説明

旋回作業車

【課題】旋回台に支持台を十分な強度をもって防振支持し、該支持台上の運転操作部を安定した状態に保持する。
【解決手段】旋回台7に支持した支持台30上に運転操作部を備えた旋回作業車において、前記支持台30を平面視多角形状に構成し、該支持台30の各角部30a・30b・30c・30d・30eと旋回台7との間に防振部材46を介装した。そして、この運転操作部は支持台30に運転席や操作具やステップや空気調和装置などを支持して構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回台に支持した支持台上に運転操作部を備えた旋回作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ターニングフレーム(旋回台)に複数の支柱を立設し、これらの支柱上にキャビンなどを支持するフロアフレームを載置して溶接などの手段で一体的に固定した旋回作業車が公知となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−26945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述のような旋回作業車においては、当該旋回作業車の振動がキャビンや当該キャビンで覆う運転操作部などに及ぼす影響が大きくなり、走行状態によっては運転操作部での安定性が損なわれることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、旋回台に支持した支持台上に運転操作部を備えた旋回作業車であって、前記支持台を平面視多角形状に構成し、該支持台の各角部と旋回台との間に防振部材を介装したものである。
【0006】
請求項2においては、前記支持台に運転席や操作具やステップや空気調和装置などを支持して、前記運転操作部を構成したものである。
【0007】
請求項3においては、前記支持台の角部と旋回台との間に、該支持台の下方への移動を規制するストッパ構造を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
請求項1においては、防振部材により支持台を十分な強度をもって防振支持することが可能となり、運転操作部を水平に安定した状態に保持することができる。また、支持台を多角形状として、旋回台にその外周形状にあわせて配置することが可能となり、該支持台上の運転操作部を広くすることができる。
【0010】
請求項2においては、支持台上に運転席や操作具などの各種部材を組み付けた後、該支持台を旋回台に支持して運転操作部を旋回作業車に設置することが可能となり、組立性の向上を図ることができる。
【0011】
請求項3においては、支持台が過度に下方へ移動して、防振部材の設置部やその周辺の部材などを損傷させるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施例に係る旋回作業車の全体構成を示した側面図、図2は旋回台と支持台の構成を示した後方斜視図、図3は旋回台に支持台を支持した場合の構成を示した前方斜視図、図4は旋回台に支持台を支持した場合の構成を示した側面斜視図、図5は旋回台に支持台を支持した場合の構成を示した平面斜視図、図6は支持台の前側支持部の構成を示した正面図、図7は支持台の後側支持部の構成を示した背面図、図8は運転操作部の構成を示した斜視図である。
【0014】
まず、本発明の一実施例に係る旋回作業車1の概略構成について説明する。
【0015】
図1に示すように、旋回作業車1は、クローラ式走行装置2と、該クローラ式走行装置2の上部中央に左右旋回可能に支持される旋回体3と、該旋回体3の前部左右中央に装着される掘削作業装置4とを備えて構成されている。クローラ式走行装置2では、前後一側に排土装置6が上下回動可能に取り付けられて、該排土装置6により掘削作業に伴う整地作業を行うことができるようになっている。
【0016】
旋回体3では、旋回台7後部にエンジン8が設けられ、その後方および左右両側方からボンネット11で覆われている。旋回台7の左側前部から後部にかけては後述する支持台30が設けられ、該支持台30の下方に前記エンジン8や油圧ポンプなどが配置される一方、該支持台30の上方に運転操作部が運転席50や操作具51などを備えて構成され、キャビン18で覆われている。
【0017】
掘削作業装置4は、ブーム21と、アーム22と、バケット23とを備えて構成されている。ブーム21と、アーム22と、バケット23とはそれぞれシリンダ24・25・26の一端と連結されて、その伸縮駆動により回動可能とされている。そして、これらの各部材が運転操作部の操作具51の操作で回動するように構成されて、掘削作業装置4にて掘削作業や積込作業などを行うことができるようになっている。
【0018】
次に、前記旋回台7に支持台30を支持する構成について説明する。
【0019】
図2から図5に示すように、前記旋回台7は平面視で前端外周部を左右一直線状とする略半円状に形成されている。この旋回台7では、支持部7aが前端外周部の左右中央から前方に突出するように形成されて、該支持部7aに前記掘削作業装置4が支持可能とされている。旋回台7の前後左右中央には開口部7bが形成されて、該開口部7bに配設された旋回台軸受を介して当該旋回台7が前記クローラ式走行装置2に旋回可能に支持されている。
【0020】
また、旋回台7の左側には複数の支持体41〜44が前端部と、前後中途部と、後端部とに分かれて当該旋回台7と一体的に設けられ、これらの支持体41〜44により運転操作部(運転席50や操作具51やレバーや操作パネル等)や、該運転操作部を覆うキャビン18等を支持する支持台30が旋回台7上に支持可能とされている。
【0021】
旋回台7の左側前端部には第一支持体41と第二支持体42とがそれぞれ左右両側に具備されており、そのうち左側の第一支持体41は旋回台7の左前角部に取り付けられたカバー32の上下中途部に設けられ、右側の第二支持体42は旋回体7の支持部7aと一体的に構成されている。左右の第一支持体41と第二支持体42とは互いの高さが等しくなるように形成されて、その上面に防振部材46を取り付けることができるようになっている。
【0022】
旋回台7の左側前後中途部には第三支持体43が具備されており、これは略逆U字形のフレームで構成されて、旋回台7の最も左側に膨出する外周部に配置されている。この第三支持体43は高さが前記第一支持体41や第二支持体42の高さと等しくなるように旋回台7上に立設されて、その上面に防振部材46を取り付けることができるようになっている。
【0023】
旋回台7の左側後部には第四支持体44が具備されており、前記キャビン18の後部を支持するためのフレームと兼用されている。第四支持体44は支持プレート44aを左右方向に延伸して、該支持プレート44aの左右両側端部をそれぞれ旋回台7から立設した支持フレーム44b・44cで支持し、更に該支持プレート44aの左右中央部を前方に突出して、その突出部を旋回台7から立設した支持フレーム44dで支持する構成とされ、旋回台7に固定されている。
【0024】
この第四支持体44では、支持プレート44aが前方の前記第一ないし第三支持体41〜43よりも高く配置されて、その上面に左右一対の防振部材46・46を左寄りに取り付けることができるようになっている。なお、後述するように、これらの防振部材46・46を介して、第四支持体44に支持台30の後部が支持され、これにキャビン18の後部が固定されるようになっている。
【0025】
このように旋回台7の左側で前端部から後端部にかけての間に複数の支持体41〜44が適宜の間隔をおいて配置されている。そして、第一支持体41および第二支持体42と、第三支持体43とに防振部材46がそれぞれ高さを等しくして取り付けられるとともに、第四支持体44に左右一対の防振部材46が互いに高さを等しくして取り付けられて、各々の防振部材46・46を介して支持台30が支持体41〜44に強固で安定的に防振支持可能とされている。
【0026】
前記支持台30は水平部30Aと、段部30Bと、垂直部30Cとを備え、平面視台形状の水平部30Aの後端部に前低後高に斜設された段部30Bの下端部を連結して前後方向の階段状に形成され、更に該水平部30Aおよび段部30Bの右端部に垂直部30Cの下端部を連結して構成されている。水平部30Aには中央に開口部が設けられ、ここからその下方の旋回台7に備えた油圧機器などのメンテナンスを容易に行うことができるようになっている。
【0027】
この支持台30は平面視で多角形状、ここでは五角形状に形成されて、五つの角部30a〜30eがそれぞれ旋回台7上の前記支持体41〜44の上方に位置し、旋回台7の内側に収まるように配置されている。
【0028】
具体的には、支持台30はその水平部30Aに備えた左および右前の角部30a・30bがそれぞれ旋回台7の前端部における左側の第一支持体41と右側の第二支持体42の上方に位置し、水平部30Aに備えた左後の角部30cが旋回台7の前後中央部の第三支持体43の上方に位置し、段部30Bの左後および右後に備えた角部30d・30eが旋回台7の後端部の第四支持体44の上方に位置して、旋回台7の外周形状にあわせて左側に膨出するように配置されている。
【0029】
そして、支持台30の角部30a〜30eと、これらの各角部30a〜30eと対向配置された支持体41〜44との間に前記防振部材46が介装されている。これで支持台30がその五つの角部30a〜30eで支持体41〜44上の防振部材46を介して旋回台7の左側に前後にわたって防振支持されている。なお、支持台30は平面視で五角形状に限定するのものではなく、旋回台7の外周形状にあわせて屈曲して、幅広に構成することが好ましい。
【0030】
このように支持台30を平面視五角形状に形成し、その角部30a〜30eで防振支持する、つまり前後左右の四隅と左側前後中途部で防振支持することによって、その上に備える運転操作部を安定して強固に支持し、作業時に生じるオペレータへの振動を低減して、操縦性を向上させることができるようになっている。
【0031】
また、前記支持台30の前側角部30a・30bと旋回台7の左側前端部との間、および、支持台30の後側角部30d・30eと旋回台7の左側後端部との間には、該支持台30の下方への移動を規制するストッパ構造が備えられている。
【0032】
図6に示すように、前側のストッパ構造は、支持台30を旋回台7上の第一および第二支持体41・42に防振部材46を介して防振支持した状態で、該支持台30を第一支持体41を備えたカバー32と、第二支持体42を備えた支持部7aとに重複するように配置するとともに、該支持台30の下面とカバー32および支持部7aの上面との間に所定の上下幅L1を有する間隙を設けて構成されている。
【0033】
よって、カバー32および支持部7aの上面がそれぞれ第一および第二支持体41・42の上面よりも高い位置となるように設定されていることから、支持台30の前部に上下幅L1を超えて下方へ移動させる力が働いても、その移動途中で支持台30がカバー32および支持部7aに接触し、それ以上の下方への移動が規制されるようになっている。
【0034】
図7に示すように、後側のストッパ構造は、支持台30を旋回台7上の第四支持体44に防振部材46を介して防振支持した状態で、該支持台30を第四支持体44の支持プレート44aと重複するように配置するとともに、該支持台30の下面にブラケット48を固設し、該ブラケット48の下面と支持プレート44aの上面と間に所定の上下幅L2を有する間隙を設けて構成されている。
【0035】
こうして、支持台30の後部に上下幅L2を超えて下方へ移動させる力が働いても、その移動途中で支持台30のブラケット48が第四支持体44の支持プレート44aに接触し、それ以上の下方への移動が規制されるようになっている。
【0036】
そして、このように旋回台7に防振支持された多角形状の支持台30に運転席50や操作具51やステップ52や空気調和装置53などがキャビン18で覆われるように集中的に支持されて、該支持台30上にそのスペースを有効に活用して運転操作部が構成されている。
【0037】
たとえば、この運転操作部では、図8に示すように、支持台30の段部30Bの上下中途部に運転席50が設けられ、その左右両側方に操作レバーなどの操作具51が配置されている。水平部30Aにはステップ52が運転席50の前下方で左右方向に延びるように設けられ、垂直部30Cには空気調和装置53がステップ52の右側上に位置するように取り付けられるとともに、操作パネルや計器パネルなどが設けられている。さらに、支持台30の角部30a〜30eからキャビン18の支柱が立設されて、該キャビン18が支持可能とされている。
【0038】
以上のように、旋回台7に支持した支持台30上に運転操作部を備えた旋回作業車1であって、前記支持台30を平面視多角形状に構成し、該支持台30の各角部30a〜30eと旋回台7(支持体41〜44)との間に防振部材46を介装したことにより、該防振部材46により支持台30を十分な強度をもって防振支持することが可能となり、運転操作部を水平に保持することができる。また、支持台30を多角形状として、旋回台7にその外周形状にあわせて配置することが可能となり、該支持台30上の運転操作部を広くすることができる。
【0039】
また、前記旋回作業車1において、前記支持台30に運転席50や操作具51やステップ52や空気調和装置53などを支持して、前記運転操作部を構成したことにより、支持台30上に運転席50や操作具51などの各種部材を組み付けた後、該支持台30を旋回台7に支持して運転操作部を当該旋回作業車1に設置することが可能となり、組立性の向上を図ることができる。
【0040】
また、前記旋回作業車1において、前記支持台30の角部と旋回台7との間に、該支持台30の下方への移動を規制するストッパ構造を備えたことによって、該支持台30が過度に下方へ移動して、防振部材46の設置部やその周辺の部材などを損傷させるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施例に係る旋回作業車の全体構成を示した側面図。
【図2】旋回台と支持台の構成を示した後方斜視図。
【図3】旋回台に支持台を支持した場合の構成を示した前方斜視図。
【図4】旋回台に支持台を支持した場合の構成を示した側面斜視図。
【図5】旋回台に支持台を支持した場合の構成を示した平面斜視図。
【図6】支持台の前側支持部の構成を示した正面図。(a)左支持部の正面図。(b)右支持部の正面図。
【図7】支持台の後側支持部の構成を示した背面図。
【図8】運転操作部の構成を示した斜視図。
【符号の説明】
【0042】
1 旋回作業車
7 旋回台
30 支持台
30a 角部
30a 角部
30a 角部
30a 角部
30a 角部
50 運転席
51 操作具
52 ステップ
53 空気調和装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回台に支持した支持台上に運転操作部を備えた旋回作業車であって、前記支持台を平面視多角形状に構成し、該支持台の各角部と旋回台との間に防振部材を介装したことを特徴とする旋回作業車。
【請求項2】
前記支持台に運転席や操作具やステップや空気調和装置などを支持して、前記運転操作部を構成したことを特徴とする請求項1に記載の旋回作業車。
【請求項3】
前記支持台の角部と旋回台との間に、該支持台の下方への移動を規制するストッパ構造を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の旋回作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−35235(P2009−35235A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203538(P2007−203538)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】