説明

暖房用ハニカムコアパネル部材

【課題】 表面材が自然石、人工石、タイルまたはガラスの薄片からなる表面材、ハニカムコア、裏面材(断熱材)および電熱線を一体化した暖房用部材であって、軽量で、熱効率が良く、かつ安価に製作できる暖房用ハニカムコアパネル部材の提供。
【解決手段】ハニカム1に溝4を加工し、その溝4に絶縁材で被覆した電熱線5を通して発熱パネルを作成し、その表面に、美麗であり、遠赤外線を発する自然石などの表面材2を貼りつけた暖房用部材であって、従来の暖房用部材に比べ、薄く軽量でかつ熱効率を高めた暖房用床、暖房用壁、暖房用パネルなどの暖房用ハニカムコアパネル部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床、壁、パネル等に使用するハニカム構造をもったハニカムコアパネル部材を使用した暖房用部材に改良に関するが、詳しくはハニカムコアパネルの表面材を貼り付けた側の反対側(反表面側)に溝を掘り、溝の中に絶縁材を被覆した電熱線を配線した構造のパネル部材であって、表面材として天然石、人工石、タイルおよびガラスの薄片を貼りつけた、床暖房、暖房壁、パネルヒーターおよび園芸用ヒーターに使用するための、美麗、軽量、薄型で、かつ省エネルギーが達成でき、さらに施工が容易な暖房用ハニカムコア部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からアルミニュウム製ハニカムコアは強度と靭性があるので、床暖房材、暖房用パネル材として使用されているが、現在、最も多く使用されている構造を図8、図9に図示する。また、浴室、台所など水を使用するところでの構造を図10に示す。
【0003】
図8はハニカムコア材11の裏面すなわち表面材12の反対側に電熱式暖房シート(電熱面状ヒーター、フイルムヒーター)31を置いている構造である。
【0004】
ハニカムコア材11は熱伝導性が悪いので、電熱式暖房シート31と表面材12までの熱伝導距離が長い、またハニカムコアと発熱材との間に隙間32がある従来式では、熱効率が悪く、暖まるまでの時間がかかっている。また、電熱発熱線33は電熱式発熱シートのハニカムコア側に配線しているものであるが絶縁体が熱伝導を阻害しているため、熱効率けが悪く、暖まるまでの時間がかかるなどの欠点がある。また、発熱シートの厚さの分が厚くなる。
【0005】
図9はハニカムコア材11の表面側すなわちハニカムコア材と表面材の間に電熱式暖房シート(電熱面状ヒーター、フイルムヒーター)31を、接着剤32を用いて接着している構造である。
【0006】
電熱式暖房シートは発熱線をゴム、ビニール等の樹脂でシート状に覆ったもので、柔軟性があり、樹脂シートと同様に自由に変形するので、例えば天然石薄片、タイルガラスなどの脆い表面材を貼りつけると、表面材が割損する恐れがあるため、クロスなど柔軟な表面材しか使えない。暖房の効率を良くする遠赤外線を多く出す天然石、人工石などに使えない。
【0007】
図10は浴室、台所等の水使用の場合であり、暖房パネルの下地はモルタル33、コンクリート34であり、通常はモルタル33の中に電熱線を設置する。
【0008】
コンクリートに熱が逃げる、また伝熱距離が長いなどで熱効率が悪く、かつ速熱性がない。多くの場合、連続加熱が必要であるので電気使用量が非常に多い。
【0009】
さらに、ハニカムコアを使用した暖房は電熱の他に温水、熱媒体を用いた暖房がある。いずれも液体を循環して暖房するものであるため、温水設備又は熱交換設備、送液設備、配管が必要であり費用がかさむ。さらに、また配管が太いために、ハニカムコアを成型して埋め込むなど施工が困難である。このため、配管部のハニカムコアを切り取り加工する、又は配管部をプレス加工している。この加工部分は強度が低下しハニカムコアを使用する目的が無くなる。
【0010】
なお、本願発明に関連する公知技術として次の特許文献を挙げることができる。
【0011】
【特許文献1】特開平04−260730号公報
【特許文献2】特開平07−32518号公報
【特許文献3】特開平07−332692号公報
【特許文献4】特開2003−176923号公報
【特許文献5】特開平05−94617号公報
【特許文献6】特開平2002−228174号公報
【特許文献7】特開昭60−106014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来技術に係るハニカムコアを用いた暖房のかかる問題を解決しようとする課題を有する、すなわち、本発明は床暖房材、暖房壁材、パーテーション、パネルヒーターおよび園芸用ヒーターに使用する暖房用ハニカムコアパネルにおいて、表面に美麗であるが脆い天然石、人工石、ガラス、タイルの薄片を表面材とした、施工の簡易さ、施工費用の安価、省エネルギー及び迅速な温度上昇を得ようとするところに課題の解決がある。
【課題が解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記のごとき問題を解決するために開発したものであって、暖房用の電熱シートを用いることなく、面状のヒーターを得るものである。すなわち、ハニカムコア本体11にハニカムコアのハニカム壁の表面の反対側に溝4を付け、その溝に絶縁材で被覆した電熱線5(シーズヒーター、コード状ヒーターなど)を埋め込んだ構造とした。
【0014】
ハニカムコア内部に電熱線が配線でき、表面に近い位置で発熱する。このため、表面材の加熱が速く行われる。また、ハニカムコアはアルミニュウムで出来ているため、アース線をハニカムコアに接続することでアースが取れ、感電の恐れはない。
【0015】
溝には補強と熱伝導を良くするためアルミニュウム薄板9を貼り付ける、また、補強と断熱のためヒーターの反表面側を樹脂10で埋め込むなどをすると強度、および熱伝導の問題はない。
【0016】
さらに反表面側に樹脂製の板11を張ることで断熱、強度を得ることができる。
【0017】
パネルの表面には美麗な天然石、人工石、ガラス及びまたはタイルの薄片の硬くて脆い表面材を薄く加工し、貼り付けることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、ハニカムコアの内部に溝を切り、その溝に電熱線を通すものであるから、従来の発熱シートを使用した構造より軽く、薄くできる。ハニカムコア表面に天然石、人工石、ガラス、タイルの硬くて脆い薄片を直接貼りつけることにより、これら表面材を破損することが無い。また、発熱線が表面材に近い為に、従来の壁暖房より、効率的な暖房を提供することができる。
【0019】
さらに、両面に表面材を貼りつけることができるので、両面使用のパーテーション、パネルヒーターおよび園芸用ヒーターにおいて、軽量で薄型のヒーターが提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0021】
図2はハニカム構造図であるが、ハニカム1はアルミニュウム板を蜂の巣状に加工したもので、少ない材料で強度のある構造材が製作できる。また、ハニカム構造は中空なので熱伝導は良くない。
【0022】
図3はハニカムコア11の構造図であるが、ハニカム1に自然石、人工石などの表面板2を張り、アルミニュウムまたは樹脂製の反対面板3を取りつけ、横方向の変形を防止する構造となっており、建築材に使用されている。本発明は本ハニカムコアを改良し、熱効率の良い暖房部材としたものである。
【0023】
図4、図5は本発明の実施の形態に係り、図4は本発明の暖房用ハニカムコア部材概要図であり、図5は断面図である。図4,図5に示すように、ハニカム構造1の反表面側の壁面に溝4を加工する。溝は被覆発熱線に合わせて温度分布が均一になるよう加工する。
【0024】
図5に細部の構造を示す。半楕円形に加工した溝4にアルミニュウム薄板9を張り、抵抗線7を絶縁材8で被覆した電熱線5を通す。電熱線5は強度と断熱性を向上させるため樹脂10で補強する。
【0025】
ハニカムコアに溝を付けるとハニカムコアの強度が低下する。しかし、アルミニュウムの薄板と樹脂で補強することにより強度低下の問題ない。
【0026】
図4は被覆電熱線をハニカムコアパネルの中に配線した状況を示す、すべての電熱線5をハニカムコア内に配線し、端子6がハニカムコアの外にでている。端子6を制御器25に接続し、電子式制御機器で入力電力を制御し、暖房温度を制御する。過熱防止のため配線途中にサーモスタット、または温度ヒューズを取りつける。さらに感電防止のためハニカムコアから直接接地するなどの安全対策を取るのは当然である。また、温度制御を入力制御ではなく、温度計検出端をハニカムコア内に設置して行うことも可能である。
【0027】
図1は暖房用ハニカムコアパネル部材であり、ハニカムコアの上表面に天然石、人工石、ガラス、タイルの硬質で脆い表面材12を貼り付けた暖房用パネル部材である。用途に応じた表面材12を使用することによって、快適な住空間が形成する。
【0028】
本発明の暖房用ハニカムコアパネル部材は室内装飾を考慮した床暖房材、暖房壁材、暖房パーテーション、パネルヒーターおよび園芸用ヒーターに使用する。
【実施例】
【0029】
図6は洋室の壁の一部を暖炉風に装飾した、本発明の暖房用ハニカムコアパネル部材を施工した実施例である。表層材に厚さ5mmの大理石天然石薄片を、電熱線を組み込んだハニカムコアに貼り付け施工したものである。暖房用ハニカムコアパネル以外の壁はハニカムコアの表面に壁紙を貼りつけている。
【0030】
図7は風呂洗い場床に施工した実施例である。浴室に入った時に足の裏の冷たさを防止すると同時に浴室の乾燥を目的としている。浴槽26は天然石でできており、洗い場表層材21は浴槽と同じ天然石を薄く切ったものであり、天然石のため、冷たいので床暖房を施工したもの。天然石の温度すなわちハニカムコアの温度は、電源24から配線し、電子式制御器25によって、電力制御することで制御する。湯水を使用する個所なので、配線および器具は全て防水型のものを用いると同時にハニカムコアからアースを取り、人が感電しないようにする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の暖房用ハニカムコアパネル部材概要図
【図2】 ハニカム構造図
【図3】 ハニカムコア構造図
【図4】 本発明のハニカムコア部概要図
【図5】 ハニカムコア断面図
【図6】 本発明による洋室の暖房実施例
【図7】 本発明による浴室床暖房実施例
【図8】 従来のハニカムコアを用いた暖房用パネル材の概要図(例1)
【図9】 従来のハニカムコアを用いた暖房用パネル材の概要図(例2)
【図10】 従来のハニカムコアを用いた浴室暖房の概要図(例3)
【符号の説明】
1 ハニカム
2 表面材
3 反対面板(裏板)
4 溝
5 絶縁材で被覆した電熱線
6 導線(端子)
7 電気抵抗線(電熱線素線)
8 絶縁材
9 アルミニュウム薄板
10 接着充填材
11 樹脂性板(断熱板)
12 天然石等の美麗であるが脆弱な表面材
21 本発明のヒーター入りハニカムコア発熱体
22 大理石薄片
23 ハニカムコア
24 表面(壁紙)
25 断熱材
26 浴槽
27 コントローラ
28 配線
31 電熱式発熱シート
32 電熱線
33 モルタル
34 コンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面材、ハニカムコア、裏面材(断熱材)および電熱線で構成する床暖房、壁暖房および暖房用パネルなどの暖房用部材であって、ハニカムコアのハニカム壁に溝を加工し、その溝に絶縁材で被覆した電熱線を配線する構造とした、薄型で、より速く暖房効果を発揮し、暖房エネルギーを少なく出来る、かつ施工が容易な暖房用ハニカムコアパネル部材。
【請求項2】
前記暖房用部材の表面材として天然石の薄片、人工石薄片、タイルおよびガラスを使用した暖房用ハニカムコアパネル部材。
【請求項3】
前記暖房用ハニカムコアパネル部材を使用した暖房床材、暖房壁材、暖房パーテーション、パネルヒーターおよび園芸用ヒーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−183982(P2006−183982A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382833(P2004−382833)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(504334153)新東信日軽株式会社 (3)
【Fターム(参考)】