説明

映像表示装置

【課題】映像表示装置の表示状態を、映像表示装置にネットワークを介して接続された映像状態監視装置側において確認することができるようになる映像表示装置を提供する。
【解決手段】映像表示装置と、映像表示装置に接続されかつ映像表示装置によって表示される映像を撮影する撮像装置と、映像表示装置にネットワークを介して接続された映像状態監視装置とを備えたシステムに用いられる映像表示装置であって、撮像装置によって撮像された映像をネットワークを介して映像状態監視装置に送信する手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶プロジェクタ等の映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタ等の映像表示装置では、ランプ交換、フィルタの清掃など定期的なメンテナンスが必要である。これらのメンテナンスを怠ると、投射映像が正常時より暗くなったり、温度上昇によりランプが消灯するといったことが起こりうる。
【0003】
ネットワークに接続された機器を遠隔制御するシテスムはよく知られているが(特許第3610641号公報参照)、液晶プロジェクタ等の映像表示装置の表示状態を、映像表示装置のメンテナンス等を行なうサービス会社において確認するようなシステムは未だ開発されていない。このため、映像表示装置のメンテナンス等を行なうサービス会社は、映像表示装置の表示状態を確認するためには、その設置場所にサービスマンが出向くしか方法がなかった。
【特許文献1】特許第3610641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、映像表示装置の表示状態を、映像表示装置にネットワークを介して接続された映像状態監視装置側において確認することができるようになる映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、映像表示装置と、映像表示装置に接続されかつ映像表示装置によって表示される映像を撮影する撮像装置と、映像表示装置にネットワークを介して接続された映像状態監視装置とを備えたシステムに用いられる映像表示装置であって、撮像装置によって撮像された映像をネットワークを介して映像状態監視装置に送信する手段を備えていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記映像状態監視装置は、上記映像表示装置から送られてきた映像を表示させる手段および上記映像表示装置から送られてきた映像を記憶装置に記録させる手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、映像表示装置の表示状態を、映像表示装置にネットワークを介して接続された映像状態監視装置側において確認することができるようになる。請求項2に係る発明によれば、映像状態監視装置は、映像表示装置から送られてきた映像表示装置の表示状態を確認するための映像を、表示したり、保存したりすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、この発明を液晶プロジェクタに適用した場合の実施例について説明する。
【実施例1】
【0009】
〔1〕システム全体の構成についての説明
【0010】
図1は、システム全体の構成を示している。
液晶プロジェクタ1には、液晶プロジェクタ1によってスクリーン4上に投射された映像を撮影するためのカメラ2が接続されている。この例では、カメラ2は、液晶プロジェクタ本体上に載置されている。また、液晶プロジェクタ1には、PC、DVDプレーヤ等の映像供給装置3が接続されている。
【0011】
液晶プロジェクタ1は、ネットワーク5を介してサービス会社に設けられた表示状態監視装置6に接続されている。表示状態監視装置6は、PCで構成されている。
【0012】
〔2〕液晶プロジェクタ1の電気的構成についての説明
【0013】
図2は、液晶プロジェクタ1の電気的構成を示している。
液晶プロジェクタの動作モードには、通常モードと、カメラ位置調整モードとがある。カメラ位置調整モードについては、後述する。
【0014】
通常モード時の動作について説明する。通常モード時には、スイッチ11(SW1)は映像供給装置3からの信号をA/Dコンバータ12に送るように制御され、スイッチ24(SW2)はオンとされる。
【0015】
映像供給装置3からのアナログRGB信号は、スイッチ11を介してA/Dコンバータ12に入力する。A/Dコンバータ12は、入力されたアナログRGB信号をサンプリングして、スケーラ13に出力する。スケーラ13は、A/Dコンバータ12からのデジタル映像信号に対してキーストーン補正や走査変換などの処理を行ない、D/Aコンバータ14にデジタル映像信号を出力する。
【0016】
D/Aコンバータ14は、入力されたデジタル映像信号をアナログ映像信号に変換して、色信号ドライバ15に出力する。色信号ドライバ15は、CPU20から受信したデータに基づき、明るさなどの色信号補正と、パネルの特性に応じたDCカーブの変換処理などを行なう。サンプル&ホールド16は、色信号ドライバ15から入力される信号を、R,G,Bそれぞれの液晶パネル17、18、19に出力するためのサンプリングを行なう。サンプル&ホールド16から液晶パネル17、18、19にデータが出力される。
【0017】
なお、タイミングコントローラ21は、CPU20から受信したデータに基づいて、サンプル&ホールド16および液晶パネル17、18、19を制御する。
【0018】
なお、図示しない光源から各液晶パネル17、18、19に導かれた光は、3色の映像光として各液晶パネル17、18、19から出力される。これらの3色の映像光は、図示しない色合成プリズムによって合成された後、図示しない投射レンズを経てスクリーン上に投影される。
【0019】
CPU20は、液晶プロジェクタ1の各部およびカメラ2を制御する。この実施例では、液晶プロジェクタの電源がオンになると、カメラ2が駆動状態にされ、撮影を開始する。カメラ2から出力された映像信号は、マルチプレクサ22に送られる。マルチプレクサ22には、OSD回路23からOSD信号が送られている。なお、OSD回路23は、CPU20からのOSD制御信号に基づいて、OSD信号を生成して出力する。マルチプレクサ22は、カメラ2から出力された映像信号にOSD回路23から送られてきたOSD信号(表示データ)を合成する。マルチプレクサ22から出力される映像信号は、スイッチ24(SW2)を介してCPU20に送られる。
【0020】
CPU20には、ネットワーク制御部25が接続されている。ネットワーク制御部25は、ネットワーク5を介してサービス会社内に設置された表示状態監視装置6に接続されている。表示状態監視装置6には、液晶プロジェクタ1と通信を行なって液晶プロジェクタ1の表示状態を監視するためのアプリケーションソフト(表示状態監視ソフト)がインストールされている。この表示状態監視ソフトにより、表示状態監視装置6は、カメラ2によって撮影された画像を液晶プロジェクタ1から受信して表示したり、保存したりするための監視処理を行なう。
【0021】
〔3〕表示状態監視装置6による監視処理についての説明
【0022】
表示状態監視装置6は、複数の液晶プロジェクタの表示状態を監視することが可能である。表示状態監視装置6の操作者は、予め、監視対象となる複数の液晶プロジェクタ毎に、そのID、通信に必要な情報等を登録している。また、表示状態監視装置6の操作者は、登録された各液晶プロジェクタ毎に、その液晶プロジェクタからのカメラ画像を受信して表示する間隔(表示時間間隔)および受信した画像を記録するか否かを設定する。また、受信した画像を記録する設定を行なった場合には、記録時刻を限定する設定(タイマ設定)を行なうことが可能である。タイマ設定を行なう場合には、記録開始時刻および記録終了時刻が設定される。また、表示状態監視装置6の操作者は、登録された各液晶プロジェクタ毎に、監視処理を行なうか否かの設定(表示ONまたは表示OFFの設定)をも行なう。
【0023】
図3は、表示状態監視装置6による監視処理手順を示している。図3は、表示状態監視装置6に登録されている複数の液晶プロジェクタのうち、図1で示される1つの液晶プロジェクタに対する監視処理手順を示している。
【0024】
図1に示されている液晶プロジェクタ(以下、ターゲットという)に対して監視処理を行なう設定(表示ONの設定)が行なわれている場合には(ステップS1でYES)、当該液晶プロジェクタ1から画像を前回に受信した時点(ステップS4において受信した時点)からの経過時間が、当該液晶プロジェクタ1に対して設定されている表示時間間隔(表示間隔設定時間)より大きいか否かを判別する(ステップS2)。
【0025】
画像を前回に受信した時点からの経過時間が、表示間隔設定時間以内である場合には、ステップS1に戻る。画像を前回受信した時点からの経過時間が、表示間隔設定時間より大きい場合には、ターゲットに対して画像取得要求を送信する(ステップS3)。この画像取得要求に対して、ターゲットから画像データ(カメラ2によって撮影された画像にOSD信号が合成された画像の圧縮データ)が送られてくると、その画像データを受信してメモリに一時的に保存する(ステップS4)。
【0026】
また、受信した画像を記録する設定が行なわれているか否かを判別する(ステップS5)。受信した画像を記録する設定が行なわれている場合には、タイマ設定が行なわれているか否かを判別する(ステップS6)。タイマ設定が行なわれてない場合には、ステップS8に移行して受信した画像データをHDD等の不揮発性の記憶装置に記録する。そして、ステップS9に移行する。
【0027】
上記ステップS6においてタイマ設定が行なわれていると判別した場合には、現在時刻がターゲットに対して設定されている記録開始時刻から記録終了時刻までの時間帯内であるか否かを判別する(ステップS7)。現在時刻がターゲットに対して設定されている記録開始時刻から記録終了時刻までの時間帯内である場合には、ステップS8に移行して受信した画像データをHDD等の不揮発性の記憶装置に記録する。そして、ステップS9に移行する。
【0028】
上記ステップS5において受信した画像を記録する設定が行なわれていないと判別した場合、または上記ステップS7において現在時刻がターゲットに対して設定されている記録開始時刻から記録終了時刻までの時間外であると判別した場合には、受信した画像データを不揮発性の記憶装置に記録することなく、ステップS9に移行する。
【0029】
ステップS9では、受信した画像データを解凍する。そして、得られた画像データを表示状態監視装置6のモニタに表示する(ステップS10)。この後、ステップS1に戻る。
【0030】
図4は、表示状態監視装置6から画像取得要求が送られてきた場合の液晶プロジェクタ1のCPU20の処理手順を示している。
【0031】
通常モード時においては、液晶プロジェクタ1のCPU20は、OSD回路23に所定の文字列、図形等の表示データ(OSD信号)が生成されるように、OSD回路23を制御する。この例では、OSD回路23は”C−VIEW”という文字列からなる表示データを生成する。したがって、カメラ2によって撮影された画像にOSD信号が合成された画像は、例えば、図5に示すようになる。図5の合成画像51において、52が液晶プロジェクタ1によってスクリーン上に投影された画像領域である。
【0032】
このようにカメラ2によって撮影された画像に所定の文字列、図形等の表示データを合成している理由は、次の通りである。
【0033】
画像をネットワークを介して伝送した際に第3者にファイル取得される危険がある。第3者に画像が取得されたとしても、カメラ2によって撮像された画像(映像供給源から取得した画像)がそのまま第3者に取得されるのを防止するためである。また、液晶プロジェクタ1から伝送される画像の出所(図1に示すようなシステムによってネットワーク上に送出された映像であること)を特定するためである。
【0034】
図4に戻り、表示状態監視装置6から画像取得要求が送られてくると(ステップS21)、スイッチ24(SW2)をオンとする(ステップS22)。そして、カメラ2によって撮影された画像にOSD信号が合成された画像を取得する(ステップS23)。取得した画像を圧縮する(ステップS24)。得られた圧縮データを表示状態監視装置6に送信する(ステップS25)。そして、ステップS21に戻る。
【0035】
〔4〕カメラ位置調整モードについての説明
【0036】
カメラ位置調整モードは、カメラ2の設置状態(設置位置および設置姿勢)が投影画像を撮像するのに適した状態であるか否かをユーザに確認させ、適した状態でない場合にはユーザにカメラの設置状態を変更させるために設けられたモードである。
【0037】
通常モードとカメラ位置調整モードとは、液晶プロジェクタ1側の操作部をユーザが操作することにより、切り替えることができるようになっている。カメラ位置調整モードが選択されると、スイッチ11(SW1)はマルチプレクサ22からの映像信号(カメラ画像とOSD信号との合成画像)をA/Dコンバータ12に送るように制御され、スイッチ24(SW2)はオフとされる。したがって、カメラ位置調整モード時には、液晶プロジェクタ1は、カメラ2によって撮像された画像に所定のOSD信号を合成し、得られた画像を表示するといった動作を繰り返す。
【0038】
カメラ位置調整モードが選択されている場合には、液晶プロジェクタ1のCPU20は、図6に示すように、カメラ2によって撮像された画像100にその画像領域を示す矩形枠と矩形枠内の領域を4分割する十文字の線とからなる図形(調整用図形)と、”FOCUS”という文字とからなる表示データ(OSD信号)がOSD回路23によって生成されるように、OSD回路23を制御する。
【0039】
図7に示すように、液晶プロジェクタ1の背面側から見て、液晶プロジェクタ本体に対して、カメラ2が傾いている場合を想定する。図7において矢印はカメラの上面の向きを示している。
【0040】
最初は、図6に示すような合成画像が生成され、その合成画像が液晶プロジェクタ1によってスクリーン上に投射される。カメラ2は傾いておりかつカメラ2の撮像エリアは液晶プロジェクタ1の投射映像より大きいので、図6に示す投射映像がカメラ2によって撮影されると、その撮像画像は図8(a)に示すような画像となる。この撮像画像に表示データが合成されると、図8(b)に示すようになる。
【0041】
このような動作を繰り返すと、液晶プロジェクタ1からの投射映像は、図9に示すような画像となる。つまり、大きさの異なる複数の調整用図形を含みかつそれらの調整用画像の角度がずれた図形となる。
【0042】
カメラ2が水平方向にずれている場合には、液晶プロジェクタ1からの投射映像は、大きさの異なる複数の調整用図形を含みかつそれらの調整用画像が水平方向にずれた画像となる。カメラ2が垂直方向にずれている場合には、液晶プロジェクタ1からの投射映像は、大きさの異なる複数の調整用図形を含みかつそれらの調整用画像が垂直方向にずれた画像となる。
【0043】
カメラ2の位置および姿勢が、液晶プロジェクタ1の投射映像を正常に撮影できる状態となっている場合には、液晶プロジェクタ1からの投射映像は図10に示すようになる。つまり、この場合には、液晶プロジェクタ1からの投射映像は、大きさの異なる複数の調整用図形を含みかつそれらの調整用画像の十字線が一致した画像となる。
【0044】
したがって、ユーザは、液晶プロジェクタ1の投影画像を見ながら、液晶プロジェクタ1の投影画像がほぼ図10に示すような画像となるように、カメラ2の位置および姿勢を調整すればよい。
【0045】
なお、OSD回路23によって生成された”FOCUS”の文字は、液晶プロジェクタ1によって投射された”FOCUS”の文字のフォーカスが合うように、カメラ2のフォーカスを手動で調整させるために利用される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】システム全体の構成を示すブロック図である。
【図2】液晶プロジェクタ1の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】表示状態監視装置6による監視処理手順を示すフローチャートである。
【図4】表示状態監視装置6から画像取得要求が送られてきた場合の液晶プロジェクタ1のCPU20の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】通常モード時において、カメラ2の撮像画像とOSD回路23によって生成される表示データとが合成される画像の例を示す模式図である。
【図6】カメラ位置調整モードが選択されている場合に、OSD回路23によって生成される表示データを示す模式図である。
【図7】液晶プロジェクタ1に対して、カメラ2が傾いて設置されている状態を示す模式図である。
【図8】図7に示すようにカメラ2が設置されている場合に、液晶プロジェクタ1によって投影される画像の生成過程を説明するための模式図である。
【図9】図7に示すようにカメラ2が設置されている場合に、液晶プロジェクタ1によって投影される画像の例を示す模式図である。
【図10】カメラ2が好適な状態で設置されている場合に、液晶プロジェクタ1によって投影される画像の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0047】
1 液晶プロジェクタ
2 カメラ
3 映像供給装置
6 表示状態監視装置
20 CPU
11,24 スイッチ
22 マルチプレクサ
23 OSD回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示装置と、映像表示装置に接続されかつ映像表示装置によって表示される映像を撮影する撮像装置と、映像表示装置にネットワークを介して接続された映像状態監視装置とを備えたシステムに用いられる映像表示装置であって、撮像装置によって撮像された映像をネットワークを介して映像状態監視装置に送信する手段を備えていることを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
上記映像状態監視装置は、上記映像表示装置から送られてきた映像を表示させる手段および上記映像表示装置から送られてきた映像を記憶装置に記録させる手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−118451(P2008−118451A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300527(P2006−300527)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】