説明

施設名称付与装置

【課題】画像を利用する際の利便性を向上させると共に、画像に施設名称を付与する際に煩雑な手間がかかることを防止する。
【解決手段】施設名称付与装置10のメインコントローラー31は、外部機器(撮影機器11や記憶媒体など)から画像および画像に付加されている各種のデータ(ファイル名および撮影日時および撮影位置など)からなる画像情報を取得する。そして、取得した画像情報から画像の撮影位置を抽出し、該撮影位置から所定距離範囲内に位置する施設の施設位置および施設名称および施設名称に対応する施設ジャンルの重み係数を地図データ記憶部24の施設情報から抽出する。そして、抽出した各施設毎に撮影位置と施設位置との距離を算出し、該距離および重み係数に基づいた順序、例えば距離と重み係数との積によるスコアに応じた順序で、各施設名称を施設名称候補としてディスプレイ28に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設名称付与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば撮影位置が付加された画像データのうちから目的地に対応する画像データを抽出し、抽出した画像データに付加されている撮影位置を目的地とした経路探索を行なうルート探索装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来、例えば画像データに付加されている撮影日時に車両を停車していた位置を取得し、この位置から所定距離範囲内にある観光地タイトルを一覧表示し、観光地タイトルと画像データを関連付けるアルバムシステムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−39628号公報
【特許文献2】特開2006−53111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係るルート探索装置においては、画像データを表示して目的地に対応する画像データを操作者に選択させることから、操作者は画像データを閲覧する必要が有り、多数の画像データが表示されている場合には、画像データの閲覧および目的地の設定に煩雑な手間がかかるという問題が生じる。
また、上記従来技術に係るアルバムシステムにおいては、単に車両を停車していた位置から所定距離範囲内にある観光地タイトルを一覧表示するだけであるから、操作者が所望する観光地タイトル以外の他の多数の観光地タイトルが表示されてしまう虞があり、観光地タイトルと画像データを関連付ける際の利便性を向上させることができないという問題が生じる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、画像に施設名称を付与して画像を利用する際の利便性を向上させると共に、画像に施設名称を付与する際に煩雑な手間がかかることを防止することが可能な施設名称付与装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係る施設名称付与装置は、施設名称及び施設ジャンル及び施設位置を含む施設情報を記憶する施設情報記憶手段(例えば、実施の形態での地図データ記憶部24)と、前記施設ジャンル毎の重み係数を記憶する重み係数記憶手段(例えば、実施の形態での地図データ記憶部24が兼ねる)と、画像と該画像の撮影位置とを含む画像情報を外部から取得する画像情報取得手段(例えば、実施の形態でのメインコントローラー31、ステップS01)と、前記画像情報取得手段により取得した前記画像情報に関連する施設名称候補を前記施設情報記憶手段に記憶されている前記施設情報の前記施設名称から抽出して、抽出結果を表示する施設名称候補抽出表示手段(例えば、実施の形態でのメインコントローラー31およびディスプレイ28、ステップS02)と、前記施設名称候補抽出表示手段により表示された前記施設名称候補から前記画像情報に付与する前記施設名称を選択する施設名称選択手段(例えば、実施の形態でのメインコントローラー31および操作部26、ステップS03)と、前記施設名称選択手段により選択された前記施設名称を前記画像情報に付与して記憶する画像情報記憶手段(例えば、実施の形態での画像データ記憶部22)とを備え、前記施設名称候補抽出表示手段は、前記画像情報取得手段により取得した前記画像情報から前記画像の撮影位置を抽出し、該撮影位置から所定距離範囲内に位置する施設の施設名称を前記施設情報記憶手段に記憶されている前記施設情報から抽出し、該施設名称に対応する前記施設ジャンルの重み係数を前記重み係数記憶手段に記憶されている前記重み係数から抽出し、該重み係数に基づいた順序で前記施設名称候補を表示する。
【0007】
さらに、本発明の第2態様に係る施設名称付与装置は、第1態様に係る施設名称付与装置であって、 前記施設名称候補抽出表示手段は、前記撮影位置と前記施設名称候補の施設位置との距離を算出し、該距離及び前記重み係数に基づいた順序で前記施設名称候補を表示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1態様に係る施設名称付与装置によれば、施設ジャンルの重み係数に基づいた順序で施設名称候補を表示することにより、操作者が選択する可能性が高い施設名称候補を上位に表示することができ、施設名称を画像情報に付与して記憶する際に煩雑な手間がかかることを防止することができる。
【0009】
本発明の第2態様に係る施設名称付与装置によれば、施設ジャンルの重み係数に加えて、撮影位置と施設位置との距離に基づいた順序で施設名称候補を表示することにより、施設名称を画像情報に付与して記憶する際の作業負荷を、より一層、低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る施設名称付与装置の構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る施設名称付与装置のディスプレイでの表示画面(画像登録画面)の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る施設名称付与装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る施設名称付与装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の施設名称付与装置の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
この実施の形態による施設名称付与装置10は、例えば図1に示すように、車両に搭載されたナビゲーション装置などであって、各種の外部機器、例えば撮影機器11および記憶媒体(図示略)などが有線または無線により接続可能とされている。
【0012】
施設名称付与装置10は、例えば、通信ドライバ21と、画像データ記憶部22と、現在位置算出部23と、地図データ記憶部24と、ルート探索部25と、操作部26と、表示ドライバ27と、ディスプレイ28と、RAM29と、ROM30と、メインコントローラー31とを備えて構成されている。
【0013】
通信ドライバ21は、施設名称付与装置10に有線または無線により接続される各種の外部機器(例えば、撮影機器11や記憶媒体など)と施設名称付与装置10との間の所定の通信規格(例えば、USBなど)の通信を制御する。
画像データ記憶部22は、メインコントローラー31が各種の外部機器(例えば、撮影機器11や記憶媒体など)から取得した画像を、予め画像に付加されている各種のデータ(例えば、ファイル名および撮影日時および撮影位置など)と操作者により付加される施設名称のデータと共に記憶する。
【0014】
現在位置算出部23は、例えばアンテナ23aにより受信したGPS信号などの測位信号によって、さらには、車両に搭載された車速センサ(図示略)およびヨーレートセンサ(図示略)などから出力される検出信号に基づく自律航法の算出処理によって、施設名称付与装置10の現在位置を算出する。
【0015】
地図データ記憶部24は、ディスプレイ28に地図画像を表示するための地図データと、道路の接続状態および形状などの情報からなる道路データと、施設情報とを記憶している。
地図データは、例えば、地形図のデータと、各種の施設および街区および湖沼等に対応したポリゴンのデータと、各ポリゴンに対応付けられた施設名および地名などの文字のデータとなどから構成されている。
道路データは、例えば、ノード(つまり、道路形状を把握するための座標点)および各ノード間を結ぶ線であるリンクと、各リンクの距離と、道路の交差角度および形状および幅員および種別などのデータとから構成されている。
施設情報は、例えば、施設名称と、施設ジャンルと、施設位置と、施設ジャンルの重み係数とから構成されている。
【0016】
ルート探索部25は、現在位置算出部23により算出された現在位置から操作部26に対する操作者の入力操作などによって設定された目的地までの経路を探索する。
操作部26は、例えばディスプレイ28に組み込まれたタッチパッドなどの位置入力装置や各種のスイッチなどを備えて構成されている。
【0017】
表示ドライバ27は、メインコントローラー31から出力される指令信号に応じて、液晶表示器などからなるディスプレイ28での表示を制御する。
【0018】
メインコントローラー31は、各種の外部機器(例えば、撮影機器11や記憶媒体など)から画像および画像に付加されている各種のデータ(例えば、ファイル名および撮影日時および撮影位置など)からなる画像情報を取得する。そして、取得した画像情報から画像の撮影位置を抽出し、該撮影位置から所定距離範囲内に位置する施設の施設位置および施設名称および施設名称に対応する施設ジャンルの重み係数を地図データ記憶部24に記憶されている施設情報から抽出する。
そして、抽出した各施設毎に撮影位置と施設位置との距離を算出し、該距離および抽出した重み係数に基づいた順序、例えば距離と重み係数との積によるスコアに応じた順序で、例えば図2に示すように、各施設名称を施設名称候補としてディスプレイ28に表示する。
【0019】
なお、例えば図2に示すディスプレイ28での表示画面(画像登録画面)においては、各種の外部機器(例えば、撮影機器11や記憶媒体など)から取得した画像と、予め画像に付加されているファイル名と、何れか1つを選択可能な複数の施設名称候補と、画像と何れか1つの施設名称候補との対応付けを指示するボタン(例えば、「登録」)と、スコアに応じた順序がより下位の複数の施設名称候補の表示を指示するボタン(例えば、「次の5件」)となどが表示されている。
【0020】
また、施設ジャンルの重み係数は、例えば下記表1に示すように、操作者により選択される可能性が高い施設ジャンル(つまり、撮影が行なわれる可能性が高い施設ジャンル)ほど小さな値の重み係数が設定されている。例えば、選択される可能性が最も高い施設ジャンル(例えば、名所、観光地)に対する重み係数Fは0.1であり、選択される可能性が最も低い施設ジャンル(例えば、ビル、その他建物)に対する重み係数Fは1.0である。
【0021】
【表1】

【0022】
メインコントローラー31は、例えば、撮影位置と施設位置との間の距離と重み係数との積によるスコアの小さい順に施設名称候補をディスプレイ28に表示する。
そして、メインコントローラー31は、ディスプレイ28に表示された施設名称候補のうちから、例えば操作部29に対する操作者の所定の入力操作などに応じて、何れか1つの施設名称候補が選択されると、この施設名称候補を画像情報に付与して、画像と共に画像データ記憶部22に記憶する。
【0023】
この実施形態による施設名称付与装置10は上記構成を備えており、次に、この施設名称付与装置10の動作について説明する。
【0024】
先ず、例えば図3に示すステップS01においては、施設名称付与装置10に接続された各種の外部機器(例えば、撮影機器11や記憶媒体など)から画像および画像に付加されている各種のデータ(例えば、ファイル名および撮影日時および撮影位置など)からなる画像情報を取得して、ディスプレイ28での表示画面(画像登録画面)に表示する。
【0025】
次に、ステップS02においては、後述するように、取得した画像情報の撮影位置に基づき、地図データ記憶部24に記憶されている施設情報から施設名称候補を検索して、ディスプレイ28での表示画面(画像登録画面)に表示する。
【0026】
次に、ステップS03においては、例えば操作部29に対する操作者の所定の入力操作などに応じて、何れか1つの施設名称候補が選択されたか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS04に進み、このステップS04においては、例えば地図画像の表示画面上での検索などの他の方法により施設名称候補が選択され、ステップS05に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS05に進む。
【0027】
そして、ステップS05においては、選択された施設名称候補を画像情報に付与して、画像と共に画像データ記憶部22に記憶する。
そして、ステップS06においては、施設名称付与装置10に接続された各種の外部機器(例えば、撮影機器11や記憶媒体など)に他の画像が存在するか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS01に戻る。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、エンドに進む。
【0028】
以下に、上述したステップS02での処理について説明する。
例えば図4に示すステップS11においては、画像情報の撮影位置(座標値)を取得する。
次に、ステップS12においては、撮影位置(座標値)を中心とした所定距離範囲内に存在する施設の施設情報Sk(k=1,…,n)を地図データ記憶部24から取得する。
次に、ステップS13においては、撮影位置(座標値)を中心とした所定距離範囲内に存在する施設の数nがゼロであるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、エンドに進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS14に進む。
【0029】
次に、ステップS14においては、カウンタkに初期値の「1」を設定する。
次に、ステップS15においては、カウンタkによるk番目の施設情報Skの撮影位置(座標値)から施設までの距離Dkを算出する。
次に、ステップS16においては、施設情報Skの重み係数と距離Dkとの積によるスコアCkを算出する。
次に、ステップS17においては、カウンタkが自然数nに等しいか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS18に進み、このステップS18においては、カウンタkを「1」だけカウントアップして、上述したステップS05に戻る。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS19に進む。
【0030】
そして、ステップS19においては、施設情報Sk(k=1,…,n)をスコアCk(k=1,…,n)に応じて、スコアCkの小さい順に並べ替える。
次に、ステップS20においては、順序が上位の所定数の施設情報Skから施設名称を抽出する。
次に、ステップS21においては、抽出した施設名称を施設名称候補として表示し、エンドに進む。
【0031】
上述したように、本発明の実施形態による施設名称付与装置10によれば、施設ジャンルの重み係数に基づいた順序で施設名称候補を表示することにより、操作者が選択する可能性が高い施設名称候補を上位に表示することができ、施設名称を画像情報に付与して記憶する際に煩雑な手間がかかることを防止することができる。
さらに、施設ジャンルの重み係数に加えて、撮影位置と施設位置との距離に基づいた順序で施設名称候補を表示することにより、施設名称を画像情報に付与して記憶する際の作業負荷を、より一層、低減することができる。
【0032】
なお、上述した実施の形態において、メインコントローラー31は、撮影位置と施設位置との間の距離と重み係数との積によるスコアの小さい順に施設名称候補をディスプレイ28に表示するとしたが、これに限定されず、例えば重み係数の小さい順に施設名称候補をディスプレイ28に表示してもよい。
【符号の説明】
【0033】
10 施設名称付与装置
22 画像データ記憶部(画像情報記憶手段)
24 地図データ記憶部(施設情報記憶手段、重み係数記憶手段)
26 操作部(施設名称選択手段)
28 ディスプレイ(施設名称候補抽出表示手段)
31 メインコントローラー(画像情報取得手段、施設名称候補抽出表示手段)
ステップS01 画像情報取得手段、施設名称候補抽出表示手段
ステップS02 施設名称候補抽出表示手段
ステップS03 施設名称選択手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設名称及び施設ジャンル及び施設位置を含む施設情報を記憶する施設情報記憶手段と、
前記施設ジャンル毎の重み係数を記憶する重み係数記憶手段と、
画像と該画像の撮影位置とを含む画像情報を外部から取得する画像情報取得手段と、
前記画像情報取得手段により取得した前記画像情報に関連する施設名称候補を前記施設情報記憶手段に記憶されている前記施設情報の前記施設名称から抽出して、抽出結果を表示する施設名称候補抽出表示手段と、
前記施設名称候補抽出表示手段により表示された前記施設名称候補から前記画像情報に付与する前記施設名称を選択する施設名称選択手段と、
前記施設名称選択手段により選択された前記施設名称を前記画像情報に付与して記憶する画像情報記憶手段と
を備え、
前記施設名称候補抽出表示手段は、前記画像情報取得手段により取得した前記画像情報から前記画像の撮影位置を抽出し、該撮影位置から所定距離範囲内に位置する施設の施設名称を前記施設情報記憶手段に記憶されている前記施設情報から抽出し、該施設名称に対応する前記施設ジャンルの重み係数を前記重み係数記憶手段に記憶されている前記重み係数から抽出し、該重み係数に基づいた順序で前記施設名称候補を表示する
ことを特徴とする施設名称付与装置。
【請求項2】
請求項1に記載の施設名称付与装置であって、
前記施設名称候補抽出表示手段は、前記撮影位置と前記施設名称候補の施設位置との距離を算出し、該距離及び前記重み係数に基づいた順序で前記施設名称候補を表示することを特徴とする施設名称付与装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−257195(P2011−257195A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130410(P2010−130410)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】