説明

新規EIMERIA遺伝子および対応タンパク質の使用

本発明は、Eimeria tenella 種の寄生体に属する新規接合子スポロキストタンパク質(EtOs22)、このタンパク質をコードするポリヌクレオチド、このポリヌクレオチドを含有するベクター、これらのベクターにより形質転換された細胞、該タンパク質に対する抗体、該ポリヌクレオチド、該タンパク質やそれらのフラグメント、上記ベクターまたは該タンパク質に対する抗体を含有するワクチンに関し、Eimeriaによる感染を処置するための活性な化合物を見出すためのポリヌクレオチドまたはポリペプチド、およびEimeria感染の治療に適当である活性な化合物、の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、Eimeria tenella種の寄生体に属する新規接合子スポロキストタンパク質(EtOS22)に関し、このタンパク質をコードしているポリヌクレオチド、このポリヌクレオチドを含有するベクター、これらのベクターで形質転換された細胞、該タンパク質に対する抗体、該ポリヌクレオチド、該タンパク質、またはそれらのフラグメント、上記ベクターまたは該タンパク質に対する抗体を含むワクチンに関し、Eimeriaによる感染を処置するための活性な化合物を見い出すためのポリヌクレオチドまたはポリペプチド、およびEimeria感染の治療に適当である活性な化合物、の使用に関する。
【0002】
Eimeria属の寄生体は、順次有性および無性生殖の発生段階を生じる複雑なライフサイクルを持つ必須の細胞内にある原生動物である。Eimeria tenella生物体は、家畜用ニワトリ(Gallus domesticus)の盲腸中に生存し、ヒト病原体Toxoplasma gondii、Plasmodium falciparumおよびCryptosporidium parvumに近縁で、重要な動物病原体であるSarcocystis属、Neospora属、Babesia属およびTheileria属に関係する。LEVINE(1980)による原生動物の系統的分類によると、これらの属の代表的なものはアピコンプレックス門に属する。
【0003】
Eimeria tenellaは、ヒナドリおよびメンドリの強力なフロア管理に関連する経済的に重要な問題となってきた疾患である、飼鳥類コクシジウム症の原因物である。コクシジウム症疾患の病態には、深刻な経済ダメージを引き起こし得る観血性下痢(bloody diarrheas)が含まれ、結果として、このメンドリの飼料摂取の減退および体重低下を引き起こす深刻な経済的ダメージを引き起こし得る。Eimeria tenellaとは異なり、他の6種類のEimeria種:Eimeria acervulina、Eimeriamaxima、Eimeria brunetti、Eimeria necatrixおよびEimeriapraecoxは家畜用メンドリ(domestic hen)における、コクシジウム症疾患の原因となる。
【0004】
アピコンプレックス寄生体の感染形態(スポロゾイトやメロゾイト)は、他の胞子虫亜門とは明確に異なる特定の形態学的特性によって特徴付けられる。最も重要な特徴は、前方細胞腔での「アピカル・コンプレックス」の存在と考えられ、この複合体は、3つの分泌オルガネラ(ロプトリー、ミクロネームおよび密顆粒)と、また極輪およびペリクル下微小管を所有する構造を形成するコノイドも含まれる。
【0005】
Eimeria tenellaは、家畜用メンドリ(Gallus gallus)においてモノキサン(monoxene)発生を経験する。寄生体は厳格な宿主特異性および細胞内編性である。増殖は、上皮細胞および盲腸の粘膜下組織で起こる。家畜用メンドリは、食料を探している時にEimeria tenellaに感染する。胞子形成した接合子が摂取され、砂嚢中で物理的処理された後、成熟した休眠スポロゾイトは、トリプシンおよび胆汁塩の影響下において小腸中のスチーダ小体(stieda body)と呼ばれているスポロキストから放出される。スポロゾイトは、移動性となり、寄生体を有する液胞を形成している間に盲腸中で宿主細胞にコロニーを形成する。寄生体を有する液胞は、リソソーム消化から細胞内寄生体を保護する。その保護中に、多核性シゾントが形成される。シゾゴニー(メロゴニー)は、寄生体の無性生殖を構成する。移動性メロゾイトは、ロゼットの形でシゾントを摘み出す(pincht)。それらが放出された後、メロゾイトは盲腸細胞付近でシゾントの3世代先までに定着する。急性感染中、シゾゴニーのサイクルは、腸の出血、体重低下を導き得る広範な腸損傷を生じさせ、重度な感染の場合では宿主を死亡させ得る。シゾゴニーのサイクルが終結するようになった後、ガモゴニーは、配偶子に成熟する多核性雄性ミクロガモントと単核性雌性マクロガモントの形成を開始する。雌性大配偶子は、好酸性の「全形成」体を含み、それは受精後、融合して接合子壁を作る。6日の前顕性時間が終了した後に、新しい接合子が分泌される。接合子の分泌と共に、この感染が終結し、宿主が種特異性免疫性を獲得する。
【0006】
診断
メンドリでのコクシジウム症の種を、正確に、迅速にかつ安価に同定する能力は、感染の予防および処置のために可能性のある最も重要事である。現在、LongとReid(1982)の方法は、接合子形態(顕微鏡)、宿主特異性、腸における損傷の病状および前顕性時間に従って、メンドリにおいて7種のEimeriaを同定するために慣例的に使用されている。これに加えて、イソ酵素パターンの方法によって生物学的特徴分析を有効とする試みがある。この方法では、糖代謝酵素は、大部分の酵素図を構築するための遺伝的マーカーとして使用されている (JohnstonおよびFemando 1997)。経験は、従来的、形態学的な、描写方法または生物化学的方法のいずれかを用いる場合には、種の正確な判別は、不十分または部分的に達成され得るだけであることを示している。従って、組換えDNAレベルで種を特徴づけ得ることが望ましい。非常に少ない相反する調査結果が、この分野では得られてきた(Comes et al. 1996)。Eimeria種の生物学的差違は、DNA多形性の形態における遺伝的差違が様々な種において存在することによると示唆されている。多形性は、塩基変化(欠失、挿入)の結果として、または染色体再配列の結果として生じ得る。元々血縁分析のために開発されたDNAフィンガー・プリント法において、変異性DNAは、制限エンドヌクレアーゼによって切断され、放射性DNAプローブとハイブリダイズされ、ゲル電気泳動およびサザンブロット後に、オートラジオグラフィーで可視化される。この方法で作成されてきた遺伝子のフィンガー・プリント法は、生物の種および株を明白に区別するために使用され得る。RAPD−PCR法「ランダムに増幅した多形性DNAポリメラーゼ連鎖反応(random amplified polymorphic DNA polymerase chain reaction)」は、この方法の簡略化を提供する。この方法は、ランダムヌクレオチド配列を有する1つのプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において、ゲノムDNAを増幅することを基にしている。アガロースゲル上で分離され、エチジウムブロマイドで染色された後、増幅されたDNAセグメント(RAPD−PCRマーカー)から、特異的なバンドのパターンを得る。しかし、この方法は、互いに純粋株を区別するためだけに使用され得る。野外の単離物(様々なEimeria種の混合物)で種を同定するには、これらの技術は使用できない。技術の簡略化に加えて、より経済的な方法は、特異的な遺伝子配列を基にした特異的なプローブを見出すことであろう。すなわち、内部翻訳スペーサーITS1(Schnitzler et al. 1998)およびITS2(Gasser et al.2001)領域、さらにEimeria acervulina種虫抗原(EASZ 240/160)(Molloy et al. 1998)由来のリボゾームDNAの既知配列(EllisおよびBumstead 1990)は、この目的のために使用される。
【0007】
治療
年額少なくとも300ミリオンUSドルにのぼる抗コクシジウム剤が、現在この疾患の治療に使用されている。l970年以来、化学療法処置は、特にポリエステルイオノフォア、モネンシン、ナラシン、サリノマイシンおよびラサドヒドを用いて、実施されている。さらに、寄生体段階のDNA合成またはタンパク質合成を阻害する数多くの活性な化合物は、市場に存在している(Greif 2001)。しかし、本治療は、重大な問題および/または不利益をこうむる。メンドリにおいて深刻な薬物担持(食用組織中に残留する問題)および生態毒性/生態汚染(環境の)とは別に、薬剤耐性の進化が、抗コクシジウム症の処置に関する大きな問題と考えられている。シャトルまたはローテーションプログラムと言われるものを用い、そして新規の作用機構(Coombs 2002)に対する高額の探索によって進化する耐性に打ち勝つ試みがなされている。そのため、Eimeria感染を処置するための改善された活性な化合物およびこれらの活性な化合物を見出す方法を緊急に必要としている。
【0008】
ワクチン接種
免疫予防(ワクチン接種)は、コクシジウム症の化学療法を処置するための非常に良好な代替法である。Eimeria種と接触する1つの病原体は、二次相同感染に対して実質的に完全な免疫性を導く(RoseおよびWakelin1990)。1日齢のヒナドリは、16-25日期間にわたる寄生体段階の連続投与により、Eimeria tenella、EimeriaacervulinaおよびEimeria maximaに対する天然の免疫性を誘導させる(StiffおよびBafundo 1993)。保護的配偶子母細胞抗原を用いて産卵メンドリを免疫化すると、ふ化したヒナドリでの免疫状態が改善される。このストラテジーは、「母系免疫化」(Wallach 1992)としてWallachによって開発された。
【0009】
完全に毒性Eimeria株(接合子生ワクチン)を用いるワクチンプログラムは、市販品Immucox(登録商標)(Vetech Laboratories, Canada)および Coccivac(登録商標)(Sterwin Laboratories, USA)を用いて、現在実施されている。製品Paracox(登録商標)(Schering Plough, England) および Livacox(登録商標)(Williams 2002)は、漸先形毒性株と呼ばれるものに基にしている。ポリエステル耐性毒性生ワクチンは、最近市場に登場した(Vermeulen 2001)。全てにおいて、13の接合子含有生ワクチンは、現在、メンドリにおけるコクシジウム症に対する免疫化用に登録されている(Chapman et al. 2002, Williams 2002)。
【0010】
しかし、市場にでているこれら全てのワクチンは、製造コストが高いという経済的欠点および接合子の継代を必要とする家畜管理を欠点としてもつ。別の問題は、市場にでている生ワクチンが元の病原性の型に戻る変異をし得るということである。
【0011】
そのため、好ましくは、生ワクチンでない利用し得る改良されたワクチンを作成することが、緊急に必要とされている。
【0012】
保護的抗原と呼ばれるものを基にしている組換えワクチン(サブユニットワクチン)の遺伝子操作による開発は、全ての免疫化方法において「理想的なゴール」であると考えられている。保護的抗原は、病原体/宿主細胞相互作用中に、細胞認識、細胞接着および細胞侵入において重要な機能を有する寄生体中の構造的化合物であり、また、おそらくその機能は今までに知られていない他のタンパク質である。保護的なEimeria tenella抗原に対するこれまでの探索には、表面抗原、内部小器官抗原、また接合子、スポロゾイトおよびメロゾイトの勾配単離された器官抗体が包含される(Vermeulen,1998)。すでに既知のタンパク質についての遺伝子配列を念入りに探索するのとは別として、EST(発現された配列タグ)のランダム探索(Wang et al. 1999)またはファージ・ディスプレイライブラリー(Silva, A. et al. 2002)が、新規の遺伝子および標的を見出すために使用される。
【0013】
Danforth ら(1985)は、組換えDNA技術を基にしてイン・ビトロでの60-70kDaのEimeria tenella 抗原を初めて調製した。この実験から、いくつかの選択的なEimeria tenella 接合子抗原(Clark 1986, Crane et al. 1991, Bhogal et al. 1992, Eschenbacher et al. 1996)、Eimeria tenella 種虫抗原(Files et al. 1987, Miller et al. 1989)およびEimeria tenella メロゾイト抗原(Ko et al. 1990, Binger et al. 1993)が、組換的に調製された。Craneら(1991)は、組換えEimeria tenella 抗原を用いて、メンドリで4つのEimeria種に対する交差反応性保護を誘導した。しかし、組換え抗原を用いる免疫化に関する多くの試みにもかかわらず、これまで満足のいく結果は得られなかったが、そのことは以前には知られていなかった抗原およびそれら付随する遺伝子配列を同定する大きな必要性があるということを意味する(Jenkins 1998, Vermeulen 2001)。
【0014】
本発明の説明
本発明は、Eimeria tenella種の寄生体由来の新規接合子スポロキスト(胞子嚢子)タンパク質(EtOS22)に関する。
【0015】
本発明は、このタンパク質をコードするポリヌクレオチドにも関する。配列番号:1は、新規Eimeria tenella 接合子スポロキストタンパク質をコードするDNA配列を含有する完全長mRNAを示す。タンパク質(配列番号:2)をコードするオープン・リーディング・フレーム(ORF)は、配列番号:3に示される。
【0016】
さらに、本発明は、Eimeria tenella種の寄生体からの新規タンパク質EtOS22が、スポロキスト由来のスポロゾイトの脱嚢に関与し、結果として寄生体のライフサイクルに重要であるという知見を基にしている。脱嚢は、EtOS22に対する抗体によって阻害され得る。
【0017】
EtOS22は、1つのコードしているエキソンからなるイントロン欠損遺伝子である。594bpのサイズであるEtOS22遺伝子のORFは、ゲノムクローン2257242.c007101021.Contig1 (71.864bp、ステータス:03.03.2003)における2つのコピーに存在する。しかし、EtOS22は、おそらく、Eimeria tenella ゲノムにおいて実質的には2以上のコピーを生じる。
【0018】
本発明は、
a)配列番号:1または3に記載の配列を有するポリヌクレオチドと比べて、50%、60%、70%または80%、好ましくは85%または90%以上、特に好ましくは95%、97%以上の同一性を示すポリヌクレオチド;
b)配列番号:1または3に記載の配列を有するポリヌクレオチドと比べて、ストリジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド;
c)配列番号:2に記載の配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと比べて、50%、60%、70%以上または80%、好ましくは85%以上または90%、特に好ましくは95%または97%以上の同一性を示すポリヌクレオチド;
d)ストリジェントな条件下で、配列番号:2に記載の配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと、ハイブリダイズするポリヌクレオチド;
e)遺伝子コードの縮重により、配列番号:1に記載のポリヌクレオチドとは異なるポリヌクレオチド;および
f)a)からe)に記載のポリヌクレオチドのフラグメントであって、少なくとも6個のヌクレオチドまたは8個のヌクレオチド長、好ましくは10または20個以上のヌクレオチド長、特に好ましくは50個または100個のヌクレオチド長、特に好ましくは200個または500個以上のヌクレオチド長であるポリヌクレオチド、
に関する。
【0019】
配列配列番号:1または3を有するポリヌクレオチド、および上記a)からf)のポリヌクレオチドは、以下においてEtOS22ポリヌクレオチドと呼ぶ。
【0020】
さらに、本発明は、a)からf)に記載の核酸によってコードされ、少なくとも8つのアミノ酸長であるポリペプチドに関する。このポリペプチド、および配列番号:2に記載のポリペプチドは、以下においてEtOS22ポリペプチドと呼ぶ。
【0021】
本発明は、a)からf)に記載の少なくとも一つのポリヌクレオチドおよび発現制御配列を含有する、発現系またはベクターに関する。この発現系は、本発明のEtOS22ポリペプチドの発現を可能にする。
【0022】
この関連において、EtOS22の発現は、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターの制御下にあるのが好ましい。BGH(ウシ成長ホルモン)ポリアデニル化シグナルは、順に転写を停止させ、mRNAのポリアデニル化に関与する。
【0023】
特に好ましい発現制御配列の例は、初期または後期SV40またはアデノウイルスプロモーター、lac系、trp系、TAC系、TRC系、主要なオペレーターおよびファージλのプロモーター領域、fdエンベロープタンパク質の制御領域、3-ホスホグリセレート・キナーゼ・プロモーター、酸性ホスファターゼプロモーターおよび酵母α交配ファクタープロモーターである。
【0024】
本発明は、上記ベクターまたは発現系を担持する宿主細胞に関する。
【0025】
宿主細胞の好ましい例は、E.coli、Pseudomonas、Bacillus、Streptomyces、酵母細胞、CHO細胞、RI.1細胞、B−W細胞、L−M細胞、COS1細胞、COS7細胞、BSC1細胞、BSC40細胞およびBMT10細胞、植物細胞、昆虫細胞および細胞培養中の哺乳動物細胞である。真核生物系の発現は、特に好ましくは、バキュロウイルス系、特に翻訳修飾後の導入が許容される系である。
【0026】
本発明は、上記EtOS22ポリペプチドを含む融合タンパク質に関する。この関連において、その融合タンパク質は、融合タンパク質の付加的活性に関連する別のポリペプチド部分[例えば、β−ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、緑色蛍光性のタンパク質(GFP)、自己蛍光性タンパク質、例えば青色蛍光性タンパク質(BFP)、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、ルシフェラーゼ、西洋ワサビペルキシダーゼ(HRP)およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)]を含み得る。さらに、または別のエピトープタグは、融合タンパク質の一部[例えば、Hisタグ、FLAGタグ、インフルエンザ血球凝集素(HA)タグ、Mycタグ、VSV−Gタグまたはチオレドキシン(Trx)タグ]を形成する。融合タンパク質は、マルトース-結合タンパク質(MBP)、Sタグ、LexDNA-結合ドメイン、GAL4DNA-結合ドメインまたはヘルペス単純ウイルス(HSV)BP16タンパク質も含みうる。
【0027】
本発明は、適切な原核生物または真核生物発現系において、上記のとおりにEtOS22ポリペプチドまたは融合タンパク質の調製方法にも関する。この関連において、該発現は、上記のとおり、各ケースで適切である細胞系において、または適切な宿主細胞において、永続的または一時的に影響され得る。既知の宿主/ベクター系、例えば細菌類(例えば、Streptomyces spp.、Bacillus subtilis、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens、特にEscherichia coli)は、適当な原核生物発現系である。
【0028】
本発明は、Eimeria属、好ましくはEimeria acervulina、Eimeria maxima、Eimeria brunetti、Eimeria necatrix、Eimeria praecoxおよび、特に好ましくはEimria tenellaの寄生体由来のポリヌクレオチドを検出するためのEtOS22ポリヌクレオチドの使用に関する。この関連において、本発明は、上記寄生体由来のポリヌクレオチドとハイブリダイズし得るポリヌクレオチドに関する。本発明は、特にこれらのポリヌクレオチド:
a)ノーザンまたはサザンブロッド・アッセイにおけるプローブ、
b)ミクロアレイまたはマクロアレイに結合されるポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、
c)上記寄生体を診断するために使用されるPCRまたは類似方法のためのプライマー、このプライマーおよびPCR技術を用いて、問題の寄生体のDNAが特異的に同定され、増幅される、
の使用に関する。
【0029】
本発明は、EtOS22ポリペプチドのエピトープと特異的に反応する抗体に関する。
【0030】
本発明は、特にEtOS22ポリペプチドのエピトープと特異的に反応するモノクローナル抗体に関する。
【0031】
本発明は、殺寄生虫薬としての上記抗体の使用に関する。該抗体は、好ましくは、Eimeria感染の処置、特に好ましくはEimeria tenella感染の処置に使用される。上記抗体は、飼鳥類の感染を処置するために使用されるのが好ましく、ニワトリの感染を処置するために使用されるのが特に好ましい。
【0032】
診断
さらに、本発明は、Eimeria感染、好ましくはEimeria tenella感染を診断するための、EtOS22ポリヌクレオチドまたはEtOS22ポリペプチドに対する上記抗体の使用に関する。
【0033】
本発明は、EtOS22ポリヌクレオチドまたはEtOS22ポリペプチドに対する抗体、診断方法を実施するための指示書を含むキットにも関する。
【0034】
ワクチン
本発明は、飼鳥類、好ましくはニワトリを免疫化するための免疫原組成物の調製方法にも関し、この組成物は、本発明の少なくとも1つの上記EtOS22ポリペプチドまたは少なくとも1つの上記抗体を含む。
【0035】
本発明は、宿主中の保護的免疫応答を活性化する目的のために宿主において投与されるべき免疫原組成物を調製するための上記EtOS22ポリヌクレオチドの1つを含有する上記発現ベクターの使用に関し、この免疫応答は、Eimeria EtOS22-相同性タンパク質に対するか、またはEimeria tenella EtOS22タンパク質に対する。
【0036】
本発明は、コクシジウム症に対するワクチンを調製するための上記EtOS22ポリペプチドの使用に関する。
【0037】
本発明は、
1.
a)i.寄生体段階から単離される、または
ii.イン・ビトロで合成的に調製される、または
iii.組換えDNA技術を用いて調製される、
少なくとも1つの上記EtOS22ポリペプチド、
または
b)上記EtOS22ポリペプチドの1つを含む、上記のような融合タンパク質、
を含む不活性化ワクチンに関し;
そのポリペプチドまたは融合タンパク質が、アミド化、カルボキシル化またはリン酸化の方法によってイン・ビボまたはイン・ビトロで修飾されることが可能である、
2.
a)好ましくは、EtOS22ポリペプチドの長期合成および抗原提示を生じさせ、結果として免疫系が刺激される、上記EtOS22ポリヌクレオチドの1つを含有する、自己複製ベクター(例えば、細菌、真菌またはウイルス)、または
b)EtOS22ポリヌクレオチドを含むプラスミド、または
c)純粋なEtOS22ポリヌクレオチド(ネイキッドDNA)、
を含むベクターワクチンに関し;
3.
a)EtOS22ポリペプチドの免疫原エピトープに対する抗体、または
b)抗イディオタイプ抗体、即ち、EtOS22ポリペプチドに結合する抗体のイディオタイプに対する抗体、
を含む受動ワクチンに関する。
【0038】
スクリーニング方法:
本発明は、配列番号:2に記載のEtOS22ポリペプチドの機能を調節し、それによってEimeriaスポロキスト由来のスポロゾイトの脱嚢を調節する活性な化合物(例えば小器官分子、ペプチドまたは抗体)を同定するための方法に関する。調節の程度は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも30%および特に好ましくは少なくとも50%である。
【0039】
また、本発明は、スポロキスト由来のスポロゾイトの脱嚢と関連してEtOS22タンパク質の活性を調節する活性な化合物を見出すための方法に関し、その方法では、
a)試験物質がEtOS22ポリペプチドに特異的に結合し得る選択された条件で、試験されるべき活性な化合物を、請求項2記載のEtOS22ポリペプチドと接触させる;および
b)行われたポリペプチドへの特異的結合を検出する;
工程を含み、
該ポリペプチドに結合する活性を有する化合物が、コクシジウム症を処置するための可能性のある活性な化合物として同定される、
方法に関する。
【0040】
また、本発明は、スポロキスト由来のスポロゾイトの脱嚢に関連のあるEtOS22タンパク質の活性を調節する活性な化合物を見出すための方法であって、
a)試験物質がEtOS22ポリペプチドと特異的に結合できる選択された条件で、試験されるべき活性な化合物を、請求項2に記載のEtOS22ポリペプチドと接触させる;および
b)請求項2に記載のポリペプチド、またはEtOS22タンパク質の活性調節を検出する;
工程を含み、
該活性を調節する活性を有する化合物が、コクシジウム症を処置するための可能性のある活性な化合物として同定される、
方法に関する。
【0041】
本発明は、コクシジウム症を処置するための活性な化合物を見出す方法に関し、この方法では、EtOS22タンパク質は、アフィニティー選択および質量分析法を基にした化学化合物のライブラリィーをスクリーニングするためのその組換え形態で使用される。スポロゾイト生存のために重要であるが、知られていない機能を有する標的タンパク質についての阻害剤を見出す目的のために、タンパク質についてのアフィニティーに関する物質ライブラリィーを試験するスクリーニン法を使用することが可能である。あるスクリーニングの可能性は物質混合物からのアフィニティー選択に関するものであり、このリガンドは質量分析器でその後に検出される。このために、決まった物質混合物を使用して、そこから個々の物質を、質量検出の補助を用いて同定することが必要である。このため、組み合わせた合成物から調製された物質混合物は、このスクリーニング法に特に適当である。
【0042】
アフィニティー選択において顕著な物質は、別の試験、例えばEimeria tenellaのイン・ビトロ試験に供される。
【0043】
本発明は、上記方法を用いて同定され、Eimeriaスポロキスト由来のスポロゾイトの脱嚢を調節するために適当である、新規の活性な化合物に関する。新規の活性な化合物は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも30%および、特に好ましくは少なくとも50%まで脱嚢を調節する。
【0044】
本発明は、Eimeriaスポロキスト由来のスポロゾイトの脱嚢を調節する新規の活性な化合物に関する。新規の活性な化合物は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも30%および特別に好ましくは少なくとも50%まで脱嚢を調節する。
【0045】
本発明は、Eimeriaにより、好ましくは感染され得るまたは感染された飼鳥類、好ましくはニワトリの予防的または治療的処置のための医薬物を製造するため、上記方法のうちの一つを用いて同定された新規の活性な化合物の使用にも関する。本発明の医薬品は、上記方法のうちの一つを用いて同定された少なくとも一つの活性な化合物を含み、経皮的、非経口的または経腸的に投与され得る。
【0046】
本発明は、コクシジウム症の予防または治療的処置のための医薬物を産生するために、Eimeriaスポロキスト由来のスポロゾイトの脱嚢を、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも30%および特に好ましくは少なくとも50%まで調節する新規の活性な化合物の使用に関する。好ましくは、Eimeriaに感染され得るかまたは感染された好ましくは飼鳥類、特に好ましくはニワトリを処置するための医薬物を産生するために、活性な化合物を使用することである。本発明の医薬物は、上記方法を用いて同定される少なくとも一つの活性な化合物を含み、経皮的、非経口的または経腸的に投与され得る。
【0047】
医薬組成物
活性な化合物は、予防的および治療的の両方に使用され得る。
活性な化合物は、直接または適当な剤形のいずれかで経腸的に、非経口的に、経皮的にまたは経鼻的に使用され得る。
【0048】
活性な化合物は、経腸的に、例えば経口的に、粉体、座剤、錠剤、カプセル、軟膏、液剤、粒剤、水薬、丸薬(boli)、医薬用食品または飲料水の形態で使用される。それらは、経皮的、例えば浸積(dipping)、噴霧、入浴、洗浄、注出(pouring-on)およびスポッティング(spotting)および散布(powdering)の形態で使用される。それらは、非経腸的、例えば注射(筋肉内、皮下内、静脈内または腹膜内)の形態で、またはインプラントの手段によって使用され得る。
【0049】
適当な製剤は、溶液、例えば、注射溶液、経口溶液、経口投与後の希釈の為の濃縮物、皮膚上または体腔に使用するための溶液、プアオン剤(pour-on formulations)、ゲル;経口または皮膚および注射にも使用するためのエマルジョンや懸濁液;半固体調製物;活性な化合物を軟膏基剤中または水中油型または油中水型エマルジョン基材中に納めた調剤;固形製剤、例えば、粉末、使用前の混合物または濃縮物、粒剤、ペレット、錠剤、丸薬およびカプセル;エーロゾルおよび吸入物、および活性な化合物を含有する成型体である。
【0050】
注射溶液は、静脈内、筋肉内および皮下投与される。注射溶液は、適当な溶媒中に活性な化合物を溶解して、適切な場合には、添加剤、例えば可溶化剤、酸、塩基、緩衝塩類、抗酸化剤および保存剤を添加して、投与される。該溶液は、滅菌濾過され、瓶に詰められる。
【0051】
記載してもよい溶媒は、生理学的に許容される溶媒、例えば水、アルコール、例えばエタノール、ブタノール、ベンジルアルコールおよびグリセロール、炭化水素、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびN−メチルピロリドンおよびそれらの混合物である。
【0052】
活性な化合物は、適切な場合には、注射に適当である生理学的に許容される植物性または合成油中に溶解され得る。記載してもよい可溶化剤とは、主要溶媒中で活性な化合物の溶解を促進するか、または沈殿を防止する溶媒である。例示するものは、ポリビニルピロリドン、ポリエトキシル化ヒマシ油およびポリエトキシル化ソルビタンエステルである。
【0053】
保存剤は、ベンジルアルコール、トリクロロブタノール、p−ヒドロキシ安息香酸エステルおよびn−ブタノールである。
【0054】
経口溶液は直接的に使用される。濃縮物は、使用濃度に予め希釈された後に、経口的に使用される。経口溶液および濃縮物は、注射溶液の場合において上記のとおりに調製され、滅菌操作を伴って分配できる。
【0055】
皮膚に使用するための溶液は、点滴され、塗布され、塗られ、散布されるかまたは噴霧または浸積、洗浄によって適用される。これらの溶液は、注射溶液の場合には上記のとおり調製される。
【0056】
調製中に、増粘剤を添加することは有利であり得る。増粘剤は、無機増粘剤(例えばベントナイト、コロイド状ケイ酸およびステアリン酸アルミニウム)、および有機増粘剤(例えば、セルロース誘導体、ポリビニルアルコールおよびそれらの共重合体、アクリレートおよびメタクリレート)である。
【0057】
ゲルは、皮膚に適用されるか、皮膚に塗り付けられるか、体腔に導入される。ゲルは、軟膏様の粘稠度を有する透明な練薬を製造するために、注射溶液の場合に上記のとおりに調製された溶液に十分な増粘剤を添加することによって調製される。上記増粘剤は、増粘剤として使用される。
【0058】
プアオン剤は、皮膚の決まった領域上に注ぎ出されるか、噴霧されて、その活性な化合物が皮膚に浸透して全身に作用するか体表面で送達される。
【0059】
プアオン剤は、適当な皮膚許容溶媒または溶媒混合物中に、活性な化合物を溶解すること、懸濁することまたは乳化することによって調製される。他の補助物質、例えば染料、吸収促進物質、抗酸化剤、光安定化剤および接着剤が、適切な場合には添加される。
【0060】
記載してもよい溶媒は、水、アルカノール、アルカノール、グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール、フェニルエタノールおよびフェノキシエタノール、エステル類、例えば酢酸エチル、酢酸ブチルおよび安息香酸ベンジル、エーテル類、例えばアルキレングリコール アルキルエーテル、例えば、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルおよびジエチレングリコールモノブチルエーテル、ケトン類、例えばアセトンおよびメチルエチルケトン、芳香族および/または脂肪族炭化水素、植物性または合成油、DMF、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよび2-ジメチル-4-オキシメチレン-1,3-ジオキソランである。
【0061】
染料は、動物において使用するために認可され、かつ溶解され得るか懸濁され得るあらゆる染料である。
【0062】
吸収促進物質の例は、DMSO、分散油(spreading oils)、例えばミリスチン酸イソプロピル、ジプロピレングリコールペラルゴネート、シリコン油、脂肪酸エステル、トリグリセリドおよび脂肪アルコールである。
【0063】
抗酸化剤は、亜硫酸塩またはメタ重亜硫酸、例えば、メタ重亜硫酸カリウム、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキアニソールおよびトコフェロールである。
【0064】
光安定化剤の例は、ベンゾフェノン類またはノバンチソリン酸(novantisolic acid)らの物質である。
【0065】
接着剤の例は、セルロース誘導体、スターチ誘導体、ポリアクリレートおよび天然のポリマー、例えばアルギネートおよびゼラチンである。
【0066】
エマルジョンは、経口的、経皮的または注射として使用され得る。エマルジョンは、油中水型または水中油型のいずれかである。それらは、疎水性相または親水性相のいずれかに活性な化合物を溶解すること、そしてこの層と他の層の溶媒とを適当な乳化剤を用いて均質化すること、適切である場合には、その他の補助物質、例えば染料、吸収促進物質、保存剤、抗酸化剤、光安定化剤および粘度促進物質を用いて調製される。
【0067】
記載してもよい疎水性相(油)は、パラフィン油、シリコン油、天然植物油、例えばゴマ油、アーモンド油およびヒマシ油、合成トリグリセリド、例えばカプリル/カプリン酸ビグリセリド、C8−12鎖長の植物脂肪酸または他の具体的に選択された天然脂肪酸を含有するトリグリセリド混合物、飽和または不飽和の部分的グリセリド混合物、あるいはヒドロキシル基含有脂肪酸、およびC/C10脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリド;脂肪酸エステル、例えばステアリン酸エチル、ジ−n−ブチリルアジペート、ヘキシルラウレートおよびジプロピレングリコールペラルゴネート、C16-Cl8鎖長の飽和脂肪アルコールと中程度の鎖長の分枝脂肪酸とのエステル、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、C12-Cl8鎖長の飽和脂肪アルコールのカプリル/カプリン酸エステル、イソプロピルステアレート、オレイルオレエート、オレイン酸デシル、オレイン酸エチル、乳酸エチル、ワックス状脂肪酸エステル、例えばフタル酸ジブチルおよびジイソプロピルアジペートおよび後者に関するエステル混合物、および脂肪アルコール、例えばイソトリデシルアルコール、2−オクチルドデカノール、セチルステアリルアルコールおよびオレイルアルコールのカプリル/カプリン酸エステル;脂肪酸、例えばオレイン酸およびその混合物である。
【0068】
記載してもよい親水性相は、水およびアルコール、例えばプロピレングリコール、グリセロールおよびソルビトールおよびそれらの混合物である。
【0069】
記載してもよい乳化剤は、非イオン性界面活性剤、例えばポリエトキシル化ヒマシ油、ポリエトキシル化ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、グリセロールモノステアレート、ポリオキシステアリン酸エチルおよびアルキルフェニルポリグリコールエーテル;両性界面活性剤、例えばジ-Na N−ラウリル−β−イミノジプロピオネートまたはレシチン;アニオン界面活性剤、例えばNaラウリルスルフェート、脂肪アルコールエーテルスルフェートおよびモノ/ジアルキルポリグリコールエーテルオルトリン酸エステルのモノエタノールアミン塩;カチオン性界面活性剤、例えばセチルトリメチル塩化アンモニウムである。
【0070】
記載してもよい他の補助物質は、粘度を増加させ、エマルジョンを安定化する物質、例えばカルボキシルメチルセルロース、メチルセルロースおよび他のセルロースおよびスターチ誘導体、ポリアクリレート、アルギネート、ゼラチン、アラビアガム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸を含むコポリマー、ポリエチレングリコール、ワックス状およびコロイド状ケイ酸、または列挙した物質の混合物である。
【0071】
懸濁液は、経口的または経皮的または注射用として使用され得る。それらは、湿潤剤、染料、吸収促進物質、保存剤、抗酸化剤および光安定化剤などの追加の補助物質の存在が適当である場合、活性な化合物を担体液体中に懸濁することによって調製され得る。
【0072】
記載してもよい担体液体は、全て均質溶媒および溶媒混合物である。
【0073】
記載してもよい湿潤剤(分散剤)は、前記した界面活性剤である。
【0074】
記載してもよい他の補助物質は、前記したものである。
【0075】
半固体調製物は経口的または経皮的に投与され得る。それらは、高い粘着性において、上記懸濁液およびエマルジョンとは非常に異なる。
【0076】
固体調製物を調製するために、活性な化合物は、追加の補助物質の存在が適当である場合、適当な担体物質と混合されて、所望の形態となる。
【0077】
記載してもよい担体物質は、全ての生理学的に許容される固体不活性物質である。これらの不活性物質は、無機物質または有機物質であり得る。無機物質の例は、塩化ナトリウム、炭酸塩、例えば炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、ケイ酸、土類金属(earths)、沈殿状またはコロイド状シリコン二酸化物;およびホスフェートである。
【0078】
有機物質の例は、糖、セルロース、食料類(food stuff)および食餌類、例えばミルク粉末、動物飼料、小麦および粗挽のコーンミールおよびスターチである。
【0079】
補助物質とは、保存剤、抗酸化剤および染料であって、これらはすでに上記しているものである。
【0080】
他の適当な補助物質は、滑沢剤(lubricants)ならびに流動調節剤(glidant)(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ベントナイト)、崩壊促進物質(例えば、スターチまたは橋かけ結合したポリビニルピロリドン)、結合剤(例えば、スターチ、ゼラチンまたは直鎖ポリビニルピロリドン)ならびに乾燥結合剤(例えば、微晶質セルロース)である。
【0081】
相同配列
本発明は、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドが、EtOS22核酸およびEtOS22ポリペプチドと各々相同性であって、当業者に利用され得る方法を用いて容易に単離されうる関連(同族)生物由来のポリヌクレオチドおよびポリペプチドに関する。
【0082】
これらの方法には、縮重プライマーを用いるPCR、低ストリンジェントな条件でプローブとしてEtOS22を用いる遺伝子ライブラリーのスクリーニング、およびモノクローナル抗体E(Samhronk-and Russell, 2001)を用いる発現ライブラリーのスクリーニングが含まれる。
【0083】
本発明は、類似した、かつ当業者には明らかな方法で、相同なポリヌクレオチドまたはポリペプチドを基にした上記診断薬、診断方法、ワクチン、スクリーニング方法および治療剤に関する。
【0084】
定義
理解を深めるために、発明の詳細な説明、実施例および特許請求の範囲で使用される特定の単語および用語の意味は、下記で詳細に説明される。
【0085】
「ポリヌクレオチド」または「複数のポリヌクレオチド」は、二本鎖および一本鎖DNAおよび二本鎖および一本鎖RNA、コード鎖または相補鎖のいずれかとして存在し得るcDNA、オリゴヌクレオチド、小さな干渉RNA(siRNA)、核酸アナログ、例えばペプチド核酸(PNA)、ロックされた核酸(LNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、これは、アルキルホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホノチオエート、アルキルホスホネート、ホスホラミデート、ホスフェートエステル、カルバメート、アセトアミデート(acetamidate)、カルボキシルメチルエステル、カーボネートおよびホスフェートトリエステルなどによる非ホスホジエステル結合により、一つのヌクレオチドの5'末端を、もう一方のヌクレオチドの3’末端に共有結合することによって合成され得る、アンチセンスオリゴヌクレオチドを意味すると解される。
【0086】
用語、「相同性」「同一性」および「類似性」は、2つのペプチドまたは2つの核酸分子またはポリヌクレオチド間の配列類似性を意味する。相同性は、一つの配列のある一つの位置と、もう一つの配列において同じ位置とを比較することによって決定されうる。比較している配列中のある位置が、同じ塩基またはアミノ酸によって占有されているなら、この2つの分子は、この位置で相同である。配列間の相同性の程度は、その配列が互いに共有する合同または相同な位置の数の関数である。「非相同配列」は、同一性が40%以下であるが、好ましくは同一性が25%以下である。相同性または同一性は、特にコンピュータープログラム、例えばGCGプログラム[Devereux et al. (1983), Nucleic Acids Res. 12,387-395]を用いて確立され得る。
【0087】
「相同性」は、ポリヌクレオチドセグメントが別のポリヌクレオチドとハイブリダイズし得る場合に存在し得る。
【0088】
用語「ハイブリダイズする」または「ハイブリダイゼーション」は、一本鎖ポリヌクレオチドが、相補的なDNA鎖と塩基対をつくる過程を説明するものであって、一本鎖ポリヌクレオチドのその能力はハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシー(緊縮性)に依存する。
【0089】
用語「ストリンジェンシー」は、ハイブリダイゼーション条件を示す。「高ストリンジェンシー」は、塩基対形成がより困難となる条件である。「低ストリンジェンシー」は、塩基対形成が容易である条件である。
【0090】
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、当業者にはよく知られており、例えばSambrook et al. MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd ed., 1989, pp. 9.50-9. 51に記載されている。
【0091】
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を得るために、温度および塩濃度の組合せは、一般的には、ハイブリッドの算定融解温度、Tm以下の約12-20℃であるように選択されるべきである。当業者には、同一性が1%低下するごとに、二本鎖DNAのTmが1-1.5℃低下することが知られている[Bonner etal.,J. Mol. Biol. 81, 213 (1973)]。配列番号:1または3のいずれかに記載の配列を有するポリヌクレオチド、および配列番号:1または3に記載の配列を有するポリヌクレオチドと少なくとも50%、好ましくは60%、70%、80%、85%、90%、95%または97%の同一であるポリヌクレオチドを含むハイブリドのTmは、例えばBolton and McCarthy's方程式[Proc,.48,1.3 90 (1962)]:Tm = 81.5℃−16.6(log10 [Na]) + 0.41 (%G+C)−0.63 (% ホルムアルデヒド)−600/l;l=塩基におけるハイブリドの長さ、を用いて計算され得る。
【0092】
ハイブリダイゼーション中のストリンジェントな洗浄条件は、例えば、4xSSC、65℃、または50%ホルムアルデヒド、4xSSC、42℃、または0.5xSSC、0.1%SDS、65℃である。高ストリンジェントな洗浄条件は、例えば、0.2xSSC、65℃である。
【0093】
用語「プラスミド」は、染色体外遺伝要素を示す。本発明のために使用される本来のプラスミドは、市販購入し得るか、または自由に利用し得るか、あるいは既知の方法を用いるかかるプラスミドから誘導され得る。
【0094】
用語「ベクター」は、宿主細胞中に外因性ポリヌクレオチドを導入するために使用されるポリヌクレオチドを説明する。ベクターは、1以上のポリペプチドをコードするヌクレオド配列を含有する。ベクターが含んでいる遺伝子の発現を制御し得るベクターを「発現ベクター」という。
【0095】
用語「調節する」は、生化学的過程の、刺激および抑制または阻害の両方を示す。本発明の範囲内では、「調節する」または「調節」は、EtOS22ポリペプチドの活性を阻害すること、または阻害または抑制を意味し、かかる活性は、スポロキスト由来のスポロゾイト脱嚢のために重要である。
【0096】
実施例
細菌株およびベクター
細菌株
E.coli TOP10、化学的成分(Invitrogen, Groningen, NL)
mcrA Δ(mrr-hsdRMS-mcrBC)Φ80 lacZΔM15 ΔlacX74 recAl deoR araD139Δ (ara-leu)7697 galU galK rpsL (StrR) endAl nupG.
E.coli TG1, エレクトロコンピータント (Stratagene, Heidelberg)]
supE thi-1Δ(lac-proAB) Δ(mcrB-hsdSM)5 (rk-mk-) [F' traD36 proABlaclqZΔM15]

ベクター
pG8SAET (Jacobsson and Frykberg, 1998; Zhang et al., 1999)
pCR2.1-TOPO (Invitrogen, Groningen, NL)
pcDNA3.1/V5-His-TOPO (Invitrogen, Groningen, NL)
【0097】
実施例1
Eimeria tenellaからのゲノムDNA単離
DNAを、Blin and Stafford (1976)の方法を修飾した方法を用いて単離した。1x10の胞子形成した接合子を、3000rpm、10分(Heraeus MULTIFUGE 3L-R)で沈降させ、沈殿物の容量と同じガラスビーズ(0.45-0.5 mm)の容量を添加した。接合子およびスポロキスト殻を、最高速でボルテックスによる2分間の攪拌によって破砕し、該殻を顕微鏡下で確認した。次いでプロテイナーゼKの100μg/mlの濃度に調整した抽出緩衝液(5ml)(10 mM Tris-HCl pH 8.0; 0.1 M EDTA pH 8.0;0.5% SDS;20μgのRNaseA/ml)を添加し、該混合物を一晩56℃でインキュベートした。DNAを、Roti-Phenol(Roth, Karlsruhe)/クロロホルムで2回抽出し、クロロホルムで1回、その後、2容量の絶対エタノールおよび0.1容量の3M 酢酸ナトリウムを用いて沈殿させ、13000rpm Beckman JS13.1ローターの遠心分離に供して沈降させた。該沈降物を、70%エタノールで2回洗浄し、空気中で乾燥させた;次いで、蒸留H0(dHO)に再懸濁させた後、このDNAの濃度を、1%TBEアガロースゲルにおいて、1μgのEcoRI/HindIII-消化した#DNA(MBI Fermentas, St.Leon-Rot)との比較によって判断した。
【0098】
実施例2
Eirneria renellaおよびヒナドリの盲腸(chick cecum)由来の全RNAの単離
全RNAを、"Invisorb RNA kit II" (Invitek, Berlin-Buch)を用いて、3x10接合子またはヒナドリの盲腸(0.3g)から単離した。全ての手順工程を、RNase-不含物質およびDEPC(ジエチルピロカルボネート)処置溶液を用いて実施した。接合子をボルテックスによる攪拌により、溶菌緩衝液(500μl)中でガラスビースを用いて破砕し、一方で腸組織を、溶菌溶液(2ml)中でUltraturraxにより細く粉砕した。各ケースで該上清をRNAの単離に使用し、全て次の処理ステップは製造業者の指示書に従った。次いで、DEPC H0に溶解した全RNAを光化学的に決定した。
【0099】
実施例3
プラスミドDNAの調製
プラスミドDNAを、E.coli TG1またはE.coli TOP10の培養物(50ml)の一定量3mlから調製した。シングルコロニーを用いて、適切な抗生物質が添加されたLB培地に接種し、培養液を280rpm、一晩37℃で振とうしながらインキュベートした。The Nucleo Spin plasmid kit (Macherey-Ngel, Dueren)またはthe Plasmid Midi kit (Qiagen, Hilden)を、プラスミドを単離するために用いた。プラスミドDNAを、各製造者指示書に従って精製した。
【0100】
実施例4
核酸濃度の決定
核酸の濃度を、DU 640 分光光度計(Beckmann, Munich)で光度測定により決定した。その濃度および純度を、Sambrook ら(1989)によって説明されたとおりに計算した。サザンおよびノーザンブロッティングのためのプローブとして使用されるべき制限フラグメントを、EcoRI/Hind III-消化したλDNA(1μg)(MBI Fermentas, St.Leon-Rot)とそれらを比較することにより、1%TBEアガロースゲルにおいて評価した。
【0101】
実施例5
制限的および電気泳動的DNA分離
DNAを、製造業者の指示書に従って、また関連酵素に対して推奨される緩衝液において、制限エンドヌクレアーゼを用いて限定した。原則として、インキュベーションは3時間37℃であった。
【0102】
DNAフラグメントを水平のフラット・ベッド・チャンバー(flat bed chamber)において、Sambrookらの(1989)方法によって電気泳動的に分離した。これを行うために、0.6-2%アガロースゲルを使用して、0.5pgのエチジウムブロマイド/mlを添加したTBE緩衝液またはTAE緩衝液を用いて注いだ。エチジウムブロマイドで染色したDNA分子を、次いでトランスイルミネーター上で、同時に分離したDNA長標準物と比較した。1pgのpUC-Mixマーカーを、<1kbのフラグメントに使用し、1μgのEcoRI/HindIII-消化したλDNAを、より大きなフラグメントに使用した(双方、MBI Fermentas, St. Leon-Rotから入手)。
【0103】
実施例6
アガロースゲル由来の単離DNAフラグメント
DNAフラグメントを、アガラーゼ(Roche Molecular Biochemicals, Mannheim)を用いるか、または1kit中のNucleospin Extract2 (Macherey-Nagel, Dueren)を用いて、同じ%のTAEアガロースゲル中、ウィンドウ・ゲルとして注ぎ入れた低融点アガロース(Biozym, Hess.Oldendorf)を消化することによりアガロースゲルから単離した。両ケースにおいて、所望のフラグメントを、長波UV光の下で切出し、製造業者の指示書に従って単離した。DNA濃度を決定するために、次いでサンプル量の1/10をコントロールゲルで分離し、DNA長標準物と比較して評価した。
【0104】
実施例7
E.coliの化学的形質転換
製造業者の指示書に従って、ケミカリー・コンピタントE. coli TOP10 (Invitrogen, Groningen, NL)を、組換えプラスミドを用いて形質転換した。形質転換細胞を選択寒天上に播種した後、一晩37℃でインキュベートし、形質転換体を単離し、制限消化により分析した。
【0105】
実施例8
Eimeria tenellaゲノム発現ライブラリーの構築
a)ゲノムDNAのフラグメント化(断片化)、およびブラント・エンド反応
Eimeria tenella ゲノムDNA(25μg)を、4mlの容量中、10x30秒40%器具作業負荷でSonotrode MS73を用い、氷冷水浴中で冷却しながら、フラグメント化した。100から800bpのサイズであったこれらのフラグメントを沈殿させ、dH0(60μl)に再懸濁し、同じ%の低融点アガロース・ウィンドウを有する1.2%アガロースゲル、エチジウムブロマイド不含1.2%アガロースゲルにおいて分離した。アガラーゼ消化によって単離したフラグメントを、製造業者の指示書に従って、S-400 HR Microspin columns (Amersham Pharamacia Biotech, Freiburg)を通して精製した。
【0106】
次の反応混合物を、ブラント・エンド反応の為に調製した:精製DNAフラグメント(75μl)、1mM dNTPmix、10UのAccuTherm DNAポリメラーゼ (GeneCraft, Munster)および1xAccuTherm 緩衝液を、dH0を用いて100μlまでにした。この反応混合物を72℃で30分間インキュベーションし、その後フェノール/クロロホルムを用いて抽出し、該フラグメントをdH0(100μl)に再懸濁した。この懸濁液(2μl)を、濃度評価のためにテストゲルで分離した。
【0107】
b)脱リン酸化pG8SAET
pG8SAET(20μg)を、40UのSnaBI(Promega, Heidelberg)を用いて、37℃で3時間インキュベートした。その後、4Uのエビ・アルカリ性ホスフェート(USB, Bad Homburg)を制限混合物に加え、全体を37℃で一晩インキュベートした。65℃で10分間の熱不活性化後、直線化され、脱リン酸化されたベクターを、アガラーゼを用いる消化により0.8%低融点アガロース・ウィンドウゲルから単離した。
【0108】
c)DNAのライゲーション
300UのT4DNAリガーゼHC(MBI Fermentas, St. Leon-Rot)を用いて、100μlの全量で、ゲノムDNAフラグメント(8μg)と直線化および脱リン酸化したpG8SAET(5g)を16℃48時間で連結させた。その後、このリガーゼを、65℃で10分間、熱不活性化し、組換えベクター分子をグリコーゲン(20μg)を添加して沈殿させた。該沈殿物をdH0(100μl)に再懸濁し、この懸濁液の1.5μlを各電気的形質転換に用いた。
【0109】
d)電気的形質転換 E.coli
E.coli TG1の50μl容量を、各々の場合で、0.1cmのエレクトロポーレーションキュベット(BIORAD, Munich)中、製造業者の指示書に従って、フィールド強度(17kV/cm)、200Ωおよび25μFで、Gene Pulser (BIorAD, Munich)において、ライゲーション混合物(1.5μl)を用いて電気的に形質転換させた。形質転換体の数を決定し、組換え細胞を、グリセロールストックの形態にて−80℃で貯蔵した。
【0110】
寄生体の代表的なゲノムDNAライブラリーを、ファージミドベクターpG8SAETで構築した。このライブラリーは、Eimeria tenellaゲノムの7.3倍の提示を有する450bpの平均挿入サイズを有する4.7x10独立クローン(95%組換え体)を含む。
【0111】
実施例9
ファージ・ディスプレイおよびフェーズパニング
a)組換えファージミドの調製および精製
各グリセロールストック(200μl)を、アンプリコン含有LB培地(50μg/ml)(20ml)に接種し、この培養物を、37℃280rpmで一晩インキュベートした。次いで、この培養物(1 ml)を使用してアンピシリン含有LB培地(100ml)に接種し、この培養物をOD600=0.5までインキュベートし、R408ヘルパーファージ(Promega, Heidelberg)(500μl)(1x1011 pfu)で感染させた。37℃280rpmでもう一晩インキュベーションした後、該細胞を、10分5000rpmで沈降させ、上清を滅菌濾過した;次いで、ファージミドを、Vivaspin 20 concentrators (Sartorius AG, Goettingen)を用いて製造業者の指示書に従って濃縮した。
【0112】
b)コート化DYNABEADS
限外濾過(100kDa MWCO)によって50倍濃縮したモノクローナル抗体(Mab)E(Mouafo et al., 2002)のハイブリドーマ培養上清を、Corting Pan Mouse IgG DYNABEADS (Deutsche Dynal GmbH, Hamburg)をコーティングするために使用した。約5%E MAb含量を有する濃縮した全タンパク質(20μg)をDYNABEADSのmgあたりに使用し、該混合物を回転させて4℃で一晩インキュベートした。未結合タンパク質および免疫グロブリンを、PBS(NaCl(8g);KCl(0.2g);NaHP0(1g)x2H0; NaHPOxH0(0.15g);KHPO(0.2g)pH7.4を、H0を用いて1lに調製した)/0.1%BSAで3回洗浄することによって除去して、DYNABEADSを結合反応に使用した。
【0113】
c)結合反応、洗浄ステップおよび溶出
結合反応において、表面上にMabEを有するか、または有さないDYNABEADS[50μl(2x10)]を、PBS/0.1% BSA(400μl)中ファージミド濃縮物(200μl)を用いて、4℃で一晩回転させながらインキュベートした。DYNABEADSを10回洗浄した後に、溶出緩衝液(50mM クエン酸ナトリウム;150mM NaCl、pH4.5)(400μl)で、15分間回転しながらインキュベーションした後に、弱い結合ファージミドを除去し、溶出緩衝液(pH1.8)に溶出したファージを、中和化緩衝液(2M Tris-HCl、pH8.6)(40μl)で処理し、力価および再感染の決定に使用した。
d)力価決定および再感染
各溶出物を、対数増殖期にあるE.coli TGl(10ml)の再感染に使用した。37℃、40rpm、0.5時間でインキュベートした後、該細胞を沈降させ、次いでアンピシリン含有LB培地(400μl)に再懸濁した;次いで、それらを力価決定および/または増幅のためにアンピシリン含有LB寒天プレートに播種した。フェーズパニングの次のラウンドのために、これらのプレートを、18時間後にアンピシリン含有LB培地ですすぎ、微生物を、培養液(50ml)中でR408ヘルパーファージ(100μl)によって感染させた。37℃、280rpm、一晩インキュベーションした後に、ファージミドを、記載したとおりに濃縮し、あらたに結合反応に使用した。
【0114】
e)E-タグ 発現クローンの決定
E-タグ 発現クローンを単離する目的のために、約100コロニー形成単位(cfu)をアンピシリン含有寒天プレートに播種し、続いて数回のフェーズパニングの後、ニトロセルロース膜(Schleicher and Schuell, Dassel)に移した。膜に付着している細胞を、一晩、溶菌緩衝液[100mM Tris-HCl、pH7.8;150mM NaCl;5mM MgCl;1.5% BSA;DNaseI(1μg)/ml;リゾチーム(40μg)/ml](6ml)中で溶解し、その後細胞残留物を、PBS/0.05% Tween-20で3回洗浄して除去し、膜上の非特異的結合部位を、1時間、1xRotiBlock溶液(Roth,Karlsruhe)を用いたブロッキングにより飽和させた。次いで、該膜を、1:500に1xRotiBlockで希釈したマウス抗Eタグ一次抗体(Amersham Pharmacia, Freiburg)と共に、室温で(22℃)2時間インキュベートした。非結合抗体を、0.5時間、3回洗浄することで除去した。アルカリホスファターゼ(AP)結合ヤギ抗マウスIgGを、二次抗体として1:2000希釈で使用した。さらに3回の洗浄工程後、該膜を、2分間、検出用緩衝液(100 mM Tris-HCl、pH9.5;100 mM NaCl)で平衡化し、結合二次抗体を、1:100に検出用緩衝液で希釈したCDPスター(Roche Molecular Biochemicals,Mannheim)を用いて、化学ルミネセンスの発光により検出した。2-10分間、22℃で、ECLHyperfilm(Amersham Pharmacia, Freiburg)上で感光させた。
【0115】
f)特異的に結合するクローンのEMAb富化とファージパニングとの比較
モノクローナル抗体(MAb)Eを、Pan Mouse IgG DYNABEADSの表面に結合させ、ファージパニングに使用した。いずれの別の抗体も含まないPan Mouse IgG DYNABEADSをネガティブコントロールとして用いた。3回のファージパニングの後、ネガティブコントロールと比較して結合クローンが362倍多く含まれていた。Eタグを発現するこれらのクローンを、EMAbを用いて、ウエスタン・ブロットにて分析した。単離した62のE−タグ発現クローンの内、6つ(A14、A17、A45-A47およびA62)を、ウエスタン・ブロットにおいてEMAbによって認識した。検出された全ての融合タンパク質は、SDS−PAGEにおいて同じ移動挙動を示し、約14kDaの分子量を有した。これらの融合タンパク質は125AAからなり、その48AAはクローン化「A17」挿入体に起因し得る。
【0116】
実施例10
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
全てのPCRを、MJ Research(Biozym, Hess. Oldendorf)のPTC−200勾配サイクラーまたはPTC−150MiniCyclerにおいて実施した。
合成オリゴヌクレオチド(プライマー)
全てのPCRプライマーを、MWG Biotech (Ebersbach)により合成した。
【表1】

【表2】

【0117】
RT−PCR
RT−PCRは、全RNA逆転写に続いて、配列特異的プライマーを用いて、DNA配列を増幅する目的のためのPCRを含む。RTのための反応混合物の組成物は、全容量50μlで、次のとおりである;全RNA(3.5μg)、80UのRNasin リボヌクレアーゼ阻害剤(Promega, Heidelberg)、0.4mM dNTPmix、50UAMV逆転写酵素、1×AMV緩衝液(全てRoche Molecular Biochemicals, Mannheimから)、5mMDTTおよび2.5μM cDNA合成を開始するための分子としてランダムヘキサマープライマー。22℃10分でのインキュベーションに続き、42℃および55℃で各々30分間、cDNAの合成に供した。酵素を、95℃で5分間熱不活性化した。各逆転写について、2つの別の反応、すなわち各々逆転写酵素のない反応、RNAテンプレートのない反応を、ネガティブコントロールとして実施した。
【0118】
逆転写酵素反応物の1/10容量を、PCR用のテンプレートとして、全容量を50μlとして使用した。0.4μMの2つの配列特異的プライマーを用いる各ケースにおいて、下記PCR系を、増幅のために製造業者の指示書に従って使用した:"Triple Master PCR system"(Eppendorf),"Platinum Pf x DNA ポリメラーゼ" (Invitrogen, Groningen, NL)および"High Fidelity PCR system"(Roche Molecular Biochemicals, Mannheim)。94℃2分での初期変性、15秒94℃での変性、30秒63℃でアニーリングおよび72℃で2分の鎖伸張を含む35サイクルに供した。72℃10分での末端伸張により、この反応を完了した。この反応の1/5容量を、コントロールのために、適切な%のTBEアガロースゲルに分画した。
【0119】
b)5'−および3'-RACE-PCR
胞子形成したEimeria tenella接合子からの全RNAを、5'−および3'-RACE−PCRのための開始物質として用い、"5'/3'RACE kit"(Roche Molecular Biochemicals, Mannheim)を用いて実施した。cDNA合成、テーリング反応(5'-RACEの場合にのみ)および配列特異的プライマーを用いるcDNAの増幅を、製造業者の指示書に従って行った。次いで、これを、5'-RACEの場合において1つ、3'-RACE、さらにネスティッドPCRの場合において2つ、5'および3'末端の増幅を増加させるために供した。A17-max-631-lo(cDNA合成)、A17-max-533-lo(dA-末端cDNAの増幅)およびA17-112-lo(ネスティッドPCR)を、5'-RACEにおいて配列特異的プライマーとして使用し、一方3'-RACEにおいては、A17-max-90-up(cDNA増幅)、A17-max-150-up(F’ネスティッドPCR)およびA17-22-up(2回目のネスティッドPCR)を配列特異的プライマーとして使用した。2%アガロースゲルで分離したRACE−PCR産物を、Chomczynski(1992)の方法を用いて、中性Hybond-N ナイロン膜(Amersham Pharmacia Biotech, Freiburg)に転写し、放射性標識プローブとハイブリダイズさせ、次いでKodak Biomax MS X線フィルムで感光させて使用した。この方法で同定した特異的なRACE−PCR産物を、クローンとして発生させ、単離し、配列決定した。
【0120】
実施例11
PCR産物のクローニング
TOPO TA クローニングキットおよびpcDNA3.1/V5-His TOPO TA 発現キット(Invitrogen, Groningen, NL)を、PCR産物のクローニングに使用した。PCR産物を、1kit (Macherey-Nagel,Duren)中のthe NucleoSpin Extract2を用いて、アガロースゲルから単離し、5UのTaq DNAポリメラーゼ(Promega, Heidelberg)、1xTaq DNAポリメラーゼ緩衝液および0.4mM dNTP mixと共に72℃で0.5時間インキュベートした。TaqDNAポリメラーゼの末端トランスフェラーゼ活性により、3’末端でアデニル化したPCR産物を1kit中のNucleoSpin Extract2を用いて2回目に精製し、その後製造業者の指示書に従って、TOPO TA クローニングに使用した。
【0121】
実施例12
DNA配列分析
クローン化DNAを、Sangerら(1977)の鎖停止方法に従い、MWG Biotech (Ebersbach)を備えた自動化LI-COR 4000 DNAシークエンサーを用いて非放射性的に配列決定した。配列決定を、pG8SAET ベクター(MWG Biotech, Ebersberg)用の5'-IRD-800-結合プライマーおよび5'-IRD-800-結合標準プライマー(LI-COR Bioscience, Bad Homburg)を用いて行った。
【0122】
5'-IRD-800-結合プライマー
【表3】

【0123】
a)サーモ・シーケナーゼ(Thermo sequenase)を用いる配列決定
サーモ・シーケナーゼ・プライマー・サイクル配列決定キット(Amersham Pharmacia Biotech, Freiburg)および赤外蛍光染料IRD-800(MWG Biotech, Ebersbach)に結合させたプライマーを、配列決定反応に使用した。各反応について、プラスミドDNA(1.5μg)および5'-IRD-800-結合プライマー(1pmol/μl)(2-4μl)を、全容量(13μl)に混合し、この混合物(3μl)を、各ケースにおいて、A、C、GまたはTヌクレオドミックス各々3μlに添加し、次いでこれらの混合物に各ケースで、鉱油(10μl)で重層し。次いで、配列決定反応を、PTC 100サーモサイクラー(MJ Research, Biozym, Hess. Oldendorf)で行う。この反応において、2分間94℃での変性、変性(94℃、30秒)、アニーリング(55℃、30秒)および鎖合成 (72℃、1.5分)の30サイクルに供した。反応を、ホルムアミド負荷緩衝液(6μl)を添加することによって停止させた。配列決定ゲル上で配列決定反応を行う直前に、該反応サンプルを72℃で3分変性させ、その直後に、光から保護しながら氷上で貯蔵した。蛍光標識した鎖停止フラグメントを、1xTBE緩衝液、1500Vおよび50℃、8M 尿素を含有する修飾されたポリアクリルアミド(Ultra Pure Sequagel XR, National Diagnostics ; Atlanta, USA)からなる40cm長、0.25mm厚の6%ゲルにおいて分離し、リアルタイムでレーザー光電子増倍管ユニットを用いて、検出した。配列を、LI-COR ImagIR 4.0 software base (MWG Biotech, Ebersbach)を用いて分析した。
【0124】
b)配列データのコンピューター分析
配列分析によって得たデータを、the Molecular BioComputing Suite (Muller etal., 2001)および配列3.0プログラムを用いて最初に処理し、導き出したタンパク質配列を決定した。BLAST(Altschul et al., 1990)およびomniBLASTプログラムをデータベース探索のために使用した、すなわち、EMBLとSwiss Prot databaseにおいて既知配列と、Eimeria tenella genome project data(www.sanger. ac.uk/Proiects/E tenell/)との比較である。2以上のDNAまたはタンパク質配列を、BLAST2配列(www. ncbi.nlm.nih.gov) (Tatusova and Madden, 1999)、CLUSTALW(www. ebi. ac. uk) (Thompson et al., 1994)およびDIALIGN(Morgenstern et al., 1998; 1999)プログラムを用いて並べた。さらに、このSignalP(www. cbs. dtu.dk/services/signalP/)(Nielsen etal., 1997)およびClone Manager5programを、シグナルペプチドを同定するために、各々クローニングおよび限定の計画をたてるために、そしてオープン・リーディング・フレームを探索するために、使用した。
【0125】
実施例13
E. coli由来のタンパク質抽出物の調製
E.coli TG1(2ml)を、定常状態一晩培養物から沈降させ、dH0で1回洗浄し、dHO(300μl)に再懸濁した。4xRotiLoad 緩衝液(Roth, Karlsruhe)(100μl)を添加し、サンプルを5分間沸騰水中で変性させた。混合物中のゲノムDNAを、短時間の超音波処置によってフラグメント化し、各ケースでこのサンプル(10μl)を、SDSポリアクリルアミドゲル上で流した。
【0126】
実施例14
ポリアクリルアミドゲル中でタンパク質を分離する電気泳動およびウェスタンブロッティング
a)SDS−PAGE
Laemmli(1970)の方法を用いて、不連続なポリアクリルアミドゲルにおいて変性条件下でタンパク質抽出物を分離した。Mini-PROTEAN II電気泳動細胞装置(BIorAD, Munich)を、この目的のために使用した。この系において、ゲルサイズは8x10cmであった。15%ポリアクリルアミドを含有する分離ゲルを使用した。スタッキング・ゲルの濃度は、均一な4.5%ポリアクリルアミドであった。分離は、40mA、約2-2.5時間で生じた。予め染色したSDS分子量マーカーミックス(Sigma, Deisenhofen)(5μl)を分子量標準として使用した。
【0127】
b)ニトロセルロース膜上へのタンパク質の転写
SDS−PAGEで分離したタンパク質を、セミドライ法(Kyhse-Anderson, 1984)を用いて、Protran BA85 ニトロセルロース膜(Schleicher and Schuell, Dassel)上にブロッティングした。この方法は、連続緩衝液系(Lihme andSchafer-Nielsen,1986)を使用し、ここで2つのグラファイトプレート(Biometra Fast Blot, Goettingen)の間にあるブロッティング緩衝液に浸したWhatman paper(Whatman Ltd., Maidstone, England)の層は緩衝液貯蔵所として機能する。このタンパク質が、60mAの電流、2時間でSDSポリアクリルアミドゲルからニトロセルロース膜に転写された均質な電気的なフィールドは、これらのグラファイトプレートの間で生じる。転写を確認するために、ニトロセルロース膜を、ブロッティングの後にポンソーS(3%トリクロロ酢酸中0.2%ポンソーS)で可逆的に染色し、次いでdH0を用いて再度脱染色した。
【0128】
c)免疫検出
ニトロセルロース膜を、遠心分離チューブ(Falcon, Becton Dickinson, Sunnyvale, CA, USA)(50ml)の内側に巻き付け、非特異的結合部位を飽和させるために、1xRotiBlock 溶液(Roth, Karlsruhe)(10ml)を用いて回転させながら1時間インキュベートした。その後、このブロッキング溶液を、1xRotiBlock 溶液(10ml)中、モノクローナル抗体E(一次抗体)の50倍濃縮ハイブリドーマ培養上清(50μl)により置換した。22℃で2時間インキュベートした後、該膜を、未結合の過剰な一次抗体を除くために、PBS/0.05% Tween-20で0.5時間、全て3回洗浄した。二次抗体、すなわち、セイヨウワサビ・ペルオキシダーゼ(HRP)(Jackson Immune Research Laboratories, West Grove, USA)と結合させ、1xRotiBlock溶液(10ml)で1:4000希釈したヤギ抗マウスIgGを、1時間の間添加した。次いで、膜を、PBS/0.05%Tween-20を用いて全て0.5時間、3回再度洗浄した。ここで、結合抗体を、化学ルミネセンスを発生させた後にRoswellおよびWhite(1978)の方法で、ECLウェスタンブロッティング検出系(Amersham Pharmacia, Freiburg)を用いて検出した。これに対して、検出試薬1および2の等量を混合し、膜に加えた(0.125ml/cm)。1分後、液体を除去し、膜を1回、PBS/0.05% Tween-20で軽くすすいた;次いで2つの上部の透明なフィルムの間にそれを置いて、空気泡を取り除いた。ECL Hyper film (Amersham Pharmacia, Freiburg)上で、2−5分、22℃で感光させた。
【0129】
実施例15
放射性標識DNA
DNAの放射標識は、用いたプローブのサイズに依存する。DNAフラグメント>800bpを、FeinbergおよびVogelstein(1984)の方法に従って[α32P]dCTPを用いてランダムプライミングによって標識した。Megaprime DNA 標識キット(Amersham Pharmacia Biotech, Freiburg)を、製造業者の指示書に従って、この標識化反応のために使用した。DNA(40ng)および50μCiの[α32P]dCTP(10μCi/l、比活性>3000Ci/mmol)をアッセイあたりに使用した。
【0130】
非常に小さなDNAフラグメント、例えばオリゴヌクレオドを、[γ32P]ATPにて放射性標識した。この反応において、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(MBI Fermentas, St. Leon-Rot)は、DNAの5'OH基の[γ32P]ATPの転写を触媒する。オリゴヌクレオチド(20ng)および100μCi[γ32P]ATP(10μCi/l、比活性>4500Ci/mmol)を使用した。標識化反応の最後で、組み込まれていないヌクレオチドを、1キット(Macherey-Nagel, Dueren)中のNucleoSpin extract2を用いて分離した。この方法で、標識し、精製したDNAを10分間変性させてハイブリダイゼーションに使用した。
【0131】
実施例16
サザン・ブロッティング:膜へのDNAの転写およびハイブリダイズ
この技術を用いて、中性Hybond-Nナイロン膜上に(Amersham Pharmacia Biotech, Freiburg)PCR産物およびゲノムDNAの両方を転写する。ゲノムDNAを、予め様々な制限エンドヌクレアーゼを用いて消化し(制限アッセイあたり10μg)、20mVで0.6%、14cm長のアガロースゲルで一晩分離した。ブロッティングを、Chomczynski (1992)の方法に従って実施し、下方キャピラリィーによって、2時間または終夜アルカリ性トランスファー緩衝液(3M NaCl、8mM NaOH、pH11.40-11.45)中で転写した。転写前に、ゲル中のDNAを、1.5M NaCl、0.5M NaOH中で1時間変性させ、次いでトランスファー緩衝液中で10分間インキュベートした。転写がおこった後、該膜を、0.2M リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)で15分中和し、次いで80℃で20分間乾燥させた。膜上のDNAを、ここで、放射性標識プローブと共にハイブリダイズに使用した。しかし、まずハイブリダイゼーション前に溶液中60℃で3時間、膜をインキュベートした。次いで、この溶液を、ハイブリダイゼーション溶液に置き換えた。放射性標識プローブを加えた後に、ハイブリダイゼーションを一晩60℃で行った。20xSSCストック溶液(3M NaCl;0.3M クエン酸ナトリウム、H0中、pH7.0)を、洗浄緩衝液に用いた。該膜を、2xSSC、0.1%SDS、30分、そして1xSSC、0.1%SDS、30分から2時間、連続的に洗浄した。該膜を、補力スクリーンを用いて−80℃でKodak Biomax MS X線フィルム上で感光させた。
【0132】
実施例17
RNAの電気泳動およびノーザンブロッティング
RNAを電気泳動するための方法の全工程を、0.1% DEPCで処理し、次いでオートクレブにかけた緩衝液を用いるRNAseを含まない条件下で実施した。RNAを、グリオキサールおよびDMSOを用いて変性させ、次いでSambrook et al.(1989)に記載のとおりに電気泳動により分離した。脱イオン化した6Mグリオキサール(5.4μl)、DMSO(16.0μl)および0.1M リン酸ナトリウム緩衝液(3μl)(pH7.0)を、5.4μlであるRNA(20pg)に添加し、全体を50℃で1時間インキュベートした。その後、グリオキサール・ゲル・ローディング緩衝液(10mM リン酸ナトリム、pH7.0;50% グリセロール;0.25%ブロモフェノール・ブルー)(6μl)を氷上で添加した。該分離を、3-4V/cmで、10mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)中で、1.2%アガロースゲルで行った。RNAを、下方キャピラリーブロッティング技術およびアルカリ性トランスファー緩衝液(3M NaCl、8mM NaOH、pH11.40-11.45) (Chomczynski, 1992)を用いて、中性Hybond-N ナイロン膜(Amersham Pharmacia Biotech, Freiburg)上にブロッティングした。該膜を、0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)中で15分中和し、最後に80℃で20分間乾燥させた。サイズを評価するために、EcoRI/HindIII消化したDNA(MBI Fermentas, St. Leon-Rot)(10μg)を、グリオキシル化し、RNAと共に平行して分離した。電気泳動の後、λDNAを含有するレーンを、ゲルの残余物から分離し、グリオキサールを除去するために、50mM NaOH20分洗浄し、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で15分中和し、最後に同じ緩衝液中でエチジウムブロマイド/ml(0.5μg)により染色した。ハイブリダイゼーションを、すなわち65℃で、2回目の洗浄緩衝液として0.1xSSC、0.1% SDSを用いるさらなるストリジェントな条件以外はサザン・ブロッティングに記載のとおりに実施した。
【0133】
実施例18
EtOS22cDNAの配列決定
融合タンパク質がウェスタンブロッティングにおいてEMAbによって認識したファージクローンを、DNA配列決定を用いて分析した。この既知の配列(暗灰色の下線)を基にして、5'-および3'-RACE-PCRを用い、この遺伝子の3'末端および主要な5'末端を増幅し、この5'-RACEは224bpまで5'末端を伸張させるために使用される。リーディングフレームが依然連続して残っている間に、オープン・リーディング・フレーム(ORF)を開始する開始コドン(ATG)が消失した。RT−PCRを使用してこの遺伝子の完全なORFを増幅させるために、2つの新しいプライマーを、Eimeria tenella genome projectのデータを基にして構築した:配列中に下線を引いたA17-f-長さ-64-upおよびA17-f-長さ-1176-loが、1106bpのPCR産物を提供した。この方法で、完全なオープン・リーディング・フレームを増幅させた。該プライマーは、各々cDNAの5'-UTRおよび3'-UTRにおいてハイブリダイズした。5'プライマーとATG開始コドンの間に、上流ストップコドンが存在しており、これはPCR産物が完全なオープン・リーディング・フレームを含有することを確実にするものである。EtOS22cDNAは、594bpまたは198AAのORFを所有し、TAAストップコドンによって位置677で終結する。3'-UTRは506bpを含む。図1は、EtOS22に対してcDNAの完全配列を提供する;しかし5'-UTRの長さは依然決定されていない。
【0134】
実施例19
EtOS22の特徴分析
シグナルP VI.1プログラム(Nielsen et al.,1997)により、タンパク質のN末端で18AAのシグナル ペプチドを同定した(配列中の淡灰色で線を引いた)。シグナルペプチドおよび成熟タンパク質の間の開裂部位は、おそらく、位置18および19(AVA−AD)の間にある。結果的に、成熟タンパク質のサイズは180AAである。これは、シグナルペプチドを持たない理論分子量21039.7Daか、またはシグナルペプチドを持つ22830.9 Daを示した。顕著な特徴は、前駆体タンパク質(または、成熟タンパク質で)中の特定のAAの頻度である:ヒスチジン(H)23.2% (25.6%)、プロリン(P)17.2% (18.9%)、アラニン(A)8.6%、(6.7%)およびグルタアミン(Q)7.6%(8.3%)。ヒスチジンおよびプロリンあわせて、タンパク質中全アミノ酸の40%以上となる。
【0135】
実施例20
Eimeria tenellaにおけるEtOS22の発現
Eimeria tenella中のEtOS22の発現パターンを分析することを目的として、配列特異的プライマーおよび放射性標識プローブを各々用いて、RT−PCRおよびノーザン・ブロッドを、対応する翻訳物を検出するために行った。4つの異なる寄生体段階(胞子形成した接合子、およびニワトリの感染後72h、137hおよび148hの細胞内段階)から単離したcDNAをRT−PCRに用い、これらの段階ごとの全RNAは感染したニワトリの盲腸から単離した。RT−PCR産物は、137および148時間の感染後(ガモゴニー)、そして感染後72時間(シゾゴニー)ではない接合子段階で、上手く増幅した。従って、この遺伝子は、72時間感染後には依然として転写されず、転写は感染後137時間までに起こり、更に継続し、胞子形成した接合子(図2)でおこっている。
【0136】
ノーザンブロッティングから、137時間感染後に発現の顕著なピークが存在することが示された。この方法を用いた場合、148時間後および接合子において(図3)、EtOS22mRNAの転写を検出することは不可能に近いか、不可能であった。これに加えて、ノーザンブロッティングから、完全なRNA転写物のサイズが約1.1kbであるということが示された。これは、クローン生成したcDNAのサイズと非常よく符号する。
【0137】
実施例21
Eimeria tenellaにおける接合子胞子嚢子タンパク質(EtOS22)の位置決定
a)免疫蛍光
3x10胞子形成した接合子を、14000rpm2分で沈降させ、1回PBSで洗浄した;次いで、それらを沈殿物の容量と同じガラスビーズ(0.45-0.5mm)と共に、ボルテックスを用いて、サンプルに存在する接合子およびスポロキストの一部が破砕するまで、2分間激しく振とうした(顕微鏡下で確認した)。これらの細胞および細胞破砕物を沈降させ、次いで冷メタノール(−20℃)に再懸濁し、その後それらを22℃で10分間 インキュベートした。別の洗浄ステップの後、それらを22℃10分間でPBS/0.1% Triton X100に再懸濁した。次いで、それらを、PBSを用いて完全に反復洗浄し、細胞物質中の非特異的結合部位を、22℃1時間、ブロッキング緩衝液(PBS/1% BSA)中で、回転させながらインキュベーションして、飽和させた。その後、Eモノクローナル抗体(一次抗体)の50倍濃縮したハイブリドーマ培養上清(25μl)を、ブロッキング緩衝液(1ml)に添加し、該混合物を、回転させながら2時間インキュベートした。一次抗体の過剰量を、全0.5時間3回PBSで洗浄して除去し、細胞物質を、光から保護しながら1時間回転させながら、Alexa Fluor 488 ヤギ抗マウスIgG(H+L)(MoBiTec GmbH,Gppingen)二次抗体と共にインキュベートした。PBSで2回洗浄した後、細胞ペレットを、Mowiol(Polyscience Inc., Niles, IL, USA)に再懸濁した;次いで、この懸濁液(15μl)を、顕微鏡スライド上に置き、気泡を排除するためにカバースリップで覆い、4℃暗所で貯蔵した。
【0138】
b)共焦点レーザー走査顕微鏡
Leica CLSM TCS NT 連結装置(Leica Lasertechnik, Heidelberg), Version 1.5.451にあったZeiss IM 35 顕微鏡(Zeiss, Oberkochen)を、共焦点レーザー走査顕微鏡のために使用した。488nm波長でアルゴンレーザーを用いて、蛍光を発するようにAlexa 488 染料を刺激した。接合子およびスポロキストからの光学セクションのZシリーズを、1.024x1.024ピクセルの解像によってスキャンした。ウィンドウ版Adobe Photoshop 6.0およびCorel Draw 10.0を、結果を分析するために使用した。
【0139】
Eimeria tenella接合子(図5.1)およびスポロキスト(図5.2および5.3)中のEtOS22に対して記録した免疫蛍光を、まずMouafo et al. (2002)の試験で確認した。接合子の壁が、インタクトな接合子以外の破砕した接合子で染色されているという事実から、EtOS22は細胞内壁に局在することが示唆される。これに加えて、明確な蛍光シグナルは、スポロキストのスチーダ小体の領域に見られた。この構造は、脱嚢、すなわちスポロキスト由来の2つのスポロゾイトの孵化(hatching)と密接な関連がある。すでに破砕されたスポロキストのみがこれらの蛍光シグナルを示すという事実は、EtOS22は、スポロキストの内部に局在し、外側のスポロキスト殻の成分ではない、構造成分であることを示す。
【0140】
実施例22
スポロゾイト脱嚢
新しい接合子を得るために、2−3週齢のヒナを、プロバングを用いて、約5000胞子形成したEimeria tenella接合子により感染させた。感染後7日目に動物を屠殺し、盲嚢含有物を2%重クロム酸カリウム溶液中に回収した。約28℃で攪拌している間に、この接合子は、48時間以内に胞子形成した。スポロキストを得るために、接合子を、ポッター(Potter)を用いて粉砕した。これを行うために、約1.5mlの濃縮接合子懸濁液を、ポッター容器中でピペッティングし、全ての接合子が破砕されるまで(顕微鏡で確認した)1300rpmで均質化した。
【0141】
遊離したスポロキストを、遠心分離用チューブ(50ml)中に回収し(Falcon, Becton Dickinson, Sunnyvale, CA, USA)、2000rpm10分間遠心分離した。沈降物を、PBS(25ml)中に懸濁し、Baytril/ml (BAYER, Leverkusen)(10μg)追加の存在下、4℃で一晩貯蔵した。次の朝に、懸濁液を沈降させ、スポロキストを、胆汁(1ml)および濾過滅菌したPBSトリプシン(20ml)からなる混合物中に再懸濁した。各ケースにおいて、Eモノクローナル抗体の50倍濃縮したハイブリドーマ培養上清(100μl)を添加するか、または添加していない混合物のアリコート(2ml)を、平行脱嚢実験のために使用した。これらの混合物を、温度41.5℃に設定したインキュベーター内で5時間インキュベートした。続いて、Buerkerチャンバーを、両方の混合物の場合に、遊離スポロゾイトの数およびスポロキスト中の未孵化スポロゾイトを決定するために使用した。
【0142】
実施例23
スポロゾイト脱嚢の阻害
脱嚢中のEtOS22の重要性を調査するために、平行脱嚢アッセイを、EMAbの追加的存在下および非存在下で行った。次いで、孵化スポロゾイトおよび未孵化スポロゾイト含有スポロキストの数を、両方のアッセイ(各々2ml)で決定し、これらのデータを互いに比較した。孵化スポロゾイトの数は、各々コントロールおよびMAbの存在では、96x10および4.8x10であった。一方、未孵化スポロゾイト含有スポロキストの数は、2.0x10から2.2x10(図6)に増加した。未孵化スポロゾイト含有スポロキストが約10倍増加したと同時に、遊離スポロゾイトが約半分まで低下したという事実は、EtOS22の活性調節により、Eimeria tenella脱嚢を阻害に導くことを示し、結果的に、EtOS22の活性を調節することはEimeria感染を処理するのに適切であり得る。
【0143】
実施例24
細胞培養においてEimeria tenellaに対するアフィニティー単離物質の試験
イン・ビトロ試験は、一次腎臓細胞培養に対して有効であった。このため、12日目の産卵型(laying-type)のチキン由来の腎臓組織を無菌解剖し、そこから単離した腎臓細胞を、96ウェルプレートの単層組織培養において培養した。使用した栄養培地は、DMEM+5%胎児子ウシ血清+2%グルタミン+2%非必須アミノ酸+1%HEPES+1%ピルビン酸ナトリウムである。2日間42℃および5%COでインキュベートした後、組織培養物を、脱嚢したEimeria tenellaスポロゾイトにより感染させた。DMSO中ストック溶液濃度(20mg/ml)から開始して、アフィニティー単離物質を、栄養培地で終濃度10ppmまで希釈し、感染細胞培養に添加した。感染5日後に、培養物を顕微鏡で評価し、宿主細胞の状態、インタクトなシゾントおよび遊離メロゾイト(感染120時間後)の数を決定した。活性を次のように評価した:
【表4】

【0144】
引例:
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【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】図1は、EtOS22-cDNAの場合に、DNA配列を示し、導き出されたアミノ酸配列を示す。プライマーA17-f−長−64upおよびA17-f−長−1176-lowは下線を引かれる。該シグナルペプチドは、薄い灰色で網掛けされる。フェーズパニングにおいて多く、5'-および3'-RACE−PCRを行うために使用されたクローンの元々の配列は、暗灰色で網掛けされる。
【図2】図2は、EtOS22の発現パターンを決定するためにRT−PCRの使用を示す。各ケースにおいて、pUC−Mixマーカー(MBI Fermentas, St. Leon-Rot)(1μg)を、DNA長標準(M)として使用される。非感染のヒナドリの盲腸(ui,)、72、137および148時間感染後の(72hpi、137hpiおよび148hpi)感染した雛ドリの盲腸および胞子形成接合子由来のcDNAを、PCR反応のためのテンプレートとして使用した。プライマーA17-22-upおよびA17-112-lowを用いて増幅されたPCR産物は、91bpのサイズ(A)であり、一方でプライマーEtACTIN-upおよびEtACTIN-lowを用いて増幅されたPCR産物は350bpのサイズ(B)であった。逆転写酵素(RT)を含有し、RNAテンプレートを含有する反応混合物を、各ケースにおいてマーク(1)のレーンに流し、一方RNAテンプレートを含有するがRTを含まない反応混合物はマーク(2)のレーン、そしてRNAテンプレートをいずれも含有しないがRTを含有する反応混合物を、マーク(3)のレーンにながした。
【図3】図3は、EtOS22に対するノーザン・ブロット分析を示す。胞子形成した接合子(1)由来の全RNA、感染137時間後(2)および148時間後(3)後の感染したヒナドリの盲腸の由来の全RNA、またネガティブコントロール(4)として非感染したヒナドリの盲腸由来の全RNAを、ゲル電気泳動によって分離し、ブロッティングした。このブロッティングしたものを、位置385で開始する放射活性標識された3'-RACE−PCR産物(816bp)とハイブリダイズした。
【図4】図4は、EtOS22に対するゲノムサザンブロットを示す。ゲノムE.tenella DNA(10μg)を、ゲル−電気泳動で分離し、各レーンにブロッティングした。このDNAを、次の制限エンドヌクレアーゼ:BglI(1)、ClaI(2)、KpnI(3)、AccI(4)、BglII(5)、DraI(6)およびMvaI(7)を用いて、あらかじめ消化した。このブロッティングしたものを、位置1から位置1106(1106bp)までの放射活性標識されたPCR産物とハイブリダイズした。
【図5】図5.1−5.3は、E.tenella中のEtOS22に対する免疫蛍光を示す。MabEzEs(マウスIgG2a)を一次抗体として使用し、一方ヤギ抗マウスIgGコンジュゲート,Alexa488を二次抗体として使用した。図は、空の接合子殻(5.1)、破砕したスポロキスト(5.2)、インタクトなスポロキスト(5.3)を示す。スチーダ小体の領域は矢印で示した。
【図6】図6は、EtOS22がE.tenella脱嚢を阻害するための標的であることを示す。パラレル脱嚢実験の後、遊離スポロゾイトの数および孵化しないスポロゾイトを含有するスポロキストの数を、いずれの追加Mab E(コントロール)も含有しない実験混合物および追加のMabEを含有した実験混合物において、決定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)配列番号:1または3に記載の配列;または
b)配列番号:1または3に記載の配列を有するポリヌクレオチドと、50%以上の同一性を示すポリヌクレオチド;または
c)ストリジェントな条件下で、配列番号:1または3に記載の配列を有するポリヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチド;または
d)配列番号:2に記載の配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
e)配列番号:2に記載の配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと50%以上の同一性を示すポリヌクレオチド;または
f)ストリジェントな条件下で、配列番号:2に記載の配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチド;または
g)遺伝子コードの縮重のために、配列番号:1に記載の配列を有するポリヌクレオチドとは異なるポリヌクレオチド;
h)a)からg)に記載のポリヌクレオチドのフラグメントであって、少なくとも6ヌクレオチド長である、ポリヌクレオチド;
を含むポリヌクレオチド。
【請求項2】
請求項1に記載のポリヌクレオチドによってコードされ、少なくとも8アミノ酸長である、ポリペプチド。
【請求項3】
請求項1に記載の少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、ベクターまたは発現系。
【請求項4】
請求項3に記載のベクターまたは発現系を担持する、宿主細胞。
【請求項5】
請求項4に記載の宿主細胞を用いる請求項2に記載のポリペプチドの調製方法。
【請求項6】
請求項2に記載のポリペプチドに特異的に結合することを特徴とする、抗体。
【請求項7】
殺寄生虫薬として請求項6に記載の抗体の使用。
【請求項8】
請求項1に記載のポリヌクレオチドを検出するための方法であって、請求項1に記載のポリヌクレオチドが、生物学的サンプル由来の核酸物質とハイブリダイズされ、該ハイブリダイゼーションが検出される、方法。
【請求項9】
ハイブリダイゼーションがポリメラーゼ連鎖反応を用いて検出される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ポリペプチドが、請求項6に記載の抗体の結合によって検出される、請求項2に記載のポリペプチドを検出するための方法。
【請求項11】
請求項1に記載のポリヌクレオチドまたは請求項2に記載のポリペプチドを検出するための組成物であって、請求項1に記載のポリヌクレオチドまたは請求項6記載の抗体を含む、組成物。
【請求項12】
ワクチンを産生するための、
a)請求項1に記載のポリヌクレオチド;または
b)請求項2に記載のポリペプチド;または
c)請求項3に記載のベクターまたは発現系;または
d)請求項6記載の抗体、の使用。
【請求項13】
a)請求項2記載のポリペプチド;または
b)請求項3に記載のベクター;または
c)請求項6記載の抗体、を含むワクチン。
【請求項14】
スポロキスト由来のスポロゾイトの脱嚢中にEtOS22タンパク質の活性を調節する活性な化合物を見出す方法であって、
a)試験物質がEtOS22ポリペプチドに特異的に結合し得る選択された条件で、試験されるべき活性な化合物を、請求項2に記載のEtOS22ポリペプチドと接触させる;および
b)行われた該ポリペプチドへの特異的な結合を検出する;
工程を含み、
ポリペプチドに結合する活性を有する化合物がコクシジウム症を処置するための可能性のある活性な化合物として同定される方法。
【請求項15】
スポロキスト由来のスポロゾイトの脱嚢中にEtOS22タンパク質の活性を調節する活性な化合物を見出すための方法であって、
a)試験物質がEtOS22ポリペプチドに特異的に結合し得る選択された条件で、試験されるべき活性な化合物を、請求項2に記載のEtOS22ポリペプチドと接触させる;および
b)請求項2に記載のポリペプチド、またはEtOS22タンパク質の活性調節を検出する;
工程を含み、
活性を調節する活性を有する化合物が、コクシジウム症を処置するための可能性のある活性な化合物として同定される方法。
【請求項16】
請求項14または15に記載の方法のうちの一つを用いて見出され得る、活性な化合物。
【請求項17】
スポロキスト由来のスポロゾイトの脱嚢中にEtOS22タンパク質の活性を調節する、活性な化合物。
【請求項18】
請求項16または17に記載の活性な化合物および医薬的に許容し得る添加剤を含む、医薬組成物。
【請求項19】
コクシジウム症を処置するための医薬品製造のための、スポロキスト由来のスポロゾイトの脱嚢中にEtOS22タンパク質の活性を調節する、活性な化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−500003(P2008−500003A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518068(P2006−518068)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007080
【国際公開番号】WO2005/005472
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】