SERT”)が介在する他の疾患または状態を処置するのに有用である。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
理論に束縛されることなく、NET、すなわちノルアドレナリン作動性神経終末にシナプス前性に位置する12種の膜貫通蛋白質は、NE再取り込みによって、シナプス性ノルエピネフリン(“NE”)の濃度制御に不可欠な役割を果たすと考えられている(R.D. Blakely et al., J. Exp. Biol., 196:263-281(1994); T. Pacholczyk et al., Nature, 350:350-354(1994); および S.G. Amara et al., Annu. Rev. Neurosci., 16:73-93(1993))。NETは、細胞外スペースからのNEの除去に不可欠であり(J. Axelrod et al., Porg. Brain Res., 31:21-32(1969); H. Bonisch at al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 733:193-202(1994))、抗鬱剤作用の標的である(J.C. Nelso, Psychiatry, 46:1301-1308(1999) および H.J. Moller, J. Clin. Psychiatry, 61(Supp.6):24-27(2000))。
【0004】
多くの抗鬱剤は、セロトニン・トランスポーター(“SERT”)および/またはNETを結合することによって、神経シナプスでのセロトニンおよびノルエピネフリンの濃度を増加させるよう作用する。SERTの鬱病における役割は長く調べられているが、NE系は、近年になって鬱病の処置に重要であると提案された。今までに、三環系抗鬱化合物(“TCA”)およびモノアミンオキシダーゼ阻害剤(“MAOI”)がこの病気のための主要な薬理学的処置を代表していた。このような薬物は、選択性が低く、そして望ましくない副作用を起こす幾つかの他のタイプの受容体と相互作用するという欠点を有している(A.J. Frazer, J. Clin. Psychiatry, 58(Supp.6):9-25(1997))。
【0005】
改善された薬物療法を提供する試みにおいて、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(“SSRI”)、例えばフルオキセチン、ニソキセチン、レボキセチンおよびこれらのアナログ(以下に示す)が、鬱病を処置するために開発された。
【化1】

【0006】
これらの化合物の幾つかは、特定の患者集団に非常に有効である。しかし、その使用は、しばしば副作用、特にその抗コリン作用性が介在すると考えられる副作用によって制限される(R.Valentino et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 697:171-187(1993); R. Mongeau et al., Brain Res. Rev., 23:145-195(1997))。神経活性の単純な増大または減少が、鬱病の主要な原因ではないようである。青斑−ノルエピネフリン系の複雑な脱制御が鬱病において重要な役割を果たす可能性がある (K.J. Ressler et al., Biol. Psychiatry, 46:1219-1233(1999))。研究によって、NE代謝物および受容体集団の変化が顕著に違った(D. Charney, J.Clin. Psychiatry, 59:11-14(1998); B. Leonard, J. Psychopharmacol., 11:s39-s47(1997); A. Schatzberg et al., “Psychopharmacology: The Fourth Generation of Progress”, pp. 911-920(1995))。
【0007】
鬱病に加えて、NETの役割は、近年、体温調節機能不全、例えば自然に、化学的にまたは外科的に誘発された閉経期の女性が経験する血管運動性症状、例えばのぼせに関連付けられている。のぼせの生理学は今日でも理解が不十分であるが、研究によって、脳における視索前視床下部中のノルエピネフリン濃度の増大の、のぼせとの関連が明らかとなった。さらに、体温調節におけるノルエピネフリン(NE)およびセロトニン(5−HT)の役割を支持する証拠もある。従って、ノルエピネフリン濃度を調節する化合物は、血管運動性症状の処置に有用である。
【0008】
特定の輸送系をマッピングするための選択的陽電子放射型断層撮影(“PET”)および/または単一光子放射型コンピュータ断層撮影(“SPECT”)放射性リガンドのなどの新規の画像診断ツールの有用性は、鬱病の分野の理解を著しく進めた。これらは、同様に、他のNET/SERT介在障害、例えば不快(dysphoria)、不安症、睡眠障害、胃運動性障害、性機能障害、脳外傷、記憶喪失、食欲障害、過食症、肥満、物質乱用、アルコール依存症、タバコ中毒、強迫症、パニック障害、月経前症候群、偏頭痛、双極性障害、線維筋痛症、ならびに、血管運動性症状、例えば、のぼせ、特に不安症および鬱病の理解においても有用である。PETおよびSPECTは、ヒトの脳における神経伝達系の直接的な研究および定量化を可能とし、精神病をよりよく理解させる。これらの標的特異的放射トレーサーは、抑鬱性疾患のための治療薬の開発を容易にし、治療投与量を最適化し、処置の効果をモニターする。多くの古くからの抗鬱剤(例えばデシプラミン)および新しい抗鬱剤(例えばレボキセチン)の脳における作用部位として、NETの重要性が高いと認識されているにもかかわらず、また、たとえNETが、ADHD、薬物乱用および鬱病の病態生理学および処置に関連していると長く認識されていたとしても、PETまたはSPECTの何れかによって、中枢神経系(“CNS”)において、NETをin vivoで造影するための放射性トレーサーを開発する試みは、それに対してほとんど為されていなかった(Wilson et al., Nuclear Medicine and Biology, 30:85-92(2003))。
【0009】
Hake et al., Nucl. Med. Biol., 16:771-774(1989)は、[11C]ニソキセチンの合成を報告しており、それが、マウスにおいて中程度しか特異的結合しないことを証明している。Kung et al., Eur. J. Nucl. Med. Molecular Imaging, 26:844-853(1999)は、トモキセチンのヨウ素化誘導体を合成し、それが、ラットの脳において、in vivoで飽和結合の度合いが低く、また、肺取り込みが非常に多いことを示した。Chumpradit et al., J. Med. Chem., 35:4492-4497(1992)、および、Koch et al., Neuropeychopharmacology 27:949-959(2002)は、in vitroで、フルオキセチンの(R)誘導体が、対応する(S)誘導体よりも、NE取り込み部位に対して高い親和性を有することを証明した。Stolin et al., Chirality, 7:285-289(1995)は、レボキセチンの(S,S)エナンチオマーが、その(R,R)エナンチオマーよりも、ラットの視床下部シナプトソームにおけるNE取り込みの阻害において、強力であることを示した(それぞれIC50 3.6nMおよび85nM)。Ding et al., Synapse 50:345-352(2003)は、ヒヒの脳および末梢臓器におけるNET系のPET造影試験のための放射性リガンドとしてのレボキセチンメチルアナログ[11C]MRBの個々のエナンチオマーの評価を報告している。しかし、この結果は、in vivoにおける高い非特異的結合のために最適化されなかった。MRBトレーサーはまた、低濃度のNETを含む領域である線条体において、予測されない高い取り込みを示し、NET以外の部位への幾らかの結合が疑われる。Van Dort et al., Nuclear Medicine and Biology, 24:707-711(1997)は、[11C]デシプラミンの放射合成を報告しているが、未だin vivoデータは公表されていない。
【0010】
中程度の親油性と高い結合親和性を有するNET/SERTリガンドに対する要請が存在する。NETに対するニソキセチンの親和性は高いが、その親油性も望ましくない程高く、logP>3.5である。
【発明の概要】
【0011】
本発明の概要
本発明は、例えば、鬱病(大鬱病性障害、気分変調症、抑鬱気分を伴う適応障害、および双極性障害に関連する鬱病を含む)、不快、不安症、睡眠障害、胃運動性障害、性機能障害、脳外傷、記憶喪失、食欲障害、過食症、肥満、物質乱用、アルコール依存症、タバコ中毒、強迫症、パニック障害、月経前症候群、偏頭痛、双極性障害、線維筋痛症、および、自然に、外科的にまたは医学的に誘発された閉経期または男性更年期症状、例えば血管運動性症状、例えばのぼせを処置するための、遊離形または塩形の式(I):
【化2】

の化合物、および、NET/SERTモジュレーター、例えばNET/SERT阻害剤としてのその使用を目的としている。式(I)の化合物は、特に、不安症、鬱病および血管運動性症状、例えばのぼせの処置に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の詳細な説明
本発明の化合物は、遊離形または塩形の、式(I):
【化3】

[式中、
X、YおよびZの1つがNであり;他の2つがCHまたはC(R)であり;
Rは、H、ハロ、NO、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたは−N(C0−6アルキル)(C0−6アルキル)であり;
nは、0、1または2である。]
によって表される。
【0013】
一つの局面において、本発明の化合物は、XがNである、式(I)によって表される化合物である。
【0014】
この局面の一つの態様において、本発明の化合物は、XがNであり;nが1であり;Rがメチルである、式(I)によって表される化合物である。
【0015】
この局面の別の態様において、本発明の化合物は、XがNであり;nが0である、式(I)によって表される化合物である。
【0016】
この局面のさらに別の態様において、本発明の化合物は、XがNであり;nが1であり;Rが−NH(CH)である、式(I)によって表される化合物である。
【0017】
第2の局面において、本発明の化合物は、YがNである式(I)によって表される化合物である。
【0018】
第2の局面の一つの態様において、本発明の化合物は、YがNであり;nが1であり;Rがメチルである、式(I)によって表される化合物である。
【0019】
第2の局面の別の態様において、本発明の化合物は、YがNであり;nが0である、式(I)によって表される化合物である。
【0020】
第2の局面のさらに別の態様において、本発明の化合物は、YがNであり;nが1であり;Rがハロである、式(I)によって表される化合物である。
【0021】
第2の局面の一つの態様において、本発明の化合物は、YがNであり;nが1であり;Rが−NH(CH)である、式(I)によって表される化合物である。
【0022】
第2の局面の一つの態様において、本発明の化合物は、YがNであり;nが2であり;Rがメチルおよびハロである、式(I)の化合物によって表される化合物である。
【0023】
第2の局面の一つの態様において、本発明の化合物は、YがNであり;nが1であり;RがNOである、式(I)によって表される化合物である。
【0024】
第3の局面において、本発明の化合物は、ZがNである、式(I)によって表される化合物である。
【0025】
第3の局面の一つの態様において、本発明の化合物は、ZがNであり;nが0である、式(I)によって表される化合物である。
【0026】
第4の局面において、本発明の化合物は、XがNである式(I)の化合物の塩酸塩である。
【0027】
第4の局面の一つの態様において、本発明の化合物は、XがNであり;nが1であり;Rがメチルである、式(I)の化合物の塩酸塩である。
【0028】
第4の局面の別の態様において、本発明の化合物は、XがNであり;nが0である、式(I)の化合物の塩酸塩である。
【0029】
第4の局面のさらに別の態様において、本発明の化合物は、XがNであり;nが1であり;Rが−NH(CH)である、式(I)の化合物の塩酸塩である。
【0030】
第5の局面において、本発明の化合物は、YがNである、式(I)の化合物の塩酸塩である。
【0031】
第5の局面の一つの態様において、本発明の化合物は、YがNであり;nが1であり;Rがメチルである、式(I)の化合物の塩酸塩である。
【0032】
第5の局面の別の態様において、本発明の化合物は、YがNであり;nが0である、式(I)の化合物の塩酸塩である。
【0033】
第5の局面のさらに別の態様において、本発明の化合物は、YがNであり;nが1であり;Rがハロである、式(I)の化合物の塩酸塩である。
【0034】
第5の局面の一つの態様において、本発明の化合物は、YがNであり;nが1であり;Rが−NH(CH)である、式(I)の化合物の塩酸塩である。
【0035】
第5の局面の一つの態様において、本発明の化合物は、YがNであり;nが2であり;Rがメチルおよびハロである、式(I)の化合物の塩酸塩である。
【0036】
第5の局面の一つの態様において、本発明の化合物は、YがNであり;nが1であり;RがNOである、式(I)の化合物の塩酸塩である。
【0037】
第6の局面において、本発明の化合物は、ZがNである、式(I)の化合物の塩酸塩である。
【0038】
第6の局面の一つの態様において、本発明の化合物は、ZがNであり;nが0である、式(I)の化合物の塩酸塩である。
【0039】
別の局面において、本発明の化合物は、次に示す化合物であり得る:
1.1 XがNである、式(I)の化合物;
1.2 YがNである、式(I)の化合物または1.1の化合物;
1.3 ZがNである、式(I)の化合物あるいは1.1または1.2の化合物;
1.4 X、YおよびZの1つがNであり、他の2つがC(R)である、式(I)の化合物または1.1〜1.3の何れかの化合物;
1.5 nが0である、式(I)の化合物または1.1〜1.4の何れかの化合物;
1.6 nが1である、式(I)の化合物または1.1〜1.4の何れかの化合物;
1.7 nが2である、式(I)の化合物または1.1〜1.4の何れかの化合物;
1.8 Rが、H、ハロ、NO、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたは−N(C0−6アルキル)(C0−6アルキル)である、式(I)の化合物または1.1〜1.7の何れかの化合物;
1.9 RがC1−6アルキル(例えばメチル)である、式(I)の化合物または1.1〜1.8の何れかの化合物;
1.10 Rがメチルである、式(I)の化合物または1.1〜1.9の何れかの化合物;
【0040】
1.11 Rが水素である、式(I)の化合物または1.1〜1.10の何れかの化合物;
1.12 Rが−N(C0−6アルキル)(C0−6アルキル)である、式(I)の化合物または1.1〜1.11の何れかの化合物;
1.13 Rが−NH(CH)である、式(I)の化合物または1.1〜1.12の何れかの化合物;
1.14 Rがハロである、式(I)の化合物または1.1〜1.13の何れかの化合物;
1.15 Rがブロモである、式(I)の化合物または1.1〜1.14の何れかの化合物;
1.16 Rがクロロである、式(I)の化合物または1.1〜1.14の何れかの化合物;
1.17 Rがフルオロである、式(I)の化合物または1.1〜1.14の何れかの化合物;
1.18 Rがヨードである、式(I)の化合物または1.1〜1.14の何れかの化合物;
1.19 Rが、独立して、メチルおよび/またはハロ(例えば4−メチルおよび2−ヨード置換)である、式(I)の化合物または1.1〜1.10または1.14〜1.18の何れかの化合物;
1.20 RがC1−6アルコキシである、式(I)の化合物または1.1〜1.19の何れかの化合物;
1.21 Rがメトキシである、式(I)の化合物または1.1〜1.19の何れかの化合物;
1.22 RがNOである、式(I)の化合物または1.1〜1.19の何れかの化合物;
1.23 オキシ(−O−)基を有するキラル炭素が(R)絶対配置を有する、式(I)の化合物または1.1〜1.22の何れかの化合物;
1.24 オキシ(−O−)基を有するキラル炭素が(S)絶対配置を有する、式(I)の化合物または1.1〜1.22の何れかの化合物;
1.25 一方のエナンチオマーでエナンチオマー的に富化された(例えばオキシ(−O−)基を有するキラル炭素の絶対配置が優先的に(R)であるか、または優先的に(S)である)化合物、例えば、一方のエナンチオマーについて60%eeより高い、好ましくは75%eeより高い、より好ましくは85%eeより高い、さらにより好ましくは95%eeより高い、最も好ましくは98%eeより高いエナンチオマー過剰率(ee)を有する、式(I)の化合物または1.1〜1.24の何れかの化合物;
1.26 (R)エナンチオマーでエナンチオマー的に富化された、例えば(R)エナンチオマーについて60%eeより高い、より好ましくは75%eeより高い、さらにより好ましくは85%eeより高い、さらにより好ましくは95%eeより高い、最も好ましくは98%eeより高いeeを有する、式(I)の化合物または1.1〜1.25の何れかの化合物;
1.27 (S)エナンチオマーでエナンチオマー的に富化された、例えば(S)エナンチオマーについて60%eeより高い、より好ましくは75%eeより高い、さらにより好ましくは85%eeより高い、さらにより好ましくは95%eeより高い、最も好ましくは98%eeより高いeeを有する、式(I)の化合物または1.1〜1.25の何れかの化合物;
1.28 塩酸塩である、式(I)の化合物または1.1〜1.27の何れかの化合物;
1.29 下記のノルエピネフリン結合アッセイにおいて、10,000nM未満、好ましくは2,000nM未満、さらにより好ましくは100nM未満、最も好ましくは15nM未満のKを有する、先に記載した何れかの化合物。
【0041】
従って、本発明は、遊離形または塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の化合物を目的とする。好ましい態様において、本発明の化合物は、(R)エナンチオマーで富化されている。さらに別の好ましい態様において、本発明の化合物は、(S)エナンチオマーで富化されている。さらに別の好ましい態様において、式(I)の化合物は、表1Aに挙げられた遊離形または塩形の実施例6、7、8、12、16および21の化合物から選択される。特定の態様において、該化合物は、塩酸塩の形態である。
【0042】
ここで用いられるとき、本明細書中の略号は、次に示す通りである。
“NE”はノルエピネフリンを言う。
“NET”は、ノルエピネフリン・トランスポーターを言う。
“SERT”は、セロトニン・トランスポーターを言う。
“NET/SERT”は、ノルエピネフリンおよび/またはセロトニン・トランスポーターを言う。
“NRI/SRI”は、ノルエピネフリン/セロトニン再取り込み阻害剤を言う。
“TCA”は、三環系抗鬱剤を言う。
“MAOI”は、モノアミンオキシダーゼ阻害剤を言う。
“SSRI”は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤を言う。
“5−HT”は、セロトニンを言う。
“VMS”は、血管運動性症状を言う。
“PET”は、陽電子放射型断層撮影を言う。
“SPECT”は、光子放射型コンピュータ断層撮影を言う。
“ee”はエナンチオマー過剰率を言う。
【0043】
“nが2である”とき、式(I)の化合物は、ヘテロアリール基上にて二置換されており、Rは、互いに独立していることを意図している。また、Rは、環上の可能性のある何れの位置で置換されていてもよい。例えば、XがNであり;nが2であり、Rがメチルまたはハロであるとき、式(I)の化合物は、
【化4】

であり得る。XがNであり;nが2であり、Rがメチルおよびハロであるとき、式(I)の化合物は、例えば
【化5】

であり得る。
【0044】
用語“アルキル”は、直鎖および分枝鎖のアルキル基を含む。個々のアルキル基、例えば“プロピル”という記載は、直鎖のもののみに特定され、個々の分枝鎖のアルキル基、例えば‘イソプロピル’という記載は、分枝鎖のもののみに特定される。例えば、“C1−6アルキル”は、C1−4アルキル、C1−3アルキル、プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルを含む。同様の取り決めは他の基に適用され、例えば“フェニルC1−6アルキル”は、フェニルC1−4アルキル、ベンジル、1−フェニルエチルおよび2−フェニルエチルを含む。“Cアルキル”は、Cアルキルが末端であるとき水素末端を言い、“Cアルキル”が架橋(結合)しているとき直接結合を言う。用語“C0−6アルキル”は、例えば、“C1−6アルキル”の定義の範囲に“Cアルキル”を加えたものを言う。従って、“C1−6アルキル”について許容される置換基は、“C0−6アルキル”の範囲内の“C1−6アルキル”について許容されると理解される。
【0045】
用語“ハロ”は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを言う。
【0046】
所望の置換基が、例えば“1〜5個の独立した”置換基が、置換基のリストから選択されるとき、この定義は、全ての置換基がリスト中の1個の特定の基から選択されるか、または複数の置換基がリスト中の2個以上の特定の基から選択される場合を含むと理解されるべきである。置換基が分子(親)の名前を用いて再度引用されるとき、置換基は、当該親分子の基であると理解される。
【0047】
“C1−6アルコキシ”は、−O−C1−6アルキルを言う。“C1−6アルコキシ”の例は、メトキシ、エトキシおよびプロポキシを含む。
【0048】
“−(C0−6アルキル)−N(C0−6アルキル)(C0−6アルキル)”の例は、メチルアミノ、エチルアミノ、ジ−N−メチルアミノ、ジ−(N−エチル)アミノおよびN−エチル−N−メチルアミノを含むと理解されるべきである。
【0049】
本発明の化合物の塩は、例えば、本発明の化合物が十分に塩基性であれば本発明の化合物の酸付加塩であり、例えば、無機酸または有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸またはマレイン酸との酸付加塩である。さらに、本発明の化合物が十分に酸性であれば、本発明の化合物の塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩またはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩またはマグネシウム塩、アンモニウム塩であるか、あるいは、生理学的に許容されるカチオンを与える有機塩基との塩、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリンまたはトリス(2−ヒドロキシエチル)アミンとの塩である。本発明の化合物は、医薬として使用することを意図しており、従って、薬学的に許容される塩が好ましい。薬学的な使用に不適切な塩は、例えば、遊離形の本発明の化合物の単離または精製に有用である可能性があり、そのため、これらもまた含まれる。結果として、本発明は、医薬として適切な塩および不適切な塩を含む、遊離形または塩形の新規の式(I)の化合物を包含する。
【0050】
特定の式(I)の化合物は、溶媒和物、例えば水和物、および非溶媒和物として存在できると理解されるべきである。本発明は、NET制御活性を有する全ての溶媒和物の形態を含むと理解されるべきである。
【0051】
さらに、式(I)の化合物は、種々の立体異性体の形態およびその混合物で存在できると理解される。本発明は、全てのこのような形態およびその混合物、エナンチオマーおよびキラルを包含する。本発明で用いられる用語“エナンチオマーの”、“エナンチオマー的に富化された”、または“エナンチオマーとして純粋な”形態は、実質的に、一方のエナンチオマーで富化されていること、すなわち、オキシ(−O−)基を有するキラル炭素の絶対配置が優先的に(R)であるかまたは優先的に(S)であることを意味し、例えば(R)または(S)エナンチオマーの何れかについて、60%eeより高い、好ましくは75%eeより高い、より好ましくは85%eeより高い、さらにより好ましくは95%eeより高い、最も好ましくは98%eeより高い、エナンチオマー過剰率(ee)を有する化合物を意味する。用語“エナンチオマー過剰率”は、当業者に周知の用語であり、当業者によって決定され得る。
【0052】
(R)または(S)絶対配置を有するオキシ(−O−)基を有するキラル炭素とは、下記の立体配置を言う:
【化6】

【0053】
可変基の特定の基は、次に示す通りである。このような基は、適当であれば本明細書の前記または後記で定義された定義、請求項、または態様の何れかと共に用いられ得る。
【0054】
別の局面において、本発明は、遊離形または塩形の、該可変基が下記に示した通りである、上記の式(I)によって表される化合物の何れかを含む:
【表1】

【0055】
好ましい態様において、式(I)の化合物は、遊離形または塩形の、表1Aに挙げた実施例6、7、8、12、16および21の化合物から選択される。別の好ましい態様において、実施例6、7、8、12、16および21の化合物は、(R)エナンチオマーで富化されている。さらに別の好ましい態様において、実施例6、7、8、12、16および21の化合物は、(S)エナンチオマーで富化されている。特に好ましい態様において、式(I)の化合物は、遊離形または塩形の、表1Bに挙げた実施例6(R)、6(S)、12、12(R)、16(R)、16(S)および21の化合物から選択される。また、別の好ましい態様において、式(I)の化合物は、塩酸塩の形態である。
【0056】
本発明のさらなる局面に従って、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせた、前に定義した遊離形またはその薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物を含む、医薬組成物が提供される。
【0057】
該組成物は、例えば錠剤またはカプセル剤として経口投与に適切な形態であっても、滅菌処理された溶液、懸濁液またはエマルジョンとして非経腸投与(静脈内、皮下、筋肉内、血管内注射、または点滴を含む)に適切な形態であっても、軟膏またはクリームとして局所投与に適切な形態であっても、あるいは、坐剤として直腸投与に適切な形態であってもよい。
【0058】
一般的に、上記の組成物は、慣用の賦形剤を用いて、慣用の方法で製造され得る。
【0059】
遊離形または塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物は、通常、温血動物に、1〜1000mg/kgの範囲の単位投与量で投与され、これが、通常治療有効量を提供する。好ましくは、5〜100mg/kgの範囲の1日用量が用いられる。しかし、1日用量は、必ず、処置される宿主、特定の投与経路、および処置される疾患の重症度に依存して変化する。従って、最適な投与量は、特定の患者を処置する医師によって決定され得る。
【0060】
本発明のさらなる局面に従って、治療によって、ヒトまたは動物の処置方法に使用するための、遊離形またはその薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物が提供される。
【0061】
我々は、本発明で定義される化合物またはその薬学的に許容される塩が、血液脳関門を通過し、NETおよび/またはSERTを制御することを見出した。従って、本発明の化合物は、NET/SERT介在状態、例えば、不快、鬱病(大鬱病性障害、気分変調症、抑鬱気分を伴う適応障害、および双極性障害に関連する鬱病を含む)、不安症、睡眠障害、胃運動性障害、性機能障害、脳外傷、記憶喪失、食欲障害、過食症、肥満、物質乱用、アルコール依存症、タバコ中毒、強迫症、パニック障害、月経前症候群、偏頭痛、双極性障害、線維筋痛症、および、自然に、外科的に、または医学的に誘発された閉経期症状、例えば血管運動性症状、例えばのぼせ、特に不安症、鬱病および血管運動性症状の処置に有用である。従って、本発明は、NETおよび/またはSERTが介在する疾患または状態を処置する方法であって、有効量の遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む方法を提供する。特定の態様において、本発明は、本明細書に記載されたNETおよび/またはSERTが介在する疾患または状態を処置する方法であって、当該疾患または状態が不安症または鬱病である方法を提供する。別の特定の態様において、本発明は、本明細書に記載されたNETおよび/またはSERTが介在する疾患または状態を処置する方法であって、当該疾患または状態が血管運動性症状、例えばのぼせである方法を提供する。
【0062】
従って、本発明のこの局面によって、医薬として使用するための、前に定義した遊離形またはその薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物が提供される。
【0063】
本発明のさらなる局面に従って、温血動物、例えばヒトにおいて、NET/SERTの制御に使用する医薬の製造における、前に定義した遊離形またはその薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物の使用が提供される。
【0064】
本発明の局面に従って、温血動物、例えばヒトにおいて、血液脳関門を通過するNET/SERTレギュレーターの生成に使用する医薬の製造における、遊離形またはその薬学的に許容される塩形の、前に定義した式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物の使用が提供される。
【0065】
本発明のさらなる特徴に従って、NET/SERT介在状態、例えば不快、鬱病(大鬱病性障害、気分変調症、抑鬱気分を伴う適応障害、および双極性障害に関連する鬱病を含む)、不安症、睡眠障害、胃運動性障害、性機能障害、脳外傷、記憶喪失、食欲障害、過食症、肥満、物質乱用、アルコール依存症、タバコ中毒、強迫症、パニック障害、月経前症候群、偏頭痛、双極性障害、線維筋痛症、および、自然に、外科的に、または医学的に誘発された閉経期症状または男性更年期症状、例えば血管運動性症状、例えばのぼせ、特に不安症、鬱病および血管運動性症状、例えばのぼせの処置に使用する医薬の製造における、遊離形または塩形の、前に定義した式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物の使用が提供される。好ましい態様において、本発明は、不安症または鬱病を処置する医薬の製造における、遊離形または薬学的に許容される塩形の、式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物の使用を提供する。別の好ましい態様において、本発明は、血管運動性症状、例えばのぼせを処置する医薬の製造における、遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物の使用を提供する。
【0066】
本発明のこの局面のさらなる特徴に従って、NET/SERTを制御する必要がある温血動物、例えばヒトにおいて、NETに対する制御効果を生じさせる方法であって、該動物に、有効量の遊離形またはその薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0067】
さらに、本発明の化合物は、特に脳におけるNET/SERTの制御不全によって特徴付けられる疾患−−例えば鬱病の処置、制御および管理に有用である。従って、本発明は、NET/SERT介在状態、例えば不快、鬱病(大鬱病性障害、気分変調症、抑鬱気分を伴う適応障害、および双極性障害に関連する鬱病を含む)、不安症、睡眠障害、胃運動性障害、性機能障害、脳外傷、記憶喪失、食欲障害、過食症、肥満、物質乱用、アルコール依存症、タバコ中毒、強迫症、パニック障害、月経前症候群、偏頭痛、双極性障害、線維筋痛症、および、自然に、外科的に、または医学的に誘発された閉経期症状または男性更年期症候、例えば血管運動性症状、例えばのぼせ、特に不安症、鬱病および血管運動性症状またはのぼせの処置方法を提供する。NET/SERT介在状態の処置方法は、それを必要とする患者に、有効量の遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物を投与することを含む。
【0068】
本発明はまた、NET/SERTの制御機能障害によって特徴付けられる疾患を処置する方法であって、有効量の遊離形または塩形の本発明の化合物または組成物を、それを必要とするヒトまたは動物の患者に投与することを含む方法を提供する。
【0069】
本発明のさらなる局面において、NET/SERTの制御不全によって特徴付けられる疾患の処置、制御および管理に使用するための、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせた、前に定義した遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物を含む医薬組成物が提供される。特定の態様において、本発明は、脳におけるNET/SERTの制御不全によって特徴付けられる疾患の処置、制御および管理に使用するための、薬学的に許容される希釈剤または担体と混合した、遊離形またはその薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0070】
本発明のさらなる局面において、NET/SERT介在状態、例えば不快、鬱病(大鬱病性障害、気分変調症、抑鬱気分を伴う適応障害、および双極性障害に関連する鬱病を含む)、不安症、睡眠障害、胃運動性障害、性機能障害、脳外傷、記憶喪失、食欲障害、過食症、肥満、物質乱用、アルコール依存症、タバコ中毒、強迫症、パニック障害、月経前症候群、偏頭痛、双極性障害、線維筋痛症、および、自然に、外科的に、または医学的に誘発された閉経期症状または男性更年期症候、例えば血管運動性症状、例えばのぼせ、特に不安症および鬱病および血管運動性症状、例えばのぼせの処置に使用するための、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせた、前に定義した遊離形またはその薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物を含む医薬組成物が提供される。
【0071】
該処置方法は、前記のNET/SERT介在状態、例えば鬱病を処置するための他の治療化合物と共に、遊離形または塩形の本発明の化合物を投与することを含む。当該併用処置は、個々の処置成分を、同時に、連続して、または別個に投与することによって達成され得る。当該組み合わせ製品は、前記の用量範囲内の本発明の化合物と、承認された用量範囲内の他の薬学的に活性な薬物を用いる。
【0072】
本発明のさらなる特徴に従って、血管運動性症状、例えばのぼせを処置する、寛解する、予防するまたは制御する方法であって、それを必要とする対象に、所望により薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせた、治療有効量の少なくとも1種の前に定義した遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0073】
用語“血管運動性症状”は、のぼせ(ほてり)、不眠症、睡眠障害、気分障害、易怒性、多汗症、寝汗、疲労感および温度調節機能不全によって起こる他の同様の症状を含み、これらに限定されない。用語“のぼせ”は、温かいという感覚、上半身や顔における強い熱感、発赤、発汗および時々その後に悪寒がある範囲の症状を引き起こす突発性体温障害を言う。用語のぼせは、血管運動性症状と互換性をもって用いられ得る。
【0074】
血管運動性症状の処置方法は、前記のNET/SERT介在状態を処置するための他の治療化合物と共に、遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物、例えば式(I)の化合物、または1.1〜1.29の何れかの化合物を投与することを含む。このような併用処置は、処置の個々の成分を、同時に、連続してまたは別個に投与することによって達成され得る。このような組み合わせ製品は、前記の用量範囲内の本発明の化合物と、承認された用量範囲内の他の薬学的に活性な薬物を用いる。
【0075】
“治療有効量”は、疾患または状態、例えばNET/SERT介在状態、例えば不快、鬱病(大鬱病性障害、気分変調症、抑鬱気分を伴う適応障害、および双極性障害に関連する鬱病を含む)、不安症、睡眠障害、胃運動性障害、性機能障害、脳外傷、記憶喪失、食欲障害、過食症、肥満、物質乱用、アルコール依存症、タバコ中毒、強迫症、パニック障害、月経前症候群、偏頭痛、双極性障害、線維筋痛症、および、自然に、外科的に、または医学的に誘発された閉経期症状または男性更年期症候、例えば血管運動性症状、例えばのぼせ、特に不安症、鬱病および血管運動性症状、例えばのぼせを処置するのに十分な、特定の投与での、特定の期間についての、化合物(たとえは式(I)の化合物)または組成物の量を言う。治療有効量が本発明の化合物の重量を言うとき、該重量は、特記しない限り、遊離塩基の形態の化合物に基づく。
【0076】
別の態様において、本発明は、自然に、外科的に、または医学的に誘発された閉経期症状または男性更年期症候によって特徴付けられる疾患または状態、例えば血管運動性症状、例えばのぼせを処置する医薬の製造における、遊離形または塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物の使用を提供する。さらなる態様において、本発明は、血管運動性症状、例えばのぼせを処置する医薬の製造における、遊離形または塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物の使用を提供する。
【0077】
別の態様において、本発明は、血管運動性症状を処置する、寛解する、予防するまたは制御する方法であって、(a) それを必要とする対象に、治療有効量の前記の遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物を投与すること、および、(b) さらに、少なくとも1種の他のアドレナリンα受容体アンタゴニストを、連続してまたは同時に投与することを含む方法を提供する。
【0078】
本発明に有用なアドレナリンα受容体アンタゴニストは、2−[2−(4−(2−メトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル)エチル]−4,4−ジメチル−1,3−(2H,4H)−イソキノリンジオン 二塩酸塩(ARC 239 二塩酸塩)、2−[(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−メチル−1H−イソインドール マレート(BRL 44408 マレート)、BRL48962、BRL41992、SKF 104856、SKF 104078、MK912、2−(2−エチル−2,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラニル)−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール 塩酸塩(エファロキサン(efaroxan)塩酸塩)、2−(1,4−ベンゾジオキサン−2−イル)−2−イミダゾリン塩酸塩(イダゾキサン塩酸塩)、2−(1−エチル−2−インダゾイル)メチル−1,4−ベンゾジオキサン塩酸塩(イミロキサン(Imiloxan)塩酸塩)、17&α;−ヒドロキシ−20&α;−ヨヒンバン−16β−カルボン酸メチルエステル塩酸塩(ラウオルシン塩酸塩)、(8aR,12aS,13aS)−5,8,8a,9,10,11,12,12a,13,13a−デカヒドロ−3−メトキシ−12−(エチルスルホニル)−6H−イソキノ[2,1−y][1,6]ナフチリジン塩酸塩(RS 79948 塩酸塩)、2−(2,3−ジヒドロ−2−メトキシ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール塩酸塩(RX 821002 塩酸塩)、8−[(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イル)メチル]−1−フェニル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−4−オン(スピロキサトリン(spiroxatrine))、17a−ヒドロキシヨヒンバン−16a−カルボン酸メチルエステル塩酸塩(ヨヒンビン塩酸塩)、2−[(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イル)メチル]−1−エチル−1H−イミダゾール、およびそれらの組み合わせならびにそれらの薬学的に許容される塩を含み、これらに限定されない。
【0079】
さらなる態様において、当該アドレナリンα受容体アンタゴニストは、2−(1−エチル−2−イミダゾイル)メチル−1,4−ベンゾジオキサン(イミロキサン)、2−[(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イル)メチル]−1−エチル−1H−イミダゾール、2−[2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル]−4,4−ジメチル−1,3−(2H,4H)−イソキノリンジオン(ARC 239)からなる群から選択されるアドレナリンα2B受容体アンタゴニスト、または、それらの組み合わせ、またはそれらの薬学的に許容される塩である。
【0080】
治療薬におけるその使用に加えて、遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物、例えば1.1〜1.29の何れかの化合物はまた、新規治療薬の探索の一部として、特に脳におけるNETおよび/またはSERTの制御効果を評価するためのin vitroおよびin vivo試験系の開発および標準化における薬理学的ツールとして有用である。
【0081】
本明細書で言う用語“NET/SERT介在状態”または“NETおよび/またはSERT介在状態”または“NET/SERTの制御不全によって特徴付けられる疾患”は、1種以上の次に示す疾患または状態を含み、これらに限定されない:不快、鬱病(大鬱病性障害、気分変調症、抑鬱気分を伴う適応障害、および双極性障害に関連する鬱病を含む)、不安症、睡眠障害、胃運動性障害、性機能障害、脳外傷、記憶喪失、食欲障害、過食症、肥満、物質乱用、アルコール依存症、タバコ中毒、強迫症、パニック障害、月経前症候群、偏頭痛、双極性障害、線維筋痛症、および、血管運動性症状、例えばのぼせ。従って、本発明の方法は、これらの疾患を処置する方法を包含する。好ましい態様において、本発明の方法の疾患または状態は、鬱病または不安症である。別の好ましい態様において、本発明の方法の疾患または状態は、血管運動性症状、例えばのぼせである。
【0082】
用語“対象”は、ヒトを含む温血動物を含み、特記しない限り、雄性または雌性の双方を含むことを意図している。本発明によると、血管運動性症状、例えばのぼせの処置において、対象は、閉経期を過ぎた(閉経後の)年齢の高い女性のみならず、閉経が自然に、化学的に、および/または外科的に誘発され得る閉経前または閉経周辺期の女性(例えば卵巣摘出、子宮摘出、化学療法、骨盤への放射線照射を行った女性、または、エストロゲン生成が抑制された女性、例えばコルチコステロイドの長期使用を行った女性、またはクッシング症候群もしくは性腺機能不全に罹患した女性)を含む。本発明によると、血管運動性症状、例えばのぼせの処置において、用語“対象”はまた、男性更年期の男性を含む。
【0083】
用語“閉経前”または“早発閉経”は、閉経期前を意味する。“早発閉経”および“人為的閉経”は、共に、例えば、40才前に起こり得る未知の原因による卵巣不全の結果として起こる閉経を言う。それはまた、喫煙、高度の高い場所での生活、または栄養状態の不良に関連し得る。人為的閉経は、卵巣摘出、化学療法、骨盤への放射線照射、または、卵巣への血液供給が損なわれる何れかのプロセスに起因し得る。
【0084】
用語“閉経周辺期”は、閉経の途中を意味する。
【0085】
用語“閉経後”は、閉経期後を意味する。
【0086】
用語“男性更年期”は、一般的に中年以後の男性に起こる、ライディッヒ細胞数の減少、アンドロゲン産生の低下を含み、これらに限定されない症状によって特徴付けられる状態または障害を言う。男性更年期の男性は、従って、疲労感、不眠症、のぼせ、および発汗を含み、これらに限定されない症候を経験し得る。従って、本発明はまた、自然に、化学的におよび/または外科的に誘発される男性更年期の男性による、本発明の化合物の使用を予期する。
【0087】
上記の他の医薬組成物、プロセス、方法、使用および医薬の製造の特徴において、本明細書に記載された本発明の化合物の代替物および好ましい態様もまた適用する。
【実施例】
【0088】
本発明は、下記の非限定的実施例によって説明される。特記しない限り、
(i) 温度は、摂氏(℃)で示される;操作は、18〜25℃の範囲の温度である室温または環境温度(“rt”)で行った;
(ii) 有機溶液は、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた;溶媒の蒸発は、ロータリーエバポレーターを用いて、減圧下(600〜4000Pascals;4.5〜30mmHg)で、60℃までの浴の温度で行う;
(iii) 一般的に反応の推移はTLCによって追跡し、反応時間は例示のためにのみ示す;
(iv) 最終生成物は、満足のいくプロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトルおよび/または質量スペクトルデータを有した;
(v) 収率は例示のためのみに示し、必ずしも入念なプロセス開発によって得られたものではない;より多くの物質が必要ならば、製造を繰り返した;
(vii) 示されたときは、NMRデータは、主要な示性プロトンについてのδ値の形態であり、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対する百万分率で示し、400MHzで、特記しない限り重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)を溶媒として用いて測定した;
(vii) 化学記号は、その通常の意味を有する;国際単位系および記号を用いる;
(viii) 溶媒比は、容積:容積(v/v)で示される;
(ix) 質量スペクトルは、70eVの電子エネルギーで、化学イオン化(CI)モードで、直接曝露プローブを用いて測定した;示されるとき、イオン化は、電子衝撃(EI)、高速原子衝撃(FAB)またはエレクトロスプレー(ESP)によって行われる;m/zの値が示される;一般的に、親マスを示すイオンのみが報告される;特記しない限り、記載されたマス・イオンは[MH]である;
【0089】
(x) 合成が、先の例で記載された方法に準じると記載されるとき、用いられる量は、先の実施例で用いられた方法と同じミリモル比である;
(xi) 下記の略号を用いた:
【表2】

(xii) “ISCO”は、ISCO, Inc (Lincoln, NE, U.S.A.)から得られる製造者の指示書に従って用いられる、12gおよび40gの予め充填されたシリカゲル・カートリッジを用いた順相フラッシュ・カラム・クロマトグラフィーを言う。
【0090】
生物学
ラットの前脳において、本化合物がNETに特異的に結合するかどうかを測定するために、NET結合がアッセイされた。前脳組織は、中程度の密度のNETを有し、他の脳構造から正確に分離され得る。ラットの前脳は、スプラーグドーリーラット(Taconic Farm, NY, U.S.A.)の脳から新しく得た。組織を30容積の緩衝液(120mM NaClおよび5mM KClを含む50mM Tris−HCl(pH 7.4))中でホモジナイズした。ホモジネートを、10,000rpmで15分間遠心分離した。得られたペレットを再度懸濁し、そして再度遠心分離し、その手順を1回以上繰り返した。結合試験は、7mLのガラス管中、1.0mL/管の最終容積で行った。阻害定数の測定において、膜懸濁液のアリコート(管当たり3mg wtに相当)を、緩衝液および1nM [H]ニソキセチンと混合した。さらに、標識されていない試験NETリガンドを10−3〜10−12(μMからpM)の範囲の濃度で加えた。インキュベーションを室温で60分間行い、次いで、予め1%ポリエチレンイミンに浸したガラス繊維フィルターによる濾過によって、遊離の放射性リガンドから結合したものを分離することによって、試験を終了させた。フィルターを処理し、シンチレーション計数機を用いて、放射活性についてアッセイした。試験リガンド濃度に対する1分当たりの平均カウント数(CMP, n=3)をプロットし、Prism (3.0cx, GraphPad)を用いて、化合物の阻害定数(IC50)および結合親和性(K)を決定した。
【0091】
ニソキセチンのNETへの結合を上記の通りに調製した膜を用いて評価する10個のアッセイを行うことによってこの方法を確認した。これらの条件下で、ニソキセチンのKを1.29±0.23nM(n=6)であると決定し、その結果、このアッセイを確認した。
【0092】
本発明の化合物は、塩酸塩の形態で試験したとき、100,000nMから3nM未満の範囲の結合親和性という結果を与えた。結合親和性が10,000nM未満であることが有益であり、2,000nM未満であることがより有益であり、100nM未満であることがいっそうより有益であり、15nM未満であることが最も有益である。
【0093】
本発明の化合物はまた、約5×10−8M以下のIC50を有する選択された化合物で、セロトニン・トランスポーター活性を阻害する。
【0094】
ヒトのノルエピネフリン・トランスポーターに対する結合親和性(K)はまた、リコンビナント/CHO細胞において、リガンドとしての[H]−ニソキセチンおよび非特異的対照化合物としてのデシプラミンの存在下、本発明の化合物を試験する放射標識結合アッセイを用いて測定され得る。同様に、SH−SY−5Y細胞において、リガンドとしての[H]−ノルエピネフリンおよび非特異的対照化合物としてのプロトリプチリンの存在下、本発明の化合物を試験する細胞アッセイを用い得る。両方の方法において、種々の本発明の化合物が、500nM未満の、特に約500〜50nMの結合親和性を示す。
【0095】
実施例:
実施例は、以下のスキーム1に概略した反応経路に従って行われ、遊離塩基および塩酸塩を合成した。
【化7】

【0096】
各工程の条件および反応剤は、次の通りである:(a) DIAD、TPP、THF、0℃;(b) 40%水性CHNH、NaI、80℃、2時間;(c) EtOAc中2N HCl。
【0097】
特定の立体配置について、下記のスキーム1の特定の態様を、一例として用い得る。
【化8】

【0098】
この態様において、市販の光学的に純粋な(S)−(−)−3−クロロ−1−フェニルプロパン−1−オールから出発して、穏やかなMitsunobu反応条件を用いて、ジイソプロパニル アゾジカルボキシレート(DIAD)およびトリフェニルホスフィン(TPP)(O. Mitsunobu, Synthesis, 1-30(1981))の存在下、置換ピリジノール類と縮合させた。該反応により、キラルのベンジルの炭素の変換が完了し、対応するキラルの(R)−クロロ化合物を得た(K. Yasushi et al., Nucl. Med. Biol., 31:147-153(2004))。クロロ化合物を、触媒量のNaIの存在下、130℃で、密封されたフラスコ中で、過剰のエチルアルコール中40%水性メチルアミンで処理し、メチルアミン化合物を得た。直接酢酸エチル中2N 塩化水素をメチルアミン化合物に添加することによって、塩酸塩を得た。同様に、本明細書で議論されたMitsunobu反応において、(R)−(−)−3−クロロ−1−フェニルプロパン−1−オールを出発物質として用いて、上記の化合物の(S)エナンチオマーを製造し得る。
【0099】
最終生成物は、空気に曝露したとき、特にサンプルを溶液に溶解するとき、安定でなかった。そのため、純粋な生成物を、冷凍庫中、窒素下で保存した。全ての化合物を、H−NMR、LC−MSおよび13C−NMRによって確認した。実施例6、すなわち(R)−(−)−N−メチル−3−(2−ブロモ−3−ピリジンオキシ)−3−フェニルプロパンアミンのデータは、例えば、次の通りである:
LC-MS, EI (m/z): 321 (100%, M+), 323 (98%, (M+2)+).
1H-NMR(CD3OD), 400Mhz, δ(ppm): 7.95 (dd, J=4.2, 1.8Hz, 1H), 7.49 (m, 5H), 7.25 (m, 2H), 5.66 (dd, J=4.0, 8.5Hz, 1H), 3.32 (m, 2H), 2.82 (s, 3H), 2.49 (m, 1H), 2.38 (m, 1H).
13C-NMR (CDCl3, 100MHz), δ(ppm): 151.18, 145.85, 139.88, 133.08, 131.34, 131.06, 128.86, 126.41, 126.14, 83.01, 51.01, 39.13, 33.82.
【0100】
表1Bにおいて、以下に、実施例化合物を挙げる。
【表3】

【0101】
血管運動性症状に対する本発明の化合物の効果
卵巣摘出ラットモデル:Maswood et. al., Neuroendocrinology 84:330-338 (2006)で提供される手順に従って、のぼせの軽減に対する本発明の化合物の有効性を評価し得る。卵巣摘出したメスのラットを、12時間明/暗サイクルに置く。ラットの背中側の肩甲部に遠隔測定発信器を埋め込み、尾の皮膚の温度(TST)を測定するために、尾の基部から2.5cm離してトンネル・プローブのチップを挿入する。中核体温(CBT)を測定するために、3〜4cmの長さで、ラットの腹部の正中を、腹部の筋系を貫いて切開し、発信器を腹腔に置く。暗期の開始0.5時間前に、ビークルをラットに皮下投与し、TSTを12時間連続してモニターしてベースラインとする。24時間後、ビークルまたは本発明の試験化合物の何れかを皮下投与する。TSTを12時間モニターする。30分時点毎に平均温度を計算する。化合物投与日の各30分時点の平均温度からビークル投与日の総平均ベースライン温度(12時間に亘る平均温度)を引くことによって、温度変化を計算する。
【0102】
モルヒネ依存症ラットモデル:モルヒネ誘発TST上昇を軽減する能力を測定することによって、のぼせの軽減に対する本発明の化合物の有効性を評価する。子宮摘出したラットに、ビークル(滅菌水)を、1日1回、8日間皮下注射する。4日目に、徐放性モルヒネ2錠を、ラットの背中側の肩甲部に、皮下に埋め込んで、モルヒネ依存症を誘発する。5日目および6日目に、1.0mg/Kgの一般的なオピオイドアンタゴニストであるナロキソンを皮下投与することによって、モルヒネ禁断症状を誘発する。本発明の化合物またはその組み合わせを、ナロキソン注射の1時間前に、ラットに投与する(1.0、5、10、20、40mg/Kg)。動きの制限と、尾にサーミスタープローブを付けることに関連するストレスによる体温変動を避けるために、試験化合物の後にケタミン(40mg/Kg)を注射し、鎮静を誘発する。全ての薬物関連効果を、ケタミンを投与したビークル対照群と比較する。TSTを連続して35分間モニターする。ナロキソン注射前25分、30分および35分で測定した平均TSTを用いて、ベースライン温度とする。ベースライン温度と、TSTの変化が最大であることが観察されたときであるナロキソン処置の15分後の間の統計学的な差異を評価することによって、のぼせの軽減を決定する。
【0103】
モルヒネ依存症ラットモデルを用いた結果は、本発明の化合物が、ナロキソンで誘発されるのぼせを寛解することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形または塩形の式(I):
【化1】

[式中、
X、YおよびZの1つがNであり;他の2つがCHまたはC(R)であり;
Rは、H、ハロ、NO、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、または−N(C0−6アルキル)(C0−6アルキル)であり;
nは、0、1または2である。]
の化合物。
【請求項2】
遊離形または塩形の、
【化2】

からなる群から選択される、請求項1に記載された化合物。
【請求項3】
60%より高いエナンチオマー過剰率で(R)エナンチオマーで富化された、請求項1または2に記載された化合物。
【請求項4】
60%より高いエナンチオマー過剰率で(S)エナンチオマーで富化された、請求項1または2に記載された化合物。
【請求項5】
式(I)の化合物の塩が塩酸塩である、請求項1−4の何れか1項に記載された化合物。
【請求項6】
NET/SERTモジュレーターとして使用するための、請求項1−5の何れか1項に記載された化合物。
【請求項7】
NET/SERT阻害剤として使用するための、請求項1−6の何れか1項に記載された化合物。
【請求項8】
NET/SERTが介在する疾患または状態を処置する方法であって、有効量の遊離形または薬学的に許容される塩形の、式(I):
【化3】

[式中、
X、YおよびZの1つがNであり;他の2つがCHまたはC(R)であり;
Rは、H、ハロ、NO、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、または−N(C0−6アルキル)(C0−6アルキル)であり;
nは、0、1または2である。]
の化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項9】
式(I)の化合物が、遊離形または塩形の、
【化4】

からなる群から選択される、請求項8に記載された方法。
【請求項10】
該化合物が、60%より高いエナンチオマー過剰率で(S)エナンチオマーで富化された、請求項8または9に記載された方法。
【請求項11】
該化合物が、60%より高いエナンチオマー過剰率で(R)エナンチオマーで富化された、請求項8または9に記載された方法。
【請求項12】
該NETおよび/またはSERTが介在する疾患または状態が、不快、鬱病、不安症、睡眠障害、胃運動性障害、性機能障害、脳外傷、記憶喪失、食欲障害、過食症、肥満、物質乱用、アルコール依存症、タバコ中毒、強迫症、パニック障害、月経前症候群、偏頭痛、双極性障害、線維筋痛症、および血管運動性症状またはのぼせからなる群から選択される、請求項8−11の何れか1項に記載された方法。
【請求項13】
該疾患または状態が鬱病である、請求項8−12の何れか1項に記載された方法。
【請求項14】
該疾患または状態が不安症である、請求項8−12の何れか1項に記載された方法。
【請求項15】
該疾患または状態が、血管運動性症状またはのぼせである、請求項8−12の何れか1項に記載された方法。
【請求項16】
式(I)の化合物が塩酸塩の形態である、請求項8−15の何れか1項に記載された方法。
【請求項17】
温血動物において、NET/SERTの制御に使用する医薬の製造における、遊離形または薬学的に許容される塩形の、請求項1−7の何れか1項に記載された化合物の使用。
【請求項18】
NETおよび/またはSERTが介在する疾患または障害の何れかを処置する医薬の製造における、遊離形または薬学的に許容される塩形の、請求項1−7の何れか1項に記載された化合物の使用。
【請求項19】
該疾患または障害が、不快、鬱病、不安症、睡眠障害、胃運動性障害、性機能障害、脳外傷、記憶喪失、食欲障害、過食症、肥満、物質乱用、アルコール依存症、タバコ中毒、強迫症、パニック障害、月経前症候群、偏頭痛、双極性障害、線維筋痛症、および血管運動性症状またはのぼせからなる群から選択される、請求項18に記載された使用。
【請求項20】
該疾患または障害が鬱病である、請求項18または19に記載された使用。
【請求項21】
該疾患または障害が不安症である、請求項18または19に記載された使用。
【請求項22】
該疾患または障害が血管運動性症状またはのぼせである、請求項18または19に記載された使用。
【請求項23】
薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせた、遊離形または薬学的に許容される塩形の請求項1−7の何れか1項に記載された化合物を含む医薬組成物。
【請求項24】
ノルエピネフリン・トランスポーターの制御不全によって特徴付けられる疾患の処置、制御および管理に使用するための、請求項23に記載された医薬組成物。
【請求項25】
請求項8−16の何れか1項に記載された方法に使用するための、または、請求項17−22の何れか1項に記載された使用のための、請求項23に記載された医薬組成物。
【請求項26】
鬱病の処置、制御および管理に使用するための、請求項23、24または25に記載された医薬組成物。
【請求項27】
不安症の処置、制御および管理に使用するための、請求項23、24または25に記載された医薬組成物。
【請求項28】
血管運動性症状またはのぼせの処置、制御および管理に使用するための、請求項23、24または25に記載された医薬組成物。

【公表番号】特表2010−529124(P2010−529124A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511179(P2010−511179)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/007011
【国際公開番号】WO2008/150528
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(507401225)イントラ−セルラー・セラピーズ・インコーポレイテッド (21)
【氏名又は名称原語表記】INTRA−CELLULAR THERAPIES, INC.
【Fターム(参考)】