説明

新規生物活性ジフェニルエテン化合物およびその治療への適用

本発明は、ジフェニルエテン誘導体の新規の群、その製薬上許容される塩、これらの化合物を製造する方法、それらの医薬組成物、および免疫、炎症および自己免疫疾患を治療するための薬物としてのこれらの化合物の使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
スチルベン誘導体は広い範囲の活性を有し、自然界に広く分布していることが当業者に公知である。天然ならびに合成スチルベンのいくつかに観察されたある範囲の活性のために、スチルベン誘導体に対する関心が高まっている。一般にレスベラトロルとして知られているスチルベン誘導体、3,5,4’-トリヒドロキシスチルベンは、両方の異性体(シスまたはトランス)について、炎症の仲介および癌の化学的予防のようなある範囲の生物学的機能が報告されている(Jangら、1997, Science, 275, 218, US6,008,260)。
【0002】
基本のスチルベン構造の2つのフェニル環のさまざまな位置への置換は、スチルベン構造のフェニル環の一方または両方に1個または2個の置換基を有するもの(Shudo K., 1988, US4723028; Hensley, K.L.ら、WO99/59561, Kunihiro N., 1983, JP58159410; Genji I., 1995, JP07053359およびGB1465661)、およびフェニル環に3個以上の置換基を有するもの(Koichi, S.ら、1986, EP0170105; Shozo Y.ら、1986, JP08337523; およびCharpentier B.ら、1992, WO92/19583)を含めて、化合物の大きな多様性をもたらすことが当業者に公知である。フェニル環に他の置換を有する化合物、たとえばビタミンA (Ney, U.M.ら、1987, Dermatologica, 175: 93-99)およびビタミンD (WO 00/26167)の誘導体は、当業者に公知である。いくつかの文献(WO92/16486, WO99/40056, WO01/95859およびCushman M.ら、1992, J. Med. Chem., 35:2293-2306)には、3,4,5-トリメトキシルスチルベンから誘導された化合物が開示されている。これらの化合物は抗新生物活性、およびサイトカインをモジュレートする小程度の活性を示す(WO01/95859)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、3および5位に2個のヒドロキシル基、またはそれらの誘導体、およびその間に置換基を有する独特の置換パターンの一群のスチルベンが開示された。本発明者らの係属中の出願は、キナーゼに対する阻害活性、抗炎症活性(WO01/42231)を有し、Tリンパ球、マクロファージ、好中球およびマスト細胞に対する効果、およびさまざまな免疫および炎症活性を調節する効果(WO02/057219)を有する化合物に関する。けれども、一方のフェニル基に上記の独特の置換パターンを有し、他方のフェニル基をある範囲の特定の置換基、特にフッ素原子により置換すると、驚くべき免疫調節活性を有する化合物が得られることは現在に至るまで発見されていない。本発明は、これらの新規スチルベン化合物、その合成、その予想されなかった活性、医薬組成物、およびこれらの活性に関連する障害の治療へのそれらの使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本明細書において開示される発明は、下記の式Iの化合物、その製薬上許容される塩、免疫調節剤として有用であることが見出されたこれらの化合物の医薬組成物に関する。
【化1】

【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は、下記の一般式Iの新規化合物を含む。
【化2】

【0006】
[式中、
R1は、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアラルキル基、ハロ、またはCOR9からなる群より選択される;
R2およびR3は、H、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキルまたはアシルからなる群より独立して選択される;
R4、R5、R6、R7およびR8は、同時にHではなく、H、非置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアラルキル基、ハロ、ニトロ、CN、COR9、NR10R11、S(O)2NR10R11、S(O)nR10、n=0〜2、OR12、環または複素環基からなる群より独立して選択される;ただし、R1が1〜3のイソプレン単位を含む不飽和基である場合、R6はヒドロキシまたはアルコキシ基ではない;
R9は、H、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキル、またはNR10R11、またはOR10から選択される;
R10およびR11は、H、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルから選択される;
R12は、H、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキルまたはアシルから選択される。]
特に、一般式Iにおいて、
R4、R5、R6、R7およびR8が、H、非置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアラルキル基、ハロ、ニトロ、CN、COR9、NR10R11、S(O)2NR10R11、S(O)nR10、n=0〜2、OR12、環式、または複素環基からなる群より独立して選択され、かつ、R4、R5、R6、R7およびR8のうち1個以上がFであるような新規化合物である。式Iの化合物の二重結合の立体配置はEまたはZである。
【0007】
特に好ましい化合物には下記のものが含まれる。
【0008】
4-[2-(3,5-ジヒドロキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸 (6)
3-[2-(3,5-ジヒドロキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸 (7)
5-[2-(4-ヒドロキシフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール (13)
5-[2-(3,5-ジヒドロキシフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール (15)
5-[2-(2-フルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール (37)
5-[2-(3-フルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピルフェニル-1,3-ジオール (38)
5-[2-(4-フルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピルフェニル-1,3-ジオール (39)
5-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピルフェニル-1,3-ジオール (40)
5-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール (41)
5-[2-(2,6-ジフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール (42)
2-i-プロピル-5-[2-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エテニル]-1,3-ベンゼンジオール (43)
5-[2-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール (44)。
【0009】
本発明はまた、一般式Iの化合物の免疫調節剤としての使用をも含む。
【0010】
本発明の化合物は、特許公開WO02/057219に開示される一般法に特定の修正を加えて合成することができる。ここに示される例は説明のみを目的とするものであって、本発明を限定するものとは見なされない。一般的に、本発明の化合物のスチルベン構造はウィッティヒ(Wittig)オレフィン化(スキーム1)およびヘック(Heck)反応(スキーム2)により合成される。対応する1,3-ベンゼンジオールは脱保護反応により得ることができる。
【0011】
スキーム1. ウィッティヒオレフィン化:
【化3】

【0012】
スキーム2. ヘック反応
【化4】

【0013】
スキーム3. 修飾
【化5】

【0014】
R1の1つの修飾は、ブロモスチルベンから出発する(スキーム3)。臭化物をSuzukiカップリングまたはブロモ-リチウム交換の後に求電子試薬と反応させることにより、他の官能基に変換することができる。
【0015】
本発明に従って利用される化合物は、二重結合のZまたはE立体配置を有し、その結果トランスおよびシス異性体を与える。上記の異性体ならびにシスおよびトランス異性体の混合物はすべて本発明の範囲に含まれることが意図されている。
【0016】
塩を作ることが可能な官能基を有する本発明のすべての化合物について、製薬上許容される塩を調製することができる。製薬上許容される塩は無機および/または有機酸および塩基を用いて形成される。好ましい酸には、たとえば、製薬上許容される塩酸、硫酸、硝酸、ベンゼンスルホン酸、酢酸、マレイン酸、酒石酸等が含まれる。特に本発明の化合物を医薬品として使用する場合には製薬上許容される塩が好ましいが、たとえば、これらの化合物の合成において、または医薬品以外に使用することを意図している場合には、他の塩も使用することができる。
【0017】
本発明の化合物は、下記の実施例において実例を挙げて立証されるある範囲の免疫調節活性を示した。免疫調節活性を有する化合物は当業者に公知であり、多くの特許および科学文献に記載されている。免疫調節活性がヒトを含む動物の多くの疾病および状態を治療するために有用であることは一般に知られており、当業者に受け入れられている。活性成分として本明細書に開示されるもののような免疫調節活性を有する化合物(1つまたは複数)を含む医薬品は、臨床移植(たとえば、器官移植、急性移植または異種移植片もしくは同種移植片(熱傷の治療に用いられるもののような))拒絶;器官移植、心筋梗塞、発作または他の原因により起こる虚血または再灌流損傷のような虚血または再灌流損傷からの保護;移植耐性の誘導;関節炎(慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎または変形性関節症);多発性硬化;潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む炎症性腸疾患;狼瘡(全身性紅斑性狼瘡);対宿主性移植片病;接触過感作、遅延型過感作、およびグルテン感受性腸症(小児脂肪便症)を含むT-細胞仲介過感作疾患;乾癬;接触皮膚炎(ツタウルシによるものを含む);橋本甲状腺炎;シェーグレン症候群;グレーヴズ病のような自己免疫甲状腺機能亢進;アジソン病(副腎の自己免疫疾患);自己免疫多腺病(自己免疫多腺症候群としても知られている);自己免疫脱毛;自己免疫貧血;白斑;自己免疫下垂体機能低下、ギャン-バレー症候群;他の自己免疫疾患;糸球体腎炎、血清病;じんま疹;呼吸性アレルギー(喘息、枯草熱、アレルギー性鼻炎)または皮膚アレルギーのようなアレルギー性疾患;scleracierma;キノコ状真菌症;急性炎症性応答(急性呼吸困難症候群および虚血/再灌流損傷のような);皮膚筋炎;円形脱毛症;慢性光線性皮膚炎;湿疹;ベーチェット病;掌蹠膿疱症;壊疽性膿皮症;セザール症候群;アトピー皮膚炎;全身性硬化;および限局性強皮症のような障害の治療に有用であることが当業者に広く知られている。特にVEGF発現に対する活性は、癌およびVEGF関連障害を治療するのに有用である。LTB4に誘導される細胞遊走の阻害は、抗炎症剤として有用である。
【0018】
そこで、本発明は、少なくとも1つの式Iの化合物を、それを必要とする被験体に有効な量で投与するステップを含む、上記の活性に関連する障害を治療する方法を提供する。本発明の方法において、当業者に公知のもののような他の治療薬を本発明の化合物と共に用いてもよい。本発明の方法において、このような他の治療薬は、本発明の化合物の投与の前に、これと同時に、または後に投与することができる。
【0019】
医薬組成物の例には、経口、局所、非経口または直腸投与に適した組成物の形のすべての固体(錠剤、丸剤、カプセル、顆粒、粉剤、坐剤等)または液体(溶液、懸濁液または乳液)が含まれる。これらの製剤は純粋な化合物を含んでいてもよく、または担体または他の薬理活性化合物との組合せであってもよい。これらの組成物は非経口投与される場合には無菌である必要がある。
【0020】
局所的な使用のためには、式Iの化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液等の形で使用することが好ましい(この適用の目的のために、局所投与は口内洗浄剤およびうがい薬を含む)。
【0021】
上に記載した状態の治療には、体重kgあたり1日約0.01mgから約140mg、または患者あたり1日約0.5mgから約7gの投与量が有用である。たとえば、炎症は、体重キログラムあたり1日約0.01から約50mg、あるいは患者あたり1日約0.5mgから約3.5g、好ましくは患者あたり1日2.5mgから1gの化合物を投与することにより有効に治療される。
【0022】
担体材料と組み合わせて1つの剤形を製造するための活性成分の量は、治療される宿主および個々の投与の方式によって変化する。たとえば、ヒトへの経口投与を意図する製剤は、総組成物量の約5から約95%の間の適切で使いやすい量の担体物質と混合された0.5mgから5gの活性物質を含む。一回服用量剤形は一般的に約1mgから約500mgの活性成分、典型的には、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg、または1000mgの活性成分を含む。
【0023】
けれども、個々の患者に対する特定の投与量は、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食餌、投与時間、投与経路、排泄速度、薬物の組合せおよび治療をおこなっている疾病の程度を含むさまざまなファクターに依存することが理解されよう。
【実施例】
【0024】
ここで、本発明を下記の限定を目的としない実施例を参照してより詳細に説明する。
【0025】
化合物の合成
(実施例1)
4-[2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸(1)
a) 3,5-ジメトキシ-4-i-プロピル安息香酸メチル
この化合物は、WO 01/42231号に記載された方法を用いて得た。1HNMR (CDCl3, ppm): δ1.32 (d, J=7.2Hz, 6H), 3.66 (hept, J=7.2Hz, 1H), 3.82 (s, 6H), 3.95 (s, 3H), 7.25 (s, 2H).
b) 3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルベンジルアルコール
LiAlH4 (95%) (5.00g, 125mmol)の無水エーテル(100mL)中の懸濁液に、N2雰囲気下、0℃で、3,5-ジメトキシ-4-i-プロピル安息香酸メチル(15.7g, 90.1mmol)のエーテル(300mL)溶液を加えた。懸濁液を0℃で1時間、次いで室温でさらに1時間撹拌した。0℃で飽和Na2SO4水溶液(10mL)をゆっくりと加えることにより反応を止めた。混合物を一晩撹拌した。固体を濾過し、濾液を蒸発乾固して目的のアルコール(13.8g, 収率88%)を白色の結晶として得た。1HNMR (CDCl3, ppm): δ1.34(d, J=7.2Hz, 6H), 3.65 (Hept., J=7.2Hz, 1H), 3.88 (s, 6H), 4.70 (s, 2H), 6.62 (s, 2H).
c) 3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルベンジルアルデヒド
3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルベンジルアルコール(13.05g, 62.1mmol)およびクロロクロム酸ピリジニウム(33.92g, 157mmol)の混合物をCH2Cl2 (100mL)中、K2CO3 (4.18g, 30mmol)の存在下で30分間撹拌した。エーテル(300mL)を加えて反応を止めた。混合物をFlorosilの短いパッドに通して、パッドをエーテルにより完全に洗浄した。溶媒を蒸発させて、3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルベンジルアルデヒド (11.89g, 収率92%)を黄色っぽい結晶として得た。1HNMR (CDCl3, ppm): δ1.32 (d, J=7.2Hz, 6H), 3.68 (hept., J=7.2Hz, 1H), 3.92 (s, 6H), 7.12 (s, 2H), 9.96 (s, 1H).
d) (3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテン
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(6.89g, 19.3mmol)のTHF (100mL)中の懸濁液に、アルゴン雰囲気下、室温でBuLi (7.7ml, ヘキサン中2.5M, 19.3mmol)を加えた。得られた赤い溶液を10分間撹拌した後、THF (20mL)中の3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルベンジルアルデヒド(4.02g, 19.3mmol)を加えた。2時間後、反応を水(20mL)により止めた。混合物をエーテル(3×100mL)により抽出した。抽出物を飽和塩類溶液(3×30mL)により洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥した。エーテルを蒸発させた後、3%酢酸エチル-ヘキサンを用いたフラッシュクロマトグラフィーをおこなって、純粋な(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテン(2.64g, 収率66%)を無色の固体として得た。1HNMR (CDCl3, ppm): δ1.31 (d, J=7.1Hz, 6H), 3.61 (qint, J=7.1Hz, 1H), 3.86 (s, 6H), 5.25 (d, J=11Hz, 1H), 5.73 (d, J=17Hz, 1H), 6.64 (s, 2H), 6.70 (dd, J=11, 17Hz, 1H).
e) 4-[2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸(1)
(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテン(0.303g, 1.50mmol)、4-ブロモ安息香酸(0.269g, 1.30mmol)、二水素ジ-μ-クロロテトラキス(ジ-tert-ブチルホスフィニト-κP)ジパラデート(dihydrogen di-μ-chlorotetrkis(di-tert-butylphosphinito-κP)dipalladate) (0.0625g, 0.067mmol)、Bu4NI (0.245g, 0.67mmol)およびK2CO3 (0.614g, 4.40mmol)のDMF (7ml)中の混合物をアルゴン雰囲気下で140℃に加熱した。反応が完了した後(5時間)、反応混合物を水(100mL)中に注いだ。これをエーテルにより洗浄した。水相を6N HClにより酸性化してエーテル(2×100mL)により抽出した。抽出物を飽和塩化ナトリウムにより洗浄した後、無水Na2SO4により乾燥した。エーテルを蒸発させて、純粋な酸1 (0.345g, 収率71%)を得た。1HNMR (CDCl3, ppm): δ1.32 (d, J=7.1Hz, 6H), 3.63 (qint, J=7.1Hz, 1H), 3.90 (s, 6H), 6.76 (s, 2H), 7.08 (d, J=17Hz, 1H), 7.27 (d, J=17Hz, 1H), 7.63 (d, J=8Hz, 2H), 8.13 (d, J=8Hz, 2H)。
【0026】
(実施例2)
3-[2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸(2)
この化合物は、(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテンおよび3-ブロモ安息香酸から1の調製と同様の方法により、77%の収率で合成された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ1.32 (d, J=7.1Hz, 6H), 3.63 (qint, J=7.1Hz, 1H), 3.90 (s, 6H), 6.76 (s, 6H), 7.08 (d, J=17Hz, 1H), 7.25 (d, J=17Hz, 1H), 7.50 (t, J=7.7Hz, 1H), 7.79 (d, J=7.7Hz, 1H), 8.04 (d, J=7.7Hz, 1H), 8.31 (s, 1H)。
【0027】
(実施例3)
4-[2-(3,5-ジヒドロキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸(6)
4-[2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸(0.289g, 0.886mmol)およびピリジン塩酸塩(0.678g, 5.9mmol)の混合物をアルゴン蒸気下で2時間、200℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却した。2N HCl (10mL)およびエーテル(50mL)を加えた。有機層を分離し、水性混合物をエーテル(2×50mL)により抽出した。抽出物を飽和食塩水により洗浄し、無水Na2SO4により乾燥した。エーテルを蒸発させた後、酢酸エチル/ヘキサン/酢酸(40/60/1)を用いたフラッシュクロマトグラフィーをおこない、純粋な酸6(0.03g, 収率11%)を得た。1HNMR (DMSO-d6, ppm): δ1.22 (d, J=7.0Hz), 6.49 (s, 2H), 6.90 (d, J=18Hz, 1H), 7.19 (d, J=18Hz, 1H), 7.67 (d, J=8Hz, 2H), 7.90 (d, J=8Hz, 2H), 9.14 (s, 2H)。
【0028】
(実施例4)
3-[2-(3,5-ジヒドロキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸(7)
この物質は、3-[2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸2およびピリジン塩酸塩から、実施例3と同様の方法により、86%の収率で調製された。1HNMR (DMSO-d6, ppm): δ1.22 (d, J=7.0Hz, 6H), 6.48 (s, 2H), 7.03 (d, J=17Hz, 1H), 7.12 (d, J=17Hz, 1H), 7.46 (t, J=7.5Hz, 1H), 7.7-7.9 (m, 2H), 8.06 (s, 1H), 9.12 (s, 2H)。
【0029】
(実施例5)
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-フェニルエテン(19)
a) ベンジルホスホン酸ジエチル
臭化ベンジル(12mL, 101mmol)および亜リン酸トリエチル(25mL, 146mmol)の混合物をBu4NI (0.05g)の存在下で一晩、110〜130℃に加熱した。過剰な亜リン酸トリエチルを減圧下110℃で除去した。ホスホン酸エステル(23g)が無色の液体として定量的に得られた。1HNMR (CDCl3, ppm): δ1.28 (t, J=7.2Hz, 6H), 3.20 (d, J=21.9Hz, 2H), 4.10 (dt., J=7.2Hz, 7.2Hz, 4H), 7.30 (s, 5H)。
【0030】
b) 1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-フェニルエテン(19)
上で得られたベンジルホスホン酸ジエチル(11.39g, 54.7mmol)のTHF (100mL)溶液に、N2雰囲気下、0℃でNaH (60%、鉱油中) (4.68g, 115mmol)を加えた。添加が完了した後、懸濁液を0℃で1時間撹拌し、実施例1(c)で得られた3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルベンジルアルデヒド(11.39g, 54.7mmol)のTHF (100mL)溶液を加えた。反応液を0℃に1時間、次いで45〜50℃に5時間保った。反応液を0℃に冷却した。水をゆっくりと加えて反応を止めた後、2N HCl (75mL)を加えた。混合物をエーテル(3×200mL)により抽出した。抽出物を無水Na2SO4により乾燥した。エーテルを蒸発させて、粗5-(2-フェニルエテニル)-2-i-プロピル-1,3-ジメトキシベンゼン(18.07g)を得た。これをさらに精製することなく次の反応に用いた。少量の粗生成物を10%酢酸エチル-ヘキサンを用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製して純粋な生成物を得た。1HNMR (CDCl3, ppm): δ1.28 (d, J=7.0Hz, 6H), 3.58 (hept, J=7.0Hz, 1H), 3.85 (s, 6H), 6.69 (s, 2H), 7.05 (s, 2H), 7.25 (m, 1H), 7.35 (m, 2H), 7.25 (m, H)。
【0031】
(実施例6)
5-(2-フェニルエテニル)-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール(20)
無水CH2Cl2 (100mL)中の粗1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-フェニルエテン(18.07g)に、N2雰囲気下、−78℃でBBr3 (5.2mL, 55mmol)を滴下した。反応液を−78℃で1時間撹拌した後、温度を室温に戻し、反応混合物を室温で2日間撹拌した。水を加えて反応を止めた後、20% NaOHを加えてpH>12に調節した。有機層を除去して水層をヘキサン(2×100mL)により洗浄した。水層を6N HClによりpH1に酸性化して、エーテル(3×200mL)により抽出した。有機層を分離して水(50mL)および食塩水(50mL)により洗浄し、無水Na2SO4により乾燥した。エーテルを蒸発させると赤いシロップ状の液体が得られた。クロロホルムから再結晶して純粋なスチルベン生成物20 (6.92g)を白色の結晶として得た。残った液体を濃縮して残渣をもう一度再結晶してさらに2.5gの20を得た(合わせて9.42g, 2段階で67.7%)。1HNMR (CDCl3, ppm): δ1.38 (d, J=7.3Hz, 6H), 3.46 (hept., J=7.3Hz, 1H), 4.80 (s, 2H), 6.50 (s, 2H), 6.92 (d, J=17.2Hz, 1H), 6.97 (d, J=17.2Hz, 1H), 7.25 (m, 1H), 7.34 (m, 2H), 7.52 (m, 2H)。
【0032】
(実施例7)
3-アセトキシ-5-(2-フェニルエテニル)-2-i-プロピルフェニルアセテート(10)
ジクロロメタン(100mL)中の、実施例11で得られた5-(2-フェニルエテニル)-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール(1.00g, 3.93mmol)およびトリエチルアミン(1.5mL, 10.8mmol)に、0℃で塩化アセチルを滴下した。反応をTLCによりモニターした。反応が完了した後(〜30分)、水(50mL)を加えた。有機層を分離して、2N HCl (30mL)、H2O (50mL)、飽和NaHCO3 (50mL)、H2O (50mL)および食塩水(50mL)により洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。溶媒を蒸発させた後、5%酢酸エチル-ヘキサンを用いたフラッシュクロマトグラフィーをおこない、3-アセトキシ-5-(2-フェニルエテニル)-2-i-プロピルフェニルアセテート(1.32g, 92%)を白色の固体として得た。1HNMR (CDCl3, ppm): δ1.26 (d, J=7.0Hz, 6H), 2.35 (s, 6H), 3.08 (hept., J=7.0Hz, 1H), 6.98 (d, J=17.4Hz, 1H), 7.04 (d, J=17.4Hz, 1H), 7.07 (s, 2H), 7.24-7.29 (m, 1H), 7.34-7.38 (m, 2H), 7.45-7.49 (m, 2H)。
【0033】
(実施例8)
3-クロロアセトキシ-5-(2-フェニルエテニル)-2-i-プロピルフェニルクロロアセテート(11)
この物質は、無水クロロ酢酸および実施例11で得られた5-(2-フェニルエテニル)-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオールから、実施例12と同様の方法により72%の収率で合成された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ1.30 (d, J=7.0Hz, 6H), 3.08 (hept, J=7.0Hz, 1H), 4.39 (s, 4H), 6.96 (d, J=17Hz, 1H), 7.14 (d, J=17Hz, 1H), 7.17 (s, 2H), 7.2-7.5 (m, 5H)。
【0034】
(実施例9)
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(4-メトキシフェニル)エテン(12)
a) 3,5-ジメトキシ-4-イソプロピルベンジルブロミド
無水エーテル(100mL)中の3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルベンジルアルコール(12.57g, 59.8mmol)に、窒素雰囲気下、0℃でPBr3 (3.0mL, 31.2mmol)を滴下した。反応をTLCによりモニターした。反応が完了した後に(〜4時間)、水(180mL)を加えた。有機層を分離して、水層をエーテル(3×50mL)により抽出した。抽出物を水(20mL)、飽和Na2CO3 (20mL)、水(20mL)および食塩水(20mL)により洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。溶媒を蒸発させて、純粋な臭化物(14.93g, 91.4%)を白色の固体として得た。1HNMR (CDCl3, ppm): δ1.29 (d, J=7.1Hz, 6H), 3.64 (hept, J=7.1Hz, 1H), 3.84 (s, 6H), 4.50 (s, 2H), 6.60 (s, 2H)。
【0035】
b) (3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルベンジル)ホスホン酸ジエチル
3,5-ジメトキシ-4-イソプロピルベンジルブロミド(5.01g, 18.3mmol)および亜リン酸トリエチル(4.7mL, 27.4mmol)の混合物を、Bu4NI (0.05g)の存在下で一晩110〜130℃に加熱した。過剰な亜リン酸トリエチルを、減圧下110℃で除去して、ホスホン酸エステル(5.58g, 92%)を得た。1HNMR (CDCl3, ppm): δ1.27 (d, J=7.1Hz, 6H), 1.29 (t, J=7.0Hz, 6H), 3.12 (d, J=21.5Hz, 2H), 3.4-3.7 (m, 1H), 3.80 (s, 6H), 4.06 (dt, J=7.1, 7.1Hz,4H), 6.50 (d, J=2.6Hz,2H)。
【0036】
c) 1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(4-メトキシフェニル)エテン(12)
この物質は、(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルベンジル)ホスホン酸ジエチルおよび4-アニスアルデヒドから、実施例5(b)と同様の方法により、63%の収率で調製された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ1.31 (d, J=7.1Hz, 6H), 3.51-3.74 (m, 1H), 3.86 (s, 3H), 3.91 (s, 6H), 6.71 (s, 2H), 6.84-7.09 (m, 4H), 7.39-7.60 (m, 2H)。
【0037】
(実施例10)
5-[2-(4-ヒドロキシフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール(13)
この物質は、1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(4-メトキシフェニル)エテンおよびピリジン塩酸塩から、実施例3と同様の方法により、30%の収率で調製された。1HNMR (DMSO-d6, ppm): δ1.22 (d, J=7.0Hz, 6H), 3.41 (m, 1H), 6.40 (s, 2H), 6.73 (d, J=6.3Hz, 4H), 7.33 (s, 1H), 7.41 (s, 1H), 8.98 (s, 2H), 9.51 (s, 1H)。
【0038】
(実施例11)
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(3,5-ジメトキシフェニル)エテン(14)
この物質は、(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルベンジル)ホスホン酸ジエチルおよび3,5-ジメトキシベンズアルデヒドから、実施例5(b)と同様の方法により、25%の収率で調製された。
【0039】
(実施例12)
5-[2-(3,5-ジヒドロキシフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール(15)
この物質は、1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(3,5-ジメトキシフェニル)エテンおよびBBr3から、実施例11と同様の方法により調製された。
【0040】
(実施例13)
1-(4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)-2-フェニルエテン(21)
a) 4-ブロモ-3,5-ジメトキシ安息香酸メチル
この物質は、4-ブロモ-3,5-ジヒドロキシ安息香酸およびMe2SO4から、実施例1(a)と同様の方法により、95%の収率で合成された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ3.96 (s, 3H), 3.99 (s, 6H), 7.28 (s, 2H).
b) 4-ブロモ-3,5-ジメトキシベンジルアルコール
この物質は、上で得られた4-ブロモ-3,5-ジメトキシ安息香酸メチルから、実施例1(b)と同様の方法により、89%の収率で合成された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 1.95 (s, 1H), 3.93 (s, 6H), 4,69 (s, 2H), 6.61 (s, 2H).
c) 4-ブロモ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒド
この物質は、4-ブロモ-3,5-ジメトキシベンジルアルコールから、実施例1(c)と同様の方法により、75%の収率で合成された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 4.02 (s, 6H), 7.11 (s, 2H), 9.97 (s, 1H).
d) 1-(4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)-2-フェニルエテン(21)
この物質は、4-ブロモ-3,5-ジメトキシベンジルアルデヒドおよびベンジルホスホン酸ジエチルから、実施例5(b)と同様の方法により、70%の収率で合成された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 3.96 (s, 6H), 6.72 (s, 2H), 7.06 (d, J=17Hz, 1H), 7.11 (d, J=17Hz, 1H), 7.28 (m, 1H), 7.37 (m, 2H), 7.55 (m, 2H)。
【0041】
(実施例14)
2-ブロモ-5-(2-フェニルエテニル)-1,3-ベンゼンジオール(22)
この物質は、1-(4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)-2-フェニルエテン(21)およびBBr3から、実施例6と同様の方法により、90%の収率で合成された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 5.39 (s, 2H), 6.81 (s, 2H), 7.06 (d, J=17Hz, 1H), 7.11 (d, J=17Hz, 1H), 7.28 (m, 1H), 7.37 (m, 2H), 7.55 (m, 2H)。
【0042】
(実施例15)
1-[2,5-ジメトキシ-4-(2-フェニルエテニル)]フェニル-1-フェニルメタノール(16)
1-(4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)-2-フェニルエテン(0.2185g, 0.6845mmol)の無水THF (10mL)溶液に、−78℃でBuLi (0.3mL, 2.5M, ヘキサン中、0.7530mmol)を加えた。添加の1時間後、ベンズアルデヒド(0.07mL, 0.69mmol)を加えた。反応混合物を−78℃でさらに4時間撹拌した後、水(12mL)を加えて反応を止めた。これをエーテル(3×20mL)により抽出した。抽出物を合わせて無水Na2SO4により乾燥した。溶媒を蒸発させた後、5%酢酸エチル-ヘキサンを用いたフラッシュクロマトグラフィーをおこない、純粋な16 (0.203g, 収率86%)を黄色の固体として得た。1HNMR (CDCl3, ppm): δ3.88 (s, 6H), 4.26 (d, J=5.6Hz, 1H), 6.40 (br, 1H), 6.79 (s, 2H), 7.12(s, 2H), 7.2-7.6 (m, 10H)。
【0043】
(実施例16)
2,5-ジメトキシ-4-(2-フェニルエテニル)ベンズアルデヒド(17)
この化合物は、1-(4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)-2-フェニルエテン、BuLiおよびN, N-ジメチルホルムアミドから、実施例15と同様の方法により38%の収率で合成された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ3.94(s, 3H), 4.00 (s, 3H), 6.75 (s, 2H), 7.14 (s, 2H), 7.3-7.5 (m, 5H), 10.52 (s, 1H)。
【0044】
(実施例17)
1-(3,5-ジメトキシ-4-エチルフェニル)-2-フェニルエテン(23)
1-(4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)-2-フェニルエテン(0.53g, 1.7mmol)のTHF (10mL)溶液に、−78℃でt-ブチルリチウム(1.1mL, 1M, THF中)を加えた。添加が完了した後、溶液をゆっくりと加熱して30分間還流し、次いで−78℃に冷却した。ヨウ化エチル(1.2当量、0.27mL)を溶液に加えた。反応が完了した後、水(10mL)を加えた。THFを蒸発させ、混合物をCH2Cl2 (3×5mL)により抽出した。抽出物を合わせて、無水硫酸マグネシウムにより乾燥した。溶液を蒸発させた後に20%エーテル-ヘキサンを用いたフラッシュクロマトグラフィーをおこない、1,3-ジメトキシ-2-エチル-5-(2-フェニルエテニル)ベンゼンを70%の収率で得た。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 1.12 (t, J=7.2Hz, 6H), 2.70 (q, J=7.2Hz, 2H), 3.91 (s, 6H), 6.74 (s, 2H), 7.07 (s, 2H), 7.26 (m, 1H), 7.36 (m, 2H’), 7.52 (m, 2H)。
【0045】
(実施例18)
2-エチル-5-(2-フェニルエテニル)-1,3-ベンゼンジオール(24)
この物質は、1-(3,5-ジメトキシ-4-エチルフェニル)-2-フェニルエテンおよびBBr3から、実施例6と同様の方法により91%の収率で合成された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 1.22 (t, J=7.5Hz, 6H), 2.70 (q, J=7.5Hz, 2H), 4.81 (s, 2H), 6.60 (s, 2H), 7.00 (s, 2H), 7.26 (m, 1H), 7.36 (m, 2H), 7.52 (m, 2H)。
【0046】
(実施例19)
1-(3,5-ジメトキシ-4-n-テトラデカニルフェニル)-2-フェニルエテン(25)
この物質は、2-ブロモ-1,3-ジメトキシ-5-(2-フェニルエテニル)ベンゼンおよび1-ブロモ-n-テトラデカンから、実施例15と同様の方法により調製された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 0.91 (m, 6H), 1.29 (m, 22H), 2,65 (m, 2H), 3.90 (s, 6H), 6.73 (s, 2H), 7.10 (s, 2H), 7.26 (m, 1H), 7.36 (m, 2H), 7.52 (m, 2H)。
【0047】
(実施例20)
5-(2-フェニルエテニル)-2-n-テトラデカニル-1,3-ベンゼンジオール(26)
この物質は、1-(3,5-ジメトキシ-4-n-テトラデカニルフェニル)-2-フェニルエテンおよびBBr3から、実施例6と同様の方法により合成された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 0.95 (m, 6H), 1.30 (m, 22H), 2.65 (m, 2H), 4.80 (s, 2H), 6.60 (s, 2H), 7.00 (s, 2H), 7.26 (m, 1H), 7.36 (m, 2H), 7.52 (m, 2H)。
【0048】
(実施例21)
2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-1-(2-フルオロフェニル)エテン(27)
(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルベンジル)ホスホン酸ジエチル(0.50g, 1.5mmol)のTHF (10mL)溶液に、N2雰囲気下、0℃でNaH (60%, 鉱油中) (0.14g, 3.5mmol)を加えた。添加が完了した後、懸濁液を0℃で1時間撹拌し、次いで2-フルオロベンズアルデヒド(0.2mL, 1.9mmol) のTHF (10mL)溶液を加えた。反応液を0℃に1時間、次いで50℃に5時間保った。反応液を0℃に冷却した。水(5mL)をゆっくりと加えて反応を止めた後、2N HCl (8mL)を加えた。混合物をエーテル(3×20mL)により抽出した。抽出物を無水Na2SO4により乾燥した。エーテルを蒸発させた後、溶離液として5%酢酸エチル-ヘキサンを用いたフラッシュクロマトグラフィーをおこない、2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-1-(2-フルオロフェニル)エテン(1)を得た。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 1.34 (d, J=7.1Hz, 6H), 3.60 (qint. J=7.1Hz, 1H), 3.89 (s, 6H), 6.74 (s, 2H), 7.0-7.2 (m, 5H), 7.4-7.6 (m, 1H)。
【0049】
(実施例22)
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(3-フルオロフェニル)エテン(28)
この物質は、(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルベンジル)ホスホン酸ジエチルおよび3-フルオロベンズアルデヒドから、実施例21と同様の方法により調製された。
【0050】
(実施例23)
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(4-フルオロフェニル)エテン(29)
この物質は、(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルベンジル)ホスホン酸ジエチルおよび4-フルオロベンズアルデヒドから、実施例21と同様の方法により調製された。
【0051】
(実施例24)
2-(3,5-ジフルオロフェニル) -1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテン(30)
この物質は、(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルベンジル)ホスホネートおよび3,5-ジフルオロベンズアルデヒドから、実施例21と同様の方法により、27%の収率で調製された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 1.32 (d, J=7.0Hz, 6H), 3.66 (qint., J=7.0Hz, 1H), 3.90 (s, 6H), 6.72 (s, 2H), 6.8-7.2 (m, 5H)。
【0052】
(実施例25)
1-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテン(31)
(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテン
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(6.89g, 19.3mmol)のTHF (100mL)中の懸濁液に、アルゴン雰囲気下、室温でBuLi (7.7mL, 2.5M, ヘキサン中、19.3mmol)を加えた。得られた赤い溶液を10分間撹拌した後、上で得られた3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルベンジルアルデヒド(4.02g, 19.3mmol) のTHF (20mL)溶液を加えた。2時間後、水(20mL)により反応を止めた。混合物をエーテル(3×100mL)により抽出した。抽出物を飽和塩類溶液(3×30mL)により洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥した。エーテルを蒸発させた後、3%酢酸エチル-ヘキサンを用いたフラッシュクロマトグラフィーをおこない、純粋な(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテン(2.64g, 収率66%)を無色の固体として得た。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 1.31 (d, J=7.1Hz, 6H), 3.61 (qint, J=7.1Hz, 1H), 3.86 (s, 6H), 5.25 (d, J=11Hz, 1H), 5.73 (d, J=17Hz, 1H), 6.64 (s, 2H), 6.70 (dd, J=11, 17Hz, 1H).
(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテン(0.649g, 3.15mmol)、1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼン(1.23g, 6.37mmol)、二水素ジ-μ-クロロテトラキス(ジ-tert-ブチルホスフィニト-κP)ジパラデート(0.1409g, 0.151mmol)、Bu4NI (0.582g, 1.58mmol)およびK2CO3 (1.45g, 10.5mmol)のDMF (10mL)中の混合物を、アルゴン雰囲気下で140℃に加熱した。反応が完了した後(6時間)、反応混合物を水(10mL)中に注いだ。水相を2N HClにより酸性化し、エーテル(2×50mL)により抽出した。抽出物を飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄した後、無水Na2SO4により乾燥した。エーテルを蒸発させた後、2%酢酸エチル-ヘキサンを用いたフラッシュクロマトグラフィーをおこない、1-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテン(31)を黄色っぽい結晶として定量的に得た。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 1.32 (d, J=7.1Hz, 6H), 3.63 (qint, J=7.1Hz, 1H), 3.90 (s, 6H), 6.76 (s, 2H), 7.08 (d, J=17Hz, 1H), 7.27 (d, J=17Hz, 1H), 7.63 (d, J=8Hz, 2H), 8.13 (d, J=8Hz, 2H)。
【0053】
(実施例26)
1-(2,6-ジフルオロフェニル)-2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテン(32)
この化合物は、(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテンおよび1-ブロモ-2,6-ジフルオロベンゼンから、31の調製と同様の方法により定量的に合成された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ1.32 (d, J=7.1Hz, 6H), 3.62 (qint, J=7.1Hz, 1H), 3.90 (s, 6H), 6.73 (s, 2H), 6.8-7.2 (m, 4H), 7.41 (d, J=16.6Hz, 1H)。
【0054】
(実施例27)
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エテン(33)
この化合物は、(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテンおよび1-ブロモ-2,4,6-トリフルオロベンゼンから、31の調製と同様の方法により58%の収率で合成された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ1.32 (d, J=7.0Hz, 6H), 3.62 (qint, J=7.1Hz, 1H), 3.89 (s, 6H), 6.73 (s, 2H), 6.79-7.55 (m, 4H)。
【0055】
(実施例28)
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)エテン(34)
この化合物は、(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテンおよび1-ブロモ-2,3,4,5,6-トリフルオロベンゼンから、31の調製と同様の方法により合成された。
【0056】
(実施例29)
5-[2-(2-フルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール(37)
2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-1-(2-フルオロフェニル)エテン(27) (0.308g, 1.03mmol)およびピリジン塩酸塩(0.72g, 6.2mmol)の混合物を、アルゴン蒸気下で4時間、200℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却した。2N HCl (10mL)およびエーテル(15mL)を加えた。有機層を分離し、水層をエーテル(3×10mL)により抽出した。抽出物を無水Na2SO4により乾燥した。エーテルを蒸発させた後、15%酢酸エチル-ヘキサンを用いたフラッシュクロマトグラフィーをおこない、純粋な5-[2-(2-フルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール(37) (0.269g, 収率95%)を白っぽい固体として得た。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 1.41 (d, J=7.2Hz, 6H), 3.51 (qint., J=7.2Hz, 1H), 5.01 (b, 2H), 6.56 (s, 2H), 6.98 (d, J=17.6Hz, 1H), 7.0-7.3 (m, 4H), 7.60 (ddd, J=7.5, 7.5, 2.2Hz, 1H)。
【0057】
(実施例30)
5-[2-(3-フルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピルフェニル-1,3-ジオール(38)
この物質は、1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(3-フルオロフェニル)エテン(28)およびピリジン塩酸塩から、実施例34と同様の方法により調製された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 1.41 (d, J=7.2Hz, 6H), 3.49 (qint., J=7.2Hz, 1H), 6.53 (s, 2H), 6.9-7.5 (m, 6H)。
【0058】
(実施例31)
5-[2-(4-フルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピルフェニル-1,3-ジオール(39)
この物質は、1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(4-フルオロフェニル)エテン(29)およびピリジン塩酸塩から、実施例34と同様の方法により調製された(2段階で収率38%)。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 1.41 (d, J=7.2Hz, 6H), 3.48 (qint., J=7.2Hz, 1H), 6.52 (s, 2H), 6.81 (d, J=17Hz, 1H), 7.00 (d, J=17Hz, 1H), 7.0-7.2 (m, 2H), 7.4-7.6 (m, 2H); 1HNMR (DMSO-d6, ppm): δ 1.22 (d,J=7.1Hz, 6H), 3.35 (qint., J=7.1Hz, 1H), 6.45 (s, 2H), 6.81 (d, J=16.7Hz, 1H), 6.99 (d, J=16.7Hz, 1H), 7.17 (dd, J=8.8, 8.8Hz, 2H), 7.61 (dd, J=8.8Hz, 5.6Hz, 2H), 9.05 (s, 2H)。
【0059】
(実施例32)
5-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピルフェニル-1,3-ジオール(40)
この物質は、1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(3,5-ジフルオロフェニル)エテンおよびピリジン塩酸塩から、実施例34と同様の方法により、70%の収率で調製された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 1.40 (d, J=7.1Hz, 6H), 3.56 (qint., J=7.2Hz, 1H), 4.90 (s, 2H), 6.52 (s, 2H), 6.2-7.1 (m, 5H)。
【0060】
(実施例33)
5-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール(41)
この物質は、1-(2,4-ジフルオロフェニル) -2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテンおよびピリジン塩酸塩から、実施例34と同様の方法により、44%の収率で調製された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 1.41 (d, J=7.1Hz, 6H), 3.49 (qint., J=7.1Hz, 1H), 4.78 (br, 2H), 6.54 (s, 2H), 6.69-7.02 (m, 3H), 7.13 (d, J=16Hz, 1H), 7.41-7.75 (m, 1H)。
【0061】
(実施例34)
5-[2-(2,6-ジフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール(42)
この物質は、1-(2,6-ジフルオロフェニル)-2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテンおよびピリジン塩酸塩から、実施例34と同様の方法により、29%の収率で調製された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 1.42 (d, J=7.1Hz, 6H), 3.50 (qint, J=7.1Hz, 1H), 4.77 (br, 2H), 6.57 (s, 2H), 6.8-7.4 (m, 5H)。
【0062】
(実施例35)
2-i-プロピル-5-[2-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エテニル]-1,3-ベンゼンジオール(43)
この物質は、1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エテンおよびピリジン塩酸塩から、実施例29と同様の方法により14%の収率で調製された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 1.42 (d, J=7.1Hz, 6H), 3.50 (qint, J=7.1Hz, 1H), 4.77 (br, 2H), 6.55 (s, 2H), 6.59-7.24 (m, 4H)。
【0063】
(実施例36)
5-[2-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール(44)
この物質は、1-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)-2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテンおよびピリジン塩酸塩から、実施例34と同様の方法により、21%の収率で調製された。1HNMR (CDCl3, ppm): δ 1.40 (d, J=7.2Hz, 6H), 3.53 (d, J=7.2Hz, 6H), 4.91 (s, 2H), 6.55 (s, 2H), 6.86 (d, J=17Hz, 1H), 7.28 (d, J=17Hz, 1H)。
【0064】
以下の実施例に詳細に記載する標準的な薬理学的方法により、本発明の化合物が、T-細胞、ケラチン細胞の増殖、ロイコトリエンB4により誘導される細胞遊走を阻害すること、およびin vitroにおいてIFN-γ分泌およびVEGF発現を阻害すること、ならびにin vivoにおいてTNF-αおよび浮腫を阻害することが示される。
【0065】
(実施例37)
新規化合物の生物活性
以下の生物活性に関するアッセイは確立された、当業者に公知のものである。理解を助けるためにここに簡単に説明する。
【0066】
(a) フィトヘマグルチニン(PHA)により刺激されるヒト末梢血単核細胞(PBMC)の増殖およびIFN-γ生産に対する効果
実験:標準的な細胞培養技術を用いて、PBMCをPHAと共に培養して、滴定された濃度の化合物もしくは溶媒と共に、または培地のみで培養した。48時間の培養の後にMTTアッセイをおこなった。48時間の培養の後に上清を採集して、ELISAによりIFN-γのレベルをアッセイした。
【0067】
結果:本発明の5-[2-(4-ヒドロキシフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール(13)は、ヒトPBMC増殖に対して2.97のIC50を有したのに対して、レスベラトロルは50よりも大きいIC50を有した。化合物13はPBMCの増殖の阻害に対して20倍大きい効力を有する(表1)。同様に、化合物13は、IFN-γの生産の阻害に対して、レスベラトロルよりも15倍以上大きい効力を有する(表2)。同様に、3つのフッ化化合物、37、38および39は10μMよりも小さいIC50を有したのに対して、レスベラトロルは試験された最高濃度である50μMよりも大きいIC50を有した。フッ化化合物は、PBMCの増殖の阻害に対して、レスベラトロルの5倍よりも大きい効力の、優れた活性を有していた(表1)。同様に、レスベラトロルのIC50値は3つのフッ化化合物のそれよりも9倍以上高く、フッ化化合物がヒトPBMCによるIFN-γの生産の阻害に対してレスベラトロルよりも9倍以上効力が高いことを示している(表2)。
【表1】

【表2】

【0068】
(b) ヒトケラチン細胞の増殖に対する効果
ヒトケラチン細胞をIFN-γおよび滴定された濃度の薬物または担体の存在下で培養した。48時間の培養の後にMTTアッセイをおこなった。
【0069】
結果:化合物13は4.3μMのIC50を有したのに対して、レスベラトロルは50よりも大きいIC50を有した。これは、化合物13がレスベラトロルよりも10倍以上効力が大きいことを示している(表3)。
【表3】

【0070】
(c) ロイコトリエンB4に誘導されるヒト白血球(WBC)の遊走に対する効果
実験:ドナーから採集されたWBCを等しい体積の3%デキストラン(0.15M NaCl中)と混合した。赤血球を沈降して(室温、45分)除去した。150mMのTris-NH4Clを加えることにより、血漿中に残った赤血球をすべて除去した。得られた白血球の多い血漿を
20mM HEPESを含むハンクス液中で2回洗浄した。次いで、WBCをRPMI-1640培地に移して、密度を5×107細胞/mlに調節した。アガロースプレートアッセイ系(Nelsonら、1978)を用いてWBC遊走を測定した。簡単に述べると、完全RPMI-1640細胞培養液を用いて0.8%アガロース溶液を調製した。約3.5mlのこのアガロース溶液を、これが凝固する前にスライドガラスに移した。アガロースが凝固した後に、スライドガラス上に3×6の配列(φ2mm、ウェル間距離3mm)でウェルを作った。LTB4を無水エタノールに104ng/mlに溶解し、試験のためにRPMI-1640培地によりさらに10ng/mlに希釈した。化合物39をDMSOに溶解し、RPMI-1640により103μg/mlに希釈して、100、10、1、0.1および0.01μg/mlの濃度で試験した。異なる濃度の化合物39を含む10μlの細胞懸濁液を、ウェルの3つの列の中央の列のそれぞれのウェルに加えた。同じ体積のLTB4をRPMI-1640培地に加えたものまたは培地のみを他の列のウェルに加えて対照とした。5時間インキュベーション(5% CO2, 37℃)した後、試験スライドを100%メタノールにより固定して(30分間)、4℃で乾燥した(一晩)。次に、スライドガラスを顕微鏡により試験した。遊走指数は、細胞がLTB4が存在するウェルに向かって遊走した平均距離を自発性遊走のそれで割ったものであると定義された。処理したものと薬物を加えない対照で遊走のパーセンテージを比較した。走化性のパーセンテージをIC50値の濃度に対してプロットすることにより用量-効果相関を決定した。
【0071】
結果:化合物39はWBCのLTB4に対する遊走を用量に依存して阻害した(表4)。
【表4】

【0072】
結論:化合物39は、自己免疫応答を含む炎症において重要な役割を果たす仲介物質である、ロイコトリエンB4により誘導されるWBCの遊走に対して強い阻害活性を示した。
【0073】
(d) 血管内皮成長因子(VEGF)タンパク質発現に対する効果
実験:化合物39をDMSOに溶解し、ケラチン細胞-血清を含まない培地(KC-SFM)により103μg/mlに希釈し、培養液によりさらに希釈して、10、1、0.1および0.01μg/mlの濃度で試験した。ケラチン細胞の初代培養は購入し、KC-SFMを加えて106/mlの細胞密度で維持した。試験において、細胞を24-ウェルプレートで培養し、5% CO2中、37℃でまず4時間インキュベートした後、rhTGF-α(最終濃度100ng/ml)および異なる濃度の試験化合物(0.01〜10μg/ml)により処理した。負の対照として試験化合物を加えない培地も試験した。さらに24時間インキュベートした後、それぞれのウェルからの培養の上清を別々に採集し、2000rpmで5分間遠心分離して、VEGF濃度を測定した。ELISAキットを用いて、製造者の指示に従って得られた測定値に基づいて、それぞれのウェルの上清におけるVEGF濃度を計算した。
【0074】
結果:化合物39は、24時間の処理の後、rhTGF-αにより誘導されるケラチン細胞の細胞上清中のVEGF濃度に対して用量依存効果を示した。この効果は実質的に増加し、化合物39の濃度が40Mに増加した場合にタンパク質濃度は100%減少した(表5)。
【表5】

【0075】
結論:化合物39はヒトケラチン細胞におけるVEGF発現に対して有意な阻害効果を有していた。
【0076】
(e) 内毒血症マウスモデルにおけるin vivoの有効性
実験:試験化合物を50% PEG-400水溶液に溶解し、製剤した。メスのBalb/cマウス(〜20g)にまず、25mg/kgのそれぞれの試験化合物を別々に腹腔内(IP)注射し、次いで30分後に40mg/kgのリポ多糖(LPS) (IP)を注射することにより攻撃した。LPSによる攻撃と同時に12.5mg/kgの試験化合物による1回の薬物注射をおこない、それに続いて30分間隔でさらに2回の注射をおこなった。正の対照のデキサメタゾンを、0.4mg/kgで開始してそれに続く0.2mg/kgの3回の追加注射による同様の方法で投与した。LPS攻撃の150分後にマウスを殺して、心臓穿刺により血液を採集した。ELISAにより血清のTNF-αレベルを測定した。それぞれの試験群において6匹のマウスを用いた。担体のみを注射されたマウスの群は負の対照として用いた。
【0077】
結果:化合物37および39は、LPSにより誘導されるマウス血液中のTNF-αレベルを有意に(P<0.05)減少させた(表6)。
【表6】

【0078】
結論:フッ化化合物、化合物37および39は、マウスにおいて広い範囲の活性をモジュレートするTNF-αのレベルを有意に減少させた。その結果、動物における炎症反応を減少させる。
【0079】
(f) TPAに誘導される浮腫に対する有効性
実験:3つの代表的な化合物、先に報告された関連の深いスチルベン誘導体(WO 0142231)である、5-(2-フェニルエテニル)-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール、および本発明の新規化合物である化合物39を、正の対照として0.01%カルシトリオール(市販の標準品)を用いて、週齡10〜12の雌のマウス(Balb/c)の浮腫に対してアッセイした。浮腫誘導物質として、ホルボール-12-ミリステート-13-アセテート(TPA)を用いた。TPAおよび試験化合物はすべて100%エタノールに溶解し、マウスの右耳に20μlを適用した。群あたり6匹のマウスを用いた。用いたTPA濃度は0.01% (w/v)であった。浮腫が減少したかどうかを決定するためにTPA処理の6時間後に耳の厚さを測定した。それぞれの実験において、同じようにTPA処理したマウスの群を、5-(2-フェニルエテニル)-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール、カルシトリオール、化合物39、またはエタノールのみのいずれかにより処理した。阻害のレベルは、耳の厚さを測定することにより得られ、処理した耳とエタノール処理した耳との厚さの差違をパーセンテージにより表した。
【0080】
結果:フッ化化合物は浮腫を有意に減少させる。先に報告されたスチルベン、5-(2-フェニルエテニル)-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオールのH原子の1つをFに置き換えて本発明の新規化合物39にすることで、浮腫の阻害は8%から85%に増大する。これに対してカルシトリオールの阻害は31%であることから、これは、本発明の新規化合物39の驚くべき高レベルの活性を証明している。
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
R1は、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアラルキル基、ハロ、またはCOR9からなる群より選択される;
R2およびR3は、H、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキルまたはアシルからなる群より独立して選択される;
R4、R5、R6、R7およびR8は、同時にHではなく、H、非置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアラルキル基、ハロ、ニトロ、CN、COR9、NR10R11、S(O)2NR10R11、S(O)nR10、n=0〜2、OR12、環式、または複素環基からなる群より独立して選択される;ただし、R1が1〜3のイソプレン単位を含む不飽和基である場合、R6はヒドロキシまたはアルコキシ基ではない;
R9は、H、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキル、またはNR10R11、またはOR10から選択される;
R10およびR11は、H、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルから選択される;
R12は、H、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキルまたはアシルから選択される;
ここで、式Iの化合物の二重結合の立体配置はEまたはZである。]
の化合物、またはその塩。
【請求項2】
R4、R5、R6、R7およびR8が、H、非置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアラルキル基、ハロ、ニトロ、CN、COR9、NR10R11、S(O)2NR10R11、S(O)nR10、n=0〜2、OR12、環式、または複素環基からなる群より独立して選択される(ただし、R4、R5、R6、R7およびR8のうち1つ以上がFである)請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R4、R5、R6、R7およびR8が、H、COR9、およびOR12からなる群より独立して選択される(ただし、R4、R5、R6、R7およびR8のうち1つ以上がCOR9である)請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R2およびR3が、H、非置換または置換アルキル、またはアシルからなる群より独立して選択される、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
R2およびR3が、H、メチル、またはアセチルからなる群より独立して選択される、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
R1が1から14炭素の非置換または置換アルキルから選択され;R2およびR3がそれぞれ、H、非置換または置換アルキルまたはアシルからなる群より独立して選択される、請求項2記載の化合物。
【請求項7】
R4、R5、R6、R7およびR8が、HおよびFからなる群より独立して選択される(ただし、R4、R5、R6、R7およびR8のうち1つ以上がFである)請求項6記載の化合物。
【請求項8】
R1がイソプロピルであり;R2およびR3がそれぞれ、H、メチルまたはアセチルからなる群より独立して選択される、請求項6記載の化合物。
【請求項9】
化合物が、
4-[2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸;
3-[2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸;
4-[2-(3,5-ジヒドロキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸;
3-[2-(3,5-ジヒドロキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(4-メトキシフェニル)エタン;
5-[2-(4-ヒドロキシフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(3,5-ジメトキシフェニル)エタン;
5-[2-(3,5-ジヒドロキシフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
1-[2,5-ジメトキシ-4-(2-フェニルエテニル)フェニル]-1-フェニルメタノール;
2,5-ジメトキシ-4-(2-フェニルエテニル)ベンズアルデヒド;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-フェニルエテン;
5-(2-フェニルエテニル)-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
1-(4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)-2-フェニルエテン;
2-ブロモ-5-(2-フェニルエテニル)-1,3-ベンゼンジオール;
1-(3,5-ジメトキシ-4-エチルフェニル)-2-フェニルエテン;
2-エチル-5-(2-フェニルエテニル)-1,3-ベンゼンジオール;
2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-1-(2-フルオロフェニル)エタン;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(3-フルオロフェニル)エタン;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(4-フルオロフェニル)エタン;
2-(3,5-ジフルオロフェニル)-1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エタン;
1-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エタン;
1-(2,6-ジフルオロフェニル)-2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エタン;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エタン;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)エタン;
5-[2-(2-フルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
5-[2-(3-フルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピルフェニル-1,3-ジオール;
5-[2-(4-フルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピルフェニル-1,3-ジオール;
5-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピルフェニル-1,3-ジオール;
5-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
5-[2-(2,6-ジフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
2-i-プロピル-5-[2-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エテニル]-1,3-ベンゼンジオール;
5-[2-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール
からなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
式I:
【化2】

[式中、
R1は、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアラルキル基、ハロ、またはCOR9からなる群より選択される;
R2およびR3は、H、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキルまたはアシルからなる群より独立して選択される;
R4、R5、R6、R7およびR8は、同時にHではなく、H、非置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアラルキル基、ハロ、ニトロ、CN、COR9、NR10R11、S(O)2NR10R11、S(O)nR10、n=0〜2、OR12、環式、または複素環基からなる群より独立して選択される;ただし、R1が1〜3のイソプレン単位を含む不飽和基である場合、R6はヒドロキシまたはアルコキシ基ではない;
R9は、H、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキル、またはNR10R11、またはOR10から選択される;
R10およびR11は、H、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルから選択される;
R12は、H、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキルまたはアシルから選択される;
ここで、式Iの化合物の二重結合の立体配置はEまたはZである。]
の化合物またはその塩、および製薬上許容される希釈剤または担体を含む医薬組成物。
【請求項11】
R4、R5、R6、R7およびR8が、H、非置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアラルキル基、ハロ、ニトロ、CN、COR9、NR10R11、S(O)2NR10R11、S(O)nR10、n=0〜2、OR12、環式、または複素環基からなる群より独立して選択される(ただし、R4、R5、R6、R7およびR8のうち1つ以上がFである)請求項10記載の組成物。
【請求項12】
R4、R5、R6、R7およびR8が、H、COR9、およびOR12からなる群より独立して選択される(ただし、R4、R5、R6、R7およびR8のうち1つ以上がCOR9である)請求項10記載の組成物。
【請求項13】
R2およびR3が、H、非置換または置換アルキル、またはアシルからなる群より独立して選択される、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
R2およびR3が、H、メチル、またはアセチルからなる群より独立して選択される、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
R1が1から14炭素の非置換または置換アルキルから選択され;R2およびR3がそれぞれ、H、非置換または置換アルキルまたはアシルからなる群より独立して選択される、請求項11記載の組成物。
【請求項16】
R4、R5、R6、R7およびR8が、HおよびFからなる群より独立して選択される(ただし、R4、R5、R6、R7およびR8のうち1つ以上がFである)請求項15記載の組成物。
【請求項17】
R1がイソプロピルであり;R2およびR3がそれぞれ、H、メチルまたはアセチルからなる群より独立して選択される、請求項15記載の組成物。
【請求項18】
化合物が、
4-[2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸;
3-[2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸;
4-[2-(3,5-ジヒドロキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸;
3-[2-(3,5-ジヒドロキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(4-メトキシフェニル)エタン;
5-[2-(4-ヒドロキシフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(3,5-ジメトキシフェニル)エタン;
5-[2-(3,5-ジヒドロキシフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
1-[2,5-ジメトキシ-4-(2-フェニルエテニル)フェニル]-1-フェニルメタノール;
2,5-ジメトキシ-4-(2-フェニルエテニル)ベンズアルデヒド;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-フェニルエテン;
5-(2-フェニルエテニル)-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
1-(4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)-2-フェニルエテン;
2-ブロモ-5-(2-フェニルエテニル)-1,3-ベンゼンジオール;
1-(3,5-ジメトキシ-4-エチルフェニル)-2-フェニルエテン;
2-エチル-5-(2-フェニルエテニル)-1,3-ベンゼンジオール;
2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-1-(2-フルオロフェニル)エタン;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(3-フルオロフェニル)エタン;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(4-フルオロフェニル)エタン;
2-(3,5-ジフルオロフェニル)-1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エタン;
1-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エタン;
1-(2,6-ジフルオロフェニル)-2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エタン;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エタン;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)エタン;
5-[2-(2-フルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
5-[2-(3-フルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピルフェニル-1,3-ジオール;
5-[2-(4-フルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピルフェニル-1,3-ジオール;
5-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピルフェニル-1,3-ジオール;
5-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
5-[2-(2,6-ジフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
2-i-プロピル-5-[2-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エテニル]-1,3-ベンゼンジオール;
5-[2-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール
からなる群より選択される、請求項10記載の組成物。
【請求項19】
式I:
【化3】

[式中、
R1は、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアラルキル基、ハロ、またはCOR9からなる群より選択される;
R2およびR3は、H、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキルまたはアシルからなる群より独立して選択される;
R4、R5、R6、R7およびR8は、同時にHではなく、H、非置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアラルキル基、ハロ、ニトロ、CN、COR9、NR10R11、S(O)2NR10R11、S(O)nR10、n=0〜2、OR12、環式、または複素環基からなる群より独立して選択される;ただし、R1が1〜3のイソプレン単位を含む不飽和基である場合、R6はヒドロキシまたはアルコキシ基ではない;
R9は、H、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキル、またはNR10R11、またはOR10から選択される;
R10およびR11は、H、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルから選択される;
R12は、H、非置換または置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキルまたはアシルから選択される;
ここで、式Iの化合物の二重結合の立体配置はEまたはZである。]
の化合物の、免疫、炎症または自己免疫疾患を含む障害を治療するための医薬品の製造における使用。
【請求項20】
R4、R5、R6、R7およびR8が、H、非置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアラルキル基、ハロ、ニトロ、CN、COR9、NR10R11、S(O)2NR10R11、S(O)nR10、n=0〜2、OR12、環式、または複素環基からなる群より独立して選択される(ただし、R4、R5、R6、R7およびR8のうち1つ以上がFである)請求項19記載の使用。
【請求項21】
R4、R5、R6、R7およびR8が、H、COR9、およびOR12からなる群より独立して選択される(ただし、R4、R5、R6、R7およびR8のうち1つ以上がCOR9である)請求項19記載の使用。
【請求項22】
R2およびR3が、H、非置換または置換アルキル、またはアシルからなる群より独立して選択される、請求項21記載の使用。
【請求項23】
R2およびR3が、H、メチル、またはアセチルからなる群より独立して選択される、請求項22記載の使用。
【請求項24】
R1が1から14炭素の非置換または置換アルキルから選択され;R2およびR3がそれぞれ、H、非置換または置換アルキルまたはアシルからなる群より独立して選択される、請求項20記載の使用。
【請求項25】
R4、R5、R6、R7およびR8が、HおよびFからなる群より独立して選択される(ただし、R4、R5、R6、R7およびR8のうち1つ以上がFである)請求項24記載の使用。
【請求項26】
R1がイソプロピルであり;R2およびR3がそれぞれ、H、メチルまたはアセチルからなる群より独立して選択される、請求項24記載の使用。
【請求項27】
化合物が、
4-[2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸;
3-[2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸;
4-[2-(3,5-ジヒドロキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸;
3-[2-(3,5-ジヒドロキシ-4-i-プロピルフェニル)エテニル]安息香酸;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(4-メトキシフェニル)エタン;
5-[2-(4-ヒドロキシフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(3,5-ジメトキシフェニル)エタン;
5-[2-(3,5-ジヒドロキシフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
1-[2,5-ジメトキシ-4-(2-フェニルエテニル)フェニル]-1-フェニルメタノール;
2,5-ジメトキシ-4-(2-フェニルエテニル)ベンズアルデヒド;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-フェニルエテン;
5-(2-フェニルエテニル)-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
1-(4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)-2-フェニルエテン;
2-ブロモ-5-(2-フェニルエテニル)-1,3-ベンゼンジオール;
1-(3,5-ジメトキシ-4-エチルフェニル)-2-フェニルエテン;
2-エチル-5-(2-フェニルエテニル)-1,3-ベンゼンジオール;
2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-1-(2-フルオロフェニル)エタン;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(3-フルオロフェニル)エタン;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(4-フルオロフェニル)エタン;
2-(3,5-ジフルオロフェニル)-1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エタン;
1-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エタン;
1-(2,6-ジフルオロフェニル)-2-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)エタン;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エタン;
1-(3,5-ジメトキシ-4-i-プロピルフェニル)-2-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)エタン;
5-[2-(2-フルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
5-[2-(3-フルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピルフェニル-1,3-ジオール;
5-[2-(4-フルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピルフェニル-1,3-ジオール;
5-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピルフェニル-1,3-ジオール;
5-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
5-[2-(2,6-ジフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール;
2-i-プロピル-5-[2-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エテニル]-1,3-ベンゼンジオール;
5-[2-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)エテニル]-2-i-プロピル-1,3-ベンゼンジオール
からなる群より選択される、請求項19記載の使用。
【請求項28】
哺乳類における免疫、炎症または自己免疫疾患を含む障害を治療する方法であって、上記の障害に冒された哺乳類に有効量の請求項1に定義された通りの式Iの化合物またはその塩を投与することを含む方法。
【請求項29】
哺乳類における免疫、炎症または自己免疫疾患を含む障害を治療する方法であって、上記の障害に冒された哺乳類に有効量の請求項2〜9記載の化合物またはその塩を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2006−508930(P2006−508930A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540416(P2004−540416)
【出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001497
【国際公開番号】WO2004/031117
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(503257413)ウェリケム バイオテック インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】