方向性引裂きを有する布状ポリマーフィルム
特別に構成および配列された、複数の穿孔(31a、31b、32a、32b)を有するポリマーフィルムを記載する。このポリマーフィルムは、制御された引裂き伝播線を提供する所望の引裂き経路を沿ってフィルムを手で引裂くことが可能な、強く、引張強さの高い材料を提供する。また、布状の強度および引裂き伝播特性を有する多層フィルム中にこのポリマーフィルムを組み入れてもよく、そしてこれは様々な接着テープの用途に好適である。このポリマーフィルムの製造方法も開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布状ポリマーフィルム、および接着テープ用ポリマーバッキングを含む、それらから製造された製品に関する。特に本発明は、引裂きの方向制御のために特別に構造化および整列された穿孔を有する、容易に手で引裂くことが可能なポリマーフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、消費者および専門家に販売される従来のダクトテープにおいて、織布バッキングを含有する接着テープは広範囲に使用されている。テープバッキングとして織布を使用することの1つの利点は、テープの長さまたは縦方向(「MD」)およびテープの幅または横方向(「TD」)の両方において高い引張強さと低い破壊までの伸び率との組み合わせが提供されることである。多くの適用に関して、この高い強さおよび低い伸び率は非常に重要であり得る。テープバッキングによって提供されるもう1つの利点は、これら2つの原則方向のそれぞれに沿った直線的な引裂きが相対的に容易であることである。また織布バッキングは、多くのテープの適用において望ましいドレープおよび適合性特性も有し、そして織布バッキングによって慣例的に製造された接着テープの多くの種類に関して、市販品として望ましいと思われる外観を提供する。
【0003】
また織布は、接着テープバッキングとしていくつかの不都合も有する。多くの適用において、織物構造は、テープ中に使用される接着剤によって飽和されなければならないため、フィルムバッキングのテープに関するよりも多量の接着剤の使用が導かれる。いくつかの適用においては、平滑な、または非原繊維状のテープ上面が望まれるため、布バッキングはオーバーラミネートされるか、またはコーティングされなければならない。また手で引裂かれる布状バッキングのテープは、一方または両方の引裂かれた縁部から突出している、緩い繊維を頻繁に生じる。最後に、布バッキングは、ポリマーフィルムバッキングより一般的に高価である。
【0004】
テープのバッキング材料としての使用に、ならびに高い引張強さおよび直線状の引裂きを必要とする他の適用における使用に好適なポリマーフィルムは、「布状ポリマーフィルム(Cloth−like Polymeric Films)」と題された特許文献1に記載されている。特許文献1のフィルムは、フィルムが布材料の多くの特性を示すような様式で構成および配列された複数の細長い楕円形の穿孔を有する。マーティン(Martin)らによる特許文献2は、スナック食品を包装するために使用される開放が容易なビニール袋のための、制御された引裂き線を提供する、特別に形成されて密接に間隔をあけられた穿孔の線を記載する。特許文献3に、パッケージングテープの長さ(MD)に沿って、直線スリット、円形の穴、「L」型、「V」型または「U」型の切断部の形状の、引裂きを誘導する切断部および開口部が記載されている。パーカー(Parker)による特許文献4に、結晶ポリマーの少なくとも2つの一軸配向シートを含んでなる波形の熱可塑性物品、およびかかるシートの調製方法が記載されている。パーカー(Parker)の波形構造を形成するために、多数のシートは、密接に間隔をあけられた穿孔の周辺において溶融接着されている。特定の適用に関して、引裂き線に対して垂直方向で引張強さを維持しながら、低コストで、織布の強さ、伸び率、引裂きおよび適合性特性を組み合わせ、そしてギザギザの少ない、所望の引裂き経路に沿った引裂き線を提供する別のポリマーフィルムテープバッキングが依然として望まれている。
【特許文献1】国際公開第200211978A号パンフレット
【特許文献2】米国特許第4,609,107号明細書
【特許文献3】国際公開第96/24549号パンフレット
【特許文献4】米国特許第3,649,431号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、テープのバッキング材料としての使用に、ならびに高い引張強さおよび所望の引裂き経路に沿う手による引裂きを必要とする他の適用における使用に好適なポリマーフィルムに関する。このポリマーフィルムは、フィルムが布材料の多くの特性を示すような様式で構造化および配列された複数の穿孔を有する。この穿孔の構造および配列は、所望の引裂き経路に沿って容易に引裂くことが可能であり、なお接着テープの適用において使用するために十分な引張強さ有するフィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、所望の引裂き経路中に配列された複数の穿孔を含んでなる、ポリマーフィルムを提供する。各穿孔は、境界において隆起線を有する開口領域を画定する。この穿孔は、狭端部と、狭端部の反対側の広端部との2つの端部を含んでなる形状を有する。複数の穿孔は、所望の引裂き経路に沿って十分に予測可能な引裂きを達成するように配列されている。所望の引裂き経路は、各穿孔の広端部の中心部分を通って、そして狭端部を通って延在する。1つの穿孔の狭端部は、同一の所望の引裂き経路に沿って隣接する穿孔の広端部の近位にある。穿孔されたフィルムは、引張強さを維持しながら、改善された引裂き特性を提供する。穿孔の配列によって画定された所望の引裂き経路は、実質的に穿孔の直線または曲線であり得、直線の場合、フィルムの1つの側縁に対して垂直であってよい。またいくつかの実施形態は、多数の所望の引裂き経路を含んでもよい。
【0007】
いくつかの実施形態において、ポリマーフィルム中の穿孔は、同一の所望の引裂き経路中の隣接する穿孔間の距離以上の長さを有する。加えて、いくつかの実施形態において、この長さは、典型的に穿孔の幅より大きく、そしてまた幅は、典型的に同一の所望の引裂き経路中の隣接する穿孔間の距離よりも大きい。複数の穿孔のパターンが、多数の所望の引裂き経路を含んでなる場合、多数の引裂き経路は、穿孔の列に配列されてもよい。いくつかの実施形態において、穿孔の列の間の間隙が、同一列内の穿孔間の空間以上であることは有利である。またいくつかの実施形態に関して、穿孔の列の間の間隙が、穿孔の広端部における幅以下であることも好ましい。
【0008】
また本発明は、穿孔されたポリマーフィルムの製造方法にも関する。この方法は、ポリマーフィルムを提供する工程と、フィルムを穿孔して、所望の引裂き経路中に配列された複数の穿孔を形成する工程と、を含む。開口領域を画定する各穿孔は、隆起線によって特別に形成および構造化される。また各穿孔は、狭端部と、反対側の広端部との2つの端部を有する。複数の穿孔は、所望の引裂き経路に沿って配列されている。所望の引裂き経路は、各穿孔の広端部の中心部分において一連の穿孔を通って、そして狭端部を通って延在する。穿孔は、1つの穿孔の狭端部が、同一の所望の引裂き経路に沿って隣接する穿孔の広端部の近位にあるように配列された穿孔である。
【0009】
本発明の上記概要は、それぞれの検討された本発明の実施形態を説明する意図はない。
【0010】
添付の図面を参照することによって、本発明はさらに説明される。これらの図は、一定の縮尺ではなく、いくつかの図面を通して同様の構造は同様の数字によって参照される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、改善されたポリマーフィルム、そして特に布状ポリマーフィルムに関する。ポリマーフィルムは典型的に、複数の穿孔を有する少なくとも1つのポリマー層を含む。これらの穿孔は、それらが、定方向の経路に沿って、例えば、横方向(TD)におけるフィルムの容易な手による引裂きを促進するような様式で形成および配列されている。穿孔は、フィルムがテープバッキングとして好適であるように、所望の引裂き経路を沿う手による引裂き性を促進しながらもフィルムの引張強さを十分に保持する。
【0012】
一実施形態において、穿孔は二等辺三角形の形状であってよい。しかしながら、より一般的に、穿孔は、そこから引裂きが伝播する1つの狭端部、および隣接する穿孔の狭端部からの引裂き伝播を遮断するために形成された反対側の広端部を有するように形成されている。穿孔は、全ての穿孔が、画定された引裂き軸に沿って所望の引裂き伝播経路と同一の方向に向くように、各穿孔の狭端部が、引裂き伝播経路中の隣接する穿孔の広端部の近位にあるような様式で配列されている。各穿孔の基部または広端部は、画定された引裂き軸上で実質的に中心にある。この穿孔されたポリマーフィルムを、耐久性または非透過性を提供する上部層、または接着性を提供する底部層のような1以上の追加の層またはフィルムに結合することができる。
【0013】
図1は、「布状ポリマーフィルム(Cloth−like Polymeric Films)」と題された国際公開第200211978A号パンフレットに従う、フィルム穿孔パターン2を表す。図1は、多数の穿孔を含み、各穿孔は一般的に楕円形に形成され、そして幅よりも大きい長さを有する。穿孔の列および行は、MDおよびTDに対して約45°の角度で配向され、そして穿孔の隣接する列は、対向する角度で配向されている。この穿孔パターンは、相対的に直線のMD引裂き線8およびTD引裂き線10を提供する。
【0014】
図2は、テープバッキング材料として穿孔フィルムを使用して、本発明に従って製造された複合ポリマーテープ12の断面図を表す。ポリマーテープ12は、第1の主面16および第2の主面18を有する穿孔フィルム14を含有する。穿孔フィルム14は、その厚さを通して延在する穿孔15を含有する。描写された実施形態において、第2の主面18に沿う各穿孔15の縁部は、各穿孔の周囲に隆起部分20を含む。この隆起部分20は、隆起線またはリムとして記載されてもよく、溶融およびその配向エネルギーの放出時に収縮する穿孔内部からのポリマー材料からなり、それによって穿孔周辺にリムが形成される。かかるリムは、穿孔の縁部の周囲で連続的であってよい。いくつかの実施形態において、この隆起部分20は、各穿孔の周囲で実質的に均一な厚さのものであってよい。この隆起線は、穿孔フィルムの引裂き特性の増強を提供することが観察されている。また隆起線は、フィルムをより布材料と酷似させるわずかな織り目を付与し得る。穿孔フィルム14は、典型的に配向フィルムであり、例えば、二軸配向フィルムである。
【0015】
図2に示された実施形態において、ポリマーテープ12は、上部フィルム22および底部フィルム24をさらに含む。示された実施形態において、上部フィルム22は、ポリマーテープ12に耐久性を提供し、そしてさらに強さを増加させ、そしてテープ12に流動非透過性を付与し得る。底部フィルム24は、例えば、接着剤組成物である。テープ12を作製するために、追加の層または別の層を使用することができる。層の配列を変更することもできる。従って、例えば、穿孔層ではなくて上部フィルム22に接着剤を直接適用することができる。
【0016】
本発明に従う穿孔ポリマーフィルムを製造するために使用される様々な材料および方法をより詳細に検討する。
【0017】
A.穿孔パターン
ポリマーフィルム14に形成された穿孔パターンは、本発明の布状フィルムおよびテープバッキングの引裂きおよび引張特性に影響する。図3において、縦方向が上部から底部へ配向され、そして横方向が左側から右側へと配向された典型的な穿孔フィルム30の一部の拡大図を示す。穿孔は、フィルム全表面の大部分上にパターンを形成しており、そして図3に示されるパターンは、1つのかかるパターンの代表部分である。フィルム30の穿孔パターンは、一連の穿孔の列を含んでなる。第1の部分的な列は、穿孔31aおよび31bを有し、そして第2の部分的な列は、穿孔32aおよび32bを有して示される。図3に示される実施形態は、TDに対して平行で、かつMDに対して垂直な列に配列されているが、本発明の他の実施形態において、複数の穿孔またはパターンは、所望の引裂き経路を画定している穿孔の単一または多数の列のいずれも含んでもよい。所望の引裂き経路は、配列された穿孔を通して延在する線または軸として画定され、そしていずれの直線または曲線に沿っていてもよい。
【0018】
本発明は、図3の二等辺三角形、または「V」型、「Y」型、「T」型および矢印の形状の穿孔を含む図7〜図17に示されるような他の実施形態のような、いくつかの可能な穿孔形状を想定する。本発明の穿孔形状は、各穿孔の絶対寸法および配向、加えて、互いに対する穿孔の配置を含む様々な主要パラメータを参照することによって記載することができる。各穿孔の主要パラメータは、長さ「a」、幅「b」、中心点「W」、主要周辺点「X」、「Y」および「Z」を含む。各穿孔は、2つの端部、狭端部36および広端部38を有するものとして記載され得、ここで、点「X」は、各穿孔の狭端部36に位置し、そして点「Y」および「Z」は、広端部38に位置し、そして各穿孔の幅「b」を画定する。距離「c」は、同一の列または引裂き経路40内の穿孔間の距離、すなわち、1つの穿孔の狭端部36と、同一の列にあり、同一の所望の引裂き経路40に沿う、もう1つの近位の穿孔の広端部38との間の距離を表す。
【0019】
1つの穿孔の狭端部36が、隣接する穿孔の広端部38の近位にあるように、そして列内の全ての穿孔が、所望の引裂き経路40に沿って実質的に整列するように、所望の引裂き経路内の穿孔は整列される。所望の引裂き経路40は線または軸を表し、そして、これは、狭端部36および広端部38の両方の実質的に中心の部分を通して、各穿孔の「Y」点および「Z」点からほぼ等距離で延在する。具体的には、同一の所望の引裂き経路40内の穿孔は、同一軸に沿って一般的に中心にあり、そして各穿孔の狭端部は、同一側面上にあるか、または穿孔は全て、同一方向に「向いている」。いくつかの実施形態において、図7〜図15のように穿孔形状は対称的であり、対称線は所望の引裂き経路40に沿う。しかしながら、図16および図17のような非対称の形状も本発明の範囲内である。同一の引裂き経路40内の全穿孔の配列によって、穿孔が向かう同一方向において優先的な引裂き方向42が提供される。本発明の穿孔パターンを含んでなるフィルム30またはテープは、付与される力が優先的な引裂き方向42と同一方向である場合、制御された引裂き伝播線44を提供する。
【0020】
距離「d」は、広端部38における1つの穿孔の縁部と、第2の穿孔の広端部38において隣接する列の第2の穿孔の縁部との間の距離として定義される。図3を参照すると、距離「d」は、穿孔31bの「Z」点と穿孔32bの「Y」点との間のおよその距離として図示される。同一の列における隣接する穿孔の中心点「W」間の距離は、「c+a」と等しい。隣接する列の隣接する穿孔の中心点「W」間の距離は、「b+d」と等しい。
【0021】
穿孔の絶対寸法は、以下を含む。長さ「a」は、意図された適用および所望の引張強さ次第で異なり得る。穿孔は、典型的に約0.5mmと5.0mmとの間(20ミル〜200ミル)、より典型的に0.7mmと3.0mmとの間(28ミル〜120ミル)、そしてさらにより典型的に1.0mmと2.5mmとの間(40ミル〜100ミル)の長さ「a」を有する。
【0022】
好適な穿孔の幅「b」は、意図された適用、所望の引張強さおよび引裂き線に対して許容され得るギザギザのレベル次第で異なり得る。穿孔は、典型的に約0.2mmと3.0mmとの間(8ミル〜120ミル)、そしてより典型的に0.5mmと2.0mmとの間(20ミル〜80ミル)の幅「b」を有する。
【0023】
距離「c」も、意図された適用および所望の引張強さ次第で異なり得る。同一の列または引裂き経路における穿孔間の距離は、典型的に3mm(120ミル)未満、より典型的に2mm(80ミル)未満、そしてより典型的に1.5mm(60ミル)未満である。
【0024】
穿孔パターンが、穿孔の配列を含んでなる場合、距離「d」は、意図された適用、所望の引張強さおよび引裂き線に対して許容され得るギザギザのレベル次第で異なり得る。隣接する列における穿孔間の距離「d」は、典型的に4mm(160ミル)未満、より典型的に3mm(120ミル)未満、そしてさらにより典型的に2mm(80ミル)未満である。
【0025】
図7〜図9は、本発明の他の実施形態として、「V」型、「Y」型および「T」型の穿孔を示す。図3aおよび図3bも、追加的な詳細を含む「V」型および「T」型の穿孔を示す。文字または記号の形状の穿孔の場合、記号を形成するために使用される線の幅として距離「e」が定義される。距離「e」は、典型的に3mm(120ミル)未満、より典型的に2mm(80ミル)未満、そしてさらにより典型的に1mm(40ミル)未満である。
【0026】
フィルムにおける複数の穿孔が多数の列のパターンを含んでなる場合、図3および4aにおけるように、列は、別の対向する方向に向いていてもよい。かかる実施形態は、特に接着テープ構造のために有用であり、使用者は、いずれの側からでもテープ構造を手で引裂くことができ、そしてなおテープのいずれの側縁からでも優先的な引裂き方向で所望の引裂き伝播を得ることができる。加えて、ほとんどの接着テープの適用において、使用者が、引裂きを開始するテープの側縁に沿っていずれの点も選択できるように、距離「d」を典型的に約4mm未満まで最小化することが重要である。換言すると、距離「d」を非常に小さいままに保持することによって、フィルムまたはテープを実質的に縁部に沿っていずれの点においても引裂くことができる。
【0027】
1つの特に有用な実施形態は、図3、4aおよび4bに図示されるパターンのような、対向する横方向に向かう別の列に配列された二等辺三角形の穿孔パターンを含んでなるポリマーフィルムを含んでなる接着テープである。
【0028】
再び図3を参照すると、引裂き開始力は、フィルム30の端部46に対して点50において適用され、優先的な引裂き方向42において引裂き伝播線44が開始する。引裂き線44は、引裂き力の方向に伝播し、そして点「Y」および「Z」の間で穿孔31bの幅「b」に沿って、点52において最も近い穿孔31bによって遮断される。一旦、引裂き線が穿孔31bを遮断すると、穿孔の開口空間は引裂きに抵抗を提供せず、従って、穿孔31bの点「X」の方へと引裂きの伝播を方向づける。穿孔の周辺の隆起部分20(図3に示されていない)は、穿孔31bの「X」と「Y」との間、または「X」と「Z」との間のいくつかの点からの裂け目の伝播を抑制する。従って、穿孔の形状および構造は、点「X」の周囲で狭端部36からの引裂き線44の伝播を促進する。
【0029】
適用された引裂き力の方向およびポリマーフィルムの配向のため、典型的に、引裂き線44は、例えば、可能な引裂き伝播線44aおよび44bのような所望の引裂き経路40から45°以下の角度で伝播し、そして、線44aおよび44bの間の角度は約90°以下である。穿孔31aの幅「b」が距離「c」以上である場合、典型的に、引裂き線は、所望の引裂き経路における次の穿孔である穿孔31aを遮断する。幅「b」が距離「c」の2倍より大きい場合、引裂き伝播線44は、所望の引裂き経路40における次の穿孔31aを横切る可能性が強い。
【0030】
図4aは、優先的な引裂き方向42および所望の引裂き経路40を有する、三角形の「2方向」穿孔パターンの本発明のフィルムまたはテープ80を示す。引裂き力が手で適用される時に、側縁46上の引裂き開始点50を出発して、引裂きは、例えば、穿孔82、84および86を含む穿孔の列を通して、この順序で先行する。図4bは、本発明と一致する様式で、所望の引裂き経路40に沿って、そして穿孔82および84を通して、引裂き伝播線44を経る図4aのフィルムまたはテープ80の引裂きを図示する。
【0031】
他の実施形態において、優先的な引裂き方向42が全フィルムまたはテープに関して単一方向であるように、全て同一方向に向かう列を含んでなる穿孔パターンを提供することが望ましい。さらに他の実施形態において、一方向に向かう穿孔の隣接する列のいくつかの設計された組み合わせ、およびもう一方向に向かう他の隣接する列のいくつかの他の組み合わせを有することが好ましい。これによって、異なる優先的な引裂き方向が提供される。
【0032】
単一または多数の穿孔列の様々な組み合わせ、様々な列間の距離、穿孔形状および/または大きさの変更、穿孔の列内または異なる列に渡る変更、優先的な引裂き方向、直線または曲線の引裂き穿孔経路における変更、ならびに互いに対する、およびMDおよびTDに対する引裂き伝播経路の様々な方向または角度の組み合わせを利用している特定の適用のために、いずれの数の可能な穿孔パターンも設計することができる。図5は、穿孔形状、大きさ、列および所望の引裂き経路の様々な組み合わせの穿孔パターンを示し、なおこれらの全ては本発明の主要パラメータ内である。
【0033】
かかるフィルムまたはテープが手で引裂かれる時に、優先的な引裂き方向で、引裂きは、穿孔から穿孔へと、特定の引裂き伝播経路40または穿孔の列において一連の穿孔に沿って伝播する傾向があり、隣接する経路または列へと引裂きが開始された時に列から「ジャンプする」傾向は少ない。さらに、引裂き伝播経路40と線状ではないか、または優先的な引裂き方向42にない、いずれの角度または方向における手による引裂きも困難であり、ギザギザの引裂き、および/または望ましくない方向の引裂きが生じるであろう。
【0034】
従って、本発明のフィルムおよびテープは、制御された方向で有利に引裂かれる。本明細書で使用される場合、直線の引裂きとは、ダクトテープを含む布バッキングテープで通常観察されるような、所望の引裂き経路を沿って、実質的に直線の様式でフィルムの断片を沿って引裂きを伝播する特性を指す。かかる引裂きは、通常は完全に線状ではないが、実質的に直線方向を有する。加えて、本発明に従って製造される引裂きフィルムは、なお直線からの逸脱を時には示す可能性があり、必ずしも平滑な縁部を提供するということではない。典型的に本発明に従って製造されるフィルムは、非穿孔フィルムと比較して、改善された直線の引裂きを示す。加えて、典型的に本発明のフィルムは、他の穿孔フィルムと比較して改善された引裂き制御を示す。
【0035】
具体的には、図4aに示されるものに酷似するパターンは、高い引張強さ、低い破壊までの伸び率、フィルムまたはテープの引裂き伝播経路に沿った優先的な引裂き方向における容易な引裂きの開始、ならびに巨視的に直線の引裂き性の固有の組み合わせを提供する。また本発明で製造されるテープの引裂き伝播力は、接着テープバッキングに典型的に使用される織布に関するものと同一範囲である。
【0036】
本発明のフィルムおよびテープの引裂きおよび引張特性は、穿孔されるフィルムの特性および穿孔のパターンの両方に影響を受ける。穿孔前のフィルムが、MDおよびTDにおいて非常にバランスのよい引裂きおよび引張特性を有する二軸配向フィルムである場合、穿孔パターンは、穿孔フィルムのMDおよびTDの特性間のバランスを決定する。
【0037】
隆起部分、隆起線またはリムは、各穿孔の周囲で、より適切なレベルまで織布に引裂きの伝播を制御し(穿孔のないフィルムと比較して)、そして引裂きが、1つずつ各穿孔の周囲の隆起線を通過する時の布を引裂く音の供給を制御する。しかしながら、穿孔のないフィルムのものと比較して、引裂き開始力は減少される。
【0038】
図6aは、ダイヤモンド型の穿孔のパターンを有するフィルムを示す。図6aは、側縁46に沿って点50で開始する引裂き線も図示する。引裂き伝播線は、列70の第1の穿孔60を遮断し、そして穿孔61へと列70に沿って続き、そして、列70の穿孔61から列71の穿孔62へ、そして最終的に列73の穿孔68へとスキップする。かかる引裂き線は、この場合3である引裂き線が横切って伝播する列の数を数えることによって、またはMDにおいて、それらの列を横切る垂直な距離を測定することによって、定量的に測定され得る。図6bは、直角三角形を含んでなる穿孔パターンを有するフィルムを示し、そして側縁46に沿って点50において優先的な引裂き方向42、TD方向で開始する引裂き線を図示する。しかしながら、直角三角形のこの特定の配列に関して、引裂き伝播線44は、穿孔102、103、105および107を通しての所望の引裂き経路40に続かず、その代わりに穿孔104、106および108を通して伝播することがわかる。図6cおよび6dも三角形を含んでなる穿孔パターンを図示し、そして、三角形の穿孔の配列のため、本発明の好ましくない実施形態を表し得る。
【0039】
B.材料
本発明に従って製造されたフィルムは、熱可塑性物質の組成物を含むポリマー材料から部分的または完全に形成される。穿孔フィルムは典型的に、熱可塑性物質、特にポリオレフィンであり、そして特定の実施形態においてポリプロピレンを含む。他のポリマーが有利に使用されてもよく、特に、ポリエチレンテレフタレートおよび他のポリエステルのような、二軸配向フィルムを製造するために一般に使用されるポリマーが挙げられる。本発明の目的のために、用語「ポリプロピレン」は、少なくとも約90重量%のプロピレンモノマー単位を含んでなるコポリマーを含むことを意味する。また「ポリプロピレン」は、少なくとも約75重量%のポリプロピレンを含んでなるポリマー混合物を含むことを意味する。
【0040】
ポリプロピレンは、好ましくは、主にアイソタクチックであって、従って、少なくとも約80%のチェーンアイソタクチックインデックス(chain isotacticity index)、約15重量%未満のn−ヘプタン溶解含量、およびASTM D1505−96(「密度勾配技術によるプラスチックの密度(Density of Plastics by the Density−Gradient Technique)」)に従って測定された約0.86グラム/cm3と0.92グラム/cm3との間の密度を有する。かかる混合物中の好適な追加ポリマーとしては、限定されないが、プロピレンコポリマー、ポリエチレン、4〜8個の炭素原子を有するポリオレフィン含有モノマー、および他のポリプロピレン樹脂が挙げられる。
【0041】
本発明において使用するための典型的ポリプロピレンは、230℃の温度および21.6Nの力においてASTM D1238−95(「押出可塑度計による熱可塑性物質のフロー速度(Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometer)」)に従って約0.1グラム/10分と15グラム/10分との間のメルトフローインデックス、約100,000と400,000との間の重量平均分子量、および約2と15との間の多分散性インデックスを有する。典型的に、本発明において使用するためのポリプロピレンは、示差走査熱量測定を使用して決定された、約130℃より高い、好ましくは約140℃より高い、そして最も好ましくは約150℃より高い融点を有する。
【0042】
さらに、本発明において有用なポリプロピレンは、4〜8個の炭素原子を有するエチレンモノマー単位および/またはアルファ−オレフィンモノマー単位を有するコポリマー、ターポリマー、クオーターポリマー等であってもよい。他の好適なコモノマーとしては、限定されないが、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネンおよび5−メチルノルボルネンが挙げられる。前記コモノマーは、本明細書に記載のフィルムおよびテープの所望の特性および特徴に悪影響を及ぼさないような量で存在し、典型的に含量が10重量%未満である。1つの好適なポリプロピレン樹脂は、テキサス州、ダラスのフィナ オイル アンド ケミカルズ カンパニー(FINA Oil and Chemical Co.,Dallas,TX.)から商品名で市販品3374として入手可能な、2.5g/10分のメルトフローインデックスを有するアイソタクチックなポリプロピレンホモポリマー樹脂である。
【0043】
ポリプロピレンは、例えば6個までの炭素原子を有するアルキル基を有するジアルキルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三級ブチルペルオキシ)ヘキサンおよびジ−第三級ブチルペルオキシドのような有機ペルオキシドの添加による加工の間、意図的に部分的に分解されてもよい。約2と15との間の分解因数が好適である。スクラップフィルムまたはエッジトリミングの形態でリサイクルされたか、または再加工されたポリプロピレンも、例えば、約60重量%未満の量でポリプロピレン中に組み入れてよい。
【0044】
本発明において使用するためのポリプロピレンは、本明細書に記載の所望の特性および特徴に悪影響を及ぼさないような量で、典型的に1重量%と40重量%との間の、約300と8000との間の分子量を有し、そして約60℃と180℃との間の軟化点を有する合成または天然由来の樹脂を任意に含んでよい。石油樹脂、スチレン樹脂、シクロペンタジエン樹脂およびテルペン樹脂から、かかる樹脂を選択することができる。石油樹脂は典型的に、モノマー成分として、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデン、ブタジエン、イソプレン、ピペリレンおよび/またはペンチレンを有する。スチレン樹脂は典型的に、モノマー成分として、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエンおよび/またはブタジエンを有する。シクロペンタジエン樹脂は典型的に、モノマー成分として、シクロペンタジエンおよび任意に他のモノマーを有する。テルペン樹脂は典型的に、モノマー成分として、ピネン、アルファ−ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセンおよびカンフェンを有する。これらの樹脂は、部分的または完全に水素化されていてもよい。
【0045】
図2に示されるような実施形態において、上部フィルム22は熱可塑性物質を含んでなり、そして特定の接着テープの適用を考慮して選択することができる。一実施形態において、ポリマーテープはダクトテープであり、そして上部フィルム22は、ポリオレフィン、好ましくはポリエチレン、より好ましくは低密度ポリエチレンである。もう1つの実施形態において、ポリマーテープは、医療テープのような通気性テープであり、そして上部フィルム22は、ポリウレタンのような浸透性ポリマーである。なおもう1つの実施形態において、ポリマーテープは、カーリングのない、寸法安定性のテープであり、そして上部フィルム22は、各主要面内方向において、穿孔フィルム14と実質的に同一の熱膨張係数を有するポリプロピレンフィルムである。
【0046】
穿孔フィルム層14の第2の主表面18上に底部フィルム24としてコーティングされた接着剤は、当該分野で既知のいずれかの好適な接着剤であってもよい。好ましい接着剤は、圧力、熱またはそれらの組み合わせによって活性化可能なものである。好適な接着剤としては、アクリレート、ゴム樹脂、エポキシ、ウレタンまたはそれらの組み合わせをベースとするものが挙げられる。溶液、水ベースまたはホットメルトコーティング法によって、接着剤を適用してよい。接着剤としては、ホットメルトコーティング配合物、トランスファーコーティング配合物、溶媒コーティング配合物およびラテックス配合物、ならびに積層化、熱活性化および水活性化接着剤が挙げられる。本発明に従って有用な接着剤としては、感圧接着剤が挙げられる。感圧接着剤が、指の圧力のみによる攻撃的および永久的な粘着性、接着性を有し、そして被着体上に保持される十分な能力を有することは周知である。
【0047】
底部フィルム24を形成するために、様々な接着剤を使用することができ、ポリアクリレート;ポリビニルエーテル;天然ゴム、ポリイソプレンおよびポリブタジエンのようなジエンゴム;ポリイソブチレン;ポリクロロプレン;ブチルゴム;ブタジエン−アクリロニトリルポリマー;熱可塑性エラストマー;スチレン−イソプレンおよびスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロックコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンポリマー、ならびにスチレン−ブタジエンポリマーのようなブロックコポリマー;ポリ−アルファ−オレフィン;非晶質ポリオレフィン;シリコーン;エチレンビニルアセテート、エチルアクリレートおよびエチルメタクリレートのようなエチレン含有コポリマー;ポリウレタン;ポリアミド;エポキシ;ポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドンコポリマー;ポリエステル;ならびに上記の混合物またはブレンド(連続または不連続相)の一般組成物をベースとするものが挙げられる。
【0048】
加えて、接着剤は、粘着付与剤、可塑剤、フィラー、酸化防止剤、安定剤、顔料、拡散材料、硬化剤、繊維、フィラメントおよび溶媒のような添加剤を含有し得る。また、いずれかの既知の方法によって、接着剤を任意に硬化することもできる。いずれかの所望の量で接着剤を適用してもよく、そして典型的に、約0.001グラム/cm2〜0.01グラム/cm2の間の従来の乾燥重量を提供するように適用される。
【0049】
有用な感圧接着剤の一般的な記載は、エンサイクロペディア オブ ポリマー サイエンス アンド エンジニアリング(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering),第13巻,ワイリー−インターサイエンス パブリッシャーズ(Wiley−Interscience Publishers)(ニューヨーク(New York),1988)に見られる。有用な感圧接着剤の追加的な記載は、エンサイクロペディア オブ ポリマー サイエンス アンド テクノロジー(Encyclopedia of Polymer Science and Technology),第1巻,インターサイエンス パブリッシャーズ(Interscience Publishers)(ニューヨーク(New York),1964)に見られる。
【0050】
本発明のフィルムは、穿孔フィルム層14、上部フィルム22またはいずれかの介在する層において、当該分野で既知の添加剤および他の成分を任意に含んでもよい。例えば、本発明のフィルムおよびテープは、フィラー、顔料および他の着色剤、抗ブロック剤、潤滑剤、可塑剤、加工助剤、静電防止剤、核化剤、酸化防止剤および熱安定剤、紫外線安定剤および他の特性変性剤を含んでもよい。フィラーおよび他の添加剤は、好ましくは、本明細書に記載される好ましい実施形態によって達成される特性に悪影響を及ぼさないように選択される量で添加される。
【0051】
有機フィラーとしては、有機染料および樹脂、ならびにナイロンおよびポリイミド繊維のような有機繊維が挙げられ、そして他の任意に架橋された、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ハロゲン化ポリマー、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィンポリマー等のようなポリマーを含んでもよい。
【0052】
無機フィラーとしては、顔料、ヒュームドシリカおよび他の形態の二酸化ケイ素、ケイ酸塩、例えば、ケイ酸アルミニウムまたはケイ酸マグネシウム、カオリン、タルク、ケイ酸ナトリウムアルミニウム、ケイ酸カリウムアルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪藻土、石膏、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、カーボン繊維、カーボンブラック、グラファイト、ガラスビーズ、ガラスバブル、鉱物繊維、粘土粒子、金属粒子等が挙げられる。
【0053】
いくつかの適用において、空隙が、配向プロセス間にフィラー粒子の周囲で形成されることは有利である。また有機および無機フィラーは、抗ブロック剤として有効に使用され得る。あるいは、またはそれに加えて、ポリジメチルシロキサンオイル、金属石鹸、ワックス、高級脂肪族エステルおよび高級脂肪酸アミド(例えば、エルカミド、オレアミド、ステアラミドおよびベヘナミド)のような潤滑剤を利用してもよい。
【0054】
フィルムは静電防止剤を含有してもよく、脂肪族第三級アミン、モノステアリン酸グリセロール、アルカンスルホン酸アルカリ金属、エトキシル化またはプロポキシル化ポリジ有機シロキサン、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエーテル、脂肪酸エステル、エタノールアミド、モノ−およびジグリセリド、ならびにエトキシ化脂肪族アミンが挙げられる。ジベンジルソルビトールまたはその誘導体、キナクリドンおよびその誘導体、安息香酸ナトリウムのような安息香酸の金属塩、ナトリウムビス(4−第三級ブチル−フェニル)ホスフェート、シリカ、タルクおよびベントナイトのような有機または無機核化剤が組み入れられてもよい。
【0055】
酸化防止剤および熱安定化剤をさらに組み入れることができ、フェノール型(例えば、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−第三級ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]および1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−第三級ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン)、ならびにステアリン酸および炭酸アルカリおよびアルカリ土類金属が挙げられる。難燃剤、紫外線安定剤、相溶剤、抗菌剤(例えば、酸化亜鉛)、導電体および熱導体(例えば、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウムおよびニッケル粒子)のような他の添加剤も、フィルムまたはテープバッキングを形成するために使用されるポリマー中にブレンドされてよい。
【0056】
その後のコーティング層の接着性を改善するために、テープ12の穿孔フィルム層14は、火炎またはコロナ放電への暴露、あるいは化学プライマー処理を含む他の表面処理によって、主面16および18の一方または両方で任意に処理されてもよい。加えて、反対側の表面接着剤層と上部フィルム22との間の接着を抑制するために、上部フィルム22の暴露表面は、任意の低接着性バックサイズ材料によってコーティングされてもよく、これによって、接着剤コーティングテープ製造分野において周知のような、容易に巻き戻し可能な接着テープロールの製造が可能になる。
【0057】
本発明のフィルムは、テープのバッキングとして使用される場合、好ましくは、約0.5ミル〜6ミル(0.013mm〜0.152mm)の間の最終的な厚さを有する。過度の薄さおよび取り扱いの困難さを回避するようにフィルムが十分な厚さであるべきことを理解した上で、より厚い、およびより薄いフィルムを使用してもよいが、望ましくない堅さおよび硬さではないように、ならびに取り扱いまたは使用が困難ではないように厚すぎてはならない。平均と比較して標準偏差によって測定されるフィルム厚さの可変性は、好ましくは、縁部領域を除き、ウェブ下およびフィルムの内部幅を横切って10%未満である。
【0058】
フィルムバッキングからテープへの変換についての詳細は既知である。例えば、「分配可能なポリプロピレン接着剤コーティングテープ(Dispensable Polypropylene Adhesive−Coated Tape)」と題された米国特許第4,451,533号明細書(ワン(Wong)ら)を参照のこと。
【0059】
本明細書に記載のフィルムは、多くの接着テープバッキングの適用に好適である。穿孔パターン上の上部フィルム22の存在は、特定の実施において、ポリコーティング布ベースのテープバッキングに類似の外観を提供することができる。この外観は、引張および引裂き特性と組み合わせて、フィルムをダクトテープ、ガッファテープ(gaffer’s tape)等のためのバッキングとして有用にさせる。バッキングが適合しているため、マスキングテープバッキングとしても有用である。
【0060】
C.穿孔フィルム製造方法
いくつかの実施形態において、フィルムは配向ポリマー製であり、例えば、フィルムは二軸配向ポリマー製であってもよい。二軸配向ポリプロピレン(BOPP)は、テキサス州、ヒューストン(Houston,TX)のエクソンモービル ケミカル カンパニー(ExxonMobil Chemical Company);英国、スウィンドン(Swindon,UK)のコンチネンタル ポリマーズ(Continental Polymers);台湾、台北市(Taipei City,Taiwan)のカイザーズ インターナショナル コーポレイション(Kaisers International Corporation)およびインドネシア、ジャカルタ(Jakarta,Indonesia)のPT インドポリ スワカルサ インダストリー(PT Indopoly Swakarsa Industry)(ISI)を含むいくつかの供給業者から市販品として入手可能である。また本発明の穿孔フィルムを、様々なフィルム形成、配向および穿孔技術を使用して製造することもできる。
【0061】
一実施において、フィルムは最初にシートフォームにキャスティングされて、伸長のために好適なシートを調製し、配向フィルムを製造する。ポリプロピレンフィルムを製造する場合、シートをキャスティングするために好適な1つの方法において、一軸スクリュー、二軸スクリュー、カスケード、または安定した均質溶融物を製造するために調節された押出機バレル温度を有する他の押出機システムの供給ホッパーに樹脂を供給する。回転冷却金属キャスティングホイール上にシートダイを通して、ポリプロピレン溶融物を押出することができる。任意に、キャスティングホイールを流体充填冷却浴に部分的に含浸することができるか、または任意に、キャスティングホイールから除去後、キャストシートを流体充填冷却浴に通過させることができる。
【0062】
形成後、シートを引っ張り、配向フィルムを提供する。フィルムを伸長するために様々な方法または装置を使用することができる。第1の方法は、典型的に、最初に縦方向で、速度がインプット速度よりも高いアウトプットフィルムライン速度を提供する連続回転ロール上にフィルムを通過させることによって伸長し、続いて分岐レール上のテンターにおいて横方向伸長する、連続的な二軸伸長装置の使用を含む。別の方法は、米国特許第4,330,499号明細書および米国特許第4,595,738号明細書に開示される装置のような機械テンターによる同時二軸伸長の使用、ならびに米国特許第4,675,582号明細書、米国特許第4,825,111号明細書、米国特許第4,853,602号明細書、米国特許第5,036,262号明細書、米国特許第5,051,225号明細書および米国特許第5,072,493号明細書に開示される同時二軸伸長のためのテンター装置の使用を含む。またブローンフィルム、ダブルバブルおよびチューブラフィルム技術によって、二軸伸長フィルムを製造することもできる。
【0063】
ポリプロピレンフィルムに関して、典型的に、縦方向(MD)および横方向(TD)の両方に関する伸長比は約4:1〜12:1であるが、この範囲内のMDおよびTDに関する伸長比のいずれの組み合わせも使用されてよい。特定の実施形態において、MDおよびTD伸長比は約6:1〜約10:1である。具体的な実施形態において、縦方向伸長比は約8:1からであり、そして横方向伸長比も約8:1である。
【0064】
所望の特徴および特性を有するフィルムを提供するために、伸長操作の温度を選択することができる。これらの温度は、使用される材料によって、および使用される特定の装置の伝熱特性によって異なる。ポリプロピレンを利用する一実施に関して、縦方向伸長のための予熱ロールおよび伸長ロールは約120℃〜135℃に維持される。テンター中の横方向伸長に関して、予熱領域は典型的に、約180℃〜190℃に維持され、そして伸長領域は典型的に、約160℃〜180℃に維持される。同時伸長バッキングに関して、予熱温度および伸長温度は、通常、約160℃〜215℃である。
【0065】
穿孔フィルム層14を調製するために使用されるフィルムは、様々な技術によって穿孔されてよい。使用される穿孔技術によって、鋭い縁部がない穿孔が得られることが好ましい。いくつかの実施形態において、使用される穿孔技術によって、穿孔の縁部において実質的に均一な隆起部分20の形成をもたらし、そして前記隆起部分20が、隔離された場所で穿孔されるフィルムの非常に局在化された溶解の結果として形成される。
【0066】
各穿孔に関して、他のものと完全に同一である必要はなく、または形状、大きさもしくは開放性が絶対的に正確である必要はない。ほとんどの熱技術を含む多くの穿孔技術は当該分野で既知であり、形状の大きさおよび完全性においていくらか変化する穿孔を生じ、これは本発明に著しい悪影響を及ぼさない。同様に、穿孔は、悪影響のない完全開口であるというわけでない。従って、穿孔は、穿孔を架橋するポリマー材料の「ストリーマー」を有し得、事実上、1つの開口領域穿孔であるように意図されたものを2以上の密接に群化された不規則な形状および大きさの、単一の境界による設計された外側境界形状を集合的に有する穿孔へと転換する。同様に、本発明の穿孔形状は、円形または他の形状の一連の密接に群化されたより小さい穿孔によって、故意にシュミレーションすることができる。かかる変形は、本発明の有利な特性に最小の悪影響を及ぼすか、または悪影響を及ぼさず、そしてそれによって予期される。
【0067】
同様に、フィルム14の全ての穿孔が、フィルム表面16および18の両方を通して完全に穿孔される必要はないが、ただし、穿孔の重要部分は穿孔される。従って、穿孔パターンのいくつかの場所は、その代わりに、フィルムの所望の引裂きおよび引張特性に対して悪影響を及ぼさず、完全には両方のフィルム表面を穿孔していない凹部または窪みの部位であってもよい。
【0068】
本発明の穿孔フィルム14を製造するために使用可能な穿孔技術としては、米国特許第3,038,198号明細書、ならびに英国特許第851,053号明細書、英国特許第851,473号明細書、英国特許第1,073,605号明細書、および英国特許第2,313,338号明細書に開示されるような、熱流体、特に熱気体の衝突による穿孔;米国特許第3,394,211号明細書、ならびに英国特許第1,012,963号明細書、英国特許第1,073,605号明細書、および英国特許第2,313,338号明細書に開示されるような、火炎の衝突による穿孔;米国特許第3,985,600号明細書に開示されるような、加熱ブレードによる融合スリッティングによる穿孔;米国特許第4,248,822号明細書に開示されるような、エンボス加工、それに続く加熱による突出端部の開口による穿孔;米国特許第4,978,486号明細書に開示されるような、同時に、エンボスロールの速度以上の速度でフィルムを取り上げながらの、突出ノブを有するエンボスロールによる熱エンボス加工による穿孔;ホットニードルによるパンクによる穿孔;超音波を使用する穿孔;熱気体または火炎の代わりに赤外線エネルギーを使用する穿孔;ならびにレーザー、電子ビームまたはコロナ放電によるエネルギー衝突による穿孔が挙げられる。
【0069】
フィルム層14を穿孔するための特定の方法および装置は、2002年10月9日出願の、「フィルムの火炎穿孔のための装置、およびフィルムの火炎穿孔方法(An Apparatus for Flame−Perforating Films and Methods of Flame−Perforating Films)」と題された米国特許出願第10/267538号明細書に記載されている。
【0070】
積層化による穿孔フィルム14への予形成された上部フィルム22の付着を含む様々な技術によって、上部フィルム22が穿孔フィルム14に付着されてもよい。当該分野で既知の接着剤、熱または他の積層方法が使用されてもよい。あるいは、上部フィルム22を穿孔フィルム14上にコーティングしてもよい。溶媒ベースコーティング法および押出コーティングを含む、当該分野で既知の様々なコーティング法を使用してもよい。加えて、穿孔工程の前に2層の共押出によって上部フィルム22を穿孔フィルム14に付着してもよいが、ただし、上部層22が実質的に穿孔されないまま、層14を実質的に穿孔するような様式で前記穿孔工程は実行される。
【0071】
第1の実施において、予めプライマー処理された穿孔フィルム14への熱積層化によって、上部フィルム22は穿孔フィルム14に付着される。穿孔フィルム14は、限定されないが、火炎処理、コロナ処理、プラスマ処理、電子ビーム、紫外線および化学的処理を含む当該分野で既知のいずれかの技術よって予めプライマー処理されてもよい。
【0072】
あるいは、穿孔フィルム14は二層フィルムとして調製されてもよく、第2の層はプライマー処理ポリマー層である。上部フィルム22がLDPEを含んでなり、そして穿孔フィルム14が二軸配向ポリプロピレンを含んでなる場合、好ましい方法において、穿孔フィルム14は二層フィルムとして調製され、第2の層は、ポリエチレン、好ましくは低密度ポリエチレンまたは線状低密度ポリエチレンを含んでなる。ポリエチレン層は、好ましくは穿孔フィルム14の全厚さの1%〜10%を含んでなり、より好ましくは全厚さの2%〜5%を含んでなる。このポリエチレン層は、上部フィルム22への熱積層化のためのプライマー処理ポリマー層として機能する。この方法を使用する場合、特に好ましい上部フィルム22は、低密度ポリエチレンブローンフィルムである。
【0073】
また上部フィルム22は、多層フィルムを含んでもよい。1つの特定の実施形態において、上部フィルム22は、中心層が、紫外線(UV)光に対する遮断剤または吸収剤を含んでなるポリエチレン3層フィルムを含んでなる。屋外での適用の場合のようにUV放射線にさらされる場合、かかる上部フィルム22の使用によって、布状フィルムまたは接着テープに寿命の延長がもたらされる。多くの接着剤が特にUV分解を受けやすいため、接着テープ中の接着剤の長期にわたる性能が特にこの実施形態において強化され得る。
【0074】
隆起部分20を有する穿孔フィルム14の表面は限定されない。従って、上記で例示された2層穿孔フィルムにおいて、隆起部分20は、二軸配向ポリプロピレン表面上またはポリエチレン表面上にあってもよい。隆起部分20は、好ましくは、二軸配向ポリプロピレン表面上にある。同様に、完成された接着テープまたは布状フィルム構造において隆起部分を有する表面の配向は限定されない。上部フィルム22は、穿孔フィルム14の隆起表面または隆起のない表面のいずれに付着されていてもよい。
【0075】
もう1つの別の加工方法において、上部フィルム22は、穿孔工程より前に、穿孔フィルム14となる層に付着されてもよい。次いで、穿孔フィルム14を通して、および任意に、完全ではないが上部フィルム22を通して、穿孔が延在するような方法の上記技術によって、穿孔が実行されてもよい。
【0076】
本明細書に開示される方法によるテープの形成に続いて、一軸または二軸のいずれかの追加的な伸長を少量含んでなる追加の任意加工工程によって、「バルク」または「ロフト」の増加が得られ、さらに破壊までの伸び率が減少され、そして前記の追加の任意加工がされていない本発明のフィルムまたはテープバッキングが有するものよりもさらに著しく明白な布状の外観または「様子(look)」がもたらされる。最適のロフトのため、一軸配向が好ましい。
【実施例】
【0077】
試験方法
ASTM D−3759 引張強さおよび破壊時の伸び率%
23+/−2℃および50+/−5%RHの制御された環境において、ASTM D−3759に一般的に記載される通りに、試料の縦方向(MD)、横方向(TD)における引張強さ、およびMDにおける破壊時の伸び率%を決定した。引張強さの結果をポンド/インチで記録して、ニュートン/cmへと変換する。本明細書で示されるMD引張強さ値は、5インチ/分(12.7cm/分)のクロスヘッド速度を使用して、マサチューセッツ州、カントン(Canton,MA.)のインストロン カンパニー(Instron Co.)から入手可能なユニバーサル テスティング インストルメント(Universal Testing Instrument)モデル1122を使用して三回で有効に決定された。ゲージ長さ(ジョーギャップ)を5インチ(12.7cm)に設定し、そして試験試料は長さ10インチ(25.4cm)および幅1インチ(2.54cm)であった。3つの試料の引張強さおよび破壊時の伸び率の結果の平均を表1に示す。
【0078】
スナップ引裂き
以下の通り、スナップ引裂き法を実行した。分析者の選択次第で、左側から右側への方向または右側から左側への方向のいずれかで、この方法を実行することができる。以下に、この方法を左側から右側への方向で実行した場合について記載する。TDにおいて約2インチ×MDにおいて9インチ(5×23cm)の寸法の穿孔ポリマーフィルムの試験ストリップを、分析者に対して平行または左側から右側への配向で、安定な平坦基材(テーブル面)上に置いた。分析者は、しっかりと指、またはより典型的には左手の親指を試験ストリップの上部縁部に沿って、かつ試験ストリップの左側端部から約3/4インチ〜1 1/2インチ(2cm〜4cm)の点に置いた。この板押え点は、引裂きの開始点を画定し、これは試験ストリップの上部から試験ストリップの幅を完全に通して下方向に伝播された。上記の点で試験ストリップをしっかりと板押えしながら、試験ストリップの残りの部分を右手で、主に親指と人差し指との間で握った。試験ストリップの約2インチ〜4インチ(5cm〜10cm)の部分は、板押え点と右手との間に入った。引裂き運動の前に、試験ストリップを直線水平配向で保持し、板押え点と右手との間の部分を緊張させて保持し、そして右手を基材の約2インチ(5cm)上に置いた。最後に、上部(板押え点)から底部へのフィルムの下方向の引裂き伝播が試験ストリップの幅を横切って導かれるように、同時に試験ストリップを引き、そして右手を部分的に上方に分析者の胸にむけて回転しながら、上向きの上方に板押え点の方向で右手を1回の迅速な動きで動かすことによって、スナップ引裂きを行った。このスナップ引裂き法は、ほんの一瞬で、試験ストリップの幅を完全に通して迅速に引裂いた。新しく引裂かれる試験ストリップの左側端部に関して新しい板押え点を選択することによって、同一試験ストリップにおいて3回、この試験手順を繰返した。
【0079】
ピンチ引裂き
以下の通り、ピンチ引裂き法を実行した。TDにおいて約2インチ×MDにおいて9インチ(5×23cm)の寸法の穿孔ポリマーフィルムの試験ストリップを、試験ストリップの上部縁部に沿って、かつ試験ストリップの左側端部から約3/4インチ〜1 1/2インチ(2cm〜4cm)の点で、左手および右手の両方の親指と人差し指との間でしっかりと水平に保持した。試験ストリップをつまんで、両手の親指および人差し指を接触させ、それぞれの手のピンチ点の間で試験ストリップの上部縁部上に引裂き開始点を画定した。試験ストリップをほぼ胸の高さ、および分析者の体から約8〜12インチ離して保持した。最後に、同時に左手を右手から直接反対側に、そして離れるように動かしながら、分析者の胸の方へ右手を1回の迅速な動きで動かすことによって、ピンチ引裂きを行った。注:分析者が好む場合、手の方向は逆であってもよい。
【0080】
スナップ引裂きおよびピンチ引裂き試験法は、手でフィルムまたはテープを引裂く実際の技術をシュミレーションすることを意図している。手による引裂きは、迅速で都合がよく、かつハサミまたは他の切断道具を必要としないため、しばしば利用される。本発明の1つの特に有利な特徴は、他のフィルムまたはテープよりもギザギザの少ない制御された引裂きを提供する、手による引裂きが可能なフィルムまたはテープを提供することである。スナップ引裂きまたはピンチ引裂き技術の後、引裂きが伝播する隣接する列の数を数えることによってか、または引裂き線が外れる出発列からの全体的な横方向への距離を測定することによって、引裂き制御特徴を定量的に測定することができる。例えば、図6aに示される試料は、利用された引裂き技術、引裂き線が穿孔の3列を横切って伝播するため「3列」の結果、または絶対距離に関して、列70から列73までの距離次第で、スナップ引裂きまたはピンチ引裂きを有するであろう。
【0081】
フィルム/テープ引裂きエネルギー試験
以下の手順を使用して、フィルムおよびテープ試験片の引裂きの開始および伝播に関するMDおよびTD引裂き特性を決定した。幅5cm(引裂きが行われた方向)×長さ約9cmの試験片をフィルムまたはテープから切断した。より大きいサイズ(幅)の方向で、試験片の端部を折り重ね、中心に一重のフィルムまたはテープをわずかに0.64cm未満が残るようにした。接着剤コーティングテープの場合、接着剤と接着剤とが重なるように端部を折った。従って、幅が約2cmの、接着剤が内側に閉じ込められたスタブを、一重の中心領域の各端部で作成した。これによって、試験装置のジョーへの試料の接着を防ぎ、そして所望の中心位置での引裂きを促進した。標準的な引張試験機を使用し、そして長さ寸法が水平になるような様式で試験片を取り付けた。各スタブ領域の0.32cmのみがジョーに接触するような様式で試験片を固定し、試料の残り部分は側面に突出し、そしてジョーが固定する領域の残り部分には何もなかった。ジョーの初期分離は、0.64cmであった。ジョーを127cm/分の速度で分離した。クランプに近い端部の中心一重領域で引裂きを開始し、そして一重領域の長さ5cmに沿って伝播させた。
【0082】
この試験に関する典型的な力対置換トレースは、試験片が引裂きに抵抗する時に力の上昇を示す。引裂き開始エネルギーまたは最大負荷は、引裂きの開始における力の急低下が直ちに続くピーク力である。この点の置換は、ゲージ長さによって除算されており、伸長から引裂き開始である。この点までの曲線より下の面積は、引裂き開始エネルギーである。布ベースまたは布状のフィルムベース試験片に関して、引裂き開始における力トレースはゼロまで低下しないが、むしろ、いくらかの初期の大きい変動の後、一定レベルに到達した。このレベルは、引裂き伝播力である。本発明のフィルムおよびテープの穿孔された性質のため、通常、引裂き伝播力のレベルにおける少量の「のこぎり歯」状の変動があった。5cmの長さの引裂き終了時に、力はゼロまで低下した。全試験トレースの下の面積は、全引裂きエネルギーである。引裂き伝播エネルギーは、全引裂きエネルギーと引裂き開始エネルギーとの間の差異である。全エネルギー吸収(TEA)は、試験片の面積によって除算された全試験トレース下の面積である。
【0083】
本発明の操作について、以下の詳細な実施例に関してさらに記載する。これらの実施例は、様々な具体的および好ましい実施形態および技術をさらに説明するために提供される。しかしながら、本発明の範囲内から逸脱することなく多くの変更および修正を行ってよいことは理解されるべきである。
【0084】
比較例1
同時二軸配向ポリプロピレン(SBOPP)フィルムを上記の通りに製造して得た。フィルムの公称伸長比は、MDおよびTDの両方で約8:1であった。フィルムの厚さは0.030mm(1.2ミル)であり、そして試料パターンの寸法は約5×30cm(2×12インチ)であった。3M(ミネソタ州、セントポール(St.Paul,MN))の赤外線トランスパレンシー マーカー(infrared Transparency Maker)中にフィルム、および所望の穿孔パターンによって印刷された紙シートのフォトコピーを供給することによって、このフィルムを穿孔した。紙シートの黒色マーキングによって赤外線放射は吸収され、これによってSBOPPは局所的に加熱されて、それらの点で配向ポリマーの融解および退縮が引き起こされ、実質的に均一な隆起部分を有する穿孔が得られるか、またはそれらの境界においてリムが得られた。穿孔パターンは図1の楕円形のものであり、列から列への距離および行から行への距離は両方とも3.2mmであった。穿孔の長さは1.52mmであり、そして穿孔の幅は0.51mmであった。図1に示されるように、穿孔はMDおよびTDに対して45度で配向された。MDおよびTDの両方で、相対的に直線に沿ってフィルムを手で引裂き可能であった。
【0085】
比較例C2
比較例2は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、楕円形が同一の長さおよび幅寸法を有するが、楕円形穿孔が行および列で配列され、行が横方向で整列され、列が縦方向で整列されたフィルムであった。同一行中の列または穿孔間の距離は約0.86mmであり、行間の距離は3.09mmである。
【0086】
比較例C3
比較例C3は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、穿孔パターンが、図6bに示される一般パターンを有する直角三角形を含んでなり、そして表1に示される具体的な寸法を有した。
【0087】
比較例C4およびC5
比較例C4およびC5は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、穿孔パターンが、それぞれ図6cおよび6dに示される一般パターンを有する二等辺三角形を含んでなり、そして表1に示される具体的な寸法を有した。
【0088】
比較例C6およびC7
比較例C6およびC7は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、穿孔パターンが、図6aに示される一般パターンを有するダイヤモンド形を含んでなり、そして表1に示される具体的な寸法を有した。
【0089】
実施例E1およびE2
実施例E1は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、穿孔パターンが二等辺三角形を含んでなり、そして表1に示される具体的な寸法を有した。実施例E1は、穿孔の全ての行が同一の優先的な引裂き方向で整列されていることを除き、E2と実質的に同一のパターンであった。すなわち、全ての二等辺三角形が同一方向に向いていた。実施例E1のパターンのタイプは、「1方向」と示される。図4aに示されるような実施例E2によって表されるパターンは、基本的に2つの優先的な引裂き方向があるため、「2方向」と示される。
【0090】
実施例E3
実施例E3は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、穿孔パターンが図13に示されるような2方向パターンのブロック矢印型を含んでなり、そして表1に示される具体的な寸法を有した。
【0091】
実施例E4およびE5
実施例E4およびE5は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、穿孔パターンが、図3bおよび図9に示される一般形状を有する「T」型を含んでなり、そして表1に示される具体的な寸法を有した。実施例E4は「1方向」パターンであり、そして実施例E5は「2方向」パターンであった。「T」型の穿孔を行および列のパターンで配列した。その間隔を表1に示す。三角形の穿孔の代わりに「T」型の穿孔を使用したことを除き、実施例E5は、図4aに示されるパターンと類似していた。
【0092】
実施例E6〜E19
実施例E6〜E19は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、穿孔パターンが、図3aおよび図7に示される一般形状を有する「V」型を含んでなり、そして表1に示される具体的な寸法を有した。実施例E6〜E11、E13、E15、E17およびE22は、全て「2方向」パターンであり、そして実施例E12、E14、E16およびE23は、全て「1方向」パターンであった。三角形の穿孔の代わりに「V」型の穿孔を使用したことを除き、実施例E6−E11、E13、E15およびE17は、図4aに示されるパターンと類似していた。
【0093】
実施例E20〜E23
実施例E20〜E23は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、穿孔パターンが、図8に示される一般形状を有する「Y」型を含んでなり、そして表1に示される具体的な寸法を有した。実施例E20〜E22は、全て「2方向」パターンであり、そして実施例E23は、「1方向」パターンであった。三角形の穿孔の代わりに「Y」型の穿孔を使用したことを除き、実施例E20〜E22は、図4aに示されるパターンと類似していた。
【0094】
表1: 穿孔形状、パターンおよび寸法 A平均試験結果
【0095】
表1は、本発明のポリマーフィルムが手で引裂き可能であることを示す。加えて、本発明のポリマーフィルムのいくつかの実施形態は、比較例と同様に、または比較例より良好に機能する。
【0096】
比較例C8およびC9
比較例C8およびC9は、それぞれ比較例C1およびC2と同一の様式で調製されたフィルムであって、着色されたポリプロピレン上部層が穿孔BOPPフィルムに添加されたものであった。ポリプロピレン中、92重量%のダウ(Dow)7C05N ポリプロピレン樹脂(ミシガン州、ミッドランド(Midland,MI)のダウ プラスチックス(Dow Plastics)から入手可能)および8重量%の青色顔料(ペンシルバニア州、ドイレスタウン(Doylestown,PA)のペン カラー インコーポレイテッド(Penn Color Inc.)から入手可能)分散系を使用して従来のホットメルトコーティング技術によって上部層を作製した。上部層の厚さは、45マイクロメートル(1.8ミル)であった。
【0097】
実施例E24およびE25
実施例E24およびE25は、それぞれ実施例E1およびE2と同一の様式で調製されたフィルムであって、着色されたポリプロピレン上部層が穿孔BOPPフィルムに添加されたものであった。上記比較例C8およびC9に関して記載されたものと同一の様式で従来のホットメルトコーティング技術によって上部層を作製した。
【0098】
表2
【0099】
表3
*TEA = 全エネルギー吸収
【0100】
比較例C10
比較例C10は、水平に整列された穿孔および追加的な上部層を有する火炎穿孔されたBOPPフィルムであった。赤外線穿孔技術の代わりに火炎穿孔技術を利用したことを除き、比較例C10は、上記比較例C9と同一の様式で調製された。火炎穿孔の詳細は、「フィルムの火炎穿孔のための装置、およびフィルムの火炎穿孔方法(An Apparatus for Flame−Perforating Films and Methods of Flame−Perforating Films)」と題された2002年10月9日出願の米国特許出願第10/267538号明細書に記載されている。
【0101】
実施例E26およびE27
赤外線穿孔技術の代わりに火炎穿孔技術を利用したことを除き、実施例E26およびE27は、それぞれ実施例E24およびE25と同一の様式で調製されたフィルムであった。火炎穿孔の詳細は、「フィルムの火炎穿孔のための装置、およびフィルムの火炎穿孔方法(An Apparatus for Flame−Perforating Films and Methods of Flame−Perforating Films)」と題された2002年10月9日出願の米国特許出願第10/267538号明細書に記載されている。
【0102】
表4
【0103】
いくつかの実施形態を参照することによって本発明を説明した。前記詳細な記載および実施例は、理解の明瞭性のためのみ与えられている。それらから、不必要な限定は理解されない。本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態において多くの変更を行うことができることは当業者に明白であろう。従って、本発明の範囲は、本明細書に記載の正確な詳細および構造に限定されるべきではなく、むしろ請求の範囲の言語によって記載された構造およびそれらの構造と同等のものによって限定される。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】当該分野において既知の穿孔パターンの上面図。
【図2】本発明の実施形態に従って製造された多層ポリマーフィルムの断面図。
【図3】本発明の実施形態に従う穿孔を有するフィルムの一部拡大線図。
【図3a】本発明の実施形態に従う単一の穿孔の拡大線図。
【図3b】本発明の実施形態に従う単一の穿孔の拡大線図。
【図4a】予測された引裂き経路を有する、本発明の実施形態に従う穿孔パターンの上面図。
【図4b】引裂きが開始された後の、図4の穿孔パターンの上面図。
【図5】本発明の実施形態に従う穿孔パターンの上面図。
【図6a】穿孔パターンを通る引裂き伝播線の上面図。
【図6b】穿孔パターンを通る引裂き伝播線の上面図。
【図6c】穿孔パターンを通る引裂き伝播線の上面図。
【図6d】穿孔パターンを通る引裂き伝播線の上面図。
【図7】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図8】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図9】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図10】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図11】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図12】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図13】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図14】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図15】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図16】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図17】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、布状ポリマーフィルム、および接着テープ用ポリマーバッキングを含む、それらから製造された製品に関する。特に本発明は、引裂きの方向制御のために特別に構造化および整列された穿孔を有する、容易に手で引裂くことが可能なポリマーフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、消費者および専門家に販売される従来のダクトテープにおいて、織布バッキングを含有する接着テープは広範囲に使用されている。テープバッキングとして織布を使用することの1つの利点は、テープの長さまたは縦方向(「MD」)およびテープの幅または横方向(「TD」)の両方において高い引張強さと低い破壊までの伸び率との組み合わせが提供されることである。多くの適用に関して、この高い強さおよび低い伸び率は非常に重要であり得る。テープバッキングによって提供されるもう1つの利点は、これら2つの原則方向のそれぞれに沿った直線的な引裂きが相対的に容易であることである。また織布バッキングは、多くのテープの適用において望ましいドレープおよび適合性特性も有し、そして織布バッキングによって慣例的に製造された接着テープの多くの種類に関して、市販品として望ましいと思われる外観を提供する。
【0003】
また織布は、接着テープバッキングとしていくつかの不都合も有する。多くの適用において、織物構造は、テープ中に使用される接着剤によって飽和されなければならないため、フィルムバッキングのテープに関するよりも多量の接着剤の使用が導かれる。いくつかの適用においては、平滑な、または非原繊維状のテープ上面が望まれるため、布バッキングはオーバーラミネートされるか、またはコーティングされなければならない。また手で引裂かれる布状バッキングのテープは、一方または両方の引裂かれた縁部から突出している、緩い繊維を頻繁に生じる。最後に、布バッキングは、ポリマーフィルムバッキングより一般的に高価である。
【0004】
テープのバッキング材料としての使用に、ならびに高い引張強さおよび直線状の引裂きを必要とする他の適用における使用に好適なポリマーフィルムは、「布状ポリマーフィルム(Cloth−like Polymeric Films)」と題された特許文献1に記載されている。特許文献1のフィルムは、フィルムが布材料の多くの特性を示すような様式で構成および配列された複数の細長い楕円形の穿孔を有する。マーティン(Martin)らによる特許文献2は、スナック食品を包装するために使用される開放が容易なビニール袋のための、制御された引裂き線を提供する、特別に形成されて密接に間隔をあけられた穿孔の線を記載する。特許文献3に、パッケージングテープの長さ(MD)に沿って、直線スリット、円形の穴、「L」型、「V」型または「U」型の切断部の形状の、引裂きを誘導する切断部および開口部が記載されている。パーカー(Parker)による特許文献4に、結晶ポリマーの少なくとも2つの一軸配向シートを含んでなる波形の熱可塑性物品、およびかかるシートの調製方法が記載されている。パーカー(Parker)の波形構造を形成するために、多数のシートは、密接に間隔をあけられた穿孔の周辺において溶融接着されている。特定の適用に関して、引裂き線に対して垂直方向で引張強さを維持しながら、低コストで、織布の強さ、伸び率、引裂きおよび適合性特性を組み合わせ、そしてギザギザの少ない、所望の引裂き経路に沿った引裂き線を提供する別のポリマーフィルムテープバッキングが依然として望まれている。
【特許文献1】国際公開第200211978A号パンフレット
【特許文献2】米国特許第4,609,107号明細書
【特許文献3】国際公開第96/24549号パンフレット
【特許文献4】米国特許第3,649,431号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、テープのバッキング材料としての使用に、ならびに高い引張強さおよび所望の引裂き経路に沿う手による引裂きを必要とする他の適用における使用に好適なポリマーフィルムに関する。このポリマーフィルムは、フィルムが布材料の多くの特性を示すような様式で構造化および配列された複数の穿孔を有する。この穿孔の構造および配列は、所望の引裂き経路に沿って容易に引裂くことが可能であり、なお接着テープの適用において使用するために十分な引張強さ有するフィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、所望の引裂き経路中に配列された複数の穿孔を含んでなる、ポリマーフィルムを提供する。各穿孔は、境界において隆起線を有する開口領域を画定する。この穿孔は、狭端部と、狭端部の反対側の広端部との2つの端部を含んでなる形状を有する。複数の穿孔は、所望の引裂き経路に沿って十分に予測可能な引裂きを達成するように配列されている。所望の引裂き経路は、各穿孔の広端部の中心部分を通って、そして狭端部を通って延在する。1つの穿孔の狭端部は、同一の所望の引裂き経路に沿って隣接する穿孔の広端部の近位にある。穿孔されたフィルムは、引張強さを維持しながら、改善された引裂き特性を提供する。穿孔の配列によって画定された所望の引裂き経路は、実質的に穿孔の直線または曲線であり得、直線の場合、フィルムの1つの側縁に対して垂直であってよい。またいくつかの実施形態は、多数の所望の引裂き経路を含んでもよい。
【0007】
いくつかの実施形態において、ポリマーフィルム中の穿孔は、同一の所望の引裂き経路中の隣接する穿孔間の距離以上の長さを有する。加えて、いくつかの実施形態において、この長さは、典型的に穿孔の幅より大きく、そしてまた幅は、典型的に同一の所望の引裂き経路中の隣接する穿孔間の距離よりも大きい。複数の穿孔のパターンが、多数の所望の引裂き経路を含んでなる場合、多数の引裂き経路は、穿孔の列に配列されてもよい。いくつかの実施形態において、穿孔の列の間の間隙が、同一列内の穿孔間の空間以上であることは有利である。またいくつかの実施形態に関して、穿孔の列の間の間隙が、穿孔の広端部における幅以下であることも好ましい。
【0008】
また本発明は、穿孔されたポリマーフィルムの製造方法にも関する。この方法は、ポリマーフィルムを提供する工程と、フィルムを穿孔して、所望の引裂き経路中に配列された複数の穿孔を形成する工程と、を含む。開口領域を画定する各穿孔は、隆起線によって特別に形成および構造化される。また各穿孔は、狭端部と、反対側の広端部との2つの端部を有する。複数の穿孔は、所望の引裂き経路に沿って配列されている。所望の引裂き経路は、各穿孔の広端部の中心部分において一連の穿孔を通って、そして狭端部を通って延在する。穿孔は、1つの穿孔の狭端部が、同一の所望の引裂き経路に沿って隣接する穿孔の広端部の近位にあるように配列された穿孔である。
【0009】
本発明の上記概要は、それぞれの検討された本発明の実施形態を説明する意図はない。
【0010】
添付の図面を参照することによって、本発明はさらに説明される。これらの図は、一定の縮尺ではなく、いくつかの図面を通して同様の構造は同様の数字によって参照される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、改善されたポリマーフィルム、そして特に布状ポリマーフィルムに関する。ポリマーフィルムは典型的に、複数の穿孔を有する少なくとも1つのポリマー層を含む。これらの穿孔は、それらが、定方向の経路に沿って、例えば、横方向(TD)におけるフィルムの容易な手による引裂きを促進するような様式で形成および配列されている。穿孔は、フィルムがテープバッキングとして好適であるように、所望の引裂き経路を沿う手による引裂き性を促進しながらもフィルムの引張強さを十分に保持する。
【0012】
一実施形態において、穿孔は二等辺三角形の形状であってよい。しかしながら、より一般的に、穿孔は、そこから引裂きが伝播する1つの狭端部、および隣接する穿孔の狭端部からの引裂き伝播を遮断するために形成された反対側の広端部を有するように形成されている。穿孔は、全ての穿孔が、画定された引裂き軸に沿って所望の引裂き伝播経路と同一の方向に向くように、各穿孔の狭端部が、引裂き伝播経路中の隣接する穿孔の広端部の近位にあるような様式で配列されている。各穿孔の基部または広端部は、画定された引裂き軸上で実質的に中心にある。この穿孔されたポリマーフィルムを、耐久性または非透過性を提供する上部層、または接着性を提供する底部層のような1以上の追加の層またはフィルムに結合することができる。
【0013】
図1は、「布状ポリマーフィルム(Cloth−like Polymeric Films)」と題された国際公開第200211978A号パンフレットに従う、フィルム穿孔パターン2を表す。図1は、多数の穿孔を含み、各穿孔は一般的に楕円形に形成され、そして幅よりも大きい長さを有する。穿孔の列および行は、MDおよびTDに対して約45°の角度で配向され、そして穿孔の隣接する列は、対向する角度で配向されている。この穿孔パターンは、相対的に直線のMD引裂き線8およびTD引裂き線10を提供する。
【0014】
図2は、テープバッキング材料として穿孔フィルムを使用して、本発明に従って製造された複合ポリマーテープ12の断面図を表す。ポリマーテープ12は、第1の主面16および第2の主面18を有する穿孔フィルム14を含有する。穿孔フィルム14は、その厚さを通して延在する穿孔15を含有する。描写された実施形態において、第2の主面18に沿う各穿孔15の縁部は、各穿孔の周囲に隆起部分20を含む。この隆起部分20は、隆起線またはリムとして記載されてもよく、溶融およびその配向エネルギーの放出時に収縮する穿孔内部からのポリマー材料からなり、それによって穿孔周辺にリムが形成される。かかるリムは、穿孔の縁部の周囲で連続的であってよい。いくつかの実施形態において、この隆起部分20は、各穿孔の周囲で実質的に均一な厚さのものであってよい。この隆起線は、穿孔フィルムの引裂き特性の増強を提供することが観察されている。また隆起線は、フィルムをより布材料と酷似させるわずかな織り目を付与し得る。穿孔フィルム14は、典型的に配向フィルムであり、例えば、二軸配向フィルムである。
【0015】
図2に示された実施形態において、ポリマーテープ12は、上部フィルム22および底部フィルム24をさらに含む。示された実施形態において、上部フィルム22は、ポリマーテープ12に耐久性を提供し、そしてさらに強さを増加させ、そしてテープ12に流動非透過性を付与し得る。底部フィルム24は、例えば、接着剤組成物である。テープ12を作製するために、追加の層または別の層を使用することができる。層の配列を変更することもできる。従って、例えば、穿孔層ではなくて上部フィルム22に接着剤を直接適用することができる。
【0016】
本発明に従う穿孔ポリマーフィルムを製造するために使用される様々な材料および方法をより詳細に検討する。
【0017】
A.穿孔パターン
ポリマーフィルム14に形成された穿孔パターンは、本発明の布状フィルムおよびテープバッキングの引裂きおよび引張特性に影響する。図3において、縦方向が上部から底部へ配向され、そして横方向が左側から右側へと配向された典型的な穿孔フィルム30の一部の拡大図を示す。穿孔は、フィルム全表面の大部分上にパターンを形成しており、そして図3に示されるパターンは、1つのかかるパターンの代表部分である。フィルム30の穿孔パターンは、一連の穿孔の列を含んでなる。第1の部分的な列は、穿孔31aおよび31bを有し、そして第2の部分的な列は、穿孔32aおよび32bを有して示される。図3に示される実施形態は、TDに対して平行で、かつMDに対して垂直な列に配列されているが、本発明の他の実施形態において、複数の穿孔またはパターンは、所望の引裂き経路を画定している穿孔の単一または多数の列のいずれも含んでもよい。所望の引裂き経路は、配列された穿孔を通して延在する線または軸として画定され、そしていずれの直線または曲線に沿っていてもよい。
【0018】
本発明は、図3の二等辺三角形、または「V」型、「Y」型、「T」型および矢印の形状の穿孔を含む図7〜図17に示されるような他の実施形態のような、いくつかの可能な穿孔形状を想定する。本発明の穿孔形状は、各穿孔の絶対寸法および配向、加えて、互いに対する穿孔の配置を含む様々な主要パラメータを参照することによって記載することができる。各穿孔の主要パラメータは、長さ「a」、幅「b」、中心点「W」、主要周辺点「X」、「Y」および「Z」を含む。各穿孔は、2つの端部、狭端部36および広端部38を有するものとして記載され得、ここで、点「X」は、各穿孔の狭端部36に位置し、そして点「Y」および「Z」は、広端部38に位置し、そして各穿孔の幅「b」を画定する。距離「c」は、同一の列または引裂き経路40内の穿孔間の距離、すなわち、1つの穿孔の狭端部36と、同一の列にあり、同一の所望の引裂き経路40に沿う、もう1つの近位の穿孔の広端部38との間の距離を表す。
【0019】
1つの穿孔の狭端部36が、隣接する穿孔の広端部38の近位にあるように、そして列内の全ての穿孔が、所望の引裂き経路40に沿って実質的に整列するように、所望の引裂き経路内の穿孔は整列される。所望の引裂き経路40は線または軸を表し、そして、これは、狭端部36および広端部38の両方の実質的に中心の部分を通して、各穿孔の「Y」点および「Z」点からほぼ等距離で延在する。具体的には、同一の所望の引裂き経路40内の穿孔は、同一軸に沿って一般的に中心にあり、そして各穿孔の狭端部は、同一側面上にあるか、または穿孔は全て、同一方向に「向いている」。いくつかの実施形態において、図7〜図15のように穿孔形状は対称的であり、対称線は所望の引裂き経路40に沿う。しかしながら、図16および図17のような非対称の形状も本発明の範囲内である。同一の引裂き経路40内の全穿孔の配列によって、穿孔が向かう同一方向において優先的な引裂き方向42が提供される。本発明の穿孔パターンを含んでなるフィルム30またはテープは、付与される力が優先的な引裂き方向42と同一方向である場合、制御された引裂き伝播線44を提供する。
【0020】
距離「d」は、広端部38における1つの穿孔の縁部と、第2の穿孔の広端部38において隣接する列の第2の穿孔の縁部との間の距離として定義される。図3を参照すると、距離「d」は、穿孔31bの「Z」点と穿孔32bの「Y」点との間のおよその距離として図示される。同一の列における隣接する穿孔の中心点「W」間の距離は、「c+a」と等しい。隣接する列の隣接する穿孔の中心点「W」間の距離は、「b+d」と等しい。
【0021】
穿孔の絶対寸法は、以下を含む。長さ「a」は、意図された適用および所望の引張強さ次第で異なり得る。穿孔は、典型的に約0.5mmと5.0mmとの間(20ミル〜200ミル)、より典型的に0.7mmと3.0mmとの間(28ミル〜120ミル)、そしてさらにより典型的に1.0mmと2.5mmとの間(40ミル〜100ミル)の長さ「a」を有する。
【0022】
好適な穿孔の幅「b」は、意図された適用、所望の引張強さおよび引裂き線に対して許容され得るギザギザのレベル次第で異なり得る。穿孔は、典型的に約0.2mmと3.0mmとの間(8ミル〜120ミル)、そしてより典型的に0.5mmと2.0mmとの間(20ミル〜80ミル)の幅「b」を有する。
【0023】
距離「c」も、意図された適用および所望の引張強さ次第で異なり得る。同一の列または引裂き経路における穿孔間の距離は、典型的に3mm(120ミル)未満、より典型的に2mm(80ミル)未満、そしてより典型的に1.5mm(60ミル)未満である。
【0024】
穿孔パターンが、穿孔の配列を含んでなる場合、距離「d」は、意図された適用、所望の引張強さおよび引裂き線に対して許容され得るギザギザのレベル次第で異なり得る。隣接する列における穿孔間の距離「d」は、典型的に4mm(160ミル)未満、より典型的に3mm(120ミル)未満、そしてさらにより典型的に2mm(80ミル)未満である。
【0025】
図7〜図9は、本発明の他の実施形態として、「V」型、「Y」型および「T」型の穿孔を示す。図3aおよび図3bも、追加的な詳細を含む「V」型および「T」型の穿孔を示す。文字または記号の形状の穿孔の場合、記号を形成するために使用される線の幅として距離「e」が定義される。距離「e」は、典型的に3mm(120ミル)未満、より典型的に2mm(80ミル)未満、そしてさらにより典型的に1mm(40ミル)未満である。
【0026】
フィルムにおける複数の穿孔が多数の列のパターンを含んでなる場合、図3および4aにおけるように、列は、別の対向する方向に向いていてもよい。かかる実施形態は、特に接着テープ構造のために有用であり、使用者は、いずれの側からでもテープ構造を手で引裂くことができ、そしてなおテープのいずれの側縁からでも優先的な引裂き方向で所望の引裂き伝播を得ることができる。加えて、ほとんどの接着テープの適用において、使用者が、引裂きを開始するテープの側縁に沿っていずれの点も選択できるように、距離「d」を典型的に約4mm未満まで最小化することが重要である。換言すると、距離「d」を非常に小さいままに保持することによって、フィルムまたはテープを実質的に縁部に沿っていずれの点においても引裂くことができる。
【0027】
1つの特に有用な実施形態は、図3、4aおよび4bに図示されるパターンのような、対向する横方向に向かう別の列に配列された二等辺三角形の穿孔パターンを含んでなるポリマーフィルムを含んでなる接着テープである。
【0028】
再び図3を参照すると、引裂き開始力は、フィルム30の端部46に対して点50において適用され、優先的な引裂き方向42において引裂き伝播線44が開始する。引裂き線44は、引裂き力の方向に伝播し、そして点「Y」および「Z」の間で穿孔31bの幅「b」に沿って、点52において最も近い穿孔31bによって遮断される。一旦、引裂き線が穿孔31bを遮断すると、穿孔の開口空間は引裂きに抵抗を提供せず、従って、穿孔31bの点「X」の方へと引裂きの伝播を方向づける。穿孔の周辺の隆起部分20(図3に示されていない)は、穿孔31bの「X」と「Y」との間、または「X」と「Z」との間のいくつかの点からの裂け目の伝播を抑制する。従って、穿孔の形状および構造は、点「X」の周囲で狭端部36からの引裂き線44の伝播を促進する。
【0029】
適用された引裂き力の方向およびポリマーフィルムの配向のため、典型的に、引裂き線44は、例えば、可能な引裂き伝播線44aおよび44bのような所望の引裂き経路40から45°以下の角度で伝播し、そして、線44aおよび44bの間の角度は約90°以下である。穿孔31aの幅「b」が距離「c」以上である場合、典型的に、引裂き線は、所望の引裂き経路における次の穿孔である穿孔31aを遮断する。幅「b」が距離「c」の2倍より大きい場合、引裂き伝播線44は、所望の引裂き経路40における次の穿孔31aを横切る可能性が強い。
【0030】
図4aは、優先的な引裂き方向42および所望の引裂き経路40を有する、三角形の「2方向」穿孔パターンの本発明のフィルムまたはテープ80を示す。引裂き力が手で適用される時に、側縁46上の引裂き開始点50を出発して、引裂きは、例えば、穿孔82、84および86を含む穿孔の列を通して、この順序で先行する。図4bは、本発明と一致する様式で、所望の引裂き経路40に沿って、そして穿孔82および84を通して、引裂き伝播線44を経る図4aのフィルムまたはテープ80の引裂きを図示する。
【0031】
他の実施形態において、優先的な引裂き方向42が全フィルムまたはテープに関して単一方向であるように、全て同一方向に向かう列を含んでなる穿孔パターンを提供することが望ましい。さらに他の実施形態において、一方向に向かう穿孔の隣接する列のいくつかの設計された組み合わせ、およびもう一方向に向かう他の隣接する列のいくつかの他の組み合わせを有することが好ましい。これによって、異なる優先的な引裂き方向が提供される。
【0032】
単一または多数の穿孔列の様々な組み合わせ、様々な列間の距離、穿孔形状および/または大きさの変更、穿孔の列内または異なる列に渡る変更、優先的な引裂き方向、直線または曲線の引裂き穿孔経路における変更、ならびに互いに対する、およびMDおよびTDに対する引裂き伝播経路の様々な方向または角度の組み合わせを利用している特定の適用のために、いずれの数の可能な穿孔パターンも設計することができる。図5は、穿孔形状、大きさ、列および所望の引裂き経路の様々な組み合わせの穿孔パターンを示し、なおこれらの全ては本発明の主要パラメータ内である。
【0033】
かかるフィルムまたはテープが手で引裂かれる時に、優先的な引裂き方向で、引裂きは、穿孔から穿孔へと、特定の引裂き伝播経路40または穿孔の列において一連の穿孔に沿って伝播する傾向があり、隣接する経路または列へと引裂きが開始された時に列から「ジャンプする」傾向は少ない。さらに、引裂き伝播経路40と線状ではないか、または優先的な引裂き方向42にない、いずれの角度または方向における手による引裂きも困難であり、ギザギザの引裂き、および/または望ましくない方向の引裂きが生じるであろう。
【0034】
従って、本発明のフィルムおよびテープは、制御された方向で有利に引裂かれる。本明細書で使用される場合、直線の引裂きとは、ダクトテープを含む布バッキングテープで通常観察されるような、所望の引裂き経路を沿って、実質的に直線の様式でフィルムの断片を沿って引裂きを伝播する特性を指す。かかる引裂きは、通常は完全に線状ではないが、実質的に直線方向を有する。加えて、本発明に従って製造される引裂きフィルムは、なお直線からの逸脱を時には示す可能性があり、必ずしも平滑な縁部を提供するということではない。典型的に本発明に従って製造されるフィルムは、非穿孔フィルムと比較して、改善された直線の引裂きを示す。加えて、典型的に本発明のフィルムは、他の穿孔フィルムと比較して改善された引裂き制御を示す。
【0035】
具体的には、図4aに示されるものに酷似するパターンは、高い引張強さ、低い破壊までの伸び率、フィルムまたはテープの引裂き伝播経路に沿った優先的な引裂き方向における容易な引裂きの開始、ならびに巨視的に直線の引裂き性の固有の組み合わせを提供する。また本発明で製造されるテープの引裂き伝播力は、接着テープバッキングに典型的に使用される織布に関するものと同一範囲である。
【0036】
本発明のフィルムおよびテープの引裂きおよび引張特性は、穿孔されるフィルムの特性および穿孔のパターンの両方に影響を受ける。穿孔前のフィルムが、MDおよびTDにおいて非常にバランスのよい引裂きおよび引張特性を有する二軸配向フィルムである場合、穿孔パターンは、穿孔フィルムのMDおよびTDの特性間のバランスを決定する。
【0037】
隆起部分、隆起線またはリムは、各穿孔の周囲で、より適切なレベルまで織布に引裂きの伝播を制御し(穿孔のないフィルムと比較して)、そして引裂きが、1つずつ各穿孔の周囲の隆起線を通過する時の布を引裂く音の供給を制御する。しかしながら、穿孔のないフィルムのものと比較して、引裂き開始力は減少される。
【0038】
図6aは、ダイヤモンド型の穿孔のパターンを有するフィルムを示す。図6aは、側縁46に沿って点50で開始する引裂き線も図示する。引裂き伝播線は、列70の第1の穿孔60を遮断し、そして穿孔61へと列70に沿って続き、そして、列70の穿孔61から列71の穿孔62へ、そして最終的に列73の穿孔68へとスキップする。かかる引裂き線は、この場合3である引裂き線が横切って伝播する列の数を数えることによって、またはMDにおいて、それらの列を横切る垂直な距離を測定することによって、定量的に測定され得る。図6bは、直角三角形を含んでなる穿孔パターンを有するフィルムを示し、そして側縁46に沿って点50において優先的な引裂き方向42、TD方向で開始する引裂き線を図示する。しかしながら、直角三角形のこの特定の配列に関して、引裂き伝播線44は、穿孔102、103、105および107を通しての所望の引裂き経路40に続かず、その代わりに穿孔104、106および108を通して伝播することがわかる。図6cおよび6dも三角形を含んでなる穿孔パターンを図示し、そして、三角形の穿孔の配列のため、本発明の好ましくない実施形態を表し得る。
【0039】
B.材料
本発明に従って製造されたフィルムは、熱可塑性物質の組成物を含むポリマー材料から部分的または完全に形成される。穿孔フィルムは典型的に、熱可塑性物質、特にポリオレフィンであり、そして特定の実施形態においてポリプロピレンを含む。他のポリマーが有利に使用されてもよく、特に、ポリエチレンテレフタレートおよび他のポリエステルのような、二軸配向フィルムを製造するために一般に使用されるポリマーが挙げられる。本発明の目的のために、用語「ポリプロピレン」は、少なくとも約90重量%のプロピレンモノマー単位を含んでなるコポリマーを含むことを意味する。また「ポリプロピレン」は、少なくとも約75重量%のポリプロピレンを含んでなるポリマー混合物を含むことを意味する。
【0040】
ポリプロピレンは、好ましくは、主にアイソタクチックであって、従って、少なくとも約80%のチェーンアイソタクチックインデックス(chain isotacticity index)、約15重量%未満のn−ヘプタン溶解含量、およびASTM D1505−96(「密度勾配技術によるプラスチックの密度(Density of Plastics by the Density−Gradient Technique)」)に従って測定された約0.86グラム/cm3と0.92グラム/cm3との間の密度を有する。かかる混合物中の好適な追加ポリマーとしては、限定されないが、プロピレンコポリマー、ポリエチレン、4〜8個の炭素原子を有するポリオレフィン含有モノマー、および他のポリプロピレン樹脂が挙げられる。
【0041】
本発明において使用するための典型的ポリプロピレンは、230℃の温度および21.6Nの力においてASTM D1238−95(「押出可塑度計による熱可塑性物質のフロー速度(Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometer)」)に従って約0.1グラム/10分と15グラム/10分との間のメルトフローインデックス、約100,000と400,000との間の重量平均分子量、および約2と15との間の多分散性インデックスを有する。典型的に、本発明において使用するためのポリプロピレンは、示差走査熱量測定を使用して決定された、約130℃より高い、好ましくは約140℃より高い、そして最も好ましくは約150℃より高い融点を有する。
【0042】
さらに、本発明において有用なポリプロピレンは、4〜8個の炭素原子を有するエチレンモノマー単位および/またはアルファ−オレフィンモノマー単位を有するコポリマー、ターポリマー、クオーターポリマー等であってもよい。他の好適なコモノマーとしては、限定されないが、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネンおよび5−メチルノルボルネンが挙げられる。前記コモノマーは、本明細書に記載のフィルムおよびテープの所望の特性および特徴に悪影響を及ぼさないような量で存在し、典型的に含量が10重量%未満である。1つの好適なポリプロピレン樹脂は、テキサス州、ダラスのフィナ オイル アンド ケミカルズ カンパニー(FINA Oil and Chemical Co.,Dallas,TX.)から商品名で市販品3374として入手可能な、2.5g/10分のメルトフローインデックスを有するアイソタクチックなポリプロピレンホモポリマー樹脂である。
【0043】
ポリプロピレンは、例えば6個までの炭素原子を有するアルキル基を有するジアルキルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三級ブチルペルオキシ)ヘキサンおよびジ−第三級ブチルペルオキシドのような有機ペルオキシドの添加による加工の間、意図的に部分的に分解されてもよい。約2と15との間の分解因数が好適である。スクラップフィルムまたはエッジトリミングの形態でリサイクルされたか、または再加工されたポリプロピレンも、例えば、約60重量%未満の量でポリプロピレン中に組み入れてよい。
【0044】
本発明において使用するためのポリプロピレンは、本明細書に記載の所望の特性および特徴に悪影響を及ぼさないような量で、典型的に1重量%と40重量%との間の、約300と8000との間の分子量を有し、そして約60℃と180℃との間の軟化点を有する合成または天然由来の樹脂を任意に含んでよい。石油樹脂、スチレン樹脂、シクロペンタジエン樹脂およびテルペン樹脂から、かかる樹脂を選択することができる。石油樹脂は典型的に、モノマー成分として、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデン、ブタジエン、イソプレン、ピペリレンおよび/またはペンチレンを有する。スチレン樹脂は典型的に、モノマー成分として、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエンおよび/またはブタジエンを有する。シクロペンタジエン樹脂は典型的に、モノマー成分として、シクロペンタジエンおよび任意に他のモノマーを有する。テルペン樹脂は典型的に、モノマー成分として、ピネン、アルファ−ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセンおよびカンフェンを有する。これらの樹脂は、部分的または完全に水素化されていてもよい。
【0045】
図2に示されるような実施形態において、上部フィルム22は熱可塑性物質を含んでなり、そして特定の接着テープの適用を考慮して選択することができる。一実施形態において、ポリマーテープはダクトテープであり、そして上部フィルム22は、ポリオレフィン、好ましくはポリエチレン、より好ましくは低密度ポリエチレンである。もう1つの実施形態において、ポリマーテープは、医療テープのような通気性テープであり、そして上部フィルム22は、ポリウレタンのような浸透性ポリマーである。なおもう1つの実施形態において、ポリマーテープは、カーリングのない、寸法安定性のテープであり、そして上部フィルム22は、各主要面内方向において、穿孔フィルム14と実質的に同一の熱膨張係数を有するポリプロピレンフィルムである。
【0046】
穿孔フィルム層14の第2の主表面18上に底部フィルム24としてコーティングされた接着剤は、当該分野で既知のいずれかの好適な接着剤であってもよい。好ましい接着剤は、圧力、熱またはそれらの組み合わせによって活性化可能なものである。好適な接着剤としては、アクリレート、ゴム樹脂、エポキシ、ウレタンまたはそれらの組み合わせをベースとするものが挙げられる。溶液、水ベースまたはホットメルトコーティング法によって、接着剤を適用してよい。接着剤としては、ホットメルトコーティング配合物、トランスファーコーティング配合物、溶媒コーティング配合物およびラテックス配合物、ならびに積層化、熱活性化および水活性化接着剤が挙げられる。本発明に従って有用な接着剤としては、感圧接着剤が挙げられる。感圧接着剤が、指の圧力のみによる攻撃的および永久的な粘着性、接着性を有し、そして被着体上に保持される十分な能力を有することは周知である。
【0047】
底部フィルム24を形成するために、様々な接着剤を使用することができ、ポリアクリレート;ポリビニルエーテル;天然ゴム、ポリイソプレンおよびポリブタジエンのようなジエンゴム;ポリイソブチレン;ポリクロロプレン;ブチルゴム;ブタジエン−アクリロニトリルポリマー;熱可塑性エラストマー;スチレン−イソプレンおよびスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロックコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンポリマー、ならびにスチレン−ブタジエンポリマーのようなブロックコポリマー;ポリ−アルファ−オレフィン;非晶質ポリオレフィン;シリコーン;エチレンビニルアセテート、エチルアクリレートおよびエチルメタクリレートのようなエチレン含有コポリマー;ポリウレタン;ポリアミド;エポキシ;ポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドンコポリマー;ポリエステル;ならびに上記の混合物またはブレンド(連続または不連続相)の一般組成物をベースとするものが挙げられる。
【0048】
加えて、接着剤は、粘着付与剤、可塑剤、フィラー、酸化防止剤、安定剤、顔料、拡散材料、硬化剤、繊維、フィラメントおよび溶媒のような添加剤を含有し得る。また、いずれかの既知の方法によって、接着剤を任意に硬化することもできる。いずれかの所望の量で接着剤を適用してもよく、そして典型的に、約0.001グラム/cm2〜0.01グラム/cm2の間の従来の乾燥重量を提供するように適用される。
【0049】
有用な感圧接着剤の一般的な記載は、エンサイクロペディア オブ ポリマー サイエンス アンド エンジニアリング(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering),第13巻,ワイリー−インターサイエンス パブリッシャーズ(Wiley−Interscience Publishers)(ニューヨーク(New York),1988)に見られる。有用な感圧接着剤の追加的な記載は、エンサイクロペディア オブ ポリマー サイエンス アンド テクノロジー(Encyclopedia of Polymer Science and Technology),第1巻,インターサイエンス パブリッシャーズ(Interscience Publishers)(ニューヨーク(New York),1964)に見られる。
【0050】
本発明のフィルムは、穿孔フィルム層14、上部フィルム22またはいずれかの介在する層において、当該分野で既知の添加剤および他の成分を任意に含んでもよい。例えば、本発明のフィルムおよびテープは、フィラー、顔料および他の着色剤、抗ブロック剤、潤滑剤、可塑剤、加工助剤、静電防止剤、核化剤、酸化防止剤および熱安定剤、紫外線安定剤および他の特性変性剤を含んでもよい。フィラーおよび他の添加剤は、好ましくは、本明細書に記載される好ましい実施形態によって達成される特性に悪影響を及ぼさないように選択される量で添加される。
【0051】
有機フィラーとしては、有機染料および樹脂、ならびにナイロンおよびポリイミド繊維のような有機繊維が挙げられ、そして他の任意に架橋された、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ハロゲン化ポリマー、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィンポリマー等のようなポリマーを含んでもよい。
【0052】
無機フィラーとしては、顔料、ヒュームドシリカおよび他の形態の二酸化ケイ素、ケイ酸塩、例えば、ケイ酸アルミニウムまたはケイ酸マグネシウム、カオリン、タルク、ケイ酸ナトリウムアルミニウム、ケイ酸カリウムアルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪藻土、石膏、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、カーボン繊維、カーボンブラック、グラファイト、ガラスビーズ、ガラスバブル、鉱物繊維、粘土粒子、金属粒子等が挙げられる。
【0053】
いくつかの適用において、空隙が、配向プロセス間にフィラー粒子の周囲で形成されることは有利である。また有機および無機フィラーは、抗ブロック剤として有効に使用され得る。あるいは、またはそれに加えて、ポリジメチルシロキサンオイル、金属石鹸、ワックス、高級脂肪族エステルおよび高級脂肪酸アミド(例えば、エルカミド、オレアミド、ステアラミドおよびベヘナミド)のような潤滑剤を利用してもよい。
【0054】
フィルムは静電防止剤を含有してもよく、脂肪族第三級アミン、モノステアリン酸グリセロール、アルカンスルホン酸アルカリ金属、エトキシル化またはプロポキシル化ポリジ有機シロキサン、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエーテル、脂肪酸エステル、エタノールアミド、モノ−およびジグリセリド、ならびにエトキシ化脂肪族アミンが挙げられる。ジベンジルソルビトールまたはその誘導体、キナクリドンおよびその誘導体、安息香酸ナトリウムのような安息香酸の金属塩、ナトリウムビス(4−第三級ブチル−フェニル)ホスフェート、シリカ、タルクおよびベントナイトのような有機または無機核化剤が組み入れられてもよい。
【0055】
酸化防止剤および熱安定化剤をさらに組み入れることができ、フェノール型(例えば、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−第三級ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]および1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−第三級ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン)、ならびにステアリン酸および炭酸アルカリおよびアルカリ土類金属が挙げられる。難燃剤、紫外線安定剤、相溶剤、抗菌剤(例えば、酸化亜鉛)、導電体および熱導体(例えば、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウムおよびニッケル粒子)のような他の添加剤も、フィルムまたはテープバッキングを形成するために使用されるポリマー中にブレンドされてよい。
【0056】
その後のコーティング層の接着性を改善するために、テープ12の穿孔フィルム層14は、火炎またはコロナ放電への暴露、あるいは化学プライマー処理を含む他の表面処理によって、主面16および18の一方または両方で任意に処理されてもよい。加えて、反対側の表面接着剤層と上部フィルム22との間の接着を抑制するために、上部フィルム22の暴露表面は、任意の低接着性バックサイズ材料によってコーティングされてもよく、これによって、接着剤コーティングテープ製造分野において周知のような、容易に巻き戻し可能な接着テープロールの製造が可能になる。
【0057】
本発明のフィルムは、テープのバッキングとして使用される場合、好ましくは、約0.5ミル〜6ミル(0.013mm〜0.152mm)の間の最終的な厚さを有する。過度の薄さおよび取り扱いの困難さを回避するようにフィルムが十分な厚さであるべきことを理解した上で、より厚い、およびより薄いフィルムを使用してもよいが、望ましくない堅さおよび硬さではないように、ならびに取り扱いまたは使用が困難ではないように厚すぎてはならない。平均と比較して標準偏差によって測定されるフィルム厚さの可変性は、好ましくは、縁部領域を除き、ウェブ下およびフィルムの内部幅を横切って10%未満である。
【0058】
フィルムバッキングからテープへの変換についての詳細は既知である。例えば、「分配可能なポリプロピレン接着剤コーティングテープ(Dispensable Polypropylene Adhesive−Coated Tape)」と題された米国特許第4,451,533号明細書(ワン(Wong)ら)を参照のこと。
【0059】
本明細書に記載のフィルムは、多くの接着テープバッキングの適用に好適である。穿孔パターン上の上部フィルム22の存在は、特定の実施において、ポリコーティング布ベースのテープバッキングに類似の外観を提供することができる。この外観は、引張および引裂き特性と組み合わせて、フィルムをダクトテープ、ガッファテープ(gaffer’s tape)等のためのバッキングとして有用にさせる。バッキングが適合しているため、マスキングテープバッキングとしても有用である。
【0060】
C.穿孔フィルム製造方法
いくつかの実施形態において、フィルムは配向ポリマー製であり、例えば、フィルムは二軸配向ポリマー製であってもよい。二軸配向ポリプロピレン(BOPP)は、テキサス州、ヒューストン(Houston,TX)のエクソンモービル ケミカル カンパニー(ExxonMobil Chemical Company);英国、スウィンドン(Swindon,UK)のコンチネンタル ポリマーズ(Continental Polymers);台湾、台北市(Taipei City,Taiwan)のカイザーズ インターナショナル コーポレイション(Kaisers International Corporation)およびインドネシア、ジャカルタ(Jakarta,Indonesia)のPT インドポリ スワカルサ インダストリー(PT Indopoly Swakarsa Industry)(ISI)を含むいくつかの供給業者から市販品として入手可能である。また本発明の穿孔フィルムを、様々なフィルム形成、配向および穿孔技術を使用して製造することもできる。
【0061】
一実施において、フィルムは最初にシートフォームにキャスティングされて、伸長のために好適なシートを調製し、配向フィルムを製造する。ポリプロピレンフィルムを製造する場合、シートをキャスティングするために好適な1つの方法において、一軸スクリュー、二軸スクリュー、カスケード、または安定した均質溶融物を製造するために調節された押出機バレル温度を有する他の押出機システムの供給ホッパーに樹脂を供給する。回転冷却金属キャスティングホイール上にシートダイを通して、ポリプロピレン溶融物を押出することができる。任意に、キャスティングホイールを流体充填冷却浴に部分的に含浸することができるか、または任意に、キャスティングホイールから除去後、キャストシートを流体充填冷却浴に通過させることができる。
【0062】
形成後、シートを引っ張り、配向フィルムを提供する。フィルムを伸長するために様々な方法または装置を使用することができる。第1の方法は、典型的に、最初に縦方向で、速度がインプット速度よりも高いアウトプットフィルムライン速度を提供する連続回転ロール上にフィルムを通過させることによって伸長し、続いて分岐レール上のテンターにおいて横方向伸長する、連続的な二軸伸長装置の使用を含む。別の方法は、米国特許第4,330,499号明細書および米国特許第4,595,738号明細書に開示される装置のような機械テンターによる同時二軸伸長の使用、ならびに米国特許第4,675,582号明細書、米国特許第4,825,111号明細書、米国特許第4,853,602号明細書、米国特許第5,036,262号明細書、米国特許第5,051,225号明細書および米国特許第5,072,493号明細書に開示される同時二軸伸長のためのテンター装置の使用を含む。またブローンフィルム、ダブルバブルおよびチューブラフィルム技術によって、二軸伸長フィルムを製造することもできる。
【0063】
ポリプロピレンフィルムに関して、典型的に、縦方向(MD)および横方向(TD)の両方に関する伸長比は約4:1〜12:1であるが、この範囲内のMDおよびTDに関する伸長比のいずれの組み合わせも使用されてよい。特定の実施形態において、MDおよびTD伸長比は約6:1〜約10:1である。具体的な実施形態において、縦方向伸長比は約8:1からであり、そして横方向伸長比も約8:1である。
【0064】
所望の特徴および特性を有するフィルムを提供するために、伸長操作の温度を選択することができる。これらの温度は、使用される材料によって、および使用される特定の装置の伝熱特性によって異なる。ポリプロピレンを利用する一実施に関して、縦方向伸長のための予熱ロールおよび伸長ロールは約120℃〜135℃に維持される。テンター中の横方向伸長に関して、予熱領域は典型的に、約180℃〜190℃に維持され、そして伸長領域は典型的に、約160℃〜180℃に維持される。同時伸長バッキングに関して、予熱温度および伸長温度は、通常、約160℃〜215℃である。
【0065】
穿孔フィルム層14を調製するために使用されるフィルムは、様々な技術によって穿孔されてよい。使用される穿孔技術によって、鋭い縁部がない穿孔が得られることが好ましい。いくつかの実施形態において、使用される穿孔技術によって、穿孔の縁部において実質的に均一な隆起部分20の形成をもたらし、そして前記隆起部分20が、隔離された場所で穿孔されるフィルムの非常に局在化された溶解の結果として形成される。
【0066】
各穿孔に関して、他のものと完全に同一である必要はなく、または形状、大きさもしくは開放性が絶対的に正確である必要はない。ほとんどの熱技術を含む多くの穿孔技術は当該分野で既知であり、形状の大きさおよび完全性においていくらか変化する穿孔を生じ、これは本発明に著しい悪影響を及ぼさない。同様に、穿孔は、悪影響のない完全開口であるというわけでない。従って、穿孔は、穿孔を架橋するポリマー材料の「ストリーマー」を有し得、事実上、1つの開口領域穿孔であるように意図されたものを2以上の密接に群化された不規則な形状および大きさの、単一の境界による設計された外側境界形状を集合的に有する穿孔へと転換する。同様に、本発明の穿孔形状は、円形または他の形状の一連の密接に群化されたより小さい穿孔によって、故意にシュミレーションすることができる。かかる変形は、本発明の有利な特性に最小の悪影響を及ぼすか、または悪影響を及ぼさず、そしてそれによって予期される。
【0067】
同様に、フィルム14の全ての穿孔が、フィルム表面16および18の両方を通して完全に穿孔される必要はないが、ただし、穿孔の重要部分は穿孔される。従って、穿孔パターンのいくつかの場所は、その代わりに、フィルムの所望の引裂きおよび引張特性に対して悪影響を及ぼさず、完全には両方のフィルム表面を穿孔していない凹部または窪みの部位であってもよい。
【0068】
本発明の穿孔フィルム14を製造するために使用可能な穿孔技術としては、米国特許第3,038,198号明細書、ならびに英国特許第851,053号明細書、英国特許第851,473号明細書、英国特許第1,073,605号明細書、および英国特許第2,313,338号明細書に開示されるような、熱流体、特に熱気体の衝突による穿孔;米国特許第3,394,211号明細書、ならびに英国特許第1,012,963号明細書、英国特許第1,073,605号明細書、および英国特許第2,313,338号明細書に開示されるような、火炎の衝突による穿孔;米国特許第3,985,600号明細書に開示されるような、加熱ブレードによる融合スリッティングによる穿孔;米国特許第4,248,822号明細書に開示されるような、エンボス加工、それに続く加熱による突出端部の開口による穿孔;米国特許第4,978,486号明細書に開示されるような、同時に、エンボスロールの速度以上の速度でフィルムを取り上げながらの、突出ノブを有するエンボスロールによる熱エンボス加工による穿孔;ホットニードルによるパンクによる穿孔;超音波を使用する穿孔;熱気体または火炎の代わりに赤外線エネルギーを使用する穿孔;ならびにレーザー、電子ビームまたはコロナ放電によるエネルギー衝突による穿孔が挙げられる。
【0069】
フィルム層14を穿孔するための特定の方法および装置は、2002年10月9日出願の、「フィルムの火炎穿孔のための装置、およびフィルムの火炎穿孔方法(An Apparatus for Flame−Perforating Films and Methods of Flame−Perforating Films)」と題された米国特許出願第10/267538号明細書に記載されている。
【0070】
積層化による穿孔フィルム14への予形成された上部フィルム22の付着を含む様々な技術によって、上部フィルム22が穿孔フィルム14に付着されてもよい。当該分野で既知の接着剤、熱または他の積層方法が使用されてもよい。あるいは、上部フィルム22を穿孔フィルム14上にコーティングしてもよい。溶媒ベースコーティング法および押出コーティングを含む、当該分野で既知の様々なコーティング法を使用してもよい。加えて、穿孔工程の前に2層の共押出によって上部フィルム22を穿孔フィルム14に付着してもよいが、ただし、上部層22が実質的に穿孔されないまま、層14を実質的に穿孔するような様式で前記穿孔工程は実行される。
【0071】
第1の実施において、予めプライマー処理された穿孔フィルム14への熱積層化によって、上部フィルム22は穿孔フィルム14に付着される。穿孔フィルム14は、限定されないが、火炎処理、コロナ処理、プラスマ処理、電子ビーム、紫外線および化学的処理を含む当該分野で既知のいずれかの技術よって予めプライマー処理されてもよい。
【0072】
あるいは、穿孔フィルム14は二層フィルムとして調製されてもよく、第2の層はプライマー処理ポリマー層である。上部フィルム22がLDPEを含んでなり、そして穿孔フィルム14が二軸配向ポリプロピレンを含んでなる場合、好ましい方法において、穿孔フィルム14は二層フィルムとして調製され、第2の層は、ポリエチレン、好ましくは低密度ポリエチレンまたは線状低密度ポリエチレンを含んでなる。ポリエチレン層は、好ましくは穿孔フィルム14の全厚さの1%〜10%を含んでなり、より好ましくは全厚さの2%〜5%を含んでなる。このポリエチレン層は、上部フィルム22への熱積層化のためのプライマー処理ポリマー層として機能する。この方法を使用する場合、特に好ましい上部フィルム22は、低密度ポリエチレンブローンフィルムである。
【0073】
また上部フィルム22は、多層フィルムを含んでもよい。1つの特定の実施形態において、上部フィルム22は、中心層が、紫外線(UV)光に対する遮断剤または吸収剤を含んでなるポリエチレン3層フィルムを含んでなる。屋外での適用の場合のようにUV放射線にさらされる場合、かかる上部フィルム22の使用によって、布状フィルムまたは接着テープに寿命の延長がもたらされる。多くの接着剤が特にUV分解を受けやすいため、接着テープ中の接着剤の長期にわたる性能が特にこの実施形態において強化され得る。
【0074】
隆起部分20を有する穿孔フィルム14の表面は限定されない。従って、上記で例示された2層穿孔フィルムにおいて、隆起部分20は、二軸配向ポリプロピレン表面上またはポリエチレン表面上にあってもよい。隆起部分20は、好ましくは、二軸配向ポリプロピレン表面上にある。同様に、完成された接着テープまたは布状フィルム構造において隆起部分を有する表面の配向は限定されない。上部フィルム22は、穿孔フィルム14の隆起表面または隆起のない表面のいずれに付着されていてもよい。
【0075】
もう1つの別の加工方法において、上部フィルム22は、穿孔工程より前に、穿孔フィルム14となる層に付着されてもよい。次いで、穿孔フィルム14を通して、および任意に、完全ではないが上部フィルム22を通して、穿孔が延在するような方法の上記技術によって、穿孔が実行されてもよい。
【0076】
本明細書に開示される方法によるテープの形成に続いて、一軸または二軸のいずれかの追加的な伸長を少量含んでなる追加の任意加工工程によって、「バルク」または「ロフト」の増加が得られ、さらに破壊までの伸び率が減少され、そして前記の追加の任意加工がされていない本発明のフィルムまたはテープバッキングが有するものよりもさらに著しく明白な布状の外観または「様子(look)」がもたらされる。最適のロフトのため、一軸配向が好ましい。
【実施例】
【0077】
試験方法
ASTM D−3759 引張強さおよび破壊時の伸び率%
23+/−2℃および50+/−5%RHの制御された環境において、ASTM D−3759に一般的に記載される通りに、試料の縦方向(MD)、横方向(TD)における引張強さ、およびMDにおける破壊時の伸び率%を決定した。引張強さの結果をポンド/インチで記録して、ニュートン/cmへと変換する。本明細書で示されるMD引張強さ値は、5インチ/分(12.7cm/分)のクロスヘッド速度を使用して、マサチューセッツ州、カントン(Canton,MA.)のインストロン カンパニー(Instron Co.)から入手可能なユニバーサル テスティング インストルメント(Universal Testing Instrument)モデル1122を使用して三回で有効に決定された。ゲージ長さ(ジョーギャップ)を5インチ(12.7cm)に設定し、そして試験試料は長さ10インチ(25.4cm)および幅1インチ(2.54cm)であった。3つの試料の引張強さおよび破壊時の伸び率の結果の平均を表1に示す。
【0078】
スナップ引裂き
以下の通り、スナップ引裂き法を実行した。分析者の選択次第で、左側から右側への方向または右側から左側への方向のいずれかで、この方法を実行することができる。以下に、この方法を左側から右側への方向で実行した場合について記載する。TDにおいて約2インチ×MDにおいて9インチ(5×23cm)の寸法の穿孔ポリマーフィルムの試験ストリップを、分析者に対して平行または左側から右側への配向で、安定な平坦基材(テーブル面)上に置いた。分析者は、しっかりと指、またはより典型的には左手の親指を試験ストリップの上部縁部に沿って、かつ試験ストリップの左側端部から約3/4インチ〜1 1/2インチ(2cm〜4cm)の点に置いた。この板押え点は、引裂きの開始点を画定し、これは試験ストリップの上部から試験ストリップの幅を完全に通して下方向に伝播された。上記の点で試験ストリップをしっかりと板押えしながら、試験ストリップの残りの部分を右手で、主に親指と人差し指との間で握った。試験ストリップの約2インチ〜4インチ(5cm〜10cm)の部分は、板押え点と右手との間に入った。引裂き運動の前に、試験ストリップを直線水平配向で保持し、板押え点と右手との間の部分を緊張させて保持し、そして右手を基材の約2インチ(5cm)上に置いた。最後に、上部(板押え点)から底部へのフィルムの下方向の引裂き伝播が試験ストリップの幅を横切って導かれるように、同時に試験ストリップを引き、そして右手を部分的に上方に分析者の胸にむけて回転しながら、上向きの上方に板押え点の方向で右手を1回の迅速な動きで動かすことによって、スナップ引裂きを行った。このスナップ引裂き法は、ほんの一瞬で、試験ストリップの幅を完全に通して迅速に引裂いた。新しく引裂かれる試験ストリップの左側端部に関して新しい板押え点を選択することによって、同一試験ストリップにおいて3回、この試験手順を繰返した。
【0079】
ピンチ引裂き
以下の通り、ピンチ引裂き法を実行した。TDにおいて約2インチ×MDにおいて9インチ(5×23cm)の寸法の穿孔ポリマーフィルムの試験ストリップを、試験ストリップの上部縁部に沿って、かつ試験ストリップの左側端部から約3/4インチ〜1 1/2インチ(2cm〜4cm)の点で、左手および右手の両方の親指と人差し指との間でしっかりと水平に保持した。試験ストリップをつまんで、両手の親指および人差し指を接触させ、それぞれの手のピンチ点の間で試験ストリップの上部縁部上に引裂き開始点を画定した。試験ストリップをほぼ胸の高さ、および分析者の体から約8〜12インチ離して保持した。最後に、同時に左手を右手から直接反対側に、そして離れるように動かしながら、分析者の胸の方へ右手を1回の迅速な動きで動かすことによって、ピンチ引裂きを行った。注:分析者が好む場合、手の方向は逆であってもよい。
【0080】
スナップ引裂きおよびピンチ引裂き試験法は、手でフィルムまたはテープを引裂く実際の技術をシュミレーションすることを意図している。手による引裂きは、迅速で都合がよく、かつハサミまたは他の切断道具を必要としないため、しばしば利用される。本発明の1つの特に有利な特徴は、他のフィルムまたはテープよりもギザギザの少ない制御された引裂きを提供する、手による引裂きが可能なフィルムまたはテープを提供することである。スナップ引裂きまたはピンチ引裂き技術の後、引裂きが伝播する隣接する列の数を数えることによってか、または引裂き線が外れる出発列からの全体的な横方向への距離を測定することによって、引裂き制御特徴を定量的に測定することができる。例えば、図6aに示される試料は、利用された引裂き技術、引裂き線が穿孔の3列を横切って伝播するため「3列」の結果、または絶対距離に関して、列70から列73までの距離次第で、スナップ引裂きまたはピンチ引裂きを有するであろう。
【0081】
フィルム/テープ引裂きエネルギー試験
以下の手順を使用して、フィルムおよびテープ試験片の引裂きの開始および伝播に関するMDおよびTD引裂き特性を決定した。幅5cm(引裂きが行われた方向)×長さ約9cmの試験片をフィルムまたはテープから切断した。より大きいサイズ(幅)の方向で、試験片の端部を折り重ね、中心に一重のフィルムまたはテープをわずかに0.64cm未満が残るようにした。接着剤コーティングテープの場合、接着剤と接着剤とが重なるように端部を折った。従って、幅が約2cmの、接着剤が内側に閉じ込められたスタブを、一重の中心領域の各端部で作成した。これによって、試験装置のジョーへの試料の接着を防ぎ、そして所望の中心位置での引裂きを促進した。標準的な引張試験機を使用し、そして長さ寸法が水平になるような様式で試験片を取り付けた。各スタブ領域の0.32cmのみがジョーに接触するような様式で試験片を固定し、試料の残り部分は側面に突出し、そしてジョーが固定する領域の残り部分には何もなかった。ジョーの初期分離は、0.64cmであった。ジョーを127cm/分の速度で分離した。クランプに近い端部の中心一重領域で引裂きを開始し、そして一重領域の長さ5cmに沿って伝播させた。
【0082】
この試験に関する典型的な力対置換トレースは、試験片が引裂きに抵抗する時に力の上昇を示す。引裂き開始エネルギーまたは最大負荷は、引裂きの開始における力の急低下が直ちに続くピーク力である。この点の置換は、ゲージ長さによって除算されており、伸長から引裂き開始である。この点までの曲線より下の面積は、引裂き開始エネルギーである。布ベースまたは布状のフィルムベース試験片に関して、引裂き開始における力トレースはゼロまで低下しないが、むしろ、いくらかの初期の大きい変動の後、一定レベルに到達した。このレベルは、引裂き伝播力である。本発明のフィルムおよびテープの穿孔された性質のため、通常、引裂き伝播力のレベルにおける少量の「のこぎり歯」状の変動があった。5cmの長さの引裂き終了時に、力はゼロまで低下した。全試験トレースの下の面積は、全引裂きエネルギーである。引裂き伝播エネルギーは、全引裂きエネルギーと引裂き開始エネルギーとの間の差異である。全エネルギー吸収(TEA)は、試験片の面積によって除算された全試験トレース下の面積である。
【0083】
本発明の操作について、以下の詳細な実施例に関してさらに記載する。これらの実施例は、様々な具体的および好ましい実施形態および技術をさらに説明するために提供される。しかしながら、本発明の範囲内から逸脱することなく多くの変更および修正を行ってよいことは理解されるべきである。
【0084】
比較例1
同時二軸配向ポリプロピレン(SBOPP)フィルムを上記の通りに製造して得た。フィルムの公称伸長比は、MDおよびTDの両方で約8:1であった。フィルムの厚さは0.030mm(1.2ミル)であり、そして試料パターンの寸法は約5×30cm(2×12インチ)であった。3M(ミネソタ州、セントポール(St.Paul,MN))の赤外線トランスパレンシー マーカー(infrared Transparency Maker)中にフィルム、および所望の穿孔パターンによって印刷された紙シートのフォトコピーを供給することによって、このフィルムを穿孔した。紙シートの黒色マーキングによって赤外線放射は吸収され、これによってSBOPPは局所的に加熱されて、それらの点で配向ポリマーの融解および退縮が引き起こされ、実質的に均一な隆起部分を有する穿孔が得られるか、またはそれらの境界においてリムが得られた。穿孔パターンは図1の楕円形のものであり、列から列への距離および行から行への距離は両方とも3.2mmであった。穿孔の長さは1.52mmであり、そして穿孔の幅は0.51mmであった。図1に示されるように、穿孔はMDおよびTDに対して45度で配向された。MDおよびTDの両方で、相対的に直線に沿ってフィルムを手で引裂き可能であった。
【0085】
比較例C2
比較例2は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、楕円形が同一の長さおよび幅寸法を有するが、楕円形穿孔が行および列で配列され、行が横方向で整列され、列が縦方向で整列されたフィルムであった。同一行中の列または穿孔間の距離は約0.86mmであり、行間の距離は3.09mmである。
【0086】
比較例C3
比較例C3は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、穿孔パターンが、図6bに示される一般パターンを有する直角三角形を含んでなり、そして表1に示される具体的な寸法を有した。
【0087】
比較例C4およびC5
比較例C4およびC5は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、穿孔パターンが、それぞれ図6cおよび6dに示される一般パターンを有する二等辺三角形を含んでなり、そして表1に示される具体的な寸法を有した。
【0088】
比較例C6およびC7
比較例C6およびC7は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、穿孔パターンが、図6aに示される一般パターンを有するダイヤモンド形を含んでなり、そして表1に示される具体的な寸法を有した。
【0089】
実施例E1およびE2
実施例E1は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、穿孔パターンが二等辺三角形を含んでなり、そして表1に示される具体的な寸法を有した。実施例E1は、穿孔の全ての行が同一の優先的な引裂き方向で整列されていることを除き、E2と実質的に同一のパターンであった。すなわち、全ての二等辺三角形が同一方向に向いていた。実施例E1のパターンのタイプは、「1方向」と示される。図4aに示されるような実施例E2によって表されるパターンは、基本的に2つの優先的な引裂き方向があるため、「2方向」と示される。
【0090】
実施例E3
実施例E3は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、穿孔パターンが図13に示されるような2方向パターンのブロック矢印型を含んでなり、そして表1に示される具体的な寸法を有した。
【0091】
実施例E4およびE5
実施例E4およびE5は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、穿孔パターンが、図3bおよび図9に示される一般形状を有する「T」型を含んでなり、そして表1に示される具体的な寸法を有した。実施例E4は「1方向」パターンであり、そして実施例E5は「2方向」パターンであった。「T」型の穿孔を行および列のパターンで配列した。その間隔を表1に示す。三角形の穿孔の代わりに「T」型の穿孔を使用したことを除き、実施例E5は、図4aに示されるパターンと類似していた。
【0092】
実施例E6〜E19
実施例E6〜E19は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、穿孔パターンが、図3aおよび図7に示される一般形状を有する「V」型を含んでなり、そして表1に示される具体的な寸法を有した。実施例E6〜E11、E13、E15、E17およびE22は、全て「2方向」パターンであり、そして実施例E12、E14、E16およびE23は、全て「1方向」パターンであった。三角形の穿孔の代わりに「V」型の穿孔を使用したことを除き、実施例E6−E11、E13、E15およびE17は、図4aに示されるパターンと類似していた。
【0093】
実施例E20〜E23
実施例E20〜E23は、比較例C1と同一の様式で調製されたフィルムであって、穿孔パターンが、図8に示される一般形状を有する「Y」型を含んでなり、そして表1に示される具体的な寸法を有した。実施例E20〜E22は、全て「2方向」パターンであり、そして実施例E23は、「1方向」パターンであった。三角形の穿孔の代わりに「Y」型の穿孔を使用したことを除き、実施例E20〜E22は、図4aに示されるパターンと類似していた。
【0094】
表1: 穿孔形状、パターンおよび寸法 A平均試験結果
【0095】
表1は、本発明のポリマーフィルムが手で引裂き可能であることを示す。加えて、本発明のポリマーフィルムのいくつかの実施形態は、比較例と同様に、または比較例より良好に機能する。
【0096】
比較例C8およびC9
比較例C8およびC9は、それぞれ比較例C1およびC2と同一の様式で調製されたフィルムであって、着色されたポリプロピレン上部層が穿孔BOPPフィルムに添加されたものであった。ポリプロピレン中、92重量%のダウ(Dow)7C05N ポリプロピレン樹脂(ミシガン州、ミッドランド(Midland,MI)のダウ プラスチックス(Dow Plastics)から入手可能)および8重量%の青色顔料(ペンシルバニア州、ドイレスタウン(Doylestown,PA)のペン カラー インコーポレイテッド(Penn Color Inc.)から入手可能)分散系を使用して従来のホットメルトコーティング技術によって上部層を作製した。上部層の厚さは、45マイクロメートル(1.8ミル)であった。
【0097】
実施例E24およびE25
実施例E24およびE25は、それぞれ実施例E1およびE2と同一の様式で調製されたフィルムであって、着色されたポリプロピレン上部層が穿孔BOPPフィルムに添加されたものであった。上記比較例C8およびC9に関して記載されたものと同一の様式で従来のホットメルトコーティング技術によって上部層を作製した。
【0098】
表2
【0099】
表3
*TEA = 全エネルギー吸収
【0100】
比較例C10
比較例C10は、水平に整列された穿孔および追加的な上部層を有する火炎穿孔されたBOPPフィルムであった。赤外線穿孔技術の代わりに火炎穿孔技術を利用したことを除き、比較例C10は、上記比較例C9と同一の様式で調製された。火炎穿孔の詳細は、「フィルムの火炎穿孔のための装置、およびフィルムの火炎穿孔方法(An Apparatus for Flame−Perforating Films and Methods of Flame−Perforating Films)」と題された2002年10月9日出願の米国特許出願第10/267538号明細書に記載されている。
【0101】
実施例E26およびE27
赤外線穿孔技術の代わりに火炎穿孔技術を利用したことを除き、実施例E26およびE27は、それぞれ実施例E24およびE25と同一の様式で調製されたフィルムであった。火炎穿孔の詳細は、「フィルムの火炎穿孔のための装置、およびフィルムの火炎穿孔方法(An Apparatus for Flame−Perforating Films and Methods of Flame−Perforating Films)」と題された2002年10月9日出願の米国特許出願第10/267538号明細書に記載されている。
【0102】
表4
【0103】
いくつかの実施形態を参照することによって本発明を説明した。前記詳細な記載および実施例は、理解の明瞭性のためのみ与えられている。それらから、不必要な限定は理解されない。本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態において多くの変更を行うことができることは当業者に明白であろう。従って、本発明の範囲は、本明細書に記載の正確な詳細および構造に限定されるべきではなく、むしろ請求の範囲の言語によって記載された構造およびそれらの構造と同等のものによって限定される。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】当該分野において既知の穿孔パターンの上面図。
【図2】本発明の実施形態に従って製造された多層ポリマーフィルムの断面図。
【図3】本発明の実施形態に従う穿孔を有するフィルムの一部拡大線図。
【図3a】本発明の実施形態に従う単一の穿孔の拡大線図。
【図3b】本発明の実施形態に従う単一の穿孔の拡大線図。
【図4a】予測された引裂き経路を有する、本発明の実施形態に従う穿孔パターンの上面図。
【図4b】引裂きが開始された後の、図4の穿孔パターンの上面図。
【図5】本発明の実施形態に従う穿孔パターンの上面図。
【図6a】穿孔パターンを通る引裂き伝播線の上面図。
【図6b】穿孔パターンを通る引裂き伝播線の上面図。
【図6c】穿孔パターンを通る引裂き伝播線の上面図。
【図6d】穿孔パターンを通る引裂き伝播線の上面図。
【図7】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図8】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図9】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図10】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図11】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図12】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図13】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図14】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図15】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図16】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【図17】本発明の実施形態に従う穿孔形状の拡大図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面および第2の表面と、
所望の引裂き経路中に配列された、前記第1の表面および第2の表面を通って延在するポリマーフィルム中の複数の穿孔と、
を含んでなる、ポリマーフィルムの配向ウェブであって、各穿孔が、
その中に開口領域を画定し、
それらの境界において隆起線を有し、
そして、狭端部と、反対側の広端部との2つの端部を含んでなる形状を有し、
前記所望の引裂き経路が、各穿孔の前記広端部の中心部分を通って、そして前記狭端部を通って延在し、また各穿孔の前記狭端部が、同一の所望の引裂き経路に沿って隣接する穿孔の前記広端部の近位にある、ポリマーフィルムの配向ウェブ。
【請求項2】
前記所望の引裂き経路が、実質的に穿孔の直線または直列である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項3】
前記所望の引裂き経路が、前記フィルムの側縁に対して垂直である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項4】
同一の所望の引裂き経路中の隣接する穿孔間の距離が、前記穿孔の長さ以下である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項5】
前記フィルムが、穿孔の所望の引裂き経路を少なくとも2以上含んでなる、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項6】
異なる隣接する所望の引裂き経路間に間隙をさらに含んでなり、ここでは前記間隙が、同一の引裂き経路内の隣接する穿孔間の距離以上である、請求項5に記載のポリマーフィルム。
【請求項7】
異なる隣接する引裂き経路間に間隙をさらに含んでなり、ここでは前記間隙が、前記広端部における穿孔の幅以下である、請求項6に記載のポリマーフィルム。
【請求項8】
第1の穿孔の前記狭端部と、同一の所望の引裂き経路中の第2の隣接する穿孔の前記広端部との間の距離が、前記第2の穿孔の広端部の幅以下である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項9】
前記穿孔が、前記広端部における幅以上の長さを有する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項10】
前記穿孔が、前記広端部における幅以下の長さを有する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項11】
前記隆起線が実質的に連続である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項12】
前記穿孔が、第1の穿孔の前記狭端部と、同一の所望の引裂き経路中の第2の隣接する穿孔の前記広端部との間の距離以上の長さを有する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項13】
前記所望の引裂き経路に沿って、前記ポリマーフィルムを手で引裂くことが可能である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項14】
2以上の所望の引裂き経路において、前記ポリマーフィルムを手で引裂くことが可能である、請求項5に記載のポリマーフィルム。
【請求項15】
前記ポリマーフィルムが、前記所望の引裂き経路に対して垂直方向において3.6N/cmより高い引張強さを有する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項16】
前記穿孔が三角形状を有する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項17】
前記ポリマーフィルムが、二軸配向ポリプロピレンを含んでなる、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項18】
前記ポリマーフィルムが、縦方向および横方向において実質的に等しい延伸比まで伸長された二軸配向ポリプロピレンを含んでなる、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項19】
前記ポリマーフィルムがポリエステルを含んでなる、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項20】
前記ポリマーフィルムがポリエチレンテレフタレートを含んでなる、請求項1に記載の複合ポリマーフィルム。
【請求項21】
前記ポリマーフィルムが第1のポリマーフィルムに相当し、前記第1のポリマーフィルムの第1の表面または第2の表面のいずれかに固定されて前記第1のポリマーフィルム中の穿孔を実質的に被覆している第2のポリマーフィルムをさらに含んでなる、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項22】
第1のポリマー層がポリプロピレンを含んでなり、そして第2のポリマー層がポリエチレンを含んでなる、請求項21に記載のポリマーフィルム。
【請求項23】
各穿孔の周囲の前記隆起線が、実質的に均一の厚さのものである、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項24】
第1の表面および第2の表面と、
第1の表面または第2の表面のいずれかの上に位置する感圧接着剤層と、
所望の引裂き経路中に配列された、前記第1の表面および第2の表面を通って延在するポリマーフィルム中の複数の穿孔と、
を含んでなる、ポリマーフィルムの配向ウェブであって、各穿孔が、
その中に開口領域を画定し、
それらの境界において隆起線を有し、
そして、狭端部と、反対側の広端部との2つの端部を含んでなる形状を有し、
前記所望の引裂き経路が、各穿孔の前記広端部の中心部分を通って、そして前記狭端部を通って延在し、また各穿孔の前記狭端部が、同一の所望の引裂き経路に沿って隣接する穿孔の前記広端部の近位にある、ポリマーフィルムの配向ウェブ。
【請求項25】
前記ポリマーフィルムが第1のポリマーフィルムに相当し、前記第1のポリマーフィルムの第1の表面または第2の表面のいずれかに固定されて前記第1のポリマーフィルム中の穿孔を実質的に被覆している第2のポリマーフィルムをさらに含んでなる、請求項24に記載のポリマーフィルム接着剤構造。
【請求項26】
(a)配向ポリマーフィルムを提供する工程と、
(b)前記配向フィルムを穿孔して、所望の引裂き経路中に配列された、第1の表面および第2の表面を通って延在するポリマーフィルム中の複数の穿孔を形成する工程と、
を含んでなる、ポリマーフィルムの製造方法であって、各穿孔が、
その中に開口領域を画定し、
それらの境界において隆起線を有し、
そして、狭端部と、反対側の広端部とを含んでなる形状を有し、
前記所望の引裂き経路が、各穿孔の前記広端部の中心部分を通って、そして前記狭端部を通って、前記所望の引裂き経路に沿って隣接する穿孔の前記広端部へと延在する、方法。
【請求項27】
前記第1のポリマーフィルムの第1の表面または第2の表面のいずれかに固定された第2のポリマーフィルムを適用し、そして前記第1のポリマーフィルム中の穿孔を実質的に被覆する工程をさらに含んでなる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリマーフィルムの第1の表面または第2の表面のいずれかに感圧接着剤層を適用する工程をさらに含んでなる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリマーフィルムが二軸配向される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記ポリマーフィルムが、火炎によって穿孔される、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
第2のポリマー組成物が、第1のポリマー組成物上に押出コーティングされる、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記第2のポリマー組成物が、前記第1のポリマー組成物上に積層化される、請求項27に記載の方法。
【請求項1】
第1の表面および第2の表面と、
所望の引裂き経路中に配列された、前記第1の表面および第2の表面を通って延在するポリマーフィルム中の複数の穿孔と、
を含んでなる、ポリマーフィルムの配向ウェブであって、各穿孔が、
その中に開口領域を画定し、
それらの境界において隆起線を有し、
そして、狭端部と、反対側の広端部との2つの端部を含んでなる形状を有し、
前記所望の引裂き経路が、各穿孔の前記広端部の中心部分を通って、そして前記狭端部を通って延在し、また各穿孔の前記狭端部が、同一の所望の引裂き経路に沿って隣接する穿孔の前記広端部の近位にある、ポリマーフィルムの配向ウェブ。
【請求項2】
前記所望の引裂き経路が、実質的に穿孔の直線または直列である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項3】
前記所望の引裂き経路が、前記フィルムの側縁に対して垂直である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項4】
同一の所望の引裂き経路中の隣接する穿孔間の距離が、前記穿孔の長さ以下である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項5】
前記フィルムが、穿孔の所望の引裂き経路を少なくとも2以上含んでなる、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項6】
異なる隣接する所望の引裂き経路間に間隙をさらに含んでなり、ここでは前記間隙が、同一の引裂き経路内の隣接する穿孔間の距離以上である、請求項5に記載のポリマーフィルム。
【請求項7】
異なる隣接する引裂き経路間に間隙をさらに含んでなり、ここでは前記間隙が、前記広端部における穿孔の幅以下である、請求項6に記載のポリマーフィルム。
【請求項8】
第1の穿孔の前記狭端部と、同一の所望の引裂き経路中の第2の隣接する穿孔の前記広端部との間の距離が、前記第2の穿孔の広端部の幅以下である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項9】
前記穿孔が、前記広端部における幅以上の長さを有する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項10】
前記穿孔が、前記広端部における幅以下の長さを有する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項11】
前記隆起線が実質的に連続である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項12】
前記穿孔が、第1の穿孔の前記狭端部と、同一の所望の引裂き経路中の第2の隣接する穿孔の前記広端部との間の距離以上の長さを有する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項13】
前記所望の引裂き経路に沿って、前記ポリマーフィルムを手で引裂くことが可能である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項14】
2以上の所望の引裂き経路において、前記ポリマーフィルムを手で引裂くことが可能である、請求項5に記載のポリマーフィルム。
【請求項15】
前記ポリマーフィルムが、前記所望の引裂き経路に対して垂直方向において3.6N/cmより高い引張強さを有する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項16】
前記穿孔が三角形状を有する、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項17】
前記ポリマーフィルムが、二軸配向ポリプロピレンを含んでなる、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項18】
前記ポリマーフィルムが、縦方向および横方向において実質的に等しい延伸比まで伸長された二軸配向ポリプロピレンを含んでなる、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項19】
前記ポリマーフィルムがポリエステルを含んでなる、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項20】
前記ポリマーフィルムがポリエチレンテレフタレートを含んでなる、請求項1に記載の複合ポリマーフィルム。
【請求項21】
前記ポリマーフィルムが第1のポリマーフィルムに相当し、前記第1のポリマーフィルムの第1の表面または第2の表面のいずれかに固定されて前記第1のポリマーフィルム中の穿孔を実質的に被覆している第2のポリマーフィルムをさらに含んでなる、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項22】
第1のポリマー層がポリプロピレンを含んでなり、そして第2のポリマー層がポリエチレンを含んでなる、請求項21に記載のポリマーフィルム。
【請求項23】
各穿孔の周囲の前記隆起線が、実質的に均一の厚さのものである、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項24】
第1の表面および第2の表面と、
第1の表面または第2の表面のいずれかの上に位置する感圧接着剤層と、
所望の引裂き経路中に配列された、前記第1の表面および第2の表面を通って延在するポリマーフィルム中の複数の穿孔と、
を含んでなる、ポリマーフィルムの配向ウェブであって、各穿孔が、
その中に開口領域を画定し、
それらの境界において隆起線を有し、
そして、狭端部と、反対側の広端部との2つの端部を含んでなる形状を有し、
前記所望の引裂き経路が、各穿孔の前記広端部の中心部分を通って、そして前記狭端部を通って延在し、また各穿孔の前記狭端部が、同一の所望の引裂き経路に沿って隣接する穿孔の前記広端部の近位にある、ポリマーフィルムの配向ウェブ。
【請求項25】
前記ポリマーフィルムが第1のポリマーフィルムに相当し、前記第1のポリマーフィルムの第1の表面または第2の表面のいずれかに固定されて前記第1のポリマーフィルム中の穿孔を実質的に被覆している第2のポリマーフィルムをさらに含んでなる、請求項24に記載のポリマーフィルム接着剤構造。
【請求項26】
(a)配向ポリマーフィルムを提供する工程と、
(b)前記配向フィルムを穿孔して、所望の引裂き経路中に配列された、第1の表面および第2の表面を通って延在するポリマーフィルム中の複数の穿孔を形成する工程と、
を含んでなる、ポリマーフィルムの製造方法であって、各穿孔が、
その中に開口領域を画定し、
それらの境界において隆起線を有し、
そして、狭端部と、反対側の広端部とを含んでなる形状を有し、
前記所望の引裂き経路が、各穿孔の前記広端部の中心部分を通って、そして前記狭端部を通って、前記所望の引裂き経路に沿って隣接する穿孔の前記広端部へと延在する、方法。
【請求項27】
前記第1のポリマーフィルムの第1の表面または第2の表面のいずれかに固定された第2のポリマーフィルムを適用し、そして前記第1のポリマーフィルム中の穿孔を実質的に被覆する工程をさらに含んでなる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリマーフィルムの第1の表面または第2の表面のいずれかに感圧接着剤層を適用する工程をさらに含んでなる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリマーフィルムが二軸配向される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記ポリマーフィルムが、火炎によって穿孔される、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
第2のポリマー組成物が、第1のポリマー組成物上に押出コーティングされる、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記第2のポリマー組成物が、前記第1のポリマー組成物上に積層化される、請求項27に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2006−525409(P2006−525409A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508610(P2006−508610)
【出願日】平成16年1月20日(2004.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/001302
【国際公開番号】WO2004/078869
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年1月20日(2004.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/001302
【国際公開番号】WO2004/078869
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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