説明

旋回型サイクロン

【課題】粗粒子を効率よく回収することのできる旋回型サイクロンを提供することを目的とする。
【解決手段】気体20中に含有される微粒子40から粗粒子41までの粒子分布を有する粒子群のうち、主として全粒子径分布の大径側に位置する粗粒子41と中間径を有する中間粒子42とを、旋回流Cを利用して選択的に前記気体20から分離回収する旋回型サイクロン11であって、円筒形の外筒部30aを有するサイクロン本体30と、前記外筒部30aの上端部に、その延在方向が前記外筒部30aの接線方向と平行になるように配置された気体流入管32と、前記外筒部30aの側壁に開口された開放口33aと連通する粗粒子排出管33とを具備してなり、前記開放口33aが、前記気体流入管32から流入する前記気体20の直進経路上に設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子を含有する気体からの粒子の分離回収に係り、特に微粒から粗粒までの粒子分布を有する粒子が含有される気体から粒子を選択的に回収することができるようにした旋回型サイクロンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石炭ガス化炉等の燃焼装置からの生成ガス処理やセラミックス工場、セメント工場等における粉塵処理に代表されるように、気体中に含有される粒子を高効率でかつ高除去率で以って分離回収する技術は各種工業において重要な課題とされている。一般に、気体中に含有される粒子は、重力、慣性力、遠心力、拡散、静電気力などの一或いは幾つかを組み合わせて利用することにより分離されており、捕捉粒子の粒度、粒子性状、気体中の粒子濃度等によって適宜選択される。
【0003】
その中でも、気体中の微粒子を除去する手段として濾過により粒子を分離回収するフィルタが多く用いられている。粒子回収装置に用いられるフィルタは、多数の細孔を有した構造をしており粒径が非常に小さい微粒子まで捕捉可能であるため、サイクロンや電気集塵機等の集塵装置と組み合わせて処理設備の後段側に配設されることが多い。フィルタに捕捉された粒子はフィルタ内部若しくは表面に堆積されて運転が進むにつれ目詰まりが発生しフィルタ前後の差圧が上昇する。そこで、通常は気体流の圧力損失が所定値に達した時に高圧ガスをフィルタ内に逆方向に瞬時に流すことにより逆洗浄を行い粒子を剥離除去している。
【0004】
しかし、後段側に配設されたフィルタにおいては、前段側で粒径が大である粗粒が捕集されているために主に微粒のみを捕捉することとなり、フィルタの目詰まりが発生し易くなる。つまり、フィルタ内部若しくは表面に微粒が堆積して短期間で逆洗浄等のメンテナンスを行う必要が生じ処理効率が悪化してしまう。また、微粒のみを捕捉したフィルタの場合、逆洗浄を行う際に除去効率が悪いという問題も抱えている。
そこで、かかる粒子回収を好適に行うシステムとして、石炭ガス化発電プラントに適用されたチャー回収システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、このチャー回収システムの問題点を解決しようとした粒子回収装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−325730号公報
【特許文献2】特開2003−336080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に開示されたチャー回収システムでは、ガス化炉にて発生した生成ガスからサイクロンで粗粒状の未反応チャーを回収した後、後段側に設置されたフィルタで細粒状のチャーを濾過している。さらに、前記ガス化炉から前記フィルタに至るバイパスラインを設けて粗粒状チャーをフィルタに直接供給している。これにより、フィルタ表面に捕捉されるチャーケーキの透過性を良好にし、逆洗効果を良好に保っている。
しかしながら、このようなチャー回収システムでは、前記ガス化炉から生成ガスを引き抜きフィルタにバイパスさせるためガス流量制御を行うコントロールボックスを設けなければならず制御が煩雑化してしまう。また、バイパスした生成ガス中に含有される粒子には粗粒以外の粒子も多く含んでおり、圧力損失の増加抑制効果が現れる量の粗粒をバイパスさせるとフィルタへの負荷がかかりすぎてしまうおそれがある。さらに、バイパスラインを具備する必要があるため装置の複雑化も避けられないといった問題点があった。
【0007】
そこで、これら問題点を解決しようとした前記特許文献2に開示された粒子回収装置があるが、この粒子回収装置では、粗粒チャー(粗粒子)のうち直進経路上に開放口を有するものは、開放口から内筒を介してポーラスフィルタに送給することができ、粗粒チャーのうち直進経路上に開放口がないものは、中間粒チャー(中間粒子)とともにチャー排出口からホッパに回収されるようになっている。開放口はガス流入管路の内側(内筒の中心軸線側)の側壁内面と略同一平面上に位置しているため、粗粒チャーを効率よく回収することができず、そのため、粗粒チャーが多く含まれたチャー含有ガスをポーラスフィルタに送給することができないといった問題点があった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、粗粒子を効率よく回収することのできる旋回型サイクロンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
請求項1に記載の旋回型サイクロンは、気体中に含有される微粒子から粗粒子までの粒子分布を有する粒子群のうち、主として全粒子径分布の大径側に位置する粗粒子と中間径を有する中間粒子とを、旋回流を利用して選択的に前記気体から分離回収する旋回型サイクロンであって、円筒形の外筒部を有するサイクロン本体と、前記外筒部の上端部に、その延在方向が前記外筒部の接線方向と平行になるように配置された気体流入管と、前記外筒部の側壁に開口された開放口と連通する粗粒子排出管とを具備してなり、前記開放口が、前記気体流入管から流入する前記気体の直進経路上に設けられていることを特徴とする。
このような旋回型サイクロンによれば、気体中に含有されて外筒部内に導入された粒子群のうち、質量が大きく旋回流による影響を受けやすい(旋回流により発生する遠心力が大きい)粗粒子は、旋回流によって外筒部の内壁面(側壁内側面)に押しつけられるとともにこの外筒部の内壁面に沿って進んだ後、開放口を通って粗粒子排出管から流出することとなる。
一方、粗粒子以外の粒子(中間粒子および微粒子)は、粗粒子ほど旋回流による影響を受けない(旋回流により発生する遠心力が大きくない)ので、旋回流による影響を受けて外筒部の内壁面(側壁内側面)に到着するのに時間がかかり、気体流入管近傍の開放口を通って粗粒子排出管から流出するようなことはない。また、微粒子は遠心力より気体の抵抗力が大きいため、外筒部の内壁面に到着することはなく、気体とともに系外に排出される。
また、このような旋回型サイクロンによれば、気体流入管から流入する気体の直進経路上に開放口が設けられているので、慣性力の大きい(直進性の強い)粗粒子は開放口に向かって進み、開放口を通って粗粒子排出管から流出することとなる。
【0010】
請求項2に記載の旋回型サイクロンは、前記開放口の開度を変更する開放口開度変更手段が具備されていることを特徴とする。
このような旋回型サイクロンによれば、入口ダスト濃度が高い場合や、サイクロン効率が低い場合、あるいは下流側に位置する(ポーラス)フィルタの差圧が高い場合に、開放
口が大きくなるようにし、入口ダスト濃度が低い場合や、サイクロン効率が高い場合、あるいは(ポーラス)フィルタの差圧が低い場合に、開放口が小さくなるようにする。
【0011】
請求項3に記載の旋回型サイクロンは、前記開放口開度変更手段が、ゲート弁とされていることを特徴とする。
このような旋回型サイクロンによれば、開放口開度変更手段として安価で入手しやすいゲート弁が採用されている。
【0012】
請求項4に記載の石炭ガス化複合発電システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の旋回型サイクロンと、この旋回型サイクロンにより回収された粗粒子が供給されるフィルタとを具備してなることを特徴とする。
このような石炭ガス化複合発電システムによれば、旋回型サイクロンにより回収された粗粒子を多く含む気体がフィルタに供給されることになり、このフィルタの圧力損失の低減化が図られることになる。
【0013】
請求項5に記載の加圧流動床ボイラ複合発電システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の旋回型サイクロンと、この旋回型サイクロンにより回収された粗粒子が供給されるフィルタとを具備してなることを特徴とする。
このような加圧流動床ボイラ複合発電システムによれば、旋回型サイクロンにより回収された粗粒子を多く含む気体がフィルタに供給されることになり、このフィルタの圧力損失の低減化が図られることになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、粗粒子が効率よく回収することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による旋回型サイクロンの一実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】本発明による旋回型サイクロンの他の実施形態を示す全体斜視図である。
【図3】本発明による旋回型サイクロンの別の実施形態を示す全体斜視図である。
【図4】本発明による旋回型サイクロンを具備した石炭ガス化複合発電システムの要部概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明による旋回型サイクロンの一実施形態について、石炭ガス化炉を具備した石炭ガス化複合発電システムに適用した具体例を説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0017】
図4は石炭ガス化複合発電システムの要部概略構成図であり、この石炭ガス化複合発電システム1は、石炭ガス化炉10と、旋回型サイクロン11と、ポーラスフィルタ12と、ホッパ13と、ガス精製設備14と、熱交換器15と、複合発電設備(図示せず)と、共通設備(図示せず)とを主たる要素として構成されたものである。
【0018】
石炭ガス化炉10は、リダクタ16とコンバスタ17からなる空気吹き加圧二段噴流床式石炭ガス化炉で、コンバスタ17内に微粉炭(石炭)27とチャーと空気26および必要に応じて酸素富化空気とを投入して高温燃焼した後、さらにその上方のリダクタ16内に微粉炭(石炭)27を投入してコンバスタ17の高温燃焼を利用して乾留ガス化させるものである。
【0019】
旋回型サイクロン11は、石炭ガス化炉10により生成された生成ガス(気体)20から粗粒チャー(粗粒子)および中間粒チャー(中間粒子)を捕捉する旋回流を利用したサイクロンで、図1に示すように、サイクロン本体30と、内筒31と、生成ガス流入管(気体流入管)32と、粗粒チャー排出管(粗粒子排出管)33とを有するものである。
サイクロン本体30は、上方に位置する円筒形の外筒部30aと、下方に位置する円錐形の外筒部30bとを有するもので、その内部は中空となるように構成されている。
内筒31は、外筒部30aの上面中央部を貫通して設けられた中空円筒形のものであり、その下端に設けられたガス排出口31aが生成ガス流入管32の底面と略同じ位置かそれよりも低い位置に位置するように設けられている。
生成ガス流入管32は、外筒部30aの上端部に、その延在方向が内筒31の延在方向と直交する方向に配置された(すなわち、その延在方向が外筒部30aの接線方向と平行になるように配設された)中空でかつ断面視矩形状を有するものである。
粗粒チャー排出管33は、外筒部30aの上端部側面(本実施形態では、生成ガス流入管32の出口孔32aと対向する位置)に開放口33aを有する中空円筒形のもので、この開放口33aは正面視略円形をした貫通孔である。
【0020】
生成ガス流入管32を介してかかる旋回型サイクロン11に投入された生成ガス20は、主としてサイクロン本体30の外筒部30a,30bの内部を旋回しながら下降し、その後、反転上昇してガス排出口31aを通って内筒31から流出するようになっている。
このとき、生成ガス20に搬送されてサイクロン11内に導入されたチャーのうち微粒チャー(微粒子)40は、質量が小さく旋回流Cによる影響を受け難い(旋回流Cにより発生する遠心力が小さい)ので、生成ガス20とともにガス排出口31aから内筒31内へ流出するようになっている。
一方、生成ガス20に搬送されてサイクロン11内に導入されたチャーのうち、粗粒チャー41は質量が大きく旋回流Cによる影響を受け易い(旋回流Cにより発生する遠心力が大きい)ので、旋回流Cによって外筒部30aの内壁面(側壁内側面)に押しつけられるとともにこの外筒部30aの内壁面に沿って進むようになり、開放口33aを通って生成ガス20とともに粗粒チャー排出管33から流出するようになっている。
また、内筒31および粗粒チャー排出管33によって回収されなかった中間粒チャー42は、サイクロン本体30の外筒部30a,30bの内部または内壁面を旋回しながら沈降し、チャー排出口30b’からホッパ13に回収されるようになっている。
【0021】
ポーラスフィルタ12は、旋回型サイクロン11から排出された微粒・粗粒チャー含有ガス21から残存チャー(微粒チャー40および粗粒チャー41)23を捕捉するものであり、捕捉された残存チャー23はホッパ13に回収されるようになっている。
ホッパ13は、旋回型サイクロン11およびポーラスフィルタ12にて捕捉されたチャーを回収し貯留するものである。そして、このホッパ13に貯留された未反応チャー24は、石炭ガス化炉10に返送されて再度燃焼に用いられるようになっている。
一方、前記ポーラスフィルタ12により残存チャーを略完全に除去された清浄ガス25はガス精製設備14に送給される。
【0022】
精製設備14は、脱硫設備(図示せず)と石膏回収設備(図示せず)とを備えている。脱硫設備は、生成ガスに含まれている石炭由来の硫黄S分(例えば、HSやCOS等)を生成ガスから除去するものである。この除去の方法としては、湿式脱硫が適用される。石膏回収設備は、除去された硫黄Sを炭酸カルシウムCaCOに混合し、石膏に固定化して回収するものである。そして、脱硫設備は、硫黄S分が除去された精製ガスを複合発電設備に供給するようになっている。
熱交換器15は、石炭ガス化炉10により生成された生成ガスを約400℃に冷却するものであり、このとき、熱交換器15により回収された熱は、複合発電設備の蒸気タービンに供給され発電に利用される。
【0023】
複合発電設備は、燃焼器(図示せず)と、ガスタービン(図示せず)と、排熱回収ボイラ(図示せず)と、蒸気タービン(図示せず)と、発電機(図示せず)とを備えている。
燃焼器は、精製ガスに圧縮した空気を混合して燃焼させ、高温高圧のガスを生成するものである。
ガスタービンは、その高温高圧のガスでタービンを回転させて発電機に動力を伝達するものである。
排熱回収ボイラは、ガスタービンの排気(廃熱)を利用して、高温高圧の蒸気を発生させるものである。
蒸気タービンは、排熱回収ボイラおよび熱交換器15により生成された高温高圧の蒸気を用いてタービンを回転させて発電機に動力を伝達するものである。
発電機は、供給された動力を用いて電力を生成するものである。
【0024】
共通設備は、煙突(図示せず)と、空気昇圧機(図示せず)と、空気分離装置(図示せず)とを備えている。
煙突は、石炭ガス化複合発電システム1から排出される燃焼生成物を環境中(大気中)に排気するものである。
空気昇圧機は、ガスタービンの圧縮機から抽出した圧縮空気を更に圧縮して高圧空気を生成し、その高圧空気を石炭ガス化炉10に供給するものである。
空気分離装置は、空気を気体酸素Oと気体窒素Nとに分離するものであり、分離された窒素Nは、石炭およびチャーを石炭ガス化炉1に搬送するためや、加圧・シールのために用いられる。酸素Oは、石炭に対して所定の量が石炭ガス化炉1に供給されるようになっている。
【0025】
旋回型サイクロン11を上記のように構成したことにより、粗粒チャー41を従来のものよりもより多く回収することができ、粗粒チャー41が多く含まれたチャー含有ガスをポーラスフィルタ12に送給することができるとともに、このポーラスフィルタ12の圧力損失を低減させることができる。
また、粗粒チャー排出管33により粗粒チャー41をより多く回収することができるようになっているので、サイクロン本体30の外筒部30a,30bの内部を旋回しながら下降していく粒子の量が減少し、これら粒子とサイクロン本体30の外筒部30a,30bの内壁面との摩擦係数が減少するので、旋回流Cの速度を上昇させることができて、サイクロン効率を向上させることができる。
【0026】
本発明による旋回型サイクロンの他の実施形態を、図2を用いて説明する。
本実施形態における旋回型サイクロン211は、開放口33aの代わりに開口部233aが設けられているとともに、開放口位置変更手段50と、この開放口位置変更手段50に形成された開放口50aの開度を変更する開放口開度変更手段51とを具備しているという点で前述した実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。また、図2においては、図面を簡略化するため粗粒チャー排出管33は図示していない。
【0027】
サイクロン本体230の外筒部230aに形成された開口部(貫通孔)233aは、例えば、上下方向に延在する長孔である。
開放口位置変更手段50は、その中央部に円形の開放口50aが形成された、例えば、ゲート弁であり、開放口50aの全体と開口部233aの一部とが常に連通するように配置されているとともに、図中の実線矢印に示すような上下方向に単独で移動できるように構成されている。
すなわち、開放口位置変更手段50と開口部233aとにより、開放口50aの位置が上下方向に変更(調整)可能となっている。具体的には、生成ガス流入管32を介して流入する生成ガス20の流速が速いときには、開放口50aの高さを生成ガス流入管32の出口と同じ高さになるようにし、生成ガス20の流速が遅いときには、開放口50aの高さを生成ガス流入管32の出口よりも下に下げるようにする。
【0028】
一方、開放口開度変更手段51は、その周方向における中央部に、上下方向に延在する貫通孔51aが形成された、例えば、ゲート弁であり、貫通孔51aが開放口50aの外側に重なるように(オーバラップするように)配置されているとともに、図中の実線矢印に示すような上下方向に単独で移動できるように構成されている。
なお、貫通孔51aは、その内径が一端側(図において上側)から他端側(図において下側)にかけて一定とされた開口部233aとは異なり、その内径が一端側(図において上側)において開放口50aの内径と同じ内径を有するとともに、他端側(図において下側)において開放口50aの内径よりも小さい内径を有し、かつその内径が一端側から他端側にかけて先細りとなるように形成されている。
すなわち、開放口開度変更手段51の貫通孔51aと開口部233aとにより、開放口50aの開度が変更(調整)可能となっている。具体的には、入口ダスト濃度が高い場合や、サイクロン効率が低い場合、あるいはポーラスフィルタ12の差圧が高い場合に、開放口50aが大きくなるようにし、入口ダスト濃度が低い場合や、サイクロン効率が高い場合、あるいはポーラスフィルタ12の差圧が低い場合に、開放口50aが小さくなるようにする。
【0029】
このような開口部233a、開放口位置変更手段50、および開放口開度変更手段51を設けることにより、開放口50aの位置を上下方向に移動させることができるばかりでなく、開放口50aの開度を調整することができて、粗粒チャーの回収率を変更(調整)することができる。
【0030】
本発明による旋回型サイクロンの別の実施形態を、図3を用いて説明する。
本実施形態における旋回型サイクロン311は、開放口33aの代わりに開口部333aが設けられているとともに、開放口位置変更手段52と、この開放口位置変更手段52に形成された開放口52aの開度を変更する開放口開度変更手段53とを具備しているという点で前述した実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。また、図3においては、図面を簡略化するため粗粒チャー排出管33は図示していない。
【0031】
サイクロン本体330の外筒部330aに形成された開口部(貫通孔)333aは、例えば、周方向に延在する長孔である。
開放口位置変更手段52は、その中央部に円形の開放口52aが形成された、例えば、ゲート弁であり、開放口52aの全体と開口部333aの一部とが常に連通するように配置されているとともに、図中の実線矢印に示すような周方向に単独で移動できるように構成されている。
すなわち、開放口位置変更手段52と開口部333aとにより、開放口52aの位置が周方向に変更(調整)可能となっている。具体的には、生成ガス流入管32を介して流入する生成ガス20の流速が速いときには、開放口52aが粗粒チャー排出管33の側に近づくようにし、生成ガス20の流速が遅いときには、開放口52aが生成ガス流入管32の側に近づくようにする。
【0032】
一方、開放口開度変更手段53は、その上下方向における中央部に、周方向に延在する貫通孔53aが形成された、例えば、ゲート弁であり、貫通孔53aが開放口52aの外側に重なるように(オーバラップするように)配置されているとともに、図中の実線矢印に示すような周方向に単独で移動できるように構成されている。
なお、貫通孔53aは、その内径が一端側(図において左側)から他端側(図において右側)にかけて一定とされた開口部333aとは異なり、その内径が一端側(図において左側)において開放口52aの内径と同じ内径を有するとともに、他端側(図において右側)において開放口52aの内径よりも小さい内径を有し、かつその内径が一端側から他端側にかけて先細りとなるように形成されている。
すなわち、開放口開度変更手段53の貫通孔53aと開口部333aとにより、開放口52aの開度が変更(調整)可能となっている。具体的には、入口ダスト濃度が高い場合や、サイクロン効率が低い場合、あるいはポーラスフィルタ12の差圧が高い場合に、開放口52aが大きくなるようにし、入口ダスト濃度が低い場合や、サイクロン効率が高い場合、あるいはポーラスフィルタ12の差圧が低い場合に、開放口52aが小さくなるようにする。
【0033】
このような開口部333a、開放口位置変更手段52、および開放口開度変更手段53を設けることにより、開放口52aの位置を周方向に移動させることができるばかりでなく、開放口52aの開度を調整することができて、粗粒チャーの回収率を変更(調整)することができる。
【0034】
なお、本発明による旋回型サイクロンは、上述した石炭ガス化複合発電システムにのみ適用され得るものではなく、例えば、加圧流動床ボイラ、燃料供給システム、高温脱塵設備、蒸気タービン、ガスタービン、排熱回収給水加熱器、および乾式アンモニア接触還元式脱硝設備(SCR)を具備する加圧流動床ボイラ複合発電システム(PFBC)にも適用可能であり、また、これに限らず、各種燃焼装置、粉塵処理装置等の粒子含有気体から様々な粒子径を有する粒子を回収する装置であればいずれのものにも適用可能である。
【0035】
また、開放口33a、開口部233a,333aの形状は、上述した正面視略円形のものや、上下方向あるいは周方向に延在する長孔状のものに限定されるものではなく、適宜必要に応じていかなる形にも変更することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 石炭ガス化複合発電システム
11 旋回型サイクロン
20 生成ガス(気体)
30 サイクロン本体
30a 外筒部
32 生成ガス流入管(気体流入管)
33 粗粒チャー排出管(粗粒子排出管)
33a 開放口
40 微粒チャー(微粒子)
41 粗粒チャー(粗粒子)
42 中間粒チャー(中間粒子)
50 開放口位置変更手段
50a 開放口
51 開放口開度変更手段
52 開放口位置変更手段
52a 開放口
53 開放口開度変更手段
211 旋回型サイクロン
230 サイクロン本体
230a 外筒部
233a 開口部
311 旋回型サイクロン
330 サイクロン本体
330a 外筒部
333a 開口部
C 旋回流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体中に含有される微粒子から粗粒子までの粒子分布を有する粒子群のうち、主として全粒子径分布の大径側に位置する粗粒子と中間径を有する中間粒子とを、旋回流を利用して選択的に前記気体から分離回収する旋回型サイクロンであって、
円筒形の外筒部を有するサイクロン本体と、前記外筒部の上端部に、その延在方向が前記外筒部の接線方向と平行になるように配置された気体流入管と、前記外筒部の側壁に開口された開放口と連通する粗粒子排出管とを具備してなり、
前記開放口が、前記気体流入管から流入する前記気体の直進経路上に設けられていることを特徴とする旋回型サイクロン。
【請求項2】
前記開放口の開度を変更する開放口開度変更手段が具備されていることを特徴とする請求項1に記載の旋回型サイクロン。
【請求項3】
前記開放口開度変更手段が、ゲート弁とされていることを特徴とする請求項2に記載の旋回型サイクロン。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の旋回型サイクロンと、この旋回型サイクロンにより回収された粗粒子が供給されるフィルタとを具備してなることを特徴とする石炭ガス化複合発電システム。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の旋回型サイクロンと、この旋回型サイクロンにより回収された粗粒子が供給されるフィルタとを具備してなることを特徴とする加圧流動床ボイラ複合発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−23032(P2010−23032A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190021(P2009−190021)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【分割の表示】特願2004−308625(P2004−308625)の分割
【原出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】