映像音声データ記録再生装置
【課題】符号化復号化方法に依存せず、複数の映像フォーマット、複数の音声フォーマット、複数の多重化フォーマットに汎用的に対応させる。
【解決手段】 記録再生制御装置2にファイルシステムインターフェースライブラリ5を設ける。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、CODECに依存するブロック(記録再生装置2)とCODECに依存しない部分(ファイル管理装置3)とを仲介する。これにより、ファイル管理装置2が記録再生制御装置3とが分離され、記録再生装置の汎用性が向上する。
【解決手段】 記録再生制御装置2にファイルシステムインターフェースライブラリ5を設ける。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、CODECに依存するブロック(記録再生装置2)とCODECに依存しない部分(ファイル管理装置3)とを仲介する。これにより、ファイル管理装置2が記録再生制御装置3とが分離され、記録再生装置の汎用性が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊再生に適したファイル構成で映像音声データを管理する映像音声データ記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々なフォーマットの映像音声コンテンツをランダムアクセス性を利用した特殊再生を実現するフォーマットに変換して記録媒体に記録する映像音声データ記録装置、及びこのフォーマットで記録された映像音声コンテンツを再生する映像音声データ再生装置が存在する。
【0003】
図9は、従来の映像音声データ記録装置100の構成を示している。多重化映像音声データ抽象化ブロック111は、入力した映像音声データをCODEC(符号化復号化方法)に依存しない形式に変換してパック化映像音声データを生成する。パック化映像音声データ管理制御ブロック112は、パック化映像音声データのファイル管理を行う。パック化映像音声データ管理制御ブロック112は、記録媒体の記録位置を決定する。記録媒体制御ブロック113は、パック化映像音声データ制御管理ブロック112の指示に従い記録処理を実行する。
【0004】
多重化映像音声データ抽象化ブロック111とシステム制御ブロック110とは、CODECに依存したブロックである。多重化映像音声データ抽象化ブロック111は、システム制御ブロックから映像音声データの属性情報を入力する。この属性情報には、映像音声データがどのCODECで符号化されているかという情報が含まれている。多重化映像音声データ抽象化ブロック111は、この情報からCODECに依存しないパック化映像音声データを生成する。パック化映像音声データを生成する処理は、CODECに依存する。
【0005】
以上説明したように、従来の映像音声データ記録装置100では、システム制御ブロック110と、多重化映像音声データ抽象化ブロック111というCODECに依存したブロックを含むため、システム全体として汎用性が低く、CODECの変更に対して柔軟に対応することができないという問題があった。
【0006】
この問題は、従来の映像音声再生装置にも存在する。従来の映像音声データ再生装置200は、図10に示すような構成をしている。多重化映像音声データ構成ブロック221は、パック化映像音声データを映像データと音声データ、再生時刻情報とに分離し、システム制御ブロック220が指定した多重化フォーマットに従って映像音声データを再構成する。映像音声データの再構成がCODECに依存した処理であるため、映像音声再生装置200はCODECの変更に対して柔軟に対応することができない。
【0007】
【特許文献1】特願2003−128412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、符号化復号化方法に依存せず、複数の映像フォーマット、複数の音声フォーマット、複数の多重化フォーマットに汎用的に対応する映像音声データ記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる映像音声データ記録再生装置は、映像音声データを該映像音声データの多重化フォーマットに依存しない所定のフォーマットに変換するフォーマット変換手段と、所定のフォーマットに変換した映像音声データを特殊再生に適したファイル構成で管理するファイル管理手段と、フォーマット変換手段とファイル管理手段との間の仲介を行う仲介手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる映像音声データ記録再生装置は、映像音声データを多重化フォーマットに依存しない所定のフォーマットに変換するフォーマット変換手段と、所定のフォーマットに変換した映像音声データを特殊再生に適したファイル構成で管理するファイル管理手段と、フォーマット変換手段とファイル管理手段とを仲介する仲介手段とを備えることにより、ファイル管理手段がフォーマット変換手段から分離され、ファイル管理手段が映像音声データの多重化フォーマットに依存しなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を適用した映像音声データ記録再生システムを説明する。映像音声データ記録再生システムは、一般的な映像音声データを特殊再生に適した形式で記録し、特殊再生の効率を向上させるシステムである。映像音声データ記録再生システムは、映像音声データの記録時において、MPEGやDVストリームなどの一般的な形式の映像音声データをCODEC(符号化復号化方法)に依存しないパック化映像音声データに変換し、パック化映像音声データを特殊再生に適したファイル構成で記録する。また、映像音声データ記録再生システムは、データの再生時において、記録媒体に記録されたパック化映像音声データを読み出し、一般的な映像音声データに戻す。
【0012】
映像音声データをパック化映像音声データに変換する処理は、CODECに依存した処理である。パック化映像音声データを特殊再生に適した形式で記録する処理は、CODECに依存しない処理である。本発明は、映像音声データをパック化映像音声データに変換するブロックと、パック化映像音声データのファイル管理するブロックとを分離することにより、ファイル管理するブロックの汎用性を高めることを特徴とする。
【0013】
図1は、映像音声データ記録再生システム1の構成を示すブロック図である。映像音声データ記録再生システム1は、入力した映像音声データをパック化映像音声データに変換する記録再生制御装置2と、パック化映像音声データを特殊再生に適したファイル構成で管理するファイル管理装置3とを備える。記録再生制御装置2は映像音声データのCODECに依存する部分であり、ファイル管理装置3はCODECに依存しない部分である。記録再生制御装置2には、ファイルシステムインターフェースライブラリ5が設けられている。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、CODECに依存したブロック(記録再生制御装置2)とCODECに依存していないブロック(ファイル管理装置3)とを仲介する。これにより、ファイル管理装置3が記録再生制御装置2と分離され、ファイル管理装置3の汎用性が向上する。
【0014】
記録再生制御装置2は、図1に示すように映像音声データ変換部4とファイルシステムインターフェースライブラリ5とを備える。記録再生制御装置2は、DVDプレーヤ、テレビチューナ、ストリーミングクライアントなどの映像音声データを記録している若しくは映像音声データを入手することのできる映像音声機器に実装される。本実施の形態では、映像音声データを入手するブロックの説明は省略する。
【0015】
ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、ファイル管理装置3のベンダーが映像音声機器の開発者に提供する。映像音声機器の開発者は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5が提供する機能を利用して映像音声データ変換部4を作成する。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、ファイル管理装置3との仲介のほかに、仲介に必要なモジュールを部品化することで記録再生制御装置2の開発の効率化を支援する。
【0016】
映像音声データ変換部4は、映像音声データをパック化映像音声データに変換する多重化映像音声データ抽象化ブロック41と、記録媒体8から読み出したパック化映像音声データを映像音声データに変換する多重化映像音声データ構成ブロック43と、ファイルシステムインターフェースライブラリ5の機能を利用してファイル管理装置3を制御するシステム制御ブロック42とを備える。
【0017】
多重化映像音声データ抽象化ブロック41は、映像音声データを多重化分離するための制御コードを記憶している。多重化映像音声データ抽象化ブロック41は、この制御コードに従い、入力された映像音声ソースの映像データ及び音声データの分離を行う。多重化映像音声データ抽象化ブロック41は、システム制御ブロック42からのコマンドにより、どのような多重化フォーマットが入力されるか既に認識している。多重化フォーマットでは、通常、映像データおよび音声データの同期をとるための時刻情報を有するか、あるいは少なくともある約束事のもとに同期がとれる仕組みを有している。例えば、MPEG−2トランスポートストリームの場合、基準時刻としてPCR(Program Clock Reference)を含んでおり、この基準時計に基づいて映像データや音声データが再生開始されるべき時刻として(ある単位で)PTS(Presentation Time Stamp)を含んでいる。また、時刻情報を持たない映像のみのデータや音声のみのデータであってもフレーム同期やサンプリング周波数などからどのようなタイミングで映像あるいは音声データを再生すべきか算出することができる。いずれにしても、映像データ及び音声データが再生されるべき時刻を得ることができる。このデータは、既に多重化フォーマットを解いた形式に還元されているため、多重化フォーマットに依存しない方法で処理される。
【0018】
多重化映像音声データ抽象化ブロック41は、映像データ及び音声データを復号単位に分離する。映像データ及び音声データはそれらを復号する単位が存在する。符号化されたデータは、復号単位のデータが揃って初めて、その単位に含まれるビデオフレームやオーディオのサンプルが復号できる。復号単位は、符号化フォーマットによって異なる。例えば、MPEGビデオの復号化単位は、1GOP(Group Of Picture)である。このGOPから特定のフレーム(あるいはフィールド)に関するデータのみを抽出しても、そのデータからのみではビデオフレーム(あるいはフィールド)を再現することができない。
【0019】
また、映像データには必ずキーフレームなるものが存在し、そのキーフレームから次のキーフレームの1つ前のフレームまでを復号単位として考えることができ、その単位でそれに含まれる全フレームデータを復号することができる。例えば、MPEG映像の場合、Iフレームと呼ばれるフレームがキーフレームに相当する。また、音声データには、オーディオフレームなるものが存在し、その単位でそこに含まれる全サンプルデータを復号することができる。いずれにしても映像データ及び音声データはそれぞれ復号単位に分離することができる。
【0020】
映像データの再生に関わる時刻情報及び音声データの再生に関わる時刻情報は、多重化映像音声データ抽象化ブロック41において、復号単位を1単位にまとめ抽象化される。また、抽象化映像データ及び抽象化音声データにその再生時刻情報(抽象化映像データ時刻情報及び抽象化音声データ時刻情報)を添付しパック化映像音声データを生成する。例えば、MPEG−2映像データの場合、GOPが復号単位であるので、映像PESパケットデータからGOPデータを抽出し、そのデータとGOP先頭のIフレームの再生を開始する時刻を抽象化映像データ時刻情報とする。
【0021】
多重化映像音声データ構成ブロック43は、ファイル管理装置3から入力したパック化映像音声データを映像データと音声データ、再生時刻情報とに分離する。多重化映像音声データ構成ブロック43は、映像データ、音声データおよびそれらの再生時刻情報から、システム制御ブロック42に指定された多重化フォーマットに従う方式で多重化された映像音声データを再構成する。
【0022】
多重化映像音声データ構成ブロック43は、記録媒体管理テーブル10の映像音声データの属性情報を利用して特殊再生をすることもできる。特殊再生は、外部コマンドにより再生方法の1つとして指定される。多重化映像音声データ構成ブロック43は、指定された特殊再生の種類と速度で特殊再生を実現するためにはどのパック化映像音声データを読み出せばよいか判断する。その判断により、ファイルシステムインターフェースライブラリ5を介してファイル管理装置3に必要となるパック化映像音声データを要求する。例えば、多重化を完了した直近の時刻からの時刻差分値を指定することにより、パック化映像音声データを指定する。あるいは所望の時刻そのもの、パック化映像音声データ番号そのもの、パック化映像音声データ番号差分値を指定することもできる。以上のようにしてパック化映像音声データを逐一読み出すことにより、パック化映像音声データ単位の特殊再生用映像音声データを取得することができる。
【0023】
ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、C言語のライブラリと同様の方法で組み込まれ、C言語の標準関数やシステムコールなどと同じようなAPI(Application Programming Interface)関数を映像音声データ変換部4に提供する。映像音声データ変換部4は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5が提供する様々なAPI関数を処理目的に応じて呼び出すことで、パック化映像音声データの記録再生を実現する。
【0024】
ファイルシステムインターフェースライブラリ5からファイル管理装置3に送られるデータには、記録するパック化映像音声データ、記録開始コマンド、再生開始コマンド、記録する映像音声データの名称、再生する映像音声データ識別情報などがある。
【0025】
ファイル管理装置3は、論理的なファイル構成を管理するパック化映像音声データ管理制御ブロック6と、記録媒体8の物理的なファイル構成を管理する記録媒体制御ブロック7とを備える。記録媒体8は、ファイル管理装置3に内蔵しても、外付けであってもよい。但し、記録媒体8は、その種類によって書き込み/読み出しの性能(転送レート)が異なる。転送レートは、パック化映像音声データのサイズに大きく影響されるため、ファイル管理装置3には接続されている記録媒体8に最適なパック化映像音声データのサイズを記録再生制御装置2に伝えるための仕組みが必要である。この仕組みについては後述する。
【0026】
パック化映像音声データ管理制御ブロック6は、パック化映像音声データを受信すると、記録媒体制御ブロック7に対して、記録領域の割り当てを要求する。パック化映像音声データ管理制御ブロック6は、割り当てられた記録領域へのアラインメント調整などを実行し、割り当てられた記録領域へパック化映像音声データを随時書き出す。新たな記録領域への割り当てが必要となった場合、さらに、記録媒体制御ブロック7に記録領域の割り当てを要求する。
【0027】
パック化映像音声データ管理制御ブロック6は、各パック化映像音声データ開始時刻(再生経過時刻)、記録位置、サイズなどを記述したシーケンステーブルを生成する。このシーケンステーブルをパック化映像音声データ管理テーブル9と表す。パック化映像音声データ管理テーブル9の例を図3に示す。
【0028】
さらに、パック化映像音声データ管理制御ブロック6は、記録媒体管理テーブル10を生成する。記録媒体管理テーブル10は、パック化映像音声データ管理テーブル9の上位に位置する管理テーブルであり、記録媒体8中に記録されている全映像音声コンテンツを管理するためのテーブルである。最も簡単な例を図2に示す。この例における記録媒体管理テーブル10は、各コンテンツに対し、そのコンテンツの映像音声データの属性、そのコンテンツの名称、パック化映像音声データ管理テーブル9の記録位置などを記述する。コンテンツである映像音声データの属性やコンテンツの名称といった本体映像音声ソースに含まれない情報は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5経由で取得する。
【0029】
以下、図4及び図5を参照してファイルシステムインターフェースライブラリ5を経由した映像音声データの記録処理及び再生処理を説明する。
【0030】
図4は、映像音声データの記録処理の手順を示している。映像音声データは、映像音声データ変換部4の多重化映像音声データ抽象化ブロック41に入力される。多重化映像音声データ抽象化ブロック41は、映像音声データを読み込むと(ステップS10)、映像音声データをパック化映像音声データに変換する(ステップS11)。システム制御ブロック42は、パック化映像音声データが完成したか否かを監視し、パック化映像音声データの完成を検出した場合には(ステップS12;YES)、パック化映像音声データの書き込み要求及びパック化映像音声データをファイルシステムインターフェースライブラリ5に転送する(ステップS13)。一方、システム制御ブロック42は、パック化映像音声データの完成を検出しない場合には(ステップS12;NO)、監視を継続する。
【0031】
ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、パック化映像音声データの書き込み要求及びパック化映像音声データをAPI関数によって取得する(ステップS14)。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、API関数の引数として取得したファイルシステムアクセスコマンドのパラメータを基にパック化映像音声データ書き込み用のファイルシステムアクセスコマンドを生成し(ステップS15)、ファイル管理装置3に転送する(ステップS16)。ファイル管理装置3は、書き込み用アクセスコマンドを取得する(ステップS17)。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、ファイルシステムアクセスコマンドの転送に続いてパック化映像音声データをファイル管理装置3に転送する(ステップS18)。
【0032】
ファイル管理装置3は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5から転送されてきたパック化映像音声データを取得し(ステップS19)、特殊再生に適したファイル構成で記録媒体8に記録する(ステップS20)。ファイル管理装置3は、パック化映像音声データの記録を完了するとファイルシステムアクセスコマンドのレスポンスをファイルシステムインターフェースライブラリ5に転送する(ステップS21)。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、ファイル管理装置3から転送されてきたファイルシステムアクセスコマンドのレスポンスを受信する(ステップS22)。ファイルシステムインターフェースライブラリ5はAPI関数の引数としてファイルシステムアクセスコマンドのレスポンスを映像音声データ変換部4に転送する(ステップS23)。映像音声データ変換部4は、レスポンスを受信する(ステップS24)。以後、これらの書き込み過程を繰り返し行う。
【0033】
図4のフローチャートに示すように、映像音声データ変換部4とファイル管理装置3とは、ファイルシステムインターフェースライブラリ5を仲介としており、直接データをやりとりすることはない。このように、本発明を適用した映像音声データ記録再生システム1は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5を設けたことにより、ファイル管理装置3が映像音声データ変換部4から分離される。
【0034】
次いで、図5を参照して映像音声データの再生処理の手順を説明する。
【0035】
まず、映像音声データ変換部4のシステム制御ブロック42は、パック化映像音声データの読み出しを要求する(ステップS30)。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、パック化映像音声データの読み出し要求を取得する(ステップS31)。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、API関数の引数として取得したファイルシステムアクセスコマンドのパラメータを基にパック化映像音声データ読み出し用のファイルシステムアクセスコマンドを生成し(ステップS32)、ファイル管理装置3に転送する(ステップS33)。
【0036】
ファイル管理装置3は、ファイルシステムアクセスコマンドを受信すると(ステップS34)、ファイルシステムアクセスコマンドで指定されたパック化映像音声データを記録媒体8から読み出し(ステップS35)、読み出したパック化映像音声データをファイルシステムインターフェースライブラリ5に転送する(ステップS36)。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、ファイル管理装置3から転送されてきたパック化映像音声データを取得する(ステップS37)。ファイル管理装置3は、パック化映像音声データの転送が終了するとファイルシステムアクセスコマンドをファイルシステムインターフェースライブラリ5に転送する(ステップS38)。
【0037】
ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、ファイル管理装置3から転送されてきたファイルシステムアクセスコマンドのレスポンスを受信すると(ステップS39)、API関数の引数として映像音声データ変換部4にパック化映像音声データ及びファイルシステムアクセスコマンドのレスポンスを転送する(ステップS40)。映像音声データ変換部4の多重化映像音声データ構成ブロック43は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5から転送されてきたパック化映像音声データを取得し(ステップS41)、取得したパック化映像音声データを映像音声データに復元する(ステップS42)。映像音声データ変換部4の多重化映像音声データ構成ブロック43は、復元した映像音声データを図示しない再生処理部若しくは伝送処理部に出力する(ステップS43)。以後、これらの読み出し過程を繰り返し行う。
【0038】
図5のフローチャートに示すように、映像音声データ変換部4とファイル管理装置3とは、ファイルシステムインターフェースライブラリ5を仲介としており、直接データをやりとりすることはない。このように、本発明を適用した映像音声データ記録再生システム1は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5を設けたことにより、ファイル管理装置3が映像音声データ変換部4から分離されている。
【0039】
ところで、映像音声データの書き込み/読み出しの性能(転送レート)は、パック化映像音声データのサイズに大きく影響し、しかも、そのパック化映像音声データのサイズは記録媒体固有の特性に依存する。本発明を適用した映像音声データ記録再生システム1では、パック化映像音声データを生成する記録再生制御装置2と、記録媒体8を管理するファイル管理装置3とを分離したため、記録再生制御装置2がパック化映像音声データのサイズをどれくらいに設定すればよいのかがわからない。そのため、記録媒体8に最適なパック化映像音声データのサイズを記録再生制御装置2に伝えるための仕組みが必要である。
【0040】
パック化映像音声データのサイズを決定する方法を以下に示す。まず、1つめの方法では、記録媒体8に図6に示すような転送レートと転送レートを実現するためのパック化映像音声データサイズの関係を表したレートテーブル11を記録する。このレートテーブル11の内容は記録媒体の種類(ハードディスク、メモリ等)や記録媒体の大きさ(2.5インチHDD、3.5インチHDD等)等によって異なる。このレートテーブル11は、記録媒体8を測定することによってあらかじめ作成しておく。
【0041】
記録再生制御装置2は、ファイル管理装置3に対して必要な転送レートを指定する。ファイル管理装置3は、レートテーブル11を読み出し、記録再生制御装置2が指定した転送レートを実現するために必要なパック化映像音声データのサイズを検索し、転送レートに対応したパック化映像音声データのサイズを記録再生制御装置2に転送する。転送したパック化映像音声データのサイズは、指定された転送レートを実現するために最低限必要な大きさである。記録再生制御装置2とファイル管理装置3との間のレートテーブル11のやりとりもファイルシステムインターフェースライブラリ5が仲介する。
【0042】
図7は、レートテーブル11を使ってパック化映像音声データのサイズを決定する処理の手順を示している。記録再生制御装置2は、まず、記録する映像音声データに必要となる転送レートを求める(ステップS50)。記録再生制御装置2は、ファイルシステムインターフェースライブラリ経由で、必要な転送レートを実現するパック化映像音声データのサイズをファイル管理装置3に問い合わせる(ステップS51)。ファイル管理装置3は、記録再生制御装置2からの問い合わせを受信し(ステップS52)、レートテーブル11を記録媒体8から読み出す(ステップS53)。ファイル管理装置3は、指定された転送レートを実現するパック化映像音声データのサイズをレートテーブル11から検索する(ステップS54)。ファイル管理装置3は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5経由で、パック化映像音声データのサイズを転送する(ステップS55)。記録再生制御装置2は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5経由でパック化映像音声データのサイズを取得する(ステップS56)。
【0043】
次いで、パック化映像音声データのサイズを記録再生制御装置2に通知する2つめの方法を説明する。2つめの方法は、転送レートと記録媒体固有の特性情報からパック化映像音声データのサイズを計算により導く手法である。この方法では、記録媒体8上のある決められた固定領域(記録領域の先頭等)に、記録媒体固有の特性情報を記録しておき、記録再生制御装置2から要求された転送レートと記録媒体固有の特性情報を下記の計算式(1)に当てはめてパック化映像音声データのサイズを導き出す。
【0044】
パック化映像音声データのサイズ=関数(記録媒体固有の特性情報、要求転送レート)
・・・・(1)
図8は、パック化映像音声データのサイズを算出する手順を示している。記録再生制御装置2は、記録する映像音声データに必要となる転送レートを求める(ステップS60)。記録再生制御装置2は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5経由で、必要な転送レートを実現するパック化映像音声データのサイズをファイル管理装置3に問い合わせる(ステップS61)。ファイル管理装置3は、記録再生制御装置2からの問い合わせを受信し(ステップS62)、記録媒体固有の特性情報を記録媒体8から読み出す(ステップS63)。ファイル管理装置3は、必要な転送レートと記録媒体8固有の特性情報とを計算式(1)に当てはめて、要求された転送レートを実現するために最低限必要なパック化映像音声データのサイズを計算式(1)から導く(ステップS64)。ファイル管理装置3は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5経由でパック化映像音声データのサイズを転送する(ステップS65)。記録再生制御装置2は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5経由でパック化映像音声データのサイズを取得する(ステップS66)。
【0045】
以上説明したように、本発明を適用した映像音声データ記録再生システム1は、記録再生制御装置2にファイルシステムインターフェースライブラリ5を備え、ファイルシステムインターフェースライブラリ5を介して、記録再生制御装置2とファイル管理装置3とが通信する。これにより、CODEC依存部分である記録再生制御装置2とCODEC非依存部分であるファイル管理装置3とを分離している。
【0046】
また、映像音声データ記録再生システム1は、映像音声データに適した転送レートを確保するためにパック化映像音声データのサイズをファイル管理装置3に問い合わせる。ファイル管理装置3は、記録媒体8に記録されたレートテーブル11または記録媒体8自身の特性情報を読み出し、これらを基にパック化映像音声データのサイズを導き出す。これにより、映像音声データの転送レートが確保される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を適用した映像音声データ記録再生システムの構成を示すブロック図である。
【図2】記録媒体管理テーブルの構成を示す図である。
【図3】パック化映像音声データ管理テーブルの構成を示す図である。
【図4】記録処理の手順を説明するフローチャートである。
【図5】再生処理の手順を説明するフローチャートである。
【図6】レートテーブルの構成を示す図である。
【図7】レートテーブルを使ってパック化映像音声データのサイズを決定する手順を説明するフローチャートである。
【図8】記録媒体の特性情報を使ってパック化映像音声データのサイズを決定する手順を説明するフローチャートである。
【図9】従来の映像音声データ記録装置の構成を示すブロック図である。
【図10】従来の映像音声データ再生装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
1 映像音声データ記録再生システム、2 記録再生制御装置、3 ファイル管理装置、4 映像音声データ変換部、5 ファイルシステムインターフェースライブラリ、6 パック化映像音声データ管理制御ブロック、7 記録媒体制御ブロック、8 記録媒体、9 パック化映像音声データ管理テーブル、10 記録媒体管理テーブル、11 レートテーブル、41 多重化映像音声データ抽象化ブロック、42 システム制御ブロック、43 多重化映像音声データ構成ブロック
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊再生に適したファイル構成で映像音声データを管理する映像音声データ記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々なフォーマットの映像音声コンテンツをランダムアクセス性を利用した特殊再生を実現するフォーマットに変換して記録媒体に記録する映像音声データ記録装置、及びこのフォーマットで記録された映像音声コンテンツを再生する映像音声データ再生装置が存在する。
【0003】
図9は、従来の映像音声データ記録装置100の構成を示している。多重化映像音声データ抽象化ブロック111は、入力した映像音声データをCODEC(符号化復号化方法)に依存しない形式に変換してパック化映像音声データを生成する。パック化映像音声データ管理制御ブロック112は、パック化映像音声データのファイル管理を行う。パック化映像音声データ管理制御ブロック112は、記録媒体の記録位置を決定する。記録媒体制御ブロック113は、パック化映像音声データ制御管理ブロック112の指示に従い記録処理を実行する。
【0004】
多重化映像音声データ抽象化ブロック111とシステム制御ブロック110とは、CODECに依存したブロックである。多重化映像音声データ抽象化ブロック111は、システム制御ブロックから映像音声データの属性情報を入力する。この属性情報には、映像音声データがどのCODECで符号化されているかという情報が含まれている。多重化映像音声データ抽象化ブロック111は、この情報からCODECに依存しないパック化映像音声データを生成する。パック化映像音声データを生成する処理は、CODECに依存する。
【0005】
以上説明したように、従来の映像音声データ記録装置100では、システム制御ブロック110と、多重化映像音声データ抽象化ブロック111というCODECに依存したブロックを含むため、システム全体として汎用性が低く、CODECの変更に対して柔軟に対応することができないという問題があった。
【0006】
この問題は、従来の映像音声再生装置にも存在する。従来の映像音声データ再生装置200は、図10に示すような構成をしている。多重化映像音声データ構成ブロック221は、パック化映像音声データを映像データと音声データ、再生時刻情報とに分離し、システム制御ブロック220が指定した多重化フォーマットに従って映像音声データを再構成する。映像音声データの再構成がCODECに依存した処理であるため、映像音声再生装置200はCODECの変更に対して柔軟に対応することができない。
【0007】
【特許文献1】特願2003−128412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、符号化復号化方法に依存せず、複数の映像フォーマット、複数の音声フォーマット、複数の多重化フォーマットに汎用的に対応する映像音声データ記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる映像音声データ記録再生装置は、映像音声データを該映像音声データの多重化フォーマットに依存しない所定のフォーマットに変換するフォーマット変換手段と、所定のフォーマットに変換した映像音声データを特殊再生に適したファイル構成で管理するファイル管理手段と、フォーマット変換手段とファイル管理手段との間の仲介を行う仲介手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる映像音声データ記録再生装置は、映像音声データを多重化フォーマットに依存しない所定のフォーマットに変換するフォーマット変換手段と、所定のフォーマットに変換した映像音声データを特殊再生に適したファイル構成で管理するファイル管理手段と、フォーマット変換手段とファイル管理手段とを仲介する仲介手段とを備えることにより、ファイル管理手段がフォーマット変換手段から分離され、ファイル管理手段が映像音声データの多重化フォーマットに依存しなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を適用した映像音声データ記録再生システムを説明する。映像音声データ記録再生システムは、一般的な映像音声データを特殊再生に適した形式で記録し、特殊再生の効率を向上させるシステムである。映像音声データ記録再生システムは、映像音声データの記録時において、MPEGやDVストリームなどの一般的な形式の映像音声データをCODEC(符号化復号化方法)に依存しないパック化映像音声データに変換し、パック化映像音声データを特殊再生に適したファイル構成で記録する。また、映像音声データ記録再生システムは、データの再生時において、記録媒体に記録されたパック化映像音声データを読み出し、一般的な映像音声データに戻す。
【0012】
映像音声データをパック化映像音声データに変換する処理は、CODECに依存した処理である。パック化映像音声データを特殊再生に適した形式で記録する処理は、CODECに依存しない処理である。本発明は、映像音声データをパック化映像音声データに変換するブロックと、パック化映像音声データのファイル管理するブロックとを分離することにより、ファイル管理するブロックの汎用性を高めることを特徴とする。
【0013】
図1は、映像音声データ記録再生システム1の構成を示すブロック図である。映像音声データ記録再生システム1は、入力した映像音声データをパック化映像音声データに変換する記録再生制御装置2と、パック化映像音声データを特殊再生に適したファイル構成で管理するファイル管理装置3とを備える。記録再生制御装置2は映像音声データのCODECに依存する部分であり、ファイル管理装置3はCODECに依存しない部分である。記録再生制御装置2には、ファイルシステムインターフェースライブラリ5が設けられている。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、CODECに依存したブロック(記録再生制御装置2)とCODECに依存していないブロック(ファイル管理装置3)とを仲介する。これにより、ファイル管理装置3が記録再生制御装置2と分離され、ファイル管理装置3の汎用性が向上する。
【0014】
記録再生制御装置2は、図1に示すように映像音声データ変換部4とファイルシステムインターフェースライブラリ5とを備える。記録再生制御装置2は、DVDプレーヤ、テレビチューナ、ストリーミングクライアントなどの映像音声データを記録している若しくは映像音声データを入手することのできる映像音声機器に実装される。本実施の形態では、映像音声データを入手するブロックの説明は省略する。
【0015】
ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、ファイル管理装置3のベンダーが映像音声機器の開発者に提供する。映像音声機器の開発者は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5が提供する機能を利用して映像音声データ変換部4を作成する。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、ファイル管理装置3との仲介のほかに、仲介に必要なモジュールを部品化することで記録再生制御装置2の開発の効率化を支援する。
【0016】
映像音声データ変換部4は、映像音声データをパック化映像音声データに変換する多重化映像音声データ抽象化ブロック41と、記録媒体8から読み出したパック化映像音声データを映像音声データに変換する多重化映像音声データ構成ブロック43と、ファイルシステムインターフェースライブラリ5の機能を利用してファイル管理装置3を制御するシステム制御ブロック42とを備える。
【0017】
多重化映像音声データ抽象化ブロック41は、映像音声データを多重化分離するための制御コードを記憶している。多重化映像音声データ抽象化ブロック41は、この制御コードに従い、入力された映像音声ソースの映像データ及び音声データの分離を行う。多重化映像音声データ抽象化ブロック41は、システム制御ブロック42からのコマンドにより、どのような多重化フォーマットが入力されるか既に認識している。多重化フォーマットでは、通常、映像データおよび音声データの同期をとるための時刻情報を有するか、あるいは少なくともある約束事のもとに同期がとれる仕組みを有している。例えば、MPEG−2トランスポートストリームの場合、基準時刻としてPCR(Program Clock Reference)を含んでおり、この基準時計に基づいて映像データや音声データが再生開始されるべき時刻として(ある単位で)PTS(Presentation Time Stamp)を含んでいる。また、時刻情報を持たない映像のみのデータや音声のみのデータであってもフレーム同期やサンプリング周波数などからどのようなタイミングで映像あるいは音声データを再生すべきか算出することができる。いずれにしても、映像データ及び音声データが再生されるべき時刻を得ることができる。このデータは、既に多重化フォーマットを解いた形式に還元されているため、多重化フォーマットに依存しない方法で処理される。
【0018】
多重化映像音声データ抽象化ブロック41は、映像データ及び音声データを復号単位に分離する。映像データ及び音声データはそれらを復号する単位が存在する。符号化されたデータは、復号単位のデータが揃って初めて、その単位に含まれるビデオフレームやオーディオのサンプルが復号できる。復号単位は、符号化フォーマットによって異なる。例えば、MPEGビデオの復号化単位は、1GOP(Group Of Picture)である。このGOPから特定のフレーム(あるいはフィールド)に関するデータのみを抽出しても、そのデータからのみではビデオフレーム(あるいはフィールド)を再現することができない。
【0019】
また、映像データには必ずキーフレームなるものが存在し、そのキーフレームから次のキーフレームの1つ前のフレームまでを復号単位として考えることができ、その単位でそれに含まれる全フレームデータを復号することができる。例えば、MPEG映像の場合、Iフレームと呼ばれるフレームがキーフレームに相当する。また、音声データには、オーディオフレームなるものが存在し、その単位でそこに含まれる全サンプルデータを復号することができる。いずれにしても映像データ及び音声データはそれぞれ復号単位に分離することができる。
【0020】
映像データの再生に関わる時刻情報及び音声データの再生に関わる時刻情報は、多重化映像音声データ抽象化ブロック41において、復号単位を1単位にまとめ抽象化される。また、抽象化映像データ及び抽象化音声データにその再生時刻情報(抽象化映像データ時刻情報及び抽象化音声データ時刻情報)を添付しパック化映像音声データを生成する。例えば、MPEG−2映像データの場合、GOPが復号単位であるので、映像PESパケットデータからGOPデータを抽出し、そのデータとGOP先頭のIフレームの再生を開始する時刻を抽象化映像データ時刻情報とする。
【0021】
多重化映像音声データ構成ブロック43は、ファイル管理装置3から入力したパック化映像音声データを映像データと音声データ、再生時刻情報とに分離する。多重化映像音声データ構成ブロック43は、映像データ、音声データおよびそれらの再生時刻情報から、システム制御ブロック42に指定された多重化フォーマットに従う方式で多重化された映像音声データを再構成する。
【0022】
多重化映像音声データ構成ブロック43は、記録媒体管理テーブル10の映像音声データの属性情報を利用して特殊再生をすることもできる。特殊再生は、外部コマンドにより再生方法の1つとして指定される。多重化映像音声データ構成ブロック43は、指定された特殊再生の種類と速度で特殊再生を実現するためにはどのパック化映像音声データを読み出せばよいか判断する。その判断により、ファイルシステムインターフェースライブラリ5を介してファイル管理装置3に必要となるパック化映像音声データを要求する。例えば、多重化を完了した直近の時刻からの時刻差分値を指定することにより、パック化映像音声データを指定する。あるいは所望の時刻そのもの、パック化映像音声データ番号そのもの、パック化映像音声データ番号差分値を指定することもできる。以上のようにしてパック化映像音声データを逐一読み出すことにより、パック化映像音声データ単位の特殊再生用映像音声データを取得することができる。
【0023】
ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、C言語のライブラリと同様の方法で組み込まれ、C言語の標準関数やシステムコールなどと同じようなAPI(Application Programming Interface)関数を映像音声データ変換部4に提供する。映像音声データ変換部4は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5が提供する様々なAPI関数を処理目的に応じて呼び出すことで、パック化映像音声データの記録再生を実現する。
【0024】
ファイルシステムインターフェースライブラリ5からファイル管理装置3に送られるデータには、記録するパック化映像音声データ、記録開始コマンド、再生開始コマンド、記録する映像音声データの名称、再生する映像音声データ識別情報などがある。
【0025】
ファイル管理装置3は、論理的なファイル構成を管理するパック化映像音声データ管理制御ブロック6と、記録媒体8の物理的なファイル構成を管理する記録媒体制御ブロック7とを備える。記録媒体8は、ファイル管理装置3に内蔵しても、外付けであってもよい。但し、記録媒体8は、その種類によって書き込み/読み出しの性能(転送レート)が異なる。転送レートは、パック化映像音声データのサイズに大きく影響されるため、ファイル管理装置3には接続されている記録媒体8に最適なパック化映像音声データのサイズを記録再生制御装置2に伝えるための仕組みが必要である。この仕組みについては後述する。
【0026】
パック化映像音声データ管理制御ブロック6は、パック化映像音声データを受信すると、記録媒体制御ブロック7に対して、記録領域の割り当てを要求する。パック化映像音声データ管理制御ブロック6は、割り当てられた記録領域へのアラインメント調整などを実行し、割り当てられた記録領域へパック化映像音声データを随時書き出す。新たな記録領域への割り当てが必要となった場合、さらに、記録媒体制御ブロック7に記録領域の割り当てを要求する。
【0027】
パック化映像音声データ管理制御ブロック6は、各パック化映像音声データ開始時刻(再生経過時刻)、記録位置、サイズなどを記述したシーケンステーブルを生成する。このシーケンステーブルをパック化映像音声データ管理テーブル9と表す。パック化映像音声データ管理テーブル9の例を図3に示す。
【0028】
さらに、パック化映像音声データ管理制御ブロック6は、記録媒体管理テーブル10を生成する。記録媒体管理テーブル10は、パック化映像音声データ管理テーブル9の上位に位置する管理テーブルであり、記録媒体8中に記録されている全映像音声コンテンツを管理するためのテーブルである。最も簡単な例を図2に示す。この例における記録媒体管理テーブル10は、各コンテンツに対し、そのコンテンツの映像音声データの属性、そのコンテンツの名称、パック化映像音声データ管理テーブル9の記録位置などを記述する。コンテンツである映像音声データの属性やコンテンツの名称といった本体映像音声ソースに含まれない情報は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5経由で取得する。
【0029】
以下、図4及び図5を参照してファイルシステムインターフェースライブラリ5を経由した映像音声データの記録処理及び再生処理を説明する。
【0030】
図4は、映像音声データの記録処理の手順を示している。映像音声データは、映像音声データ変換部4の多重化映像音声データ抽象化ブロック41に入力される。多重化映像音声データ抽象化ブロック41は、映像音声データを読み込むと(ステップS10)、映像音声データをパック化映像音声データに変換する(ステップS11)。システム制御ブロック42は、パック化映像音声データが完成したか否かを監視し、パック化映像音声データの完成を検出した場合には(ステップS12;YES)、パック化映像音声データの書き込み要求及びパック化映像音声データをファイルシステムインターフェースライブラリ5に転送する(ステップS13)。一方、システム制御ブロック42は、パック化映像音声データの完成を検出しない場合には(ステップS12;NO)、監視を継続する。
【0031】
ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、パック化映像音声データの書き込み要求及びパック化映像音声データをAPI関数によって取得する(ステップS14)。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、API関数の引数として取得したファイルシステムアクセスコマンドのパラメータを基にパック化映像音声データ書き込み用のファイルシステムアクセスコマンドを生成し(ステップS15)、ファイル管理装置3に転送する(ステップS16)。ファイル管理装置3は、書き込み用アクセスコマンドを取得する(ステップS17)。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、ファイルシステムアクセスコマンドの転送に続いてパック化映像音声データをファイル管理装置3に転送する(ステップS18)。
【0032】
ファイル管理装置3は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5から転送されてきたパック化映像音声データを取得し(ステップS19)、特殊再生に適したファイル構成で記録媒体8に記録する(ステップS20)。ファイル管理装置3は、パック化映像音声データの記録を完了するとファイルシステムアクセスコマンドのレスポンスをファイルシステムインターフェースライブラリ5に転送する(ステップS21)。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、ファイル管理装置3から転送されてきたファイルシステムアクセスコマンドのレスポンスを受信する(ステップS22)。ファイルシステムインターフェースライブラリ5はAPI関数の引数としてファイルシステムアクセスコマンドのレスポンスを映像音声データ変換部4に転送する(ステップS23)。映像音声データ変換部4は、レスポンスを受信する(ステップS24)。以後、これらの書き込み過程を繰り返し行う。
【0033】
図4のフローチャートに示すように、映像音声データ変換部4とファイル管理装置3とは、ファイルシステムインターフェースライブラリ5を仲介としており、直接データをやりとりすることはない。このように、本発明を適用した映像音声データ記録再生システム1は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5を設けたことにより、ファイル管理装置3が映像音声データ変換部4から分離される。
【0034】
次いで、図5を参照して映像音声データの再生処理の手順を説明する。
【0035】
まず、映像音声データ変換部4のシステム制御ブロック42は、パック化映像音声データの読み出しを要求する(ステップS30)。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、パック化映像音声データの読み出し要求を取得する(ステップS31)。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、API関数の引数として取得したファイルシステムアクセスコマンドのパラメータを基にパック化映像音声データ読み出し用のファイルシステムアクセスコマンドを生成し(ステップS32)、ファイル管理装置3に転送する(ステップS33)。
【0036】
ファイル管理装置3は、ファイルシステムアクセスコマンドを受信すると(ステップS34)、ファイルシステムアクセスコマンドで指定されたパック化映像音声データを記録媒体8から読み出し(ステップS35)、読み出したパック化映像音声データをファイルシステムインターフェースライブラリ5に転送する(ステップS36)。ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、ファイル管理装置3から転送されてきたパック化映像音声データを取得する(ステップS37)。ファイル管理装置3は、パック化映像音声データの転送が終了するとファイルシステムアクセスコマンドをファイルシステムインターフェースライブラリ5に転送する(ステップS38)。
【0037】
ファイルシステムインターフェースライブラリ5は、ファイル管理装置3から転送されてきたファイルシステムアクセスコマンドのレスポンスを受信すると(ステップS39)、API関数の引数として映像音声データ変換部4にパック化映像音声データ及びファイルシステムアクセスコマンドのレスポンスを転送する(ステップS40)。映像音声データ変換部4の多重化映像音声データ構成ブロック43は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5から転送されてきたパック化映像音声データを取得し(ステップS41)、取得したパック化映像音声データを映像音声データに復元する(ステップS42)。映像音声データ変換部4の多重化映像音声データ構成ブロック43は、復元した映像音声データを図示しない再生処理部若しくは伝送処理部に出力する(ステップS43)。以後、これらの読み出し過程を繰り返し行う。
【0038】
図5のフローチャートに示すように、映像音声データ変換部4とファイル管理装置3とは、ファイルシステムインターフェースライブラリ5を仲介としており、直接データをやりとりすることはない。このように、本発明を適用した映像音声データ記録再生システム1は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5を設けたことにより、ファイル管理装置3が映像音声データ変換部4から分離されている。
【0039】
ところで、映像音声データの書き込み/読み出しの性能(転送レート)は、パック化映像音声データのサイズに大きく影響し、しかも、そのパック化映像音声データのサイズは記録媒体固有の特性に依存する。本発明を適用した映像音声データ記録再生システム1では、パック化映像音声データを生成する記録再生制御装置2と、記録媒体8を管理するファイル管理装置3とを分離したため、記録再生制御装置2がパック化映像音声データのサイズをどれくらいに設定すればよいのかがわからない。そのため、記録媒体8に最適なパック化映像音声データのサイズを記録再生制御装置2に伝えるための仕組みが必要である。
【0040】
パック化映像音声データのサイズを決定する方法を以下に示す。まず、1つめの方法では、記録媒体8に図6に示すような転送レートと転送レートを実現するためのパック化映像音声データサイズの関係を表したレートテーブル11を記録する。このレートテーブル11の内容は記録媒体の種類(ハードディスク、メモリ等)や記録媒体の大きさ(2.5インチHDD、3.5インチHDD等)等によって異なる。このレートテーブル11は、記録媒体8を測定することによってあらかじめ作成しておく。
【0041】
記録再生制御装置2は、ファイル管理装置3に対して必要な転送レートを指定する。ファイル管理装置3は、レートテーブル11を読み出し、記録再生制御装置2が指定した転送レートを実現するために必要なパック化映像音声データのサイズを検索し、転送レートに対応したパック化映像音声データのサイズを記録再生制御装置2に転送する。転送したパック化映像音声データのサイズは、指定された転送レートを実現するために最低限必要な大きさである。記録再生制御装置2とファイル管理装置3との間のレートテーブル11のやりとりもファイルシステムインターフェースライブラリ5が仲介する。
【0042】
図7は、レートテーブル11を使ってパック化映像音声データのサイズを決定する処理の手順を示している。記録再生制御装置2は、まず、記録する映像音声データに必要となる転送レートを求める(ステップS50)。記録再生制御装置2は、ファイルシステムインターフェースライブラリ経由で、必要な転送レートを実現するパック化映像音声データのサイズをファイル管理装置3に問い合わせる(ステップS51)。ファイル管理装置3は、記録再生制御装置2からの問い合わせを受信し(ステップS52)、レートテーブル11を記録媒体8から読み出す(ステップS53)。ファイル管理装置3は、指定された転送レートを実現するパック化映像音声データのサイズをレートテーブル11から検索する(ステップS54)。ファイル管理装置3は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5経由で、パック化映像音声データのサイズを転送する(ステップS55)。記録再生制御装置2は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5経由でパック化映像音声データのサイズを取得する(ステップS56)。
【0043】
次いで、パック化映像音声データのサイズを記録再生制御装置2に通知する2つめの方法を説明する。2つめの方法は、転送レートと記録媒体固有の特性情報からパック化映像音声データのサイズを計算により導く手法である。この方法では、記録媒体8上のある決められた固定領域(記録領域の先頭等)に、記録媒体固有の特性情報を記録しておき、記録再生制御装置2から要求された転送レートと記録媒体固有の特性情報を下記の計算式(1)に当てはめてパック化映像音声データのサイズを導き出す。
【0044】
パック化映像音声データのサイズ=関数(記録媒体固有の特性情報、要求転送レート)
・・・・(1)
図8は、パック化映像音声データのサイズを算出する手順を示している。記録再生制御装置2は、記録する映像音声データに必要となる転送レートを求める(ステップS60)。記録再生制御装置2は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5経由で、必要な転送レートを実現するパック化映像音声データのサイズをファイル管理装置3に問い合わせる(ステップS61)。ファイル管理装置3は、記録再生制御装置2からの問い合わせを受信し(ステップS62)、記録媒体固有の特性情報を記録媒体8から読み出す(ステップS63)。ファイル管理装置3は、必要な転送レートと記録媒体8固有の特性情報とを計算式(1)に当てはめて、要求された転送レートを実現するために最低限必要なパック化映像音声データのサイズを計算式(1)から導く(ステップS64)。ファイル管理装置3は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5経由でパック化映像音声データのサイズを転送する(ステップS65)。記録再生制御装置2は、ファイルシステムインターフェースライブラリ5経由でパック化映像音声データのサイズを取得する(ステップS66)。
【0045】
以上説明したように、本発明を適用した映像音声データ記録再生システム1は、記録再生制御装置2にファイルシステムインターフェースライブラリ5を備え、ファイルシステムインターフェースライブラリ5を介して、記録再生制御装置2とファイル管理装置3とが通信する。これにより、CODEC依存部分である記録再生制御装置2とCODEC非依存部分であるファイル管理装置3とを分離している。
【0046】
また、映像音声データ記録再生システム1は、映像音声データに適した転送レートを確保するためにパック化映像音声データのサイズをファイル管理装置3に問い合わせる。ファイル管理装置3は、記録媒体8に記録されたレートテーブル11または記録媒体8自身の特性情報を読み出し、これらを基にパック化映像音声データのサイズを導き出す。これにより、映像音声データの転送レートが確保される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を適用した映像音声データ記録再生システムの構成を示すブロック図である。
【図2】記録媒体管理テーブルの構成を示す図である。
【図3】パック化映像音声データ管理テーブルの構成を示す図である。
【図4】記録処理の手順を説明するフローチャートである。
【図5】再生処理の手順を説明するフローチャートである。
【図6】レートテーブルの構成を示す図である。
【図7】レートテーブルを使ってパック化映像音声データのサイズを決定する手順を説明するフローチャートである。
【図8】記録媒体の特性情報を使ってパック化映像音声データのサイズを決定する手順を説明するフローチャートである。
【図9】従来の映像音声データ記録装置の構成を示すブロック図である。
【図10】従来の映像音声データ再生装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
1 映像音声データ記録再生システム、2 記録再生制御装置、3 ファイル管理装置、4 映像音声データ変換部、5 ファイルシステムインターフェースライブラリ、6 パック化映像音声データ管理制御ブロック、7 記録媒体制御ブロック、8 記録媒体、9 パック化映像音声データ管理テーブル、10 記録媒体管理テーブル、11 レートテーブル、41 多重化映像音声データ抽象化ブロック、42 システム制御ブロック、43 多重化映像音声データ構成ブロック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像音声データを該映像音声データの多重化フォーマットに依存しない所定のフォーマットに変換するフォーマット変換手段と、
上記所定のフォーマットに変換した映像音声データを特殊再生に適したファイル構成で管理するファイル管理手段と、
上記フォーマット変換手段とファイル管理手段との間の仲介を行う仲介手段と
を備えることを特徴とする映像音声データ記録再生装置。
【請求項2】
上記フォーマット変換手段は、多重化データを解析し、それに含まれる映像データ、音声データ及び映像音声データ同期情報を分離する分離手段と、上記映像データと音声データとを多重化フォーマットに依存しないパック化映像音声データに変換するパック化手段とを備え、
上記ファイル管理手段は、上記同期情報を指標としてパック化映像音声データを管理すること
を特徴とする請求項1記載の映像音声データ記録再生装置。
【請求項3】
上記映像音声データの多重化フォーマットに適した転送レートを導出する転送レート導出手段と、
上記仲介手段を介して、上記転送レートに適したパック化映像音声データのサイズを上記ファイル管理手段に問い合わせるサイズ問合せ手段とを備え、
上記ファイル管理手段は、上記転送レート及びパック化映像音声データを記録する記録媒体の特性に適したパック化映像音声データのサイズを決定し、上記仲介手段を介して、パック化映像音声データのサイズを応答すること
を特徴とする請求項2記載の映像音声データ記録再生装置。
【請求項1】
映像音声データを該映像音声データの多重化フォーマットに依存しない所定のフォーマットに変換するフォーマット変換手段と、
上記所定のフォーマットに変換した映像音声データを特殊再生に適したファイル構成で管理するファイル管理手段と、
上記フォーマット変換手段とファイル管理手段との間の仲介を行う仲介手段と
を備えることを特徴とする映像音声データ記録再生装置。
【請求項2】
上記フォーマット変換手段は、多重化データを解析し、それに含まれる映像データ、音声データ及び映像音声データ同期情報を分離する分離手段と、上記映像データと音声データとを多重化フォーマットに依存しないパック化映像音声データに変換するパック化手段とを備え、
上記ファイル管理手段は、上記同期情報を指標としてパック化映像音声データを管理すること
を特徴とする請求項1記載の映像音声データ記録再生装置。
【請求項3】
上記映像音声データの多重化フォーマットに適した転送レートを導出する転送レート導出手段と、
上記仲介手段を介して、上記転送レートに適したパック化映像音声データのサイズを上記ファイル管理手段に問い合わせるサイズ問合せ手段とを備え、
上記ファイル管理手段は、上記転送レート及びパック化映像音声データを記録する記録媒体の特性に適したパック化映像音声データのサイズを決定し、上記仲介手段を介して、パック化映像音声データのサイズを応答すること
を特徴とする請求項2記載の映像音声データ記録再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−14256(P2006−14256A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231378(P2004−231378)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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