説明

最適化されたプラズマチャンバ上部部材のための装置

【課題】実質的に一人で操作可能な、最適化された上部部材を備えたプラズマ処理システムを提供する。
【解決手段】プラズマ処理システムは、基板を保持するように構成されたチャックを含む下部部材を有している。また、プラズマ処理システムは、基板を処理するプラズマを発生させるための電磁場を形成するように構成された誘導コイルと、その末端部に加熱及び冷却プレートを収容するための中が空洞で円筒形の部分を有する上部部材であって、下部部材と結合する最適化された上部部材を含んでなる。前記加熱及び冷却システムが、最適化された上部部材によって電磁場とは実質的に遮断され、該上部部材は実質的に一人で操作可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板製造技術及び特に最適化されたプラズマチャンバの上部部材のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理において、例えば半導体基板やフラットパネルディスプレイの製造に用いられるガラスパネルの処理において、プラズマがしばしば採用される。基板は複数のダイ(dies)、あるいは長方形の領域に分割され、集積回路となる。基板は、その上に電気的要素が形成されるように、一連の工程である材料の選択的除去(エッチング)及び蒸着(デポジション)処理が行われる。
【0003】
典型的なプラズマ処理では、エッチングの前に硬化型エマルジョン(例えばフォトレジストマスクなど)の薄いフィルムによって覆われる。硬化型エマルジョンの領域は選択的に除去され、構成要素の基となる基底層が現れる。基板は、モノポーラ(mono−polar)またはバイポーラ(bi−polar)電極を含む支持構造の上で、チャックあるいは台座(pedestal)に固定されてプラズマ処理チャンバ内にセットされる。適当なエッチング源がチャンバ内に導入され、基板の露出表面をエッチングするために形成されたプラズマが照射される。
【0004】
図1は、誘導結合型プラズマ(inductively coupled plasma)処理システムの構成を単純化した図である。一般的に、プラズマチャンバ(chamber)102は下部部材150、上部部材144、及び上部部材カバー152を含んでいる。ガス分散システム122によって適当なガスがチャンバ102内に導入される。これらのプラズマ処理のためのガスは、プラズマ110形成のためにイオン化されて、静電チャック(chuck)116の上にエッジリング115によって固定された半導体基板あるいはガラス板などの基板114の処理(エッチングまたはデポジション)領域に対して、照射される。通常、ガス分散システム122はプラズマ処理ガス(例えば、C、C、CHF、CH、CF、HBr、CHF、C、N、O、Ar、Xe、He、H、NH、SF、BCl、Cl、WF、その他)を含む圧縮ガスシリンダ124a−fから構成されている。
【0005】
誘導コイル131は絶縁ウィンドウ104によってプラズマとは分離されており、プラズマ110を発生させるためにプラズマ処理ガスに時変(time−varying)電流を誘導する。ウィンドウはプラズマ110から誘導コイルを保護し、プラズマ処理チャンバ内に誘導電流111を生じさせるための高周波領域(RF field)142の発生を許容する。さらに、誘導コイル131は、高周波発生器134と結合したマッチングネットワーク132と結合している。マッチングネットワーク132は高周波発生器134のインピーダンスをマッチングさせ、約13.56MHz、50オームで操作されてプラズマ110に適用される。さらに、第二の高周波発生器138はマッチングネットワーク136を通して基板114に連結し、プラズマにバイアスを付与して、プラズマ処理システム内のプラズマを直接基板に向けて誘導するように構成されている。
【0006】
一般的に、冷却システム140は、プラズマの点火による熱的平衡を維持するためにチャック116に取り付けられている。冷却システム自身は、チャックの中の空間にクーラント(coolant)をポンピングするための冷却装置を含み、チャックと基板の間にヘリウムガスを送り込む。発生した熱を除去し、熱の拡散を素早くコントロールするために、ヘリウムガスが冷却システムとして用いられる。従って、ヘリウムの圧力が増加すると熱の移動速度も増大する。ほとんどのプラズマ処理システムは、操作ソフトウエアプログラムを有する複雑なコンピュータにより制御される。典型的操作環境において、製造プロセスパラメータ(例えば、電圧、ガス混合流量、ガス流速、圧力など)は特別なプラズマ処理システム及び具体的な方法により決定される。
【0007】
加えて、加熱及び冷却プレート146はプラズマ処理装置102の上部部材144の温度をコントロールするために上部部材144の内表面にあって、処理中にプラズマに曝されつつ、温度制御を行う。加熱及び冷却プレート146は、加熱と冷却の両方ができるように異種の材料層から構成されている。
【0008】
上部部材は、プラズマ耐性材料から構成され、アースされており、発生した高周波領域をプラズマ処理システム内に透過する。ほとんどの上部部材は、チャンバ内の操作性を最適にするように設計されているが、人間工学的安全性や熱的性能については考慮されていない。
【0009】
例えば、2300プラズマエッチングチャンバの上方部は、重さ75ポンドのどっしりしたアルミニウムの塊であるため、取り外したり、設置したり或いは清浄化するために取り扱うことが困難であった。従って、プラズマ処理システムから上部部材を安全に取り除くためには、リフティング装置(ウィンチなど)などを使用して、少なくとも二人の作業者が必要であった。
【0010】
歴史的にも、システム全体のコストと比較すると上部部材の製造コストは小さいために、材料をより少なく使用する、軽くするなどの再設計を実行しようとする動機が働かないものであった。しかし、作業者の安全性だけでなく、作業者の傷害の減少や保障金請求などを減らそうとの要求が高まってきた。低価格で製造するために不慣れな作業者によって多くの基板が処理されるようになり、プラズマ処理システムがますます複雑化するとともに、傷害などの事故発生の可能性が増加しているからである。
【0011】
例えば、半導体製造装置の人間工学的安全ガイドライン(the Safety Guidelines For Ergonomics Engineering Of Semiconductor Manufacturing Equipment :SEMI S8−0701)や、半導体製造装置のための環境、健康、安全ガイドライン(Environmental, Health, And Safety Guideline For Semiconductor Manufacturing Equipment :SEMI S2−0302)は共に、プラズマ処理システムにおける人間工学的危険性を緩和又は消去するために規定され、設計上も組み込まれなければならない。
【0012】
特に人間工学的危険性を回避して設計されなければならず、そうでなくとも最大限可能な範囲で危険性を減少させるべきである。情報処理及び/または訓練された人の肉体的能力を超えて要求されたタスク(例えば上部部材の操作など)の結果、システムの設計或いは設置において人間工学的危険性が存在するのである。特に、装置は、90%のユーザー(使用される国、地域のユーザーは5%が女性、95%が男性である)の肉体的特長に適合するように設計されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特表2000−513501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
相対的に重い上部部材は取り扱いが難しく、予定された保守期間内での効果的な洗浄が問題であり、予防保守は論点である。上部部材のプラスチックやステンレスなどの素材のために有効な洗浄技術が制限され、クリーニングについては重大な問題となる。上部部材の残留物の洗浄には特に化学的洗浄が効果的であるが、それらはプラスチックやステンレスに実質的に損傷を与えるのである。
【0015】
さらに、上部部材の周囲をガスケットで厳密に密封するために下部部材と正確な位置合わせをしなければならず、これが保守後の再設置をより困難にしている。僅かな調整ミスにより適切なマッチングが妨げられ、作業者に重い上部部材を再設置させることになる。
【0016】
上部部材の素材の容量は、プラズマ処理システムに実質的に熱容量を加える傾向がある。熱容量は、延長された処理期間中に熱エネルギーを収容する容量を持つ材料であることを要求する。一般に、プラズマ処理は温度変化に非常に敏感である。例えば、既定の処理ウィンドウを超えた温度変化は、直接エッチング速度や、あるいは基板表面にポリフルオロカーボンなどの高分子フィルムの堆積速度に影響する。多くのプラズマ処理方法では、数十℃オーダー内での温度変化が必要とされ、処理基板間の温度再現性は重要なのである。従って、上部部材は既定のパラメータ内でプラズマ処理を維持するために、加熱および冷却されるのである。
【0017】
プラズマの点火によって、基板は熱エネルギーを吸収するので、冷却システムが実行される。しかし、上部部材は比較的大きな熱容量を有するので、冷却システムによる温度調整と上部部材の温度変化とは同期しない。従って、熱流の変化は、基板温度が既定の狭いパラメータ範囲を超えて変化する原因となる。
【0018】
さらに、図1に示すように加熱及び冷却プレート146の位置は、電磁場142に干渉している。高周波電源が高周波発生器134からコイル131に供給され、電磁場が発生する。そして誘導電流111がプラズマを発生させ維持する。必ずしも不変ではないが、加熱及び冷却プレート146が電磁場に干渉し、プラズマ110の均一性に影響している。その結果電場が放射状にゆがめられ、基板に照射されるプラズマ密度が不均一となって、生産物への影響がでる。
【0019】
この状態は、基板の上の回路密度が高いものであるほどより重要な問題となる。例えば、プラズマエッチング処理において、もしプラズマが正確に最適化されていないと、ファセッティング(faceting)が起こる。ファセットは基板の特徴的輪郭(例えばトレンチ側壁)を非直線形にする。プラズマ密度の低い領域では、基板から十分な量の材料が除去できないのでトレンチ(trench)あるいはヴィア(via)のサイズが小さくなる。逆に、プラズマ密度が高い領域では、基板から過剰な量の材料が除去され、くぼんだ切込み(アンダーカット:undercut)が発生してしまう。
【0020】
前記の観点から、プラズマ処理システム内の処理モデルの最適化のための方法および装置が求められているのである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一つの実施態様は、プラズマ処理システムにおける基板処理のための装置に関する。該プラズマ処理システムは、基板を保持するように構成されたチャックを含む下部部材を含んでいる。該プラズマ処理システムはまた、基板を処理するプラズマを発生させるための電磁場を形成するように構成された誘導コイルと;加熱及び冷却システムのために構成され、下部部材と結合される最適化された上部部材とを含んでいる。前記加熱及び冷却システムは、最適化された上部部材によって電磁場からは実質的に遮断され、該上部部材が実質的に一人で操作可能である。
【0022】
本発明の特徴などは、以下に図面を参照しつつ、さらに詳細に説明する。
【0023】
本発明に関するいくつかの好適な具体例を参照しつつ、図面に示すとともに以下に詳細に説明する。以下の説明において、詳細な記述は発明の理解のためのものである。当業者においてはこれらの詳細な説明の一部あるいは全部がなくても本発明を実施することができるかもしれない。また、公知の工程及び/または装置については、発明を不必要に曖昧にすることになるために敢えて記載してはいないことを理解すべきである。
【0024】
理論に拘束されるものではないが、発明者らは、最適化された上部部材が、プラズマ処理の操作的な特徴だけでなく、実質的に作業者の安全性を最適にするものであろうと考えている。
【0025】
一つの実施態様において、最適化された上部部材は、現状の一般的な上部部材より約80%以下の重さである。
【0026】
他の実施態様において、最適化された上部部材は、現状の一般的な上部部材より約80%以下の熱容量である。
【0027】
他の実施態様において、最適化された上部部材は、加熱及び冷却プレートから、高周波領域を遮断している。
【0028】
他の実施態様において、最適化された上部部材は、軽量であり、陽極(酸化)処理され、ハードウエア(例えば高周波入力コイル、アライメント装置、温度コントロールのハードウエアなど)を支持するためにアルミニウムシリンダーを有し、真空を維持し、外部から電流を誘導するように構成されている。
【0029】
他の実施態様において、最適化された上部部材は、O−リングを含んで上部部材および下部部材による真空を保持する。
【0030】
他の実施態様において、最適化された上部部材は、金属性のスプリングガスケットを含み、それは電気伝導を構築するために下部部材上の金属面に接触して、溝にフィットするガスケットである。
【0031】
他の実施態様において、最適化された上部部材の内部形状は、通常の上部部材のそれと実質的にマッチし、電気的性質、ガス流量、プラズマを封じ込める特徴などは実質的に同じである。
【0032】
他の実施態様において、上部部材は、プラスチックまたはステンレスを実質的に含んでいない。
【0033】
他の実施態様において、上部部材は、一人で操作するためのSEMI−人間工学安全性標準を満たすものである。
【0034】
本発明の例として、限定されることなく、図面及び同様な構成については同じ参照番号を付して、具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1はプラズマ処理システムを簡易的に表した図である。
【図2】図2は本発明に従う具体例の一つとして、最適化された上部部材を含むプラズマ処理システムを簡易的に表した図である。
【図3A】図3Aは本発明に従う具体例の一つとして、最適化された上部部材を簡易的に表した図である。
【図3B】図3Bは本発明に従う具体例の一つとして、最適化された上部部材を簡易的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
ここで図2を参照すると、本発明の一実施態様に基づく、最適化された上部部材を構成要素とするプラズマ処理システムが簡易的に示されている。一般にプラズマチャンバ202は、下部部材250と上部部材カバー252を含んでいる。しかし図1に示される上部部材144とは明らかに異なり、プラズマ処理だけでなく、作業者の人間工学的安全性を最適化するために、上部部材244と置き換えられている。
【0037】
上部部材はそれ自体、プラズマ耐性材料(アルミニウム、セラミックなど)から構成され、アースされて、発生した高周波領域をプラズマ処理システム内に透過する。しかし、殆どの上部部材デザインは、人間工学的安全性或いは発生する熱的な性能が最適化されていない。
【0038】
歴史的にも、全システムのコストに対する上部部材の製造コストが比較的小さいので、上部部材の重量の最適化についての動機付けは殆どない。しかし、産業の発展とともに作業者の安全性を高めることは、作業者の傷害を減少させ、傷害補償費の削減に寄与する。特に、低価格で製造するために不慣れな作業者によって多くの基板が処理されるようになり、プラズマ処理システムがますます複雑化するとともに、傷害などの事故発生の可能性が増加している。前記の通り、情報処理及び/または訓練された人の肉体的能力を超えて要求されたタスク(例えば上部部材の操作など)の結果、システムの設計或いは設置するときに人間工学的危険性が存在するのである。
【0039】
しかし、本発明に従えば、最適化された上部部材は、通常の上部部材より約80%以下で、一人の人間により操作(取り外し、吊り上げ、洗浄するなど)できるという実質的にSEMI−人間工学的安全性基準を満たしているのである。さらに、予防維持が実質的に簡略化され、一人の作業者がリフティング装置(ウィンチなど)を使用しなくても最適化された上部部材を簡易に操作でき、適切な洗浄を容易に行える。また、メンテナンス後の上部部材を元の位置に戻すことが簡単で、下部部材との位置合わせが容易となるから、上部部材の周りをガスケットで正確にシールできるのである。
【0040】
また、本発明は熱容量についても一般の上部部材よりも約80%以下にした。前記の通り、上部部材の材料の体積はプラズマ処理システムに対して熱容量を付加する傾向がある。基板間の温度の再現性は重要で、多くのプラズマ処理方法においては数十℃のオーダー内での温度変化が求められているのである。従って、上部部材は既定のパラメータの範囲でプラズマ処理を維持するために加熱或いは冷却されるのである。一般の上部部材と異なり、最適化された上部部材は比較的熱容量が小さく、冷却システムによる温度調節が実質的に同期する。
【0041】
ガス分散システム222から適切なガスがチャンバ202内へ導入される。プラズマ処理ガスはプラズマ210の生成によりイオン化され、エッジリング215や静電チャック226により固定された半導体基板やガラス板などの基板224の露出部が、処理(エッチングまたはデポジッションなど)される。通常、ガス分散システム222は、プラズマ処理ガス(例えば、C、C、CHF、CH、CF、HBr、CHF、C、N、O、Ar、Xe、He、H、NH、SF、BCl、Cl、WF、その他)を収容する圧縮ガスシリンダを含んでいる。
【0042】
誘導コイル231は、絶縁ウィンドウ204によってプラズマから分離され、プラズマ処理ガスに時変電流を導入してプラズマ220を発生させる。ウィンドウは、プラズマ220から誘導コイルを保護するだけでなく、発生された高周波領域242をプラズマ処理チャンバ内に浸入するのを許容する。誘導コイル231と結合したマッチングネットワーク232は、さらに高周波発生器234とも結合している。マッチングネットワーク232は高周波発生器234のインピーダンスをマッチングさせ、約13.56MHz、50オームで操作されてプラズマ220に適用される。さらに、第二の高周波発生器238はマッチングネットワーク236を通して基板224に連結し、プラズマにバイアスを付与して、プラズマ処理システム内のプラズマを直接基板に向けて誘導するように構成されている。
【0043】
一般的に、冷却システム240は、プラズマの点火による熱的平衡を維持するためにチャック216に取り付けられている。冷却システム自身は、チャックの中の空間にクーラントをポンピングするため冷却装置を含み、チャックと基板の間にヘリウムガスを送り込む。さらに、発生した熱を除去し、熱の拡散を素早くコントロールするために、ヘリウムガスが冷却システムとして用いられる。従って、ヘリウムの圧力が増加すると熱の移動速度も増大する。殆どのプラズマ処理システムは、操作ソフトウエアプログラムを有する複雑なコンピュータにより制御される。典型的操作環境において、製造プロセスパラメータ(例えば、電圧、ガス混合流量、ガス流速、圧力など)は特別なプラズマ処理システム及び具体的な方法により決定される。
【0044】
さらに、加熱及び冷却プレート246或いは他の関連するハードウエアは、上部部材244の温度或いはプラズマ処理装置202の処理条件をコントロールするために働き、最適化された上部部材244の内表面は、処理中にプラズマに曝されつつ、温度制御を行う。しかし、一般の上部部材とは異なり、加熱及び冷却プレート246および他の関連ハードウエアは、最適化された上部部材によって電磁場242から遮断された位置に配置されている。
【0045】
前記の通り、高周波電源が、高周波発生器234を通してコイル231に誘導され、電磁場242が発生し、それにより生じた誘導電流211がプラズマの生成および維持のために機能する。最適化された上部部材244は、加熱及び冷却プレート246、および他の関連するハードウエアを電磁場242から遮断するから、結果として電磁場211がプラズマ220を均一化し、最適化されるのである。また、電場は殆どゆがめられることなく、基板に照射されるプラズマがより均一化・最適化されることによって、改善された製品(ファセッティングが減少したものなど)が得られるのである。
【0046】
図3Aを参照すると、本発明に従う一つの実施態様である最適化された上部部材244が簡易的に示されている。部位302は一般的な上部部材の約80%容量を表し、処理できない限界である。従って外側の表面のみが修正され、内部形状304は、一般的な上部部材の特徴である電気的性質、ガスの流れ、プラズマの密閉性などは同じである。
【0047】
また、図3Bを参照すると、本発明に従う一つの実施態様である最適化された上部部材244が簡易的に示されている。固定位置312は、アライメントのためのブラケット(brackets)が結合し、洗浄中は除かれて、処理コストや洗浄液による汚染を最小にする。ハンドル313のセットは上部部材に直接結合され、上部部材を持ち上げたり操作したりする際の特定の部位を提供し、作業者が処理に敏感なチャンバ内領域へ接触することを最小限にする。さらに、アライメントホール314は高周波コイルを直接チャンバに固定し調整するためのものである。
【0048】
いくつかの好ましい実施態様について述べてきたが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、置換などが可能である。例えば、本発明では、ラムリサーチコーポのプラズマ処理システム(Exelan(登録商標)、Exelan(登録商標)HP、Exelan(登録商標)HPT、2300(登録商標)、Versys(登録商標)Starなど)に関連して述べてきたが、他のプラズマ処理システムを用いることも勿論可能である。また、この発明は様々な径(例えば200mm、300mmなど)の基板を用いることもできる。また、アルミニウム以外の材料として、例えばセラミックなどを使用することもできる。
【0049】
本発明による利点は、最適化されたプラズマチャンバ上部部材のための装置を含んでいる。さらに、作業者の人間工学的安全性の最適化、プラズマ処理の操作的特長の最適化をも含む。
【0050】
上述の具体例及びベストモードは、本発明の目的及び精神の範囲内において修正、変更が加えられ得ることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0051】
202 プラズマチャンバ
204 絶縁ウインドウ
210 プラズマ
211 電磁場
215 エッジリング
216 チャック
220 プラズマ
224 基板
226 静電チャック
231 誘電コイル
232 マッチングネットワーク
244 上部部材
246 加熱及び冷却プレート
250 下部部材
252 上部部材カバー
302 上部部材の部位
304 上部部材の内部形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の処理のためのプラズマ処理システムであって、
前記基板を保持するように構成されたチャックを含む下部部材と、
前記基板を処理するプラズマを発生させるための電磁場を形成するように構成された誘導コイルと、
前記下部部材と結合される最適化された上部部材であって、その末端部に、加熱及び冷却プレートを収容するために構成されており、内部が空洞であって筒形形状を有する部分を備えた上部部材と、
を含んで成り、
前記上部部材における内部が空洞であって筒形形状を有する前記部分の中に配置された前記加熱及び冷却プレートは、最適化された前記上部部材によって前記電磁場からは実質的に遮断されており、
且つ最適化された前記上部部材が実質的に一人で操作可能であることを特徴とする、プラズマ処理システム。
【請求項2】
前記上部部材は、一人で操作するためのSEMI−人間工学安全性標準を実質的に満たすものである請求項1記載のプラズマ処理システム。
【請求項3】
前記上部部材は最適化されてはいない上部部材の重さの約80%以下の重量である請求項1記載のプラズマ処理システム。
【請求項4】
リフティング装置を使用しないで、前記上部部材を一人の人間が容易に操作できる請求項1記載のプラズマ処理システム。
【請求項5】
最適化された前記上部部材がアルミニウムから構成される請求項1記載のプラズマ処理システム。
【請求項6】
最適化された前記上部部材がセラミックから構成される請求項1記載のプラズマ処理システム。
【請求項7】
最適化された前記上部部材がプラスチックを含まない請求項1記載のプラズマ処理システム。
【請求項8】
最適化された前記上部部材がプラズマに曝される内表面を有し、該内表面は、最適化されていない上部部材と実質的に同じである請求項1記載のプラズマ処理システム。
【請求項9】
最適化された前記上部部材が結合されたハンドル部のセットを有する請求項1記載のプラズマ処理システム。
【請求項10】
最適化された前記上部部材がアライメントの孔のセットを有する請求項1記載のプラズマ処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2012−129550(P2012−129550A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−55506(P2012−55506)
【出願日】平成24年3月13日(2012.3.13)
【分割の表示】特願2007−519251(P2007−519251)の分割
【原出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(504401617)ラム リサーチ コーポレーション (87)
【Fターム(参考)】