説明

方位検出装置、レーダ装置

【課題】受信アンテナの面積を増大させること無く、通常検知エリアに加えて、より広い角度範囲にて、物標が存在している方位を検出可能な方位検出装置、及びその方位検出装置を用いたレーダ装置の提供。
【解決手段】物標検出処理では、第一間隔で配置されたアンテナ素子からの受信信号それぞれをFFTしてパワースペクトルを求め(S160)、さらに、そのFFTした結果(パワースペクトル)に対して処理を加えることで、第一間隔よりも広い第二間隔で配置されたアンテナ素子からの受信信号それぞれをFFTした結果に相当する特定スペクトルを求める(S170)。そして、特定スペクトル、及びパワースペクトルそれぞれから、予め規定された条件に従って、同一物標からの反射波に基づく周波数ピークの組合せを抽出し、その周波数ピークの組合せを仮物標として認識し、仮物標毎に物標情報を生成する(S170,S180)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続波を送受信して、物標が存在する方位を検出する方位検出装置、及びその方位検出装置を用いたレーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、連続波(レーダ波)を送受信することで、物標を検出するレーダ装置が、自動車に搭載されている。
そして、この種のレーダ装置では、物標(例えば、ガードレール等の路側物や、先行車両)が存在している方位を検出して、物標の位置を正確に特定するために、複数のアンテナ素子を予め規定された等間隔に配置することで構成したアレイアンテナを受信アンテナとして用いることがなされている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−181537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、通常、車両に搭載されるレーダ装置では、車両の走行速度が速いことから、車両から離れた位置(例えば、100mから200m程度まで)に存在している物標の方位を検出する必要があり、ビーム幅を細く絞る(即ち、アレイアンテナのメインローブを鋭くする)ようにアンテナ素子が配置されている。
【0004】
このため、一般的なレーダ装置では、物標が存在している方位を検出可能な角度範囲が狭くなり(以下、この角度範囲については狭いものの、車両から離れた位置に存在する物標を検知可能な検知エリアを通常検知エリアと称す)、自車両の側方から前方に割り込んでくるような他車両を早期に検出することが困難であった。
【0005】
つまり、従来のレーダ装置では、車両から離れた位置に存在する物標の検出を可能とした状態を維持したまま(即ち、通常検知エリアに加えて)、より広い角度範囲(以下、広角角度範囲と称す)にて、物標の方位を検出可能な角度範囲とすることが求められている。
【0006】
これに対して、通常検知エリアに加えて、広角角度範囲での方位検出を可能とするためには、第一配置間隔で複数のアンテナ素子を配置した第一アレイアンテナに加えて、第一配置間隔よりも狭く設定された第二配置間隔で複数のアンテナ素子を配置した第二アレイアンテナを設けた受信アンテナを用いること等が考えられる。
【0007】
しかし、この方法では、通常検知エリアに加えて、広角角度範囲での方位検出が可能となるものの、受信アンテナの面積が大きくなり、ひいては、コストが増加するという問題があった。特に、レーダ装置を車載装置として使用する場合、設置場所が制限されるため、受信アンテナの面積を大きくすることが困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、受信アンテナの面積を増大させること無く、通常検知エリアに加えて、より広い角度範囲にて、物標が存在している方位を検出可能な方位検出装置、及びその方位検出装置を用いたレーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明の方位検出装置では、送受信手段が、連続波からなる探査波を送信すると共に、予め規定された規定間隔に配置された複数のアンテナ素子にて、探査波を反射した物標からの反射波を受信する。
【0010】
そして、第一受信信号生成手段が、規定間隔の整数倍に設定された第一間隔で配置されたアンテナ素子からの受信信号群に相当する第一受信信号を、送受信手段からの受信信号に基づいて生成し、さらに、第二受信信号生成手段が、規定間隔の整数倍に設定され、かつ第一間隔よりも広い第二間隔で配置されたアンテナ素子からの受信信号群に相当する第二受信信号を、送受信手段からの受信信号に基づいて生成する。
【0011】
こうして生成した第一受信信号を用いて、第一方位検出手段が、第一間隔から規定される第一角度範囲内で方位検出を実行し、第二方位検出手段が、第二受信信号を用いて、第二間隔から規定される第二角度範囲内で方位検出を実行する。
【0012】
このような本発明の方位検出装置では、第一間隔が第二間隔よりも狭く設定されているため、第一角度範囲は、第二角度範囲よりも広くなる。
したがって、本発明の方位検出装置において、従来の方位検出装置(レーダ装置)に適用されたアレイアンテナを構成するアンテナ素子の配置間隔に、第二間隔を一致させれば、第一受信信号と、第二受信信号との両方を用いることで、車両から離れた位置に存在する物標の検出を可能とした状態を維持したまま(即ち、通常検知エリアに加えて)、より広い角度範囲内にて方位検出を実行することができる。この結果、本発明の方位検出装置によれば、自車両の前方に急に現れた割込車両をより早期に検出することと、遠距離に存在する物標の正確な方位を検出することとを両立することができる。
【0013】
また、本発明の方位検出装置では、従来の方位検出装置に適用されたアレイアンテナを構成するアンテナ素子の配置間隔を変更したり、その従来のアレイアンテナにアンテナ素子を追加したりすること無く、規定間隔に配置されたアンテナ素子からの受信信号に対して処理を加えることで、第一受信信号や第二受信信号を生成している。このため、本発明の方位検出装置における送受信手段は、従来の方位検出装置における送受信手段よりも面積が大きくなることがない。
【0014】
したがって、本発明の方位検出装置によれば、送受信手段の面積(特に、複数のアンテナ素子からなる受信アンテナ群の面積)を増加することなく、通常検知エリアに加えて、広角角度範囲内にて方位検出を実行することができる。
【0015】
また、本発明の方位検出装置における第二受信信号生成手段は、請求項2に記載のように、アンテナ素子からの受信信号をデジタル変換後に信号処理することで、第二受信信号を生成するように構成されていても良い。
【0016】
ところで、複数のアンテナ素子のうち、少なくとも一方の端部に配置された一部のアンテナ素子により、互いに隣接する設定数のアンテナ素子からの受信信号をアナログ信号のまま合成して出力するサブアレイアンテナを構成し、さらに、第一間隔が、規定間隔と一致するように設定されている場合、本発明の方位検出装置における第二受信信号生成手段は、請求項3に記載のように、サブアレイアンテナからの出力そのもの、及びサブアレイアンテナを構成するアンテナ素子以外のアンテナ素子からの受信信号をデジタル変換後に設定数分ずつ合成した結果を、第二受信信号として生成するように構成されている必要がある。
【0017】
ただし、前述したように送受信手段が構成されている場合、本発明の方位検出装置における第一受信信号生成手段は、サブアレイアンテナを構成するアンテナ素子以外のアンテナ素子からの受信信号そのものを、第一受信信号として生成するように構成されている必要がある。
【0018】
このように構成された方位検出装置によれば、アンテナ素子の一部により、サブアレイアンテナを構成しているため、後段の処理で用いるために第二受信信号を出力する出力チャンネル数を、請求項1に記載の方位検出装置に比べて低減することができ、方位検出装置自体の構成が大型化することを防止できる。
【0019】
さらに、本発明の方位検出装置においてサブアレイアンテナを構成する一部のアンテナ素子は、複数のアンテナ素子のうち、一方の端部に配置されたものでも良いし、両端部に配置されたものでも良い。
【0020】
後者の場合、後段の処理で用いるために第二受信信号を出力する出力チャンネル数を、より低減することができる。
なお、本発明は、請求項4に記載のように、距離検出手段が、送受信手段で受信した受信信号を用いて、物標までの距離を検出し、物標特定手段が、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の方位検出装置で検出した方位、及び距離検出手段で検出した距離に基づいて、物標を特定するように構成されたレーダ装置としてなされたものでも良い。
【0021】
このように構成されたレーダ装置をプリクラッシュセーフティシステム(いわゆるPCS)、及びオートクルーズコントロールシステム(いわゆるACC)に適用すれば、乗員を保護するためにより安全な制御を実行できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
〈全体構成〉
図1は、レーダセンサ、及びレーダセンサを用いて構成した走行支援制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【0023】
図1に示すように、走行支援システム1は、車両の前面に設置され、車両前方に存在する物体を検出するレーダセンサ30を備えている。そのレーダセンサ30は、走行支援電子制御装置(以下、「走行支援ECU」と称す)10に接続され、さらに、走行支援ECU10は、LAN通信バスを介して、ブレーキ電子制御装置(以下、「ブレーキECU」と称す)15と、エンジン電子制御装置(以下、「エンジンECU」と称す)20と、シートベルト電子制御装置(以下、「シートベルトECU」と称す)25とに、少なくとも接続されている。
【0024】
なお、各ECU10、15、20、25は、少なくともROM、RAM、CPUを備えた周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、少なくともLAN通信バスを介して通信を実施するためのバスコントローラを備えている。
【0025】
このうち、レーダセンサ30は、本発明の方位検出装置及びレーダ装置に相当するものであり、FMCW方式のいわゆるミリ波レーダ装置として構成され、周波数変調されたミリ波帯の連続波(以下、レーダ波とする)を送受信することにより、先行車両や路側物などの物標を認識し、これら認識した物標に関する物標情報を作成して、走行支援ECU10に送出する。なお、物標情報には、物標との相対速度、及び物標の位置(距離,方位)が少なくとも含まれている。
【0026】
ブレーキECU15は、図示しないステアリングセンサ、ヨーレートセンサからの状態情報(操舵角、ヨーレート)に加え、M/C圧センサからの検出情報に基づいて判断したブレーキ状態を、走行支援ECU10に送出するように構成されている。さらに、ブレーキECU15は、走行支援ECU10から目標加速度、ブレーキ要求等を受信し、これら受信した情報やブレーキECU15自体にて判断したブレーキ状態に従って、ブレーキ油圧回路に備えられた増圧制御弁・減圧制御弁を開閉するブレーキアクチュエータを駆動することで、自車両に加わる制動力を制御するように構成されている。
【0027】
また、エンジンECU20は、図示しない車速センサ、スロットル開度センサ、アクセルペダル開度センサからの状態情報(即ち、車速、エンジン制御状態、アクセル操作状態)を、走行支援ECU10に送出するように構成されている。さらに、エンジンECU20は、走行支援ECU10から目標加速、フューエルカット要求等を受信し、これらの受信した情報から特定される運転状態に応じて、内燃機関(例えば、ガソリンエンジン)のスロットル開度を調整するスロットルアクチュエータに対して駆動指令を出力することで、内燃機関の駆動力を制御するように構成されている。
【0028】
そして、シートベルトECU25は、自車両と物標との衝突が回避不可能であることを示す緊急信号を走行支援ECU10から受け取ると、図示しないモータを駆動することで、自車両に設けられたシートベルトの拘束力を制御するように構成されている。
【0029】
なお、走行支援ECU10は、図示しない警報ブザー、モニター、クルーズコントロールスイッチ、目標車間設定スイッチ等が接続されており、レーダセンサ30から物標情報、エンジンECU20から車速やエンジン制御状態、ブレーキECU15から操舵角,ヨーレート,ブレーキ制御状態等を受信するように構成されている。
【0030】
さらに、走行支援ECU10は、クルーズコントロールスイッチ、目標車間設定スイッチなどによる設定値、及びレーダセンサ30から受信した物標情報に基づいて、先行車両との車間距離を適切に保つための制御値として、エンジンECU20に対しては、目標加速度、フューエルカット要求等を出力し、ブレーキECU15に対しては、目標加速度、ブレーキ要求等を出力するように構成されている。
【0031】
これと共に、走行支援ECU10は、レーダセンサ30から受信した物標情報に基づいて、自車両が物標と衝突する可能性(以下、衝突可能性とする)を求め、その衝突可能性が予め規定された規定値以上となると、自車両の制動力を増加させるようにブレーキECU15に対してブレーキ要求を出力し、シートベルトECU25に対して緊急信号を出力するように構成されている。
【0032】
つまり、走行支援システム1は、走行支援ECU10が、レーダセンサ30からの物標情報に従って、先行車両との車間距離を適切な間隔に維持する、いわゆるオートクルーズコントロールシステム(ACC)、及びレーダセンサ30からの物標情報に基づき、走行支援ECU10が、自車両が物標と衝突を回避不可能であると判定すると、自車両の制動力や、シートベルトの拘束力を強化する、いわゆるプリクラッシュセーフティシステム(PCS)として構成されている。
〈レーダセンサ〉
次に、レーダセンサについて説明する。
【0033】
そのレーダセンサ30は、時間に対して直線的に増加する上り区間、及び周波数が直線的に減少する下り区間を有するように変調されたミリ波帯の高周波信号を生成する発振器32と、発振器32が生成する高周波信号を増幅する増幅器33と、増幅器33の出力を送信信号Ssとローカル信号Lとに電力分配する分配器34と、送信信号Ssに応じたレーダ波を放射する送信アンテナ36と、レーダ波を受信するn個(nは、4以上の自然数、本実施形態では、n=10)のアンテナ素子Ari(i=1〜n)を有した受信アンテナ部40とを備えている。
【0034】
また、レーダセンサ30は、受信アンテナ部40からの受信信号Sr、及びローカル信号Lを混合してビート信号BTを生成するミキサ43と、ミキサ43で生成したビート信号BTを増幅する増幅器44と、増幅器44にて増幅されたビート信号から不要な信号成分を除去するフィルタ45と、フィルタ45の出力をサンプリングして、デジタルデータに変換するA/D変換器46と、発振器32の起動,停止や、A/D変換器46を介したビート信号BTのサンプリングを制御すると共に、そのサンプリングデータを用いた信号処理や、走行支援ECU10との間で通信を行い、信号処理に必要な情報(例えば、車速等)、及びその信号処理の結果として得られる物標情報を送受信する物標検出処理を実行する信号処理部50とを備えている。
【0035】
ここで、図2は、受信アンテナ部の概略構成を示す説明図である。
この受信アンテナ部40は、n個(nは、4以上の自然数、本実施形態では、n=10)のアンテナ素子Ariにて構成したアレイアンテナ41と、アレイアンテナ41を構成するアンテナ素子のいずれかを順次選択し、その選択されたアンテナ素子Ariからの受信信号Srをミキサ43に供給する受信スイッチ42とを備えている。
【0036】
このうち、アレイアンテナ41は、n個のアンテナ素子Ariを、予め規定された第一間隔d1で等間隔に配置したものである。
ただし、n個のアンテナ素子Ariのうち、両端部に配置された互いに隣接する設定数m(mは、2以上の整数、本実施形態では、m=2)ずつのアンテナ素子Ar1m,Ai-(m-1)i(本実施形態では、Ar12、及びAr910)は、受信したレーダ波をアナログ信号のまま合成するサブアレイアンテナとして構成されている。
【0037】
つまり、アンテナ素子Ar1m,Ai-(m-1)iから構成されるサブアレイアンテナは、単一のアンテナとして作動し受信信号Srを受信スイッチ42へと出力するように、アンテナ素子Ar1m、及びAi-(m-1)iそれぞれが給電線にて接続されている。なお、本実施形態では、一つのサブアレイアンテナを一つのアンテナ素子として取り扱う。
【0038】
一方、アンテナ素子Arm+1i-m(本実施形態では、Ar38)は、アンテナ素子Arm+1i-mそのものが単一のアンテナとして作動するように、即ち、各アンテナ素子Arm+1i-mで受信したレーダ波そのものを、受信信号Srとして受信スイッチ42へと出力するように構成されている。
【0039】
つまり、アレイアンテナ41は、第一間隔d1で配置されたn個のアンテナ素子Ari全てを、互いに隣接する2個ずつサブアレイアンテナとして構成した従来のアレイアンテナにおいて、アンテナ素子Arm+1i-mを単一のアンテナとして作動するように構成したものである。
【0040】
したがって、受信スイッチ42にて選択可能な受信チャンネルChjは、アンテナ素子Ariの素子数iから2(m−1)を差し引いた数(即ち、j=1〜i−2(m−1))となり、本実施形態では、アンテナ素子Ar1,2から構成されるサブアレイアンテナに、受信チャンネルCh1が、Ar9,10から構成されるサブアレイアンテナに、受信チャンネルCh8が、アンテナ素子Ar37それぞれには、受信チャンネルCh27が割り当てられている。
【0041】
ここで図1へと戻り、信号処理部50は、少なくとも、ROM、RAM、CPUを備えた周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、さらに、A/D変換器46を介して取り込んだデータに対して、高速フーリエ変換(FFT)処理等を実行するための演算処理装置(例えば、DSP)を備えている。
〈レーダセンサの動作概要〉
このように構成されたレーダセンサ30では、信号処理部50からの指令に従って発振器32が振動すると、その発振器32で生成され、増幅器33で増幅した高周波信号を、分配器34が電力分配することにより、送信信号Ss及びローカル信号Lを生成し、このうち送信信号Ssを送信アンテナ36を介してレーダ波として送信する。
【0042】
そして、送信アンテナ36から送出され物標に反射されたレーダ波(即ち、反射波)は、受信アンテナ部40を構成する全てのアンテナ素子Ariにて受信され、受信スイッチ42によって選択されている受信チャンネルCHj(j=1〜i−2(m−1))の受信信号Srのみが、ミキサ43に供給される。すると、ミキサ43では、この受信信号Srに分配器34からのローカル信号Lを混合することによりビート信号BTを生成する。そして、このビート信号BTは、増幅器44にて増幅された後、フィルタ45にて不要な信号成分が除去される。さらに、不要な信号成分が除去されたビート信号は、A/D変換器46にてサンプリングされ、信号処理部50に取り込まれる。
【0043】
なお、受信スイッチ42は、レーダ波の一変調周期の間に、全ての受信チャンネルCH1からCHjが所定回(例えば、1024回)ずつ選択されるよう切り替えられ、また、A/D変換器46は、この切り替えタイミングに同期してサンプリングを実行する。つまり、レーダ波の一変調周期の間に、各受信チャンネルCH1〜CHj毎かつレーダ波の上り、及び下り区間毎に所定回数(例えば、512回)分のサンプリングデータが蓄積されることになる。
〈物標検出処理〉
次に、信号処理部50が実行する物標検出処理について説明する。
【0044】
ここで、図3は、物標検出処理の処理手順を示したフローチャートである。
この物標検出処理は、レーダセンサ30が起動された後(本実施形態では、イグニッション信号が入力された後)、予め規定された時間間隔毎に起動されるものである。
【0045】
そして、図3に示すように、物標検出処理は、起動されると、まず、S110にて、走行支援ECU10から現在の車速、道路形状(例えば、推定R値)を取得する。そして、S120で、発振器32を起動してレーダ波の送信を開始する。さらに、S130では、A/D変換器46を介してビート信号BTをサンプリングしたサンプリング値を取得する。続く、S140では、必要なだけサンプリング値を取得すると、発振器32を停止することにより、レーダ波の送信を停止する。
【0046】
そして、S150では、デシメーションフィルタを用いて、サンプリング値をフィルタ処理する。
次に、S160では、S150にてフィルタ処理したサンプリング値について周波数解析(本実施形態では、FFT処理)を実行し、各受信チャンネルCH1〜CHj毎かつ上り/下り区間毎にビート信号BTのパワースペクトル(周波数スペクトル)を求める。
【0047】
続く、S170では、第一間隔d1よりも広い第二間隔d2で配置されたアンテナ素子からの受信信号群を周波数解析した結果に相当する特定スペクトル(本発明の第二受信信号に相当)を生成し、その特定スペクトルに基づいて、物標を検出する遠距離検出処理を実行する。なお、第二間隔d2は、従来のレーダセンサにおける受信アンテナ(即ち、サブアレイアンテナを一つのアンテナ素子とみなした場合のアンテナ)の配置間隔に一致させたものである。
【0048】
具体的に、遠距離検出処理では、図4に示すように、S1710では、先のS160で求めた各受信チャンネルCH1〜CHj毎のパワースペクトルを、予め定められた受信チャンネル(以下、特定チャンネルと称す)毎に合成することで、特定スペクトルを求める。本実施形態では、特定チャンネル毎に求められたビート信号BTのFFT結果(実数部、及び虚数部それぞれ)をベクトル合成して、特定スペクトルを導出する。
【0049】
なお、本実施形態における特定チャンネルとしては、サブアレイアンテナに対応する受信チャンネルCH1,8以外の互いに隣接する2つの受信チャンネル、即ち、受信チャンネルCH2〜3と、受信チャンネルCH4〜5と、受信チャンネルCH6〜7とがそれぞれ定められている。また、本実施形態においては、受信チャンネルCH1及び受信チャンネルCH8から導出されるビート信号BTのパワースペクトルも特定スペクトルとする。
【0050】
すなわち、S1710では、第二間隔d2(ただし、d2=2×d1)で配置されたアンテナ素子からの受信信号それぞれをFFTした結果となるように、特定スペクトルを求める。
【0051】
続く、S1720では、S1710で求めた特定スペクトル上に存在するピーク周波数成分(以下、周波数ピークと称す)を検出する。なお、このS1720で検出される周波数ピークは、レーダ波を反射した物標候補(即ち、物標である可能性があるもの)までの距離を表す(即ち、レーダ波を反射した物標候補を検出する)。
【0052】
具体的に、本実施形態では、図7に示すように、S1710で求めた全特定スペクトルを相加平均した平均スペクトルを導出し、その平均スペクトルの中で、予め設定された設定閾値を超える周波数のピーク点(即ち、極大点)を周波数ピークとして検出している。なお、設定閾値は、周波数(図7中では、周波数BIN)が高いほど、小さい値となるように設定されている。
【0053】
そして、S1730では、S1710にて求めた特定スペクトルそれぞれに基づき、S1720にて検出した物標候補が存在する方位を推定する方位解析を実行する。
ただし、本実施形態では、半値角の狭いアレイアンテナのヌル点を利用し、特定スペクトルから、図8に示すようなMUSICスペクトル(なお、MUSICスペクトルのピーク点が物標候補が存在する方位を表す指標となる)を求める周知のMUSIC法を用いて方位解析を実行する。なお、図8において上段に示したMUSICスペクトルは、ビート信号BTの上り区間から導出したものであり、下段に示したMUSICスペクトルは、ビート信号BTの下り区間から導出したものである。
【0054】
さらに、S1740では、S1720にて、上り区間のビート信号BTから求められた周波数ピークと、下り区間のビート信号BTから求められた周波数ピークとの両ピークの電力差、及び角度差が予め規定された許容範囲内であるか否かを判定し、その判定の結果、両ピークとも許容範囲内であれば、その両ピークを確からしい物標候補(以下、仮物標とする)として認識するペアマッチングを実行する。なお、このペアマッチングでは、認識した仮物標に対してのみ、FMCW方式のレーダ装置における周知の手法により、仮物標までの距離,仮物標と自車両との相対速度、仮物標が存在する方位に従って、物標情報を生成して、物標検出処理へと戻る。
【0055】
つまり、本実施形態の遠距離検出処理では、従来のレーダセンサにおける受信アンテナの配置間隔に、第二間隔d2を一致させているため、図6(A)に示すように、角度範囲は狭いものの(この角度範囲(本実施形態では、アンテナと直交する基準線から±α°)を通常角度範囲とする)、自車両から離れた位置までが物標を検出可能なエリア(以下、遠距離エリアとする)となる。
【0056】
そして、この遠距離検出処理では、予め規定された条件に従って、遠距離エリア内に存在している同一物標からの反射波に基づく周波数ピークの組合せを抽出し、その周波数ピークの組合せを仮物標として認識し、仮物標毎に物標情報を生成している。
【0057】
ここで、物標検出処理(即ち、図3)へと戻ると、S180では、予め規定された複数の規定受信チャンネルからの受信信号Srを周波数解析した結果に基づいて、物標を検出する広角検出処理を実行する。
【0058】
具体的に、図5に示すように、広角検出処理では、S1810では、先のS160で求めた全パワースペクトルのうち、規定受信チャンネルからの受信信号Srそれぞれに基づいて求めたパワースペクトル(以下、広角用スペクトルと称す)を抽出し、その広角用スペクトル上に存在する周波数ピークを検出する(即ち、物標候補を検出する)。なお、本実施形態における規定チャンネルとして、受信チャンネルCH2〜CH7それぞれが設定されている。
【0059】
すなわち、S1810で抽出される広角用スペクトルは、第二間隔d2よりも狭い第一間隔d1で配置されたアンテナ素子Ar38それぞれからの受信信号SrをFFTした結果である。
【0060】
続く、S1820では、S1810にて抽出した広角用スペクトルに基づき、S1820にて検出した物標候補が存在する方位を推定する方位解析を実行する。
なお、本実施形態では、アレイアンテナのメインローブを利用して物標が存在する方位を検出する周知のデジタルビームフォーミング(いわゆるDBF)法を用いて方位解析を実行する。
【0061】
さらに、S1830では、S1810にて、上り区間のビート信号BTから求められた周波数ピークと、下り区間のビート信号BTから求められた周波数ピークとの両ピークの電力差、及び角度差が予め規定された許容範囲内であるか否かを判定し、その判定の結果、両ピークとも許容範囲内であれば、その両ピークを仮物標として認識するペアマッチングを実行する。
【0062】
つまり、本実施形態の広角検出処理では、第一間隔d1が第二間隔d2よりも狭いため、図6(B)に示すように、物標を検知可能な自車両からの距離は、遠距離エリアにおける距離に比べて短くなるものの、物標を検知可能な角度範囲は、遠距離エリアにおける角度範囲よりも広いもの(以下、広角エリアとする、角度範囲は、アンテナと直交する基準線から±β°、ただし、β>α)となる。
【0063】
そして、この広角検出処理では、予め規定された条件に従って、広角エリア内に存在している同一物標からの反射波に基づく周波数ピークの組合せを抽出し、その周波数ピークの組合せを仮物標として認識し、仮物標毎に物標情報を生成している。
【0064】
ここで、物標検出処理(即ち、図3)へと戻り、S190では、S170での遠距離検出処理で検出した結果と、S180での広角検出処理で検出した結果とを重畳する検出結果重畳処理を実行する。
【0065】
具体的に、本実施形態における検出結果重畳処理では、図6(C)に示すように、S180での広角検出処理によって検出した仮物標のうち、通常角度範囲内に存在している仮物標を除いた仮物標を、S170での遠距離検出処理によって検出した仮物標に追加することで、両検出処理での検出結果を重畳する。
【0066】
続く、S200では、今回の測定サイクルで検出された仮物標(以下、今サイクル物標)が、前回以前の測定サイクルで検出された仮物標(以下、前サイクル物標)と、予め規定された規定回数以上連続して履歴を接続可能であるか否かを判定し、履歴を接続可能であれば、その履歴接続可能な仮物標を確定物標(即ち、物標として確からしいもの)として認識する周知の物標特定処理を実行する。
【0067】
具体的に、本実施形態の物標特定処理では、今サイクル物標と前サイクル物標との組合せを推定し、その組合わせた物標(以下、対応候補とする)のいずれか一つを抽出し、その抽出した対応候補中の前サイクル物標に対応する物標情報に基づいて、その前サイクル物標に対応する今サイクル物標の予測位置、及び予測速度(以下、これらを予測値とする)を算出する。さらに、予測値と、対応候補中の今サイクル物標から求めた位置、及び速度とに基づき、両者の位置差分、及び速度差分を求め、その位置差分が予め設定された上限位置差より小さく、かつ速度差分が予め設定された上限速度差分よりも小さい場合にのみ、その対応候補は、履歴接続があるものとしている。
【0068】
さらに、この物標特定処理では、履歴接続できた回数等に従って、確定物標に対して物標である可能性を示す確率を付与したり、図9に示すように、確定物標との相対速度及び確定物標の位置に基づいて、先行車両や路側物(例えば、ガードレール等)を特定しセグメント化する処理が実行される。
【0069】
そして、S210では、S200にて認識された確定物標の物標情報を、走行支援ECU10へと送信する。
そして、その後、物標検出処理を終了する(即ち、今サイクルを終了する)。
【0070】
つまり、本実施形態のレーダセンサ30では、従来のレーダセンサに適用されたアレイアンテナを構成するアンテナ素子の配置間隔を変更したり、その従来のアレイアンテナにアンテナ素子を追加したりすること無く、アレイアンテナ41を構成している。
【0071】
そして、本実施形態の物標検出処理における遠距離検出処理では、第一間隔d1に配置されたアンテナ素子Ariからの受信信号SrをFFTした結果に対して処理を加えることで、第二間隔d2で配置されたアンテナ素子からの受信信号それぞれをFFTした結果に相当する特定スペクトルを求めている。さらに、その特定スペクトルから、遠距離エリア内に存在している同一物標からの反射波に基づく周波数ピークの組合せを抽出し、その周波数ピークの組合せを仮物標として認識し、仮物標毎に物標情報を生成している。
【0072】
これと共に、広角検出処理にて、第一間隔d1で配置されたアンテナ素子Ariからの受信信号それぞれをFFTして求めたパワースペクトルから、広角エリア内に存在している同一物標からの反射波に基づく周波数ピークの組合せを抽出し、その周波数ピークの組合せを仮物標として認識し、仮物標毎に物標情報を生成している。
【0073】
さらに、本実施形態の物標検出処理では、遠距離検出処理で検出した仮物標と、広角検出処理で検出した仮物標とを統合した後、確定物標を特定し、その確定物標についての物標情報を走行支援ECU10に送信している。
[実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態のレーダセンサ30では、第二間隔d2で配置されたアンテナ素子からの受信信号をFFTした結果に相当する特定スペクトルと、第一間隔d1で配置されたアンテナ素子Ariからの受信信号をFFTした結果であるパワースペクトルとの両方を用いて、物標を検出している。
【0074】
したがって、本実施形態のレーダセンサ30によれば、車両から離れた位置に存在する物標検出を可能としたまま(即ち、遠距離エリアでの物標検出を維持したまま)、通常角度範囲よりも、より広い角度範囲である広角エリアにて物標検出を実行することができる。この結果、本実施形態のレーダセンサ30によれば、自車両の前方に急に現れた割込車両をより早期に検出することと、遠距離に存在する物標の正確な位置を検出することとを両立することができる。
【0075】
しかも、本実施形態のレーダセンサ30では、従来のレーダセンサに適用されたアレイアンテナを構成するアンテナ素子の配置間隔を変更したり、その従来のアレイアンテナにアンテナ素子を追加したりすること無く、第一間隔d1に配置されたアンテナ素子からの受信信号に対して処理を加えることで、特定スペクトルを求めている。
【0076】
このため、本実施形態のレーダセンサ30に適用された受信アンテナ部40は、従来のレーダセンサに適用された受信アンテナ部(即ち、アレイアンテナ)よりも面積(開口面積)が大きくなることがない。
【0077】
これらのことから、本実施形態のレーダセンサ30によれば、従来のレーダセンサに比べて受信アンテナ部の面積(開口面積)を大きくすることなく、遠距離エリアに加えて、広角エリア内にて物標を検出することができる。
【0078】
さらに、本実施形態のレーダセンサ30によれば、アレイアンテナ41の両端部をサブアレイアンテナとして構成しているため、受信チャンネルCHjの数を抑制することができ、この結果、レーダセンサ30自体の構成が大型化することを抑制できる。
【0079】
なお、このようなレーダセンサ30が適用された走行支援システム1によれば、乗員を保護するためにより安全な制御を実行できる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0080】
例えば、上記実施形態の受信アンテナ部40におけるアレイアンテナ41は、第一間隔d1で配置されたアンテナ素子Ariのうち、両端部に配置された2つずつのアンテナ素子を用いて2つのサブアレイアンテナを構成していたが、2つのサブアレイアンテナは、一方の端部にのみ設けられていても良い。また、アレイアンテナ41の中に、サブアレイアンテナが2つ設けられている必要はなく、例えば、一方の端部に一つのみ設けられていても良い。
【0081】
さらには、アレイアンテナ41は、サブアレイアンテナを設けることなく、第一間隔d1で配置されたアンテナ素子Ari全てが単一のアンテナとして動作するように構成されていても良い。
【0082】
すなわち、アレイアンテナ41は、従来のアレイアンテナにアンテナ素子を追加することなく、かつ従来のアレイアンテナからアンテナ素子の配置間隔(即ち、第一間隔d1)を変更すること無く、しかも第一間隔d1よりも広い第二間隔d2で配置されたアンテナ素子からの受信信号に相当する信号(以下、変換受信信号とする)をデジタル信号処理によって生成可能であれば、どのように構成されていても良い。
【0083】
さらに、本実施形態の遠距離検出処理では、2つのアンテナ素子からの受信信号をFFTした結果をベクトル合成することで、特定スペクトルを求めたが、合成する信号の数は、2つに限るものではなく、3つでも良いし、4つでも良い。ただし、この場合、従来のアレイアンテナを構成するサブアレイアンテナが、合成する信号の数と同数のアンテナ素子にて受信した反射波を合成するように構成されている必要がある。
【0084】
また、本実施形態では、遠距離検出処理で用いるパワースペクトルのみ、デジタル信号処理にて生成したが、遠距離検出処理で用いるパワースペクトルに対するアンテナ素子の配置間隔よりも、広角検出処理で用いるパワースペクトルに対するアンテナ素子の配置間隔が狭くなるようにデジタル信号処理されていれば、広角検出処理で用いるパワースペクトルも、デジタル信号処理によって生成しても良い。
【0085】
ところで、本実施形態では、変換受信信号をデジタル信号処理によって(即ち、FFTの結果を合成することで)生成していたが、変換受信信号をアナログ信号のまま合成して生成しても良い。
【0086】
なお、上記実施形態の物標検出処理における遠距離検出処理では、方位解析の手法として、MUSICを用いたが、方位解析の手法は、これに限るものではなく、例えば、DBFを用いても良い。
【0087】
さらに、上記実施形態の物標検出処理における広角検出処理では、方位解析の手法として、DBFを用いたが、方位解析の手法は、これに限るものではなく、例えば、MUSICを用いても良い。
【0088】
また、本発明はプリクラッシュセーフティシステム(いわゆるPCS)及びオートクルーズコントロールシステム(いわゆるACC)以外にも、フォワードコリジョンウォーニング(FCW)やレーンチェンジウォーニング(LCW)など、その他の車両周辺監視システム用レーダ装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】レーダセンサを有した走行支援システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】受信アンテナ部の概略構成を示す説明図である。
【図3】物標検出処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図4】遠距離検出処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図5】広角検出処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図6】検出可能範囲を示した説明図である。
【図7】周波数ピークの検出方法の概要を示した説明図である。
【図8】MUSICスペクトルを説明するための説明図である。
【図9】確定物標をセグメント化した状態の模式図である。
【符号の説明】
【0090】
1…走行支援システム 10…走行支援ECU 15…ブレーキECU 20…エンジンECU 25…シートベルトECU 30…レーダセンサ 32…発振器 33…増幅器 34…分配器 36…送信アンテナ 40…受信アンテナ部 41…アレイアンテナ 42…受信スイッチ 43…ミキサ 44…増幅器 45…フィルタ 46…A/D変換器 50…信号処理部 Ari…アンテナ素子 Chj…受信チャンネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続波からなる探査波を送信すると共に、予め規定された規定間隔に配置された複数のアンテナ素子にて、前記探査波を反射した物標からの反射波を受信する送受信手段と、
前記規定間隔の整数倍に設定された第一間隔で配置されたアンテナ素子からの受信信号群に相当する第一受信信号を、前記送受信手段からの受信信号に基づいて生成する第一受信信号生成手段と、
前記規定間隔の整数倍に設定され、かつ前記第一間隔よりも広い第二間隔で配置されたアンテナ素子からの受信信号群に相当する第二受信信号を、前記送受信手段からの受信信号に基づいて生成する第二受信信号生成手段と、
前記第一受信信号生成手段で生成した第一受信信号を用いて、前記第一間隔から規定される第一角度範囲内で方位検出を実行する第一方位検出手段と、
前記第二受信信号生成手段で生成した第二受信信号を用いて、前記第二間隔から規定される第二角度範囲内で方位検出を実行する第二方位検出手段と
を備えることを特徴とする方位検出装置。
【請求項2】
前記第二受信信号生成手段は、
前記アンテナ素子からの受信信号をデジタル変換後に信号処理することで、前記第二受信信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の方位検出装置。
【請求項3】
前記送受信手段を構成する複数のアンテナ素子のうち、少なくとも一方の端部に配置された一部のアンテナ素子により、予め設定された互いに隣接する設定数のアンテナ素子からの受信信号をアナログ信号のまま合成して出力するサブアレイアンテナを構成し、さらに、前記第一間隔は、前記規定間隔と一致するように設定されており、
前記第二受信信号生成手段は、
前記サブアレイアンテナからの出力そのものを前記第二受信信号とすると共に、前記送受信手段を構成する複数のアンテナ素子のうち、前記サブアレイアンテナを構成するアンテナ素子以外のアンテナ素子からの受信信号をデジタル変換後に前記設定数分ずつ合成することで前記第二受信信号を生成し、
前記第一受信信号生成手段は、
前記送受信手段を構成する複数のアンテナ素子のうち、前記サブアレイアンテナを構成するアンテナ素子以外のアンテナ素子からの受信信号そのものを、前記第一受信信号として生成すること
を特徴とする請求項1に記載の方位検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の方位検出装置と、
前記送受信手段で受信した受信信号を用いて、前記物標までの距離を検出する距離検出手段と、
前記方位検出装置で検出した方位、及び前記距離検出手段で検出した距離に基づいて、前記物標を特定する物標特定手段と
を備えたことを特徴とするレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−300101(P2009−300101A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151668(P2008−151668)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】