説明

新規IFNガンマ様ポリペプチド

本発明は、ヒトインターフェロンガンマの少なくとも1つの活性を有するポリペプチドを特徴とするORFをコードするヒトゲノム中の読みとり枠(ORF)、および該ポリペプチドの変種と断片を含有するこれらに関連する試薬、ならびにコードする核酸、およびこれらに対するリガンドを開示する。本発明は、これらの分子の同定と調製方法、これらを含有する医薬組成物の製造方法、および疾患の診断、予防および治療におけるこれらの使用のための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規ポリペプチドをコードするものとしてヒトゲノム中同定された核酸配列、さらに詳しくはヒトインターフェロンガンマの少なくとも1つの活性を有する新規ポリペプチドに関する。
【0002】
発明の背景
インターフェロン(IFN)は、感染、免疫学的異常、および新生物性変性のような病的事象に対する哺乳動物の免疫応答において複雑かつ中心的役割を果たす。
【0003】
IFNには2つの群がある:I型(IFNアルファとIFNベータ)と、II型(IFNガンマ、免疫インターフェロンとしても知られている)。IFNガンマは、Tリンパ球やナチュラルキラー細胞により産生されるサイトカインであり、2つの非共有的に結合したポリペプチドサブユニットのホモダイマーとして存在し、異なるグリコシル化型で存在する(Younes HMとAmsden BG, 2002;Boehm Uら、1997)。
【0004】
IFNガンマは、単核食細胞の強力なアクチベーターであり、いくつかの分子の発現を誘導し、腫瘍壊死因子(TNF)、クラスI/II主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、およびマクロファージが貪食した微生物や腫瘍細胞を死滅させることを可能にする呼吸バーストを仲介する酵素を誘導することにより、免疫応答に影響を与えることができる。IFNガンマは、その細胞表面受容体に結合し細胞内シグナル伝達(特に、JAK-STAT経路)を活性化することにより、TおよびBリンパ球分化やナチュラルキラー(NK)細胞の細胞障害活性のみでなく、トリプトファン代謝を調節することによっても、他の種類の細胞(例えば、血管内皮細胞)のアポトーシスまたは増殖を開始させる。
【0005】
さらに、ヒトIFNガンマをコードする遺伝子の多型性も、おそらく遺伝的に決定される異常サイトカイン発現により引き起こされる特定の疾患状態または臨床症状に関連している(Vandenbroeck KとGoris A, 2003; WO02/16631)。
【0006】
IFNガンマ受容体(Mochiels Lら、1998)の可溶性細胞外部分により阻害され中和され得るIFNガンマに対する細胞応答も、このタンパク質が多くの異なる細胞事象[例えばアポトーシス(Tura BJら、2001;Annicciarico-Petruzzelli Mら、2001;Pouly Sら、2000;Luttmann Wら、2000)または感染(Rottenberg MEら、2002;Shtrichman RとSamuel CE、2001)]を協調させているため、特に複雑である。これらの活性(これは、細胞タイプ特異的でもまたはIL-1ベータもしくはTNFアルファのような他のサイトカインと同時制御されてもよい)は、遺伝子セットのIFNガンマ誘導性またはIFNガンマ抑制性発現に関連している(Boehm Uら、1997;Shaw ACら、1999)。
【0007】
IFNガンマの性質は、多くの疾患モデルで研究されている。例えば、IFNガンマは、骨髄性白血病の動物モデルで細胞外腫瘍マスの生成を低減させるのに(Arai Cら、1999)、細菌性敗血症から防御するのに(Zanti Nら、1998)、および誘導された遺伝子発現をTNFアルファと組合せて抑制するのに(Sethi SKら、1997)有効であるが、脱髄性疾患のモデルで有害作用を有する(Popko BとBerwald KD、1999)。
【0008】
単独のまたは他の化合物と組合せた場合のIFNガンマの重要な治療的性質は、間質性肺繊維症(Ziesche Rら、1999)、喘息(WO01/34180)、骨の崩壊プロセス(EP203580)、血管狭窄(WO90/03189)、I型糖尿病(WO95/22328)、白血病(IFNアルファと併用;US5170591)、B細胞過増殖関連疾患(B細胞抗原に結合する抗体と併用;WO02/102312)、ステロイド耐性症状(US566312)、アトピー性疾患(WO91/07984)、または敗血症ショック(US5198212;Docke WDら、1997)を含む広範囲の適応症で示唆および/または証明されている。同時に、IFNガンマに直接拮抗する化合物(例えば可溶性受容体もしくは抗体)または(シグナル伝達経路のレベルまたはその遺伝子発現のレベルで)間接的に拮抗する化合物(例えば小分子)が、再狭窄(EP1265996)においておよび自己免疫疾患や超免疫応答(例えば臓器拒絶)において、治療的性質を有することが記載されている(US6036956;EP1140990;WO98/28001;WO94/12531;WO94/14497;WO02/98460;WO99/09055、WO00/32634)。
【0009】
癌免疫療法においてIFNガンマは、アジュバントとして作用し腫瘍細胞抗原刺激に対する免疫応答を増強するため、放射線照射した自己腫瘍細胞とともに注射される。IFNガンマタンパク質は、大きな副作用(例えば、発熱、疲労、吐き気、および神経毒性)を示すため、限定された臨床用途(例えば、慢性肉芽腫性疾患に関連する感染の低減、および悪性骨粗鬆症患者の進行の遅延)について、現在食品医薬品局(FDA)により認可されている。
【0010】
これらの制限は、おそらくほとんどすべてのタイプのヒト細胞の表面上のIFNガンマ受容体の発現と、続く過剰のシグナル伝達活性(Bach EAら、1997)のために、このサイトカインがより許容される結果を達成するための代替型と送達系の開発を促進させた。熱安定性(WO97/11179)またはグリコシル化(WO01/36001;WO02/81507)のような特定の性質を改良するために、より長いかまたは短いN-/C-末端配列を有するか、または特異的残基で変異されている種々の天然型もしくは合成型のヒトIFNガンマが記載されている。完全な配列と同様の性質を有するヒトIFNガンマ由来のペプチドも開示されている(US6120762)。
【0011】
文献は、転写体のバイオフォーマット分析を利用して、新規タンパク質を性状解析するための異なるアプローチの多くの例を与える。例えばGB特許出願第0130720.6(WO03/055913として公開されている)は、IFNガンマの構造的特徴に一致するポリペプチド配列(INSP037と呼ばれる)を開示する。
【0012】
IFN(および任意の他のタンパク質ファミリー)をコードするヒトゲノム中のDNA配列の実際の含量はいまだに不明であり、ヒトゲノム中に存在する読みとり枠全体(ORF、すなわちアミノ酸をコードするヌクレオチドの連続的トリプレットを含有し、停止コドンにより中断されず、ポリペプチド中で翻訳可能なゲノム配列)に、代替相同性/構造基準を適用することにより、IFNガンマ様構造と活性を有するポリペプチドをコードするDNA配列を同定する可能性がある。
【0013】
発明の要約
本発明は、INSP037との相同性に基づくが、pIFNFHconと呼ぶ新規コンセンサス配列に分類される、新規IFNガンマ様ポリペプチドをコードするヒトゲノム中の読みとり枠(ORF)の同定に基づく。
【0014】
特に本発明は、ヒトIFNガンマの少なくとも1つの活性を有する新規ポリペプチドとして、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、および40により与えられるアミノ酸配列を有するpIFNFHポリペプチドを提供する。本発明はまた、これらをコードする核酸、かかる核酸を含有するベクター、およびこれらのベクターまたは核酸を含有する細胞、ならびにアンタゴニストとして作用してもよい融合タンパク質やリガンドのような他の関連試薬を含む。
【0015】
本発明は、これらの分子を同定し作成する方法、これらを含有する医薬組成物を調製する方法、およびヒトIFNガンマの少なくとも1つの活性を有する化合物もしくはこれらのアンタゴニストが陽性作用を与えるかも知れない疾患の診断、予防および治療におけるこれらの使用方法を提供する。
【0016】
発明の詳細な説明
IFNガンマ(WO03/055913)の構造的特徴に一致するポリペプチド配列であるINSP037の同族体を同定するためのヒトゲノムの配列解析は、たとえINSP037と似ていても、これらを75アミノ酸の新規コンセンサス配列(pIFNFHconと呼ばれる)に分類して、ヒトIFNガンマの少なくとも1つの活性を有することが予測される配列を性状解析することを可能にする、共通の配列特徴を有する一連のポリペプチドを同定することを可能にした。
【0017】
本発明の主要な目的は、ヒトIFNガンマの少なくとも1つの活性を示し:
a)pIFNFHcon(配列番号156)の完全な配列と少なくとも80%の相同性;および
b)pIFNFHcon中のAla10、Gly12、Arg26、Ala31、Lys35、Phe47、Gln55、Glu57、Lys63、およびIle75に対応する位置に9個以下の非保存的変異、
を有する配列を含む、単離されたポリペプチドである。
【0018】
ヒトゲノム中の公知のORFを翻訳することにより得られる全アミノ酸配列を、INSP037タンパク質配列を使用して調べ、ヒットしたものをさらにINSP037および/またはヒトIFNガンマに匹敵する配列長さおよびアミノ酸保存に基づいて選択した。すなわち本発明の新規ポリペプチドは、ヒトIFNガンマの少なくとも1つの生物活性を有することが予測される。
【0019】
INSP037との匹敵する長さと配列相同性に基づいて、新規ポリペプチドpIFNFH01(配列番号2:図1)、pIFNFH03(配列番号4:図2)、pIFNFH04(配列番号6;図3)、pIFNFH08(配列番号8;図4)、pIFNFH10(配列番号10;図5)、pIFNFH11(配列番号12;図6)、pIFNFH12(配列番号14;図7)、pIFNFH13(配列番号16;図8)、pIFNFH14(配列番号18;図9)、pIFNFH15(配列番号20;図10)、pIFNFH20(配列番号22;図11)、pIFNFH23(配列番号24;図12)、pIFNFH25(配列番号26;図13)、pIFNFH27(配列番号28;図14)、pIFNFH31(配列番号30;図15)、pIFNFH32(配列番号32;図16)、pIFNFH36(配列番号34;図17)、pIFNFH37(配列番号36;図18)、pIFNFH39(配列番号38;図19)、およびpIFNFH42(配列番号40;図20)が同定されたが、これらはさらに、コンセンサス配列pIFNFHcon(図21)に基づいてpIFNFHの中で区別することができた。
【0020】
第1群のpIFNFHは、pIFNFHconの完全な配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつpIFNFHcon中のAla10、Gly12、Arg26、Ala31、Lys35、Phe47、Gln55、Glu57、Lys63、およびIle75に対応する位置に非保存的変異の無い配列を含むポリペプチドを含む。かかる配列の例は、pIFNFH15(配列番号20)、pIFNFH32(配列番号32)、およびpIFNFH37(配列番号36)である。
【0021】
第2群のpIFNFHは、pIFNFHconの完全な配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつpIFNFHcon中のAla10、Gly12、Arg26、Ala31、Lys35、Phe47、Gln55、Glu57、Lys63、およびIle75に対応する位置に1または2個の非保存的変異を有する配列を含むポリペプチドを含む。かかる配列の例は、pIFNFH04(配列番号6)、pIFNFH03(配列番号4)、pIFNFH08(配列番号8)、pIFNFH20(配列番号22)、pIFNFH23(配列番号24)、pIFNFH12(配列番号14)、pIFNFH25(配列番号26)、pIFNFH13(配列番号16)、pIFNFH14(配列番号18)、pIFNFH36(配列番号34)、およびpIFNFH39(配列番号38)である。
【0022】
第3群のpIFNFHは、pIFNFHconの完全な配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつpIFNFHcon中のAla10、Gly12、Arg26、Ala31、Lys35、Phe47、Gln55、Glu57、Lys63、およびIle75に対応する位置に、3、4、または5個の非保存的変異を有する配列を含むポリペプチドを含む。かかる配列の例は、pIFNFH11(配列番号12)、pIFNFH27(配列番号28)、pIFNFH01(配列番号2)、pIFNFH31(配列番号30)、pIFNFH10(配列番号10)、およびpIFNFH42(配列番号40)である。
【0023】
pIFNFHconおよびpIFNFH一般に相同的な配列は、一般に利用できるバイオフォーマット手段(Mulder NJとApweiler R, 2002;Rehm BH, 2001)を使用して、pIFNFH中で保存されている領域に対応する75アミノ酸のセグメントにわたる割合を測定することにより同定および/または設計することができ、本発明においてpIFNFHconとして解析される(図21)。
【0024】
保存されている具体的な残基と照らし合わせるとpIFNFHconのコンセンサス配列は、pIFNFHを特徴付け、かつpIFNFHとINSP037のみでなく、pIFNFHと、INSP037とpIFNFHの一部に相同的であり、図22でABG00143(配列番号157;WO01/75067)とAAM70428(配列番号158;WO01/57276)として同定される配列とを明確に区別することを可能にする。
【0025】
本発明において「非保存的変異」は、「保存的」置換も「安全な」置換も含まない配列の変化である。「保存的」変異は、分子の構造と生物学的機能を維持するために、充分に同様の化学的性質を有するアミノ酸を導入する(例えば、陽性荷電したアミノ酸は、別の陽性荷電したアミノ酸により置換される)。従って「非保存的変異」という用語はまた、欠失と挿入も包含する。配列相同性と保存的変異を決定するのに使用できる同義のアミノ酸の群を表1に示す。
【0026】
異なる目的(例えば免疫学的エピトープの除去、結合性の改変、グリコシル化パターンの改変、またはタンパク質安定性の改良)(van den Burg BおよびEijsink V, 2002;Robinson CR, 2002;WO02/05146;WO00/34317;WO98/52976)のために本発明のポリペプチドに、特異的な非保存的変異を導入してもよい。
【0027】
そのような配列以外に、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、および40のアミノ酸配列の変種、成熟型、または活性断片のような一連のポリペプチドは本発明の開示の一部を構成する。
【0028】
おそらく1つ以上の単一ヌクレオチド多型の翻訳から生じるものとして、変種は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、および40の配列の天然に存在する対立遺伝子変種に対応してもよい。
【0029】
配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、および40のアミノ酸の成熟型および活性断片は、総説(Back EAら、1997;Boehm Uら、1997)にあるように、または発明の背景で引用した文献に示されるように、ヒトIFNガンマの少なくとも1つの生物活性を有する。これらの活性は、生理学的または細胞事象のレベル(例えば、免疫/抗ウイルス応答、抗原提示、呼吸バースト、白血球−内皮相互作用、または細胞増殖/アポトーシス)、ならびに特異的遺伝子もしくは遺伝子セットの発現の誘導もしくは抑制のレベルで検出することができる。
【0030】
成熟型および活性断片は、天然のまたは人工的転写後または翻訳後事象により生じるものでもよい。例えば末端切断型タンパク質が、遺伝子操作により作成され、宿主細胞中で発現されるか、またはタンパク質分解処理によりN末端配列が除去される(シグナルペプチダーゼおよび他のタンパク質分解酵素により)。他の代替成熟型もまた、糖またはリン酸塩のような化学基の添加により生じることもある。
【0031】
断片は、活性タンパク質のコンフォメーションに決定的に重要なアミノ酸(特に、pIFNFHconで保存されているもの、およびコンセンサス配列pIFNFHconで記載されるもの)を除去または置換することなく、その機能を改変せずに末端もしくは内部アミノ酸の欠失を提供し、一般に数個(例えば10個、好ましくは3個未満)のアミノ酸が関与する。あるいは断片は、文献(US6120762)に開示されたIFNガンマ関連ペプチドについて示されるように、配列の特定の部分に対応してもよい。
【0032】
上記のすべての変種は、天然のもので、ヒト以外の細胞で同定されるものでも、または人工的なもので、化学合成により、部位特異的突然変異誘発法により、または公知の適した方法により同定されるものでもよく、これは、限定されたセットの実質的に対応する変異または短縮ペプチドもしくはポリペプチド(これらは、先行技術に記載の方法を使用して当業者が日常的に得て試験することができる)を提供する。
【0033】
本特許出願はまた、上記の任意のポリペプチドを含む融合タンパク質を開示する。これらのポリペプチドは、IFNガンマ関連活性を大きく傷害することなく、およびおそらく追加の性質を与えて、少なくとも本特許出願で開示されたものに対して異種であるタンパク質配列を含有する。そのような性質の例は、より容易な精製操作、体液中のより長い半減期、追加の結合残基、タンパク質分解消化、または細胞外局在化である。この後者の特徴は、これらのポリペプチドの単離と精製が促進されるのみでなく、一般にIFNガンマおよびその受容体が相互作用するスペースに問題の分子が局在化されることを可能にするため、上記定義に含まれる融合タンパク質またはキメラタンパク質の特定の群を定義するのに特に重要である。
【0034】
融合タンパク質の構築、精製、検出および使用のための残基、リガンド、およびリンカー、ならびに方法と方策の設計は、文献に開示されている(Nilsson Jら、1997;Methods Enzymol, Vol. 326-328、アカデミックプレス(Academic Press)、2000)。融合タンパク質中に含まれ得る好適な1つ以上のタンパク質配列は、これらのタンパク質配列(膜結合タンパク質、免疫グロブリン定常領域、マルチマー化ドメイン、細胞外タンパク質、シグナルペプチド含有タンパク質、エクスポートシグナル含有タンパク質)に属する。これらの配列の特徴およびその具体的な用途は、例えばアルブミン融合タンパク質(WO01/77137)、マルチマー化ドメインを含む融合タンパク質(WO01/02440、WO00/24782)、免疫結合体(Garnett MC, 2001)、または親和性クロマトグラフィーにより組換え産物を精製するのに使用できる追加の配列を与える融合タンパク質(Constans A, 2002;Burgess RRとThompson NE, 2002;Lowe CRら、2001;Sheibani N, 1999)について詳細に開示されている。
【0035】
本特許出願に開示されている新規アミノ酸配列は、異なる種類の試薬と分子、特にこれらの特異的に結合するリガンドを提供するのに使用することができる。これらの分子は、天然でも人工的[化学的観点からは大きく異なる(結合タンパク質、抗体、分子的インプリントポリマー)]でもよく、文献の教示を適用して産生することができる(WO02/74938;Kuroiwa Yら、2002;Haupt K, 2002;van Dijk MAとvan de Winkel JG、2001;Gavilondo JVとLarrick, JW, 2000)。
【0036】
これらの化合物の例は、その完全な配列または特異的断片(例えば、抗原決定基)を使用して同定される結合タンパク質または抗体である。問題のアミノ酸配列に結合する抗体または他のタンパク質(Tribbick G, 2002)をスクリーニングし性状解析するために、または同様の性質を有する本発明のポリペプチドの代替型を同定するために、ペプチドライブラリーを使用することもできる。
【0037】
発明の背景で引用された文献中のIFNガンマに示されるように、かかるリガンドは本発明のポリペプチドのIFNガンマ関連活性に拮抗またはこれを阻害することができ、1つ以上のpIFNFHポリペプチドの中和に関連するいくつかの用途を有する分子を提供する。
【0038】
一般的で効率的なリガンドは抗体であり、これはモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはヒト化抗体、または抗原結合断片の形でもよい。あるいはリガンドは、IFNガンマ受容体(Back EAら、1997;Michiels Lら、1998)により示されるように、シグナル伝達性を有する膜結合受容体でもよく、特に、循環流中に可溶性受容体として存在するかまたは合成法で作成された膜結合タンパク質の細胞外ドメインでもよい。
【0039】
本発明のポリペプチドはまた、活性画分、前駆体、塩、または誘導体の形で提供されてもよい。
【0040】
用語「画分」は、化合物自体のポリペプチド鎖の任意の断片の単独、またはそこに結合した関連する分子もしくは残基(例えば、糖またはリン酸塩の残基)、または元々のポリペプチドもしくはペプチドの凝集物との組合せを意味する。かかる分子はまた、通常は一次配列を変化させない他の修飾に由来し、例えばペプチドのin vivoまたはin vitroの化学誘導体化(アセチル化またはカルボキシル化)、ペプチドの合成およびプロセシングまたはさらなる処理工程におけるペプチドのリン酸化(ホスホチロシン、ホスホセリン、またはホスホスレオニン残基の導入)もしくはグリコシル化(グリコシル化に影響を与える酵素、例えば哺乳動物グリコシル化もしくは脱グリコシル化酵素にペプチドを暴露することにより)のパターンを修飾することにより作成されるものがある。
【0041】
「前駆体」は、細胞または体への投与前または後に代謝的および酵素的プロセシングにより、本発明の化合物に変換することができる化合物である。
【0042】
本明細書において用語「塩」は、本発明のポリペプチドのカルボキシル基の塩およびアミノ基の酸付加塩の両方を意味する。カルボキシル基の塩は、当該分野で公知の手段により生成され、無機塩、例えばナトリウム、カルシウム、アンモニウム、第2鉄塩もしくは亜鉛塩など、および有機塩基との塩、例えばアミン(例えばトリエチルアミン、アルギニンまたはリジン、ピペリジン、プロカインなど)と形成されるものがある。酸付加塩は、例えば鉱酸(例えば、塩酸または硫酸)との塩、および有機酸(例えば、酢酸またはシュウ酸)との塩を含む。任意のかかる塩は、本発明のペプチドおよびポリペプチドまたはその類似体と実質的に類似の活性を有する。
【0043】
本明細書において用語「誘導体」は、公知の方法に従ってアミノ酸残基の側鎖上に存在する官能基またはアミノ基もしくはカルボキシル基から調製することができる。かかる分子はまた、通常は一次配列を変化させない他の修飾に由来し、例えばペプチドのin vivoまたはin vitroの化学誘導体化(アセチル化またはカルボキシル化)、ペプチドの合成およびプロセシングまたはさらなる処理工程におけるペプチドのリン酸化(ホスホチロシン、ホスホセリン、またはホスホスレオニン残基の導入)もしくはグリコシル化(グリコシル化に影響を与える酵素、例えば哺乳動物グリコシル化もしくは脱グリコシル化酵素にペプチドを暴露することにより)のパターンを修飾することにより作成されるものがある。あるいは誘導体は、カルボキシル基のエステルもしくは脂肪族アミド、および遊離のアミノ基のN-アシル誘導体もしくは遊離のヒドロキシル基のO-アシル誘導体を含んでもよく、例えばアルカノイル−もしくはアリール−基のようにアシル基とともに形成される。
【0044】
誘導体の作成は、内部または末端位置での適切な残基の部位特異的修飾を含んでもよい。結合に使用される残基は、ポリマーが結合しやすい側鎖を有するべきである(すなわち、官能基を有するアミノ酸の側鎖、例えばリジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、ヒスチジンなど)。あるいはポリマーが結合しやすい側鎖を有する残基がポリペプチドのアミノ酸を置換するか、またはポリペプチドの内部または末端位置に付加することができる。また遺伝的にコードされるアミノ酸の側鎖を、ポリマー結合のために化学修飾するか、または適切な側鎖官能基を有する非天然のアミノ酸を使用することができる。好適な結合法は、ペプチド合成と化学結合の組合せを用いる。水溶性ポリマーの結合は、特にタンパク質のアミノ末端領域で、生体分解性リンカーを介する。かかる修飾は、前駆体(または「プロドラッグ」)型のタンパク質を提供し、これはリンカーが分解されると、ポリマーの修飾無しでタンパク質を放出するように作用する。
【0045】
ポリマーの結合は、アンタゴニストの特定の位置に天然に存在するアミノ酸の側鎖や、アンタゴニストの特定の位置に天然に存在するアミノ酸を置換する天然のまたは非天然のアミノ酸の側鎖のみではなく、標的位置でアミノ酸の側鎖に結合している炭水化物または他の残基もある。まれなまたは非天然のアミノ酸はまた、特異的に遺伝子操作した細菌株中でタンパク質を発現することにより導入することもできる(Back Aら、2001)。
【0046】
用語「活性」は、そのような代替化合物が本発明のポリペプチドの機能的特徴を維持することを意味し、薬学的応用または任意の他のタイプの応用にも有用である。
【0047】
上記のポリペプチドおよびポリペプチドベースから得られた試薬はまた、所望の使用法および/または産生法に従って、例えば放射活性標識物、蛍光標識物、ビオチン、または細胞障害性物質と結合または複合体形成するような他の代替型でもよい。
【0048】
具体的な分子、例えばペプチド模倣物もまた、pIFNFHconのコンセンサス配列により規定される本発明のポリペプチドの配列および/または構造について設計することができる。ペプチド模倣物は、アミノ酸鎖、アミノ酸キラル性、および/またはペプチド骨格のレベルで化学的に修飾されるペプチドである。これらの改変は、改良された調製、力価および/または薬物動態的特徴を有する本発明のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストを提供することを目的とする。
【0049】
例えば、ペプチドがペプチダーゼによる切断を受けやすい時、被験体への以後の注入は問題であり、特に感受性であるペプチド結合を非切断性のペプチド模倣物により置換すると、治療化合物としてペプチドのより安定かつより有用な化合物を提供することができる。同様に、アミノ酸残基の置換は、ペプチドのタンパク質分解に対する感受性を低下させる標準的方法であり、最終的にペプチド以外の有機化合物により似てくる。同様に有用なのは、アミノ末端ブロッキング基、例えばt-ブチルオキシカルボニル、アセチル、テイル(theyl)、スクシニル、メトキシカルボニル、スベリル、アジピル、アゼライル(azelayl)、ダンシル、ベンジルオキシカルボニル、フルオレニルメトキシカルボニル、メトキシアゼライル(methoxyazelayl)、メトキシアジピル、メトキシスベリル、および2,4-ジニトロフェニルである。力価の上昇、活性の延長、精製の簡便化、および/または半減期の延長を与える多くの他の修飾が、先行技術に開示されている(WO02/10195、Villain Mら、2001)。
【0050】
ペプチド模倣物に含有されるアミノ酸誘導体の好適な代替の同義の基は、表IIで規定されるものである。アミノ酸誘導体の非包括的リストは、アミノイソ酪酸(Aib)、ヒドロキシプロリン(Hyp)、1,2,3,4-テトラヒドロ−イソキノリン-3-COOH、インドリン-2-カルボン酸、4-ジフルオロ−プロリン、L-チアゾリジン-4-カルボン酸、L-ホモプロリン、3,4-デヒドロ−プロリン、3,4-ジヒドロキシ−フェニルアラニン、シクロヘキシル−グリシン、およびフェニルグリシンである。
【0051】
「アミノ酸誘導体」は、20個の遺伝的にコードされる天然に存在するアミノ酸の1つ以外のアミノ酸またはアミノ酸様化学物質を意味する。特にアミノ酸誘導体は、置換もしくは非置換の、直鎖、分岐鎖、もしくは環状アルキル残基を含有してもよく、1つ以上のヘテロ原子を含有してもよい。アミノ酸誘導体は、新規合成されるか、または市販品から得られる(カルビオケム−ノバビオケムエージー(Calbiochem-Novabiochem AG)、スイス;バッケム(Bachem)、アメリカ合衆国)。
【0052】
タンパク質の構造および機能を探索および/または改良するために、in vitroおよびin vivo翻訳システムを使用して、非天然のアミノ酸誘導体をタンパク質に取り込むための種々の方法が、文献に開示されている(Dougherty DA、2000)。ペプチド模倣物ならびに非ペプチド模倣物の合成と開発の方法もまた、当該分野で公知である(Golebiowski Aら、2001;Hruby VJとBalse PM, 2000;Sawyer TK、「構造ベースのドラッグデザイン(Structure Based Drug Design)」中、Veerapandian P編、マーセルデッカー社(Marcel Dekker Inc.)、557-663頁、1997)。
【0053】
本発明の他の目的は、ヒトIFNガンマ、対応する融合タンパク質、または前記リガンドの少なくとも1つの活性を有する本発明のポリペプチドをコードする単離された核酸である。好ましくはこれらの核酸は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、および39よりなる群から選択されるDNA配列、または該DNA配列の相補体のコード部分を含む。かかるコード部分は、図1〜20に記載される。
【0054】
あるいは本発明の核酸は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、および39よりなる群から選択される核酸と、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする精製された核酸、または該核酸の相補体である。
【0055】
「高ストリンジェンシー条件」という用語は、非常によく似た分子の結合を促進し、50%ホルムアミド、5X SSC(150mM NaCl、15mM クエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5Xデンハルツ溶液、10%硫酸デキストラン、および20μg/mlの剪断サケ精子DNAを含む溶液中で60〜65℃で一晩インキュベーション後、0.1X SSC中で同じ温度でフィルターを洗浄することからなるハイブリダイゼーション反応の条件を意味する。
【0056】
これらの核酸(実質的に同じヌクレオチド配列を含む)は、プラスミド、ベクター、および任意の他のDNA構築体中に含まれ、これらは、コードされるポリペプチドを、細胞中、無細胞発現系中、またはウイルス中で維持、修飾、導入または発現するのに使用することができる。特に、該核酸分子が発現制御配列に作用可能式に結合したベクターは、コードされたポリペプチドの原核生物もしくは真核生物宿主細胞中での発現を可能にする。
【0057】
「実質的に同じヌクレオチド配列」という用語は、遺伝コードの縮重のために、あるアミノ酸配列をコードする任意の他の核酸配列を含む。この意味で文献は、組換え発現のための好適なまたは最適化したコドンについて記載している(Kane JFら、1995)。
【0058】
核酸およびベクターは、異なる目的で細胞またはウイルス中に導入でき、トランスジェニック細胞および生物を生成する。例えば本発明のポリペプチドを発現することができる細胞を産生する方法は、かかるベクターまたは核酸で細胞を遺伝子操作することを含む。
【0059】
特に宿主細胞(例えば細菌細胞)は、本発明の核酸およびベクターによりコードされるポリペプチドの一過性または安定な発現を可能にするために、形質転換により修飾することができる。あるいは、そのレベルを正常の発現レベルと比較する時、本発明のポリペプチドの発現レベルが上昇もしくは低下したトランスジェニック動物細胞または非ヒト生物を(非−/相同的組換えにより、または安定な組み込みと発現を可能にする任意の他の方法により)作成するために、該分子を使用することができる。かかる正確な修飾は、本発明の核酸と、例えば遺伝子治療(Meth. Enzymol. vol. 346, 2002)または部位特異的リコンビナーゼ(Kolb AF, 2002)に関連する技術を使用して得ることができる。本特許出願に開示されたポリペプチドの発現に基づくモデル系はまた、これらの活性の体系的研究のために、ヒト細胞株中に遺伝子をターゲティングすることによっても作成することができる(Bunz F, 2002)。
【0060】
本発明のポリペプチドは、例えば組換えDNA関連技術、および化学合成法を含む当該分野で公知の任意の方法により調製することができる。特に、本発明のポリペプチドの作成法は、上記の宿主またはトランスジェニック細胞を、核酸またはベクターが発現される条件下で培養し、該核酸またはベクターによりコードされるポリペプチドを細胞培養物から回収することを含む。例えばベクターが、細胞外タンパク質またはシグナルペプチド含有タンパク質との融合タンパク質としてポリペプチドを発現する時、組換え産物は、細胞外スペースに分泌することができ、さらなるプロセシングの観点から、培養細胞からより容易に採取し精製することができ、細胞を直接使用もしくは投与することができる。
【0061】
本発明のタンパク質をコードするDNA配列は、適当なエピソームまたは非−/相同的組み込みベクター中に挿入しかつ連結することができ、これは、任意の適当な手段(形質転換、トランスフェクション、結合体、プロトプラスト融合、電気穿孔法、リン酸カルシウム沈降法、直接微量注入法など)により適切な宿主細胞またはウイルスに導入することができる。特定のプラスミドまたはウイルスベクターを選択するのに重要な因子は以下を含む:ベクターを含有する受容体細胞が認識され、ベクターを含有しない受容体細胞から選択されることの簡便さ;特定の宿主中で好ましいベクターのコピー数;および異なる種の宿主細胞間でベクターを「シャトル」することが好ましいかどうか。
【0062】
ベクターは、細胞中で誘導性または構成性に活性のある転写開始/停止制御配列の制御下で、原核生物または真核生物宿主細胞中での、本発明のポリペプチドを含む単離されたタンパク質または融合タンパク質の発現を可能にする。次にかかる細胞中で実質的に濃縮される細胞株を単離して、安定な細胞株を提供することができる。
【0063】
異なる転写および翻訳制御配列を、宿主(例えば、酵母、昆虫、植物または哺乳動物細胞)の性質に依存して、真核生物宿主用に使用してもよい。これらは、ウイルス源(例えば、アデノウイルス、ウシ乳頭腫ウイルス、サルウイルスなど)から得られ、ここで制御シグナルは、高レベルの発現を有する特定の遺伝子に結合している。例としては、ヘルペスウイルスのTKプロモーター、SV40早期プロモーター、酵母gal4遺伝子プロモーターなどがある。遺伝子の発現が修飾できるように、抑制と活性化を可能にする転写開始制御シグナルを選択してもよい。発現ベクターを含有する宿主細胞の選択を可能にする1つ以上のマーカーを導入することにより、導入されたDNAにより安定に形質転換される細胞を選択することができる。マーカーはまた、栄養要求性宿主に光栄養性、殺生物剤(例えば抗生物質)または重金属(例えば銅)に対する耐性を与えることができる。選択可能なマーカー遺伝子は、同じベクター中で発現されるDNA配列と直接連結しているか、または別のベクターを同時トランスフェクトすることにより同じ細胞中に導入することができる。
【0064】
宿主細胞は、原核生物でも真核生物でもよい。好適なものは真核生物宿主であり、例えば哺乳動物細胞、例えばヒト、サル、マウス、およびチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞であり、これらはタンパク質に翻訳後修飾(正しい折り畳みとグリコシル化)を与えるためである。また酵母細胞は、翻訳後ペプチド修飾(グリコシル化を含む)をすることができる。酵母(クローン化哺乳動物遺伝子産物中のリーダー配列を認識し、リーダー配列を有するペプチド(すなわちプレペプチド)を分泌する)中での所望のタンパク質の産生のために利用できる、強いプロモーター配列と高コピー数のプラスミドとを使用する多くの組換えDNA法が存在する。
【0065】
本発明の上記実施態様は、新規ポリペプチドの配列についての本特許出願により与えられる開示と、一般的な分子生物学法を組合せの知識を組合せることにより達成できる。
【0066】
ベクターおよび原核宿主細胞または真核宿主細胞を使用して組換えタンパク質をクローン化し産生する方法についての教示を与える多くの本および総説が有り、例えばオックスフォード大学プレス(Oxford University Press)が発行する「実際的アプローチ(A Practical Approach)」シリーズ中のいくつかのタイトルがある(「DNAクローニング2:発現系(DNA Cloning 2: Expression Systems)」、1995;「DNAクローニング4:哺乳動物系(DNA Cloning 2: Mammalian Systems)」、1996;「タンパク質発現(Protein Expession)」、1999;「タンパク質精製法(Protein Purification Techniques)」、2001)。
【0067】
さらに、文献は、高スループットでポリペプチドを発現する方法の総説(Chambers SP, 2002;Coleman TAら、1997)、治療用途を有する組換えタンパク質の大規模生産のために工業的に使用される細胞系と方法の総説(Andersen DCとKrummen L, 2002, Chu LとRobinson DK, 2001)、および目的のポリペプチドを発現するための代替真核細胞発現系(これは、所望のタンパク質の経済的生産のために大きな可能性を有する)の総説、例えばトランスジェニック植物ベースのもの(Giddings G, 2001)またはピキア・パストリス(Pichia pastoris)ベースのもの(Lin Cereghino GPら、2002)を与える。組換えタンパク質産物は容易に、精製中に種々の分析法を用いて追跡して、発現されるポリペプチドの量を証明(Baker KNら、2002)し、ならびに生物同等性や免疫原性のような性質をチェックすることができる(Schellekens H, 2002;Gendel SM, 2002)。
【0068】
完全な合成タンパク質が文献(Brown Aら、1996)に開示され、その長さが短い時に本発明のポリペプチドに効率的に応用できる化学合成法の多くの例が、固相または液相合成法として、文献で利用できる。例えば、合成されるペプチドのカルボキシ末端に対応するアミノ酸が支持体(これは有機溶媒中で不溶性である)に結合され、反応(そのアミノ基と側鎖官能基が適当な保護基で保護されたアミノ酸が、カルボキシ末端からアミノ末端の順に1つずつ縮合される反応、および樹脂に結合したアミノ酸またはペプチドのアミノ基の保護基が放出される)を交互に繰り返すことによりペプチド鎖が伸長される。固相合成法は、使用される保護基の種類により、tBoc法とFmoc法に大きく分類される。一般的に使用される保護基には、アミノ基についてtBoc(t-ブチルオキシカルボニル)、Cl-Z(2-クロロベンゾジオキシカルボニル)、Br-Z(2-ブロモベンゾジオキシカルボニル)、Bzl(ベンジル)、Fmoc(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)、Mbh(4,4'-ジメトキシジベンズヒドリル)、Mtr(4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル)、Trt(トリチル)、Tos(トシル)、Z(ベンゾジオキシカルボニル)、およびCl2-Bzl(2,6-ジクロロベンジル);グアニジノ基についてNO2(ニトロ)、およびPmc(2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル);およびヒドロキシル基についてtBu(t-ブチル)。所望のペプチドの合成後、これは脱保護反応に付され、固体支持体から切断される。かかるペプチド切断反応は、Boc方法ではフッ化水素またはトリフルオロメタンスルホニルで、Fmoc法ではTFAで行われる。
【0069】
本発明のポリペプチドの精製は、このために公知の任意の1つの方法、すなわち抽出、沈降、クロマトグラフィー、電気泳動などを含む従来法により行われる。本発明のタンパク質の精製で好適に使用されるさらなる精製法は、モノクローナル抗体または親和性基(これは、標的タンパク質に結合し、産生され、カラム内に含有されるゲルマトリックス上に固定化される)を使用する親和性クロマトグラフィーである。タンパク質を含有する不純物を含む調製物は、カラムに通される。ヘパリンまたは特異抗体によりタンパク質はカラムに結合し、不純物は通過する。洗浄後、pHまたはイオン強度の変化によりゲルからタンパク質が溶出される。あるいは、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を使用することができる。溶出は、タンパク質精製に一般的に使用される水−アセトニトリルベースの溶媒を使用して行うことができる。
【0070】
本発明の新規ポリペプチドの開示、およびこれらと関連して開示される試薬(抗体、核酸、細胞)は、細胞または動物中の発現レベルを上昇または低下させることができる化合物(タンパク質、ならびに小有機分子)をスクリーニングし性状解析することも可能にする。ポリペプチドの発現を低下または阻止する化合物の例は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(Stein CA, 2001)またはRNA妨害性サイレンシングを開始することができる小妨害性2本鎖RNA分子(Paddison PJら、2002;Lewis DLら、2002)である。これらの化合物は、文献(Choy EHとPanayi GS, 2001;Dower SK, 2000)に記載のようにサイトカインセグメント経路を阻止するための拮抗機構の可能性の点で、アンタゴニスト(変異体とリガンドに関連して上記されたもの以外に)として考えられる。
【0071】
「オリゴヌクレオチド」は、化学的に合成できる1本鎖ポリデオキシヌクレオチドまたは2つの相補的ポリデオキシヌクレオチドを意味する。かかる合成オリゴヌクレオチドは、5'リン酸塩を有し、従ってキナーゼの存在下でATPとともにリン酸塩を加えないで別のオリゴヌクレオチドに結合することは無い。合成オリゴヌクレオチドは、脱リン酸化された断片に結合するであろう。
【0072】
本発明は、本発明の生成物の精製された調製物を含む(ポリペプチド、核酸、細胞、リガンド、ペプチド模倣物)。本明細書において精製された調製物は、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%の本発明の化合物を含有する調製物を意味する。
【0073】
本特許出願は、いくつかの可能な用途で利用し得る1つ以上のヒトIFNガンマ関連活性を有する一連の新規ポリペプチドおよび関連試薬を開示する。特に疾患の治療または予防において本発明のポリペプチドのヒトIFNガンマ関連活性の上昇が好ましい場合はいつも、コンセンサス配列pIFNFHconと明確な相同性を有する開示されたポリペプチド、対応する融合タンパク質およびペプチド模倣物、コードする核酸、発現する細胞、またはその発現を増強させる化合物のような試薬を使用することができる。
【0074】
従って本発明は、本発明のポリペプチドのヒトIFNガンマ活性の上昇を必要とする疾患の治療または予防のための医薬組成物であって、活性成分として、コンセンサス配列pIFNFHconと明確な相同性を有する開示されたポリペプチド、対応する融合タンパク質およびペプチド模倣物、コードする核酸、発現する細胞、またはその発現を増強させる化合物の1つを含有する、組成物を開示する。
【0075】
これらの医薬組成物の調製法は、コンセンサス配列pIFNFHconと明確な相同性を有する開示されたポリペプチド、対応する融合タンパク質およびペプチド模倣物、コードする核酸、発現する細胞、またはその発現を増強させる化合物を、薬剤学的に許容される担体と組合せることを含む。本発明のポリペプチドのヒトIFNガンマ活性の上昇を必要とする疾患の治療または予防法は、治療的有効量の開示されたINSP037様ポリペプチド、対応する融合タンパク質およびペプチド模倣物、コードする核酸、発現する細胞、またはその発現を増強させる化合物の投与を含む。
【0076】
本特許出願に開示された新規分子の中で、本発明のポリペプチドの発現または活性を低下させるリガンドまたは化合物はいくつかの用途を有し、特にこれらは、本発明のポリペプチドの過剰のヒトIFNガンマ活性に関連する疾患の治療または診断に使用することができる。
【0077】
従って本発明は、本発明のポリペプチドの過剰のヒトIFNガンマ活性に関連する疾患の治療または予防のための医薬組成物であって、活性成分としてかかるポリペプチドの発現または活性を低下させるリガンドまたは化合物の1つを含有する組成物を開示する。これらの医薬組成物の調製法は、リガンドまたは化合物を薬剤学的に許容される担体と組合せることを含む。本発明のポリペプチドの過剰のIFNガンマ関連活性に関連する疾患の治療または予防法は、治療的有効量のアンタゴニスト、リガンドまたは化合物の投与を含む。
【0078】
本特許出願は、pIFNFHconのコンセンサス配列と明確な相同性を有する新規ポリペプチド、およびヒトIFNガンマ関連活性、またはそのアンタゴニストおよびインヒビターを有する化合物が有効な作用を提供し得る疾患(例えば、細胞増殖性疾患、自己免疫/炎症性疾患、心血管疾患、神経疾患、または細菌およびウイルス感染症)の治療または予防において、適切に調製された医薬組成物中の活性成分として有用な一連の関連試薬を開示する。疾患の非包括的リストは、多発性硬化症、移植片対宿主反応病、リンパ腫、白血病、クローン病、喘息、敗血症ショック、I型およびII型糖尿病、アレルギー、喘息、乾癬、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、線維性疾患、リウマチ様関節炎、および神経芽腫を含む。
【0079】
本発明のポリペプチドおよび関連試薬の治療用途は、ヒトIFNガンマおよび/またはIFNガンマ結合タンパク質(Boehm Uら、1997;Bach EAら、1997)(そのオーソログまたはアンタゴニストを含む)について開発された動物細胞、組織およびモデルを利用するin vivo/in vitroアッセイにより、または薬剤発見と前臨床開発中のIFNと他の生物学的製剤の評価について知られているin silico/コンピューターアプローチ(Johnson DEとWolfgang GH, 2000)により、(安全性、薬物動態、および効力について)評価することができる。
【0080】
先行技術で開示されたヒトIFNガンマ(またはそのオーソログもしくはアンタゴニスト)に関連する使用または活性もまた、本発明の対応する実施態様に適用可能であり、例えば治療用途、および組成物を単独、またはヒトIFNガンマについて公知の別の化合物(EP311616、WO01/34180、EP490250;EP203580;EP502997;EP886527;EP696639;Ziesche Rら、1999;WO01/34180;EP203580;WO90/03189;WO95/22328;US5170591;WO02/102312;US5666312;WO91/07984;US5198212;EP1265996;US6036956;EP1140990;WO98/28001;WO94/12531;WO94/14497;WO02/98460;WO99/09055;WO00/32634)、製剤(EP697887、WO01/36001)、発現系(WO01/57218)と組合せたものがある。
【0081】
本発明の医薬組成物は、コンセンサス配列pIFNFHconと明確な相同性を有する開示されたポリペプチドまたは関連試薬以外に、適当な薬剤学的に許容される担体、生体適合性のビヒクル、および動物への投与に適した添加物(例えば生理食塩水)、および最後に、薬剤学的に使用可能な調製物中への活性化合物の処理を促進する補助物質(例えば、賦形剤、安定剤、アジュバントまたは希釈剤)を含有してもよい。
【0082】
医薬組成物は、投与方法のニーズを満足するために任意の許容される方法で製剤化される。例えば生体物質のうちで、糖−巨大分子結合体、ヒドロゲル、ポリエチレングリコール、および他の天然のまたは合成ポリマーを、薬剤送達の効率の点で活性成分を改良するために使用することができる。特定の投与および送達方法を試験するための技術とモデルは、一般的には文献(Davis BGとRobinson MA, 2002;Gupta Pら、2002;Luo BとPrestwich GD, 2001;Cleland JLら、2001;Pillai OとPanchagnula R, 2001)に、そして具体的にはIFNガンマ(Younes HMとAmsden BG, 2002)について開示されている。
【0083】
これらの目的に適したポリマーは生体適合性であり、すなわち生物系に対して非毒性であり、かかるポリマーの多くが公知である。かかるポリマーは、疎水性でも親水性でも、生体分解性、非生体分解性、またはこれらの組合せでもよい。これらのポリマーは、天然のポリマー(例えばコラーゲン、ゼラチン、セルロース、ヒアルロン酸)、ならびに合成ポリマー(例えばポリエステル、ポリオルトエステル、ポリアンヒドリド)を含む。疎水性の非分解性ポリマーの例には、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、およびポリメタクリル酸メチレートがある。親水性の非分解性ポリマーの例には、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリビニルアルコール、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリアルキレン、ポリアクリルアミド、およびこれらのコポリマーがある。好適なポリマーは、連続的繰り返し単位としてエチレンオキサイド、例えばポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0084】
活性成分の所望の血中レベルを確立するために、当業者により任意の一般に認められた投与法が使用され測定される。例えば投与は、種々の非経口経路、例えば皮下、静脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、鼻内、経皮、経口、または頬経路により投与される。本発明の医薬組成物はまた、あらかじめ決められた速度でポリペプチドを長期投与するために、持続放出または制御放出剤形(例えばデポ注射、浸透圧ポンプなど)でも投与することができ、好ましくは正確な投与量の単回投与に適した単位投与剤型で投与される。
【0085】
非経口投与は、大型丸薬注入または経時的にゆっくり潅流してもよい。非経口投与のための調製物には、無菌の水性または非水性溶液、懸濁液、およびエマルジョンがあり、これらは当該分野で公知の補助的物質または賦形剤を含有してもよく、日常的方法に従って調製することができる。さらに活性化合物の懸濁液は、適切な油状注射懸濁液として投与してもよい。適当な親油性溶媒またはビヒクルには、脂肪油(例えばゴマ油)、または合成脂肪酸エステル(例えばオレイン酸エチルまたはトリグリセリド)がある。懸濁液の粘度を上昇させる物質を含有する水性注射懸濁液には、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランがある。場合により、懸濁液は安定剤を含有してもよい。医薬組成物は、注射による投与に適切な溶液を含有し、約0.01〜99.99%、好ましくは約20〜75%の活性を賦形剤とともに含有する。
【0086】
「治療的有効量」という用語は、疾患の経過と重症度に影響を与え、かかる病態の減少または緩解に至るのに充分な活性成分の量を意味する。有効な量は、投与経路と患者の状態に依存する。
【0087】
「薬剤学的に許容される」という用語は、活性成分の生物活性の有効性を妨害せず、投与される宿主に対して毒性ではない任意の担体を包含することを意味する。例えば非経口投与では、上記活性成分は、食塩水、ブドウ糖溶液、血清アルブミンおよびリンゲル液のようなビヒクル中で注射用の単位投与剤型で調製される。担体はまた、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、乳糖、ショ糖、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリコール、プロピレングリコール、水、エタノール、および種々の油(石油、動物、植物または合成起源をものを含み、ピーナツ油、ダイズ油、ミネラル油、ゴマ油)からも選択される。
【0088】
投与される用量は、受容者の年齢、性、健康および体重、(もしあれば)同時に行われる治療の種類、治療の頻度、疾患の重症度、および所望の作用の性質に依存することが理解される。用量は、当業者により理解され測定可能なように、個々の被験体に応じて変化する。各治療に必要な総用量は、多回投与または単回投与により投与してもよい。本発明の医薬組成物は、単独で、または症状、または他の症状に対する他の治療薬とともに投与してもよい。通常、上記活性成分の1日の用量は、0.01〜100mg/kg体重/日である。所望の結果を得るのに、分割用量でまたは持続放出型で投与される通常1〜40mg/kg体重/日が有効である。第2のまたは以後の投与は、個体に投与される初回または以前の用量と同じか、より少ないか、またはより多い用量で行われる。
【0089】
治療目的または製造目的を有する方法とは別に、いくつかの応用は、本明細書に開示のコンセンサス配列pIFNFHconと明確な相同性を有するポリペプチドおよび関連試薬を利用する。
【0090】
第1の例において、コンセンサス配列pIFNFHconと明確な相同性を有するポリペプチドに関連する疾患を治療するのに有効な候補化合物のスクリーニング方法は、以下を含む:
(a)かかるポリペプチドを発現する細胞、ポリペプチドの発現レベルの上昇したまたは低下したトランスジェニック非ヒト動物、またはトランスジェニック動物細胞に、候補化合物を接触させ、そして
(b)動物または細胞に対する化合物の作用を測定する。
【0091】
第2の例において、コンセンサス配列pIFNFHconと明確な相同性を有する本発明のポリペプチドのアンタゴニスト/インヒビターまたはアゴニスト/アクチベーターとして候補化合物を同定する方法は、以下を含む:
(a)ポリペプチドおよび化合物に、哺乳動物細胞または哺乳動物細胞膜を接触させ、そして
(b)化合物が、ポリペプチドと哺乳動物細胞または哺乳動物細胞膜との相互作用、またはかかる相互作用に起因する応答を阻止するかまたは増強するかを測定する。
【0092】
第3の例において、試料中のコンセンサス配列pIFNFHconと明確な相同性を有する本発明のポリペプチドの活性および/または存在を測定する方法は、該ポリペプチドまたはコードするRNA/DNAを検出することができる。すなわちかかる方法は、以下を含む:
(a)タンパク質含有試料を提供し;
(b)該試料に本発明のリガンドを接触させ;そして
(c)該ポリペプチドに結合した該リガンドの存在を測定し、こうして該試料中のポリペプチドの活性および/または存在を測定する。
【0093】
あるいはこの方法は、以下を含む:
(a)核酸含有試料を提供し;
(b)該試料に本発明の核酸を接触させ;そして
(c)該核酸と試料中の核酸とのハイブリダイゼーションを測定し、こうして該試料中の核酸の存在を測定する。
【0094】
この意味で配列番号41〜78(表III)を含有するプライマー配列が、ポリメラーゼ連鎖反応増幅、核酸配列決定、または核酸ハイブリダイゼーションにより、試料中のコンセンサス配列pIFNFHconと明確な相同性を有する本発明のポリペプチドをコードする転写体または核酸の存在または量を測定するために同様に使用できる。
【0095】
本発明のさらなる目的は、試料中のコンセンサス配列pIFNFHconと明確な相同性を有する本発明のポリペプチドの活性および/または存在を測定するためのキットであって、本特許出願に開示される試薬の1つ以上(試料中のコンセンサス配列pIFNFHconと明確な相同性を有する本発明のポリペプチド、リガンド、その活性結合体もしくは複合体、単離された核酸もしくはベクター、医薬組成物、発現細胞、発現レベルを上昇もしくは低下させる化合物、および/または配列番号41〜78の任意の配列を含有するプライマー配列)を含むキットである。
【0096】
これらのキットは、in vitroの診断またはスクリーニング法に使用でき、これらの実際の組成は、試料の具体的な形(例えば、患者の生体試料組織)および測定される分子種に応じて変化する。例えば、INSP037様ポリペプチドの濃度を測定したい場合、ウェスタンブロットで得られたシグナルを比較するために、キットは、抗体と精製された型の対応するタンパク質とを含有してもよい。あるいは、コンセンサス配列pIFNFHconと明確な相同性を有する本発明のポリペプチドの転写体の濃度を測定したい場合、キットは、対応するORF配列について設計された特異的な核酸プローブ、またはかかるプローブを含有する核酸アレイの形、または配列番号41〜78に開示のプライマー配列(表III)を含有してもよい。キットはまた、本特許出願で開示されたタンパク質、ペプチド模倣物および細胞を利用することにより、高スループットプロテオミクスの研究を可能にする、タンパク質もしくは細胞ベースのマイクロアレイ(Templin MFら、2002;Pelliois JPら、2002;Blagoev BとPandey A, 2001)の形でもよい。
【0097】
最後に、コンセンサス配列pIFNFHconと明確な相同性を有する本発明のポリペプチドの一部が、異種シグナル配列(Martoglio BとDobberstein B, 1998)を添加することなく、特に有効な分泌を示したため、かかるポリペプチドまたはその分泌された断片はシグナル配列として使用することができる。
【0098】
本明細書で引用したすべての刊行物、特許および特許出願は、すべての目的のために参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0099】
以下の実施例により具体例を参照して本発明を説明するが、これらは決して本発明を限定するものではない。説明の内容は、特許請求の範囲の意味および目的を超えることなく、上記教示から当業者が実施できるすべての修飾態様および代替態様を含む。
【実施例】
【0100】
実施例1:pIFNFHと呼ぶINSP037に相同的なポリペプチドをコードする読みとり枠(ORF)の選択
INSP037は、ヒトゲノム中でORFによりコードされるINSP037様タンパク質として同定された(英国特許出願第0130720.6号)。このORFの配列を使用して、ヒトゲノム中の相同的ORFを探索した(セレラとジーンバンク(Celera and GenBank)データベース)。相同性は、BLAST(基礎的局所的アラインメント検索ツール(Basic Local Alignment Search Tool);NCBI バージョン2)(これは、照会配列とヒット配列との局所的アラインメントを作成するアルゴリズム)(Gish WとStates DJ, 1993;Pearson WRとMiller W, 1992;Altschul, S.F.ら、1990)を使用して検出した。この場合、照会配列としてINSP037タンパク質配列でTBLASTINアルゴリズムを使用した。TBLASTNは、照会配列を、6フレームに翻訳されたデータベースと比較して、従って任意の読みとり枠中のDNA配列とのタンパク質の一致を同定することができる。使用したBLASTパラメータは以下の通りである:比較マトリックス=BLOSUM62、単語の長さ=3;.E値カットオフ=10;ギャップオープニングとエクテンション=デフォールト;フィルター無し。
【0101】
大きなテキストデータファイルへの強力なパターン一致機能を有し、ゲノムDNA配列からの情報の抽出を可能にするプログラミング言語であるPERL(実際的抽出および報告言語(Practical Extraction and Report Language))で書かれたスクリプトを使用して、規定のコンセンサス配列を記載するアルファ数値表現(Stein LD, 2001)から出発して、BLAST出力ファイルから相同的領域のパターンを抽出した。別のPERLスクリプトを使用して、かかるINSP037様特徴を有する完全なORFを検索し、配列を最初の可能な開始メチオニンの5'へ、そして最初の停止コドンの3'へ伸長した。
【0102】
開始メチオニンと停止コドンが75〜150コドンにより分離されているため、INSP037タンパク質配列に基づいて作成された元々の照会配列に一致する93個のヒットから全部で20個のORFを選択した。IFNFH選択したDNA配列(配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、および39)は、異なるヒト染色体に属し、おそらくINSP037と大きな相同性(BLAST E値は min または7e-23に等しい)を有するタンパク質配列(配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、および40)(同一性のレベルは67%〜78.5%)(図1〜20)をコードする。BLASTを使用してタンパク質データベースを検索(Swissprot/TremblとDerwent GENESEQ))することにより、タンパク質配列の新規性を評価した。
【0103】
新規INSP037様ポリペプチドとして性状解析された配列のうちで、これらの3つ(pIFNFH04、pIFNFH32、およびpIFNFH20)は、INSP037より10%未満長いだけであり、すべての他の配列は、伸長したC末端領域(pIFNFH08、pIFNFH12、pIFNFH25、pIFNFH36、pIFNFH37、pIFNFH23、pIFNFH27、pIFNFH14、pIFNFH01、pIFNFH10、pIFNFH11、pIFNFH13、pIFNFH31、pIFNFH03、およびpIFNFH15)のため、または伸長したN末端とC末端領域(pIFNFH39とpIFNFH42)のために、10%以上長かった。伸長したC末端領域は、異なるIFNFH間でいくつかの大きな局所的相同性を与える(図21)。図1〜20では同定されていないが、選択されたポリペプチドの少なくとも一部は、機能性シグナルペプチドを含有する(実施例3)。
【0104】
INSP037とpIFNFHは、異なる残基の保存を比較することによりアラインメントさせることができる。このアラインメントにより、コンセンサス配列(pIFNFHconと呼ぶ)が同定され、これは75アミノ酸を含み、特にpIFNFHに特異的でINSP037に含有されない10個の位置(Ala10、Gly12、Arg26、Ala31、Lys35、Phe47、Gln55、Glu57、Lys63、およびIle75)を含む(図21)。これらのすべての残基は、INSP037中で非保存的に変異している。
【0105】
コンセンサス配列との相同性に従って、pIFNFHconは3群に分けられる。
【0106】
pIFNFHの第1の群は、pIFNFHconの完全な配列と少なくとも80%の相同性を有し、pIFNFHcon中のAla10、Gly12、Arg26、Ala31、Lys35、Phe47、Gln55、Glu57、Lys63、およびIle75に対応する位置に非保存的変異を持たない配列を含むポリペプチドを含む。かかる配列の例は、pIFNFH15、pIFNFH32、およびpIFNFH37である。
【0107】
pIFNFHの第2の群は、pIFNFHconの完全な配列と少なくとも80%の相同性を有し、Ala10、Gly12、Arg26、Ala31、Lys35、Phe47、Gln55、Glu57、Lys63、およびIle75に対応する位置に1または2つの非保存的変異を有する配列を含むポリペプチドを含む。かかる配列の例は、pIFNFH04、pIFNFH03、pIFNFH08、pIFNFH20、pIFNFH23、pIFNFH12、pIFNFH25、pIFNFH13、pIFNFH14、pIFNFH36、およびpIFNFH39である。
【0108】
pIFNFHの第3の群は、pIFNFHconの完全な配列と少なくとも80%の相同性を有し、pIFNFHcon中のAla10、Gly12、Arg26、Ala31、Lys35、Phe47、Gln55、Glu57、Lys63、およびIle75に対応する位置に3、4、または5個の非保存的変異を有する配列を含むポリペプチドを含む。かかる配列の例は、pIFNFH11、pIFNFH27、pIFNFH01、pIFNFH31、pIFNFH10、およびpIFNFH42である。
【0109】
保存されている具体的な残基の同定と照らし合わせるとpIFNFHconのコンセンサス配列は、pIFNFHを特徴付け、かつpIFNFHとINSP037の間のみでなく、pIFNFHと、INSP037とpIFNFHの一部に相同的であり、タンパク質#134(Derwent DGENEデータベース 受け入れ番号 ABG00143;配列番号157;WO01/75067)と配列番号30734(Derwent DGENEデータベース 受け入れ番号 AAM70428;配列番号158;WO01/57276)として同定される配列の間をも、明確に区別することを可能にする。
【0110】
これらの配列の最初のもののC末端セグメントは、pIFNFHconのN末端および中央部分と重複し、pIFNFH中の10個の保存残基のうちの4個を含有するC末端部分を含まない。これらの配列の第2のもののN末端セグメントは、pIFNFHconのC末端および中央部分と重複し、pIFNFH中の10個の保存残基のうちの3個を含有するN末端部分を含まない(図22)。従ってこれらの配列のいずれもpIFNFHconを開示せず、いずれも、かかるコンセンサス配列に保存される特異的な残基を提供しない。
【0111】
実施例2:ヒトゲノムDNAからのIFNFH核酸配列のクローニング
選択されたIFNFH核酸配列(それぞれ単一のエキソンに対応する)を、ヒトゲノムDNAからクローニングベクターにクローン化(IFNFH25を除く)し、次にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、各ORFに特異的な順方向プライマー/逆方向プライマーの対(図1〜12と14〜20の矢印を参照)を用いて、発現ベクター中に移した。
【0112】
すべてのORFはヒト染色体上で中断されていないため、ヒトゲノムDNAを鋳型として使用して各ORFを増幅するために、21〜30ヌクレオチドを含有するクローニングプライマー(CLシリーズ;配列番号41〜78、表III)を設計した。順方向プライマーは、最初のATGの前の3つのヌクレオチドから出発する。逆方向プライマーは、ORFの3'末端に相補的であり、停止コドンを含む。異なるIFNFH中でもN末端配列は非常によく似ているため、逆方向プライマーは実際は、増幅反応の特異性に関与する。
【0113】
各ORF特異的反応で以下の成分を混合してPCRを行った(2回蒸留水中総容量50μl):
150ngのヒトゲノムDNA(クロンテク(Clontech))
1.2μMのプライマー(0.6μMの各プライマー)
240μMのdNTP(インビトロゲン(Invitrogen))
0.5μlのアンプリタク(AmpliTaq)(2.5単位;アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems))
5 アンプリタク(AmpliTaq)緩衝液 10X(アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems))
【0114】
PCR反応は最初の変性工程を94℃で2分間を使用して行い、次に以下を30サイクル行った:
94℃で30秒
55℃で30秒
72℃で30秒
【0115】
最後の伸長工程(72℃で10分)後、TOPO(登録商標)クローニングシステム(インビトロゲン(Invitrogen))を使用して、製造業者の標準的プロトコールに従って、PCR産物をpCRII-TOPOベクター中にサブクローニングした。TOPOクローニングシステムは、TAクローニングシステムの変種であり、PCR産物の迅速なクローニングを可能にし、TaqポリメラーゼがPCR産物の3'末端に単一のアデノシンを残すという事実を利用する。TOPOベクターは1本鎖のチミンオーバーハングを有するため、トポイソメラーゼI酵素は、ベクターのT末端をPCR産物のAオーバーハングに結合させることができ、これは精製工程無しで使用することができる。
【0116】
生じるプラスミド(pCRTOPO-ORFシリーズ)を使用して大腸菌(E. coli)細胞(TOP10F'、インビトロゲン(Invitrogen)、TOPO TAクローニングキットとともに供給された)を形質転換し、各ORFについていくつかのクローンを得た。市販のキット(ウィザードプラスミドミニプレプス(WIZARD Plasmid Minipreps);プロメガ(Promega))を使用してプラスミドDNAを単離し、配列決定して、増幅しクローン化した配列と、元々選択されたヒトゲノムDNA配列との同一性を証明した。
【0117】
ORFを発現ベクターpEAK12D(図23)中に移すのに必要な追加の1ラウンドのPCR反応で、所望の配列を含有するプラスミドを使用し、こうしてゲートウェイクローニングシステム(Gateway cloning system)(インビトロゲン(Invitrogen))を使用して、EF-1αプロモーターの制御下でかつ6-Hisタグ配列とのフレーム内で、クローン化挿入体の発現を可能にした。
【0118】
pEAK12(エッジバイオシステムズ(Edge Biosystems))を修飾して、発現ベクターpEAK12Dを構築した。このベクターをHindIIIとNotIで消化し、クレノウで平滑末端化し、子ウシ小腸アルカリホスファターゼを使用して脱リン酸化した。脱リン酸化後、ccdB遺伝子(非組換えプラスミドの陰性選択のマーカー)にフランクするAttR組換え部位とクロラムフェニコール耐性を含有する、平滑末端化ゲートウェイ(Gateway)読みとり枠カセットC(ゲートウェイ(Gateway)ベクター変換システム、インビトロゲン(Invitrogen)カタログ番号11828-019)に、ベクターを連結した。得られたプラスミドを使用してDB3.1 大腸菌(E. coli)細胞を形質転換し、これは、ccdB遺伝子を含有するベクターの増殖を可能にする。いくつかの得られたコロニーからミニプレップ(Miniprep)DNAを単離し、AseI/EcoRIで消化して、670bpの断片を与えるクローン(正しい配向でカセットが挿入されている時のみ得られる)を同定した。得られたプラスミドをpEAK12Dと呼んだ。
【0119】
2シリーズのプライマーを設計して、ORF含有挿入体の5'と3'末端にそれぞれATTB1とATTB2組換え部位(発現ベクター中の組み込みに必要)を付加した。最初のシリーズのプライマー(EX1シリーズ;配列番号79〜116、表IV)では、5'末端に配列AAGCAGGCTTCGCCACC(順方向プライマー用)またはGTGATGGTGATGGTG(逆方向プライマー用、しかし停止コドンに相補的なヌクレオチドを除去した後)を付加することにより、元々のORF特異的CLプライマーを修飾した。第2ののシリーズのプライマー(EX2シリーズ;配列番号117〜154、表V)では、5'末端に配列GGGGACAAGTTTGTACAAAAAAGCAGGCTTCGCCACC(順方向プライマー用)またはGGGGACCACTTTGTACAAGAAAGCTGGGTTTCAATGGTGATGGTGATGGTG(逆方向プライマー用、しかし停止コドンに相補的なヌクレオチドを除去した後)を付加することにより、元々のORF特異的CLプライマーを修飾した。これらの逆方向プライマーは、6-Hisタグのコドンを含有し、次にC末端でORFとフレーム内に融合する。
【0120】
2回の連続的反応でPCR増幅を行った。最初の反応は、以下の成分を混合して行った(2回蒸留水中総容量50μl):
25ngのcCRTOPO-ORFベクター
5mMのdNTP(インビトロゲン(Invitrogen))
0.5μlのPfx DNAポリメラーゼ(インビトロゲン(Invitrogen))
0.5μlの各EX1プライマー(100μM)
5μlの10X Pfxポリメラーゼ緩衝液(インビトロゲン(Invitrogen))
【0121】
PCR反応は最初の変性工程を95℃で2分間を使用して行い、次に以下を10サイクル行った:
94℃で15秒
68℃で30秒
【0122】
Wizard PCR prep DNA精製システム(プロメガ(Promega))を使用してPCR産物を精製し、以下の成分(2回蒸留水中総容量50μl)を含む第2のPCR反応で鋳型として加えた:
10μlの精製PCR産物
5mMのdNTP(インビトロゲン(Invitrogen))
0.5μlのPfx DNAポリメラーゼ(インビトロゲン(Invitrogen))
0.5μlの各EX2プライマー(100μM)
5μlの10X Pfxポリメラーゼ緩衝液(インビトロゲン(Invitrogen))
【0123】
PCR反応は最初の変性工程を95℃で1分間を使用して行い、次に以下を4サイクル行った:
94℃で15秒
50℃で30秒
68℃で3分30秒
25サイクルについて以下の条件を適用した:
94℃で15秒
55℃で30秒
68℃で3分30秒
【0124】
PCR反応から得られるDNA断片を既に記載したように精製し、ゲートウェイシステム(Gateway system)を使用してpEAK12Dベクター中に組換えた。
【0125】
まず以下の10μlの反応物を組合せた:
pDONR-201(0.1μg/ml) 1.5μl
PCR産物 5μl
BP緩衝液 2μl
BP酵素ミックス 1.5μl
室温で1時間インキュベート後、プロテイナーゼK(1μl、2μg)を加え、37℃でさらに10分インキュベートして反応を停止した。
【0126】
この反応物のアリコート(2μl)を使用して、電気穿孔法により大腸菌(E. coli)細胞(DH10B株)を形質転換した。4クローンについて各ORFについてプラスミドDNAを調製し、以下を含む10μlの平行組換え反応について使用した:
pEAK12D(0.1μg/μl) 1.5μl
プラスミドDNA 1.5μl
ddH2O 3.5μl
LR緩衝液 2μl
LR酵素ミックス 1.5μl
室温で1時間インキュベート後、プロテイナーゼK(1μl、2μg)を加え、37℃でさらに10分インキュベートして反応を停止した。この反応物のアリコート(1μl)を使用して、電気穿孔法によりDH10B大腸菌(E. coli)細胞を形質転換した。まず、順方向プライマーと逆方向プライマーpEAK12D F1(GCCAGCTTGGCACTTGATGT)とpEAK12D R1(GATGGAGGTGGACGTGTCAG)を使用して、3クローンについてコロニーPCRを行い、次に同じプライマーで挿入体を配列決定することにより、正しい挿入体と含有するクローンを同定した。
【0127】
実施例3:哺乳動物細胞中のHisタグの付いたpIFNFHポリペプチドの発現と精製
実施例2で作成したベクターを使用して、エプスタインバーウイルス核抗原を発現するヒト胚腎細胞(細胞株HEK293-EBNA)中でpIFNFHを発現させた。
【0128】
陽イオン性ポリマー試薬JetPEI(登録商標)(ポリプラス−トランスフェクション(PolyPlus-transfection);2μl/μgのプラスミドDNA)を使用して行ったトランスフェクションの16〜20時間前に、細胞をT225フラスコに接種(2×108 細胞/mlの密度で50ml)した。CsClを使用して(サムブルーク(Sambrook)ら、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning, A Laboratory Manual);第2版」、1989;コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press))調製したORF特異的pEAK12Dプラスミドの113μgを、各フラスコについて、2.3μgのプラスミド(これは構成性に緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するため、陽性対照として作用する)と同時トランスフェクトした。230μlのJetPEI(登録商標)溶液で希釈したプラスミドを4.6mlのNaCl 150mMの加え、ボルテックス混合し、室温で30分インキュベートした。次にこのトランスフェクションミックスをT225フラスコに加え、37℃で6日間インキュベートした。培養物のアリコートをUV照射して、GFP蛍光を評価することによりトランスフェクション効率をチェックした。
【0129】
ORF特異的pEAK12DプラスミドでトランスフェクトしたHEK293-EBNA細胞からの培養培地をプールし、100mlの培地を100mlの氷冷緩衝液A(50mM NaH2PO4;600mM NaCl;8.7%(w/v)グリセロール、pH7.5)(これは、親和性カラムを平衡化するのに使用したものと同じ緩衝液であり、次にここにHisタグ付タンパク質を固定化し溶出した)で200mlに希釈した。溶液を0.22μmの無菌フィルター(ミリポア(Millipore))でろ過し、さらに処理するまで250mlの無菌四角培地瓶中で4℃で維持した。
【0130】
VISIONワークステーション(BioCAD(登録商標)シリーズ)、POROS(登録商標)クロマトグラフィー媒体、および外部250ml試料ローダー(ラボマチック(Labomatic))(すべて4℃で維持)を含むHPLCベースのシステム(Perfusion Chromatography(登録商標)、パーセプティブバイオシステムズ(Perseptive Biosystems))を使用して、試料に2回の連続的クロマトグラフィー操作を適用した。
【0131】
最初のクロマトグラフィー工程で、Ni金属親和性カラム(0.83ml、POROS 20MC)をまず30カラム容量のEDTA溶液(100mM EDTA;1M NaCl;pH8.0)を用いて再生し、次に15カラム容量のNi溶液(100mM NiSO4)で洗浄してNiイオンを再添加した。次にカラムを10カラム容量の緩衝液A、7カラム容量の緩衝液B(50mM NaH2PO4;600mM NaCl;8.7%(w/v) グリセロール、400mM;イミダゾール、pH7.5)で洗浄し、最後に15mMイミダゾールを含有する15カラム容量の緩衝液Aで平衡化させた。試料ローダーは、流速10ml/分でNi金属親和性カラム上にタンパク質含有溶液を添加した。次にカラムを12カラム容量の緩衝液A、続いてイミダゾール濃縮液(20mM)を含有する28カラム容量の緩衝液Aで洗浄して、Niカラムにゆるく結合した汚染タンパク質を溶出させた。最後にHisタグ付タンパク質を、10カラム容量の緩衝液Bで流速2ml/分で溶出して、1.6mlの画分を集めた。
【0132】
第2のクロマトグラフィー工程で、ゲルろ過カラム(10mlのG25セファデックス)を2mlの緩衝液D(137mM NaCl;2.7mM KCl;1.5mM KH2PO4;8mM Na2HPO4;1M NaCl;pH7.2)で再生し、次に2カラム容量の緩衝液C(137mM NaCl;2.7mM KCl;1.5mM KH2PO4;8mM Na2HPO4;20%(w/v) グリセロール;pH7.4)で平衡化した後、Ni−カラム画分をこのカラムに注入した。試料を緩衝液Cで溶出し、脱塩した試料を2.2mlの画分で回収した。
【0133】
次にゲルろ過カラムからのピーク画分を、SDS-PAGE、およびクマシーブルー染色とHisタグを認識する抗体を用いるウェスタンブロットによる平行検出を使用して、そのタンパク質含量を分析した。
【0134】
画分を0.22μmの無菌遠心分離フィルター(ミリポア(Millipore))でろ過し、アリコート(20μl)をSDS-PAGE(4〜12% NuPAGEゲル;ノベックス(Novex))で分析した。クマシーブルー染色により検出可能なタンパク質バンドを示す試料中のタンパク質濃度を、BCAプロテインアッセイ(ピアス(Pierce))と標準物質としてのウシ血清アルブミンを使用して測定した。ウェスタンブロット分析用のゲルを、290mAで4℃で1時間ニトロセルロース膜に電気移動させた。膜をPBS(137mM NaCl;2.7mM KCl;1.5mM KH2PO4;8mM Na2HPO4;pH7.4)中の5%ミルク粉末でブロックし、次に2つのウサギポリクローナル抗His抗体(G-18とH-15、各0.2μg/ml;サンタクルツ(Santa Cruz))の混合物で4℃で一晩インキュベートした。室温でさらに1時間後、膜を0.1%ツイーン20を含有するPBSで洗浄(3×10分)し、次に2次西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合抗ウサギ抗体(ダコ(Dako))に室温で2時間暴露した。0.1%ツイーン20を含有するPBSで洗浄(3×10分)後、ECLキット(アマシャム・ファルマシア(Amersham Pharmacia))を使用して、膜に固定化された抗体を検出し、フィルムをクマシーブルー染色ゲルの画像と比較した。
【0135】
タンパク質発現と精製の上記プロトコールを利用して、クローン化ORFからコードされるタンパク質配列への分泌を可能にする配列の存在を、pIFNFH27、pIFNFH39、およびpIFNFH42(これらは、Hisタグ付タンパク質としてトランスフェクトした哺乳動物細胞の培養培地から効率的に精製された)について証明した。
【0136】
実施例4:pIFNFHの評価と性状解析のための細胞ベースおよび動物ベースのアッセイ
総説(Bach EAら、1997;Boehm Uら、1997)に広く記載されているように、細胞培養物または動物モデルを使用して、IFNガンマの特異性、力価および効率を試験するためのいくつかのアッセイが開発されている。ヒトIFNガンマ活性の例を提供する文献の他の例は、IFNガンマ変種(WO02/81507)またはIFNガンマのいくつかの治療活性を、単独または他の化合物(WO95/22328、WO01/34180、WO90/03189、EP607258、EP696639、EP490250、EP502997)と組合せて開示する特許出願である。この先行技術は、本発明のポリペプチドのヒトIFNガンマ活性の同定法について信頼できる指針を与える。
【0137】
ヒトIFNガンマおよび/またはその受容体に関連して、有用な手段や生成物(抗体、トランスジェニック動物、放射能標識タンパク質など)を作成するための多くのアッセイや技術が記載されている(Tura BJら、2001;Annicchiarico-Petruzzelli Mら、2001、Pouly Sら、2000;Luttmann Wら、2000;Arai Cら、1999;Dow SWら、1999;Akbar Sら、1999;Popko BとBaerwald KD、1999;Zantl Nら、1998;Sethl SKら、1997;Young HA、1997;Rottenberg MEら、2002;Shtrichman RとSamuel CE、2001;Arai Cら、1999;Ziesche Rら、1999;WO01/34180;EP203580;WO90/03189;US5170591;WO02/102312;US5666312;WO91/07984;US5198212;Docke WDら、1997;EP1265996;US6036956;EP1140990;WO98/28001;WO94/12531;WO94/14497;WO02/98460;WO99/09055;WO00/32634)。これらは、pIFNFHconのコンセンサス配列下で記載された本発明のポリペプチドおよび関連試薬の発現および作用機構を、可能な治療または診断方法と用途とともに、証明するために使用することができる。
【0138】
例えば上記のようにHisタグ付タンパク質として発現されるpIFNFH32とpIFNFH42は、Fasリガンドと抗Hisタグ抗体を含む系のヒト白血病細胞株(ジュルカット(Jurkat細胞))に対して毒性のアポトーシス促進効果を有する。アポトーシスは、LDH(乳酸脱水素酵素、細胞が乾燥する時、培養物中に放出される細胞障害性酵素)の放出により定量され、24時間インキュベーション後、かかる作用はIFNガンマで観察されるものに匹敵し、これはFasリガンド性アポトーシスを誘導することが知られている(Annicchiarico-Petruzzelli Mら、2001;Li JHら、2002)。
【0139】
【表1】

【0140】
【表2】

【0141】
【表3】

【0142】
【表4】

【0143】
【表5】

【0144】
【表6】

【0145】
【表7】

【0146】
【表8】

【0147】
【表9】

【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】IFNFH01 ORF(配列番号1)とpIFNFH01タンパク質配列(配列番号2)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と71%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH01_5(順方向、配列番号41)とCL_IFNFH01_3(逆方向、配列番号42)の位置を示す。
【図2】IFNFH03 ORF(配列番号3)とpIFNFH03タンパク質配列(配列番号4)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と73.5%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH03_5(順方向、配列番号43)とCL_IFNFH03_3(逆方向、配列番号44)の位置を示す。
【図3】IFNFH04 ORF(配列番号5)とpIFNFH04タンパク質配列(配列番号6)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と73.5%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH04_5(順方向、配列番号45)とCL_IFNFH04_3(逆方向、配列番号46)の位置を示す。
【図4】IFNFH08 ORF(配列番号7)とpIFNFH08タンパク質配列(配列番号8)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と78.5%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH08_5(順方向、配列番号47)とCL_IFNFH08_3(逆方向、配列番号48)の位置を示す。
【図5】IFNFH10 ORF(配列番号9)とpIFNFH10タンパク質配列(配列番号10)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と69.5%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH10_5(順方向、配列番号49)とCL_IFNFH10_3(逆方向、配列番号50)の位置を示す。
【図6】IFNFH11 ORF(配列番号11)とpIFNFH11タンパク質配列(配列番号12)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と73.5%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH11_5(順方向、配列番号51)とCL_IFNFH11_3(逆方向、配列番号52)の位置を示す。
【図7】IFNFH12 ORF(配列番号13)とpIFNFH12タンパク質配列(配列番号14)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と73.5%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH12_5(順方向、配列番号53)とCL_IFNFH12_3(逆方向、配列番号54)の位置を示す。
【図8】IFNFH13 ORF(配列番号15)とpIFNFH13タンパク質配列(配列番号16)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と69.5%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH13_5(順方向、配列番号55)とCL_IFNFH13_3(逆方向、配列番号56)の位置を示す。
【図9】IFNFH14 ORF(配列番号17)とpIFNFH14タンパク質配列(配列番号18)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と71%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH14_5(順方向、配列番号57)とCL_IFNFH14_3(逆方向、配列番号58)の位置を示す。
【図10】IFNFH15 ORF(配列番号19)とpIFNFH15タンパク質配列(配列番号20)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と71%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH15_5(順方向、配列番号59)とCL_IFNFH15_3(逆方向、配列番号60)の位置を示す。
【図11】IFNFH20 ORF(配列番号21)とpIFNFH20タンパク質配列(配列番号22)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と67%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH20_5(順方向、配列番号61)とCL_IFNFH20_3(逆方向、配列番号62)の位置を示す。
【図12】IFNFH23 ORF(配列番号23)とpIFNFH23タンパク質配列(配列番号24)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と72%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH23_5(順方向、配列番号63)とCL_IFNFH23_3(逆方向、配列番号64)の位置を示す。
【図13】IFNFH25 ORF(配列番号25)とpIFNFH25タンパク質配列(配列番号26)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と70%の同一性)。
【図14】IFNFH27 ORF(配列番号27)とpIFNFH27タンパク質配列(配列番号28)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と68%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH27_5(順方向、配列番号65)とCL_IFNFH27_3(逆方向、配列番号66)の位置を示す。
【図15】IFNFH31 ORF(配列番号29)とpIFNFH31タンパク質配列(配列番号30)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と68%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH31_5(順方向、配列番号67)とCL_IFNFH31_3(逆方向、配列番号68)の位置を示す。
【図16】IFNFH32 ORF(配列番号31)とpIFNFH32タンパク質配列(配列番号32)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と70%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH32_5(順方向、配列番号69)とCL_IFNFH32_3(逆方向、配列番号70)の位置を示す。
【図17】IFNFH36 ORF(配列番号33)とpIFNFH36タンパク質配列(配列番号34)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と72%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH36_5(順方向、配列番号71)とCL_IFNFH36_3(逆方向、配列番号72)の位置を示す。
【図18】IFNFH37 ORF(配列番号35)とpIFNFH37タンパク質配列(配列番号36)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と76%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH37_5(順方向、配列番号73)とCL_IFNFH37_3(逆方向、配列番号74)の位置を示す。
【図19】IFNFH39 ORF(配列番号37)とpIFNFH39タンパク質配列(配列番号38)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と70%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH39_5(順方向、配列番号75)とCL_IFNFH39_3(逆方向、配列番号76)の位置を示す。
【図20】IFNFH42 ORF(配列番号39)とpIFNFH42タンパク質配列(配列番号40)とのアラインメント。INSP037と同一であった残基は下線を引いてある(INSP037と67%の同一性)。矢印は、ORF配列中のプライマーCL_IFNFH42_5(順方向、配列番号77)とCL_IFNFH42_3(逆方向、配列番号78)の位置を示す。
【図21】ヒトインターフェロンガンマ様INSP037(配列番号155)と、INSP037とpIFNFHs I(囲った部分)と共通の領域であるとして同定されるコンセンサス配列pIFNFHcon(配列番号156)とを含む本発明のタンパク質配列とのアラインメント。INSP037からのpIFNFHconを特徴付ける残基を、pIFNFHcon配列中で太字で示す(Ala10、Gly12、Arg26、Ala31、Lys35、Phe47、Gln55、Glu57、Lys63、Ile75;番号付けの黒丸は10アミノ酸毎に位置する)。INSP037とpIFNFHcon中で保存されていないpIFNFHs配列中の残基は、下線を引いてある。
【図22】pIFNFHconおよびINSP037と、Derwent DGENEデータベースでABG00143(配列番号157)およびAAM70428(配列番号158)と命名された先行技術で公知の最も類似した配列とのアラインメント。INSP037からのpIFNFHconを特徴付ける残基を、pIFNFHcon中で太字で示す。
【図23】発現ベクターpEAK12Dの地図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトIFNガンマの少なくとも1つの活性を示し:
a)pIFNFHcon(配列番号156)の完全な配列と少なくとも80%の相同性;および
b)pIFNFHcon中のAla10、Gly12、Arg26、Ala31、Lys35、Phe47、Gln55、Glu57、Lys63、およびIle75に対応する位置に9個以下の非保存的変異、
を有する配列を含む、単離されたポリペプチド。
【請求項2】
pIFNFHconの完全な配列と少なくとも80%の相同性を有し、pIFNFHcon中のAla10、Gly12、Arg26、Ala31、Lys35、Phe47、Gln55、Glu57、Lys63、およびIle75に対応する位置に非保存的変異を有さない配列を含む、請求項1のポリペプチド。
【請求項3】
pIFNFH15(配列番号20)、pIFNFH32(配列番号32)、およびpIFNFH37(配列番号36)から選択される配列を含む、請求項2のポリペプチド。
【請求項4】
pIFNFHconの完全な配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつpIFNFHcon中のAla10、Gly12、Arg26、Ala31、Lys35、Phe47、Gln55、Glu57、Lys63、およびIle75に対応する位置に1または2個の非保存的変異を有する配列を含む、請求項1のポリペプチド。
【請求項5】
pIFNFH04(配列番号6)、pIFNFH03(配列番号4)、pIFNFH08(配列番号8)、pIFNFH20(配列番号22)、pIFNFH23(配列番号24)、pIFNFH12(配列番号14)、pIFNFH25(配列番号26)、pIFNFH13(配列番号16)、pIFNFH14(配列番号18)、pIFNFH36(配列番号34)、およびpIFNFH39(配列番号38)から選択される配列を含む、請求項4のポリペプチド。
【請求項6】
pIFNFHconの完全な配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつpIFNFHcon中のAla10、Gly12、Arg26、Ala31、Lys35、Phe47、Gln55、Glu57、Lys63、およびIle75に対応する位置に、3、4、または5個の非保存的変異を有する配列を含む、請求項1のポリペプチド。
【請求項7】
pIFNFH11(配列番号12)、pIFNFH27(配列番号28)、pIFNFH01(配列番号2)、pIFNFH31(配列番号30)、pIFNFH10(配列番号10)、およびpIFNFH42(配列番号40)から選択される配列を含む、請求項6のポリペプチド。
【請求項8】
配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、および40のアミノ酸配列の変種、成熟型、または活性断片である、請求項2、4または6のポリペプチド。
【請求項9】
配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、および40の配列の天然に存在する対立遺伝子変種である、請求項8のポリペプチド。
【請求項10】
変種は1つ以上の単一ヌクレオチド多型の翻訳物である、請求項9のポリペプチド。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかのポリペプチドとpIFNFHconに対して異種である配列とを含む融合タンパク質。
【請求項12】
タンパク質は、膜結合タンパク質、免疫グロブリン定常領域、マルチマー化ドメイン、細胞外タンパク質、シグナルペプチド含有タンパク質、エクスポートシグナル含有タンパク質に属する1つ以上のアミノ酸配列をさらに含む、請求項11の融合タンパク質。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれかのポリペプチドに特異的に結合するリガンド。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれかの1つ以上のポリペプチドのIFNガンマ関連活性に拮抗するかまたはこれを阻害する、請求項13のリガンド。
【請求項15】
モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはヒト化抗体、または抗原結合断片である、請求項14のリガンド。
【請求項16】
膜結合タンパク質の細胞外ドメインに対応する、請求項14のリガンド。
【請求項17】
該ポリペプチドは、活性画分、前駆体、塩、または誘導体の形である、請求項1〜16のいずれかのポリペプチド。
【請求項18】
該ポリペプチドは、放射活性標識物、蛍光標識物、ビオチン、または細胞障害性物質との結合体または複合体の形である、請求項1〜16のいずれかのポリペプチド。
【請求項19】
請求項1のポリペプチドの配列および/または構造について設計されるペプチド模倣物。
【請求項20】
a)請求項1〜10のいずれかのポリペプチド;
b)配列番号11または12の融合タンパク質;または
c)配列番号13〜16のいずれかのリガンド、
よりなる群から選択される単離されたポリペプチドをコードする単離された核酸。
【請求項21】
配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、および39よりなる群から選択されるDNA配列のコード部分、または該DNA配列の相補体を含む、請求項20の核酸。
【請求項22】
配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、および39よりなる群から選択される核酸、または該核酸の相補体と、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする精製された核酸。
【請求項23】
請求項20〜22のいずれかの核酸を含むベクター。
【請求項24】
該核酸分子は、コードされるポリペプチドの原核生物または真核生物宿主細胞での発現を可能にする発現制御配列に作用可能式に結合した、請求項23のベクター。
【請求項25】
請求項20〜24のいずれかのベクターまたは核酸で細胞を遺伝子操作することを含む、請求項1〜16のいずれかのポリペプチドを発現することができる細胞を産生する方法。
【請求項26】
請求項20〜24のいずれかのベクターまたは核酸で形質転換された宿主細胞。
【請求項27】
請求項1〜10のいずれか1項のポリペプチドの発現レベルが上昇または低下した、請求項20〜24のいずれかのベクターまたは核酸で形質転換されているトランスジェニック動物細胞。
【請求項28】
請求項1〜10のいずれか1項のポリペプチドの発現レベルが上昇または低下するように形質転換されているトランスジェニック非ヒト生物。
【請求項29】
核酸またはベクターが発現される条件下で請求項26または27の細胞を培養し、該核酸またはベクターによりコードされるポリペプチドを細胞培養物から回収することを含む、請求項1〜10のいずれかのポリペプチドの作成方法。
【請求項30】
細胞または動物中の請求項1〜10のいずれか1項のポリペプチドの発現レベルを上昇させる化合物。
【請求項31】
細胞または動物中の請求項1〜10のいずれか1項のポリペプチドの発現レベルを低下させる化合物。
【請求項32】
アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは小干渉RNAである、請求項30の化合物。
【請求項33】
請求項1〜18のいずれかのポリペプチド、請求項19のペプチド模倣物、請求項20〜24のいずれかの核酸、請求項26もしくは27の細胞、または請求項30〜32のいずれかの化合物を含有する精製された調製物。
【請求項34】
請求項1〜10のいずれかのポリペプチドのヒトIFNガンマ関連活性の上昇が必要な時に、疾患の治療または予防における、請求項1〜12のいずれかのポリペプチド、請求項19のペプチド模倣物、または請求項30の化合物の使用。
【請求項35】
活性成分として、請求項1〜12のいずれかのポリペプチドのヒトIFNガンマ関連活性、請求項19のペプチド模倣物、または請求項30の化合物の調節を必要とする、疾患の治療または予防のための医薬組成物。
【請求項36】
請求項1〜12のいずれかのポリペプチド、請求項19のペプチド模倣物、請求項19〜23のいずれかの核酸、請求項25もしくは26の細胞、または請求項29〜31のいずれかの化合物を、薬剤学的に許容される担体と組合せることを含む、医薬組成物の調製方法。
【請求項37】
請求項1〜12のいずれかのポリペプチド、請求項19のペプチド模倣物、または請求項30の化合物の治療的有効量の投与を含む、請求項1〜10のいずれかのポリペプチドのヒトIFNガンマ関連活性の上昇を必要とする疾患の治療または予防方法。
【請求項38】
請求項1〜10のいずれかのポリペプチドの過剰のヒトIFNガンマ関連活性に関連する疾患の治療または予防における、請求項14〜16のいずれかのリガンド、または請求項31もしくは32の化合物の使用。
【請求項39】
活性成分として、請求項14〜16のいずれかのリガンド、または請求項31もしくは32の化合物を含有する、請求項1〜10のいずれかのポリペプチドの過剰のヒトIFNガンマ関連活性に関連する疾患の治療または予防のための医薬組成物。
【請求項40】
請求項14〜16のいずれかのリガンドまたは請求項31もしくは32の化合物を、薬剤学的に許容される担体と組合せることを含む、請求項1〜10のいずれかのポリペプチドの過剰のヒトIFNガンマ関連活性に関連する疾患の治療または予防のための医薬組成物の調製方法。
【請求項41】
請求項14〜16のいずれかのリガンド、または請求項31もしくは32の化合物の治療的有効量の投与を含む、請求項1〜10のいずれかのポリペプチドに関連する疾患の治療または予防方法。
【請求項42】
請求項1〜10のいずれかのポリペプチドに関連する疾患を治療するのに有効な候補化合物のスクリーニング方法であって:
a)ポリペプチドの発現レベルが上昇したかまたは低下した、請求項26もしくは27の細胞、または請求項28のトランスジェニック非ヒト生物に、候補化合物を接触させ;そして
b)動物または細胞に対する化合物の作用を測定する、
ことを含む上記方法。
【請求項43】
請求項1〜10のいずれかのポリペプチドのアンタゴニスト/インヒビターまたはアゴニスト/アクチベーターとして候補化合物を同定する方法であって:
a)該ポリペプチドと該化合物に、ポリペプチドに結合することができる哺乳動物細胞または哺乳動物細胞膜を接触させ;そして
b)化合物が、ポリペプチドと哺乳動物細胞または哺乳動物細胞膜との相互作用、またはかかる相互作用に起因する応答を阻止するかまたは増強するかを測定する、
ことを含む上記方法。
【請求項44】
試料中の請求項1〜10のいずれかのポリペプチドの活性および/または存在を測定する方法であって:
(a)タンパク質含有試料を提供し;
(b)該試料に請求項13〜16のいずれかのリガンドを接触させ;そして
(c)該ポリペプチドに結合した該リガンドの存在を測定する、
ことを含む上記方法。
【請求項45】
試料中の請求項1〜10のいずれかのポリペプチドをコードする転写体または核酸の存在または量を測定する方法であって:
(a)核酸含有試料を提供し;
(b)該試料に請求項20〜24のいずれかの核酸を接触させ;そして
(c)該核酸と試料中の核酸とのハイブリダイゼーションを測定する、
ことを含む上記方法。
【請求項46】
ポリメラーゼ連鎖反応、核酸配列決定、または核酸ハイブリダイゼーションにより、試料中の請求項1〜10のいずれかのポリペプチドをコードする転写体または核酸の存在または量を測定するための、配列番号41〜78の配列のいずれかを含有するプライマー配列の使用。
【請求項47】
以下の試薬の1つ以上(請求項1〜16のいずれかのポリペプチド、請求項18の活性結合体または複合体、請求項20〜24のいずれかの核酸、請求項26もしくは27の細胞、請求項30〜32のいずれかの化合物、または配列番号41〜78の配列のいずれかを含有するプライマー配列)を含む、試料中の請求項1〜10のいずれかのポリペプチドの活性および/または存在を測定するためのキット。
【請求項48】
シグナル配列としての請求項3、5、または7の配列の使用。
【請求項49】
配列は、pIFNFH27(配列番号28)、pIFNFH39(配列番号38)、およびpIFNFH42(配列番号40)、またはこれらの任意の分泌された断片から選択される、請求項49の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2006−524982(P2006−524982A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556345(P2004−556345)
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2003/050939
【国際公開番号】WO2004/050702
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(599177396)アプライド リサーチ システムズ エーアールエス ホールディング ナームロゼ フェンノートシャップ (70)
【Fターム(参考)】