説明

映像記録装置

【課題】
BDカメラにおいてフェード機能や分撮り機能等の特殊再生機能を実現し、それらの管理情報を効率的に管理する。
【解決手段】
Rootディレクトリの下にBDMVディレクトリを配置し、更にその下にPLAYLIST,CLIPINFO,STREAMの各ディレクトリを配置するように定義されたBDMS subset(BDMV−s)規格に基づくフォーマットに従ってファイルを作成する。更に、取得する映像のシーンの区切り毎に1つのPlayItemを生成し、1つのPlayList中に複数のPlayItemを配置し、PlayItem内の未使用領域に特殊再生機能を管理するための管理情報を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像記録装置に係り、更に詳しく言えば映像情報を記録するデジタルカメラにおけるフェード機能等の特殊再生機能の情報の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体としてDVDを利用したビデオカメラでフェード機能が実現されている。このフェード機能とは、映像のつなぎを制御する再生機能であり、映像を徐々に表示するフェードイン機能、逆に映像を徐々に消失されるフェードアウト機能である。映像を徐々に表示する仕方としては、水平方向や鉛直方向から映像を切り出すワイプイン、無地(例えば白や黒)の画面から徐々に画素密度を上げて映像を表示するディゾルブインなどのパターンがある。また映像を徐々に消失させる仕方としては、水平方向や鉛直方向に映像をクローズさせるワイプアウト、徐々に画素密度を下げて画面を無地(例えば白や黒)にするディゾルブアウトなどのパターンがある。なお、ビデオカメラにフェードイン機能の制御については、例えば、特開平11−112868公報(特許文献1)に開示されている技術が知られている。
【0003】
また、デジタルカメラにおけるディレクトリの管理として、例えば、特開2004−304619公報(特許文献2)に開示された技術が知られている。この技術は、デジタル映像データをメモリカードに記憶して管理する場合、映像データを格納するフォルダをメモリカード内に新規に作成し、フォルダを表すアイコンを用いて映像データを管理するものである。
【0004】
ところで、DVDの次世代を担う光ディスクの規格の1つとしてブルーレイディスク(BD)の規格が制定されている。このDB規格に基づくBDドライブとして、BD−ROMやBD−Rが実用化されている。また、DVDディスクを用いて高精細なデジタルハイデフィニッション(HD)映像の記録再生を可能にしたデジタルビデオカメラの規格としてAVCHDが制定されている。
【0005】
両者の規格を採用したAVCHD/BDビデオカメラは、BD−REVer3.0規格に基づくアプリケーションのフォーマットに従った形式で、撮影した映像情報をファイルとして記録媒体に記録する。この規格は、BD−ROMの規格を基本にしたBDMVフォーマットのサブセット(BDMS subset 以下、BDMV−sという)であり、レコーダやカメラのセルフエンコード時の規定したフォーマットであり、1回の記録単位をPlayList(プレイリスト)で管理している。
【0006】
【特許文献1】特開平11−112868公報
【特許文献2】特開2004−304619公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
BDカメラの実用化に伴い、従来、DVDカメラで実現していたフェード機能をBDカメラでも実現したい、と言う要求が生じている。デジタルカメラでは、映像を撮影した後に好きなシーンに対してフェードの設定を行えるという特徴があるが、DVDカメラで実現されていた機能をそのままBDカメラで実現しようとしても、両者は管理情報の機構が全く異なるために、直ちには実現できない。例えば、フェード機能はサムネール毎に管理する必要があるが、BDカメラにおいて、シーン毎にフェードの情報を何処にどのように格納して管理するか等について課題が生じる。
【0008】
また、ディレクトリの管理手法として、最近のビデオレコーダでは分け撮り機能が実現されている。この分け撮り機能とは、放送されてくる映像をデータ放送の情報でその格納位置、ディレクトリを振り分ける機能である。カメラを使用する機会が比較的多い、旅行や運動会等のカテゴリ別にディレクトリを分けて管理することは便利であると思われるが、デジタルカメラの分野ではこの分け撮り機能は未だ実現されていない。
【0009】
たとえ、BDカメラでこれらの特殊再生機能を単に実現したとしたも、これらの機能の管理情報を効率的に管理することに工夫を要する。何故なら、BDカメラではその起動時に管理情報を内部のメモリに展開する必要があるが、管理情報が不規則な場所とか規格に反した場所に保管されていると、メモリの使用効率が低下するだけではなくて、映像ファイルやその管理情報の展開のために時間がかかることになるからである。
【0010】
そこで本発明の目的は、フェード機能や分撮り機能等の特殊再生機能を実現したBDカメラ、映像記録装置及びその方法、及びそれに使用される所定のフォーマット化された記録媒体を提供することにある。
本発明は、メモリを効率的に使用して特殊再生機能の管理情報を管理することにある。
本発明はまた、記録する映像のシーンの数が増えてもそれらの管理情報をメモリに展開するための時間が長くかかるのを防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る映像記録方法は、好ましくは、映像を所定のファイル形式で記録媒体に記録する映像記録方法において、映像を記録する所定の記録単位に対応して、特殊再生機能を管理するための管理情報を設定し、管理情報をメモリに格納すると共に、映像を記録媒体に記録する記録方法として構成される。
また、好ましい例では、前記特殊再生機能としてフェード機能を含み、サムネール画面を表示部に表示する時、フェード機能の設定状況も併せて表示する。
また、好ましくは、記録単位の映像の情報をメモリ上に展開すると同時に、管理情報をメモリ上に展開する。
また、好ましくは、映像をシーン毎に記録媒体に記録し、かつ前記管理情報をシーン毎に設定し、シーン毎にメモリに展開すると同時に管理情報をメモリに展開する。
また、好ましくは、取得する映像のシーンの区切り毎に1つのPlayItemを生成し、かつ1つのPlayList中に複数のPlayItemを配置し、PlayItem内の未使用領域に、管理情報を設定してメモリに記憶する。
また、好ましくは、前記PlayItem内の未使用領域として、Reserved for useの11ビットの内の複数のビットを利用して管理情報を設定する。
また、好ましくは、上記の方法によって記録された記録媒体から映像を再生する時、管理情報を参照して特殊再生機能に基づいて映像の再生を行う。
【0012】
また、好ましい例では、映像を所定のファイル形式で記録媒体に記録する映像記録方法において、Rootディレクトリの下にBDMVディレクトリを配置し、更にその下にPLAYLIST,CLIPINFO,STREAMの各ディレクトリを配置するように定義されたBDMS subset(BDMV−s)規格に基づくフォーマットに従ってファイルを作成し、かつ取得する映像のシーンの区切り毎に1つのPlayItemを生成し、1つのPlayList中に複数のPlayItemを配置し、更にPlayItem内の未使用領域に特殊再生機能を管理するための管理情報を保持し、フォーマットに従って映像を記録媒体に記録する映像記録方法として構成される。
好ましくは、1回のシーンの映像を記録媒体に記録する度に、前記PlayListを更新せず、PlayItemを1つずつ増やして生成する。
また、好ましくは、日付けが更新される度に、新にPlayListを生成して更新する。
また、好ましくは、1回の映像の記録で、mplsファイルと、clpiファイルと、m2tsファイルを1つのセットとして管理し、mplsファイルをPlayItemに対応付け、PlayItemに映像を記録する開始及び終了の場所を管理する情報を記憶する。
【0013】
本発明に係る映像記録装置は、好ましくは、映像をファイル形式で記録媒体に記録する映像記録装置において、特殊再生機能を設定するために操作される操作部と、操作部によって指定された、所定の記録単位の映像に特殊再生機能を設定する特殊再生機能制御部と、映像を記録する所定の記録単位に対応して、設定された特殊再生機能を管理するための管理情報を記憶するメモリと、を有する映像記録装置として構成される。
【0014】
また、本発明は、映像を所定のファイル形式で記録する記録媒体において、Rootディレクトリの下にBDMVディレクトリを配置し、更にその下にPLAYLIST,CLIPINFO,STREAMの各ディレクトリを配置するように定義されたBDMS subset(BDMV−s)規格に基づくフォーマットに従ってファイルを作成し、かつ取得する映像のシーンの区切り毎に1つのPlayItemを生成し、1つのPlayList中に複数のPlayItemを配置し、PlayItem内の未使用領域に保持される、特殊再生機能を設定するための管理情報に従って管理された映像を所定のフォーマットに従って記録する映像用記録媒体としても構成され得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、BDカメラにおいてフェード機能や分撮り機能等の特殊再生機能を実現でき、それらの管理情報を効率的に管理することができる。また、メモリを効率的に使用して管理情報を管理することができ、記録する映像のシーンの数が増えても、その都度PlayListを展開する必要がないので、映像ファイルやその管理情報の展開のために余り長い時間を要しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
まず、図1を参照して、本実施例に係るBDカメラに採用される規格、BD−RE Ver3.0について説明する。
図1は、BDMVフォーマットのサブセット(BDMV−s)のデータ構造を示す図である。これは、規格BD−RE Ver3.0で規定されたアプリケーションのフォーマットであり、BD−ROMの規格を基本としている。レコーダやカメラのセルフエンコード時の記録を想定したフォーマットとして、1回の記録単位をPlayListで管理する。即ち、Rootディレクトリの下には、BDMVディレクトリが配置され、その下にPLAYLIST,CLIPINFO,STREAMの各ディレクトリが配置される。1回毎の記録によって、PLAYLIST,CLIPINFO,STREAMの各ディレクトリがセット(組)として記録される。例えば、1回目の記録で、00000.mplsファイルと、01000.clpiファイルと、01000.m2tsファイルが記録され、2回目の記録では、00001.mplsファイルと、02000.clpiファイルと、02000.m2tsファイルが記録される、が如く、記録の度にファイルが順次増加する。デジタルカメラの一般的な製品ではシーンの最大値を1000としている。そのため上記ファイルのセット数の上限は1000程度が望ましい。なお、拡張子がmpls,clpi,m2tsのものもmplsファイルと呼ぶことがある。
【0017】
ところで、レコーダでは記録する回数が余り多くないので、一般的には問題にならない。しかし、カメラはレコーダと異なり、短いシーンを多く撮影することが多い。BDカメラでは、映像を1回記録する度に、mplsファイルと、clpiファイルと、m2tsファイルを1つのセットとして管理情報に追加して記憶する。つまり、映像を記録する度にファイルの数が増加することになる。また、BDカメラを起動する時には、mplsファイルをメモリに展開する必要がある。そのため、記録される映像の回数が増えると、このファイル展開の時間が長くかかり、起動時間も長くなって問題となる。
【0018】
そこで、本実施例では、起動時間を短縮するために、映像のファイル数をできるだけ少なくするように考慮した。すなわち、特徴の1つとして、1つのPlayList中に、複数のPlayItemを規定して管理するようにした。PlayItemは、記録する映像の開始と終了の場所を管理するmplsファイルの情報を管理するものであり、これらの管理情報は1シーンの映像に対応する。本実施例のBDカメラの場合、実情に鑑み、最大2000個のPlayList、及び1つのPlayList当り最大999個のPlayItemを収容するようにフォーマットを形成するのが好ましい。
【0019】
更に、特徴の1つとして、1つのPlayItem内の未使用領域に、フェード機能や分け撮り機能等(以下、特殊再生機能という)の管理情報を格納することで、メモリの効率化を図った。
また、特徴の1つとして、PlayItem内の未使用領域に保管された特殊再生機能の管理情報をメモリに展開するための処理を、対応する各シーン(PlayItem)の展開と同時に行うようにした。これによって、BDカメラの起動時にmplsファイルやその管理情報を展開する処理を高速化することができる。
【0020】
図3にPlayListの構成例を示す。
この例は、複数のPlayList#1、#2と、それらのPlayList内に複数のPlayItemが形成して管理されていることを示している。
PlayListは、例えば日付が変わって撮影する日に、新たに1つ生成して管理情報として追加するのが好ましい。日付け情報は、システム制御部120(図1)の時計機構が計数する日時情報を引用する。つまり、新たに生成されたPlayListには、同じ日に撮影された映像のシーンが1つ増える度に、PlayItemが追加されていく。つまり、1回毎の映像のシーンの記録で、mplsファイルに対応するPlayItemと、clpiファイルと、m2tsファイルが1セットとして生成されて管理される。図示の例では、PlayList#1は1日目、例えば2006年7月7日であり、PlayList#2は、日付が変わった別の日である。
【0021】
PlayItemは、1シーンの映像に対応しており、記録される映像の開始と終了の場所を管理するmplsファイルの情報を記憶する。つまり、1回のシーンの映像を記録媒体に記録する度に、そのシーンに対応する開始(ST)21及び終了(SP)22、並びに特殊再生機能の管理情報23が生成され、メモリに保管されて映像ファイルを管理する。
【0022】
開始21及び終了22は、mplsファイルの情報であり、BDMV−s規格によれば25バイトの範囲を用いて管理される。開始及び終了の情報としては、映像が記録される光ディスク上のアドレスを用いてもよいが、時計機構が計数する日時情報をタイムスタンプとして記憶し、これによって映像の格納場所を管理してもよい。
【0023】
特殊再生機能の管理情報23は、PlayItem内の未使用領域、例えばリザーブ領域(Reserved for use)の11ビットを利用する。例えば、図5に示すように、11ビットの内、下位の2ビット(X部)で、フェード機能の有無を管理し、次の2ビット(Y部)で分け撮り機能を管理する。残りのビットは他の管理のために供される。
フェード機能Xの2ビットについて言うと、最下位の1ビット目がフェードイン機能の有無、2ビット目がフェードアウト機能の有無を示す。従って、フェード管理情報が「11」の場合、フェードイン及びフェードアウトが有り、「01」の場合、フェードイン有、フェードアウト無を示す。「01」の場合フェードイン無、フェードアウト有を示し、「00」の場合は両者の機能が無いことを示す。
【0024】
また、分け撮り機能Yに関する2ビットによって、4種類のカテゴリに分類できる。例えばY部の2ビットを、「11」旅行、「10」子供の学校行事、「01」ピアノ教室、「00」家族、等に対応付けることで、各PlayItemを4種類のディレクトリに分類することができる。
なお、このY部のビットを更に増やして、分類されるディレクトリの数を増加させることができる。逆に、分け撮り機能が不要な場合には、このY部のビットを設けない、或いは「00」の状態を分け撮り無しに定義することも可能である。
【0025】
ここで、図4を参照して、BDカメラのサムネール画面の例について説明しておく。画面に表示されたサムネールは全部で12個あり、アイコン71がフェードイン、72がフェードアウトを示す。利用者は操作部119を操作して、フェードをかけたいシーンの映像に対してフェードイン71又はフェードアウト72の設定を行う。図示の例では、4番目のシーンにフェードイン71及びフェードアウト72が設定され、8番目のシーンにはフェードイン71のみが設定されている。
【0026】
図3に戻り、具体的に説明する。
(1)に示すPlayList#1のPlayItemに関するフェード機能の管理情報23の設定は、図4のサムネール画面のフェード機能表示と対応している。従って、4番目のシーンのフェード機能Xの管理情報23は、フェードイン及びアウトがあるので、「00・・0011」である。また、8番目のシーンのフェード機能Xの管理情報23は、フェードイン有、アウト無なので、「00・・0001」である。その他のシーンのフェード機能Xの管理情報23はいずれも全て無いので「00・・000」である。
なお、管理情報23の内、Y部は全て「00」なので、この例の映像は全て「家族」のディレクトリに管理されることになる。
また(2)に示すように、PlayList#2のPlayItemに関するフェード機能の管理情報23は、別の日の映像であり、分け撮り機能Yは「11」なので「旅行」、フェード機能Xは「11」なので、フェードイン及びアウト共に設定「有」である。
【0027】
このように、図2及び図3の説明に従って規定され、及び管理フォーマットに従って設定された、管理ファイル及び管理情報23は、後述するように、図1のフォーマット制御部117で、映像の記録時にその都度生成されて管理メモリ118に記憶して管理される。また映像の再生時には、メモリ118に記憶されたこの管理情報が表示される。
【0028】
次に、図1を参照して、BDカメラの構成について説明する。
図1において、101は被写体の像を結像するための光学レンズ、102は結像した光を電気信号に変換するための光電変換手段であるCCDセンサ、103は映像の電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、104はデジタル信号に変換された映像情報を映像信号に変換するための処理を行う信号処理部、105は映像信号をMPEGのような所定の符号化方式に従って圧縮及び伸張処理する映像圧縮伸張部である。130は操作部119からの指定によって記録媒体114に記録された映像に対してフェードイン又はフェードアウトのフェード機能をアイコンによって設定する映像フェード制御部である。
【0029】
また、106は集音した音声を電気的な音声信号に変換するマイク、107は音声を発生するスピーカ、108は音声信号を増幅するアンプ、109は音声の電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器(D/A変換器)、110は、デジタル音声を、JPEGのような所定の符号化方式に従って圧縮及び伸張処理する音声圧縮伸張部、140は操作部119からの指定によって記録媒体114に記録された映像に対してフェードイン又はフェードアウトのフェード機能を音声によって設定する音声フェード制御部である。
【0030】
111は映像圧縮伸張部105で生成された映像圧縮ストリーム、及び音声圧縮伸張部110で生成された音声圧縮ストリームとを多重化する多重化部である。112は、映像圧縮伸張部105が圧縮処理した映像データ、及び音声圧縮伸張部110により圧縮処理された音声データ、及びこれらの多重化されたデータを一時的に記憶する大容量のメモリである。また、ATAPI/ATA部113は特定の規格に従ったインターフェース部、114は光ディスク等の記録媒体である。媒体R/W制御部115は、記録媒体114に記録再生するための映像のデータファイルを、所定のファイル形式で記録再生するための制御を行う。
【0031】
116は、映像を表示する表示部である。尚、この表示部116はファインダ内の表示部と、ビデオカメラの筐体の外側に設けられた可動式の表示部とに分けてもよい。117は記録媒体の種類を識別してBDMV−s規格に準拠したフォーマットの情報を生成するフォーマット制御部、118は記録媒体に記録するデータファイルの記録形式や記録再生のための管理情報を記憶する管理メモリである。119は、ユーザが操作する操作部であり、録画/停止キーやズームキー、記録モードの選択キー、及びフェード機能の指定などを行う。
120はシステム制御部であり、多重/分離部111やフォーマット制御部117、媒体記録再生制御部115等の各部を統括して制御する。なお、システム制御部120は年月日時分(単に日時という)を計時する時計機構を有する。時計機構で計時される日時は多重化の際にストリームに記録され、更に記録媒体114に記録される。
【0032】
ここで、映像圧縮伸張部105、音声圧縮伸張部110、多重/分離部111、フォーマット制御部117、映像フェード制御部130、音声フェード制御部140及びシステム制御部120の各機能は、好ましくはマイクロプログラムがマイクロプロセッサで実行されることにより実現されるが、それらの一部又は全部がハードウェアで構成されてもよい。また、図1では制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成ユニットが相互に接続されていると考えてよい。
【0033】
次に、映像の記録について説明する。
操作部119の操作に従って映像撮影モードが選択された場合、システム制御部120はその選択を認識してシステム全体が以下のように制御する。CCDセンサ102は駆動部(図示せず)により映像信号発生モードに駆動される。そして、光学レンズ101によって結像された像は、CCDセンサ102で電気信号に変換され、A/D変換器103でデジタル信号に変換された後、信号処理部104で映像データに変換処理されて、メモリ112に一時記憶される。その後、映像データは映像圧縮伸張部105で圧縮処理されるが、この圧縮処理はメモリ112と映像圧縮伸張部105との間で圧縮行程中の映像データをやりとりしながら、順次映像圧縮ストリームに変換処理する。一方、マイク110で集音された音声は、音声圧縮伸張部110で圧縮処理され、同様にしてメモリ112に一時記憶される。その後、メモリ112に記憶されている、映像圧縮伸張部105で生成された映像圧縮ストリームと音声圧縮伸張部110で生成された音声圧縮ストリームは多重/分離部111で多重化処理され、その多重処理データはメモリ112に一時記憶される。最終的に、多重処理データはメモリ112から出力され、媒体R/W制御部115及びATAPI/ATA部113を介して、所定の記録フォーマットで記録媒体114に記録される。
記録フォーマットは、本実施例に特徴的であり、図2及び3を参照して後述するように、フォーマット制御部117は、予め決められた所定のフォーマットで管理し、撮影された映像は、その映像のシーン毎に記録媒体に記録される。
【0034】
次に、映像の再生動作について説明する。
記録媒体114には、図2及び図3に示すファイル形式で映像が記録されている。操作部119によって映像再生モードが選択されると、システム制御部120によりシステム全体が以下のように制御され、ファイル制御部117で管理された形式で、シーン毎の映像が記録媒体114から読み出されて再生される。
即ち、媒体R/W制御部115は、映像ファイルを再生し、多重/分離部111で映像圧縮ストリームと音声圧縮ストリームに分離し、映像圧縮ストリームを映像圧縮伸長部105に送る。映像圧縮伸張部105はメモリ112との間で伸長工程中の映像データをやりとりしながら順次映像信号に変換処理し、信号処理部104を介して表示部116に出力する。音声圧縮ストリームは音声圧縮伸長部110で伸長処理して、スピーカ107から出力する。
【0035】
次に、フェード機能の設定について説明する。
撮影された映像情報は既に記録媒体114に記録されている。そこで、操作者は操作部119を操作してサムネール画面を表示部116に表示する。そこで、映像のシーンを指定し、フェードインまたはフェードアウトを指定する。例えば、図4に示すように、4番目のシーンにフェードイン及びアウトを指定し、8番目のシーンにフェードインのみが指定されると、システム制御部120は操作部119からの指定を認識して、映像フェード制御部130及び音声フェード制御部140を制御する。そして、映像フェード制御部130及び音声フェード制御部140は、それぞれ指定された4番目及び8番目のシーンにフェード機能を設定する。つまり、図3のように、対象とするPlayItem4及び8に対応する管理情報のXビットが設定される。このように設定された管理情報は、PlayItem内の未使用領域に保管され、管理メモリ118に記憶される。
【0036】
次に、分け撮り機能の設定について説明する。
図1には、分け撮り機能を設定するための制御部が図示されていないが、例えば映像フェード制御部130及び音声フェード制御部140をそれぞれ、映像分け撮り制御部130´、音声分け撮り機能140´と読み替え、それらの制御部が分け撮り機能の設定を制御するとする。
【0037】
さて、フェード機能の指定と同様にして、操作者は操作部119を操作してサムネール画面を表示部116に表示する。そこで、映像のシーンを指定し、分け撮りを指定する。分け撮り機能として、「11」旅行、「10」子供の学校行事、「01」ピアノ教室、「00」家族、の4種類のカテゴリが予め定められているとすると、操作者はその4種類のカテゴリの中から1つを選んで、シーン毎に指定していく。
【0038】
例えば、図4に示される12個全てのシーンに対して「旅行」を選択すると、システム制御部120は操作部119からのその指定を認識して、映像分け撮り制御部130´及び音声分け撮り制御部140´を制御する。すると、これらの制御部130´、140´は、全てのシーンに対して、「旅行」の分け撮り機能、即ち管理情報Yビットに「11」を設定する。
【0039】
なお、本発明の変形例によれば、特殊再生機能は上記したフェード機能や分け撮り機能に限定されない。例えば、表示される映像の画面の上下方向から画面が中央部に対してクローズ及びオープンするワイプイン/ワイプアウト機能を実現する場合も、上記した管理情報を用いて同様に設定することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施例におけるDBカメラの構成を示すブロック図。
【図2】BDMVフォーマットのサブセットのデータ構造を示す図。
【図3】PlayListの構成例を示す図。
【図4】BDカメラのサムネール画面の例を示す図。
【図5】BDカメラの特殊再生機能の管理情報の構成例を示す図。
【符号の説明】
【0041】
101:光学レンズ、102:CCDセンサ、103:A/D変換器、104:信号処理部、105:映像圧縮伸張部、106:マイク、107:スピーカ、108:アンプ、109:A/D変換器(D/A変換器)、110:音声圧縮伸張部、111:多重化/ウ分離部、112:メモリ、113:インターフェース部、114:記録媒体、115:媒体R/W制御部、116:表示部、117:フォーマット制御部、118:管理メモリ、119:操作部、120:システム制御部、130:映像フェード制御部、140:音声フェード制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を所定のファイル形式で記録媒体に記録する映像記録方法において、
該映像を記録する所定の記録単位に対応して、特殊再生機能を管理するための管理情報を設定し、該管理情報をメモリに格納すると共に、該映像を記録媒体に記録することを特徴とする映像記録方法。
【請求項2】
前記特殊再生機能としてフェード機能を含み、サムネール画面を表示部に表示する時、該フェード機能の設定状況も併せて表示することを特徴とする請求項1の映像記録方法。
【請求項3】
該記録単位の映像の情報をメモリ上に展開すると同時に、該管理情報を該メモリ上に展開することを特徴とする請求項1又は2の映像記録方法。
【請求項4】
映像をシーン毎に該記録媒体に記録し、かつ前記管理情報をシーン毎に設定し、シーン毎にメモリに展開すると同時に該管理情報を該メモリに展開することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの映像記録方法。
【請求項5】
取得する映像のシーンの区切り毎に1つのPlayItemを生成し、かつ1つのPlayList中に複数のPlayItemを配置し、該PlayItem内の未使用領域に、該管理情報を設定してメモリに記憶することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの映像記録方法。
【請求項6】
前記該PlayItem内の未使用領域として、Reserved for useの11ビットの内の複数のビットを利用して該管理情報を設定することを特徴とする請求項5の映像記録方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかの方法によって映像が記録された該記録媒体から映像を再生する時、該管理情報を参照して該特殊再生機能に基づいて該映像の再生を行うことを特徴とする映像再生方法。
【請求項8】
映像を所定のファイル形式で記録媒体に記録する映像記録方法において、Rootディレクトリの下にBDMVディレクトリを配置し、更にその下にPLAYLIST,CLIPINFO,STREAMの各ディレクトリを配置するように定義されたBDMS subset(BDMV−s)規格に基づくフォーマットに従ってファイルを作成し、かつ取得する映像のシーンの区切り毎に1つのPlayItemを生成し、1つのPlayList中に複数のPlayItemを配置し、更にPlayItem内の未使用領域に特殊再生機能を管理するための管理情報を保持し、該フォーマットに従って該映像を記録媒体に記録することを特徴とする映像記録方法。
【請求項9】
1回のシーンの映像を記録媒体に記録する度に、前記PlayListを更新せず、PlayItemを1つずつ増やして生成することを特徴とする請求項8の映像記録方法。
【請求項10】
日付けが更新される度に、新にPlayListを生成して更新することを特徴とする請求項8又は9の映像記録方法。
【請求項11】
1回の映像の記録で、mplsファイルと、clpiファイルと、m2tsファイルを1つのセットとして管理し、該mplsファイルのPlayItemに映像を記録する開始及び終了の場所を管理する情報を記憶することを特徴とする請求項8乃至10のいずれかの映像記録方法。
【請求項12】
映像をファイル形式で記録媒体に記録する映像記録装置において、
特殊再生機能を設定するために操作される操作部と、該操作部によって指定された、所定の記録単位の該映像に特殊再生機能を設定する特殊再生機能制御部と、該映像を記録する所定の記録単位に対応して、設定された該特殊再生機能を管理するための管理情報を記憶するメモリと、を有すること特徴とする映像記録装置。
【請求項13】
前記特殊再生機能としてフェード機能を含み、生成されたサムネール画面に該フェード機能の設定状況も含めて表示する表示部を有することを特徴とする請求項12の映像記録装置。
【請求項14】
該記録単位の映像の情報をメモリ上に展開すると同時に該管理情報も併せて展開することを特徴とする請求項12又は13の映像記録装置。
【請求項15】
取得する映像のシーンの区切り毎に1つのPlayItemを生成し、かつ1つのPlayList中に複数のPlayItemを配置し、該PlayItem内の未使用領域に、該管理情報を設定して該メモリに記憶することを特徴とする請求項12乃至14のいずれかの映像記録装置。
【請求項16】
映像を所定のファイル形式で記録する記録媒体において、
Rootディレクトリの下にBDMVディレクトリを配置し、更にその下にPLAYLIST,CLIPINFO,STREAMの各ディレクトリを配置するように定義されたBDMS subset(BDMV−s)規格に基づくフォーマットに従ってファイルを作成し、かつ取得する映像のシーンの区切り毎に1つのPlayItemを生成し、1つのPlayList中に複数のPlayItemを配置し、PlayItem内の未使用領域に保持される、特殊再生機能を設定するための管理情報に従って管理された該映像を所定のフォーマットに従って記録する映像用記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−28440(P2008−28440A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195384(P2006−195384)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】