説明

日焼け止め化粧料

【課題】衣服への2次付着による染着を防止する日焼け止め化粧料を提供すること。
【解決手段】ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルと、下記一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール誘導体とを含有することを特徴とする日焼け止め化粧料。
一般式(I)


(式中、R’=C1〜C6の直鎖のアルキル基、R”=C1〜C3の直鎖のアルキル基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は日焼け止め化粧料に関するものである。さらに詳しくは、衣服への2次付着による染着を防止する日焼け止め化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
日焼け止め化粧料による重要な紫外線吸収波長領域は、UV−A領域(320〜400nm)とUV−B領域(290〜320nm)である。そして、UV−A領域の紫外線は皮膚を黒化させるが、UV−B領域の紫外線のようにサンバーンを起こし、皮膚の老化を促進させるものではないと考えられていた。
【0003】
ところが近年になって、UV−B領域の紫外線が比較的、皮膚の表面部分にとどまるのに対して、UV−A領域の紫外線が、皮膚の深部にまで達し、皮膚の老化はもとより皮膚癌を誘発する原因となることが分かってきた。このように、日焼け止め化粧料には特にUV−A領域の紫外線吸収への要求が高まっている。
【0004】
日焼け止め化粧料に配合される紫外線吸収剤には多くの種類が存在するが、UV−A領域の紫外線吸収剤の一つとして、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルが使用されている。
【0005】
一方、UV−B領域の紫外線吸収剤であるp−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシルを配合した皮膚外用剤に、一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール誘導体を配合すると、UV−A領域においても優れた紫外線吸収を有し、かつp−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシルの着色性を防いで紫外線吸収効果の持続性を向上させた皮膚外用剤が開発されている(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特開2005―206473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは有用なUV−A領域の紫外線吸収剤ではあるが、これを日焼け止め化粧料に配合すると、衣服に二次付着した際に染着しやすいという問題点がある。したがって、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは日焼け止め化粧料に高配合することが出来ない。
【0008】
本発明者らは、上記問題点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルと特定構造のベンゾトリアゾール誘導体とを日焼け止め化粧料に配合すると、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの衣服に対する染着性が低減することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明の目的は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの衣服に対する染着性が低減し、UV−A領域に特に優れた日焼け止め化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルと、下記一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール誘導体とを含有することを特徴とする日焼け止め化粧料を提供するものである。

一般式(I)
【化1】

(式中、R’=C1〜C6の直鎖のアルキル基、R”=C1〜C3の直鎖のアルキル基である。)
【0011】
また、本発明は、前記ベンゾトリアゾール誘導体が、2−[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−イソブトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする上記の日焼け止め化粧料を提供するものである。
【0012】
さらに、本発明は、さらに2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルヘキシルを含有することを特徴とする上記の日焼け止め化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
(1)本発明の日焼け止め化粧料は、4−(1,1−ジメチルエチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタンの衣服に対する染着性を低減する。したがって、日焼け止め化粧料に高配合することが可能となる。
(2)本発明の日焼け止め化粧料は、UV−A、UV−Bに至る幅広い領域にて高い紫外線吸収能を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について詳述する。
【0015】
「ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル」
本発明に用いるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは、下記式で示されるUV−A領域の紫外線吸収剤である。本発明においては、市販品(ユビナールA plus:BASF製)を利用できる。
【化2】

【0016】
「一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール誘導体」
一般式(I)のベンゾトリアゾール誘導体は公知の化合物であり、以下のようにして合成する。すなわち、o−ニトロアニリンを亜硝酸ソーダ等でジアゾニウム塩とし、フェノールとカップリングしてモノアゾ化合物を合成した後、還元してベンゾトリアゾールとする方法が一般的である。



(A法)
第1工程
【化3】

第2工程
【化4】

第3工程
【化5】

第4工程
【化6】

(式中、2,3−DCNは2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンを表す。)
第5工程
【化7】

(式中、R=HもしくはCH3、R’=C1〜C6の直鎖のアルキル基、R”=C1〜C3の直鎖のアルキル基である。)
(B法)
第1工程
【化8】

第2工程
【化9】



第3工程
【化10】

第4工程
【化11】

第5工程
【化12】

(式中、R’=C1〜C6の直鎖のアルキル基、R”=C1〜C3の直鎖のアルキル基である。なお、2,3−DCNは2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンを表す。)
【0017】
また、対応するベンゾトリアゾールと、ハロゲン化アルキルとをメチルイソブチルケトンとジメチルホルムアミドとの混合溶媒中にて還流すると、特に高い収率で一般式(I)の化合物が製造できる。
より具体的に説明すれば、6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)レゾルシノールを、温度計と還流冷却器を備えた四つ口フラスコに入れ、メチルイソブチルケトンとジメチルホルムアミドとを加えて撹拌する。この中に炭酸ソーダと2−エチルヘキシルブロマイドとを加えて撹拌しながら還流温度まで加熱する。還流温度を保持しながら所定時間撹拌した後、メチルイソブチルケトンを常圧で回収して残留したオイルを水洗にて過剰の炭酸ソーダと生成した無機物を除去し、液状の2−[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールが高い収率で得られる。
【0018】
「2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルヘキシル」
2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルヘキシルは、下記式で示される公知のUV−B領域の紫外線吸収剤である。この紫外線吸収剤をさらに配合することにより、UV−A領域の紫外線吸収能に特に優れ、かつUV−Bに至る幅広い領域にて高い紫外線吸収能を発揮する日焼け止め化粧料を提供できる。本発明においては、市販品(オクトクリレン:DSMニュートリション(株)製)を利用できる。
【化13】

【0019】
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの配合量は、目的の製品に応じて適宜決定されるが、日焼け止め化粧料全量に対して0.5〜5質量%が好ましく、1〜3質量%がさらに好ましい。特に2質量%以上の高配合の場合に本発明の意義が大きい。
【0020】
一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール誘導体の配合量は、目的の製品に応じて適宜決定されるが、日焼け止め化粧料全量に対して0.5〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。
【0021】
2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルヘキシルの配合量は、目的の製品に応じて適宜決定されるが、日焼け止め化粧料全量に対して0.5〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。
【0022】
本発明の日焼け止め化粧料は、上記必須成分以外に、通常化粧料に用いられる成分、例えば、美白剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、その他の紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合して常法により製造することができる。具体的には次のような配合成分が挙げられる。
【0023】
アボカド油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、月見草油、ヒマシ油、ヒマワリ油、茶実油、コメヌカ油、ホホバ油、カカオ脂、ヤシ油、スクワレン、牛脂、モクロウ、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、流動パラフィン、ポリオキシエチレン(8モル)オレイルアルコールエーテル、モノオレイン酸グリセリル、シクロメチコン、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンなどの油分。
カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、コレステロール、フィトステロールなどの高級アルコール。
カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸、リノール酸、リノレン酸などの高級脂肪酸。
ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ムコ多糖、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キトサンなどの保湿剤。
メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアガム、ポリビニルアルコールなどの増粘剤。
エタノール、1,3−ブチレングリコールなどの有機溶剤。
ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、フィチン酸などの酸化防止剤。
安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル(エチルパラベン、ブチルパラベンなど)、ヘキサクロロフェンなどの抗菌防腐剤。
グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン、タウリン、アルギニン、ヒスチジンなどのアミノ酸と塩酸塩。
アシルサルコシン酸(例えばラウロイルサルコシンナトリウム)、グルタチオン、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などの有機酸。
ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2及びその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15及びその誘導体などのビタミンB類、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル(塩)、アスコルビン酸ジパルミテートなどのビタミンC類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート、ビタミンEニコチネートなどのビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチンなどのビタミン類。
ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸及びその誘導体、ヒノキチオール、ムシジン、ビサボロール、ユーカリプトール、チモール、イノシトール、サポニン類(サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニンなど)、パントテニルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、トラネキサム酸、セファランチン、プラセンタエキスなどの各種薬剤。
ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、タイム、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センキュウ、センブリ、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラなどの有機溶剤、アルコール、多価アルコール、水、水性アルコールなどで抽出した天然エキス。
ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイドなどのカチオン界面活性剤。
エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤。
香料、スクラブ剤、精製水など。
【0024】
本発明の日焼け止め化粧料の特に好ましい基剤は、デカメチルシクロペンタシロキサン、イソノナン酸イソノニル、ジメチルポリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、流動パラフィン、スクワラン、イソオクタン酸セチル、イソオクタン酸トリグリセライド、コハク酸ジ2−エチルヘキシルの油分である。本発明は特にデカメチルシクロペンタシロキサンを主成分基剤とする日焼け止め化粧料に好ましく利用される。
【0025】
本発明の日焼け止め化粧料は、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション等の製品形態が挙げられる。またその剤型も特に問わない。
【実施例】
【0026】
以下に実施例により本発明を具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0027】
<一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール誘導体の合成例>
「合成例1:2−[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールの合成」
常法により合成した6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)レゾルシノール45.4g(0.20モル)を温度計、還流冷却器を備えた500ml四つ口フラスコに入れ、メチルイソブチルケトン50ml、ジメチルホルムアミド4.0gを加えて撹拌した。この中に炭酸ソーダ25.4g(0.24モル)、および2−エチルヘキシルブロマイド77.2g(0.40モル)を加えて撹拌しながら還流温度まで加熱した。還流温度を保持しながら15時間撹拌した後、メチルイソブチルケトンを常圧で回収して残留したオイルを水洗にて、過剰の炭酸ソーダと生成した無機物を除去した。このオイルから減圧蒸留して220〜225℃/0.2〜0.3mmHgの黄色透明の留分52.1gを得た。この化合物は、常温域で液状であり、収率は、76.7%、HPLC純度99.0%であった。
【0028】
「合成例2:2−(2−ヒドロキシ−4−イソブトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの合成」
2−エチルヘキシルブロマイドの替わりに臭化イソブチルを同モル量使用して合成例1と同様に行った。微黄灰白色の粉末状結晶を収率72.5%で得た。m.p.120.0から120.8℃、λmax=345.6nm、ε=21750であった。
【0029】
「表1」に示すW/Oサンスクリーンを常法により製造し、2次付着による染着性を調べた。


【0030】
【表1】

*1:2−[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール
【0031】
「染着性の測定方法」
図1に示すように、サンプルを腕に厚めに塗布し、ブロード綿の中央に転写にし(転写量約0.06g)、一日室内に放置した後、通常の衣類用洗剤を使用して洗濯し、分光測色計(ミノルタ(株):現コニカミノルタセンシング(株)製CM-2002)で、ΔE及びΔYIを測定した。結果を図2に示す。
【0032】
図2から、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの染着性は、一般式(I)のベンゾトリアゾール誘導体を配合することで低減する。また高配合した場合でも、その染着性は配合しない場合と比較して低減する。
【0033】
以下に本願発明の日焼け止め化粧料の処方例を挙げる。いずれも、衣服に対する染着性が低減し、優れた紫外線吸収能を発揮する日焼け止め化粧料である。
【0034】
「実施例4:日焼け止め化粧料 W/O乳液」
質量%
1.ジメチルポリシロキサン 1
2.デカメチルシクロペンタシロキサン 25
3.トリメチルシロキシケイ酸 5
4.ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1
5.ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1
6.イソノナン酸イソノニル 5
7.ジプロピレングリコール 5
8.グリチルリチン酸ジカリウム 0.02
9.グルタチオン 1
10.チオタウリン 0.05
11.クララエキス 1
12.パラベン 適量
13.フェノキシエタノール 適量
14.パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 7.5
15.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 0.5
16.球状ポリアクリル酸アルキル粉体 5
17.ブチルエチルプロパンジオール 0.5
18.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2
19.合成例2のベンゾトリアゾール誘導体 5
20.疎水化処理酸化亜鉛または疎水処理酸化チタン 15
21.精製水 残余
製造方法
油相に水相を徐々に添加し添加終了後、攪拌機を用いて乳化粒子が均一になるように調製した。
【0035】
「実施例5:日焼け止め化粧料 O/W乳液」
質量%
1.ポリオキシエチレン硬化ひまし油 1
2.ジメチコンコポリオール 0.5
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 15
4.イソステアリン酸 0.5
5.フェニルトリメチコン 1
6.疎水化処理酸化チタン 5
7.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 3
8.パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 5
9.合成例1のベンゾトリアゾール誘導体 2
10.シリカ 1
11.クエン酸 0.01
12.クエン酸ナトリウム 0.09
13.パラベン 適量
14.フェノキシエタノール 適量
15.エタノール 5
16.ダイナマイトグリセリン 1
17.サクシノグルカン 0.2
18.セルロースガム 1
19.イオン交換水 残余
製造方法
10〜19の水相を調製後、1〜9の油相に徐々に添加し、最後にホモミキサーを用いて攪拌した。
【0036】
「実施例6:日焼け止め化粧料 O/W/O乳液」
質量%
1.ポリオキシエチレン(50)ポリオキシプロピレン(40)
ブロック共重合体ジメチルエチル 0.5
2.イソステアリン酸 0.2
3.パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 7.5
4.合成例2のベンゾトリアゾール誘導体 2.0
5.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2.0
6.デカメチルシクロペンタシロキサン 35
7.ポリオキシブチレンポリオキシプロピレングリコール 2.0
8.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 0.5
9.疎水化処理酸化チタン 12.0
10.クエン酸 0.04
11.クエン酸ナトリウム 0.06
12.ジプロピレングリコール 2.0
13.メチルグルコース 1.0
14.ダイナマイトグリセリン 1.0
15.食塩 0.1
16.メチルパラベン 適量
17.フェノキシエタノール 適量
18.イオン交換水 残余
製造方法
1〜5の油相を10〜18の水相に徐々に添加してO/W製剤を得た。この製剤を6〜9の油相中に徐々に添加後、ホモミキサーで攪拌を行い目的の乳液を得た。
【0037】
「実施例7:セルフタンニング化粧料」
質量%
A部
1.1,3−ブチレングリコール 5
2.グリセリン 2
3.ジヒドロキシアセトン 5
4.エデト酸二ナトリウム 0.05
5.パラベン 適量
6.イオン交換水 残余
B部
7.ステアリン酸グリセリル 4
8.ベヘニルアルコール 3
9.ステアリルアルコール 2
10.シリコーン油 1
11.パーム硬化油 2
12.流動パラフィン 7
13.合成例2のベンゾトリアゾール誘導体 2
14.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2
15.香料 適量
製造方法
A部のイオン交換水にエデト酸二ナトリウム、ジヒドロキシアセトン、グリセリン、1,3−ブチレングリコールに加熱溶解したパラベンを添加し溶解する。B部の各成分を十分に溶解し加熱し、A部に添加して乳化する。これを冷却してセルフタンニングクリームを得た。
【0038】
「実施例8:日焼け止め化粧料 W/O乳液」
質量%
1.ジメチルポリシロキサン 1
2.デカメチルシクロペンタシロキサン 25
3.トリメチルシロキシケイ酸 5
4.ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1
5.ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1
6.イソノナン酸イソノニル 5
7.ジプロピレングリコール 5
8.グリチルリチン酸ジカリウム 0.02
9.グルタチオン 1
10.チオタウリン 0.05
11.クララエキス 1
12.パラベン 適量
13.フェノキシエタノール 適量
14.パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 7.5
15.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 0.5
16.球状ポリアクリル酸アルキル粉体 5
17.ブチルエチルプロパンジオール 0.5
18.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2
19.2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルヘキシル 5
20.合成例2のベンゾトリアゾール誘導体 5
21.疎水化処理酸化亜鉛または疎水処理酸化チタン 15
22.精製水 残余
製造方法
油相に水相を徐々に添加し添加終了後、攪拌機を用いて乳化粒子が均一になるように調製した。
【0039】
「実施例9:日焼け止め化粧料 O/W乳液」
質量%
1.ポリオキシエチレン硬化ひまし油 1
2.ジメチコンコポリオール 0.5
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 15
4.イソステアリン酸 0.5
5.フェニルトリメチコン 1
6.疎水化処理酸化チタン 5
7.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 3
8.2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルヘキシル 5
9.パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 5
10.合成例1のベンゾトリアゾール誘導体 2
11.シリカ 1
12.クエン酸 0.01
13.クエン酸ナトリウム 0.09
14.パラベン 適量
15.フェノキシエタノール 適量
16.エタノール 5
17.ダイナマイトグリセリン 1
18.サクシノグルカン 0.2
19.セルロースガム 1
20.イオン交換水 残余
製造方法
11〜20の水相を調製後、1〜10の油相に徐々に添加し、最後にホモミキサーを用いて攪拌した。
【0040】
「実施例10:日焼け止め化粧料 O/W/O乳液」
質量%
1.ポリオキシエチレン(50)ポリオキシプロピレン(40)
ブロック共重合体ジメチルエチル 0.5
2.イソステアリン酸 0.2
3.パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 7.5
4.合成例2のベンゾトリアゾール誘導体 2.0
5.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2.0
6.2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルヘキシル 5.0
7.デカメチルシクロペンタシロキサン 35
8.ポリオキシブチレンポリオキシプロピレングリコール 2.0
9.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 0.5
10.疎水化処理酸化チタン 12.0
11.クエン酸 0.04
12.クエン酸ナトリウム 0.06
13.ジプロピレングリコール 2.0
14.メチルグルコース 1.0
15.ダイナマイトグリセリン 1.0
16.食塩 0.1
17.メチルパラベン 適量
18.フェノキシエタノール 適量
19.イオン交換水 残余
製造方法
1〜6の油相を11〜19の水相に徐々に添加してO/W製剤を得た。この製剤を7〜10の油相中に徐々に添加後、ホモミキサーで攪拌を行い目的の乳液を得た。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルヘキシルの衣服に対する染着性が低減し、かつUV-A領域若しくはUV−A〜B領域の紫外線吸収に特に優れた日焼け止め化粧料を提供できる。衣服に対する染着性が低減するので、4−(1,1−ジメチルエチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタンを高配合することが可能となり、PA(Protection Grade of UVA:UVA防御能)を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】染着性の測定方法の説明図である。
【図2】染着性の測定結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルと、下記一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール誘導体とを含有することを特徴とする日焼け止め化粧料。
一般式(I)
【化1】

(式中、R’=C1〜C6の直鎖のアルキル基、R”=C1〜C3の直鎖のアルキル基である。)
【請求項2】
前記ベンゾトリアゾール誘導体が、2−[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−イソブトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1記載の日焼け止め化粧料。
【請求項3】
さらに2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルヘキシルを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の日焼け止め化粧料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−182388(P2007−182388A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−380697(P2005−380697)
【出願日】平成17年12月30日(2005.12.30)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】