説明

映像記録再生装置、その制御方法及びプログラム

【課題】スローモーションの映像やクイックモーションの映像のように、記録時間と再生時間の異なる場合にも、再生時間が一定になるように映像を記録できるようにする。
【解決手段】映像記録再生装置は、撮像部1、カメラ信号処理部2、カメラ制御部3、VTRブロック3、信号処理部5、記録系信号処理部6、再生系信号処理部7、スピーカ8、液晶パネル9、フレームレート設定部10、電源スイッチ11、操作部12、記録媒体13、システム制御部14等を備え、撮影者が映像の記録開始だけを指示して、所定の時間が経過すると自動的に記録を停止する記録モード時に、映像の再生時間が一定になるように前記所定の記録時間を設定する。例えば1/2倍速でスローモーション再生される映像を記録するとき、等倍速記録時の記録時間が8秒であれば、記録モード2における映像の記録時間は4秒とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像データを記録し、再生する映像記録再生装置、その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等で記録した画像を表示して、次々と更新しながら再生するスライドショー技術が広く知られている。順番に画像を表示するものや、ランダムに表示するもの、画像に効果を加えたり、音楽を再生したりするものまで、様々な形態のものが実用化されている。
【0003】
スライドショーは、多くの場合、静止画データの再生手段として用いられているが、静止画を記録するデジタルカメラの中には動画データを記録できるものもある。そのような場合は、静止画データと動画データが混在した状態でスライドショーを実行していることもある。
【0004】
一方、ビデオカメラのように動画を撮影することを主目的としたカメラの場合は、撮影した動画データを順番に再生するだけのものや、プレイリストのようにお気に入りに登録した動画を再生するだけものが多く、静止画データの再生とは異なってシンプルな再生方法のものが多い。これは、動画は撮影された映像の長さがまちまちであったり、再生する必要のない映像が含まれていたりして、編集をしない状態で再生を楽しむことが難しい場合がある等、再生効果が発揮されにくいという課題があったことが影響している。
【0005】
そのため、特許文献1にあるように、予め決められた時間だけ映像を記録する手段を備えたビデオカメラの提案が行われ、実用化もされている。このようなビデオカメラは、撮影者が映像の記録を開始してから、決められた時間だけ映像を記録すると自動的に映像の記録が停止する。映像を編集しなくても映像の再生間隔が一定になっていることから、音楽と合わせて再生すると、静止画スライドショーのようにテンポ良く再生することができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開06−153028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、予め決められた時間だけ映像を記録する手段を備えたビデオカメラは、記録時間を一定にすることで再生時間を一定にすることを前提にしている。そのため、スローモーションの映像やクイックモーションの映像を記録することができる場合、予め決められた時間だけ映像を記録してしまうと、スローモーションの映像の場合は再生時間が長くなってしまい、クイックモーションの映像の場合は再生時間が短くなってしまうという課題がある。
【0008】
本発明は、以上の課題を解消するために、スローモーションの映像やクイックモーションの映像のように、記録時間と再生時間の異なる場合にも、再生時間が一定になるように映像を記録できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の映像記録再生装置は、記録開始指示によって映像の記録を開始し、所定の記録時間が経過すると記録を停止する記録モードを行う映像記録手段と、単位時間当たりに記録する又は再生するフレーム数を変化させる可変速手段と、前記記録モード時に、映像の再生時間が一定になるように前記所定の記録時間を設定する記録時間設定手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、記録開始指示によって映像の記録を開始し、所定の記録時間が経過すると記録を停止する記録モード時に、記録した映像の再生時間が一定となるように映像を記録することができる。したがって、スローモーションの映像やクイックモーションの映像を記録するときにも、再生間隔が一定になり、テンポ良く映像を再生できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る映像記録再生装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】等倍で再生される映像の取込データ、記録データ、再生データの関係を示す図である。
【図3】第1の実施形態におけるスローモーションの映像の取込データ、記録データ、再生データの関係を示す図である。
【図4】第1の実施形態におけるクイックモーションの映像の取込データ、記録データ、再生データの関係を示す図である。
【図5】スローモーション設定画面の一例を示す図である。
【図6】スローモーション設定時の映像記録時間通知画面の一例を示す図である。
【図7】制限を付けたスローモーション設定画面の一例を示す図である。
【図8】スローモーション設定時の映像記録時間確認通知画面の一例を示す図である。
【図9】第2の実施形態におけるスローモーションの映像の取込データ、記録データ、再生データの関係を示す図である。
【図10】第2の実施形態におけるクイックモーションの映像の取込データ、記録データ、再生データの関係を示す図である。
【図11】第3の実施形態におけるスローモーションの映像の取込データ、記録データ、再生データの関係を示す図である。
【図12】第3の実施形態におけるクイックモーションの映像の取込データ、記録データ、再生データの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る映像記録再生装置の構成例を示すブロック図である。撮像部1は、光学系レンズ、CCD等の撮像素子、オートフォーカス機構、ズーム機構等により構成される。撮像部1は、カメラ制御部3の指示に従って、被写界に対して焦点や光量等を調整し、レンズを通して結像された被写界の光学像を映像信号に変換し、カメラ信号処理部2に送出する。
【0013】
カメラ制御部3は、マイクロコンピュータ等により構成され、システム制御部14、操作部12の指示等によりカメラ系全体を制御する。
【0014】
フレームレート設定部10は、システム制御部14の指示により、カメラ信号処理部2に対して記録系信号処理部6へ転送する映像データのフレームレート(以下、フレームレート1とする)を指示する。また、記録系信号処理部6に対しては、記録する映像データのフレームレート(以下、フレームレート2とする)を指示する。さらに、再生系信号処理部7に対しては、再生する映像データのフレームレート(以下、フレームレート3)を指示する。これらのフレームレートは独立に設定することができ、その設定は、操作部12での操作により切り替えるか、メニューような設定画面の中で選択する。
【0015】
カメラ信号処理部2は、カメラ制御部3の指示とフレームレート設定部10の指示に従って、撮像部1から出力される映像信号に所定の信号処理を施して、記録系信号処理部6に送出する。
【0016】
信号処理部5は、記録系信号処理部6及び再生系信号処理部7により構成され、システム制御部14の指示により、様々な記録・再生信号処理を行う。記録系信号処理部6は、カメラ信号処理部2から出力される信号に対して、所定の信号処理を施してVTRブロック4に送出する。再生系信号処理部7は、VTRブロック4から再生された信号に所定の処理を施し、スピーカ8に送出するとともに、システム制御部14から送られる文字情報、印刷範囲枠表示情報を映像信号にミックスし、液晶パネル9に送出する。
【0017】
VTRブロック4は、メカ部、メカ駆動部、マイクロコンピュータを中心とするメカ・サーボ制御部等により構成され、システム制御部14の指示に従って、記録媒体13への記録・再生動作を行う。
【0018】
LCDパネル9は、映像信号を操作者に対して映し出すとともに、文字や記号による本体の各種情報の表示、メニュー設定時のガイド表示、印刷範囲枠表示等を行う。
【0019】
操作部12の一部は、VTR系、及び装置全体に関する各種スイッチ([↑],[→],[↓],[←],[SET],[END],[PRINT],[MENU],[PLAY],[FF/REW],[STOP],[START/STOP],[SELFTIMER]等)類により構成され、操作者からの指示をシステム制御部14に送出する。操作部12の一部は、カメラ系に関する各種スイッチ、ダイヤル(AFオン/オフ、AEオート/ロック、プログラムAE、ズーム等)類により構成され、操作者からの指示をシステム制御部14を介してカメラ系制御部3に送出する。
【0020】
電源スイッチ11は、本体の電源モード(カメラ/切/VTR)を選択するためのスイッチで、その状態をシステム制御部14に送出する。
【0021】
システム制御部14は、上述した各部を総合的に制御するマイクロコンピュータ等により構成される。
【0022】
第1の実施形態は、撮像部1からの取り込みデータ量を変化させることによって、単位時間当たりに記録するフレーム数を変化させて記録する可変速手段を備えた映像記録再生装置の映像記録時間の設定方法に関するものである。
【0023】
本実施形態では、フレームレート2とフレームレート3が同値であり、フレームレート1は同値又は異なる値である。フレームレート1、フレームレート2、フレームレート3の設定でデータを記録、再生するときの単位時間当たりのフレーム数の関係を表したイメージを、図2、図3、図4に示す。図2は、等倍速の映像を記録し、再生するときの単位時間当たりのフレーム数の関係を表している。図3は、2倍速で映像を記録し、再生するとき(すなわち、1/2倍速でスローモーション再生される映像を記録し、再生するとき)の単位時間当たりのフレーム数の関係を表している。図4は、1/2倍速で映像を記録し、再生するとき(すなわち、2倍速でクイックモーション再生される映像を記録し、再生するとき)の単位時間当たりのフレーム数の関係を表している。それぞれの図において、「取込データ」はカメラ信号処理部2から記録系信号処理部6へ転送するデータのイメージである。また、「記録データ」は記録系信号処理部6で記録するデータのイメージである。また、「再生データ」は再生系信号処理部7で再生時に読み出すデータのイメージである。
【0024】
図2に示すように、可変速の映像を記録しない場合は、フレームレート1とフレームレート2の比は1:1である。フレームレート2とフレームレート3が同値であることから、単位時間当たりにカメラ信号処理部2から取得するフレーム数と、単位時間当たりに記録系信号処理部6で記録するフレーム数と、単位時間当たりに再生系信号処理部7で再生されるフレーム数とが一致し、映像の記録時間と映像の再生時間が等しくなるような等倍速の映像を記録することができる。
【0025】
それに対して、図3に示すように、フレームレート1を48fps、フレームレート2を24fpsにしている場合は、フレームレート1とフレームレート2の比は2:1となる。そのため、単位時間当たりにカメラ信号処理部2から取り込むフレームの数は、単位時間当たりに記録系信号処理部6で記録するフレームの数に換算すると2倍になる。つまり、等倍速の映像と比較すると、2倍の量のフレームが記録されることになる。フレームレート3はフレームレート2と同値であるから、記録した映像を再生する時間も2倍になる。このようにして記録された映像が、1/2倍速でスローモーション再生される映像である。
【0026】
また、図4に示すように、フレームレート1を12fps、フレームレート2を24fpsにしている場合は、フレームレート1とフレームレート2の比は1:2となる。そのため、単位時間当たりにカメラ信号処理部2から取り込むフレームの数は、単位時間当たりに記録系信号処理部6で記録するフレームの数に換算すると1/2倍になる。つまり、等倍速の映像と比較すると、1/2の量のフレームが記録されることになる。フレームレート3はフレームレート2と同値であるから、記録した映像を再生する時間も1/2倍となる。このようにして記録された映像が、2倍速でクイックモーション再生される映像である。
【0027】
本実施形態に係る映像記録再生装置は、撮影者が映像の記録開始指示及び記録停止指示を受けて映像を記録する記録モード(以下、記録モード1)と、撮影者が映像の記録開始だけを指示して、所定の時間が経過すると自動的に記録を停止する記録モード(以下、記録モード2)を実行可能である。記録モード1と記録モード2の切り替えは、操作部12での操作により行う。これは、メニュー設定で行っても効果は同様である。以下では、記録モード2での動作について説明する。
【0028】
記録モード2における記録時間tは、装置固有の設定値でも構わないし、複数の中から選択できるようにしても構わない。フレームレート1とフレームレート2が同値、すなわち等倍速記録を行う場合は、記録を開始してからt時間経過すると、自動的に記録が停止する。このようにして記録した映像は、全てt時間の映像となる。
【0029】
一方、N倍速で映像を記録する場合は、t時間だけ記録をすると、再生時間がtN時間の映像になってしまうため、記録される映像の再生時間がt時間となるように、記録時間t'を、下記の(式1)に変換した後(記録時間設定)、映像の記録を行う。
t'=t/N・・・(式1)
【0030】
例えば、2倍速で映像を記録するとき(すなわち、1/2倍速でスローモーション再生される映像を記録するとき)、等倍速記録時の記録時間が8秒であれば、記録モード2における映像の記録時間t'は、8/2=4秒となる。
【0031】
このように記録時間t'は、(式1)に示される計算式によって算出することができるので、撮影者は記録した映像の再生時間を意識することなく、一定長の映像を記録することができる。
【0032】
図5は、スローモーションの映像を記録する際の、映像の再生速度を設定するメニュー画面(スローモーション設定画面)の一例である。設定OFFは等倍速の映像記録を表しており、2/3〜1/8倍速までの設定は、等倍速に対する映像の再生速度の比を表している。ここでの設定が、可変手段による変更の内容を設定する設定手段による処理例である。
【0033】
図6は、図5のスローモーション設定画面で設定を変更した後に、記録モード2で映像を記録するときの記録時間t'を通知する画面の一例である。
【0034】
ところで、実際に撮影を行う場合に、極端に撮影時間が短いと撮影することが困難であるし、逆に極端に撮影時間が長くなると撮影時間を持て余してしまう等の問題が発生する場合がある。例えば、記録時間t=4秒の場合、スローモーション記録の設定を1/8にすると、記録時間t'は、4/8=0.5秒となる。しかしながら、0.5秒の間に所望の映像を記録することが困難な場合が多い。
【0035】
そこで、極端に撮影時間が短くなるような場合は、図7に示すように、スローモーション設定画面において撮影に適さないと考えられる記録時間t'にならないように、該当する設定項目を選択できないようにする制限(設定範囲の制限)を付けることができる。設定範囲を制限することが必須ではない場合、設定範囲を超えた設定を選択しようとした場合に、図8に示すように、撮影者に対して注意を促す案内を表示するだけでも良い。また、設定範囲を超えた場合に、記録モード2から記録モード1へ強制的に切り替える方法や、撮影者に注意を促した上で記録モード2から記録モード1への切り替えを確認する方法等が同様の効果を実現するための方法として挙げられる。
【0036】
記録モード1から記録モード2へ切り替えるときにも、操作制限を入れることが可能である。記録モード1でスローモーションの映像を記録しているときは、記録時間の制限がないので、図5を使ったスローモーションの設定には制限がない。しかしながら、記録モード1から記録モード2に切り替えるとき、スローモーションの設定内容によっては記録時間t'が撮影に適さない範囲に入ることが考えられる。その場合、記録モード1から記録モード2への切り替えを禁止する方法が対応として挙げられる。禁止することが必須ではない場合、記録モード1から記録モード2への切り替えを行うとき、若しくは設定が切り替わった後に、図8に示すように、撮影者に対して注意を促す案内を表示するだけでも良い。
【0037】
ここまでは、主にスローモーションを例に説明したが、クイックモーションの映像についても同様である。
【0038】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、撮像部1から取り込んだデータを記録するときにフレームの変換処理を行うことによって、単位時間当たりに記録するフレーム数を変化させて記録する可変速手段を備えた映像記録再生装置の映像記録時間の設定方法に関するものである。
【0039】
図9は、1/2倍速でスローモーション再生される映像を記録し、再生するときのフレーム構成について表したものである。また、図10は、2倍速でクイックモーション再生される映像を記録し、再生するときのフレーム構成について表したものである。本実施形態では、フレームレート1、フレームレート2、フレームレート3は同値である。それぞれの図において、「取込データ」はカメラ信号処理部2から記録系信号処理部6へ転送するデータのイメージである。また、「記録データ」は記録系信号処理部6で記録するデータのイメージである。また、「再生データ」は再生系信号処理部7で再生時に読み出すデータのイメージである。
【0040】
図9では、取込データ、記録データ、再生データのフレームレートは24fpsとしている。24fpsで取り込んだデータを記録系信号処理部6で記録するときに、データを複数回読み出しして記録することで、取込データに対して記録データはデータ量としては2倍になっている。これは、実質的なフレームレートが1/2倍になっていることを表しており、このデータを再生データとして再生すると、1/2倍速のスローモーションの映像が再生されることになる。図9ではデータの複数回読み出しを行うことで、記録された映像のフレームレートを実質的に1/2倍にしているが、これ以外にもデータを補間する等の方法でフレームレートの変換を行うことが可能であり、その手段は本発明の効果に対して影響を与えない。
【0041】
図10では、取込データ、記録データ、再生データのフレームレートは24fpsとしている。24fpsで取り込んだデータを記録系信号処理部6で記録するときに、データを間引いて記録することで、取込データに対して記録データはデータ量としては1/2倍になっている。これは、実質的なフレームレートが2倍になったことを表しており、このデータを再生データとして再生すると、2倍速のクイックモーションの映像が再生されることになる。図10ではデータを間引いて記録することで、記録される映像のフレームレートを実質的に2倍にしているが、他の手段によってフレームレートの変換を行うことは可能であり、その手段を本発明の効果に対して影響を与えない。
【0042】
本実施形態に係る映像記録再生装置は、第1の実施形態と同様に、記録モード1と記録モード2を有しており、その切り替えについても同様である。以下では、記録モード2での動作について説明する。
【0043】
記録モード2における記録時間tは、装置固有の設定値でも構わないし、複数の中から選択できるようにしても構わない。等倍速記録を行う場合は、記録を開始してからt時間経過すると、自動的に記録が停止する。このようにして記録した映像は、全てt時間の映像となる。
【0044】
一方、N倍速の映像を記録する場合は、t時間だけ記録をすると、再生時間がtN時間の映像になってしまうため、記録される映像の再生時間がt時間となるように、記録時間t'を変換して定める。これは、(式1)によって表される。例えば、等倍速記録時の記録時間が8秒、実質的な記録フレームレートが2倍となるような場合には、記録モード2における映像の記録時間t'は、8/2=4秒となる。実質的な記録フレームレートの設定範囲、記録モード1と記録モード2の切り替えについては必要であれば制限を加えることが可能であるが、第1の実施形態と内容が重複するため、ここでは説明を省略する。
【0045】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、記録時にはフレームレートの変換は行わず、フレームレートの変換が必要であることを記録しておく。再生時に、フレームレートの変換が必要であることを認識して、フレームレートを変換して再生する。すなわち、第3の実施形態は、記録した映像データを再生するときにフレームの変換処理を行うことによって、単位時間当たりに再生する実質的なフレーム数を変化させる可変速手段を備えた映像記録再生装置の映像記録時間の設定方法に関するものである。
【0046】
図11は、1/2倍速でスローモーション再生されるの映像を記録し、再生するときのフレーム構成について表したものである。また、図12は、2倍速でクイックモーション再生される映像を記録し、再生するときのフレーム構成について表したものである。本実施形態では、フレームレート1、フレームレート2、フレームレート3は同値である。それぞれの図において、「取込データ」はカメラ信号処理部2から記録系信号処理部6へ転送するデータのイメージである。また、「記録データ」は記録系信号処理部6で記録するデータのイメージである。また、「再生データ」は再生系信号処理部7で再生時に読み出すデータのイメージである。
【0047】
図11では、取込データ、記録データ、再生データのフレームレートは24fpsとしている。取り込んだデータを記録系信号処理部6で同一のデータ量で記録し、再生時にデータを複数回読み出すことによって、記録データに対して再生データ量を2倍にしている。これは、実質的なフレームレートが1/2倍になっていることを表しており、この映像は1/2倍速のスローモーションの映像として再生されることになる。この方式では、記録した映像が再生時に1/2倍速で再生されるべき映像であることを判断するために、データ記録時に判別用のデータを同時に記録しておく必要がある。判別用のデータは、管理情報として記録しても良いし、他の記録領域に記録しても良く、いずれの場合も再生時に判別用のデータを確認することで、再生速度を変化させることができる。図11ではデータの複数回読み出しを行うことで、再生される映像のフレームレートを実質的に1/2倍にしているが、これ以外にもデータを補間する等の方法でフレームレートの変換を行うことが可能であり、その手段は本発明の効果に対して影響を与えない。
【0048】
図12では、取込データ、記録データ、再生データのフレームレートは24fpsとしている。取り込んだデータを記録系信号処理部6で同一のデータ量で記録し、再生時にデータを間引いて再生することで、記録データに対して再生データ量を1/2倍にしている。これは、実質的なフレームレートが2倍になったことを表しており、この映像は2倍速のクイックモーションの映像として再生されることになる。この方式では、記録した映像が再生時に2倍速で再生されるべき映像であることを判断するために、データ記録時に判別用のデータを同時に記録しておく必要がある。判別用のデータは、管理情報として記録しても良いし、他の記録領域に記録しても良く、いずれの場合も再生時に判別用のデータを確認することで、再生速度を変化させることができる。図12ではデータを間引いて記録することで、再生される映像のフレームレートを実質的に2倍にしているが、他の手段によってフレームレートの変換を行うことは可能であり、その手段を本発明の効果に対して影響を与えない。
【0049】
本実施形態に係る映像記録再生装置は、第1の実施形態と同様に、記録モード1と記録モード2を有しており、その切り替えについても同様である。以下では、記録モード2での動作について説明する。
【0050】
記録モード2における記録時間tは、装置固有の設定値でも構わないし、複数の中から選択できるようにしても構わない。等倍速記録を行う場合は、記録を開始してからt時間経過すると、自動的に記録が停止する。このようにして記録した映像は、全てt時間の映像となる。
【0051】
一方、N倍速の映像を記録する場合は、t時間だけ記録をすると、再生時間がtN時間の映像になってしまうため、記録される映像の再生時間がt時間となるように、記録時間t'を変換して定める。これは、(式1)によって表される。例えば、等倍速記録時の記録時間が8秒、実質的な記録フレームレートが2倍となるような場合には、記録モード2における映像の記録時間t'は、8/2=4秒となる。実質的な記録フレームレートの設定範囲、記録モード1と記録モード2の切り替えについては必要であれば制限を加えることが可能であるが、第1の実施形態と内容が重複するため、ここでは説明を省略する。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0053】
なお、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給することによっても達成される。この場合、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。
【0054】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0055】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0056】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけに限らない。例えば、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(基本システム或いはオペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現されてもよい。
【0057】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる形態でもよい。この場合メモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【符号の説明】
【0058】
1:撮像部、2:カメラ信号処理部、3:カメラ制御部、4:VTRブロック、5:信号処理部、6:記録系信号処理部、7:再生系信号処理部、8:スピーカ、9:液晶パネル、10:フレームレート設定部、11:電源スイッチ、12:操作部、13:記録媒体、14:システム制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録開始指示によって映像の記録を開始し、所定の記録時間が経過すると記録を停止する記録モードを行う映像記録手段と、
単位時間当たりに記録する又は再生するフレーム数を変化させる可変速手段と、
前記記録モード時に、映像の再生時間が一定になるように前記所定の記録時間を設定する記録時間設定手段を備えたことを特徴とする映像記録再生装置。
【請求項2】
前記記録される映像がスローモーション再生される映像であることを特徴とする請求項1に記載の映像記録再生装置。
【請求項3】
前記記録される映像がクイックモーション再生される映像であることを特徴とする請求項1の映像記録再生装置。
【請求項4】
前記可変速手段による変更の内容を設定する設定手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の映像記録再生装置。
【請求項5】
前記記録モード時に前記記録時間設定手段により設定される所定の記録時間が定められた範囲を超えるときは、前記可変速手段の設定範囲を制限することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の映像記録再生装置。
【請求項6】
映像の記録開始指示によって記録を開始し、記録停止指示によって記録を停止する他の記録モードを行う他の映像記録手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の映像記録再生装置。
【請求項7】
前記記録モード時に前記記録時間設定手段により設定される所定の記録時間が定められた範囲を超えるときは、前記他の記録モードから前記記録モードへの切り替えを禁止することを特徴とする請求項6に記載の映像記録再生装置。
【請求項8】
前記記録モード時に前記記録時間設定手段により設定される所定の記録時間が定められた範囲を超えるときは、前記記録モードから前記他の記録モードへ切り替えることを特徴とする請求項6に記載の映像記録再生装置。
【請求項9】
記録開始指示によって映像の記録を開始し、所定の記録時間が経過すると記録を停止する記録モードを行う映像記録手段と、単位時間当たりに記録する又は再生するフレーム数を変化させる可変速手段とを備えた映像記録再生装置の制御方法であって、
前記記録モード時に、映像の再生時間が一定になるように前記所定の記録時間を設定するステップを有することを特徴とする映像記録再生装置の制御方法。
【請求項10】
記録開始指示によって映像の記録を開始し、所定の記録時間が経過すると記録を停止する記録モードを行う映像記録手段と、単位時間当たりに記録する又は再生するフレーム数を変化させる可変速手段とを備えた映像記録再生装置を制御するためのプログラムであって、
前記記録モード時に、映像の再生時間が一定になるように前記所定の記録時間を設定する処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−251907(P2010−251907A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97107(P2009−97107)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】