説明

書き込み消去可能表面用の周囲温度で硬化する溶剤系被覆物

書き込み消去可能表面を有する溶剤系被覆物を提供する。該被覆物は多くの望ましい属性を有する。例えば、該被覆物は、周囲条件下で急速に硬化し、硬化時に低VOC放出を有し、長期の通常使用後でさえも、減少した消去残像形成傾向を有する。本開示は、書き込み消去可能表面を有する被覆物、そのような被覆物を含む製品(例えば、ホワイトボード)、ならびにその作製法および使用法に関する。一般に、書き込み消去可能表面を有する被覆物は、溶剤系担体中の1つまたはそれ以上の先駆材料から作製され;この被覆物が周囲条件下で硬化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2008年7月18日に出願された米国仮特許出願第61/082,029号からの優先権を主張し、この出願はその全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
技術分野
本開示は、書き込み消去可能表面用の溶剤系被覆物、そのような被覆物を含む製品、ならびにその作製法および使用法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
教室での授業は、伝統的に、指導媒体としての「黒板」およびチョークに依存してきた。この方法は、手を汚し、ほこりっぽく、多くの黒板は、全てのチョークのタイプおよび色に使用することができない。発生する埃が、多くの呼吸器系の病気を生じ得る。オーバーヘッドプロジェクター、ラップトップコンピューター、およびドライ・イレース・ボード(通例「ホワイトボード」と呼ばれることが多い)は、伝統的黒板に代わるものである。
【0004】
ドライ・イレース・ボードは、一般的には、基材、例えば、紙または板、およびこの基材上に拡がっている被覆物、例えば、ラッカー被覆物を含む。被覆物は、ドライ・イレース・マーキング・ペンを使用してマーキングすることができる書き込み表面を与える。一般的にはフェルトペン先マーキング器具であるドライ・イレース・マーキングペンは、そのような表面にマーキングできるだけでなく、例えば、ドライイレーザー、布またはティッシュペーパーを使用して、最小限の労力で消去することもできるインクを含有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドライ・イレース・ボードの書き込み表面からのドライ・イレース・インクの消去性は、時間の経過と共に低下し、除去不可能な「ゴーストイメージ」の形成を生じる。さらにそのような表面は、いくつかのドライ・イレース・マーカーと不適合性の場合もあり、不注意にパーマネントマーカーで書き込まれた場合に、永久にマーキングされたままになる場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本開示は、書き込み消去可能表面を有する被覆物、そのような被覆物を含む製品(例えば、ホワイトボード)、ならびにその作製法および使用法に関する。一般に、書き込み消去可能表面を有する被覆物は、溶剤系担体中の1つまたはそれ以上の先駆材料から作製され;この被覆物が周囲条件下で硬化する。書き込み消去可能表面にマーキング物質でマーキングした場合、長期間および繰り返しの使用後でも、ゴースティングをほとんどまたは全く示さずに、マーキング物質を効果的に不可視に(例えば、実質的に不可視に)消去することができる。被覆物を形成する1つまたはそれ以上の材料は、基材上での硬化後に、最小限の揮発性有機化合物(VOC)を放出する。得られる被覆物は、1つまたはそれ以上の下記属性:低多孔率、低表面粗さ、高破断点伸び、高テーバー摩耗抵抗、および高スオード高度、を含む多くの望ましい属性を有する。いかなる理論にも縛られるものではないが、一般に、被覆物の低多孔率は、被覆物をマーキング物質に対して実質的に不浸透性にし、一方、低表面粗さは、イレーザーの有効リーチを超えてマーキング物質が表面に捕捉されるのを防ぐと考えられる。
【0007】
本開示の1つの態様において、書き込み消去可能製品は、基材上に拡がり、書き込み消去可能表面を有する硬化被覆物(例えば架橋被覆物)を含む。被覆物は、周囲条件下で硬化することができ、1つまたはそれ以上の材料から形成することができ、この材料は、それぞれ独立して、1つまたはそれ以上のイソシアネート基を有する1つまたはそれ以上の物質、または1つまたはそれ以上のヒドロキシル基を有する1つまたはそれ以上の物質を含む。1つまたはそれ以上の材料の少なくとも1つは、溶剤系担体に存在し得る。書き込み消去可能表面に、着色剤および溶剤を含むマーキング物質でマーキングした後、マーキング物質を、書き込み消去可能表面から効果的に不可視に(例えば、実質的に不可視に)消去することができる。
【0008】
他の態様において、本開示は、基材上に拡がり、書き込み消去可能表面を有する硬化被覆物を含む、書き込み消去可能製品を記載する。被覆物は、周囲条件下で硬化することができ、1つまたはそれ以上のヘキサメチレンジイソシアネート、そのオリゴマーまたはホモポリマーを含む1つまたはそれ以上の材料;1つまたはそれ以上のアクリルポリオールを含む1つまたはそれ以上の材料;および1つまたはそれ以上の促進剤から形成することができる。1つまたはそれ以上の材料の少なくとも1つは、溶剤系担体に存在し得る。書き込み消去可能表面に、着色剤および溶剤を含むマーキング物質でマーキングした後、マーキング物質を書き込み消去可能表面から効果的に不可視に(例えば、実質的に不可視に)消去することができる。
【0009】
他の態様において、本開示は、書き込み消去可能製品の作製法を記載し、この方法は、基材に被覆物を適用し、被覆物を(例えば、周囲条件下で)硬化させて、書き込み消去可能表面を規定する硬化被覆物を得ることを含む。被覆物は、1つまたはそれ以上の材料から形成することができ、この材料は、それぞれ独立して、イソシアネート基を含む1つまたはそれ以上の物質、またはヒドロキシル基を含む1つまたはそれ以上の物質を含む。1つまたはそれ以上の材料の少なくとも1つは、溶剤系担体に存在し得る。書き込み消去可能表面に、着色剤および溶剤を含むマーキング物質でマーキングした後、マーキング物質を書き込み消去可能表面から効果的に不可視に(例えば、実質的に不可視に)消去することができる。
【0010】
他の態様において、本開示は、変更可能に情報を提示する方法を記載し、この方法は、本明細書に記載されている書き込み消去可能表面に、着色剤および溶剤を含むマーキング物質で第1情報をマーキングすることを含む。この第1情報は、書き込み消去可能表面から効果的に(例えば、実質的に)不可視に消去することができる(例えば、書き込み消去可能表面にイレーザーを適用することによって)。次に、第2情報を書き込み消去可能表面にマーキングし、再び、この第2情報のマーキングを書き込み消去可能表面から効果的に(例えば、実質的に)不可視に消去する。
【0011】
いくつかの実施において、情報のマーキングおよび消去を、繰り返し行なうことができる。
【0012】
他の態様において、本開示は、脂肪族ジイソシアネートまたはそのホモポリマーおよびオリゴマー、アクリルポリオール、有機溶媒、ならびに任意に促進剤および/または酸プロモーターを含む組成物を記載する。
【0013】
いくつかの実施において、組成物は、二酸化チタン、表面添加剤、湿潤剤、消泡剤、顔料、または着色剤を含むことができる。
【0014】
他の態様において、本開示は、基材上に拡がり、書き込み消去可能表面を有する硬化被覆物を含む書き込み消去可能製品を記載する。被覆物は、周囲条件下で硬化することができ、1つまたはそれ以上の材料から形成することができる。1つまたはそれ以上の材料の少なくとも1つは、溶剤系担体に存在し得る。書き込み消去可能表面に、着色剤および溶剤を含むマーキング物質でマーキングした後、マーキング物質を書き込み消去可能表面から効果的に不可視に(例えば、実質的に不可視に)消去することができる。
【0015】
いくつかの実施において、1つまたはそれ以上の材料は、エポキシ樹脂、アクリルモノマー、ビニルモノマー、またはウレタンアルキド以外のアルキド樹脂であり得る。
【0016】
本開示の1つまたはそれ以上の前記態様は、1つまたはそれ以上の下記の実施を含み得る。
【0017】
いくつかの実施において、硬化被覆物および/または書き込み消去可能表面は、1つまたはそれ以上の下記の属性を有し得る。被覆物は、約40パーセント未満の多孔率;約0.001インチ〜約0.125インチの厚さ;約100mg/1,000サイクル〜約125mg/1,000サイクルのテーバー摩耗値;約10より大きいスオード硬度;約5パーセント〜約400パーセントの破断点伸び;約4ミル〜約24ミルの垂れ下り抵抗;を有し得る。書き込み消去可能表面は、同じ位置で、約100より多いサイクル、またはさらには約5,000より多いサイクルの書き込みおよび消去後に実質的に不可視に消去することができる。書き込み消去可能表面は、約7,500nm未満の平均表面粗さ(R);約10,000nm未満の最大表面粗さ(R);約35度より大きい接触角;約150度未満の接触角を有し得る。
【0018】
いくつかの実施において、1つまたはそれ以上のイソシアネート基を含む1つまたはそれ以上の物質は、下記:ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、ビトリレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、ビス−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートおよびそのメチルエステル、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリフェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化メチレンジフェニルイソシアネート(HMDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、またはそれらのオリゴマーおよびホモポリマー、ならびにそれらの混合物;から選択できる。
【0019】
いくつかの実施において、1つまたはそれ以上のイソシアネート基を含む1つまたはそれ以上の材料は、脂肪族ジイソシアネート(例えば、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、IPDI等)またはそれらのオリゴマーおよびホモポリマー、ならびにそれらの混合物を含む。
【0020】
いくつかの実施において、1つまたはそれ以上のイソシアネート基を含む1つまたはそれ以上の材料は、高分子物質(例えば、ホモポリマーヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート)を含む。
【0021】
いくつかの実施において、1つまたはそれ以上のヒドロキシル基を含む1つまたはそれ以上の物質は、α,ω−ジオールを含む。
【0022】
いくつかの実施において、1つまたはそれ以上のヒドロキシル基を含む1つまたはそれ以上の物質は、高分子物質(例えば、アクリルポリオール、またはアクリル基剤ジオール)を含む。
【0023】
いくつかの実施において、1つまたはそれ以上のヒドロキシル基を含む1つまたはそれ以上の材料は、架橋剤も含む。
【0024】
いくつかの実施において、促進剤は、ジブチル錫ジラウレートを含む。
【0025】
いくつかの実施において、被覆物を形成する1つまたはそれ以上の材料は、酸プロモーター、例えばカルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、リン酸、クエン酸等)をさらに含む。
【0026】
いくつかの実施において、溶剤系担体は、炭化水素(例えば、飽和炭化水素および不飽和炭化水素)、アルコール(例えば、アルコキシアルコール、ケトンアルコール)、ケトン、エステル(例えば、アセテート)、ミネラルスピリット、バイオ系溶剤またはそれらの混合物を含み得る。そのような溶剤の例は、下記:エチルベンゼン、トルエン、キシレン、ナフサ(石油)、石油蒸留物、n−ブチルアセテート、メチルイソ−アミルケトン、ストッダード溶剤、t−ブチルアセテート、アセトン、イソプロピルアルコール、2−ブトキシエタノール、トルエン、メタノール、プロパノール、2−ブタノール、イソ−アミルアルコール、メチルアミルアルコール、ペンタン、ヘプタン、無臭ミネラルスピリット、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール、メチルアミルケトン、エチルアミルケトン、ジイソブチルケトン、メチルヘプチルケトン、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、プロピルアセテート、イソブチルアセテート、n−ブチルアセテート、グリコールエーテルEMアセテート、アミルアセテート、イソブチルイソブチレート、グリコールエーテルEEアセテート、グリコールエーテルEBアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、グリコールエーテルDEアセテート、グリコールDBアセテート、メチルイソブチルケトン、ジプロピレングリコールブトキシエーテル、植物油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、またはそれらの混合物;を含み得る。
【0027】
いくつかの実施において、基材は、下記から成る群:セルロース系材料、ガラス、壁(例えば、プラスターまたは塗装壁)、ファイバーボード(例えば、硬化被覆物がファイバーボード上に拡がっていることができるホワイトボード)、パーティクルボード(例えば、チョークボードまたは黒板)、石膏ボード、木材、プラスチック(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、または、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン(ABS)を基剤とする材料)、高密度化セラミック、石(例えば、御影石)、および金属(例えば、アルミニウムまたはステンレス鋼);から選択できる。
【0028】
いくつかの実施において、基材は、軟質フィルムまたは硬質構造物から選択できる。
【0029】
いくつかの実施において、マーキング物質は、水、アルコール(例えば、アルコキシアルコール、ケトンアルコール)、ケトン、エステル(例えば、アセテート)、ミネラルスピリット、バイオ系溶剤、またはそれらの混合物を含む溶剤を含む。
【0030】
いくつかの実施において、マーキング物質は、繊維状材料(例えば、ペーパータオル、布切れ、またはフェルト材料)を含有するイレーザーで、マークを拭くことによって効果的に不可視に、書き込み消去可能表面から消去することができる。
【0031】
いくつかの実施において、イレーザーは、乾燥しているか、または下記:水、アルコール(例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ベンジルアルコール)、アルコキシアルコール(例えば、2−(n−プロポキシ)エタノール、2−(n−ブトキシ)エタノール、3−(n−プロポキシ)エタノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−ブチルケトン)、ケトンアルコール(例えば、ジアセトンアルコール)、エステル(例えば、メチルスクシネート、メチルベンゾエート、エチルプロパノエート)、アセテート(例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、n−ブチルアセテート、t−ブチルアセテート)、ミネラルスピリット、またはそれらの混合物;を含む。
【0032】
いくつかの実施において、書き込み消去可能製品は、硬化被覆物がファイバーボード上に拡がっているホワイトボードの形態をとることができ;壁(例えば構造物の壁)の一部を形成することができ;または複数のシートを形成することができ、各シートは、硬化被覆物がその上に拡がっている基材(例えば、紙の形態)を有する。
【0033】
いくつかの実施において、被覆物は、1つまたはそれ以上のイソシアネート基を含む1つまたはそれ以上の材料、および1つまたはそれ以上のヒドロキシル基を含む1つまたはそれ以上の材料を組合せることによって作製することができる。
【0034】
いくつかの実施において、組合せる前に、1つまたはそれ以上のイソシアネート基を含む1つまたはそれ以上の材料は第1容器に存在することができ、1つまたはそれ以上のヒドロキシル基を含む1つまたはそれ以上の材料は第2容器に存在することができる。
【0035】
いくつかの実施において、消去は、イレーザー(例えば、繊維状材料を含む)を、書き込み消去可能表面に適用することによって行なわれる。
【0036】
いくつかの実施において、イレーザーは、水、アルコール(例えば、アルコキシアルコール、ケトンアルコール)、ケトン、エステル(例えば、アセテート)、ミネラルスピリット、またはそれらの混合物を含む。
【0037】
実施および/または態様は、下記の利点の1つまたはそれ以上を含み得る。被覆表面は、書き込み可能および消去可能である。被覆物は、長期の通常使用後でも、イメージゴースティングをほとんどまたは全く示さない書き込み表面を与えることができる。被覆物は、作製するのが容易であり、多孔性(例えば、紙)または非多孔性(例えば、高密度化セラミック)の両方を含む多種の基材に適用することができる。被覆物は、チョークボード(例えば、黒板)、ホワイトボード、ドライ壁、石膏ボード、プラスターおよび塗装壁を含むがそれらに限定されない種々の基材に適用できる。溶剤系被覆物は、工場で作製するのではなく、現場で基材に適用することができる。多くの基材に関して、単一被覆物が、充分な書き込み消去可能表面を与え得る。被覆物は、多くの基材に高い接着強さを示し得る。被覆物成分(混合前)は、例えば、約3年まで、または6年までもの長期貯蔵寿命を有し得る。被覆物は、容易に表面付け替えすることができる。被覆物は、周囲条件下で、急速に、例えば4時間以内に硬化し得る。被覆物は、ASTM方法G−154によって測定して、長時間にわたって(例えば、2000時間まで、さらには5000時間まで)、黄変に耐えることができる。被覆物は、硬化のために、UV線または高エネルギー放射線、例えば電子ビームを必要としない。しかし、いくつかの実施において、硬化速度を高めるために、光、例えばUV線、または熱を使用し得る。被覆物は、垂直基材に適用された場合でも、減少した流れ傾向を有し得る。被覆物の表面光沢は、容易に調節できる。被覆物の書き込み表面は、投影可能であり得る。被覆物は硬質であり得る。被覆物は、有機溶剤および/またはインキに対して実質的に不浸透性であり得る。被覆物は、低多孔率を有し得る。被覆物の表面は、低い粗さを有し得る。被覆物は、耐衝撃性であり得る。被覆物は、耐引掻性および耐摩耗性にすることができる。被覆物は、比較的低コストであり得る。被覆物は、高い耐薬品性を有し得る。
【0038】
本明細書において使用される「硬化」は、基材上に被覆物を形成するために、材料を固化させる(例えば、蒸発(乾燥)または架橋によって)工程を意味する。硬化は、周囲条件、放射線への暴露、(;)または架橋(例えば、酸化架橋)によって行なうことができる。
【0039】
本明細書において使用される「溶剤系」は、有機溶剤を主に含有する混合物を意味する。そのような有機溶剤は、他に規定されない限り、それらの無水または湿潤形態で使用し得る。
【0040】
本明細書において使用される「周囲条件」は、約45〜130°Fの温度において海面で存在するような基準地上条件を意味する。
【0041】
本明細書において使用される「効果的に不可視に」は、マーキングをイレーザーで消去する前および後の、ASTM試験法D2244に従って計算される20未満の色差デルタE(ΔE)を意味する。
【0042】
本明細書において使用される「実質的に不可視に」は、マーキングをイレーザーで消去する前および後の、ASTM試験法D2244に従って計算される10未満の色差デルタE(ΔE)を意味する。
【0043】
本明細書において使用される「アルキル」は、非環式および環式構造の両方を含む1〜20個の炭素原子を含有する飽和または不飽和炭化水素を意味する(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、プロペニル、ブテニル、シクロヘキセニル等)。結合二価アルキル基は、「アルキレン」(例えば、エチレン、プロピレン等)と称される。
【0044】
本明細書において使用される「アリール」は、単環式または多環式(例えば、2、3または4個の縮合環を有する)芳香族炭化水素、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニル等を意味する。いくつかの実施形態において、アリール基は、6〜20個の炭素原子、6〜15個の炭素原子、または6〜10個の炭素原子を有する。
【0045】
本明細書において使用される「ヘテロアリール」は、少なくとも1個のヘテロ環原子、例えば、硫黄、酸素または窒素を有する芳香族複素環を意味する。ヘテロアリール基は、単環式および多環式(例えば、2、3または4個の縮合環を有する)系を含む。ヘテロアリール基の例は、ピリジル、フリル、キノリル、インドリル、オキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル等を含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は1〜20個の炭素原子(例えば、3〜20個の炭素原子)を有する。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は1〜4個のヘテロ原子(例えば、1〜3個、または1〜2個のヘテロ原子)を有する。
【0046】
本明細書において使用される「アラルキル」は、アリールによって置換されたアルキルを意味する。アラルキル基の例はベンジルである。
【0047】
本明細書において使用される「アルコキシ」は、−O−アルキル基を意味する。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシおよびイソプロポキシ)、t−ブトキシ等を含む。
【0048】
本明細書において使用される「オキシアルキレン」は、−O−アルキレン基を意味する。
【0049】
本明細書において使用される「アルコキシレート」は、アルキル−C(O)Oを意味する。アルコキシレートの例は、アセテート、ステアレート等を含む。
【0050】
本明細書において使用される「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。
【0051】
本明細書において使用される「ポリオール」は、少なくとも2個のヒドロキシル(−OH)基を含む成分である。ヒドロキシル基は、末端および/または非末端であり得る。ヒドロキシル基は、第1ヒドロキシル基であり得る。
【0052】
本明細書において使用される「ポリウレタン」は、ウレタン結合[NHC(=O)O]をその主鎖に含むポリマーまたはオリゴマー材料である。
【0053】
本明細書において記載されている全ての刊行物、特許出願、特許および他の参照文献の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0054】
明確にするために、別々の実施形態に関して記載されている本発明の特定の特徴を、単一実施形態において組合せて与え得ることもさらに認識すべきである。逆に、簡潔さのために、単一実施形態に関して記載されている本発明の種々の特徴を、別々に、または任意の好適な部分的組合せにおいて、与えることもできる。
【0055】
本開示の1つまたはそれ以上の実施についての詳細が、添付の図面および下記の説明において示されている。他の特徴および利点は、この説明および図面ならびに請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、書き込み消去可能製品の平面図である。
【図1A】図1Aは、図1の書き込み消去可能製品の1A−1Aに沿った断面図である。
【図2】図2は、被覆物上の水滴の断面図であり、接触角を測定する方法を示す図である。
【図3】図3は、被覆紙ロールの透視図である。
【図4】図4は、図3のロールから形成された被覆紙のタブレットの透視図である。
【0057】
種々の図面における同じ参照符号は、同じ要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
詳細な説明
書き込み消去可能製品
図1および図1Aを参照すると、書き込み消去可能製品10は、基材12、および基材12上に拡がっている被覆物14(例えば、硬化被覆物)を含む。硬化被覆物14は、書き込み消去可能表面16を有する。書き込み消去可能表面16にマーキング物質でマーキングした場合、長期の通常使用後でも、例えば、同じ位置における書き込みおよび消去の約10サイクル後(例えば、約50サイクル後、約100サイクル後、約500サイクル後、約1,000サイクル後、約2,000サイクル後、約3,000サイクル後、約4,000サイクル後、約5,000サイクル後、約6,000サイクル後、約7,000サイクル後、約8,000サイクル後、または約9,000サイクル後)でも、マーキング物質を、書き込み消去可能表面から効果的に(例えば、実質的に)不可視に消去することができ、ゴースティングをほとんどまたは全く生じない。消去の可視性、またはその欠如は、表面へのマーキングおよびそのマーキングの消去後に、分光測光器(例えば、X−Riteから入手可能なSP−62携帯用分光測光器)を使用して、書き込み消去可能表面の色変化(デルタE、ΔE)を測定することによって判定できる。色変化は、3つの変数、明度(L)、赤色/緑色値(a)および黄色/青色値(b)の複合である。書き込み消去可能表面16の消去可能特性は、ΔE値によって規定することができる。いくつかの実施において、5,000サイクル後(またはさらには10,000サイクル後)の書き込み消去可能表面16のΔEは、約50未満、例えば、約40未満、約30未満、約20未満、約10未満、約9未満、約8未満、約7未満、約6未満、約5未満、約4未満、約3未満、約2未満、または約1未満であり得る。
【0059】
いくつかの実施において、5,000サイクル後(またはさらには10,000サイクル後)の書き込み消去可能表面16のΔEは、約0.1〜約10.0、例えば、約0.1〜約0.5、約0.5〜約1.0、約1.0〜約1.5、約1.5〜約2.0、約2.0〜約2.5、約2.5〜約3.0、約3.0〜約3.5、約3.5〜約4.0、約4.0〜約4.5、約4.5〜約5.0、約5.0〜約5.5、約5.5〜約6.0、約6.0〜約6.5、約6.5〜約7.0、約7.0〜約7.5、約7.5〜約8.0、約8.0〜約8.5、約8.5〜約9.0、約9.0〜約9.5、または約9.5〜約10.0であり得る。
【0060】
消去可能特性は、色差によらずに、Lの差(ΔL)に基づいても評価し得ることを認識すべきである。この評価は、摩耗試験機、例えばテーバー摩耗試験機4360における被覆物の漸進的摩耗と組合せることもできる。被覆物の摩耗は、ASTM方法D4060と同様に行なうことができる。この場合、摩耗の関数としての消去可能特性は、特定サイクル数で書き込み消去可能表面16を摩耗させ、次に、表面にマーキングし、続いて、このマーキングを消去した後に、明度変化(ΔL)値を測定することによって判定できる。一般に、硬化被覆物を有する基材を摩耗試験機に装入することができ、摩耗ホイールを書き込み消去可能表面16上で、特定のサイクル数(例えば、50サイクル、100サイクル、150サイクル、200サイクル、500サイクル、または1,000サイクル)で回転させることができる。各摩耗サイクル後に、分光測光器(例えば、X−Riteから入手可能なSP−62携帯用分光測光器)を使用して、摩耗領域のL(L)を測定することができ、書き込み消去可能表面16にマーキング物質(例えば、Expo 1またはExpo 2、青色または黒色マーカー)でマーキングし、消去する(例えば、Expoフェルト・ドライ・イレーザーを使用)ことができる。分光測光器(例えば、X−Riteから入手可能なSP−62携帯用分光測光器)を使用して、消去領域のL値(L)を測定することができる。ΔLを、L値およびL値の差から求めることができる。いくつかの実施において、1,000サイクル後の、書き込み消去可能表面16のΔL値は、少なくとも約20、例えば、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、または少なくとも約99であり得る。いくつかの他の実施において、1,000サイクル後の、書き込み消去可能表面16のΔL値は、少なくとも約65、例えば、少なくとも約67、少なくとも約69、少なくとも約71、少なくとも約73、少なくとも約75、少なくとも約77、少なくとも約79、少なくとも約81、少なくとも約83、少なくとも約85、少なくとも約87、少なくとも約89、または少なくとも約91であり得る。さらに他の実施において、1,000サイクル後の、書き込み消去可能表面16のΔL値は、約65〜約70、約70〜約75、約75〜約80、約80〜約85、約85〜約90、約90〜約95、または約95〜約99であり得る。
【0061】
マーキング物質は、着色剤(例えば、顔料)および溶剤、例えば、水、アルコール(例えば、アルコキシアルコール、ケトンアルコール)、ケトン、エステル(例えば、アセテート)、ミネラルスピリット、バイオ系溶剤(例えば、植物油、トウモロコシ油、ヒマワリ油)、またはそれらの混合物を含むことができる。バイオ系溶剤は、従来の有機溶剤の代替物であり、農産物から得ることができる。そのような溶剤は、被覆物におけるより低い揮発性の有機化合物、および減少した環境的な影響を与え得る。マーキング物質は、任意の業界標準ドライ・イレース・マーカーから選択できる。
【0062】
被覆物14を形成する材料を、多孔性(例えば、紙)および非多孔性(例えば、高密度化セラミック)を含む多種の基材に適用することができる。基材12は、軟質フィルムまたは硬質可動または不動構造物であり得る。基材の例は、下記:高分子物質(例えば、ポリエステルまたはポリアミド)、セルロース系材料(例えば、紙)、ガラス、木材、プラスチック(例えば、HDPE、LDPE、またはABSを基剤とする材料)、壁(例えば、プラスターまたは塗装壁)、ファイバーボード(例えば、硬化被覆物がファイバーボード上に拡がっているホワイトボード)、パーティクルボード(例えば、チョークボードまたは黒板)、石膏ボード、高密度化セラミック、石(例えば、御影石)、および金属(例えば、アルミニウムまたはステンレス鋼);を含むが、それらに限定されない。基材は、新しく造られた構造物または古いすり減ったチョークボード、黒板またはホワイトボードであってもよい。いくつかの例において、基材の表面は、被覆物の適用前に、表面を研磨し、表面を下塗りすることによって、清浄にすることができる。いくつかの例において、表面への被覆物のより優れた付着を得るために、表面を清浄剤(例えば、アセトンまたは緩酸)で清浄にすることもできる。
【0063】
被覆物14を形成する材料は、基材への適用前に、その間に材料を基材へ適用しなければならない期間であるポットライフを有し得る。いくつかの実施において、この材料は、約10分間〜約16時間、例えば、約30分間〜約12時間、約60分間〜約8時間、約1時間〜約4時間、または約1時間〜約2時間のポットライフを有し得る。他の実施において、この材料は、約6ヵ月より長いポットライフ、例えば、約12ヵ月、約18ヵ月、約24ヵ月、約30ヵ月、または約36ヵ月のポットライフを有し得る。
【0064】
被覆物14を形成する材料は、基材への適用時に、一般的には周囲条件下で硬化する。いかなる理論にも縛られるものではないが、ポリマー鎖間の架橋は、被覆物の特定のユニークな特性に影響を与え得ると考えられる。いくつかの任意実施において、硬化を、紫外(UV)線、熱的手段、開始剤または電子ビームによって促進し得る。被覆物14は、周囲条件下で、約4時間〜約1週間、例えば、約4時間〜約24時間、約8時間〜約20時間、約12時間〜約16時間、約1日間〜約7日間、約2日間〜約6日間、または約3日間〜約5日間で硬化し得る。硬化被覆物14は、一般に安定であることができ、硬化後にVOCをほとんどまたは全く放出しない。周囲条件下での硬化は、環境的な影響を減少することができ、材料の使用をより安全にすることができる。
【0065】
被覆物の多孔率は、被覆物に捕捉することができるマーキング物質の量を決定し得る。いかなる理論にも縛られるものではないが、被覆物のより低い多孔率は、より優れた書き込み消去可能表面を生じ得ると考えられる。いくつかの実施において、被覆物14は、約1パーセント〜約40パーセント、例えば、約2パーセント〜約35パーセント、約2.5パーセント〜約30パーセント、または約3パーセント〜約20パーセントを有し得る。他の実施において、被覆物14は、多孔率約40パーセント未満、例えば、約35パーセント未満、約30パーセント未満、約25パーセント未満、約20パーセント未満、約15パーセント未満、約10パーセント未満、約5パーセント未満、またはさらには約2.5パーセント未満の多孔率を有し得る。
【0066】
いくつかの実施において、被覆物は、約2パーセント〜約45パーセント、例えば、約2.5パーセント〜約35パーセント、または約3パーセント〜約35パーセントの多孔率を有し得る。いくつかの具体的な実施において、被覆物は、約3パーセント、約33パーセントまたは約34パーセントの多孔率を有し得る。
【0067】
被覆配合物は、当業者に既知の標準法によって作製できる。例えば、粉砕段階の間に、配合物に使用される所定量の材料を、材料が均一に分散されるまで高剪断分散機によって必要速度で混合することができる。材料および顔料の分散度は、ヘグマンゲージで測定できる。残留材料は、存在する場合に、降下段階で導入して、包装される前に最終配合物を得ることができる。2成分被覆配合物において、2つの部分を充分に混合し、基材に適用できる前に、ある時間にわたって静置することができる。
【0068】
被覆配合物は、ローラー、スプレー(例えば、エアゾールスプレー)、ブラシを使用するか、または他のタイプのアプリケーターを使用して、単一層または多重層において基材12に適用できる。いくつかの実施において、それは、フォームローラーを使用して、単一層において塗布できる。いくつかの実施において、被覆物14は、例えば、約0.001インチ〜約0.125インチ、例えば、約0.002インチ〜約0.1インチ、約0.004インチ〜約0.08インチ、約0.006インチ〜約0.06インチ、約0.008インチ〜約0.04インチ、または約0.01インチ〜約0.02インチの厚さTを有し得る(図1A)。他の実施において、被覆物14は、約0.005インチより大きい、例えば、約0.0075インチより大きい、または約0.010インチより大きい厚さを有し得る。いかなる理論にも縛られるものではないが、均一な、適切な被覆厚さTを与えることは、マーキング物質が浸透し得る薄いまたは非被覆基材部分の可能性を減少させると考えられる。
【0069】
いくつかの実施において、被覆物14は、約150mg/1,000サイクル未満、例えば、約100mg/1,000サイクル未満、約75mg/1,000サイクル未満、約50mg/1,000サイクル未満、約35mg/1,000サイクル未満、約25mg/1,000サイクル未満、約15mg/1,000サイクル未満、約10mg/1,000サイクル未満、約5mg/1,000サイクル未満、約2.5mg/1,000サイクル未満、約1mg/1,000サイクル未満、またはさらには約0.5mg/1,000サイクル未満のテーバー摩耗値を有し得る。低いテーバー摩耗値を維持することは、長期にわたる耐久性を被覆物に与えることができ、マーキング物質が被覆物を通って基材に浸透することを可能にし得る薄い箇所の発生を減少させる。
【0070】
いくつかの実施において、被覆物14は、約10より大きい、例えば、約15より大きい、約25より大きい、約50より大きい、約75より大きい、約100より大きい、約120より大きい、約150より大きい、またはさらには約200より大きいスオード硬度を有し得る。いかなる理論にも縛られるものではないが、高いスオード硬度を維持することは、長期にわたる耐久性および耐引掻性を被覆物に与えると考えられる。引掻き傷に捕捉されたマーキング物質は、消去するのが困難になり得る。
【0071】
いくつかの具体的な実施において、被覆物14は、約10〜約75、例えば、約15〜約70、または約15〜約55のスオード硬度を有し得る。いくつかの具体的な実施において、被覆物は、約15、約22または約25のスオード硬度を有し得る。
【0072】
いくつかの実施において、被覆材料の破断点伸びは、約5パーセント〜約400パーセント、例えば、約25パーセント〜約200パーセント、または約50パーセント〜約150パーセントであり得る。他の実施において、破断点伸びは、約10パーセントより大きい、例えば、約25パーセントより大きい、約50パーセントより大きい、またはさらには約100パーセントより大きいものであり得る。いかなる理論にも縛られるものではないが、高い破断点伸びを維持することは、長期にわたる耐久性を被覆物に与え、被覆物が亀裂を形成せずに応力を受けることを可能にすると考えられる。亀裂は、マーキング物質を補足することができ、表面からの消去を困難にし、従って、書き込み消去可能製品の寿命を短くする。
【0073】
いくつかの実施において、被覆材料の垂れ下り抵抗は、少なくとも約3ミル、例えば、約4ミル、約5ミル、約6ミル、約7ミル、約8ミル、約9ミル、約10ミル、約12ミル、約14ミル、約16ミル、約18ミル、約20ミル、約22ミル、または約24ミルであり得る。他の実施において、被覆物14は、約4ミル〜約24ミル、例えば、約5ミル〜約20ミル、約6ミル〜約18ミル、約7ミル〜約16ミル、約8ミル〜約14ミル、約9ミル〜約12ミル、または約10ミル〜約12ミルの垂れ下り抵抗を有し得る。
【0074】
いくつかの実施において、書き込み消去可能表面16は、約0.5nm〜約7,500nm、例えば、約1nm〜約6,000nm、約2nm〜約5,000nm、約5nm〜約2,500nm、約10nm〜約1,500nm、約20nm〜約1,000nm、または約25nm〜約750nmの平均表面粗さ(R)を有し得る。他の実施において、書き込み消去可能表面16は、約7,500nm未満、例えば、約5,000nm未満、約3,000nm未満、約2,000nm未満、約1,000nm未満、約500nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約100nm未満、またはさらには約50nm未満の平均表面粗さ(R)を有し得る。
【0075】
いくつかの具体的な実施において、書き込み消去可能表面16は、約75nm〜約1,000nm、例えば、約100nm〜約500nm、または約150nm〜約400nmの平均表面粗さ(R)を有し得る。いくつかの具体的な実施において、書き込み消去可能表面16は、約150nm、約300nmまたは約1,000nmの平均表面粗さ(R)を有し得る。
【0076】
いくつかの実施において、書き込み消去可能表面16は、約10,000nm未満、例えば、約8,000nm未満、約6,500nm未満、約5,000nm未満、約3,500nm未満、約2,000未満、約1,000nm未満、またはさらには約500nm未満の最大表面粗さ(R)を有し得る。
【0077】
いくつかの実施において、書き込み消去可能表面16は、艶なし仕上げ(85度で測定される光沢15未満)、エッグシェル仕上げ(60度で測定される光沢約5〜約20)、サテン仕上げ(60度で測定される光沢約15〜約35)、半光沢仕上げ(60度で測定される光沢約30〜約65)、または光沢仕上げ(60度で測定される光沢約65より大きい)を有し得る。
【0078】
いくつかの具体的な実施において、書き込み消去可能表面16は、約45〜約90、例えば約50〜約85の、60度光沢を有し得る。他の実施において、書き込み消去可能表面16は、約10〜約50、例えば約20〜約45の、20度光沢を有し得る。さらに他の実施において、書き込み消去可能表面16は、約45〜約90、例えば約75〜約90の、85度光沢を有し得る。他の具体的な実施において、書き込み消去可能表面16は、約12、約23、または約46の20度光沢;または約52、約66、または約85の60度光沢;または約64、約78、または約88の85度光沢を有し得る。
【0079】
いくつかの実施において、被覆物14の表面16の書き込み可能性および消去可能性を向上させるために、硬化被覆物14が、比較的親水性であり、あまり疎水性でない表面を有するように、先駆材料を選択することができる。図2を参照すると、書き込み消去可能表面16の疎水性が、液体、例えば水性マーキング物質によるその湿潤性に関連付けられている。接触角によって、書き込み消去可能表面16の疎水性を定量化することが望ましい場合が多い。一般に、ASTM D5946−04に記載のように、書き込み消去可能表面16上の液体(例えば、水)の接触角θを測定するために、書き込み消去可能表面16と三相点で液滴表面に引いた接線26との角度が測定される。数学的に、θは2×アークタンジェント(A/r)であり、ここで、Aは液滴画像の高さ、rは底辺の半幅である。いくつかの実施において、書き込み消去可能表面16は、脱イオン水を使用して測定して、約150度未満、例えば、約125度未満、約100度未満、約75度未満、またはさらには約50度未満の、接触角θを有することが望ましいものとなり得る。他の実施において、書き込み消去可能表面16は、約35度より大きい、例えば、約40度より大きい、または約45度より大きい、接触角θを有することが望ましいものとなり得る。
【0080】
ある実施において、接触角θは、脱イオン水を使用して測定して、約30度〜約90度、例えば、約45度〜約80度、または約39度〜約77度であり得る。いくつかの具体的な実施において、この接触角は、約40度、例えば、約50度、約60度、約73度、または約77度であり得る。
【0081】
いくつかの実施において、書き込み消去可能表面16は、約30ダイン/cm〜約60ダイン/cm、例えば、約40ダイン/cm〜約60ダイン/cmの表面張力を有し得る。いくつかの具体的な実施において、書き込み消去可能表面16は、約25ダイン/cm、約30ダイン/cm、約42ダイン/cm、約44ダイン/cm、または約56ダイン/cmの表面張力を有し得る。
【0082】
一般に、被覆物14は、適用した被覆物14が適用後直ぐかまたはその硬化中に流れないように、充分な粘度を有し得る溶剤系担体中の材料の溶液を適用する(例えば、ロール塗り、塗布、または吹付け塗り)ことによって形成できる。同時に、溶液粘度は、容易な適用を可能にするのに充分であるべきである。いくつかの実施において、適用溶液は、25℃で、約75mPa・s〜約20,000mPa・s、例えば、約200mPa・s〜約15,000mPa・s、約1,000mPa・s〜約10,000mPa・s、または約750mPa・s〜約5,000mPa・sの粘度を有し得る。
【0083】
好都合にも、書き込み消去可能表面16に、着色剤および溶剤を含むマーキング物質でマーキングした場合、マーキング物質は書き込み消去可能表面から効果的に(例えば、実質的に)不可視に消去することができる。溶剤は、水、アルコール(例えば、アルコキシアルコール、ケトンアルコール)、ケトン、エステル(例えば、アセテート)、ミネラルスピリット、またはバイオ系溶剤(例えば、植物油、トウモロコシ油、またはヒマワリ油)の、1つまたはそれ以上を含む。任意の前記溶媒の混合物も使用することができる。例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の前記溶剤の混合物を使用し得る。
【0084】
いくつかの実施において、マーキング物質は、繊維状材料を含むイレーザーでマークを拭くことによって、書き込み消去可能表面16から効果的に(例えば、実質的に)不可視に消去することができる。例えば、イレーザーは、使い捨ての拭きもの、布、または裏付(例えば、木材、プラスチック)フェルトの形態であり得る。イレーザーは、溶剤、例えば、水、アルコール(例えば、アルコキシアルコール、ケトンアルコール)、ケトン、エステル(例えば、アセテート)、またはミネラルスピリットも含むことができる。これら溶剤の任意の2つまたはそれ以上の混合物を使用することもできる。
【0085】
マーキング物質またはイレーザーに使用できるアルコールの例は、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、イソ−ブタノール、ベンジルアルコール、2−(n−プロポキシ)エタノール、2−(n−ブトキシ)エタノールおよび3−(n−プロポキシ)エタノールを含む。
【0086】
マーキング物質またはイレーザーに使用できるケトンの例は、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルn−ブチルケトンを含む。
【0087】
マーキング物質またはイレーザーに使用できるエステルの例は、メチルアセテート、エチルアセテート、n−ブチルアセテートおよびt−ブチルアセテートを含む。
【0088】
試験用に、被覆物14は、フルオロポリマー基材上に材料を流延し、次に、約0.002インチの乾燥厚さを有し得るように材料を硬化させることによって、作製できる。次に、硬化した試料をフルオロポリマー基材から除去して、試験片を得る。試験は、25℃で行なうことができる。破断点伸びは、ASTM方法D−882を使用して測定でき;多孔率は、水銀圧入測孔法を使用して測定でき(好適測定器はMicromeritics,Norcross,GAから入手可能、例えば、Micromeritics Autopore IV 9500);表面粗さは、ASME B46.1を使用してタッピングモードで原子間力顕微鏡(AFM)を使用して測定でき(好適測定器、例えば、WYKO NT8000は、Park Scientificから入手可能);テーバー摩耗抵抗は、ASTM方法D−4060に従って測定でき(ホイールCS−17、1kg荷重);スオード硬度は、ASTM方法D−2134に従って測定できる(Sward Hardness Rocker Model C)。VOCの量は、EPA方法24を使用して測定できる。光沢は、ASTM方法D−523−89を使用して測定できる(BYK Tri−Gloss Meter、カタログ番号:4525)。接触角は、脱イオン水を用いて、動的接触角法(Angstroms Model FTA200)使用し、ASTM方法D−5946−04を使用して測定できる。垂れ下り抵抗は、ASTM方法D4400を使用して測定でき、該方法は、ドローダウンを得、標準ASTMピクチャーとの比較により目視的に測定することによって、行なうことができる。表面張力は、AccuDyne Marking Pensを使用して測定できる。ストーマー粘度は、ブルックフィールド粘度計で、ASTM方法D−562によって測定でき、Kreb単位(Ku)で記録することができる。
【0089】
本明細書に記載されている任意の書き込み消去可能製品は、本明細書に記載されている任意属性のいずれか1つまたはそれ以上を有し得る。例えば、書き込み消去可能表面は、約7,500nm未満の平均表面粗さ(R)、約7,500nm未満の最大表面粗さ(R)、約50未満の60度光沢および約100度未満の接触角を有し得る。
【0090】
本明細書に記載されている任意の被覆物は、任意の下記属性のいずれか1つまたはそれ以上を有し得る。例えば、被覆物は、約45パーセント未満の多孔率、約25パーセント〜約200パーセントの破断点伸び、および/または約3より大きいスオード硬度、および約150mg/1,000サイクル未満のテーバー摩耗値を有し得る。
【0091】
配合物
溶剤系被覆物は、均一分散液または溶液を得るために、樹脂および他の成分を分散または溶解させるための溶剤を使用する。溶剤に基づく系は、多くの用途において、耐久性の高品質仕上げを与えることができる。溶剤系被覆物は、適用容易性も示し、配合の間に選択できる溶剤の範囲により、配合物において所望の特性を達成するための制限が少ない。さらに、溶剤系被覆物は、より広い範囲の基材に適用できる。
【0092】
書き込み消去可能表面16を有する硬化被覆物14は、周囲条件下で、未硬化被覆配合物から形成できる。被覆配合物は、一般に、下記の材料を含み得る。配合物は、1成分系または多成分系(例えば、2成分系)を含み得る。1成分系は、例えば、すぐに使用できるように包装された被覆配合材料から成る。2成分系は、例えば、基材への適用前に最終被覆配合物を得るために、所望される場合に、混合される2つの被覆材料から成る。
【0093】
ポリウレタン
ポリウレタンは、ジイソシアネートまたはポリイソシアネートと、ジオールまたはポリオールとの反応によって得られる。ポリウレタンは、イソシアネート含有物質および/またはヒドロキシル含有物質の性質ならびに硬化の性質を含む種々の要素に依存して、広範囲の硬度および柔軟性を示す。ポリウレタン被覆物は、1成分または2成分被覆物として配合し得る。反応性ポリウレタン被覆物は、一般的には、イソシアネートおよびヒドロキシルを硬化の間の反応性基として使用することを含む。参照:The ICI Polyurethanes Book、George Woods(John Wiely & Sons:New York、1987)、およびOrganic Coatings−Properties,Selection and Use、米商務省、規格基準局:Washington D.C.、シリーズ7;1968年2月;それらの全開示は、参照により本明細書に組み入れられる。ポリウレタン被覆物は、分類別に、いくつかのASTM呼称(第I〜VI型)も与えられている。
【0094】
例えば、図1に示されている被覆物14は、1つまたはそれ以上のイソシアネート(例えば、ジイソシアネート)を含む1つまたはそれ以上の材料、および1つまたはそれ以上のヒドロキシルを含む1つまたはそれ以上の材料から形成でき、これらの材料の少なくとも1つは、溶剤系担体、例えば有機溶剤に存在し得る。いくつかの実施において、被覆物は、イソシアネートを含む第1成分と、ヒドロキシル含有化合物(例えばポリオール)を含む第2成分との反応生成物であり得るか、またはそれを含む。ポリウレタン用途に使用されるジイソシアネートは、一般に、アミンとホスゲンとの反応によって得ることができる。有機ジイソシアネートの例は、下記:脂肪族、シクロ脂肪族(脂環式)、および芳香族ジイソシアネート、例えば、メチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、4−クロロ−m−フェニレンジイソシアネート、ビトリレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、ビス−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートおよびそのメチルエステル、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリフェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化メチレンジフェニルイソシアネート(HMDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、4−t−ブチル−m−フェニレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、トリレンジイソシアネート、4−メトキシ−m−フェニレンジイソシアネート、ビフェニレンジイソシアネート、クメン−2,4−ジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、p,p’−ジフェニレンジイソシアネート、またはそれらのオリゴマーおよびホモポリマー、ならびにそれらの混合物;を含む。
【0095】
モノマージイソシアネートは、ジオールまたはトリオールでの処理によって、より高い分子量のオリゴマープレポリマーにさらに変換してもよい。そのようなオリゴマープレポリマーも、ポリウレタン被覆物の作製における反応成分として使用できる。ポリウレタン用途に使用されるジイソシアネートは、種々の販売会社から種々の商品名で入手できる。市販ジイソシアネートの例は、下記:ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)含有ISONATE(商標)、PAPI(商標)、SPECTRIM(商標)(Dow chemical companyから入手可能);Desmodur(登録商標)ポリイソシアネートおよびBayhydur(登録商標)(Bayerから入手可能);Sovermol(登録商標)(Cognisから入手可能);Reafree(登録商標)およびChempol(登録商標)(両方ともCook Composite Polymersから入手可能)を含むが、それらに限定されない。
【0096】
いくつかの実施において、全材料配合物における脂肪族ジイソシアネートのホモポリマーの質量パーセントは、約26%、例えば、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、またはさらには約35%であり得る。いくつかの実施において、全材料配合物における脂肪族ジイソシアネートのホモポリマーの質量パーセントは、約20%〜約40%、例えば、約22%〜約38%、約24%〜約36%、約26%〜約34%、または約28%〜約32%であり得る。
【0097】
配合物のイソシアネート含有材料は、少なくとも約40Kreb単位(Ku)の粘度、例えば、少なくとも約50Ku、少なくとも約60Ku、少なくとも約70Ku、少なくとも約85Ku、少なくとも約90Ku、少なくとも約91Ku、少なくとも約95Ku、少なくとも約100Ku、または少なくとも約105Kuの粘度を有し得る。いくつかの実施において、配合物のイソシアネート含有材料は、約40Ku〜約140Ku、例えば、約60Ku〜約105Ku、約70Ku〜約105Ku、または約80Ku〜約95Kuの粘度を有し得る。いくつかの具体的な実施において、配合物のイソシアネート含有材料は、約85Ku、例えば、約87Ku、約89Ku、約91Ku、約93Kuまたは約95Kuの粘度を有し得る。
【0098】
エポキシ樹脂
エポキシ被覆組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤を混合することによって得ることができる。エポキシ樹脂は、1つまたはそれ以上のエポキシド単位をそれらの構造中に有するポリエーテル鎖を含み得る。ポリエーテルは、反復オキシアルキレン単位:酸素基によって置換されたアルキレン、例えばエチレンオキシ(−[CH−CHO]−)を有する。いくつかの実施において、ポリエーテル鎖は、付加的官能基、例えばヒドロキシル(−OH)を有し得る。エポキシ樹脂の硬化は、より少ない量の揮発性生成物を生じ得る。エポキシド環構造の特異的な特性により、硬化剤は、求核性または求電子性であり得る。求核剤の例は、アルコール、フェノール、アミン、アミノシラン、チオール、カルボン酸、および酸無水物を含む。求電子剤の例は、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、および潜在酸触媒(例えば、ジブチル錫ジアセテート)を含む。いくつかの実施において、これらの硬化剤は、1つまたはそれ以上の求核基を含有し得る。エポキシ樹脂自体は、脂肪族(例えば、環式または非環式)または芳香族主鎖、またはそれら両方の組合せを含有し得る。いくつかの任意実施において、エポキシ樹脂は、他の非干渉化学結合(例えば、アルキル鎖)を含有し得る。
【0099】
例えば、図1に示されている被覆物14は、エポキシ材料およびヒドロキシル含有またはアミン含有材料から形成でき、これらの材料の少なくとも1つは溶剤系担体に存在し得る。いくつかの実施において、この材料は、エポキシドまたはオキシラン材料を含む第1成分(例えば、エポキシプレポリマー)と、アルコール、アルキルアミン(例えば、環式または非環式アルキルアミン)、ポリオール、ポリアミン(例えば、イソホロンジアミン)、ポリエステルポリアミン、またはアミドポリアミンを含む第2成分との反応生成物であり得るか、またはそれを含む。2つの成分のいずれかまたは両方が、溶剤系担体に存在することができる。そのような実施において、エポキシドまたはオキシラン材料が架橋材料として作用し得る。いくつかの実施において、オキサゾリジンを、2つの成分のいずれかに添加して、2つの成分の反応を加速させる促進剤として作用させることができる。いくつかの具体的な実施において、エポキシド材料は、エピクロロヒドリン、グリシジルエーテル型(例えば、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル)、オキシラン改質脂肪酸エステル型、またはオキシラン改質エステル型であり得る。いくつかの具体的な実施において、ポリオール材料は、ポリエステルポリオール、ポリアミンポリオール、ポリアミドポリオール、またはアミン付加ポリオールであり得る。いくつかの実施において、エポキシ被覆物の作製用の配合物は、1成分または多成分(例えば、2成分)配合物として配合することができる。
【0100】
アクリル樹脂
ポリアクリレート(アクリル樹脂としても既知)は、下記式の反復エチレン単位を有する:−[CH−CH(X)]−、式中、Xは−CN、−COOH、アルキルOC(O)−、アルキルNHC(O)−であり得る。アクリルポリマーを溶剤系担体(例えば、本明細書に記載されているもの)に添加して、被覆物14の形成前に、溶液、分散液、または乳濁液を形成することができる。被覆物14の作製に好適なアクリル材料は、アクリルモノマー(ヒドロキシアクリレートのような官能性アクリルモノマーを含む)と架橋触媒との分散物;自己架橋できるアクリルコポリマー;スチレン−アクリルコポリマー;または官能化アクリルコポリマーを含み得る。
【0101】
いくつかの任意実施において、被覆物14を形成するのに使用される材料は、溶剤系担体中のアクリル材料であり得るか、またはそれを含み得る。そのような実施において、アクリル材料は、メチルメタクリレートを基剤とするか、ブチルアクリレートを基剤とするか、エチルアクリレートを基剤とするか、またはそれらの混合物であり得る。そのような実施において、ポリカルボジイミド、アジリジン、またはイミダゾリン材料を、アクリル材料に添加して、外部架橋材料として作用させることができる。そのような実施において、アクリル被覆物は、1成分または多成分(例えば、2成分)配合物として配合することができる。
【0102】
ビニル樹脂
一般に、ビニルポリマーは、下記式の反復単位を有する:−[CX−CX]−、式中、X、X、XおよびXはそれぞれ独立して、H、ハロ、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり得る。例として、ポリビニルクロリドのようなビニルモノマーとエチレンとの共重合は、多くの被覆物に必要とされる変動する柔軟性および透明性を与える。いくつかの実施において、ビニル材料は、反復単位−[CH−CH(X)]−を有することができ、式中、Xは、H、ハロ、アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり得る。ポリビニルクロリドは、塩素によって置換されたエチレンの反復単位−[CH−CH(X)]−を有することができ、式中、XはClである。ポリエチレンは、エチレンの反復単位−[CH−CH]−を有する。いくつかの実施において、被覆物14の作製に好適なビニル材料は、溶剤系担体中のビニルポリマー樹脂材料であり得るか、またはそれを含む。そのような実施において、ビニル材料は、ポリビニルクロリド、ポリビニルクロリド−エチレンコポリマー、またはチオ官能化ビニルコポリマーであり得る。
【0103】
アルキド樹脂
アルキド樹脂は、2つまたはそれ以上の反応性ヒドロキシル基を含有する多価アルコールと、2つまたはそれ以上の反応性カルボン酸基を含有する多塩基酸との縮合によって形成される複合ポリエステルである。多価アルコールの例は、グリセロール、ペンタエリトリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、およびヘキサン−1,2,3−トリオールを含む。多塩基酸の例は、マロン酸、コハク酸およびグルタル酸を含む。
【0104】
いくつかの実施において、被覆材料は、溶剤系担体中のアルキド材料であり得るか、またはそれを含む。そのような実施において、アルキド材料は、ヒマシ油、ダイズ油、ヒマワリ油、ソヤオイル(soya oil)、アマニ油、トール油、ビニルトルエンアルキド、ウレタンアルキド、スチレン化アルキド、またはそれらの混合物であり得る。
【0105】
混成系
いくつかのまたは全ての前記配合系を、溶剤系担体中で組合せて、混成系を形成してもよい。混成系は、一般的には、2種類の樹脂の混合物である。混成系は、均質媒質中の混成ポリマー系、または非均質媒質中の混成ポリマー系(例えば、混成分散物)であり得る。混成系は、共同的に相互作用して所望の特性を与える2種類の異なるポリマーまたは樹脂を、おそらくは溶剤系担体中に、含有することができる。いくつかの実施において、溶剤系担体中の混成材料は、1成分または2成分の被覆材料の一部であり得る。そのような実施において、混成材料は、ポリウレタン/アクリル樹脂、エポキシ/アクリル樹脂、アルキド/アクリル樹脂、ポリビニルクロリド(PVC)/アルキド、PVC/エポキシ、またはPVC/ポリウレタンの組合せであり得る。そのような実施において、外部架橋剤、例えば、ポリカルボジイミド、アジリジン、またはイミダゾリンも、混成系に添加することができる。
【0106】
ポリオール
一般に、被覆物14の形成に使用されるポリオールは、2つまたはそれ以上のヒドロキシル基を含有する化合物、例えば、アクリルポリオール、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアミドポリオール、ポリエポキシポリオール、ポリビニルポリオール、ポリアルキドポリオール、またはポリウレタンポリオールであり得る。ポリオールを、一般に、反応性基、例えば、イソシアネート、エポキシドまたは他の反応性基と反応させて、被覆物を作製することができる。
【0107】
アクリルポリマーは、一般的には、任意にビニルモノマー(例えば、スチレン)の存在下で、ヒドロキシアクリレートの重合によって(例えば、フリーラジカル媒介重合によって)得ることができる。ヒドロキシアクリレートの例は、ブタンジオールモノアクリレート(BDMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、ヒドロキシブチルアクリレート、およびポリカプロラクトン改質ヒドロキシエチルヘキシルアクリレートを含む。いくつかの実施において、全被覆配合物中のアクリルポリオールの質量パーセントは、少なくとも約12%、例えば、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、またはさらには少なくとも約18%であり得る。いくつかの実施において、全材料配合物中のアクリルポリオールの質量パーセントは、約10%〜約20%、例えば、約11%〜約19%、約12%〜約18%、約13%〜約17%、または約14%〜約16%であり得る。
【0108】
ポリオキシアルキレンジオールは、被覆物の作製に使用できる他のポリオールの例である。いくつかの実施において、ポリオキシアルキレンジオールは、狭分散ポリエチレングリコール標準を使用して測定して、約200〜約3,000、例えば約500〜約2,000の数平均分子量を有し得る。ポリオキシアルキレンジオールの具体的な例は、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリブチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、およびそれらのコポリマーを含む。任意のポリオキシアルキレンジオールの混合物も使用することができる。
【0109】
末端ヒドロキシル基を有するポリエステルは、被覆物を作製するのに使用できるポリオールの他の例である。そのようなポリエステルジオールは、ジオールとジカルボン酸またはその相当物(例えば、酸ハロゲン化物または無水物)との縮合によって作製できる。好適なジオールの例は、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、またはこれらのジオールの混合物を含む。好適な酸の例は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、セバシン酸、リンゴ酸、フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはこれらの酸の混合物を含む。これらのポリエステルジオールを作製する場合、一般に、ジカルボン酸に対して過剰のジオールが使用される。
【0110】
末端ヒドロキシル基を有するポリウレタンジオールは、被覆物を作製するのに使用できるポリオールのさらに他の例である。ポリウレタンジオールは、ポリアルキレン、ポリ(オキシアルキレン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルフィド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、または任意のこれらポリマーの混合物の単位を含み得る。いくつかの実施において、ポリウレタンジオールは、狭分散ポリエチレングリコール標準を使用して測定して、約200〜3,000、例えば約500〜約2,000の数平均分子量を有する。ポリウレタンジオールは、特に耐摩耗および耐引掻性被覆物を提供するのに好都合に使用できる。末端ヒドロキシ基を有するポリウレタンは、いずれか1つまたはそれ以上の前記のポリオールと有機ジイソシアネートとを反応させて、イソシアネート末端プレポリマーを得、次に、このプレポリマーと2〜6個のヒドロキシル基を含有する多価アルコールとを反応させることによって作製できる。いくつかのポリウレタンジオールは、Sigma−Aldrich ChemicalsまたはKing Industriesから商業的に入手可能である。
【0111】
いくつかの実施において、イソシアネート末端プレポリマー(perpolymer)は、活性剤(または促進剤)、例えばオキサゾリジンまたは有機錫化合物(例えば、ジブチル錫ジラウレートまたはジブチル錫ジオクトエート)の存在下で、ジオールとジイソシアネートとを、それぞれ約1:2のモル比で反応させることによって得ることができる。反応を、約60℃〜約180℃の温度で約4時間〜約24時間にわたって進めて、イソシアネート末端プレポリマーを得ることができる。
【0112】
次に、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを、例えば約60℃〜約110℃で約1時間〜約10時間にわたって、2〜6個のヒドロキシル基を含有するモノマー多価アルコールと、それぞれ1:2のモル比で反応させることができる。使用できるモノマー多価アルコールの例は、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール、マンニトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,1−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチルペンタンジオール、ペンタエリトリトール、およびトリメチルヘキサンジオールを含む。イソシアネート末端ウレタンプレポリマーの、1つまたはそれ以上のアルコールでの処理の結果は、2〜10個の末端ヒドロキシ基を有し、イソシアネート基を有さないポリウレタンジオールである。
【0113】
ポリウレタンジオールは、有機カーボネートとアミンとの反応によって作製することもできる。
【0114】
ポリウレタンジオールおよびアルコキシアルキルアミノ材料を使用して被覆物を作製するいくつかの実施において、ポリウレタンジオール/アルコキシアルキルアミノ材料のモル比は、約10:1〜約1:1、例えば、約5:1〜約1:1であり得る。
【0115】
市販ポリオールの例は、Desmophen(登録商標)(Bayerから入手可能)、Macrynal(登録商標)(Cytec Industriesから入手可能)およびArolon(登録商標)(Reicholdから入手可能)を含むが、それらに限定されない。
【0116】
いくつかの任意実施において、被覆材料は、溶剤系担体中のアルコキシアルキルアミノ材料を含む第1成分と、溶剤系担体中のポリオールを含む第2成分との反応生成物であり得るか、またはそれを含む。そのような実施において、アルコキシアルキルアミノ材料は、架橋材料として作用することができる。
【0117】
さらに他の任意実施において、被覆材料は、下記:ロジンフェノール樹脂、エポキシエステル樹脂、フッ素基剤樹脂(例えば、フッ素改質アクリル、フッ素改質エポキシ、フッ素改質アルキド、またはフッ素改質ポリウレタン)、シロキサン基剤樹脂(例えば、ヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサン、例えば、ヒドロキシアルキルポリジメチルシロキサン)、シリカ基剤樹脂(例えば、シリカ改質アクリル、シリカ改質エポキシ、シリカ改質アルキド、またはシリカ改質ポリウレタン);を含み得る。
【0118】
溶剤
被覆物14は、溶剤系担体、例えば有機溶剤中の、材料から形成できる。いかなる理論にも縛られるものではないが、溶剤は、硬化前に、被覆配合物中の顔料および樹脂のための分散ビヒクルとして有効であり得ると考えられる。配合物の適用の間に、それらは、配合物の適切な粘度を得ることを助ける。しかし、被覆物が硬化した後に、残留溶剤は存在しないと予測され得る。溶剤は、下記:2−ブトキシエタノール、エチレングリコール、エチルベンゼン、キシレン、メチルアミルケトン、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ブタノール、パラフィン、アルカン、ポリプロピレングリコール、ストッダード溶剤、トルエン、エトキシル化アルキルフェノール、1−メチル−2−ピロリジノン、または1−エチルピロリジン−2−オン;を含み得る。いくつかの実施において、溶剤は、炭化水素(例えば、飽和炭化水素または不飽和炭化水素)、アルコール(例えば、アルコキシアルコール、ケトンアルコール)、ケトン、エステル(例えば、アセテート)、グリコールエーテル、およびグリコールエーテルエステルであり得るか、またはそれらを含む。炭化水素の例は、トルエン、キシレン、ナフサ(石油)、石油蒸留物、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、および石油精製所から得られる炭化水素混合物の留分を含む。これらの溶剤のいずれか2つまたはそれ以上の混合物も使用され得る。アルコールの例は、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、イソ−ブタノール、ベンジルアルコール、2−(n−プロポキシ)エタノール、2−(n−ブトキシ)エタノール、3−(n−プロポキシ)エタノール、および2−フェノキシエタノールを含む。これらの溶剤のいずれか2つまたはそれ以上の混合物を使用してもよい。
【0119】
ケトンの例は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、およびメチルイソアミルケトンを含む。これらの溶剤のいずれか2つまたはそれ以上の混合物を使用してもよい。
【0120】
エステルの例は、エチルプロパノエート、エチルブタノエート、エチルグリコレート、プロピルグリコレート、ブチルグリコレート、およびイソアミルグリコレート、メチルアセテート、エチルアセテート、n−ブチルアセテート、イソアミルアセテート、およびt−ブチルアセテートを含む。これらの溶剤のいずれか2つまたはそれ以上の混合物を使用してもよい。
【0121】
配合物中の他の改質剤
促進剤は、硬化過程を加速させる物質である。配合物に使用できる促進剤は、ジブチル錫ジアルカノエート(例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート)、およびオキサゾリジンを含む。酸プロモーターも、硬化過程を加速させる物質である。酸プロモーターは、アリール、アルキルおよびアラルキルスルホン酸;アリール、アルキル、およびアラルキルリン酸およびホスホン酸;アリール、アルキル、およびアラルキル酸ピロホスフェート;カルボン酸;スルホンイミド;鉱酸およびそれらの混合物を含む。スルホン酸の例は、ベンゼンスルホン酸、パラ−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、およびナフタレンスルホン酸を含む。アリール、アルキル、およびアラルキルホスフェートおよびピロホスフェートの例は、フェニル、パラ−トリル、メチル エチル、ベンジル、ジフェニル、ジ−パラ−トリル、ジ−メチル、ジ−エチル、ジ−ベンジル、フェニル−パラ−トリル、メチル−エチル、フェニル−ベンジルホスフェートおよびピロホスフェートを含む。カルボン酸の例は、クエン酸、安息香酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ジカルボン酸、例えばシュウ酸、およびフッ素化酸、例えばトリフルオロ酢酸を含む。スルホンイミドの例は、ジベンゼンスルホンイミド、ジ−パラ−トルエンスルホンイミド、メチル−パラ−トルエンスルホンイミド、およびジメチルスルホンアミドを含む。鉱酸の例は、リン酸、硝酸、硫酸および塩酸を含む。いくつかの実施において、リン酸、クエン酸、またはそれらの組合せを、酸プロモーターとして使用することができる。
【0122】
表面添加剤は、書き込み消去可能表面16の、表面特性(例えば、表面張力特性、基材湿潤、光沢、触感、および滑り)を改質することができる。表面添加剤の例は、改質ポリジメチルシロキサンおよびポリテトラフルオロエチレンを含み得る。硬化性組成物は、下記:充填剤、界面活性剤、光安定剤、顔料、不透明剤、消泡剤、表面光沢調整剤、殺生物剤、粘度調整剤、分散剤、反応性希釈剤、体質顔料、腐食または風解防止剤、難燃剤、膨張剤、エネルギー効率用の熱剤、UVおよび/またはIRからの保護用の添加剤、自己清浄剤、香料、または芳香持続剤;のような他の任意成分も含有することができる。
【0123】
いくつかの市販の好適な光安定剤は、CIBA Specialty Chemicalsから商品名TINUVIN(登録商標)(ベンゾトリアゾール、トリアジン、またはヒンダードアミンを基剤とする)およびCHIMASSORB(登録商標)(ベンゾフェノンを基剤とする)で入手可能である。
【0124】
湿潤剤は、被覆配合物の粘度特性を改質することができる。湿潤剤の例は、シリコーン不含系の湿潤剤、Munzing Chemie GmbHから入手可能なMetolat(登録商標)を含み得る。
【0125】
不透明剤の例は、酸化亜鉛、二酸化チタン、二酸化珪素、カオリンクレー、例えば、高白色度カオリンクレー、またはそれらの混合物を含み得る。
【0126】
消泡剤は、被覆物に捕捉された空気を放出することができ、表面平滑性を高めることができる。消泡剤の例は、ポリエチレングリコール、またはシリコーン界面活性剤、例えば、ポリエーテル改質ポリジメチルシロキサンを含み得る。消泡剤、例えばBKY系の消泡剤が、BYK−Chemie GmbHから入手可能である。
【0127】
粘度調整剤の例は、ポリウレタン、または市販のアクリルコポリマー、Munzing Chemie GmbHから入手可能なTAFIGEL(登録商標)を含む。
【0128】
特定の実施を、本開示の範囲を限定するものでない下記の実施例においてさらに説明する。
【実施例】
【0129】
(実施例1)
第1成分:粉砕段階の間に、下記の材料を、順に、表1に記載されている質量%の範囲で、ポットに添加した:エチルベンゼン、n−ブチルアセテート、キシレン、アクリルポリオール、ストッダード溶剤、ブチルグリコレート、2−ブトキシエタノール、およびメチルイソ−アミルケトン。次に、含有物を、充分に分散するまで低速で混合した。速度を100〜200rpm以下に維持した。二酸化チタン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカおよび水を、ポット中の混合物に添加し、その間に、高撹拌を得るために速度を増加した。最終RPM設定は、2,000〜3,000rpmであった。最少の空気組込みで最大剪断応力を得るまで速度を調節し、10〜15分間、またはヘグマン5〜6まで混合した。塊が存在しないことを確認した後、結晶質シリカを添加し、その間に、充分な撹拌を得るために速度を増加させた。10〜15分以内に95〜110°Fまでのポット中の温度を得るために、充分なRPMを維持した。その粉砕速度をさらに5分間維持し、次に、25〜35%減少させて、熱を放散させた。この時点でのヘグマンは少なくとも7であった。ヘグマンに達したら、ポットが原材料を混合するだけになるまで混合速度を減少させ、30分間継続した。
【0130】
失速段階の間に、エチレンベンゼン、n−ブチルアセテート、キシレンおよびアクリルポリオールを、粉砕混合物に添加した。5〜10分未満の後に、ジブチル錫ジラウレート、メチルイソ−アミルケトン、およびn−ブチルアセテートを、ポットに添加した。速度を維持して材料を混合した。5〜10分後、キシレンおよび2−フェノキシエタノールを添加し、その間、材料に混合するために速度を維持した。5〜10分後、混合速度を維持しながらプロピオン酸を添加した。5〜10分後、クリスタルバイオレット、メチルイソ−アミルケトン、およびn−ブチルアセテートの混合物を添加し、その間、混合し、速度を維持した(クリスタルバイオレットは、ポットの軸または側壁に付着する傾向を有する;壁をスクラッピングすることが色均一性に役立った)。30分後、生成物を容器に入れた。
【0131】
第2成分:ホモポリマーヘキサメチレンジイソシアネートおよびヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート混合物が、最終生成物の第2部分であった。これらの材料は混合する必要がなかった。
【0132】
第1および第2成分を組合せる: 第1および第2成分を、所望される場合に、組合せて、最終被覆配合物を得た。その組合せは、最大約1時間のポットライフを有し、その間に適用を終了させた。配合物の組成は、表1の実施例1の欄に記載されている。被覆物の典型的特性は、表2に示されている。
【0133】
(実施例2)
粉砕時間が異なることに注意して、実施例1に記載した手順に従った。しかし、粉砕段階に必要とされた合計時間は、2時間以下であった。さらに、失速時間も異なっていた。失速段階手順の合計混合時間は、2〜3時間以下であった。最終組成物混合物中の成分の質量パーセント範囲は、表1の実施例2の欄に示されている。
【0134】
(実施例3)
粉砕時間が変わることに注意して、実施例1に記載した手順に従うことができる。しかし、粉砕段階に必要とされる合計時間は、2時間以下にすべきである。さらに、失速時間も変わる。失速段階手順の合計混合時間は、2〜3時間以下にすべきである。最終組成物混合物中の成分の質量パーセント範囲は、表1の実施例3の欄に示されている。
【0135】
【表1】

【0136】
【表2】

(実施例4)
実施例1に記載したのと同様の手順に従って、下記の表3に記載されている成分を混合して、この表に示されている質量パーセント範囲を有する成分を含有するエポキシ基剤配合物を得ることができる。この配合物は、1成分系として、または2成分系の一部として、使用し得る。
【0137】
【表3】

(実施例5)
実施例1に記載したのと同様の手順に従って、下記の表4に記載されている成分を混合して、この表に示されている質量パーセント範囲を有する成分を含有するアルキド基剤配合物を得ることができる。この配合物は、1成分系として、または2成分系の一部として、使用し得る。
【0138】
【表4】

(実施例6)
実施例1に記載したのと同様の手順に従って、下記の表5に記載されている成分を混合して、この表に示されている質量パーセント範囲を有する成分を含有するアクリル基剤配合物を得ることができる。
【0139】
【表5】

(実施例7)
実施例1に記載したのと同様の手順に従って、下記の表6に記載されている成分を混合して、この表に示されている質量パーセント範囲を有する成分を含有するアクリル基剤配合物を得ることができる。
【0140】
【表6】

(実施例8)
書き込み消去可能表面の消去可能特性の定量
色刺激(これは、その色の知覚を生じる着色物体からの放射線である)を測定した。色知覚は、その物体のスペクトル構成だけでなく、その下でそれが見られる光源によっても影響を受ける。光源のスペクトル分布および物体の相対スペクトル反射率が既知であれば、その光源によって照射された物体から正常視覚を有する観察者の目に達するスペクトル組成を算出することができる。The Commission Internationale de L‘Eclairage(CIE)は、CIELAB色空間における色差の算出手順を設定している。
【0141】
実施例1の配合物を、ドライ壁片に塗布した。赤色、青色および緑色Expo 1マーカーを使用してマーキングし、次に、Quartet Ghost Duster(登録商標)イレーザーで消去した。X−Rite Sp−62分光測光器を使用して、色読取りし、L、aおよびb値を自動的に計算した。次に、それらの数値を記録した。変化を、ASTM試験法D2244に従って、L、a、およびb値の差として計算した(この方法において、色差の方向は、成分ΔL、Δa、およびΔbの大きさおよび算術符号によって記載される)。次に、それらの数値を以下のように計算した:
ΔL=L−L (1)
Δa=a−a (2)
Δb=b−b (3)
[式中、L 、a、およびbは基準を意味し、L、a、bは試験片を意味する]。表7は、各色値の大きさおよび方向、ならびにどのような色変化が生じているかを示す。
【0142】
【表7】

1つの試料を基準点に選択することにより、この基準点からの色の変化を色差(ΔE)と呼び、この色差は下記の等式から算出される:
ΔE=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2 (4)
実施例1に記載した配合物から得た硬化被覆物の書き込み消去可能表面について、特定サイクル数の書き込みおよび消去後の測定色差(ΔE)を、表8に示す。
【0143】
【表8】

(実施例9)
書き込み消去可能表面の消去可能特性の測定
書き込み消去可能表面における可視変化(消去可能特性)の性質は、表面にマーキングし、次にマーキングを消去した後に知覚される可視変化によって評価することができる。それは、マーキングを消去するためのイレーザーでの1または2パス後に測定できる痕跡によって特性決定でき:マーキングは、表面に固着していると考えられ、それらは条痕のように消え得るかまたは斑点になり得る。表面の質は、マーキングした領域のイレーザーでの1パス後に測定される不浄度によって測定することもでき、イレーザーによるマーキングの不鮮明化のように、微か〜濃い曇りがイレーザーから残される場合がある。「痕跡」および「不浄度」の両方は、マーキング物質を表面から除去できる程度に基づいて、0〜10の等級で測定できる。数値が低いほど、表面性能がより優れていることを示す。
【0144】
(実施例10)
ΔL値の測定
アルミニウムシートに、1層のKilz Premiumプライマー(Masterchem Industriesから入手可能)で下塗りし、次に、8ミル・ボックス・ドローダウンで適用される1層の被覆配合物(実施例1に記載した第1および第2成分を混合することによって得た)を適用した。次に、被覆シートを12日間硬化させた。硬化被覆物を有するシートを、テーバー摩耗試験機4360(Taber Industriesから入手可能)に載せ、平衡アーム上の250グラムの錘を使用して、書き込み消去可能表面をCS−10摩耗ホイール(中軟度ホイール型)で摩耗させる。サンド・クリーニング・ペーパー(Taber Industriesにより供給)を使用して、ホイールを500サイクルごとに清浄にした。試験時に、相対湿度は60%であり、周囲温度は70°Fであった。書き込み消去可能表面を、0、100、200、500および1000サイクル後にサンプリングした。L値(L)は、X−Rite Sp−62分光測光器を使用して、各サンプルポイント(0、100、200、500および1000サイクル)で測定し、Expo 1およびExpo 2青色および黒色マーカーを摩耗領域に適用した。マーキングをExpoフェルト・ドライ・イレーザーで消去し、次に、L値(L)を再び測定した。これら2つの測定からの明度変化ΔL値(表9参照)は、除去できなかった摩耗領域に残留するマーカーの量を示す。
【0145】
【表9】

(実施例11)
被覆物の適用
適用を、清浄な埃のない環境で行なう。導入前に、適用現場内の周囲温度を45°F以上に最低24時間維持し、適用付近の匂いを最小限にするために、適用領域の適切な換気を確実にする。塗布される基材の表面に、既存表面の色が透けて見えなくなるまで、無着色PVAまたはビニルアクリル・インテリア・ラテックス・プライマーを使用して下塗りする。プライマーを、製造会社の推奨に従って完全に乾燥させる。一端から他端へ作業することによって、約2フィート幅部分において、表面に塗布する。次の部分に塗布する前に、各部分を完成させる。ラップマークを避けるために、湿潤縁を維持する。フォームローラーカバーを使用して、単一層を適用する。装置をアセトンまたは変性アルコールで清浄にする。被覆物を、一般的には、室温で1週間硬化させて、書き込み消去可能表面を形成する。
【0146】
書き込み消去可能表面は、毎日の消去および標準ドライ・イレース・イレーザーまたは乾布での清浄化によって維持することができる。定期的なより充分な清浄化のために、湿った布を使用してもよい。
【0147】
書き込み消去可能表面を剥がすかまたは何らかの損傷表面を再被覆することが所望される場合、ドライイレース被覆物の適用前に、元の表面を、表面の研磨および下塗りによって艶消しする。
【0148】
他の実施
多くの実施について記載した。それでもなお、本開示の趣旨および範囲を逸脱せずに、種々の変更を加え得ることが理解される。従って、他の実施も下記の請求の範囲に含まれる。
【0149】
例えば、材料の適用のためにローラーが記載されているが、ブラシ、予圧アプリケーター、またはスプレーを使用することができる。スプレーが使用される場合、先駆材料を最初に混合し、次に、基材に吹付けることができるか、または先駆材料をそれぞれ別のノズル出口から吹付けることができ、先駆材料の混合が、基材に向かう飛行中に、および/または基材上で、起こる。
【0150】
ホワイトボードおよび被覆壁について記載したが、被覆物を他の形態に適用することもできる。例えば、図3を参照すると、本明細書に記載されている任意の材料を連続シート材料(例えば紙)に適用して、基材52、および基材52上に拡がっている被覆物54を有する製品50を得ることができる。図3に示されているように、製品50は、ロール形態で好都合に貯蔵することができる。所望であれば、製品50を、例えば横線60に沿って、カットして、材料の個別シート70を得ることができる。次に図4を参照すると、ファスナー82を使用して、シート70をタブレット形態の製品80に形成することができる。所望であれば、集成シートは切り取り点線86を有することができ、シートをタブレットから切り離して、移動性書き込み消去可能製品として使用することを可能にする。
【0151】
ポリウレタン材料、および本明細に記載されているエポキシ樹脂、アクリル樹脂のいずれか1つ、いくつか、または全てのブレンドを使用して、書き込み消去可能表面を有する被覆物を作製することができる。
【0152】
他の溶剤系材料を、単独で、または本明細書に記載されている他の溶剤系材料、例えばポリウレタン材料と組合せて、使用し得る。例えば、溶剤系担体中のエポキシ樹脂を使用し得る。これらのエポキシ樹脂は、本明細書に記載されている種々の架橋剤および/または添加剤と共に使用し得る。例えば、架橋剤は、複数個のアミノ基、チオール基、ヒドロキシル基またはそのような基の混合物を有する成分であり得る。水性エポキシ樹脂は、Enducryl(登録商標)の名称でEpoxy Systems, Inc.から商業的に入手可能である。
【0153】
第1および第2成分は、例えば成分を同時に吹付けることによって、基材に適用することができ、それによって、それらが飛行中および/または基材上で混合し、次に、任意に、架橋プロモーター、例えば酸を、混合第1および第2成分に、例えば溶液の形態で適用する。さらに他の実施において、架橋プロモーターを先ず基材に適用し、次に、第1および第2成分を、架橋プロモーターを有する基材に提供する。
【0154】
第1および第2成分は、例えば、所望される所定量の成分を大きなドラムから塗料バケツに交互に添加し混合することによって、混合することができ、次に、被覆物を基材に適用する。この方法の利点は、成分を浪費せずに、成分のポットライフが維持されることである。
【0155】
さらに他の実施も、下記の請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書き込み消去可能製品であって:
基材上に拡がり、書き込み消去可能表面を有する硬化被覆物を含み、
該被覆物は、周囲条件下で硬化性であり、1つまたはそれ以上の材料から形成され、該材料は、それぞれ独立して、1つまたはそれ以上のイソシアネート基を含む1つまたはそれ以上の物質、および1つまたはそれ以上のヒドロキシル基を含む1つまたはそれ以上の物質を含み、1つまたはそれ以上の材料の少なくとも1つは溶剤系担体に存在し;
該製品において、該書き込み消去可能表面に、着色剤および溶剤を含むマーキング物質でマーキングした後に、該マーキング物質を該書き込み消去可能表面から効果的に不可視に消去することができる;
書き込み消去可能製品。
【請求項2】
前記マーキング物質を前記書き込み消去可能表面から実質的に不可視に消去することができる、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項3】
前記硬化被覆物が架橋している、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項4】
前記被覆物が周囲条件下で架橋される、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項5】
前記硬化被覆物が、約40パーセント未満の多孔率を有する、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項6】
前記硬化被覆物が、約0.001インチ〜約0.125インチの厚さを有する、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項7】
前記硬化被覆物が、約100mg/1,000サイクル〜約125mg/1,000サイクルのテーバー摩耗値を有する、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項8】
前記硬化被覆物が、約10より大きいスオード硬度を有する、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項9】
前記硬化被覆物が、約5パーセント〜約400パーセントの破断点伸びを有する、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項10】
前記硬化被覆物が、約4ミル〜約24ミルの垂れ下り抵抗を有する、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項11】
前記1つまたはそれ以上のイソシアネート基を含む1つまたはそれ以上の物質が、下記から成る群:
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、ビトリレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、ビス−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートおよびそのメチルエステル、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリフェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化メチレンジフェニルイソシアネート(HMDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、またはそれらのオリゴマーおよびホモポリマー、ならびにそれらの混合物;
から選択される、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項12】
前記1つまたはそれ以上のイソシアネート基を含む1つまたはそれ以上の物質が、脂肪族ジイソシアネートもしくはそのオリゴマーおよびホモポリマー、またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項13】
前記1つまたはそれ以上のイソシアネート基を含む1つまたはそれ以上の物質が、高分子物質を含む、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項14】
前記脂肪族ジイソシアネートが、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネートを含む、請求項12に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項15】
前記1つまたはそれ以上のヒドロキシル基を含む1つまたはそれ以上の物質が、α,ω−ジオールを含む、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項16】
前記1つまたはそれ以上のヒドロキシル基を含む1つまたはそれ以上の物質が、高分子物質を含む、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項17】
前記高分子物質がアクリルポリオールである、請求項16に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項18】
前記溶剤系担体が、炭化水素、アルコール、ケトン、エステル、ミネラルスピリット、バイオ系溶剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項19】
前記溶剤系担体が、下記から成る群:
エチルベンゼン、キシレン、n−ブチルアセテート、メチルイソアミルケトン、ストッダード溶剤、t−ブチルアセテート、アセトン、イソプロピルアルコール、2−ブトキシエタノール、トルエン、メタノール、プロパノール、2−ブタノール、イソ−アミルアルコール、メチルアミルアルコール、ペンタン、ヘプタン、無臭ミネラルスピリット、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール、メチルアミルケトン、エチルアミルケトン、ジイソブチルケトン、メチルヘプチルケトン、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、プロピルアセテート、イソブチルアセテート、n−ブチルアセテート、グリコールエーテルEMアセテート、アミルアセテート、イソブチルイソブチレート、グリコールエーテルEEアセテート、グリコールエーテルEBアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、グリコールエーテルDEアセテート、グリコールDBアセテート、メチルイソブチルケトン、ジプロピレングリコールブトキシエーテル、植物油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、およびそれらの混合物;
から選択される、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項20】
前記書き込み消去可能表面が、約100より多いサイクルの、同じ位置での書き込みおよび消去後に、実質的に不可視に消去される、請求項2に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項21】
前記書き込み消去可能表面が、約5,000より多いサイクルの、同じ位置での書き込みおよび消去後に、実質的に不可視に消去される、請求項2に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項22】
前記書き込み消去可能表面が、約7,500nm未満の平均表面粗さ(R)を有する、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項23】
前記書き込み消去可能表面が、約10,000nm未満の最大表面粗さ(R)を有する、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項24】
前記書き込み消去可能表面が、約35度より大きい接触角を有する、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項25】
前記書き込み消去可能表面が、約150度未満の接触角を有する、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項26】
前記基材が、セルロース系材料、ガラス、壁、ファイバーボード、パーティクルボード、石膏ボード、木材、プラスチック、高密度化セラミック、石および金属から成る群から選択される、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項27】
前記基材が、軟質フィルムまたは硬質構造物を含む、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項28】
前記マーキング物質が、水、アルコール、ケトン、エステル、ミネラルスピリット、バイオ系溶剤またはそれらの混合物を包む溶剤を含む、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項29】
繊維状材料を含むイレーザーでマークを拭くことによって、前記マーキング物質を前記書き込み消去可能表面から効果的に不可視に消去することができる、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項30】
前記イレーザーが、水、アルコール、ケトン、エステル、ミネラルスピリットおよびそれらの混合物から成る群から選択される1つまたはそれ以上の溶剤をさらに含む、請求項29に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項31】
前記書き込み消去可能製品がホワイトボードの形態であり、該ホワイトボードにおいて、前記硬化被覆物がファイバーボードの形態の基材上に拡がっている、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項32】
前記書き込み消去可能表面が、構造物の壁の一部を形成する、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項33】
前記書き込み消去可能製品が複数のシートの形態であり、各シートが、紙の形態の基材を含み、その上に拡がっている前記硬化被覆物を有する、請求項1に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項34】
書き込み消去可能製品であって:
基材上に拡がり、書き込み消去可能表面を有する硬化被覆物を含み;
該被覆物は、周囲条件下で硬化性であり、ヘキサメチレンジイソシアネート、そのオリゴマーまたはホモポリマーの1つまたはそれ以上を含む1つまたはそれ以上の材料;1つまたはそれ以上のアクリルポリオールを含む1つまたはそれ以上の材料、および1つまたはそれ以上の促進剤から形成され;1つまたはそれ以上の材料の少なくとも1つは溶剤系担体に存在し;
該製品において、該書き込み消去可能表面に、着色剤および溶剤を含むマーキング物質でマーキングした後に、該マーキング物質を該書き込み消去可能表面から効果的に不可視に消去することができる;
書き込み消去可能製品。
【請求項35】
前記マーキング物質を前記書き込み消去可能表面から実質的に不可視に消去することができる、請求項34に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項36】
前記促進剤がジブチル錫ジラウレートを含む、請求項34に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項37】
前記被覆物が酸プロモーターをさらに含む、請求項34に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項38】
前記酸プロモーターがプロピオン酸を含む、請求項37に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項39】
前記マーキング物質が、水、アルコール、ケトン、エステル、ミネラルスピリット、バイオ系溶剤またはそれらの混合物を含む溶剤を含む、請求項34に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項40】
書き込み消去可能製品の作製法であって、下記の工程:
被覆物を基材に適用する工程であって、該被覆物が、1つまたはそれ以上の材料から形成され、該材料は、それぞれ独立して、1つまたはそれ以上のイソシアネート基を含む1つまたはそれ以上の物質、1つまたはそれ以上のヒドロキシル基を含む1つまたはそれ以上の物質を含み、1つまたはそれ以上の材料の少なくとも1つは溶剤系担体に存在する工程;
該被覆物を周囲条件下で硬化させて、書き込み消去可能表面を規定する硬化被覆物を得る工程;
を含み、
該方法において、該書き込み消去可能表面に、着色剤および溶剤を含むマーキング物質でマーキングした後に、該マーキング物質を該書き込み消去可能表面から効果的に不可視に消去することができる;
書き込み消去可能製品の作製法。
【請求項41】
前記マーキング物質を前記書き込み消去可能表面から実質的に不可視に消去することができる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記被覆物が、前記1つまたはそれ以上のイソシアネート基を含む1つまたはそれ以上の物質と、前記1つまたはそれ以上のヒドロキシル基を含む1つまたはそれ以上の物質とを組合せることによって調製される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
組合せる前に、前記1つまたはそれ以上のイソシアネート基を含む1つまたはそれ以上の物質は第1容器に含有され、前記1つまたはそれ以上のヒドロキシル基を含む1つまたはそれ以上の物質は第2容器に含有されている、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記1つまたはそれ以上のヒドロキシル基を含む1つまたはそれ以上の物質を含む1つまたはそれ以上の材料が、架橋剤も含む、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記マーキング物質が、水、アルコール、ケトン、エステル、ミネラルスピリット、バイオ系溶剤またはそれらの混合物を包む溶剤を含む、請求項40に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項46】
変更可能に情報を提示する方法であって、下記の工程:
a) 請求項1に記載の書き込み消去可能表面に、着色剤および溶剤を含むマーキング物質を使用して、第1情報をマーキングする工程;
b) 該第1情報のマーキングを、該書き込み消去可能表面から、効果的に不可視に消去する工程;
c) 該書き込み消去可能表面に、第2情報をマーキングする工程;および
d) 該第2情報のマーキングを、該書き込み消去可能表面から、効果的に不可視に消去する工程;
を含む方法。
【請求項47】
前記第1情報および前記第2情報を、前記書き込み消去可能表面から、実質的に不可視に消去することができる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記マーキング物質が、水、アルコール、ケトン、エステル、ミネラルスピリット、バイオ系溶剤またはそれらの混合物を含む溶剤を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
工程c)およびd)を繰り返すことをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
工程b)およびd)が、イレーザーを前記消去可能表面に適用することによって行なわれる、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記イレーザーが繊維状材料を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記イレーザーが、水、アルコール、ケトン、エステル、ミネラルスピリットおよびそれらの混合物から成る群から選択される1つまたはそれ以上の溶剤をさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
脂肪族ジイソシアネートまたはそのホモポリマーおよびオリゴマー、アクリルポリオール、促進剤、酸プロモーター、ならびに有機溶剤を含む組成物。
【請求項54】
二酸化チタン、表面添加剤、湿潤剤、または消泡剤をさらに含む、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
顔料または着色剤をさらに含む、請求項53に記載の組成物。
【請求項56】
書き込み消去可能製品であって:
基材上に拡がり、書き込み消去可能表面を有する硬化被覆物を含み;
該被覆物が、周囲条件下で硬化性であり、1つまたはそれ以上の材料から形成することができ、1つまたはそれ以上の材料の少なくとも1つは溶剤系担体に存在し;
該製品において、該書き込み消去可能表面に、着色剤および溶剤(該溶剤は、水、アルコール、ケトン、エステル、ミネラルスピリット、バイオ系溶剤またはそれらの混合物の1つまたはそれ以上を含む)を含むマーキング物質でマーキングした後に、該マーキング物質を該書き込み消去可能表面から効果的に不可視に消去することができる;
書き込み消去可能製品。
【請求項57】
前記マーキング物質を前記書き込み消去可能表面から実質的に不可視に消去することができる、請求項56に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項58】
前記1つまたはそれ以上の材料の少なくとも1つが、エポキシ樹脂を含む、請求項56に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項59】
前記1つまたはそれ以上の材料の少なくとも1つが、アクリルモノマーを含む、請求項56に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項60】
前記1つまたはそれ以上の材料の少なくとも1つが、ビニルモノマーを含む、請求項56に記載の書き込み消去可能製品。
【請求項61】
前記1つまたはそれ以上の材料の少なくとも1つが、ウレタンアルキド以外のアルキド樹脂を含む、請求項56に記載の書き込み消去可能製品。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−528612(P2011−528612A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518933(P2011−518933)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/050976
【国際公開番号】WO2010/009384
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(510009669)アイデアペイント インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】IDEAPAINT,INC.
【Fターム(参考)】