説明

暗証番号入力装置

【課題】暗証番号入力装置のハードウェアを変更することなく簡易にして、しかも確実にセキュリティを向上させることができる暗証番号入力装置を提供する。
【解決手段】表示部に表示された複数の入力キーを押下して暗証番号を入力する暗証番号入力装置であって、複数の前記入力キーは、それぞれ0〜9の10種の数字による数列群を複数組有し、これら数列群が各入力キーの所定の位置にランダムな順番で配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は暗証番号入力装置に係り、特に利用者が入力した暗証番号が他人に知られないようにした暗証番号入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明なタッチパネルを備えたCRTや液晶パネル等の表示部に図8に示すように表示されたテンキーを押下して暗証番号を入力する暗証番号入力装置が知られている。この図において1は、表示部であり、この表面には透明なタッチパネル(図示せず)が取り付けられたものとなっている。そして表示部1には、10個のテンキー2が表示され、それぞれ0〜9間での10個の数値が順に配置されている。また表示部1には、テンキー2を押下することによって暗証番号の入力がなされ、図示しない他の装置にこの暗証番号を転送する入力キー3や、テンキー2から入力した暗証番号に誤りがあり、これを利用者がクリアすることができるクリアキー4等が表示される。このような表示部1を備えた暗証番号入力装置は、例えば銀行やコンビニエンス・ストアに設置されたATM等に適用されている。
【0003】
しかしながらこの種の暗証番号入力装置は、利用者が暗証番号を入力する際、背後の他人に暗証番号が読み取られてしまうという問題がある。またこの装置は、暗証番号を入力しているテンキーが他人に見えなかったとしても、暗証番号を入力している利用者の指または手、あるいは腕の動きから、利用者の周辺で順番待ちをしている他人に知られてしまうという懸念がある。
【0004】
そこで、このような問題を解決する暗証番号を入力する装置(例えば、特許文献1を参照)や、暗証番号の入力表示方法(例えば、特許文献2を参照)が提唱されている。
特許文献1に記載の装置は、表示部に0〜9の10個の数値からなるテンキーを複数設けて構成される。この装置の利用者は暗証番号の各桁の数値を入力する場合に、複数の同一入力キーから一つの入力キーを選択することができるため、この選択の自由度によって暗証番号が利用者の指等の動きから他人に知られないようにしている。
【0005】
また特許文献2に記載の方法は、0〜9の10個の必須数値キー群に加えて他のキー群から構成される暗証番号キー群を表示部に表示させ、必須数値キー群の少なくとも9個の数列キーの配列を固定し、この固定した数列キーの配列を維持しつつ暗証番号キー群の配列内でランダムに移動させるように構成されている。
【特許文献1】特開平9−297875号公報
【特許文献2】特開2006−134009号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に記載の暗証番号を入力する装置は、表示部に複数のテンキーを設けなければならず、表示部を大きくする必要がある。このため、表示部が他人に視認されやすくなるという懸念がある。また表示部が大きくなるため、装置全体が大きくなるという問題も生じる。もちろん表示部に従来の暗証番号入力装置と同一画面サイズを適用することは、可能であるものの、複数組のテンキー狭い画面内に表示させなければならないため、各キーの大きさが小さくなり視認性および操作性の低下することが否めない。
【0007】
また前述した特許文献2に記載の暗証番号の入力表示方法は、必須数値キー群の配列が維持されているため、例えば悪意をもって表示部を視野するカメラで撮影(盗撮)がなされると、暗証番号を読み取られるという懸念がある。このような懸念は、前述した特許文献1,2に限られることなく、暗証番号入力装置の共通な問題点といえる。
本発明は、このような従来の事情を考慮してなされたものであり、その目的は暗証番号入力装置のハードウェアを変更することなく簡易にして、しかも確実にセキュリティを向上させることができる暗証番号入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するべく本発明の暗証番号入力装置は、表示部に表示された複数の入力キーを押下して暗証番号を入力する暗証番号入力装置であって、複数の前記入力キーは、それぞれ0〜9の10種の数字による数列群を複数組有し、これらの数列群が各入力キーの所定位置にランダムな順番で配置されることを特徴としている。
好ましくは複数の前記入力キーは、それぞれの入力キーにおける所定位置に配置された前記数字にそれぞれ所定の記号を組み合わせることが望ましい。
【0009】
あるいは複数の前記入力キーは、それぞれの入力キーにおける所定位置に配置された前記数字に換えて異なる文字をそれぞれ配置してもよい。
好ましくは複数の前記入力キーは、それぞれの入力キーにおける所定位置に配置された前記数字に換えて異なる色付けがなされた図形をそれぞれ配置したことが望ましい。
あるいは複数の前記入力キーは、それぞれの入力キーにおける所定位置に前記数値、前記記号、前記文字、前記図形の少なくとも一つが配置されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に係る暗証番号入力装置によれば、表示部に表示された複数の入力キーが、それぞれ0〜9の10種の数字による数列群を複数組有し、これら数列群が各入力キーの所定の位置にランダムな順番で配置されているので、利用者がテンキーに入力した暗証番号が盗撮されたとしても、他人は、入力キーのどの位置に表示された数字を見て利用者が入力したのかを判別することができない。このため本発明の暗証番号入力装置は、確実にセキュリティを向上させることができる。
【0011】
また本発明の請求項2に係る暗証番号入力装置によれば、前記入力キーは、それぞれの入力キーの所定位置に配置された数字に所定の記号(属性)を組み合わせているので、数字だけを用いた場合に比べて、よりセキュリティ強度を高めることができる。
あるいは本発明の請求項3に係る暗証番号入力装置によれば、複数の前記入力キーは、前記数字に換えて異なる文字を配置しているので、この文字に例えばアルファベットを用いることによって、0〜9までの10種類の数字に比べて26種類(大文字と小文字を区別すれば、さらに52種類)もの文字を用いた暗証番号とすることができ、さらにセキュリティを向上されることが可能となる。
【0012】
また本発明の請求項4に係る暗証番号入力装置によれば、複数の前記入力キーは、前記数字に換えて異なる色付けがなされた図形を配置しているので、他人が読み取ることが困難となり、数字、記号または文字を用いた場合に比べてセキュリティを高めることができる。
さらに本発明の請求項5に係る暗証番号入力装置によれば、前記入力キーには、所定の位置に前記数値、前記記号、前記文字、前記図形の少なくとも一つが配置されているので、必要となるセキュリティのレベルに応じて入力キーに表示させる数値、記号等を選ぶことができ、所望のセキュリティに応じた暗証番号入力装置を構築することができる等の実用上多大なる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の暗証番号入力装置に係る実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
尚、図1〜図7は、本発明の実施形態を説明する図面であって、これらの図面によって本発明が限定されるものではない。またこれらの図中、図8と同一の符号を付した部分は同一物を表し、基本的な構成は図に示す従来の暗証番号入力装置と同様である。
【0014】
さて、図1は、ネットワークを利用した暗証番号入力装置における一実施形態の概略構成を示すブロック図である。この図において5は、インターネット等のネットワークである。このネットワーク5には、本発明の暗証番号入力装置が適用される端末10、およびこの端末10から入力される暗証番号を照合するホストコンピュータ6が接続される。ちなみに端末10は、例えばATM(Automated Teller Machine:現金自動預け払い機)等であるが、この図では、本発明の暗証番号入力装置の特徴ある構成要素のみを示している。
【0015】
この端末10は、テンキーが表示される表示部1、この表示部1の表面に配置されて、テンキーが利用者によって押下されたことを検出する、例えばタッチパネルを備えた入力部11、表示部1に表示されるテンキーの所定の位置にランダムな順番で0〜9の10種の数字による数列群を複数組配置するキー配列制御部12、このキー配列制御部12によってテンキーに配列された数列群の配列情報を保持する配列テーブル13、ネットワーク5を介してホストコンピュータ6と通信を行う通信インタフェース14およびこの暗証番号入力装置全体の制御を司る制御部15を備える。
【0016】
表示部1には、例えば図2に示すように10個のテンキー2が表示され、それぞれ0〜9の10個の数値が順番に付与される。また表示部1には、暗証番号の入力が済んだことを暗証番号入力装置を介してホストコンピュータ6に伝える入力キー3、テンキー2から入力した暗証番号に誤りがあり、これを利用者がクリアする指令を暗証番号入力装置に伝えるクリアキー4等が表示される。これら表示部1に表示されたテンキー2等が利用者によって押下されると、入力部(タッチパネル)11は、その押下状態を検出する。制御部15は、入力部11の検出情報を受けて、どのキーが押下されたのかを判定する。
【0017】
また10個のテンキー2の中央部2a、左上部2bおよび右下部2cには、それぞれ0〜9の10個の数列群からなる数字が配置されている。つまり10個のテンキー2の中央部2aには、0〜9の10種の数字がそれぞれ一つずつ配置され、またテンキー2の左上部2bおよび右下部2cにも同様に0〜9の10個の数列群からなる数字が、キー配列制御部12によって割り付けがなされている。
【0018】
これら三つの数列群からなる10種の数値の配置は、キー配列制御部12によって所定の場所に数列群毎にランダムに配列される。あるいはこの配置は、数値の配置情報を複数用意して、これら配列情報が予め保持された配列テーブル13の配列情報を用いてもかまわない。
ここでは理解を容易にするため図2に示したテンキー2を上方から下方に向かって行1〜行4と割り付け、左方から右方に向かって列1〜列3と割り付けをする。すると図3に示すように各テンキー2の数値を一覧にした図が得られる。
【0019】
このような表示がなされた本発明の暗証番号入力装置は、利用者と、この装置によって利用者の暗証番号を確認する確認者(例えば、銀行のATMに本装置を適用する場合は、銀行の担当者等)との間で予め暗証番号の取り決め(暗証番号登録)を行う。
ここでは登録した暗証番号は、四桁で「1234」であるものとする。そして暗証番号の各桁におけるキー割り付け位置を、上位の桁からテンキー2の「左上」、「中央」、「右下」、「左上」と定めたとする。
【0020】
利用者は、図2に示したキー配列が表示されたテンキー2に暗証番号を入力する場合、予め定められた位置に表示された暗証番号の数値を押下する。つまりこの場合、利用者は、[行3、列1](暗証番号の1)、[行1、列2](暗証番号の2)、[行2、列1](暗証番号の3)、[行4、列2](暗証番号の4)の順にテンキー2を押下し、[行4、列3]の入力キーを押下する。
【0021】
暗証番号の入力が終了すると本発明の暗証番号入力装置は、テンキー2に表示される数の順番をキー配列制御部12の制御のもと、ランダムに入れ替える。するとテンキー2の配列は、例えば図4、図5に示すようになる。
そして上述した利用者が再び四桁の暗証番号を入力するとき、利用者は、図4に示したキー配列を見て、[行1、列2](暗証番号の1)、[行2、列2](暗証番号の2)、[行1、列3](暗証番号の3)、[行3、列3](暗証番号の4)の順にテンキー2を押下する。
【0022】
次に、上述したようにして暗証番号が入力された本発明の暗証番号入力装置において、ホストコンピュータ6が正しい暗証番号が端末10から入力されたかを確認する方法について説明する。ちなみにホストコンピュータ6には、上述したように利用者と予め取り決めを行ったキー割り付け情報が予め保持されている。
さて、上述した図2に示したようにテンキー2の所定位置(左上、中央、右下)にそれぞれ数字が割り当てられたテンキー2が利用者によって押下されると、暗証番号入力装置(端末10)は、ホストコンピュータ6に対して例えば[左上、中央、右下]に割り付けられた数値を順番に送出する。したがって上述した図2,図3に示されるようにテンキー2の表示が表示部1になされた場合、暗証番号入力装置は、[1,7,4](行3、列1)、[8,2,0](行1、列2)、[9,4,3](行2、列1)、[4,0,6](行4、列2)のデータをホストコンピュータ6に送出する。
【0023】
一方、これらのデータを受け取ったホストコンピュータ6は、この利用者と予め取り決めを行ったキー割り付け情報を保持しているので、その割り付け情報を参照しながら割り付け位置に該当する数値を抽出する。つまり、この場合、各桁のキー割り付けは、上位の桁から「左上」、「中央」、「右下」、「左上」としているので、その暗証番号は、「1,2,3,4」であることがわかる。したがってホストコンピュータ6は、この利用者の暗証番号が正しいことが確認できるので、所定の次工程を実行する(例えば、金銭入出金処理等)。
【0024】
次に上述した図4に示すようにテンキー2のキー配列が変更された場合、利用者が暗証番号を入力した場合について説明する。このとき暗証番号入力装置は、利用者が押下したテンキー情報として[1,9,2](行1,行2)、[8,2,8](行2、列2)、[5,0,3](行1、列3)、[4,8,0](行3,列3)のデータをホストコンピュータ6に送出する。
【0025】
これを受け取ったホストコンピュータ6は、上述したように、利用者と予め取り決めを行ったキー割り付け情報を保持しているので、その割り付け位置に該当する数値を抽出し、暗証番号である「1,2,3,4」を得る。
かくして本発明の暗証番号入力装置は、テンキー2の所定位置にそれぞれ複数の数列群からなる数字がランダムに配列され、しかも暗証番号を入力する都度、テンキー2に表示される数字をランダムに再配置しているので、暗証番号を入力している画面を第三者に見られたとしても、その利用者の暗証番号を推察することは極めて困難である。
【0026】
また本発明の暗証番号入力装置は、表示部1のテンキー2に表示される数図を数列群毎にランダムに配置しているので利用者の指、手あるいは腕の動きから暗証番号を推察することも困難である。さらに本発明の暗証番号入力装置は、従来のATM等に対してもそのソフトウェアの変更だけで実現することができる。すなわち本発明の暗証番号入力装置は、ハードウェアの改造が不要であり、ソフトウェアの変更だけで極めて高いセキュリティを容易に得ることができる等の実用上、多大なる効果を奏する。
【0027】
尚、上述した実施形態は、テンキー2の所定位置に配置される数字を数列群毎にキー配列制御部12がランダムに並び替えることによって行ったが、この方法に換えてテンキー2に配置される数列群毎の配置情報を予めホストコンピュータ6および端末10にそれぞれ保持させるよう実施形態を変形してもよい。
この場合、配置情報は、テンキー2に10個の数値を並び替えると[10!=3628800]通りある。この変形した実施形態は、この数だけの配置情報を配置表としてホストコンピュータ6と端末10に予め保持させておく。
【0028】
そして上述したようにテンキー2に三つの数列群からなる数値を配置する場合、それぞれの数列群の配置情報として、どの配置表を用いたのかをホストコンピュータ6から端末10に送出する。端末10は、ホストコンピュータ6から通知された配置情報に相当するキー配列を配列テーブル13に予め保持された配置情報を用いてテンキー2に表示させる。
【0029】
このように変形した実施形態によれば、利用者が入力した暗証番号を端末10が配置情報から判定することができ、端末10は、その判定した暗証番号をホストコンピュータ6に送出すればよい。したがってホストコンピュータ6は、暗証番号の抽出が不要となり、従来の暗証番号確認方法を適用することができる。またこの方法は、端末10からホストコンピュータ6に送出するデータを少なくすることができる。このためこの実施形態は、例えば端末10が携帯電話機のような場合で、押下された暗証番号をパケットとして送出する場合、その通信料を抑えることができるのでより好ましい。
【0030】
またこの実施形態は、予め用意した膨大な数の配置情報を用いているのでセキュリティをより向上させることが可能となる。
尚、本発明の暗証番号入力装置は、必要に応じて予め全てのテンキー2の配置情報を予めホストコンピュータ6に送出するように構成してもよい。このように構成することで本発明の暗証番号入力装置は、例えば間接キー入力があった場合であっても、正しい暗証番号の確認を行うことが可能となる。
【0031】
次に本発明の第二の実施形態に係る暗証番号入力装置について説明する。この実施形態が上述した第一の実施形態と異なるところは、複数のテンキー2にそれぞれ表示される数字に所定の記号(属性)を付与した点にある。ここに所定の記号(属性)は、数列群の数だけ用意するものとする。具体的には上述したように三つの数列群を組み合わせた場合、この数列群の数に相当する三つの記号(属性)として例えば「△」、「×」、「○」の記号を用意する。そして、図6に示すように10個のテンキー2の中央部2a、左上部2bおよび右下部2cに、0〜9の10種の数字に「△」、「×」、「○」の記号をそれぞれ付与する。この記号(属性)は、同一数字で振り分けを行う。ここでは理解を容易にするために図5に示した数列および記号(属性)からなる数列群を配置毎に一覧にした図6を用いる。
【0032】
この図6に示すように例えば数字「1」には、「左上」、「中央」、「右下」の順にそれぞれ「△」、「×」、「○」を割り当て、数字の「2」には、「左上」、「中央」、「右下」の順にそれぞれ「○」、「×」、「△」というように三つの同一の数値にそれぞれ異なる記号を予め付与しておく。
そして利用者と確認者との間で予め暗証番号を例えば[1△、2○、3×、4△]などのように取り決めておく(暗証番号登録)。利用者は、このようして取り決めされた暗証番号を表示部1に表示されたテンキー2を順に押下すれば、ホストコンピュータ6がその暗証番号が正しいか否かを判定することができる。
【0033】
この第二の実施形態は、数値に属性がついているので、第一の実施形態のようにホストコンピュータ6にテンキー2のどの位置(左上、中央、右下)の暗証番号であるかという配置情報を送出する必要がない。もちろんこの第二の実施形態は、前述した第一の実施形態のようにテンキー2の位置情報をホストコンピュータ6に送出するようにしてもかまわないし、属性と配置情報を混在させてもよい。
【0034】
かくして本発明の第二の実施形態に係る暗証番号入力装置は、数字に記号(属性)を付与しているので、利用者がテンキー2に入力する様子が第三者に視認されたとしてもその暗証番号を推察することは極めて困難となる。
次に本発明の第三の実施形態に係る暗証番号入力装置について説明する。この実施形態が上述した第一および第二の実施形態と異なるところは、複数のテンキー2にそれぞれ表示される数字に換えて異なる文字を配置したところにある。
【0035】
この文字としては、例えば大文字のアルファベット(A〜Z)および小文字のアルファベット(a〜z)等を用いる。
そうして利用者と確認者との間で暗証番号を例えば[AbCd]などのように予め取り決めをしておく(暗証番号登録)。利用者は、表示部1の所定の位置に配置されたアルファベットが表示されたテンキー2を順に押下すればよい。
【0036】
かくして本発明の第三の実施形態に係る暗証番号入力装置は、10個の数字に比べてより種類が多い26文字(大文字と小文字を使えば52文字)を暗証番号として用いているので、利用者がテンキー2に入力する様子が第三者に視認されたとしてもその暗証番号を推察することがいっそう困難となる。もちろん第三の実施形態は、アルファベット以外の文字を適用してもかまわない。
【0037】
次に本発明の第四の実施形態に係る暗証番号入力装置について説明する。この実施形態が上述した第一〜第三の実施形態と異なるところは、複数のテンキー2にそれぞれ表示される数字、記号または文字に換えて異なる色付けがなされた図形をテンキー2の所定位置に配置したところにある。この図形は、図7に示すようにテンキー2の左上部2a、中央部2b、右下部2cにそれぞれ異なる色付けがなされた図形(例えば方形)が適用される。
【0038】
そうして利用者と確認者との間で予め暗証番号として[赤黄緑赤]と定め、順にテンキー2の割り付け位置を、テンキー2の「左上」、「中央」、「右下」、「左上」と取り決めておく(暗証番号登録)。利用者は、表示部1の所定位置に配置されて表示されたテンキー2を予め定めた暗証番号順に押下すればよい。
かくして本発明の第四の実施形態に係る暗証番号入力装置は、異なる色の図形を暗証番号としているので、利用者がテンキー2に入力する様子が第三者に視認されたとしても数値や文字、あるいは記号でないのでその暗証番号を推察することがいっそう困難となる。
【0039】
もちろんこの図形は、方形に限らず三角形、円形など任意の図形と色を組み合わせてもよい。このように構成することで本発明の暗証番号入力装置は、よりセキュリティを向上させることができ好ましい。
また本発明の暗証番号入力装置は、上述した第一〜第四の実施形態を組み合わせて構成してもかまわない。つまりテンキー2の所定場所(例えば、左上、中央、右下)に数値、記号、文字、図形を任意に組み合わせてもよい。このように構成することによって暗証番号がより複雑になり、利用者がテンキー2に入力する様子が第三者に視認されたとしてもその暗証番号を推察することが極めて困難となる。
【0040】
尚、本発明の暗証番号入力装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることが可能である。
例えば、上述した本発明に係る暗証番号入力装置は、テンキー2に三つの数列群があるものを例示したが、これに限定されるものではなく、任意に設定することができる。例えば、テンキーの四隅と中央部の五箇所に数列群を設定してもよい。あるいは、上述した暗証番号入力装置は、10個のテンキーを用いるものであったが、10個に限定されることなく、暗証番号入力装置が適用されるシステムに応じて入力キーの数を任意に設定してもよい。
【0041】
あるいは本発明の暗証番号入力装置は、間接的に指定した暗証番号を用いれば、例え複数回、暗証番号を入力する画面を第三者に視認されたとしても高いセキュリティを維持することができる。例えばテンキー2の左上に「3」が表示されたテンキー2の中央部の数値は、キー配列制御部12によって暗証番号を入力する都度、異なる数値が表示される。したがって、「3」左下にテンキー2を押下するというように、暗証番号を間接的に指定して入力するように構成すれば、キー配列制御部12によって暗証番号を入力する都度、異なる数値が表示されるので、より高いセキュリティが維持できる等の本発明の暗証番号入力装置は、実用上極めて効果である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係る暗証番号入力装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る暗証番号入力装置における表示部に表示されたテンキーの一例を示す図。
【図3】図2に掲げたテンキーの配列を示す図。
【図4】図2に示した表示部に表示されたテンキーにおいて、数列群の並び替えを行った一例を示す図。
【図5】図4に掲げたテンキーの配列を示す図。
【図6】本発明の第二の実施形態に係る暗証番号入力装置における表示部に表示されたテンキーの一例を示す図。
【図7】本発明の第四の実施形態に係る暗証番号入力装置における表示部に表示されたテンキーの一例を示す図。
【図8】従来の暗証番号入力装置における表示画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0043】
1 表示部
2 テンキー
3 入力キー
4 クリアキー
5 ネットワーク
6 ホストコンピュータ
10 端末
11 入力部
12 キー配列制御部
13 配列テーブル
14 通信インタフェース
15 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に表示された複数の入力キーを押下して暗証番号を入力する暗証番号入力装置であって、
複数の前記入力キーは、それぞれ0〜9の10種の数字による数列群を複数組有し、これらの数列群が各入力キーの所定位置にランダムな順番で配置されることを特徴とする暗証番号入力装置。
【請求項2】
複数の前記入力キーは、それぞれの入力キーにおける所定位置に配置された前記数字にそれぞれ所定の記号を組み合わせたことを特徴とする請求項1に記載の暗証番号入力装置。
【請求項3】
複数の前記入力キーは、それぞれの入力キーにおける所定位置に配置された前記数字に換えて異なる文字をそれぞれ配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の暗証番号入力装置。
【請求項4】
複数の前記入力キーは、それぞれの入力キーにおける所定位置に配置された前記数字に換えて異なる色付けがなされた図形をそれぞれ配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の暗証番号入力装置。
【請求項5】
複数の前記入力キーは、それぞれの入力キーにおける所定位置に前記数値、前記記号、前記文字、前記図形の少なくとも一つが配置されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の暗証番号入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−225742(P2008−225742A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−61655(P2007−61655)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(507080260)株式会社サムシンググッド (1)
【Fターム(参考)】